説明

水平ロッドに斜走ローラを装填するコンベヤベルト

ベルトの進行方向(20)に斜めになった軸(32)を中心に回転するローラ(34)を有するコンベヤベルト(10)。アクスル(32)は、ベルトの進行方向に直交する方向に延在しているロッド(26)に装填されている。アクスル(32)は、ロッド(26)に装填した際にベルトの進行方向(20)に斜めになった中心軸を規定する、筒状外側ベアリング面(38)を有する。アクスル(32)に装填したローラ(34)は、ベルトの進行方向(20)に斜めの方向において、外側ベアリング面(38)上で回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に動力駆動コンベヤに関し、特に、ベルトの進行方向に対して斜め方向に回転する物品結合ローラを有するコンベヤベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトの進行方向に対して斜めになったアクスルを中心に回転するローラが付いたコンベヤベルトは、物品の積み上げ、加速、分類、分離、方向転換及び切り替えなどの原材料取り扱いアプリケーションで、多用されている。斜め方向にしたアクスルの目的は、ローラに斜めの回転軸を提供することである。その他のモジュラーコンベヤベルトは、ヒンジピンに装填したローラを有しており、この主たる目的は、ヒンジ結合においてベルトモジュール列を互いに内部連結して、ベルトがスプロケットの周りで関節接合するようにすることである。ローラは、ロッドに沿ってベルトに形成された開口においてヒンジロッドに装填することができる。しかしながら、ヒンジロッドは、ベルト内でベルトの進行方向に対して垂直方向に存在するので、ロッド上のローラは、ベルトの進行方向にのみ回転する。これらのベルトは、製品を積み上げたり、加速するのには適しているが、方向転換したり、分類、分離、切り替えを行うことができない。なぜなら、ローラがベルトの進行方向にのみ回転するためである。
【発明の概要】
【0003】
上記の欠点、及びその他の欠点は、本発明の特徴を具体化したコンベヤベルトによって解決される。このようなコンベヤベルトの一バージョンは、ベルトの進行方向に垂直な方向にベルトに配置した、ヒンジロッドなどのロッドを具える。ロッドにはアクスルが装填されている。各アクスルは、ベルトの進行方向に対して斜めの中心軸を規定する筒状外側ベアリング面を有する。搬送面と反対側の面との間で、コンベヤベルトの厚さを通って開口が延在している。この開口は、これらの面の一方または両方に開いている。各開口を一方のロッドが横切っている。各アクスルにローラが装填されており、ベルトの進行方向に対して斜めの方向に外側ベアリング面上で回転する。
【0004】
コンベヤベルトのもう一つのバージョンは、一又はそれ以上のベルトモジュールでできた一連の列を具える。各列は、前端部及び後端部に沿って整列した開口を有する間をあけて配置されたヒンジエレメントを有する。一の列の前端部に沿っているヒンジエレメントは、前列の後端部に沿ったヒンジエレメントと交互に配置されて、ベルトの進行方向に直交する連続する列の間に横方向の通路を形成している。この横方向の通路で受けているヒンジロッドは、列をエンドレスベルトへ連結する。このヒンジエレメントは、各端部に沿って不均一にスペースを空けて配置されており、横方向に連続して交互配置され、ヒンジロッドが横切るヒンジエレメントの間に一又はそれ以上の大きな開口を提供する。この大きな開口に配置した各アクスルは、中心軸を規定する筒状外側ベアリング面を有する。この中心軸に斜めのアクスルを通るボアが、一のヒンジロッドを受けている。各アクスルにローラが装填されており、ベルトの進行方向に斜めに外側べアリング面上で回転する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明のこれらの特徴及び利点を、以下の説明、特許請求の範囲、添付の図面においてより詳細に説明する。
【図1】図1は、本発明の特徴を実施するコンベヤベルトの一部を示す平面図であり、ヒンジロッドに装填した斜めのローラアクスルを具える。
【図2】図2は、図1に示すコンベヤベルトの側面図である。
【図3】図3は、図1のコンベヤベルトにおける斜めのアクスルとローラで成るワンピースアクスルバージョンを示す分割平面図である。
【図4】図4は、図1のコンベヤベルトにおける斜めのアクスルとローラで成るツーピースアクスルバージョンを示す分解平面図である。
【図5】図5は、図3または4のアクスルとローラを示す斜視図である。
【図6】図6は、図1に示すコンベヤベルトで使用することができるローラ保持フランジを有する斜めのアクスルの別バージョンを示す平面図である。
【図7】図7は、アクスルに干渉構造を具えアクスルの回転を防止するようにした、本発明の特徴を実施するコンベヤベルトの別バージョンの一部を示す平面図である。
【図8】図8は、スリーブ付ボア延長部の端部において、キー構造に一致して受けるようにモジュールに適合させた溝を具え、本発明の特徴を実施するコンベヤベルトとアクスルの別バージョンを示す分解側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の特徴を実施するコンベヤベルトの一部が図1及び2に示されている。この例に示すコンベヤベルト10は、モジュラープラスチックコンベヤベルトであり、一又はそれ以上のベルトモジュール14でできた一連の列12A、12Bで構成されている。各列は、ベルトの進行方向20に対して、先端部と後端部18、19に、横方向にスペースを空けて配置されたヒンジエレメント16を具える。前列12Aの後端部に沿って設けたヒンジエレメントは、後列12Bの前端部に沿って設けたヒンジエレメントと交互に配置されている。交互に配置したヒンジエレメントを通る開口22は整列されており、連続する列と列との間に横方向の通路24を形成している。ロッド26を各通路で受けて列の間にヒンジジョイント28を形成しており、そこでベルトが関節接合する。ヒンジロッドはベルトの進行方向に直交して、ベルトのピッチを表わす距離Pだけ規則的にスペースを空けて配置されており、列を連結してエンドレスベルトとしてまとめている。
【0007】
図1に示すように、ヒンジエレメント16は列12の各端部に沿って不均一にスペースを空けて配置されており、横方向に連続的に交互配置されたヒンジエレメント間に大きな開口30を提供している。(この大きな開口は、隣接する交互配置されたヒンジエレメント間にギャップがある場合は、このギャップに比較して大きい。)この開口は、ヒンジロッド26が横切るように配置されている。この開口は、アクスル32を中心に回転するように装填されたローラ34を具えるローラアッセンブリ31を収納するのに十分に大きい。
【0008】
このアクスルは、図3に示すようにワンピースアクスル32’でも、図4に示すような2つの嵌合部分36、37を具えるツーピースアクスル32”でもよい。図5は、図3または図4に示すローラアッセンブリ31の斜視図である。アクスルは、筒状の外側ベアリング表面38を有し、その上でローラが回転する。筒状表面は、ベルトの進行方向に対して斜めになった中心軸40を規定している。各ローラは、ボア41を有しており、ローラの回転軸を規定するアクスル中心軸を有するアクスルの外側表面をこのボアが受けている。アクスルは、アクスルボア42で受けるヒンジロッドを装填しており、ヒンジロッドはベルトの進行方向に斜めにローラの回転軸を維持するべく斜角で中心軸と交差している。各端部でアクスルから外側へ突出しているスリーブ44は、ヒンジロッドを囲むボアの連続部分あるいは延長部分を形成している。
【0009】
図1及び2に示すように、コンベヤベルトは上側搬送面46から反対側の面47への厚さに延在している。ローラ34の径は、ベルトの厚さより大きいことが好ましい。ローラの突出部分は、ベルトの開口を過ぎて、搬送面及び反対側の面を超えて突出している。このようにして、ローラは上側搬送側で搬送物品を支持することができ、下のベアリング面に乗ってベルトが前進するとローラが回転して、ローラの上で搬送されている物品をベルトの進行方向に斜め方向48に推進する。
【0010】
ローラアッセンブリの別のバージョンが図6に示されている。ローラアッセンブリ50は、一方の端部にフランジ54を設けたアクスル52を有する。このフランジは、アクスルの外側ベアリング面38から偏心したディスク形状ショルダとして示されており、アクスル上のローラの移動を制限し、ローラが回転するときにローラの側部がこすれる低摩耗面を提供している。
【0011】
最良の結果として、アクスルがヒンジロッドに不動に固定されていることが好ましい。図1のアクスルは、例えば接着剤又は溶接によってロッドあるいはヒンジエレメントに固定することができる。しかしながら、図7は、アクスルを固定した状態に保持する代替のコンベヤベルト56を示している。ベルト内に形成された開口30へ延在しているのは、開口との境界をつけている平坦側部60を有するタブ58である。このタブは、分離形成してベルトに連結したピースであっても良く、あるいはベルトモジュールに一体成型したものであっても良い。アクスル62は、図1又は図6に示すアクスル32と同様であるが、一の端部に平坦面66がある干渉構造64を有しており、各開口内のヒンジロッド26に装填されている。アクスルの干渉構造が、タブを干渉してアクスルの回転を防止している。タブの平坦側とアクスルの平坦面との隣接部が、アクスルを安定位置に保持している。
【0012】
別の干渉構造が図8に示されている。この例では、各アクスル68が外側面が矩形のスリーブ70を有しており、ボア42の周りで外側に延在するキー構造を形成している。このキー構造は、ヒンジロッド26の周囲のコンベヤベルトモジュール74に形成された相補キー溝72に合致する。このように、アクスルはヒンジロッド上で回転しないようになっている。
【0013】
いくつかの好ましいバージョンを参照して本発明を説明したが、その他のバージョンも可能である。例えば、アクスルは、ヒンジロッド上に装填するように示されているが、ベルトに支持されているロッドまたはピンの上に装填することもできる。別の例としては、図8の矩形キー構造は、アクスルの回転を防ぐものであればどのような形状でも良い。このように、これらの例は、特許請求の範囲の範囲が詳述した好ましいバージョンに限定されるものではないことを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトにおいて:
ベルトの進行方向に直交してベルトに配置した複数のロッドと;
前記ロッドに装填した複数のアクスルであり、各アクスルが前記ベルトの進行方向に斜めの中心軸を規定する筒状外側ベアリング表面を有する、アクスルと;
前記コンベヤベルトの厚さにわたる、搬送面及び反対側の面と、前記コンベヤベルトの厚さを通り、前記搬送面及び反対側の面の少なくとも一方に開いている複数の開口であって、各開口を前記ロッドの一つが横切っている、開口と;
複数のローラであって、各々が前記ベルトの進行方向に斜めの方向において前記アクスルの一つに装填されて、前記外側ベアリング面の上で回転するローラと;
を具えることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、前記アクスルが端部において、前記開口において前記コンベヤベルトを干渉して前記アクスルが前記ロッド上で回転しないようにする干渉構造を端部に有することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項3】
請求項2に記載のコンベヤベルトにおいて、前記アクスルの干渉構造が平坦面を具え、前記コンベヤベルトが前記平坦面と係合して前記ロッド上で前記アクスルが回転しないようにする平坦側部を有するタブを具えることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項4】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、前記ローラが前記ベルトの搬送面及び反対側の面を超えて外側に突出していることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項5】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、前記アクスルがそれぞれ前記中心軸に斜めになったボアを有し、前記ロッドの一つを受けていることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項6】
請求項5に記載のコンベヤベルトにおいて、前記アクスルが、当該アクスルから外側に突出するスリーブを有し、各端部において前記ボアの連続部分を形成していることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項7】
請求項6に記載のコンベヤベルトが更に、前記ロッドと前記開口の周りの前記コンベヤベルトに形成した前記開口のキー溝を具え、前記スリーブが当該キー溝と合致してロッド上でのアクスルの回転を防ぐようにするキー構造を有することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項8】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、前記ロッドが、前記コンベヤベルトの幅に亘って延在し、前記コンベヤベルトが関節接合するヒンジジョイントを形成している、均一にスペースを空けて配置されたヒンジロッドであることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項9】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、前記アクスルが一方の端部にフランジを有することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項10】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、前記アクスルが二つの合体部分を具えることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項11】
コンベヤベルトにおいて:
一又はそれ以上のベルトモジュールでできた一連の列であって、各列がスペースを空けて配置されたヒンジエレメントを有し、当該エレメントは前端部と後端部に沿って整列した開口を有し、前列の後端部に沿って設けたヒンジエレメントと後列の前端部に沿って設けたヒンジエレメントが交互に配置されており、ベルトの進行方向に直交する連続する列間に横方向に通路を形成する列と;
エンドレスベルトに前記列を連結する前記横方向の通路で受けている複数のヒンジロッドと;
前記ヒンジエレメントは前記列の各端部に沿って不均一にスペースを空けて配置されており、横方向に連続して相互配置されたヒンジエレメント間に、前記ヒンジロッドが横切る一又はそれ以上の大きな開口を提供しており;
前記大きな開口に配置した複数のアクスルであって、各アクスルが中心軸を規定する筒状外側ベアリング表面と、前記中心軸に斜めになったボアを有し、当該ボアが前記ヒンジロッドの一つを受けている、複数のアクスルと;
前記アクスルの一つに装填されてベルトの進行方向に対して斜めの方向に、前記外側ベアリング面上で回転する複数のローラと;
を具えていることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項12】
請求項11に記載のコンベヤベルトにおいて、前記アクスルが一方の端部にフランジを具え、当該アクスルの中心軸に沿ってローラの移動を制限することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項13】
請求項11に記載のコンベヤベルトにおいて、前記アクスルが、当該アクスルから外側に突出しており、各端部において前記ボアの連続部分を形成するスリーブを有することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項14】
請求項13に記載のコンベヤベルトが更に、前記通路の周囲の開口と境界をつけて、当該開口に開いているヒンジエレメントの側部に形成されたキー溝を具え、前記スリーブが、当該キー溝に結合して前記ロッド上でアクスルが回転しないようにするキー構造を有する、ことを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項15】
請求項11に記載のコンベヤベルトにおいて、前記アクスルが一方の端部に平坦面を具え、前記ベルトモジュールが、前記ロッドの上で前記アクスルが回転しないようにする前記平坦面と係合する開口に突出している平坦面を有するタブを具えることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項16】
請求項11に記載のコンベヤベルトにおいて、前記アクスルが二つの合体部分を具えることを特徴とするコンベヤベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−501937(P2012−501937A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526895(P2011−526895)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/054446
【国際公開番号】WO2010/030481
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】