Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
水性ベース塗料組成物及びそれを用いた複層塗膜形成方法
説明

水性ベース塗料組成物及びそれを用いた複層塗膜形成方法

【課題】 3C1B方式による複層塗膜形成方法において、第1ベース塗膜を形成した後に予備加熱を施さなくても、塗膜外観性及び被塗物に対する密着性に優れた塗膜を得ることができる水性ベース塗料組成物を提供する。
【解決手段】
基体樹脂として、コア部とシェル部の質量含有比率が20/80〜80/20であり、コア部がアクリル樹脂、シェル部がポリウレタン樹脂からなるコア/シェル型エマルション樹脂を含む水性ベース塗料組成物であって、前記アクリル樹脂の水酸基価が40〜140mgKOH/g、酸価が0〜10mgKOH/gであり、前記ポリウレタン樹脂の水酸基価が20〜80mgKOH/g、酸価が10〜60mgKOH/gであり、前記ポリウレタン樹脂において、炭素数10〜60の二塩基酸及び/又は二価アルコールに基づく構成単位の総質量含有比率が前記ポリウレタン樹脂の樹脂固形分に対して10〜50質量%である水性ベース塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の分野、特に自動車塗装の分野において利用可能な、新規な水性ベース塗料組成物及び該水性ベース塗料組成物を使用した複層塗膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車車体を被塗装物とする複層塗膜形成方法は、被塗物に電着塗膜を形成して加熱硬化させた後で、中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜からなる複層塗膜を形成することにより行われている。また、現在では、揮発性有機溶剤(VOC)削減のために、中塗り塗料及びベース塗料として、水性塗料が使用されるようになってきている。
さらに、近年、省エネルギーの観点から、電着塗膜上に形成した中塗り塗膜を加熱硬化させることなく、予備加熱を施した中塗り塗膜上にベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成し、これら3層の塗膜を同時に加熱硬化させる、いわゆる3コート1ベーク(3C1B)方式による複層塗膜形成方法が採用され始めている。
【0003】
このような3C1B方式による複層塗膜形成方法において、中塗り塗膜とベース塗膜との混相を有効に防止して表面平滑性に優れる複層塗膜を形成するために、水性中塗り塗料組成物から形成される中塗り塗膜の吸水率及び水溶出率を低くし、特定のガラス転移温度、酸価及び水酸基価を有するアクリル樹脂エマルジョンと、特定の酸価を有するウレタン樹脂エマルジョン、及び硬化剤を含有させることが有効とされている(特許文献1参照)。
【0004】
また、第1水性塗料、第2水性塗料、及びクリヤー塗料を3C1B方式で塗装する複層塗膜形成方法において、外観及び耐水性に優れた複層塗膜を得るために、第2水性塗料用の水性塗料組成物として、特定のビニルモノマー混合物を乳化重合して得られたエマルジョン樹脂、アミド基含有水溶性アクリル樹脂、ウレタン樹脂エマルション、及び硬化剤を、特定の質量比率で含有させることが有効とされている(特許文献2参照)。そして、特許文献2には、上記のエマルジョン樹脂がコア・シェル構造を有することにより、水性塗料組成物にチキソ性を付与することができることが記載されている。
【0005】
さらに、水性第1着色塗料、水性第2着色塗料及びクリヤー塗料を3C1B方式で塗装する複層塗膜形成方法において、平滑性、鮮映性及び耐チッピング性に優れた複層塗膜を形成するために、水性第1着色塗料として、アクリル樹脂、硬化剤及びウレタン樹脂エマルションを含有し、この水性第1着色塗料から形成される第1着色塗膜が特定の水膨潤率及び有機溶剤膨潤率を有することが有効であるとされている(特許文献3参照)。そして、特許文献3には、上記のウレタン樹脂エマルションが、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを原料として製造され、このポリオール成分の原料化合物としては、炭素数6以上の炭化水素基を有する化合物が好ましいことが記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に記載された塗料組成物を使用した3C1B方式による複層塗膜形成方法においては、第1塗膜を形成した後で予備加熱を行わない場合に、第1塗膜と第2塗膜との混層が起こってしまい、良好な塗膜外観性が得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−358462号公報
【特許文献2】特開2007−297545号公報
【特許文献3】WO2010/082607
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、3C1B方式による複層塗膜形成方法において、第1ベース塗膜を形成した後に予備加熱を施さなくても、塗膜外観性及び被塗物に対する密着性に優れた塗膜を得ることができる、水性ベース塗料組成物、及び、この水性ベース塗料組成物を使用した複層塗膜形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、基体樹脂として、コア部がアクリル樹脂、シェル部がウレタン樹脂からなり、該ウレタン樹脂が炭素数10〜60の二塩基酸及び/又は二価アルコールに基づく構成単位を特定割合で含む、特定のコア/シェル型エマルション樹脂を含む水性ベース塗料組成物により、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、基体樹脂として、コア部がアクリル樹脂、シェル部がポリウレタン樹脂からなるコア/シェル型エマルション樹脂を含む水性ベース塗料組成物であって、前記コア/シェル型エマルション樹脂におけるコア部とシェル部の質量含有比率が20/80〜80/20であり、前記アクリル樹脂の水酸基価が40〜140mgKOH/g、酸価が0〜10mgKOH/gであり、前記ポリウレタン樹脂の水酸基価が20〜80mgKOH/g、酸価が10〜60mgKOH/gであり、かつ前記ポリウレタン樹脂において、炭素数10〜60の二塩基酸及び/又は二価アルコールに基づく構成単位の含有比率が、前記ポリウレタン樹脂の樹脂固形分に対して10〜50質量%であることを特徴とする水性ベース塗料組成物に関する。
【0011】
さらに、本発明は、被塗物に第1水性ベース塗料(A)を塗装して第1塗膜を形成し、該第1塗膜を形成した後に予備加熱を施さず、未硬化の前記第1塗膜上に第2水性ベース塗料(B)を塗装して第2塗膜を形成し、未硬化の前記第2塗膜上にクリヤー塗料(C)を塗装してクリヤー塗膜を形成し、これら3層の塗膜を同時に加熱硬化させる複層塗膜形成方法であって、さらに、前記第1水性ベース塗料(A)及び第2水性ベース塗料(B)が、各々、本発明の水性ベース塗料組成物から選択されたものである、複層塗膜形成方法に関する。
【0012】
また、本発明は、上記記載の複層塗膜形成方法により得られた塗膜に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水性ベース塗料組成物を3C1B方式による複層塗膜形成方法に適用することにより、第1ベース塗膜を形成した後に予備加熱を行わなくても、塗膜外観性及び被塗物に対する密着性に優れた塗膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の水性ベース塗料組成物の基体樹脂に含まれるコア/シェル型エマルション樹脂は、シェル部となるポリウレタン樹脂の樹脂水溶液又は水分散液中で、コア部となるアクリル樹脂を合成することにより得られる。ここで、ポリウレタン樹脂は親水性基を有し、アクリル樹脂は親水性基を有さないため、これらの樹脂が水中でミセルを形成する際には、ポリウレタン樹脂が乳化剤として作用してミセルの外側に位置し、アクリル樹脂がミセルの内側に位置し、これらの樹脂がコア/シェル構造を形成する。なお、コア/シェル構造とは、同一のミセル内に樹脂組成が異なる2種類の樹脂成分が存在し、一方の樹脂成分が中心部分(コア部)を形成し、他方の成分が外殻部分(シェル部)を形成した構造をいう。
【0015】
本発明のコア/シェル型エマルション樹脂のシェル部となるポリウレタン樹脂は、公知の方法により得ることができるが、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などのセグメントとなる樹脂を合成し、このセグメント樹脂と、カルボキシル基含有ジオール及びポリイソシアネート化合物とを反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る。そして、このウレタンプレポリマーと多価アルコールとを反応させることにより、末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0016】
上記のセグメント樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられるが、ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールを原料成分とするエステル化反応を利用した、公知の方法により得ることができる。
【0017】
この多塩基酸として、通常は多価カルボン酸が使用されるが、必要に応じて1価の脂肪酸などを併用することができる。多価カルボン酸として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ピロメリット酸など、及びこれらの酸無水物が挙げられる。これらの多塩基酸は、1種単独で使用することもでき、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0018】
この多価アルコールとして、グリコール及び3価以上の多価アルコールが挙げられる。グリコールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、メチルプロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。また、3価以上の多価アルコールとして、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用することもでき、2種以上組み合わせて使用することもできる。
セグメント樹脂の数平均分子量としては、1,000〜5,000が好ましく、好適な具体例としては、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000などが挙げられ、ここに例示したいずれか2つの数値の範囲内であってもよい。
【0019】
次に、こうして得られたセグメント樹脂と、カルボキシル基含有ジオール及びポリイソシアネート化合物とを反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る。
セグメント樹脂と反応させるカルボキシル基含有ジオールとして、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールオクタン酸、ジメチロールノナン酸などが挙げられる。この中でも、優れた塗膜が得られることや、工業的コストなどの点から、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が好ましい。これらのカルボキシル基含有ジオールは、1種単独で使用することもでき、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0020】
また、セグメント樹脂と反応させるポリイソシアネート化合物として、例えば4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−又はm−フェニレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの水素添加物などの脂環式ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。この中でも、耐黄変性などの点から、脂環式ジイソシアネートが好ましい。これらのポリイソシアネート化合物は、1種単独で使用することもでき、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0021】
最後に、こうして得られたウレタンプレポリマーを多価アルコールと反応させることにより、末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
ウレタンプレポリマーと反応させる多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリットなどが挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用することもでき、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0022】
本発明では、ポリウレタン樹脂において、炭素数10〜60の二塩基酸及び/又は二価アルコールを特定割合で導入することにより、優れた塗膜外観性を有する塗膜を得ることができる。炭素数10〜60の二塩基酸及び/又は二価アルコールの導入は上記のセグメント樹脂であってもよいし、それ以外の部分であってもよいが、上記のセグメント樹脂を合成する原料として、炭素数10〜60の二塩基酸及び/又は二価アルコールを使用することにより、より一層優れた塗膜外観性を有する塗膜を得ることができる。
【0023】
二塩基酸及び/又は二価アルコールの炭素数は、塗膜外観性の点から、好ましくは30〜40であり、より好ましくは34〜38である。二塩基酸及び/又は二価アルコールの炭素数が10未満になると、シェル部のポリウレタン樹脂の極性が高くなることにより第1水性ベース塗料と第2水性ベース塗料が混層し、塗膜の外観性が低下する場合があり、60を超えるとシェル部のポリウレタン樹脂の水溶性が低下するため、コア部を形成するべきアクリル樹脂と、シェル部を形成するべきポリウレタン樹脂が、コア/シェル構造を形成しなくなる場合がある。
【0024】
上記の炭素数10〜60の二塩基酸として、例えば、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−デカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,15−ペンタデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、2−ヘキサデシルマロン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などが挙げられる。この中でも、より良好な塗膜外観性が得られる点において、ダイマー酸が好ましい。これらの炭素数10〜60の二塩基酸は、1種単独で使用することもでき、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0025】
上記の炭素数10〜60の二価アルコールとして、例えば、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、3,6−ジメチル−3,6−オクタンジオール、2,2−ジブチルプロパン−1,3−ジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3− プロパンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,15-ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘプタデカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、2,2−ジ−n−オクチル−1,3−プロパンジオール、1,20−エイコサンジオール、ダイマージオールなどが挙げられる。この中でも、より良好な塗膜外観性が得られる点において、ダイマージオールが好ましい。これらの炭素数10〜60の二価アルコールは、1種単独で使用することもでき、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0026】
炭素数10〜60の二塩基酸及び/又は二価アルコールに基づく構成単位の総質量含有比率は、シェル部となるポリウレタン樹脂の樹脂固形分に対して10〜50質量%であり、塗膜外観性の点から、好ましく20〜40質量%であり、より好ましくは30〜35質量%である。二塩基酸及び/又は二価アルコールの総質量含有比率が10質量%未満になると、ポリウレタン樹脂の極性が高くなることにより第1水性ベース塗料と第2水性ベース塗料が混層し、塗膜外観性が低下する場合があり、50質量%を超えると、乾燥性が高すぎるために十分なフロー性が得られず、塗膜外観性が低下する場合がある。
【0027】
シェル部となるポリウレタン樹脂は、水溶化もしくは水分散化するために十分な量の親水性基と、硬化剤と反応するための官能基を有している。この親水性基として、具体的には、カルボキシル基、アミノ基、メチロール基などが挙げられる。
シェル部となるポリウレタン樹脂の水酸基価は20〜80mgKOH/gであり、被塗物との密着性の点で、好ましくは30〜70mgKOH/gであり、より好ましくは35〜45mgKOH/gである。水酸基価が20mgKOH/g未満になると、被塗物との密着性が低下する場合があり、80mgKOH/gを超えると、ポリウレタン樹脂の極性が上がり、第1水性ベース塗料と第2水性ベース塗料とが混層し、塗膜外観性が低下する場合がある。
【0028】
また、シェル部となるポリウレタン樹脂の酸価は10〜60mgKOH/gであり、塗膜外観性の点で、30〜40mgKOH/gが好ましい。酸価が10mgKOH/g未満になると、水性媒体中でのポリウレタン樹脂の乳化安定性が低下することにより、塗膜外観性が低下する場合があり、60mgKOH/gを超えると、ポリウレタン樹脂の水溶性が高くなり過ぎることで、第1水性ベース塗料と第2水性ベース塗料が混層し、塗膜外観性が低下する場合がある。
【0029】
シェル部となるポリウレタン樹脂の数平均分子量は特に限定されないが、例えば、500〜50,000であり、具体的には、例えば、500、1,500、2,500、3,500、4,500、5,500、6,500、7,500、10,000、15,000、20,000、30,000、40,000、50,000であり、ここに例示した何れか2つの数値の範囲内であってもよい。なお、本明細書における数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により得られる値である。
【0030】
コア部となるアクリル樹脂は、ラジカル重合性単量体を原料成分とするラジカル重合反応を利用した、公知の方法により得ることができ、シェル部となるポリウレタン樹脂の樹脂水溶液又は水分散液中において合成される。
ラジカル重合性単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、アリルアルコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらのラジカル重合性単量体は、1種単独で使用することもでき、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0031】
アクリル樹脂の合成の際には、ラジカル重合開始剤を配合してもよい。ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4'−アソビス−4−シアノ吉草酸、1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルバーオキシ)オクタン、t−ブチルヒドロパーオキンド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、イソブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルバーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンソエート、t−ブチルバーオキシソプロピルカーボネート等の有機過酸化物が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
コア部となるアクリル樹脂の水酸基価は40〜140mgKOH/gであり、塗膜外観性と被塗物との密着性の点で、好ましくは60〜120mgKOH/gであり、より好ましくは75〜85mgKOH/gである。水酸基価が40mgKOH/g未満になると、被塗物との密着性が悪くなる場合があり、140mgKOH/gを超えると、コア部の極性が高くなり過ぎるため、コア部を形成するべきアクリル樹脂とシェル部を形成するべきポリウレタン樹脂がコア/シェル構造を形成せず、塗膜外観性が低下する場合がある。
【0033】
コア部となるアクリル樹脂の酸価は0〜10mgKOH/gであり、塗膜外観性の点で、好ましくは0〜5mgKOH/gであり、より好ましくは0〜3mgKOH/gである。酸価が10mgKOH/gを超えると、コア部を形成するべきアクリル樹脂とシェル部を形成するべきポリウレタン樹脂が、コア/シェル構造を形成しない場合がある。
コア部となるアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、例えば、20〜60℃、具体的には、例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60℃であり、ここに例示した何れか2つの数値の範囲内であってもよい。
【0034】
コア部となるアクリル樹脂は、シェル部となるポリウレタン樹脂の樹脂水溶液又は水分散液中において合成されるため、その数平均分子量を正確に測定するのは困難である。アクリル樹脂の数平均分子量は、主に、合成の際の反応温度と、合成に使用されるラジカル重合開始剤の量により変化する。合成の際の反応温度は、例えば、60〜110℃であり、具体的には、例えば、60、70、80、90、100、110℃であり、ここに例示した何れか2つの数値の範囲内であってもよい。また、合成に使用されるラジカル重合開始剤の量は、例えば、ラジカル重合性単量体100質量部に対して、0.1〜3.0質量部であり、具体的には、例えば、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0質量部であり、ここに例示した何れか2つの数値の範囲内であってもよい。
【0035】
本発明の水性ベース塗料組成物に含まれるコア/シェル型エマルション樹脂において、コア部とシェル部との質量含有比率は20/80〜80/20であり、塗膜外観性の点から、好ましくは35/65〜65/35であり、より好ましくは45/55〜55/45である。コア部の質量含有比率が20未満になると、コア/シェル型エマルション樹脂の水溶性が高くなり、第1水性ベース塗料と第2水性ベース塗料が混層し、塗膜外観性が低下する場合がある。一方、コア部の質量含有比率が80を超えると、コア部のアクリル樹脂の粒子性が強くなり、塗膜外観性が低下する場合がある。
【0036】
本発明の水性ベース塗料組成物中にコア/シェル型エマルション樹脂を安定に存在させるためには、前記コア/シェル型エマルション樹脂のカルボキシル基の一部あるいは全部を、塩基性物質で中和し、自己乳化性を付与するのが好ましい。
中和に使用する塩基性物質としては、例えば、アンモニア、モルホリン、N−アルキルモルホリン、モノイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンおよびトリブチルアミン等を挙げることができる。これらの塩基性物質は、1種単独で用いてもよいし、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
本発明の水性ベース塗料組成物において、基体樹脂の樹脂固形分の総量に対する上記のコア/シェル型エマルション樹脂の質量含有比率は、塗膜外観性の点から、好ましくは5〜80質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。
【0038】
本発明の水性ベース塗料組成物は、基体樹脂として、上記コア/シェル型エマルション樹脂以外に公知の水性樹脂を含有することが好ましい。公知の水性樹脂としては、ポリウレタン樹脂又はアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種類が好ましい。
【0039】
水性ポリウレタン樹脂の水酸基価は、例えば10〜140mgKOH/gが好ましく、酸価は、例えば3〜80mgKOH/gが好ましい。
水性ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、例えば1,000〜100,000が好ましい。この数平均分子量は、具体的には、例えば1,000、5,000、10,000、20,000、40,000、60,000、80,000、100,000であり、ここに例示した数値の何れか2つの範囲内であってもよい。
【0040】
水性アクリル樹脂の水酸基価は、例えば10〜200mgKOH/gが好ましく、酸価は、例えば0〜20mgKOH/gが好ましく、ガラス転移温度は、例えば−40〜80℃が好ましい。なお、本明細書に記載されたガラス転移温度の値は、DSC(示差走査型熱量測定)における転移開始温度の値である。
水性アクリル樹脂の数平均分子量は、例えば1,000〜1,000,000が好ましい。この数平均分子量は、具体的には、例えば、1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、200,000、400,000、600,000、800,000、1,000,000であり、ここに例示した数値の何れか2つの範囲内であってもよい。
【0041】
本発明の水性ベース塗料組成物には、着色顔料、光輝顔料、体質顔料などの各種顔料を含有させることができる。着色顔料として、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタンなどの無機系顔料、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インディゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料などの有機系顔料が挙げられる。また、光輝顔料として、例えば、アルミニウムフレーク顔料、アルミナフレーク顔料、マイカ顔料、シリカフレーク顔料、ガラスフレーク顔料などが挙げられる。そして、体質顔料として、例えば、炭酸カルシウム、バライト、沈降性硫酸バリウム、クレー、タルクなどが挙げられる。これらの顔料は、1種単独で用いてもよいし、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
本発明の水性ベース塗料組成物に顔料を加える場合の質量含有比率は、例えば、基体樹脂の樹脂固形分の総量に対して3〜200質量%であり、具体的には、例えば、3、5、15、30、50、70、90、110、130、150、175、200質量%であり、ここに例示した何れか2つの数値の範囲内であってもよい。
本発明の水性ベース塗料組成物には、表面調整剤、消泡剤、界面活性剤、造膜助剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などの各種添加剤、各種レオロジーコントロール剤、各種有機溶剤などの1種以上を含有させることができる。
本発明の水性ベース塗料組成物は、媒体として水を含有するが、必要に応じて、水、場合によっては少量の有機溶剤やアミンを使用し、適当な粘度に希釈してから塗装に供される。
【0043】
本発明の水性ベース塗料組成物は、被塗物に第1水性ベース塗料(A)を塗装して第1塗膜を形成し、未硬化の前記第1塗膜上に第2水性ベース塗料(B)を塗装して第2塗膜を形成し、未硬化の前記第2塗膜上にクリヤー塗料(C)を塗装してクリヤー塗膜を形成し、これら3層の塗膜を同時に加熱硬化させる複層塗膜形成方法において、第1水性ベース塗料(A)及び第2水性ベース塗料(B)として使用することができる。
本発明の複層塗膜形成方法において、本発明の水性ベース塗料組成物を第1水性ベース塗料(A)及び第2水性ベース塗料(B)として使用する場合には、第2水性ベース塗料(B)に硬化剤を含まなくても、被塗物との密着性を確保できる。
【0044】
本発明の水性ベース塗料組成物の硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリカルボジイミド化合物などが挙げられる。この中でも、塗膜外観性の点で、ポリイソシアネート化合物、ポリカルボジイミド化合物が好ましい。また、これらの硬化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用して用いてもよい。
【0045】
アミノ樹脂は、アミノ基を含有する化合物にホルムアルデヒドを付加し縮合させた樹脂の総称であり、具体的には、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂又はグアナミン樹脂などが挙げられる。この中でも、メラミン樹脂が好ましい。さらに、該アミノ樹脂のメチロール基の一部もしくは全部を、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの1価アルコールから選ばれた、1種又は2種以上のアルコールによりエーテル化してなる、アルキルエーテル化アミノ樹脂なども挙げられる。
アミノ樹脂を硬化剤とする場合において、(基体樹脂/アミノ樹脂)で表される固形分質量比は、被塗物との密着性、耐水性、耐チッピング性の点から、好ましくは0.65〜4.0であり、より好ましくは1.8〜3.0である。
【0046】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、そして、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート、水素化XDIなどの環状脂肪族ジイソシアネート、さらに、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化TDI、水素化MDIなどの芳香族ジイソシアネート、及びこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体などを挙げることができる。
【0047】
ブロックポリイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、例えば、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトオキシムなどのオキシム類、ε−カプロラクタム類などのラクタム類、アセト酢酸ジエステルなどのジケトン類、イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール類、又はm−クレゾールなどのフェノール類などによりブロックしたものを挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物及びブロックポリイソシアネート化合物を硬化剤とする場合において、水性ベース塗料組成物におけるNCO/OHのモル比は、被塗物との密着性及び塗膜外観性の点から、好ましくは0.5〜1.5であり、より好ましくは0.8〜1.2である。
【0048】
ポリカルボジイミド化合物としては、親水性カルボジイミド化合物が好ましい。親水性カルボジイミド化合物として、例えば、1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有するポリカルボジイミド化合物と、分子末端に水酸基を有するポリオールとを、NCO/OHのモル比が1を超えるような比率で反応させ、得られた反応生成物に、活性水素および親水性部分を有する親水化剤を反応させたものが挙げられる。
本発明においてポリカルボジイミド化合物を硬化剤とする場合において、水性ベース塗料組成物におけるNCN/COOHのモル比は、被塗物との密着性及び塗膜外観性の点から、好ましくは0.5〜2.0であり、より好ましくは0.8〜1.5である。
【0049】
本発明の水性ベース塗料組成物の形態は、水性であれば特に限定されず、例えば、水溶性、水分散性、水性エマルションなどの形態が挙げられる。
本発明の複層塗膜形成方法において使用するクリヤー塗料(C)としては、有機溶剤塗料、水性塗料、粉体塗料のいずれも使用することができる。クリヤー塗料の基体樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などが挙げられ、硬化系としては、メラミン硬化、酸/エポキシ硬化、イソシアネート硬化などが挙げられるが、塗膜外観性の点から、アクリル樹脂/メラミン硬化型、アクリル樹脂/イソシアネート硬化型、酸/エポキシ硬化型のクリヤー塗料が好ましい。
【0050】
本発明の複層塗膜形成方法における各塗料の塗装方法としては、自動車産業において通常用いられている方法、例えばエアースプレー塗装、エアー霧化式静電塗装、ベル回転霧化式静電塗装等が適用できる。
本発明の複層塗膜形成方法において、水性ベース塗料組成物の塗装条件は、温度が10〜40℃であり、相対湿度は65〜85%であることが好ましい。
【0051】
本発明の複層塗膜形勢方法において、第1水性ベース塗料(A)の塗装後や、第2水性ベース塗料(B)の塗装後には、予備加熱を行ってもよいが、本発明の水性ベース塗料組成物を使用する場合は、第1水性ベース塗料(A)の塗装後には予備加熱を行わなくとも、優れた塗膜外観性を得ることができる。なお、予備加熱を行う場合の温度は30〜100℃、時間は3〜10分が好ましい。
本発明の複層塗膜形成方法において、複層塗膜の加熱硬化温度は60℃〜170℃が好ましく、加熱硬化時間は20〜40分が好ましい。
【0052】
本発明の複層塗膜形成方法において、第1水性ベース塗料(A)及び第2水性ベース塗料(B)の硬化剤がポリイソシアネート化合物及び/又はカルボジイミド化合物である場合、又は、第1水性ベース塗料(A)の硬化剤がポリイソシアネート化合物及び/又はカルボジイミド化合物であって、第2水性ベース塗料(B)が硬化剤としてポリイソシアネート化合物及び/又はカルボジイミド化合物を含まない場合においては、イソシアネート硬化型のクリヤー塗料(C)を使用することにより、複層塗膜の加熱硬化温度を60℃〜100℃とすることができる。
【0053】
なお、本発明の複層塗膜形成方法における被塗物としては、金属上に電着塗膜を形成したもの、電着塗膜上に中塗り塗膜を形成したもの、及びプラスチックなどがあるが、金属に電着塗膜を形成したものが好ましい。
本発明の複層塗膜形成方法においては、第1水性ベース塗料(A)を塗装する前に、チッピングプライマーやアンダーコートプライマーなど、通常の3コート2ベーク塗装工程において行われる塗装工程を含んでいてもよい。
【実施例】
【0054】
以下、本発明について、実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、各例中の部、%、比は、それぞれ質量部、質量%、質量比を表す。
【0055】
<製造例1−1:ポリエステル樹脂ワニスA1の製造>
反応水の分離管が付属した還流冷却管、窒素ガス導入装置、温度計、攪拌装置を装備した反応容器に、ダイマー酸(商品名「EMPOL1008」、コグニス社製、炭素数36)54.0部、ネオペンチルグリコール8.0部、イソフタル酸17.8部、1,6−ヘキサンジオール19.4部、トリメチロールプロパン0.8部を仕込み、120℃まで昇温させて原料を溶解した後、攪拌しながら160℃まで昇温させた。160℃のまま1時間保持した後、5時間かけて230℃まで徐々に昇温させた。230℃を保持して反応を続け、樹脂酸価が4mgKOH/gになったら、80℃以下まで冷却した後に、メチルエチルケトン31.6部を加え、表1に示す特性値を有するポリエステル樹脂ワニスA1を得た。
【0056】
<製造例1−2〜1−4:ポリエステル樹脂ワニスA2〜A4の製造>
表1に示した配合に基づき、製造例1−1と同様の方法で、表1に示す特性値を有するポリエステル樹脂ワニスA2〜A4を得た。
【0057】
【表1】

【0058】
表1に示される各種配合成分の詳細を以下に示す。
(※1)商品名「EMPOL1008」、コグニス社製、炭素数36
【0059】
<製造例2−1:ポリウレタン樹脂B1の製造>
窒素ガス導入装置、温度計、攪拌装置を装備した反応容器に、ポリエステル樹脂溶液A1を78.3部、ジメチロールプロピオン酸7.8部、ネオペンチルグリコール1.4部、メチルエチルケトン40.0部を仕込み、攪拌しながら80℃まで昇温させた後、イソホロンジイソシアネート27.6部を仕込み、80℃を保持したまま各成分を反応させた。イソシアネート価が0.43meq/gになったところでトリメチロールプロパン4.8部を加え、そのまま80℃で反応を継続させた。そして、イソシアネート価が0.01meq/gになったところでブチルセロソルブ33.3部を加えて反応を終了させた。その後、100℃まで昇温させ、減圧下でメチルエチルケトンを除去した。さらに、50℃まで降温させ、ジメチルエタノールアミンを4.4部加えて酸基を中和し、その後に脱イオン水147.9部を加えて、表2に示す特性値を有するポリウレタン樹脂B1を得た。
【0060】
<製造例2−2〜2−13:ポリウレタン樹脂B2〜B13の製造>
表2に示した配合に基づき、製造例2−1と同様の方法で、表2に示す特性値を有するポリウレタン樹脂B2〜B13を得た。なお、B2及びB7については、B1を製造する際に使用したトリメチロールプロパンの代わりにネオペンチルグリコールを使用して製造した。
表2及び表8〜10中の「高級二価酸/アルコール含有比率」は、ポリウレタン樹脂の樹脂固形分に対する、炭素数10〜60の二塩基酸及び/又は二価アルコールに基づく構成単位の総質量含有比率を意味する。
【0061】
【表2】

【0062】
表2に示される各種配合成分の詳細を以下に示す。
(※1)ポリエステル樹脂ワニスに含まれる溶剤は、減圧により除去されるので、表2中の「合計」には含まれていない。
(※2)商品名「PRIPOL2023」、クローダ社製、炭素数36
(※3)減圧により除去されるので、表2中の「合計」には含まれていない。
(※4)中和剤として使用されており、表2中の「樹脂固形分」には含まれていない。
【0063】
<製造例3−1:コア/シェル型エマルションC1の製造>
窒素ガス導入装置、温度計、滴下ロート、攪拌装置を装備した反応容器に、ポリウレタン樹脂B1を46.4部、脱イオン水33.1部を仕込み、攪拌しながら85℃まで昇温させた後、滴下成分として、スチレン4.9部、メチルメタクリレート4.5部、n−ブチルアクリレート3.9部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.8部、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.24部の均一混合液を、3.5時間かけて滴下ロートを用いて等速滴下した。滴下終了後、85℃で1時間保持した後、追加触媒として、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.03部をプロピレングリコールモノメチルエーテル0.14部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、さらに85℃で1時間保持したところで反応を終了し、コア/シェル型エマルション樹脂C1を得た。
【0064】
<製造例3−2〜3−23:コア/シェル型エマルションC2〜C23の製造>
表3〜4に示した配合に基づき、製造例3−1と同様の方法で、表3〜4に示す特性値を有するコア/シェル型エマルションC2〜C23を得た。
【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
<製造例4−1:第1水性ベース塗料D1の製造>
分散樹脂として水性ポリウレタン樹脂B1を使用し、二酸化チタン(商品名「タイピュア R706」、デュポン社製)39.1部及びカーボンブラック(商品名「MA−100」、三菱化学(株)製)0.4部をモーターミルで分散し、顔料ペーストを作製した。
次に、コア/シェル型エマルションC1を25.5部、水性ポリウレタン樹脂B1、水性アクリル樹脂(商品名「SETAQUA6511」、ヌプレクス・レジンズ社製、酸価8mgKOH/g、水酸基価138mgKOH/g、ガラス転移温度12℃、樹脂固形分47%)5.9部をディゾルバーで混合して樹脂ベースを作製した後、先に作製した顔料ペーストを加えて混合した。最後に、メラミン樹脂(商品名「サイメル327」、サイテック・インダストリーズ社製、樹脂固形分90%)13.2部を加えて混合し、第1水性ベース塗料D1を得た。なお、第1水性ベース塗料D1中での水性ポリウレタン樹脂B1の含有量は47.4部となるようにした。
【0068】
<製造例4−2〜4−32:第1水性ベース塗料D2〜D32の製造>
表5〜6に示した配合に基づき、製造例4−1と同様の方法で、第1水性ベース塗料D2〜D32を得た。
表5〜表7中、「P/B」は、(顔料)/(樹脂)の固形分質量比を表す。
【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
<製造例5−1:第2水性ベース塗料E1の製造>
分散樹脂として水性ポリウレタン樹脂B1を使用し、カーボンブラック(商品名「MA−100」、三菱化学(株)製)2.1部をモーターミルで分散し、顔料ペーストを作製した。
次に、コア/シェル型エマルションC1を25.5部、水性ポリウレタン樹脂B1、水性アクリル樹脂(商品名「SETAQUA6511」、ヌプレクス・レジンズ社製、酸価8mgKOH/g、水酸基価138mgKOH/g、ガラス転移温度12℃、樹脂固形分47%)5.9部をディゾルバーで混合して樹脂ベースを作製した後、先に作製した顔料ペーストを加えて混合し、第2水性ベース塗料E1を得た。なお、第2水性ベース塗料E1中での水性ポリウレタン樹脂B1の含有量は47.4部となるようにした。
【0072】
<製造例5−2:第2水性ベース塗料E2の製造>
分散樹脂として水性ポリウレタン樹脂B1を使用し、カーボンブラック(商品名「MA−100」、三菱化学(株)製)2.9部をモーターミルで分散し、顔料ペーストを作製した。
次に、コア/シェル型エマルションC1を25.5部、水性ポリウレタン樹脂B1、水性アクリル樹脂(商品名「SETAQUA6511」、ヌプレクス・レジンズ社製、酸価8mgKOH/g、水酸基価138mgKOH/g、ガラス転移温度12℃、樹脂固形分47%)5.9部をディゾルバーで混合して樹脂ベースを作製した後、先に作製した顔料ペーストを加えて混合した。最後に、メラミン樹脂(商品名「サイメル327」、サイテック・インダストリーズ社製、樹脂固形分90%)13.2部を加えて混合し、第2水性ベース塗料E2を得た。なお、第2水性ベース塗料E2中での水性ポリウレタン樹脂B1の含有量は47.4部となるようにした。
【0073】
<製造例5−3〜5−18:第2水性ベース塗料E3〜E18の製造>
表7に示した配合に基づき、製造例5−2と同様の方法で、第2水性ベース塗料E2〜E18を得た。
【0074】
【表7】

【0075】
表5〜7に示される各種配合成分の詳細を以下に示す。
(※1)メラミン樹脂(商品名「サイメル327」、サイテック・インダストリーズ社製、樹脂固形分90%)
(※2)ポリイソシアネート(商品名「バイヒジュール3100」、住化バイエルウレタン(株)製)
(※3)ポリカルボジイミド(商品名「カルボジライトV−02−L2」、日清紡ケミカル(株)製)
(※4)二酸化チタン(商品名「タイピュア R706」、デュポン社製)
(※5)カーボンブラック(商品名「MA−100」、三菱化学(株)製)
【0076】
<実施例1>
リン酸亜鉛処理軟鋼板に、カチオン電着塗料(商品名「カソガードNo.500」、BASFコーティングス(株)製)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装を行い、175℃で25分間焼き付けて、本評価に使用する電着塗膜板とした(以下、「電着板」とする)。
次に、回転霧化型ベル塗装機(商品名「メタリックベルG1−COPESベル」、ABB社製)を使用し、25℃、75%(相対湿度)の塗装条件で、以下の流れで評価板を作成した。なお、下記の複層塗膜形成において、第1水性ベース塗料と第2水性ベース塗料は、フォードカップ#4の粘度が40秒(20℃)となるように、脱イオン水で希釈してから塗装に供した。
【0077】
電着板に、第1水性ベース塗料D1を、乾燥膜厚が20μmとなるように塗装した。その後、室温で5分間静置し、第2水性ベース塗料E1を、乾燥膜厚が12μmとなるように塗装した。塗装後、5分間室温で静置し、80℃で3分間の予備加熱を行った。室温となるまで放冷した後、クリヤー塗料(商品名「ベルコートNo.7300」、BASFコーティングスジャパン(株)製)を乾燥膜厚が30μmとなるように塗装した。塗装後、室温で10分間静置し、140℃で30分間焼き付けて、評価板を得た。
【0078】
得られた評価板について、以下の塗膜性能評価を行った。
【0079】
(1)塗膜外観性
得られた評価板の塗膜外観を、目視観察により、次の基準に従い評価した。
◎:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯がかなり鮮明に映る。
○+:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯が鮮明に映る。
○:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯が少し鮮明に映る。
○−:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯の周囲(輪郭)がわずかにぼやける。
×:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯の周囲(輪郭)が著しくぼやける。
【0080】
(2)被塗物との密着性
得られた評価板の塗膜に、カッターナイフを用いて2mm×2mmの碁盤目を100個形成し、碁盤目部分にセロハンテープを強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、碁盤目の状態を観察して、次のように評価した。
○:塗膜の剥離が認められない
×:塗膜の剥離が認められる
<実施例2〜24、比較例1〜15>
表8〜10に記載した組み合わせの第1水性ベース塗料、第2水性ベース塗料、クリヤー塗料を使用し、実施例1と同様の方法で、評価板を作成して塗膜性能評価を行った。塗膜性能評価の結果を表8〜10にまとめた。
【0081】
【表8】

【0082】
【表9】

【0083】
【表10】

【0084】
表8〜10に示される各種配合成分の詳細を以下に示す。
(※1)
1K:アクリル樹脂/メラミン硬化型クリヤー塗料、商品名「ベルコートNo.7300」、BASFコーティングスジャパン(株)製
2K:アクリル樹脂/イソシアネート硬化型クリヤー塗料、商品名「EVERGLOSS」、BASFコーティングスジャパン(株)製
【0085】
<考察>
全ての実施例では、塗膜外観性及び基材との密着性について、良好な結果が得られた一方、全ての比較例では、塗膜外観性と基材との密着性のどちらかが劣っていた。実施例4〜8を参照すると、(コア/シェル型エマルション)/基体樹脂の固形分質量比は、100%未満が好ましく、50%未満がさらに好ましいことが分かった。また、実施例1と実施例17を比較すると、高級二価酸/アルコールの炭素数が36である実施例1の評価結果は、炭素数が12である実施例17よりも良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体樹脂として、コア部がアクリル樹脂、シェル部がポリウレタン樹脂からなるコア/シェル型エマルション樹脂を含む水性ベース塗料組成物であって、前記コア/シェル型エマルション樹脂におけるコア部とシェル部の質量含有比率が20/80〜80/20であり、前記アクリル樹脂の水酸基価が40〜140mgKOH/g、酸価が0〜10mgKOH/gであり、前記ポリウレタン樹脂の水酸基価が20〜80mgKOH/g、酸価が10〜60mgKOH/gであり、かつ前記ポリウレタン樹脂において、炭素数10〜60の二塩基酸及び/又は二価アルコールに基づく構成単位の総質量含有比率が、前記ポリウレタン樹脂の樹脂固形分に対して10〜50質量%であることを特徴とする水性ベース塗料組成物。
【請求項2】
前記コア/シェル型エマルション樹脂におけるコア部とシェル部の質量含有比率が45/55〜55/45であり、前記ポリウレタン樹脂の酸価が30〜40mgKOH/gであり、かつ前記ポリウレタン樹脂において、炭素数34〜38の二塩基酸及び/又は二価アルコールに基づく構成単位の総質量含有比率が、前記ポリウレタン樹脂の樹脂固形分に対して30〜35質量%である、請求項1に記載の水性ベース塗料組成物。
【請求項3】
前記コア/シェル型エマルション樹脂の質量含有比率が、基体樹脂の樹脂固形分の総量に対して、5〜80質量%である、請求項1又は2に記載の水性ベース塗料組成物。
【請求項4】
前記コア/シェル型エマルション樹脂の質量含有比率が、基体樹脂の樹脂固形分の総量に対して、10〜40質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性ベース塗料組成物。
【請求項5】
被塗物に第1水性ベース塗料(A)を塗装して第1塗膜を形成し、該第1塗膜を形成した後に予備加熱及び加熱硬化を行わず、未硬化の前記第1塗膜上に第2水性ベース塗料(B)を塗装して第2塗膜を形成し、未硬化の前記第2塗膜上にクリヤー塗料(C)を塗装してクリヤー塗膜を形成し、これら3層の塗膜を同時に加熱硬化させる複層塗膜形成方法であって、さらに、前記第1水性ベース塗料(A)及び第2水性ベース塗料(B)が、各々、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性ベース塗料組成物から選択されたものである、複層塗膜形成方法。
【請求項6】
前記第1水性ベース塗料(A)及び第2水性ベース塗料(B)が、硬化剤としてポリイソシアネート化合物及び/又はポリカルボジイミド化合物を含有する、請求項5に記載の複層塗膜形成方法。
【請求項7】
前記クリヤー塗料(C)が、水酸基含有アクリル樹脂とポリイソシアネート化合物とを含有する、請求項5又は6に記載の複層塗膜形成方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法により得られた塗膜。

【公開番号】特開2013−60577(P2013−60577A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−143576(P2012−143576)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【出願人】(510144591)BASFジャパン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】