水力発電を利用した電力取引システム、水力発電装置
【課題】河川での水力発電と森林の環境整備とを経済的に連繋させることを可能としたシステムを提供する。
【解決手段】河川の水流で発電を行う水力発電機5を河川3に設置し、この水力発電機5で発電された電力を制御機6から送電線9に乗せて、売電のために電力会社Eへ送電する。サーバ12では、この電力販売により得られた収益と、この収益を森林2の整備に再投資した結果得られた排出権の販売収益と、森林整備のための支出とを管理する。これにより、水力発電でクリーンな電力を得ることができるとともに、河川3での水力発電と森林2の環境整備とを経済的に連繋させることが可能なシステムを構築できるため、森林2の保水機能や二酸化炭素吸収機能を長期にわたって維持することができ、ひいては地球の環境保全に大きく貢献できる。
【解決手段】河川の水流で発電を行う水力発電機5を河川3に設置し、この水力発電機5で発電された電力を制御機6から送電線9に乗せて、売電のために電力会社Eへ送電する。サーバ12では、この電力販売により得られた収益と、この収益を森林2の整備に再投資した結果得られた排出権の販売収益と、森林整備のための支出とを管理する。これにより、水力発電でクリーンな電力を得ることができるとともに、河川3での水力発電と森林2の環境整備とを経済的に連繋させることが可能なシステムを構築できるため、森林2の保水機能や二酸化炭素吸収機能を長期にわたって維持することができ、ひいては地球の環境保全に大きく貢献できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小規模発電に適した電力取引システムに関し、特に、河川に設置された水力発電設備で発電した電力を販売して得られる収益を森林整備に再投資するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
わが国の場合、国土面積に占める山や森林の割合が大きいことはよく知られている。森林は、雨水を蓄積する機能の点では大型ダムにも勝る保水能力を有しており、重要な治水要素となっているとともに、二酸化炭素(炭酸ガス)を吸収して地球温暖化の抑制に寄与するという重要な役割を持っている。ところで、山や森林は、林野庁や地主等が間伐や植林などの整備を行っているが、山の管理や運用のみでは森林整備に必要な資金調達ができず、森林の環境保全のためには国の補助金やボランティア活動に頼らざるを得ないのが現状である。しかるに、これらを十分確保するのが困難な現状では、森林の環境整備はきわめて不完全なまま放置された状態となっている。
【0003】
一方、河川に関して言えば、水のエネルギーを利用した水力発電は、火力発電とは異なり二酸化炭素を排出しないクリーンな発電であり、地球の環境保全の点からも今後の積極的な活用が望まれる。現在でも、一級河川などでは、上流にダムを建設して水の落差を利用した水力発電が行われている。しかしながら、この場合は大規模なダムの建設を必要とし、国土の狭いわが国では新規にダムを建設するには限界がある。また、近年の環境意識の高まりや社会の要請から、最近では脱ダム化の傾向がみられ、ダムによる水力発電を従来の延長線上で考えることは難しくなってきている。また、二級以下の河川では、ダムがなければただ水が流れるだけの状態であり、流水エネルギーの目立った活用はほとんどされてなかったといってよい。なお、河川の流水を利用して小型の水力発電機で発電を行っている例もあるが、発電した電力は周辺の公園や小規模施設などで利用されるにとどまっている。
【0004】
以上のように、山や森林は経済効率の低さから環境整備が不完全であり、河川は水のエネルギーが必ずしも十分に活用されていないのが実情であるが、従来は山や森林の管理と、河川の管理とが全く別個に行われていた。しかるに、河川からみると、山は、森林が育んだ水や動植物を河川へ流して魚や植物を生息させ、また河川の流水を保全する母体となっており、山と河川とは一体不可分の自然環境を形成しているといえる。それにもかかわらず、今までは行政区分の限界もあって両者が別個に管理されていたため、上述した問題が克服されないまま今日に至っている。これは、河川のエネルギーを有効に活用して、河川の水源となる森林の保水機能などの環境保全を推進する上で大きなロスであると言わざるを得ない。
【0005】
なお、河川の流水を利用した水力発電の先行技術としては、例えば下記の特許文献1、2がある。特許文献1では、河川の自然の流水により水力タービンを駆動し、これに連結した発電機を運転して発電を行うようにしている。また、特許文献2では、水に浮くフロート部材に水流で回転するプロペラを設け、プロペラの回転により発電機を駆動して発電を行うようにしている。これらの先行技術は、水の落差ではなく通常の流水を利用して発電を行う装置について開示しているが、発電した電力をどう取り扱うか、山や森林の環境整備とどう連繋させるかについては言及していない。一方、超音波式センサを用いて河川の水位や流速から河川の状況を観測し、その結果を遠隔地の観測センタへ無線で通知するようにしたシステムが特許文献3に開示されている。しかしながら、本文献においても、流水を利用した発電電力の取り扱いや、山や森林の環境整備との連繋に関しては全く開示されていない。
【特許文献1】特開平10−2276号公報
【特許文献2】特開2002−81362号公報
【特許文献3】特開2002−367066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来は山や森林と河川とは管理が別個であったため、河川の水のエネルギーを利用した発電と、山や森林の環境整備とが経済的に連繋しておらず、河川で発電した電力の販売利益を森林の環境整備に投資するためのシステムを構築するという発想は全くなかった。このため、河川の流水による水力発電によってクリーンなエネルギーが簡便に得られるにもかかわらず、これを森林の環境整備に生かすことができず、河川の水源となる森林の環境保全を推進する上で大きな無駄となっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、河川での水力発電と森林の環境整備とを経済的に連繋させることを可能としたシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電力取引システムは、河川に設置された水力発電設備を利用して発電した電力を販売し、得られた収益を森林の整備に再投資するためのシステムであって、河川に設けられ、当該河川の水流により発電を行う水力発電機と、この水力発電機で発電された電力を電力会社または需要家に販売するために送電する送電手段と、電力の販売により得られた収入、森林整備に基づく二酸化炭素排出権の販売により得られた収入、および森林整備のための支出を管理する管理装置とを備えている。
【0009】
本発明では、河川の水流を利用して発電を行うので、ダムのような大規模な発電設備は不要であり、小規模な設備で発電が可能となる。また水力発電であることから、二酸化炭素を排出しないクリーンな電気エネルギーが得られる。発電電力は電力会社や需要家に販売され、それにより生じた収入(短期収入)は管理装置で管理される。また、上記収入の一部を投資することで森林の整備(具体的には、間伐や植林など)が行われ、二酸化炭素吸収能力が増大して排出権が獲得されると、この排出権は売買の対象となるので、これを販売することで電力販売とは別に収入(長期収入)が得られる。この場合の森林整備への投資や、排出権販売による収入も上記管理装置で管理される。こうして、河川の水力発電設備により発電した電力を販売して得た収益を森林整備に再投資するためのシステムが構築される。
【0010】
本発明においては、管理装置を、電力取引システムの運営母体のサーバから構成することができる。この場合、サーバは1つであってもよいし複数に分散していてもよい。また、この運営母体のサーバは、ネットワークを介して電子取引市場のサーバと接続され、当該電子取引市場での電力売買および排出権売買に基づいて、上述した収入を管理する。これによると、電子取引市場(ウエブサイト上の取引市場など)において電力や排出権の売買が行われ、IT(情報技術)を利用した電力取引システムを構築することができる。
【0011】
また、本発明では、管理装置において、電力売買および排出権売買に基づいて得られた収益を水力発電設備に投資した出資者へ還元するための配当額を算出し、これをネットワークを介して出資者に配信するようにしてもよい。これにより、出資者の参加意欲を高めて、水力発電に対する投資を促進することができる。
【0012】
また、本発明に係る水力発電装置は、上述した電力取引システムに用いられる水力発電装置であって、河川に設けられ、当該河川の水流により発電を行う水力発電機と、この水力発電機の発電電力量および機器状態に関するデータを管理装置へ送信するとともに、水力発電機の発電電力を逆潮流電力として送電するための所定の制御を行う制御機とを備え、制御機の出力が、送電線に接続するための接続ボックスに接続可能に構成されている。このような発電装置は、通信機能を備えているため、発電電力量や機器状態のデータをほぼリアルタイムで管理装置へ送ることができる。また、発電した電力は制御機において逆潮流電力として送電可能なように周波数等が調整され、制御機を接続ボックスに接続するだけで、発電電力を送電線を介して電力会社等へ送電することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、河川の水流を利用した水力発電でクリーンな電力を得ることができるとともに、河川での水力発電と森林の環境整備とを経済的に連繋させることが可能なシステムを構築できるため、森林の保水機能や二酸化炭素吸収機能を長期にわたって維持することができ、ひいては地球の環境保全に大きく貢献できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明に係る電力取引システムの一例を示した図である。図1において、1は山、2は山1に植林されている森林、3は山中の湖などから流れ出て海4にそそぐ河川である。河川3は、例えば二級河川である。5は河川3に設置された水力発電設備を構成する水力発電機であって、河川3の水流により発電を行うものである。この水力発電機5の詳細については後述する。6は本発明における送電手段を構成する制御機であって、水力発電機5が発電した電力を送電するための制御機能や、発電電力量および機器状態に関するデータの送信機能を備えている。7、8は送電線9を支持する送電柱、10は制御機6からの送信データを受信する無線基地局である。無線基地局10は、ネットワーク11に接続されている。ネットワーク11は典型的にはインターネットで構成されるが、必ずしもこれに限定する必要はなく、例えば専用回線で構成されるものであってもよい。
【0015】
ネットワーク11には、本システムを運営する運営母体Aのサーバ12と、水力発電に投資を行う出資者Bのサーバ13〜16と、電子取引市場Cのサーバ17と、監査機関Dのサーバ18とが接続されている。サーバ12は、本発明における管理装置を構成する。運営母体Aは、本システムを構築して、水力発電機5で発電した電力の販売(売電)や、二酸化炭素排出権(以下、単に「排出権」という)の販売を行う事業主体である。運営母体Aのサーバ12で管理するデータについては後述する。出資者Bは、水力発電設備の設置や維持に必要な資金を提供する投資主体であって、例えば、自治体、官公庁、組合(林業組合等)・企業、住民・NPO(非営利組織)などから構成される。13〜16はそれぞれの組織のサーバである。これらのサーバ13〜16には、例えば複数台のPC(Personal Computer)がLANで接続されるが(図示省略)、出資者が個人のような場合は、サーバに代えてPCを1台だけ設けてもよい。電子取引市場Cは、インターネットのウエブサイト上に開設された電子商取引のための仮想市場であって、取引対象となる商品やサービスのデータを格納したサーバ17が設けられている。監査機関Dは、ネットワーク11を通して運営母体Aから報告される環境データ(二酸化炭素の排出量など)をチェックする第三者機関であり、サーバ18には監査用のデータが格納される。なお、この監査機関Dは本発明にとって必須のものではなく、省略することも可能である。
【0016】
電子取引市場Cには、電力会社Eのサーバ19、需要家Fのサーバ20、キャピタリストGのサーバ21が接続されている。電力会社Eは、自己の発電所(図示省略)で発電を行うとともに、水力発電機5で発電された電力を運営母体Aから買い取り、これらの電力を当該地域の需要家に供給する事業を行う。サーバ19には、電力の売買データなどが格納されている。需要家Fは、例えば企業であって、電力会社Eから電力の供給を受けるとともに、電子取引市場Cにおいて、水力発電機5で発電された電力を運営母体Aから直接購入したり、運営母体Aから排出権を購入したりする。サーバ20にはこれらの売買データなどが格納されている。キャピタリストGは、例えば金融機関であって、本システムの運用が開始された後に、電子取引市場Cを利用して二次的に資金の提供を行う投資主体である。サーバ21には資金の取引データなどが格納されている。
【0017】
図2は、上述した電力取引システムを利用した事業形態を説明する図である。図中、括弧内の数字は時系列的なステップを表している。以下、このステップの順に従って、本発明に係る電力取引システムの運用例を説明する。まず、運営母体Aは、本システムを構築するに先立って出資者を募集し、出資者Bから資金の提供を受ける(1)。資金の提供を受けた運営母体Aは、この資金をもとにしてシステム構築を行い(2)、河川3の発電サイト(ここでいうサイトは「現場」の意味である)に水力発電機5や制御機6などの発電プラントを設置する(3)。設置された水力発電機5は、河川3の水流により発電を行い、ここで発電された電力は、運営母体Aにより電力会社Eや需要家Fに販売される(4)。電力を購入した電力会社Eや需要家Fは、電力料金を運営母体Aに支払う(5)。この支払いを受けた運営母体Aでは収益計算を行い(6)、電力販売により得られた利益の一部を出資者Bに還元すべく一次配当を行う(7)。この一次配当は、水力発電機5の設置後すぐに得られる販売利益に基づくものであるから、短期の配当となる。
【0018】
また、運営母体Aは、得られた利益の一部を森林2の整備に投資する(8)。すなわち、山1の森林サイト(ここでいうサイトも「現場」の意味である)において、間伐や植林などを行って森林2を整備する。森林2が整備されてから一定の期間(例えば5年〜20年)が経過すると、樹木が育って森林2の保水能力が増大する。また、二酸化炭素吸収能力が増大する結果、山1および森林2を管理する運営母体Aが排出権を獲得する。運営母体Aはこの排出権を第三者(例えば需要家F)へ販売する(9)。排出権を購入した第三者は、その対価を運営母体Aへ支払う(10)。対価の支払いを受けた運営母体Aでは収益計算を行い(11)、排出権販売により得られた利益の一部を出資者Bに還元すべく二次配当を行う(12)。この二次配当は、森林2の二酸化炭素吸収能力が一定基準に達した後に得られる利益に基づくものであるから、長期の配当となる。その後、運営母体Aは、必要に応じてキャピタリストGから二次的に資金の提供を受け(13)、これをもとに河川3の別の場所、あるいは河川3とは別の河川に発電プラントを増設し、上述した運用と同様の運用を行う。
【0019】
このようにして、本システムでは河川3の水流を利用して発電を行うので、ダムのような大規模な発電設備は不要であり、小規模な設備で発電が可能となる。また水力発電であることから、二酸化炭素を排出しないクリーンな電力が得られ、しかも、この電力を販売して得た収益を森林2の整備に再投資することで、森林2の保水能力や二酸化炭素吸収能力が増大する。この結果、河川3での水力発電と森林2の環境整備とを経済的に連繋させることができ、これによって森林2の環境保全を長期にわたって維持することができる。また、運用母体Aは、電力の販売利益だけでなく、森林整備により獲得した排出権を販売することで新たな利益を得ることができる。一方、出資者Bには、電力販売に基づく一次配当と、排出権販売に基づく二次配当という形で利益が還元されるため、出資者の参加意欲を高めて、水力発電に対する投資を促進することができる。
【0020】
上述した事業形態における収支の構造を図12の模式図に示す。ここでの収支は、発電機1台ごとのデータとなっている。横軸の0年は、発電機が稼働を開始した時点を表している。稼働開始後、電力と排出権の販売により収入は増加してゆき、収入の累計から設備費等の支出の累計を差し引いた分が利益となる。この利益は出資口数に応じて、前述した配当として出資者に還元される。
【0021】
図3は、水力発電機5の一例を示した概略構造図である。51は両端側が開口した鼓形のハウジングであって、上流側の開口部には砂や漂流物などが侵入するのを防ぐためのフィルタ52が設けられている。53は発電機のロータ、54はロータ53を収納したケースである。55はプロペラであって、シャフト56の先端側に設けられている。57はロータ53の回転軸とシャフト56とを結合するカップリング部材である。
【0022】
以上の構成からなる水力発電機5は、図4のように河川3の水中に設置される。図4は河川3の断面を示した図であり、水力発電機5は固定具41により基台42に固定されており、基台42の脚部43は川床3aに埋入して堅牢に固定されている。
【0023】
図3において、上流から下流へ向かう水流(矢印で示す)によりプロペラ55が回転すると、プロペラ55の回転はシャフト56およびカップリング部材57を介してロータ53に伝達され、ロータ53の回転により水力発電機5は発電を行う。水力発電機5から出力される電圧は、例えば400〜600V程度の直流である。なお、本実施形態では、水力発電機5は直流発電機であるが、交流発電機であってもよい。水力発電機5で発電された電力は、図4で示したようにケーブル44を介して制御機6へ送られ、制御機6からさらにケーブル45を介して送電柱7に設けられた接続ボックス30へ送られる。なお、ケーブル44、45は地中配管内に収納されている。
【0024】
図5は、水力発電機5の発電電力を売電のために送電する送電系統を示した図である。このときの送電方向は電力会社側へ向かう方向となるため、水力発電機5の発電電力は逆潮流電力として送電される。水力発電機5から出力される直流電圧はケーブル44を介して制御機6へ与えられる。制御機6は、水力発電機5からの直流を交流に変換するとともに所定の電圧まで昇圧する。また、制御機6は、水力発電機5の発電電力を逆潮流電力として送電するために、周波数や位相を調整するなど所定の制御を行う。
【0025】
制御機6から出力される交流電圧は、ケーブル45を介して接続ボックス30に送られる。ケーブル45の端部にはコネクタ(図示省略)が設けられており、このコネクタを接続ボックス30の接続部(図示省略)に装着することにより、制御機6は接続ボックス30と電気的に接続され、さらには送電線9と電気的に接続される。この結果、水力発電機5が発電した電力を、制御機6から接続ボックス30を介して送電線9に乗せて電力会社Eへ送電することができる(図1参照)。なお、接続ボックス30には、売電用の取引計器となる積算電力計32が内蔵されている。この積算電力計32は、接続ボックス30の外部に独立して設けてもよい。
【0026】
さらに、図4で示したように、制御機6は無線通信を行うアンテナ6aを備えており、このアンテナ6aを介して、水力発電機5の発電電力量と機器状態(故障や異常の有無等)に関するデータを無線基地局10へ送信する(図1参照)。送信されたデータは、ネットワーク11を介して運営母体Aのサーバ12に格納される。
【0027】
図6は、運営母体Aにおけるシステム構成の一例を示した図である。サーバ12は複数のサーバ12a〜12dからなり、12aは電力や排出権などの取引で得られた収益を管理する収益管理サーバ、12bは上述した水力発電機5の発電電力量や機器状態のデータを管理する電力管理サーバ、12cは配当に関するデータ等を配信するためのウエブ(WEB)サーバ、12dは電子メール用のメールサーバである。これらの各サーバは、LAN25によりルータ28に接続されており、ルータ28を介してネットワーク11(図1)に接続される。また、LAN25には、会計用コンピュータ26と、保守用コンピュータ27とが接続されている。
【0028】
図7は、サーバ12の電気的構成を示したブロック図である。この構成は各サーバ12a〜12dに共通のものとなっている。121はサーバ全体の動作を制御するCPUからなる制御部、122はキーボードやマウス等の入力装置、123はCRTやLCD等のディスプレイ、124はLAN25を介して通信を行うための通信部、125はハードディスク等からなる外部記憶装置、126はROMやRAMから構成されるメモリ、127はサーバの各部に電源を供給する電源部である。
【0029】
図8は、収益管理サーバ12aにおける収益管理ファイル60の内容を示した図である。この収益管理ファイル60は、図7の外部記憶装置125に格納されている。収益管理ファイル60には、案件番号61、出資者のID(識別番号)62、出資額63、出資年月日64、収入65、支出66、配当67、証書発行有無68などのデータが格納されている。
【0030】
収入65には、水力発電機5の電力を販売して得られる販売収入65aと、森林整備による排出権を販売して得られる販売収入65bとが含まれており、このほか、森林利用のリクレーション等から得られる雑収入65cも含まれている。電子取引市場Cで電力売買や排出権売買が行われた場合は、会計用コンピュータ26に売上データが入力され、このデータが会計用コンピュータ26から収益管理サーバ12aへ転送されて、収益管理ファイル60に販売収入65a,65bとして格納される。その他の収入があった場合も、同様の処理が行われる。なお、収益管理サーバ12aはネットワーク11を介して電子取引市場Cのサーバ17と接続されているので、電子取引市場Cでの取引に基づいて、収益管理サーバ12aに直接売上データが入力されるようにしてもよい。
【0031】
一方、支出66には、水力発電機5や制御機6などの水力発電設備を維持するための設備費66aと、森林2の整備(間伐・植林など)を行うために投資した森林整備費66bとが含まれており、このほか、税金66cや水利使用料66dなどの公的支出も含まれている。森林整備のための支出があった場合は、会計用コンピュータ26に支出データが入力され、このデータが会計用コンピュータ26から収益管理サーバ12aへ転送されて、収益管理ファイル60に森林整備費66bとして格納される。その他の支出があった場合も、同様の処理が行われる。
【0032】
配当67は、電力売買と排出権売買による収益を水力発電設備に投資した出資者Bへ還元するためのもので、所定の利回りに基づいて算出される。また、二酸化炭素を排出しない水力発電などの電力を購入した者に交付されるグリーン証書が発行された場合は、証書発行有無68のエリアにその旨が記録される。
【0033】
このような収益管理サーバ12aを設けて、電力販売により得られた収入と、排出権販売により得られた収入と、森林整備のための支出とを管理することにより、河川3での水力発電によりどれだけの収益が得られたか、その収益の中から森林整備へどれだけの投資を行ったか、その投資の結果得られた排出権の売買によりどれだけの収益が得られたかを容易に把握することができ、また、森林整備へ今後どの程度投資を行うべきかの策定を円滑に行うことができる。また、収益管理サーバ12aで配当67の管理も行うことで、後述するように、出資者Bに対して配当額をネットワーク11を介して配信することができる。
【0034】
図9は、電力管理サーバ12bにおける電力管理ファイル70の内容を示した図である。この電力管理ファイル70は、図7の外部記憶装置125に格納されている。電力管理ファイル70には、発電機番号71、案件番号72、市町村コード73、電力量74、運転状況75などのデータが格納されている。発電機番号71は、水力発電機5ごとに割り当てられたIDである。なお、ここでは電力量74と運転状況75とを一緒に管理しているが、これらを別々のサーバで管理するようにしてもよい。
【0035】
図10は、収益管理サーバ12aの動作を示したフローチャートであって、制御部121(図7)が実行する手順を表している。収益管理サーバ12aに電力販売収入が入力されると(ステップS11)、サーバ12aは入力データに基づき所定の演算を行って、収益管理ファイル60の電力販売収入65aのデータを更新する(ステップS12)。また、収益管理サーバ12aに排出権販売収入が入力されると(ステップS13)、サーバ12aは入力データに基づき所定の演算を行って、収益管理ファイル60の排出権販売収入65bのデータを更新する(ステップS14)。さらに、収益管理サーバ12aにその他の販売収入が入力されると(ステップS15)、サーバ12aは入力データに基づき所定の演算を行って、収益管理ファイル60の雑収入65cなどのデータを更新する(ステップS16)。
【0036】
一方、収益管理サーバ12aに森林整備の支出が入力されると(ステップS17)、サーバ12aは入力データに基づき所定の演算を行って、収益管理ファイル60の森林整備費66bのデータを更新する(ステップS18)。また、収益管理サーバ12aにその他の支出が入力されると(ステップS19)、サーバ12aは入力データに基づき所定の演算を行って、収益管理ファイル60の設備費66aや税金66cなどのデータを更新する(ステップS20)。
【0037】
次に、収入と支出があったか否かを判定して(ステップS21)、収支がない場合はステップS11に戻って上述した処理を反復する。また、収支がある場合は、配当の計算を行い(ステップS22)、計算結果に基づいて収益管理ファイル60の配当67のデータを更新する(ステップS23)。そして、この更新した配当データをLAN25を介してウエブサーバ12cへ送信した後(ステップS24)、ステップS11へ戻って上述した処理を反復する。
【0038】
図1に示したように、サーバ12はネットワーク11を介して出資者Bのサーバ13〜16とつながっているため、出資者Bはパスワードを用いてウエブサーバ12cへのアクセスが可能となっている。出資者Bが自己の配当額を閲覧したい場合は、ネットワーク11を介してウエブサーバ12cへアクセスすると、ウエブサーバ12cは収益管理サーバ12aから受け取った配当データのうち、該当するデータをネットワーク11を介して出資者Bのサーバ(またはPC)へ配信する。この場合の配当額は、出資案件ごとの額であってもよいし、複数の出資案件があるときは、それらをまとめた額であってもよい。また、配当額に加えて、税金等の負担金や、税引き後の配当額を配信するようにしてもよい。さらに、収益管理サーバ12aにおいて、証書発行管理に加えて、排出権やクリーン電力産出量の認証を行うようにしてもよい。
【0039】
図11は、電力管理サーバ12bの動作を示したフローチャートであって、制御部121(図7)が実行する手順を表している。電力管理サーバ12bでは、制御機6から一定時間ごとに送られて来る水力発電機5の発電電力量や機器状態のデータ(定時データ)を常時監視している(ステップS31)。定時データを受信すると、当該データに含まれている発電機番号をチェックし(ステップS32)、該当する発電機に対応する電力管理ファイル70を参照して累計データの演算を行い(ステップS33)、電力量74のデータを更新する(ステップS34)。また、定時データではなく異常データを受信した場合は(ステップS35)、発電設備の保守を行う保守部門のサーバ(図示省略)へ異常通知を行い(ステップS36)、電力管理ファイル70の運転状況75のデータを更新する(ステップS37)。
【0040】
以上の実施形態においては、河川3での発電電力による収益を、河川3の上流にある山1の森林2へ投資する運用例を挙げたが、河川3の中流や下流にある森林へ投資するような運用も考えられる。また、河川3の流域にある森林だけに限らず、河川3とは別の土地にある森林へ、河川3での発電電力で得た収益を投資するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る電力取引システムの一例を示した図である。
【図2】電力取引システムを利用した事業形態を説明する図である。
【図3】水力発電機の一例を示した概略構造図である。
【図4】河川の断面を示した図である。
【図5】送電系統を示した図である。
【図6】運営母体におけるシステム構成の一例を示した図である。
【図7】サーバの電気的構成を示したブロック図である。
【図8】収益管理ファイルの内容を示した図である。
【図9】電力管理ファイルの内容を示した図である。
【図10】収益管理サーバの動作を示したフローチャートである。
【図11】電力管理サーバの動作を示したフローチャートである。
【図12】収支の構造を示した模式図である。
【符号の説明】
【0042】
1 山
2 森林
3 河川
5 水力発電機
6 制御機
9 送電線
11 ネットワーク
12 サーバ
13〜16 サーバ
17 サーバ
30 接続ボックス
A 運営母体
B 出資者
C 電子取引市場
【技術分野】
【0001】
本発明は、小規模発電に適した電力取引システムに関し、特に、河川に設置された水力発電設備で発電した電力を販売して得られる収益を森林整備に再投資するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
わが国の場合、国土面積に占める山や森林の割合が大きいことはよく知られている。森林は、雨水を蓄積する機能の点では大型ダムにも勝る保水能力を有しており、重要な治水要素となっているとともに、二酸化炭素(炭酸ガス)を吸収して地球温暖化の抑制に寄与するという重要な役割を持っている。ところで、山や森林は、林野庁や地主等が間伐や植林などの整備を行っているが、山の管理や運用のみでは森林整備に必要な資金調達ができず、森林の環境保全のためには国の補助金やボランティア活動に頼らざるを得ないのが現状である。しかるに、これらを十分確保するのが困難な現状では、森林の環境整備はきわめて不完全なまま放置された状態となっている。
【0003】
一方、河川に関して言えば、水のエネルギーを利用した水力発電は、火力発電とは異なり二酸化炭素を排出しないクリーンな発電であり、地球の環境保全の点からも今後の積極的な活用が望まれる。現在でも、一級河川などでは、上流にダムを建設して水の落差を利用した水力発電が行われている。しかしながら、この場合は大規模なダムの建設を必要とし、国土の狭いわが国では新規にダムを建設するには限界がある。また、近年の環境意識の高まりや社会の要請から、最近では脱ダム化の傾向がみられ、ダムによる水力発電を従来の延長線上で考えることは難しくなってきている。また、二級以下の河川では、ダムがなければただ水が流れるだけの状態であり、流水エネルギーの目立った活用はほとんどされてなかったといってよい。なお、河川の流水を利用して小型の水力発電機で発電を行っている例もあるが、発電した電力は周辺の公園や小規模施設などで利用されるにとどまっている。
【0004】
以上のように、山や森林は経済効率の低さから環境整備が不完全であり、河川は水のエネルギーが必ずしも十分に活用されていないのが実情であるが、従来は山や森林の管理と、河川の管理とが全く別個に行われていた。しかるに、河川からみると、山は、森林が育んだ水や動植物を河川へ流して魚や植物を生息させ、また河川の流水を保全する母体となっており、山と河川とは一体不可分の自然環境を形成しているといえる。それにもかかわらず、今までは行政区分の限界もあって両者が別個に管理されていたため、上述した問題が克服されないまま今日に至っている。これは、河川のエネルギーを有効に活用して、河川の水源となる森林の保水機能などの環境保全を推進する上で大きなロスであると言わざるを得ない。
【0005】
なお、河川の流水を利用した水力発電の先行技術としては、例えば下記の特許文献1、2がある。特許文献1では、河川の自然の流水により水力タービンを駆動し、これに連結した発電機を運転して発電を行うようにしている。また、特許文献2では、水に浮くフロート部材に水流で回転するプロペラを設け、プロペラの回転により発電機を駆動して発電を行うようにしている。これらの先行技術は、水の落差ではなく通常の流水を利用して発電を行う装置について開示しているが、発電した電力をどう取り扱うか、山や森林の環境整備とどう連繋させるかについては言及していない。一方、超音波式センサを用いて河川の水位や流速から河川の状況を観測し、その結果を遠隔地の観測センタへ無線で通知するようにしたシステムが特許文献3に開示されている。しかしながら、本文献においても、流水を利用した発電電力の取り扱いや、山や森林の環境整備との連繋に関しては全く開示されていない。
【特許文献1】特開平10−2276号公報
【特許文献2】特開2002−81362号公報
【特許文献3】特開2002−367066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来は山や森林と河川とは管理が別個であったため、河川の水のエネルギーを利用した発電と、山や森林の環境整備とが経済的に連繋しておらず、河川で発電した電力の販売利益を森林の環境整備に投資するためのシステムを構築するという発想は全くなかった。このため、河川の流水による水力発電によってクリーンなエネルギーが簡便に得られるにもかかわらず、これを森林の環境整備に生かすことができず、河川の水源となる森林の環境保全を推進する上で大きな無駄となっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、河川での水力発電と森林の環境整備とを経済的に連繋させることを可能としたシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電力取引システムは、河川に設置された水力発電設備を利用して発電した電力を販売し、得られた収益を森林の整備に再投資するためのシステムであって、河川に設けられ、当該河川の水流により発電を行う水力発電機と、この水力発電機で発電された電力を電力会社または需要家に販売するために送電する送電手段と、電力の販売により得られた収入、森林整備に基づく二酸化炭素排出権の販売により得られた収入、および森林整備のための支出を管理する管理装置とを備えている。
【0009】
本発明では、河川の水流を利用して発電を行うので、ダムのような大規模な発電設備は不要であり、小規模な設備で発電が可能となる。また水力発電であることから、二酸化炭素を排出しないクリーンな電気エネルギーが得られる。発電電力は電力会社や需要家に販売され、それにより生じた収入(短期収入)は管理装置で管理される。また、上記収入の一部を投資することで森林の整備(具体的には、間伐や植林など)が行われ、二酸化炭素吸収能力が増大して排出権が獲得されると、この排出権は売買の対象となるので、これを販売することで電力販売とは別に収入(長期収入)が得られる。この場合の森林整備への投資や、排出権販売による収入も上記管理装置で管理される。こうして、河川の水力発電設備により発電した電力を販売して得た収益を森林整備に再投資するためのシステムが構築される。
【0010】
本発明においては、管理装置を、電力取引システムの運営母体のサーバから構成することができる。この場合、サーバは1つであってもよいし複数に分散していてもよい。また、この運営母体のサーバは、ネットワークを介して電子取引市場のサーバと接続され、当該電子取引市場での電力売買および排出権売買に基づいて、上述した収入を管理する。これによると、電子取引市場(ウエブサイト上の取引市場など)において電力や排出権の売買が行われ、IT(情報技術)を利用した電力取引システムを構築することができる。
【0011】
また、本発明では、管理装置において、電力売買および排出権売買に基づいて得られた収益を水力発電設備に投資した出資者へ還元するための配当額を算出し、これをネットワークを介して出資者に配信するようにしてもよい。これにより、出資者の参加意欲を高めて、水力発電に対する投資を促進することができる。
【0012】
また、本発明に係る水力発電装置は、上述した電力取引システムに用いられる水力発電装置であって、河川に設けられ、当該河川の水流により発電を行う水力発電機と、この水力発電機の発電電力量および機器状態に関するデータを管理装置へ送信するとともに、水力発電機の発電電力を逆潮流電力として送電するための所定の制御を行う制御機とを備え、制御機の出力が、送電線に接続するための接続ボックスに接続可能に構成されている。このような発電装置は、通信機能を備えているため、発電電力量や機器状態のデータをほぼリアルタイムで管理装置へ送ることができる。また、発電した電力は制御機において逆潮流電力として送電可能なように周波数等が調整され、制御機を接続ボックスに接続するだけで、発電電力を送電線を介して電力会社等へ送電することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、河川の水流を利用した水力発電でクリーンな電力を得ることができるとともに、河川での水力発電と森林の環境整備とを経済的に連繋させることが可能なシステムを構築できるため、森林の保水機能や二酸化炭素吸収機能を長期にわたって維持することができ、ひいては地球の環境保全に大きく貢献できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明に係る電力取引システムの一例を示した図である。図1において、1は山、2は山1に植林されている森林、3は山中の湖などから流れ出て海4にそそぐ河川である。河川3は、例えば二級河川である。5は河川3に設置された水力発電設備を構成する水力発電機であって、河川3の水流により発電を行うものである。この水力発電機5の詳細については後述する。6は本発明における送電手段を構成する制御機であって、水力発電機5が発電した電力を送電するための制御機能や、発電電力量および機器状態に関するデータの送信機能を備えている。7、8は送電線9を支持する送電柱、10は制御機6からの送信データを受信する無線基地局である。無線基地局10は、ネットワーク11に接続されている。ネットワーク11は典型的にはインターネットで構成されるが、必ずしもこれに限定する必要はなく、例えば専用回線で構成されるものであってもよい。
【0015】
ネットワーク11には、本システムを運営する運営母体Aのサーバ12と、水力発電に投資を行う出資者Bのサーバ13〜16と、電子取引市場Cのサーバ17と、監査機関Dのサーバ18とが接続されている。サーバ12は、本発明における管理装置を構成する。運営母体Aは、本システムを構築して、水力発電機5で発電した電力の販売(売電)や、二酸化炭素排出権(以下、単に「排出権」という)の販売を行う事業主体である。運営母体Aのサーバ12で管理するデータについては後述する。出資者Bは、水力発電設備の設置や維持に必要な資金を提供する投資主体であって、例えば、自治体、官公庁、組合(林業組合等)・企業、住民・NPO(非営利組織)などから構成される。13〜16はそれぞれの組織のサーバである。これらのサーバ13〜16には、例えば複数台のPC(Personal Computer)がLANで接続されるが(図示省略)、出資者が個人のような場合は、サーバに代えてPCを1台だけ設けてもよい。電子取引市場Cは、インターネットのウエブサイト上に開設された電子商取引のための仮想市場であって、取引対象となる商品やサービスのデータを格納したサーバ17が設けられている。監査機関Dは、ネットワーク11を通して運営母体Aから報告される環境データ(二酸化炭素の排出量など)をチェックする第三者機関であり、サーバ18には監査用のデータが格納される。なお、この監査機関Dは本発明にとって必須のものではなく、省略することも可能である。
【0016】
電子取引市場Cには、電力会社Eのサーバ19、需要家Fのサーバ20、キャピタリストGのサーバ21が接続されている。電力会社Eは、自己の発電所(図示省略)で発電を行うとともに、水力発電機5で発電された電力を運営母体Aから買い取り、これらの電力を当該地域の需要家に供給する事業を行う。サーバ19には、電力の売買データなどが格納されている。需要家Fは、例えば企業であって、電力会社Eから電力の供給を受けるとともに、電子取引市場Cにおいて、水力発電機5で発電された電力を運営母体Aから直接購入したり、運営母体Aから排出権を購入したりする。サーバ20にはこれらの売買データなどが格納されている。キャピタリストGは、例えば金融機関であって、本システムの運用が開始された後に、電子取引市場Cを利用して二次的に資金の提供を行う投資主体である。サーバ21には資金の取引データなどが格納されている。
【0017】
図2は、上述した電力取引システムを利用した事業形態を説明する図である。図中、括弧内の数字は時系列的なステップを表している。以下、このステップの順に従って、本発明に係る電力取引システムの運用例を説明する。まず、運営母体Aは、本システムを構築するに先立って出資者を募集し、出資者Bから資金の提供を受ける(1)。資金の提供を受けた運営母体Aは、この資金をもとにしてシステム構築を行い(2)、河川3の発電サイト(ここでいうサイトは「現場」の意味である)に水力発電機5や制御機6などの発電プラントを設置する(3)。設置された水力発電機5は、河川3の水流により発電を行い、ここで発電された電力は、運営母体Aにより電力会社Eや需要家Fに販売される(4)。電力を購入した電力会社Eや需要家Fは、電力料金を運営母体Aに支払う(5)。この支払いを受けた運営母体Aでは収益計算を行い(6)、電力販売により得られた利益の一部を出資者Bに還元すべく一次配当を行う(7)。この一次配当は、水力発電機5の設置後すぐに得られる販売利益に基づくものであるから、短期の配当となる。
【0018】
また、運営母体Aは、得られた利益の一部を森林2の整備に投資する(8)。すなわち、山1の森林サイト(ここでいうサイトも「現場」の意味である)において、間伐や植林などを行って森林2を整備する。森林2が整備されてから一定の期間(例えば5年〜20年)が経過すると、樹木が育って森林2の保水能力が増大する。また、二酸化炭素吸収能力が増大する結果、山1および森林2を管理する運営母体Aが排出権を獲得する。運営母体Aはこの排出権を第三者(例えば需要家F)へ販売する(9)。排出権を購入した第三者は、その対価を運営母体Aへ支払う(10)。対価の支払いを受けた運営母体Aでは収益計算を行い(11)、排出権販売により得られた利益の一部を出資者Bに還元すべく二次配当を行う(12)。この二次配当は、森林2の二酸化炭素吸収能力が一定基準に達した後に得られる利益に基づくものであるから、長期の配当となる。その後、運営母体Aは、必要に応じてキャピタリストGから二次的に資金の提供を受け(13)、これをもとに河川3の別の場所、あるいは河川3とは別の河川に発電プラントを増設し、上述した運用と同様の運用を行う。
【0019】
このようにして、本システムでは河川3の水流を利用して発電を行うので、ダムのような大規模な発電設備は不要であり、小規模な設備で発電が可能となる。また水力発電であることから、二酸化炭素を排出しないクリーンな電力が得られ、しかも、この電力を販売して得た収益を森林2の整備に再投資することで、森林2の保水能力や二酸化炭素吸収能力が増大する。この結果、河川3での水力発電と森林2の環境整備とを経済的に連繋させることができ、これによって森林2の環境保全を長期にわたって維持することができる。また、運用母体Aは、電力の販売利益だけでなく、森林整備により獲得した排出権を販売することで新たな利益を得ることができる。一方、出資者Bには、電力販売に基づく一次配当と、排出権販売に基づく二次配当という形で利益が還元されるため、出資者の参加意欲を高めて、水力発電に対する投資を促進することができる。
【0020】
上述した事業形態における収支の構造を図12の模式図に示す。ここでの収支は、発電機1台ごとのデータとなっている。横軸の0年は、発電機が稼働を開始した時点を表している。稼働開始後、電力と排出権の販売により収入は増加してゆき、収入の累計から設備費等の支出の累計を差し引いた分が利益となる。この利益は出資口数に応じて、前述した配当として出資者に還元される。
【0021】
図3は、水力発電機5の一例を示した概略構造図である。51は両端側が開口した鼓形のハウジングであって、上流側の開口部には砂や漂流物などが侵入するのを防ぐためのフィルタ52が設けられている。53は発電機のロータ、54はロータ53を収納したケースである。55はプロペラであって、シャフト56の先端側に設けられている。57はロータ53の回転軸とシャフト56とを結合するカップリング部材である。
【0022】
以上の構成からなる水力発電機5は、図4のように河川3の水中に設置される。図4は河川3の断面を示した図であり、水力発電機5は固定具41により基台42に固定されており、基台42の脚部43は川床3aに埋入して堅牢に固定されている。
【0023】
図3において、上流から下流へ向かう水流(矢印で示す)によりプロペラ55が回転すると、プロペラ55の回転はシャフト56およびカップリング部材57を介してロータ53に伝達され、ロータ53の回転により水力発電機5は発電を行う。水力発電機5から出力される電圧は、例えば400〜600V程度の直流である。なお、本実施形態では、水力発電機5は直流発電機であるが、交流発電機であってもよい。水力発電機5で発電された電力は、図4で示したようにケーブル44を介して制御機6へ送られ、制御機6からさらにケーブル45を介して送電柱7に設けられた接続ボックス30へ送られる。なお、ケーブル44、45は地中配管内に収納されている。
【0024】
図5は、水力発電機5の発電電力を売電のために送電する送電系統を示した図である。このときの送電方向は電力会社側へ向かう方向となるため、水力発電機5の発電電力は逆潮流電力として送電される。水力発電機5から出力される直流電圧はケーブル44を介して制御機6へ与えられる。制御機6は、水力発電機5からの直流を交流に変換するとともに所定の電圧まで昇圧する。また、制御機6は、水力発電機5の発電電力を逆潮流電力として送電するために、周波数や位相を調整するなど所定の制御を行う。
【0025】
制御機6から出力される交流電圧は、ケーブル45を介して接続ボックス30に送られる。ケーブル45の端部にはコネクタ(図示省略)が設けられており、このコネクタを接続ボックス30の接続部(図示省略)に装着することにより、制御機6は接続ボックス30と電気的に接続され、さらには送電線9と電気的に接続される。この結果、水力発電機5が発電した電力を、制御機6から接続ボックス30を介して送電線9に乗せて電力会社Eへ送電することができる(図1参照)。なお、接続ボックス30には、売電用の取引計器となる積算電力計32が内蔵されている。この積算電力計32は、接続ボックス30の外部に独立して設けてもよい。
【0026】
さらに、図4で示したように、制御機6は無線通信を行うアンテナ6aを備えており、このアンテナ6aを介して、水力発電機5の発電電力量と機器状態(故障や異常の有無等)に関するデータを無線基地局10へ送信する(図1参照)。送信されたデータは、ネットワーク11を介して運営母体Aのサーバ12に格納される。
【0027】
図6は、運営母体Aにおけるシステム構成の一例を示した図である。サーバ12は複数のサーバ12a〜12dからなり、12aは電力や排出権などの取引で得られた収益を管理する収益管理サーバ、12bは上述した水力発電機5の発電電力量や機器状態のデータを管理する電力管理サーバ、12cは配当に関するデータ等を配信するためのウエブ(WEB)サーバ、12dは電子メール用のメールサーバである。これらの各サーバは、LAN25によりルータ28に接続されており、ルータ28を介してネットワーク11(図1)に接続される。また、LAN25には、会計用コンピュータ26と、保守用コンピュータ27とが接続されている。
【0028】
図7は、サーバ12の電気的構成を示したブロック図である。この構成は各サーバ12a〜12dに共通のものとなっている。121はサーバ全体の動作を制御するCPUからなる制御部、122はキーボードやマウス等の入力装置、123はCRTやLCD等のディスプレイ、124はLAN25を介して通信を行うための通信部、125はハードディスク等からなる外部記憶装置、126はROMやRAMから構成されるメモリ、127はサーバの各部に電源を供給する電源部である。
【0029】
図8は、収益管理サーバ12aにおける収益管理ファイル60の内容を示した図である。この収益管理ファイル60は、図7の外部記憶装置125に格納されている。収益管理ファイル60には、案件番号61、出資者のID(識別番号)62、出資額63、出資年月日64、収入65、支出66、配当67、証書発行有無68などのデータが格納されている。
【0030】
収入65には、水力発電機5の電力を販売して得られる販売収入65aと、森林整備による排出権を販売して得られる販売収入65bとが含まれており、このほか、森林利用のリクレーション等から得られる雑収入65cも含まれている。電子取引市場Cで電力売買や排出権売買が行われた場合は、会計用コンピュータ26に売上データが入力され、このデータが会計用コンピュータ26から収益管理サーバ12aへ転送されて、収益管理ファイル60に販売収入65a,65bとして格納される。その他の収入があった場合も、同様の処理が行われる。なお、収益管理サーバ12aはネットワーク11を介して電子取引市場Cのサーバ17と接続されているので、電子取引市場Cでの取引に基づいて、収益管理サーバ12aに直接売上データが入力されるようにしてもよい。
【0031】
一方、支出66には、水力発電機5や制御機6などの水力発電設備を維持するための設備費66aと、森林2の整備(間伐・植林など)を行うために投資した森林整備費66bとが含まれており、このほか、税金66cや水利使用料66dなどの公的支出も含まれている。森林整備のための支出があった場合は、会計用コンピュータ26に支出データが入力され、このデータが会計用コンピュータ26から収益管理サーバ12aへ転送されて、収益管理ファイル60に森林整備費66bとして格納される。その他の支出があった場合も、同様の処理が行われる。
【0032】
配当67は、電力売買と排出権売買による収益を水力発電設備に投資した出資者Bへ還元するためのもので、所定の利回りに基づいて算出される。また、二酸化炭素を排出しない水力発電などの電力を購入した者に交付されるグリーン証書が発行された場合は、証書発行有無68のエリアにその旨が記録される。
【0033】
このような収益管理サーバ12aを設けて、電力販売により得られた収入と、排出権販売により得られた収入と、森林整備のための支出とを管理することにより、河川3での水力発電によりどれだけの収益が得られたか、その収益の中から森林整備へどれだけの投資を行ったか、その投資の結果得られた排出権の売買によりどれだけの収益が得られたかを容易に把握することができ、また、森林整備へ今後どの程度投資を行うべきかの策定を円滑に行うことができる。また、収益管理サーバ12aで配当67の管理も行うことで、後述するように、出資者Bに対して配当額をネットワーク11を介して配信することができる。
【0034】
図9は、電力管理サーバ12bにおける電力管理ファイル70の内容を示した図である。この電力管理ファイル70は、図7の外部記憶装置125に格納されている。電力管理ファイル70には、発電機番号71、案件番号72、市町村コード73、電力量74、運転状況75などのデータが格納されている。発電機番号71は、水力発電機5ごとに割り当てられたIDである。なお、ここでは電力量74と運転状況75とを一緒に管理しているが、これらを別々のサーバで管理するようにしてもよい。
【0035】
図10は、収益管理サーバ12aの動作を示したフローチャートであって、制御部121(図7)が実行する手順を表している。収益管理サーバ12aに電力販売収入が入力されると(ステップS11)、サーバ12aは入力データに基づき所定の演算を行って、収益管理ファイル60の電力販売収入65aのデータを更新する(ステップS12)。また、収益管理サーバ12aに排出権販売収入が入力されると(ステップS13)、サーバ12aは入力データに基づき所定の演算を行って、収益管理ファイル60の排出権販売収入65bのデータを更新する(ステップS14)。さらに、収益管理サーバ12aにその他の販売収入が入力されると(ステップS15)、サーバ12aは入力データに基づき所定の演算を行って、収益管理ファイル60の雑収入65cなどのデータを更新する(ステップS16)。
【0036】
一方、収益管理サーバ12aに森林整備の支出が入力されると(ステップS17)、サーバ12aは入力データに基づき所定の演算を行って、収益管理ファイル60の森林整備費66bのデータを更新する(ステップS18)。また、収益管理サーバ12aにその他の支出が入力されると(ステップS19)、サーバ12aは入力データに基づき所定の演算を行って、収益管理ファイル60の設備費66aや税金66cなどのデータを更新する(ステップS20)。
【0037】
次に、収入と支出があったか否かを判定して(ステップS21)、収支がない場合はステップS11に戻って上述した処理を反復する。また、収支がある場合は、配当の計算を行い(ステップS22)、計算結果に基づいて収益管理ファイル60の配当67のデータを更新する(ステップS23)。そして、この更新した配当データをLAN25を介してウエブサーバ12cへ送信した後(ステップS24)、ステップS11へ戻って上述した処理を反復する。
【0038】
図1に示したように、サーバ12はネットワーク11を介して出資者Bのサーバ13〜16とつながっているため、出資者Bはパスワードを用いてウエブサーバ12cへのアクセスが可能となっている。出資者Bが自己の配当額を閲覧したい場合は、ネットワーク11を介してウエブサーバ12cへアクセスすると、ウエブサーバ12cは収益管理サーバ12aから受け取った配当データのうち、該当するデータをネットワーク11を介して出資者Bのサーバ(またはPC)へ配信する。この場合の配当額は、出資案件ごとの額であってもよいし、複数の出資案件があるときは、それらをまとめた額であってもよい。また、配当額に加えて、税金等の負担金や、税引き後の配当額を配信するようにしてもよい。さらに、収益管理サーバ12aにおいて、証書発行管理に加えて、排出権やクリーン電力産出量の認証を行うようにしてもよい。
【0039】
図11は、電力管理サーバ12bの動作を示したフローチャートであって、制御部121(図7)が実行する手順を表している。電力管理サーバ12bでは、制御機6から一定時間ごとに送られて来る水力発電機5の発電電力量や機器状態のデータ(定時データ)を常時監視している(ステップS31)。定時データを受信すると、当該データに含まれている発電機番号をチェックし(ステップS32)、該当する発電機に対応する電力管理ファイル70を参照して累計データの演算を行い(ステップS33)、電力量74のデータを更新する(ステップS34)。また、定時データではなく異常データを受信した場合は(ステップS35)、発電設備の保守を行う保守部門のサーバ(図示省略)へ異常通知を行い(ステップS36)、電力管理ファイル70の運転状況75のデータを更新する(ステップS37)。
【0040】
以上の実施形態においては、河川3での発電電力による収益を、河川3の上流にある山1の森林2へ投資する運用例を挙げたが、河川3の中流や下流にある森林へ投資するような運用も考えられる。また、河川3の流域にある森林だけに限らず、河川3とは別の土地にある森林へ、河川3での発電電力で得た収益を投資するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る電力取引システムの一例を示した図である。
【図2】電力取引システムを利用した事業形態を説明する図である。
【図3】水力発電機の一例を示した概略構造図である。
【図4】河川の断面を示した図である。
【図5】送電系統を示した図である。
【図6】運営母体におけるシステム構成の一例を示した図である。
【図7】サーバの電気的構成を示したブロック図である。
【図8】収益管理ファイルの内容を示した図である。
【図9】電力管理ファイルの内容を示した図である。
【図10】収益管理サーバの動作を示したフローチャートである。
【図11】電力管理サーバの動作を示したフローチャートである。
【図12】収支の構造を示した模式図である。
【符号の説明】
【0042】
1 山
2 森林
3 河川
5 水力発電機
6 制御機
9 送電線
11 ネットワーク
12 サーバ
13〜16 サーバ
17 サーバ
30 接続ボックス
A 運営母体
B 出資者
C 電子取引市場
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川に設置された水力発電設備を利用して発電した電力を販売し、得られた収益を森林の整備に再投資するためのシステムであって、
河川に設けられ、当該河川の水流により発電を行う水力発電機と、
前記水力発電機で発電された電力を電力会社または需要家に販売するために送電する送電手段と、
前記電力の販売により得られた収入、森林整備に基づく二酸化炭素排出権の販売により得られた収入、および森林整備のための支出を管理する管理装置と、
を備えたことを特徴とする水力発電を利用した電力取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力取引システムにおいて、
前記管理装置は、電力取引システムの運営母体のサーバから構成され、
前記運営母体のサーバは、ネットワークを介して電子取引市場のサーバと接続され、当該電子取引市場での電力売買および排出権売買に基づいて、前記収入を管理することを特徴とする水力発電を利用した電力取引システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電力取引システムにおいて、
前記管理装置は、電力売買および排出権売買に基づいて得られた収益を前記水力発電設備に投資した出資者へ還元するための配当額を算出し、前記配当額をネットワークを介して出資者に配信することを特徴とする水力発電を利用した電力取引システム。
【請求項4】
請求項1の電力取引システムに用いられる水力発電装置であって、
河川に設けられ、当該河川の水流により発電を行う水力発電機と、
前記水力発電機の発電電力量および機器状態に関するデータを前記管理装置へ送信するとともに、水力発電機の発電電力を逆潮流電力として送電するための所定の制御を行う制御機と、を備え、
前記制御機の出力が、送電線に接続するための接続ボックスに接続可能に構成されていることを特徴とする水力発電装置。
【請求項1】
河川に設置された水力発電設備を利用して発電した電力を販売し、得られた収益を森林の整備に再投資するためのシステムであって、
河川に設けられ、当該河川の水流により発電を行う水力発電機と、
前記水力発電機で発電された電力を電力会社または需要家に販売するために送電する送電手段と、
前記電力の販売により得られた収入、森林整備に基づく二酸化炭素排出権の販売により得られた収入、および森林整備のための支出を管理する管理装置と、
を備えたことを特徴とする水力発電を利用した電力取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力取引システムにおいて、
前記管理装置は、電力取引システムの運営母体のサーバから構成され、
前記運営母体のサーバは、ネットワークを介して電子取引市場のサーバと接続され、当該電子取引市場での電力売買および排出権売買に基づいて、前記収入を管理することを特徴とする水力発電を利用した電力取引システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電力取引システムにおいて、
前記管理装置は、電力売買および排出権売買に基づいて得られた収益を前記水力発電設備に投資した出資者へ還元するための配当額を算出し、前記配当額をネットワークを介して出資者に配信することを特徴とする水力発電を利用した電力取引システム。
【請求項4】
請求項1の電力取引システムに用いられる水力発電装置であって、
河川に設けられ、当該河川の水流により発電を行う水力発電機と、
前記水力発電機の発電電力量および機器状態に関するデータを前記管理装置へ送信するとともに、水力発電機の発電電力を逆潮流電力として送電するための所定の制御を行う制御機と、を備え、
前記制御機の出力が、送電線に接続するための接続ボックスに接続可能に構成されていることを特徴とする水力発電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−97153(P2008−97153A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275806(P2006−275806)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)
【Fターム(参考)】
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