説明

水性シロキサン塗料組成物及びその製造方法、表面処理剤、表面処理鋼材並びに塗装鋼材

【課題】有機溶剤を実質的に含まず、室温で良好な貯蔵安定性を有し、硬化皮膜とした際に十分な耐水性を発現するため、金属の腐食防止に有効な水性シロキサン塗料組成物及びその製造方法、該組成物を主成分とする表面処理剤、該処理剤にて処理された表面処理鋼材並びに塗装鋼材を提供する。
【解決手段】(i)エポキシ基を含有するシランカップリング剤、及び(ii)1分子中に加水分解性シリル基を2個以上有し、エポキシ基を含有しない有機ケイ素化合物、又は上記(i)、(ii)成分及び(iv)上記(i)、(ii)成分以外の加水分解性シリル基含有有機ケイ素化合物を、必要により(iii)水性シリカゾルの存在下で加水分解することによって得られる共加水分解物及び/又は(部分)共加水分解縮合物が水に溶解及び/又は分散する水性組成物であって、組成物中のアルコール含有量が5質量%以下であることを特徴とする水性シロキサン塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シランの加水分解物及び/又はその(部分)加水分解縮合物を含有する水性シロキサン塗料組成物及びその製造方法、該組成物を主成分とする表面処理剤、該処理剤にて処理された表面処理鋼材並びに塗装鋼材に関する。
【背景技術】
【0002】
シランの加水分解物及びシリカゾルをベースとする公知の組成物による被覆システムの有する課題は、クロロシランを使用した際の塩化物の存在や、アルコキシシランの加水分解により発生するアルコール及びシラノールの安定化剤兼希釈剤として添加される揮発性の有機溶剤を高い割合で含有することである。
【0003】
アルコキシシランの部分加水分解物や酸系の加水分解触媒を用いることにより、ある程度の貯蔵安定性を保有するシランのゾルゲル系塗料を製造することは可能であるが、これはアルコールをはじめとした有機溶剤系に限定されるものである。アルコキシシランの完全な加水分解に十分な水を使用し、高い固体含有量を有する場合に、前記系の貯蔵安定性が著しく低下し、塗料として製造する途中にシランの加水分解縮合の制御が困難となり、高分子化・ゲル化することも公知である。
【0004】
特表2009−524709号公報(特許文献1)では、水で希釈可能なゾルゲル組成物として、グリシジルオキシプロピルアルコキシシラン、水性シリカゾル、有機酸、チタン又はジルコニウムの有機金属化合物を必須成分とするアルコール低含有のシロキサン水系塗料に関する技術を開示しているが、その使用用途については腐食防止、プライマー等の記述のみであり、有効性を実証する実施例の記載もない。また、該公報では、必須成分に架橋成分として多量の有機金属化合物を使用しているため、硬化皮膜が水と長時間接触する場合においては該成分がシロキサン結合の切断に関与するため、十分な耐水性が発揮されない可能性があった。
【0005】
以上のことから、アルコール等の有機溶剤を実質的に含まず、室温で安定なシロキサン水系塗料、並びに硬化皮膜とした際に十分な耐水性を発現する表面処理剤の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−524709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、アルコール等の有機溶剤を実質的に含まず、室温で良好な貯蔵安定性を有し、硬化皮膜とした際に十分な耐水性を発現するため、金属の腐食防止に有効な水性シロキサン塗料組成物及びその製造方法、該組成物を主成分とする表面処理剤、該処理剤にて処理された表面処理鋼材並びに塗装鋼材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、下記に示す水性シロキサン塗料組成物が、安定性を保持する成分であるアルコール等の有機溶剤を含まなくとも室温で良好な貯蔵安定性を有し、硬化皮膜とした際に十分な耐水性を発現するため、金属の腐食防止に有効な表面処理剤となり得、該処理剤にて処理された鋼材は、腐食することなく、良好な耐水性を有する硬化皮膜が形成されることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は、下記に示す水性シロキサン塗料組成物及びその製造方法、表面処理剤、表面処理鋼材並びに塗装鋼材を提供する。
〔請求項1〕
(i)エポキシ基を含有するシランカップリング剤、及び
(ii)1分子中に加水分解性シリル基を2個以上有し、エポキシ基を含有しない有機ケイ素化合物、
又は
上記(i)、(ii)成分及び
(iv)上記(i)、(ii)成分以外の加水分解性シリル基含有有機ケイ素化合物を、必要により(iii)水性シリカゾルの存在下で加水分解することによって得られる共加水分解物及び/又は(部分)共加水分解縮合物が水に溶解及び/又は分散する水性組成物であって、組成物中のアルコール含有量が5質量%以下であることを特徴とする水性シロキサン塗料組成物。
〔請求項2〕
(i)成分が、下記一般式(1)
【化1】


(式中、R及びR’はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。)
で示される化合物である請求項1記載の水性シロキサン塗料組成物。
〔請求項3〕
(ii)成分が、下記一般式(2)
【化2】


(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、Bは酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれるヘテロ原子又はカルボニル炭素を間に挟んでもよく、置換基を有してもよい直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20の2価の炭化水素基であり、k,mはそれぞれ独立に1〜3の整数である。)
で示される化合物である請求項1又は2記載の水性シロキサン塗料組成物。
〔請求項4〕
(ii)成分が、下記一般式(3)
【化3】


(式中、R5〜R8はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、p,qはそれぞれ独立に1〜3の整数であり、rは1〜10の整数である。)
で示される化合物である請求項2記載の水性シロキサン塗料組成物。
〔請求項5〕
(i)成分と(ii)成分とのモル比が(i)/(ii)=1.0〜50であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の水性シロキサン塗料組成物。
〔請求項6〕
(iii)成分の固体質量と(i)、(ii)成分の質量の和又は(iv)成分を配合する場合は(i)、(ii)、(iv)成分の質量の和との比が(iii)/[(i)+(ii)+(iv)]≦1.0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の水性シロキサン塗料組成物。
〔請求項7〕
組成物中の固体含有量が0.5〜60質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の水性シロキサン塗料組成物。
〔請求項8〕
請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性シロキサン塗料組成物を製造するに際し、(i)〜(iii)成分及び必要に応じて(iv)成分を水中で加水分解反応又は加水分解縮合反応させた後に、発生したアルコールを除去し、アルコール含有量を5質量%以下とすることを特徴とする水性シロキサン塗料組成物の製造方法。
〔請求項9〕
請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性シロキサン塗料組成物を主成分とする表面処理剤。
〔請求項10〕
鋼材の表面が請求項9記載の表面処理剤にて表面処理された表面処理鋼材。
〔請求項11〕
請求項9記載の表面処理剤にて処理され、その上に上層皮膜層が形成されてなることを特徴とする塗装鋼材。
【発明の効果】
【0010】
本発明の室温で安定な水性シロキサン塗料組成物は、架橋剤成分として1分子中に加水分解性シリル基を2個以上有する有機ケイ素化合物の加水分解物及び/又はその(部分)加水分解縮合物を使用することにより、硬化皮膜とした際に常時水に接触する場合においてもシロキサンの切断を起こすことなく、十分な耐水性、皮膜形成性を発現し、腐食抑制効果に優れた塗膜を与える。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の室温で安定な水性シロキサン塗料組成物は、
(i)エポキシ基を含有するシランカップリング剤、及び
(ii)1分子中に加水分解性シリル基を2個以上有し、エポキシ基を含有しない有機ケイ素化合物、
又は
上記(i)、(ii)成分及び
(iv)上記(i)、(ii)成分以外の加水分解性シリル基含有有機ケイ素化合物を、必要により(iii)水性シリカゾルの存在下で加水分解することによって得られる共加水分解物及び/又は(部分)共加水分解縮合物が水に溶解及び/又は分散する水性組成物であって、組成物中のアルコール含有量が5質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下であり、基本的には含有していないものである。
【0012】
(i)エポキシ基を含有するシランカップリング剤
(i)成分のエポキシ基を含有するシランカップリング剤は、1分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基をともに有する化合物であれば特に限定されないが、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0013】
【化4】


(式中、R及びR’はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。)
【0014】
上記式中、R及びR’は炭素数1〜4のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、互いに同一でも異なっていてもよい。Rとしてはメチル基、エチル基が好ましく、R’としてはメチル基が好ましい。
Aの2価炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、この場合、炭素数1〜10、特に1〜6であることが好ましい。このアルキレン基等の2価炭化水素基は、−O−を介在してもよく、また水素原子の1個又はそれ以上がフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよい。Aとしては、例えば、エポキシ基側から−CH2−O−CH2CH2CH2−、−CH2−O−CH2−であるものが好ましい。
nは、1〜3の整数であり、2、3が好ましく、3が特に好ましい。
【0015】
(i)成分の具体的な例としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシランなどが挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。
【0016】
(ii)1分子中に加水分解性シリル基を2個以上有し、エポキシ基を含有しない有機ケイ素化合物
(ii)成分の1分子中に加水分解性シリル基(ケイ素原子に加水分解性基が結合した基)を2個以上有し、エポキシ基を含有しない有機ケイ素化合物は、架橋剤として作用するものであり、1分子中に加水分解性シリル基を2個以上、好ましくは2〜10個含む化合物であれば特に限定されないが、硬化皮膜の耐水性発現と金属基材への塗工性の点から下記一般式(2)で示される化合物であることが好ましい。
【0017】
【化5】


(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、Bは酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれるヘテロ原子又はカルボニル炭素を間に挟んでもよく、置換基を有してもよい直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20、好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜10の2価の炭化水素基であり、k,mはそれぞれ独立に1〜3の整数であり、好ましくは2、3である。)
【0018】
上記式中、R1〜R4は炭素数1〜4のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、互いに同一でも異なっていてもよい。R1はメチル基、エチル基が好ましく、R4はメチル基が好ましい。
【0019】
Bの2価炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、このアルキレン基等の2価炭化水素基は、−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−又は−C(=O)−を介在してもよく、また水素原子の1個又はそれ以上がフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよい。Bとしては、アルキレン基、フッ化アルキレン基が好ましい。例えば、下記のものが例示される。
−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、
−(CH25−、−(CH26−、−(CH28−、
−CH2CH2CH2−NH−CH2CH2CH2−、
−CH2CH2CH2−St−CH2CH2CH2−(但し、tは1〜4)、
−CH2CH2−(CF22−CH2CH2−、
−CH2CH2−(CF24−CH2CH2−。
【0020】
硬化皮膜の耐水性発現と、金属基材への塗工性の点から、更に下記一般式(3)で示される化合物であることが好ましい。
【化6】

【0021】
上記式中、R5〜R8はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、R1〜R4で例示した基と同様のものが例示できる。これらは同一であっても異なっていてもよい。
p,qはそれぞれ独立に1〜3の整数、好ましくは2、3であり、rは1〜10の整数、好ましくは2〜8の整数である。
【0022】
(ii)成分として、具体的には、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)オリゴスルフィド、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)オリゴスルフィド、ビス−(トリメトキシシリル)エタン、ビス−(トリエトキシシリル)エタン、ビス−(トリメトキシシリル)プロパン、ビス−(トリエトキシシリル)プロパン、ビス−(トリメトキシシリル)ブタン、ビス−(トリエトキシシリル)ブタン、ビス−(トリメトキシシリル)ヘプタン、ビス−(トリエトキシシリル)ヘプタン、ビス−(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス−(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス−(トリメトキシシリル)オクタン、ビス−(トリエトキシシリル)オクタン、3,3,4,4−テトラフルオロ−1,6−ビス−(トリメトキシシリル)ヘキサン、3,3,4,4−テトラフルオロ−1,6−ビス−(トリエトキシシリル)ヘキサン、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロ−1,8−ビス−(トリメトキシシリル)オクタン、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロ−1,8−ビス−(トリエトキシシリル)オクタンなどが挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。
【0023】
本発明において、(i)成分と(ii)成分との使用割合は、(i)成分対(ii)成分のモル比(i)/(ii)が1.0〜50であることが好ましく、より好ましくは3.0〜40であり、更に好ましくは5.0〜30である。モル比が(i)/(ii)<1.0である場合には、エポキシシランの比率が少なくなるため水溶性が低下し、組成物の安定性が低下するおそれがある。一方、モル比が(i)/(ii)>50の場合には多官能シリル化合物の比率が少なくなるため、組成物の皮膜形成性の低下や鋼板への密着性が低下するおそれがある。
【0024】
(iv)(i)、(ii)成分以外の加水分解性シリル基含有有機ケイ素化合物
本発明においては、更に(iv)成分として、(i)成分のエポキシ基含有シランカップリング剤や、(ii)成分の1分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有し、エポキシ基を含有しない有機ケイ素化合物以外の加水分解性シリル基含有有機ケイ素化合物の少なくとも1種を配合することができる。
【0025】
(iv)成分として、一般的には、市販されているアルコキシシランやシランカップリング剤等がそれに該当し、具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどが挙げられるが、ここに例示されるものに限らない。
【0026】
上記(iv)成分を用いる場合の使用量は、(i)成分1モルに対して0〜3モル、特に0.1〜2モルであることが好ましい。(iv)成分の使用量が多すぎると水溶液の安定性が低下する場合がある。
【0027】
(iii)水性シリカゾル
(iii)成分の水性シリカゾルは、水に分散するものであれば、市販されている通常のシリカゾル製品でよく、一般には固体含有量が1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%の固体含有量を有するカチオン性のコロイド状に分散するシリカゾルやシリカ内包に空隙を有する中空構造のシリカゾルなどが好ましい。分散媒としては水が好ましいが、水と混和する水性媒体として低級のアルコールであってもよい。pHは3〜5を有するものが一般的であり、酸性のものが好ましいが、アルカリ性又は中性で安定化されたシリカゾルを使用することもできる。更に本発明で使用されるシリカゾルは非晶質の水性SiO2粒子だけでなく、SiO結合のほかにAlO、TiO、ZrO、FeO結合を分子内に含む複酸化物であってもよい。この場合、SiO以外の結合は50モル%以下、特に20モル%以下であることが好ましい。
また、任意成分としてゾルゲル形成される水性の元素酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化亜鉛などの酸化物を配合することもできる。この場合、他の元素酸化物の配合量は、シリカゾルの配合量より少ないことが好ましい。
【0028】
本発明において、(iii)成分の使用量としては、(iii)成分の固体質量対(i)、(ii)及び(iv)成分を配合する場合は(iv)成分の質量の和の比(iii)/[(i)+(ii)+(iv)]が1.0以下であるように用いることが好ましく、より好ましくは0.95以下であるように用いる。上記比が(iii)/[(i)+(ii)+(iv)]>1.0である場合には組成物の安定性が不十分となり、経時で増粘・ゲル化するおそれがある。なお、上記比(iii)/[(i)+(ii)+(iv)]は、耐蝕性向上効果や強度の点から0.1以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましい。
【0029】
本発明の組成物は、上記(i)〜(iii)成分及び必要に応じて(iv)成分を水中で共加水分解反応又は(部分)共加水分解縮合反応させた後に、発生したアルコールを除去する工程を設けることにより調製できる。該工程により組成物中のアルコール含量を5質量%以下とすることが可能となる。
【0030】
本発明において、共加水分解及び(部分)共加水分解縮合は、例えば、酢酸、塩酸、硫酸等の酸触媒、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒の使用量は、触媒量でよいが、(i)成分と(ii)成分の合計100質量部に対して0.5〜20質量部、特に1〜10質量部であることが好ましい。
【0031】
なお、共加水分解及び(部分)共加水分解縮合反応の際に添加される水の量(ここでいう水とは、添加される水性シリカゾルなどに含まれる水分を含めた総和である。)は、上記(i)、(ii)及び(iv)成分中の加水分解性基の合計量1モル当り、1モル以上であることが好ましく、より好ましくは2モル以上、特に好ましくは5モル以上である。上限は特にないが、作業性からは50モル以下、特に20モル以下であることが好ましい。加水分解に使用する水の量が少なすぎると水溶液の安定性が低下することがある。
【0032】
共加水分解、(部分)共加水分解縮合反応及びアルコール除去工程の具体的な条件として、反応温度は30〜110℃、より好ましくは40〜80℃で、アルコール除去工程は除去を促進させるため減圧下としてもよい。減圧する場合、減圧度は60hPa〜常圧、好ましくは60〜200hPaが好ましく、組成物の安定性を冒さない範囲であればこれに限定されない。反応温度が高すぎると組成物の安定性が低下することがあり、反応温度が低すぎるとアルコールの除去効率が低下し、生産効率が低下してしまうことがある。
【0033】
本発明においては、アルコール含有量の測定は、ヘッドスペース法ガスクロマトグラフィーにより測定でき、例えば、該測定で検出される有機溶剤のピークが5%となる場合、アルコールの含有量は5質量%である。
【0034】
本発明の組成物には、上述した(i)〜(iv)成分の他にも、公知の技術として用いられる硬化触媒、レベリング剤等を組成物全体としての安定性が確保できる範囲で含有することができる。また、水溶性有機樹脂のような本発明の組成物に対し、相溶・分散可能な材料に関しては、組成物全体の安定性が確保できる範囲で含有することができる。
【0035】
本発明の組成物は、組成物中の固体含有量が0.5〜60質量%となるように調整することが好ましい。具体的には組成物を加熱乾燥させ、残存する固体残存量(g)/組成物全量(g)=0.05〜0.6となればよい。固体含有量が0.5質量%未満である場合には組成物による形成皮膜が十分な耐水性、プライマー効果を発現しないおそれがある。一方、固体含有量が60質量%より多くなる場合には組成物の安定性が著しく低下するため、製造が困難となる。より好ましい固体含有量は、組成物全体の5〜50質量%である。
【0036】
本発明の組成物は、表面処理剤としての用途が主として挙げられ、被処理基材については有機・無機基材等、特に限定されないが、例えば、厚紙、木材、無垢木、チップボード、各種エンジニアリングプラスチック、有機塗膜上、石材、セラミック、金属及び金属合金などが挙げられ、中でも鉄材、亜鉛メッキ材などの金属表面が好ましい。本発明の組成物は、該金属表面上に優れた腐食抑制作用を有し、機械的に安定で疎水性が高く、更に、本組成物の硬化皮膜上に塗工される有機樹脂材料との接着促進効果をもつ皮膜を形成することを可能とする。
【0037】
本発明の塗料組成物を主成分とする表面処理剤の塗布方法としては、通常の塗布方法で基材にコーティングすることができ、例えば、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フローコート、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、ナイフコート等の各種塗布方法を選択することができ、基材の形状や目標膜厚等、所望とする塗膜の性状に応じて適宜選択することができる。
【0038】
表面処理剤を塗布した後の硬化は、空気中に放置して風乾させてもよいし、加熱してもよい。硬化温度、硬化時間は限定されるものではないが、基材の耐熱温度以下、好ましくは20〜200℃、より好ましくは40〜150℃で10秒〜2時間程度、より好ましくは1分〜1時間加熱することが好ましい。
【0039】
表面処理剤の塗膜(硬化皮膜)厚みは特に制限されないが、0.1〜50μm、特に1〜10μmであることが好ましい。
【0040】
なお、本発明においては、上述したように本発明の表面処理剤で被処理基材を表面処理し、更にこの処理表面上に上層皮膜層を設けることもできる。この場合、上層皮膜層としては、エポキシ系、メラミン系、フェノール系、ウレタン系等の有機樹脂塗料やシリコーン樹脂塗料が例示される。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記例中、粘度、比重、屈折率は、25℃において測定した値である。また、アルコール含量はヘッドスペース法ガスクロマトグラフィーにより測定した値であり、粘度は毛細管式動粘度計による測定に基づくものであり、比重はJIS Z8804に基づいて測定した値であり、屈折率はJIS K0062に基づいて測定した値である。
【0042】
[実施例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM403)103.9質量部(0.44モル)、酢酸5.2質量部(0.09モル)、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロ−1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン10.3質量部(0.03モル)を納め、混合撹拌した。その中に、水性シリカゾル(日産化学工業社製:スノーテックスO、SiO2量20質量%、酸性タイプ(以下、同じ))234.6質量部を投入し、室温で30分混合撹拌した後に加熱し、内温80℃となるように2時間混合撹拌した。この反応液を内温約60℃に冷却した後、イオン交換水89.1質量部を投入、撹拌した後に内温約60℃、減圧度約120〜170hPaで反応により発生したメタノールを留去した。170hPaでの留出物はメタノールが主成分であり、120hPaで留出する成分はメタノールを含有せず、水のみであることを確認することでメタノール留去工程を停止した。この生成物にイオン交換水を添加することで固体含有量を30質量%に調整した。このものは、乳白色の不透明な外観の液体であり、粘度4.4mm2/s、比重1.13、屈折率1.367、pH2.8、メタノール含量0.1質量%未満であった。これを表面処理剤1とする。
【0043】
[実施例2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM403)103.9質量部(0.44モル)、酢酸5.2質量部(0.09モル)、ビストリメトキシシリルヘキサン10.3質量部(0.03モル)を納め、混合撹拌した。その中に、水性シリカゾル(日産化学工業社製:スノーテックスO)234.6質量部を投入し、室温で30分混合撹拌した後に加熱し、内温80℃となるように2時間混合撹拌した。この反応液を内温約60℃に冷却した後、イオン交換水89.1質量部を投入、撹拌した後に内温約60℃、減圧度約120〜170hPaで反応により発生したメタノールを留去した。170hPaでの留出物はメタノールが主成分であり、120hPaで留出する成分はメタノールを含有せず、水のみであることを確認することでメタノール留去工程を停止した。この生成物にイオン交換水を添加することで固体含有量を30質量%に調整した。このものは、乳白色の不透明な外観の液体であり、粘度4.2mm2/s、比重1.13、屈折率1.369、pH2.7、メタノール含量0.1質量%未満であった。これを表面処理剤2とする。
【0044】
[実施例3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM403)52質量部(0.22モル)、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM13)29.9質量部(0.22モル)、酢酸5.2質量部(0.09モル)、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロ−1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン10.3質量部(0.03モル)を納め、混合撹拌した。その中に、水性シリカゾル(日産化学工業社製:スノーテックスO)159.3質量部を投入し、室温で30分混合撹拌した後に加熱し、内温80℃となるように2時間混合撹拌した。この反応液を内温約60℃に冷却した後、イオン交換水60.5質量部を投入、撹拌した後に内温約60℃、減圧度約120〜170hPaで反応により発生したメタノールを留去した。170hPaでの留出物はメタノールが主成分であり、120hPaで留出する成分はメタノールを含有せず、水のみであることを確認することでメタノール留去工程を停止した。この生成物にイオン交換水を添加することで固体含有量を30質量%に調整した。このものは、乳白色の不透明な外観の液体であり、粘度5.9mm2/s、比重1.13、屈折率1.365、pH2.5、メタノール含量0.1質量%未満であった。これを表面処理剤3とする。
【0045】
[実施例4]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM403)77.9質量部(0.33モル)、ジメチルジメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM22)13.2質量部(0.11モル)、酢酸5.2質量部(0.09モル)、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロ−1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン10.3質量部(0.03モル)を納め、混合撹拌した。その中に、水性シリカゾル(日産化学工業社製:スノーテックスO)186.3質量部を投入し、室温で30分混合撹拌した後に加熱し、内温80℃となるように2時間混合撹拌した。この反応液を内温約60℃に冷却した後、イオン交換水71質量部を投入、撹拌した後に内温約60℃、減圧度約120〜170hPaで反応により発生したメタノールを留去した。170hPaでの留出物はメタノールが主成分であり、120hPaで留出する成分はメタノールを含有せず、水のみであることを確認することでメタノール留去工程を停止した。この生成物にイオン交換水を添加することで固体含有量を30質量%に調整した。このものは、乳白色の不透明な外観の液体であり、粘度4.7mm2/s、比重1.12、屈折率1.367、pH2.6、メタノール含量0.1質量%未満であった。これを表面処理剤4とする。
【0046】
[比較例1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM403)103.9質量部(0.44モル)、酢酸5.2質量部(0.09モル)を納め、混合撹拌した。その中に、水性シリカゾル(日産化学工業社製:スノーテックスO)234.6質量部を投入し、室温で30分混合撹拌した後に加熱し、内温80℃となるように2時間混合撹拌した。この反応液を内温約60℃に冷却した後、イオン交換水89.1質量部を投入、撹拌した後に内温約60℃、減圧度約120〜170hPaで反応により発生したメタノールを留去した。170hPaでの留出物はメタノールが主成分であり、120hPaで留出する成分はメタノールを含有せず、水のみであることを確認することでメタノール留去工程を停止した。この生成物にイオン交換水を添加することで固体含有量を30質量%に調整した。このものは、乳白色の不透明な外観の液体であり、粘度5.0mm2/s、比重1.12、屈折率1.369、pH2.8、メタノール含量0.1質量%未満であった。これを表面処理剤5とする。
【0047】
[比較例2]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM403)103.9質量部(0.44モル)、酢酸5.2質量部(0.09モル)、テトラブトキシチタン10.3質量部(0.03モル)を納め、混合撹拌した。その中に、水性シリカゾル(日産化学工業社製:スノーテックスO)234.6質量部を投入し、室温で30分混合撹拌した後に加熱し、内温80℃となるように2時間混合撹拌した。この反応液を内温約60℃に冷却した後、イオン交換水89.1質量部を投入、撹拌した後に内温約60℃、減圧度約120〜170hPaで反応により発生したメタノールを留去した。170hPaでの留出物はメタノールが主成分であり、120hPaで留出する成分はメタノールを含有せず、水のみであることを確認することでメタノール留去工程を停止した。この生成物にイオン交換水を添加することで固体含有量を30質量%に調整した。このものは、乳白色の不透明な外観の液体であり、粘度3.3mm2/s、比重1.13、屈折率1.370、pH2.7、メタノール含量0.1質量%未満であった。これを表面処理剤6とする。
【0048】
[比較例3]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM403)103.9質量部(0.44モル)、酢酸5.2質量部(0.09モル)、テトラブトキシチタン10.3質量部(0.03モル)を納め、混合撹拌した。その中に、水性シリカゾル(日産化学工業社製:スノーテックスO)650質量部を投入し、室温で30分混合撹拌した後に加熱し、内温80℃となるように2時間混合撹拌した。この反応液を内温約60℃に冷却した後、イオン交換水280.1質量部を投入、撹拌した後に内温約60℃、減圧度約120〜170hPaで反応により発生したメタノールを留去した。170hPaでの留出物はメタノールが主成分であり、120hPaで留出する成分はメタノールを含有せず、水のみであることを確認することでメタノール留去工程を停止した。この生成物にイオン交換水を添加することで固体含有量を30質量%に調整した。このものは、乳白色の不透明な外観の液体であり、粘度8.3mm2/s、比重1.17、屈折率1.370、pH2.7、メタノール含量0.1質量%未満であった。これを表面処理剤7とする。
【0049】
処理剤安定性評価
上記で得られた各種表面処理剤をポリ容器に入れ、密封したものを室温で静置保管し、経時での外観、流動性の変化を目視で確認した。
評価結果を表1に記載した。
【0050】
鋼板塗工性評価
みがき鋼板を研磨剤で研磨して表面を親水化させた後に、上記で得られた各種表面処理剤をそれぞれフローコートし、鋼板への濡れ性を目視で確認した。評価結果を表1に記載した。
○:均一に塗工可能
△:端部で僅かに寄りが生じる
×:ハジキ有り、塗工が不均一
【0051】
塩水噴きつけ耐久性評価
上記と同様の鋼板に、上記で得られた表面処理剤を厚さ3μmでフローコートにより塗工した処理鋼板を150℃、1時間で加熱乾燥したものをテストピースとし、該処理鋼板に対して5質量%塩水を噴きつけた後に水平に静置させ、室温で3時間乾燥後、再度5質量%塩水を噴きつける作業を繰り返し、経時での鋼板の腐食具合を目視で確認した。評価結果を表1に記載した。
◎:腐食なし
○:端部で僅かに腐食確認
△:鋼板全体で僅かに腐食確認
×:鋼板全体で腐食が大きい
【0052】
【表1】

【0053】
以上の実施例及び比較例の結果は、本発明の表面処理剤を用いて形成される皮膜が良好な鋼板塗工性、防錆性、耐水性を与えることを実証するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)エポキシ基を含有するシランカップリング剤、及び
(ii)1分子中に加水分解性シリル基を2個以上有し、エポキシ基を含有しない有機ケイ素化合物、
又は
上記(i)、(ii)成分及び
(iv)上記(i)、(ii)成分以外の加水分解性シリル基含有有機ケイ素化合物を、必要により(iii)水性シリカゾルの存在下で加水分解することによって得られる共加水分解物及び/又は(部分)共加水分解縮合物が水に溶解及び/又は分散する水性組成物であって、組成物中のアルコール含有量が5質量%以下であることを特徴とする水性シロキサン塗料組成物。
【請求項2】
(i)成分が、下記一般式(1)
【化1】


(式中、R及びR’はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、Aは酸素原子を間に挟んでもよい炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。)
で示される化合物である請求項1記載の水性シロキサン塗料組成物。
【請求項3】
(ii)成分が、下記一般式(2)
【化2】


(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、Bは酸素原子、硫黄原子、窒素原子から選ばれるヘテロ原子又はカルボニル炭素を間に挟んでもよく、置換基を有してもよい直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20の2価の炭化水素基であり、k,mはそれぞれ独立に1〜3の整数である。)
で示される化合物である請求項1又は2記載の水性シロキサン塗料組成物。
【請求項4】
(ii)成分が、下記一般式(3)
【化3】


(式中、R5〜R8はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、p,qはそれぞれ独立に1〜3の整数であり、rは1〜10の整数である。)
で示される化合物である請求項2記載の水性シロキサン塗料組成物。
【請求項5】
(i)成分と(ii)成分とのモル比が(i)/(ii)=1.0〜50であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の水性シロキサン塗料組成物。
【請求項6】
(iii)成分の固体質量と(i)、(ii)成分の質量の和又は(iv)成分を配合する場合は(i)、(ii)、(iv)成分の質量の和との比が(iii)/[(i)+(ii)+(iv)]≦1.0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の水性シロキサン塗料組成物。
【請求項7】
組成物中の固体含有量が0.5〜60質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の水性シロキサン塗料組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性シロキサン塗料組成物を製造するに際し、(i)〜(iii)成分及び必要に応じて(iv)成分を水中で加水分解反応又は加水分解縮合反応させた後に、発生したアルコールを除去し、アルコール含有量を5質量%以下とすることを特徴とする水性シロキサン塗料組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性シロキサン塗料組成物を主成分とする表面処理剤。
【請求項10】
鋼材の表面が請求項9記載の表面処理剤にて表面処理された表面処理鋼材。
【請求項11】
請求項9記載の表面処理剤にて処理され、その上に上層皮膜層が形成されてなることを特徴とする塗装鋼材。

【公開番号】特開2011−246636(P2011−246636A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122293(P2010−122293)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】