説明

水力発電計画調整装置、水力発電計画調整方法、及びプログラム

【課題】別個に算出された複数の計画を調整することができるようにする。
【解決手段】経済負荷配分調整装置10は、需給計画装置23から最適水力発電量、最適需要量、及び最適電力価格を取得し、水位計画装置21が計画した計画水力発電量を取得し、貯湯温度制御装置22が計画した計画需要量を取得する。経済負荷配分調整装置10は、計画水力発電量が最適発電量を超えている時間の電力価格を下げて水位計画装置21に水力発電量を再計画させ、計画需要量が最適需要量を超えている時間の電力価格を上げて貯水温度制御装置22に需要量を再計画させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電計画調整装置、水力発電計画調整方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な数理計画法を用いて、電力需要を満たしつつ、燃料費や起動費などを含む総発電コストを最小とし、あるいは発電した電力の販売価格を最大にするような経済的な負荷配分を計画することが行われている。例えば、非特許文献1には、24時間の発電費用が最小となるように電力需要と供給を計画する技術が開示されており、特許文献1には、発電した電力価格が最大となるように貯水池の水位を計画する技術が開示されている。また、翌日の電力価格を顧客に提供し、その価格を見て顧客が電力需要の使用量を決定するということも行われている。例えば、特許文献2には、加熱にかかる電力料金が最小となるように貯湯温水器の湯温を制御する技術が開示されている。近年では、スマートグリッドとよばれる、リアルタイムの電力価格で需要をコントロールしようとする実験も進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−223692号公報
【特許文献2】特開2009−257703号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】渡邉ほか、“電力市場のシミュレーション −電源の起動停止計画を考慮した基本モデルの開発−”、[online]、平成16年3月、財団法人電力中央研究所、[平成22年4月23日検索]、インターネット<http://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/detail/R03016.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、例えば、火力発電についての発電計画や、水力発電についての発電計画、温水器における湯温計画など、各種の最適計画は独立して行われていたため、全体としてみると必ずしも最適な計画ではないことが起こり得る。
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、別個に算出された複数の計画を調整することのできる、水力発電計画調整装置、水力発電計画調整方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、水力発電による単位時間ごとの発電量の最適値を算出するとともに前記単位時間ごとの電力価格の最適値を算出する需給計画装置と、前記電力価格に応じて前記水力発電による発電量を計画する水力発電計画装置と、のそれぞれと通信可能に接続される、前記水力発電の計画を調整する装置であって、前記単位時間ごとの前記発電量の最適値及び前記電力価格を前記需給計画装置から取得する最適需給計画取得部と、前記電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御し、前記水力発電計画装置から前記発電量の計画値を取得する最適発電量取得部と、前記発電量の計画値が前記発電量の最適値を超えている前記単位期間について前記電力価格を減少させて、前記減少させた電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御する価格調整部と、を備えることとする。
【0007】
本発明の水力発電計画調整装置によれば、計画発電量が最適発電量を超えた単位期間における電力価格を減少させた上で、計画発電量を再計算させるようにすることができる。発電量は価格の高い時間により多く発電させることが好ましいので、電力価格が下げられた時間における発電量は減少するように再計算が行われることが期待される。これにより、計画発電量が最適発電量に近づくようにすることができる。
【0008】
また、本発明の水力発電計画調整装置では、前記需給計画装置は、前記水力発電による前記発電量の最適値と、電気機器による電力の需要量の最適値とを算出し、前記発電量の最適値と前記需要量の最適値とに応じて前記電力価格を算出し、前記取得した電力価格の最適値に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御し、前記需要計画装置から前記需要量の計画値を取得する最適需要量取得部をさらに備え、前記価格調整部はさらに、前記需要量の計画値が前記需要量の最適値を超えている前記単位時間について前記電力価格を増加させて、前記増加させた電力価格に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御するようにしてもよい。
この場合、水力発電による発電量を最適発電量に近づくように調整するとともに、電気機器による電力の需要量を最適需要量に近づくようにもすることができる。この場合の水力発電計画調整装置によれば、計画需要量が最適需要量を超えた単位期間における電力価格を増加させた上で、需要計画装置に需要量を再計算させることができる。電気機器は電力価格の高い時間での電力需要を抑え、より電力価格の低い時間に電力需要をシフトすることが好ましいので、電力価格が上げられた時間における需要量は減少するように再計算が行われることが期待される。これにより、計画需要量が最適需要量に近づくようにすることができる。
【0009】
また、本発明の水力発電計画調整装置では、前記価格調整部は、前記需要量の計画値が前記需要量の最適値を超えていえる前記単位時間について前記電力価格に所定の最高値を設定するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の水力発電計画調整装置では、前記価格調整部は、前記発電量の計画値が前記発電量の最適値を超えている前記単位期間について前記電力価格に所定の最低値を設定するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の他の態様は、水力発電の計画を調整する方法であって、前記水力発電による単位時間ごとの発電量の最適値を算出するとともに前記単位時間ごとの電力価格の最適値を算出する需給計画装置と、前記電力価格に応じて前記水力発電による発電量を計画する水力発電計画装置と、のそれぞれと通信可能に接続されるコンピュータが、前記単位時間ごとの前記発電量の最適値及び前記電力価格を前記需給計画装置から取得し、前記電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御し、前記水力発電計画装置から前記発電量の計画値を取得し、前記発電量の計画値が前記発電量の最適値を超えている前記単位期間について前記電力価格を減少させて、前記減少させた電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御することとする。
【0012】
また、本発明の水力発電計画調整方法では、前記需給計画装置は、前記水力発電による前記発電量の最適値と、電気機器による電力の需要量の最適値とを算出し、前記発電量の最適値と前記需要量の最適値とに応じて前記電力価格を算出しており、前記コンピュータはさらに、前記取得した電力価格の最適値に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御し、前記需要計画装置から前記需要量の計画値を取得し、前記コンピュータは前記減少させた電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御するとともに、さらに前記需要量の計画値が前記需要量の最適値を超えている前記単位時間について前記電力価格を増加させて、前記増加させた電力価格に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の他の態様は、水力発電の計画を調整するためのプログラムであって、前記水力発電による単位時間ごとの発電量の最適値を算出するとともに前記単位時間ごとの電力価格の最適値を算出する需給計画装置と、前記電力価格に応じて前記水力発電による発電量を計画する水力発電計画装置と、のそれぞれと通信可能に接続されるコンピュータに、前記単位時間ごとの前記発電量の最適値及び前記電力価格を前記需給計画装置から取得するステップと、前記電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御し、前記水力発電計画装置から前記発電量の計画値を取得するステップと、前記発電量の計画値が前記発電量の最適値を超えている前記単位期間について前記電力価格を減少させて、前記減少させた電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御するステップと、を実行させることとする。
【0014】
また、本発明のプログラムでは、前記需給計画装置は、前記水力発電による前記発電量の最適値と、電気機器による電力の需要量の最適値とを算出し、前記発電量の最適値と前記需要量の最適値とに応じて前記電力価格を算出しており、前記コンピュータにさらに、前記取得した電力価格の最適値に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御し、前記需要計画装置から前記需要量の計画値を取得するステップを実行させ、前記コンピュータに、前記減少させた電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御させるとともに、さらに前記需要量の計画値が前記需要量の最適値を超えている前記単位時間について前記電力価格を増加させて、前記増加させた電力価格に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御させるようにしてもよい。
【0015】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、別個に算出された複数の計画を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る掲載負荷配分システムの全体構成を示す図である。
【図2】経済負荷配分調整装置10のハードウェア構成を示す図である。
【図3】経済負荷配分調整装置10のソフトウェア構成を示す図である。
【図4】経済負荷配分システムにおける処理の概要を説明する図である。
【図5】図4の処理におけるデータの送受信の様子を説明するための図である。
【図6】水位計画装置21に送信するための電力価格の調整処理の流れを説明する図である。
【図7】価格表61の一例を示す図である。
【図8】発電量表62の一例を示す図である。
【図9】制約条件表63の一例を示す図である。
【図10】並べ替え後の価格表61の一例を示す図である。
【図11】並べ替え後の発電量表62の一例を示す図である。
【図12】発電量順時刻表64の一例を示す図である。
【図13】電力価格が調整された後の価格表61の一例を示す図である。
【図14】電力価格が調整された後の制約条件表63の一例を示す図である。
【図15】図6に示す電力価格の調整処理を説明する図である。
【図16】貯湯温度制御装置22に送信するための電力価格の調整処理の流れを説明する図である。
【図17】制約条件表73の一例を示す図である。
【図18】需要量順時刻表74の一例を示す図である。
【図19】並べ替えた後の価格表71の一例を示す図である。
【図20】並べ替えた後の需要量表72の一例を示す図である。
【図21】電力価格が調整された後の価格表71の一例を示す図である。
【図22】図16に示す電力価格の調整処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
==概要==
以下、本発明の一実施形態に係る経済負荷配分調整装置10を含む経済負荷配分システムについて説明する。図1に示すように、本実施形態の掲載負荷配分システムは、経済負荷配分調整装置10、複数の水位計画装置21、複数の貯湯温度制御装置22及び需給計画装置23を含んで構成されている。経済負荷配分調整装置10は、通信ネットワーク24を介して水位計画装置21、貯湯温度制御装置22及び需給計画装置23に接続されている。通信ネットワーク24は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)などであり、公衆電話回線網やイーサネット(登録商標)、無線通信網などにより構築される。
【0019】
需給計画装置23は、所定期間(本実施形態では24時間とする。)の発電にかかる費用が最小となるように発電量および電力の需要量を計画する(以下、「最適需給計画」という。)。需給計画装置23は、水力発電による発電量(以下、「水力発電量」という。)、火力発電による発電量(以下、「火力発電量」という。)、温水器に用いられる消費電力量(以下、「給湯需要量」という。)、及び温水器以外の負荷に用いられる消費電力量についてのシミュレーションを行い、24時間の発電費用が最小となるようにする。需給計画装置23は、例えば「電力市場のシミュレーション −電源の起動停止計画を考慮した基本モデルの開発−」(平成16年3月、財団法人電力中央研究所)に記載された方法に基づいて、最適需給計画を算出することができる。なお、当該文献では、水力発電量や電力需要は所与のものとして最適需給計画を算出しているが、例えば、水力発電量や電力需要を変動させることなどにより、本実施形態での需給計画装置23では火力発電量に加え、水力発電量や電力需要についても、最適値を算出することができるものとする。需給計画装置23は、例えば、卸電力取引所における、時別の単位電力量あたりの電力価格や火力発電の発電機を起動するためにかかる費用(起動費)、温水器に係る制約、温水器以外の負荷に係る制約、火力発電以外による発電に係る制約などの諸元に応じて、時別の電力需要量、水力発電量、火力発電量を増減し、発電にかかる単価(以下、「発電単価」という。)を算出し、全発電量に発電単価を乗じて24時間分を集計して発電費用を算出していき、発電費用が最小となる、水力発電量(以下、「最適発電量」という。)、火力発電量、水力火力以外による発電量、給湯需要量(以下、「最適需要量」という。)、その他の負荷による消費電力量などを算出する。なお、本実施形態では、発電単価が電力価格であるものとするが、発電単価に利潤を加算して電力価格としてもよい。需給計画装置23は、例えばパーソナルコンピュータやワークステーション、携帯電話端末、PDAなどである。なお、需給計画装置23と、後述する経済負荷配分調整装置10とを1台のコンピュータにより実現するようにしてもよい。
【0020】
水位計画装置21(本発明の「水力発電計画装置」に対応する。)は、各種の制約条件を満たしつつ、水力発電により発電された電力の販売価格が最大となるように、貯水池の水位を計画する(以下、「最適水位計画」という。)。水位計画装置21による水位計画には、例えば、特開2009−223692号公報に開示されている手法を用いることができる。水力発電に関する制約条件としては、例えば発電機に与える水の量(取水量)の最小値(以下、「最小取水量」という。)や取水量の最大値(以下、「最大取水量」という。)などがある。水位計画装置21は、最適水位計画における時別の水力発電量(以下、「計画発電量」という。)も算出する。本実施形態では水位計画装置21には時別の電力価格が与えられ、与えられた電力価格に応じて最適水位計画を算出することとする。なお、上記発電単価に利潤を加算して電力価格としてもよい。水位計画装置21は水力発電所ごとに設けられるコンピュータであり、例えばパーソナルコンピュータやワークステーション、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)などである。
【0021】
貯湯温度制御装置22(本発明の「需要計画装置」に対応する。)は、各種の制約条件を満たしつつ、加熱にかかる電力料金が最小となるように貯湯温水器における貯湯の加熱を計画する(以下、「最適加熱計画」という。)。貯湯温度制御装置22による加熱計画には、例えば、特開2009−257703号公報に開示されている手法を用いることができる。貯湯温水器における加熱に係る制約条件としては、例えば貯湯温水器に通電することができる電力量(通電量)の最小値(以下、「最小通電量」という。)や通電量の最大値(以下、「最大通電量」という。)などがある。貯湯温度制御装置22にも時別の電力価格が与えられて、与えられた電力価格に応じて最適加熱計画を算出することとする。また、貯湯温度制御装置22は、最適加熱計画における時別の給湯需要量(以下、「計画需要量」という。)も算出する。貯湯温度制御装置22は電力需要者の温水器ごとに設けられるコンピュータである。貯湯温度制御装置22は、例えば、温水器に内蔵される制御盤であってもよいし、温水器に接続するパーソナルコンピュータやPDAなどであってもよい。
【0022】
経済負荷配分調整装置10は、需給計画装置23により算出された最適需給計画に、なるべく沿うように貯水池の水位計画や温水器の加熱計画が行われるように調整を行う。経済負荷配分調整装置10は、最適需給計画における最適発電量よりも、水位計画装置21が計画した計画発電量の合計が多い時間帯があれば、その時間帯の電力価格を下げて、水位計画装置21に水位計画を再計算させる。水位計画装置21では電力の販売価格を最大化するように水位が計画されるため、電力価格が下げられた時間帯における発電量を下げるように計画が修正されることが期待される。これにより、発電量を最適需給計画に近づけることができる。また、最適需給計画における最適需要量よりも、貯湯温度制御装置22が計画した計画需要量が多い時間帯があれば、その時間帯の電力価格を上げて、貯湯温度制御装置22に加熱計画を再計算させる。貯湯温度制御装置22では、消費電力料金を最小化するように加熱計画が算出されるため、電力価格が上げられた時間帯における消費電力を下げるように加熱計画が修正されることが期待される。これにより、電力需要量を最適需給計画に近づけることができる。
以下、詳細に付いて説明する。
【0023】
==ハードウェア==
図2は、経済負荷配分調整装置10のハードウェア構成を示す図である。経済負荷配分調整装置10はCPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備えている。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどである。CPU101は、記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。通信インタフェース104は、通信ネットワーク24に接続するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタや、電話回線網に接続するためのモデム、無線通信網に接続するための無線通信器などである。入力装置105は、ユーザからデータの入力を受け付ける、例えば、キーボードやマウス、マイクロフォンなどである。出力装置106は、データを出力する、例えば、ディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
【0024】
==ソフトウェア==
図3は、経済負荷配分調整装置10のソフトウェア構成を示す図である。経済負荷配分調整装置10は、最適需給計画取得部111、最適発電量取得部112、最適需要量取得部113、電力価格調整部114の各機能部を備えている。なお、上記各機能部は、経済負荷配分調整装置10が備えるCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現される。
【0025】
最適需給計画取得部111は、需給計画装置23により算出される最適需給計画を取得する。本実施形態では、最適需給計画取得部111は、最適化計算を行うように指示するコマンド(以下、「最適計画要求」という。)を需要計画装置23に送信し、需給計画装置23が最適計画要求に応じて最適需給計画を算出し、最適電力価格、最適需要量及び最適発電量を経済負荷配分調整装置10に応答し、最適需給計画取得部111はこれらを受信する。
【0026】
最適発電量取得部112は、各水位計画装置21により算出される最適水位計画における時別の計画発電量を取得する。本実施形態では、最適発電量取得部112は、需給計画装置23から取得した時別の最適電力価格を含む最適計画要求を水位計画装置21に送信する。水位計画装置21が最適計画要求に応じて最適水位計画を算出し、最適水位計画における時別の計画発電量を経済負荷配分調整装置10に応答し、最適発電量取得部112はこれを受信する。
【0027】
最適需要量取得部113は、各貯湯温度制御装置22により算出される最適加熱計画における時別の計画需要量を取得する。本実施形態では、最適需要量取得部113は、需給計画装置23から取得した時別の最適電力価格を含む最適計画要求を貯湯温度制御装置22に送信する。貯湯温度制御装置22が最適計画要求に応じて最適加熱計画を算出し、最適加熱計画における時別の計画需要量を経済負荷配分調整装置10に応答し、最適需要量取得部113はこれを受信する。
【0028】
電力価格調整部114は、各水位計画装置21から取得した水力発電量が最適需給計画になるべく沿うように、水位計画装置21に再計算をさせる。また、電力価格調整部114は、各貯湯温度制御装置22から取得した給湯需要量が最適需給計画になるべく沿うように、貯湯温度制御装置22に再計算をさせる。本実施形態では、電力価格調整部114は、水位計画装置21から取得した計画発電量の合計値が最適需給計画に含まれている最適発電量を超えている時間帯について、当該時間帯の電力価格が現在値よりも低くなるように調整し、調整後の電力価格を含む最適計画要求を水位計画装置21に送信することにより、水位計画装置21に再計算をさせる。また、電力価格調整部114は、貯湯温度制御装置22から取得した計画需要量の合計が最適需要計画に含まれている最適需要量を超えている時間帯について、当該時間帯の電力価格が現在値よりも高くなるように調整し、調整後の電力価格を含む最適計画要求を貯湯温度制御装置22に送信することにより、貯湯温度制御装置22に再計算をさせる。
【0029】
==処理概要==
図4は、経済負荷配分システムにおける処理の概要を説明する図である。
需給計画装置23が最適需給計画を算出し(S301)、水位計画装置21が最適水位計画により時別の計画発電量を算出し(S302)、貯湯温度制御装置22が最適加熱計画により時別の計画需要量を算出する(S303)。経済負荷配分調整装置10は、調整を行う対象となる水位計画装置21(発電所)及び貯湯温度制御装置22(温水器)の順番を決定する(S304)。なお、順番の決定方法の詳細については後述する。
水位計画装置21から受信した計画発電量が最適発電量を超えている時間がある場合(S305:NO)、経済負荷配分調整装置10は、その時間の電力価格を下げ(S306)、水位計画装置21は、最適水位計画により計画発電量を再計算する(S307)。
全ての時間において、計画発電量が最適発電量を超えていなければ(S305:YES)、ステップS308に進む。貯湯温度制御装置22から受信した計画需要量が最適需要量を超えている時間がある場合(S308:NO)、経済負荷配分調整装置10は、その時間の電力価格を上げて(S309)、貯水温度制御装置22は、最適加熱計画により計画需要量を再計算する(S310)。
【0030】
図5は、図4の処理におけるデータの送受信の様子を説明するための図である。
ステップS401−S403が図4のステップS301に対応する。経済負荷配分調整装置10は、最適計画要求を需要計画装置23に送信する(S401)。需給計画装置23は最適計画要求に応じてシミュレーションを行い、最適需給計画を算出し(S402)、最適需給計画における時別の最適電力価格、最適需要量及び最適発電量を経済負荷配分調整装置10に送信する(S403)。
【0031】
ステップS404−S406が図4のステップS302に対応する。経済負荷配分調整装置10は、最適計画要求に需給計画装置23から受信した最適電力価格を含めて各水位計画装置21に送信する(S404)。各水位計画装置21は、最適計画要求に含まれる電力価格を用いて、水力発電による電力の販売価格が最大となるように最適水位計画を作成し(S405)、最適水位計画に係る計画発電量を経済負荷配分調整装置10に応答する(S406)。
【0032】
ステップS407−S409が図4のステップS303に対応する。経済負荷配分調整装置10は、最適計画要求に需給計画装置23から受信した最適電力価格を含めて、各貯湯温度制御装置22に送信する(S407)。なお、経済負荷配分調整装置10は、水位計画装置21に対して最適計画要求を送信するステップS404以前に貯湯温度制御装置22に最適計画要求を送信するようにしてもよい。貯湯温度制御装置22は、最適計画要求に含まれる最適電力価格を用いて、加熱にかかる電力料金が最小となるように最適加熱計画を作成し(S408)、最適加熱計画における時別の計画需要量を経済負荷配分調整装置10に送信する(S409)。
【0033】
ステップS410は図4のステップS306、S309に対応する。経済負荷配分調整装置10は、図4のステップS305−S307あるいはステップS308−S310に示す処理の繰り返し回数kに応じた時間t(k)以後の時間において、計画発電量が最適発電量を超えている時間の電力価格を下げ、計画需要量が最適需要量を超えている時間については電力価格を上げる(S410)。経済負荷配分調整装置10は、例えば、計画発電量が最適発電量を超えている時間について電力価格に所定の最低値を設定し、計画需要量が最適需要量を超えている時間については電力価格に所定の最高値を設定することができる。
【0034】
ステップS411−S413が図4のステップS305及びS307に対応する。経済負荷配分調整装置10は、調整済みの時間帯については、発電電力量が変化しないようにする制約条件(以下、「発電調整制約条件」という。)を設定する。例えば、経済負荷配分調整装置10は、価格の調整済みの時間における発電電力量を取水量に変換し、最小取水量及び最大取水量の両方にその取水量を設定して発電調整制約条件とする。経済負荷配分調整装置10は、価格を下げた電力価格と発電調整制約条件とを含む最適計画要求を水位計画装置21に送信する(S411)。水位計画装置21は、最適計画要求に含まれる電力価格と発電調整制約条件とを用いて、通常の制約条件に加えて発電調整制約条件も満たしつつ水力発電による電力の販売価格が最大となるように最適水位計画を再作成する(S412)。これにより、価格調整した時間については、最小取水量及び最大取水量が一致することから取水量が変化せず、すなわち、発電電力量が変化しないようにすることを可能にするとともに、その他の時間については、価格が下げられた時間の発電量を下げるように発電電力量が調整されることが期待されるように仕向けることができる。水位計画装置21は、最適水位計画における時別の計画発電量を経済負荷配分調整装置10に送信する(S413)。
【0035】
ステップS414−S416は図4のステップS308、S310に対応する。経済負荷配分調整装置10は、調整済みの時間帯については、需要量が変化しないようにする制約条件(以下、「需要調整制約条件」という。)を設定する。例えば、経済負荷配分調整装置10は、価格の調整済みの時間における需要量を通電量に変換し、最小通電量及び最大通電量の両方にその通電量を設定して需要調整制約条件とする。経済負荷配分調整装置10は、価格を上げた電力価格と需要調整制約条件とを含む最適計画要求を貯湯温度制御装置22に送信する(S414)。貯湯温度制御装置22は、最適計画要求に含まれる電力価格と需要調整制約条件とを用いて、通常の制約条件に加えて需要調整制約条件も満たしつつ加熱にかかる電力料金が最小となるように最適加熱計画を作成する(S415)。これにより、価格調整した時間については、最小通電量及び最大通電量が一致することから通電量が変化せず、すなわち、需要量が変化しないようにすることを可能にするとともに、その他の時間については、価格が上げられた時間の需要量を下げるように需要量が調整されることが期待されるように仕向けることができる。貯湯温度制御装置22は、最適加熱計画における時別の計画需要量を経済負荷配分調整装置10に送信する(S416)。
【0036】
経済負荷配分調整装置10は、全ての時間において、計画発電量が最適発電量以下となり、計画需要量が最適需要量以下となるまで、あるいは、全ての水位計画装置21及び全ての貯湯温度制御装置22に対して、最適水位計画及び最適加熱計画を再作成させるまで、ステップS410からステップS416までの処理を繰り返すことになる。
【0037】
以上のようにして、なるべく最適需給計画における最適発電量及び最適需要量に近づくように、各水位計画装置21及び各貯湯温度制御装置22において最適水位計画及び最適加熱計画が調整される。
【0038】
==電力価格の調整(水力発電所)==
図6は、図4のステップS306及び図5のステップS410における、水位計画装置21に送信するための電力価格の調整処理の流れを説明する図である。
経済負荷配分調整装置10は、需給計画装置23から受信した最適電力価格を水力発電所に対応付けて格納する価格表61を作成する(S500)。図7は価格表61の一例を示す図である。本実施形態では、価格表61は、水力発電所を列方向とし、時間を行方向として価格を格納する。経済負荷配分調整装置10は、水位計画装置21から受信した時別の計画発電量を水力発電所ごとに格納する発電量表62を作成する(S501)。図8は、発電量表62の一例を示す図である。本実施形態では、発電力表62も、水力発電所を列方向とし、時間を行方向として水力発電量を格納するものとする。また、経済負荷配分調整装置10は、各時間について、各水力発電所に対応する計画発電量を合計し、電力量表62の時別合計欄621に設定する。さらに、経済負荷配分調整装置10は、発電所ごとに各時間の制約条件を格納する制約条件表63を作成し、制約条件を初期値に設定する(S502)。図9は制約条件表63の一例を示す図である。なお、本実施形態では、制約条件は最小取水量(Qmin)と最大取水量(Qmax)のみであるものとする。また、全ての水力発電所についての制約条件の初期値は同じ値であるものとする。
【0039】
経済負荷配分調整装置10は、時別合計が最大となる最初の時点を特定し、その時点における発電量が大きい水力発電所順に、価格表61及び発電量表62の列を並べ替える(S503)。図10及び図11では、13時において時別合計が最大の750となり、13時における発電量に応じて、価格表61及び発電量表62の列が、左から順に発電所5、発電所4、発電所3、発電所2、発電所1と並べ替えられている例が示されている。本実施形態では左から順に並べ替えるものとするが、もちろん、右から順に並べ替えるようにしてもよい。
【0040】
経済負荷配分調整装置10は、発電量表62において時別合計の大きい順に、順番kに対応付けて時間t(k)を、図12に示す発電量順時刻表64に記録する(S504)。経済負荷配分調整装置10は、変数kに1を設定し(S505)、発電量順時刻表64からkに対応するt(k)を読み出してtとする(S506)。図12の例では、例えば、kが1であれば、t(k)は「13」となる。なお、時別合計が同じ値の時間が複数ある場合には、例えば、より早い時間を選択するなど、所定の決定方法によりtに設定する時間を選択する。経済負荷配分調整装置10は、t時における最適発電量をPMAXとし(S507)、変数P0に0(ゼロ)を設定し(S508)、変数nに1を設定する(S509)。経済負荷配分調整装置10は、n番目の発電所におけるt時の水力発電量、すなわち発電量表62の左からn番目の列のt時に対応する値をPnとし(S510)、P0にPnを加算する(S511)。
P0がPMAX未満であれば(S512:NO)、経済負荷配分調整装置10は、nをインクリメントして(S513)、ステップS510からの処理を繰り返す。
【0041】
P0がPMAX以上になれば(S512:YES)、経済負荷配分調整装置10は、n番目より後の電力価格、すなわち、価格表61の左からn番目より後のt時に対応する値を、所定の最低値に設定する(S514)。図13の例では、最低値が「0.01」であるものとしている。例えば、nが5であり、tが13であれば、13時の電力価格611は、発電所1についてのみ0.01となる。
【0042】
経済負荷配分調整装置10は、1からkまでの変数iについて以下の処理を行う。経済負荷配分調整装置10は、n番目以前の各発電所について、t(i)を発電量順時刻表64から読み出し、t(i)時に対応する発電量表62の電力量を取得し、取得した電力量を取水量Qに変換する(S515)。例えば特開2009−223692号公報に開示されているように、発電電力量をPn、取水量をQ、有効落差をhn、変換効率に係る係数をc、重力加速度をgとした場合、式Pn=Q×hn×c×gが成立する。本実施形態では、有効落差hn及び変換効率に関する係数cは全ての水力発電所で同じ値であるものとし、したがって上記式により電力量から取水量Qを算出することができるものとする。経済負荷配分調整装置10は、n番目以前の各発電所について、t(i)時に対応する制約条件表63の最小取水量及び最大取水量の両方に、算出した取水量Qを設定する(S516)。これにより、1からn番目の発電所について、t(i)時の取水量Qを変化させることができなくなり、したがって、水位計画装置21が最適水位計画を再計算する場合にも、t(i)時の発電量が変化しないようにすることができる。
【0043】
以上の処理を1からkまでのiについて繰り返し、電力価格の調整を行わない発電所については、t(i)時に対応する最小取水量と最大取水量が、上記変換した取水量に設定される。図14の例では、発電所2から発電所5のそれぞれについて、13時における最小取水量及び最大取水量が同じ値となっている。
【0044】
経済負荷配分調整装置10は、各水力発電所について、価格表61から時間毎の電力価格を読み出し、制約条件表63から時間毎の制約条件(最小取水量及び最大取水量)を読み出し、読み出した電力価格及び制約条件を含む最適計画要求を水位計画装置21に送信して(S517)、水位計画装置21に最適水位計画を再計算させる。経済負荷配分調整装置10は、kをインクリメントする(S518)。経済負荷配分調整装置10は、全ての時間について処理を行っていなければ、すなわちkが24以下であれば(S519:NO)、ステップ506からの処理を繰り返し、kが24を超えれば(S519:YES)、処理を終了する。
【0045】
図15は、上述した図6に示す電力価格の調整処理を説明する図である。(a1)は、需給計画装置23により算出された最適電力価格を示すグラフであり、(a2)は、最適発電量の折れ線グラフと、最適電力価格に応じて各水位計画装置21により算出された計画発電量の積み上げグラフである。図15の例では、13時から16時の間、計画発電量の合計が最適発電量を超えている。13時において最適発電量を超えた発電所1について電力価格が下げられると(b1)、発電所1の水位計画装置21は電力の販売価格を最大化するべく、他の時間の発電量を増やすことが期待される。(b2)の例では、13時に計画されていた発電が11時に移動している。14時には、発電所1及び2について電力価格が下げられ(c1)、これにより電力の販売価格を最大化するべく、発電所1の水位計画装置21は14時に計画していた発電が17時に移動し、発電所2の水位計画装置21は14時に計画していた発電を11時に移動している(c2)。同様に、15時には発電所1についての電力価格が下げられて(d1)、発電所1における発電は10時に移動されている(d2)。16時には発電所1−3についての電力価格が下げられ(e1)、16時に計画されていた、発電所1における発電は18時に、発電所2における発電は10時に、発電所3における発電は11時にそれぞれ移動されている(e2)。このようにして、(e2)では、最適発電量にほぼ沿った状態で、各水位計画装置21によって発電計画が策定される。
【0046】
以上のように、本実施形態の経済負荷配分システムでは、経済負荷配分調整装置10は、最適発電量よりも計画発電量が多い時間帯があれば、その時間帯の電力価格を最低値に設定した上で、水位計画装置21に水位計画を再計算させることができる。水位計画装置21では電力の販売価格を最大化するように水位が計画されるため、電力価格が下げられた時間帯における発電量を下げるように計画が修正されることが期待される。これにより、発電量を最適需給計画に近づけることができる。
【0047】
==電力価格の調整(温水器)==
図16は、図4のステップS309及び図5のステップS410における、貯湯温度制御装置22に送信するための電力価格の調整処理の流れを説明する図である。
経済負荷配分調整装置10は、需給計画装置23から受信した最適電力価格を温水器に対応付けて格納する価格表71を作成する(S520)。本実施形態では、価格表71は、温水器を列方向とし、時間を行方向として価格を格納する。経済負荷配分調整装置10は、貯湯温度制御装置22から受信した計画需要量を温水器ごとに格納する需要量表72を作成する(S521)。本実施形態では、需要量表72も、温水器を列方向とし、時間を行方向として需要量を格納するものとする。また、経済負荷配分調整装置10は、各時間について、各温水器に対応する計画需要量を合計し、需要量表72の時別合計欄651に設定する。さらに、経済負荷配分調整装置10は、温水器ごとの各時間の制約条件を格納する制約条件表73を作成し、制約条件を初期値に設定する(S522)。図17は、制約条件表73の一例を示す図である。なお、本実施形態では、制約条件は最小通電量及び最大通電量のみであるものとする。また、全ての温水器についての制約条件の初期値は同じ値であるものとする。
【0048】
経済負荷配分調整装置10は、時別合計が最大となる最初の時点を特定し、その時点における需要量が大きい温水器順に、価格表71及び需要量表72の列を並べ替える(S523)。図19及び図20はそれぞれ、並べ替えた後の価格表71及び需要量表72の一例を示す図である。図19及び図20の例では、価格表71及び需要量表72の列が左から温水器3、温水器1、温水器2の順に並べ替えられている。
【0049】
経済負荷配分調整装置10は、需要量表62において時別合計の大きい順に、順番kに対応付けて時間t(k)を、図18に示す需要量順時刻表74に記録する(S524)。経済負荷配分調整装置10は、変数kに1を設定し(S525)、需要量順時刻表74からkに対応するt(k)を読み出してtとする(S526)。図20の例では、例えば、5時における時別合計「150」が最大であれば、tは「5」となる。なお、時別合計が同じ値の時間が複数ある場合には、例えば、より早い時間を選択するなど、所定の決定方法によりtに設定する時間を選択する。経済負荷配分調整装置10は、t時における最適需要量をLMAXとし(S527)、変数L0に0(ゼロ)を設定し(S528)、変数nに1を設定する(S529)。経済負荷配分調整装置10は、n番目の温水器におけるt時の計画需要量、すなわち需要量表72の左からn番目の列のt時に対応する値をLnとし(S530)、L0にLnを加算する(S531)。
L0がLMAX未満であれば(S532:NO)、経済負荷配分調整装置10は、nをインクリメントして(S533)、ステップS530からの処理を繰り返す。
【0050】
L0がLMAX以上になれば(S532:YES)、経済負荷配分調整装置10は、n番目より後の電力価格、すなわち、価格表71の左からn番目より後のt時に対応する値を、所定の最高値に設定する(S534)。図21の例では、最高値が「99」であるものとしている。例えば、nが1であり、tが5であれば、5時の電力価格711は、温水器3以外について99となる。
【0051】
経済負荷配分調整装置10は、1からkまでの変数iについて以下の処理を行う。経済負荷配分調整装置10は、n番目以前の各温水器について、t(i)を需要量順時刻表74から読み出し、t(i)時に対応する需要量表72の需要量を取得する(S535)。経済負荷配分調整装置10は、経済負荷配分調整装置10は、n番目以前の各温水器について、t(i)時に対応する制約条件表73の最小通電量及び最大通電量の両方に、取得した需要量を設定する(S536)。これにより、1からn番目の温水器について、t(i)時の通電量を変化させることができなくなり、したがって、貯湯温度制御装置22が最適加熱計画を再計算する場合にも、t(i)時の需要量が変化しないようにすることができる。
【0052】
以上の処理を1からkまでのiについて繰り返し、電力価格の調整を行わない温水器については、t(i)時に対応する最小通電量と最大通電量の両方に、取得した需要量が設定される。
【0053】
経済負荷配分調整装置10は、各温水器について、価格表71から時間毎の電力価格を読み出し、制約条件表73から時間毎の制約条件(最小通電量及び最大通電量)を読み出し、読み出した電力価格及び制約条件を含む最適計画要求を貯湯温度制御装置22に送信して(S537)、貯湯温度制御装置22に最適加熱計画を再計算させる。経済負荷配分調整装置10は、kをインクリメントする(S538)。経済負荷配分調整装置10は、全ての時間について処理を行っていなければ、すなわちkが24以下であれば(S539:NO)、ステップ526からの処理を繰り返し、kが24を超えれば(S539:YES)、処理を終了する。
【0054】
図22は、上述した図16に示す電力価格の調整処理を説明する図である。(a1)は、需給計画装置23により算出された最適電力価格を示すグラフであり、(a2)は、最適需要量の折れ線グラフと、最適電力価格に応じて各貯湯温度制御装置22により算出された計画需要量の積み上げグラフである。図22の例では、5時から8時の間、計画需要量の合計が最適需要量を超えている。最適需要量を超えた7時において温水器4及び5について電力価格が上げられると(b1)、温水器4及び5を制御する貯湯温度制御装置22は消費電力に係る電気料金を最小化するべく、電力価格が上げられた時間の需要量を減らし、他の時間の需要量を増やすことが期待される。(b2)の例では、7時に計画されていた温水器5による加熱が4時に移動している。8時においても、温水器4及び5について電力価格が上げられ(c1)、これにより電力料金を最小化するべく、温水器4及び5の貯湯温度制御装置22は、8時に計画していた加熱を3時に移動している。5時においても温水器4及び5について電力価格が上げられて(d1)、加熱が2時に移動しており(d2)、6時においても温水器4及び5について電力価格が上げられて(e1)、加熱が1時に移動している(e2)。このようにして、(e2)では、最適発電量にほぼ沿った状態で、各貯湯温度制御装置22により加熱計画が策定される。
【0055】
以上のように、最適需要量よりも計画需要量が多い時間帯があれば、その時間帯の電力価格を最高値に設定した上で、貯湯温度制御装置22に加熱計画を再計算させることができる。貯湯温度制御装置22では、加熱にかかる電力料金を最小化するように加熱計画が再計算されるため、電力価格が上げられた時間帯における消費電力を下げるように加熱計画が修正されることが期待される。これにより、電力需要量を最適需給計画に近づけることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、経済負荷配分システムには複数の水位計画装置21が配置されるものとしたが、1つの水位計画装置21のみが設置されている場合でもよい。同様に、1つの貯湯温度制御装置22のみが設置されている場合でもよい。また、水位計画装置21を設けず、1つ以上の貯湯温度制御装置22のみを設置するようにしてもよいし、逆に貯湯温度制御装置22を設けず、1つ以上の水位計画装置21のみを設置するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、経済負荷配分調整装置10は水位計画装置21及び貯湯温度制御装置22のそれぞれに対して最適計画を再計算させるものとしたが、水位計画装置21及び貯湯温度制御装置22のどちらか一方にのみ再計算させるようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、需要量の計画は温水器に接続された貯湯温度制御装置22により行うものとしたが、貯湯温度制御装置22は、温水器に限らず、冷蔵庫や冷凍庫、空調設備、蓄電機器など、各種の電気機器について消費電力量を調整するようにすることもできる。
【0059】
また、本実施形態では、水力発電に関する制約条件は最小取水量及び最大取水量のみであるものとしたが、最適水位計画を再計算しても前回の発電量から変化ない制約条件であれば、その他の制約条件を設定するようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、全ての水力発電所についての制約条件の初期値は同じ値であるものとしたが、経済負荷配分調整装置10が、水位計画装置21から制約条件を取得するようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、全ての水力発電所の有効落差hnが同じ値であるものとしたが、経済負荷配分調整装置10が水力発電所ごとのhnを記憶しておき、それを読み出すようにすることもできる。
【0062】
また、本実施形態では、温水器ごとの価格表71や需要量表72を作成するものとしたが、温水器が大量に設置されているような場合には、温水器が設置されているエリアごとに集約するようにしてもよい。この場合、例えば、貯湯温度制御装置22は、時別の給湯需要量とともに、温水器が設置されているエリアを示すエリア情報を経済負荷配分調整装置10に送信するようにする。経済負荷配分調整装置10は、同じエリアの貯湯温度制御装置22から送信された時別の給湯需要量を合計して、エリア情報に対応付けて時別の給湯需要量を需要量表72に格納するようにする。また、経済負荷配分調整装置10は、エリア情報ごとに電力価格を価格表71に格納するようにする。これにより、大量の温水器が設定されている場合に、電力価格の調整処理に係る計算負荷を軽減することができる。
【0063】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10 経済負荷配分調整装置
21 水位計画装置
22 貯湯温度制御装置
23 需給計画装置
24 通信ネットワーク
101 CPU
102 メモリ
103 記憶装置
104 通信インタフェース
105 入力装置
106 出力装置
111 最適需給計画取得部
112 最適発電量取得部
113 最適需要量取得部
114 電力価格調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水力発電による単位時間ごとの発電量の最適値を算出するとともに前記単位時間ごとの電力価格の最適値を算出する需給計画装置と、前記電力価格に応じて前記水力発電による発電量を計画する水力発電計画装置と、のそれぞれと通信可能に接続される、前記水力発電の計画を調整する装置であって、
前記単位時間ごとの前記発電量の最適値及び前記電力価格を前記需給計画装置から取得する最適需給計画取得部と、
前記電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御し、前記水力発電計画装置から前記発電量の計画値を取得する最適発電量取得部と、
前記発電量の計画値が前記発電量の最適値を超えている前記単位期間について前記電力価格を減少させて、前記減少させた電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御する価格調整部と、
を備えることを特徴とする水力発電計画調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水力発電計画調整装置であって、
前記需給計画装置は、前記水力発電による前記発電量の最適値と、電気機器による電力の需要量の最適値とを算出し、前記発電量の最適値と前記需要量の最適値とに応じて前記電力価格を算出し、
前記取得した電力価格の最適値に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御し、前記需要計画装置から前記需要量の計画値を取得する最適需要量取得部をさらに備え、
前記価格調整部はさらに、前記需要量の計画値が前記需要量の最適値を超えている前記単位時間について前記電力価格を増加させて、前記増加させた電力価格に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御すること、
を特徴とする水力発電計画調整装置。
【請求項3】
請求項2に記載の水力発電計画調整装置であって、
前記価格調整部は、前記需要量の計画値が前記需要量の最適値を超えていえる前記単位時間について前記電力価格に所定の最高値を設定すること、
を特徴とする水力発電計画調整装置。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれかに記載の水力発電計画調整装置であって、
前記価格調整部は、前記発電量の計画値が前記発電量の最適値を超えている前記単位期間について前記電力価格に所定の最低値を設定すること、
を特徴とする水力発電計画調整装置。
【請求項5】
水力発電の計画を調整する方法であって、
前記水力発電による単位時間ごとの発電量の最適値を算出するとともに前記単位時間ごとの電力価格の最適値を算出する需給計画装置と、前記電力価格に応じて前記水力発電による発電量を計画する水力発電計画装置と、のそれぞれと通信可能に接続されるコンピュータが、
前記単位時間ごとの前記発電量の最適値及び前記電力価格を前記需給計画装置から取得し、
前記電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御し、前記水力発電計画装置から前記発電量の計画値を取得し、
前記発電量の計画値が前記発電量の最適値を超えている前記単位期間について前記電力価格を減少させて、前記減少させた電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御すること、
を特徴とする水力発電計画調整方法。
【請求項6】
請求項5に記載の水力発電計画調整方法であって、
前記需給計画装置は、前記水力発電による前記発電量の最適値と、電気機器による電力の需要量の最適値とを算出し、前記発電量の最適値と前記需要量の最適値とに応じて前記電力価格を算出しており、
前記コンピュータはさらに、前記取得した電力価格の最適値に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御し、前記需要計画装置から前記需要量の計画値を取得し、
前記コンピュータは前記減少させた電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御するとともに、さらに前記需要量の計画値が前記需要量の最適値を超えている前記単位時間について前記電力価格を増加させて、前記増加させた電力価格に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御すること、
を特徴とする水力発電計画調整方法。
【請求項7】
水力発電の計画を調整するためのプログラムであって、
前記水力発電による単位時間ごとの発電量の最適値を算出するとともに前記単位時間ごとの電力価格の最適値を算出する需給計画装置と、前記電力価格に応じて前記水力発電による発電量を計画する水力発電計画装置と、のそれぞれと通信可能に接続されるコンピュータに、
前記単位時間ごとの前記発電量の最適値及び前記電力価格を前記需給計画装置から取得するステップと、
前記電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御し、前記水力発電計画装置から前記発電量の計画値を取得するステップと、
前記発電量の計画値が前記発電量の最適値を超えている前記単位期間について前記電力価格を減少させて、前記減少させた電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムであって、
前記需給計画装置は、前記水力発電による前記発電量の最適値と、電気機器による電力の需要量の最適値とを算出し、前記発電量の最適値と前記需要量の最適値とに応じて前記電力価格を算出しており、
前記コンピュータにさらに、前記取得した電力価格の最適値に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御し、前記需要計画装置から前記需要量の計画値を取得するステップを実行させ、
前記コンピュータに、前記減少させた電力価格に応じて前記発電量を計画するように前記水力発電計画装置を制御させるとともに、さらに前記需要量の計画値が前記需要量の最適値を超えている前記単位時間について前記電力価格を増加させて、前記増加させた電力価格に応じて前記需要量を計画するように前記需要計画装置を制御させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図15】
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【図22】
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