説明

水和物分散樹脂組成物およびこれを用いた多孔質物並びに絶縁電線およびその製造方法

【課題】容易に多孔質物を形成できる材料を提供する。
【解決手段】架橋硬化型樹脂組成物に水和物を分散させた水和物分散樹脂組成物であって、前記水和物はその化学式中の水分子の数が5個以上であり、前記水和物の平均粒径が10μm以下であるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水和物分散樹脂組成物およびこれを用いた多孔質物並びに絶縁電線およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野をはじめとする精密電子機器類や通信機器類の小型化や高密度実装化が進むなかで、これらに使用される電線・ケーブルもますます細径化が図られている。
【0003】
さらに信号線等では、伝送信号の一層の高速化を求める傾向が顕著であり、これに使用される電線の絶縁体層を薄くかつ可能な限り低誘電率化することにより伝送信号の高速化を図ることが望まれている。
【0004】
この絶縁体には従来、ポリエチレンやフッ素樹脂などの誘電率の低い絶縁材料を発泡させたものが使われている。発泡絶縁体層の形成には、予め発泡させたフィルムを導体上に巻き付ける方法や押出方式が知られており、特に押出方式が広く用いられている。
【0005】
発泡を形成する方法としては、大きく物理的な発泡方法と化学的な発泡方法に分けられる。
【0006】
物理的な発泡方法としては、液体フロンのような揮発性発泡用液体を溶融樹脂中に注入し、その気化圧により発泡させる方法や窒素ガス、炭酸ガスなど押出機中の溶融樹脂に直接気泡形成用ガスを圧入させることにより一様に分布した細胞状の微細な独立気泡体を樹脂中に発生させる方法などがある。
【0007】
化学的な発泡方法としては、樹脂中に発泡剤を分散混合した状態で成形し、その後熱を加えることにより発泡剤の分解反応を発生させ、分解により発生するガスを利用して発泡させることが良く知られている。
【0008】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【0009】
【特許文献1】特開平11−12385号公報
【特許文献2】特開2004−174491号公報
【特許文献3】特開2006−199797号公報
【特許文献4】特開2006−274074号公報
【特許文献5】特開2007−39634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、溶融樹脂中に揮発性発泡用液体を注入する方法では、気化圧が強く、気泡の微細形成が難しく薄肉成形に限界がある。また、揮発性発泡用液体の注入速度が遅いために、高速製造化が難しく、生産性に劣るという問題もある。さらに、押出機中で直接気泡形成用ガスを圧入する方法は、細径薄肉押出形成に限界があること、安全面で特別な設備や技術を必要とするため、生産性に劣ることや製造コストの上昇を招いてしまう問題がある。
【0011】
一方、化学発泡方法は、予め樹脂中に発泡剤を混練し、分散混合し、成形加工後に熱により発泡剤を反応分解させて発生したガスにより発泡をさせるため、樹脂の成形加工温度を、発泡剤の分解温度より低く保持しなければならない問題がある。さらに、素線の径が細くなると、押出被覆では樹脂圧により断線が起こりやすく、高速化が難しくなるという別の問題もある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、前記の問題点を解決するために、容易に製造可能な水和物分散樹脂組成物およびこれを用いた多孔質物並びに絶縁電線およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、架橋硬化型樹脂組成物に水和物を分散させた水和物分散樹脂組成物であって、前記水和物はその化学式中の水分子の数が5個以上であり、前記水和物の平均粒径が10μm以下である水和物分散樹脂組成物である。
【0014】
また、前記架橋硬化型樹脂組成物が、紫外線又は熱によって硬化する組成物であるとよい。
【0015】
本発明は、前記水和物分散樹脂組成物を、架橋することにより硬化した後、加熱により水和物の水分を除去した多孔質物である。
【0016】
本発明は、前記水和物分散樹脂組成物を、導体の周囲に被覆して絶縁層とした後、前記絶縁層を架橋することにより前記水和物分散樹脂組成物を硬化し、加熱して水和物の水分を除去することで前記絶縁層の中に空孔を形成した絶縁電線である。
【0017】
本発明は、前記水和物分散樹脂組成物を、導体の周囲に被覆して絶縁層とした後、前記絶縁層を架橋することにより前記水和物分散樹脂組成物を硬化し、加熱して水和物の水分を除去することで前記絶縁層の中に空孔を形成した絶縁電線の製造方法である。
【0018】
また、前記加熱がマイクロ波加熱であるとよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、容易に多孔質物を形成できる材料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面にしたがって説明する。
【0021】
本実施形態に係る水和物分散樹脂組成物は、架橋硬化型樹脂組成物に水和物を分散させてなる。この水和物は、その化学式中の水分子の数が5個以上、水和物の平均粒径が10μm以下であり、好ましくは平均粒径が5μm以下であると良い。
【0022】
水和物の水分子の数(化学式中の水分子の数)を5個以上とするのは、水和物の水分子の数が5個より少ないと、水和物の添加量に応じて水分子の脱水によって得られる空隙形成効果を得にくいためである。
【0023】
水和物の平均粒径を10μm以下とするのは、平均粒径が10μmより大きくなると、水和物を分散した架橋硬化型樹脂組成物からなる硬化物の機械的特性や薄膜形成時の外観などが著しく低下する問題があるためである。
【0024】
架橋硬化型樹脂組成物とは、紫外線、熱、電子線、可視光などにより硬化するもので、特に限定するものではないが、好ましくは紫外線や熱、あるいは併用で架橋硬化する樹脂組成物が良く、さらに好ましくは紫外線架橋硬化型樹脂組成物が良い。架橋硬化型樹脂組成物としては、エチレン系、ウレタン系、シリコーン系、フッ素系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリカーボネート系など公知の架橋硬化型樹脂組成物を選択できるが、架橋硬化型樹脂組成物の誘電率として4以下、好ましくは3以下のものが良い。
【0025】
水和物とは、水分子がほかの分子と結合して生成した形の構造を持つ分子化合物であり、化学式中に含まれる水分子の数に応じて、一水和物、二水和物などと呼ばれる。
【0026】
水分子を5個以上有する水和物としては、例えば、硝酸ビスマス、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)、亜リン酸水素ナトリウム、珪酸マグネシウム、硫酸マンガン、チオ硫酸ナトリウムなどの五水和物、硫酸アンモニウムコバルト、硫酸アンモニウム銅、硫酸アンモニウム鉄、リン酸マグネシウムアンモニウム、ヨウ化コバルト(II)、硝酸ランタン、ヘキサフルオロ珪酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、硝酸セリウム、テトラフルオロホウ酸銅(II)、硫酸アンモニウムマンガン、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、テトラフルオロホウ酸ニッケル、ビベラジン、コハク酸ナトリウム、硝酸亜鉛、硝酸マンガンなどの六水和物、塩化セリウム(III)、硫酸コバルト(II)、硫酸第一鉄、硫酸鉄(II)、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸亜鉛、リン酸ナトリウム二塩基性などの七水和物、ホウ酸アンモニウム、水酸化バリウム、リン酸コバルト(II)、硫酸エルビウム(III)、リン酸マグネシウム第三、炭酸ネオジム、五ホウ酸カリウム、水酸化ストロンチウム、二塩化酸化ジルコニウム、フェノールスルホン酸亜鉛などの八水和物、硝酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、硝酸第二鉄、硝酸鉄、メタケイ酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硝酸鉄(III)、シュウ酸イットリウムなどの九水和物、シュウ酸エルビウム、シュウ酸サマリウム、炭酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、硫酸アトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム、テトラホウ酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、シュウ酸ネオジム、シュウ酸テルビウムなどの十水和物、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アンモニウムクロム、硫酸アンモニウム鉄、リン酸ナトリウム三塩基性、硫酸第二鉄アンモニウム、リン酸ナトリウム、メソ−テトラ(4−スルフォナトフェニル)ポルフィン4ナトリウムなどの十二水和物があげられる。
【0027】
これらは必要に応じて二種以上、選択的に組み合わせて用いても良い。
【0028】
本実施形態に係る水和物分散樹脂組成物によれば、水和物分散樹脂組成物を硬化させた際に、水和物を利用して空孔を形成できるため、容易に多孔質物や多孔質被覆電線が得られる。
【0029】
多孔質物は、水和物分散樹脂組成物を架橋することにより硬化させた後、その硬化させた水和物分散樹脂組成物を加熱して水和物の水分を除去して形成される。
【0030】
次に、水和物分散樹脂組成物を用いた絶縁電線について説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態に係る絶縁電線1は、導体2と、導体2の周囲に被覆された絶縁層3とからなる。
【0032】
絶縁層3は、導体2に被覆された水和物分散樹脂組成物が、架橋することにより硬化された後、加熱により水和物の水分を除去され形成された空孔4を有する多孔質物で形成される。
【0033】
次に、本実施形態に係る絶縁電線1の製造方法を説明する。
【0034】
導体2の外周に、架橋硬化型樹脂組成物に水和物を分散した水和物分散樹脂組成物を被覆して絶縁層3を形成する。この絶縁層3を加熱架橋することにより前記水和物分散樹脂組成物を硬化し、さらにマイクロ波加熱することにより、水和物の水分を除去することで絶縁層3の中に空孔4を形成すると絶縁電線1が得られる。
【0035】
導体2の外周に架橋硬化型樹脂組成物を被覆して架橋硬化した後、加熱により脱水させるのは、脱水による体積収縮によって空隙率の低下が防止できるほか、膜厚や外径の変化を防止し、安定した絶縁電線を得ることができるためである。
【0036】
水和物の水を加熱脱水するのにマイクロ波加熱を利用するのは、水はマイクロ波により、急速に加熱されるため周囲の樹脂などに影響をあたえることなく、短時間で加熱脱水ができ効率よく空孔形成ができるためである。また、導波管型マイクロ波加熱炉を用いることで、連続的に加熱脱水ができる。
【0037】
絶縁電線1によれば、電線の細径化や、伝送信号の高速化が図れる。
【0038】
また、絶縁電線1の製造方法によれば、水和物分散樹脂組成物を硬化させた後、マイクロ波加熱により脱水することで、容易に多孔質被覆電線が得られる。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
ポリブタジエンアクリレートオリゴマ(TEAI−1000、日本曹達(株)製)100質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート50質量部、イソボニルメタクリレート30質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(DAROCUR TP0、チバスペシャルティケミカルズ製)5質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184、チバスペシャルティケミカルズ製)1質量部からなる架橋硬化型樹脂組成物に、リン酸マグネシウムアンモニウム六水和物(NH4MgPO4・6H2O、和光純薬製)の平均粒径3μmとしたものを124質量部撹拌分散した水和物分散樹脂組成物−実施例1(樹脂組成物−実施例1)を得た。なお、マイクロトラック粒度分布測定装置MT3000II(Microtrac Inc.製)を用いて粒度分布の50%値を平均粒径とした。
【0040】
樹脂組成物−実施例1を、ガラス板上に4MILのブレードを用いて、幅100mm、長さ200mmの塗膜を形成し、窒素雰囲気下で、紫外線照射コンベア装置を用いて紫外線照射量500mJ/cm2を照射し硬化させ、膜厚約50μmのフィルムを作製した。
【0041】
次に樹脂組成物−実施例1を、加圧塗布槽でより導体48AWG(7/0.013 S−MF−AG合金線、日立電線製)上に速度50m/minで被覆し、これを紫外線照射炉(アイグラフィックス製、6kW)2灯に通して硬化させた後、導波管型マイクロ加熱炉を通して加熱脱水処理して、被覆厚50μmの電線を作製した。
【0042】
(実施例2)
ポリブタジエンアクリレートオリゴマ(TEAI−1000、日本曹達(株)製)100質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート50質量部、イソボニルメタクリレート30質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(DAROCUR TP0、チバスペシャルティケミカルズ製)5質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184、チバスペシャルティケミカルズ製)1質量部からなる架橋硬化型樹脂組成物に、メタケイ酸ナトリウム九水和物(Na2SiO3・9H2O、和光純薬製)の平均粒径3μmとしたものを124重量部撹拌分散した水和物分散樹脂組成物−実施例2(樹脂組成物−実施例2)を得た。
【0043】
樹脂組成物−実施例2を用いて実施例1と同様にフィルムおよび電線を作製した。
【0044】
(実施例3)
両末端スチレン変性オリゴフェニレンエーテル(OPE−2St、三菱ガス化学製)100質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート30質量部、N−ビニルピロリドン20質量部、イソボニルメタクリレート30質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド5質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1質量部からなる架橋硬化型樹脂組成物に、炭酸ナトリウム十水和物(Na2CO3・10H2O、和光純薬製)の平均粒径8μmとしたものを124質量部撹拌分散した水和物分散樹脂組成物−実施例3(樹脂組成物−実施例3)を得た。
【0045】
樹脂組成物−実施例3を用いて実施例1と同様にフィルムおよび電線を作製した。
【0046】
(実施例4)
ポリブタジエンアクリレートオリゴマ(TEAI−1000、日本曹達(株)製)100質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート50質量部、イソボニルメタクリレート30質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(DAROCUR TP0、チバスペシャルティケミカルズ製)5質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184、チバスペシャルティケミカルズ製)1質量部からなる架橋硬化型樹脂組成物に、珪酸マグネシウム五水和物(Mg2Si38・5H2O、和光純薬製)の平均粒径10μmとしたものを124質量部撹拌分散した水和物分散樹脂組成物−実施例4(樹脂組成物−実施例4)を得た。
【0047】
樹脂組成物−実施例4を用いて実施例1と同様にフィルムおよび電線を作製した。
【0048】
(比較例1)
ポリブタジエンアクリレートオリゴマ(TEAI‐1000、日本曹達(株)製)100質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート50質量部、イソボニルメタクリレート30質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(DAROCUR TP0、チバスペシャルティケミカルズ製)5質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184、チバスペシャルティケミカルズ製)1質量部からなる架橋硬化型樹脂組成物に、リン酸水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O、和光純薬製)の平均粒径5μmとしたものを124質量部撹拌分散した水和物分散樹脂組成物−比較例1(樹脂組成物−比較例1)を得た。
【0049】
樹脂組成物−比較例1を用いて実施例と同様にフィルムおよび電線を作製した。
【0050】
(比較例2)
ポリブタジエンアクリレートオリゴマ(TEAI−1000、日本曹達(株)製)100質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート50質量部、イソボニルメタクリレート30質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(DAROCUR TP0、チバスペシャルティケミカルズ製)5質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184、チバスペシャルティケミカルズ製)1質量部からなる架橋硬化型樹脂組成物に、リン酸マンガン(II)塩基性四水和物(Mn(H2PO42・4H20、和光純薬製)の平均粒径11μmとしたものを124質量部撹拌分散した水和物分散樹脂組成物−比較例2(樹脂組成物−比較例2)を得た。
【0051】
樹脂組成物−比較例2を用いて実施例と同様にフィルムおよび電線を作製した。
【0052】
(比較例3)
両末端スチレン変性オリゴフェニレンエーテル(OPE−2St、三菱ガス化学製)100質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート30質量部、N−ビニルピロリドン20質量部、イソボニルメタクリレート30質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド5質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1質量部からなる架橋硬化型樹脂組成物に、炭酸ナトリウム十水和物(Na2CO3・10H2O、和光純薬製)の平均粒径20μmとしたものを124質量部撹拌分散した水和物分散樹脂組成物−比較例3(樹脂組成物−比較例3)を得た。
【0053】
樹脂組成物−比較例3を用いて実施例と同様にフィルムおよび電線を作製した。
【0054】
【表1】

【0055】
実施例1〜4および比較例1〜3で作製したフィルムおよび電線について、評価した結果を表1に示す。空隙率は、マイクロ波加熱前後の硬化膜の質量および体積を求め算出した。
【0056】
表1に示すように、実施例1〜4に対し、水和物の水分子の数が少ない比較例1又は2は、得られる空隙率が小さく、水和物の添加量による空隙形成効率が低いことが分かる。水和物の平均粒径が10μmの実施例4に対して、平均粒径が10μmを超える比較例2又は3は、フィルムや電線において、平滑な表面が得られないほか、比較例3では電線被覆において、加圧塗布槽内のダイス部に水和物が詰まりやすく、断線が発生してしまうのに対して、実施例3ではそうした問題は全くない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態に係る絶縁電線を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 絶縁電線
2 導体
3 絶縁層
4 空孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋硬化型樹脂組成物に水和物を分散させた水和物分散樹脂組成物であって、前記水和物はその化学式中の水分子の数が5個以上であり、前記水和物の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする水和物分散樹脂組成物。
【請求項2】
前記架橋硬化型樹脂組成物が、紫外線又は熱によって硬化する組成物である請求項1に記載の水和物分散樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水和物分散樹脂組成物を、架橋することにより硬化した後、加熱により水和物の水分を除去したものであることを特徴とする多孔質物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の水和物分散樹脂組成物を、導体の周囲に被覆して絶縁層とした後、前記絶縁層を架橋することにより前記水和物分散樹脂組成物を硬化し、加熱して水和物の水分を除去することで前記絶縁層の中に空孔を形成したことを特徴とする絶縁電線。
【請求項5】
請求項1に記載の水和物分散樹脂組成物を、導体の周囲に被覆して絶縁層とした後、前記絶縁層を架橋することにより前記水和物分散樹脂組成物を硬化し、加熱して水和物の水分を除去することで前記絶縁層の中に空孔を形成したことを特徴とする絶縁電線の製造方法。
【請求項6】
前記加熱がマイクロ波加熱である請求項5に記載の絶縁電線の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−215375(P2009−215375A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58318(P2008−58318)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】