説明

水性ゲル、皮膚外用剤および化粧料

【課題】化粧料などに用いた場合に、良好な使用感を発現させうる水性ゲルを提供する。
【解決手段】一般式(1):


で示され、GPCにより測定される重量平均分子量が4000〜2000000である化合物であり、該化合物中におけるアシル基の含有率が、0.1〜50.0%である両イオン性両親媒性高分子化合物と、アニオン性高分子化合物との複合体を含有する水性ゲル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性ゲル、皮膚外用剤および化粧料に関する。より詳しくは、本発明は、化粧料などの成分として使用しうる水性ゲル、該水性ゲルを含有した皮膚外用剤および化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌への塗布時に転相し、みずみずしい使用感を発現する化粧料として水中油中水型乳化製剤が知られている(特許文献1および2を参照のこと)。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1および2それぞれに記載の水中油中水型乳化製剤は、製造に際して、乳化工程が2回必要であるため、製造効率が低いという欠点がある。また、前記水中油中水型乳化製剤は、経時安定性が不十分であるという欠点がある。さらに、前記水中油中水型乳化製剤は、塗布後、油中水型エマルション粒子が肌の表面に残るため、ベタツキが生じるという欠点がある。
【0004】
一方、従来、皮膚外用剤または化粧料に用いられているカルボキシビニルポリマーに代表されるゲル化剤が用いられたゲル製剤は、製造効率が、水中油中水型乳化製剤よりも高い点で優れている。
【0005】
しかしながら、かかるゲル製剤では、塗布時にみずみずしい使用感に変化させることは困難であるという欠点がある。また、前記ゲル製剤は、酸化チタン、酸化鉄などの粉体の存在下やアスコルビン酸誘導体などの電解質の存在下では、ゲル構造の破壊が起こりやすいため、安定性が低いという欠点がある。
【特許文献1】特開平11−33391号公報
【特許文献2】特開2002−275029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の欠点に鑑みてなされたものであり、電解質存在下においても、安定的にゲル製剤を維持できること、および化粧料などの成分として用いた場合に、当該化粧料に良好な使用感を発現せしめることの少なくとも1つを達成する、水性ゲルを提供することを1つの課題とする。また、本発明は、優れた安定性を発現すること、および使用時に、良好な使用感を得ることの少なくとも1つを達成する、皮膚外用剤を提供することを他の課題とする。さらに、本発明は、優れた安定性を発現すること、および使用時に、良好な使用感を得ることの少なくとも1つを達成する、化粧料を提供することを別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、1つの側面では、一般式(1):
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、nは、10以上の整数を示し、n個のR1は、それぞれ独立して水素原子または炭素数8〜18のアシル基を示し、n個のR2は、それぞれ独立してカルボキシメチル基または水素原子を示す〕
で示され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が4000〜2000000である化合物であり、該化合物中におけるアシル基の含有率が、0.1〜50.0%である両イオン性両親媒性高分子化合物と、アニオン性高分子化合物との複合体を含有した、水性ゲルに関する。また、本発明は、他の側面では、前記水性ゲルを含有した、皮膚外用剤に関する。さらに、本発明は、別の側面では、水性ゲルを含有した、化粧料に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水性ゲルによれば、電解質存在下においても、安定的に維持できるという優れた効果を奏する。また、本発明の水性ゲルによれば、該水性ゲルを化粧料などの成分として用いた場合に、当該化粧料に良好な使用感を発現せしめることができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の皮膚外用剤によれば、優れた安定性を発現するという優れた効果を奏する。また、本発明の皮膚外用剤によれば、使用時に、良好な使用感が得られるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の化粧料によれば、優れた安定性を発現するという優れた効果を奏する。さらに、本発明の化粧料によれば、使用時に、良好な使用感が得られるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の水性ゲルは、1つの側面では、一般式(1):
【0012】
【化2】

【0013】
〔式中、nは、10以上の整数を示し、n個のR1は、それぞれ独立して水素原子または炭素数8〜18のアシル基を示し、n個のR2は、それぞれ独立してカルボキシメチル基または水素原子を示す〕
で示され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が4000〜2000000である化合物であり、該化合物中におけるアシル基の含有率が、0.1〜50.0%である両イオン性両親媒性高分子化合物と、アニオン性高分子化合物との複合体を含有した、水性ゲルに関する。
【0014】
本発明の水性ゲルは、前記両イオン性両親媒性高分子化合物とアニオン性高分子化合物との複合体を含有していることに1つの大きな特徴がある。
【0015】
前記複合体は、前記両イオン性両親媒性高分子化合物とアニオン性高分子化合物とが相互作用により複合体化されたものである。そのため、前記複合体は、応力の無い状態においてはゲルの状態にあるが、外力が作用することにより、ゲル構造の分子間力の一部または全部が可逆的に破壊されて、ゾル状態となり、流動性を発現し、一方、外力が作用しなくなると、ゲル構造が再生されるというチキソトロピー性を発現する。
【0016】
したがって、本発明の水性ゲルは、前記複合体を含有しているため、該水性ゲルを、化粧料などの成分として用いた場合、当該化粧料などの使用時、例えば、皮膚への塗布時においては、みずみずしい使用感を発揮し、一方、使用後、例えば、皮膚への塗布後においては、ベタツキなどを実質的に発現しないという優れた効果を発揮する。また、前記複合体は、電解質および/または粉体の存在下においても、応力の無い状態においては、ゲルの状態を長期間維持することができ、かつ前記チキソトロピー性をも発揮する。したがって、本発明の水性ゲルによれば、従来は困難であったような電解質および/または酸化チタン、酸化鉄などの粉体の存在下での長期安定性をも発現するという優れた効果を発揮する。
【0017】
なお、本明細書において、「複合体を含有した、水性ゲル」とは、前記複合体のゲル構造中に水などが含まれていてもよいことを意図する。また、本明細書においては、水性ゲル中に前記複合体以外の成分が存在する場合、かかる成分と、前記複合体とがさらに複合体化した産物、またはかかる成分と、前記複合体とが反応して生じた産物を含有している場合も、本発明の目的を妨げないものであれば、「複合体を含有した、水性ゲル」の概念に含まれることを意図する。
【0018】
一般式(1)で示される両イオン性両親媒性高分子化合物において、水性ゲルの形成能の観点から、nは、10以上の整数が好ましく、50000以下の整数が好ましい。
【0019】
一般式(1)で示される両イオン性両親媒性高分子化合物のカルボキシメチル基は、水溶性を高める観点から、好ましくは、カチオン、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどと相互作用して塩を形成していることが望ましい。
【0020】
前記一般式(1)で示される両イオン性両親媒性高分子化合物において、R1は、水素原子または炭素数8〜18のアシル基である。前記アシル基の炭素数は、安定なゲル状態を良好に形成させる観点から、8以上が好ましく、10以上がより好ましく、十分なゲルの水分散性を得る観点から、18以下が好ましい。前記アシル基としては、カルボン酸中のカルボキシル基の水酸基を除いたものであればよく、特に限定されないが、例えば、オクタノイル基、フタロイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレイル基、リノレイル基などが挙げられる。なかでも、ゲル形成能の観点から、好ましくは、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレイル基、リノレイル基である。なお、一般式(1)において、n個のR1は、互いに独立して水素原子または炭素数8〜18のアシル基である。
【0021】
前記一般式(1)で示される両イオン性両親媒性高分子化合物において、R2は、カルボキシメチル基または水素原子である。前記R2は、安定性に優れたゲル形成能を発揮させる観点から、好ましくは、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基である。なお、一般式(1)において、n個のR2は、互いに独立してカルボキシメチル基または水素原子である。
【0022】
前記両イオン性両親媒性高分子化合物中におけるアシル基の含有率は、ゲルを良好に形成させる観点から、0.1%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましく、2.0%以上がさらに好ましく、十分なゲルの水分散性を得る観点から、50%以下が好ましく、25.0%以下がより好ましい。なお、本明細書において、「アシル基の含有率」とは、一般式(1)で示される両イオン性両親媒性高分子化合物中に含まれるアシル基の数(割合)を意味し、400MHz 1H-NMRによる分析を行ない、0.8〜0.9ppmに対応するピークの位置に検出されるアシル基のメチル基プロトンのピーク面積と3.0〜3.3ppmに対応するピークの位置に検出される構成単糖のC2位のプロトンのピーク面積により決定される値である。
【0023】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される前記両イオン性両親媒性高分子化合物の重量平均分子量は、安定なゲル状態を形成させる観点から、4000以上であり、好ましくは、50000以上であり、十分なゲルの水分散性を得る観点から、2000000以下であり、好ましくは1000000以下であることが望ましい。前記重量平均分子量は、例えば、データモジュールGPC用カートリッジを連結させたGPC−HPLC〔ゲル濾過クロマトグラフィーカラム:東ソー株式会社製、商品名:TSK−gel−G3000WXLおよび商品名:TSK−gel−G2500PWXL、溶媒:0.4M酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.8)〕分析により分子量分布を明らかにすることによって測定される。分子量スタンダードとしては、キトサンオリゴ糖(分子量:4131006)、デキストラン硫酸塩(分子量:5000、8000)、プルラン分子量スタンダードなどが用いられる。
【0024】
前記アニオン性高分子化合物としては、水溶性を示す化合物であればよい。また、前記アニオン性高分子化合物は、増粘作用を発現する化合物であることが望ましい。前記「増粘作用」は、例えば、粘度のない水溶液に加えることにより粘度を上昇させ、ゾル状(粘性は示すが、流動性を有する溶液)の粘性を与える機能を有する性質を付与する作用をいう。
【0025】
前記アニオン性高分子化合物のゼータ電位は、1%水溶液濃度でpH5〜7に設定した場合に、安定なゲル形成能を発揮させる観点から、−5mV以上、好ましくは、−20mV以上であり、十分なゲルの水分散性を得る観点から、−100mV以下、好ましくは、−80mV以下であることが望ましい。なお、前記ゼータ電位は、界面電気二重層による静電反発効果を支配する表面電位を示すものである。
【0026】
前記アニオン性高分子化合物は、天然由来の高分子化合物であってもよく、合成された高分子化合物であってもよい。前記アニオン性高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、セルロースなどの高分子化合物に由来する化合物(具体的には、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸系高分子化合物、アニオン性セルロース系半合成系高分子化合物、天然高分子化合物由来の合成系高分子化合物など);ビニルアルコールなどを主体としたホモポリマーまたはコポリマーなどの高分子化合物;アミノ酸系ポリマー;多糖またはその塩もしくはその誘導体;コラーゲン;これらの混合物などが挙げられる。より具体的には、前記アニオン性高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルキル変性カルボキシビニルポリマー(例えば、Goodrich社製、製品名:ペムレンなど)、カルボキシビニルポリマー(例えば、Goodrich社製、商品名:カーボポール、和光純薬株式会社製、商品名:ハイビスワコーなど)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20コポリマー(例えば、ローム・アンド・ハース社製、商品名:アキュリン22)、アクリルコポリマー(例えば、ローム・アンド・ハース社製、商品名:アキュリン33)、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20コポリマー(例えば、ローム・アンド・ハース社製、商品名:アキュリン88)、アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20コポリマー、ポリアクリル酸、アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ラウレス−25コポリマー、アクリレーツ/ネオデカン酸ビニルクロスコポリマー、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20クロスポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20クロスコポリマー、サクシニル化コラーゲン、カルボキシメチルキチン、サクシニル化キトサン、セルロース硫酸ナトリウム、ゼラチン、ペクチン酸、アラビアゴム、ムチン、カラギーナン、デヒドロキサンタンガム、デキストラン、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸、カラギーナン、ヒアルロン酸、γ−ポリグルタミン酸、アルギン酸などが挙げられる。なかでも、良好なゲル形成能およびゲル安定性を得る観点から、好ましくは、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20コポリマー、アクリルコポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20コポリマー、アクリレーツ/ネオデカン酸ビニルクロスコポリマー、ポリアクリル酸、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、γ−ポリグルタミン酸、カルボキシメチルキチン、サクシニルキトサンが望ましい。なお、前記「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」を意味する。
【0027】
本発明の水性ゲルにおいては、前記複合体は、両イオン性両親媒性高分子化合物と、アニオン性高分子化合物とを、質量比(両イオン性両親媒性高分子化合物/アニオン性高分子化合物)が1/100〜100/1となるように複合化させたものが好ましい。ここで、前記質量比は、良好なゲル形成能および機能を十分に発揮させる観点から、好ましくは、1/100以上、より好ましくは、1/10以上であり、機能を十分に発揮させる観点から、好ましくは、100/1以下、より好ましくは、10/1以下である。
【0028】
本発明の水性ゲルは、電解質をさらに含有していてもよい。本発明の水性ゲルは、前記複合体を含有しているため、従来の水性ゲルに用いられていたゲル化剤単独(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアルコールなどを主体としたホモポリマーまたはコポリマーなどの合成高分子化合物であるアルキル変性カルボキシビニルポリマー、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースから形成されるポリマー)の場合とは異なり、電解質を含有する場合であっても、応力の無い状態におけるゲルの状態を良好に維持できるという優れた効果を発揮する。したがって、本発明の水性ゲルは、従来の水性ゲルよりも、電解質を含有した場合の安定性にも優れる。また、本発明の水性ゲルによれば、電解質を含有した場合であっても、従来のゲルよりも、より高い粘性を有する化粧料など(例えば、水中油型クリーム、エッセンス製剤など)を得ることが可能になる。水性ゲル中における前記電解質の含有量は、0.01〜10.00質量%である。
【0029】
前記電解質としては、化粧料などに用いられうる物質であればよく、具体的には、例えば、アスコルビン酸またはその誘導体などが挙げられる。
【0030】
本発明の水性ゲルによれば、従来の水性ゲルに用いられていたゲル化剤単独を含有した水性ゲルの場合では、ゲル構造の維持が困難であった当該アスコルビン酸またはその誘導体、例えば、アスコルビン酸リン酸エステル塩、例えば、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩などやアスコルビン酸グルコシドなどの使用が可能になる。かかるアスコルビン酸またはその誘導体を含有した本発明の水性ゲルによれば、美白効果(メラニン還元性)、コラーゲン生成の促進効果、活性酸素の除去効果、皮脂抑制などに基づく抗ニキビ効果などの効果を発現する安定な化粧料などの製造を簡便に行なうことができる。また、本発明の水性ゲルによれば、例えば、アスコルビン酸リン酸エステル塩が安定に維持されるpHの範囲(pH8〜9)であっても、応力の無い状態におけるゲル状態を安定的に維持できるため、化粧料などに用いられる前記pH範囲において安定に維持される有効成分の安定化を図ることも可能になる。
【0031】
本発明の水性ゲルは、粘度などの物性の経時安定性を高める観点から、多価アルコールをさらに含有していてもよい。前記多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタジオール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。水性ゲル中における前記多価アルコールの含有量は、0.1〜80.0質量%である。
【0032】
本発明の水性ゲルのpH値は、5.0〜10.0である。前記pH値は、十分なゲル形成能およびゲル安定性を得る観点から、好ましくは、5.5以上、より好ましくは、6.5以上であり、十分なゲルの水分散性を得る観点から、好ましくは、9.5以下、より好ましくは、8.5以下である。
【0033】
本発明の水性ゲルの粘度は、4号ローターと、B型粘度計(ブルックフィード社製、製品名:VISCOMETER)とを用い、回転速度6rpmで、25℃において測定することにより評価されうる。
【0034】
また、本発明の水性ゲルについて、4号ローターと、B型粘度計(ブルックフィード社製、製品名:VISCOMETER)とを用い、回転速度6rpmおよび回転速度60rpmで、25℃における粘度を測定し、回転速度6rpmの場合の粘度に対する回転速度60rpmの粘度の割合を求めることにより、チキソトロピー性が評価されうる。本発明の水性ゲルは、かかる回転速度6rpmの場合の粘度に対する回転速度60rpmの粘度の割合が、例えば、約2.0〜7.0であり、高いチキソトロピー性を発現するものである。
【0035】
本発明の水性ゲルは、例えば、前記両イオン性両親媒性高分子化合物の水溶液を撹拌しながら、該両イオン性両親媒性高分子化合物に対して、質量比として、0.01〜100倍量となるように、前記アニオン性高分子化合物を徐々に添加し、ついで、得られた混合物をホモミキサーなどの攪拌器で、例えば、1000rpmで1分間撹拌させて、該両イオン性両親媒性高分子化合物とアニオン性高分子化合物とを複合化させることにより容易に得られる。かかる複合化により、例えば、前記両イオン性両親媒性高分子化合物に存在するアミノ基と前記アニオン性高分子化合物のアニオン部位とが静電気的に相互作用し、かつ前記両イオン性両親媒性高分子化合物の疎水基により疎水的に相互作用して、それにより、イオン性両親媒性高分子化合物とアニオン性高分子化合物とが3次元網目構造であるネットワーク構造を形成する。また、かかる複合化により、例えば、前記両イオン性両親媒性高分子化合物のカルボキシル基とアニオン性高分子化合物のアニオン部位との間に反発作用が生じうるため、相互作用が弱められ、外力の作用によりゾル化しうる状態のゲルを形成する。前記両イオン性両親媒性高分子化合物とアニオン性高分子化合物との複合化は、室温下でも実施可能であるという利点がある。
【0036】
本発明の水性ゲルは、乳化能にも優れるため、本発明の水性ゲルによれば、従来用いられている低分子界面活性剤を用いなくとも、水中油型乳化製剤を製造することが可能となる。すなわち、本発明の水性ゲルによれば、従来用いられている低分子界面活性剤を用いなくとも、液状油剤を安定的に乳化させることが可能である。そのため、本発明の水性ゲルは、従来にはない変化のあるみずみずしい使用感と肌荒れ改善作用とを有し、かつ塗布後のベタツキがない乳化化粧料や外用剤に広く応用できる。また、本発明の水性ゲルは、酸化チタン、酸化亜鉛、紫外線吸収剤、顔料などに対して、優れた均一分散性を発現し、さらに優れた耐水性をも発現するため、従来にはない変化のあるみずみずしい使用感を有する紫外線防御性の化粧料、皮膚外用剤、乳化ファンデーションなどにも有用である。
【0037】
さらに、本発明の水性ゲルは、皮膚に適用する医薬品;皮膚、毛髪、口腔などに適用する医薬部外品;化粧料などに広く適用することが可能である。本発明の水性ゲルは、ゲル製剤、可溶化型製剤、乳化製剤、やや粘性を有するゾル製剤、エッセンス製剤、液状製剤、水−油2層製剤、粉末含有製剤などの幅広い製剤に応用できる。
【0038】
本発明は、他の側面では、本発明の水性ゲルを含有した、皮膚外用剤に関する。本発明の皮膚外用剤は、本発明の水性ゲルを含有しているため、優れた安定性を発現するという優れた効果を発揮する。また、本発明の皮膚外用剤によれば、本発明の水性ゲルを含有しているため、使用時に、良好な使用感が得られるという優れた効果を発揮する。
【0039】
本発明の皮膚外用剤は、医薬部外品原料規格、化粧品種別配合成分規格、化粧品原料基準、日本薬局方、食品添加物公定書規格などに定められた成分をさらに含有しうる。かかる成分としては、保湿柔軟化剤、抗酸化剤、収斂剤、美白剤、抗菌剤、抗炎症剤、殺菌剤、抗アレルギー剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、安定化剤、ビタミン類、酵素などが挙げられる。
【0040】
また、本発明の皮膚外用剤は、有効成分として、例えば、チロシナーゼ活性阻害作用による美白作用を有する成分、メラニン還元作用による美白作用を有する成分、皮膚細胞を賦活化する抗老化成分、皮膚細胞の酸化を抑える成分などを含有してもよい。
【0041】
前記「チロシナーゼ阻害作用による美白作用を有する成分」としては、特に限定されないが、例えば、生薬抽出物または植物抽出物に含まれる化合物(例えば、ポリフェノール化合物、イソフラバン化合物など)、エラグ酸、アルブチン、ハイドロキノン、コウジ酸リノール酸、リノール酸エチル、リノレン酸などの高級不飽和脂肪酸などが挙げられる。前記生薬抽出物としては、特に限定されないが、例えば、グラブリジン、グラブレジンまたはリコカルコンを含有する、油溶性甘草エキスや甘草フラボノイドなどが挙げられる。また、前記生薬抽出物に含まれる化合物としては、具体的には、特に限定されないが、例えば、リコカルコン、グラブリジン、グラブレジン、甘草フラボノイドなどが挙げられる。前記植物抽出物としては、大豆イソフラボンを含有する大豆抽出物、フェルラ酸を含有する植物抽出物、ピクノジェノールを含有する植物、クララエキス、アンマロク果実エキス、ソウハクヒエキス、ユキノシタエキス、ローズマリーエキス;それらルチン、ヘスペリジンまたはクエルセチンを含有する、植物抽出物オウゴンエキスなどが挙げられる。前記植物抽出物に含まれる化合物としては、具体的には、特に限定されないが、例えば、大豆イソフラボン、フェルラ酸、ピクノジェノール、ルチン、ヘスペリジン、クエルセチン;ブドウ、アセロラなどに由来する植物ポリフェロールなどが挙げられる。
【0042】
前記「メラニン還元作用による美白作用を有する成分」としては、グルタチオン、アセチルシステイン、システインなどのSH化合物;アスコルビン酸、その誘導体およびその塩などが挙げられる。前記アスコルビン酸の誘導体およびその塩としては、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミトイル化アスコルビン酸リン酸およびその塩などのアスコルビン酸リン酸エステルおよびその塩などの水溶性アスコルビン酸誘導体;テトライソパルミチン酸アスコルビル(例えば、製品名:VCIP、日光ケミカルズ株式会社製)、パルミチン酸アスコルビル、イソパルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ジイソパルミチン酸アスコルビルなどのアスコルビン酸アルキルエーテル、アスコルビン酸アルキルエステルなどの疎水性アスコルビン酸誘導体(油溶性ビタミンC誘導体);アスコルビン酸ポリペプチドなども挙げられる。
【0043】
前記「皮膚細胞を賦活化する抗老化成分」としては、レチノール、レチノール誘導体などが挙げられる。前記レチノール誘導体としては、例えば、レチノールアセテート、レチノールパルミテートなどが挙げられる。
【0044】
前記「皮膚細胞の酸化を抑える成分」として、例えば、ビタミンE、ビタミンE誘導体などが挙げられる。前記ビタミンE誘導体としては、ニコチン酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールなどが挙げられる。
【0045】
本発明の皮膚外用剤には、本発明の目的を妨げないものであれば、皮膚外用剤で一般的に用いられる成分が本発明の水性ゲルの効果や機能性を阻害しない範囲で広く配合されうる。前記皮膚外用剤で一般的に用いられる成分としては、特に限定されないが、例えば、セタノール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール;流動パラフィン、スクワランなどの非極性油剤;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル系油剤;小麦胚芽油、オリーブ油などの植物油;トリメチルシロキシケイ酸、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン化合物;パーフルオロポリエーテルなどのフッ素化合物などが挙げられる。
【0046】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚外用剤に通常用いられうる界面活性剤を適宜含有していてもよい。前記界面活性剤としては、低分子界面活性剤であればよく、特に限定されないが、例えば、脂肪酸モノグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤;塩化ベンザルコニウムなどのカチオン系界面活性剤;両性界面活性剤;アニオン界面活性剤などが挙げられる。
【0047】
本発明の皮膚外用剤は、本発明の水性ゲルを含有しているため、該皮膚外用剤は、粉体、顔料などを含有した場合であっても、従来よりも優れた安定性、有効性などを示し、高い粘性と高いチキソトロピー性を示すゲル状の外用剤、ゲル状の乳化外用剤の製剤として提供されうる。
【0048】
本発明は、別の側面では、本発明の水性ゲルを含有した、化粧料に関する。さらに、本発明の化粧料によれば、優れた安定性を発現するという優れた効果を奏する。さらに、本発明の化粧料によれば、使用時に、良好な使用感が得られるという優れた効果を発揮する。
【0049】
本発明の化粧料は、液状油剤をさらに添加することにより、水中油型乳化物とされうる。本発明には、液状油剤をさらに含有した、水中油型乳化物である化粧料も包含される。
【0050】
前記液状油剤としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、スクワラン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、トリ−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、パルミチン酸セチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸プロピレングリコールなどのエステル系液状油剤;コメ油、コメヌカ油、月見草油、コムギ胚芽油、オリーブ油、ホホバ油、ブドウ種子油、カミツレ油、グレープシード油、ローズマリ−油、ウイキョウ油などの植物系液状油;卵黄油などの動物系液状油などが挙げられる。化粧料中における前記液状油剤の含有量は、0.1〜60.0質量%である。
【0051】
本発明の化粧料は、紫外線吸収剤または紫外線散乱剤をさらに含有してもよい。本発明の化粧料が、紫外線吸収剤または紫外線散乱剤をさらに含有するものである場合、かかる化粧料は、皮膚上で再乳化されないという優れた効果を発揮する、したがって、本発明によれば、耐水性にも優れる、紫外線吸収剤または紫外線散乱剤を含有する水中油型乳化物として化粧料を提供することもできる。
【0052】
前記紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシルなどのケイ皮酸誘導体;サリチル酸オクチルなどのサリチル酸誘導体;ブチルメトキシジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体などが挙げられる。
【0053】
前記紫外線散乱剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、アルミナなどにより親水化処理を施した酸化チタンや酸化亜鉛(アルミナ被覆酸化チタン、アルミナ被覆酸化亜鉛)、シリコ−ンや脂肪酸などにより疎水化処理を施した酸化チタンや酸化ジルコリウム(例えば、シリコーン被覆酸化チタン、ステアリン酸被覆酸化チタン、シリコーン被覆酸化ジルコリウム)などが挙げられる。
【0054】
本発明の化粧料は、本発明の目的を妨げないものであれば、本発明の水性ゲルの効果や機能性を阻害しない範囲で、化粧料で一般的に用いられる成分が適宜配合されていてもよい。前記化粧料で一般的に用いられる成分としては、特に限定されないが、例えば、セタノール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール;流動パラフィン、スクワランなどの非極性油剤;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル系油剤;小麦胚芽油、オリーブ油などの植物油;トリメチルシロキシケイ酸、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン化合物;パーフルオロポリエーテルなどのフッ素化合物などが挙げられる。
【0055】
また、本発明の化粧料は、化粧料に通常用いられうる界面活性剤を適宜含有していてもよい。前記界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸モノグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤;塩化ベンザルコニウムなどのカチオン系界面活性剤;両性界面活性剤;アニオン界面活性剤などが挙げられる。
【0056】
さらに、本発明の化粧料は、医薬部外品原料規格、化粧品種別配合成分規格、化粧品原料基準、日本薬局方、食品添加物公定書規格などに定められた成分を適宜含有していてもよい。かかる成分としては、保湿柔軟化剤、抗酸化剤、収斂剤、美白剤、抗菌剤、抗炎症剤、殺菌剤、抗アレルギー剤、紫外線散乱剤、安定化剤、ビタミン類、酵素などが挙げられる。
【0057】
本発明の化粧料は、例えば、クリーム状のスキンケア剤、乳液状の化粧下地、乳化型マスカラ、ファンデーションなどの製剤として提供されうる。なかでも、本発明の化粧料は、本発明の水性ゲルを含有しているため、粉体、顔料などを含有した場合であっても、従来よりも優れた安定性、有効性などを示し、高い粘性と高いチキソトロピー性を示すゲル状の化粧料、ゲル状の乳化化粧料として提供されうる。
【0058】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0059】
(実験例1)
カルボキシメチルキトサンを、「キチン・キトサンハンドブック」(キチン・キトサン研究会編、第241頁、技報堂出版、1995年)に記載の方法に準じて調整した。カルボキシメチルキトサン20gを、10質量%酢酸水溶液400mLに溶解させた。得られた溶液に、エタノール1Lとメタノール1Lとを添加し、十分に攪拌させ、カルボキシメチルキトサン溶液を得た。
【0060】
その後、得られたカルボキシメチルキトサン溶液に、無水ミリスチン酸を、前記カルボキシメチルキトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で、8時間維持し、それにより、該無水ミリスチン酸と、該カルボキシメチルキトサンとを反応させた。
【0061】
反応後の産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(ミリスチン酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。ついで、得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、白色粉末状のN−ミリストイル化カルボキシメチルキトサンを得た。その後、得られたN−ミリストイル化カルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−ミリストイル化カルボキシメチルキトサンのミリストイル化度は、8.7%であることが示された。
【0062】
得られたN−ミリストイル化カルボキシメチルキトサンの重量平均分子量は、データモジュールGPC用カートリッジを連結させたGPC−HPLC〔ゲル濾過クロマトグラフィーカラム:東ソー株式会社製、商品名:TSK−gel−G3000WXLおよび商品名:TSK−gel−G2500PWXL、溶媒:0.4M酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.8)〕分析(GPC分析)により分子量分布を決定することによって測定した。分子量スタンダードとして、キトサンオリゴ糖(分子量:413〜1006)、デキストラン硫酸塩(分子量:5000、8000)、プルラン分子量スタンダード、タンパク質分子量スタンダードなどを用いた。その結果、前記重量平均分子量は、約600000であることが示唆された。
【0063】
(実験例2〜9)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水ミリスチン酸を、前記カルボキシメチルキトサンの0.001モル当量、0.015モル当量、0.06モル当量、0.13モル当量、0.25モル当量、0.52モル当量または0.58モル当量、0.1モル当量となるように添加したことを除き、前記実施例1と同様の手法により、アシル化度(ミリストイル化度):0.1%(実験例3)、1.2%(実験例4)、5.5%(実験例5)、10.5%(実験例6)、22.5%(実験例7)、48.6%(実験例8)および55.8%(実験例9)のN−ミリストイル化カルボキシメチルキトサンを得た。なお、カルボキシメチルキトサンを、ミリストイル化度:0%のカルボキシメチルキトサン(実験例2)とした。
【0064】
(実験例10)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水酢酸を前記カルボキシメチルキトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で、8時間維持した。
【0065】
得られた産物を透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(酢酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−アセチルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−アセチルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−アセチルカルボキシメチルキトサンのアセチル化度は、9.2%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約450000であることが示唆された。
【0066】
(実験例11)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水マロン酸を、前記カルボキシメチルキトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で、8時間維持した。
【0067】
得られた産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(マロン酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−マロニルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−マロニルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−マロニルカルボキシメチルキトサンのマロニル化度は、8.5%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約550000であることが示唆された。
【0068】
(実験例12)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水コハク酸を、前記カルボキシメチルキトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で、8時間維持した。
【0069】
得られた産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(コハク酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−サクシニルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−サクシニルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−サクシニルカルボキシメチルキトサンのサクシニル化度は、N−サクシニルカルボキシメチルキトサン8.3%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約500000であることが示唆された。
【0070】
(実験例13)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水酪酸を、前記カルボキシメチル化キトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で8時間維持した。
【0071】
得られた産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(酪酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−ブチルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−ブチルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−ブチルカルボキシメチルキトサンのブチリル化度は、7.9%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約600000であることが示唆された。
【0072】
(実験例14)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水オクタン酸を、前記カルボキシメチルキトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で8時間維持した。
【0073】
得られた産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(オクタン酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−オクタノイルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−オクタノイルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−オクタノイルカルボキシメチルキトサンのオクタノイル化度は、9.2%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約400000であることが示唆された。
【0074】
(実験例15)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水フタル酸を、前記カルボキシメチル化キトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で8時間維持した。
【0075】
得られた産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(フタル酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−フタロイルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−フタロイルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−フタロイルカルボキシメチルキトサンのフタロイル化度は、8.5%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約500000であることが示唆された。
【0076】
(実験例16)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水デカン酸を、前記カルボキシメチルキトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で8時間維持した。
【0077】
得られた産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(デカン酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−デカノイルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−デカノイルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−デカノイルカルボキシメチルキトサンのデカノイル化度は、8.8%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約550000であることが示唆された。
【0078】
(実験例17)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水ラウリル酸を、前記カルボキシメチルキトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で8時間維持した。
【0079】
得られた産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(ラウリル酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−ラウロイルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−ラウロイルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−ラウロイルカルボキシメチルキトサンのラウロイル化度は、9.5%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約650000であることが示唆された。
【0080】
(実験例18)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水パルミチン酸を、前記カルボキシメチルキトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で8時間維持した。
【0081】
得られた産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(パルミチン酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−パルミトイルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−パルミトイルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−パルミトイルカルボキシメチルキトサンのパルミトイル化度は、8.5%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約700000であることが示唆された。
【0082】
(実験例19)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水ステアリン酸を、前記カルボキシメチルキトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中で45℃、8時間維持した。GPC分析より重量平均分子量は、約700000であることが示唆された。
【0083】
得られた産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(ステアリン酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−ステアロイルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−ステアロイルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−ステアロイルカルボキシメチルキトサンのステアロイル化度は、8.1%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約700000であることが示唆された。
【0084】
(実験例20)
前記実験例1におけるカルボキシメチルキトサン溶液に、無水オレイン酸を、前記カルボキシメチル化キトサンの0.1モル当量となるように、徐々に添加した。得られた混合物を、還流中、45℃で、8時間維持した。
【0085】
得られた産物を、透析膜(ミリポア社製、分画分子量:10000)に供して、未結合の脂肪酸(オレイン酸)を除去した。得られた産物を、アセトン沈殿に供し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、順に、エーテル、アセトンおよびエーテルを用いて洗浄し、乾燥させ、それにより、N−オレイルカルボキシメチルキトサンを得た。得られたN−オレイルカルボキシメチルキトサンを、500MHzの1H−NMR分析に供した。その結果、得られたN−オレイルカルボキシメチルキトサンのオレイル化度は、7.8%であることが示された。GPC分析より重量平均分子量は、約650000であることが示唆された。
【0086】
(試験例1)
前記実験例2〜9のカルボキシメチルキトサンまたはN−ミリストイルカルボキシメチルキトサン1gを、精製水100mLに分散させ、カルボキシメチルキトサン分散液またはN−ミリストイルカルボキシメチルキトサン分散液を得た。また、アニオン性高分子化合物であるカルボキルビニルポリマー0.3gを精製水47mLで分散させ、アニオン性高分子化合物分散液を得た。
【0087】
カルボキシメチルキトサン分散液またはN−ミリストイルカルボキシメチルキトサンに、アニオン性高分子化合物分散液を、攪拌器で攪拌させながら、室温下で徐々に添加した。得られた混合物に、多価アルコールであるブチレングリコール3gを添加した。その後、ホモミキサーで、5000rpmで2分間、室温にて撹拌させた。ついで、得られた産物を、室温下で24時間静置させた。
【0088】
得られた産物について、4号ローターと、B型粘度計(ブルックフィード社製、製品名:VISCOMETER)とを用い、回転速度6rpmにおける粘度を測定することにより、ゲル形成能を評価した。なお、ゲル形成能は、24時間静置の前後で粘度が顕著に上昇しゲルを形成し、粘度が10000mPa・s以上である場合を、「良好」、粘度が上昇しゲルを形成するが、粘度が10000mPa・s未満の場合を、「可」、粘度上昇によるゲルを形成しない場合を、「不良」として評価した。その結果を、表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
その結果、表1に示されるように、アシル化度が、0.1〜48.6%の場合、ゲルを形成することがわかる。
【0091】
(試験例2)
前記実験例1、実験例10〜20のN−アシル化カルボキシメチルキトサンと、アニオン性高分子化合物であるカルボキシルビニルポリマーにより複合化させたゲルについて、試験例1と同様に、ゲル形成能を評価した。
【0092】
得られた産物について、4号ローターと、B型粘度計(ブルックフィード社製、製品名:VISCOMETER)とを用い、回転速度6rpmにおける粘度を測定することにより、ゲル形成能を評価した。なお、ゲル形成能は、24時間静置の前後で粘度が顕著に上昇しゲルを形成し、粘度が10000mPa・s以上である場合を、「良好」、粘度が上昇しゲルを形成するが、粘度が10000mPa・s未満の場合を、「可」、粘度上昇によるゲルを形成しない場合を、「不良」として評価した。その結果を、表2に示す。
【0093】
【表2】

【0094】
その結果、表2に示されるように、炭素数8〜18のN−アシル化カルボキシメチルキトサンの場合、ゲルを形成することがわかる。
【0095】
さらに、前記N−アシル化カルボキシメチルキトサンについて、液状油剤であるスクワランに対する乳化能について評価した。前記実験例10〜20のカルボキシメチルキトサンまたはN−アシル化カルボキシメチルキトサン1gを、精製水 100mLに分散させ、カルボキシメチルキトサン分散液またはN−アシル化カルボキシメチルキトサン分散液を得た。これらの分散液に液状油剤であるスクワラン50gを徐々に添加しながら、ホモミキサーで、7000rpmで2分間、60℃にて撹拌させた。ついで、得られた産物を、室温下で48時間静置させた。
【0096】
なお、スクワラン乳化能は、乳化物を形成し48時間静置で分離のない場合を、「良好」、乳化物を形成するが48時間静置で分離する場合を、「可」、乳化物を形成しない場合を、「不良」として評価した。その結果を表3に示す。
【0097】
【表3】

【0098】
その結果、表3に示されるように、炭素数8〜18のカルボキシメチル化−N−アシル化キトサンの場合、スクワラン乳化能を発揮することがわかる。
【0099】
(試験例3)
実験例1で得られたN−ミリストイルカルボキシメチルキトサン(ミリストイル化度:8.7%)1gを、精製水100mLに分散させ、N−ミリストイルカルボキシメチルキトサン分散液を得た。
【0100】
また、アニオン性高分子化合物、両イオン性高分子化合物、ノニオン性高分子化合物またはカチオン性高分子化合物0.3gを精製水47mLで分散させ、アニオン性高分子化合物分散液を得た。
【0101】
N−ミリストイルカルボキシメチルキトサン分散液に、高分子化合物分散液を、攪拌器で攪拌させながら、室温下で徐々に添加した。得られた混合物に、多価アルコールであるブチレングリコール 3gを添加した。その後、ホモミキサーで、5000rpmで2分間、室温にて撹拌させた。ついで、得られた産物を、室温下で24時間静置させた。得られた産物の粘度を、4号ローターと、B型粘度計(ブルックフィード社製、製品名:VISCOMETER)とを用い、6.0rpmの場合の25℃における粘度を測定した。
【0102】
得られた産物のゲル形成能は、24時間静置の前後で粘度が顕著に上昇しゲルを形成し、粘度が10000mPa・s以上である場合を、「良好」、粘度が上昇しゲルを形成するが、粘度が10000mPa・s未満の場合を、「可」、粘度上昇によるゲルを形成しない場合を、「不良」として評価した。
【0103】
また、前記産物の粘度を、4号ローターと、B型粘度計(ブルックフィード社製、製品名:VISCOMETER)とを用い、回転速度6.0rpmの場合の25℃における粘度を測定した。
【0104】
さらに、得られた産物を、40℃で2ヶ月維持し、前記と同様に、粘度を測定した。ついで、40℃で2ヶ月後の維持前後におけるゲルの粘度減少率を求めた。ゲルの安定性は、前記粘度減少率が20%未満である場合を、「良好」、粘度減少率が20〜50%である場合を、「可」、粘度減少率が50%を超える場合を、「不良」として評価した。
【0105】
また、前記産物の粘度を、4号ローターと、B型粘度計(ブルックフィード社製、製品名:VISCOMETER)とを用い、6.0rpmおよび60.0rpmそれぞれの場合の25℃における粘度を測定した。6.0rpmの場合の粘度に対する60.0rpmの粘度の割合を算出した。ゲルのチキソトロピー性は、前記割合が3.0以上の場合を、「良好」、該割合が2.0〜3.0未満である場合を、「可」、該割合が2.0未満である場合を、「不良」として評価した。
【0106】
これらの結果を、表4〜7に示す。
【0107】
【表4】

【0108】
【表5】

【0109】
【表6】

【0110】
【表7】

【0111】
その結果、表4に示されるように、実験例1のN−ミリストイルカルボキシメチルキトサンと、アニオン性高分子化合物とを用いた場合、10000mPa・sの高粘性を有する無色半透明のゲルが得られることがわかる。また、かかるゲルは、表4に示されるように、安定性に優れ、高いチキソトロピー性を発現することがわかる。そのため、実験例1のN−ミリストイルカルボキシメチルキトサンと、アニオン性高分子化合物とを用いて得られたゲルを肌に塗布した場合、当該ゲルがゾル化し、瞬時に転相、変化することにより、みずみずしい使用感が得られることが示唆される。一方、表5〜7に示されるように、実験例1のN−ミリストイルカルボキシメチルキトサンと、両イオン性高分子化合物、ノニオン性高分子化合物またはカチオン性高分子化合物とを用いた場合、実験例1のN−ミリストイルカルボキシメチルキトサンと、アニオン性高分子化合物とを用いた場合に比べ、ゲル形成能、安定性およびチキソトロピー性に劣るゲルが生じることがわかる。
【0112】
(実施例1)
表8に示される組成のゲル化製剤を調製した。
【0113】
【表8】

【0114】
グリセリンと、ジプロピレングリコールと、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムと、エタノールと、パラオキシ安息香酸メチルと、水酸化ナトリウムと、精製水とを混合し、60℃に加熱した。得られた混合物に、ゲルを添加し、分散させた。得られた分散物を、24時間放置して、ゲル化させ、ゲル化製剤(pH:6.8)を得た。
【0115】
得られたゲル化製剤について、前記試験例3と同様に、回転速度6rpmの場合および回転速度60rpmの場合の25℃における粘度を測定した。その結果、回転速度6rpmの場合のゲル化製剤の粘度は、25000mPa・sであった。また、回転速度6rpmの場合の粘度の値に対する回転速度60rpmの場合の粘度の値の割合は、5.1であり、前記ゲル化製剤は、高いチキソトロピー性を発現することが示された。
【0116】
(実施例2)
表9に示される組成のゲル化製剤を調製した。
【0117】
【表9】

【0118】
グリセリンと、ジプロピレングリコールと、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムと、エタノールと、パラオキシ安息香酸メチルと、水酸化ナトリウムと、精製水とを混合し、60℃に加熱した。得られた混合物に、ゲルを添加し、分散させた。得られた分散物を、24時間放置して、ゲル化させ、ゲル化製剤(pH:7.2)を得た。
【0119】
得られたゲル化製剤について、前記試験例3と同様に、回転速度6rpmの場合および回転速度60rpmの場合の25℃における粘度を測定した。その結果、回転速度6rpmの場合のゲル化製剤の粘度は、31000mPa・sであった。また、回転速度6rpmの場合の粘度の値に対する回転速度60rpmの場合の粘度の値の割合は、5.4であり、前記ゲル化製剤は、高いチキソトロピー性を発現することが示された。
【0120】
(実施例3)
表10に示される組成のゲル化製剤を調製した。
【0121】
【表10】

【0122】
グリセリンと、ジプロピレングリコールと、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムと、エタノールと、パラオキシ安息香酸メチルと、水酸化ナトリウムと、精製水とを混合し、50℃で加熱溶解した。得られた混合物に、ゲルを添加し、分散させた。得られた分散物を、24時間放置して、ゲル化させ、ゲル化製剤(pH:7.5)を得た。
【0123】
得られたゲル化製剤について、前記試験例3と同様に、回転速度6rpmの場合および回転速度60rpmの場合の25℃における粘度を測定した。その結果、回転速度6.0rpmの場合のゲル化製剤の粘度は、22000mPa・sであった。また、回転速度6rpmの場合の粘度の値に対する回転速度60rpmの場合の粘度の値の割合は、3.1であり、前記ゲル化製剤は、高いチキソトロピー性を発現することが示された。
【0124】
(比較例1)
表11に示される組成のゲル化製剤を調製した。
【0125】
【表11】

【0126】
カルボキシビニルポリマー(Goodrich社製、商品名:カーボポール)と、グリセリンと、ジプロピレングリコールと、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムと、エタノールと、パラオキシ安息香酸メチルと、精製水とを混合し、50℃で加熱溶解した。得られた混合物に、水酸化ナトリウムを添加し、分散させた。得られた分散物を、24時間放置して、ゲル化させ、ゲル化製剤(pH:7.1)を得た。
【0127】
得られたゲル化製剤について、前記試験例3と同様に、回転速度6rpmの場合および回転速度3.0rpmの場合の25℃における粘度を測定した。その結果、回転速度6.0rpmの場合のゲル化製剤の粘度は、9200mPa・sであった。また、回転速度6rpmの場合の粘度の値に対する回転速度60rpmの場合の粘度の値の割合は、1.7であり、前記ゲル化製剤は、実施例1〜3のゲル化製剤に比べ、低いチキソトロピー性を示した。
【0128】
(比較例2)
表12に示される組成のゲル化製剤を調製した。
【0129】
【表12】

【0130】
アルキル変性カルボキシビニルポリマー(Goodrich社製、商品名:ペムレン)と、グリセリンと、ジプロピレングリコールと、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムと、エタノールと、パラオキシ安息香酸メチルと、精製水とを混合し、50℃に加熱した。得られた混合物に、水酸化ナトリウムを添加し、分散させた。得られた分散物を、24時間放置して、ゲル化させ、ゲル化製剤(pH:7.2)を得た。
【0131】
得られたゲル化製剤について、前記試験例3と同様に、回転速度6rpmの場合および回転速度60rpmの場合の25℃における粘度を測定した。その結果、回転速度6rpmの場合のゲル化製剤の粘度は、8500mPa・sであった。また、回転速度6rpmの場合の粘度の値に対する回転速度60rpmの場合の粘度の値の割合は、1.5であり、前記ゲル化製剤は、実施例1〜3のゲル化製剤に比べ、低いチキソトロピー性を示した。また、比較例2のゲル化製剤は、実施例2のゲル化製剤に比べ、アルキル変性カルボキシポリマーの配合量が高いにもかかわらず、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムにより、粘度が低下することがわかる。
【0132】
(試験例4)
実施例1〜3ならびに比較例1および2のゲル化製剤の「塗布時の転相感」、「塗布後のみずみずしさ」、「塗布後のベタツキのなさ」および「塗布後のしっとり感」について、女性モニター 50人による評価を行なった。結果を表13に示す。なお、表中、「優良」は、「塗布時の転相感」、「塗布後のみずみずしさ」、「塗布後のベタツキのなさ」または「塗布後のしっとり感」を感じると答えた回答率が70%以上である場合、「良好」は、該回答率が50%以上、70%未満である場合、「可」は、該回答率が30%以上、50%未満である場合、「不良」は、回答率が30%未満である場合を示す。
【0133】
【表13】

【0134】
その結果、表13に示されるように、実施例1〜3のゲル化製剤は、いずれも、「塗布時の転相感」、「塗布後のみずみずしさ」、「塗布後のベタツキのなさ」および「塗布後のしっとり感」に優れることがわかる。一方、比較例1および2のゲル化製剤は、実施例1〜3のゲル化製剤に比べ、「塗布時の転相感」、「塗布後のみずみずしさ」、「塗布後のベタツキのなさ」および「塗布後のしっとり感」が劣っていることがわかる。
【0135】
(実施例4)
表14に示される組成のゲル状クリームを調製した。
【0136】
【表14】

【0137】
実験例26のゲルと、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムと、グリセリンと、ジプロピレングリコールと、メチルパラオキシ安息香酸と、精製水とを混合し、溶解させ、混合物1を得た。また、ステアリルアルコールと、レチノールと、イソノナン酸イソノニルとを混合し、60℃に加熱し、混合物2を得た。その後、前記混合物1と混合物2とを混合した。得られた産物を、ホモミキサーに供し、4500rpm、1分間処理することにより、乳化させ、ゲル状の水中油型乳化クリーム(pH:6.5)を得た。
【0138】
得られた水中油型乳化クリームについて、前記試験例3と同様に、回転速度6rpmの場合および回転速度60rpmの場合の25℃における粘度を測定した。その結果、回転速度6rpmの場合のゲル化製剤の粘度は、35000mPa・sであった。また、回転速度6rpmの場合の粘度の値に対する回転速度60rpmの場合の粘度の値の割合は、4.2であり、前記水中油型乳化クリームは、高いチキソトロピー性を発現することが示された。
【0139】
(実施例5)
表15に示される組成の水系のゲル状ファンデーションを調製した。
【0140】
【表15】

【0141】
実験例39のゲルと、微粒子酸化チタンと、酸化鉄と、タルクと、ベンガラと、グリセリンと、シトルリンと、テアニンと、アスコルビン酸グルコシドと、精製水とを混合し、混合物1を得た。また、セタノールと、ポリメチルシロキサンとを混合し、70℃に加熱し、溶解させ、混合物2を得た。その後、前記混合物1と混合物2とを混合した。得られた産物を、ホモミキサーに供し、7000rpm、1分間処理することにより、乳化させ、ゲル状の水中油型乳化ファンデーション(pH:6.9)を得た。
【0142】
得られたゲル状の水中油型乳化ファンデーションについて、前記試験例3と同様に、回転速度6rpmの場合および回転速度60rpmの場合の25℃における粘度を測定した。その結果、回転速度6rpmの場合のゲル化製剤の粘度は、27000mPa・sであった。また、回転速度6rpmの場合の粘度の値に対する回転速度60rpmの場合の粘度の値の割合は、4.1であり、前記水中油型乳化ファンデーションは、高いチキソトロピー性を発現することが示された。
【0143】
(実施例6)
表16に示される組成の日焼け止め化粧料を調製した。
【0144】
【表16】

【0145】
アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムと、グリセリンと、ジプロピレングリコールと、微粒子酸化チタンと、精製水とを混合し、60℃に加熱した。得られた混合物に、実験例27のゲルを添加し、混合物1を得た。また、ステアリルアルコールと、パラメトキシ桂皮酸エチルヘキシルと、イソノナン酸イソノニルとを混合し、60℃に加熱し、溶解させ、混合物2を得た。その後、前記混合物1と混合物2とを混合した。得られた産物を、ホモミキサーに供し、4500rpm、1分間処理することにより、乳化させ、ゲル状の水中油型乳化物として、日焼け止めクリーム(pH:6.9)を得た。
【0146】
得られた日焼け止めクリーム(pH:6.9)について、前記試験例3と同様に、回転速度6rpmの場合および回転速度60rpmの場合の25℃における粘度を測定した。その結果、回転速度6rpmの場合のゲル化製剤の粘度は、41000mPa・sであった。また、回転速度6rpmの場合の粘度の値に対する回転速度60rpmの場合の粘度の値の割合は、5.2であり、前記日焼け止めクリームは、高いチキソトロピー性を発現することが示された。
【0147】
(比較例3)
表17に示される組成の日焼け止め化粧料を調製した。
【0148】
【表17】

【0149】
アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムと、グリセリンと、ジプロピレングリコールと、微粒子酸化チタンと、ヒアルロン酸と、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20コポリマー(ローム・アンド・ハース社製、商品名:アキュリン22)と、精製水とを混合し、60℃に加熱し、混合物1を得た。また、イソノナン酸イソノニルと、オレイン酸ソルビタンと、ポリオキシエチレン(40)セチルエーテルと、ポリオキシエチレン(20)ステアリン酸ソルビタンとを混合し、70℃に加熱し、溶解させ、混合物2を得た。その後、前記混合物1と混合物2とを混合した。得られた産物を、ホモミキサーに供し、4500rpm、1分間処理することにより、乳化させ、ゲル状の水中油型乳化物として、日焼け止めクリーム(pH:6.6)を得た。
【0150】
得られた日焼け止めクリームについて、前記試験例3と同様に、回転速度6rpmの場合および回転速度60rpmの場合の25℃における粘度を測定した。その結果、回転速度6rpmの場合のゲル化製剤の粘度は、27000mPa・sであった。また、回転速度3.0rpmの場合の粘度の値に対する回転速度6.0rpmの場合の粘度の値の割合は、1.2であり、前記日焼け止めクリームは、実施例6の日焼け止めクリームに比べ、低いチキソトロピー性を示した。
【0151】
(試験例5)
実施例6の日焼け止めクリームおよび比較例3の日焼け止めクリームのそれぞれについて、米国食品医薬品局(FDA)に準じた方法で、SPF(Sun Protection Factor)を測定することにより、以下のように、耐水性試験を行なった。なお、SPF値は、サンプル塗布部の最小紅斑量/サンプル無塗布部の最小紅斑量を示し、数値が高い程、紫外線防御効果が高いことを示す。また、最小紅斑量は、健常人において、紫外線を皮膚に照射したとき、24時間後に紅斑を惹起する最小の照射量を示す。
【0152】
成人男女各10名の被験者の背部の20cm2の範囲の部分内に、実施例6の日焼け止めクリームおよび比較例3の日焼け止めクリームのそれぞれを、2mg/cm2のとなるように塗布した。塗布直後、最小紅斑量を測定した。
【0153】
さらに、前記日焼け止めクリームの塗布部位に隣接する部分に、実施例6の日焼け止めクリームおよび比較例3の日焼け止めクリームのそれぞれを、2mg/cm2のとなるように塗布し、十分乾燥させた。
【0154】
つぎに、順に、屋内プールでの20分間の水中運動、20分間の休憩および屋内プールでの20分間の水中運動を被験者に行なわせた。ついで、タオルを使わずに、日焼け止めクリームの塗布部分を乾燥させた。その後、最小紅斑量を測定した。水中運動前後のSPFを調べた結果を表18に示す。なお、表中、SPFは、成人男女各10名の被験者における日焼け止めクリームの未塗布部分および塗布部分に対して、光源としてキセノンアークソーラーシミュレーター(ソーラーライト社製、商品名:モデル600)を用いて紫外線を照射し、未塗布部分の最小紅斑量および試料塗布部の最小紅斑量それぞれを測定し、試料塗布部の最小紅斑量に対する未塗布部分の最小紅斑量の値を算出し、ついで、被験者の平均値を算出することにより求めた値である。
【0155】
【表18】

【0156】
表18に示されるように、実施例6の日焼け止めクリームによれば、SPFの値から、水中運動の前後において、96.6%の残存率を示すという優れた耐水性を発揮することがわかる。一方、従来の日焼け止めクリーム(比較例3)では、実施例6の日焼け止めクリームに比べ、耐水性が著しく劣ることがわかる。
【0157】
このように、所定の両イオン性両親媒性高分子化合物とアニオン性高分子化合物との複合体を含有したゲルを含有した水中油型乳化物、日焼け止めクリームなどは、使用時における優れた転相感、清涼感などを発揮し、かつ化粧効果、有効性の持続性、耐水性などが著しく向上していることがわかる。
【0158】
(実施例7)
表19に示される組成の毛髪用化粧料であるゲル状ヘアトリートメントを調製した。
【0159】
【表19】

【0160】
水素添加リン脂質と、ステアリルアルコールと、ブチレングリコールと、精製水とを混合し、70℃に加熱し、混合物を得た。得られた混合物に、実験例27のゲルを添加し、混合物1を得た。また、セラミド3と、高粘度型ポリメチルシロキサンと、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを混合し、70℃に加熱し、溶解させ、混合物2を得た。その後、前記混合物1と混合物2とを混合した。得られた産物を、ホモミキサーに供し、4500rpm、1分間処理することにより、乳化させ、ゲル状の水中油型乳化物として、ヘアトリートメント(pH:6.2)を得た。
【0161】
得られたヘアトリートメントについて、前記試験例3と同様に、回転速度6rpmの場合および回転速度60rpmの場合の25℃における粘度を測定した。その結果、回転速度6rpmの場合のゲル化製剤の粘度は、39000mPa・sであった。また、回転速度6rpmの場合の粘度の値に対する回転速度60rpmの場合の粘度の値の割合は、4.9であり、前記ヘアトリートメントは、高いチキソトロピー性を発現することが示された。
【0162】
(試験例6)
重量平均分子量が異なるカルボキシメチルキトサンを用い、実施例1と同様に、ミリストイル化度が6〜9%である重量平均分子量が異なるN−ミリストイルカルボキシメチルキトサンを調製した。なお、重量平均分子量は、GPC分析により測定された値である。
【0163】
ついで、得られた各N−ミリストイルカルボキシメチルキトサン1gを、精製水100mLに分散させ、N−ミリストイルカルボキシメチルキトサン分散液を得た。また、アニオン性高分子化合物であるカルボキルビニルポリマー0.3gを精製水47mLで分散させ、アニオン性高分子化合物分散液を得た。
【0164】
N−ミリストイルカルボキシメチルキトサンに、アニオン性高分子化合物分散液を、攪拌器で攪拌させながら、室温下で徐々に添加した。得られた混合物に、多価アルコールであるブチレングリコール3gを添加した。その後、ホモミキサーで、5000rpmで2分間、室温にて撹拌させた。ついで、得られた産物を、室温下で24時間静置させた。
【0165】
得られた各産物(実験例64〜71)について、4号ローターと、B型粘度計(ブルックフィード社製、製品名:VISCOMETER)とを用い、回転速度6rpmにおける粘度を測定することにより、ゲル形成能を評価した。なお、ゲル形成能は、24時間静置の前後で粘度が顕著に上昇しゲルを形成し、該粘度が10000mPa・s以上である場合を、「良好」、該粘度が上昇しゲルを形成するが、該粘度が10000mPa・s未満の場合を、「可」、該粘度の上昇によりゲルを形成しない場合を、「不良」として評価した。N−ミリストイルカルボキシメチルキトサンの平均分子量の違いとゲル形成能との間の関係を表20に示す。
【0166】
【表20】

【0167】
その結果、表20に示されるように、重量平均分子量が4000〜2000000の場合、ゲルを形成することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明によれば、優れた使用感、優れた安定性などを発揮しうる、皮膚外用剤、化粧料などを提供することが可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】

〔式中、nは、10以上の整数を示し、R1は、それぞれ独立して水素原子または炭素数8〜18のアシル基を示し、R2は、それぞれ独立してカルボキシメチル基または水素原子を示す〕
で示され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が4000〜2000000である化合物であり、該化合物中におけるアシル基の含有率が、0.1〜50.0%である両イオン性両親媒性高分子化合物と、アニオン性高分子化合物との複合体を含有してなる、水性ゲル。
【請求項2】
該アシル基の炭素数が、10〜18である、請求項1記載の水性ゲル。
【請求項3】
該複合体が、両イオン性両親媒性高分子化合物と、アニオン性高分子化合物とを、重量比(両イオン性両親媒性高分子化合物/アニオン性高分子化合物)が1/10〜100/1となるように複合化させたものである、請求項1または2記載の水性ゲル。
【請求項4】
該アシル基の含有率が、1.0〜25.0%である、請求項1〜3いずれか1項に記載の水性ゲル。
【請求項5】
該アシル基の含有率が、2.0〜10.0%である、請求項1〜4いずれか1項に記載の水性ゲル。
【請求項6】
pH値が、5.0〜9.0である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性ゲル。
【請求項7】
電解質をさらに含有してなる、請求項1〜6いずれか1項に記載の水性ゲル。
【請求項8】
該電解質が、アスコルビン酸またはその誘導体である、請求項1〜7いずれか1項に記載の水性ゲル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性ゲルを含有してなる、皮膚外用剤。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性ゲルを含有してなる、化粧料。
【請求項11】
液状油剤をさらに含有してなり、水中油型乳化物である、請求項10記載の化粧料。
【請求項12】
紫外線防御能を有する成分をさらに含有してなる、請求項10または11記載の化粧料。

【公開番号】特開2008−222970(P2008−222970A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67291(P2007−67291)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000112266)ピアス株式会社 (49)
【Fターム(参考)】