説明

水性ジェル状化粧料

【課題】凹凸補正効果に優れ、ファンデーションの上から重ねづけができて、かつハリ感を付与する効果を併せ持つ水性ジェル状化粧料を提供する。
【解決手段】(A)シリカ被覆シリコーンエラストマー1.5〜20質量%と、(B)水溶性増粘剤としての会合性増粘剤1〜10質量%とを配合する。(B)水溶性増粘剤としては、さらにサクシノグリカンを含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性ジェル状化粧料に関し、さらに詳しくは、ファンデーションの上からの重ねづけができ、凹凸補正効果とハリ感の付与効果に優れた水性ジェル状化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来知られている肌の凹凸を補正し、化粧持ちを高めるための化粧料としては、例えば特許文献1に記載された、シリコーン化多糖化合物と粉末を配合することで、経時の化粧持ち及び強靭さに優れた皮膚の凹凸等を補正する外用組成物がある。この外用組成物は、経時の化粧持ちにおいて一定の効果を有するものの、ファンデーションの上に重ねづけするのが難しく、ハリ感において満足のいくものでない。
【0003】
特許文献2には、シリコーンオイル、疎水性粉末、ポリエーテル変性シリコーン、多糖類、水を含有する乳化組成物とすることにより、凹凸補正効果を持つようにした外用組成物が開示されている。この外用組成物は凹凸補正効果はあるものの、ファンデーションの上に重ねづけするのが難しく、ハリ感もない。
【0004】
【特許文献1】特開2000−16919号公報
【特許文献2】特開2001−158713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、凹凸補正効果に優れ、ファンデーションの上から重ねづけができて、かつハリ感を付与する効果を併せ持つ水性ジェル状化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の成分を含むことを特徴とする水性ジェル状化粧料である。
(A)シリカ被覆シリコーンエラストマー1.5〜20質量%
(B)水溶性増粘剤としての会合性増粘剤1〜10質量%
【0007】
本発明の水性ジェル状化粧料は、化粧直し用の水性ジェル状化粧料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性ジェル状化粧料は、凹凸補正効果に優れ、ファンデーションの上から重ねづけができて、かつハリ感を付与する効果を併せ持つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の最良の実施形態について説明する。
本発明においては、会合性増粘剤を含む水性ジェル状基剤に親水性を持つシリカ被覆シリコーンエラストマーを配合することで、凹凸補正効果とハリ感を付与する。さらに保湿剤を加えることで、凹凸補正効果とハリ感に加え、しっとりさが付与される。
【0010】
(シリカ被覆シリコーンエラストマー)
本発明のシリカ被覆シリコーンエラストマーは、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーにシリカを被覆したものである。シリカ被覆シリコーンエラストマー以外の被覆シリコーンエラストマーを用いた場合は、粉末が経時で沈降してしまう。
シリカ被覆シリコーンエラストマーの市販品としては例えば、「9701 COSMETIC POWDER」(東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0011】
シリカ被覆シリコーンエラストマーの配合量は、1.5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは、5〜10質量%である。シリカ被覆シリコーンエラストマーの配合量が1.5質量%未満では、凹凸補正効果に劣るようになり、20質量%を超えると、ファンデーションの上からの重ね付けをしにくくなる。
【0012】
(会合性増粘剤を含む水溶性増粘剤)
本発明において用いられる水溶性増粘剤は、少なくとも会合性増粘剤を含むものである。かかる会合性増粘剤としては、下記の一般式(1):
1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n−R5]h}m …(1)
(式中、R1、R2及びR4は、互いに同一でも異なっても良い炭化水素基を表し、R3はウレタン結合を有しても良い炭化水素基を表し、R5は直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基を表し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、k及びnは独立に0〜1000の範囲の数である)
で表される化合物からなる疎水変性ポリエーテルウレタンが好ましい。
【0013】
上記疎水変性ポリエーテルウレタンとしては、市販品として、「アデカノールGT−700」(旭電化工業社製、(PEG−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチルジイソシアネート)コポリマー)が挙げられる。
【0014】
会合性増粘剤の配合量は、化粧料全体に対して1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは、1.8〜2.2質量%である。会合性増粘剤の配合量が1質量%未満では、ファンデーションの上からの重ね付けがしにくくなり、またハリ感も劣るようになる。10質量%を超えると、ファンデーションの上からの重ねづけがしにくくなる。
【0015】
本発明においては、上記以外の水溶性増粘剤を含むことができる。かかる水溶性増粘剤としては、例えば、アラビアガム、トラガガントガム、ガラクタン、グアガム、カラキーナン、ペクチン、クインスシード(マルメロ)抽出物、褐藻粉末等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、プルラン、サクシノグリカン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシデンプン等のデンプン類、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸塩、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリアクリル酸およびその塩、ポリアクリルイミド、ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)クロスポリマー等のアクリル系高分子、その他グリチルリチン酸やアルギン酸およびその塩等が挙げられる。またベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸などの無機系増粘剤が挙げられる。
【0016】
その中でも、サクシノグリカンを上記会合性増粘剤と組み合わせて用いると、シリカ被覆シリコーンエラストマーの配合量が多い場合でもファンデーションの上からの重ねづけができ、凹凸補正効果とハリ感の付与効果にも優れたものとなる。特に粉末配合量が5質量%以上の場合には、安定性維持のためサクシノグリカンを配合することが好ましい。サクシノグリカンとしては、レオザンSH(RHODIA社製)が挙げられる。
【0017】
サクシノグリカンを配合するときのサクシノグリカン配合量は、化粧料全体に対して0.05〜0.3質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.2質量%である。
また、水溶性増粘剤全体の配合量は、1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは、1.8〜2.2質量%である。
【0018】
(グリセリン)
本発明の水性ジェル状化粧料には、さらにグリセリンを配合するのが好ましい。グリセリンを配合することで、しっとり感が増すばかりでなく、ファンデーションの密着感も向上する。グリセリンの配合量は、0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは6〜8質量%である。
【0019】
本発明の水性ジェル状化粧料には、前記必須成分の他に、水、エタノール、上記以外の粉末、各種界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤、植物抽出液、中和剤、香料、各種美容成分、色材、塩類等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0020】
本発明の水性ジェル状化粧料は、化粧直し用化粧料の他、美容液、マッサージ料、洗顔料等の基礎化粧品やリキッドファンデーション、下地化粧料等のメイクアップ化粧料として用いることができる。ただし、化粧直し用化粧料として用いた時に最も本発明の効果は発揮される。
【実施例】
【0021】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
【0022】
効果の評価試験
水性ジェル状化粧料の安定性を以下の基準で評価し、さらにファンデーションの上からの重ね付けのしやすさ、凹凸補正効果、塗布した時のハリ感、しっとり感について、下記の評価基準に基づいて評価した。
【0023】
(1)安定性
50℃の恒温槽に4週間放置した際の粉末の浮上または沈降を観察し、下記基準で評価した。
A:粉末の浮上または沈降が見られない。
B:粉末の浮上または沈降が見られる。
【0024】
(2)ファンデーションの上からの重ね付けのしやすさ
専門パネル4名の顔にファンデーションを塗布してもらい、2時間後にファンデーションの上から水性ジェル状化粧料を塗布した時の重ね付けのしやすさを各専門パネルに以下の評価点基準で評価してもらい、その合計点で総合評価した。
(評価点基準)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
【0025】
(評価基準)
A:合計点が16点以上である。
B:合計点が8点以上16点未満である。
C:合計点が8点未満である。
【0026】
(3)凹凸補正効果、ハリ感
専門パネル4名の顔に水性ジェル状化粧料を塗布してもらい、塗布後の凹凸補正効果、ハリ感を各専門パネルに以下の評価点基準で評価してもらい、その合計点で総合評価した。
(評価点基準)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
【0027】
(評価基準)
A:合計点が16点以上である。
B:合計点が8点以上16点未満である。
C:合計点が8点未満である。
【0028】
(4)しっとり感
専門パネル10名の顔に水性ジェル状化粧料を塗布してもらい、塗布後のしっとり感(保湿効果)を以下の評価基準で評価した。
(評価基準)
A:10名中8名以上が保湿効果を感じる。
B:10名中5名以上7名以下が保湿効果を感じる。
C:10名中4名以下が保湿効果を感じる。
【0029】
実施例1〜4、比較例1〜5、参考例1〜4
次の表1〜2に示す処方で水性ジェル状化粧料を調製し、水性ジェル状化粧料の安定性、ファンデーションの上からの重ね付けのしやすさ、凹凸補正効果、塗布した時のハリ感、しっとり感について、上記した基準で評価した。その結果を併せて表1〜2に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
※1:9701 COSMETIC POWDER(東レ・ダウコーニング社製)
※2:アデカノールGT−700(旭電化工業社製)
※3:レオザンSH(RHODIA社製)
※4:SUpolymer(東邦化学工業社製)
【0033】
以下に、本発明の水性ジェル状化粧料の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
【0034】
処方例1
シリカ被覆シリコーンエラストマー 7 質量%
疎水変性ポリエーテルウレタン 2
サクシノグリカン 0.15
1,3−ブチレングリコール 7
グリセリン 8
硫酸マグネシウム 0.2
フェノキシエタノール 0.5
エタノール 4
水 残余

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分を含むことを特徴とする水性ジェル状化粧料。
(A)シリカ被覆シリコーンエラストマー1.5〜20質量%
(B)水溶性増粘剤としての会合性増粘剤1〜10質量%
【請求項2】
水溶性増粘剤として、さらにサクシノグリカンを化粧料全体に対して0.05〜0.3質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の水性ジェル状化粧料。
【請求項3】
さらに、(C)グリセリン0.5〜20質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の水性ジェル状化粧料。
【請求項4】
化粧直し用であることを特徴とする請求項1に記載の水性ジェル状化粧料。

【公開番号】特開2009−286723(P2009−286723A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140394(P2008−140394)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】