説明

水平搬送式の電解メッキ処理装置

【課題】 横幅サイズが異なる板状被処理物の搬送通路の横幅間隔の変更に合わせて上部の陽極と上部の噴流吐出管を好ましい配設位置に変更できる水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。
【解決手段】 相対する固定陽極31と可動陽極32を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設し、この固定陽極と可動陽極から成る上部の陽極30を水平搬送される板状被処理物Pの横幅に合わせて配置できるようにした。同様に、相対する固定吐出管41と可動吐出管42を水平方向にずらして配設し、この固定吐出管と可動吐出管から成る上部の噴流吐出管40を水平搬送される板状被処理物Pの横幅に合わせて配置できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板などの板状被処理物を処理液中に配設した上下の陽極の間を水平に連続搬送させて電解メッキ処理する水平連続メッキ装置であり、特に薄物板やフレキシブル板を電解メッキ処理する場合に特に有用な水平連続メッキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の水平連続メッキ装置としては、特許文献1の板状物体の電解処理装置が公知である。この電解処理装置は、板状物体が水平状態で電解室に供給され、一定滞留時間該電解室を連続的に通過し、電解処理後に電解室から再び搬出される、板状物体上に金属を電着する装置であり、板状物体を電解室を通して運搬するための搬送装置が、搬送域中で板状物体の側縁を挟持して搬送方向に移動する、エンドレスに回転して駆動される個々のクランプの列として構成され、電解室内にある板状物体の搬送路の始端と終端には、クランプによる板状物体の挟持および開放を惹起する装置が設けられている。そして、この装置には、前記電解室内の電解浴中に上部陽極(上部アノード)と下部陽極(下部アノード)が定置に設けられている。さらに、この装置には板状物体の搬送路の上下位置に電解液供給管が定置に設けられている。
【0003】
この特許文献1の第1図には、通過する板状物体を両側で挟持する装置が示され、非常に薄い板状物体を処理する場合に必要である、と記載されている。しかし、この文献1には、板状物体を両側で挟持することについての、その他の説明は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−31476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリント配線基板などの板状被処理物を水平搬送しながら表面処理する装置において、板状被処理物が薄物板やフレキシブル板の場合には、エンドレスに回転駆動されるクランプ群から成る搬送装置を板状被処理物の搬送通路を間にした左右両側に配設し、左右両側に配設した搬送装置のクランプ群で板状被処理物の両側端部を保持して搬送する装置が必要であり、本発明者は、横幅サイズが異なる板状被処理物を表面処理する場合には、横幅サイズが異なる板状被処理物に合わせて左右両側に配設した搬送装置のクランプ群の横幅間隔(被処理物の搬送通路の横幅間隔)を調節可能な装置を開発し、提案(特願2009−187455)してある。
【0006】
ところが、広い横幅サイズの板状被処理物に合わせて広い横幅サイズの上部陽極を定置した場合、この装置で狭い横幅サイズの板状被処理物に合わせて該被処理物の搬送通路の横幅間隔を狭めると、エンドレスに回転駆動される左右両側のクランプ群の間に配設される上部陽極の存在が障害となる。このため、最小横幅サイズの板状被処理物に合わせて狭い横幅サイズの上部陽極を配置せざるを得ない。しかし、最小横幅サイズの板状被処理物に合わせて狭い横幅サイズの上部陽極を定置した場合は、広い横幅サイズの板状被処理物の横幅に対して上部陽極を均等に配置することができない問題が発生した。このようなことから、本発明が解決しようとする課題(第一の課題)は、横幅サイズが異なる板状被処理物に合わせて該被処理物の搬送通路の横幅間隔を調節可能な構成とすると共に、この板状被処理物の搬送通路の横幅間隔の変更に合わせて上部陽極を好ましい配設位置に変更できる水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、同様に、広い横幅サイズの板状被処理物に合わせて横幅方向に長い管長さの上部の噴流吐出管を定置した場合、この装置で狭い横幅サイズの板状被処理物に合わせて該被処理物の搬送通路の横幅間隔を狭めると、エンドレスに回転駆動される左右両側のクランプ群の間に定置した上部の噴流吐出管の存在が障害となる。このため、最小横幅サイズの板状被処理物に合わせて横幅方向に短い管長さの上部の噴流吐出管を配置せざるを得ない。しかし、最小横幅サイズの板状被処理物に合わせて横幅方向に短い管長さの上部の噴流吐出管を定置した場合は、広い横幅サイズの板状被処理物の板面(基板面)に対して上部の噴流吐出管の吐出ノズル位置を均等に配設できない問題が発生した。このようなことから、本発明が解決しようとする課題(第二の課題)は、横幅サイズが異なる板状被処理物に合わせて該被処理物の搬送通路の横幅間隔を調節可能な構成とすると共に、この板状被処理物の搬送通路の横幅間隔の変更に合わせて上部の噴流吐出管の吐出ノズル位置を好ましい配設位置に変更できる水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、エンドレスに回転駆動され左右両側のクランプ群で板状被処理物の両側端部を保持して水平搬送する装置では、左右両側のクランプ群の回転駆動を同期させることが必要である。しかし、エンドレスに回転駆動され左右両側のクランプ群の回転駆動を別々の回転駆動モータによる別駆動とした場合、両者の回転駆動を同期させることは技術的に難しく、エンドレスに回転駆動され左右両側のクランプ群に回転駆動のズレすなわち水平移動(水平搬送)のズレが発生するおそれがある。このようなことから、本発明が解決しようとする課題(第三の課題)は、エンドレスに回転駆動され左右両側のクランプ群に回転駆動のズレすなわち搬送移動のズレを防止できる回転駆動機構を提供しようとするものである。しかも、この搬送移動のズレ防止を板状被処理物の搬送通路の横幅間隔の可変条件下で達成できる水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題(第一の課題)を解決するため、本発明(請求項1の発明)は、平行な両側縁部をもつ板状被処理物(例えばプリント配線基板)の両側縁部をエンドレスに回転駆動される複数のクランプで保持し、処理槽の処理液中を板状被処理物の板面が上下になる水平姿勢で連続搬送する搬送装置と、前記処理槽の処理液中に配設され、前記搬送装置で水平搬送される板状被処理物の搬送通路の上下位置に該被処理物の板面と平行に配設され、かつ該被処理物の搬送方向に一定の間隔をおいて複数配設されたプレート状の陽極(アノード)を備え、この上下の陽極の間を前記クランプを通じて陰極電流(カソード電流)を給電された前記被処理物が水平に通過されることによって、前記被処理物の表面に電解メッキ処理を施す装置であり、前記搬送装置が、前記被処理物の搬送通路を間にした両側に設けた第1搬送装置と第2搬送装置によって構成され、この第1と第2の搬送装置は、前記搬送通路に沿う直線搬送駆動部をもつエンドレスに回転駆動される搬送駆動手段をそれぞれ備え、この搬送駆動手段に等間隔を置いて多数の前記クランプを取付けてあり、前記クランプは水平状態の前記被処理物の側端部を上下方向において保持及び開放するクランプ部を下端部に備え、各搬送駆動手段は、同期した速度で回転駆動され、各搬送駆動手段の前記直線搬送駆動部にあるクランプ群の各クランプ部における各搬送駆動ラインを互いに平行で且つ前記搬送通路を間にして離間させた横幅間隔を有しており、各搬送駆動ラインの横幅間隔を処理槽における被処理物の搬送通路の横幅間隔として構成した電解メッキ処理装置において、前記第1搬送装置の前記搬送駆動ラインを搬送基準ラインとして設定し、この搬送基準ラインに対して前記第2搬送装置の前記搬送駆動ラインを互いに平行な状態において前記搬送通路の横幅間隔が狭められる方向又は広げられる方向の位置に配置させるべく、前記第2搬送装置を前記第1搬送装置に向け前記搬送通路の横幅方向(被処理物の搬送方向と直交する方向に)に進退移動し得るように構成した、各搬送装置の前記搬送駆動ラインの横幅間隔を調節し得る横幅間隔調整装置を設け、前記板状被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記陽極(アノード)をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した固定陽極(固定アノード)と前記第2搬送装置側に配設した可動陽極(可動アノード)とに分けて構成し、この可動陽極を前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第2搬送装置側に取付け、前記横幅間隔調整装置によって前記搬送通路の横幅間隔が狭められた状態において、相対する前記固定陽極と前記可動陽極を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。
【0010】
本発明(請求項1の発明)によれば、搬送通路の横幅間隔を水平搬送される板状被処理物の横幅サイズに合わせて広く又は狭く調整した場合でも、前記可動陽極が前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動し、相対する前記固定陽極と前記可動陽極を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設してあるため、固定陽極と可動陽極から成る上部陽極の横幅サイズを水平搬送される板状被処理物の横幅サイズに合わせて調整できると共に、横幅の異なる板状被処理物に対して上部陽極を均等に配置できる。
【0011】
また、上記した課題(第二の課題)を解決するため、本発明(請求項2の発明)は、平行な両側縁部をもつ板状被処理物(例えばプリント配線基板)の両側縁部をエンドレスに回転駆動される複数のクランプで保持し、処理槽の処理液中を板状被処理物の板面が上下になる水平姿勢で連続搬送する搬送装置と、前記処理槽の処理液中に配設され、前記搬送装置で水平搬送される板状被処理物の搬送通路の上下位置に該被処理物の板面と平行に配設され、かつ該被処理物の搬送方向に一定の空間部をおいて複数配設されたプレート状の陽極(アノード)と、前記被処理物の搬送通路の上位置又は上下位置における前記陽極間の前記空間部に配設され、前記被処理物の搬送方向と交差する方向に一定の間隔をおいて処理液を前記被処理物の板面に向けて吐出する多数の吐出ノズルを形成した噴流吐出管を備え、前記上下の陽極の間を前記クランプを通じて陰極電流(カソード電流)を給電された前記被処理物が水平に通過されることによって、前記被処理物の表面に電解メッキ処理を施す装置であり、前記搬送装置が、前記被処理物の搬送通路を間にした両側に設けた第1搬送装置と第2搬送装置によって構成され、この第1と第2の搬送装置は、前記搬送通路に沿う直線搬送駆動部をもつエンドレスに回転駆動される搬送駆動手段をそれぞれ備え、この搬送駆動手段に等間隔を置いて多数の前記クランプを取付けてあり、前記クランプは水平状態の前記被処理物の側端部を上下方向において保持及び開放するクランプ部を下端部に備え、各搬送駆動手段は、同期した速度で回転駆動され、各搬送駆動手段の前記直線搬送駆動部にあるクランプ群の各クランプ部における各搬送駆動ラインを互いに平行で且つ前記搬送通路を間にして離間させた横幅間隔を有しており、各搬送駆動ラインの横幅間隔を処理槽における被処理物の搬送通路の横幅間隔として構成した電解メッキ処理装置において、前記第1搬送装置の前記搬送駆動ラインを搬送基準ラインとして設定し、この搬送基準ラインに対して前記第2搬送装置の前記搬送駆動ラインを互いに平行な状態において前記搬送通路の横幅間隔が狭められる方向又は広げられる方向の位置に配置させるべく、前記第2搬送装置を前記第1搬送装置に向け前記搬送通路の横幅方向(被処理物の搬送方向と直交する方向に)に進退移動し得るように構成した、各搬送装置の前記搬送駆動ラインの横幅間隔を調節し得る横幅間隔調整装置を設け、前記板状被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記陽極(アノード)をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した固定陽極(固定アノード)と前記第2搬送装置側に配設した可動陽極(可動アノード)とに分けて構成し、この可動陽極を前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第2搬送装置側に取付け、前記横幅間隔調整装置によって前記搬送通路の横幅間隔が狭められた状態において、相対する前記固定陽極と前記可動陽極を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設し、さらに、前記被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記噴流吐出管をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した固定吐出管と前記第2搬送装置側に配設した可動吐出管とに分けて構成し、この可動吐出管を前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第2搬送装置側に配設し、相対する前記固定吐出管と前記可動吐出管を前記被処理物の搬送方向に水平にずらして配設したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。
【0012】
本発明(請求項2の発明)によれば、前記発明(請求項1の発明)の効果に加え、搬送通路の横幅間隔を水平搬送される板状被処理物の横幅サイズに合わせて広く又は狭く調整した場合でも、前記可動吐出管が前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動し、相対する前記固定吐出管と前記可動吐出管を前記被処理物の搬送方向に水平にずらして配設してあるため、固定吐出管と前記可動吐出管から成る上部の噴流吐出管の管長さを水平搬送される板状被処理物の横幅サイズに合わせて調整できると共に、横幅の異なる板状被処理物の板面に対して多数の吐出ノズルの位置を均等に配置でき、横幅の異なる板状被処理物の板面に向け処理液を均等に吐出できる。
【0013】
また、上記した課題(第三の課題)を解決するため、本発明(請求項3の発明)は、前記第1搬送装置と前記第2搬送装置における両方の搬送駆動手段の搬送駆動源を単独の搬送駆動用モータとし、このモータの上下方向に延びる回転駆動軸に軸着した平歯車と、この回転駆動軸と平行に配設した回転従動軸に軸着した平歯車の歯合によって、この平行な2軸に互いに逆回転する等しい回転を与え、前記回転駆動軸に軸着した溝付きローラと前記第1搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの間に歯付きベルトを掛架し、前記回転従動軸に軸着した溝付きローラと前記第2搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの間に歯付きベルトを掛架し、前記横幅間隔調整装置によって横幅方向に移動される前記第2搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの移動位置に対して前記回転従動軸に軸着した溝付きローラの配設位置をいずれも等距離となる一定位置とし、よって、前記第1搬送装置と前記第2搬送装置における両方の搬送駆動手段が単独の搬送駆動用モータによって同期した速度で互いに逆回転駆動されるように構成したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。
【0014】
本発明(請求項3の発明)によれば、エンドレスに回転駆動され左右両側のクランプ群の回転駆動のズレを防止でき、左右両側のクランプ群によって板状被処理物の両側端部を同期的に保持して水平搬送できる。しかも、本発明によれば、この搬送移動のズレ防止を板状被処理物の搬送通路の横幅間隔の可変条件下で達成できる。
【0015】
また、前記した本発明(請求項1、2、3のいずれかに記載の発明)において、前記横幅間隔調整装置が、前記第2搬送装置の全体を横幅方向に進退移動可能に案内し得る、横幅方向に延ばされ且つ搬送方向に間隔を置いて架設された複数の横幅方向移動案内レールを含む横幅方向移動案内手段と、この横幅方向移動案内手段によって横幅方向に移動可能とされた前記第2搬送装置を前記横幅方向移動案内レールに沿って横幅方向に進退駆動可能とする横幅調整用モータを駆動源とする横幅方向駆動手段とから構成されている水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。また、前記横幅方向駆動手段が、前記横幅調整用モータを正逆の回動駆動源として回動自在に軸支された回動軸と、この回動軸に固定されて横幅方向に回動するレバー部材と、このレバー部材の動作部を前記第2搬送装置側に連結する連結部材を備え、このレバー部材の横幅方向への回動に連動して前記第2搬送装置を前記横幅方向移動案内レールに沿って横幅方向に進退駆動し得るようにした水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。
【0016】
また、上記した課題(第一の課題)を解決するため、本発明(請求項4の発明)は、平行な両側縁部をもつ板状被処理物(例えばプリント配線基板)の両側縁部をエンドレスに回転駆動される複数のクランプで保持し、処理槽の処理液中を板状被処理物の板面が上下になる水平姿勢で連続搬送する搬送装置と、前記処理槽の処理液中に配設され、前記搬送装置で水平搬送される板状被処理物の搬送通路の上下位置に該被処理物の板面と平行に配設され、かつ該被処理物の搬送方向に一定の間隔をおいて複数配設されたプレート状の陽極(アノード)を備え、この上下の陽極の間を前記クランプを通じて陰極電流(カソード電流)を給電された前記被処理物が水平に通過されることによって、前記被処理物の表面に電解メッキ処理を施す装置であり、前記搬送装置が、前記被処理物の搬送通路を間にした両側に設けた第1搬送装置と第2搬送装置によって構成され、この第1と第2の搬送装置は、前記搬送通路に沿う直線搬送駆動部をもつエンドレスに回転駆動される搬送駆動手段をそれぞれ備え、この搬送駆動手段に等間隔を置いて多数の前記クランプを取付けてあり、前記クランプは水平状態の前記被処理物の側端部を上下方向において保持及び開放するクランプ接点部を下端部に備え、各搬送駆動手段は、同期した速度で回転駆動され、各搬送駆動手段の前記直線搬送駆動部にあるクランプ群の各クランプ部における各搬送駆動ラインを互いに平行で且つ前記搬送通路を間にして離間させた横幅間隔を有しており、各搬送駆動ラインの横幅間隔を処理槽における被処理物の搬送通路の横幅間隔として構成した電解メッキ処理装置において、各搬送駆動ラインの横幅間隔の中心位置における該搬送駆動ラインと平行な中心ラインを搬送基準ラインとして設定し、この搬送基準ラインに対して各搬送駆動ラインを互いに平行な状態において前記搬送通路の横幅間隔が狭められる方向又は広げられる方向の位置に互いに均等な横幅間隔をおいて配置させるべく、各搬送装置を、前記搬送基準ラインに向け前記搬送通路の横幅方向(被処理物の搬送方向と直交する方向に)に進退移動し得るように構成した、各搬送装置の前記搬送駆動ラインの横幅間隔を調節し得る横幅間隔調整装置を設け、前記板状被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記陽極をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した第1側陽極と前記第2搬送装置側に配設した第2側陽極とに分けて構成し、この第1側と第2側の各陽極を前記横幅間隔調整装置による第1と第2の各搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第1と第2の各搬送装置側にそれぞれ取付け、前記横幅間隔調整装置によって前記搬送通路の横幅間隔が狭められた状態において、相対する第1側と第2側の各陽極を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。
【0017】
また、上記した課題(第二の課題)を解決するため、本発明(請求項5の発明)は、平行な両側縁部をもつ板状被処理物(例えばプリント配線基板)の両側縁部をエンドレスに回転駆動される複数のクランプで保持し、処理槽の処理液中を板状被処理物の板面が上下になる水平姿勢で連続搬送する搬送装置と、前記処理槽の処理液中に配設され、前記搬送装置で水平搬送される板状被処理物の搬送通路の上下位置に該被処理物の板面と平行に配設され、かつ該被処理物の搬送方向に一定の空間部をおいて複数配設されたプレート状の陽極(アノード)と、前記被処理物の搬送通路の上位置又は上下位置における前記陽極間の前記空間部に配設され、前記被処理物の搬送方向と交差する方向に一定の間隔をおいて処理液を前記被処理物の板面に向けて吐出する多数の吐出ノズルを形成した噴流吐出管を備え、前記上下の陽極の間を前記クランプを通じて陰極電流(カソード電流)を給電された前記被処理物が水平に通過されることによって、前記被処理物の表面に電解メッキ処理を施す装置であり、前記搬送装置が、前記被処理物の搬送通路を間にした両側に設けた第1搬送装置と第2搬送装置によって構成され、この第1と第2の搬送装置は、前記搬送通路に沿う直線搬送駆動部をもつエンドレスに回転駆動される搬送駆動手段をそれぞれ備え、この搬送駆動手段に等間隔を置いて多数の前記クランプを取付けてあり、前記クランプは水平状態の前記被処理物の側端部を上下方向において保持及び開放するクランプ接点部を下端部に備え、各搬送駆動手段は、同期した速度で回転駆動され、各搬送駆動手段の前記直線搬送駆動部にあるクランプ群の各クランプ部における各搬送駆動ラインを互いに平行で且つ前記搬送通路を間にして離間させた横幅間隔を有しており、各搬送駆動ラインの横幅間隔を処理槽における被処理物の搬送通路の横幅間隔として構成した電解メッキ処理装置において、各搬送駆動ラインの横幅間隔の中心位置における該搬送駆動ラインと平行な中心ラインを搬送基準ラインとして設定し、この搬送基準ラインに対して各搬送駆動ラインを互いに平行な状態において前記搬送通路の横幅間隔が狭められる方向又は広げられる方向の位置に互いに均等な横幅間隔をおいて配置させるべく、各搬送装置を、前記搬送基準ラインに向け前記搬送通路の横幅方向(被処理物の搬送方向と直交する方向に)に進退移動し得るように構成した、各搬送装置の前記搬送駆動ラインの横幅間隔を調節し得る横幅間隔調整装置を設け、前記板状被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記陽極をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した第1側陽極と前記第2搬送装置側に配設した第2側陽極とに分けて構成し、この第1側と第2側の各陽極を前記横幅間隔調整装置による第1と第2の各搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第1と第2の各搬送装置側にそれぞれ取付け、前記横幅間隔調整装置によって前記搬送通路の横幅間隔が狭められた状態において、相対する第1側と第2側の各陽極を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設し、さらに、前記被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記噴流吐出管をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した第1側吐出管と前記第2搬送装置側に配設した第2側吐出管とに分けて構成し、この第1側と第2側の各吐出管を前記横幅間隔調整装置による第1と第2の各搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第1と第2の各搬送装置側にそれぞれ配設し、相対する第1側と第2側の各吐出管を被処理物の搬送方向に水平にずらして配設したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。
【0018】
また、上記した課題(第三の課題)を解決するため、本発明(請求項6の発明)は、前記第1搬送装置と前記第2搬送装置における両方の搬送駆動手段の搬送駆動源を単独の搬送駆動用モータとし、このモータの上下方向に延びる回転駆動軸に軸着した平歯車と、この回転駆動軸と平行に配設した回転従動軸に軸着した平歯車の歯合によって、この平行な2軸に互いに逆回転する等しい回転を与え、前記回転駆動軸に軸着した溝付きローラと前記第1搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの間に歯付きベルトを掛架し、前記回転従動軸に軸着した溝付きローラと前記第2搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの間に歯付きベルトを掛架し、前記横幅間隔調整装置によって横幅方向に移動される前記第1搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの移動位置に対して前記回転駆動軸に軸着した溝付きローラの配設位置をいずれも等距離となる一定位置とすると共に、前記横幅間隔調整装置によって横幅方向に移動される前記第2搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの移動位置に対して前記回転従動軸に軸着した溝付きローラの配設位置をいずれも等距離となる一定位置とし、よって、前記第1搬送装置と前記第2搬送装置における両方の搬送駆動手段が単独の搬送駆動用モータによって同期した速度で互いに逆回転駆動されるように構成したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。
【0019】
また、前記した本発明(請求項4、5、6のいずれかに記載の発明)において、前記横幅間隔調整装置が、各搬送装置を横幅方向に進退移動可能に案内し得る、横幅方向に延ばされ且つ搬送方向に間隔を置いて架設された複数の横幅方向移動案内レールを含む横幅方向移動案内手段と、この横幅方向移動案内手段によって横幅方向に移動可能とされた前記各搬送装置を前記横幅方向移動案内レールに沿って横幅方向に進退駆動可能とする各搬送装置用の横幅調整用モータをそれぞれ駆動源とする横幅方向駆動手段とから構成されている水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。また、前記横幅方向駆動手段が、前記各搬送装置用の前記横幅調整用モータを正逆の回転駆動源としてそれぞれ回動自在に軸支された回動軸と、この回動軸に固定されて横幅方向に回動するレバー部材と、このレバー部材の動作部を前記各搬送装置側にそれぞれ連結する連結部材を備え、このレバー部材の横幅方向への回動に連動して前記各搬送装置を前記横幅方向移動案内レールに沿って横幅方向に進退駆動し得るようにした水平搬送式の電解メッキ処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明(請求項1、4の発明)によれば、搬送通路の横幅間隔を水平搬送される板状被処理物の横幅サイズに合わせて広く又は狭く調整した場合でも、上部陽極の横幅サイズを水平搬送される板状被処理物の横幅サイズに合わせて調整できると共に、横幅の異なる板状被処理物に対して上部陽極を均等に配置できる。よって、第一の課題を解決できる。
【0021】
また、本発明(請求項2、5の発明)によれば、搬送通路の横幅間隔を水平搬送される板状被処理物の横幅サイズに合わせて広く又は狭く調整した場合でも、上部の噴流吐出管の管長さを水平搬送される板状被処理物の横幅サイズに合わせて調整できると共に、横幅の異なる板状被処理物の板面に対して多数の吐出ノズルの位置を均等に配置でき、横幅の異なる板状被処理物の板面に向け処理液を均等に吐出できる。よって、第二の課題を解決できる。
【0022】
また、本発明(請求項3、6の発明)によれば、エンドレスに回転駆動され左右両側のクランプ群の回転駆動のズレを防止でき、左右両側のクランプ群によって板状被処理物の両側端部を同期的に保持して水平搬送できる。しかも、本発明によれば、この搬送移動のズレ防止を板状被処理物の搬送通路の横幅間隔の可変条件下で達成できる。よって、第三の課題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態を示す概略平面図である。
【図2】本発明の実施形態を示す概略側面図である。
【図3】本発明の実施形態の要部を拡大して示す概略平面図である。
【図4】本発明の実施形態の要部を拡大して示す概略正面図である。
【図5】本発明の実施形態の要部を拡大して示す概略平面図である。
【図6】本発明の実施形態の要部を拡大して示す概略側面図である。
【図7】クランプ開閉制御の実施例を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好ましい実施形態を図1〜図7に基づき説明する。図1〜図4は、平行な両側縁部をもつ板状被処理物P(例えばプリント配線基板であり、以下この板状被処理物を基板Pと言うことがある。)の両側縁部をエンドレスに回転駆動される複数のクランプ7で保持し、表面処理槽1の処理液E中を板状被処理物Pの板面が上下になる水平姿勢で矢印Aの方向に連続搬送する搬送装置(第1搬送装置5Aと第2搬送装置5B)と、前記処理槽1の処理液E中に配設され、前記搬送装置で水平搬送される板状被処理物Pの搬送通路3の上下位置に該被処理物Pの板面と平行に配設され、かつ該被処理物Pの搬送方向に一定の空間部Fをおいて複数配設されたプレート状の陽極30と、前記被処理物Pの搬送通路3の上位置又は上下位置における前記陽極30間の前記空間部Fに配設され、前記被処理物Pの搬送方向と直交する方向に一定の間隔をおいて処理液Eを前記被処理物Pの板面(基板面)に向けて吐出する多数の吐出ノズルを形成した噴流吐出管40を備え、処理槽の処理液中に金属イオンを析出する前記上下の陽極30,30の間を前記クランプ7を通じて陰極電流(カソード電流)を給電された前記被処理物Pが水平に通過されることによって、被処理物の表面に電気メッキ処理などの電解処理を施す装置を示している。
【0025】
図1は、板状被処理物Pが板面を上下にした水平状態で左側から表面処理槽1に供給され、該表面処理槽1を該水平状態で連続的に矢印Aの方向に搬送させて通過し、表面処理後に表面処理槽1から右方向へ搬出される、装置の概略平面図を示している。なお、水平状態の板状被処理物Pを表面処理槽1に搬入する横長の搬入口1a、水平状態の板状被処理物Pを表面処理槽から搬出する横長の搬出口1bには、この搬入口1aと搬出口1bに対応する処理槽1内側に上下二段のシールローラ(図示せず)を水平に配設し、処理液Eが搬入口1aと搬出口1bから漏れないようにシールされている。
【0026】
前記搬送装置は、板状被処理物Pを表面処理槽1の通過区間2(図1に矢印2で示した区間)に亘って水平状態で搬送するもので、表面処理槽1における被処理物Pの搬送通路3を間にした両側に設けた第1搬送装置5Aと第2搬送装置5Bによって構成されている。この第1搬送装置5Aと第2搬送装置5Bは、エンドレスに回転駆動される互いに平行な内側の直線駆動部6aと外側の直線駆動部6bをもつ搬送駆動手段6に、等間隔を置いて多数のクランプ7・・・を取付けて、構成されている。このクランプ7は前記被処理物Pの側端部を上下方向において保持及び開放するクランプ部(クランプ接点部)を下端部に備えている。被処理物Pの搬送通路3に沿う内側の直線駆動部6aは直線搬送駆動部(6a)として構成される。各搬送駆動手段6における前記直線搬送駆動部6a(内側の直線駆動部6a)の搬送方向の長さは前記通過区間2より少し長く構成してある。エンドレスに回転駆動される搬送駆動手段6は、ローラ8に掛架されてエンドレスに回転駆動される歯付駆動ベルト9であり、一方のローラ8(例えば、図1では搬出側のローラ8)を回転駆動させている。前記ローラ8には歯付駆動ベルト9に合う歯が設けられている。なお、一方のローラ8(例えば、図1では搬出側のローラ8)を回転駆動させる手段については図5,6に基づき後で詳しく述べる。
【0027】
第1搬送装置5Aと第2搬送装置5Bの各搬送駆動手段6,6は、同速度で矢印B方向に同期回転駆動され、各搬送駆動手段における前記直線搬送駆動部6a(内側の直線駆動部)にあるクランプ群7・・・の各クランプ部(クランプ接点部)における各搬送駆動ライン(第一搬送装置5Aの搬送駆動ラインをL1で示し、第2搬送装置5Bの搬送駆動ラインをL2で示した。)は、互いに平行で且つ互いのクランプ群7・・・は搬送通路3を間にした対称位置において回転駆動されるように成っている。各搬送駆動ラインL1,L2は、前記搬送通路3を間にして離間させた横幅間隔Wを有しており、この横幅間隔Wを表面処理槽1における被処理物Pの搬送通路3の横幅間隔として構成している。各搬送装置5A,5Bにおける前記搬送駆動ラインL1,L2にあるクランプ群7・・・で被処理物Pの両側縁部を同時に保持して、表面処理槽1の通過区間2に亘って被処理物を搬送方向に移動するように構成してある。搬送装置による被処理物の搬送速度は、1分当たり0.5m〜2mとしてあり、被処理物Pの表面処理条件によって可変としてある。
【0028】
エンドレスに回転駆動される搬送駆動手段6に等しい間隔を置いて取付けたクランプ群7・・・は、矩形の板状被処理物Pの場合は、少なくとも側縁の複数箇所を挟持できる間隔に取付けてある。なお、図1では、クランプ群7・・・を回転駆動経路における一部の範囲のみで表示したが、搬送駆動手段6の全範囲に亘り等間隔に取付けてある。
【0029】
前記第1搬送装置5A及び第2搬送装置5Bには、図2から解るように、内側の直線駆動部6a(前記直線搬送駆動部6a)にあるクランプ群7・・・の移動を案内する固定ガイドレール10を固定状態に備えている。この固定ガイドレール10の搬送方向における長さは表面処理槽1の前記通過区間2より少し長く構成してある。そして、本発明を、電気メッキ処理装置などの電解処理装置として用いる場合、内側の直線駆動部6a(前記直線搬送駆動部6a)にあるクランプ群7・・・の移動を案内する前記固定ガイドレール10を、前記クランプ7を介して搬送される被処理物に陰極の電流を給電する給電レールとして機能させている。なお、図2では省略したが、外側の直線駆動部6bにあるクランプ群7・・・の移動を案内する固定ガイドレールを固定状態に備えている。外側の直線駆動部6bにあるクランプ群7・・・の移動を案内する固定ガイドレールは、表面処理槽の左右両側に配置した剥離処理槽12内を通過する戻り経路にあるクランプ7に逆電流(陽極の電流)を給電する給電レールとして機能させ、クランプに付着した金属を戻り経路の剥離処理槽12内で剥離できるようにしている。
【0030】
前記第1搬送装置5A及び第2搬送装置5Bは、被処理物Pの搬送通路3(表面処理槽の通過区間2)の始端部2aを通過するクランプ7・・・を開放状態から被処理物Pの側縁部を掴持する保持状態に制御し、被処理物Pの搬送通路3(表面処理槽の通過区間2)の終端部2bを通過するクランプ7・・・を保持状態から開放状態に制御する、クランプ自動開閉制御手段をそれぞれ備えている。このクランプ自動開閉制御手段は、前記クランプ群7・・・の回転駆動経路に沿う、回転駆動方向における前記始端部2aの直前位置及び前記終端部2bの位置にそれぞれ固定的に配置したクランプ開閉ガイド60(図1に示した)と、エンドレスに回転駆動されるクランプ7が前記クランプ開閉ガイド60に係合されることによって行われる。このクランプ自動開閉制御手段については後で図7に基づき説明する。
【0031】
前記搬送駆動ラインL1,L2の横幅間隔を調節するための横幅間隔調整装置を設けてある。この横幅間隔調整装置によって、表面処理槽1における被処理物の搬送通路3の横幅間隔Wを調節できるようにしている。この横幅間隔調整装置として、図1〜図6の実施形態では、前記第1搬送装置5Aの前記搬送駆動ラインL1を搬送基準ラインとして設定し、この搬送基準ラインL1に対して第2搬送装置5Bの前記搬送駆動ラインL2を互いに平行な状態において前記搬送通路3の横幅間隔Wが狭められる方向又は広げられる方向の位置に配置させるべく、前記第2搬送装置5Bを前記第1搬送装置5Aに向け前記搬送通路3の横幅方向(被処理物Pの搬送方向Aと直交する方向)に進退駆動し得るように構成してある。すなわち、この実施形態では、一方の搬送装置(第2搬送装置5B)を横幅方向に進退駆動させて、第1搬送装置5Aと第2搬送装置5Bの各搬送駆動ラインL1,L2の横幅間隔Wを調節するようにしてある。
【0032】
図5,6から理解できるように、この横幅間隔調整装置は、前記第2搬送装置5Bの全体を横幅方向に進退移動可能に案内し得る、横幅方向に延ばされ且つ搬送方向に間隔を置いて架設された複数の横幅方向移動案内レール21を含む横幅方向移動案内手段20と、この横幅方向移動案内手段20によって横幅方向に移動可能とされた前記第2搬送装置5Bを前記横幅方向移動案内レール21に沿って横幅方向に進退駆動可能とする横幅調整用モータ26を駆動源とする横幅方向駆動手段25とから構成されている。前記第2搬送装置5Bを前記第1搬送装置5Aに向け進出駆動させれば、被処理物の搬送通路3の横幅間隔Wは狭まり、後退駆動させれば、被処理物の搬送通路3の横幅間隔Wは広まる。
【0033】
前記第2搬送装置5Bは、各横幅方向移動案内レール21に移動可能に保持されキャリア22(このキャリア22は図6から解るように横幅方向移動案内レール21の上下左右に配した複数の転動コロを介してレール21に保持されている。)に該第2搬送装置5Bの支持フレームを固定し、前記第2搬送装置5Bを横幅方向移動用ガイドレール21に沿って滑らかに移動し得るようにしてある。
【0034】
図5,6に示したように、前記横幅方向駆動手段25は、前記横幅調整用モータ26を正逆の回動駆動源として回動自在に軸支された回動軸27(この回動軸27は搬送方向に延ばされている。)と、この回動軸27に固定されて横幅方向に回動するレバー部材28と、このレバー部材28の動作部を前記第2搬送装置5B側の前記キャリア22に連結する連結部材29を備え、このレバー部材28の横幅方向への回動に連動して前記キャリア22(このキャリアに吊設した第2搬送装置)を前記横幅方向移動案内レール21に沿って横幅方向に進退駆動するようにしてある。
【0035】
なお、図示してないが、前記横幅方向駆動手段25は、前記横幅調整用モータ26と、該モータの正転又は逆転の回転駆動力を得て横幅方向に回転駆動される、前記キャリア22に対応してそれぞれ巻架した横幅方向移動ベルト(歯付ベルト)を備え、各横幅方向移動ベルト(歯付ベルト)の横幅方向駆動に連動させて前記第2搬送装置5Bを前記横幅方向移動案内レール21に沿って横幅方向に進退駆動するようにしても良い。
【0036】
図面の実施形態の横幅間隔調整装置では、表面処理槽1に供給される平行な両側縁をもつ板状の被処理物Pの一側縁を基準供給ラインとし、この基準供給ラインと第1搬送装置5Aにおける前記搬送駆動ラインL1(基準搬送駆動ライン)を合わせて設定し、横幅サイズの異なる被処理物Pの他側縁の変更供給ラインに合わせて、第2搬送装置5Bにおける前記搬送駆動ラインL2(可変搬送駆動ライン)を調節できるようにしてあるため、横幅サイズの異なる板状被処理物Pであっても、その両側縁部を的確に保持して水平状態で連続的に搬送しながら表面処理できる。
【0037】
前記したように、この電解メッキ処理装置は、前記搬送装置で水平搬送される板状被処理物Pの搬送通路3の上下位置に該被処理物の板面と平行に配設され、かつ該被処理物の搬送方向に一定の空間部Fをおいて複数配設されたプレート状の陽極30と、前記被処理物Pの搬送通路3の上下位置における前記陽極30間の前記空間部Fは配設され、前記被処理物Pの搬送方向と直交する方向に一定の間隔をおいて処理液を前記被処理物Pの板面(基板面)に向けて吐出する多数の吐出ノズルを形成した噴流吐出管40を備えている。
【0038】
ところが、横幅サイズの異なる板状被処理物Pに合わせて左右両側に配設した搬送装置(第1搬送装置5A、第2搬送装置5B)のクランプ7群の横幅間隔Wを調整するため、例えば、図示の実施形態のように、一方の搬送装置(第2搬送装置5B)のクランプ7群を横幅方向に移動可能に構成した場合、横幅方向に移動可能なクランプ7群の横幅方向への可動範囲を空けて上部陽極30を配設することになり、板状被処理物Pの他方の側端部を保持して搬送する固定側のクランプ7群側に上部陽極30が片寄って配設されてしまい、左右両側の搬送装置(第1搬送装置5A、第2搬送装置5B)のクランプ7群で両側端部を保持されて水平搬送される板状被処理物Pの横幅に対して上部陽極30面を均等に配設できない問題が発生した。
【0039】
同様に、横幅サイズの異なる板状被処理物Pに合わせて左右両側に配設した搬送装置(第1搬送装置5A、第2搬送装置5B)のクランプ7群の横幅間隔Wを調整するため、例えば、図示の実施形態のように、一方の搬送装置(第2搬送装置5B)のクランプ7群を横幅方向に移動可能に構成した場合、横幅方向に移動可能なクランプ7群の横幅方向への可動範囲を空けて上部の噴流吐出管40を配設することになり、板状被処理物Pの他方の側端部を保持して搬送する固定側のクランプ7群側に上部の噴流吐出管40が片寄って配設されてしまい、左右両側の搬送装置(第1搬送装置5A、第2搬送装置5B)のクランプ7群で両側端部を保持されて水平搬送される板状被処理物Pの横幅に対して上部の噴流吐出管40の吐出ノズル位置を均等に配設できない問題が発生した。
【0040】
この問題を解決するため、本発明では、図1〜図4の実施形態に示したように、前記板状被処理物Pの搬送通路3の上方に配設した複数の前記陽極(上部陽極)30をそれぞれ前記第1搬送装置5A側に配設した固定陽極(固定アノード)31と前記第2搬送装置5B側に配設した可動陽極(可動アノード)32とに分けて構成し、この可動陽極(可動アノード)32を前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置5Bの横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第2搬送装置5B側に取付け、前記横幅間隔調整装置によって前記搬送通路3の横幅間隔Wが狭められた状態において、相対する前記固定陽極31と前記可動陽極32が互いの先端部側においてスライドしてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設した。なお、図2,図3において、固定陽極31の先端部を符号31aで、可動陽極32の先端部を符号32aで示した。
【0041】
本発明によれば、搬送通路3の横幅間隔Wを水平搬送される板状被処理物Pの横幅サイズに合わせて広く又は狭く調整した場合でも、前記可動陽極32が前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置5Bの横幅方向移動と連動して横幅方向に移動し、相対する前記固定陽極31と前記可動陽極32を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設してあるため、固定陽極31と可動陽極32から成る上部陽極30の横幅サイズを水平搬送される板状被処理物Pの横幅サイズに合わせて調整できると共に、横幅の異なる板状被処理物Pに対して上部陽極30を均等に配置できる。
【0042】
同様に、この問題を解決するため、本発明では、図1〜図4の実施形態に示したように、前記被処理物Pの搬送通路3の上方に配設した複数の前記噴流吐出管(上部噴流吐出管)40をそれぞれ前記第1搬送装置5A側に配設した固定吐出管41と前記第2搬送装置5B側に配設した可動吐出管42とに分けて構成した。この固定吐出管41と可動吐出管42は、基板Pの搬送方向に対してほぼ直交する方向にそれぞれ管路を延ばし、この管路には、基板Pの搬送方向と直交する方向に一定の間隔をおいて処理液を基板面に向けて吐出する多数の吐出ノズル(図示せず)を形成してある。そして、前記可動吐出管42を前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置5Bの横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第2搬送装置5B側に配設し、相対する前記固定吐出管41と前記可動吐出管42を前記被処理物Pの搬送方向に水平にずらして配設した。
【0043】
本発明によれば、搬送通路3の横幅間隔Wを水平搬送される板状被処理物Pの横幅サイズに合わせて広く又は狭く調整した場合でも、前記可動吐出管42が前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置5Bの横幅方向移動と連動して横幅方向に移動し、相対する前記固定吐出管41と前記可動吐出管42を前記被処理物Pの搬送方向に水平にずらして配設してあるため、固定吐出管41と前記可動吐出管42から成る上部の噴流吐出管40の管長さを水平搬送される板状被処理物Pの横幅サイズに合わせて調整できると共に、横幅の異なる板状被処理物Pの板面(基板面)に対して多数の吐出ノズルの位置を均等に配置でき、横幅の異なる板状被処理物の板面(基板面)に向け処理液を均等に吐出できる。
【0044】
前記したように、エンドレスに回転駆動される搬送駆動手段6は、ローラ8に掛架されてエンドレスに回転駆動される歯付駆動ベルト9であり、一方のローラ8(例えば、図1では搬出側のローラ8)を回転駆動させている。この一方のローラ8(例えば、図1では搬出側のローラ8)を回転駆動させる好ましい手段について、図5,6の実施形態に基づき説明する。
【0045】
前記第1搬送装置5Aと前記第2搬送装置5Bにおける両方の搬送駆動手段6の搬送駆動源を単独の搬送駆動用モータ50とし、このモータ50の上下方向に延びる回転駆動軸51に軸着した平歯車(駆動平歯車)52と、この回転駆動軸51と平行に配設した回転従動軸53に軸着した平歯車(従動平歯車)54の歯合によって、この平行な2軸(回転駆動軸51と回転従動軸53)に互いに逆回転する等しい回転を与え、前記回転駆動軸51に軸着した溝付きローラ55aと前記第1搬送装置5Aの搬送駆動手段6の前記ローラ8と同軸の溝付きローラ55bの間に歯付きベルト(タイミングベルト)56を掛架し、前記回転従動軸53に軸着した溝付きローラ57aと前記第2搬送装置5Bの搬送駆動手段6の前記ローラ8と同軸の溝付きローラ57bの間に歯付きベルト(タイミングベルト)58を掛架し、前記横幅間隔調整装置によって横幅方向に移動される前記第2搬送装置5Bの搬送駆動手段6の前記ローラ8と同軸の溝付きローラ57bの移動位置に対して前記回転従動軸53に軸着した溝付きローラ57aの配設位置をいずれも等距離となる一定位置とし、よって、前記第1搬送装置5Aと前記第2搬送装置5Bにおける両方の搬送駆動手段6が単独の搬送駆動用モータ50によって同期した速度で互いに逆回転駆動されるように構成した。
【0046】
本発明によれば、エンドレスに回転駆動され左右両側のクランプ7群の回転駆動のズレを防止でき、左右両側のクランプ7群によって板状被処理物Pの両側端部を同期的に保持して水平搬送できる。しかも、本発明によれば、この搬送移動のズレ防止を板状被処理物Pの搬送通路3の横幅間隔Wの可変条件下で達成できる。
【0047】
次に、前記クランプの自動開閉制御手段について図7を加えて説明する。このクランプ自動開閉制御手段は、高位ガイド上面部60aを有するクランプ開閉ガイド60を備えている。このクランプ開閉ガイド60の高位ガイド上面部60aは、前記クランプ群7・・・の回転駆動経路に沿う、始端部側の旋回駆動経路部から回転駆動方向における搬送通路3の始端部2aの直前位置に至る位置、及び搬送通路3の終端部2bから回転駆動方向における終端部側の旋回駆動経路部へ至る位置にそれぞれ固定的に配設されている。図7に示したように、クランプ開閉ガイド60は、クランプ7の回転駆動方向における、中間部を高位ガイド上面部60aとし、この高位ガイド上面部60aの両側を該高位ガイド上面部から徐々に低位となる傾斜ガイド上面部60bとしてある。このクランプ開閉ガイド60の下面を水平ガイド下面部60cとしてある。
【0048】
前記クランプ7は、エンドレスに回転駆動される前記搬送駆動手段6(歯付駆動ベルト9)に取付け部材を介してボルト締結手段で固定状態に取付けられた略L字形状の固定クランプ杆65の下端部の略水平の屈曲部に前記下クランプ部(下接点)65aを形成し、この固定クランプ杆65に上下動自在に保持されるロッド形状の可動クランプ杆66の下端部に前記上クランプ部(上接点)66aを形成し、可動クランプ杆66を圧縮バネ(圧縮コイルばね)67のバネ圧によって下動するようにしてあり、可動クランプ杆66の上クランプ部(上接点)66aと固定クランプ杆65の下クランプ部(下接点)65aを常態において上下方向に閉じた閉状態(この閉状態で水平状態の薄板状被処理物の側縁を上下方向において掴持できる保持状態にしている。)に制御してある。
【0049】
図2に示したように、前記固定クランプ杆65の内側面には、前記固定ガイドレール10にクランプ7を移動自在に滑り係合するための固定ガイドレール用の係合部材70を固定状態に取付けある。この係合部材70は、断面矩形状の前記固定ガイドレール10を上下部からスライド自在に保持するもので、前記固定ガイドレール10のレール上面に面接触してスライドされる上部の係合部材は移動方向に長く形成されている。前述したように、前記通過区間2の搬送駆動ラインL1,L2を移動するクランプ7は、内側の固定ガイドレール10によってガイドされ、該クランプ7で保持された被処理物Pを水平に保持できるようにしている。前記クランプ7は金属製であり、導電性を有するクランプ7を介して内側の前記固定ガイドレール10から供給される電流(陰極の電流)を被処理物Pに給電できるようにしてある。
【0050】
このクランプ7の上部にはクランプ開閉ガイド係合部材75を付設してある。このクランプ開閉ガイド係合部材75は、図7に示したように、略L字型の反転レバー77の屈曲部を支点部として固定クランプ杆65側に支点軸78によって反転自在に軸着し、この反転レバー77の下方アーム部77bの先端を可動クランプ杆66の上部にピン軸79を介して回動自在に連結し、反転レバー77の上方アーム部77aの先端に前記クランプ開閉ガイド60のガイド上面部(60a,60b)に沿って転動自在な回転ローラ80を取付けて構成し、この回転ローラ80が前記クランプ開閉ガイド60の高位ガイド上面部60aに沿って転動する係合状態において、図7の一点鎖線で示したように、上方アーム部77aが前記支点軸78を軸心として上方向に反転し、下方アーム部77bの先端に連結された可動クランプ杆66を圧縮コイルばね67のバネ圧に抗して上動させ、可動クランプ杆66の上クランプ部66aと固定クランプ杆65の下クランプ部65aを上下方向に離間させた開状態(この開状態で、保持する水平状態の板状被処理物の側縁の供給を受ける状態にし、また保持していた板状被処理物の側縁を開放する状態にしている。)に制御するように構成してある。図7の矢印はクランプ7の好ましい移動方向を示している。図7に示したように、前記反転レバー77は、支点部(支点軸78)をクランプ移動方向における後位置に配設し、上方アーム部77aの先端の回転ローラ80をクランプ移動方向における前位置に配設してある。そして、図7から分かるように、クランプの閉状態における回転ローラ80の高さ位置は、前記クランプ開閉ガイド60の傾斜ガイド上面部60bに乗り上げ可能な位置に設定してある。
【0051】
クランプ7が前記クランプ開閉ガイド60の位置を通過する際に、クランプ7のクランプ開閉ガイド係合部材75の回転ローラ80がクランプ開閉ガイド60の上面部(高位ガイド上面部60a)に係合され、同時にクランプ7の前記固定クランプ杆65の水平上面部65cがクランプ開閉ガイド60の水平ガイド下面部60cに滑り係合されることによって、前記可動クランプ杆66を圧縮コイルばね67のバネ圧に抗して上動させ、可動クランプ杆66の上クランプ部66aと固定クランプ杆65の下クランプ部65aを上下方向に離間させた開状態に制御するように構成されている。これによって、被処理物Pの搬送通路3の始端部2aを通過するクランプ7・・・を開状態から被処理物の側縁部を保持可能な閉状態に制御し、被処理物Pの搬送通路3の終端部2bを通過するクランプ7・・・を閉状態から被処理物の側縁部を開放可能な開状態に制御できるようにしている。
【符号の説明】
【0052】
P 板状被処理物
1 表面処理槽
E 処理液
2 通過区間
2a 始端部
2b 終端部
3 搬送通路
5A 第1搬送装置
5B 第2搬送装置
L1 第1搬送装置の搬送駆動ライン
L2 第2搬送装置の搬送駆動ライン
W 横幅間隔
6 搬送駆動手段
7 クランプ
9 歯付駆動ベルト
10 固定ガイドレール
12 剥離処理槽
20 横幅方向移動案内手段
21 横幅方向移動案内レール
22 キャリア
25 横幅方向駆動手段
26 横幅調整用モータ
27 回動軸
28 レバー部材
29 連結部材
30 陽極
31 固定陽極
32 可動陽極
40 噴流吐出管
41 固定吐出管
42 可動吐出管
50 搬送駆動用モータ
51 回転駆動軸
52 平歯車(駆動平歯車)
53 回転従動軸
54 平歯車(従動平歯車)
55a,55b 溝付きローラ
56 歯付きベルト
57a,57b 溝付きローラ
58 歯付きベルト
60 クランプ開閉ガイド
60a 高位ガイド上面部
65 固定クランプ杆
65a 下クランプ部(下接点)
66 可動クランプ杆
66a 上クランプ部(上接点)
67 圧縮バネ(圧縮コイルばね)
75 クランプ開閉ガイド係合部材
77 反転レバー
80 回転ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行な両側縁部をもつ板状被処理物の両側縁部をエンドレスに回転駆動される複数のクランプで保持し、処理槽の処理液中を板状被処理物の板面が上下になる水平姿勢で連続搬送する搬送装置と、前記処理槽の処理液中に配設され、前記搬送装置で水平搬送される板状被処理物の搬送通路の上下位置に該被処理物の板面と平行に配設され、かつ該被処理物の搬送方向に一定の間隔をおいて複数配設されたプレート状の陽極を備え、この上下の陽極の間を前記クランプを通じて陰極電流を給電された前記被処理物が水平に通過されることによって、前記被処理物の表面に電解メッキ処理を施す装置であり、前記搬送装置が、前記被処理物の搬送通路を間にした両側に設けた第1搬送装置と第2搬送装置によって構成され、この第1と第2の搬送装置は、前記搬送通路に沿う直線搬送駆動部をもつエンドレスに回転駆動される搬送駆動手段をそれぞれ備え、この搬送駆動手段に等間隔を置いて多数の前記クランプを取付けてあり、前記クランプは水平状態の前記被処理物の側端部を上下方向において保持及び開放するクランプ部を下端部に備え、各搬送駆動手段は、同期した速度で回転駆動され、各搬送駆動手段の前記直線搬送駆動部にあるクランプ群の各クランプ部における各搬送駆動ラインを互いに平行で且つ前記搬送通路を間にして離間させた横幅間隔を有しており、各搬送駆動ラインの横幅間隔を処理槽における被処理物の搬送通路の横幅間隔として構成した電解メッキ処理装置において、
前記第1搬送装置の前記搬送駆動ラインを搬送基準ラインとして設定し、この搬送基準ラインに対して前記第2搬送装置の前記搬送駆動ラインを互いに平行な状態において前記搬送通路の横幅間隔が狭められる方向又は広げられる方向の位置に配置させるべく、前記第2搬送装置を前記第1搬送装置に向け前記搬送通路の横幅方向に進退移動し得るように構成した、各搬送装置の前記搬送駆動ラインの横幅間隔を調節し得る横幅間隔調整装置を設け、前記板状被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記陽極をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した固定陽極と前記第2搬送装置側に配設した可動陽極とに分けて構成し、この可動陽極を前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第2搬送装置側に取付け、前記横幅間隔調整装置によって前記搬送通路の横幅間隔が狭められた状態において、相対する前記固定陽極と前記可動陽極を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置。
【請求項2】
平行な両側縁部をもつ板状被処理物の両側縁部をエンドレスに回転駆動される複数のクランプで保持し、処理槽の処理液中を板状被処理物の板面が上下になる水平姿勢で連続搬送する搬送装置と、前記処理槽の処理液中に配設され、前記搬送装置で水平搬送される板状被処理物の搬送通路の上下位置に該被処理物の板面と平行に配設され、かつ該被処理物の搬送方向に一定の空間部をおいて複数配設されたプレート状の陽極と、前記被処理物の搬送通路の上位置又は上下位置における前記陽極間の前記空間部に配設され、前記被処理物の搬送方向と交差する方向に一定の間隔をおいて処理液を前記被処理物の板面に向けて吐出する多数の吐出ノズルを形成した噴流吐出管を備え、前記上下の陽極の間を前記クランプを通じて陰極電流を給電された前記被処理物が水平に通過されることによって、前記被処理物の表面に電解メッキ処理を施す装置であり、前記搬送装置が、前記被処理物の搬送通路を間にした両側に設けた第1搬送装置と第2搬送装置によって構成され、この第1と第2の搬送装置は、前記搬送通路に沿う直線搬送駆動部をもつエンドレスに回転駆動される搬送駆動手段をそれぞれ備え、この搬送駆動手段に等間隔を置いて多数の前記クランプを取付けてあり、前記クランプは水平状態の前記被処理物の側端部を上下方向において保持及び開放するクランプ部を下端部に備え、各搬送駆動手段は、同期した速度で回転駆動され、各搬送駆動手段の前記直線搬送駆動部にあるクランプ群の各クランプ部における各搬送駆動ラインを互いに平行で且つ前記搬送通路を間にして離間させた横幅間隔を有しており、各搬送駆動ラインの横幅間隔を処理槽における被処理物の搬送通路の横幅間隔として構成した電解メッキ処理装置において、
前記第1搬送装置の前記搬送駆動ラインを搬送基準ラインとして設定し、この搬送基準ラインに対して前記第2搬送装置の前記搬送駆動ラインを互いに平行な状態において前記搬送通路の横幅間隔が狭められる方向又は広げられる方向の位置に配置させるべく、前記第2搬送装置を前記第1搬送装置に向け前記搬送通路の横幅方向に進退移動し得るように構成した、各搬送装置の前記搬送駆動ラインの横幅間隔を調節し得る横幅間隔調整装置を設け、前記板状被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記陽極をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した固定陽極と前記第2搬送装置側に配設した可動陽極とに分けて構成し、この可動陽極を前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第2搬送装置側に取付け、前記横幅間隔調整装置によって前記搬送通路の横幅間隔が狭められた状態において、相対する前記固定陽極と前記可動陽極を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設し、さらに、前記被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記噴流吐出管をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した固定吐出管と前記第2搬送装置側に配設した可動吐出管とに分けて構成し、この可動吐出管を前記横幅間隔調整装置による第2搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第2搬送装置側に配設し、相対する前記固定吐出管と前記可動吐出管を前記被処理物の搬送方向に水平にずらして配設したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、前記第1搬送装置と前記第2搬送装置における両方の搬送駆動手段の搬送駆動源を単独の搬送駆動用モータとし、このモータの上下方向に延びる回転駆動軸に軸着した平歯車と、この回転駆動軸と平行に配設した回転従動軸に軸着した平歯車の歯合によって、この平行な2軸に互いに逆回転する等しい回転を与え、前記回転駆動軸に軸着した溝付きローラと前記第1搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの間に歯付きベルトを掛架し、前記回転従動軸に軸着した溝付きローラと前記第2搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの間に歯付きベルトを掛架し、前記横幅間隔調整装置によって横幅方向に移動される前記第2搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの移動位置に対して前記回転従動軸に軸着した溝付きローラの配設位置をいずれも等距離となる一定位置とし、よって、前記第1搬送装置と前記第2搬送装置における両方の搬送駆動手段が単独の搬送駆動用モータによって同期した速度で互いに逆回転駆動されるように構成したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置。
【請求項4】
平行な両側縁部をもつ板状被処理物の両側縁部をエンドレスに回転駆動される複数のクランプで保持し、処理槽の処理液中を板状被処理物の板面が上下になる水平姿勢で連続搬送する搬送装置と、前記処理槽の処理液中に配設され、前記搬送装置で水平搬送される板状被処理物の搬送通路の上下位置に該被処理物の板面と平行に配設され、かつ該被処理物の搬送方向に一定の間隔をおいて複数配設されたプレート状の陽極を備え、この上下の陽極の間を前記クランプを通じて陰極電流を給電された前記被処理物が水平に通過されることによって、前記被処理物の表面に電解メッキ処理を施す装置であり、前記搬送装置が、前記被処理物の搬送通路を間にした両側に設けた第1搬送装置と第2搬送装置によって構成され、この第1と第2の搬送装置は、前記搬送通路に沿う直線搬送駆動部をもつエンドレスに回転駆動される搬送駆動手段をそれぞれ備え、この搬送駆動手段に等間隔を置いて多数の前記クランプを取付けてあり、前記クランプは水平状態の前記被処理物の側端部を上下方向において保持及び開放するクランプ部を下端部に備え、各搬送駆動手段は、同期した速度で回転駆動され、各搬送駆動手段の前記直線搬送駆動部にあるクランプ群の各クランプ部における各搬送駆動ラインを互いに平行で且つ前記搬送通路を間にして離間させた横幅間隔を有しており、各搬送駆動ラインの横幅間隔を処理槽における被処理物の搬送通路の横幅間隔として構成した電解メッキ処理装置において、
各搬送駆動ラインの横幅間隔の中心位置における該搬送駆動ラインと平行な中心ラインを搬送基準ラインとして設定し、この搬送基準ラインに対して各搬送駆動ラインを互いに平行な状態において前記搬送通路の横幅間隔が狭められる方向又は広げられる方向の位置に互いに均等な横幅間隔をおいて配置させるべく、各搬送装置を、前記搬送基準ラインに向け前記搬送通路の横幅方向に進退移動し得るように構成した、各搬送装置の前記搬送駆動ラインの横幅間隔を調節し得る横幅間隔調整装置を設け、前記板状被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記陽極をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した第1側陽極と前記第2搬送装置側に配設した第2側陽極とに分けて構成し、この第1側と第2側の各陽極を前記横幅間隔調整装置による第1と第2の各搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第1と第2の各搬送装置側にそれぞれ取付け、前記横幅間隔調整装置によって前記搬送通路の横幅間隔が狭められた状態において、相対する第1側と第2側の各陽極を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置。
【請求項5】
平行な両側縁部をもつ板状被処理物の両側縁部をエンドレスに回転駆動される複数のクランプで保持し、処理槽の処理液中を板状被処理物の板面が上下になる水平姿勢で連続搬送する搬送装置と、前記処理槽の処理液中に配設され、前記搬送装置で水平搬送される板状被処理物の搬送通路の上下位置に該被処理物の板面と平行に配設され、かつ該被処理物の搬送方向に一定の空間部をおいて複数配設されたプレート状の陽極と、前記被処理物の搬送通路の上位置又は上下位置における前記陽極間の前記空間部に配設され、前記被処理物の搬送方向と交差する方向に一定の間隔をおいて処理液を前記被処理物の板面に向けて吐出する多数の吐出ノズルを形成した噴流吐出管を備え、前記上下の陽極の間を前記クランプを通じて陰極電流を給電された前記被処理物が水平に通過されることによって、前記被処理物の表面に電解メッキ処理を施す装置であり、前記搬送装置が、前記被処理物の搬送通路を間にした両側に設けた第1搬送装置と第2搬送装置によって構成され、この第1と第2の搬送装置は、前記搬送通路に沿う直線搬送駆動部をもつエンドレスに回転駆動される搬送駆動手段をそれぞれ備え、この搬送駆動手段に等間隔を置いて多数の前記クランプを取付けてあり、前記クランプは水平状態の前記被処理物の側端部を上下方向において保持及び開放するクランプ部を下端部に備え、各搬送駆動手段は、同期した速度で回転駆動され、各搬送駆動手段の前記直線搬送駆動部にあるクランプ群の各クランプ部における各搬送駆動ラインを互いに平行で且つ前記搬送通路を間にして離間させた横幅間隔を有しており、各搬送駆動ラインの横幅間隔を処理槽における被処理物の搬送通路の横幅間隔として構成した電解メッキ処理装置において、
各搬送駆動ラインの横幅間隔の中心位置における該搬送駆動ラインと平行な中心ラインを搬送基準ラインとして設定し、この搬送基準ラインに対して各搬送駆動ラインを互いに平行な状態において前記搬送通路の横幅間隔が狭められる方向又は広げられる方向の位置に互いに均等な横幅間隔をおいて配置させるべく、各搬送装置を、前記搬送基準ラインに向け前記搬送通路の横幅方向に進退移動し得るように構成した、各搬送装置の前記搬送駆動ラインの横幅間隔を調節し得る横幅間隔調整装置を設け、前記板状被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記陽極をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した第1側陽極と前記第2搬送装置側に配設した第2側陽極とに分けて構成し、この第1側と第2側の各陽極を前記横幅間隔調整装置による第1と第2の各搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第1と第2の各搬送装置側にそれぞれ取付け、前記横幅間隔調整装置によって前記搬送通路の横幅間隔が狭められた状態において、相対する第1側と第2側の各陽極を互いの先端部側においてオーバーラップ可能なように上下にずらして配設し、さらに、前記板状被処理物の搬送通路の上方に配設した複数の前記噴流吐出管をそれぞれ前記第1搬送装置側に配設した第1側吐出管と前記第2搬送装置側に配設した第2側吐出管とに分けて構成し、この第1側と第2側の各吐出管を前記横幅間隔調整装置による第1と第2の各搬送装置の横幅方向移動と連動して横幅方向に移動するように第1と第2の各搬送装置側にそれぞれ配設し、相対する第1側と第2側の各吐出管を被処理物の搬送方向に水平にずらして配設したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の装置において、前記第1搬送装置と前記第2搬送装置における両方の搬送駆動手段の搬送駆動源を単独の搬送駆動用モータとし、このモータの上下方向に延びる回転駆動軸に軸着した平歯車と、この回転駆動軸と平行に配設した回転従動軸に軸着した平歯車の歯合によって、この平行な2軸に互いに逆回転する等しい回転を与え、前記回転駆動軸に軸着した溝付きローラと前記第1搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの間に歯付きベルトを掛架し、前記回転従動軸に軸着した溝付きローラと前記第2搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの間に歯付きベルトを掛架し、前記横幅間隔調整装置によって横幅方向に移動される前記第1搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの移動位置に対して前記回転駆動軸に軸着した溝付きローラの配設位置をいずれも等距離となる一定位置とすると共に、前記横幅間隔調整装置によって横幅方向に移動される前記第2搬送装置の搬送駆動手段の溝付きローラの移動位置に対して前記回転従動軸に軸着した溝付きローラの配設位置をいずれも等距離となる一定位置とし、よって、前記第1搬送装置と前記第2搬送装置における両方の搬送駆動手段が単独の搬送駆動用モータによって同期した速度で互いに逆回転駆動されるように構成したことを特徴とする水平搬送式の電解メッキ処理装置。
【請求項7】
請求項1、2、3のいずれかに記載の装置において、前記横幅間隔調整装置が、前記第2搬送装置の全体を横幅方向に進退移動可能に案内し得る、横幅方向に延ばされ且つ搬送方向に間隔を置いて架設された複数の横幅方向移動案内レールを含む横幅方向移動案内手段と、この横幅方向移動案内手段によって横幅方向に移動可能とされた前記第2搬送装置を前記横幅方向移動案内レールに沿って横幅方向に進退駆動可能とする横幅調整用モータを駆動源とする横幅方向駆動手段とから構成されている水平搬送式の電解メッキ処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、前記横幅方向駆動手段が、前記横幅調整用モータを正逆の回動駆動源として回動自在に軸支された回動軸と、この回動軸に固定されて横幅方向に回動するレバー部材と、このレバー部材の動作部を前記第2搬送装置側に連結する連結部材を備え、このレバー部材の横幅方向への回動に連動して前記第2搬送装置を前記横幅方向移動案内レールに沿って横幅方向に進退駆動し得るようにした水平搬送式の電解メッキ処理装置。
【請求項9】
請求項4、5、6のいずれかに記載の装置において、前記横幅間隔調整装置が、各搬送装置を横幅方向に進退移動可能に案内し得る、横幅方向に延ばされ且つ搬送方向に間隔を置いて架設された複数の横幅方向移動案内レールを含む横幅方向移動案内手段と、この横幅方向移動案内手段によって横幅方向に移動可能とされた前記各搬送装置を前記横幅方向移動案内レールに沿って横幅方向に進退駆動可能とする各搬送装置用の横幅調整用モータをそれぞれ駆動源とする横幅方向駆動手段とから構成されている水平搬送式の電解メッキ処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、前記横幅方向駆動手段が、前記各搬送装置用の前記横幅調整用モータを正逆の回転駆動源としてそれぞれ回動自在に軸支された回動軸と、この回動軸に固定されて横幅方向に回動するレバー部材と、このレバー部材の動作部を前記各搬送装置側にそれぞれ連結する連結部材を備え、このレバー部材の横幅方向への回動に連動して前記各搬送装置を前記横幅方向移動案内レールに沿って横幅方向に進退駆動し得るようにした水平搬送式の電解メッキ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−162790(P2012−162790A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25968(P2011−25968)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(592141466)丸仲工業株式会社 (15)