説明

水性ストリームからメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを取り出す方法

本発明に従って、メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームからメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを取り出す方法は、第1の側と該第1の側に対向する第2の側とを有する膜を含むパートラクション装置を供給する工程;および、メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームを該膜の該第1の側と接触させ、有機ストリームを該膜の該第2の面と接触させる工程、これによりメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを、該膜を介して該水性ストリームから該有機ストリームに移動させる;を含む。本発明の方法はさらに、水性ストリームと有機ストリームを膜と接触させる前に、40mN/m未満の表面張力を有する液体で膜を湿潤させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性ストリームからメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを取り出す方法、およびメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メチレン架橋ポリフェニルポリアミンの製造は、一般によく知られており、例えば国際特許出願第WO2009037087号と国際特許出願第WO2009037088号に開示されている。従来のジアミノジフェニルメタン法を表1に示す。
【0003】
アニリンとホルムアルデヒドを、酸触媒(一般には塩酸)の存在下にてメチレン架橋ポリフェニルポリアミンに転化させる。反応器からの流出物を、塩基(一般には苛性ソーダ)を使用して中和する。中和した流出物を、相分離器によって、有機相〔実質的にメチレン架橋ポリフェニルポリアミンからなり、ジアミノジフェニルメタン(DADPM)を含む〕と水性ブライン相(水、塩、および微量のDADPMとアニリンを含む)とに分ける。
【0004】
有機相をさらに処理してDADPMを回収する。水性相については、処理を施してから、この相中の水を水処理装置(一般には生物学的洗浄装置)に供給することができる。
水性相をアニリンで洗浄して残留DADPMを抽出・回収し、洗浄操作を施したこの液体をもう一度、水性ブライン相と、有機相(実質的にアニリンとDADPMからなり、微量の水を含有する)と、水性相とに分ける。一般には、この洗浄・分離操作は、1つの装置にて行われる。
【0005】
水性相は、この2回目の分離操作の前でも後でも、酸触媒の中和によってもたらされる塩のほぼ全てを含む。水性相は一般に、ブラインと呼ばれる。現在知られているプロセスでは、このブラインを、2回目の相分離の後にさらに処理して、いわゆるアニリンストリッピング塔によってブラインから残留アニリンを除去してから、このブラインを廃水処理ユニットにて処理する。
【0006】
国際特許出願第WO2009037087号と国際特許出願第WO2009037088号において説明されているように、効果的な相分離を果たすためには、有機相と水性ブライン相の密度差が充分に大きくなければならない。このためにはしばしば、塩を加えたり、または蒸発によってブラインから水を除去したりすることが必要となる。しかしながら、どちらも、プロセスに対する追加コストの原因となることは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO2009037087
【特許文献2】国際公開WO2009037088
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、水性ストリームから(特に、DADPM製造プロセスにおけるブラインストリームから)DADPMを取り出すための代替プロセスが求められており、種々のプロセス条件(例えば、水性ストリームにおける種々のブライン濃度や種々のDADPM濃度)のもとで実施する上で充分に堅牢で信頼性があって、しかもブライン濃度(水性相中の塩の量)を調整する必要のない代替プロセスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、本発明の第1の態様に従って、メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームからメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを取り出す方法によって達成することができる。
【0010】
本発明に従って、メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームからメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを取り出す方法は、
第1の側と該第1の側に対向する第2の側とを有する膜を含むパートラクション装置(a pertraction equipment)を供給する工程と、
メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームを該膜の第1の側と接触させ、有機ストリームを該膜の第2の側と接触させて、これによりメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを、膜を介して水性ストリームから有機ストリームに移動させる工程と、
を含む。
【0011】
本発明の方法はさらに、水性ストリームと有機ストリームを膜と接触させる前に、40mN/m未満の表面張力を有する液体で膜を湿潤させる工程を含む。
有機相は、アニリンを含むか、さらにはアニリンからなるのが好ましい。
【0012】
膜を湿潤させるのに使用する液体は、35mN/m未満の表面張力を有するのがさらに好ましい。膜を湿潤させるのに使用する好ましい液体は、有機相中に溶解する液体であり、好ましいのはアニリンである。トルエン、メタノール、エタノール、またはシクロヘキサノールを使用するのがさらに好ましい。
【0013】
ここで言う表面張力は、20℃での表面張力であると理解しなければならない。
膜を湿潤させるのに使用するこうした液体も湿潤剤と呼ばれる。
従って、パートラクションを開始する前に、膜を湿潤(あるいはいわば予備湿潤)させてから、メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームおよび有機ストリームと膜とを接触させる。ここで湿潤は、40mN/m未満の表面張力を有する適切な液体(必要に応じてトルエン、シクロヘキサノール、エタノール、またはメタノール)を使用して行う。10mN/mより高くて40mN/m未満の表面張力を有する液体(例えば、15mN/mより高くて35mN/m未満の表面張力を有するアルコール)を使用するのが好ましい。湿潤および予備湿潤は、膜の実質的に全ての細孔をこうした適切な液体で充填し、これによって細孔から空気を追い出すことであると理解しなければならない。
【0014】
液体の表面張力は、フィンランドのKibron社のAquaPi張力計を使用して測定する。例えば、トルエンは、AquaPi張力計による測定にて22mN/mの液体表面張力を有し、メタノールは、AquaPi張力計による測定にて22.7mN/mの液体表面張力を有し、エタノールは、AquaPi張力計による測定にて22.1mN/mの液体表面張力を有し、シクロヘキソノールは、AquaPi張力計による測定にて34mN/mの液体表面張力を有する。表面張力はすべて、室温(すなわち20℃)にて測定する。
【0015】
ひとたび空気が湿潤剤によって追い出されると、湿潤剤は、特にアニリンが有機相として使用される場合は、有機相によってより容易に置き換えられる。したがって細孔が有機相(一般にはアニリン)で充填され、これによりパートラクションが起こるようになる。
【0016】
アニリンによる湿潤または予備湿潤は、可能ではあるものの困難である。膜の細孔中にアニリンを押し込むには高い圧力(一般には0.5バール以上)が必要とされ、このことが操作条件を複雑にし、膜自体とモジュール全体の物理的完全性を危うくする可能性がある。
【0017】
幾つかの実施態様によれば、膜は、液体による湿潤後に、0.2バール以上の圧力によってウォーター・ブレイク(a water break)を起こすことがある。
湿潤剤による湿潤後の、膜にかかる圧力によるウォーター・ブレイクは、膜の2つの表面間にて測定される圧力差によるものであり、この圧力差は、膜を通して水を強制的に送るのに必要である。
【0018】
この測定は、破過セル(a breakthrough cell)を使用して行われ、加えられた圧力と、結果的としてこの圧力により膜を通過する透過物のフラックスとを測定する。水フラックス(あるいは、この特定の方法においてはブラインフラックス)が、圧力とともに直線的に増大し始めると、破過圧力に達する。
【0019】
湿潤剤による湿潤後の膜の破過圧力は0.5バールより高いのが好ましい。
有機相(例えばアニリン)に対して、例えば0.5バール過剰の圧力をブライン相に加えても、一般には、有機相(例えばアニリン相)中へのブラインの破過を起こさせるのには、また有機相の有機液体(例えばアニリン)を膜の細孔から追い出すには充分ではない。しかしながらこの過剰圧力は、有機相(例えばアニリン)が膜を流れ去るのを防ぐに足る圧力であり、したがって膜の表面もしくは細孔上に物質移動のための界面エリアが確保され、これによって有機相(例えばアニリン)によるメチレン架橋ポリフェニルポリアミンの抽出を行うことができる。
【0020】
幾つかの実施態様によれば、膜は、多孔質材料の1枚のシートとして供給することができる。多孔質材料のシートを以後多孔質シートと呼ぶ。
幾つかの実施態様によれば、膜は1枚の多孔質シートからなってよい。
【0021】
幾つかの実施態様によれば、膜は、少なくとも2枚の積み重ねた多孔質シートを含んでよい。
「少なくとも2枚のシートを積み重ねる」とは、それぞれのシートが、他のシートのうちの少なくとも1枚のシートと、該シートの表面の一方に沿って接触している、ということを意味している。複数のシートにより層状膜が形成され、シートはすべて互いに実質的に平行である。
【0022】
多孔質シートの2つ以上の層を含む膜を使用すると、膜の細孔径が、特に膜の細孔径分布の標準偏差が減少するので、有益な効果がもたらされる。
幾つかの実施態様によれば、1枚以上の多孔質シートの少なくとも1つが0.05ミクロン以下の平均細孔径を有してよい。
【0023】
複数の積み重ねた多孔質シートの場合、積み重ねた多孔質シートのそれぞれが、最大で0.05ミクロンまでの範囲の平均細孔径を有するのが好ましい。
言うまでもないことであるが、シートの表面に沿ってすべての細孔が、平均細孔径に等しい同一の細孔径を有するわけではない。シートの細孔の寸法は、統計的分布に従うパラメーターであり、平均と標準偏差によって特徴づけられる。
【0024】
細孔の実質的に全てが、あるいはさらに細孔の全てが、0.05ミクロンより大きい細孔径を有しないのが好ましい(特に、1枚だけの多孔質シートが膜として使用される場合)。
【0025】
膜(必要に応じて、そのシートの一部もしくは全部)は疎水性膜であるのが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(すなわち、ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンのコポリマー、FEPとも呼ばれる)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、またはこれらの組み合わせ物から得られる膜などがある。具体的には、Dyneon(商標)TFM(商標)PTFEまたはあらゆる変性PTFEなどがある。
【0026】
膜(必要に応じて、そのシートの一部もしくは全部)は、最大で0.05ミクロンの細孔径と高い疎水性を有してよい。膜は、フラットなシート、管状構造物、および必要に応じて、中空繊維構造物として使用することができる。膜は、セラミック膜であっても高分子膜であってもよい。膜は、PTFE、PFA、PVDF、PP、PEEK、ポリカーボネート、炭素、または他の任意の適切な(必要に応じて疎水性の)材料から製造するのが好ましい。膜の厚さは、最大で2mmであってよいが、1mmを含んで1mmまでの範囲であるのが好ましい。
【0027】
1層からなる多孔質シートとしての膜の、または多孔質シートの積み重ねを含む膜の細孔径は、水性ストリームから有機ストリームへと膜を流れるメチレン架橋ポリフェニルポリアミンの物質移動に影響を及ぼす。この平均細孔径とその偏差を選択することで、一方ではメチレン架橋ポリフェニルポリアミンの物質移動が経済的に許容しうるレベルに保持されるが、他方では膜の水性抵抗(aqueous resistance)が増大する。後者は、水が膜を通過するのに必要な圧力が充分に高く保持され、したがってシステムは、通常のプロセス変動(例えば圧力変動)を受けつつあるプロセスにおいて操作することができる、ということを意味している。細孔径および細孔径の均一性(すなわち、所定の細孔径の、平均細孔径からの偏差がかなり小さいこと)により、膜に対する水の破過が防止される。
【0028】
水性ストリームは、DADPM製造ユニットのブライン廃棄ストリームの1つであってよい(例えば、一般には、国際特許出願第WO2009037087号および国際特許出願第WO2009037088号に記載のストリーム)。水性ストリームは、DADPM反応器の流出物を中和した後の、相分離器によって得られるブラインストリームであるのが好ましい。
【0029】
幾つかの実施態様によれば、パートラクション工程において使用される有機ストリームは、アニリンを含むか、アニリンをより実質的に含むか、あるいは完全にアニリンからなる。パートラクションにおいて使用される有機相は、DADPM製造ユニットの供給ストリームとして使用されるアニリンのフラクションであるのが好ましい。これとは別に、湿潤状態のアニリン(溶存水を含むアニリン)もしくはトルエンも使用することができる。
【0030】
膜がパートラクションモジュール中に保持され、このモジュールは、それぞれ膜の一方の側に存在する2つの液体ストリームが流れるのを可能にするのに適している。フッ化エチレンプロピレン(すなわち、FEPとも呼ばれる、ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、またはこれらの組み合わせ物から供給される膜を使用するのが好ましい。これらの材料は、膜と接触するフレーム部分に熱的に融合一体化することができるからである。このようなフレーム部分は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(すなわち、FEPとも呼ばれる、ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー)、TFMPTFE(変性PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、またはこれらの組み合わせ物から供給されるのが好ましい。必要に応じて他のポリマーフレーム部分(例えば、ポリプロピレンフレーム部分)も使用することができ、フレーム部分は必要に応じて、適切な溶接温度を使用して膜に融合一体化することができる。
【0031】
膜は、モジュール中に平らなシートとして(すなわち、平らな表面に従って実質的に保持される)、円筒状管として、またはらせん状にねじれた膜として配置することができる。管状膜の場合は、水性ストリームが管中を流れ、有機ストリームが管の外側を流れる(あるいはこの逆)。
【0032】
2つのストリームは、カウンターストリーム(counter-stream)(すなわち、2つのストリームが、膜に沿って反対方向に流れる)として、あるいはクロスストリーム(cross stream)として流れるのが好ましい。純然たる水性ストリーム(the purest aqueous stream)が純然たる有機ストリーム(the purest organic stream)と合流するのが好ましい。
【0033】
液体が膜(一般にはフレーム中に保持される)の間を流れるのを可能にすべく、液体が膜間を流れるのを可能にするための、そして液体が膜の側部と接触するのを可能にするための流路スペースをつくり出すために、膜間にスペーサーを設けることができる。これらのスペーサーも、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(すなわち、FEPとも呼ばれる、ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー)、TFMPTFE、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、またはこれらの組み合わせ物から供給されるのが好ましい。
【0034】
幾つかの実施態様によれば、パートラクション時の水性ストリームと有機ストリームの温度は50℃〜200℃の範囲であってよい。
上記の有機ストリームの使用による、水性ストリームからのメチレン架橋ポリフェニルポリアミンのパートラクション(特に、水性ストリームがメチレン架橋ポリフェニルポリアミン製造ユニットのブラインストリームであって、有機ストリームがアニリンストリームである場合)は、50℃〜200℃(さらに好ましくは75℃〜125℃)の範囲のプロセス温度で行うのが好ましい。さらに、パートラクション時に、水性ストリームと有機ストリームが熱エネルギーを交換してよい。
【0035】
パートラクションを行うためには、有機ストリームと比較して水性ストリームに過圧を供給しなければならない。水性ストリームと有機ストリームとの間の適切な圧力差は、0.1バールと膜の水性抵抗によって限定される圧力(例えば最大で1バールの場合がある)との間で変わってよい。極めて安定した圧力差を使用するのが好ましい〔例えば、プロセシング時に0.1バール未満の圧力偏差(pressure deviation)を有する〕。圧力を安定に保つためには、静圧を使用するのが好ましい。
【0036】
幾つかの実施態様によれば、パートラクション時に使用される水性ストリームと有機ストリームとの体積比は20/1〜2/1の範囲であってよい。
パートラクション時に使用される水性ストリームと有機ストリームとの体積比は10/1〜5/1の範囲であるのが好ましい。
【0037】
したがって、本発明の第2の態様によれば、メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを得る方法が提供される。
本発明に従ってメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを得る方法は、
メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームを供給する工程と、
本発明の第1の態様による方法によって、該水性ストリームからメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを取り出す工程と、
を含む。
【0038】
メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームは、アニリンとホルムアルデヒドとを酸触媒(一般には塩酸)の存在下にてメチレン架橋ポリフェニルポリアミンに転化させ、次いで反応器流出物を塩基(一般には苛性ソーダ)を使用して中和した後に得られるブラインであってよい。中和した流出物は、相分離を使用することにより、有機相(実質的に、メチレン架橋ポリフェニルポリアミンとアニリンからなる)と水性ブライン相(水、塩、および微量のDADPMとアニリンを含む)に分けることができる。
【0039】
ブライン濃度が変動しても、パートラクションの性能にあまり影響を及ぼすことはない。しかしながら、より高濃度のブライン(例えば、濃度8%以上のブライン)を使用するのが好ましい。有機相中のブライン濃度が高くなるにつれて、水性相と有機相との間の分配係数が増大する(すなわち、使用されるブライン濃度が高くなるほど、有機相に移されるDADPMが多くなる)、ということが見出された。この効果は、ブライン濃度を、低ブライン濃度から最大で10%までのブライン濃度に変えたときに顕著になる。8%以上の(例えば10%以上の、例えば10%〜12%の範囲の)ブライン濃度を使用するのが好ましい。
【0040】
ブライン濃度(パーセント値で表示)は、ブラインの単位重量当たりの溶解塩の重量を表わしている。
水性ストリームは、一般には約2000ppm〜3000ppmのDADPMを含有するが、高濃度のブラインストリームは、約200ppm〜300ppmのDADPMを含有することがある。ブライン濃度が高くなると、分配係数にも影響を及ぼすので、該ストリームを洗浄するのに必要とされるアニリンの量が大幅に減少する。
【0041】
パートラクションを開始する前に、トルエン、エタノール、またはメタノールを使用して膜を湿潤させるのが好ましい。
本発明の方法のいずれかを使用することの利点は、洗浄工程(ブラインをアニリンで洗浄し、引き続き再び洗浄混合物を、DADPMを含む有機アニリン相とアニリンを含むブライン相とに分ける)をパートラクション工程で置き換えることができる、という点である。これによって得られるメリットは、パートラクションを実施する上で、ブラインを、相分離を効率的に行うに足る所望の密度にするのにブラインの蒸発除去の必要がない、ということである。したがって、蒸発除去を行うためのエネルギーが必要とされないので、経済的なメリットが得られる。本発明の方法を使用すると、抽出工程が、プロセスパラメーターの変動に対してより堅牢で且つ信頼性の高いものとなる。水性ストリーム中に遊離有機物質が存在していても処理することができる。
【0042】
独立クレームと従属クレームは、本発明の特定の特徴と好ましい特徴を述べている。ある従属クレームからの特徴は、必要に応じて、独立クレームまたは他の従属クレームの特徴と組み合わせることができる。
【0043】
本発明の上記の特性、特徴、および利点、ならびに他の特性、特徴、および利点は、本発明の原理を例証している添付図面と併せて考察されている、以下に記載の詳細な説明から明らかとなろう。この説明は、単に例としてなされているだけであり、この説明によって本発明が限定されることはない。下記において引用されている参照数字は、添付図面の数字を表わしている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、従来のDADPM製造プロセスの概略図である。
【図2】図2は、本発明のDADPM製造プロセスの概略図である。
【図3】図3は、図2のDADPM製造プロセスにおけるパートラクションユニットを幾らか詳細に示した図である。
【図4】図4は、パートラクションモジュールの横断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明を、特定の実施態様に関して説明する。
留意しておかねばならないことは、クレームにおいて使用されている「含む(comprising)」という用語は、その後に記載の手段に限定されると解釈すべきではなく、他の要素もしくは工程を除外しない、という点である。したがって、言及されている特徴、工程、または成分の存在を明記しているが、1つ以上の他の特徴、工程、または成分(あるいはこれらの群)の存在もしくは付加を除外しない、と解釈しなければならない。したがって、「手段AとBを含む装置」という表現の範囲は、成分AとBだけからなる装置に限定されるべきではない。本発明に関して、該装置の関連成分が単にAとBである、ということを意味している。
【0046】
本明細書全体を通して、「1つの実施態様」あるいは「ある実施態様」という言い方がなされている。こうした言い方は、該実施態様に関して説明されているある特定の特徴が、本発明の少なくとも1つの実施態様中に含まれる、ということを示している。したがって、本明細書中の種々の場所において「1つの実施態様では」あるいは「ある実施態様では」というフレーズが現われても、必ずしも全て同じ実施態様に言及しているわけではない(そういうこともありうるが)。さらに、特定の特徴もしくは特性を、1つ以上の実施態様において任意の適切な仕方で組み合わせることができ、これは当業者には明らかであろう。
【0047】
下記の用語は、単に本発明の理解に役立つように与えられている。
特に明記しない限り、成分の「重量%(%w)」すなわち重量パーセントとは、成分が存在していてその一部となっている組成物の総重量に対する該成分の重量を表わす。
【0048】
「メチレン架橋ポリフェニルポリアミン」(DADPMまたはMDAとも呼ばれる)という用語は、ジアミノジフェニルメタン異性体(例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び/又は2,2’−ジアミノジフェニルメタン)と、これら異性体のより高級の同族体もしくはより高級のポリマーとの両方を含む。
【0049】
特に明記しない限り、液体の表面張力は、フィンランドのKibron社のAquaPi張力計を使用して、室温(すなわち20℃)にて測定する。
図1と比較して、図2では、DADPM反応器流出物を苛性ソーダで中和した後の、相分離の水性相であるブラインをパートラクションユニット101が処理する。
【0050】
このパートラクションユニットの詳細を図3に示す。
パートラクションユニット101は、パートラクションモジュール305を含む。管状もしくはフラットな形態の膜を含んでいて、2つの液体ストリームが膜のそれぞれ一方の側に接触するのを可能にするパートラクションモジュール305に、アニリンとDADPMで汚染されたブラインストリーム301を、必要に応じてポンプ303によって第1の液体ストリームとして、そしてアニリンストリーム307を、必要に応じてポンプ309によって第2の液体ストリームとして供給する。水性ストリームは、DADPM製造ユニットのブラインストリームの1つであってよく、この特定の実施態様では、反応器流出物の中和後に据え付けられている相分離器のブラインストリームである。
【0051】
アニリンストリーム307とブラインストリーム301が、パートラクションユニットを、それぞれインフロー側311と317からそれぞれアウトフロー側321と327へと流れる。パートラクションモジュール305は、インフロー側317でのアニリンストリーム307が、アウトフロー側321でのブラインストリーム301と衝突するように設計されている。したがってフレッシュなアニリンが、パートラクションユニット305を通過しつつ、パートラクションによってDADPMが取り除かれたブラインストリームと衝突する。パートラクションモジュール305を通過したアニリンは、インフロー側にてDADPMが取り除かれていないブラインストリームと衝突する。
【0052】
パートラクションモジュール膜(例えばPTFE膜)はかなり疎水性であってよい。起動時においては、アニリンもブラインも、膜の細孔から空気を簡単には追い出すことができない。したがって、膜を通過させる物質移動は達成するのが困難である。細孔中のアニリンを圧力によって強制的に追い出すには、あまりにも高い圧力(0.5バールを超える圧力)が必要され、起動後の膜の安全な作動が損なわれることがある。
【0053】
起動する前に、40mN/m未満(さらに好ましくは35mN/m未満)の表面張力を有する湿潤用液体を使用して細孔を充填する。これは、モジュールに湿潤剤を充填し、湿潤剤を膜中に浸透させることによって行うことができる。圧力を幾らかかけてよい。いったん湿潤されたら、起動前に過剰の湿潤剤を取り除いてよい。
【0054】
起動後、膜中の湿潤用液体がアニリン中に溶解する。トルエン、シクロヘキサノール、エタノール、またはメタノールを使用するのが好ましい。より好ましいのはトルエンとメタノールであり、最も好ましいのはメタノールである。なぜならこの物質は、取扱いが簡単であって、分離も容易であり、通常の製造プロセスを大幅に変える必要が全くないからである。
【0055】
膜が湿潤剤で湿潤されると、そしてその後に湿潤剤がアニリンで置き換えられると、水相またはブライン相は、低い圧力では膜を通過することができないが、より高い圧力ではブライン相の破過が起こりうる。したがって、ブライン側をより高い圧力にし、次いでアニリン側をより高い圧力にする、という微妙な圧力差を与えるのが好ましい。これにより、アニリンが確実に膜の表面に留まり、そしてアニリンとブラインとの間に物質移動のための界面エリアが確実につくり出されるが、ブラインが疎水性膜を破過するような大きすぎる圧力差であってはならない。
【0056】
バランスの良い制御可能な圧力差(すなわち、アニリン側よりブライン側に過圧)を膜に与えるために、パートラクションモジュール305を出たアニリンが、管と弁で構成されるオーバーフローシステム332を介して、大気圧に保持されている容器330に供給される。これらの管は、通常の作動条件下では、パートラクションモジュール305からのアニリン流出物で完全には充填できないほどの大きな寸法となるように設計されている。したがって、最高位H1に位置する開放弁により、パートラクションモジュール305中のアニリンストリームの静圧が決まる。
【0057】
同様に、パートラクションモジュール305を出たブラインが、管と弁で構成されるオーバーフローシステム342を介して、大気圧に保持されている容器340に供給される。これらの管は、通常の作動条件下では、パートラクションモジュール305からのブライン流出物で完全には充填できないほどの大きな寸法となるように設計されている。
【0058】
オーバーフローシステム332と342は、液体を供給するための供給ラインと、液体を排出するための排出ラインを有しており、この供給ラインと排出ラインは、少なくとも1つの中間管(intermediate tube)によって互いに連結されているが、図3に示すように、少なくとも2つの中間管のそれぞれが弁を含むのが好ましい。供給ライン、排出ライン、および中間管のそれぞれは、液体の最大供給量が、液体の流れ方向に垂直な方向の断面の内表面全体を液体が占めることなく、中間管を通過できるような寸法に設計されている。
【0059】
これらの中間管により、液体は、供給ラインから排出ラインへと流れることができる(弁の場合は、弁が開放状態であるとき)。オーバーフローシステムが2つ以上の中間管を有するとき、オーバーフローシステムは、中間管が種々の高さに位置するように据え付けられる。オーバーフローシステムの最高位置は、中間管のうちの1つによってもたらされる。
【0060】
排出ラインを所定の圧力(例えば大気圧)に保持することで、中間管により、あるいはこのような中間管が2つ以上ある場合は、開放弁を有していて、最も低い場所に位置する中間管により、液体供給ラインにおける過剰圧力が決まる。
【0061】
図2と3におけるパートラクションユニット101においては、開放弁344(最高位H2に位置する)により、パートラクションモジュール305中のブラインストリームの静圧が決まる。高度差H2−H1により圧力差Δpが決まり、このΔpが、パートラクションモジュールの膜全体にわたってブラインとアニリンとの間に確立される。
【0062】
オーバーフローシステム332と342における適切な弁を慎重に開放することによって、アニリンストリームとブラインストリームとの間の圧力差Δpを調整することができる。圧力差Δpは、実際には、パートラクションモジュール305中の2つのストリーム間にて生じる静圧である。こうした静圧の配置により、相間の圧力差の慎重な微調整が可能となり、ブライン側の圧力があまりにも高すぎると、膜の漏れを引き起こす。この場合は、圧力差がかなり小さくなる(一般には1バール未満であるが、0.5バール未満であるのがさらに好ましい)。
【0063】
ブライン346(容器340においてDADPMを含有していない)を、図1と2に示すアニリンストリッパーにおいて処理する。
アニリン336(DADPMを含有)を反応器の供給物に再循環し、アニリンとホルムアルデヒド(ホルマリンとして供給)をDADPMに転化させる。
【0064】
さて、パートラクションユニット101のパートラクションモジュール305について説明すると、下記のような膜を使用した。
・Gore DISSO3LVE(登録商標)オゾネーションモジュール。PTFE/PFAから造られた中空繊維膜モジュール。細孔径は0.02ミクロンであって、内径2mm、外径3mm、および厚さ0.5mmを有する中空繊維。この膜の気孔率は65%である。0.9バールの圧力差にて水が破過を起こし始める。
【0065】
・Donaldson#1325。PTFEから造られたフラットシート膜で、0.05ミクロンの細孔径と20ミクロンの厚さを有する。膜の気孔率は80%を超える。0.7バールの圧力差にて水が破過を起こし始める。
【0066】
240リットル/時の流量のブラインストリームを、Gore Disso3lveオゾネーションモジュールの一方の側に供給した。該ブラインストリームは、約0.8重量%のNaClと約2000ppmのDADPMを含有していた。130リットル/時の流量の、DADPMを含有しないアニリンストリームを、Gore Disso3lveオゾネーションユニットの他方の側に向流にて供給した。モジュールとブラインストリームおよびアニリンストリームとを接触させる前に、モジュールをトルエンで予備湿潤させた。80℃の温度にてDADPMの30%が除去され、アニリンストリーム側に移行した。この場合の物質移動係数は710−6m/sであった。
【0067】
別の実験にて、250リットル/時の流量のブラインストリームを、Gore Disso3lveオゾネーションモジュールの一方の側に供給した。該ブラインストリームは、約12.8重量%のNaClと約450ppmのDADPMを含有していた。150リットル/時の流量の、DADPMを含有しないアニリンストリームを、Gore Disso3lveオゾネーションモジュールの他方の側に向流にて供給した。モジュールとブラインストリームおよびアニリンストリームとを接触させる前に、モジュールをトルエンで予備湿潤させた。85℃の温度にてDADPMの55%が除去され、アニリンストリーム側に移行した。この場合の物質移動係数は1.2*10−5m/sであった。
【0068】
さらに別の実験にて、120リットル/時の流量のブラインストリームを、Gore Disso3lveオゾネーションユニットの一方の側に供給した。該ブラインストリームは、約12.67重量%のNaClと約240ppmのDADPMを含有していた。75リットル/時の流量の、DADPMを含有しないアニリンストリームを、Gore Disso3lveオゾネーションユニットの他方の側に向流にて供給した。モジュールとブラインストリームおよびアニリンストリームとを接触させる前に、モジュールをメタノールで湿潤させた。90℃の温度にてDADPMの64%が除去され、アニリンストリーム側に移行した。この場合の物質移動係数は2.710−5m/sであった。
【0069】
フラットシート膜のモジュール構造は、アニリンまたはブラインに対して化学的に抵抗性のあるものでなければならない。必要に応じて1枚、2枚、もしくはそれ以上の膜(それぞれの膜が、必要に応じて多くの多孔質シートの積み重ね物である)の積み重ね物を作製するために、そして必要に応じてスペーサーによって隔離されるようにするために、耐薬品性のプラスチック〔例えば、膜に対して熱溶接できるフッ素樹脂(例えばPTFE、PFA、PVDF、およびTFM等)やポリプロピレン〕を使用する接合技術を利用することができる。このようにして、充分に耐薬品性のあるモジュールを造り上げることができる。
【0070】
モジュール400の1つの例を図4に概略的に示す。フレーム401は幾つかの膜410を保持し、それぞれの膜が2枚の同一多孔質シート412と414を含む。シート412と414が、それらの表面の一方に沿って互いに接触する(すなわち、シート412の表面422が、シート414の表面424と接触する)。隣接した膜410の間に、スペーサー430が設けられている。したがって流路(例えば、流路431、432、および433)がもたらされる。アニリンとブラインは、膜410のそれぞれがアニリンストリームと接触する1つの表面を有するように、そして膜の他方の側がブラインストリームと接触するようにフローチャンネルに供給される。例えば、アニリンを流路431に供給することで、シート414の表面434(膜414の表面である)はアニリンストリームと接触することができる。ブラインを流路433に供給することで、シート412の表面432(膜414の表面である)はブラインストリームと接触することができる。
【0071】
パートラクションを行う前に、膜を湿潤剤で予備湿潤させる必要がある。アニリン自体は、膜内部の細孔から空気を追い出すことができない。アニリンは、膜の疎水性細孔中に入り込むのに充分な疎水性をもたず、したがってブラインストリームからアニリンストリームへのDADPMの物質移動は起こらない。パートラクションモジュールとして使用できるようにするには膜を予備湿潤させる必要があり、予備湿潤に使用できる代表的な溶媒はトルエンやアルコール(例えばエタノール)であるが、DADPMプロセス中に既に存在している物質であるメタノールであるのが好ましい。いったん予備湿潤されたら、使用した溶媒もしくは湿潤剤を、アニリン中に溶解させることによって除去する。したがって、細孔中の溶媒がアニリンと置き換わり、引き続き細孔がアニリンで湿潤され、これによりブラインからアニリンへのDADPMの移動を確実に果たすことができる。
【0072】
ブラインからアニリンへのDADPMの取り出し効率は分配係数に依存し、分配係数はa.o.ブライン濃度と温度の関数である。分配係数は、アニリン中のDADPM濃度に対するブライン中のDADPM濃度であると定義される。分配係数は、ブライン濃度が高くなるにつれて大きくなり、温度が高くなるにつれて小さくなる。驚くべきことに、温度が高くなるにつれて物質移動が大幅に増大した。これは、温度がより高くなると解離する塩とDADPMとの間に形成される塩錯体によるものである。したがって、ブラインとDADPMとの間で生成しうる錯体もしくは塩による汚染のおそれを少なくするために、また相間の物質移動を向上させるために、本発明の方法は、充分に高い温度(例えば50℃以上、好ましくは80℃以上)にて操作するのが好ましい。
【0073】
理解しておかねばならないことは、本発明に従った実施態様を提供するために好ましい実施態様及び/又は材料について説明してきたけれども、本発明の要旨を逸脱することなく種々の改良や変更を行うことができる、という点である。例えば、実施例において有機相として使用されているアニリンは、本発明を逸脱しない範囲において他の有機液体(例えばトルエン)で置き換えることができることは言うまでもない。さらに、言うまでもないことであるが、使用されるアニリン液体の組成は、本発明を逸脱しない範囲において変わってよい(例えば、多少の水を含んでもよい)。
【符号の説明】
【0074】
101 パートラクションユニット
301 ブラインストリーム
303 ポンプ
305 パートラクションモジュール
307 アニリンストリーム
309 ポンプ
311 インフロー側
321 アウトフロー側
330 容器
332 オーバーフローシステム
334 開放弁
336 アニリン
340 容器
342 オーバーフローシステム
344 開放弁
346 ブライン
400 モジュール
401 フレーム
410 膜
412 多孔質シート
414 多孔質シート
422 表面
424 表面
430 スペーサー
431 流路
432 表面
433 流路
434 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側と第1の側に対向する第2の側とを有する膜を含むパートラクション装置を供給する工程と、
メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームを該膜の該第1の側と接触させ、有機ストリームを該膜の該第2の面と接触させて、メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを、該膜を介して該水性ストリームから該有機ストリームに移動させる工程と、
を含む、メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームからメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを取り出す方法であって、
水性ストリームと有機ストリームを膜と接触させる前に、40mN/m未満の表面張力を有する液体で膜を湿潤させる、上記方法。
【請求項2】
前記液体が、10mM/mより高くて40mN/m未満の範囲の表面張力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体がトルエンである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体がアルコールである、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコールが、15mN/mより高くて35mN/m未満の表面張力を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記液体が、シクロヘキサノール、エタノール、またはメタノールである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記液体による湿潤後の膜が、0.2バールより高い水破過圧を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
膜が1枚の多孔質シートからなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
膜が、少なくとも2枚の積み重ねた多孔質シートを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記多孔質シートの少なくとも1枚が0.05ミクロン未満の平均細孔径を有する、請求項8〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
パートラクション工程において使用される有機ストリームがアニリンを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
パートラクション時の水性ストリームと有機ストリームの温度が50℃〜200℃の範囲である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
パートラクション時に使用される水性ストリームと有機ストリームとの体積比が20/1〜2/1の範囲である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを含む水性ストリームを供給する工程と、
該水性ストリームからメチレン架橋ポリフェニルポリアミンを、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法によって取り出す工程と、
を含む、メチレン架橋ポリフェニルポリアミンを得る方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−503827(P2013−503827A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527260(P2012−527260)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060627
【国際公開番号】WO2011/026690
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(500030150)ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】