水分計
【課題】被検者の水分量を簡単に測定することができ、被検者が適正な水分調節を行うための支援手段として有効な水分計を提供する。
【解決手段】被検者の水分を測定する水分計1は、被検者Mの腋下Rに保持されて、腋下Rの皮膚面に接触させるための測定電流供給用の電極部30A,30Bと電位測定用の電極部100A,100Bを備えて被検者Mの水分量を測定する水分測定部を有し、被検者Mの腋下Rに保持されて、被検者Mの体温を測定する体温測定部を有する。
【解決手段】被検者の水分を測定する水分計1は、被検者Mの腋下Rに保持されて、腋下Rの皮膚面に接触させるための測定電流供給用の電極部30A,30Bと電位測定用の電極部100A,100Bを備えて被検者Mの水分量を測定する水分測定部を有し、被検者Mの腋下Rに保持されて、被検者Mの体温を測定する体温測定部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の腋下に挟んで生体の水分を測定する水分計に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の生体の水分を測定することは重要である。生体における脱水症状は、生体中の水分が減少する病態であり、日常しばしば発現し、特に発汗や体温上昇により多くの水分が体内から体外に排出される運動時や気温の高い時に多く発現する症状である。特に、高齢者においては、生体の水分保持能力自体が低下していることが多いために、高齢者は一般健常者と比較して脱水症状を起こし易いと言われている。
【0003】
一般的に、高齢者になると、水をためる筋肉が減少したり、腎臓機能の低下により尿量が増大したり、感覚鈍化により口の渇きに気づきにくくなったり、細胞内で必要とされる水分が少なくなったりする。この脱水症状を放置すると、脱水症状が引き金となって深刻な症状に進行してしまうことがある。また、同じような脱水症状は、乳幼児でも見られる。乳幼児はもともと水分量が多いが、自ら水分補給を訴えることができず、保護者が気づくのが遅れることから脱水症状を起こすことがある。
【0004】
通常、生体中の水分が体重の2%以上失われた時点で体温調整の障害が起こると言われており、体温調整の障害は体温の上昇を引き起こし、体温の上昇は更なる生体中の水分の減少を引き起こすという悪循環に陥り、遂には熱中症と称される病態にまで至ってしまう。熱中症には、熱痙攣、熱疲労、熱射病等の病態があり、時には全身の臓器障害が起こることもあり、脱水症状を的確に把握することで、熱中症に至る危険を未然に回避できるようにすることが望まれる。
脱水症状を把握する装置としては、両手でハンドルを保持するような装置で人体インピーダンスを測定し、そこから水分量を算出するものが知られている(特許文献1〜3を参照)。
また、別の脱水症状を把握する装置として、舌粘膜、頬粘膜あるいは口蓋などの口腔内の水分を測定する口腔水分計等が知られている(特許文献4〜6を参照)。
さらに、皮膚の水分量の計測方法としては、イン・ビトロでの重量法やカール・フィシャー法に始まり、イン・ビボでのATR分光法、更にはより簡便なイン・ビボでの計測法である高周波インピーダンス法や電気伝導度法が一般的に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−318845号公報
【特許文献2】特許第3977983号公報
【特許文献3】特許第3699640号公報
【特許文献4】WO2004/028359国際公開公報
【特許文献5】特開2001−170088号公報
【特許文献6】特開2005−287547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、両手でハンドルを保持するような装置で人体インピーダンスを測定し、人体インピーダンスから水分量を算出する水分計は、手の皮膚からインピーダンスを測定するので、皮膚の湿度や腕の筋肉量等に影響を受けやすく、高齢者や身体に障害がある人にとっては装置が大型であったり、立って測定しなければならず、使用勝手が悪い。
一般的に、体温が上昇すると生体電気インピーダンス値は下降し、体温が下降すると生体電気インピーダンス値は上昇するといったように、体温が変動すると生体電気インピーダンス値、すなわち水分量も変動することが知られている。しかし、従来の水分計では、このように体温の変動により生体電気インピーダンス値が変動することを何ら考慮せずに測定された生体電気インピーダンス値から体水分量を算出するため、正確な体水分量を求めることができず、従って脱水症状を正確に検出することができない。例えば、体水分量が減少し、体温が上昇している場合には、体水分量の減少により生体電気インピーダンス値は上昇するが、体温の上昇により生体電気インピーダンス値は下降するため、測定された生体電気インピーダンス値より算出した体水分量から判定しても、脱水状態は検出されないということも起こり得る。このため、インピーダンス法により測定を行う場合、非測定者の体温がどの程度かを知る必要があるが、体温測定によるインピーダンス値の補正、または発熱しているため正確な水分量が判定できないなどという警告等は実施されていない。
【0007】
また、舌粘膜、頬粘膜あるいは口蓋などの口腔内の水分を測定する口腔水分計は、被検者間相互の感染を防ぐために、口腔内に直接挿入する部分には被検者毎に新たに交換可能なカバーを装着しなければならず、カバーを交換して装着することを忘れる可能性もあり、高齢者や身体に障害がある人にとっては使用勝手が悪い。
【0008】
なお、特許第13977983号公報に記載の脱水状態判定装置は、体温測定を親指で測定する体温センサを備え、この体温に基づいて生体電気インピーダンスの測定値を補正し、この補正した生体電気インピーダンス値に基づいて脱水状態の判定を行うといったように、体温を考慮して生体電気インピーダンス値に基づいて脱水状態を判定するものであるので、脱水状態はより正確に判定され、被検者は脱水状態を正確に検査することができる。
しかしながら、この文献では、体温は親指により測定しているが、親指での体温測定には無理があり、現実的な手法ではない。
医療現場においては、いくつかの方法で脱水を判断している。例えば、採血データによる脱水を示す所見としては、ヘマトクリット高値、ナトリウム高値、尿素窒素25mg/dL以上、尿素窒素/クレアチニン比が25以上、尿酸値7mg/dl以上などをもとに判断している。しかし、この方法では採血する必要があり、在宅などで用いることは出来ない。
その他の判断方法としては、舌、口腔内の乾燥状態、腋下の乾燥状態、「何となく元気がない」といったような意欲の低下、「ぐったりしていて反応が鈍い」というような意識の鈍化などが挙げられるが、どれも医療従事者ならではの勘と経験が必要であり、誰でもできるようなものではない。
そこで、本発明は、被検者の水分量を簡単に測定することができ、脱水を早期発見し、被検者が適正な水分調節を行うための支援手段として有効な水分計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の水分計は、被検者の水分を測定する水分計であって、前記被検者の腋下に保持されて、前記腋下の皮膚面に接触させるための測定電流供給用の電極部と電位測定用の電極部を備え、前記被検者の水分量を測定する電気式の水分測定部を有することを特徴とする。
上記構成によれば、被検者の水分量を簡単に測定することができ、被検者が適正な水分調節を行うための支援手段として有効である。
本発明における電気式の水分測定部は、インピーダンス式と静電容量式のどちらかを選択して用いることが出来る。
一般的に、汗腺はアポクリン腺とエクリン腺の2種類があることが知られている。ヒトの場合、エクリン腺は全身に分布しているが、アポクリン腺は、腋下、外耳道、下腹部、外陰部などの限定した部分にしか存在していない。
ここで、水分計を用いて、被検者の水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下を選んで、被検者の生体の水分量を測定するのは、上記理由より水分量を腋下で測定することが被検者の生体全身の水分状態を最も反映しているためである。
一般的に、体温が上昇すると生体電気インピーダンス値は下降し、体温が下降すると生体電気インピーダンス値は上昇するといったように、体温が変動すると生体電気インピーダンス値、すなわち水分量も変動することが知られている。しかし、従来の水分計では、このように体温の変動により生体電気インピーダンス値が変動することを何ら考慮せずに測定された生体電気インピーダンス値から体水分量を算出するため、正確な体水分量を求めることができず、従って脱水症状を正確に検出することができない。例えば、体水分量が減少し、体温が上昇している場合には、体水分量の減少により生体電気インピーダンス値は上昇するが、体温の上昇により生体電気インピーダンス値は下降するため、測定された生体電気インピーダンス値より算出した体水分量から判定しても、脱水状態は検出されないということも起こり得る。このため、インピーダンス法により測定を行う場合、非測定者の体温がどの程度かを知る必要があるが、体温測定によるインピーダンス値の補正、または発熱しているため正確な水分量が判定できないなどという警告等は実施されていない。
【0010】
上記の理由より、好ましくは、前記被検者の前記腋下に保持されて、前記被検者の体温を測定する体温測定部を有することを特徴とする。
上記構成によれば、被検者の腋下において被検者の水分量を測定すると同時に被検者の体温をも測定することで、水分量と体温の相関関係を利用して、被検者の状態の判断に用いることができる。
好ましくは、本体部と、前記本体部の一端に配置され、前記インピーダンス式の水分測定部と前記体温測定部を保持して前記腋下に挟持される測定部の保持部と、前記本体部の他端に配置され、測定された前記被検者の水分量と測定された前記被検者の体温を表示する表示部を保持する表示部の保持部とを有することを特徴とする。
上記構成によれば、被検者が手で持ちやすいあるいは握りやすい形状であり、測定部の保持部は、腋下に挟持された状態で、表示部の保持部は、腋下から前方に突き出すことができ、測定者はこの表示部に表示された水分量と体温を目視により確認できる。
【0011】
好ましくは、複数の前記体温測定部が、前記測定部の保持部に保持されていることを特徴とする。
上記構成によれば、複数の体温測定部を用いることで、測定された体温を平均化して得ることができるので、より正確な水分量と体温を得ることができる。
また同様に、複数の水分測定部を用いることで測定された水分量を平均化して得ることができる。体温測定部と水分測定部を両方持つ場合、体温測定にかかる時間の方が水分測定にかかる時間よりも長くなり、時差が生じてしまう。この時差を利用して、同一水分測定部により、複数回測定して平均化する方法でもよい。例えば、体温を1回測定している間に、水分計測を10回行うなどである。
【0012】
好ましくは、前記インピーダンス式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための弾性変形部材と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、水分量と体温を測定する際に、電極端子を腋下の皮膚面に対して確実に接触させることができる。
【0013】
好ましくは、前記インピーダンス式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記腋下の皮膚面に密着することで前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための密着部材と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、水分量と体温を測定する際に、電極端子を腋下の皮膚面に対して確実に接触させることができる。
また、本発明の水分計は、被検者の水分を測定する水分計であって、前記被検者の腋下に保持されて、前記被検者の水分量を測定するために前記腋下の水分を測定するための静電容量式の水分測定部を有し、該水分測定部は、複数の電極を用いて静電容量を検知して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量により水分量を測定することを特徴とする。
上記構成によれば、被検者の腋下において静電容量式で水分量を測定できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、被検者の水分量を簡単に測定することができ、被検者が適正な水分調節を行う支援手段として有効な水分計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の水分計の実施形態を被検者が使用している状態を示す図。
【図2】図1に示す水分計の外観を各方向から示す図。
【図3】図2に示す水分計の機能構成を示すブロック図。
【図4】インピーダンス式の水分測定部の電極部の構造例を示す図。
【図5】インピーダンス式の水分測定部の他の構造例を示す図。
【図6】被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との相関関係から、被検者の症状例を示す図。
【図7】本発明の水分計の水分量検出動作例を示すフロー図。
【図8】本発明の別の実施形態の外観を各方向から示す図。
【図9】本発明のさらに別の実施形態の構成例を示すブロック図。
【図10】図9の水分測定部の構成を示す説明図。
【図11】本発明の水分計の実施形態における電極構造の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明の水分計の好ましい実施形態を被検者が使用している状態を示す図である。図2は、図1に示す水分計の外観の構造例を示す図である。
図2に示す水分計1の部分1Aは、水分計1の正面部分を示し、水分計1の部分1Bは、水分計1の上面部分を示し、水分計1の部分1Cは、部分1Aに示した水分計1を紙面左側から見た側面部分を示し、水分計1の部分1Dは、部分1Aに示した水分計1を紙面右側から見た側面部分である。
【0017】
図1と図2に示す水分計1は、電子水分計あるいは腋下型電子水分計ともいい、水分計1は、小型で携帯可能な水分計である。図2に示すように、水分計1は、概略的には、本体部10と、測定部の保持部11と、表示部の保持部12とを備え、水分計1の全体の重量は、例えば約20g程度と軽量に作られている。
本体部10と測定部の保持部11と表示部の保持部12は、例えばプラスチックにより作られており、本体部10の一端は、測定部の保持部11に連続して形成されており、本体部10の他端は、表示部の保持部12に連続して形成されている。
本体部10は、被検者M又は測定者が手で持ちやすいあるいは握りやすい形状に形成されており、例えば本体部10は、外側に緩く湾曲した第1湾曲部分10Bと、内側に大きく湾曲した第2湾曲部分10Cを有しており、第2湾曲部分10Cは第1湾曲部分10Bに比べてより大きく湾曲している。
【0018】
本体部10がこのような特徴ある形状に形成されているのは、被検者M又は測定者が本体部10を手で持ってあるいは握って、水分計1の測定部の保持部11を腋下Rに挟み込んで確実に保持できるようにするためである。このように、水分計1を用いて、被検者Mの水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下Rを選んで、被検者Mの生体の水分量を測定するのは、次の理由からである。すなわち、水分量を腋下Rで測定することは、被検者Mの生体全身の水分状態を反映しているためである。例えば高齢者の痩せている人であっても、水分計1の測定部の保持部11は、身体と上腕の間の腋下Rに確実に挟み込んで保持できる。また、被検者が乳幼児であっても、腋下Rであれば測定部の保持部11を容易に挟み込んで確実に保持できるからである。
【0019】
図2に示す水分計1の寸法を例示すると、本体部10の寸法例としては、大きなサイズ(大人用)では全長Lが約110mm,中サイズでは全長Lが約110mm,小さなサイズ(乳幼児用)では全長Lが約90mmに設定されており、水分計1は測定部の保持部11と表示部の保持部12の一部を除いてはほぼ平板形状を有している。
また、本体部10の中央部10Aの厚さT2は約7mm、測定部の保持部11の最大厚さT1は約9mm程度、そして表示部の保持部12付近の最大厚さT3は約14mm程度となっている。
しかし、水分計1のこれらの寸法は、上述した寸法例に限定されるものではなく、任意に選定できる。
【0020】
図2に示すように、水分計1の測定部の保持部11は、円形状の外周部11Dと、一方の凸部11Cと他方の凸部11Cを有しており、図1に示す被検者Mの腋下Rには、測定部の保持部11を2つの凸部11Cを用いて挟み込んで上腕Kで上から押さえて保持すれば、被検者Mの生体の水分量と、体温を安定して測定することができるようになっている。一方の凸部11Cは、測定部の保持部11の正面側に形成され、他方の凸部11Cは、測定部の保持部11の裏面側に形成されている。
このように、水分計1の測定部の保持部11が腋下Rに保持された状態では、本体部10が、被検者の上体Bの側面部に密着することで水分計1はより確実に被検者の上体B側に保持できる。
例えば、図1に示すように、水分計1を使用する際には、表示部の保持部12は、被検者Mの前方Dに向けてほぼ水平に保持させることができる。測定部の保持部11と表示部の保持部12との間の距離、すなわち本体部10の長さは、被検者Mが測定部の保持部11を腋下Rに挟んだ場合に、表示部の保持部12内の表示部20が、腋下Rの外側の位置(被検者Mの胴体部と上腕Kとにより挟まれない位置)にくるように設定されている。
【0021】
図2に示す表示部の保持部12は、円形状の外周部12Bを有しており、表示部の保持部12の正面側には例えば円形状の表示部20を保持している。この表示部20としては、例えば液晶表示装置、有機EL装置等を採用できる。表示部の保持部12の背面側には音声発生部としてのスピーカ29が配置されている。このように、表示部の保持部12の正面側には表示部20が配置され、背面側にはスピーカ29が配置されているので、表示部20とスピーカ29は腋下Rに位置されることはないので、被検者Mは表示部20に表示される水分量と体温を確実に目視して確認でき、スピーカ29から発生される音声ガイダンス等を聞き取ることができる。
【0022】
図2に示すように、表示部20は、被検者の生体内の水分量(%)表示画面(以下、水分量表示画面という)21と、体温(℃)表示画面(以下、体温表示画面という)22とを有している。水分量表示画面21は、水分示唆マーク23を有しており、比較的大きなサイズのデジタル表示24により、例えば40%等と表示できる。図2の例では、体温表示画面22は、水分量のデジタル表示24に比べて小さく表示された体温のデジタル表示25により、被検者の体温を表示することができる。しかし、表示部20の構成は、図2に示す例に限らず、水分量のデジタル表示24と体温のデジタル表示25の大きさは、同じ程度にしても良い。
【0023】
図2に示すように、水分計1の測定部の保持部11は、いわゆる生体電気インピーダンス式(以下インピーダンス式という)の水分測定部30と、体温測定部31を保持している。測定部の保持部11の表面には、例えばディップル加工等で凹凸を設けることで、滑り止め手段を配置することが好ましい。これにより、被検者Mが、測定部の保持部11を腋下Rに挟み込んだ場合に、水分計1の測定部の保持部11を確実に安定して挟持できる形状を有するとともに、熱容量を小さくし熱平衡状態に早期に到達させることが可能である。
図2に示すインピーダンス式の水分測定部30は、図1に示す被検者の腋下Rにおいて、生体電気インピーダンスを用いて被検者Mの生体の水分量を測定する部分である。
図2に例示するように、好ましくは測定部の保持部11の一方の凸部11Cには、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第1の電位測定用の電極部100Aが配置され、測定部の保持部11の他方の凸部11Cには、第2の測定電流供給用の電極部30Bと第2の電位測定用の電極部100Bが配置されている。
例えば、図1に示すように、インピーダンス式の水分測定部30が被検者の腋下Rに挟み込まれると、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第1の電位測定用の電極部100Aは、上体Bの側面部側の皮膚面Vに密着され、第2の測定電流供給用の電極部30Bと第2の電位測定用の電極部100Bは、上腕Kの内面側の皮膚面Vに密着されるようになっている。
【0024】
これにより、図1に示すように、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第1の電位測定用の電極部100Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと第2の電位測定用の電極部100Bは、腋下Rの皮膚面Vに対して、確実に直接接触させることができることにより、被検者Mの水分量を測定するようになっている。第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造例は、後で図4と図5を参照して説明する。
また、図2の体温測定部31は、図1に示す被検者の腋下Rにおいて、被検者Mの生体の体温を測定する部分であり、好ましくは測定部の保持部11の外周部11Dに沿って露出するように配置されている。
【0025】
図2に戻ると、体温測定部31は、被検者の腋下Rにおいて、生体の体温を測定する部分であり、好ましくは測定部の保持部11の外周部11Dに沿って露出するように配置されている。これにより、体温測定部31は腋下Rの肌面に対して、確実に直接接触させることができる。
体温測定部31は、図1に示す被検者Mの腋下Rに接触することで体温を検知するようになっており、体温測定部31は例えばサーミスタを有するものや、熱電対を有するものを採用できる。例えば、サーミスタにより検出された温度信号は、デジタル信号に変換して出力されるようになっている。このサーミスタは、例えばステンレスの金属キャップにより液密に保護されている。
【0026】
図3は、図2に示す水分計1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示す水分計1のブロックでは、本体部10は、制御部40、電源部41、タイマー42、表示部の駆動部43、演算処理部44、ROM(読み出し専用メモリ)45,EEPROM(電気的にプログラム内容を消去および再書き込みすることができるPROM)46,RAM(ランダムアクセスメモリ)47を内蔵している。インピーダンス式の水分測定部30と、体温測定部31は、測定部の保持部11に配置され、表示部20とスピーカ29は、表示部の保持部12に配置されている。
【0027】
図3の電源部41は、充電可能な二次電池あるいは一次電池であり、制御部40とインピーダンス式の水分測定部30と温度測定部31に電源供給する。制御部40は、電源スイッチ10Sと、インピーダンス式の水分測定部30と温度測定部31と、タイマー42と、表示部の駆動部43と、演算処理部44に電気的に接続されており、制御部40は水分計1の全体の動作を制御するようになっている。
図3の表示部20は、表示部の駆動部43に電気的に接続されており、表示部の駆動部43は、制御部40からの指令により、表示部20には図2に例示するように、カップのような水分示唆マーク23、水分量のデジタル表示24、そして体温のデジタル表示25を表示させるようになっている。
【0028】
図3の演算処理部44は、スピーカ29と、ROM45,EEPROM46,RAM47に電気的に接続されている。ROM45は、タイマー42により計測されたタイミングに基づいて、インピーダンス式の水分測定部30により測定されたインピーダンス値から得られている水分量データと、温度測定部31により測定された体温データから算出された水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者の水分量と体温を予測演算するプログラムを格納している。EEPROM46は、所定の音声データを格納している。RAM47は、算出された水分量データと体温データをそれぞれ時系列で記憶することができる。
既に述べたように、一般的に、体温が上昇すると生体電気インピーダンス値は下降し、体温が下降すると生体電気インピーダンス値は上昇するといったように、体温が変動すると生体電気インピーダンス値、すなわち水分量も変動することが知られている。このため、測定した体温データを用いて生体電気インピーダンス値の補正をすることができる。
演算処理部44は、ROM45に格納されたプログラムに従った被検者の水分量と体温を予測演算や、スピーカ29への音声データの出力等を行う。
【0029】
ここで、インピーダンス式の水分測定部30について説明する。
本発明の実施形態の水分計1における生体電気インピーダンス式による水分量の測定では、次のことが言える。人体の細胞組織は、多数の細胞から構成されており、各細胞は、細胞外液で満たされた環境に存在する。このような細胞組織に電流を流した場合には、低周波交流電流は、主として細胞外液領域を流れ、高周波交流電流の場合には、細胞外液領域および細胞内を流れる。
【0030】
このように電流を細胞組織に流した場合の、細胞外液領域の電気インピーダンス値は抵抗成分のみからなり、細胞の電気インピーダンス値は、細胞膜の呈する容量成分と細胞内液の呈する抵抗成分とが直列に接続されたものとなる。
被検体Mの生体(身体)の電気的特性は、組織または臓器の種類によって著しく異なっている。このような各組織や臓器を含む身体の全体の電気的特性は、生体電気インピーダンスによって表すことができる。
【0031】
この生体電気インピーダンス値は、被検者の体表面に装着された複数の電極間に微小電流を流すことによって測定されるものであって、このようにして得られた生体電気インピーダンス値から、被検者の体脂肪率,体脂肪重量,除脂肪体重,体水分量等を推計することができる(非特許文献1:「インピーダンス法による体肢の水分分布の推定とその応用」,医用電子と生体工学、vol.23,No.6,1985を参照)。
生体内の水分量に関しては、細胞外液抵抗と細胞内液抵抗を計算することによって推定する方法が知られている。水分量の測定に関しては、生体内の水分量が多い時には生体電気インピーダンス値は低値を示し、生体内の水分量が少ない時には生体電気インピーダンス値は高値を示し、細胞外液抵抗と細胞内液抵抗を計算することによって推定する方法が知られている。
【0032】
図3に例示するインピーダンス式の水分測定部30は、被検者Mの生体に交流電流を印加して、生体電気インピーダンス値を測定する装置である。
インピーダンス式の水分測定部30は、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bと、交流電流出力回路101と、2つの差動増幅器102,103と、切替器104と、A/D変換器105と、基準抵抗器106を有する。
第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bは、例えば図2に示す測定部の保持部11において外部に露出して設けられている。これにより、これら4つの電極部30A,30B,100A,100Bは、図1に示す被検者Mの腋下Rの皮膚面に直接接触させることができる。
【0033】
図3の交流電流出力回路101は、制御部40と第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bに電気的に接続され、交流電流出力回路101と第1の測定電流供給用の電極部30Aの間には、基準抵抗器106が配置されている。差動増幅器102はこの基準抵抗器106の両端部に接続されている。もう1つの差動増幅器103は、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bに電気的に接続されている。2つの差動増幅器102,103は、切替器104とA/D変換器105を介して制御部49に電気的に接続されている。
【0034】
図3において、制御部40が交流電流出力回路101に予め定めた生体印加用信号を供給すると、交流電源出力回路101は基準抵抗器106を介して第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bに対して、交流の測定電流を供給する。一方の差動増幅器102は、基準抵抗器106の両端の電位差を検出する。他方の差動増幅器103は、電位測定用の電極部100A,100Bの電位差を検出する。切替器104は、差動増幅器102,103からの電位差出力のいずれかを選択してA/D変換器105に送り、A/D変換器105は、差動増幅器102,103の電位差出力をアナログ/デジタル変換して制御部40に供給するようになっている。
【0035】
次に、図4と図5を参照して、上述したインピーダンス式の水分測定部30の第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造例を説明する。
なお、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、同じものを採用できる。図4と図5では、皮膚面Vとこの皮膚面Vにある水分Wを示している。
【0036】
図4(A)に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、半円形の板状の弾性変形部材71と、電極端子案内部72を有している。導電性を有する電極端子70は配線74に接続されており、弾性変形部材71の一端部は電極端子70の底部に固定され、弾性変形部材71の他端部は図2の測定部の保持部11内の固定部分75に固定されている。電極端子案内部72は、筒状部分73を有しており、筒状部分73内には、電極端子70の下部が挿入されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、電極端子70は、弾性変形部材71の弾発力に抗して矢印H方向に押されるので、電極端子70の先端部は皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
【0037】
図4(B)に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、円柱状のクッション材の弾性変形部材76と、電極端子案内部72を有している。導電性を有する電極端子70は配線74に接続されており、弾性変形部材76の上端部の凹部77には電極端子70の底部がはめ込まれて固定され、弾性変形部材76の他端部は図2の測定部の保持部11内の固定部分75に固定されている。電極端子案内部72は、筒状部分73を有しており、筒状部分73内には、弾性変形部材76の上端部が挿入されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、電極端子70は、弾性変形部材76の弾発力に抗して矢印H方向に押されるので、電極端子70の先端部は皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
【0038】
図4(C)に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、コイルスプリング状の弾性変形部材78と、電極端子案内部72を有している。導電性を有する電極端子70は配線74に接続されており、弾性変形部材78の一端部は電極端子70の底部に固定され、弾性変形部材78の他端部は図2の測定部の保持部11内の固定部分75に固定されている。電極端子案内部72は、筒状部分73を有しており、筒状部分73内には、電極端子70の下部が挿入されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、電極端子70は、弾性変形部材78の弾発力に抗して矢印H方向に押されるので、電極端子70の先端部は皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
【0039】
図4(D)に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、粘着部材80と、電極端子固定部81を有している。導電性を有する電極端子70は配線74に接続されており、電極端子70の下部は、筒状の電極端子固定部81にはめ込んで固定されている。粘着部材80は、電極端子70を腋下Rの皮膚面に押し付けるための密着部材であり、図2の測定部の保持部11の表面部分83上に貼り付けて固定されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、粘着部材80が皮膚面Vに粘着されるので、電極端子70の先端部は、矢印H方向に押された状態で、皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
【0040】
図4(E)に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、吸盤85と、電極端子固定部81を有している。導電性を有する電極端子70は配線74に接続されており、電極端子70の下部は、筒状の電極端子固定部81にはめ込んで固定されている。吸盤85は、電極端子70を腋下Rの皮膚面に押し付けるための密着部材であり、図2の測定部の保持部11の表面部分83上に貼り付けて固定されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、吸盤85が皮膚面Vに吸いつくので、電極端子70の先端部は、矢印H方向に押された状態で、皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
【0041】
脱水状態が継続すると様々な症状へと進行することが知られている。その中でも熱中症は大きな問題となっている。このような症状を早期発見する方法、またはその症状の重篤度を判断する方法としては、水分量と共に体温を計測することが望ましい。被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との相関関係から例えば、被検者の症状例として以下のように判断できることを、図6を参照して説明する。
図6に示す被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との相関関係は、例えば図3のROM45に格納されている。
図6において、水分量が低い場合に、体温が正常値であれば被検者は軽度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が正常であれば被検者は健康状態である。これに対して、水分量が低い場合に、体温が高いと被検者は重度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が高いと被検者は風邪の様な脱水以外の疾患であるといえる。
このように、被検者の生体の水分量と体温から、被検者の健康、軽度と重度の脱水症状、風邪症状を判断可能になるので、本発明の実施形態の水分計1では、腋下Rにおける水分量の測定と体温の測定が重要である。上述した被検者の症状の判断例は、図2の表示部20に表示するようにしても良い。
【0042】
図7は、水分計1が、被検者Mの水分量と体温を検出する動作例を示すフロー図である。
次に、図7を参照して、図1と図2に示す水分計1が被検者Mの水分量と体温を検出する動作例を説明する。
図7のステップS1では、被検者が図3に示す電源スイッチ10Sをオンして、オン信号を制御部40に送ると、水分計1は測定可能状態になる。ステップS2では、図1に示すように、被検者Mが水分計1の測定部の保持部11を腋下Rに対して、図2の2つの凸部11Cを用いて挟みこむ。
【0043】
このように水分計1の測定部の保持部11が腋下Rに保持された状態では、本体部10が被検者の上体Bの側面部に密着することで水分計1はより確実に被検者の上体Bに保持でき、例えば、表示部の保持部12は、被検者Mの前方Dに向けてほぼ水平に位置させることができる。
しかも、測定部の保持部11と表示部の保持部12との間の距離は、被検者Mが測定部の保持部11を腋下Rに挟んだ場合に、表示部20が腋下Rの外側の位置(胴体部と上腕とにより挟まれない位置)にくるので、被検者Mは表示部の保持部12の表示部20の水分量のデジタル表示24と体温のデジタル表示25を容易に目視できる。しかも、被検者Mはスピーカ29が発生する音声ガイダンスを聞き取ることができる。
【0044】
図7のステップS3では、水分計1の測定部の保持部11が腋下Rに保持されると、演算処理部44は、水分計1の初期化を行い、タイマー42からのタイミング信号に基づいて、所定のサンプリングのタイミングで、水分測定部30により測定された水分量データ信号P1と、温度測定部31により測定された体温データ信号P2を取り込む。
このように、水分測定部30から水分量データ信号P1を得る場合には、図1に例示するように被検者Mの腋下Rに接触している第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bが、交流電流出力回路101から被検者Mに対して交流電流が印加される。そして、被検者の腋下Rに接触している第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bが、被検者の腋下Rでの2点の電位差を検出して、この電位差が他方の差動増幅器103に供給され、他方の差動増幅器103は、被検者Mの2点間の電位差信号を切替器104側に出力する。
【0045】
一方の差動増幅器102は、基準抵抗器106の電位差信号を切替器104側に出力する。制御部40が切替器104を切り替えることで、一方の差動増幅器102からの電位差信号と他方の差動増幅器103からの電位差信号が、A/D変換器105によりアナログ/デジタル変換して制御部40に供給され、制御部40はこのデジタル信号に基づいて生体電気インピーダンス値を求める。この制御部40は、得られた生体電気インピーダンス値から水分量データP1を演算する。この水分量データP1は、制御部40から演算処理部44に送られる。
【0046】
ステップS4では、演算処理部44は、水分量データP1と温度測定部31により測定された体温データP2から得られる、被検者の水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者Mの水分量と体温を予測演算することができる。
【0047】
図7のステップS5では、演算された被検者Mの水分量の値と体温の値を、図3のスピーカ29から音声ガイダンスするとともに、図3と図2に示す表示部20の水分量表示画面21には、比較的大きなサイズのデジタル表示24と、体温表示画面22には、体温のデジタル表示25をすることができる。
ステップS6では、被検者Mが水分計1により測定を終了する場合には、図3の電源スイッチ10Sをオフするが、測定を終了しない場合には、ステップS3に戻って再度ステップS3からS6の処理を繰り返すことになる。
【0048】
上述した本発明の実施形態の水分計1は、被検者Mの水分量を適切に測定できる腋下Rで測定できるような構造を有している。インピーダンス式の水分測定部30の第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bにより測定された生体電気インピーダンス値から、演算処理部44は、水分量データP1と、温度測定部31により測定された体温データP2から得られる、被検者の水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者の水分量と体温を予測演算することができる。これにより、日常生活における健康の維持に極めて重要な水分調節はもとより、口渇感による適切な飲水行動が困難な乳幼児や高齢者あるいは激しい運動時などに適正な水分調節を行う支援手段として有効である。
また、被検者Mの水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下Rを選んで測定するのは、水分量を腋下Rで測定することは、被検者Mの生体全身の水分状態を反映しているためである。また、一般的に、高齢者の皮膚は乾燥しやすく人によるばらつきが多い。その中でも、腋下Rは他の部位に比べ、外部からの影響が少ないため、測定のばらつきが少なく好適である。高齢者の痩せている人であっても、水分計1の測定部の保持部11は、身体と上腕の間の腋下Rに確実に挟み込んで保持できる。また、被検者が乳幼児であっても、腋下Rであれば測定部の保持部11を容易に挟み込んで確実に保持できるからである。さらには、水分測定部30は腋下Rのなかでも真ん中を確保するような構造を有することで測定精度をより高めている。
【0049】
しかも、本発明の実施形態の水分計1は、好ましくはこのように被検者Mの水分量を適切に測定する際に、同時に腋下Rにおける体温をも測定できる構造を有している。これにより、図5に示すように、医療従事者や介護者は、口腔等から水分を測定する場合に比べて、被検者Mの腋下Rに水分計1の測定部の保持部11を挟んで保持させるだけであるので、被検者Mの水分量を容易に測定できる。
図2に例示するように、表示部20に表示された被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との関係から、水分量が低い場合に、体温が正常値であれば被検者は軽度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が正常であれば被検者は健康状態である。これに対して、水分量が低い場合に、体温が高いと被検者は重度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が高いと被検者は風邪症状であると、例えば医師により大まかな判断することができる。
【0050】
本発明の水分計の実施形態は、被検者の水分を測定する水分計であって、被検者の腋下に保持されて、腋下の皮膚面に接触させるための測定電流供給用の電極部と電位測定用の電極部を備え、被検者の水分量を測定するインピーダンス式の水分測定部を有する。これにより、被検者の水分量を簡単に測定することができ、被検者が適正な水分調節を行うための支援手段として有効である。ここで、水分計を用いて、被検者の水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下を選んで、被検者の生体の水分量を測定するのは、水分量を腋下Rで測定することが被検者Mの生体全身の水分状態を反映しているためである。
【0051】
好ましくは、被検者の腋下に保持されて、被検者の体温を測定する体温測定部を有する。これにより、被検者の腋下において被検者の水分量を測定すると同時に被検者の体温をも測定することで、水分量と体温の相関関係を利用して、被検者の状態の判断に用いることができる。
好ましくは、本体部と、本体部の一端に配置され、インピーダンス式の水分測定部と体温測定部を保持して腋下に挟持される測定部の保持部と、本体部の他端に配置され、測定された被検者の水分量と測定された被検者の体温を表示する表示部を保持する表示部の保持部と、を有する。これにより、被検者Mが手で持ちやすいあるいは握りやすい形状であり、測定部の保持部は、腋下に挟持された状態で、表示部の保持部は、腋下から前方に突き出すことができ、測定者はこの表示部に表示された水分量と体温を目視により確認できる。
【0052】
好ましくは、複数の体温測定部が、測定部の保持部に保持されている。これにより、複数の体温測定部を用いることで、測定された体温を平均化して得ることができるので、より正確な水分量と体温を得ることができる。
【0053】
好ましくは、インピーダンス式の水分測定部の各電極部は、腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、電極端子を腋下の皮膚面に押し当てるための弾性変形部材と、を有する。これにより、水分量と体温を測定する際に、電極端子を腋下の皮膚面に対して確実に接触させることができる。
【0054】
好ましくは、インピーダンス式の水分測定部の各電極部は、腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、腋下の皮膚面に密着することで電極端子を腋下の皮膚面に押し当てるための密着部材と、を有する。これにより、水分量と体温を測定する際に、電極端子を腋下の皮膚面に対して確実に接触させることができる。
【0055】
図9は、水分計のさらに別の実施形態としての構成を示すブロック図である。
図9において、図3と同一の符号を付した箇所は同じ構造であり、この実施形態では、水分測定部30の構成が図10で示すように静電容量を用いたものとなっている点で異なるものである。以下、共通する部分の説明は図3の説明を援用し、相違点を中心に説明する。
図9水分測定部30は、図10に示す構成となっている。
すなわち、測定対象物である被検者Mの生体の静電容量を計測して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量より水分量を測定する。水分測定部30は、容器部60と2つの電極61,62を有する。容器部60は、樹脂製の周囲部分63と蓋部分64を有しており、2つの電極61,62は蓋部分64に離して互いに電気絶縁された状態で、蓋部分64から外側に露出するようにして配置されている。これにより、2つの電極61,62が腋下Rの皮膚と皮膚上の水分Wに接触することで、被検者Mの生体の静電容量を計測して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量より水分量を測定するようになっている。2つの電極61,62からの水分量データ信号P1は、制御部40に送られ、演算処理部44は、水分量データ信号P2に基づいて水分量を計算する。
このように、水分測定部30は、複数の電極61,62を用いて静電容量を検知して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量により水分量を測定するので、被検者の腋下において静電容量式で水分量を測定できる。静電容量は以下の式によって求めることが出来る。Sとdについては一定値を取ると考えると、静電容量(C)は誘電率(ε)の値に比例し、水分量が多いほど誘電率と静電容量の値は大きくなる。
静電容量(C)=ε×S/d(F)
誘電率=ε
S=センサー表面の大きさ
d=電極間の距離
これにより、演算処理部44は、水分測定部30により測定された水分量データP1と、温度測定部31により測定された体温データP2から得られる、被検者の水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者の水分量と体温を予測演算する。
したがって、静電容量を利用した計測の場合は、電極は互いに絶縁された2つの電極だけ設ければよく、インピーダンス式のように、測定電流供給用の電極部と、電位測定用の電極部を一対ずつ設ける必要がなく簡便である。
【0056】
図11は、電極構造の変形例を示している。
インピーダンス式の場合と静電容量式の場合の両方について、この電極方式を用いることができる。
先ずインピーダンス式の場合について説明する。
図11に示すように、電極部110は、水分計1の第1の部分1Cの側面に露出して形成された構造が利用されている。
この電極部110は、例えば矩形に形成した絶縁体でなる基部103と、該基部103の表面に形成された線状の導体でなるくし形電極102、103を微小間隔を隔てて対向させた構成とされている。各くし形電極102,103の端部には端子部102a,103aがそれぞれ形成されている。
くし形電極102を第1の電位測定用の電極部とし、くし形電極103を第2の電位測定用の電極部とすることで、各電極部の上記端子部にそれぞれ電源から所定の駆動電流を供給することにより、インピーダンス式の水分測定を行うことができる。
【0057】
また、図11で説明したくし形の電極構造、すなわち、くし形電極102とくし形電極103だけを用いるとともに、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30B、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bも形成しないで、静電容量式に水分測定を行うようにしてもよい。
この場合、図示のように2つのくし形電極102と103を微小間隔を隔てて対向させて配置し、一方の電極に電流を印加して、検体物質としての水分を酸化し、もう一方の電極で酸化した物質を還元して元の物質に戻す。すなわち、2つの電極間で酸化と還元を繰り返させることにより検体物質としての水分を検出することができる。この場合、好ましくは、デュアルモードにより検出を行う。
デュアルモードにするには、具体的には、くし形電極102に水分に対する酸化電位を印加し、もう一方のくし形電極103に還元電位を、図9の電源部41から印加する。これによりデュアルモードでは、酸化と還元を繰り返す、いわゆるレドックスサイクルが起こり、電流を増加させて検出感度を向上させることができる。
【0058】
なお、図11の絶縁材料である基板101としては、電極基板としては、表面あるいは全体が絶縁性の基板であればよく、例えば、酸化膜付きシリコン基板、石英基板、酸化アルミニウム基板、ガラス基板、プラスチック基板などを用いることができる。電極用の材料としては好適な導体としては、金、白金、銀、クロム、チタン、ステンレスなどの金属あるいは半導体、導電性カーボン、導電性インク等を使用することができる。
電極部の製造方法としては、絶縁基板101の上に上記した導体金属等を、蒸着やスパッタリング、CVD(化学的気相成長法)等にて薄膜として成膜し、これを例えばフォトリソグラフィー法により、くし形電極の形状に形成することができる。また、フォトリソ以外にも、絶縁材料である基板101上に、インクジェットプリンタ等により、導電性インクで、くし形電極を描画するようにしてもよい。
【0059】
電極構造をこのような構造にすることで、水分測定部30が、腋下Rの最も窪んでいるところに接することが可能となる。
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
図示例では、1つの水分測定部30と1つの体温測定部31が、測定部の保持部11に配置されている。
しかし、これに限らず、図8に例示するように、複数の体温測定部31が、測定部の保持部11に配置されるようにしても良い。これにより、各体温測定部31より得られる体温を平均化することで、体温の測定精度をより高めることができる。
【符号の説明】
【0060】
1・・・水分計、10・・・本体部、11・・・測定部の保持部、12・・・表示部、M・・・被検者、R・・・腋下、11・・・測定部の保持部、12・・・表示部の保持部、12・・・表示部の保持部、20・・・表示部、30・・・水分測定部、30A,30B・・・測定電流供給用の電極部、31・・・体温測定部、100A,100B・・・電位測定用の電極部、110・・・電極部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の腋下に挟んで生体の水分を測定する水分計に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の生体の水分を測定することは重要である。生体における脱水症状は、生体中の水分が減少する病態であり、日常しばしば発現し、特に発汗や体温上昇により多くの水分が体内から体外に排出される運動時や気温の高い時に多く発現する症状である。特に、高齢者においては、生体の水分保持能力自体が低下していることが多いために、高齢者は一般健常者と比較して脱水症状を起こし易いと言われている。
【0003】
一般的に、高齢者になると、水をためる筋肉が減少したり、腎臓機能の低下により尿量が増大したり、感覚鈍化により口の渇きに気づきにくくなったり、細胞内で必要とされる水分が少なくなったりする。この脱水症状を放置すると、脱水症状が引き金となって深刻な症状に進行してしまうことがある。また、同じような脱水症状は、乳幼児でも見られる。乳幼児はもともと水分量が多いが、自ら水分補給を訴えることができず、保護者が気づくのが遅れることから脱水症状を起こすことがある。
【0004】
通常、生体中の水分が体重の2%以上失われた時点で体温調整の障害が起こると言われており、体温調整の障害は体温の上昇を引き起こし、体温の上昇は更なる生体中の水分の減少を引き起こすという悪循環に陥り、遂には熱中症と称される病態にまで至ってしまう。熱中症には、熱痙攣、熱疲労、熱射病等の病態があり、時には全身の臓器障害が起こることもあり、脱水症状を的確に把握することで、熱中症に至る危険を未然に回避できるようにすることが望まれる。
脱水症状を把握する装置としては、両手でハンドルを保持するような装置で人体インピーダンスを測定し、そこから水分量を算出するものが知られている(特許文献1〜3を参照)。
また、別の脱水症状を把握する装置として、舌粘膜、頬粘膜あるいは口蓋などの口腔内の水分を測定する口腔水分計等が知られている(特許文献4〜6を参照)。
さらに、皮膚の水分量の計測方法としては、イン・ビトロでの重量法やカール・フィシャー法に始まり、イン・ビボでのATR分光法、更にはより簡便なイン・ビボでの計測法である高周波インピーダンス法や電気伝導度法が一般的に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−318845号公報
【特許文献2】特許第3977983号公報
【特許文献3】特許第3699640号公報
【特許文献4】WO2004/028359国際公開公報
【特許文献5】特開2001−170088号公報
【特許文献6】特開2005−287547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、両手でハンドルを保持するような装置で人体インピーダンスを測定し、人体インピーダンスから水分量を算出する水分計は、手の皮膚からインピーダンスを測定するので、皮膚の湿度や腕の筋肉量等に影響を受けやすく、高齢者や身体に障害がある人にとっては装置が大型であったり、立って測定しなければならず、使用勝手が悪い。
一般的に、体温が上昇すると生体電気インピーダンス値は下降し、体温が下降すると生体電気インピーダンス値は上昇するといったように、体温が変動すると生体電気インピーダンス値、すなわち水分量も変動することが知られている。しかし、従来の水分計では、このように体温の変動により生体電気インピーダンス値が変動することを何ら考慮せずに測定された生体電気インピーダンス値から体水分量を算出するため、正確な体水分量を求めることができず、従って脱水症状を正確に検出することができない。例えば、体水分量が減少し、体温が上昇している場合には、体水分量の減少により生体電気インピーダンス値は上昇するが、体温の上昇により生体電気インピーダンス値は下降するため、測定された生体電気インピーダンス値より算出した体水分量から判定しても、脱水状態は検出されないということも起こり得る。このため、インピーダンス法により測定を行う場合、非測定者の体温がどの程度かを知る必要があるが、体温測定によるインピーダンス値の補正、または発熱しているため正確な水分量が判定できないなどという警告等は実施されていない。
【0007】
また、舌粘膜、頬粘膜あるいは口蓋などの口腔内の水分を測定する口腔水分計は、被検者間相互の感染を防ぐために、口腔内に直接挿入する部分には被検者毎に新たに交換可能なカバーを装着しなければならず、カバーを交換して装着することを忘れる可能性もあり、高齢者や身体に障害がある人にとっては使用勝手が悪い。
【0008】
なお、特許第13977983号公報に記載の脱水状態判定装置は、体温測定を親指で測定する体温センサを備え、この体温に基づいて生体電気インピーダンスの測定値を補正し、この補正した生体電気インピーダンス値に基づいて脱水状態の判定を行うといったように、体温を考慮して生体電気インピーダンス値に基づいて脱水状態を判定するものであるので、脱水状態はより正確に判定され、被検者は脱水状態を正確に検査することができる。
しかしながら、この文献では、体温は親指により測定しているが、親指での体温測定には無理があり、現実的な手法ではない。
医療現場においては、いくつかの方法で脱水を判断している。例えば、採血データによる脱水を示す所見としては、ヘマトクリット高値、ナトリウム高値、尿素窒素25mg/dL以上、尿素窒素/クレアチニン比が25以上、尿酸値7mg/dl以上などをもとに判断している。しかし、この方法では採血する必要があり、在宅などで用いることは出来ない。
その他の判断方法としては、舌、口腔内の乾燥状態、腋下の乾燥状態、「何となく元気がない」といったような意欲の低下、「ぐったりしていて反応が鈍い」というような意識の鈍化などが挙げられるが、どれも医療従事者ならではの勘と経験が必要であり、誰でもできるようなものではない。
そこで、本発明は、被検者の水分量を簡単に測定することができ、脱水を早期発見し、被検者が適正な水分調節を行うための支援手段として有効な水分計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の水分計は、被検者の水分を測定する水分計であって、前記被検者の腋下に保持されて、前記腋下の皮膚面に接触させるための測定電流供給用の電極部と電位測定用の電極部を備え、前記被検者の水分量を測定する電気式の水分測定部を有することを特徴とする。
上記構成によれば、被検者の水分量を簡単に測定することができ、被検者が適正な水分調節を行うための支援手段として有効である。
本発明における電気式の水分測定部は、インピーダンス式と静電容量式のどちらかを選択して用いることが出来る。
一般的に、汗腺はアポクリン腺とエクリン腺の2種類があることが知られている。ヒトの場合、エクリン腺は全身に分布しているが、アポクリン腺は、腋下、外耳道、下腹部、外陰部などの限定した部分にしか存在していない。
ここで、水分計を用いて、被検者の水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下を選んで、被検者の生体の水分量を測定するのは、上記理由より水分量を腋下で測定することが被検者の生体全身の水分状態を最も反映しているためである。
一般的に、体温が上昇すると生体電気インピーダンス値は下降し、体温が下降すると生体電気インピーダンス値は上昇するといったように、体温が変動すると生体電気インピーダンス値、すなわち水分量も変動することが知られている。しかし、従来の水分計では、このように体温の変動により生体電気インピーダンス値が変動することを何ら考慮せずに測定された生体電気インピーダンス値から体水分量を算出するため、正確な体水分量を求めることができず、従って脱水症状を正確に検出することができない。例えば、体水分量が減少し、体温が上昇している場合には、体水分量の減少により生体電気インピーダンス値は上昇するが、体温の上昇により生体電気インピーダンス値は下降するため、測定された生体電気インピーダンス値より算出した体水分量から判定しても、脱水状態は検出されないということも起こり得る。このため、インピーダンス法により測定を行う場合、非測定者の体温がどの程度かを知る必要があるが、体温測定によるインピーダンス値の補正、または発熱しているため正確な水分量が判定できないなどという警告等は実施されていない。
【0010】
上記の理由より、好ましくは、前記被検者の前記腋下に保持されて、前記被検者の体温を測定する体温測定部を有することを特徴とする。
上記構成によれば、被検者の腋下において被検者の水分量を測定すると同時に被検者の体温をも測定することで、水分量と体温の相関関係を利用して、被検者の状態の判断に用いることができる。
好ましくは、本体部と、前記本体部の一端に配置され、前記インピーダンス式の水分測定部と前記体温測定部を保持して前記腋下に挟持される測定部の保持部と、前記本体部の他端に配置され、測定された前記被検者の水分量と測定された前記被検者の体温を表示する表示部を保持する表示部の保持部とを有することを特徴とする。
上記構成によれば、被検者が手で持ちやすいあるいは握りやすい形状であり、測定部の保持部は、腋下に挟持された状態で、表示部の保持部は、腋下から前方に突き出すことができ、測定者はこの表示部に表示された水分量と体温を目視により確認できる。
【0011】
好ましくは、複数の前記体温測定部が、前記測定部の保持部に保持されていることを特徴とする。
上記構成によれば、複数の体温測定部を用いることで、測定された体温を平均化して得ることができるので、より正確な水分量と体温を得ることができる。
また同様に、複数の水分測定部を用いることで測定された水分量を平均化して得ることができる。体温測定部と水分測定部を両方持つ場合、体温測定にかかる時間の方が水分測定にかかる時間よりも長くなり、時差が生じてしまう。この時差を利用して、同一水分測定部により、複数回測定して平均化する方法でもよい。例えば、体温を1回測定している間に、水分計測を10回行うなどである。
【0012】
好ましくは、前記インピーダンス式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための弾性変形部材と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、水分量と体温を測定する際に、電極端子を腋下の皮膚面に対して確実に接触させることができる。
【0013】
好ましくは、前記インピーダンス式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記腋下の皮膚面に密着することで前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための密着部材と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、水分量と体温を測定する際に、電極端子を腋下の皮膚面に対して確実に接触させることができる。
また、本発明の水分計は、被検者の水分を測定する水分計であって、前記被検者の腋下に保持されて、前記被検者の水分量を測定するために前記腋下の水分を測定するための静電容量式の水分測定部を有し、該水分測定部は、複数の電極を用いて静電容量を検知して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量により水分量を測定することを特徴とする。
上記構成によれば、被検者の腋下において静電容量式で水分量を測定できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、被検者の水分量を簡単に測定することができ、被検者が適正な水分調節を行う支援手段として有効な水分計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の水分計の実施形態を被検者が使用している状態を示す図。
【図2】図1に示す水分計の外観を各方向から示す図。
【図3】図2に示す水分計の機能構成を示すブロック図。
【図4】インピーダンス式の水分測定部の電極部の構造例を示す図。
【図5】インピーダンス式の水分測定部の他の構造例を示す図。
【図6】被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との相関関係から、被検者の症状例を示す図。
【図7】本発明の水分計の水分量検出動作例を示すフロー図。
【図8】本発明の別の実施形態の外観を各方向から示す図。
【図9】本発明のさらに別の実施形態の構成例を示すブロック図。
【図10】図9の水分測定部の構成を示す説明図。
【図11】本発明の水分計の実施形態における電極構造の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明の水分計の好ましい実施形態を被検者が使用している状態を示す図である。図2は、図1に示す水分計の外観の構造例を示す図である。
図2に示す水分計1の部分1Aは、水分計1の正面部分を示し、水分計1の部分1Bは、水分計1の上面部分を示し、水分計1の部分1Cは、部分1Aに示した水分計1を紙面左側から見た側面部分を示し、水分計1の部分1Dは、部分1Aに示した水分計1を紙面右側から見た側面部分である。
【0017】
図1と図2に示す水分計1は、電子水分計あるいは腋下型電子水分計ともいい、水分計1は、小型で携帯可能な水分計である。図2に示すように、水分計1は、概略的には、本体部10と、測定部の保持部11と、表示部の保持部12とを備え、水分計1の全体の重量は、例えば約20g程度と軽量に作られている。
本体部10と測定部の保持部11と表示部の保持部12は、例えばプラスチックにより作られており、本体部10の一端は、測定部の保持部11に連続して形成されており、本体部10の他端は、表示部の保持部12に連続して形成されている。
本体部10は、被検者M又は測定者が手で持ちやすいあるいは握りやすい形状に形成されており、例えば本体部10は、外側に緩く湾曲した第1湾曲部分10Bと、内側に大きく湾曲した第2湾曲部分10Cを有しており、第2湾曲部分10Cは第1湾曲部分10Bに比べてより大きく湾曲している。
【0018】
本体部10がこのような特徴ある形状に形成されているのは、被検者M又は測定者が本体部10を手で持ってあるいは握って、水分計1の測定部の保持部11を腋下Rに挟み込んで確実に保持できるようにするためである。このように、水分計1を用いて、被検者Mの水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下Rを選んで、被検者Mの生体の水分量を測定するのは、次の理由からである。すなわち、水分量を腋下Rで測定することは、被検者Mの生体全身の水分状態を反映しているためである。例えば高齢者の痩せている人であっても、水分計1の測定部の保持部11は、身体と上腕の間の腋下Rに確実に挟み込んで保持できる。また、被検者が乳幼児であっても、腋下Rであれば測定部の保持部11を容易に挟み込んで確実に保持できるからである。
【0019】
図2に示す水分計1の寸法を例示すると、本体部10の寸法例としては、大きなサイズ(大人用)では全長Lが約110mm,中サイズでは全長Lが約110mm,小さなサイズ(乳幼児用)では全長Lが約90mmに設定されており、水分計1は測定部の保持部11と表示部の保持部12の一部を除いてはほぼ平板形状を有している。
また、本体部10の中央部10Aの厚さT2は約7mm、測定部の保持部11の最大厚さT1は約9mm程度、そして表示部の保持部12付近の最大厚さT3は約14mm程度となっている。
しかし、水分計1のこれらの寸法は、上述した寸法例に限定されるものではなく、任意に選定できる。
【0020】
図2に示すように、水分計1の測定部の保持部11は、円形状の外周部11Dと、一方の凸部11Cと他方の凸部11Cを有しており、図1に示す被検者Mの腋下Rには、測定部の保持部11を2つの凸部11Cを用いて挟み込んで上腕Kで上から押さえて保持すれば、被検者Mの生体の水分量と、体温を安定して測定することができるようになっている。一方の凸部11Cは、測定部の保持部11の正面側に形成され、他方の凸部11Cは、測定部の保持部11の裏面側に形成されている。
このように、水分計1の測定部の保持部11が腋下Rに保持された状態では、本体部10が、被検者の上体Bの側面部に密着することで水分計1はより確実に被検者の上体B側に保持できる。
例えば、図1に示すように、水分計1を使用する際には、表示部の保持部12は、被検者Mの前方Dに向けてほぼ水平に保持させることができる。測定部の保持部11と表示部の保持部12との間の距離、すなわち本体部10の長さは、被検者Mが測定部の保持部11を腋下Rに挟んだ場合に、表示部の保持部12内の表示部20が、腋下Rの外側の位置(被検者Mの胴体部と上腕Kとにより挟まれない位置)にくるように設定されている。
【0021】
図2に示す表示部の保持部12は、円形状の外周部12Bを有しており、表示部の保持部12の正面側には例えば円形状の表示部20を保持している。この表示部20としては、例えば液晶表示装置、有機EL装置等を採用できる。表示部の保持部12の背面側には音声発生部としてのスピーカ29が配置されている。このように、表示部の保持部12の正面側には表示部20が配置され、背面側にはスピーカ29が配置されているので、表示部20とスピーカ29は腋下Rに位置されることはないので、被検者Mは表示部20に表示される水分量と体温を確実に目視して確認でき、スピーカ29から発生される音声ガイダンス等を聞き取ることができる。
【0022】
図2に示すように、表示部20は、被検者の生体内の水分量(%)表示画面(以下、水分量表示画面という)21と、体温(℃)表示画面(以下、体温表示画面という)22とを有している。水分量表示画面21は、水分示唆マーク23を有しており、比較的大きなサイズのデジタル表示24により、例えば40%等と表示できる。図2の例では、体温表示画面22は、水分量のデジタル表示24に比べて小さく表示された体温のデジタル表示25により、被検者の体温を表示することができる。しかし、表示部20の構成は、図2に示す例に限らず、水分量のデジタル表示24と体温のデジタル表示25の大きさは、同じ程度にしても良い。
【0023】
図2に示すように、水分計1の測定部の保持部11は、いわゆる生体電気インピーダンス式(以下インピーダンス式という)の水分測定部30と、体温測定部31を保持している。測定部の保持部11の表面には、例えばディップル加工等で凹凸を設けることで、滑り止め手段を配置することが好ましい。これにより、被検者Mが、測定部の保持部11を腋下Rに挟み込んだ場合に、水分計1の測定部の保持部11を確実に安定して挟持できる形状を有するとともに、熱容量を小さくし熱平衡状態に早期に到達させることが可能である。
図2に示すインピーダンス式の水分測定部30は、図1に示す被検者の腋下Rにおいて、生体電気インピーダンスを用いて被検者Mの生体の水分量を測定する部分である。
図2に例示するように、好ましくは測定部の保持部11の一方の凸部11Cには、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第1の電位測定用の電極部100Aが配置され、測定部の保持部11の他方の凸部11Cには、第2の測定電流供給用の電極部30Bと第2の電位測定用の電極部100Bが配置されている。
例えば、図1に示すように、インピーダンス式の水分測定部30が被検者の腋下Rに挟み込まれると、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第1の電位測定用の電極部100Aは、上体Bの側面部側の皮膚面Vに密着され、第2の測定電流供給用の電極部30Bと第2の電位測定用の電極部100Bは、上腕Kの内面側の皮膚面Vに密着されるようになっている。
【0024】
これにより、図1に示すように、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第1の電位測定用の電極部100Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと第2の電位測定用の電極部100Bは、腋下Rの皮膚面Vに対して、確実に直接接触させることができることにより、被検者Mの水分量を測定するようになっている。第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造例は、後で図4と図5を参照して説明する。
また、図2の体温測定部31は、図1に示す被検者の腋下Rにおいて、被検者Mの生体の体温を測定する部分であり、好ましくは測定部の保持部11の外周部11Dに沿って露出するように配置されている。
【0025】
図2に戻ると、体温測定部31は、被検者の腋下Rにおいて、生体の体温を測定する部分であり、好ましくは測定部の保持部11の外周部11Dに沿って露出するように配置されている。これにより、体温測定部31は腋下Rの肌面に対して、確実に直接接触させることができる。
体温測定部31は、図1に示す被検者Mの腋下Rに接触することで体温を検知するようになっており、体温測定部31は例えばサーミスタを有するものや、熱電対を有するものを採用できる。例えば、サーミスタにより検出された温度信号は、デジタル信号に変換して出力されるようになっている。このサーミスタは、例えばステンレスの金属キャップにより液密に保護されている。
【0026】
図3は、図2に示す水分計1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示す水分計1のブロックでは、本体部10は、制御部40、電源部41、タイマー42、表示部の駆動部43、演算処理部44、ROM(読み出し専用メモリ)45,EEPROM(電気的にプログラム内容を消去および再書き込みすることができるPROM)46,RAM(ランダムアクセスメモリ)47を内蔵している。インピーダンス式の水分測定部30と、体温測定部31は、測定部の保持部11に配置され、表示部20とスピーカ29は、表示部の保持部12に配置されている。
【0027】
図3の電源部41は、充電可能な二次電池あるいは一次電池であり、制御部40とインピーダンス式の水分測定部30と温度測定部31に電源供給する。制御部40は、電源スイッチ10Sと、インピーダンス式の水分測定部30と温度測定部31と、タイマー42と、表示部の駆動部43と、演算処理部44に電気的に接続されており、制御部40は水分計1の全体の動作を制御するようになっている。
図3の表示部20は、表示部の駆動部43に電気的に接続されており、表示部の駆動部43は、制御部40からの指令により、表示部20には図2に例示するように、カップのような水分示唆マーク23、水分量のデジタル表示24、そして体温のデジタル表示25を表示させるようになっている。
【0028】
図3の演算処理部44は、スピーカ29と、ROM45,EEPROM46,RAM47に電気的に接続されている。ROM45は、タイマー42により計測されたタイミングに基づいて、インピーダンス式の水分測定部30により測定されたインピーダンス値から得られている水分量データと、温度測定部31により測定された体温データから算出された水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者の水分量と体温を予測演算するプログラムを格納している。EEPROM46は、所定の音声データを格納している。RAM47は、算出された水分量データと体温データをそれぞれ時系列で記憶することができる。
既に述べたように、一般的に、体温が上昇すると生体電気インピーダンス値は下降し、体温が下降すると生体電気インピーダンス値は上昇するといったように、体温が変動すると生体電気インピーダンス値、すなわち水分量も変動することが知られている。このため、測定した体温データを用いて生体電気インピーダンス値の補正をすることができる。
演算処理部44は、ROM45に格納されたプログラムに従った被検者の水分量と体温を予測演算や、スピーカ29への音声データの出力等を行う。
【0029】
ここで、インピーダンス式の水分測定部30について説明する。
本発明の実施形態の水分計1における生体電気インピーダンス式による水分量の測定では、次のことが言える。人体の細胞組織は、多数の細胞から構成されており、各細胞は、細胞外液で満たされた環境に存在する。このような細胞組織に電流を流した場合には、低周波交流電流は、主として細胞外液領域を流れ、高周波交流電流の場合には、細胞外液領域および細胞内を流れる。
【0030】
このように電流を細胞組織に流した場合の、細胞外液領域の電気インピーダンス値は抵抗成分のみからなり、細胞の電気インピーダンス値は、細胞膜の呈する容量成分と細胞内液の呈する抵抗成分とが直列に接続されたものとなる。
被検体Mの生体(身体)の電気的特性は、組織または臓器の種類によって著しく異なっている。このような各組織や臓器を含む身体の全体の電気的特性は、生体電気インピーダンスによって表すことができる。
【0031】
この生体電気インピーダンス値は、被検者の体表面に装着された複数の電極間に微小電流を流すことによって測定されるものであって、このようにして得られた生体電気インピーダンス値から、被検者の体脂肪率,体脂肪重量,除脂肪体重,体水分量等を推計することができる(非特許文献1:「インピーダンス法による体肢の水分分布の推定とその応用」,医用電子と生体工学、vol.23,No.6,1985を参照)。
生体内の水分量に関しては、細胞外液抵抗と細胞内液抵抗を計算することによって推定する方法が知られている。水分量の測定に関しては、生体内の水分量が多い時には生体電気インピーダンス値は低値を示し、生体内の水分量が少ない時には生体電気インピーダンス値は高値を示し、細胞外液抵抗と細胞内液抵抗を計算することによって推定する方法が知られている。
【0032】
図3に例示するインピーダンス式の水分測定部30は、被検者Mの生体に交流電流を印加して、生体電気インピーダンス値を測定する装置である。
インピーダンス式の水分測定部30は、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bと、交流電流出力回路101と、2つの差動増幅器102,103と、切替器104と、A/D変換器105と、基準抵抗器106を有する。
第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bは、例えば図2に示す測定部の保持部11において外部に露出して設けられている。これにより、これら4つの電極部30A,30B,100A,100Bは、図1に示す被検者Mの腋下Rの皮膚面に直接接触させることができる。
【0033】
図3の交流電流出力回路101は、制御部40と第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bに電気的に接続され、交流電流出力回路101と第1の測定電流供給用の電極部30Aの間には、基準抵抗器106が配置されている。差動増幅器102はこの基準抵抗器106の両端部に接続されている。もう1つの差動増幅器103は、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bに電気的に接続されている。2つの差動増幅器102,103は、切替器104とA/D変換器105を介して制御部49に電気的に接続されている。
【0034】
図3において、制御部40が交流電流出力回路101に予め定めた生体印加用信号を供給すると、交流電源出力回路101は基準抵抗器106を介して第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bに対して、交流の測定電流を供給する。一方の差動増幅器102は、基準抵抗器106の両端の電位差を検出する。他方の差動増幅器103は、電位測定用の電極部100A,100Bの電位差を検出する。切替器104は、差動増幅器102,103からの電位差出力のいずれかを選択してA/D変換器105に送り、A/D変換器105は、差動増幅器102,103の電位差出力をアナログ/デジタル変換して制御部40に供給するようになっている。
【0035】
次に、図4と図5を参照して、上述したインピーダンス式の水分測定部30の第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造例を説明する。
なお、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、同じものを採用できる。図4と図5では、皮膚面Vとこの皮膚面Vにある水分Wを示している。
【0036】
図4(A)に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、半円形の板状の弾性変形部材71と、電極端子案内部72を有している。導電性を有する電極端子70は配線74に接続されており、弾性変形部材71の一端部は電極端子70の底部に固定され、弾性変形部材71の他端部は図2の測定部の保持部11内の固定部分75に固定されている。電極端子案内部72は、筒状部分73を有しており、筒状部分73内には、電極端子70の下部が挿入されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、電極端子70は、弾性変形部材71の弾発力に抗して矢印H方向に押されるので、電極端子70の先端部は皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
【0037】
図4(B)に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、円柱状のクッション材の弾性変形部材76と、電極端子案内部72を有している。導電性を有する電極端子70は配線74に接続されており、弾性変形部材76の上端部の凹部77には電極端子70の底部がはめ込まれて固定され、弾性変形部材76の他端部は図2の測定部の保持部11内の固定部分75に固定されている。電極端子案内部72は、筒状部分73を有しており、筒状部分73内には、弾性変形部材76の上端部が挿入されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、電極端子70は、弾性変形部材76の弾発力に抗して矢印H方向に押されるので、電極端子70の先端部は皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
【0038】
図4(C)に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、コイルスプリング状の弾性変形部材78と、電極端子案内部72を有している。導電性を有する電極端子70は配線74に接続されており、弾性変形部材78の一端部は電極端子70の底部に固定され、弾性変形部材78の他端部は図2の測定部の保持部11内の固定部分75に固定されている。電極端子案内部72は、筒状部分73を有しており、筒状部分73内には、電極端子70の下部が挿入されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、電極端子70は、弾性変形部材78の弾発力に抗して矢印H方向に押されるので、電極端子70の先端部は皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
【0039】
図4(D)に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、粘着部材80と、電極端子固定部81を有している。導電性を有する電極端子70は配線74に接続されており、電極端子70の下部は、筒状の電極端子固定部81にはめ込んで固定されている。粘着部材80は、電極端子70を腋下Rの皮膚面に押し付けるための密着部材であり、図2の測定部の保持部11の表面部分83上に貼り付けて固定されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、粘着部材80が皮膚面Vに粘着されるので、電極端子70の先端部は、矢印H方向に押された状態で、皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
【0040】
図4(E)に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、吸盤85と、電極端子固定部81を有している。導電性を有する電極端子70は配線74に接続されており、電極端子70の下部は、筒状の電極端子固定部81にはめ込んで固定されている。吸盤85は、電極端子70を腋下Rの皮膚面に押し付けるための密着部材であり、図2の測定部の保持部11の表面部分83上に貼り付けて固定されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、吸盤85が皮膚面Vに吸いつくので、電極端子70の先端部は、矢印H方向に押された状態で、皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
【0041】
脱水状態が継続すると様々な症状へと進行することが知られている。その中でも熱中症は大きな問題となっている。このような症状を早期発見する方法、またはその症状の重篤度を判断する方法としては、水分量と共に体温を計測することが望ましい。被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との相関関係から例えば、被検者の症状例として以下のように判断できることを、図6を参照して説明する。
図6に示す被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との相関関係は、例えば図3のROM45に格納されている。
図6において、水分量が低い場合に、体温が正常値であれば被検者は軽度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が正常であれば被検者は健康状態である。これに対して、水分量が低い場合に、体温が高いと被検者は重度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が高いと被検者は風邪の様な脱水以外の疾患であるといえる。
このように、被検者の生体の水分量と体温から、被検者の健康、軽度と重度の脱水症状、風邪症状を判断可能になるので、本発明の実施形態の水分計1では、腋下Rにおける水分量の測定と体温の測定が重要である。上述した被検者の症状の判断例は、図2の表示部20に表示するようにしても良い。
【0042】
図7は、水分計1が、被検者Mの水分量と体温を検出する動作例を示すフロー図である。
次に、図7を参照して、図1と図2に示す水分計1が被検者Mの水分量と体温を検出する動作例を説明する。
図7のステップS1では、被検者が図3に示す電源スイッチ10Sをオンして、オン信号を制御部40に送ると、水分計1は測定可能状態になる。ステップS2では、図1に示すように、被検者Mが水分計1の測定部の保持部11を腋下Rに対して、図2の2つの凸部11Cを用いて挟みこむ。
【0043】
このように水分計1の測定部の保持部11が腋下Rに保持された状態では、本体部10が被検者の上体Bの側面部に密着することで水分計1はより確実に被検者の上体Bに保持でき、例えば、表示部の保持部12は、被検者Mの前方Dに向けてほぼ水平に位置させることができる。
しかも、測定部の保持部11と表示部の保持部12との間の距離は、被検者Mが測定部の保持部11を腋下Rに挟んだ場合に、表示部20が腋下Rの外側の位置(胴体部と上腕とにより挟まれない位置)にくるので、被検者Mは表示部の保持部12の表示部20の水分量のデジタル表示24と体温のデジタル表示25を容易に目視できる。しかも、被検者Mはスピーカ29が発生する音声ガイダンスを聞き取ることができる。
【0044】
図7のステップS3では、水分計1の測定部の保持部11が腋下Rに保持されると、演算処理部44は、水分計1の初期化を行い、タイマー42からのタイミング信号に基づいて、所定のサンプリングのタイミングで、水分測定部30により測定された水分量データ信号P1と、温度測定部31により測定された体温データ信号P2を取り込む。
このように、水分測定部30から水分量データ信号P1を得る場合には、図1に例示するように被検者Mの腋下Rに接触している第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bが、交流電流出力回路101から被検者Mに対して交流電流が印加される。そして、被検者の腋下Rに接触している第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bが、被検者の腋下Rでの2点の電位差を検出して、この電位差が他方の差動増幅器103に供給され、他方の差動増幅器103は、被検者Mの2点間の電位差信号を切替器104側に出力する。
【0045】
一方の差動増幅器102は、基準抵抗器106の電位差信号を切替器104側に出力する。制御部40が切替器104を切り替えることで、一方の差動増幅器102からの電位差信号と他方の差動増幅器103からの電位差信号が、A/D変換器105によりアナログ/デジタル変換して制御部40に供給され、制御部40はこのデジタル信号に基づいて生体電気インピーダンス値を求める。この制御部40は、得られた生体電気インピーダンス値から水分量データP1を演算する。この水分量データP1は、制御部40から演算処理部44に送られる。
【0046】
ステップS4では、演算処理部44は、水分量データP1と温度測定部31により測定された体温データP2から得られる、被検者の水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者Mの水分量と体温を予測演算することができる。
【0047】
図7のステップS5では、演算された被検者Mの水分量の値と体温の値を、図3のスピーカ29から音声ガイダンスするとともに、図3と図2に示す表示部20の水分量表示画面21には、比較的大きなサイズのデジタル表示24と、体温表示画面22には、体温のデジタル表示25をすることができる。
ステップS6では、被検者Mが水分計1により測定を終了する場合には、図3の電源スイッチ10Sをオフするが、測定を終了しない場合には、ステップS3に戻って再度ステップS3からS6の処理を繰り返すことになる。
【0048】
上述した本発明の実施形態の水分計1は、被検者Mの水分量を適切に測定できる腋下Rで測定できるような構造を有している。インピーダンス式の水分測定部30の第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bにより測定された生体電気インピーダンス値から、演算処理部44は、水分量データP1と、温度測定部31により測定された体温データP2から得られる、被検者の水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者の水分量と体温を予測演算することができる。これにより、日常生活における健康の維持に極めて重要な水分調節はもとより、口渇感による適切な飲水行動が困難な乳幼児や高齢者あるいは激しい運動時などに適正な水分調節を行う支援手段として有効である。
また、被検者Mの水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下Rを選んで測定するのは、水分量を腋下Rで測定することは、被検者Mの生体全身の水分状態を反映しているためである。また、一般的に、高齢者の皮膚は乾燥しやすく人によるばらつきが多い。その中でも、腋下Rは他の部位に比べ、外部からの影響が少ないため、測定のばらつきが少なく好適である。高齢者の痩せている人であっても、水分計1の測定部の保持部11は、身体と上腕の間の腋下Rに確実に挟み込んで保持できる。また、被検者が乳幼児であっても、腋下Rであれば測定部の保持部11を容易に挟み込んで確実に保持できるからである。さらには、水分測定部30は腋下Rのなかでも真ん中を確保するような構造を有することで測定精度をより高めている。
【0049】
しかも、本発明の実施形態の水分計1は、好ましくはこのように被検者Mの水分量を適切に測定する際に、同時に腋下Rにおける体温をも測定できる構造を有している。これにより、図5に示すように、医療従事者や介護者は、口腔等から水分を測定する場合に比べて、被検者Mの腋下Rに水分計1の測定部の保持部11を挟んで保持させるだけであるので、被検者Mの水分量を容易に測定できる。
図2に例示するように、表示部20に表示された被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との関係から、水分量が低い場合に、体温が正常値であれば被検者は軽度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が正常であれば被検者は健康状態である。これに対して、水分量が低い場合に、体温が高いと被検者は重度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が高いと被検者は風邪症状であると、例えば医師により大まかな判断することができる。
【0050】
本発明の水分計の実施形態は、被検者の水分を測定する水分計であって、被検者の腋下に保持されて、腋下の皮膚面に接触させるための測定電流供給用の電極部と電位測定用の電極部を備え、被検者の水分量を測定するインピーダンス式の水分測定部を有する。これにより、被検者の水分量を簡単に測定することができ、被検者が適正な水分調節を行うための支援手段として有効である。ここで、水分計を用いて、被検者の水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下を選んで、被検者の生体の水分量を測定するのは、水分量を腋下Rで測定することが被検者Mの生体全身の水分状態を反映しているためである。
【0051】
好ましくは、被検者の腋下に保持されて、被検者の体温を測定する体温測定部を有する。これにより、被検者の腋下において被検者の水分量を測定すると同時に被検者の体温をも測定することで、水分量と体温の相関関係を利用して、被検者の状態の判断に用いることができる。
好ましくは、本体部と、本体部の一端に配置され、インピーダンス式の水分測定部と体温測定部を保持して腋下に挟持される測定部の保持部と、本体部の他端に配置され、測定された被検者の水分量と測定された被検者の体温を表示する表示部を保持する表示部の保持部と、を有する。これにより、被検者Mが手で持ちやすいあるいは握りやすい形状であり、測定部の保持部は、腋下に挟持された状態で、表示部の保持部は、腋下から前方に突き出すことができ、測定者はこの表示部に表示された水分量と体温を目視により確認できる。
【0052】
好ましくは、複数の体温測定部が、測定部の保持部に保持されている。これにより、複数の体温測定部を用いることで、測定された体温を平均化して得ることができるので、より正確な水分量と体温を得ることができる。
【0053】
好ましくは、インピーダンス式の水分測定部の各電極部は、腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、電極端子を腋下の皮膚面に押し当てるための弾性変形部材と、を有する。これにより、水分量と体温を測定する際に、電極端子を腋下の皮膚面に対して確実に接触させることができる。
【0054】
好ましくは、インピーダンス式の水分測定部の各電極部は、腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、腋下の皮膚面に密着することで電極端子を腋下の皮膚面に押し当てるための密着部材と、を有する。これにより、水分量と体温を測定する際に、電極端子を腋下の皮膚面に対して確実に接触させることができる。
【0055】
図9は、水分計のさらに別の実施形態としての構成を示すブロック図である。
図9において、図3と同一の符号を付した箇所は同じ構造であり、この実施形態では、水分測定部30の構成が図10で示すように静電容量を用いたものとなっている点で異なるものである。以下、共通する部分の説明は図3の説明を援用し、相違点を中心に説明する。
図9水分測定部30は、図10に示す構成となっている。
すなわち、測定対象物である被検者Mの生体の静電容量を計測して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量より水分量を測定する。水分測定部30は、容器部60と2つの電極61,62を有する。容器部60は、樹脂製の周囲部分63と蓋部分64を有しており、2つの電極61,62は蓋部分64に離して互いに電気絶縁された状態で、蓋部分64から外側に露出するようにして配置されている。これにより、2つの電極61,62が腋下Rの皮膚と皮膚上の水分Wに接触することで、被検者Mの生体の静電容量を計測して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量より水分量を測定するようになっている。2つの電極61,62からの水分量データ信号P1は、制御部40に送られ、演算処理部44は、水分量データ信号P2に基づいて水分量を計算する。
このように、水分測定部30は、複数の電極61,62を用いて静電容量を検知して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量により水分量を測定するので、被検者の腋下において静電容量式で水分量を測定できる。静電容量は以下の式によって求めることが出来る。Sとdについては一定値を取ると考えると、静電容量(C)は誘電率(ε)の値に比例し、水分量が多いほど誘電率と静電容量の値は大きくなる。
静電容量(C)=ε×S/d(F)
誘電率=ε
S=センサー表面の大きさ
d=電極間の距離
これにより、演算処理部44は、水分測定部30により測定された水分量データP1と、温度測定部31により測定された体温データP2から得られる、被検者の水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者の水分量と体温を予測演算する。
したがって、静電容量を利用した計測の場合は、電極は互いに絶縁された2つの電極だけ設ければよく、インピーダンス式のように、測定電流供給用の電極部と、電位測定用の電極部を一対ずつ設ける必要がなく簡便である。
【0056】
図11は、電極構造の変形例を示している。
インピーダンス式の場合と静電容量式の場合の両方について、この電極方式を用いることができる。
先ずインピーダンス式の場合について説明する。
図11に示すように、電極部110は、水分計1の第1の部分1Cの側面に露出して形成された構造が利用されている。
この電極部110は、例えば矩形に形成した絶縁体でなる基部103と、該基部103の表面に形成された線状の導体でなるくし形電極102、103を微小間隔を隔てて対向させた構成とされている。各くし形電極102,103の端部には端子部102a,103aがそれぞれ形成されている。
くし形電極102を第1の電位測定用の電極部とし、くし形電極103を第2の電位測定用の電極部とすることで、各電極部の上記端子部にそれぞれ電源から所定の駆動電流を供給することにより、インピーダンス式の水分測定を行うことができる。
【0057】
また、図11で説明したくし形の電極構造、すなわち、くし形電極102とくし形電極103だけを用いるとともに、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30B、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bも形成しないで、静電容量式に水分測定を行うようにしてもよい。
この場合、図示のように2つのくし形電極102と103を微小間隔を隔てて対向させて配置し、一方の電極に電流を印加して、検体物質としての水分を酸化し、もう一方の電極で酸化した物質を還元して元の物質に戻す。すなわち、2つの電極間で酸化と還元を繰り返させることにより検体物質としての水分を検出することができる。この場合、好ましくは、デュアルモードにより検出を行う。
デュアルモードにするには、具体的には、くし形電極102に水分に対する酸化電位を印加し、もう一方のくし形電極103に還元電位を、図9の電源部41から印加する。これによりデュアルモードでは、酸化と還元を繰り返す、いわゆるレドックスサイクルが起こり、電流を増加させて検出感度を向上させることができる。
【0058】
なお、図11の絶縁材料である基板101としては、電極基板としては、表面あるいは全体が絶縁性の基板であればよく、例えば、酸化膜付きシリコン基板、石英基板、酸化アルミニウム基板、ガラス基板、プラスチック基板などを用いることができる。電極用の材料としては好適な導体としては、金、白金、銀、クロム、チタン、ステンレスなどの金属あるいは半導体、導電性カーボン、導電性インク等を使用することができる。
電極部の製造方法としては、絶縁基板101の上に上記した導体金属等を、蒸着やスパッタリング、CVD(化学的気相成長法)等にて薄膜として成膜し、これを例えばフォトリソグラフィー法により、くし形電極の形状に形成することができる。また、フォトリソ以外にも、絶縁材料である基板101上に、インクジェットプリンタ等により、導電性インクで、くし形電極を描画するようにしてもよい。
【0059】
電極構造をこのような構造にすることで、水分測定部30が、腋下Rの最も窪んでいるところに接することが可能となる。
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
図示例では、1つの水分測定部30と1つの体温測定部31が、測定部の保持部11に配置されている。
しかし、これに限らず、図8に例示するように、複数の体温測定部31が、測定部の保持部11に配置されるようにしても良い。これにより、各体温測定部31より得られる体温を平均化することで、体温の測定精度をより高めることができる。
【符号の説明】
【0060】
1・・・水分計、10・・・本体部、11・・・測定部の保持部、12・・・表示部、M・・・被検者、R・・・腋下、11・・・測定部の保持部、12・・・表示部の保持部、12・・・表示部の保持部、20・・・表示部、30・・・水分測定部、30A,30B・・・測定電流供給用の電極部、31・・・体温測定部、100A,100B・・・電位測定用の電極部、110・・・電極部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の水分を測定する水分計であって、
前記被検者の腋下に保持されて、前記腋下の皮膚面に接触させるための測定電流供給用の電極部と電位測定用の電極部を備え、前記被検者の水分量を測定するインピーダンス式の水分測定部を有することを特徴とする水分計。
【請求項2】
前記被検者の前記腋下に保持されて、前記被検者の体温を測定する体温測定部を有することを特徴とする請求項1に記載の水分計。
【請求項3】
本体部と、前記本体部の一端に配置され、前記インピーダンス式の水分測定部と前記体温測定部を保持して前記腋下に挟持される測定部の保持部と、前記本体部の他端に配置され、測定された前記被検者の水分量と測定された前記被検者の体温を表示する表示部を保持する表示部の保持部とを有することを特徴とする請求項2に記載の水分計。
【請求項4】
複数の前記体温測定部が、前記測定部の保持部に保持されていることを特徴とする請求項3に記載の水分計。
【請求項5】
前記インピーダンス式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための弾性変形部材と、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の水分計。
【請求項6】
前記インピーダンス式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記腋下の皮膚面に密着することで前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための密着部材と、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の水分計。
【請求項7】
被検者の水分を測定する水分計であって、
前記被検者の腋下に保持されて、前記被検者の水分量を測定するために前記腋下の水分を測定するための静電容量式の水分測定部を有し、
該水分測定部は、複数の電極を用いて静電容量を検知して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量により水分量を測定することを特徴とする水分計。
【請求項8】
前記被検者の前記腋下に保持されて、前記被検者の体温を測定する体温測定部を有することを特徴とする請求項7に記載の水分計。
【請求項9】
本体部と、前記本体部の一端に配置され、前記静電容量式の水分測定部と前記体温測定部を保持して前記腋下に挟持される測定部の保持部と、前記本体部の他端に配置され、測定された前記被検者の水分量と測定された前記被検者の体温を表示する表示部を保持する表示部の保持部とを有することを特徴とする請求項8に記載の水分計。
【請求項10】
複数の前記体温測定部が、前記測定部の保持部に保持されていることを特徴とする請求項9に記載の水分計。
【請求項11】
前記静電容量式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための弾性変形部材と、を有することを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の水分計。
【請求項12】
前記静電容量式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記腋下の皮膚面に密着することで前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための密着部材と、を有することを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の水分計。
【請求項1】
被検者の水分を測定する水分計であって、
前記被検者の腋下に保持されて、前記腋下の皮膚面に接触させるための測定電流供給用の電極部と電位測定用の電極部を備え、前記被検者の水分量を測定するインピーダンス式の水分測定部を有することを特徴とする水分計。
【請求項2】
前記被検者の前記腋下に保持されて、前記被検者の体温を測定する体温測定部を有することを特徴とする請求項1に記載の水分計。
【請求項3】
本体部と、前記本体部の一端に配置され、前記インピーダンス式の水分測定部と前記体温測定部を保持して前記腋下に挟持される測定部の保持部と、前記本体部の他端に配置され、測定された前記被検者の水分量と測定された前記被検者の体温を表示する表示部を保持する表示部の保持部とを有することを特徴とする請求項2に記載の水分計。
【請求項4】
複数の前記体温測定部が、前記測定部の保持部に保持されていることを特徴とする請求項3に記載の水分計。
【請求項5】
前記インピーダンス式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための弾性変形部材と、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の水分計。
【請求項6】
前記インピーダンス式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記腋下の皮膚面に密着することで前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための密着部材と、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の水分計。
【請求項7】
被検者の水分を測定する水分計であって、
前記被検者の腋下に保持されて、前記被検者の水分量を測定するために前記腋下の水分を測定するための静電容量式の水分測定部を有し、
該水分測定部は、複数の電極を用いて静電容量を検知して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量により水分量を測定することを特徴とする水分計。
【請求項8】
前記被検者の前記腋下に保持されて、前記被検者の体温を測定する体温測定部を有することを特徴とする請求項7に記載の水分計。
【請求項9】
本体部と、前記本体部の一端に配置され、前記静電容量式の水分測定部と前記体温測定部を保持して前記腋下に挟持される測定部の保持部と、前記本体部の他端に配置され、測定された前記被検者の水分量と測定された前記被検者の体温を表示する表示部を保持する表示部の保持部とを有することを特徴とする請求項8に記載の水分計。
【請求項10】
複数の前記体温測定部が、前記測定部の保持部に保持されていることを特徴とする請求項9に記載の水分計。
【請求項11】
前記静電容量式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための弾性変形部材と、を有することを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の水分計。
【請求項12】
前記静電容量式の水分測定部の各前記電極部は、前記腋下の皮膚面に直接接触させるための電極端子と、前記腋下の皮膚面に密着することで前記電極端子を前記腋下の皮膚面に押し当てるための密着部材と、を有することを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の水分計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−71055(P2012−71055A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219964(P2010−219964)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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