説明

水性エマルジョンポリマー会合性増粘剤

【課題】水性エマルジョンポリマー会合性増粘剤の提供。
【解決手段】共重合単位として:ポリマー重量基準で8重量%〜25重量%の酸含有モノマー、ポリマー重量基準で2重量%〜30重量%の式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCHであり、nは2〜100であり、Rは4〜36個の炭素原子を含有する基である)、およびポリマー重量基準で35重量%〜90重量%の(C−C)アルキル(メタ)アクリレートを含む、水性組成物の増粘における使用に好適な水性エマルジョンポリマーであって;前記ポリマーがリビングフリーラジカル重合法により形成されるか、あるいは−C(=S)S−基を含有する化合物の存在下で形成される水性エマルジョンポリマーが提供される。水性エマルジョンポリマーを含む水性組成物および前記ポリマーを含むポリマーコーティングも関連する方法と同様に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の水性エマルジョンポリマーを含む、特に水性系のための会合性増粘剤として有効なものを含む、水性組成物および方法に関する。さらに詳細には、本発明は、共重合単位として:ポリマー重量基準で8重量%〜25重量%の酸含有モノマー、ポリマー重量基準で2重量%〜30重量%の式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCHであり、nは2〜100であり、Rは4〜36個の炭素原子を含有する基である)、およびポリマー重量基準で35重量%〜90重量%の(C−C)アルキル(メタ)アクリレートを含む水性エマルジョンポリマーに関し;前記ポリマーは、リビングフリーラジカル重合法により形成されるか、あるいは、ポリマーは−C(=S)−S−基を含む化合物の存在下で形成される。水性エマルジョンポリマー含む水性組成物および前記ポリマーを含む乾燥ポリマー組成物も提供される。さらに、本発明は、これにより水性エマルジョンポリマー、乾燥ポリマー組成物、およびRAFT剤が提供される方法に関する。本発明の乾燥ポリマー組成物は、従来開示された、より高い酸含量増粘剤を含む対応する組成物よりも優れた耐水性を有するフィルム、コーティング、シーリング化合物または充填化合物として特に有用である。
【0002】
本発明は、ポリマー、特に、水不溶性であるが、pHが約7よりも高く上昇した場合に水溶性または水膨潤性になるテレケリック(telechelic)、グラジェント(gradient)およびブロック水性エマルジョンポリマーをもたらす、「制御された」または「リビング」ラジカル重合により形成される水性エマルジョンポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願公開第2006/0039939号は、水性系を包含する系のレオロジー改良剤または会合性増粘剤として使用されるチオカーボネート化合物を開示している。チオカーボネート化合物は、好ましくは、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリルアミドなどから導かれる繰り返し単位を含有する少なくとも1つの親水性基および少なくとも1つの疎水性基を含む。
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0039939号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、開示された増粘剤は、比較的高い親水性モノマーレベル、例えば、増粘剤を組み入れたシステムに対して有害な影響を及ぼし得る、比較的高い酸基レベルを含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様において、共重合単位として:
ポリマー重量基準で8重量%〜25重量%の酸含有モノマー、
ポリマー重量基準で2重量%〜30重量%の式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCHであり、nは2〜100であり、Rは4〜36個の炭素原子を含有する基である)、および
ポリマー重量基準で35重量%〜90重量%の(C−C)アルキル(メタ)アクリレート;
を含む水性エマルジョンポリマーが提供され;
ここで、前記ポリマーはリビングフリーラジカル重合法により形成される。
【0006】
本発明の第二の態様において、共重合単位として:
ポリマー重量基準で8重量%〜25重量%の酸含有モノマー、
ポリマー重量基準で2重量%〜30重量%の式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCHであり、nは2〜100であり、Rは4〜36個の炭素原子を含有する基である)、および
ポリマー重量基準で35重量%〜90重量%の(C−C)アルキル(メタ)アクリレート;
を含む水性エマルジョンポリマーが提供され、ここで、前記ポリマーは−C(=S)−S−基を含む化合物の存在下で形成される。
【0007】
本発明の第三の態様において、本発明の第一または第二の態様の水性エマルジョンポリマーを含む水性組成物が提供される。
【0008】
本発明の第四の態様において、ポリマーおよび本発明の第一または第二の態様の水性エマルジョンポリマーを含む乾燥ポリマー組成物が提供される。
【0009】
水性エマルジョンポリマー、乾燥ポリマー組成物、およびRAFT剤を提供するための方法も提供される。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、共重合単位として:
ポリマー重量基準で8重量%〜25重量%、好ましくは10%〜20%の酸含有モノマー、
ポリマー重量基準で2重量%〜30重量%の式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCH、好ましくはCHあり、nは2〜100、好ましくは2〜60、さらに好ましくは2〜40、あるいは2〜10であり、Rは4〜36個の炭素原子、好ましくは4〜24個の炭素原子、さらに好ましくは12〜18個の炭素原子を含有する、または平均で12〜18個またはそれ以上の炭素原子を有する基、あるいは非置換または置換アルキル、アリール、またはポリアリールである)、および
ポリマー重量基準で35重量%〜90重量%の(C−C)アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはエチルアクリレートを含む水性エマルジョンポリマーが提供され;
前記ポリマーはリビングフリーラジカル重合法により形成されるか、あるいはポリマーは−C(=S)−S−基を含む化合物の存在下で形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
「(メタ)」なる用語の後に別の用語が続く用法、例えば、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドは、本開示全体にわたって用いられる場合、それぞれ、アクリレートまたはアクリルアミドならびにメタクリレートまたはメタクリルアミドの両方をさす。
【0012】
水性エマルジョンポリマーは、共重合単位として、独立して、ポリマー重量基準で、0重量%〜10重量%のエチレン性不飽和疎水性モノマーであって、25℃で0.1%wt/wt未満の水への溶解度を有するもの、例えば、ラウリルアクリレート;ポリマー重量基準で0%〜40重量%のエチレン性不飽和モノマーであって、25℃で0.1%〜20%wt/wtの水への溶解度を有するもの、例えば、N−ビニルピロリドン;およびポリマー重量基準で0%〜10重量%のポリエチレン性不飽和モノマー、例えば、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびジビニルベンゼンも含むことができる。
【0013】
水性エマルジョンポリマーは、共重合単位として:ポリマー重量基準で8重量%〜25重量%、好ましくは、10重量%〜20重量%の酸含有モノマーを含む。酸モノマーは、カルボン酸モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノブチルフマレート、および無水マレイン酸;ならびに硫黄およびリン含有酸モノマー;およびその混合物を包含し、好ましくは、(メタ)アクリル酸である。
【0014】
水性エマルジョンポリマーは、共重合単位として、ポリマー重量基準で、2重量%〜30重量%の式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)の(メタ)アクリル酸エステルを含む。Rは、4〜36個の炭素原子を含有する基であり、これはアルキル、アルアルキル、ポリアリール、例えば、トリスチリルフェノールあるいは例えばラノリンまたはコレステロールなどの多環式ヒドロカルビル化合物の残基であり得る。アルキル基は、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、パルミチル、ステアリルおよびアイコシルを包含する。例えば、ラウリル、ステアリル、セチルおよびパルミチルアルコールの混合物のエトキシル化から得られるアルキル基などの混合物も使用することができる。アルアルキル基は、アルキルフェニル基、例えば、オクチルフェニルおよびノニルフェニルを包含する。
【0015】
水性エマルジョンポリマーは、好ましくは、テレケリック、グラジェントまたはブロック水性エマルジョンポリマーである。「テレケリック」とは、末端官能性ポリマーであって、そこでの官能性が各末端上の少なくとも1つの疎水性基からなる疎水性基(典型的には例えばMAAおよびEAなどの組成物であるポリマー骨格組成物に関する疎水性)である、末端官能性ポリマーを意味する。末端官能性は、ポリマーの各末端上の1、2またはそれ以上の疎水性基を含有するブロックからなり得る。末端官能性は、疎水性基がポリマーの末端付近に集中しているグラジェントからなっていてもよい。
【0016】
水性エマルジョンポリマーにおけるポリマーは、水不溶性ポリマーである。「水不溶性ポリマー」とは、本明細書において、水性エマルジョンポリマーのサンプルをpH4で遠心分離することにより得られ、25℃、pH3で1%wt/wt未満の水中溶解度を有するポリマーを意味する。しかしながら、水性エマルジョンポリマーは、アルカリ可溶性、またはアルカリ膨潤性、およびアルカリ増粘性物質であり、これにより、本明細書において、塩基を水性エマルジョンポリマーに添加(少なくとも部分的にコポリマーを中和する量)することは、コポリマーを溶解し、同時に、コポリマーを膨潤させ、これにより組成物を増粘することを意味する。
【0017】
水性エマルジョンポリマー粒子の平均粒子直径は、典型的には、Brookhaven Instrument Corp.(ニュウヨーク州ホルツビル)により供給されるBrookhaven Model BI−90 Particle Sizerにより測定すると、40ナノメートルから400ナノメートルである。水性エマルジョンポリマーの数平均分子量は、典型的には、GPC測定により決定すると、10,000〜500,000である。
【0018】
水性エマルジョンポリマーは、「制御された」または「ライブ」または「リビング」ラジカル重合により形成されるか、あるいはポリマーは、−C(=S)−S−基を含む化合物の存在下で形成される。本明細書において「リビングフリーラジカル重合」とは、ブロックおよび制御ポリマー、好ましくは、各ブロックについて計算されたされたハンシュ(Hansch)パラメータにより決定され得る疎水性が異なる、異なる組成の少なくとも2つのブロックを含むポリマーを調製し、これにより未制御または不十分に制御された重合の場合を排除するプロセスを意味する。リビングフリーラジカル重合は、ATRP(原子移動ラジカル重合:Atom Transfer Radical Polymerization)、NMP(ニトロキシドを介する重合:Nitroxide Mediated Polymerization)およびRAFT(可逆的付加−開裂連鎖移動:Reversible addition?fragmentation chain transfer)法であって、当該分野において開示されたものを包含する。RAFT剤なる用語は、チオカルボニルチオ化合物(ジチオエステル、トリチオカーボネート、キサンテート、ジキサントゲンジスルフィドなどを包含する)と最も密接に関連する。RAFT剤の表は、「The Chemistry of Radical Polymerization” Moad and Solomon、Elsevier、2006、508−514ページに記載されている。より一般的な意味で、RAFT剤なる用語は、RAFT重合に介在する任意の化合物であり、マクロモノマーRAFT剤を包含する。ある好ましい実施形態において、RAFT剤マクロモノマーまたはチオカルボニルチオ化合物、例えば、−X−C(=S)−S−(式中、XはS、O、N、またはCであり、置換されているか、または置換されていない)を含有するマクロモノマーまたは化合物、さらにジベンジルトリチオカーボネート(「DBTTC」)またはO−エチルジチオカーバメート(キサンテートA)が用いられる。
【0019】
通常のフリーラジカル重合はマクロラジカルの増殖による成長により進行する。これらのマクロラジカル(非常に短い寿命を有する)は、カップリングまたは不均化により可逆的に再結合する。重合がいくつかのコモノマーの存在下で起こる場合、混合物の組成における変動は、マクロラジカルの寿命を考慮すると僅かであり、従って、鎖はブロック鎖形成ではなくモノマー単位からのランダム鎖形成を有する。安定なフリーラジカルの存在下でニトロキシド族からコポリマーを調製する方法は、米国特許第6,255,402号に記載されている。ニトロキシドを介する安定なラジカルは、米国特許第6,255,448号および米国特許出願公開第2002/0040117号において記載されるように、制御されたブロックコポリマーを製造するために使用されてきた。RAFT剤(RAFT剤、RAFT剤マクロモノマー、チオカルボニルチオ、キサンテート、またはジキサンテート化合物)の存在下でブロックコポリマーを調製する方法は、米国特許第3862975号および第6380335号、国際公開第98/01478号、国際公開第98/58974号、国際公開第99/31144号、国際公開第99/35177号、国際公開第03/055919号、および国際公開第2006/037161号に記載されている。
【0020】
水性エマルジョンポリマーを調製するために使用される乳化重合技術は、例えば、米国特許第4,325,856号;第4,654,397号;および第4,814,373号に記載されているように、当該分野において周知である。通常の界面活性剤、例えば、アニオン性および/または非イオン性乳化剤、例えば、アルカリ金属またはアンモニウムアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸、脂肪酸、およびオキシエチル化アルキルフェノールを用いることができる。使用される界面活性剤の量は、全モノマー重量基準で通常、0.1重量%〜6重量%である。熱、レドックス、またはUV開始プロセスを使用することができる。リビング重合反応を提供するために必要とされる薬剤に加えて、通常のフリーラジカル開始剤、例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、アルカリまたはアンモニウム過硫酸塩、およびアゾ開始剤、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(「AIBN」)を、典型的には全モノマー重量基準で0.01重量%〜3.0重量%のレベルで用いることができる。例えば、ナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、ヒドロ亜硫酸ナトリウムル、イソアスコルビン酸、ヒドロキシルアミンスルフェートおよび重亜硫酸ナトリウムなどの好適な還元剤とカップリングした同じ開始剤を用いるレドックス系を、同様のレベルで、任意に、例えば鉄および銅などの金属イオン(任意に、さらに金属の錯化剤を含んでもよい)と組み合わせて使用することができる。ポリマーの分子量を低下させるために、連鎖移動剤、例えば、メルカプタンを用いることができる。モノマー混合物をニートで、または水中エマルジョンとして添加することができる。モノマー混合物を1回添加でまたは複数回添加でまたは反応期間にわたって連続して、均一または変動する組成を用いて添加することができる。この方法は、例えば、5%(全モノマー基準)の50nmプレフォームシードを釜に添加することにより、あらかじめ形成されたシードエマルジョンポリマーを利用することができる。残存するモノマーを減少させるための技術、例えば、反応混合物を蒸気ストリッピングに付すこと、保持時間、および追加のラジカル源を採用することができる。多モード粒子サイズ分布をもたらす方法、例えば、米国特許第4,384,056号および第4,539,361号に開示されているものを用いることができる。
【0021】
水性エマルジョンポリマーは、好ましくは、次の方法に従って製造される。RAFT剤と任意の界面活性剤および/またはメチルベータシクロデキストリン(本明細書においては、「CD」)および任意のシードラテックス粒子を、好ましくは、反応釜中の水に添加する。まず、約2〜約20の疎水性モノマー(本明細書における「疎水性モノマー」とは:式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCHであり、nは2〜100であり、Rは4〜36個の炭素原子を含有する基である)、および25℃で0.1%wt/wt未満の水への溶解度を有するエチレン性不飽和疎水性モノマー;および好ましくはその混合物から選択される)を各RAFT剤中に任意のモノマー、例えば、MAAおよびEAとともに挿入する。一官能性または二官能性RAFT剤を使用することができる。一つの実施形態において、二官能性RAFT剤、例えば、好ましくは、DBTTCが使用され、1〜約10の疎水性モノマーがDBTTC RAFT剤の各サイド中に挿入され、好ましくは、少なくとも2つの疎水性モノマー、例えば、式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCHであり、nは2〜100であり、Rは4〜36個の炭素原子を含有する基である)が各サイド中に挿入される。他のモノマー、例えば、MAAおよびEAを任意に含めることができる。疎水性モノマーの組み合わせを使用することができる。疎水性モノマーを包含するモノマーを、バッチ重合プロセスにおいてショットとして添加することができるか、またはある期間、例えば、20分にわたって添加することができる。疎水性モノマーを包含するモノマーは、ニートで、または界面活性剤および水を有するモノマーエマルジョンまたはCDおよび水を有する溶液として添加することができる。任意に、この第1段重合は、バルクで行うことができ、続いて反応釜中の水に添加することができる。続いて、EA、MAA、および任意のコ−モノマー、例えば、N−ビニルピロリドンおよび任意の疎水性モノマーおよび任意のポリエチレン性不飽和モノマー、例えば、ジアリルフタレートを、好ましくは、界面活性剤および水を有するモノマーエマルジョンとして添加し、重合して、前記の組成物を製造する。釜水のpHをHPOなどで約3より低く調節して、MAAまたは他の酸モノマーの組み入れを改善することができる。同じであるかまたは異なる疎水性モノマー、および同じであるかまたは異なる疎水性モノマーの組み合わせを組み入れることができる。モノマーフィードは一定であっても異なっていてもよく、モノマーのパルスおよび勾配および段を保持期間の有無に関係なく使用することができる。
【0022】
本発明の水性組成物は、水性媒体、主に水であるあらゆる可溶性ポリマーを除く水性組成物の連続相を含み;任意に、前記媒体は様々な可溶性物質、例えば、アルコールおよびアルコールエステルを含み得る。ある実施形態において、水性媒体は全体として、または一部ポリマーとともに、例えば、ポリマーおよび水性媒体の両方を提供し得る水性エマルジョンポリマーにより提供することができる。本発明の水性組成物は、水性エマルジョンポリマーに加えて、水性組成物中に可溶性であるか、膨潤性であるか、または分散させることができるポリマーを含むことができる。ポリマーは、熱可塑性、自己架橋性、または外部架橋剤の作用により熱硬化性であってよい。好ましくは、ポリマーは乳化重合により調製される分散ポリマーである。
【0023】
無機粒子、例えば、顔料および増量剤を水性組成物中に、水性組成物および無機粒子の合計乾燥体積基準で、0〜95体積%のレベルで含めることができる。典型的には、本発明の水性組成物は水性組成物の体積基準で20〜50体積%の範囲の固体レベルを有する。水性組成物のpHは典型的には6〜11の範囲、好ましくは、7〜10の範囲である。水性組成物の好適な粘度範囲は、50〜130Kreb単位(KU)、好ましくは70〜120KU、さらに好ましくは90〜110KUである。
【0024】
無機粒子は:顔料およびフィラー、例えば、金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、カドミウム顔料、例えば、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、およびカドミウム辰砂;ビスマス顔料、例えば、ビスマスバナデートおよびビスマスバナデートモリブデート;混合金属酸化物顔料、例えば、コバルトチタネートグリーンおよび他の混合金属酸化物顔料;クロメートおよびモリブデート顔料、例えば、クロムイエロー、モリブデートレッド、およびモリブデートオレンジ;ト紺青顔料;酸化コバル顔料;ニッケルアンチモンチタネート;鉛クロム;藍鉄顔料;;カーボンブラック;および金属効果顔料、例えば、アルミニウム、銅、酸化銅、青銅、ステンレス鋼、ニッケル、亜鉛、および真鍮;酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、二酸化チタン;硫化亜鉛、リトポン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、クレー、焼成クレー、長石、霞石閃長岩、珪灰石、珪藻土、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムおよびタルクを包含する。二酸化チタンは、コーティング用途において有用な処理および表面コーティングされた等級(例えば、シリカおよびアルミナを含有する)を包含する。
【0025】
一つの実施形態において、無機粒子は、10nmから100μm、好ましくは50nmから50μmである粒子サイズを有し得る。100μmより小さな粒子サイズを有する望ましい無機粒子の例としては、酸化亜鉛、酸化ケイ素、二酸化チタン、および酸化鉄が挙げられる。別の実施形態において、無機粒子は、100nmから100mmである粒子サイズを有し得る。100mmより小さな粒子サイズを有する望ましい無機粒子およびフィラーの例としては、石、玄武岩、花崗岩、片岩、石灰岩、クレー、酸化カルシウム、砂、酸化ケイ素、水硬性セメントおよび非水硬性セメント(石膏を包含する)および任意の有色顔料(二酸化チタンおよび酸化鉄を包含する)が挙げられる。
【0026】
水性組成物は、任意に有機顔料粒子を含むことができる。好適な有機顔料には、プラスチック顔料、例えば、固体ビーズ顔料およびボイドまたはベシクルを含有するミクロスフェア顔料が包含される。固体ビーズ顔料の例としては、ポリスチレンおよびポリ塩化ビニルビーズが挙げられる。1以上のボイドを含有するポリマー粒子を含むミクロスフェア顔料の例としては、Ropaque(商標)不透明ポリマーおよび米国特許第4,427,835号;第4,920,160号;第4,594,363号;第4,469,825号;第4,468,498号;第4,880,842号;第4,985,064号;第5,157,084号;第5,041,464号;第5,036,109号;第5,409,776号;および第5,510,422号に開示されているベシクル化ポリマー粒子が挙げられる。
【0027】
水性組成物は、任意に特定の他の有機および無機顔料粒子を含有し得る。着色剤粒子は、有色ポリマー組成物および有色ポリマー組成物から調製されたコーティングへの色を提供する。着色剤粒子は、着色顔料、黒色顔料、金属効果顔料、および発光顔料、例えば、蛍光顔料および燐光顔料を包含する。有色ポリマー組成物の色の例としては、黒、マゼンタ、黄、およびシアン、ならびにこれらの色の組み合わせ、例えば、オレンジ、青、赤、ピンク、緑、および褐色が挙げられる。有色ポリマー組成物の他の好適な色は、蛍光色;メタリックカラー、例えば、銀、金、青銅、および銅;ならびに真珠光沢顔料を包含する。これらの色は、1以上の異なる種類の着色剤粒子を用いることにより得られる。
【0028】
着色剤粒子は、無機着色剤粒子および有機着色剤粒子を含む。典型的には、着色剤粒子は、10ナノメートル(nm)から50ミクロンの範囲、好ましくは、20nmから5ミクロンの範囲、さらに好ましくは40nmから2ミクロンの範囲の平均粒子直径を有する。
【0029】
好適な有機着色剤粒子としては、例えば、アゾ顔料、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、アゾ顔料レーキ、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアゾ縮合顔料、金属複合体顔料、イソインドリノン、およびイソインドリン顔料、多環顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、チオインディゴ顔料、アントラピリミドン顔料、フラバンスロン顔料、アンタンスロン顔料、ジオキサジン顔料、トリアリールカルボニウム顔料、キノフタロン顔料、およびジケトピロロピロール顔料が挙げられる。
【0030】
好適な有機着色剤粒子および無機着色剤粒子の例としては:カラーインデックスピグメントイエロー(Color Index Pigment Yellow)1、2、3、5、6、10、12、13、14、16、17、62、65、73、74、75、81、83、87、90、93、94、95、97、98、99、199、101、104、106、108、109、110、111、113、114、116、117、120、121、123、124、126、127、128、129、130、133、136、138、139、147、148、150、151、152、153、155、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、183、184、185、187、188、190、192、193、および194;カラーインデックスピグメントオレンジ(Color Index Pigment Orange)1、2、5、6、13、15、16、17、17:1、19、22、24、31、34、36、38、40、43、44、46、48、49、51、60、61、62、64、65、66、67、68、および69;カラーインデックスピグメントレッド(Color Index Pigment Red)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、21、22、23、31、32、38、48:1、48:2、48:3、49:1、49:2、49:3、50:1、51、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、68、81、95、112、114、119、122、136、144、146、147、148、149、150、151、164、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、192、194、200、202、204、206、207、210、211、212、213、214、216、220、222、237、238、239、240、242、243、245、247、248、251、252、253、254、255、256、258、261、および264;カラーインデックスピグメントバイオレット(Color Index Pigment Violet):1、2、3、5:1、13、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、および50;カラーインデックスピグメントブルー(Color Index Pigment Blue)1、2、9、10、14、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15、16、18、19、24:1、25、56、60、61、62、63、64、および66;カラーインデックスピグメントグリーン(Color Index Pigment Green)1、2、4、7、8、10、36、および45;カラーインデックスピグメントブラック(Color Index Pigment Black)6、7、10、11、および28;ならびにカラーインデックスピグメントブラウン(Color Index Pigment Brown)1、5、22、23、25、38、41、および42が挙げられる。
【0031】
水性組成物を増粘するか、またはレオロジーを変更するための方法は、本発明の水性エマルジョンポリマーと混合し、pH7またはそれ以上で混合物の混合物を提供すること、即ち、混合物のpHを7またはそれ以上に調節または維持することを含む。
【0032】
本発明の水性組成物は、接着剤およびシーラント、コンクリート、グラウト、下塗り、漆喰、スタッコ(stuccos)、E.I.F.S.(Exterior Insulation Finish Systems:外断熱仕上げシステム)およびモルタル、農業および医薬組成物、多孔性基体(例えば、皮革、不織布または織布、木材など)の処理剤、あるいは水性コーティング組成物として有用であり得る。無機粒子および任意に有機粒子を含む水性組成物は、コーティング分野において周知の技術により調製される。まず、無機粒子を典型的には有機ポリマー分散剤および任意に本発明の水性エマルジョンポリマー(任意の添加剤、例えば、界面活性剤、消泡剤、殺生物剤、殺カビ剤、着色剤、補助増粘剤、流動助剤、潤滑助剤、臭気マスク剤、溶剤、共溶剤および造膜助剤を含む)の存在下で水性媒体中、例えばCOWLES(商標)ミキサーにより得られるような高剪断下でよく分散させる。次に、いくつかの実施形態において、有機顔料および、独立して、エマルジョンポリマーを低剪断撹拌下で、所望により他のコーティングアジュバントとともに添加することができる。水性組成物は、本発明の水性エマルジョンポリマー会合性増粘剤に加えて、通常のコーティングアジュバント、例えば、乳化剤、融合助剤(造膜助剤)、可塑剤、不凍液、硬化剤、緩衝液、中和剤、増粘剤、本発明のもの以外のレオロジー改良剤、保湿剤、湿潤剤、殺生物剤、防カビ剤、可塑剤、消泡剤、脱泡剤、UV吸収剤、蛍光増白剤、光または熱安定剤、キレート剤、分散剤、着色剤、ワックス、撥水剤、および酸化防止剤を含有することができる。
【0033】
従来のコーティング適用法、例えば、刷毛塗り、ローリング、浸漬、こて塗り、塗布、スクレーピング、噴霧法、例えば、エアアトマイズドスプレー、エアアシステッドスプレー、エアレススプレー、静電スプレー、高体積低圧スプレー、およびエアアシステッドエアレススプレー、電着を本発明の水性組成物の適用に使用することができる。さらに、いくつかの系について、他の適用技術、例えば、ピエゾインクジェット、熱インクジェットなどの印刷装置、グラビアロール等、コークガン、ロールコーター、カーテンコーター、およびエアナイフコーティングを用いて、水性コーティング組成物を適用することができる。水性コーティング組成物は、基体、例えば、プラスチック、木材、金属、下塗りされた表面、あらかじめ塗装された表面、風化した塗装表面、ガラス、織物、紙、不織布、複合体、およびセメント質基体に有利に適用することができる。本発明の水性組成物を乾燥して、乾燥ポリマー組成物、例えば、フィルム、コーティング、シーリング化合物または充填化合物を提供することは、典型的には、周囲条件下、例えば、0℃〜35℃で進行させることができるが、さらに高い温度または低い湿度で促進することもできる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、RAFT剤を形成するための方法であって:a)カルボン酸官能性RAFT剤を提供し、およびb)前記RAFT剤をグリシジルエーテル官能性疎水性基(該疎水性基は、4〜36個の炭素原子を含む)と接触させることを含む方法が提供される。
【0035】
実験法
本発明の水性エマルジョンポリマーを同定するための手順
100gのRhoplex(商標)AC−261を適切な容器中に量りとる。次に、0.6gの試験ポリマーの、水4.4g中の溶液または分散液を撹拌しながら添加する。pHをNHOH溶液でpH9.0に調節する。混合をHauschild SpeedMixer(商標)DAC 150FVZで2分間続けて、確実に均一にする。3番スピンドルを有するブルックフィールド(Brookfield)DV−I+粘度計(100rpm)を使用して、サンプルの粘度を25℃で測定する。
【0036】
この増粘された組成物の一部(25g)をとり、1.25gのPolystep(商標)B7界面活性剤溶液(30%水中)とHauschild SpeedMixer(商標)DAC150FVZ中で2分間混合する。サンプルを25℃に調節し、その粘度を100rpmで測定する。界面活性剤の有無で粘度を比較する。そのままの粘度と界面活性剤で抑制された粘度間の大きな差は、増粘剤の会合性増粘力の尺度として用いられる。本発明の水性エマルジョンポリマーは、その界面活性剤で抑制された粘度よりも20から1000倍以上高い粘度を有することが判明し、これは本明細書において、疎水性会合性基が鎖末端中に組み入れられたことを意味すると解釈される。
【0037】
次の実施例は、例示の目的で提示される。
【0038】
〔使用される略号〕
エチルアクリレート :EA
メタクリル酸 :MAA
ラウリルアクリレート :LA
ラウリル硫酸ナトリウム:SLS
1−ドデカンチオール :n−DDM
過硫酸ナトリウム :NaPS
脱イオン水 :DI水
【実施例1】
【0039】
水性エマルジョンポリマーの調製
【0040】
【表1】

【0041】
DI水および界面活性剤を反応釜に添加し、撹拌機を始動させる。釜を80℃に加熱する。RAFT剤(例えば、ジベンジルトリチオカーボネート(「DBTTC」))をモノマーミックス中に溶解させ、次いでモノマーミックスをNaPS開始剤とともに添加し、釜を85℃に加熱し、30分間保持する。EA、MAA、およびC12−EO23−MAのモノマーエマルジョンを1.5時間にわたって添加し、次いで供給が完了した後30分間保持する。
【実施例2】
【0042】
【表2】

【0043】
実施例2は、実施例1に基づき、Wacker Chemie(「CD」)から得られるヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル)−b−シクロデキストリン(Cavasol(商標)W7M TLを添加することを伴う。シクロデキストリンは任意に第三段階において添加してもよい。
【実施例3】
【0044】
【表3】

【0045】
実施例3は実施例1に基づき、段階AにおいてC18−EO20−MAモノマーの代わりにラウリルアクリレート疎水性モノマーを有する。
【実施例4】
【0046】
【表4】

【0047】
実施例4は約20,000の数平均分子量Mnを有するテレケリックアルカリ膨潤性エマルジョン増粘剤を製造する。
【実施例5】
【0048】
【表5】

【0049】
実施例5はより少ないレベルの開始剤NaPSを使用する。
【実施例6】
【0050】
【表6】

【0051】
実施例6は段階Aにおいて別の疎水性モノマーを使用する。
【比較例A】
【0052】
【表7】

【0053】
比較例Aはあるレベルの開始剤(NaPS)、約10重量%のRAFT剤、例えば、米国特許出願公開2006/0039939号および2006/0223936号に記載されているものを使用する。この実施例は変換が不十分である。即ち、約80%未満のモノマーが組み入れられる。
【比較例B】
【0054】
【表8】

【0055】
【化1】

【0056】
比較例Bは米国特許出願公開第2006/0039939号の教唆に従って作られた。前記特許において開示される方法は、アルコールのカルボキシルRAFT剤とのエステル化を含み、その結果、低収率のジエステルRAFT剤が得られ、エステル化プロセス中にRAFT剤が著しく分解した。前記の合成において、低い変換率すなわち約60%未満及びEAの過度の還流を伴う非常に不十分な反応速度が見出された。ポリマーは未反応モノマーから単離され、本発明の増粘剤と比較して不十分な増粘剤であることが判明した。エステル基により結合した1つのテレケリック疎水性基への増粘剤の依存は、経時的な粘度の喪失を引き起こしたことが見出され、これは、おそらくエステル基が約9のpHを有する水性コーティング組成物中で加水分解したためである。
【実施例7】
【0057】
水性エマルジョンポリマーの調製
実施例7は、低温で、非常に高収率のジエステルRAFT剤3を伴う著しく穏やかな条件下で疎水性基上のグリシジルエーテル官能基と反応させるカルボン酸含有RAFT剤を用いること以外は、比較例Bのようにして調製し、テレケリックアルカリ膨潤性エマルジョンポリマー増粘剤を得た。
【0058】
【化2】

【実施例8】
【0059】
水性エマルジョンポリマー、これを含む水性組成物、およびこれを含む乾燥コーティングの評価
実施例1〜6の低粘度水性エマルジョンポリマーはアルカリで膨潤可能であり、pHが約7より高く上昇する場合に高粘度組成物を形成する。テレケリック水性アルカリ膨潤性エマルジョンポリマーは、塗料、コーティングおよびレオロジー制御を必要とする水性組成物の有効な増粘剤である。
【0060】
実施例1〜6の水性エマルジョンポリマー会合性増粘剤は、水性コーティング組成物において使用され、非常に改善した初期ブリスタリング及び耐水特性を伴って、米国特許第4,421,902号に開示されている公知HASE増粘剤に匹敵する増粘化レスポンスをもたらす。増粘化レスポンスは、米国特許出願公開第2006/0039939号に開示されている比較例Aなどの増粘剤よりも有効である。
【0061】
実施例1〜6ならびに比較例AおよびBの会合性増粘剤を含む水性コーティング組成物を使用して、3milフィルムを6月経ったアルキド上にキャストする。フィルムを25℃および50%RHで2時間乾燥させる。次に1”×1”四方のガーゼを適用し、DI水で浸漬する。各実施例1〜6を含むフィルムは60分間浸漬後、ブリスタリングが起こらずまたは剥離しない。比較例AおよびBフィルムは約5分で気泡が生じる。実施例1〜6のそれぞれを含むフィルムは、60および20℃で測定すると、比較例AまたはBを含むフィルムよりも高い光沢を有する。実施例1〜6のそれぞれを含むフィルムはより良好な流動性およびレベリングを有し、比較例AまたはBを含むフィルムに匹敵するサグ抵抗を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合単位として:
ポリマー重量基準で8重量%〜25重量%の酸含有モノマー、
ポリマー重量基準で2重量%〜30重量%の式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCHであり、nは2〜100であり、およびRは4〜36個の炭素原子を含有する基である)、および
ポリマー重量基準で35重量%〜90重量%の(C−C)アルキル(メタ)アクリレート;
を含む水性エマルジョンポリマーであって、
前記ポリマーがリビングフリーラジカル重合法により形成される、水性エマルジョンポリマー。
【請求項2】
共重合単位として:
ポリマー重量基準で8重量%〜25重量%の酸含有モノマー、
ポリマー重量基準で2重量%〜30重量%の式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCHであり、nは2〜100であり、およびRは4〜36個の炭素原子を含有する基である)、および
ポリマー重量基準で35重量%〜90重量%の(C−C)アルキル(メタ)アクリレート;
を含む水性エマルジョンポリマーであって、
前記ポリマーが−C(=S)−S−基を含む化合物の存在下で形成される、水性エマルジョンポリマー。
【請求項3】
請求項1または2記載の水性エマルジョンポリマーを含む水性組成物。
【請求項4】
ポリマーおよび請求項1または2記載の水性エマルジョンポリマーを含む乾燥ポリマー組成物。
【請求項5】
共重合単位として:
ポリマー重量基準で8重量%〜25重量%の酸含有モノマー、
ポリマー重量基準で2重量%〜30重量%の式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCHであり、nは2〜100であり、およびRは4〜36個の炭素原子を含有する基である)、および、
ポリマー重量基準で35重量%〜90重量%の(C−C)アルキル(メタ)アクリレート;
を含む水性エマルジョンポリマーを、リビングフリーラジカル重合法により形成することを含む、水性エマルジョンポリマーを提供するための方法。
【請求項6】
共重合単位として:
ポリマー重量基準で8重量%〜25重量%の酸含有モノマー、
ポリマー重量基準で2重量%〜30重量%の式HC=C(R)−C(O)−O−(CH−CHO)−Rの(メタ)アクリル酸エステル(式中、RはHまたはCHであり、nは2〜100であり、およびRは4〜36個の炭素原子を含有する基である)、および
ポリマー重量基準で35重量%〜90重量%の(C−C)アルキル(メタ)アクリレート;
を含む水性エマルジョンポリマーを、−C(=S)−S−基を含む化合物の存在下で形成することを含む、水性エマルジョンポリマーを提供するための方法。
【請求項7】
a)水性媒体およびポリマーを含む組成物を形成し;
b)それを前記ポリマーの重量基準で0.1重量%から10重量%の請求項1または2記載の水性エマルジョンポリマーと混合し;
c)前記混合物を基体に適用し;および、
d)前記混合物を乾燥するか、または乾燥させることを含む、請求項4記載の乾燥ポリマー組成物を提供するための方法。
【請求項8】
水性組成物を増粘するか、またはレオロジーを変更するための方法であって:それを請求項1または2記載の水性エマルジョンポリマーと混合し;該混合物に、7またはそれ以上のpHを与えることを含む方法。
【請求項9】
RAFT剤を形成する方法であって:
a)カルボン酸官能性RAFT剤を提供し、および、
b)前記RAFT剤を、4〜36個の炭素原子を含むグリシジルエーテル官能性疎水性基と接触させること;
を含む方法。

【公開番号】特開2009−1776(P2009−1776A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−123425(P2008−123425)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】