説明

水圧システム及び食品加工装置

【課題】消費エネルギを低減し、環境への負荷が低い水圧システム及び食品加工装置を提供する。
【解決手段】水圧アクチュエータ24によって駆動されるコンプレッサ23と、このコンプレッサ23によって圧縮される冷媒が循環するヒートポンプ回路41と、このヒートポンプ回路41を循環する冷媒を減圧する膨張弁21と、コンプレッサ23から膨張弁21へと流れる冷媒の熱を放出する高圧側熱交換器22と、膨張弁21からコンプレッサ23へと流れる冷媒に熱を与える低圧側熱交換器20とを備え、この低圧側熱交換器20は、ヒートポンプ回路41にて膨張弁21から流出する冷媒が循環する冷媒循環通路と、水圧アクチュエータ12、14、24、29から作動水排出回路52を通って排出される作動水が循環する作動水循環通路とを備え、ヒートポンプ回路41を流れる冷媒と作動水排出回路52を流れる作動水との間で熱交換を行う構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧作動水が供給されることによって水圧アクチュエータを駆動する水圧システム及び食品加工装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された食品加工装置は、駆動部を水を作動流体とする水圧シリンダや水圧モータ等の水圧アクチュエータで構成し、水圧アクチュエータの駆動制御を水圧制御弁を用いて行うようになっている。
【0003】
この場合、高温洗浄水を水圧アクチュエータに噴射して洗浄することが可能となり、安全衛生面での性能を高められる。
【0004】
特許文献2には、ヒートポンプを用いて温水を加熱する給湯装置が開示されている。このヒートポンプは空気から吸収した熱を温水に移送するようになっている。
【特許文献1】特開2002−238444号公報
【特許文献2】特開2006−105527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の水圧システムを循環する作動水は、水圧アクチュエータ及び水圧制御弁にて行われる負荷動作によって温度上昇するため、作動水を冷却して水圧アクチュエータ及び水圧制御弁が過熱されないようにする必要があった。
【0006】
一方、従来のヒートポンプを用いる給湯装置は、空気から熱を吸収する構成のため、水圧システムを循環する作動水の熱エネルギを回収することができず、作動水の熱が無駄になるという問題点があった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、消費エネルギを低減し、環境への負荷が低い水圧システム及び食品加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、加圧作動水を水圧アクチュエータに導く作動水供給回路と、水圧アクチュエータから排出される作動水を導く作動水排出回路とを備える水圧駆動装置であって、水圧アクチュエータによって駆動されるコンプレッサと、このコンプレッサによって圧縮される冷媒が循環するヒートポンプ回路と、このヒートポンプ回路を循環する冷媒を減圧する膨張弁と、コンプレッサから膨張弁へと流れる冷媒の熱を放出する高圧側熱交換器と、膨張弁からコンプレッサへと流れる冷媒に熱を与える低圧側熱交換器とを備え、この低圧側熱交換器は、ヒートポンプ回路にて膨張弁から流出する冷媒が循環する冷媒循環通路と、水圧アクチュエータから作動水排出回路を通って排出される作動水が循環する作動水循環通路とを備え、ヒートポンプ回路を流れる冷媒と作動水排出回路を流れる作動水との間で熱交換を行う構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、低圧側熱交換器では、膨張弁によって減圧された冷媒が冷媒循環通路を流れる過程で液体から気体へと気化し、このとき冷媒に吸収される熱が作動水循環通路を流れる作動水から奪われ、冷媒を加熱することと、作動水を冷却することとが行われる。これにより、水圧アクチュエータ及び水圧制御弁にて行われる負荷動作によって温度上昇した作動水の熱を有効に利用することが可能となる。
【0010】
ヒートポンプ回路のコンプレッサを水圧アクチュエータによって駆動し、水圧アクチュエータの負荷動作により温度上昇した作動水の熱エネルギによってヒートポンプ回路の冷媒を加熱するため、冷媒を加熱するのに必要な消費エネルギを低減し、環境への負荷が低い水圧システムを提供することができる。同時にヒートポンプシステムで有効回収された熱よって加熱した温水を用いて食品加工装置の洗浄、消毒、殺菌を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、例えば食肉等の加工を自動的に行う食品加工装置30の構成図である。
【0013】
食品加工装置30は、食肉等のワークを水平移動するコンベア31と、ワークを昇降するテーブル32と、コンベア31やテーブル32によって運ばれるワークに切断等の加工を行う加工機(図示せず)とを備え、コンベア31やテーブル32の作動はコントローラ50によって制御され、ワークの加工が自動的に行われる(特許文献1参照)。
【0014】
なお、食品加工装置30が行う負荷動作は、上記したワークの水平移動、上昇、下降に限らず、例えば、ワークの回転、保持、洗浄、殺菌等が行われる。
【0015】
コンベア31やテーブル32は水圧アクチュエータによって駆動される。コンベア31を駆動する水圧アクチュエータとして水圧モータ14が設けられる。テーブル32を駆動する水圧アクチュエータとして水圧シリンダ12が設けられる。
【0016】
これらの水圧アクチュエータ12、14に加圧作動水を供給する水圧源として水圧ユニット1が設けられる。
【0017】
水圧ユニット1は、作動水を貯留する水圧タンク10と、水圧タンク10の作動水を吸い込んで加圧する水圧ポンプ2とを備える。水圧タンク10に給水する手段として、水圧タンク10には電磁弁36を介して給水回路34が接続される。電磁弁36の開閉はコントローラ50によって制御され、水圧タンク10の貯水量が所定値より低下すると電磁弁36が開弁し、給水回路34からの水が水圧タンク10に供給される。
【0018】
食品加工装置30の動力源として電動モータ3が設けられ、この電動モータ3によって水圧ポンプ2が駆動される。電動モータ3は他の機器とは隔離して設けられ、ワークや加工機を洗浄する温水等にさらされないようにする。
【0019】
なお、食品加工装置30の動力源は、上記電動モータ3に限らず、水圧モータ、空気圧モータ等を用いても良い。
【0020】
水圧ユニット1と水圧アクチュエータ12、14との間には作動水供給回路51と作動水排出回路52とが配設される。水圧ポンプ2から吐出される加圧作動水が作動水供給回路51を通って水圧アクチュエータ12、14に供給され、水圧アクチュエータ12、14から排出される作動水が作動水排出回路52を通って水圧タンク10に戻される。作動水供給回路51には電磁弁5、6等が介装され、水圧アクチュエータ12、14に導かれる加圧作動水の流量が調節される。
【0021】
なお、作動水排出回路52は、水圧タンク10に戻す構成に限らず、水圧アクチュエータ12、14から排出される作動水を外部に排出する構成としてもよい。
【0022】
作動水供給回路51と作動水排出回路52とを連通するバイパス回路53が配設され、このバイパス回路53には圧力調整弁7が介装される。この圧力調整弁7は、作動水供給回路51の圧力が所定値を超えて上昇すると開弁し、これにより作動水供給回路51の圧力が所定値に維持される。
【0023】
ワークや加工機の高温洗浄、高温殺菌を行う手段として、ワークや加工機に温水を噴射するノズル11と、この温水を貯留する貯湯ユニット26と、この貯湯ユニット26の温水を加熱するヒートポンプユニット19とを備える。
【0024】
貯湯ユニット26は、温水を貯留する貯湯タンク27と、この貯湯タンク27の温水をヒートポンプユニット19との間で循環させる循環ポンプ28とを備える。
【0025】
貯湯タンク27に給水する手段として、貯湯タンク27には電磁弁18を介して給水回路34が接続される。電磁弁18の開閉はコントローラ50によって制御され、貯湯タンク27の貯水量が所定値より低下すると電磁弁18が開弁し、給水回路34からの水が貯湯タンク27に供給される。
【0026】
ノズル11には温度調整弁16を介して温水供給回路35と作動水供給回路51とが接続される。温水供給回路35はノズル11に貯湯タンク27からの温水を導く一方、作動水供給回路51はノズル11に水圧ユニット1からの冷水を導く。
【0027】
温度調整弁16はコントローラ50からの指令に基づいてノズル11に対する温水供給回路35の開度と作動水供給回路51の開度をそれぞれ調整する。温度調整弁16によって温水供給回路35から導かれる温水と作動水供給回路51から導かれる冷水とが混合してノズル11に供給され、ノズル11から所定の温度に調整された温水が噴射される。これにより、ワークや加工機の高温洗浄、高温殺菌が行われる。
【0028】
温水供給回路35と給水回路34を結ぶバイパス回路37が配設され、バイパス回路37に温度調整弁17が介装される。温度調整弁17はコントローラ50からの指令に基づいてバイパス回路37の開度を調整する。温度調整弁17によって給水回路34から導かれる冷水が貯湯タンク27から導かれる温水と混合し、ノズル38から所定の温度に調整された温水が供給される。
【0029】
貯湯タンク27の温水を加熱する手段として、貯湯タンク27とヒートポンプユニット19とを結ぶ加熱回路33が設けられ、この加熱回路33に循環ポンプ28が介装される。循環ポンプ28によって温水が図中矢印で示すように加熱回路33を通って貯湯タンク27とヒートポンプユニット19の間を循環する。
【0030】
循環ポンプ28を駆動する水圧アクチュエータとして水圧モータ29が設けられる。水圧モータ29に水圧ユニット1からの加圧作動水を導く作動水供給回路51の通路には電磁弁15が介装され、この電磁弁15の開閉はコントローラ50によって制御される。これにより、貯湯タンク27に貯留される温水の温度を所定値に保つように循環ポンプ28が作動する。
【0031】
ところで、水圧ユニット1と水圧アクチュエータ12、14、24、29の間で循環する作動水は、電磁弁5、6、15、圧力調整弁7を通る過程で発生する熱によって温度上昇するとともに、水圧アクチュエータ12、14、24、29の作動負荷により発生する熱によって温度上昇する。
【0032】
このため、従来は、水圧アクチュエータ12、14、24、29から流出して温度上昇した作動水の熱を大気に放熱する熱交換器が設けられ、水圧アクチュエータ12、14、24、29等が過熱されることを防止するようになっていた。
【0033】
本願発明は、水圧アクチュエータ12、14、24、29から流出して温度上昇した作動水の熱を有効に利用するため、水圧アクチュエータ12、14、24、29から排出される作動水の熱を加熱回路33を循環する温水に移送するヒートポンプユニット19を設けるものである。
【0034】
ヒートポンプユニット19は、ヒートポンプ回路41にコンプレッサ23、高圧側熱交換器22、膨張弁21、低圧側熱交換器20が介装される。冷媒がヒートポンプ回路41を循環することにより、低圧側熱交換器20にて吸収した熱を高圧側熱交換器22に移送して放熱する。
【0035】
コンプレッサ23は、冷媒を吸引して圧縮することにより、冷媒の温度を上昇させる働きをする。
【0036】
コンプレッサ23を駆動する水圧アクチュエータとして水圧モータ24が設けられる。水圧モータ24に水圧ユニット1からの加圧作動水を導く作動水供給回路51の通路には電磁弁25が介装され、この電磁弁25の開閉はコントローラ50によって制御される。これにより、貯湯タンク27に貯留される温水の温度を所定値に保つようにコンプレッサ23が作動する。
【0037】
高圧側熱交換器22は、ヒートポンプ回路41にてコンプレッサ23から吐出される冷媒が循環する冷媒循環通路と、加熱回路33にて循環ポンプ28から吐出される温水が循環する温水循環通路とを備え、ヒートポンプ回路41を循環する冷媒と加熱回路33を循環する温水との間で熱交換が行われる。
【0038】
高圧側熱交換器22にて、コンプレッサ23によって加圧された冷媒が冷媒循環通路を流れる過程で気体から液体へと凝固し、このとき冷媒から発生する熱が温水循環通路を流れる温水に伝えられ、温水の温度が高められる。
【0039】
膨張弁21は、高圧冷媒を減圧し、冷媒の温度を低下させる働きをする。
【0040】
低圧側熱交換器20は、ヒートポンプ回路41にて膨張弁21から流出する冷媒が循環する冷媒循環通路と、水圧アクチュエータ12、14、24、29から作動水排出回路52を通って排出される作動水が循環する作動水循環通路とを備え、ヒートポンプ回路41を循環する冷媒と作動水排出回路52を循環する作動水との間で熱交換が行われる。低圧側熱交換器20では、膨張弁21によって減圧された冷媒が冷媒循環通路を流れる過程で液体から気体へと気化し、このとき冷媒に吸収される熱が作動水循環通路を流れる作動水から奪われ、冷媒を加熱することと、作動水を冷却することとが行われる。
【0041】
コントローラ50は、電動モータ3、各電磁弁4〜6、15、切換制御弁13、温度調整弁17、16の作動を制御し、ワークの搬送、加工、ワークや加工の高温洗浄、高温殺菌が自動的に行われる。
【0042】
食品加工装置30は、以上のように構成されて、次に作用及び効果について説明する。
【0043】
水圧ユニット1の作動水は、電磁弁5、6、15、圧力調整弁7を通る過程で発生する熱によって温度上昇するとともに、水圧アクチュエータ12、14、24、29の作動負荷により発生する熱によって温度上昇するが、作動水排出回路52を通って水圧タンク10に戻される過程でヒートポンプユニット19を介して冷却されることにより、その温度が下げられ、水圧アクチュエータ12、14、24、29が過熱されることを抑えられ、ワークの搬送、加工、ワークや加工、ヒートポンプユニット19の作動等が円滑に行われる。
【0044】
一方、加熱回路33を循環する温水は、ヒートポンプユニット19を介して加熱され、貯湯タンク27に貯留される温水の温度が所定値以上に高められる。ヒートポンプユニット19は、作動水排出回路52を通る作動水の熱エネルギを回収して加熱回路33の温水を加熱するため、温水を加熱するのに空気を熱源として熱エネルギをくみ上げる従来のヒートポンプ給湯装置に比べて消費エネルギを大幅に低減し、環境への負荷が低い水圧システムを提供することができる。
【0045】
食品加工装置30は、ワークを搬送するコンベア31、テーブル32、ワークの加工機(図示せず)、温水を循環させる貯湯ユニット26、冷媒を循環させるヒートポンプユニット19に設けられる全てのアクチュエータ12、14、24、29を水圧ユニット1から供給される作動水圧によって作動する構成としたため、電動アクチュエータ、空気圧アクチュエータのようにオイルミスト等が発生せず、食品加工装置30に要求される安全衛生面での性能を確保できるとともに、これらのアクチュエータを用いるよりも応答性がよく、高性能化がはかれる。
【0046】
また、水圧アクチュエータ12、14、24、29を用いることにより、油圧アクチュエータのように油が漏れて周囲環境を汚染することがなく、防油、防火を行う必要がない安全なシステムを提供できる。
【0047】
また、水圧アクチュエータ12、14、24、29を用いることにより、空気圧アクチュエータに比べてエネルギロスが少ない、高効率のシステムを提供できる。
【0048】
各水圧アクチュエータ12、14、24、29を洗浄するのに、電動アクチュエータ、油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータのように分解作業等を行うことなく、各水圧アクチュエータ12、14、24、29を作動させながら高圧温水で洗浄することが可能となる。これにより、食品加工装置30を連続稼働させて、生産性を高められる。
【0049】
各水圧アクチュエータ12、14、24、29は、電動アクチュエータ、油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータのように防水、防滴を行う必要がなく、食品加工装置30の構造を簡素化し、小型化がはかれる。
【0050】
食品加工装置30の駆動系に水圧アクチュエータ12、14、24、29を用いることにより、メンテナンスの技術が統一され、保守、点検が容易に行える。
【0051】
本実施の形態では、加圧作動水を水圧アクチュエータ12、14、24、29に導く作動水供給回路51と、水圧アクチュエータ12、14、24、29から排出される作動水を導く作動水排出回路52とを備える水圧駆動装置であって、水圧アクチュエータ24によって駆動されるコンプレッサ23と、このコンプレッサ23によって圧縮される冷媒が循環するヒートポンプ回路41と、このヒートポンプ回路41を循環する冷媒を減圧する膨張弁21と、コンプレッサ23から膨張弁21へと流れる冷媒の熱を放出する高圧側熱交換器22と、膨張弁21からコンプレッサ23へと流れる冷媒に熱を与える低圧側熱交換器20とを備え、この低圧側熱交換器20は、ヒートポンプ回路41にて膨張弁21から流出する冷媒が循環する冷媒循環通路と、水圧アクチュエータ12、14、24、29から作動水排出回路52を通って排出される作動水が循環する作動水循環通路とを備え、ヒートポンプ回路41を流れる冷媒と作動水排出回路52を流れる作動水との間で熱交換を行う構成とした。
【0052】
上記構成に基づき、低圧側熱交換器20では、膨張弁21によって減圧された冷媒が冷媒循環通路を流れる過程で液体から気体へと気化し、このとき冷媒に吸収される熱が作動水循環通路を流れる作動水から奪われ、冷媒を加熱することと、作動水を冷却することとが行われる。これにより、水圧アクチュエータ12、14、24、29の負荷動作により温度上昇した作動水の熱を有効に利用することが可能となる。
【0053】
本実施の形態では、ヒートポンプ回路41のコンプレッサ23を水圧アクチュエータ24によって駆動し、水圧アクチュエータ24の負荷動作により温度上昇した作動水の熱エネルギによってヒートポンプ回路41の冷媒を加熱するため、冷媒を加熱するのに必要な消費エネルギを低減し、かつ、作動水を冷却するのに必要な消費エネルギを低減し、環境への負荷が低い水圧システムを提供することができる。
【0054】
本実施の形態では、水圧アクチュエータ29によって駆動される循環ポンプ28と、この循環ポンプ28によって温水が循環する加熱回路33とを備え、高圧側熱交換器22は、ヒートポンプ回路41にてコンプレッサ23から吐出される冷媒が循環する冷媒循環通路と、加熱回路33の温水が循環する温水循環通路とを備え、ヒートポンプ回路41を循環する冷媒と加熱回路33を循環する温水との間で熱交換が行われる構成とした。
【0055】
上記構成に基づき、高圧側熱交換器22では、コンプレッサ23によって加圧された冷媒が冷媒循環通路を流れる過程で気体から液体へと凝固し、このとき冷媒から発生する熱が温水循環通路を流れる温水に伝えられ、温水の温度が高められる。
【0056】
本実施の形態では、加熱回路33の循環ポンプ28を水圧アクチュエータ29によって駆動し、水圧アクチュエータ29の負荷動作により温度上昇した作動水の熱エネルギを回収して加熱回路33の温水を加熱するため、この温水を加熱するのに必要な消費エネルギを低減し、環境への負荷が低い水圧システムを提供することができる。
【0057】
本実施の形態では、温水を噴射するノズル11と、この温水を貯留する貯湯ユニット26と、この貯湯ユニット26に貯留される温水をノズル11に供給する温水供給回路35と備え、貯湯ユニット26に加熱回路33を接続し、ヒートポンプ回路41を循環する冷媒と加熱回路33を循環する貯湯ユニット26の温水との間で熱交換が行われる構成とした。
【0058】
上記構成に基づき、水圧アクチュエータ12、14、24、29の負荷動作により温度上昇した作動水の熱エネルギを回収して加熱回路33の温水を加熱するため、ノズル11から噴射される温水を加熱するに必要な消費エネルギを低減し、環境への負荷が低い水圧システムを提供することができる。
【0059】
本実施の形態では、ノズル11に対して温水供給回路35と作動水供給回路51とを接続する温度調整弁16を備え、この温度調整弁16によって温水供給回路35から導かれる温水と作動水供給回路51から導かれる冷水とが混合してノズル11に供給される構成とした。
【0060】
上記構成に基づき、ノズル11から所定の温度に調整された温水が噴射される。これにより、ワークや加工機の高温洗浄、高温殺菌が行われる。
【0061】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の水圧システムは、食品加工装置に限らず、洗浄、殺菌等、安全、衛生、クリーンが要求される医療、医業、化粧品等に関連する他の装置、設備等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態を示す食品加工装置のシステム図。
【符号の説明】
【0064】
1 水圧ユニット
2 水圧ポンプ
11 ノズル
12、14、24、29 水圧アクチュエータ
16 温度調整弁
20 低圧側熱交換器
21 膨張弁
22 高圧側熱交換器
23 コンプレッサ
28 循環ポンプ
30 食品加工装置
33 加熱回路
41 ヒートポンプ回路
52 作動水排出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧作動水を水圧アクチュエータに導く作動水供給回路と、
前記水圧アクチュエータから排出される作動水を導く作動水排出回路とを備える水圧駆動装置であって、
前記水圧アクチュエータによって駆動されるコンプレッサと、
このコンプレッサによって圧縮される冷媒が循環するヒートポンプ回路と、
このヒートポンプ回路を循環する冷媒を減圧する膨張弁と、
前記コンプレッサから前記膨張弁へと流れる冷媒の熱を放出する高圧側熱交換器と、
前記膨張弁から前記コンプレッサへと流れる冷媒に熱を与える低圧側熱交換器とを備え、
この低圧側熱交換器は、
前記ヒートポンプ回路にて前記膨張弁から流出する冷媒が循環する冷媒循環通路と、
前記水圧アクチュエータから前記作動水排出回路を通って排出される作動水が循環する作動水循環通路とを備え、
前記ヒートポンプ回路を流れる冷媒と前記作動水排出回路を流れる作動水との間で熱交換を行う構成としたことを特徴とする水圧システム。
【請求項2】
前記水圧アクチュエータによって駆動される循環ポンプと、
この循環ポンプによって温水が循環する加熱回路とを備え、
前記高圧側熱交換器は、
前記ヒートポンプ回路にて前記コンプレッサから吐出される冷媒が循環する冷媒循環通路と、
前記加熱回路の温水が循環する温水循環通路とを備え、
前記ヒートポンプ回路を循環する冷媒と前記加熱回路を循環する温水との間で熱交換が行われる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の水圧システム。
【請求項3】
温水を噴射するノズルと、
この温水を貯留する貯湯ユニットと、
この貯湯ユニットに貯留される温水を前記ノズルに供給する温水供給回路とを備え、
この貯湯ユニットに前記加熱回路を接続し、
前記ヒートポンプ回路を循環する冷媒と前記加熱回路を循環する貯湯ユニットの温水との間で熱交換が行われる構成としたことを特徴とする請求項2に記載の水圧システム。
【請求項4】
前記ノズルに対して前記温水供給回路と前記作動水供給回路とを接続する温度調整弁を備え、
この温度調整弁によって前記温水供給回路から導かれる温水と前記作動水供給回路から導かれる冷水とが混合して前記ノズルに供給される構成としたことを特徴とする請求項3に記載の水圧システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の水圧システムを備えることを特徴とする食品加工装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−133522(P2009−133522A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308880(P2007−308880)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】