説明

水分含有固体の水分除去方法およびシステム

【課題】常温付近の温度で行える、より効率的に固体から水分を除去可能とする。
【解決手段】液体Lを水分含有固体と接触させ、この液体Lに固体が含有する水分を溶解させて水分含有固体の脱水を行い、脱水後の液体Lと水の混合液から、水だけを選択的に透過する分離膜4により水を分離し、水が分離された液体Lを回収し、再び水分含有固体の水分の除去に使用する水分含有固体の水分除去方法、及び液体L、これを送り出す送液ポンプ1、脱水器2、および水選択分離膜4が充填された分離器3が直列に連結され、この分離器3が前記送液ポンプ1に連結されて回路が形成され、この回路を前記液体Lが循環するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分含有固体の水分除去方法およびシステムに関する。さらに詳しくは、水分子を選択的に透過する膜を用い、常温付近の温度で行える、従来法と比べ、装置構成要素の数の少ない効率的な水分除去方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2では、25℃、1気圧で気体である物質(以下、物質Dと称する。)と、水分含有固体を接触させることによって、既存の技術よりも小さい動力での脱水が可能であることが示されている。
しかしながら、これらの脱水手法においては、物質Dを再利用するには、水分含有個体から除去された水分が混合した物質Dの液状物から物質Dを選択的に蒸発させて水分と分離させた後、物質Dを圧縮するか冷却して物質Dを再び液化物にする必要がある。従って、この方法においては、物質Dの蒸発及び液化の一方もしくは両方にエネルギーを投入する必要がある。
【0003】
また、特許文献1で示されている脱水プロセスは、主に、物質Dの圧縮機、凝縮機、熱の交換機、送液ポンプ、脱水器、減圧弁、蒸発器、水分離器、膨張機など9つもの数の要素で構成されている。特許文献2のシステムでも、物質Dの圧縮機、凝縮機、送液ポンプ、脱水器、減圧弁、蒸発器、水分離器、貯留槽など8つの構成要素からなっている。
【0004】
上記発明では、水の分離は、物質Dの選択的な蒸発であるが、水分の除去としては、例えば、A型ゼオライトなどのような多孔性の水分子を選択的に透過する膜(特許文献2)などを利用する方法も知られている。
【特許文献1】PCT/JP03/06989(国際公開番号 WO 03/101579)
【特許文献2】特開2003―210950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、水分を吸収させた物質Dから水分を分離するに当たり、蒸発させて水分と分離を行う方法では、投入するエネルギーが大きく、また、システムの構成要素も多く、装置の製作、運転などが煩雑であるという問題があった。
本発明の目的は、水分吸収物質を回収して循環させるため水分吸収物質から水分を分離するにあたり、水分を吸収させた物質を蒸発させて水分と分離するのではなく、常温付近の温度で行える、より効率的に固体から水分を除去する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、有機化合物の液状物(以下、液体Lと称する。)を水分含有固体と接触させ、この液体Lに固体が含有する水分を溶解させて水分含有固体の脱水を行い、脱水後の前記液体Lと水の混合液から、水だけを選択的に透過する分離膜により水を分離し、水が分離された液体Lを回収し、再び水分含有固体の水分の除去に使用することを特徴とする水分含有固体の水分除去方法に関する。
【0007】
また、本発明は、液体L、前記液体Lを送り出す送液ポンプ、前記液体Lが水分含有固体と接触し水分を溶解して脱水を行う脱水器、および前記液体Lと水の混合液から水だけを選択的に透過する分離膜が充填された前記液体Lと水の混合液から水を除去する分離器が直列に連結され、この分離器が前記送液ポンプに連結されて回路が形成され、この回路を前記液体Lが循環することを特徴とする水分含有固体の水分除去システムに関する。
ここで、上記の方法およびシステムにおいて、液体Lはジメチルエーテル、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ホルムアルデヒド、ケテン、アセトアルデヒドからなる群から選ばれる1種または2種以上の液体が好ましい。
さらに、同様に、液体Lと水分含有固体との接触は向流接触が好ましい。
上記のシステムにおいて、分離膜としては、多孔性A型ゼオライトが好ましい。
また、分離膜器に、分離膜から水を透過させるための吸引ポンプが連結されている上記のシステムに関する。
さらに、脱水器がロートセル抽出器である上記のシステムに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水分離膜を用いることにより、装置構成要素の少ないシステムで、常温付近の温度で、効率的に、固体から水分を除去することができ、この水分除去方法は、あらゆる水分含有固体に適用可能である。
本発明によれば、固体の水分を吸収除去した液体Lの水分の分離のために水分を蒸発させる必要がなく、水分を多く含む固体から常温に近い操作温度で、省エネルギーでの脱水が可能となり、液体Lを効率的に回収しこれを循環して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明においては、固体の水分を除去するために、有機化合物の液状物(液体L)を用い、これを固体と接触させ、固体の水分を液体に溶解させる。従って、この液体Lとしては、水との相互溶解性が高く、固体によく浸透するものが好ましい。また、この液体Lは、このような性質であれば、常温、常圧で液体であるものに限らず、25℃、1気圧では気体であっても、これを加圧圧縮および/または冷却して液体としたものを用いることもできる。この場合は、装置内を、加圧圧縮および/または冷却して液体状態を保持できるようにしなければならない。1気圧において、−25℃〜50℃で液体であるものが好ましい。好ましいものとしては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ジメチルエーテル、ホルムアルデヒド、ケテン、アセトアルデヒドなどが挙げられ、これらからなる群から選ばれる1種または2種以上の液体を用いることができ、その効果を損なわない範囲で他の成分を添加することもできる。なお、高効率なジメチルエーテルの製造方法、製造装置は、例えば特開平11-130714号、特開平10-195009号、特開平10-195008号、特開平10-182535号から特開平10-182527号、特開平09-309852号から特開平09-309850号、特開平09-286754号、特開平09-173863号、特開平09-173848号、特開平09-173845号などに開示されており、容易に得ることができる。
【0010】
これらは、乾燥する固体によって、適宜選択すればよい。例えば、水分を除去する対象固体が石炭などの燃料であれば、ジメチルエーテルは安価であり、固体中に残存したとしても燃料として燃え悪影響を与えず、好ましい。
【0011】
また、液体Lと水分含有固体との接触は特に限定されるものではなく、浸漬、固体に液体Lを流すなど通常の脱水法で採られるどのような方法でもよいが、少量の液体を用いて高効率に脱水を行う観点から向流接触させることが好ましい。更に水分含有固体と接触する液体Lの量も特に限定されないが理論量であることが固体からの水分以外の成分の抽出分を抑制する上で好ましい。
【0012】
本発明では、上記のようにして固体を脱水し、その水分を溶解した液体L、即ち、液体Lと水分の混合物から水分を分離した後、これを再度脱水に用いる。水分の分離は、液体Lと水分の混合物物から水だけを選択的に透過する膜を通過させて行う。
分離膜としては、上記のような有機物の液体と水から水を選択的に透過させるものであればどのようなものでもよい。例えば、多孔性A型ゼオライト等、具体的には、特開2003―210950号公報、2004―148209号公報に記載されている膜等が挙げられる。
【0013】
上記のようにして、液体Lから水分を分離した後、液体Lを回収し、再び、これを循環して、水分含有固体の脱水に用いる。
【0014】
以下に、本発明の方法に適した本発明のシステムを図1に基づいて説明する。
図1は液体Lを用いた固体含有水分の除去システムの実施の一形態を示す。この水分除去システムは液体L、前記液体Lを送り出す送液ポンプ1、水分含有固体が充填されている脱水器2、水の選択的透過膜4が設けられた分離器3が直列に連結されている。分離器3は前記送液ポンプ1と連結されており、回路が形成されている。必要により、分離器3からは、排水用のポンプ5が、設けられる。
【0015】
図2は、液体Lとしてジメチルエーテルを用いた場合の設計例であり、これについての詳細な説明を以下に示す。ジメチルエーテルは101325Paにおける沸点がおおよそ−25℃であり、−25〜50℃の大気圧下においては気体状態である。このため、−25〜50℃の範囲では、これを液体として用いる場合、装置内をジメチルエーテルの飽和蒸気圧以上に加圧して、液体状態を保持する必要がある。ここで、20℃において操作を行うとすると、20℃におけるジメチルエーテルの飽和蒸気圧は0.51MPaなので装置内は0.51MPa以上でなければならない。なお、液体Lとして、エタノールなどの常温で液体である物質を用いる場合には、装置内を加圧する必要はない。
【0016】
液体Lは、送液ポンプ1で脱水器2へと送り出される。脱水器2には水分含有固体が充填されており、脱水器の内部で固体の水分が前記液体Lに溶け出す。20℃におけるジメチルエーテルの水への飽和溶解度は6.7重量%なので、脱水器において1Kgの水を溶解するのに必要なジメチルエーテルは1÷0.067=14.9Kgである。
【0017】
脱水器2は、水分含有固体と液体Lを接触させる構成を備えるものであれば、その構成が特に限定されるものではないが、少量の液体Lを用いて高効率に脱水を行う観点から向流接触させる形式のものが好ましい。かかる向流接触式の脱水器2として、例えば特公昭57−15922号や特開2004−255248号に開示されるロートセル抽出機の利用が望ましい。
【0018】
ロートセル抽出機の原理を利用した脱水装置2の構成例を図3〜図5に示す。この脱水装置2は、ケーシング18と、ケーシング18の軸心に配置された回転軸19と、回転軸19を介してケーシング18内で回転する複数の回転セル部20を有するロータ21と、ロータ21を回転軸19によって回転駆動させる回転駆動機構22とを備え、回転セル部20内に水分含有固体を投入するとともに液体Lを供給し、回転駆動機構22によりロータ21を回転させる間に回転セル部20内で液体Lと水分含有固体とを接触させ、かつ当該接触後の液体Lを回転セル部20の回転方向とは逆方向の他の回転セル部20に再供給するようにしている。水分を含んだ液体Lと、水分が除去された脱水対象固体とは、別々に回収される。
【0019】
ケーシング18は、円筒状の側壁18Aと、この側壁18Aの上面を封止する上板18Bと、この上板18Bと対向し且つ円筒状の側壁18Aの中央部から側壁18Aに向かって下降傾斜する底板18Cとを備え、密封構造になっている。また、ロータ21は、回転軸19を囲み且つ上下の連結部材21Aによって回転軸19と連結された内筒21Bと、この内筒21Bを囲み且つ側壁18Aより小径に形成された円筒状の内壁21Cと、この内壁21Cと内筒21Bとの間に形成されたリング状の空間を複数の回転セル部20に区画し且つ放射状に配置された複数の壁部21Dとを有し、回転軸19を介して円筒状ケーシング18の底板18Cに沿って回転する。
【0020】
上板18Bには脱水対象投入部23が設けられ、この脱水対象投入部23から水分含有固体が回転セル部20内に投入される。また、ロータ21の上端と円筒状ケーシング18の上板18Bとの間には隙間が形成され、この隙間には液体L供給部24が側壁18Aの上端部から径方向に沿って挿入され、この液体L供給部24から液体Lが回転セル部20内に供給される。この液体L供給部24は、例えば先端が封止され且つ複数の孔またはノズルを有するパイプによって形成されている。
【0021】
また、内壁21Cの下端部には、液体Lの流出部25が各回転セル部20に対応させて形成されている。これらの流出部25には金網やパンチングメタル等の多数の孔を有する部材がそれぞれ取り付けられている。これらの流出部25を介して、各回転セル部20内で水分含有固体と接触した液体Lが、側壁18Aと内壁21Cと間に形成されたリング状の受液部26へと流出する。このリング状の受液部26は、放射状に配置した図示を省略する仕切り板によって複数の受液室27に仕切られている。各受液室27は例えば複数の回転セル部20に渡って形成されている。各受液室27の底面にはそれぞれ孔が形成され、この中の1つの孔が脱水処理後の水分を含んだ液体Lを排出する排出孔28として機能し、残りの孔は流出孔29として機能する。流出孔29は、図5に示すように、ポンプ30を備えた配管31を介して、隣の受液室27の上方に挿入された液体L再供給部32にそれぞれ連結される。これらのポンプ30,配管31,液体L再供給部32によって、受液室27に溜まった液状Lが一つ上流側の受液室27を通過する回転セル部20内に供給される。尚、液体L再供給部32は供給部24と同様に構成されている。
【0022】
次に、脱水器2の動作について説明する。脱水器2が始動して回転駆動機構22が駆動すると、回転軸19を介してロータ21が図5における時計回りに回転する。水分含有固体は、例えばコンベア33によって搬送されて、脱水対象投入部23から、例えば最上流の回転セル部20内に投入される。液体Lは、液体L供給部24から、例えば最下流の回転セル部20内に供給される。回転セル部20の上方より供給される液体Lは、当該回転セル部20内の水分含有固体と接触しながら重力と遠心力により流出部25に向かって移動する。流出部25より流出した液体Lは、ポンプ30の働きにより回転セル部20の回転方向とは逆向きに移動し、回転セル部20の回転方向とは逆方向の他の回転セル部20に再供給される。このように、水分含有固体が投入された回転セル部20はロータ21の回転により時計回りに移動するのに対して、液体Lはポンプ30の働きにより反時計回りに移動するので、水分含有固体と液体Lとは向流接触することとなる。この向流接触により脱水効率を高めることができる。また、最も含水量が低下した脱水対象を保持する回転セル部20である最下流の受液室27に達した回転セル部20に対して、液体L供給部24から新たな液体Lを供給するようにすることで、脱水対象の残存水分を効率良く除去することができる。液体Lは、下流側の受液室27から上流側の受液室27に向かって流れ、各受液室27に達した回転セル部20内でそれぞれの脱水対象と向流接触して、含有水分の濃度を段階的に高めながら、排出孔28に到達する。排出孔28から排出される水分を含んだ液体Lは、配管40Gを介して分離器3へと送られる。一方、脱水処理を終えた回転セル部20内の固体は、例えば液体L供給部24の下流側に位置する底板18Cに開閉可能に設けられた排出口36を介して、外部へ排出され、回収される(図5に示す白抜きの矢印参照)。
【0023】
ここで、従来ある既存のロートセル抽出機は、通常、常温常圧下で、液体状態の抽剤を用いて固体中に含まれるアロマ成分などを抽出することに用いられる。このようなロートセル抽出機を脱水器2として利用する場合、ジメチルエーテルの液化物を脱水剤として用いる場合には、以下のような点を考慮する必要がある。即ち、常温常圧下において気体となるジメチルエーテルの蒸発を防いで液状に保つ必要がある。このために脱水器2内部を加圧状態とし、かつその加圧状態を維持する密封構造とする、あるいは脱水器2内部をジメチルエーテルの飽和蒸気で満たして密封構造とする必要がある。しかし、ロートセル抽出機は、ロータ21が回転する構造を有するため、回転軸19の周辺部分の気密を保持することが極めて難しい。そこで、図3に示すように、脱水器2の全体を、例えば液体L(ジメチルエーテル)の飽和蒸気で満たした密閉容器34内に収納することが望ましい。この場合、ロータ21と共に回転する部分ではない液体Lの供給用配管40F・排出用配管40Gおよび脱水対象投入部23と接続された水分含有固体の供給用配管35、排出口36と接続された脱水済み水分含有固体の回収管(図示省略)などは、密閉容器34の気密を保持したまま、密閉容器34の外に抜き出し、水分除去システムを構成する他の要素との連結を容易にすることが可能である。このように、常温常圧下において気体である物質を用いる場合、上記のように密閉容器34内に収納することが望ましいが、常温常圧下において液体である物質を用いる場合には、このような密閉容器34は必要ない。
【0024】
脱水器から出た前記液体Lと水分の混合液は分離器3に供される。脱水器の壁面には、水分子を選択的に透過する分離膜4があり、図1のように分離膜の片面は脱水器の内側、即ち液体Lと水の混合物供給側に、分離膜の他方の面は脱水器の外側、即ち水の排出側にそれぞれ面している。分離膜は脱水器内側で、前記液体Lと水分の混合液と接触し、脱水器外側へ水分子が排出される。
【0025】
ここにおいて、使用される膜は有機物と水の混合物から水を選択的に透過する膜である。このようなものであればどのようなものでも構わない。例えば、A型ゼオライト等のような多孔性の水選択的透過性膜等が挙げられる。具体的には、特開2003―210950号公報、2004―148209号公報に挙げられている膜などが挙げられる。
【0026】
分離膜4は装置の内側と外側に面しており、それぞれの側で圧力が異なる。本設計例のようにジメチルエーテルを用いる場合、操作温度が20℃の場合、分離膜4の装置内側の圧力は0.51MPa以上であるので、装置外側、即ち、水の排出側はこの圧力未満であれば、圧力差があり、水分子が選択的に透過可能である。即ち、加圧して液体Lとしている場合、分離膜4の外側大気圧に開放するだけでよく、吸引ポンプなどで、大気圧より減圧にする必要がない。この時、圧力差が大きい場合には、膜の強度が問題となる。強度が不十分な場合には、支持体の設置など、膜の補強を行うことが好ましい。加圧して液体とする方が、気体を吸引して減圧とするよりエネルギーが少なく、この方法は効率がよい。しかしながら、エタノールのような20℃で大気圧下において液体の物質を用いる場合には、吸引ポンプ5により吸引するなどして、分離膜4の外側の圧力を大気圧未満にして分離膜の内外の圧力差を設ける必要がある。このようにして、分離膜により水と分離された液体Lは再びポンプ1で脱水器2に送られ、回路を循環して、水分含有固体の脱水を行う。
【0027】
以上のような設計例を例にとれば、常温で大気圧下において気体の物質を液体Lとして用いる場合には、主に、送液ポンプ、脱水器、分離膜、分離器の4つの要素でシステムを構成することができることがわかる。常温で大気圧下において液体の物質を液体Lとして用いる場合には、主に、送液ポンプ、脱水器、分離膜、分離器、吸引ポンプの5つの要素でシステムを構成することができる。このように、本発明のシステムでは、装置の構成要素を減らすことができる。
【0028】
また、本発明において、脱水に要するエネルギーは、常温で大気圧下において気体である物質を液体Lとして用いる場合には、液体を加圧するエネルギーおよび送液ポンプで液体Lを循環させるエネルギーである。一方、常温で大気圧下において液体である物質を液体Lとして用いる場合には、吸引ポンプのエネルギーおよび送液ポンプで液体Lを循環させるエネルギーである。このように本発明の水分除去方法は消費するエネルギーが少なく、効率のよい方法である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の水分除去方法は、例えば、石炭、バイオマス燃料などの燃料の乾燥、効率よく焼却処理するための生ゴミの乾燥、ウッドチップ、下水汚泥、吸水ポリマーなどの乾燥に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のシステムの構成の1例を示す図である。
【図2】液体Lとしてジメチルエーテルを用いた本発明のシステムの設計例を示す図である。
【図3】脱水装置の構造の一例を示し、一部を切り欠いて示す。
【図4】図2の脱水装置の側面から見た断面図である。
【図5】図3の脱水装置における液体Lのフローを示す概念図である。
【符号の説明】
【0031】
1 送液ポンプ
2 脱水器
3 分離器
4 分離膜
5 吸引ポンプ
17 ロートセル抽出器の送液ポンプ
18 ケーシング
19 回転軸
20 回転セル部
21 ロータ
22 回転駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機化合物の液状物(以下、液体Lと称する。)を水分含有固体と接触させ、この液体Lに固体が含有する水分を溶解させて水分含有固体の脱水を行い、脱水後の前記液体Lと水の混合液から、水だけを選択的に透過する分離膜により水を分離し、水が分離された液体Lを回収し、再び水分含有固体の水分の除去に使用することを特徴とする水分含有固体の水分除去方法。
【請求項2】
液体Lがジメチルエーテル、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ホルムアルデヒド、ケテン、アセトアルデヒドからなる群から選ばれる1種または2種以上の液体である請求1記載の水分含有固体の水分除去方法。
【請求項3】
液体Lと水分含有固体との接触が向流接触である請求項1または2記載の水分含有固体の水分除去方法。
【請求項4】
液体L、前記液体Lを送り出す送液ポンプ、前記液体Lが水分含有固体と接触し水分を溶解して脱水を行う脱水器、および前記液体Lと水の混合液から水だけを選択的に透過する分離膜が充填された前記液体Lと水の混合液から水を除去する分離器が直列に連結され、この分離器が前記送液ポンプに連結されて回路が形成され、この回路を前記液体Lが循環することを特徴とする水分含有固体の水分除去システム。
【請求項5】
液体Lがジメチルエーテル、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ホルムアルデヒド、ケテン、アセトアルデヒドからなる群から選ばれる1種または2種以上の液体である請求4記載の水分含有固体の水分除去システム。
【請求項6】
分離膜が、多孔性A型ゼオライトである請求4または5に記載の水分含有固体の水分除去システム。
【請求項7】
分離膜器に、分離膜から水を透過させるための吸引ポンプが連結されている請求項4〜6いずれか1項に記載の水分含有固体の水分除去システム。
【請求項8】
脱水器が向流接触させるものである請求項4〜7いずれか1項に記載の水分含有固体の水分除去システム。
【請求項9】
脱水器がロートセル抽出器である請求項8記載の水分含有固体の水分除去システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−198575(P2006−198575A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15447(P2005−15447)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】