説明

水平スリット材、それを使用した水平打継部の施工方法及び水平打継部の構造

【課題】所定のスリット幅を確保できると共に、スリット幅の変更も容易であり、コンクリート打設時に外れることもなく、下面側に気泡や水溜りが発生し難い水平スリット材、及びそれを使用した水平打継部の施工方法及び水平打継部の構造を提供すること。
【解決手段】スリット材本体11と、そのスリット材本体11を支持するスリット材支持体12とからなり、スリット材支持体12は、外型枠21に固定した目地棒22に載置される先端部121と、先端部121と連続し目地棒22の上面より高い位置に設けられた上面板部122と、目地棒22の側面に当接する外側板部123と、外側板部123と対向するように内型枠側に設けられた内側板部124とを有し、下方開口のコ字状をなしており、スリット材本体11はそのコ字状部分に嵌合され、内側板部124の高さ以上の後側面11bと、前側面11aから後側面11bに向けて上昇する傾斜下面11cとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート建造物において、壁部の水平打継部に埋設する水平スリット材と、それを使用した水平打継部の施工方法、及び水平打継部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビル等の鉄筋コンクリート造の建物では、柱や壁等の境界部分に対して、層間変位に対する力学的な不連続部となる構造スリットを形成する目的で、スリット材と称される緩衝材を使用する工法が普及しつつある。このスリット材は、壁を貫通するように埋設され、当該スリット材を介して建造物が構造的に分断されている。そして、地震による外力を受けたときには、建造物に生じる剪断応力をスリット材で吸収緩和し、その伝達を遮断することにより、建造物の剪断破壊、脆性破壊を回避するようになっている。ここで、外型枠と内型枠との間にコンクリートを打設して形成される壁部の水平打継部に埋設する従来の水平スリット材として、例えば、特許文献1に記載のものがある。この水平スリット材は、押出成形による合成樹脂からなり、上面板と底面板が外型枠に固定された目地棒に係合するための基部を形成する一方、基部と相対する本体部が、上面板と底面板とを隔てると共にスリット支持板と水返しを反対側の端部に有し、さらに上面板と底面板がそれぞれ内型枠側に向けて上昇する傾斜面とした構成となっている。この場合、スリット支持板上に水平スリットを載置すると共に、水返しで水平スリットを水平打継部に位置づけることができ、水返しが壁部外面側からの浸水を阻止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−127235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記水平スリット材は、本体部の上面板と下面板との間に大きな空隙部(中空部)を有するので、その大きな空隙部に大量のコンクリートが侵入するおそれがあり、所定のスリット幅を確保できないおそれがある。また、基部と本体部とが嵌め込み式であるため、コンクリート打設時に最も荷重のかかる場所での結合となり、外れやすいという問題もある。さらに、水平スリット材の底面側に水平部分が存在していることにより、その水平部分に気泡(空気溜まり)や水溜りができ易いという問題もある。また、スリット幅を変更する場合には、個別に成型用の金型を用意しなければならず、品揃えの点からコスト高になるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、所定のスリット幅を確実に確保できると共に、その変更が容易であり、コンクリート打設時に目地棒等から外れることもなく、底面側に気泡や水溜りが発生し難い水平スリット材、それを使用した水平打継部の施工方法及び水平打継部の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の水平スリット材は、外型枠と内型枠との間にコンクリートを打設して形成される壁部の水平打継部に埋設する水平スリット材であって、スリット材本体と、そのスリット材本体を支持するスリット材支持体とからなり、前記スリット材支持体は、外型枠に固定した目地棒の上面に載置される先端部と、その先端部と連続し他端側に向けて設けられた上面板部と、それら先端部または上面板部の下面側に設けられ目地棒の側面に当接する外側板部と、その外側板部と対向するように上面板部の他端側において下面側に設けられた内側板部とを有する一方、前記スリット材本体は、前記スリット材支持体の外側板部に当接する前側面と、その内側板部に当接すると共にその内側板部の高さ以上の後側面と、前側面から後側面に向けて上昇する傾斜下面とを有し、該スリット材本体が前記スリット材支持体の外側板部と上面板部と内側板部とにより形成される下方開口のコ字状部分に対して、その傾斜下面が埋没しない状態で嵌合されることを特徴とする。この構成によれば、スリット材支持体のコ字状部分にスリット材本体が嵌合しているので、コ字状部分にコンクリートが浸入して溜まることがなくなり所定のスリット幅を確実に確保できる。また、スリット材本体の幅(鉛直方向の寸法)を変更することにより、打継部に形成するスリット幅を容易に変更できる。さらに、スリット材本体の後側面は、その下端位置がスリット材支持体の内側板部の下端と同じか、あるいはそれよりも下方にあり、かつ前側面から後側面に向けて上昇する傾斜下面を有しているので、スリット材支持体の底面における気泡や水溜りの滞留を極力防止できる。
また、請求項2に係る発明の水平スリット材は、請求項1記載の水平スリット材において、前記スリット材支持体の上面板部下面と前記スリット材本体上面との間に、空隙部を設けることを特徴とする。これにより、上面板部の弾性が効果的に発揮され、例えば外側板部と内側板部とを予めそれぞれ内側に幾分か傾斜した状態に形成した場合には、外側板部と内側板部との間にスリット材本体を挟んだときの把持力が高まり、より強固にスリット材支持体のコ字状部分にスリット材本体を嵌合して一体化することが可能となる。さらに、上記空隙部はスリット部としての機能も有するので、スリット材本体の下面を傾斜させたことに伴うスリット幅の不足分を補完することもできる。
また、請求項3に係る発明の水平スリット材は、請求項1または請求項2に記載の水平スリット材において、前記スリット材支持体の上面板部が、目地棒の上面より高い位置に設けられることを特徴とする。これにより、スリット材支持体の上面板部側において、外型枠と水平スリット材との間に打設されたコンクリートの充填性が高まるので、水平打継部における止水性が向上すると共に、クラックの生じにくい外壁構造とすることができる。
また、請求項4に係る発明の水平スリット材は、請求項1〜請求項3のいずれか一の請求項に記載の水平スリット材において、前記スリット材支持体の内側板部の下端に、スリット材本体下面よりも上方に傾斜するアンカー部を設けたことを特徴とする。この場合には、コンクリートを打設する際、確実に水平スリット材を下層階の梁部中に埋設することができると共に、アンカー部の下面側にも気泡や水溜りが発生しなくなり、品質の高いコンクリート躯体を製造できる。
また、請求項5に係る発明の水平打継部の施工方法は、請求項1〜請求項4のいずれか一の請求項に記載の水平スリット材を、外型枠に固定された目地棒の上面に、そのスリット材支持体の先端部を載置した状態で固定し、前記目地棒の上面レベルまでコンクリートを打設して下層階の梁部を構築した後、上面板部より内側の梁部上面に別のスリット材を設置した状態でさらにコンクリートを打設して上層階の壁部を構築することを特徴とする。これにより、請求項1の発明と同様の効果が得られる。
また、請求項6に係る発明の水平打継部の構造は、請求項1〜請求項4のいずれか一の請求項に記載の水平スリット材を、外型枠に固定された目地棒の上面に、そのスリット材支持体の先端部を載置した状態で固定し、前記目地棒の上面レベルまでコンクリートを打設して下層階の梁部を構築した後、上面板部より内側の梁上面に別のスリット材を設置した状態でさらにコンクリートを打設して上層階の壁部を構築したことを特徴とする。これにより、請求項1及び請求項5の発明と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水平スリット材、それを使用した水平打継部の施工方法及び水平打継部の構造では、下方に開口するスリット材支持体のコ字状部分にスリット材本体を嵌合させているので、コンクリートの打設時にその浸入を完全に防止し、場合によっては最小限に止め、所定のスリット幅を確保できる。また、スリット材本体の鉛直方向の寸法を変えることにより、水平打継部に形成するスリット幅の変更も容易である。さらに、スリット材本体の下面が外型枠から内型枠に向かうに従って上昇する傾斜面に形成され、かつ後側面の下端がスリット材支持体の内側板部の下端よりも内側に入らないので、スリット材本体の下面側での気泡や水溜りの発生を極力防止できる。なお、スリット材支持体は特許文献1の従来技術のような分割構造を採用していないので、コンクリート打設時に、その圧力で外れることもない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る水平スリット材の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す水平スリット材の分解斜視図である。
【図3】本発明に係る水平スリット材を使用した水平打継部の施工方法を示す図である。
【図4】本発明に係る水平スリット材を使用した水平打継部の施工方法を示す図である。
【図5】本発明に係る水平スリット材を使用した水平打継部の施工方法を示す図である。
【図6】本発明に係る水平スリット材を使用した水平打継部の施工方法を示す図である。
【図7】本発明に係る水平スリット材の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明に係る水平スリット材、それを使用した水平打継部の施工方法及び水平打継部の構造の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
≪水平スリット材≫
図1は本発明に係る水平スリット材の一例を示す断面図、図2は図1に示す水平スリット材1の分解斜視図である。この水平スリット材1は、外型枠21と内型枠23(図6参照。)との間にコンクリートを打設して形成される壁部の水平打継部に埋設されるもので、発泡ポリエチレン製等のスリット材本体11と、スリット材本体11を支持する塩化ビニル樹脂製等のスリット材支持体12とからなる。スリット材支持体12は、外型枠21に固定した目地棒22の上面に載置される先端部121と、先端部121と連続し目地棒22の上面より高い位置に設けられた上面板部122と、目地棒22の反対側の側面に当接する外側板部123と、外側板部123と対向するように内型枠側に設けられた内側板部124とを有し、これら上面板部122と外側板部123と内側板部124とにより、下方が開口した断面コ字状に形成されている。そして、このスリット材支持体12の断面コ字状部分に、芯材となるスリット材本体11を嵌合することで、水平スリット材1が構成される。その際、スリット材支持体12の上面板部122がバネ性を発揮し、スリット材本体11を外側板部123と内側板部124との間で挟持するので、無頭釘(図3以降参照。)で固定する前段階においても、安定した製品形状を保つことができる。また、スリット材支持体12は下方が開口しているので、必要な寸法(設置したときの鉛直方向の長さ)に作製したスリット材本体11を適宜選択することにより、スリット幅の変更に簡単に対応することができる。
【0011】
ここで、スリット材支持体12の先端部121は、外側板部123より外側に突出して目地棒22上面に載置される先端第1底面部121aと、先端第1底面部121aと面一で外側板部123より内側に突出する先端第2底面部121bと、先端第1底面部121a先端から上面板部122の先端まで斜め上方に傾斜して立ち上がる先端傾斜面部121cと、先端第2底面部121b後端から上面板部122裏面まで垂直に立設する先端垂直面部121dとからなる。また、先端部121とは反対側の上面板部122の後端には、上面板部122と直交する水返し板部125が設けられている。そして、水返し板部125の下端部には、先端第1底面部121a及び先端第2底面部121bと同じ高さで先端部121の方へ突出する後端第1底面部125aと、それと同じ高さで内型枠23(図6参照。)の方向へ突出して内側板部124に連続する後端第2底面部125bとを有する。このような形状により、スリット材支持体12の断面コ字状部分に対して、上側面11dが平らなスリット材本体11を嵌入すると、図1に示すように先端垂直面部121dと、上面板部122下面と、水返し板部125の下端部と、スリット材本体11の上側面11dとの間に、空隙部126が形成される。
【0012】
ここで、空隙部126の間隔hは、スリット材本体11の厚さ(高さ)に較べて小さく設定する。この場合には、スリット材本体11が存在する分だけ、従来の空隙部を主体とした水平スリット材の空隙部よりも大幅に小さくなり、端面における開口面積が減少するので、コンクリート打設時に懸念される端面からのノロ・骨材の侵入が最小限にとどまる。この空隙部126は、スリット部として、スリット材本体11を補完する効果がある。さらに、この空隙部126の存在により、外側板部123と内側板部124の先端部間の間隔がスリット材本体11の長さLより若干小さくなるように、予めそれぞれ内側に幾分か傾斜した状態で成形すれば、スリット材本体11をその断面コ字状部分に嵌入したとき、上面板部122のバネ性がより効果的に発揮され、スリット材本体11を両側から挟持する力が高まる。また、これとは逆に、スリット材支持体12の外側板部123と内側板部124を垂直状態に成形し、それらの間隔よりも幾分大きい寸法のスリット材本体11を適用してもよい。スリット材本体11は、そのままでは打設するコンクリートの圧力によって潰れるおそれがあるが、スリット材本体11の3箇所の面が断面コ字状のスリット材支持体12で包囲されているので、コンクリートの打設圧力によるスリット材本体11の変形を最小限に抑え、設計通りのスリット幅を確保できる。なお、空隙部126は、本発明において必須要件ではない。
【0013】
また、このスリット材支持体12では、先端第2底面部121bの後端から先端垂直面部121dが立設する一方、後端第1底面部125aの先端には垂直面部が立設していないことから、外側板部123よりも内側板部124の方が広がり(変形)しやすい。これにより、外側板部123と内側板部124の間隔Lより幾分か長いスリット材本体11を断面コ字状部分に簡単に嵌入することが可能となる。なお、内側板部124の下端には、スリット材本体11の傾斜下面11cの傾斜角度αよりも大きい傾斜角度βで斜め上方に折り返され、下層階のコンクリート中に埋設されるアンカー部124aが設けられている。そのため、下層階のコンクリートを打設した際、スリット材本体11の傾斜下面11cに沿って上昇した気泡や水溜りが、これに続くアンカー部124aの裏面側から上方に難なく移動するので、水平スリット材1の下面側に気泡や水溜りが発生しなくなり、品質の高いコンクリート躯体を製造できる。ここで、アンカー部124aの傾斜角度βは、スリット材本体11の傾斜下面11cの傾斜角度α以上、すなわちβ≧αの関係にして、アンカー部124a裏面側における気泡や水溜りの排出性を向上させているが、この関係になくても、上方に向けて傾斜していれば良い。
【0014】
図2に示すように、このスリット材支持体12では、内側板部124の長手方向に沿って、所定間隔で固定用の無頭釘を打ち込むための釘孔124bを設けている。これにより、無頭釘の打ち込みピッチを間違えたり、打ち込み忘れ等を防止する。その結果、水平スリット材1の曲がりや浮き上がりがなくなり、品質の良い施工が可能となる。また、内側板部124の長手方向に所定間隔で無頭釘が打ち込まれると、水平スリット材1全体の剛性が向上し、この点でも有効である。なお、釘孔124bは省略してもよい。
【0015】
一方、スリット材本体11は、スリット材支持体12の外側板部123に当接する前側面11aと、スリット材支持体12の内側板部124に当接し、且つ内側板部124の高さ以上の後側面11bと、前側面11aから後側面11bに向かうに従って傾斜角度αで上昇する傾斜下面11cと、水平な上側面11dを有している。すなわち、スリット材本体11の傾斜下面11cにより、水平スリット材1の下面側に水平部分が存在しなくなるので、水平スリット材1の下面側での気泡や水溜りの発生を極力防止することができる。
【0016】
≪水平スリット材1を使用した施工方法と水平打継部の構造≫
次に、本発明に係る水平スリット材1を使用した水平打継部の施工方法と水平打継部の構造について、図面を参照して説明する。
【0017】
図3〜図6は、水平スリット材1を使用した水平打継部の施工方法及び構造の一例を示す図である。まず、図3に示すように、外型枠21に固定した目地棒22に対して、その上面にスリット材支持体12の先端第1底面部121aを載置しながら、側面に外側板部123を当接し、この状態で無頭釘3を内側板部124の表面から打ち込む。次に、図4に示すように、スリット材本体11、外側板部123及び目地棒22を貫通し、さらにその先端が外型枠21の外側に突出することにより外型枠21に固定された水平スリット材1に対して、目地棒22の上面、すなわち内側板部124の上端部付近のレベルまでコンクリートを打設して下層階の梁部4とそれに連続するスラブを構築する。その際、スリット材支持体12のコ字状部分にスリット材本体11が嵌合し、空隙部126の間隔hが小さいので、空隙部126にコンクリートが侵入することがなくなり、スリット材本体11と合わせて所定のスリット幅を確保できる。また、スリット材本体11は、図1及び図2に示すように、外型枠21から内型枠23に向かうに従って上昇する傾斜下面11cを有しているので、水平スリット材1の下面側に気泡や水溜りが発生しにくい。次に、図5に示すように、耐火材52をスリット材51,53により挟んだ構造の別の水平スリット材5の先端を、スリット材支持体12の水返し板部125に当接させつつ下層階の梁部4の上面に設置する。そして、図6に示すように、水平スリット材5の後端位置に合わせて内型枠23を立設し、外型枠21と内型枠23との間にさらにコンクリートを打設して上層階の壁部6を構築する。
【0018】
なお、この水平スリット材1において、スリット幅をより大きくしようとする場合は、図7(a)に示すように、高さの高いスリット材本体11を適用すれば良い。本発明によれば、スリット幅を変更する場合でも、一種類のスリット材支持体12により対応することができるので、金型コストや製品在庫を低減できる。また、図7(b)に示すように、後端第1底面部125aの先端から上面板部122の下面側まで立設する後端垂直面部125cを設けるようにしても良い。この場合、後端垂直面部125cを設けない場合よりも内側板部124の剛性が増し、先端垂直面部121dが立設されている外側板部123と、後端垂直面部125cが立設されている内側板部124との間で外側への広がりに対する変形性能がほぼ同じになり、バランスのとれた挟持力でスリット材本体11を挟持することが可能となる。また、図7(c)に示すように、後端第1底面部125a自体を省略することもできる。この場合でも、後端第2底面部125bがあるので、スリット材支持体12のコ字状部分にスリット材本体11を嵌入した際、スリット材本体11の上面後端は後端第2底面部125bに当接するので、スリット材本体11の挟持に問題はない。
【符号の説明】
【0019】
1…水平スリット材、11…スリット材本体、11a…前側面、11b…後側面、11c…傾斜下面、12…スリット材支持体、121…先端部、122…上面板部、123…外側板部、124…内側板部、124a…アンカー部、125…水返し板部、21…外型枠、22…目地棒、23…内型枠、3…無頭釘、4…下層階の梁部、5…水平スリット材、6…上層階の壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外型枠と内型枠との間にコンクリートを打設して形成される壁部の水平打継部に埋設する水平スリット材であって、スリット材本体と、そのスリット材本体を支持するスリット材支持体とからなり、前記スリット材支持体は、外型枠に固定した目地棒の上面に載置される先端部と、その先端部と連続し他端側に向けて設けられた上面板部と、それら先端部または上面板部の下面側に設けられ目地棒の側面に当接する外側板部と、その外側板部と対向するように上面板部の他端側において下面側に設けられた内側板部とを有する一方、前記スリット材本体は、前記スリット材支持体の外側板部に当接する前側面と、その内側板部に当接すると共にその内側板部の高さ以上の後側面と、前側面から後側面に向けて上昇する傾斜下面とを有し、該スリット材本体が前記スリット材支持体の外側板部と上面板部と内側板部とにより形成される下方開口のコ字状部分に対して、その傾斜下面が埋没しない状態で嵌合されることを特徴とする水平スリット材。
【請求項2】
請求項1記載の水平スリット材において、前記スリット材支持体の上面板部下面と前記スリット材本体上面との間に、空隙部を設けることを特徴とする水平スリット材。
【請求項3】
請求項1記載または請求項2記載の水平スリット材において、前記スリット材支持体の上面板部が、目地棒の上面より高い位置に設けられることを特徴とする水平スリット材。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一の請求項に記載の水平スリット材において、前記スリット材支持体の内側板部の下端に、スリット材本体下面よりも上方に傾斜するアンカー部を設けたことを特徴とする水平スリット材。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一の請求項に記載の水平スリット材を、外型枠に固定された目地棒の上面に、そのスリット材支持体の先端部を載置した状態で固定し、前記目地棒の上面レベルまでコンクリートを打設して下層階の梁部を構築した後、上面板部より内側の梁部上面に別のスリット材を設置した状態でさらにコンクリートを打設して上層階の壁部を構築することを特徴とする水平打継部の施工方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか一の請求項に記載の水平スリット材を、外型枠に固定された目地棒の上面に、そのスリット材支持体の先端部を載置した状態で固定し、前記目地棒の上面レベルまでコンクリートを打設して下層階の梁部を構築した後、上面板部より内側の梁部上面に別のスリット材を設置した状態でさらにコンクリートを打設して上層階の壁部を構築したことを特徴とする水平打継部の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−40451(P2013−40451A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176212(P2011−176212)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【出願人】(000110376)ドラーフタイト工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】