水可溶化胆汁酸投薬処方の乾燥形態、その製造方法及び用途
胆汁酸の透明な水溶液の選択されたpH値の範囲で如何なる検出可能な沈殿物も形成しない胆汁酸の透明な水溶液を含む薬剤学的及びその他の用途のための組成物、及びこの溶液を製造する方法が開示されている。この開示された組成物は、水と、胆汁酸、胆汁酸塩、またはアミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸の形態の胆汁酸と、水可溶性でんぷん転化物及び水可溶性非でんぷん多糖類の何れか一方または両方を含む。前記組成物は、水系で得られる全てのpH値の範囲で沈殿物を形成することなく溶液状態にある。前記組成物は、一部の実施形態によると、薬剤学的化合物を薬剤学的有効量でさらに含有する。また、本発明は、乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形及びこの乾燥形態を製造する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)可溶性胆汁酸、水可溶性胆汁酸誘導体、胆汁酸塩、またはアミンとコンジュゲートされた胆汁酸からなる群から選択される1種以上の胆汁酸(集合的に”胆汁酸”という)、(ii)水及び(iii)所望のpH範囲内の如何なるpHでも沈殿物を形成しない溶液を生成するのに充分な量の1種以上の水可溶性でんぷん転化物または水可溶性非でんぷん多糖類を含む水溶液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コレステロール由来の有機酸である胆汁酸塩は、脂質の吸収、輸送及び分泌において中枢的な役割をする天然イオン性成分である。一次胆汁酸という用語は、肝によって新しく合成されたものを意味する。ヒトにおいて、一次胆汁酸は、コール酸(3α,7α,12α−トリヒドロキシ−5β−コラン酸)(”CA”)及びケノデオキシコール酸(3α,7α−ジヒドロキシ−5β−コラン酸)(”CDCA”)を含む。これら胆汁酸の腸内細菌による脱ヒドロキシル化は、より多くの疎水性二次胆汁酸、すなわち、デオキシコール酸(3α,12α−ジヒドロキシ−5β−コラン酸)(”DCA”)及びリトコール酸(3α−ヒドロキシ−5β−コラン酸)(”LCA”)を生成する。これら4種の胆汁酸CA、CDCA、DCA及びLCAは、一般的にヒトでの胆汁塩プール(pool)の99%以上を構成する。さらに肝によって代謝された二次胆汁酸は、三次胆汁酸と表記される場合もある。
【0003】
ケト−胆汁酸は、大腸細菌によって胆汁酸ヒドロキシル基、特に7−ヒドロキシル基が酸化されその結果としてヒトで副次的に生産される。しかし、ケト−胆汁酸は、肝によって迅速に還元され、対応するαまたはβ−ヒドロキシ胆汁酸になる。例えば、CDCAの対応するケト胆汁酸は、7−ケトリトコール酸で、対応するβ−ヒドロキシ胆汁酸による還元産物の一つは、三次胆汁酸であるウルソデオキシコール酸(3α−7β−ジヒドロキシ−5β−コラン酸)(”UDCA”)である。
【0004】
ラットやマウスから発見される6β−ヒドロキシル基を含有する胆汁酸は、ムリコール酸として知られており、豚によって生産された6α−ヒドロキシ胆汁酸は、ヒオコール酸及びヒオデオキシコール酸と呼ばれる。水生哺乳類の23−ヒドロキシ胆汁酸は、フォセコール酸(phocecholic acid)及びフォセデオキシコール酸(phocedeoxycholic acid)として知られている。
【0005】
一般的に、ヒトの胆汁中に分泌される自然産胆汁塩の99%以上はコンジュゲートされている。コンジュゲートは、二次有機置換体(例えば、グリシン、タウリン、グルクロネート、サルフェートまたは稀にはその他の置換体)がエステル、エーテルまたはアミド結合を介して側鎖カルボキシル酸に、または環ヒドロキシル基の一つに結合された胆汁酸である。したがって、グリシンまたはタウリンによってコンジュゲートされた胆汁酸のイオン化特性は、置換したグリシンあるいはタウリンの酸度によって決定される。
【0006】
遊離の非コンジュゲートされた胆汁酸単量体のpKa値は、約5.0である。しかし、グリシンコンジュゲートされた胆汁酸のpKa値は平均3.9で、タウリンコンジュゲートされた胆汁酸のpKa値は平均1.0未満である。したがって、コンジュゲーションの効果は、大きな部分が任意に与えられたpHでイオン化されるように胆汁酸のpKaを低減させることである。イオン化された塩形態は、プロトン化された酸形態よりも水可溶性であるので、コンジュゲーションは、低いpHで溶解度を高める。遊離胆汁酸塩は、pH6.5〜7で水溶液から沈殿する。これに対し、グリシンコンジュゲートされた胆汁酸の沈殿は、pH5未満でのみ起きる。タウリンコンジュゲートされた胆汁酸は、非常に強力な酸性条件下(pH1以下)で水溶液状態にある。しかし、胃のpH範囲で、UDCAまたはCDCAなどの任意の胆汁酸は可溶性でない。
【0007】
胆汁酸の側鎖とグリシンまたはタウリンとのコンジュゲーションは、完全にイオン化された胆汁塩の疎水性活性に対する影響が少ない。より疎水性の胆汁塩であるほど、燐脂質及びコレステロールに対して一層大きな溶解能を発現するので、一層良好な洗浄剤であるといえる。また、より疎水性の胆汁塩であるほど、生体内及び試験官内の両方において各種のメンブランに対して一層有害である。
【0008】
天然の胆汁塩プールは、常に多数の胆汁酸塩を含有する。疎水性活性が異なる2種以上の胆汁塩の混合物は、中間の疎水性活性を有する単一の胆汁塩としての性質を有する。その結果、疎水性活性が異なる2種の胆汁酸の混合物の洗浄剤性質と毒性は、各成分の中間である場合もある。
【0009】
胆汁酸は、多様な性質を有する。例えば、UDCAは、有用な免疫−調節剤である。それはまた、ヒト腸内上皮細胞及び生体内で酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase:NOS)の誘導を抑制することもできる。胆汁酸は、UDCAが最も強力であるが、ペプシン抑制剤として作用することもある。加えて、胆汁酸は、メンブラン安定化性質を有することもある。UDCAは、新規の選択的なグルココルチコイドレセプター(glucocorticoid receptor:GR)調節剤の原型であり、GRの転写促進機能の誘発なしにNF−kBを抑圧する。加えて、UDCAは、肝細胞及び肝以外の細胞の両方において、異なるアポトーシス経路を通して作用する各種の製剤に対するアポトーシス閾値を調整するユニークな役割を担当する。最後にUDCAは、特異的な酸化防止特性を有する。UDCAのOH自由ラジカルスカベンジャー能は、このラジカル種との反応速度定数が公知の薬理学的スカベンジャーであるマンニトール及び生理学的スカベンジャーであるグルコースまたはヒスチジンの反応速度定数より約10倍高いという点で注目すべきである。このスカベンジャー活性は、ミトコンドリア膜電位及び反応性酸素種生成を調節することで、デオキシコール酸―誘発アポトーシスを抑制するUDCAの能力を上昇させることができる。
【0010】
胆汁酸の流れは、肝を通過する胆汁塩の流動によって生成される。ウルソデオキシコール酸は、肝細胞がATPを胆汁に遊離させた後、細胞質Ca++での変化を介して下流の胆管上皮で体液及び電解質分泌を刺激させることで、胆汁流動を促進させることができる。腸肝循環での胆汁塩は、胆汁酸生合成経路での速度制限酵素であるコレステロール7−ヒドロキシラーゼの活性を抑制または減少させることで、胆汁酸合成を調節するものと考えられる。胆汁形成は、ビリルビンなどの有機化合物、ステロイドホルモンの両親媒性誘導体などの内因性代謝産物、各種の薬物とその他の生体異物の溶解性及び分泌のための重要な経路を示す。
【0011】
胆汁酸は、肝脂質蛋白レセプター(apo B.E.)の調節役割をすることで、肝での脂質蛋白コレステロールの摂取の割合を調節することができる。一方、胆汁への胆汁塩の分泌は、2種の異なる胆汁脂質であるホスファチジルコリン(レシチン)及びコレステロールの分泌と連結される。胆汁塩出力とレシチン及びコレステロール出力との連結は、肝コレステロールの除去のための主な経路を提供する。胆汁酸は、ヒドロキシメチルグルタリル−コエンチームA(HMG−CoA)還元酵素に対して直接的に作用するか、または間接的に腸内のコレステロール吸収を調節することで、コレステロール合成の調節の寄与因子でもある。胆汁塩は、レシチンと一緒に、ミセルとベシクルが混合された形態において胆汁内コレステロールを溶解させる。腸内で、混合されたミセル形態の胆汁塩は、コレステロール、脂溶性ビタミン、その他の脂質の管内溶解、輸送及び吸収に関与する。胆汁塩は、腸管内腔から刷子縁(brush border)までのカルシウム及び鉄の輸送に関与する。
【0012】
熊胆の主な成分であるUDCAは、多くの種類の肝疾患に対する治療及び予防用の主な薬剤学的製剤として用いられてきた。その医薬的用途は、放射線透過胆石の溶解、胆汁消化不良、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、慢性活性肝炎及びC型肝炎の治療などを含む。高濃度の胆汁酸は、C型肝炎ウイルスの増殖を著しく阻害する。
【0013】
UDCAの親水性性質は、肝の壊死炎症性疾患の細胞保護を付与することができる。また、UDCAは、慢性肝炎での肝損傷のアミノ転移酵素及び胆汁停滞酵素指数を有意に向上させ、アルコール性脂肪肝を緩和させる。胆汁塩欠乏症及びこれにより減少した胆汁でのコレステロール溶解性は、コレステロール胆石の発病機序の役割を担当する。
【0014】
胆汁酸は、心臓及び胃腸管に影響を及ぼすことを含む、その他の多数の疾患状態を治療するときの重要な治療的価値を有することもある。例えば、UDCAは、全身性血管床(systemic vascular bed)に対する血管拡張効果を有するが、肺血管機能や心臓機能を変化させない。胃腸管に関して、胆汁酸は、実質的にヘリコバクタ・ピロリ(H.pylori)の増殖を阻害する。
【0015】
治療上の活性剤として、そして、担体及び/またはアジュバントとしての胆汁酸の潜在的に価値のある医薬的用途にもかかわらず、胆汁酸の商用的用途は、錠剤、カプセル及び懸濁剤である胆汁酸の固体形態を有する薬剤学的処方に制限される。これは、約pH1〜8の水性媒質中での胆汁酸の不溶性に起因する。また、これは、胆汁の非常に苦い味と、数時間持続する同等な苦い後味に起因する。少ない利用可能な水溶性投薬形態は、不安定であり、pH制御及び維持の問題点から使用での制限を有する。さらに、胆汁酸の一部の市販の薬剤学的投薬処方は、不充分な生体利用率を有すると報告されている。これは、固体の胆汁酸処方でも同様である。
【0016】
したがって、(液体)であるか、または、透明な水溶液を形成する(固体である)液体及び固体胆汁酸処方に対する必要性が生じてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
胆汁酸組成物は、乾燥または固体形態で保存または投与されることが好ましい。したがって、本発明は、水にさらしたとき、透明なまたは粒状物のない溶液を形成する胆汁酸の乾燥または固体製剤(或いは剤形)に関するものである。本発明の乾燥または固体形態は、胆汁酸の透明なまたは粒状体のない溶液(”母液”)から製造される。また、本発明は、この乾燥または固体形態を製造および/または可溶化させる方法に関するものである。これら剤形の利点は、胆汁酸の改善された生体利用率、血漿生体利用率及び吸収性を含む。本発明の剤形の付加的な利点は、1以上の薬剤学的化合物の改善された生体利用率、血漿生体利用率及び吸収性を含む。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一部の好ましい実施形態において、本発明の乾燥または固体製剤は、水にさらされて(1)胆汁酸、それらの誘導体、それらの塩またはそれらとアミンとのコンジュゲート、(2)水及び(3)胆汁酸とでんぷん転化物が、選択されたpH範囲内の如何なるpHでも溶液状態になるように充分な量の水可溶性でんぷん転化物を含む溶液となる。一部の好ましい実施形態によると、本発明の乾燥または固体製剤は、水にさらされて(1)胆汁酸、それらの誘導体、それらの塩またはそれらとアミンとのコンジュゲート、(2)水及び(3)胆汁酸と多糖類が、選択されたpH範囲内の如何なるpHでも溶液状態になるように充分な量の水可溶性非でんぷん多糖類及び水可溶性でんぷん転化物を含む溶液となる。
【0019】
本発明の乾燥または固体形態は、水にさらされて耐性マルトデキストリン、水可溶性人参抽出物、薬剤学的適正量の薬剤学的化合物、水可溶性ビスマス化合物またはこれらの組み合わせをさらに含む溶液になることができる。前記溶液が上記のような物質を1種以上含む場合、この溶液組成物は、これら物質が確実に溶液状態を保つよう調整されることができる。
【0020】
本発明の乾燥または固体製剤は、崩壊剤を1種以上含むことができる。本発明の一部の実施形態において、胆汁酸組成物の溶液処方は、投与後、その乾燥形態の破壊または崩壊を容易にするために崩壊剤を含む。本発明の溶液のpHは、高出力超音波処理下、酸により調整されても良い。本発明の一部の非制限的な実施形態において、高出力超音波処理は、乾燥または固体胆汁酸製剤の溶解化を加速させる。
【0021】
本発明の乾燥または固体形態は、透明なまたは粒状物のない母液から製造される。本発明の一部の実施形態において、胆汁酸組成物の溶液剤形から誘導された乾燥形態は、流動床乾燥手法から発展した造粒化方法によって顆粒化される。この方法において、可溶性繊維溶液(顆粒化溶液)は、懸濁状態の乾燥形態中にまたはその乾燥形態上に噴射された後、浮遊する空気中で迅速に乾燥される。
【0022】
本発明の一部の実施形態において、(1)胆汁酸、それらの誘導体、それらの塩またはそれらとアミンとのコンジュゲート、(2)水及び(3)胆汁酸成分と炭水化物が、選択されたpH範囲内の如何なるpHでも溶液状態になるように充分な量の炭水化物を含み、前記炭水化物は、水可溶性でんぷん転化物と水可溶性非でんぷん多糖類の組合物である組成物が提供される。可溶性非でんぷん多糖類と高分子量でんぷん転化物の両方を含有する実施形態において、それぞれの量は、これらが一緒に組成物に配合される場合、胆汁酸成分、高分子量でんぷん転化物、可溶性非でんぷん多糖類、及びもし存在するなら薬剤学的化合物が、選択されたpH範囲内の如何なるpHでも溶液状態になるのに充分であればよい。
【0023】
本発明の一部の実施形態において、薬剤の反応または効能の強度を増加させる併用療法組成物が提供される。このような組成物は、低い投薬量の薬剤学的化合物の投与を許容し、異なる地点で複合疾患を攻撃し、薬剤学的化合物の吸収を変更及び/または除去することができる。このような組成物は、薬剤の毒性及び/または副作用の減少をもたらすか、減少に寄与する。
【0024】
一部の実施形態において、本発明の胆汁溶液は乾燥されている。また、本発明は更に、凍結乾燥、蒸発または当業界で知られた脱水のその他の任意の手法によって胆汁酸組成物の溶液処方から誘導された乾燥形態に関するものである。前記溶液は、部分的に乾燥されて半固体形態を生産することができる。また、前記溶液は、完全に乾燥されて固体、粉末及び顆粒を生産することもできる。水溶液の乾燥形態は、実質的に水を含まないこともある。乾燥形態は、流動法、トレイ法、噴霧法または凍結法によって乾燥されることもある。また、乾燥形態は、乾燥投薬形態で直接投与したり、または、投与前に水と配合させてもよい。
【0025】
また、本発明は更に、本発明の組成物の投与を含むヒトまたは動物疾患を治療または予防する方法に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、(i)可溶性胆汁酸、水可溶性胆汁酸誘導体、胆汁酸塩、またはアミンとコンジュゲートされた胆汁酸からなる群から選択される1種以上の胆汁酸(集合的に”胆汁酸”という)、(ii)水及び(iii)所望のpH範囲内の如何なるpHでも沈殿物を形成しない溶液を生成するのに充分な量の1種以上の水可溶性でんぷん転化物または水可溶性非でんぷん多糖類を含む水溶液に関するものである。
【0027】
前記組成物は、それ自体で薬剤学的有効性を有する胆汁酸またはその塩を含有する。本発明の処方は、所望のpH範囲で本発明の組成物に溶解された状態である薬剤学的物質の輸送のための担体、アジュバントまたは増強剤として作用する。本発明の一部の実施形態において、非−胆汁酸薬剤は、必ずしも溶液状態である必要なしに用いられる。
【0028】
本発明の利点は、胆汁酸及び炭水化物が、酸性からアルカリ性までの如何なるpHでも沈殿することなく溶液状態にある点にある。胆汁酸の水溶液系は、沈殿物または粒子が全くない。本発明の他の利点は、50℃で保存する加速条件下で7ケ月間観察した後にも、強酸またはアルカリの添加後に透明性、色または臭いの変化などの物理的外観の変化がないことに立証された点にある。
【0029】
本発明の一部の実施形態において、胆汁酸の水溶液系は、経口投与されて胃腸管を通して移動するとき、酸性胃液にさらされ、腸のアルカリ性環境にさらされても胆汁酸が固形物として沈殿されることがない。これら剤形は、胃腸管内で変化していない胆汁酸溶液系が効果的かつ完全に吸収されることを証明している。
【0030】
本発明によると、胆汁酸溶解度(例えば、沈殿や物理的外観の変化)は、任意の胆汁酸のカルボキシル酸側鎖がプロトン化(非イオン化)されるか、イオン化されるか、または、単純にカルボキシル酸であるかによって影響を受けない。胆汁酸カルボキシル酸側鎖のイオン化状態は、これら水溶液系において胆汁酸によるミセル形成の能力に大きな影響を及ぼす。本発明の一部の実施形態において、そのイオン化状態は、治療上活性剤として、薬物のアジュバントとして、薬物の担体として、または薬物溶解度の増強剤としてこれら水溶液系を使用するために、薬物と一緒に胆汁酸のミセル形成を制御するようにpHを調製することで操作される。これら水溶液系は、長期間の経過後であっても、沈殿または物理的外観が低下するという短所なしに、所望のpHを有する経口消費剤、浣腸剤、口腔洗浄剤、うがい剤、鼻腔製剤、耳製剤、注射剤、洗浄剤、局所皮膚製剤、その他の局所製剤及び化粧製剤のために製造される。
【0031】
可溶性胆汁酸は、任意の類型の水可溶性胆汁酸である。胆汁酸塩は、任意の胆汁酸の水可溶性塩である。本発明の可溶性胆汁酸誘導体は、対応する非誘導体化胆汁酸と同様に、水溶液に可溶性であるか、この非誘導体化胆汁酸より水溶液中により可溶性である誘導体である。胆汁酸誘導体は、限定されるものではないが、胆汁酸のヒドロキシル基またはカルボキシル酸基を、他の作用基、これらに制限されないものではないが、ハロゲン及びアミノ基とした誘導体を含む。胆汁酸の水性溶解塩は、上述した胆汁酸とアミン、これらに限定されることはないが、トリエンチン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族遊離アミン類;アルギニン、リシン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸;D−グルカミン、N−アルキルグルカミンなどのアミノ糖類;コリンなどの4次アンモニウム誘導体;ピペラジン、N−アルキルピペラジン、ピペリジン、N−アルキルピペリジン、モルホリン、N−アルキルモルホリン、ピロリジンなどの複素環式アミン;トリエタノールアミン及びトリメタノールアミンなどのアミンとの反応によって形成される。本発明によると、可溶性胆汁酸塩として、胆汁酸の水可溶性金属塩または水可溶性O−スルホン化胆汁酸などが挙げられる。
【0032】
本発明の胆汁酸は、ケノデオキシコール酸、コール酸、ヒオデオキシコール酸、デオキシコール酸、7−オキソリトコール酸、リトコール酸、ヨードデオキシコール酸、イオコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロリトコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸およびステロイド核にあるヒドロキシル基またはカルボキシル酸基でのそれらの誘導体からなる群から選択される。また、本発明の胆汁酸は、一次、二次及び三次胆汁酸から選択される。
【0033】
UDCAは、実質的にpH<7で不溶性である。UDCAのpKaは5.1で、そのプロトン化形態の溶解度は9μmol/Lである。溶液処方中のUDCAの溶解度は、元のUDCAの溶解度のほぼ30,000倍に相当する約100mg/mLである。したがって、本発明の主な利点は、溶液中の可溶化胆汁酸の伝達によって、他の製剤を遥かに超える胆汁酸(胆汁、血液など)の高い生体内レベルが達成される点にある。したがって、胆汁酸の治療能力は、既存の剤形より、全身供給によって各病巣で高濃度の適切な胆汁酸によって一層充分に達成される。胆汁が不完全に徐々に可溶化される既存の剤形によって得られる胆汁酸の生体内レベルは低くなる。さらに、その低い吸収性及び腸肝循環作用は、血液中のUDCAなどの治療上活性胆汁酸が検出できないことの原因となる。胆汁酸は、本発明の剤形に完全に溶解されるので、より低い容量が投与される場合も一層高い生体内胆汁酸レベルが達成される。
【0034】
本発明の一部の実施形態においては、複数の胆汁酸が単一処方に用いられる。疎水性活性が異なる2種以上の胆汁塩の混合物は、中間の疎水性活性を有する単一胆汁塩として作用することができる。その結果、2種以上の胆汁塩の混合物は、個別の胆汁酸より増加した洗浄剤特性や低い毒性などの独特の生理的利点を有する。
【0035】
本発明に適切に用いられる炭水化物は、水可溶性でんぷん転化物及び水可溶性非でんぷん多糖類を含む。水可溶性でんぷん転化物は、多様なpH条件下でのでんぷんの部分的または不完全な加水分解から得られる。また、これらは、約4〜40のデキストロース当量(DE)を有する。DEは、でんぷん重合体の加水分解程度の定量的な尺度である。これは、デキストロース標準100と還元力を比較し、測定される。DEが高いほど、でんぷん加水分解度が大きいことを意味する。産物が更に加水分解される(高くなる)ことで、平均分子量が減少する。非制限的な例としては、マルトデキストリン、デキストリン、液体グルコース、コーンシロップ固形分(液体グルコースの乾燥粉末)及び可溶性でんぷんが挙げられるが、マルトデキストリンまたはコーンシロップ固形分であることが好ましく、このうちコーンシロップ固形分であることが最も好ましい。本発明の目的のために、”コーンシロップ”という用語は、コーンシロップと液体グルコースの両方を全て含む。水可溶性非でんぷん多糖類は、グアーガム、ペクチン、オオバコ、オートガム、ダイズ繊維、オーツ麦、コーン皮、セルロース及びふすまなどの水可溶性繊維である。
【0036】
本発明に用いられる高分子量水可溶性でんぷん転化物の量は、少なくとも所望の濃度で、そして、所望のpH範囲内で選択された胆汁酸塩に可溶性を付与するのに必要な量である。本発明の水溶液剤形から胆汁酸の沈殿を防止するために必要なマルトデキストリンの近似的な最小量は、そのDE値に依存する。本発明の好ましい実施形態において、本発明の水溶液処方から胆汁酸の沈殿を防止するために必要な、Maltrin(登録商標)M150、Maltrin(登録商標) M180、Maltrin(登録商標)M200、Maltrin(登録商標)M250(コーンシロップ固形分)、液体グルコース及び可溶性でんぷんなどの15〜25のDE値を有するマルトデキストリンの近似的な最小量は、胆汁酸0.2gであるCDCAに対して約30g、UDCAに対して約5g、7−ケトリトコール酸(KLCA)に対して約12g、コール酸に対して約10g、デオキシコール酸に対して約50g、ヒオデオキシコール酸に対して約3.5gである。本発明の好ましい実施形態において、Maltrin(登録商標)M040、Maltrin(登録商標)M100などのマルトデキストリン(DE5−10)の近似的な最小量は、胆汁酸0.2gであるCDCAに対して約18g、UDCAに対して約3g、7−ケトリトコール酸(KLCA)に対して約7g、コール酸に対して約6g、デオキシコール酸に対して約30g、ヒオデオキシコール酸に対して約2.1gである。
【0037】
耐消化性マルトデキストリンは、水可溶性食餌繊維である。この耐可溶性マルトデキストリンは、コーンスターチから通常のアルファ−1,4グルコース結合の一部をランダム1,2−、1,3−及び1,4−アルファまたはベータ結合で意識的に変換させ生成する(従来のマルトデキストリン製造工程と類似している)。ヒトの消化系は、アルファ1,4−結合のみを効果的に消化させ、他の結合が消化に対する耐性のある分子を与える。したがって、生成された他の結合は、小腸で吸収されずに大腸まで通過する。この耐性マルトデキストリンは、大腸で部分的に発酵され、用いられない分画を分泌させる。この水可溶性マルトデキストリンは、正常の健康なレベルの血清コレステロール、血液トリグルセリド、血液グルコースレベル、腸の規則性及び腸内微生物叢を維持することを助ける。本発明の一部の実施形態において、溶液処方は、水可溶性の耐消化性マルトデキストリンを含むこともある。
【0038】
本発明の一部の実施形態において、処方は、シクロデキストリンを含むこともできる。
【0039】
薬物は、最も頻繁的には粉末、乾燥顆粒塊、錠剤及びカプセルなどの固体投薬形態によって経口投与される。前記固体投薬形態は、取り扱いを容易にし、物理的外観を強調し、安定性を向上させる。多くの場合において、薬物の溶解度及びその他の物理化学的特性は、固体投薬形態からの生理的有用性に影響を及ぼすものと知られている。乾燥形態は、可溶化を容易にする水可溶性胆汁酸、容易に可溶性の高分子量でんぷん転化物及び崩壊剤を含有する。胆汁酸の増大した溶解度は、増加した溶解速度をもたらす。その結果、吸収速度は、増加した溶解速度によって大きく増加される。
【0040】
本発明の組成物は、投与後の乾燥または固体形態の分解または崩壊を容易にする崩壊剤をさらに含む。崩壊剤は、ビーガム(Veegum) HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、天然スポンジ、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、かんきつパルプ、カルボキシメチルセルロース、粘土類、セルロース類、アルギン類、ガム類、架橋重合体(クロスポビドン)、架橋セルロース(クロスカメロース)及び架橋でんぷん(ソジウムでんぷんグリコレート)などのでんぷん類である。崩壊機能は、膨潤よりむしろ毛細管作用に起因する。一般的に、前記水可溶性崩壊剤は、乾燥前に活性成分と混合されている。水不溶性崩壊剤の場合、乾燥状態の粉末配合物に5重量%のでんぷんが添加される。一層迅速な崩壊を望む場合、この量は、10または15%まで増加される。2〜4%のソジウムでんぷんグリコレートは30秒以下で7倍〜12倍に膨潤され、クロスカメルロースは10秒以下で4倍〜8倍に膨潤される。
【0041】
二酸化炭素の放出は、胆汁酸組成物の溶液処方から由来した乾燥形態の迅速な溶解を起こすのに有効な方式である。重炭酸ナトリウムと酒石酸またはクエン酸などの酸味料との混合物を含有する乾燥形態は、水に添加される場合、泡が生じるはずである。重炭酸ナトリウムの量は、胆汁酸の量の約10倍である。酸味料の量は、重炭酸ナトリウムの量の20%以上である。充分な酸が添加されると、水中への溶解が迅速かつ完全になった場合、中性または弱酸性反応を起こすようになる。
【0042】
また、本発明は、胆汁酸組成物から由来した溶液処方の製造に関するものである。約60℃で加熱または加熱しない状態の高出力超音波処理は、本発明の乾燥または固体製剤を可溶化させるのに有用である。高出力超音波処理システムは、溶液剤形を製造する間、沈殿された化合物を溶液中に流し戻すために用いられる。超音波時間、パワー及び振幅の効果は、溶液中に化合物を流し戻すよう最適化される。20kHzの音響エネルギーを発生させる0〜1150ワットの超音波機が、本発明の透明な水溶液を形成するために用いられるであろう。
【0043】
乾燥形態は、湿式造粒化、乾式造粒化及び流動床造粒化によって母液から製造される。各成分が充分な固有の結合性や凝集性を有する場合、乾式造粒化法(スラッギング)が顆粒製造に用いられる。湿式及び乾式造粒化の一般的な段階は、称量、混合、造粒化(スラッギング)及びスクリーニングである。流動床造粒化は、懸濁された粒子層中に、または、その上に造粒化溶液または溶媒を噴射した後、浮遊する空気中で迅速に乾燥させることで行われる。これら方式において、母液から誘導された乾燥形態である懸濁粒子は、腸溶重合体を含有する造粒化溶液または溶媒によってコーティングされても良い。腸溶重合体は、6以上のpHで腸溶コーティングとして効果的に機能するセルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸−メタシル酸(methacylic acid)エステル共重合体、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)を含む。これら腸溶重合体を有する造粒形態は、胃ではそのまま残存するが、一旦腸及び大腸に到達すると活性成分を溶解及び放出させるはずである。
【0044】
ペレット化形態である球形化は、湿式造粒化または流動床造粒化から球形粒子(球体)を形成することを意味する。500ミクロン〜12mm直径範囲の棒状の円周断片は、圧出器を通して製造される。圧出後、断片をマルメライザー(Marumerizer)に置き、これらを回転板上で遠心力及び摩擦力によって球体に定形化する。ペレットは、乾燥された後でコーティングされる。本発明の一部の実施形態において、胆汁酸組成物の溶液剤形の乾燥形態は、球形化過程によって製造された後、腸溶重合体によってコーティングされる。
【0045】
剤形がその胆汁酸、でんぷん転化物、可溶性非でんぷん多糖類またはその薬剤学的化合物を沈殿させない選択されたpH範囲は、水系で得られるpHレベルの如何なる範囲でもある。この範囲は、約pH1〜pH14であることが好ましく、約pH1〜pH10であることが一層好ましい。さらに、前記範囲は、投与方法によって薬剤学的剤形が製剤から溶液状態に維持され、体内に投与されて吸収されるのに充分な水系で得られる任意の下位セットのpHレベルである。本発明の一部の実施形態において、胆汁酸は、酸性条件下で胆汁酸の一般的な不溶性にもかかわらず、遊離胆汁酸として酸性条件下で溶解された状態にある。本発明の一部の実施形態において、この組成物は、薬剤学的製剤が口腔、胃または腸で優勢なpHレベルで沈殿されることなく、溶液状態に置かれる薬剤学的剤形として用いられる。
【0046】
本発明は、広い範囲の薬剤学的物質の用途を想定する。非制限的な例としては、ホルモン、ホルモン拮抗剤、鎮痛剤、解熱剤、抗炎症薬物、免疫活性薬物、抗新生物性薬物、抗生物質、抗炎症剤、交感神経興奮剤、抗感染薬、抗腫瘍剤及び痲酔剤を含む。さらに、非制限的な例としては、胃腸管、肝、心血管系及び呼吸系統を標的とするか、影響を及ぼす薬物を含む。さらに、薬剤学的化合物の非制限的な例としては、インシュリン、リルゾール、ヘパリン、カルシトニン、アンピシリン、オクトレオチド、クエン酸シルディナフィル、カルシトリオール、ジヒドロタキステロール、アポモルヒネ、ヨヒンビン、トラザドン、アシクロビル、アマンタジン・HCl、リマンタジン・HCl、シドフォビル、メシル酸デラビルジン、ディダノシン、ファムシクロビル、フォスカルネットナトリウム(foscarnet sodium)、フルオロウラシル、ガンシクロビルナトリウム、イドクスウリジン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、ラミブジン、ネビラピン、ペンシクロビル、リバビリン、スタブジン、トリフルリジン、バラシクロビル・HCl、ザルシタビン、ジドブジン、インディナビル・H2SO4、リトナビル、ネルフィナビル・CH3SO3H、サクイナビル・CH3SO3H、d−ペニシラミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィンレバミソール、DTC、イソプリノシン、メチルイノシンモノフォスフェート、ムラミールジペプチド、ジアゾキシド、ヒドララジン・HCl、ミノキシジル、ジピリダモール 、イソクスプリン・HCl、ナイアシン、ナイリドリン ・HCl、フェントラミン、ドキサゾシン・CH3SO3H、プラゾシン・HCl、テラゾシン・HCl、クロニジン・HCl、ニフェジピン、モルシドミン、アミオダロン、アセチルサリチル酸、ベラパミル、ジルチアゼム、ニソルジピン、イスラジピン、ベプリジル、イソソルビド・ジニトレート、ペンタエリスリトール・テトラナイトレート、ニトログリセリン、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、ランソプラゾール、オメプラゾール、ミソプロストル、スクラルフェート、メトクロプラミド・HCl、エリスロマイシン、ビスマス化合物、アルプロスタジル、アルブテロール、ピルブテロール、テルブタリン・H2SO4、サルメテロール、アミノフィリン、ダイフィリン、エフェドリン、エチルノルエピネフリン、イソエタリン、イソプロテレノール、メタプロテレノール、n−ドクロミル、オクストリフィリン、テオフィリン、ビトルテロール、フェノテロール、ブデソニド、フルニソリド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、コデイン、硫酸コデイン、リン酸コデイン、デキストロメトルファン・HBr、トリアムシノロン・アセトニド、モンテルカストナトリウム、ザフィルルカスト、ジレウトン、クロモグリク酸ナトリウム、臭化イプラトロピウム、ネドクロミルナトリウムベンゾエート、ジフェンヒドラミン・HCl、ヒドロコドン・二酒石酸塩、メタドン・HCl、硫酸モルヒネ、アセチルシステイン、グアイフェネシン、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酒石酸カリウムアンチモン、グリセリン、抱水テルピン、パルミチン酸コルホスセリル、アトロバスタチン・カルシウム、セリバスタチン・ナトリウム、フルバスタチン・ナトリウム、ロバスタチン、プラバスタチン・ナトリウム、シンバスタチン、ピクロリザクロア(Picrorrhazia kurroa)、アンドログラフィスパニクラタ、モリンガオレイフェラ、アルピッツァレベック(albizzia lebeck)、アドハトーダバシカ、クルクマ・ロンガ(curcuma longa)、苦瓜(momordica charantia)、ギムネマシルベスタ(gymnema sylvestre)、ターミナリアアルジュナ(terminalia arjuna)、アザデラクチャインディカ、ティノスポリアコルディフォリア(tinosporia cordifolia)、メトロニダゾール、アムホテリシンB、クロトリマゾール、フルコナゾール、ハロプロジン、ケトコナゾール、グリセオフルビン、イトラコナゾール、テルビナフィン・HCl、エコナゾール・HNO3、ミコナゾール、ニスタチン、オキシコナゾール・HNO3、スルコナゾール・HNO3、セチリジン・2HCl、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、コーチゾン、カテキン及びその誘導体、グリシルリジン、グリシルリジン酸、ベタメタゾン、酢酸ルドロコルチゾン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、ソマトスタチン、リスプロ、グルカゴン、プロインシュリン、不溶性インシュリン、アカルボース、クロルプロパミド、グリピザイド、グリブライド、メトホルミン・HCl、レパグリニド、トルブタミド、アミノ酸、コルヒチン、スルフィンピラゾン、アロプリノール、ピロキシカム、トルメチンナトリウム、インドメタシン、イブプロフェン、ジフルニサル、メフェナム酸、ナプロキセン、トリエンチン、ビタミンE、ビタミンC、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、N−アセチルシステイン、ラザロイド類、U74389F及びU74006Fなどの21−アミノステロイド、カタラーゼ(CAT)、プトレシン−変性カタラーゼ(PUT−CAT)、エストロゲン、アルファ−リポ酸、セレギリン、デスフェリオキサミン(desferrioxamine)、d,l−ペニシラミン、アルファ及びベータ−カロチン、レチノール、セレニウム、銀杏(gingko Biloba)、リルゾール、フルピルチン、ピフィスリン−アルファ(pifithrin-alph a)、CGP3466B/TCH346、CPI−1189、CEP−1347及びコエンチームQ10が挙げられる。
【0047】
また、本発明の胆汁酸組成物は、人参を含むことができる。人参は、ビタミンA、B−6及びミネラルである亜鉛を含有し、これは、防御システムを作用させるのに必要な胸腺ホルモンの生産を助ける。人参の主な活性成分は、”ジンセノサイド”と呼ばれる25以上のトリテルペノイドグリコシドである。これらステロイド類似成分は、人参がストレス作用に均衡をなして対応できるようにする適応原的(adaptogenic)性質を提供する。グリコシドは、物理的、化学的または生物学的ストレスに反応して副腎に作用し、副腎肥大症及び過剰のコルチコステロイド生産を防止することを助けるものと示される。人参の薬物動態学的効果はCNSで、そして、心血管系、内分泌系及び免疫系で立証されている。また、人参及びその構成成分は、抗新生物、ストレス解消及び抗酸化活性を有すると言われている。また、これは、多くの活性成分を有する薬用植物であり、多くの研究から人参が有利な効果を有することが立証されている。人参は、反応または効能の強度を増加させ、個別の毒性を減少させ、好ましくない作用を相殺させ、長期間の吸収を変更するように、多様な漢方薬による併用効果が立証されている。
【0048】
人参の薬理学的効果はCNSで、そして、心血管系、内分泌系及び免疫系で立証されている。また、人参及びその水可溶性構成成分は、抗新生物、ストレス解消及び抗酸化活性を有すると言われている。本発明の一部の実施形態において、溶液剤形は、水可溶性人参(白人参及び赤人参)抽出物を含む。
【0049】
したがって、本発明は、広範囲な薬剤学的物質の用途を想定する。本発明の剤形において、可溶性および/または可溶性状態である如何なる薬剤学的物質も用いられる。前記処方における追加的な薬剤学的化合物と一緒に、溶液中の胆汁酸は、任意の治療上活性剤の溶解度のためのアジュバント、担体または増強剤として作用する。これらの例としては、インシュリン(pH7.4〜7.8)、ヘパリン(pH5〜7.5)、カルシトニン、アンピシリン、アマンタジン、リマンタジン、シルデナフィル、硫酸ネオマイシン(pH5〜7.5)、アポモルヒネ、ヨヒンビン、トラザドン、リバビリン、パクリタキセル及びその誘導体、レチノール及びトレチノインなどが挙げられるが、これらに制限されることはない。これらは、酸及び/またはアルカリで可溶性かつ安定的であり、必要な場合、本発明における胆汁酸の所定濃度の水溶液処方内に添加される。ある種の治療的活性物資、限定されるものではないが、メトホルミンHCl(pH5〜7)、ラニチジンHCl、シメチジン、ラミブジン、セチリジン2HCl(pH4〜5)、アマンタジン、リマンタジン、シルデナフィル、アポモルヒネ、ヨヒンビン、トラザドン、リバビリン及びデキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、コーチゾン、ナイアシン、タウリン、ビタミン、自然産アミノ酸、カテキン及びその誘導体、グリシルリザル抽出物(glycyrrhizal extract)、その主成分であるグリシルリジン及びグリシルリジン酸、そして、水可溶性ビスマス化合物(例えば、ビスマスナトリウム酒石酸塩)など、酸及び/またはアルカリに可溶性で安定的な任意の治療上活性剤は、必要によって、本発明のウルソデオキシコール酸を含有する水溶液投薬処方に添加される。
【0050】
本発明によると、ビスマス化合物は、ビスマスイオンとキレートとの間の水可溶性反応生成物を含む。このキレートの非制限的な例としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸 乳酸及びエデト酸(eidetic acid)などが挙げられる。また、非制限的な例としては、クエン酸ビスマス、硫酸ビスマス、酸化窒酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次サリチル酸ビスマスまたは次没食子酸ビスマスが挙げられる。
【0051】
本発明は、pH調整剤の用途を想定する。非制限的な例としては、HCl、H2SO4、HNO3、CH3COOH、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、リン酸塩及びエデト酸またはアルカリ類が挙げられる。
【0052】
本発明の一部の実施形態において、前記処方は、ヒトの疾患または哺乳動物の疾患を治療するのに用いられる。本発明は、胃腸障害、肝疾患、胆石または高脂血症の治療を想定する。肝疾患の非制限的な例としては、アルコール−誘発肝疾患と非アルコール−誘発肝疾患を含む。胃腸障害の非制限的な例としては、慢性胃炎、逆流性胃炎及び消化潰瘍疾患を含む。非アルコール−誘発肝疾患の非制限的な例としては、原発性胆汁性肝硬変、急性及び慢性肝炎、原発性硬化性胆管炎、慢性活動性肝炎及び肝での脂肪過剰蓄積を含む。また、本発明は、ウイルス疾患、細菌性疾患または真菌疾患の治療を想定する。本発明の一部の実施形態において、処方は、ヘリコバクタ・ピロリ感染を治療及び/または撲滅するために投与される。本発明の一部の実施形態において、処方は、C型肝炎ウイルス感染、A型インフルエンザ、C型インフルエンザ、第1型パラインフルエンザ、センダイ(sendai)、風疹及び仮性光犬病ウイルス(Pseudorabies virus)を治療及び/または撲滅するために投与される。本発明の一部の実施形態において、剤形は、急性または慢性炎症性疾患を治療するために投与される。炎症性疾患の非制限的な例としては、気管支炎、慢性咽頭炎及び慢性へんとう炎を含む。本発明の一部の実施形態において、剤形は、高コレステロール血症を治療するために投与される。
【0053】
本発明の一部の実施形態において、処方は、液体、固体、粉末または錠剤として投与されるように変形される。本発明の一部の実施形態において、前記処方は、シロップ、濃厚シロップまたはペーストからなる。シロップの非制限的な例は、マルトデキストリンの濃度が1.0kg/L未満であるマルトデキストリン溶液である。濃厚シロップの非制限的な例は、マルトデキストリンの濃度が1.0kg/L以上、1.2kg/L以下であるマルトデキストリン溶液である。ペーストの非制限的な例は、マルトデキストリンの濃度が1.2kg/Lより高いマルトデキストリン溶液である。
【0054】
本発明の水溶液は乾燥されていてもよい。本発明の目的のために、本発明による”一次”水溶液胆汁酸投薬処方は、胆汁酸またはその塩、及び炭水化物の水との元の組み合わせによって生産される。これは、各成分の同時または段階的な組み合わせによって製造される。これに対し、”二次”水溶液胆汁酸投薬処方は、予め共溶解された胆汁酸及び炭水化物を含む粉末または固体から製造された溶液である。したがって、二次水溶液胆汁酸投薬処方は、少なくとも水が添加、除去及び再添加される点で異なる。
【0055】
本発明の一部の実施形態において、一次水溶液胆汁酸投薬処方は、噴霧乾燥によって乾燥される。噴霧乾燥は、高度に分散された液体と充分の体積の熱気を送り込み、蒸発と、液滴を乾燥させる段階とから構成される。供給液体は、ポンプで注入可能であり、噴霧可能な溶液、スラリー、シロップまたはペーストである。液体供給は、加温ろ過空気流中に噴射される。空気は、蒸発用の熱を供給し、乾燥された産物を収集器に搬送し、次に、空気は、水分と一緒に排出される。噴霧乾燥された粉末粒子は、均質であり、形状が略球形であり、大きさはほぼ均一であり、しばしば中空状態である。後者の特徴は、溶液の迅速な速度と一緒に低い体積密度をもたらす。この過程は、一つの物質を他の物質上にコーティングして内部物質を保護するか、その放出速度を制御するために有用である。例えば、水溶液胆汁酸投薬処方の乾燥形態は、可溶化UDCAの大腸伝達のために腸溶重合体で被覆される。脱水は、凍結乾燥、蒸発または当業界で知られたその他の任意の脱水手法によって行われることもある。
【0056】
得られた乾燥形態、例えば粉末または固体は、直接投与されるか、または、水と再配合されて二次の透明な水溶液胆汁酸投薬処方を形成することができる。二次水溶液胆汁酸投薬処方、すなわち、乾燥形態から製造されたものは、実質的に一次剤形と同一の性質を有する。
【0057】
本発明は、一次及び二次胆汁酸水溶液のみならず、乾燥形態に薬剤などの添加剤を添加することも想定する。乾燥形態で投与された場合、その乾燥された物質は、1種以上の希釈剤、潤滑剤、結合剤、充填剤、薬物、崩壊剤またはその他の添加剤と配合させてもよい。上記のようにして、前記乾燥形態は、散剤、顆粒、丸剤、錠剤またはカプセルで構成される。
【0058】
本発明の投薬処方の安定性は、種々のpH及び温度レベルで、可溶性胆汁酸、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び水を含む製剤について、時間経過による当該胆汁酸の濃度を測定することで評価された。安定性試験は、通常の条件および加速条件下、種々のpH条件でHPLC及び光学顕微鏡によって行われた。各胆汁酸のための濃度分析を含む溶液安定性試験は、次のHPLCによって行われた。溶離溶剤は、pH3.01の、55:45の比の0.02M KH2PO4:アセトニトリルで、その流量は0.8mL/分、注入体積は20μlであり、検出波長は195nmであった。各胆汁酸の滞留時間は、必要によって、複数の胆汁酸を有するサンプルに存在する各胆汁酸の個別分析ができるように調整される。表には、3回の試験での胆汁酸塩の濃度と、それらの平均値が各列に記録されている。百分率は、初期濃度と比較して、所定時間の間培養した後の胆汁酸塩の相対濃度を示す。
【0059】
薬剤学的組成物を試験するための加速条件は、既に公知されている(文献[Remington、The Science and Practice of pharmacy、19th ed.,p.640]を参照)。これら全ての安定性試験結果は、HPLCによって測定された胆汁酸の濃度が種々のpHレベルで時間経過によって評価できるほどに変化しない点で申し分がない結果であった。したがって、実施例の処方は、市販の液体投薬形態を製造するのに適している。特に、胆汁酸が含有された全ての溶液処方は、試験期間にかけて沈殿がなく、物理的外観の変化がないので、安定性試験で優れた結果を示した。一部の処方は、2年にかけて安定的に維持される。
【0060】
安定性試験は、実施例IVによる水可溶性UDCA、分岐鎖アミノ酸(ロイシン、 イソロイシン、バリン)及びマルトデキストリンの混合物を含む水溶液処方に対しても行われた。この処方は、胆汁酸が治療上活性剤として、アジュバントまたは担体、薬剤学的活性剤及び溶解度増強剤として機能する典型的な溶液処方である。この試験結果によると、透明度変化、変色または沈殿がなかった。また、加速条件(例えば、50℃で培養)下でpH1、3、5、7、9または10などの多様なpH条件でHPLCによって調査した場合、UDCAまたは分岐鎖アミノ酸の劣化から検出可能な不純物がなかった。
【0061】
本発明による水溶液処方は、塩酸溶液中で安定的で可溶性である治療上及び化学的活性剤の添加にもかかわらず、促進条件下、種々のpH条件で物理的にまたは化学的に変化しなかった。したがって、これら水溶液系は、治療上活性である胆汁酸及び/または薬物の伝達のための非常に価値ある薬剤学的投薬処方である。薬物(薬剤学的化合物)伝達製剤において、任意の特定モードの作用に制限されることなく、胆汁酸は、アジュバント、担体または溶解度増強剤(例えば、ミセル形成)として機能することもできる。
【実施例】
【0062】
安定性試験は、3種の異なる水溶液系に対して行った。第一に、実施例Iに従い、胆汁酸及び高分子量水可溶性でんぷん転化物を配合した水溶液で試験した。その結果を、表1A及び表1Bに表示した。第二に、実施例IIに従い、混合された胆汁酸及び高分子量水可溶性でんぷん転化物を配合した水溶液で試験した。その結果を表2に表示した。第三に、実施例IVに従い、胆汁酸、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び分岐鎖のアミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリンまたは分岐側鎖を有するその他のアミノ酸)を配合した水溶液で試験した。その結果を表3A〜表3Fに表示した。
【0063】
実施例I
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)及び高分子量水可溶性でんぷん転化物によって製造された第1シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 でんぷん転化物(最小量)
────────────────────────────────────
CDCA200mgであれば 約30g
UDCA200mgであれば 約5g
KLCA200mgであれば 約12g
コール酸200mgであれば 約10g
デオキシコール酸200mgであれば 約50g
ヒオデオキシコール酸200mgであれば 約3.5g
精製水(製造される総体積) 100mL
────────────────────────────────────
前記可溶性胆汁酸の一つを溶解させた水溶液(100mL)を準備した。高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを約60〜80℃で攪拌してこれに溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、酸で調整して経口投薬剤形、局所製剤及び溶液を製造した。精製水を添加して総体積を100mLにした。本発明及び全ての実施例においては、精製水は、脱イオン水、蒸溜水または脱イオン−蒸溜水であるか、または、薬剤学的製剤に通常的に用いられる等級のものであれば何れでもよい。
これらの処方に基づいて、種々の濃度の任意の胆汁酸(または塩)及びそれらの対応する最小量のDE15〜25を有する高分子量水可溶性でんぷん転化物(例えば、Maltrin(登録商標)M150(DE=15)、Maltrin(登録商標)M180(DE=18)、Maltrin(登録商標)M200(DE=20)、Maltrin(登録商標)M250(コーンシロップ固形分;DE=25)、液体グルコース)または可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)を有する水溶液剤形を製造した。
【0064】
実施例II
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)及び高分子量水可溶性でんぷん転化物によって製造された第2シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
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可溶性胆汁酸 でんぷん転化物(最小量)
────────────────────────────────────
CDCA200mgであれば 約18g
UDCA200mgであれば 約3g
KLCA200mgであれば 約7.2g
コール酸200mgであれば 約6g
デオキシコール酸200mgであれば 約30g
ヒオデオキシコール酸200mgであれば 約2.1g
精製水(製造される総体積) 100mL
────────────────────────────────────
前記可溶性胆汁酸の一つを溶解させた水溶液(100mL)を準備した。得られた溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口投薬剤形、局所製剤及び溶液を製造した。精製水を添加して総体積を100mLにした。
これらの処方に基づいて、種々の濃度の任意の胆汁酸(または塩)及びそれらの対応する最小量のDE5〜10を有する高分子量水可溶性でんぷん転化物(例えば、Maltrin(登録商標)M040、Maltrin(登録商標)M100)または可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)を有する水溶液処方を製造した。
【0065】
実施例III
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)及び高分子量水可溶性でんぷん転化物によって製造された第3シリーズの溶液処方は、pH6.5〜8で如何なる沈殿も示さなかった。
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可溶性胆汁酸 でんぷん転化物(最小量)
────────────────────────────────────
CDCA200mgであれば 約15g
UDCA200mgであれば 約1.5g
KLCA200mgであれば 約3.6g
コール酸200mgであれば 約3g
デオキシコール酸200mgであれば 約15g
ヒオデオキシコール酸200mgであれば 約3.5g
精製水(製造される総体積) 100mL
────────────────────────────────────
前記可溶性胆汁酸の一つを溶解させた水溶液(100mL)を準備した。得られた溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して注射用、大腸−特異的、局所及び点眼剤投薬形態を製造した。精製水または注射用水を添加して総体積を100mLにした。
これら処方に基づいて、種々の濃度の任意の胆汁酸(または塩)及びそれらの対応する最小量のDE5〜10を有する高分子量水可溶性でんぷん転化物(例えば、Maltrin(登録商標)M040、Maltrin(登録商標)M100)または可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)を有する水溶液剤形を製造した。
【0066】
実施例IV
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び非でんぷん多糖類によって製造された第4シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
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可溶性胆汁酸 200mg KLCA(10mg〜3g)
でんぷん転化物(最小量) 約24g(0.6g〜75g)
可溶性繊維 20g(5g〜30g)
精製水(製造される総容量) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性KLCAを溶解させた水溶液(60mL)を準備した。得られた溶液に高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して注射及び局所投薬剤形を製造した。次に、可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)及び耐可溶性マルトデキストリンを添加した。精製水または注射用水を添加して総容量を100mLにした。
表1Aは、実施例Iによって製造されたマルトデキストリンを含むCA、7−ケトリトコール酸、CDCA及びDCAの溶液処方のpH7、50℃での時間経過による安定性試験の結果を示す。胆汁酸の濃度はHPLCによって測定し、胆汁酸の0日目の濃度に対する百分率は、百分率と表示された列に記載した。
表1Bは、実施例Iによって製造された、マルトデキストリンを含むCA、7−ケトリトコール酸、CDCA及びDCAの溶液処方のpH10、50℃での時間経過による安定性試験の結果を示す。
表2は、実施例IIによって製造された、マルトデキストリンを含むCA、7−ケトリトコール酸、CDCA及びDCAの溶液処方のpH1、50℃での時間経過による安定性試験の結果を示す。
【0067】
実施例V
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び非でんぷん多糖類によって製造された第5シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 200mg UDCA(10mg〜3g)
でんぷん転化物(最小量) 約5g(0.25g〜75g)
耐性マルトデキストリン 15g(5g〜30g)
精製水(製造される総容量) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性UDCAを溶解させた水溶液(100mL)を準備した。得られた透明な液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投薬剤形を製造した。次に、耐可溶性マルトデキストリンを添加した。精製水または注射用水を添加して総容量を100mLにした。
これら製法に基づいて、種々の濃度のUDCA(または塩)及びそれらの対応する最小量のDE5〜40を有する高分子量水可溶性でんぷん転化物(例えば、 Maltrin(登録商標)M150、Maltrin(登録商標)M180、Maltrin(登録商標)M200、Maltrin(登録商標)M250、Maltrin(登録商標)M040、Maltrin(登録商標)M100、または耐可溶性マルトデキストリンを有する水溶液処方を製造した。
【0068】
実施例VI
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び人参抽出物によって製造された第6シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 200mg UDCA(10mg〜3g)
でんぷん転化物(最小量) 約5g(0.25g〜75g)
水可溶性人参抽出物 200mg(50mg〜3g)
精製水(製造される総容積) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性UDCAを溶解させた水溶液(80mL)を準備した。得られた透明な溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投薬剤形を製造した。次に、可溶性人参抽出物を添加した。精製水または注射用水を添加して総容量を100mLにした。
これら製法に基づいて、種々の濃度のUDCA(または塩)及びそれらの対応する最小量の高分子量水可溶性でんぷん転化物(DE5〜40を有する)を有する水溶液処方を製造した。水可溶性人参抽出物には、赤人参及び白人参からの抽出物を含む。
【0069】
実施例VII
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び人参抽出物によって製造された第7シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 200mg UDCA(10mg〜3g)
でんぷん転化物(最小量) 約5g(0.25g〜75g)
水可溶性人参抽出物 200mg(50mg〜5g)
可溶性非でんぷん多糖類 5〜20g
精製水(製造される総容量) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性UDCAを溶解させた水溶液(80mL)を準備した。得られた透明な溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を製造した。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投処方を製造した。次に、水可溶性人参抽出物及び可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)または耐可溶性マルトデキストリンを添加した。精製水または注射用水を添加して総容量を100mLにした。
これら処方に基づいて、種々の濃度のUDCA(または塩)及びそれらの対応する最小量の高分子量水可溶性でんぷん転化物(DE5〜40を有する)を有する水溶液処方を製造した。水可溶性人参抽出物は、赤人参及び白人参からの抽出物を含む。可溶性繊維は、可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)または耐可溶性マルトデキストリンであった。
図6は、実施例IIIによって製造された組成物のUDCAが完全に遊離UDCAである場合に、それが示すNMRスペクトラムである。すなわち、C−24でのUDCAのカルボキシル酸は、遊離形態(R−COOH)で、C−3及びC−7での二つのヒドロキシ基は、遊離形態(R−OH)である。
また、実施例IIIによって製造した組成物中のUDCAのHPLCプロファイル(図7)は、メタノールに溶解されたUDCAのプロファイル(図8)と類似している。このデータは、UDCA−複合化合物がないことを示す。ただ遊離UDCAのみがある。非水性UDCA標準溶液は、メタノール100mL中にUDCA100mgを溶解させることで製造した。移動相としては、アセトニトリル51、水49及び酢酸1の混合物を使用した。
【0070】
実施例VIII
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び分岐鎖アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン)によって製造された第8シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 200mg UDCA(10mg〜3g)
でんぷん転化物(最小量) 約5g(0.25g〜75g)
分岐鎖アミノ酸 15g(1g〜35g)
精製水(製造される総容量) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性UDCAを溶解させた水溶液(85mL)を準備した。得られた透明な溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で(pH4〜pH7に)調整して経口及び局所投薬処方を製造した。次に、分岐鎖アミノ酸を添加した。精製水または注射用水を添加して総容量を100mLにした。
これら処方に基づいて、多様な濃度のUDCA(または塩)及びそれらの対応する最小量の高分子量水可溶性でんぷん転化物(DE5〜40を有する)を有する水溶液処方を、多様な量の分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリンの総量)で製造した。
表3A〜表3Fは、実施例IVによってアミノ酸を用いて製造された処方の時間経過による安定性試験結果を示す。全ての安定性試験は、50℃で行われた。pH1(表3A)、pH3(表3B)、pH5(表3C)、pH7(表3D)、pH9(表3E)及びpH10(表3F)での安定性試験結果が表示されている。
【0071】
【表3A】
【0072】
【表3B】
【0073】
【表3C】
【0074】
【表3D】
【0075】
【表3E】
【0076】
【表3F】
【0077】
実施例IX
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)及び高分子量水可溶性でんぷん転化物によって製造された第9シリーズの溶液剤形は、選択された所望のpH範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。この剤形は、熊胆についての公知の分析データに基づいてモデファイされている。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 21gUDCA
可溶性胆汁酸 9gCA
可溶性胆汁酸 9gCDCA
でんぷん転化物 約750g
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
可溶性UDCAの水溶液(400mL)を製造した。次に、高分子量水可溶性でんぷん転化物を添加して透明な溶液を得た。得られた透明な溶液に、可溶性CDCA及び可溶性CAを添加した。この溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投薬形態を製造した。精製水または注射用水を添加して総容量を1.0Lにした。
【0078】
実施例X
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)及び高分子量水可溶性でんぷん転化物によって製造された第10シリーズの溶液剤形は、選択された所望のpH範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。この剤形は、熊胆についての公知の分析データに基づいてモデファイしたものである。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 21gUDCA
可溶性胆汁酸 9gCA
可溶性胆汁酸 9gCDCA
でんぷん転化物 約750g
水可溶性人参抽出物 20g
精製水(製造される総体積) 1.0L
───────────────────────────────
可溶性UDCAの水溶液(400mL)を製造した。次に、高分子量水可溶性でんぷん転化物を添加して透明な溶液を得た。得られた透明な溶液に、可溶性CDCA、可溶性CA及び水可溶性人参抽出物を添加した。この溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投薬形態を製造した。精製水または注射用水を添加して総容量を1.0Lにした。
【0079】
実施例XI
ウルソデオキシコール酸(UDCA)200mgを含有する、本発明に係る水溶液処方を前記実施例IIIに記載された方法によって製造し、絶食後の正常な体重を有する3名の健康な男性に投与した。UDCA及びグリコUDCAの血液中レベルは、公知の分析方法によって評価した。sep−pakカラムに緩衝血清を注入した後、メタノール溶出液を80℃で45分間フェナシルブロマイドによって誘導体化した。これらフェナシルブロマイド誘導体は、HPLC用のアセトニトリルに溶解させた。投与後、所定時間に測定された吸収の実験結果は、血清濃度−時間曲線(AUC:μg/mL×hour)下の面積として表現された総吸収、得られた最大の血液濃度(Cmax;μg/mL)及び前記最大濃度が得られた時間(Tmax;hour)を含む。これら結果は、表4、図1及び図2に記録されている。
男性に対して行った本発明に係る水溶液処方の実験的な薬物動態学的検査は、現在公知であるいずれの投薬剤形での最良の結果と比較しても、AUC、Cmax及びTmaxにおいて実質的に向上を示した。表4における最大の血液濃度(Cmax)は、平均8.43±1.69μg/mLであり、UDCA製剤の腸溶コーティングソジウム塩の使用に対して報告されたものより少なくとも2倍高いと同時に、通常のUDCA錠剤製剤を用いて得られたものより4倍高かった。さらに、水溶液処方からのUDCAの吸収速度と密接に関連したピーク濃度時間(Tmax)は、0.25時間であり、公知の最も速いTmaxより少なくとも3倍速かった。
表4A及び表4Bは、実施例VIによるUDCA及びGUDCA含有剤形の経口投与後、時間の経過に伴う3名の男性において測定したUDCA及びGUDCAの血漿濃度を、UDCAの異なる薬剤学的剤形を採用したものとの比較結果を示している。
表5は、UDCAの液体処方の経口投与後のヒトにおけるUDCAの薬物動態学的パラメーターを示している。Cmaxが表示されている。
表4と表5及び図3と図4のデータを一緒に見ると、Cmax及びTmaxについて、従来の処方よりも本発明の処方が優れていることを示している。本発明の溶液は、胃及び腸内環境のpHによって起こされた溶液系の如何なる崩壊もなく効果的であった。胆汁酸や、これに他の薬剤を添加したものの治療上可能性は、本発明の処方を用いて一層完全に実現されるであろう。水溶液形態での治療上活性成分が胃中の酸性胃液によって、そして、腸の多様なアルカリ性pHレベルによって固形物として沈殿されない場合、前記剤形は、当然の結果として、ある程度は予期していない好ましくない結果による不充分な生体利用率を解消し、崩壊、溶解及び/または分散による放出速度の問題は解消される。
【0080】
【表4A】
【0081】
【表4B】
【0082】
【表5A】
【0083】
【表5B】
【0084】
実施例XII
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び非でんぷん多糖類(液体グルコースの乾燥粉末、例えば、市販のコーンシロップ固形分)によって製造された第11シリーズの溶液剤形は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 200mg UDCA(10mg〜3g)
液体グルコースの乾燥粉末 25g(0.25g〜75g)
可溶性非でんぷん多糖類 25g(0.25g〜75g)
精製水(製造される総容量) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性UDCAの水溶液(45mL)を製造した。次に、DEが5〜40である高分子量水可溶性でんぷん転化物(すなわち、乾燥された液体グルコース)を添加して透明な溶液を得た。この溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投薬形態を製造した。精製水または注射用水を添加して総容量を1.0Lにした。
得られた透明な溶液、すなわち、攪拌してpH調整された透明な溶液に、可溶性非でんぷん多糖類(グアーゴム、ペクチンなど)を添加した。精製水を添加して総容量を100mLにした。
【0085】
実施例XIII:混合溶液
実施例VIII、IX及びXの剤形は、ビスマス化合物を含む。これら各実施例においては、表示された量の水酸化ビスマスを提供するのに充分な量の硫酸ビスマスのアンモニウム塩を添加することで、溶液処方を製造した。
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及びビスマス化合物によって製造された第12シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 20gUDCA
クエン酸ビスマス 5g
コーンシロップ固形分 500g
クエン酸 適量
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
1N NaOH 3mLを水(200mL)に注いだ後、UDCAを添加した。得られた透明な溶液に、水200mLと一緒にpH9〜10を維持しながら、クエン酸ビスマスを添加した。次に、得られた透明な溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるコーンシロップ固形分を少しずつ添加し、攪拌して溶解させ、透明な溶液とした。この得られた透明な溶液のpHを、ビスマス化合物の可溶化を促進させるための高出力超音波処理下クエン酸で(pH3〜pH5に)調整した。精製水を添加して総容積を1.0Lに調整した。
【0086】
実施例XIV:UDCA−濃厚シロップ(30gUDCA/L)
以下の指針に従って製造された第13シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 30gUDCA
1N NaOH 4mL
マルトデキストリン 750g
クエン酸または乳酸 適量
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
まず、UDCAを1N NaOH溶液に溶解させた後、水250mLで希釈した。次に、低いDEを有する高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを激しく攪拌して少しずつ添加した。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、クエン酸を添加することで(pH3に)調整した。精製水を添加して総容量を1.0Lに調整した。
【0087】
実施例XV:UDCA−ペースト(45gUDCA/L)
以下の指針に従って製造された第14シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 45gUDCA
1N NaOH 135mL
マルトデキストリン 1,575g
クエン酸または乳酸 適量
精製水(製造される総容積) 1.0L
───────────────────────────────
まず、UDCAを、135mLの1N NaOH溶液に溶解させた。次に、得られた透明な溶液にクエン酸ビスマス及び水200mLを添加した。次いで、マルトデキストリン1,575gを少しずつ、激しく攪拌しながら添加した。得られた溶液は、クエン酸を滴下し、加えることでpH3にした。精製水を添加して総容積を1.0Lに調整した。
5名の被験者に、この実施例によって製造された投薬処方を投与した。その結果を、表5A及び表5Bおよび、図3及び図4のグラフに示した。図3の鋭いピークを図4の広いピークと比較した結果、診療医が前記投薬処方を調整することで、胆汁酸Cmax及びTmaxを調節できることが示しされた。
ヘリコバクタ・ピロリを、実施例IXの製剤を含有するCRAB(Columbia Blood Agar Base)培地で培養した。2LのCRABプレートは、CRAB9.9g、トリプチックソイ寒天9.1g、50mLの羊血液、バンコマイシン、アンホテリシンB、ポリミキシンB、実施例IXの2mL及び蒸溜水358mLを含有させることにより製造した。48時間または72時間の微好気性培養後に、細菌をKarnovskyの固定液を用いて固定させ、エポン中に包埋した。ヘリコバクタ・ピロリ細胞の電子顕微鏡写真は、図5A〜図5Cに表示されている。
【0088】
実施例XVI:UDCA−ペースト(45gUDCA/L)
以下の指針に従って製造された第15シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 45gUDCA
1N NaOH 135mL
コーンシロップ固形分 2300g
クエン酸または乳酸 50g
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
まず、UDCAを135mLの1N NaOH溶液に溶解させた。次に、得られた透明な溶液にクエン酸ビスマス及び水150mLを添加した。次いで、コーンシロップ固形分2,300gを少しずつ、激しく攪拌しながら添加した。得られた溶液は、クエン酸を滴下し、加えることでpH3にした。精製水を添加して総容積を1.0Lに調整した。
【0089】
実施例XVII:UDCA(22g)及びCDCA(3g)の混合溶液
以下の指針に従って製造された第16シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
───────────────────────────────
UDCA 22g
1N NaOH 75mL
CDCA 3g
マルトデキストリン 875g
クエン酸ビスマス 4g
クエン酸または乳酸 適量
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
まず、UDCA及びCDCAを75mLの1N NaOH溶液に溶解させた。次に、得られた透明な溶液にクエン酸ビスマス及び水240mLを添加した。次いで、マルトデキストリン875gを少しずつ、激しく攪拌しながら添加した。得られた溶液は、クエン酸を滴下し加えることでpH3にした。精製水を添加して総体積を1.0Lに調整した。
【0090】
実施例XVIII:UDCA(22g)及びCDCA(3g)の混合溶液
以下の指針に従って製造された第17シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
───────────────────────────────
UDCA 22g
1N NaOH 75mL
CDCA 3g
コーンシロップ固形分 1,320g
クエン酸ビスマス 4g
クエン酸または乳酸 適量
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
まず、UDCA及びCDCAを75mLの1N NaOH溶液に溶解させた。次に、得られた透明な溶液にクエン酸ビスマス及び水240mLを添加した。次いで、コーンシロップ固形分1,320gを少しずつ激しく攪拌しながら添加した。得られた溶液は、クエン酸を滴下し加えることでpH3にした。精製水を添加して総容量を1.0Lに調整した。
【0091】
実施例XIX
本発明の溶液処方で、ヘリコバクタ・ピロリに感染されたマウスを治療した場合の効果を試験した。6週齢のC57BL/6雌マウスに、ヘリコバクタ・ピロリ、SS1菌株109CFU/mLを含有する食事を供給して感染させた。これら動物は、この食事を1週間隔で2回消費した。次いで、実施例XIIIによる溶液投薬処方0.2mLを、毎日1回、1週間に渡り4匹の感染された動物に投与した。これらのうち2匹の動物は、本発明の溶液の最後の容量を投与した後、1週間目に屠殺した。残りの2匹の動物は、本発明の最後の用量を投与した後、4週目に屠殺した。すべての胃を食塩水で洗浄し、粘膜及び組織破片を除去した。各動物からの胃組織サンプルに対して、ラピッドウレアーゼ試験キット(オーストラリア所在のDelta West)を用いてCLO試験を実施した。それぞれの残りの胃を10%ホルマリン溶液で固定し、パラフィンで包埋した。断片(4μmの厚さ)をガラススライドに取り、H&E染色溶液及びワルチン(Warthin)染色溶液で染色した。これら組織について、通常の光学顕微鏡で病理状態を評価した。
表6に要約された結果は、ウレアーゼ検査結果が液体投薬処方の投与中止後、1週間経過したマウスに対して陰性であり、ヘリコバクタ・ピロリがワルチン試験で見えないことを示す。残りの2匹のマウスのうち一匹は、陰性ウレアーゼ検査結果を示し、ヘリコバクタ・ピロリは、ワルチン試験によって見られなかった。しかし、残りの一匹は、少数のヘリコバクタ・ピロリのみがワルチン試験で見られたにもかかわらず、ウレアーゼ試験は陽性であった。
【0092】
【表6】
【0093】
実施例XX
UDCA、クエン酸ビスマスまたはUDCAとクエン酸ビスマスの両方を含有する培地でのヘリコバクタ・ピロリの増殖に対するアッセイ(assay)を行った。これらアッセイに対して、以下の培地を使用した。
pH4.0であり、マルトデキストリン525g/L及びUDCA15g/Lを含む000112B−1。
pH3.7であり、コーンシロップ固形分1kg/L及びクエン酸ビスマス6g/Lを含むOSABY。
pH、濃度及びさらす長さを変化させながら、UDCA、ビスマスまたはこれら両方の存在下でヘリコバクタ・ピロリの増殖能を評価するための三つアッセイを行った。
第一に、ヘリコバクタ・ピロリを約109有機体/mLになるように生理食塩水に懸濁させた。この接種物50μlをpH3.0、4.0及び4.5のクエン酸−リン酸塩緩衝液1mLを含有するチューブに移した。6mMのウレアを有するものと、有していないものが対をなしたチューブを製作した。室温で30分間培養した後、この懸濁液を、1μlの白金耳(loop)を用いて000112B−1を含有する寒天プレート上で継代培養した。前記プレートを37℃で72時間微好気的に培養した。この手順は、図9に例示されている。
表7に表示されたように、ヘリコバクタ・ピロリは、pH3及びpH4の対照群培地では不充分な増殖であった。また、表7は、ヘリコバクタ・ピロリが、UDCAを含有するpH3及びpH4培地で増殖されないことを示した。”3mL”、”4mL”及び”5mL”は、プレート当りの000112B−1培地の総体積を意味する。”PBS”は、pH7.0のリン酸塩緩衝食塩水である。
【0094】
【表7】
【0095】
第二のアッセイにおいて、ヘリコバクタ・ピロリを約109有機体/mLになるように生理食塩水に懸濁させた。この接種物50μlを、平板培地を種々の濃度、例えば1/10、1/30、1/50、1/100、1/200、1/500、1/800、1/1000、1/2000などの濃度で含むクエン酸−リン酸塩緩衝液1mLを含有するチューブに移した。全てのチューブは、6mMのウレアを有するように製作した。室温で30分間培養した後、この懸濁液を、1μlの白金耳を用いて寒天プレート上で継代培養した。これらプレートは、実質的にビスマスと胆汁酸を含有していなかった。前記プレートを37℃で72時間微好気的に培養した。この手順は、図10に例示されている。
表8は、UDCA(000112B−1)、クエン酸ビスマス(OSABY)またはUDCAとクエン酸ビスマスの両方の希釈液によって製造された培地上で、ヘリコバクタ・ピロリを72時間増殖させた後のウレアーゼ検査結果を示す。UDCAまたはクエン酸ビスマスを含有する培地上で、ヘリコバクタ・ピロリの不十分な増殖が観察された(表8)。ヘリコバクタ・ピロリの増殖は、UDCA及びクエン酸ビスマスの両方を含有する培地で培養した場合に一層不十分であった(表8)。
【0096】
【表8】
【0097】
第三のアッセイにおいて、ヘリコバクタ・ピロリを約109有機体/mLになるように生理食塩水に懸濁させた。この接種物50μlをクエン酸−リン酸塩緩衝液1mLを含有するチューブに、各種の濃度、15分間1/2、1/4及び1/10、30分間1/2、1/4及び1/10、そして、45分間1/2、1/4及び1/10などで移した。6mMウレアを有するものと、有していないものとが対をなしたチューブを製作した。室温で30分間培養した後、この懸濁液を、1μlの白金耳を用いて寒天プレート上で継代培養した。これらプレートは、実質的にビスマスと胆汁酸を含有していなかった。前記プレートを37℃で72時間微好気的に培養した。この手順は、図11に例示されている。
表9は、UDCA(000112B−1)、クエン酸ビスマス(OSABY)またはUDCAとクエン酸ビスマスの両方の希釈液によって製造された培地上でヘリコバクタ・ピロリを72時間増殖させた後のウレアーゼ検査結果を示す。表示されたように、さらす時間が長くなるほど、ヘリコバクタ・ピロリに対する溶液の有害効果が増加した。
【0098】
【表9】
【0099】
実施例XXI
実施例I〜XXのいくつかの実施形態において、乾燥形態は、真空下の蒸発によって製造された。胆汁酸組成物の溶液処方は、真空1.3×10−1Pa下、90〜95℃の条件下、回転蒸発器で乾燥させた。
実施例I〜XXのいくつかの実施形態において、噴霧乾燥された乾燥形態は、以下の条件下で遠心噴霧器を装備した噴霧乾燥方式で製造される。このシステムに用いられた供給液体は、約30〜40%の水可溶性でんぷん転化物溶液で、供給流量は50〜70mL/minで、入口温度は150〜180℃で、出口温度は50〜100℃であった。供給液体は、回転速度30,000rpmである遠心噴霧器によって噴霧させた。
実施例I〜XXのいくつかの実施形態において、胆汁酸組成物の溶液剤形から誘導された顆粒は、流動床で生産された。胆汁酸組成物(20kg、100〜200メッシュ)及びコーンスターチ(9kg)の溶液処方からの乾燥粉末を前記流動床に置いて、空気を用いて混合した。結合剤溶液(水22L中のヒドロキシプロピルメチルセルロース700g)を、蠕動ポンプを用いて前記流動化粉末床に噴霧した。噴霧過程は、特定の行程に対するプロセス変数の設定値によって行った。噴霧過程の間、乾燥時の水分損失を測定するために前記粉末床から10分ごとにサンプル±10gを採取した。結合剤溶液が全て用いられるまで、継続的に噴霧した。入口空気温度75℃でこれらを流動化させることで、濡れた顆粒を乾燥させた。顆粒が充分に乾燥されたことを示す35℃に出口空気温度が到達したとき、乾燥サイクルを終結させた。
実施例I〜XXのいくつかの実施形態において、胆汁酸組成物の溶液処方から誘導された腸溶コーティング顆粒は、上部噴射式造粒器、下部噴射式造粒器または接線噴射式造粒器で製造した。エチルセルロースN100(1.6kg)を無水エタノールに溶解させ、この溶液及び任意の追加的なエタノールを胆汁酸組成物(9kg)の流動化乾燥粉末に噴射した。良品の顆粒が生成されたとき、噴射を中止させた。約3%の水分にまで乾燥した。
アッセイ。(表10及び図12)。一次溶液中で、水可溶性でんぷん転化物としてのマルトデキストリン(DE=15)の増加は、特に、2分以内に二次溶液中の低いpHで前記乾燥物質の溶解度の増加と関連している。これら結果は、マルトデキストリンが乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形用の優れた再溶解剤であることを示す。
【0100】
【表10】
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施例II及びVI並びに表4による投薬処方の投与後の、UDCA(四角形)及びGUDCA(三角形)の血清濃度対時間のグラフである。
【図2】実施例III及びVI並びに表4による胆汁酸の投薬処方投与後の、UDCAの血清濃度対時間のグラフである。
【図3】ビスマスなしに実施例IXによって製造されたUDCAの液体処方のヒトへの経口投与後の、グループIでのUDCAの薬物動態学的パラメーターの平均(n=5)を示す線図である。
【図4】実施例IXによって製造されたUDCAの液体処方のヒトへの経口投与後の、グループIIでのUDCAの薬物動態学的パラメーターの平均(n=5)を示す線図である。
【図5A】コロンビア培地で培養されたヘリコバクタ・ピロリの透過電子顕微鏡写真である。
【図5B】実施例IXによって製造されたUDCA及びクエン酸ビスマスによる処理48時間後のヘリコバクタ・ピロリの透過電子顕微鏡写真である。
【図5C】UDCA及びクエン酸ビスマスによる処理72時間後のヘリコバクタ・ピロリの透過電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例IIIによって、防腐剤、香味剤及び甘味料なしに製造された液体処方投薬形態のUDCAについてのNMRデータである。
【図7】実施例IIIによって、防腐剤、香味剤及び甘味料無しで製造された液体処方投薬形態のUDCAのHPLC線図である。
【図8】UDCA標準のHPLC線図である。
【図9】ヘリコバクタ・ピロリ培養方法を表示した図である。
【図10】ヘリコバクタ・ピロリ培養方法を表示した図である。
【図11】ヘリコバクタ・ピロリ培養方法を表示した図である。
【図12A】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を4gの量で含んで構成される。
【図12B】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を5gの量で含んで構成される。
【図12C】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を6gの量で含んで構成される。
【図12D】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を7gの量で含んで構成される。
【図12E】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を8gの量で含んで構成される。
【図12F】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を9gの量で含んで構成される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)可溶性胆汁酸、水可溶性胆汁酸誘導体、胆汁酸塩、またはアミンとコンジュゲートされた胆汁酸からなる群から選択される1種以上の胆汁酸(集合的に”胆汁酸”という)、(ii)水及び(iii)所望のpH範囲内の如何なるpHでも沈殿物を形成しない溶液を生成するのに充分な量の1種以上の水可溶性でんぷん転化物または水可溶性非でんぷん多糖類を含む水溶液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コレステロール由来の有機酸である胆汁酸塩は、脂質の吸収、輸送及び分泌において中枢的な役割をする天然イオン性成分である。一次胆汁酸という用語は、肝によって新しく合成されたものを意味する。ヒトにおいて、一次胆汁酸は、コール酸(3α,7α,12α−トリヒドロキシ−5β−コラン酸)(”CA”)及びケノデオキシコール酸(3α,7α−ジヒドロキシ−5β−コラン酸)(”CDCA”)を含む。これら胆汁酸の腸内細菌による脱ヒドロキシル化は、より多くの疎水性二次胆汁酸、すなわち、デオキシコール酸(3α,12α−ジヒドロキシ−5β−コラン酸)(”DCA”)及びリトコール酸(3α−ヒドロキシ−5β−コラン酸)(”LCA”)を生成する。これら4種の胆汁酸CA、CDCA、DCA及びLCAは、一般的にヒトでの胆汁塩プール(pool)の99%以上を構成する。さらに肝によって代謝された二次胆汁酸は、三次胆汁酸と表記される場合もある。
【0003】
ケト−胆汁酸は、大腸細菌によって胆汁酸ヒドロキシル基、特に7−ヒドロキシル基が酸化されその結果としてヒトで副次的に生産される。しかし、ケト−胆汁酸は、肝によって迅速に還元され、対応するαまたはβ−ヒドロキシ胆汁酸になる。例えば、CDCAの対応するケト胆汁酸は、7−ケトリトコール酸で、対応するβ−ヒドロキシ胆汁酸による還元産物の一つは、三次胆汁酸であるウルソデオキシコール酸(3α−7β−ジヒドロキシ−5β−コラン酸)(”UDCA”)である。
【0004】
ラットやマウスから発見される6β−ヒドロキシル基を含有する胆汁酸は、ムリコール酸として知られており、豚によって生産された6α−ヒドロキシ胆汁酸は、ヒオコール酸及びヒオデオキシコール酸と呼ばれる。水生哺乳類の23−ヒドロキシ胆汁酸は、フォセコール酸(phocecholic acid)及びフォセデオキシコール酸(phocedeoxycholic acid)として知られている。
【0005】
一般的に、ヒトの胆汁中に分泌される自然産胆汁塩の99%以上はコンジュゲートされている。コンジュゲートは、二次有機置換体(例えば、グリシン、タウリン、グルクロネート、サルフェートまたは稀にはその他の置換体)がエステル、エーテルまたはアミド結合を介して側鎖カルボキシル酸に、または環ヒドロキシル基の一つに結合された胆汁酸である。したがって、グリシンまたはタウリンによってコンジュゲートされた胆汁酸のイオン化特性は、置換したグリシンあるいはタウリンの酸度によって決定される。
【0006】
遊離の非コンジュゲートされた胆汁酸単量体のpKa値は、約5.0である。しかし、グリシンコンジュゲートされた胆汁酸のpKa値は平均3.9で、タウリンコンジュゲートされた胆汁酸のpKa値は平均1.0未満である。したがって、コンジュゲーションの効果は、大きな部分が任意に与えられたpHでイオン化されるように胆汁酸のpKaを低減させることである。イオン化された塩形態は、プロトン化された酸形態よりも水可溶性であるので、コンジュゲーションは、低いpHで溶解度を高める。遊離胆汁酸塩は、pH6.5〜7で水溶液から沈殿する。これに対し、グリシンコンジュゲートされた胆汁酸の沈殿は、pH5未満でのみ起きる。タウリンコンジュゲートされた胆汁酸は、非常に強力な酸性条件下(pH1以下)で水溶液状態にある。しかし、胃のpH範囲で、UDCAまたはCDCAなどの任意の胆汁酸は可溶性でない。
【0007】
胆汁酸の側鎖とグリシンまたはタウリンとのコンジュゲーションは、完全にイオン化された胆汁塩の疎水性活性に対する影響が少ない。より疎水性の胆汁塩であるほど、燐脂質及びコレステロールに対して一層大きな溶解能を発現するので、一層良好な洗浄剤であるといえる。また、より疎水性の胆汁塩であるほど、生体内及び試験官内の両方において各種のメンブランに対して一層有害である。
【0008】
天然の胆汁塩プールは、常に多数の胆汁酸塩を含有する。疎水性活性が異なる2種以上の胆汁塩の混合物は、中間の疎水性活性を有する単一の胆汁塩としての性質を有する。その結果、疎水性活性が異なる2種の胆汁酸の混合物の洗浄剤性質と毒性は、各成分の中間である場合もある。
【0009】
胆汁酸は、多様な性質を有する。例えば、UDCAは、有用な免疫−調節剤である。それはまた、ヒト腸内上皮細胞及び生体内で酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase:NOS)の誘導を抑制することもできる。胆汁酸は、UDCAが最も強力であるが、ペプシン抑制剤として作用することもある。加えて、胆汁酸は、メンブラン安定化性質を有することもある。UDCAは、新規の選択的なグルココルチコイドレセプター(glucocorticoid receptor:GR)調節剤の原型であり、GRの転写促進機能の誘発なしにNF−kBを抑圧する。加えて、UDCAは、肝細胞及び肝以外の細胞の両方において、異なるアポトーシス経路を通して作用する各種の製剤に対するアポトーシス閾値を調整するユニークな役割を担当する。最後にUDCAは、特異的な酸化防止特性を有する。UDCAのOH自由ラジカルスカベンジャー能は、このラジカル種との反応速度定数が公知の薬理学的スカベンジャーであるマンニトール及び生理学的スカベンジャーであるグルコースまたはヒスチジンの反応速度定数より約10倍高いという点で注目すべきである。このスカベンジャー活性は、ミトコンドリア膜電位及び反応性酸素種生成を調節することで、デオキシコール酸―誘発アポトーシスを抑制するUDCAの能力を上昇させることができる。
【0010】
胆汁酸の流れは、肝を通過する胆汁塩の流動によって生成される。ウルソデオキシコール酸は、肝細胞がATPを胆汁に遊離させた後、細胞質Ca++での変化を介して下流の胆管上皮で体液及び電解質分泌を刺激させることで、胆汁流動を促進させることができる。腸肝循環での胆汁塩は、胆汁酸生合成経路での速度制限酵素であるコレステロール7−ヒドロキシラーゼの活性を抑制または減少させることで、胆汁酸合成を調節するものと考えられる。胆汁形成は、ビリルビンなどの有機化合物、ステロイドホルモンの両親媒性誘導体などの内因性代謝産物、各種の薬物とその他の生体異物の溶解性及び分泌のための重要な経路を示す。
【0011】
胆汁酸は、肝脂質蛋白レセプター(apo B.E.)の調節役割をすることで、肝での脂質蛋白コレステロールの摂取の割合を調節することができる。一方、胆汁への胆汁塩の分泌は、2種の異なる胆汁脂質であるホスファチジルコリン(レシチン)及びコレステロールの分泌と連結される。胆汁塩出力とレシチン及びコレステロール出力との連結は、肝コレステロールの除去のための主な経路を提供する。胆汁酸は、ヒドロキシメチルグルタリル−コエンチームA(HMG−CoA)還元酵素に対して直接的に作用するか、または間接的に腸内のコレステロール吸収を調節することで、コレステロール合成の調節の寄与因子でもある。胆汁塩は、レシチンと一緒に、ミセルとベシクルが混合された形態において胆汁内コレステロールを溶解させる。腸内で、混合されたミセル形態の胆汁塩は、コレステロール、脂溶性ビタミン、その他の脂質の管内溶解、輸送及び吸収に関与する。胆汁塩は、腸管内腔から刷子縁(brush border)までのカルシウム及び鉄の輸送に関与する。
【0012】
熊胆の主な成分であるUDCAは、多くの種類の肝疾患に対する治療及び予防用の主な薬剤学的製剤として用いられてきた。その医薬的用途は、放射線透過胆石の溶解、胆汁消化不良、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、慢性活性肝炎及びC型肝炎の治療などを含む。高濃度の胆汁酸は、C型肝炎ウイルスの増殖を著しく阻害する。
【0013】
UDCAの親水性性質は、肝の壊死炎症性疾患の細胞保護を付与することができる。また、UDCAは、慢性肝炎での肝損傷のアミノ転移酵素及び胆汁停滞酵素指数を有意に向上させ、アルコール性脂肪肝を緩和させる。胆汁塩欠乏症及びこれにより減少した胆汁でのコレステロール溶解性は、コレステロール胆石の発病機序の役割を担当する。
【0014】
胆汁酸は、心臓及び胃腸管に影響を及ぼすことを含む、その他の多数の疾患状態を治療するときの重要な治療的価値を有することもある。例えば、UDCAは、全身性血管床(systemic vascular bed)に対する血管拡張効果を有するが、肺血管機能や心臓機能を変化させない。胃腸管に関して、胆汁酸は、実質的にヘリコバクタ・ピロリ(H.pylori)の増殖を阻害する。
【0015】
治療上の活性剤として、そして、担体及び/またはアジュバントとしての胆汁酸の潜在的に価値のある医薬的用途にもかかわらず、胆汁酸の商用的用途は、錠剤、カプセル及び懸濁剤である胆汁酸の固体形態を有する薬剤学的処方に制限される。これは、約pH1〜8の水性媒質中での胆汁酸の不溶性に起因する。また、これは、胆汁の非常に苦い味と、数時間持続する同等な苦い後味に起因する。少ない利用可能な水溶性投薬形態は、不安定であり、pH制御及び維持の問題点から使用での制限を有する。さらに、胆汁酸の一部の市販の薬剤学的投薬処方は、不充分な生体利用率を有すると報告されている。これは、固体の胆汁酸処方でも同様である。
【0016】
したがって、(液体)であるか、または、透明な水溶液を形成する(固体である)液体及び固体胆汁酸処方に対する必要性が生じてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
胆汁酸組成物は、乾燥または固体形態で保存または投与されることが好ましい。したがって、本発明は、水にさらしたとき、透明なまたは粒状物のない溶液を形成する胆汁酸の乾燥または固体製剤(或いは剤形)に関するものである。本発明の乾燥または固体形態は、胆汁酸の透明なまたは粒状体のない溶液(”母液”)から製造される。また、本発明は、この乾燥または固体形態を製造および/または可溶化させる方法に関するものである。これら剤形の利点は、胆汁酸の改善された生体利用率、血漿生体利用率及び吸収性を含む。本発明の剤形の付加的な利点は、1以上の薬剤学的化合物の改善された生体利用率、血漿生体利用率及び吸収性を含む。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一部の好ましい実施形態において、本発明の乾燥または固体製剤は、水にさらされて(1)胆汁酸、それらの誘導体、それらの塩またはそれらとアミンとのコンジュゲート、(2)水及び(3)胆汁酸とでんぷん転化物が、選択されたpH範囲内の如何なるpHでも溶液状態になるように充分な量の水可溶性でんぷん転化物を含む溶液となる。一部の好ましい実施形態によると、本発明の乾燥または固体製剤は、水にさらされて(1)胆汁酸、それらの誘導体、それらの塩またはそれらとアミンとのコンジュゲート、(2)水及び(3)胆汁酸と多糖類が、選択されたpH範囲内の如何なるpHでも溶液状態になるように充分な量の水可溶性非でんぷん多糖類及び水可溶性でんぷん転化物を含む溶液となる。
【0019】
本発明の乾燥または固体形態は、水にさらされて耐性マルトデキストリン、水可溶性人参抽出物、薬剤学的適正量の薬剤学的化合物、水可溶性ビスマス化合物またはこれらの組み合わせをさらに含む溶液になることができる。前記溶液が上記のような物質を1種以上含む場合、この溶液組成物は、これら物質が確実に溶液状態を保つよう調整されることができる。
【0020】
本発明の乾燥または固体製剤は、崩壊剤を1種以上含むことができる。本発明の一部の実施形態において、胆汁酸組成物の溶液処方は、投与後、その乾燥形態の破壊または崩壊を容易にするために崩壊剤を含む。本発明の溶液のpHは、高出力超音波処理下、酸により調整されても良い。本発明の一部の非制限的な実施形態において、高出力超音波処理は、乾燥または固体胆汁酸製剤の溶解化を加速させる。
【0021】
本発明の乾燥または固体形態は、透明なまたは粒状物のない母液から製造される。本発明の一部の実施形態において、胆汁酸組成物の溶液剤形から誘導された乾燥形態は、流動床乾燥手法から発展した造粒化方法によって顆粒化される。この方法において、可溶性繊維溶液(顆粒化溶液)は、懸濁状態の乾燥形態中にまたはその乾燥形態上に噴射された後、浮遊する空気中で迅速に乾燥される。
【0022】
本発明の一部の実施形態において、(1)胆汁酸、それらの誘導体、それらの塩またはそれらとアミンとのコンジュゲート、(2)水及び(3)胆汁酸成分と炭水化物が、選択されたpH範囲内の如何なるpHでも溶液状態になるように充分な量の炭水化物を含み、前記炭水化物は、水可溶性でんぷん転化物と水可溶性非でんぷん多糖類の組合物である組成物が提供される。可溶性非でんぷん多糖類と高分子量でんぷん転化物の両方を含有する実施形態において、それぞれの量は、これらが一緒に組成物に配合される場合、胆汁酸成分、高分子量でんぷん転化物、可溶性非でんぷん多糖類、及びもし存在するなら薬剤学的化合物が、選択されたpH範囲内の如何なるpHでも溶液状態になるのに充分であればよい。
【0023】
本発明の一部の実施形態において、薬剤の反応または効能の強度を増加させる併用療法組成物が提供される。このような組成物は、低い投薬量の薬剤学的化合物の投与を許容し、異なる地点で複合疾患を攻撃し、薬剤学的化合物の吸収を変更及び/または除去することができる。このような組成物は、薬剤の毒性及び/または副作用の減少をもたらすか、減少に寄与する。
【0024】
一部の実施形態において、本発明の胆汁溶液は乾燥されている。また、本発明は更に、凍結乾燥、蒸発または当業界で知られた脱水のその他の任意の手法によって胆汁酸組成物の溶液処方から誘導された乾燥形態に関するものである。前記溶液は、部分的に乾燥されて半固体形態を生産することができる。また、前記溶液は、完全に乾燥されて固体、粉末及び顆粒を生産することもできる。水溶液の乾燥形態は、実質的に水を含まないこともある。乾燥形態は、流動法、トレイ法、噴霧法または凍結法によって乾燥されることもある。また、乾燥形態は、乾燥投薬形態で直接投与したり、または、投与前に水と配合させてもよい。
【0025】
また、本発明は更に、本発明の組成物の投与を含むヒトまたは動物疾患を治療または予防する方法に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、(i)可溶性胆汁酸、水可溶性胆汁酸誘導体、胆汁酸塩、またはアミンとコンジュゲートされた胆汁酸からなる群から選択される1種以上の胆汁酸(集合的に”胆汁酸”という)、(ii)水及び(iii)所望のpH範囲内の如何なるpHでも沈殿物を形成しない溶液を生成するのに充分な量の1種以上の水可溶性でんぷん転化物または水可溶性非でんぷん多糖類を含む水溶液に関するものである。
【0027】
前記組成物は、それ自体で薬剤学的有効性を有する胆汁酸またはその塩を含有する。本発明の処方は、所望のpH範囲で本発明の組成物に溶解された状態である薬剤学的物質の輸送のための担体、アジュバントまたは増強剤として作用する。本発明の一部の実施形態において、非−胆汁酸薬剤は、必ずしも溶液状態である必要なしに用いられる。
【0028】
本発明の利点は、胆汁酸及び炭水化物が、酸性からアルカリ性までの如何なるpHでも沈殿することなく溶液状態にある点にある。胆汁酸の水溶液系は、沈殿物または粒子が全くない。本発明の他の利点は、50℃で保存する加速条件下で7ケ月間観察した後にも、強酸またはアルカリの添加後に透明性、色または臭いの変化などの物理的外観の変化がないことに立証された点にある。
【0029】
本発明の一部の実施形態において、胆汁酸の水溶液系は、経口投与されて胃腸管を通して移動するとき、酸性胃液にさらされ、腸のアルカリ性環境にさらされても胆汁酸が固形物として沈殿されることがない。これら剤形は、胃腸管内で変化していない胆汁酸溶液系が効果的かつ完全に吸収されることを証明している。
【0030】
本発明によると、胆汁酸溶解度(例えば、沈殿や物理的外観の変化)は、任意の胆汁酸のカルボキシル酸側鎖がプロトン化(非イオン化)されるか、イオン化されるか、または、単純にカルボキシル酸であるかによって影響を受けない。胆汁酸カルボキシル酸側鎖のイオン化状態は、これら水溶液系において胆汁酸によるミセル形成の能力に大きな影響を及ぼす。本発明の一部の実施形態において、そのイオン化状態は、治療上活性剤として、薬物のアジュバントとして、薬物の担体として、または薬物溶解度の増強剤としてこれら水溶液系を使用するために、薬物と一緒に胆汁酸のミセル形成を制御するようにpHを調製することで操作される。これら水溶液系は、長期間の経過後であっても、沈殿または物理的外観が低下するという短所なしに、所望のpHを有する経口消費剤、浣腸剤、口腔洗浄剤、うがい剤、鼻腔製剤、耳製剤、注射剤、洗浄剤、局所皮膚製剤、その他の局所製剤及び化粧製剤のために製造される。
【0031】
可溶性胆汁酸は、任意の類型の水可溶性胆汁酸である。胆汁酸塩は、任意の胆汁酸の水可溶性塩である。本発明の可溶性胆汁酸誘導体は、対応する非誘導体化胆汁酸と同様に、水溶液に可溶性であるか、この非誘導体化胆汁酸より水溶液中により可溶性である誘導体である。胆汁酸誘導体は、限定されるものではないが、胆汁酸のヒドロキシル基またはカルボキシル酸基を、他の作用基、これらに制限されないものではないが、ハロゲン及びアミノ基とした誘導体を含む。胆汁酸の水性溶解塩は、上述した胆汁酸とアミン、これらに限定されることはないが、トリエンチン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族遊離アミン類;アルギニン、リシン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸;D−グルカミン、N−アルキルグルカミンなどのアミノ糖類;コリンなどの4次アンモニウム誘導体;ピペラジン、N−アルキルピペラジン、ピペリジン、N−アルキルピペリジン、モルホリン、N−アルキルモルホリン、ピロリジンなどの複素環式アミン;トリエタノールアミン及びトリメタノールアミンなどのアミンとの反応によって形成される。本発明によると、可溶性胆汁酸塩として、胆汁酸の水可溶性金属塩または水可溶性O−スルホン化胆汁酸などが挙げられる。
【0032】
本発明の胆汁酸は、ケノデオキシコール酸、コール酸、ヒオデオキシコール酸、デオキシコール酸、7−オキソリトコール酸、リトコール酸、ヨードデオキシコール酸、イオコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロリトコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸およびステロイド核にあるヒドロキシル基またはカルボキシル酸基でのそれらの誘導体からなる群から選択される。また、本発明の胆汁酸は、一次、二次及び三次胆汁酸から選択される。
【0033】
UDCAは、実質的にpH<7で不溶性である。UDCAのpKaは5.1で、そのプロトン化形態の溶解度は9μmol/Lである。溶液処方中のUDCAの溶解度は、元のUDCAの溶解度のほぼ30,000倍に相当する約100mg/mLである。したがって、本発明の主な利点は、溶液中の可溶化胆汁酸の伝達によって、他の製剤を遥かに超える胆汁酸(胆汁、血液など)の高い生体内レベルが達成される点にある。したがって、胆汁酸の治療能力は、既存の剤形より、全身供給によって各病巣で高濃度の適切な胆汁酸によって一層充分に達成される。胆汁が不完全に徐々に可溶化される既存の剤形によって得られる胆汁酸の生体内レベルは低くなる。さらに、その低い吸収性及び腸肝循環作用は、血液中のUDCAなどの治療上活性胆汁酸が検出できないことの原因となる。胆汁酸は、本発明の剤形に完全に溶解されるので、より低い容量が投与される場合も一層高い生体内胆汁酸レベルが達成される。
【0034】
本発明の一部の実施形態においては、複数の胆汁酸が単一処方に用いられる。疎水性活性が異なる2種以上の胆汁塩の混合物は、中間の疎水性活性を有する単一胆汁塩として作用することができる。その結果、2種以上の胆汁塩の混合物は、個別の胆汁酸より増加した洗浄剤特性や低い毒性などの独特の生理的利点を有する。
【0035】
本発明に適切に用いられる炭水化物は、水可溶性でんぷん転化物及び水可溶性非でんぷん多糖類を含む。水可溶性でんぷん転化物は、多様なpH条件下でのでんぷんの部分的または不完全な加水分解から得られる。また、これらは、約4〜40のデキストロース当量(DE)を有する。DEは、でんぷん重合体の加水分解程度の定量的な尺度である。これは、デキストロース標準100と還元力を比較し、測定される。DEが高いほど、でんぷん加水分解度が大きいことを意味する。産物が更に加水分解される(高くなる)ことで、平均分子量が減少する。非制限的な例としては、マルトデキストリン、デキストリン、液体グルコース、コーンシロップ固形分(液体グルコースの乾燥粉末)及び可溶性でんぷんが挙げられるが、マルトデキストリンまたはコーンシロップ固形分であることが好ましく、このうちコーンシロップ固形分であることが最も好ましい。本発明の目的のために、”コーンシロップ”という用語は、コーンシロップと液体グルコースの両方を全て含む。水可溶性非でんぷん多糖類は、グアーガム、ペクチン、オオバコ、オートガム、ダイズ繊維、オーツ麦、コーン皮、セルロース及びふすまなどの水可溶性繊維である。
【0036】
本発明に用いられる高分子量水可溶性でんぷん転化物の量は、少なくとも所望の濃度で、そして、所望のpH範囲内で選択された胆汁酸塩に可溶性を付与するのに必要な量である。本発明の水溶液剤形から胆汁酸の沈殿を防止するために必要なマルトデキストリンの近似的な最小量は、そのDE値に依存する。本発明の好ましい実施形態において、本発明の水溶液処方から胆汁酸の沈殿を防止するために必要な、Maltrin(登録商標)M150、Maltrin(登録商標) M180、Maltrin(登録商標)M200、Maltrin(登録商標)M250(コーンシロップ固形分)、液体グルコース及び可溶性でんぷんなどの15〜25のDE値を有するマルトデキストリンの近似的な最小量は、胆汁酸0.2gであるCDCAに対して約30g、UDCAに対して約5g、7−ケトリトコール酸(KLCA)に対して約12g、コール酸に対して約10g、デオキシコール酸に対して約50g、ヒオデオキシコール酸に対して約3.5gである。本発明の好ましい実施形態において、Maltrin(登録商標)M040、Maltrin(登録商標)M100などのマルトデキストリン(DE5−10)の近似的な最小量は、胆汁酸0.2gであるCDCAに対して約18g、UDCAに対して約3g、7−ケトリトコール酸(KLCA)に対して約7g、コール酸に対して約6g、デオキシコール酸に対して約30g、ヒオデオキシコール酸に対して約2.1gである。
【0037】
耐消化性マルトデキストリンは、水可溶性食餌繊維である。この耐可溶性マルトデキストリンは、コーンスターチから通常のアルファ−1,4グルコース結合の一部をランダム1,2−、1,3−及び1,4−アルファまたはベータ結合で意識的に変換させ生成する(従来のマルトデキストリン製造工程と類似している)。ヒトの消化系は、アルファ1,4−結合のみを効果的に消化させ、他の結合が消化に対する耐性のある分子を与える。したがって、生成された他の結合は、小腸で吸収されずに大腸まで通過する。この耐性マルトデキストリンは、大腸で部分的に発酵され、用いられない分画を分泌させる。この水可溶性マルトデキストリンは、正常の健康なレベルの血清コレステロール、血液トリグルセリド、血液グルコースレベル、腸の規則性及び腸内微生物叢を維持することを助ける。本発明の一部の実施形態において、溶液処方は、水可溶性の耐消化性マルトデキストリンを含むこともある。
【0038】
本発明の一部の実施形態において、処方は、シクロデキストリンを含むこともできる。
【0039】
薬物は、最も頻繁的には粉末、乾燥顆粒塊、錠剤及びカプセルなどの固体投薬形態によって経口投与される。前記固体投薬形態は、取り扱いを容易にし、物理的外観を強調し、安定性を向上させる。多くの場合において、薬物の溶解度及びその他の物理化学的特性は、固体投薬形態からの生理的有用性に影響を及ぼすものと知られている。乾燥形態は、可溶化を容易にする水可溶性胆汁酸、容易に可溶性の高分子量でんぷん転化物及び崩壊剤を含有する。胆汁酸の増大した溶解度は、増加した溶解速度をもたらす。その結果、吸収速度は、増加した溶解速度によって大きく増加される。
【0040】
本発明の組成物は、投与後の乾燥または固体形態の分解または崩壊を容易にする崩壊剤をさらに含む。崩壊剤は、ビーガム(Veegum) HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、天然スポンジ、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、かんきつパルプ、カルボキシメチルセルロース、粘土類、セルロース類、アルギン類、ガム類、架橋重合体(クロスポビドン)、架橋セルロース(クロスカメロース)及び架橋でんぷん(ソジウムでんぷんグリコレート)などのでんぷん類である。崩壊機能は、膨潤よりむしろ毛細管作用に起因する。一般的に、前記水可溶性崩壊剤は、乾燥前に活性成分と混合されている。水不溶性崩壊剤の場合、乾燥状態の粉末配合物に5重量%のでんぷんが添加される。一層迅速な崩壊を望む場合、この量は、10または15%まで増加される。2〜4%のソジウムでんぷんグリコレートは30秒以下で7倍〜12倍に膨潤され、クロスカメルロースは10秒以下で4倍〜8倍に膨潤される。
【0041】
二酸化炭素の放出は、胆汁酸組成物の溶液処方から由来した乾燥形態の迅速な溶解を起こすのに有効な方式である。重炭酸ナトリウムと酒石酸またはクエン酸などの酸味料との混合物を含有する乾燥形態は、水に添加される場合、泡が生じるはずである。重炭酸ナトリウムの量は、胆汁酸の量の約10倍である。酸味料の量は、重炭酸ナトリウムの量の20%以上である。充分な酸が添加されると、水中への溶解が迅速かつ完全になった場合、中性または弱酸性反応を起こすようになる。
【0042】
また、本発明は、胆汁酸組成物から由来した溶液処方の製造に関するものである。約60℃で加熱または加熱しない状態の高出力超音波処理は、本発明の乾燥または固体製剤を可溶化させるのに有用である。高出力超音波処理システムは、溶液剤形を製造する間、沈殿された化合物を溶液中に流し戻すために用いられる。超音波時間、パワー及び振幅の効果は、溶液中に化合物を流し戻すよう最適化される。20kHzの音響エネルギーを発生させる0〜1150ワットの超音波機が、本発明の透明な水溶液を形成するために用いられるであろう。
【0043】
乾燥形態は、湿式造粒化、乾式造粒化及び流動床造粒化によって母液から製造される。各成分が充分な固有の結合性や凝集性を有する場合、乾式造粒化法(スラッギング)が顆粒製造に用いられる。湿式及び乾式造粒化の一般的な段階は、称量、混合、造粒化(スラッギング)及びスクリーニングである。流動床造粒化は、懸濁された粒子層中に、または、その上に造粒化溶液または溶媒を噴射した後、浮遊する空気中で迅速に乾燥させることで行われる。これら方式において、母液から誘導された乾燥形態である懸濁粒子は、腸溶重合体を含有する造粒化溶液または溶媒によってコーティングされても良い。腸溶重合体は、6以上のpHで腸溶コーティングとして効果的に機能するセルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸−メタシル酸(methacylic acid)エステル共重合体、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)を含む。これら腸溶重合体を有する造粒形態は、胃ではそのまま残存するが、一旦腸及び大腸に到達すると活性成分を溶解及び放出させるはずである。
【0044】
ペレット化形態である球形化は、湿式造粒化または流動床造粒化から球形粒子(球体)を形成することを意味する。500ミクロン〜12mm直径範囲の棒状の円周断片は、圧出器を通して製造される。圧出後、断片をマルメライザー(Marumerizer)に置き、これらを回転板上で遠心力及び摩擦力によって球体に定形化する。ペレットは、乾燥された後でコーティングされる。本発明の一部の実施形態において、胆汁酸組成物の溶液剤形の乾燥形態は、球形化過程によって製造された後、腸溶重合体によってコーティングされる。
【0045】
剤形がその胆汁酸、でんぷん転化物、可溶性非でんぷん多糖類またはその薬剤学的化合物を沈殿させない選択されたpH範囲は、水系で得られるpHレベルの如何なる範囲でもある。この範囲は、約pH1〜pH14であることが好ましく、約pH1〜pH10であることが一層好ましい。さらに、前記範囲は、投与方法によって薬剤学的剤形が製剤から溶液状態に維持され、体内に投与されて吸収されるのに充分な水系で得られる任意の下位セットのpHレベルである。本発明の一部の実施形態において、胆汁酸は、酸性条件下で胆汁酸の一般的な不溶性にもかかわらず、遊離胆汁酸として酸性条件下で溶解された状態にある。本発明の一部の実施形態において、この組成物は、薬剤学的製剤が口腔、胃または腸で優勢なpHレベルで沈殿されることなく、溶液状態に置かれる薬剤学的剤形として用いられる。
【0046】
本発明は、広い範囲の薬剤学的物質の用途を想定する。非制限的な例としては、ホルモン、ホルモン拮抗剤、鎮痛剤、解熱剤、抗炎症薬物、免疫活性薬物、抗新生物性薬物、抗生物質、抗炎症剤、交感神経興奮剤、抗感染薬、抗腫瘍剤及び痲酔剤を含む。さらに、非制限的な例としては、胃腸管、肝、心血管系及び呼吸系統を標的とするか、影響を及ぼす薬物を含む。さらに、薬剤学的化合物の非制限的な例としては、インシュリン、リルゾール、ヘパリン、カルシトニン、アンピシリン、オクトレオチド、クエン酸シルディナフィル、カルシトリオール、ジヒドロタキステロール、アポモルヒネ、ヨヒンビン、トラザドン、アシクロビル、アマンタジン・HCl、リマンタジン・HCl、シドフォビル、メシル酸デラビルジン、ディダノシン、ファムシクロビル、フォスカルネットナトリウム(foscarnet sodium)、フルオロウラシル、ガンシクロビルナトリウム、イドクスウリジン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、ラミブジン、ネビラピン、ペンシクロビル、リバビリン、スタブジン、トリフルリジン、バラシクロビル・HCl、ザルシタビン、ジドブジン、インディナビル・H2SO4、リトナビル、ネルフィナビル・CH3SO3H、サクイナビル・CH3SO3H、d−ペニシラミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィンレバミソール、DTC、イソプリノシン、メチルイノシンモノフォスフェート、ムラミールジペプチド、ジアゾキシド、ヒドララジン・HCl、ミノキシジル、ジピリダモール 、イソクスプリン・HCl、ナイアシン、ナイリドリン ・HCl、フェントラミン、ドキサゾシン・CH3SO3H、プラゾシン・HCl、テラゾシン・HCl、クロニジン・HCl、ニフェジピン、モルシドミン、アミオダロン、アセチルサリチル酸、ベラパミル、ジルチアゼム、ニソルジピン、イスラジピン、ベプリジル、イソソルビド・ジニトレート、ペンタエリスリトール・テトラナイトレート、ニトログリセリン、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、ランソプラゾール、オメプラゾール、ミソプロストル、スクラルフェート、メトクロプラミド・HCl、エリスロマイシン、ビスマス化合物、アルプロスタジル、アルブテロール、ピルブテロール、テルブタリン・H2SO4、サルメテロール、アミノフィリン、ダイフィリン、エフェドリン、エチルノルエピネフリン、イソエタリン、イソプロテレノール、メタプロテレノール、n−ドクロミル、オクストリフィリン、テオフィリン、ビトルテロール、フェノテロール、ブデソニド、フルニソリド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、コデイン、硫酸コデイン、リン酸コデイン、デキストロメトルファン・HBr、トリアムシノロン・アセトニド、モンテルカストナトリウム、ザフィルルカスト、ジレウトン、クロモグリク酸ナトリウム、臭化イプラトロピウム、ネドクロミルナトリウムベンゾエート、ジフェンヒドラミン・HCl、ヒドロコドン・二酒石酸塩、メタドン・HCl、硫酸モルヒネ、アセチルシステイン、グアイフェネシン、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酒石酸カリウムアンチモン、グリセリン、抱水テルピン、パルミチン酸コルホスセリル、アトロバスタチン・カルシウム、セリバスタチン・ナトリウム、フルバスタチン・ナトリウム、ロバスタチン、プラバスタチン・ナトリウム、シンバスタチン、ピクロリザクロア(Picrorrhazia kurroa)、アンドログラフィスパニクラタ、モリンガオレイフェラ、アルピッツァレベック(albizzia lebeck)、アドハトーダバシカ、クルクマ・ロンガ(curcuma longa)、苦瓜(momordica charantia)、ギムネマシルベスタ(gymnema sylvestre)、ターミナリアアルジュナ(terminalia arjuna)、アザデラクチャインディカ、ティノスポリアコルディフォリア(tinosporia cordifolia)、メトロニダゾール、アムホテリシンB、クロトリマゾール、フルコナゾール、ハロプロジン、ケトコナゾール、グリセオフルビン、イトラコナゾール、テルビナフィン・HCl、エコナゾール・HNO3、ミコナゾール、ニスタチン、オキシコナゾール・HNO3、スルコナゾール・HNO3、セチリジン・2HCl、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、コーチゾン、カテキン及びその誘導体、グリシルリジン、グリシルリジン酸、ベタメタゾン、酢酸ルドロコルチゾン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、ソマトスタチン、リスプロ、グルカゴン、プロインシュリン、不溶性インシュリン、アカルボース、クロルプロパミド、グリピザイド、グリブライド、メトホルミン・HCl、レパグリニド、トルブタミド、アミノ酸、コルヒチン、スルフィンピラゾン、アロプリノール、ピロキシカム、トルメチンナトリウム、インドメタシン、イブプロフェン、ジフルニサル、メフェナム酸、ナプロキセン、トリエンチン、ビタミンE、ビタミンC、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、N−アセチルシステイン、ラザロイド類、U74389F及びU74006Fなどの21−アミノステロイド、カタラーゼ(CAT)、プトレシン−変性カタラーゼ(PUT−CAT)、エストロゲン、アルファ−リポ酸、セレギリン、デスフェリオキサミン(desferrioxamine)、d,l−ペニシラミン、アルファ及びベータ−カロチン、レチノール、セレニウム、銀杏(gingko Biloba)、リルゾール、フルピルチン、ピフィスリン−アルファ(pifithrin-alph a)、CGP3466B/TCH346、CPI−1189、CEP−1347及びコエンチームQ10が挙げられる。
【0047】
また、本発明の胆汁酸組成物は、人参を含むことができる。人参は、ビタミンA、B−6及びミネラルである亜鉛を含有し、これは、防御システムを作用させるのに必要な胸腺ホルモンの生産を助ける。人参の主な活性成分は、”ジンセノサイド”と呼ばれる25以上のトリテルペノイドグリコシドである。これらステロイド類似成分は、人参がストレス作用に均衡をなして対応できるようにする適応原的(adaptogenic)性質を提供する。グリコシドは、物理的、化学的または生物学的ストレスに反応して副腎に作用し、副腎肥大症及び過剰のコルチコステロイド生産を防止することを助けるものと示される。人参の薬物動態学的効果はCNSで、そして、心血管系、内分泌系及び免疫系で立証されている。また、人参及びその構成成分は、抗新生物、ストレス解消及び抗酸化活性を有すると言われている。また、これは、多くの活性成分を有する薬用植物であり、多くの研究から人参が有利な効果を有することが立証されている。人参は、反応または効能の強度を増加させ、個別の毒性を減少させ、好ましくない作用を相殺させ、長期間の吸収を変更するように、多様な漢方薬による併用効果が立証されている。
【0048】
人参の薬理学的効果はCNSで、そして、心血管系、内分泌系及び免疫系で立証されている。また、人参及びその水可溶性構成成分は、抗新生物、ストレス解消及び抗酸化活性を有すると言われている。本発明の一部の実施形態において、溶液剤形は、水可溶性人参(白人参及び赤人参)抽出物を含む。
【0049】
したがって、本発明は、広範囲な薬剤学的物質の用途を想定する。本発明の剤形において、可溶性および/または可溶性状態である如何なる薬剤学的物質も用いられる。前記処方における追加的な薬剤学的化合物と一緒に、溶液中の胆汁酸は、任意の治療上活性剤の溶解度のためのアジュバント、担体または増強剤として作用する。これらの例としては、インシュリン(pH7.4〜7.8)、ヘパリン(pH5〜7.5)、カルシトニン、アンピシリン、アマンタジン、リマンタジン、シルデナフィル、硫酸ネオマイシン(pH5〜7.5)、アポモルヒネ、ヨヒンビン、トラザドン、リバビリン、パクリタキセル及びその誘導体、レチノール及びトレチノインなどが挙げられるが、これらに制限されることはない。これらは、酸及び/またはアルカリで可溶性かつ安定的であり、必要な場合、本発明における胆汁酸の所定濃度の水溶液処方内に添加される。ある種の治療的活性物資、限定されるものではないが、メトホルミンHCl(pH5〜7)、ラニチジンHCl、シメチジン、ラミブジン、セチリジン2HCl(pH4〜5)、アマンタジン、リマンタジン、シルデナフィル、アポモルヒネ、ヨヒンビン、トラザドン、リバビリン及びデキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、コーチゾン、ナイアシン、タウリン、ビタミン、自然産アミノ酸、カテキン及びその誘導体、グリシルリザル抽出物(glycyrrhizal extract)、その主成分であるグリシルリジン及びグリシルリジン酸、そして、水可溶性ビスマス化合物(例えば、ビスマスナトリウム酒石酸塩)など、酸及び/またはアルカリに可溶性で安定的な任意の治療上活性剤は、必要によって、本発明のウルソデオキシコール酸を含有する水溶液投薬処方に添加される。
【0050】
本発明によると、ビスマス化合物は、ビスマスイオンとキレートとの間の水可溶性反応生成物を含む。このキレートの非制限的な例としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸 乳酸及びエデト酸(eidetic acid)などが挙げられる。また、非制限的な例としては、クエン酸ビスマス、硫酸ビスマス、酸化窒酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次サリチル酸ビスマスまたは次没食子酸ビスマスが挙げられる。
【0051】
本発明は、pH調整剤の用途を想定する。非制限的な例としては、HCl、H2SO4、HNO3、CH3COOH、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、リン酸塩及びエデト酸またはアルカリ類が挙げられる。
【0052】
本発明の一部の実施形態において、前記処方は、ヒトの疾患または哺乳動物の疾患を治療するのに用いられる。本発明は、胃腸障害、肝疾患、胆石または高脂血症の治療を想定する。肝疾患の非制限的な例としては、アルコール−誘発肝疾患と非アルコール−誘発肝疾患を含む。胃腸障害の非制限的な例としては、慢性胃炎、逆流性胃炎及び消化潰瘍疾患を含む。非アルコール−誘発肝疾患の非制限的な例としては、原発性胆汁性肝硬変、急性及び慢性肝炎、原発性硬化性胆管炎、慢性活動性肝炎及び肝での脂肪過剰蓄積を含む。また、本発明は、ウイルス疾患、細菌性疾患または真菌疾患の治療を想定する。本発明の一部の実施形態において、処方は、ヘリコバクタ・ピロリ感染を治療及び/または撲滅するために投与される。本発明の一部の実施形態において、処方は、C型肝炎ウイルス感染、A型インフルエンザ、C型インフルエンザ、第1型パラインフルエンザ、センダイ(sendai)、風疹及び仮性光犬病ウイルス(Pseudorabies virus)を治療及び/または撲滅するために投与される。本発明の一部の実施形態において、剤形は、急性または慢性炎症性疾患を治療するために投与される。炎症性疾患の非制限的な例としては、気管支炎、慢性咽頭炎及び慢性へんとう炎を含む。本発明の一部の実施形態において、剤形は、高コレステロール血症を治療するために投与される。
【0053】
本発明の一部の実施形態において、処方は、液体、固体、粉末または錠剤として投与されるように変形される。本発明の一部の実施形態において、前記処方は、シロップ、濃厚シロップまたはペーストからなる。シロップの非制限的な例は、マルトデキストリンの濃度が1.0kg/L未満であるマルトデキストリン溶液である。濃厚シロップの非制限的な例は、マルトデキストリンの濃度が1.0kg/L以上、1.2kg/L以下であるマルトデキストリン溶液である。ペーストの非制限的な例は、マルトデキストリンの濃度が1.2kg/Lより高いマルトデキストリン溶液である。
【0054】
本発明の水溶液は乾燥されていてもよい。本発明の目的のために、本発明による”一次”水溶液胆汁酸投薬処方は、胆汁酸またはその塩、及び炭水化物の水との元の組み合わせによって生産される。これは、各成分の同時または段階的な組み合わせによって製造される。これに対し、”二次”水溶液胆汁酸投薬処方は、予め共溶解された胆汁酸及び炭水化物を含む粉末または固体から製造された溶液である。したがって、二次水溶液胆汁酸投薬処方は、少なくとも水が添加、除去及び再添加される点で異なる。
【0055】
本発明の一部の実施形態において、一次水溶液胆汁酸投薬処方は、噴霧乾燥によって乾燥される。噴霧乾燥は、高度に分散された液体と充分の体積の熱気を送り込み、蒸発と、液滴を乾燥させる段階とから構成される。供給液体は、ポンプで注入可能であり、噴霧可能な溶液、スラリー、シロップまたはペーストである。液体供給は、加温ろ過空気流中に噴射される。空気は、蒸発用の熱を供給し、乾燥された産物を収集器に搬送し、次に、空気は、水分と一緒に排出される。噴霧乾燥された粉末粒子は、均質であり、形状が略球形であり、大きさはほぼ均一であり、しばしば中空状態である。後者の特徴は、溶液の迅速な速度と一緒に低い体積密度をもたらす。この過程は、一つの物質を他の物質上にコーティングして内部物質を保護するか、その放出速度を制御するために有用である。例えば、水溶液胆汁酸投薬処方の乾燥形態は、可溶化UDCAの大腸伝達のために腸溶重合体で被覆される。脱水は、凍結乾燥、蒸発または当業界で知られたその他の任意の脱水手法によって行われることもある。
【0056】
得られた乾燥形態、例えば粉末または固体は、直接投与されるか、または、水と再配合されて二次の透明な水溶液胆汁酸投薬処方を形成することができる。二次水溶液胆汁酸投薬処方、すなわち、乾燥形態から製造されたものは、実質的に一次剤形と同一の性質を有する。
【0057】
本発明は、一次及び二次胆汁酸水溶液のみならず、乾燥形態に薬剤などの添加剤を添加することも想定する。乾燥形態で投与された場合、その乾燥された物質は、1種以上の希釈剤、潤滑剤、結合剤、充填剤、薬物、崩壊剤またはその他の添加剤と配合させてもよい。上記のようにして、前記乾燥形態は、散剤、顆粒、丸剤、錠剤またはカプセルで構成される。
【0058】
本発明の投薬処方の安定性は、種々のpH及び温度レベルで、可溶性胆汁酸、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び水を含む製剤について、時間経過による当該胆汁酸の濃度を測定することで評価された。安定性試験は、通常の条件および加速条件下、種々のpH条件でHPLC及び光学顕微鏡によって行われた。各胆汁酸のための濃度分析を含む溶液安定性試験は、次のHPLCによって行われた。溶離溶剤は、pH3.01の、55:45の比の0.02M KH2PO4:アセトニトリルで、その流量は0.8mL/分、注入体積は20μlであり、検出波長は195nmであった。各胆汁酸の滞留時間は、必要によって、複数の胆汁酸を有するサンプルに存在する各胆汁酸の個別分析ができるように調整される。表には、3回の試験での胆汁酸塩の濃度と、それらの平均値が各列に記録されている。百分率は、初期濃度と比較して、所定時間の間培養した後の胆汁酸塩の相対濃度を示す。
【0059】
薬剤学的組成物を試験するための加速条件は、既に公知されている(文献[Remington、The Science and Practice of pharmacy、19th ed.,p.640]を参照)。これら全ての安定性試験結果は、HPLCによって測定された胆汁酸の濃度が種々のpHレベルで時間経過によって評価できるほどに変化しない点で申し分がない結果であった。したがって、実施例の処方は、市販の液体投薬形態を製造するのに適している。特に、胆汁酸が含有された全ての溶液処方は、試験期間にかけて沈殿がなく、物理的外観の変化がないので、安定性試験で優れた結果を示した。一部の処方は、2年にかけて安定的に維持される。
【0060】
安定性試験は、実施例IVによる水可溶性UDCA、分岐鎖アミノ酸(ロイシン、 イソロイシン、バリン)及びマルトデキストリンの混合物を含む水溶液処方に対しても行われた。この処方は、胆汁酸が治療上活性剤として、アジュバントまたは担体、薬剤学的活性剤及び溶解度増強剤として機能する典型的な溶液処方である。この試験結果によると、透明度変化、変色または沈殿がなかった。また、加速条件(例えば、50℃で培養)下でpH1、3、5、7、9または10などの多様なpH条件でHPLCによって調査した場合、UDCAまたは分岐鎖アミノ酸の劣化から検出可能な不純物がなかった。
【0061】
本発明による水溶液処方は、塩酸溶液中で安定的で可溶性である治療上及び化学的活性剤の添加にもかかわらず、促進条件下、種々のpH条件で物理的にまたは化学的に変化しなかった。したがって、これら水溶液系は、治療上活性である胆汁酸及び/または薬物の伝達のための非常に価値ある薬剤学的投薬処方である。薬物(薬剤学的化合物)伝達製剤において、任意の特定モードの作用に制限されることなく、胆汁酸は、アジュバント、担体または溶解度増強剤(例えば、ミセル形成)として機能することもできる。
【実施例】
【0062】
安定性試験は、3種の異なる水溶液系に対して行った。第一に、実施例Iに従い、胆汁酸及び高分子量水可溶性でんぷん転化物を配合した水溶液で試験した。その結果を、表1A及び表1Bに表示した。第二に、実施例IIに従い、混合された胆汁酸及び高分子量水可溶性でんぷん転化物を配合した水溶液で試験した。その結果を表2に表示した。第三に、実施例IVに従い、胆汁酸、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び分岐鎖のアミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリンまたは分岐側鎖を有するその他のアミノ酸)を配合した水溶液で試験した。その結果を表3A〜表3Fに表示した。
【0063】
実施例I
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)及び高分子量水可溶性でんぷん転化物によって製造された第1シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 でんぷん転化物(最小量)
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CDCA200mgであれば 約30g
UDCA200mgであれば 約5g
KLCA200mgであれば 約12g
コール酸200mgであれば 約10g
デオキシコール酸200mgであれば 約50g
ヒオデオキシコール酸200mgであれば 約3.5g
精製水(製造される総体積) 100mL
────────────────────────────────────
前記可溶性胆汁酸の一つを溶解させた水溶液(100mL)を準備した。高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを約60〜80℃で攪拌してこれに溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、酸で調整して経口投薬剤形、局所製剤及び溶液を製造した。精製水を添加して総体積を100mLにした。本発明及び全ての実施例においては、精製水は、脱イオン水、蒸溜水または脱イオン−蒸溜水であるか、または、薬剤学的製剤に通常的に用いられる等級のものであれば何れでもよい。
これらの処方に基づいて、種々の濃度の任意の胆汁酸(または塩)及びそれらの対応する最小量のDE15〜25を有する高分子量水可溶性でんぷん転化物(例えば、Maltrin(登録商標)M150(DE=15)、Maltrin(登録商標)M180(DE=18)、Maltrin(登録商標)M200(DE=20)、Maltrin(登録商標)M250(コーンシロップ固形分;DE=25)、液体グルコース)または可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)を有する水溶液剤形を製造した。
【0064】
実施例II
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)及び高分子量水可溶性でんぷん転化物によって製造された第2シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 でんぷん転化物(最小量)
────────────────────────────────────
CDCA200mgであれば 約18g
UDCA200mgであれば 約3g
KLCA200mgであれば 約7.2g
コール酸200mgであれば 約6g
デオキシコール酸200mgであれば 約30g
ヒオデオキシコール酸200mgであれば 約2.1g
精製水(製造される総体積) 100mL
────────────────────────────────────
前記可溶性胆汁酸の一つを溶解させた水溶液(100mL)を準備した。得られた溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口投薬剤形、局所製剤及び溶液を製造した。精製水を添加して総体積を100mLにした。
これらの処方に基づいて、種々の濃度の任意の胆汁酸(または塩)及びそれらの対応する最小量のDE5〜10を有する高分子量水可溶性でんぷん転化物(例えば、Maltrin(登録商標)M040、Maltrin(登録商標)M100)または可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)を有する水溶液処方を製造した。
【0065】
実施例III
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)及び高分子量水可溶性でんぷん転化物によって製造された第3シリーズの溶液処方は、pH6.5〜8で如何なる沈殿も示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 でんぷん転化物(最小量)
────────────────────────────────────
CDCA200mgであれば 約15g
UDCA200mgであれば 約1.5g
KLCA200mgであれば 約3.6g
コール酸200mgであれば 約3g
デオキシコール酸200mgであれば 約15g
ヒオデオキシコール酸200mgであれば 約3.5g
精製水(製造される総体積) 100mL
────────────────────────────────────
前記可溶性胆汁酸の一つを溶解させた水溶液(100mL)を準備した。得られた溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して注射用、大腸−特異的、局所及び点眼剤投薬形態を製造した。精製水または注射用水を添加して総体積を100mLにした。
これら処方に基づいて、種々の濃度の任意の胆汁酸(または塩)及びそれらの対応する最小量のDE5〜10を有する高分子量水可溶性でんぷん転化物(例えば、Maltrin(登録商標)M040、Maltrin(登録商標)M100)または可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)を有する水溶液剤形を製造した。
【0066】
実施例IV
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び非でんぷん多糖類によって製造された第4シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 200mg KLCA(10mg〜3g)
でんぷん転化物(最小量) 約24g(0.6g〜75g)
可溶性繊維 20g(5g〜30g)
精製水(製造される総容量) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性KLCAを溶解させた水溶液(60mL)を準備した。得られた溶液に高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して注射及び局所投薬剤形を製造した。次に、可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)及び耐可溶性マルトデキストリンを添加した。精製水または注射用水を添加して総容量を100mLにした。
表1Aは、実施例Iによって製造されたマルトデキストリンを含むCA、7−ケトリトコール酸、CDCA及びDCAの溶液処方のpH7、50℃での時間経過による安定性試験の結果を示す。胆汁酸の濃度はHPLCによって測定し、胆汁酸の0日目の濃度に対する百分率は、百分率と表示された列に記載した。
表1Bは、実施例Iによって製造された、マルトデキストリンを含むCA、7−ケトリトコール酸、CDCA及びDCAの溶液処方のpH10、50℃での時間経過による安定性試験の結果を示す。
表2は、実施例IIによって製造された、マルトデキストリンを含むCA、7−ケトリトコール酸、CDCA及びDCAの溶液処方のpH1、50℃での時間経過による安定性試験の結果を示す。
【0067】
実施例V
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び非でんぷん多糖類によって製造された第5シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 200mg UDCA(10mg〜3g)
でんぷん転化物(最小量) 約5g(0.25g〜75g)
耐性マルトデキストリン 15g(5g〜30g)
精製水(製造される総容量) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性UDCAを溶解させた水溶液(100mL)を準備した。得られた透明な液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投薬剤形を製造した。次に、耐可溶性マルトデキストリンを添加した。精製水または注射用水を添加して総容量を100mLにした。
これら製法に基づいて、種々の濃度のUDCA(または塩)及びそれらの対応する最小量のDE5〜40を有する高分子量水可溶性でんぷん転化物(例えば、 Maltrin(登録商標)M150、Maltrin(登録商標)M180、Maltrin(登録商標)M200、Maltrin(登録商標)M250、Maltrin(登録商標)M040、Maltrin(登録商標)M100、または耐可溶性マルトデキストリンを有する水溶液処方を製造した。
【0068】
実施例VI
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び人参抽出物によって製造された第6シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 200mg UDCA(10mg〜3g)
でんぷん転化物(最小量) 約5g(0.25g〜75g)
水可溶性人参抽出物 200mg(50mg〜3g)
精製水(製造される総容積) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性UDCAを溶解させた水溶液(80mL)を準備した。得られた透明な溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投薬剤形を製造した。次に、可溶性人参抽出物を添加した。精製水または注射用水を添加して総容量を100mLにした。
これら製法に基づいて、種々の濃度のUDCA(または塩)及びそれらの対応する最小量の高分子量水可溶性でんぷん転化物(DE5〜40を有する)を有する水溶液処方を製造した。水可溶性人参抽出物には、赤人参及び白人参からの抽出物を含む。
【0069】
実施例VII
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び人参抽出物によって製造された第7シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 200mg UDCA(10mg〜3g)
でんぷん転化物(最小量) 約5g(0.25g〜75g)
水可溶性人参抽出物 200mg(50mg〜5g)
可溶性非でんぷん多糖類 5〜20g
精製水(製造される総容量) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性UDCAを溶解させた水溶液(80mL)を準備した。得られた透明な溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を製造した。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投処方を製造した。次に、水可溶性人参抽出物及び可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)または耐可溶性マルトデキストリンを添加した。精製水または注射用水を添加して総容量を100mLにした。
これら処方に基づいて、種々の濃度のUDCA(または塩)及びそれらの対応する最小量の高分子量水可溶性でんぷん転化物(DE5〜40を有する)を有する水溶液処方を製造した。水可溶性人参抽出物は、赤人参及び白人参からの抽出物を含む。可溶性繊維は、可溶性非でんぷん多糖類(例えば、グアーゴム、ペクチン、アラビアゴム)または耐可溶性マルトデキストリンであった。
図6は、実施例IIIによって製造された組成物のUDCAが完全に遊離UDCAである場合に、それが示すNMRスペクトラムである。すなわち、C−24でのUDCAのカルボキシル酸は、遊離形態(R−COOH)で、C−3及びC−7での二つのヒドロキシ基は、遊離形態(R−OH)である。
また、実施例IIIによって製造した組成物中のUDCAのHPLCプロファイル(図7)は、メタノールに溶解されたUDCAのプロファイル(図8)と類似している。このデータは、UDCA−複合化合物がないことを示す。ただ遊離UDCAのみがある。非水性UDCA標準溶液は、メタノール100mL中にUDCA100mgを溶解させることで製造した。移動相としては、アセトニトリル51、水49及び酢酸1の混合物を使用した。
【0070】
実施例VIII
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び分岐鎖アミノ酸(例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン)によって製造された第8シリーズの溶液処方は、試験された何れのpHでも沈殿を示さなかった。
────────────────────────────────────
可溶性胆汁酸 200mg UDCA(10mg〜3g)
でんぷん転化物(最小量) 約5g(0.25g〜75g)
分岐鎖アミノ酸 15g(1g〜35g)
精製水(製造される総容量) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性UDCAを溶解させた水溶液(85mL)を準備した。得られた透明な溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを添加し、室温で攪拌して溶解させ、透明な溶液を得た。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で(pH4〜pH7に)調整して経口及び局所投薬処方を製造した。次に、分岐鎖アミノ酸を添加した。精製水または注射用水を添加して総容量を100mLにした。
これら処方に基づいて、多様な濃度のUDCA(または塩)及びそれらの対応する最小量の高分子量水可溶性でんぷん転化物(DE5〜40を有する)を有する水溶液処方を、多様な量の分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリンの総量)で製造した。
表3A〜表3Fは、実施例IVによってアミノ酸を用いて製造された処方の時間経過による安定性試験結果を示す。全ての安定性試験は、50℃で行われた。pH1(表3A)、pH3(表3B)、pH5(表3C)、pH7(表3D)、pH9(表3E)及びpH10(表3F)での安定性試験結果が表示されている。
【0071】
【表3A】
【0072】
【表3B】
【0073】
【表3C】
【0074】
【表3D】
【0075】
【表3E】
【0076】
【表3F】
【0077】
実施例IX
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)及び高分子量水可溶性でんぷん転化物によって製造された第9シリーズの溶液剤形は、選択された所望のpH範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。この剤形は、熊胆についての公知の分析データに基づいてモデファイされている。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 21gUDCA
可溶性胆汁酸 9gCA
可溶性胆汁酸 9gCDCA
でんぷん転化物 約750g
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
可溶性UDCAの水溶液(400mL)を製造した。次に、高分子量水可溶性でんぷん転化物を添加して透明な溶液を得た。得られた透明な溶液に、可溶性CDCA及び可溶性CAを添加した。この溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投薬形態を製造した。精製水または注射用水を添加して総容量を1.0Lにした。
【0078】
実施例X
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)及び高分子量水可溶性でんぷん転化物によって製造された第10シリーズの溶液剤形は、選択された所望のpH範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。この剤形は、熊胆についての公知の分析データに基づいてモデファイしたものである。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 21gUDCA
可溶性胆汁酸 9gCA
可溶性胆汁酸 9gCDCA
でんぷん転化物 約750g
水可溶性人参抽出物 20g
精製水(製造される総体積) 1.0L
───────────────────────────────
可溶性UDCAの水溶液(400mL)を製造した。次に、高分子量水可溶性でんぷん転化物を添加して透明な溶液を得た。得られた透明な溶液に、可溶性CDCA、可溶性CA及び水可溶性人参抽出物を添加した。この溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投薬形態を製造した。精製水または注射用水を添加して総容量を1.0Lにした。
【0079】
実施例XI
ウルソデオキシコール酸(UDCA)200mgを含有する、本発明に係る水溶液処方を前記実施例IIIに記載された方法によって製造し、絶食後の正常な体重を有する3名の健康な男性に投与した。UDCA及びグリコUDCAの血液中レベルは、公知の分析方法によって評価した。sep−pakカラムに緩衝血清を注入した後、メタノール溶出液を80℃で45分間フェナシルブロマイドによって誘導体化した。これらフェナシルブロマイド誘導体は、HPLC用のアセトニトリルに溶解させた。投与後、所定時間に測定された吸収の実験結果は、血清濃度−時間曲線(AUC:μg/mL×hour)下の面積として表現された総吸収、得られた最大の血液濃度(Cmax;μg/mL)及び前記最大濃度が得られた時間(Tmax;hour)を含む。これら結果は、表4、図1及び図2に記録されている。
男性に対して行った本発明に係る水溶液処方の実験的な薬物動態学的検査は、現在公知であるいずれの投薬剤形での最良の結果と比較しても、AUC、Cmax及びTmaxにおいて実質的に向上を示した。表4における最大の血液濃度(Cmax)は、平均8.43±1.69μg/mLであり、UDCA製剤の腸溶コーティングソジウム塩の使用に対して報告されたものより少なくとも2倍高いと同時に、通常のUDCA錠剤製剤を用いて得られたものより4倍高かった。さらに、水溶液処方からのUDCAの吸収速度と密接に関連したピーク濃度時間(Tmax)は、0.25時間であり、公知の最も速いTmaxより少なくとも3倍速かった。
表4A及び表4Bは、実施例VIによるUDCA及びGUDCA含有剤形の経口投与後、時間の経過に伴う3名の男性において測定したUDCA及びGUDCAの血漿濃度を、UDCAの異なる薬剤学的剤形を採用したものとの比較結果を示している。
表5は、UDCAの液体処方の経口投与後のヒトにおけるUDCAの薬物動態学的パラメーターを示している。Cmaxが表示されている。
表4と表5及び図3と図4のデータを一緒に見ると、Cmax及びTmaxについて、従来の処方よりも本発明の処方が優れていることを示している。本発明の溶液は、胃及び腸内環境のpHによって起こされた溶液系の如何なる崩壊もなく効果的であった。胆汁酸や、これに他の薬剤を添加したものの治療上可能性は、本発明の処方を用いて一層完全に実現されるであろう。水溶液形態での治療上活性成分が胃中の酸性胃液によって、そして、腸の多様なアルカリ性pHレベルによって固形物として沈殿されない場合、前記剤形は、当然の結果として、ある程度は予期していない好ましくない結果による不充分な生体利用率を解消し、崩壊、溶解及び/または分散による放出速度の問題は解消される。
【0080】
【表4A】
【0081】
【表4B】
【0082】
【表5A】
【0083】
【表5B】
【0084】
実施例XII
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及び非でんぷん多糖類(液体グルコースの乾燥粉末、例えば、市販のコーンシロップ固形分)によって製造された第11シリーズの溶液剤形は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
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可溶性胆汁酸 200mg UDCA(10mg〜3g)
液体グルコースの乾燥粉末 25g(0.25g〜75g)
可溶性非でんぷん多糖類 25g(0.25g〜75g)
精製水(製造される総容量) 100mL
────────────────────────────────────
可溶性UDCAの水溶液(45mL)を製造した。次に、DEが5〜40である高分子量水可溶性でんぷん転化物(すなわち、乾燥された液体グルコース)を添加して透明な溶液を得た。この溶液のpHを、高出力超音波処理下、酸で調整して経口及び局所投薬形態を製造した。精製水または注射用水を添加して総容量を1.0Lにした。
得られた透明な溶液、すなわち、攪拌してpH調整された透明な溶液に、可溶性非でんぷん多糖類(グアーゴム、ペクチンなど)を添加した。精製水を添加して総容量を100mLにした。
【0085】
実施例XIII:混合溶液
実施例VIII、IX及びXの剤形は、ビスマス化合物を含む。これら各実施例においては、表示された量の水酸化ビスマスを提供するのに充分な量の硫酸ビスマスのアンモニウム塩を添加することで、溶液処方を製造した。
以下の指針に従って、可溶性胆汁酸(遊離酸として)、高分子量水可溶性でんぷん転化物及びビスマス化合物によって製造された第12シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 20gUDCA
クエン酸ビスマス 5g
コーンシロップ固形分 500g
クエン酸 適量
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
1N NaOH 3mLを水(200mL)に注いだ後、UDCAを添加した。得られた透明な溶液に、水200mLと一緒にpH9〜10を維持しながら、クエン酸ビスマスを添加した。次に、得られた透明な溶液に、高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるコーンシロップ固形分を少しずつ添加し、攪拌して溶解させ、透明な溶液とした。この得られた透明な溶液のpHを、ビスマス化合物の可溶化を促進させるための高出力超音波処理下クエン酸で(pH3〜pH5に)調整した。精製水を添加して総容積を1.0Lに調整した。
【0086】
実施例XIV:UDCA−濃厚シロップ(30gUDCA/L)
以下の指針に従って製造された第13シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 30gUDCA
1N NaOH 4mL
マルトデキストリン 750g
クエン酸または乳酸 適量
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
まず、UDCAを1N NaOH溶液に溶解させた後、水250mLで希釈した。次に、低いDEを有する高分子量水可溶性でんぷん転化物の1つであるマルトデキストリンを激しく攪拌して少しずつ添加した。この得られた透明な溶液のpHを、高出力超音波処理下、クエン酸を添加することで(pH3に)調整した。精製水を添加して総容量を1.0Lに調整した。
【0087】
実施例XV:UDCA−ペースト(45gUDCA/L)
以下の指針に従って製造された第14シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
───────────────────────────────
可溶性胆汁酸 45gUDCA
1N NaOH 135mL
マルトデキストリン 1,575g
クエン酸または乳酸 適量
精製水(製造される総容積) 1.0L
───────────────────────────────
まず、UDCAを、135mLの1N NaOH溶液に溶解させた。次に、得られた透明な溶液にクエン酸ビスマス及び水200mLを添加した。次いで、マルトデキストリン1,575gを少しずつ、激しく攪拌しながら添加した。得られた溶液は、クエン酸を滴下し、加えることでpH3にした。精製水を添加して総容積を1.0Lに調整した。
5名の被験者に、この実施例によって製造された投薬処方を投与した。その結果を、表5A及び表5Bおよび、図3及び図4のグラフに示した。図3の鋭いピークを図4の広いピークと比較した結果、診療医が前記投薬処方を調整することで、胆汁酸Cmax及びTmaxを調節できることが示しされた。
ヘリコバクタ・ピロリを、実施例IXの製剤を含有するCRAB(Columbia Blood Agar Base)培地で培養した。2LのCRABプレートは、CRAB9.9g、トリプチックソイ寒天9.1g、50mLの羊血液、バンコマイシン、アンホテリシンB、ポリミキシンB、実施例IXの2mL及び蒸溜水358mLを含有させることにより製造した。48時間または72時間の微好気性培養後に、細菌をKarnovskyの固定液を用いて固定させ、エポン中に包埋した。ヘリコバクタ・ピロリ細胞の電子顕微鏡写真は、図5A〜図5Cに表示されている。
【0088】
実施例XVI:UDCA−ペースト(45gUDCA/L)
以下の指針に従って製造された第15シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
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可溶性胆汁酸 45gUDCA
1N NaOH 135mL
コーンシロップ固形分 2300g
クエン酸または乳酸 50g
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
まず、UDCAを135mLの1N NaOH溶液に溶解させた。次に、得られた透明な溶液にクエン酸ビスマス及び水150mLを添加した。次いで、コーンシロップ固形分2,300gを少しずつ、激しく攪拌しながら添加した。得られた溶液は、クエン酸を滴下し、加えることでpH3にした。精製水を添加して総容積を1.0Lに調整した。
【0089】
実施例XVII:UDCA(22g)及びCDCA(3g)の混合溶液
以下の指針に従って製造された第16シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
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UDCA 22g
1N NaOH 75mL
CDCA 3g
マルトデキストリン 875g
クエン酸ビスマス 4g
クエン酸または乳酸 適量
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
まず、UDCA及びCDCAを75mLの1N NaOH溶液に溶解させた。次に、得られた透明な溶液にクエン酸ビスマス及び水240mLを添加した。次いで、マルトデキストリン875gを少しずつ、激しく攪拌しながら添加した。得られた溶液は、クエン酸を滴下し加えることでpH3にした。精製水を添加して総体積を1.0Lに調整した。
【0090】
実施例XVIII:UDCA(22g)及びCDCA(3g)の混合溶液
以下の指針に従って製造された第17シリーズの溶液処方は、選択された所望のpH値範囲内の何れのpHでも沈殿を示さなかった。
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UDCA 22g
1N NaOH 75mL
CDCA 3g
コーンシロップ固形分 1,320g
クエン酸ビスマス 4g
クエン酸または乳酸 適量
精製水(製造される総容量) 1.0L
───────────────────────────────
まず、UDCA及びCDCAを75mLの1N NaOH溶液に溶解させた。次に、得られた透明な溶液にクエン酸ビスマス及び水240mLを添加した。次いで、コーンシロップ固形分1,320gを少しずつ激しく攪拌しながら添加した。得られた溶液は、クエン酸を滴下し加えることでpH3にした。精製水を添加して総容量を1.0Lに調整した。
【0091】
実施例XIX
本発明の溶液処方で、ヘリコバクタ・ピロリに感染されたマウスを治療した場合の効果を試験した。6週齢のC57BL/6雌マウスに、ヘリコバクタ・ピロリ、SS1菌株109CFU/mLを含有する食事を供給して感染させた。これら動物は、この食事を1週間隔で2回消費した。次いで、実施例XIIIによる溶液投薬処方0.2mLを、毎日1回、1週間に渡り4匹の感染された動物に投与した。これらのうち2匹の動物は、本発明の溶液の最後の容量を投与した後、1週間目に屠殺した。残りの2匹の動物は、本発明の最後の用量を投与した後、4週目に屠殺した。すべての胃を食塩水で洗浄し、粘膜及び組織破片を除去した。各動物からの胃組織サンプルに対して、ラピッドウレアーゼ試験キット(オーストラリア所在のDelta West)を用いてCLO試験を実施した。それぞれの残りの胃を10%ホルマリン溶液で固定し、パラフィンで包埋した。断片(4μmの厚さ)をガラススライドに取り、H&E染色溶液及びワルチン(Warthin)染色溶液で染色した。これら組織について、通常の光学顕微鏡で病理状態を評価した。
表6に要約された結果は、ウレアーゼ検査結果が液体投薬処方の投与中止後、1週間経過したマウスに対して陰性であり、ヘリコバクタ・ピロリがワルチン試験で見えないことを示す。残りの2匹のマウスのうち一匹は、陰性ウレアーゼ検査結果を示し、ヘリコバクタ・ピロリは、ワルチン試験によって見られなかった。しかし、残りの一匹は、少数のヘリコバクタ・ピロリのみがワルチン試験で見られたにもかかわらず、ウレアーゼ試験は陽性であった。
【0092】
【表6】
【0093】
実施例XX
UDCA、クエン酸ビスマスまたはUDCAとクエン酸ビスマスの両方を含有する培地でのヘリコバクタ・ピロリの増殖に対するアッセイ(assay)を行った。これらアッセイに対して、以下の培地を使用した。
pH4.0であり、マルトデキストリン525g/L及びUDCA15g/Lを含む000112B−1。
pH3.7であり、コーンシロップ固形分1kg/L及びクエン酸ビスマス6g/Lを含むOSABY。
pH、濃度及びさらす長さを変化させながら、UDCA、ビスマスまたはこれら両方の存在下でヘリコバクタ・ピロリの増殖能を評価するための三つアッセイを行った。
第一に、ヘリコバクタ・ピロリを約109有機体/mLになるように生理食塩水に懸濁させた。この接種物50μlをpH3.0、4.0及び4.5のクエン酸−リン酸塩緩衝液1mLを含有するチューブに移した。6mMのウレアを有するものと、有していないものが対をなしたチューブを製作した。室温で30分間培養した後、この懸濁液を、1μlの白金耳(loop)を用いて000112B−1を含有する寒天プレート上で継代培養した。前記プレートを37℃で72時間微好気的に培養した。この手順は、図9に例示されている。
表7に表示されたように、ヘリコバクタ・ピロリは、pH3及びpH4の対照群培地では不充分な増殖であった。また、表7は、ヘリコバクタ・ピロリが、UDCAを含有するpH3及びpH4培地で増殖されないことを示した。”3mL”、”4mL”及び”5mL”は、プレート当りの000112B−1培地の総体積を意味する。”PBS”は、pH7.0のリン酸塩緩衝食塩水である。
【0094】
【表7】
【0095】
第二のアッセイにおいて、ヘリコバクタ・ピロリを約109有機体/mLになるように生理食塩水に懸濁させた。この接種物50μlを、平板培地を種々の濃度、例えば1/10、1/30、1/50、1/100、1/200、1/500、1/800、1/1000、1/2000などの濃度で含むクエン酸−リン酸塩緩衝液1mLを含有するチューブに移した。全てのチューブは、6mMのウレアを有するように製作した。室温で30分間培養した後、この懸濁液を、1μlの白金耳を用いて寒天プレート上で継代培養した。これらプレートは、実質的にビスマスと胆汁酸を含有していなかった。前記プレートを37℃で72時間微好気的に培養した。この手順は、図10に例示されている。
表8は、UDCA(000112B−1)、クエン酸ビスマス(OSABY)またはUDCAとクエン酸ビスマスの両方の希釈液によって製造された培地上で、ヘリコバクタ・ピロリを72時間増殖させた後のウレアーゼ検査結果を示す。UDCAまたはクエン酸ビスマスを含有する培地上で、ヘリコバクタ・ピロリの不十分な増殖が観察された(表8)。ヘリコバクタ・ピロリの増殖は、UDCA及びクエン酸ビスマスの両方を含有する培地で培養した場合に一層不十分であった(表8)。
【0096】
【表8】
【0097】
第三のアッセイにおいて、ヘリコバクタ・ピロリを約109有機体/mLになるように生理食塩水に懸濁させた。この接種物50μlをクエン酸−リン酸塩緩衝液1mLを含有するチューブに、各種の濃度、15分間1/2、1/4及び1/10、30分間1/2、1/4及び1/10、そして、45分間1/2、1/4及び1/10などで移した。6mMウレアを有するものと、有していないものとが対をなしたチューブを製作した。室温で30分間培養した後、この懸濁液を、1μlの白金耳を用いて寒天プレート上で継代培養した。これらプレートは、実質的にビスマスと胆汁酸を含有していなかった。前記プレートを37℃で72時間微好気的に培養した。この手順は、図11に例示されている。
表9は、UDCA(000112B−1)、クエン酸ビスマス(OSABY)またはUDCAとクエン酸ビスマスの両方の希釈液によって製造された培地上でヘリコバクタ・ピロリを72時間増殖させた後のウレアーゼ検査結果を示す。表示されたように、さらす時間が長くなるほど、ヘリコバクタ・ピロリに対する溶液の有害効果が増加した。
【0098】
【表9】
【0099】
実施例XXI
実施例I〜XXのいくつかの実施形態において、乾燥形態は、真空下の蒸発によって製造された。胆汁酸組成物の溶液処方は、真空1.3×10−1Pa下、90〜95℃の条件下、回転蒸発器で乾燥させた。
実施例I〜XXのいくつかの実施形態において、噴霧乾燥された乾燥形態は、以下の条件下で遠心噴霧器を装備した噴霧乾燥方式で製造される。このシステムに用いられた供給液体は、約30〜40%の水可溶性でんぷん転化物溶液で、供給流量は50〜70mL/minで、入口温度は150〜180℃で、出口温度は50〜100℃であった。供給液体は、回転速度30,000rpmである遠心噴霧器によって噴霧させた。
実施例I〜XXのいくつかの実施形態において、胆汁酸組成物の溶液剤形から誘導された顆粒は、流動床で生産された。胆汁酸組成物(20kg、100〜200メッシュ)及びコーンスターチ(9kg)の溶液処方からの乾燥粉末を前記流動床に置いて、空気を用いて混合した。結合剤溶液(水22L中のヒドロキシプロピルメチルセルロース700g)を、蠕動ポンプを用いて前記流動化粉末床に噴霧した。噴霧過程は、特定の行程に対するプロセス変数の設定値によって行った。噴霧過程の間、乾燥時の水分損失を測定するために前記粉末床から10分ごとにサンプル±10gを採取した。結合剤溶液が全て用いられるまで、継続的に噴霧した。入口空気温度75℃でこれらを流動化させることで、濡れた顆粒を乾燥させた。顆粒が充分に乾燥されたことを示す35℃に出口空気温度が到達したとき、乾燥サイクルを終結させた。
実施例I〜XXのいくつかの実施形態において、胆汁酸組成物の溶液処方から誘導された腸溶コーティング顆粒は、上部噴射式造粒器、下部噴射式造粒器または接線噴射式造粒器で製造した。エチルセルロースN100(1.6kg)を無水エタノールに溶解させ、この溶液及び任意の追加的なエタノールを胆汁酸組成物(9kg)の流動化乾燥粉末に噴射した。良品の顆粒が生成されたとき、噴射を中止させた。約3%の水分にまで乾燥した。
アッセイ。(表10及び図12)。一次溶液中で、水可溶性でんぷん転化物としてのマルトデキストリン(DE=15)の増加は、特に、2分以内に二次溶液中の低いpHで前記乾燥物質の溶解度の増加と関連している。これら結果は、マルトデキストリンが乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形用の優れた再溶解剤であることを示す。
【0100】
【表10】
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施例II及びVI並びに表4による投薬処方の投与後の、UDCA(四角形)及びGUDCA(三角形)の血清濃度対時間のグラフである。
【図2】実施例III及びVI並びに表4による胆汁酸の投薬処方投与後の、UDCAの血清濃度対時間のグラフである。
【図3】ビスマスなしに実施例IXによって製造されたUDCAの液体処方のヒトへの経口投与後の、グループIでのUDCAの薬物動態学的パラメーターの平均(n=5)を示す線図である。
【図4】実施例IXによって製造されたUDCAの液体処方のヒトへの経口投与後の、グループIIでのUDCAの薬物動態学的パラメーターの平均(n=5)を示す線図である。
【図5A】コロンビア培地で培養されたヘリコバクタ・ピロリの透過電子顕微鏡写真である。
【図5B】実施例IXによって製造されたUDCA及びクエン酸ビスマスによる処理48時間後のヘリコバクタ・ピロリの透過電子顕微鏡写真である。
【図5C】UDCA及びクエン酸ビスマスによる処理72時間後のヘリコバクタ・ピロリの透過電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例IIIによって、防腐剤、香味剤及び甘味料なしに製造された液体処方投薬形態のUDCAについてのNMRデータである。
【図7】実施例IIIによって、防腐剤、香味剤及び甘味料無しで製造された液体処方投薬形態のUDCAのHPLC線図である。
【図8】UDCA標準のHPLC線図である。
【図9】ヘリコバクタ・ピロリ培養方法を表示した図である。
【図10】ヘリコバクタ・ピロリ培養方法を表示した図である。
【図11】ヘリコバクタ・ピロリ培養方法を表示した図である。
【図12A】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を4gの量で含んで構成される。
【図12B】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を5gの量で含んで構成される。
【図12C】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を6gの量で含んで構成される。
【図12D】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を7gの量で含んで構成される。
【図12E】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を8gの量で含んで構成される。
【図12F】一次水可溶化胆汁酸処方から誘導された乾燥形態の、2分間内の再溶解について、実施例XIXによって製造された二次水可溶化胆汁酸溶液投薬処方の透明度対pHをプロットした図である。ただし、1次溶液の各100mLは、UDCA200mg及びマルトデキストリン(DE=15)を9gの量で含んで構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)水可溶性でんぷん転化物と、を含み、
前記第1物質と前記水可溶性でんぷん転化物は、両方とも選択されたpH値範囲内の溶液の全てのpH値に対して溶液状態であることを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項2】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)約5〜10のデキストロース当量 (Dextrose Equivalence:DE)を有する水可溶性でんぷん転化物と、を含み、
前記第1物質と前記水可溶性でんぷん転化物は、両方ともpH6.5〜pH8の範囲内の全てのpH値に対して溶液状態であることを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項3】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)水可溶性でんぷん転化物からなる第2物質と、
(c)耐性マルトデキストリン及び水可溶性非でんぷん多糖類からなる群から選択される第3物質と、を含み、
前記第1物質、第2物質及び第3物質は、選択されたpH値範囲内の溶液の全てのpH値に対して溶液状態であることを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項4】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)水可溶性でんぷん転化物、耐性マルトデキストリン、水可溶性非でんぷん多糖類及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2物質と、
(c)水可溶性人参抽出物、水可溶性赤参抽出物及びこれらの組み合わせから選択される第3物質と、を含み、
前記第1物質、第2物質及び第3物質は、選択されたpH値範囲内の溶液の全てのpH値に対して溶液状態であることを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項5】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)水可溶性でんぷん転化物、非でんぷん多糖類及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2物質と、を含み、
前記第1物質と前記第2物質は、両方とも選択されたpH値範囲内の溶液の全てのpH値に対して溶液状態であることを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項6】
リルゾールをさらに含み、固体形態は経口固体投薬形態であることを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項7】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、懸濁状態の不溶性ビスマス化合物をさらに含み、固体形態は、経口固体投薬形態であることを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項8】
前記胆汁酸は、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸、ヒオデオキシコール酸、デオキシコール酸、7−オキソリトコール酸、リトコール酸、アイオドデオキシコール酸、イオコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、ステロイド核にあるヒドロキシル基またはカルボキシル酸基でのそれらの誘導体、それらの塩、またはこれらのアミンとのコンジュゲート類からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項9】
前記水可溶性でんぷん転化物は、Maltrin(登録商標)M040(DE=5、マルトデキストリン)、Maltrin(登録商標)M050(DE=5、マルトデキストリン)、Maltrin(登録商標)M100(DE=10、マルトデキストリン)、Maltrin(登録商標)M150(DE=15、マルトデキストリン)、Maltrin(登録商標)M180(DE=18、マルトデキストリン)、 Maltrin(登録商標)M200(DE=20、コーンシロップ固形分)及びMaltrin(登録商標)M250(DE=25、コーンシロップ固形分)のように4〜40のDEを有する加水分解でんぷんから選択されることを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項10】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、溶解剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項11】
前記溶解剤は、マルトデキストリンであることを特徴とする請求項10に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項12】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、ロイシン、イソロイシン、バリン及びこれらの混合物からなる群から選択される分岐鎖アミノ酸をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項13】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、ビスマスイオンとキレートとの間の水可溶性反応産物をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項14】
前記キレートは、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸及びエデト酸(eidetic acid)及びアルカリ類及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項15】
前記ビスマス化合物は、クエン酸ビスマス、硫酸ビスマス及び次硝酸ビスマスからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項16】
前記ビスマス化合物は、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項17】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、1種以上の追加的な胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩及びアミド結合によってコンジュゲートされたアミン−コンジュゲート化胆汁酸をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項18】
前記第2物質は、グアーガム、ペクチン、セルロース、グリコーゲン及びイヌリンからなる群から選択される水可溶性非でんぷん多糖類であることを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項19】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、崩壊剤をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項20】
前記崩壊剤は、Veegum HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、天然スポンジ、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、かんきつパルプ、カルボキシメチルセルロース、粘土類、セルロース類、アルギン類、ゴム類、架橋重合体(クロスポビドン)、架橋セルロース(クロスカメロース)及び架橋でんぷん(ソジウムでんぷんグリコレート)からなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項21】
前記乾燥形態は、フィルムコーティングされた顆粒を含み、前記フィルムは、重合体及び可塑剤を含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項22】
前記重合体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル、メチルセルロースエーテル、メタクリレート共重合体及びメチルメタクリレート共重合体からなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項23】
前記可塑剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリエチル及びジチルフタレート(dithyl phthalate)からなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項24】
前記重合体は、pH6以上で腸溶コーティングとして効果的に機能できるセルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸−メタシル酸(methacylic acid)エステル共重合体、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)からなる群から選択される腸溶重合体であることを特徴とする請求項21に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項25】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、少なくとも1種の薬剤学的化合物を薬剤学的有効量でさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項26】
前記薬剤学的化合物は、オクトレオチド、クエン酸シルディナフィル、カルシトリオール、ジヒドロタキステロール、アポモルヒネ、ヨヒンビン、トラザドン、アシクロビル、シドフォビル、メシル酸デラビルジン、ディダノシン、ファムシクロビル、フォスカルネットナトリウム(foscarnet sodium)、フルオロウラシル、ガンシクロビルナトリウム、イドクスウリジン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、ラミブジン、ネビラピン、ペンシクロビル、リバビリン、スタブジン、トリフルリジン、バラシクロビル・HCl、ザルシタビン、ジドブジン、インディナビル・H2SO4、リトナビル、ネルフィナビル・CH3SO3H、サクイナビル・CH3SO3H、d−ペニシラミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィンレバミソール、DTC、イソプリノシン、メチルイノシンモノフォスフェート、ムラミールジペプチド、ジアゾキシド、ヒドララジン・HCl、ミノキシジル、ジピリダモール 、イソクスプリン・HCl、ナイアシン、ナイリドリン・HCl、フェントラミン、ドキサゾシン・CH3SO3H、プラゾシン・HCl、テラゾシン・HCl、クロニジン・HCl、ニフェジピン、モルシドミン、アミオダロン、アセチルサリチル酸、ベラパミル、ジルチアゼム、ニソルジピン、イスラジピン、ベプリジル、イソソルビド・ジニトレート、ペンタエリスリトール・テトラナイトレート、ニトログリセリン、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、ランソプラゾール、オメプラゾール、ミソプロストル、スクラルフェート、メトクロプラミド・HCl、エリスロマイシン、アルプロスタジル、アルブテロール、ピルブテロール、テルブタリン・H2SO4、サルメテロール、アミノフィリン、ダイフィリン、エフェドリン、エチルノルエピネフリン、イソエタリン、イソプロテレノール、メタプロテレノール、n−ドクロミル、オクストリフィリン、テオフィリン、ビトルテロール、フェノテロール、ブデソニド、フルニソリド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、コデイン、硫酸コデイン、リン酸コデイン、デキストロメトルファン・HBr、トリアムシノロン・アセトニド、モンテルカストナトリウム、ザフィルルカスト、ジレウトン、クロモグリク酸ナトリウム、臭化イプラトロピウム、ネドクロミルナトリウムベンゾエート、ジフェンヒドラミン・HCl、ヒドロコドン・二酒石酸塩、メタドン・HCl、硫酸モルヒネ、アセチルシステイン、グアイフェネシン、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酒石酸カリウムアンチモン、グリセリン、抱水テルピン、パルミチン酸コルホスセリル、アトロバスタチン・カルシウム、セリバスタチン・ナトリウム、フルバスタチン・ナトリウム、ロバスタチン、プラバスタチン・ナトリウム、シンバスタチン、ピクロリザクロア(Picrorrhazia kurroa)、アンドログラフィスパニクラタ、モリンガオレイフェラ、アルピッツァレベック(albizzia lebeck)、アドハトーダバシカ、クルクマ・ロンガ(curcuma longa)、苦瓜(momordica charantia)、ギムネマシルベスタ(gymnema sylvestre)、ターミナリアアルジュナ(terminalia arjuna)、アザデラクチャインディカ、ティノスポリアコルディフォリア(tinosporia cordifolia)、メトロニダゾール、アムホテリシンB、クロトリマゾール、フルコナゾール、ハロプロジン、ケトコナゾール、グリセオフルビン、イトラコナゾール、テルビナフィン・HCl、エコナゾール・HNO3、ミコナゾール、ニスタチン、オキシコナゾール・HNO3、スルコナゾール・HNO3、セチリジン・2HCl、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、コーチゾン、カテキン及びその誘導体、グリシルリジン、グリシルリジン酸、ベタメタゾン、酢酸ルドロコルチゾン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、ソマトスタチン、リスプロ、グルカゴン、アカルボース、クロルプロパミド、グリピザイド、グリブライド、メトホルミン・HCl、レパグリニド、トルブタミド、コルヒチン、スルフィンピラゾン、アロプリノール、ピロキシカム、トルメチンナトリウム、インドメタシン、イブプロフェン、ジフルニサル、メフェナム酸、ナプロキセン、トリエンチン、スリンダク、スリンダクスルホン、セレン化合物類、インシュリン、ヘパリン、アンピシリン、アマンタジン、リマンタジン、プロインシュリン、セレコクシブ、ブデソニド、サリチル酸及びその誘導体、ビタミンE、ビタミンC、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、N−アセチルシステイン、ラザロイド類、U74389F及びU74006Fなどの21−アミノステロイド、カタラーゼ(CAT)、プトレシン−変性カタラーゼ(PUT−CAT)、エストロゲン、アルファ−リポ酸、セレギリン、デスフェリオキサミン(desferrioxamine)、d,l−ペニシラミン、アルファ及びベータ−カロチン、レチノール、セレニウム、銀杏(gingko biloba)、リルゾール、フルピルチン、ピフィスリン−アルファ(pifithrin−alpha)、CGP3466B/TCH346、CPI−1189、CEP−1347及びコエンチームQ10からなる群から選択されることを特徴とする請求項25に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項27】
添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項28】
前記添加剤は、希釈剤、潤滑剤、結合剤、充填剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項27に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項29】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形の製造方法であって、
胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
水可溶性でんぷん転化物、非でんぷん多糖類及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2物質と、を含み、
前記第1物質と前記第2物質が両方とも選択されたpH値範囲内の溶液の全てのpH値に対して溶液状態である一次水可溶化胆汁酸剤形を調製する段階と、
前記一次水可溶化胆汁酸剤形から湿式造粒化法、流動床造粒化法、乾式造粒化法、球形化法、噴霧乾燥法、蒸発法、凍結乾燥法及びこれらの組み合わせからなる群から選択される造粒化法によって水を除去し、乾燥形態を生成する段階と、を含むことを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形の製造方法。
【請求項30】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形を超音波処理する段階をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記乾燥形態は顆粒を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
腸溶重合体を有する顆粒をコーティングする段階をさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記腸溶重合体は、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸−メタシル酸(methacylic acid)エステル共重合体、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)からなる群から選択されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記乾燥形態上に重合体及び可塑剤を含むフィルムを形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記重合体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル、メチルセルロースエーテル、メタクリレート共重合体及びメチルメタクリレート共重合体からなる群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記可塑剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリエチル及びジチルフタレート(dithyl phthalate)からなる群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
水の除去は球形化によるもので、球形ペレットが形成されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、重炭酸ナトリウム及び酸味料をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項39】
重炭酸ナトリウムの量は、前記第1物質の量の約10重量倍であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、重炭酸ナトリウムより酸味料を約20重量%含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記酸味料は、酒石酸及びクエン酸からなる群から選択されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
中性または弱酸性反応で前記固体形態を水に完全に溶解させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項1】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)水可溶性でんぷん転化物と、を含み、
前記第1物質と前記水可溶性でんぷん転化物は、両方とも選択されたpH値範囲内の溶液の全てのpH値に対して溶液状態であることを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項2】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)約5〜10のデキストロース当量 (Dextrose Equivalence:DE)を有する水可溶性でんぷん転化物と、を含み、
前記第1物質と前記水可溶性でんぷん転化物は、両方ともpH6.5〜pH8の範囲内の全てのpH値に対して溶液状態であることを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項3】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)水可溶性でんぷん転化物からなる第2物質と、
(c)耐性マルトデキストリン及び水可溶性非でんぷん多糖類からなる群から選択される第3物質と、を含み、
前記第1物質、第2物質及び第3物質は、選択されたpH値範囲内の溶液の全てのpH値に対して溶液状態であることを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項4】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)水可溶性でんぷん転化物、耐性マルトデキストリン、水可溶性非でんぷん多糖類及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2物質と、
(c)水可溶性人参抽出物、水可溶性赤参抽出物及びこれらの組み合わせから選択される第3物質と、を含み、
前記第1物質、第2物質及び第3物質は、選択されたpH値範囲内の溶液の全てのpH値に対して溶液状態であることを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項5】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形であって、
(a)胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
(b)水可溶性でんぷん転化物、非でんぷん多糖類及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2物質と、を含み、
前記第1物質と前記第2物質は、両方とも選択されたpH値範囲内の溶液の全てのpH値に対して溶液状態であることを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項6】
リルゾールをさらに含み、固体形態は経口固体投薬形態であることを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項7】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、懸濁状態の不溶性ビスマス化合物をさらに含み、固体形態は、経口固体投薬形態であることを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項8】
前記胆汁酸は、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸、ヒオデオキシコール酸、デオキシコール酸、7−オキソリトコール酸、リトコール酸、アイオドデオキシコール酸、イオコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、ステロイド核にあるヒドロキシル基またはカルボキシル酸基でのそれらの誘導体、それらの塩、またはこれらのアミンとのコンジュゲート類からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項9】
前記水可溶性でんぷん転化物は、Maltrin(登録商標)M040(DE=5、マルトデキストリン)、Maltrin(登録商標)M050(DE=5、マルトデキストリン)、Maltrin(登録商標)M100(DE=10、マルトデキストリン)、Maltrin(登録商標)M150(DE=15、マルトデキストリン)、Maltrin(登録商標)M180(DE=18、マルトデキストリン)、 Maltrin(登録商標)M200(DE=20、コーンシロップ固形分)及びMaltrin(登録商標)M250(DE=25、コーンシロップ固形分)のように4〜40のDEを有する加水分解でんぷんから選択されることを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項10】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、溶解剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項11】
前記溶解剤は、マルトデキストリンであることを特徴とする請求項10に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項12】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、ロイシン、イソロイシン、バリン及びこれらの混合物からなる群から選択される分岐鎖アミノ酸をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項13】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、ビスマスイオンとキレートとの間の水可溶性反応産物をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項14】
前記キレートは、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸及びエデト酸(eidetic acid)及びアルカリ類及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項15】
前記ビスマス化合物は、クエン酸ビスマス、硫酸ビスマス及び次硝酸ビスマスからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項16】
前記ビスマス化合物は、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項17】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、1種以上の追加的な胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩及びアミド結合によってコンジュゲートされたアミン−コンジュゲート化胆汁酸をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項18】
前記第2物質は、グアーガム、ペクチン、セルロース、グリコーゲン及びイヌリンからなる群から選択される水可溶性非でんぷん多糖類であることを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項19】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、崩壊剤をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項20】
前記崩壊剤は、Veegum HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、天然スポンジ、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、かんきつパルプ、カルボキシメチルセルロース、粘土類、セルロース類、アルギン類、ゴム類、架橋重合体(クロスポビドン)、架橋セルロース(クロスカメロース)及び架橋でんぷん(ソジウムでんぷんグリコレート)からなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項21】
前記乾燥形態は、フィルムコーティングされた顆粒を含み、前記フィルムは、重合体及び可塑剤を含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項22】
前記重合体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル、メチルセルロースエーテル、メタクリレート共重合体及びメチルメタクリレート共重合体からなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項23】
前記可塑剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリエチル及びジチルフタレート(dithyl phthalate)からなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項24】
前記重合体は、pH6以上で腸溶コーティングとして効果的に機能できるセルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸−メタシル酸(methacylic acid)エステル共重合体、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)からなる群から選択される腸溶重合体であることを特徴とする請求項21に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項25】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、少なくとも1種の薬剤学的化合物を薬剤学的有効量でさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項26】
前記薬剤学的化合物は、オクトレオチド、クエン酸シルディナフィル、カルシトリオール、ジヒドロタキステロール、アポモルヒネ、ヨヒンビン、トラザドン、アシクロビル、シドフォビル、メシル酸デラビルジン、ディダノシン、ファムシクロビル、フォスカルネットナトリウム(foscarnet sodium)、フルオロウラシル、ガンシクロビルナトリウム、イドクスウリジン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、ラミブジン、ネビラピン、ペンシクロビル、リバビリン、スタブジン、トリフルリジン、バラシクロビル・HCl、ザルシタビン、ジドブジン、インディナビル・H2SO4、リトナビル、ネルフィナビル・CH3SO3H、サクイナビル・CH3SO3H、d−ペニシラミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィンレバミソール、DTC、イソプリノシン、メチルイノシンモノフォスフェート、ムラミールジペプチド、ジアゾキシド、ヒドララジン・HCl、ミノキシジル、ジピリダモール 、イソクスプリン・HCl、ナイアシン、ナイリドリン・HCl、フェントラミン、ドキサゾシン・CH3SO3H、プラゾシン・HCl、テラゾシン・HCl、クロニジン・HCl、ニフェジピン、モルシドミン、アミオダロン、アセチルサリチル酸、ベラパミル、ジルチアゼム、ニソルジピン、イスラジピン、ベプリジル、イソソルビド・ジニトレート、ペンタエリスリトール・テトラナイトレート、ニトログリセリン、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、ランソプラゾール、オメプラゾール、ミソプロストル、スクラルフェート、メトクロプラミド・HCl、エリスロマイシン、アルプロスタジル、アルブテロール、ピルブテロール、テルブタリン・H2SO4、サルメテロール、アミノフィリン、ダイフィリン、エフェドリン、エチルノルエピネフリン、イソエタリン、イソプロテレノール、メタプロテレノール、n−ドクロミル、オクストリフィリン、テオフィリン、ビトルテロール、フェノテロール、ブデソニド、フルニソリド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、コデイン、硫酸コデイン、リン酸コデイン、デキストロメトルファン・HBr、トリアムシノロン・アセトニド、モンテルカストナトリウム、ザフィルルカスト、ジレウトン、クロモグリク酸ナトリウム、臭化イプラトロピウム、ネドクロミルナトリウムベンゾエート、ジフェンヒドラミン・HCl、ヒドロコドン・二酒石酸塩、メタドン・HCl、硫酸モルヒネ、アセチルシステイン、グアイフェネシン、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酒石酸カリウムアンチモン、グリセリン、抱水テルピン、パルミチン酸コルホスセリル、アトロバスタチン・カルシウム、セリバスタチン・ナトリウム、フルバスタチン・ナトリウム、ロバスタチン、プラバスタチン・ナトリウム、シンバスタチン、ピクロリザクロア(Picrorrhazia kurroa)、アンドログラフィスパニクラタ、モリンガオレイフェラ、アルピッツァレベック(albizzia lebeck)、アドハトーダバシカ、クルクマ・ロンガ(curcuma longa)、苦瓜(momordica charantia)、ギムネマシルベスタ(gymnema sylvestre)、ターミナリアアルジュナ(terminalia arjuna)、アザデラクチャインディカ、ティノスポリアコルディフォリア(tinosporia cordifolia)、メトロニダゾール、アムホテリシンB、クロトリマゾール、フルコナゾール、ハロプロジン、ケトコナゾール、グリセオフルビン、イトラコナゾール、テルビナフィン・HCl、エコナゾール・HNO3、ミコナゾール、ニスタチン、オキシコナゾール・HNO3、スルコナゾール・HNO3、セチリジン・2HCl、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、コーチゾン、カテキン及びその誘導体、グリシルリジン、グリシルリジン酸、ベタメタゾン、酢酸ルドロコルチゾン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、ソマトスタチン、リスプロ、グルカゴン、アカルボース、クロルプロパミド、グリピザイド、グリブライド、メトホルミン・HCl、レパグリニド、トルブタミド、コルヒチン、スルフィンピラゾン、アロプリノール、ピロキシカム、トルメチンナトリウム、インドメタシン、イブプロフェン、ジフルニサル、メフェナム酸、ナプロキセン、トリエンチン、スリンダク、スリンダクスルホン、セレン化合物類、インシュリン、ヘパリン、アンピシリン、アマンタジン、リマンタジン、プロインシュリン、セレコクシブ、ブデソニド、サリチル酸及びその誘導体、ビタミンE、ビタミンC、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、N−アセチルシステイン、ラザロイド類、U74389F及びU74006Fなどの21−アミノステロイド、カタラーゼ(CAT)、プトレシン−変性カタラーゼ(PUT−CAT)、エストロゲン、アルファ−リポ酸、セレギリン、デスフェリオキサミン(desferrioxamine)、d,l−ペニシラミン、アルファ及びベータ−カロチン、レチノール、セレニウム、銀杏(gingko biloba)、リルゾール、フルピルチン、ピフィスリン−アルファ(pifithrin−alpha)、CGP3466B/TCH346、CPI−1189、CEP−1347及びコエンチームQ10からなる群から選択されることを特徴とする請求項25に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項27】
添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項28】
前記添加剤は、希釈剤、潤滑剤、結合剤、充填剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項27に記載の乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形。
【請求項29】
乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形の製造方法であって、
胆汁酸、胆汁酸の水可溶性誘導体、胆汁酸塩、アミンとアミド結合によってコンジュゲートされた胆汁酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1物質と、
水可溶性でんぷん転化物、非でんぷん多糖類及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2物質と、を含み、
前記第1物質と前記第2物質が両方とも選択されたpH値範囲内の溶液の全てのpH値に対して溶液状態である一次水可溶化胆汁酸剤形を調製する段階と、
前記一次水可溶化胆汁酸剤形から湿式造粒化法、流動床造粒化法、乾式造粒化法、球形化法、噴霧乾燥法、蒸発法、凍結乾燥法及びこれらの組み合わせからなる群から選択される造粒化法によって水を除去し、乾燥形態を生成する段階と、を含むことを特徴とする乾燥形態の一次水可溶化胆汁酸剤形の製造方法。
【請求項30】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形を超音波処理する段階をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記乾燥形態は顆粒を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
腸溶重合体を有する顆粒をコーティングする段階をさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記腸溶重合体は、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸−メタシル酸(methacylic acid)エステル共重合体、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)からなる群から選択されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記乾燥形態上に重合体及び可塑剤を含むフィルムを形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記重合体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル、メチルセルロースエーテル、メタクリレート共重合体及びメチルメタクリレート共重合体からなる群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記可塑剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリエチル及びジチルフタレート(dithyl phthalate)からなる群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
水の除去は球形化によるもので、球形ペレットが形成されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、重炭酸ナトリウム及び酸味料をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項39】
重炭酸ナトリウムの量は、前記第1物質の量の約10重量倍であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記一次水可溶化胆汁酸剤形は、重炭酸ナトリウムより酸味料を約20重量%含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記酸味料は、酒石酸及びクエン酸からなる群から選択されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
中性または弱酸性反応で前記固体形態を水に完全に溶解させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【公表番号】特表2008−521800(P2008−521800A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543006(P2007−543006)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039507
【国際公開番号】WO2006/057637
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507063230)
【氏名又は名称原語表記】YOO Seo Hong
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039507
【国際公開番号】WO2006/057637
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507063230)
【氏名又は名称原語表記】YOO Seo Hong
【Fターム(参考)】
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