説明

水性保湿剤及び潤滑剤並びにその使用

本出願は、膣の乾燥を緩和する、個人用の水系の保湿剤及び潤滑剤である。これらの組成物は非殺精子性で、精子及び卵子適合性で、種々の形態において、体液を模し、精子の生存及び運動性を増強し、精子の卵子に対する結合を促進し、及び/又は、受胎の過程を容易化し得る。関連する物品、システム、並びに、かかる組成物の調製及び使用の方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、インビボ(in vivo)及び/又はインビトロ(in vitro)における、配偶子の生存;精子、卵母細胞、胚、細胞及び組織の機能改善;及び、精子及び卵母細胞の受精能の増強を促進する組成物、並びに、かかる組成物に関するシステム、物品及び調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
性行為の1又は2以上の段階への関与の全体的又は部分的な不能として特徴付けられる性的不全は、受胎を試みる(TTC)カップルの障害となる。性的不全の原因の一つとして、膣潤滑の不足が挙げられる。膣性交中に膣内で自然に分泌される潤滑生理液又は粘液が不在だと、膣組織が乾燥して刺激され、不快感、苦痛、及び時には出血が生じる場合がある。かかる状態の原因としては、パートナー関係の質、興奮及び刺激の不足、ホルモンの変化、ある種の薬物の副作用等が挙げられる。避妊用クリーム及びフォームによる刺激も、乾燥を引き起こす場合があり、セックスに対する恐怖及び不安も同様である。
【0003】
膣乾燥に対処する種々の異なる潤滑剤組成物が当技術分野で公知である。しかしながら、現在入手し得る一般用医薬品(OTC)の潤滑剤の大部分は、故意にせよ偶然にせよ、精子の生存能力又は運動性又はその両方を低下させ(18−22)、また、精子と卵子の接触も妨害し得る。K−Yゼリー(K-Y Jelly)やワセリン(Vaseline)等の一般に入手可能な潤滑剤は、水溶性が低く、粘稠度が不十分であり、なかんずく、殺精子性であるため、受胎を望むカップルにとっては望ましくない(18−22)。かかる潤滑剤は精子及び卵子を害し、精子の運動性を低下させ、精子と卵子との結合を妨げ、結果として受精過程を妨害する可能性がある。
【0004】
入手可能な膣潤滑剤の一部には、組成物の保管寿命の延長のために、その成分としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が添加されている。しかし、EDTAは、細胞機能に必須のイオンをキレートして隔絶してしまうため、細胞の生存能にとって有害である。従来の潤滑剤溶液の一部に含まれる多糖及びオリゴ糖も、精子による卵子の認識を妨害して受精を阻止する。更に、入手可能な潤滑剤組成物は通常、受精過程を容易化し、或いは促進する剤を欠いている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
即ち、既存の潤滑剤組成物の多くは配偶子に敵対的であり、受精にとって好ましくない。従って、受胎を試みるカップルに適した組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
水系媒質、溶液、保湿剤及び潤滑剤の組成物、調製方法及び種々の応用が提供される。また、本発明は、かかる組成物の物品、システム、及び調製方法及び使用も提供する。
【0007】
前記水系組成物は、緩衝化されたpH及び重量オスモル濃度を有する、生体液に類似した水溶液を含んでなる。好ましい実施形態によれば、かかる水系組成物は、精子に害を及ぼさず、卵子に害を及ぼさず、及び/又は、受精に有利な非殺精子性膣潤滑剤として有用である。水系組成物は更に、精子及び細胞生存能維持剤、精子及び細胞のためのエネルギー増強剤、抗酸化剤及び酸素スカベンジャー、受精促進剤、及び/又は胚付着促進剤を含んでいてもよい。
【0008】
更に他の態様によれば、ヒト及び他の動物の自然な生殖又は人為的な生殖を改善するための方法及び組成物が提供される。この組成物は、受精を容易にする物品及びシステムと組み合わせて使用することもできる。
【0009】
本発明は、細胞、組織、又は器官を害せず、及び/又は、それらの培養、保管、移植及び/又はインビボ及び/又はインビトロでの使用時における、生存能力及び/又は機能を改善する組成物、物品、システム及び組成物の調製方法及び使用を更に提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
添付の図面は、本発明の実施形態の例を示すものである。図中、同一の符号は同様の要素を表す。図示したこれらの実施形態は、本発明の例示として解すべきであり、如何なる意味でも限定的なものと解すべきではない。
【0011】
受胎を試みるカップルにとって、受精の成功を妨げ得るものとして、不自然な性的補助剤(殺精子性潤滑剤)、並びに、生得的な性器の生物学的及び/又は生理学的状態が挙げられる。精液中の精子は塩基性pHに晒され、その塩基性は時にpH7.8〜8.2にもなるのに対して、膣内のpHは通常はより酸性、例えば約4.5であり、かかるpHは正常な膣内細菌叢には適しているが、精子には有害である。かかる女性生殖管への進入前には、精子は機能的に不活性な状態で精巣上体尾内に貯蔵されており、運動性ではなく、卵子と相互作用できない(1−16)。精巣上体尾内に貯蔵された精子は、pH及び張度が平衡化された溶液中で、イオン、エネルギー基質及び栄養素の存在により生存可能に保たれる。この環境は、高濃度のカリウムイオン、低濃度のナトリウムイオン及び超低濃度の炭酸水素イオンを含んでなる(24)。
【0012】
不活性な精子は、生物学的環境の変化により、一連の生化学的段階を経て、卵子を受精させ得る自由遊泳性の機能的な細胞に変換される。精子の受精能獲得には、精子膜からのコレステロール流出、cAMP依存性シグナル伝達(細胞外炭酸水素イオンを要する)、及び、関連するcAMP産生の刺激による細胞内pH及び炭酸水素レベルの上昇(鞭毛運動性の制御と関連する)が関与している。加えて、プロゲステロンも授精能獲得の一部態様を調節する場合があり、カリウムイオンの生理的レベルからの低下も受精能獲得に寄与する(23)。受精能獲得を誘導する卵管液及び媒質の組成は、高濃度の種々のイオン(ナトリウム、カルシウム及び炭酸水素塩等)及び低濃度の他のイオン(カリウム等(17))を含んでなる。本発明のある実施形態によれば、組成物は平衡化された塩溶液を含有し、これが女性体内への移動後の精子の生存能力、運動性及び/又は粘液浸透を向上させて、受精の可能性を増加させる。
【0013】
受精能を獲得した精子は(細胞表面のヒアルロニダーゼの補助により)卵丘に侵入し、透明帯に接触して先体反応を生じる(これはカルシウム依存性である)。透明帯への精子の付着は、細胞表面受容体と細胞上のリガンド(インテグリン等)との間の結合、並びにタンパク質−炭水化物認識過程に基づく。先体反応の完了後、精子は透明帯に侵入し、続いて卵子の形質膜と接触して融合し、受精に至る。更に、この過程中の精子の運動はエネルギー集約的であり、ピルビン酸塩、乳酸塩及びグルコースを含むエネルギー基質によって促進される。本発明のある実施形態によれば、組成物は、精子の生存能力、運動性及び/又は粘液浸透を改善する精子エネルギー増強剤を含んでなる。
【0014】
最初の精子透明帯結合は、透明帯の構成糖タンパク質であるZP3により媒介され、タンパク質−炭水化物卵子−精子認識及び相互作用を伴う。例えば、精子表面受容体は、透明帯上のタンパク質ZP3由来のO結合オリゴ糖と会合する。従って、外部オリゴ糖及び多糖の存在は、この認識に干渉することにより、受精過程に負の影響を与える場合がある。本発明のある実施形態によれば、組成物は、例えば、タンパク質−炭水化物認識過程に干渉する多糖及びオリゴ糖を全く含有せず、或いは実質的に含有しない。
【0015】
更に、受精の成功に先立つ最終段階の1つは、透明帯に浸透した精子と卵子の細胞膜との結合及び融合である。EDTA等のある種の防腐剤は、有益なイオンを遮蔽することにより、受精過程の成功を妨げる場合がある。本発明のある実施形態によれば、組成物は、精子細胞と卵母細胞との結合を増強する剤を含んでなり、EDTA等のある種の有害な防腐剤を全く含有せず、或いは実質的に含有しない。
【0016】
加えて、精子と卵子との結合に重要な細胞表面タンパク質の一部、例えばインテグリン等は、常態では不活性な立体配座で細胞上に存在しているため、外界からのシグナルによって活性化されるまではリガンドと結合しない。本発明のある実施形態によれば、組成物は、インテグリン受容体を活性化することにより、精子細胞と卵母細胞との結合を増強する剤を含んでなる。かかる剤を潤滑剤組成物に含めることにより、精子及び卵子の細胞表面受容体を互いに結合するように刺激又は活性化し、ひいては受精能を向上することができる。
【0017】
現在まで何年もかかって、人工授精及び補助生殖技法(ART)の使用により、個人の不妊の問題を医師が扱うことが可能となった。これらの技法も、細胞、精子、卵母細胞又は胚を、異なる時及び/又は場所で使用するために貯蔵する方法から恩恵を受けてきた。関連する段階及び方法としては(その一部は必須ではないが)、ヒト及び/又は他の動物由来の細胞、精子、卵子又は胚の捕集;捕集した試料の洗浄(例えば、精子濃縮分画を分離するための精液の洗浄、又は卵子の洗浄);それに続く、機能性生存細胞を得るための処理;細胞の培養;胚を発生させるための体外受精;後の使用のための細胞又は胚の貯蔵(延長培養、冷蔵又は低温貯蔵状態で);女性体内への移入に先立つ再処理;及び妊娠を確立するための女性体内への移入が含まれる。生存能維持剤又は受精促進剤を含有する、精液及び精子捕集用の改良された組成物は、例えば、精子卵子結合の可能性を増加させることにより、受精の可能性を増進する。同様に、精子洗浄及び精子分離媒質中に生存能維持剤又は受精及び/又は他の機能向上剤を含有する組成物の使用も、精子卵子結合の可能性を増加させることにより、受精の可能性を増進するであろう。同様に、体外受精媒体中に生存能維持剤又は受精及び他の機能の向上剤を含有する組成物の使用も、精子卵子結合の可能性を増加させることにより、受精の可能性を増進するであろう。本発明は更に、細胞、精子、卵母細胞、胚、組織又は器官を害することなく、それらの培養中、貯蔵中、輸送中及びインビボ及びインビトロでの使用中における生存能力及び機能を増進することが可能な組成物を提供する。加えて、ヒト及び動物における種々の人工授精及び補助生殖技法に使用するための組成物が提供される。
【0018】
加えて、医学的及び/又は物理的条件によっては、膣用及び/又は外科用潤滑剤を使用することが推奨され、或いは必要にさえなる。例えば、本発明の組成物は、骨関節炎の苦痛を軽減するための注射の一部として使用することができる。かかる治療剤の一部は、一連の注射で膝関節内に投与され、関節液の粘度を補完して関節を潤滑し、関節のクッションとなって鎮痛効果を生じ、軟骨細胞の生存能力を改善し得ると考えられる。或いは、本発明の組成物は、眼科手術(例えば、角膜移植、白内障手術、緑内障手術及び網膜剥離を修復するための手術)用に調整することにより、潤滑効果及び/又は細胞生存能力の向上効果を提供することができる。或いは、本発明の組成物を生体材料骨格に組み入れれば、本発明の細胞生存能維持剤の作用で組織増殖を操作することが可能となる。本発明の他の実施形態によれば、種々の医学的用途のための、細胞生存能維持剤を含有する潤滑剤組成物が提供される。
【0019】
受精過程を促進する潤滑剤の性質の一つは、配偶子の生存能力を低下させないということである。第2の望ましい特性は、精子の運動性、浸透及び/又は受精能、或いは卵母細胞の受精能に、その組成物が負の影響を与えないということである。加えて、その組成物は、卵母細胞又は受精した胚にも害を与えるべきではない。かかる組成物は、卵母細胞及び受精した胚に対しても無毒であることが好ましい。本発明の組成物は、性交前又は性交中に使用するための潤滑剤として特に有用である。
【0020】
本発明は、精子、卵母細胞、胚、細胞及び組織と適合し、且つ無毒である種々の組成物を提供する。加えて、かかる組成物は更に、精子及び卵母細胞の機能及び生存及び受精成功の可能性も増進し得る。即ち、これら記載の組成物は、(自然受胎か、種々の補助生殖技法のいずれかを用いるかによらず)受胎を試みるカップルにとって有用である。本発明は、水系媒体、溶液、保湿剤及び潤滑剤の、種々の用途のための組成物、物品、システム、調製方法及び使用を提供する。
【0021】
本明細書で使用する「生存能維持剤」という用語は、特に断らない限り、細胞、精子、卵母細胞、胚、又は組織に対して無毒であり、それらの生存能力を維持又は増進する剤を指す。生存能維持剤の例としては、これらに限定されるものではないが、天然又は合成のイオン及び塩、例えばカルシウム、ナトリウム、カリウム又はマグネシウム等のイオン及び塩が挙げられる。生存能維持剤としては、他のイオン、塩、脂質、低分子、一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素、ヌクレオシド、ヌクレオチド、糖類、ペプチド、タンパク質、及びそれらの化学的、機能的及び/又は生理的等価体も挙げられる。
【0022】
本明細書で使用する「水性潤滑基剤」という用語は、特に断らない限り、水性平衡塩溶液中に潤滑性剤を含有する水系組成物を指す。潤滑性剤の例としては、これらに限定されるものではないが、グリセロール、ヒスパゲル(HISPAGEL)(登録商標)(ポリアクリル酸グリセリル)、アラビノガラクタン、PCAGH(アラビノース、ガラクトース、及び/又はヘクスロン酸を含有する多糖)、デキストラン、ポリアクリル酸、カルボマー(アリルエーテルペンタエリトリトール、スクロースのアリルエーテル、又はプロピレンのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸ホモポリマー)、ポリエチレンオキシド、プルロニック(エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、例えばプルロニック(Pluronic)(登録商標)−127)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアール(2−ヒドロキシプロピルエーテル)、植物油、メチルパラベン、タンパク質、核酸、石油ゼリー、それらの組合せ又は化学的、機能的、又は生理的に同等又は類似の他の剤又は組合せが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用する「平衡塩溶液」という用語は、特に断らない限り、生物学的に適当なpH及び重量オスモル濃度を有する水溶液を指す。pH緩衝剤の例としては、これらに限定されるものではないが、リン酸、ホウ酸、クエン酸、アスコルビン酸、炭酸、炭酸水素、TRIS(トリヒドロキシメチルアミノメタン)、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)の塩、又はそれらの混合物が挙げられる。組成物の重量オスモル濃度を平衡化するために有用な浸透圧活性剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、炭酸水素イオン、グルコース、スクロース、ペプチド、タンパク質、それらの組合せ、又は化学的、機能的、又は生理的に同等又は類似の他の剤が挙げられる。
【0024】
本明細書で使用する「向上した生理機能」という用語は、特に断らない限り、細胞、精子、卵母細胞、胚、又は組織のそれらの本来の機能を果たす能力における改善を指す。向上した生理機能の例としては、これらに限定されるものではないが、精子の受精能の向上、卵母細胞の被受精能の向上、胚の発生能の向上、及び、受精胚の子宮壁への付着能の向上が挙げられる。
【0025】
本明細書で使用する「精子活性化」という用語は、特に断らない限り、非運動性の機能的に不活性な精子を、受精させる能力のある状態に変換する過程を指す。精子活性化過程の例としては、これらに限定されるものではないが、精子の非運動性を低減させて精子受精能を誘発又は改善することが挙げられる。精子活性化剤の例としては、これらに限定されるものではないが、イオン(炭酸水素塩、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びマンガン等)、塩類、ヒアルロニダーゼ(PH-20等)、アルブミン、高密度リポタンパク質、プロゲステロン、ペプチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、サイクリックAMP、低分子、タンパク質、抗体、ケモカイン、サイトカイン、プロスタグランジン、カフェイン、アスピリン、一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素、それらの組合せ、又は化学的、機能的、又は生理的に同等又は類似の他の剤又は組合せが挙げられる。
【0026】
本明細書で使用する「エネルギー増強剤」という用語は、特に断らない限り、細胞、精子、卵母細胞、胚又は組織にエネルギー基質を提供する天然又は合成の物質を指す。エネルギー増強剤の例としては、これらに限定されるものではないが、アデノシン三リン酸(ATP)、ピルビン酸塩、グルコース、ラクトース、他の糖類、乳酸塩、グリセロールホスホリルコリン、他の脂質、カルニチン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、それらの組合せ、又は化学的、機能的、又は生理的に同等又は類似の他の剤又は組合せが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用する「スカベンジャー」という用語は、特に断らない限り、フリーラジカルと反応し、及び/又はフリーラジカルがデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペプチド、タンパク質、又は細胞、精子、卵母細胞、胚、及び/又は組織の膜、オルガネラ、構造及び/又は機能に損傷を生じさせることを防止する天然又は合成の物質を指す。スカベンジャーの例としては、これらに限定されるものではないが、ビタミンE,ビタミンC,ナイアシン、リボフラビン、ナイアシンアミド、グルタチオン、NADH、他の抗酸化剤、それらの組合せ又は化学的、機能的、又は生理的に同等又は類似の他の剤又は組合せが挙げられる。
【0028】
本明細書で使用する「受精促進剤」という用語は、特に断らない限り、受精過程を促進し、或いは受精過程を妨害し得る1又は2以上の物質を除去する、天然又は合成の物質を指す。例として、受精促進剤は、精子及び卵子表面の受容体とリガンドとが相互作用する可能性を増大させることにより、その機能を発揮する。受精促進剤の例としては、これらに限定されるものではないが、イオン(マグネシウム、マンガン、炭酸水素塩及び亜鉛)、ヒアルロニダーゼ(PH-20等)、アルブミン、高密度リポタンパク質、プロゲステロン、パンテノール、カフェイン、L−カルニチン、サイクリックAMP、アスピリン、CD9タンパク質活性化剤、表面受容体の活性化剤(インテグリン活性化剤等)、それらの組合せ、又は化学的、機能的、又は生理的に同等又は類似の他の剤又は組合せが挙げられる。
【0029】
「生殖組織」という用語は、特に断らない限り、生殖過程に関与するヒト又は他の動物の組織を指す。生殖組織の例としては、限定されるものではないが、特に粘膜、膣、子宮、尿道、及び陰茎の組織、及び膣及び陰茎組織の周囲の皮膚が挙げられる。
【0030】
「器官」という用語は、特に断らない限り、任意のタイプのヒト又は他の動物の器官を指す。器官の例としては、限定されるものではないが、特に生殖器官(膣、陰茎、子宮、卵巣等)、腎臓、心臓、皮膚、肺、及び肝臓が挙げられる。
【0031】
「細胞」という用語は、特に断らない限り、任意のタイプのヒト又は他の動物の細胞を指す。細胞の例としては、限定されるものではないが、特に精子、卵母細胞、及び胚細胞が挙げられる。
【0032】
組成物及び物品は、活性成分を適当な量及び濃度で組み合わせる等、任意の方法で調製及び/又は製造することができる。任意により、他の適当な活性又は不活性の剤を加えてもよい。組成物に含まれる所与の剤の絶対重量は広い範囲を取り得る。組成物は無菌であることが好ましい。無菌化の方法としては、0.2ミクロンのフィルターを通過させることが好ましい。
【0033】
I.潤滑剤及び保湿剤組成物及び応用
本発明の一部は、生存能維持剤、及び/又は、受精及び他の生理機能の向上剤を潤滑剤及び保湿剤に使用することにより、生体細胞及び組織の生存能力が改善されると共に、それらの機能も改善されるという、本発明者等の予期せぬ発見の結果である。例えば、本発明者等は、精子を種々のバッファー中で30分間インキュベートした後、FACSアッセイ(実施例3に記載)を用いて生存能力を分析したところ、生存能維持剤として二価イオンを含有する潤滑剤(組成物1、組成物2、及び組成物3)と共にインキュベートした精子の生存能力は、それを含有しない潤滑剤(殺精子性として公知の潤滑剤であるK−Yゼリー(K-Y Jelly)等(18−22))と比べて殆んど低下しないことを見出した(表1)。更に驚くべき結果として、本発明者等は、潤滑剤組成物中に生存能維持剤として二価イオンを加えることにより、市販の非殺精子性潤滑剤(Pre-Seed等)と比較しても精子生存能力が増強されることを見出した。グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等、他の幾つかの潤滑性剤を主とする潤滑剤も、生存能維持剤と組み合わせた場合に、同様の結果が得られた。
【0034】
【表1】

【0035】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚又は組織の生存能力又は機能に影響を及ぼす特定の防腐剤又はバッファーを全く含まないか、或いは実質的に含まないとともに、非殺精子性であって、且つ、生存能維持剤、水性潤滑剤基剤、精子活性化剤、エネルギー増強剤、スカベンジャー、受精促進剤、細胞の生存能力又は機能に影響しない防腐剤、貯蔵される細胞、組織又は器官の生存能力の低下を低減させる保護剤、他の医薬的に有用な剤及び胚移植促進剤のうち1又は2以上を含んでなる。ある物質を実質的に含まない組成物とは、その物質の含有量が、測定し得る有害作用を生ずる量よりも少ないことを言う。その物質の量は通常、0.1%未満、0.01%未満、更には0.001%未満である。
【0036】
ある実施形態によれば、水性潤滑剤基剤中に1又は2以上の生存能維持剤を含んでなる水系組成物が提供される。その組成物は、精子生存能力及び/又は運動性を維持又は増進するのに適した範囲のpH、重量オスモル濃度及び/又は粘度を有することが好ましい。ある実施形態によれば、本発明の組成物は更に、生理機能を増進する1又は2以上の剤、例えば、精子活性化剤、エネルギー増強剤、スカベンジャー、受精促進剤、胚移植促進剤、又はそれらの任意の組合せを含んでなる。
【0037】
他の実施形態によれば、本発明は、精子の生理機能を増進する1又は2以上の剤を水性潤滑剤基剤中に含んでなる水系組成物を提供する。その組成物は、精子生存能力及び/又は運動性を維持又は増進するのに適した範囲のpH、重量オスモル濃度及び/又は粘度を有することが好ましい。かかる特定の実施形態によれば、生理機能を増進する剤は、精子活性化剤、エネルギー増強剤、スカベンジャー、受精促進剤、又はそれらの組合せの1又は2以上を含んでなる。ある実施形態によれば、かかる組成物は更に、1又は2以上の生存能維持剤を含んでなる。
【0038】
ある実施形態によれば、細胞、精子、卵母細胞、胚、又は組織の生存能力及び/又は機能を低下させるある種の防腐剤及び/又はバッファーを含まない又は実質的に含まない組成物が提供される。かかる防腐剤の例としては、限定されるものではないが、EDTA、環状RGDペプチド、並びに他の特定のタンパク質、糖タンパク質、糖類又はオリゴ及び多糖であって、細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用、例えば精子−卵子の認識又は浸透等を阻害するものが挙げられる。即ち、ある実施形態によれば、組成物はEDTAを全く含有せず、或いは実質的に含有しない。ある実施形態によれば、組成物は、精子−卵子の認識及び浸透等の、細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する糖タンパク質、糖類又はオリゴ及び/又は多糖を、全く含有せず、或いは実質的に含有しない。本発明の組成物は、精子生存能力及び/又は運動性を維持又は増進するのに適した範囲のpH、重量オスモル濃度及び/又は粘度を有することが好ましい。ある実施形態によれば、組成物は更に、1又は2以上の生存能維持剤及び/又は生理機能を増進する剤(例えば、精子活性化剤、エネルギー増強剤、スカベンジャー、受精促進剤、又はそれらの混合物)を含んでなる。
【0039】
ある実施形態によれば、水性潤滑剤基剤としては、上記のように、例えばpH及び重量オスモル濃度が平衡化された塩水溶液が挙げられる。中でも、グリセロール、ヒスパゲル(HISPAGEL)(登録商標)、デキストラン、ポリアクリル酸、カルボマー、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、プルロニック(PLURONIC)(登録商標)−127、タンパク質、核酸又は石油ゼリーの1又は2以上又はそれらの任意の組合せを含んでなることが好ましい。ある実施形態によれば、水性潤滑剤基剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでなる。他の特定の実施形態によれば、水性潤滑剤基剤は、プロピレングリコール、グリセロール、又はそれらの混合物を含んでなる。組成物は、1%から99.999%の水、好ましくは75%から99.99%の水、最も好ましくは95%から99.9%の水を含んでなる。ある実施形態によれば、組成物のpHは、5.0から9.0、好ましくは7.0から8.5、より好ましくは7.2から8.0、又は7.8から8.2の範囲、例えば約7.35であり;重量オスモル濃度は、200mOsm/kgから700mOsm/kg、好ましくは250mOsm/kgから500mOsm/kg、より好ましくは290mOsm/kgから360mOsm/kg、又は300mOsm/kgから400mOsm/kg、最も好ましくは約320mOsm/kgであり;粘度は、リン酸緩衝食塩水(PBS)等の平衡塩溶液の粘度に対する比で表した場合に、1.0から5.0、好ましくは1.0から3.5、最も好ましくは1.0から2.5である。適当なpH緩衝剤としては、リン酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、又はそれらの組合せが挙げられる。TRIS、PIPES(ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸))、HEPES等の他の緩衝剤も、これらの溶液に加えることができる。ある実施形態によれば、pHを調節するために水酸化ナトリウムを加える。ある実施形態によれば、浸透圧調節物質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、イノシトール、ベタイン、ソルビトール、ペプチド又はグルタミンを含んでなる。ある実施形態によれば、カリウムイオンの濃度は低く、例えば0.001マイクロモル(μM)から12.5ミリモル(mM)、好ましくは0.1μMから10mM、最も好ましくは10μMから5mMである。
【0040】
ある実施形態によれば、生存能維持剤はイオン性であり、例えばカルシウム又はマグネシウムイオンである。他の実施形態によれば、好ましい生存能維持剤は、一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素又はそれらの混合物から選択される。ある実施形態によれば、組成物は、1又は2以上の生存能維持剤を、0.001マイクロモル(μM)から1モル(M)、好ましくは0.01ミリモル(mM)から10ミリモル(mM)、最も好ましくは0.1mMから5mMの濃度で含んでなる。
【0041】
他の特定の実施形態によれば、精子活性化剤はイオン性であり、例えばカルシウム、マグネシウム、マンガン又は炭酸水素のイオン又はそれらの組合せである。他の態様によれば、組成物は1又は2以上の精子活性化剤を含んでなり、例えば、0.001マイクロモル(μM)から1モル(M)、好ましくは0.01μMから50mM、最も好ましくは1μMから30mMの濃度で供される。ある実施形態によれば、精子活性化剤はイオン性カルシウムであり、例えば、10μMから10mM、好ましくは500μMから5mMの濃度で供される。他の特定の実施形態によれば、精子活性化剤はイオン性マグネシウムであり、例えば、10μMから10mM、好ましくは500μMから5mMの濃度で供される。他の特定の実施形態によれば、精子活性化剤は炭酸水素イオンであり、例えば、100μMから50mM、好ましくは10mMから30mMの濃度で供される。他の特定の実施形態によれば、精子活性化剤は、サイクリックAMP、カフェイン、アセチルサリチル酸(アスピリン)、一酸化炭素又はそれらの混合物である。かかる特定の実施形態によれば、精子活性化剤はカフェインである。更に他の実施形態によれば、精子活性化剤はヒアルロニダーゼ(PH−20等)、アルブミン、高密度リポタンパク質、プロゲステロン又はそれらの混合物から選択される。
【0042】
ある実施形態によれば、エネルギー増強剤は、ピルビン酸塩、乳酸塩又はそれらの混合物であり、例えば、0.0001μMから100mM、好ましくは0.01μMから10mM、最も好ましくは1μMから1mMの濃度で供される。
【0043】
ある実施形態によれば、スカベンジャーは、ビタミンE、ビタミンC、ナイアシン、リボフラビン、ナイアシンアミド又はそれらの混合物であり;供される濃度は、0.0001μMから100mM、好ましくは0.01μMから10mM、最も好ましくは1μMから1mMである。
【0044】
ある実施形態によれば、受精促進剤は、マグネシウムイオン、マンガンイオン、炭酸水素イオン、ヒアルロニダーゼ、プロゲステロン、パンテノール、カフェイン、L−カルニチン、サイクリックAMP又はそれらの混合物から選択されることが好ましい。関連する実施形態によれば、受精促進剤の濃度は、0.0001μMから100mM、好ましくは0.01μMから10mM、最も好ましくは1μMから2mMである。
【0045】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚又は組織のいずか1つの生存能力又は機能を低下させる防腐剤を全く含有せず、或いは実質的に含有しない。かかる剤の例としては、限定されるものではないが、EDTA、環状RGDペプチド、並びに、細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する特定の糖タンパク質、糖類又はオリゴ糖が挙げられる。ある実施形態によれば、組成物はEDTAを全く含有せず、或いは実質的に含有しない。ある実施形態によれば、望ましくない防腐剤は、細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する、特定の糖タンパク質、糖類又はオリゴ糖である。
【0046】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚又は組織のいずれか1つの生存能力又は機能を低下させない防腐剤を含有する。細胞、精子、卵母細胞、胚又は組織の生存能力又は機能を低下させない防腐剤の例としては、限定されるものではないが、ホウ酸、アスコルビン酸、ホウ酸ナトリウム、メチルパラベン又はそれらの混合物が挙げられる。防腐剤は0.00001%から10%、好ましくは0.0001%から5%、より好ましくは0.001%から1%の濃度で提供される。
【0047】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、1又は2以上の他の医薬的に有用な剤を含有する。かかる剤としては、限定されるものではないが、抗掻痒剤、麻酔剤、エストロゲン剤、抗生剤、抗ウイルス剤、抗カビ剤、ステロイド、治療用薬剤、薬剤送達媒体、その他、及びこれらの組合せが挙げられる。好ましい抗生物質として、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0048】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、1又は2以上の他の胚移植能向上剤を含んでなる。胚移植能向上剤としては、限定されるものではないが、ヒアルロナンが挙げられる。
【0049】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、非汚染性であり、非刺激性であり、透明であり、無臭であり、望ましくない防腐剤を含まず、及び/又は、非殺精子性である。
【0050】
種々の実施形態によれば、本発明の組成物は、溶液、ゲル、フォーム、クリーム、ゼリー、座剤、潅注液、フィルム、溶解性フィルム等の形態である。加えて、組成物を、例えば、密閉容器及び/又は予充填単回使用アプリケーター、チューブ、アンプル、パッケージ、バイアル、ボトル(例えば、ポンプボトル、スクィーズボトルその他)、ジャー、タブ、袋、又はバッグ等の容器内に包装してもよい。ある実施形態によれば、アプリケーターは、酵母、細菌及びウイルス等の有害な微生物による汚染を制限するべく、皮膚との接触を最小限に抑え得るように設計される。ある実施形態によれば、組成物は、潤滑剤組成物のチューブ及び膣への適用を容易にするデバイスを含んでなるキットとして包装してもよい。他の態様によれば、キットは、1本又は2本以上の潤滑剤組成物のチューブと、他の品目とを有していてもよい。かかる品目としては、限定されるものではないが、使用説明書、ビタミン丸薬、受精モニター、栄養補助食品等が挙げられる。
【0051】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、ヒト又は他の動物の組織保湿剤及び潤滑剤として使用される。ある実施形態によれば、組成物は、膣潤滑剤及び保湿剤として有用である。ある実施形態によれば、提供される潤滑剤は、非殺精子性、精子適合性(sperm-friendly)、卵母細胞適合性(oocyte-friendly)、及び胚適合性(embryo-friendly)である。ある実施形態によれば、提供される潤滑剤組成物は、精子及び卵母細胞の受精能を増大させる。ある実施形態によれば、提供される潤滑剤組成物は、受精された胚の移植能を増大させる。
【0052】
ある実施形態によれば、潤滑剤及び保湿剤は、性交中に、ART等の種々の補助生殖技法において、及び/又は、種々の他の医学的及び診断方法において、ヒト及び他の動物に使用される。
【0053】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、性交前又は性交中に膣に投与又は挿入することができる。組成物は、人工授精の前又は間に、或いは、体外受精処置の前又は間に、膣に投与又は挿入することもできる。ある実施形態によれば、組成物は、性交前又は性交中に、又は体外受精処置の前又は間に、或いは、人工授精の前又は間に、陰茎に適用又は投与することができる。例としては、限定されるものではないが、精液又は精子の捕集時に、捕集容器中への精液又は精子の射精前に、陰茎へ組成物を適用又は投与することや、組成物を含有する捕集容器内に精液又は精子を捕集すること等が挙げられる。ある実施形態によれば、組成物は、精子捕集の前、間、又は後に、精液又は精子捕集容器に加えることができる。
【0054】
ある実施形態によれば、組成物は、組織の被覆、潤滑及び保湿に使用される。他の実施形態によれば、組成物は、陰茎用の潤滑化シース(sheath)等の表面及び/又は物品の被覆、潤滑及び保湿に使用され、そこで組成物は、シースの内側、外側又は両側の表面の潤滑に使用される。同様に、組成物は、医学的又は生殖処置の前又は間において、医療用デバイス又は手の潤滑剤として使用することもできる。
【0055】
ある実施形態によれば、本発明の方法及び組成物は、乾燥及び刺激を軽減するための皮膚科用クリーム、ゲル、保湿剤及び潤滑剤の調製に使用される。
【0056】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、出産で子供を分娩するための潤滑剤として使用するために提供される。
【0057】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、限定されるものではないが、脳脊髄液、生検細胞、生検組織、嚢胞、腫瘍、唾液、糞便、頬スワブ、組織、細胞、血液、体液又はそれらの混合物等、種々の生体試料の捕集、輸送又は貯蔵に使用される。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された生体材料の生存能力を維持する。同様に、本発明の組成物は、生体試料を捕集後直ちに培養又は伸展する媒体として使用することができる。同様に、本発明の組成物は、生体試料を制御温度下で、例えば加熱、冷蔵、凍結又はガラス化した状態で貯蔵した後、かかる生体試料を直ちに培養又は伸展する媒体として有用な場合がある。
【0058】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、限定されるものではないが、脳脊髄液、生検細胞、生検組織、嚢胞、腫瘍、唾液、糞便、頬スワブ、細胞、組織、体液、血液又はそれらの混合物等の生体試料からの微生物叢(限定されないが、細菌、カビ、ウイルスその他等)の捕集、輸送又は貯蔵のために使用される。例えば、本発明の組成物は、捕集された微生物叢の生存能力を維持することができる。同様に、本発明の組成物は、生体試料の捕集後直ちに微生物叢を培養又は伸展する媒体として有用である。更に、本発明の組成物は、冷蔵、凍結又はガラス化された状態での生体試料の貯蔵に続いて、直ちにそれらの生体試料について微生物叢を培養又は伸展する媒体として有用である。例えば、組成物を使用して捕集された微生物叢は、限定されるものではないが、アッセイ、低分子、治療法、高速大量処理スクリーニングその他の開発で使用される。
【0059】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、限定されるものではないが、膣、陰茎、腎臓、肺、心臓、肝臓、骨、皮膚等種々の生体器官の捕集、輸送又は貯蔵のために使用される。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された器官の生存能力を維持する。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された器官の生理機能を維持する。例えば、本発明の組成物は、器官移植後の機能を、拒絶率を低減させることにより、増進することができる。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、器官捕集後直ちに培養又は伸展する媒体として有用である。ある実施形態によれば、本発明の組成物は、制御された温度、室温、加熱された温度、体温、冷蔵、凍結又はガラス化状態における器官貯蔵に続いて、直ちにそれらの器官を培養又は伸展する媒体として有用である。ある実施形態によれば、本発明の組成物は器官の輸送溶液として有用である。例えば、本発明の組成物は、培養中、貯蔵、輸送中及びインビボ及びインビトロでの使用中の器官の生存能力及び/又は生理機能を改善することができる。
【0060】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、負傷、発疹、熱傷、挫傷、移植、又は他の適当な状態の医療処置時に使用される。
【0061】
本発明の組成物及び物品は、活性成分を適当な量及び濃度となるよう容器内で組み合わせて混合する等、任意の適当な方法により調製及び/又は製造することができる。必要であれば、成分の溶媒和を促進するために、混合物を加熱又は冷却する。組成物は無菌であることが好ましく、最も好ましい無菌化方法は、0.2ミクロンのフィルターを通過させることである。他の態様によれば、本発明の組成物は高度の透明性も有し、当技術分野で公知の標準的な濁度測定手順で測定した場合に、好ましくは約2未満の濁度を有する。
【0062】
II.媒体組成物及び応用
本発明は更に、媒体(培地)として使用される組成物、及び関連する使用方法を提供する。
【0063】
ある実施形態によれば、媒体組成物は、精子、卵母細胞、胚、細胞又は組織のインビトロでの培養又は伸展中に、培養及び/又は伸展媒体(培地)として使用され、1又は2以上の生存能維持剤を平衡塩溶液基剤中に含んでなる。本発明の組成物は、細胞培養に適合するpH、重量オスモル濃度及び/又は粘度を有することが好ましい。ある実施形態によれば、本発明の組成物は更に、生理機能を増進する1又は2以上の剤、例えば、精子活性化剤、エネルギー増強剤、スカベンジャー、受精促進剤、又はそれらの混合物を含んでなる。ある実施形態によれば、本発明の組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚、又は組織の生存能力を低下させるある種の防腐剤及びバッファーを全く含有せず、或いは実質的に含有しない。かかる防腐剤の例としては、限定されるものではないが、EDTA、環状RGDペプチド、並びに、細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する、特定の糖タンパク質、糖類又はオリゴ糖が挙げられる。
【0064】
ある実施形態によれば、本発明の媒体組成物は、精子、卵母細胞、胚、細胞又は組織のインビトロでの培養又は伸展時に、培養及び/又は伸展媒体(培地)として使用され、平衡塩溶液中に生理機能を増進する1又は2以上の剤を含んでなる。本発明の媒体組成物は、細胞及び/又は組織の維持及び増殖に適したpH、重量オスモル濃度及び粘度を有することが好ましい。ある実施形態によれば、生理機能を増進する剤としては、精子活性化剤、エネルギー増強剤、スカベンジャー、受精促進剤、又はそれらの組合せが挙げられる。ある実施形態によれば、本発明の媒体組成物は更に、1又は2以上の生存能維持剤を含んでなる。ある実施形態によれば、本発明の組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚、又は組織の生存能力又は機能を低下させるある種の防腐剤及びバッファーを全く含有せず、或いは実質的に含有しない。かかる防腐剤の例としては、限定されるものではないが、EDTA、環状RGDペプチド、並びに、細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する、ある種の糖タンパク質、糖類又はオリゴ糖が挙げられる。
【0065】
ある実施形態によれば、媒体組成物の平衡塩溶液基剤としては、限定されるものではないが、イスコブ変法ダルベッコ培地(Iscove's Modified Dulbecco's Medium:IMDM)、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco's modified Eagle's medium:DMEM)、ロズウェルパーク記念研究所(Roswell Park Memorial Institute:PRMI)培地(PRMI 1640等)、タイロード緩衝塩(Tyrode's buffered salts)、卵母細胞捕集培地、TALP、HTF、CZB、T6、ハムF12(Ham's F12)、アール緩衝塩(Earle's buffered salts)、BWW、アールMTF(Earle's MTF)、KSOM、SOF、PBS等が挙げられる。これらの平衡塩溶液や他の平衡塩溶液は当技術分野において周知であり、多数が市販されている(例えばATCC、Fisher Scientific、Invitrogen、VitroLifeその他から)。更に、TRIS、PIPES、及びHEPES等他の緩衝剤を、これらの溶液に加えてもよい。加えて、血清、アルブミン、ゼラチン、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ヌクレオチド、スクロース、トレハロース、エタノール、DMSO、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の他の特定の剤も、緩衝塩溶液に添加することができる。組成物は、50%から99.999%の平衡塩溶液、好ましくは75%から99.99%の平衡塩溶液、最も好ましくは95%から99.9%の平衡塩溶液を含んでなる。ある実施形態によれば、組成物のpHは、5.0から9.0、好ましくは7.0から8.5、好ましくは7.8から8.2、好ましくは約7.35の範囲であり;重量オスモル濃度は、200mOsm/kgから700mOsm/kg、好ましくは250mOsm/kgから500mOsm/kg、より好ましくは300mOsm/kgから350mOsm/kg、最も好ましくは約320mOsm/kgであり;粘度は、リン酸緩衝食塩水(PBS)等の平衡塩溶液の粘度に対する比で表した場合、1.0から5.0、好ましくは1.0から2.5、最も好ましくは1.0から1.2である。ある実施形態によれば、適当なpH緩衝剤には、リン酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、又はそれらの混合物が含まれる。pHを調節するために水酸化ナトリウムを添加することができる。ある実施形態によれば、浸透圧調節物質には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、イノシトール、ベタイン、ソルビトール、ペプチド又はグルタミンが含まれる。ある実施形態によれば、浸透圧調節物質カリウムイオンの濃度は低く、0.001マイクロモル(μM)から12.5ミリモル(mM)、好ましくは0.1μMから10mM、最も好ましくは10μMから5mMである。
【0066】
ある実施形態によれば、生存能維持剤はイオン性であり、例えばカルシウム又はマグネシウムイオンである。ある実施形態によれば、媒体組成物は1又は2以上の生存能維持剤を含んでなる。ある実施形態によれば、生存能維持剤は、0.001マイクロモル(μM)から1モル(M)、好ましくは0.01ミリモル(mM)から10ミリモル(mM)、最も好ましくは0.1mMから5mMの濃度で提供される。他の実施形態によれば、好ましい生存能維持剤は、一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素又はそれらの混合物から選択される。
【0067】
ある実施形態によれば、好ましい精子活性化剤はイオン性であり、好ましいイオンはカルシウム、マグネシウム、マンガン、又は炭酸水素である。関連する態様によれば、媒体組成物は1又は2以上の精子活性化剤を含んでなる。他の態様によれば、精子活性化剤の提供される濃度は、0.001マイクロモル(μM)から1モル(M)、好ましくは0.01マイクロモル(μM)から50ミリモル(mM)、最も好ましくは1μMから30mMである。他の態様によれば、好ましい精子活性化剤はイオン性カルシウムであり、カルシウムの提供される濃度は10μMから10mM、好ましくは500μMから5mMである。他の態様によれば、好ましい精子活性化剤はイオン性マグネシウムであり、マグネシウムの提供される濃度は10μMから10mM、好ましくは500μMから5mMである。他の態様によれば、最も好ましい精子活性化剤は炭酸水素イオンであり、炭酸水素イオンの提供される濃度は、100μMから50mM、好ましくは10mMから30mMである。他の実施形態によれば、精子活性化剤は、サイクリックAMP、カフェイン、アスピリン、一酸化炭素又はそれらの混合物である。関連する実施形態によれば、好ましい精子活性化剤は、カフェインである。他の態様によれば、好ましい精子活性化剤は、ヒアルロニダーゼ(PH-20等)、アルブミン、高密度リポタンパク質、プロゲステロン又はそれらの混合物から選択される。
【0068】
ある実施形態によれば、好ましいエネルギー増強剤は、ATP、フルクトース、グルコース、ピルビン酸塩、ラクトース、乳酸塩又はそれらの混合物である。関連する実施形態によれば、エネルギー増強剤の濃度は、0.0001μMから1M、好ましくは0.01μMから100mM、最も好ましくは1μMから25mMである。
【0069】
ある実施形態によれば、好ましいスカベンジャーは、ビタミンE、ビタミンC、ナイアシン、リボフラビン、ナイアシンアミド又はそれらの混合物である。関連する実施形態によれば、スカベンジャーの濃度は、0.0001μMから100mM、好ましくは0.01μMから10mM、最も好ましくは1μMから1mMである。
【0070】
ある実施形態によれば、受精促進剤は、マグネシウムイオン、マンガンイオン、炭酸水素イオン、ヒアルロニダーゼ、プロゲステロン、パンテノール、カフェイン、L−カルニチン、サイクリックAMP又はそれらの混合物から選択される。関連する実施形態によれば、受精促進剤の濃度は、0.0001μMから100mM、好ましくは0.01μMから10mM、最も好ましくは1μMから2mMである。
【0071】
他の態様によれば、本発明の媒体組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚、又は組織の生存能力に影響する防腐剤を全く含有せず、或いは実質的に含有しない。望ましくない防腐剤の例としては、限定されるものではないが、EDTA、並びに、細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する、特定の糖タンパク質、糖類又はオリゴ糖が挙げられる。関連する実施形態によれば、望ましくない防腐剤はEDTAである。他の関連する実施形態によれば、望ましくない防腐剤は、細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する、特定の糖タンパク質、糖類又はオリゴ糖である。
【0072】
他の態様によれば、本発明の媒体組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚又は組織の生存能力又は機能に影響しない1又は2以上の防腐剤を含んでなる。細胞、精子、卵母細胞、胚又は組織の生存能力又は機能に影響しない防腐剤の例としては、限定されるものではないが、ホウ酸、アスコルビン酸、ホウ酸ナトリウム、メチルパラベン又はそれらの混合物が挙げられる。ある関連する実施形態によれば、望ましい防腐剤の濃度は、0.00001%から10%、好ましくは0.0001%から5%、最も好ましくは0.001%から1%である。
【0073】
他の実施形態によれば、本発明の媒体組成物は、1又は2以上の他の医薬的に有用な剤を含んでなる。かかる剤としては、限定されるものではないが、抗掻痒剤、麻酔剤、エストロゲン剤、抗生剤、ステロイド、治療用薬剤、薬剤送達媒体及びその他、並びにこれらの組合せが挙げられる。好ましい抗生物質としては、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0074】
ある実施形態によれば、本発明の媒体組成物は他の移植能向上剤を含んでいてもよい。例としては、限定されるものではないが、ヒアルロナンが挙げられる。
【0075】
ある他の態様によれば、本発明の媒体組成物は、溶液、粉末、ゲル、フォーム、クリーム、ゼリー等の形態である。加えて、組成物は、無菌の予充填ボトル、アプリケーター、チューブ及び他の容器内に包装してもよい。ある関連する実施形態によれば、組成物は、ある用途の使用前に水等の1又は2以上の希釈剤で希釈するように、高濃度で提供される。
【0076】
他の態様によれば、組成物はキットとして包装してもよい。関連する実施形態によれば、キットには、上述のチューブを複数含めてもよい。他の実施形態によれば、キットには、限定されるものではないが、説明書等の他の品目を含めてもよい。
【0077】
ある好ましい態様によれば、提供される媒体組成物は、非殺精子性、精子適合性、卵母細胞適合性、且つ、胚適合性である。関連する実施形態によれば、提供される媒体組成物は、精子及び卵母細胞の受精能を増進する。関連する実施形態によれば、提供される媒体組成物は、受精胚の移植能を増進する。
【0078】
他の実施形態によれば、本発明の媒体組成物は、ヒト又は他の動物における人工授精又は補助生殖技法(ART)中の種々の工程や方法において、或いは、ヒト及び他の動物におけるインビトロでの不妊に関する問題を扱う他の処置のための媒体として使用される。かかる処置の例としては、限定されるものではないが、精子捕集、精子洗浄、精子伸展、卵母細胞捕集、卵母細胞洗浄、体外受精等が挙げられる。例えば、本発明の組成物は、精子、卵母細胞、胚、細胞又は組織を洗浄するための媒体として使用される。他のかかる実施形態によれば、組成物は、試料から運動性の精子を分離する際に使用される。他の実施形態によれば、提供される方法及び組成物は、精子−卵子相互作用を向上させ、それにより体内及び体外受精の可能性を増大させるのに有用である。他の同様の実施形態によれば、方法及び組成物は、体外受精、人工授精又は他の受精関連治療の方法を改善するために提供される。
【0079】
ある実施形態によれば、本発明の媒体組成物は、ヒト又は他の動物における人工授精又は補助生殖技法(ART)中の種々の工程や方法において、或いは、ヒト及び他の動物におけるインビトロでの不妊に関する問題を扱う他の処置のための洗浄媒体として使用される。かかる処置の例としては、限定されるものではないが、精子捕集、精子洗浄、精子伸展、卵母細胞捕集、卵母細胞洗浄、体外受精等が挙げられる。例えば、本発明の組成物は、精子、卵母細胞、胚、細胞又は組織を洗浄するための媒体として使用することができる。他の特定の実施形態によれば、組成物は、試料からの運動性精子の分離のために、或いは分離中に使用される。他の実施形態によれば、提供される方法及び組成物は、精子−卵子相互作用を向上させることにより、体内及び体外受精の可能性を増大させるのに有用である。他の実施形態によれば、方法及び組成物は、体外受精、人工授精又は他の受精関連治療の方法を改善するために提供される。
【0080】
他の実施形態によれば、本発明の媒体組成物は、精子−卵子結合等の細胞−細胞結合における改善を使用する、胚及び幹細胞等の特殊化された細胞の発生のための培養媒体又は伸展媒体として、インビトロで使用される。
【0081】
他の実施形態によれば、本方法及び媒体組成物は、精子−卵子結合等の細胞−細胞結合における改善を用いた、胚及び幹細胞等の分化細胞の発生のために提供される。
【0082】
他の実施形態によれば、精子、卵母細胞、胚、細胞、組織の生存を増大させるべく、それらを本発明の媒体組成物と接触させることを含んでなる方法が提供される。他の特定の実施形態によれば、精子、卵子及び細胞の機能を維持し、精子機能(及び卵子、卵母細胞及び細胞の機能)及び精子、卵子、卵母細胞及び細胞の損傷の低下を低減させるための方法が提供される。他の実施形態によれば、精子及び細胞の機能を改善する方法が提供される。他の実施形態によれば、精子、卵母細胞、胚又は細胞を貯蔵するための媒体が提供される。
【0083】
ある実施形態によれば、本発明の媒体組成物は、限定されるものではないが、脳脊髄液、生検細胞、生検組織、嚢胞、腫瘍、唾液、糞便、頬スワブ、組織、細胞、体液、血液、又はそれらの混合物等の種々の生体試料の捕集のために使用される。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された生体材料の生存能力を維持する。他の実施形態によれば、本発明の組成物は、生体試料の捕集後直ちに培養又は伸展する媒体として有用である。他のかかる実施形態によれば、本発明の組成物は、制御温度下、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化された状態で生体試料を貯蔵した後、直ちにそれらの生体試料を培養又は伸展する媒体として有用である。
【0084】
ある実施形態によれば、本発明の媒体組成物は、限定されるものではないが、脳脊髄液、生検細胞、生検組織、嚢胞、腫瘍、唾液、糞便、頬スワブ、細胞、組織、体液、血液、又はそれらの混合物等の生体試料からの種々の微生物叢(限定されないが、細菌、カビ、ウイルスその他等)の捕集に使用される。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された微生物叢の生存能力を維持する。他の実施形態によれば、本発明の組成物は、生体試料の捕集後直ちに微生物叢を培養又は伸展する媒体として有用である。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、制御された温度、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化された状態での生体試料の貯蔵に続いて、直ちにそれらの生体試料について微生物叢を培養又は伸展する媒体として有用である。他の実施形態によれば、本発明の媒体組成物を使用して捕集された微生物叢は、限定されるものではないが、アッセイ、低分子、治療法、高速大量スクリーニングその他の開発に使用される。
【0085】
ある態様によれば、本発明の組成物及び物品は、活性成分を容器内で、適当な量及び濃度で組み合わせて混合する等、任意の方法により調製及び/又は製造される。必要があれば、成分の溶媒和を促進するために、混合物を加熱又は冷却する。ある実施形態によれば、組成物は無菌であり、好ましい無菌化方法は0.2ミクロンのフィルターを通すことである。ある実施形態によれば、本発明の組成物は高度の透明性も有し、当技術分野で知られている標準的濁度測定手順で測定した場合に、好ましくは約2未満の濁度を有する。
【0086】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、限定されるものではないが、膣、陰茎、腎臓、肺、心臓、肝臓、骨、皮膚等又はそれらの混合物等の種々の生体器官の捕集に有用である場合がある。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された器官の生存能力を維持する。他の関連する実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された器官の生理機能を維持する。例えば、本発明の組成物は、拒絶率を低減させることにより、器官移植後の機能を増進することができる。他の実施形態によれば、本発明の組成物は、器官を捕集後直ちに培養又は伸展する媒体として有用である。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、制御された温度、室温、加熱された温度、体温、冷蔵、凍結又はガラス化状態における器官貯蔵に続いて直ちにそれらの器官を培養又は伸展する媒体として有用である。他の関連する実施形態によれば、本発明の組成物は、器官のための輸送溶液として有用である。ある実施形態によれば、本発明の組成物は、培養中、貯蔵中、輸送中及びインビボ及びインビトロでの使用中に器官の生存能力及び/又は生理機能を改善する。ある実施形態によれば、試料は、ヒト、ウシ、イヌ、ウマ、ブタ、ヒツジ、トリ、齧歯類、又は希少又は新奇な種等の動物から取得され、或いは人工的に生成される。
【0087】
他の実施形態によれば、本発明の組成物は、限定されるものではないが、負傷、発疹、熱傷、挫傷、移植等の医療処置に有用である。
【0088】
III.貯蔵媒体組成物及び応用
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、制御された温度、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化状態における貯蔵中に精子、卵母細胞、胚、細胞又は組織を保存するための貯蔵媒体として使用され、貯蔵溶液基剤中に1又は2以上の生存能維持剤を含んでなる。本発明の組成物は、細胞機能を維持し又は増進するのに適した範囲のpH、重量オスモル濃度及び粘度を有することが好ましい。ある態様によれば、本発明の組成物は、生理機能を増進する剤を含んでなる。かかる特定の実施形態によれば、生理機能を増進する剤は、精子活性化剤、エネルギー増強剤、スカベンジャー、受精促進剤又はそれらの混合物を含んでなる。ある実施形態によれば、本発明の組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚、又は組織の生存能力又は機能に影響するある種の防腐剤及びバッファーを全く含有せず、或いは実質的に含有しない。かかる防腐剤の例としては、これらに限定されるものではないが、EDTA、環状RGDペプチド及び細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する、特定の糖タンパク質、糖類又はオリゴ糖が挙げられる。
【0089】
ある他の態様によれば、本発明の組成物は、制御された温度、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化状態における貯蔵中に精子、卵母細胞、胚、細胞又は組織を保存するための貯蔵媒体として使用でき、貯蔵溶液基剤中に生理機能を増進する1又は2以上を含んでなる。本発明の組成物は、細胞又は組織を保存するために適当な範囲のpH,重量オスモル濃度及び粘度を有することが好ましい。他の実施形態によれば、生理機能を増進する剤は、精子活性化剤、エネルギー増強剤、スカベンジャー、受精促進剤、又はそれらの混合物を含んでなる。他の実施形態によれば、本発明の組成物は、生存能維持剤を更に含んでなる。他の実施形態によれば、提供される組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚、又は組織の生存能力又は機能に影響するある種の防腐剤及びバッファーを全く含有せず、或いは実質的に含有しない。かかる防腐剤の例としては、限定されるものではないが、EDTA、環状RGDペプチド及び細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する、特定の糖タンパク質、糖類又はオリゴ糖が挙げられる。
【0090】
ある実施形態によれば、貯蔵溶液基剤は、平衡塩溶液基剤を含んでなる。例としては、限定されるものではないが、IMDM、DMEM、PRMI媒体、タイロード緩衝塩、TALP、HTF、CZB、T6、ハムF12、アール緩衝塩、BWW、アールMTF、KSOM、SOF等が挙げられる。これらの平衡塩溶液の各々の組成は、当技術分野において周知であり、多くは市販で入手可能である(例えば、ATCC、Fisher Scientific、Invitrogen、VitroLifeその他から)。他の実施形態によれば、TRIS、PIPES、HEPES等の緩衝剤がこれらの溶液に更に加えられる。加えて、他の特定の剤を平衡塩溶液に加えてもよい。例としては、トレハロース、DMSO、エタノール、他のアルコール類、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、血清、アルブミン、ゼラチン、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ヌクレオチド、スクロース、他の糖類等が挙げられる。組成物は、50%から99.999%の平衡塩溶液、好ましくは75%から99.99%の平衡塩溶液、最も好ましくは80%から93%の平衡塩溶液を含んでなる。ある実施形態によれば、組成物の好ましいpHは、5.0から9.0の範囲内、好ましくは7.0から8.5、好ましくは7.8から8.2、好ましくは約7.35であり;好ましい重量オスモル濃度は、200mOsm/kgから700mOsm/kg、好ましくは250mOsm/kgから500mOsm/kg、好ましくは300mOsm/kgから350mOsm/kg、好ましくは約320mOsm/kgであり;且つ、好ましい粘度は、リン酸緩衝食塩水(PBS)等の平衡塩溶液の粘度に対する比で表した場合に、1.0から5.0、好ましくは1.0から4.0、最も好ましくは1.0から3.0である。ある関連する実施形態によれば、pH緩衝剤は、リン酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、又はそれらの混合物を含んでなる。
【0091】
pHを調節するためには、水酸化ナトリウムを添加することが好ましい。ある関連する実施形態によれば、浸透圧調節物質としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、イノシトール、ベタイン、ソルビトール、ペプチド又はグルタミンが挙げられる。かかる特定の実施形態によれば、浸透圧調節物質カリウムイオンの濃度は低く、0.001マイクロモル(μM)から12.5ミリモル(mM)、好ましくは0.1μMから10mM、最も好ましくは10μMから5mMである。
【0092】
ある実施形態によれば、好ましい生存能維持剤はイオン性であり、好ましいイオンはカルシウム又はマグネシウムである。ある実施形態によれば、組成物は、1又は2以上の生存能維持剤を含んでなる。かかる特定の実施形態によれば、生存能維持剤の提供される濃度は、0.001マイクロモル(μM)から1モル(M)、好ましくは0.01ミリモル(mM)から10mM、最も好ましくは0.1mMから5mMである。他の特定の実施形態によれば、好ましい生存能維持剤は、一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素又はそれらの混合物から選択される。
【0093】
ある実施形態によれば、好ましい精子活性化剤は、イオン性であり、好ましいイオンは、カルシウム、マグネシウム、マンガン、又は炭酸水素イオンである。かかる特定の実施形態によれば、組成物は、1又は2以上の精子活性化剤を含んでなる。かかる特定の実施形態によれば、精子活性化剤の提供される濃度は、0.001マイクロモル(μM)から1モル(M)、好ましくは0.01μMから50mM、最も好ましくは1μMから30mMである。ある実施形態によれば、好ましい精子活性化剤はイオン性カルシウムであり、カルシウムの提供される濃度は、好ましくは10μMから10mM、好ましくは500μMから5mMである。他のかかる実施形態によれば、好ましい精子活性化剤はイオン性マグネシウムであり、カルシウムの提供される濃度は、好ましくは10μMから10mM、好ましくは500μMから5mMである。更に他のそのような実施形態によれば、好ましい精子活性化剤は炭酸水素イオンであり、炭酸水素イオンの提供される濃度は、好ましくは100μMから50mM、最も好ましくは10mMから30mMである。他の実施形態によれば、好ましい精子活性化剤は、サイクリックAMP、カフェイン、アスピリン、一酸化炭素又はそれらの混合物である。関連する実施形態によれば、好ましい精子活性化剤は、カフェインである。他の実施形態によれば、好ましい精子活性化剤はヒアルロニダーゼ(PH-20等)、アルブミン、高密度リポタンパク質、プロゲステロン又はそれらの混合物から選択される。
【0094】
ある実施形態によれば、好ましいエネルギー増強剤は、ATP、フルクトース、グルコース、ピルビン酸塩、ラクトース、乳酸塩又はそれらの混合物である。ある関連する実施形態によれば、エネルギー増強剤の濃度は、0.0001μMから1M、好ましくは0.01μMから100mM、最も好ましくは1μMから25mMである。
【0095】
ある実施形態によれば、好ましいスカベンジャーは、ビタミンE、ビタミンC、ナイアシン、リボフラビン、ナイアシンアミド又はそれらの混合物である。関連する実施形態によれば、スカベンジャーの濃度は、0.0001μMから100mM、好ましくは0.01μMから10mM、最も好ましくは1μMから1mMである。
【0096】
ある実施形態によれば、好ましい受精促進剤は、マグネシウムイオン、マンガンイオン、炭酸水素イオン、ヒアルロニダーゼ、プロゲステロン、パンテノール、カフェイン、L−カルニチン、サイクリックAMP又はそれらの混合物である。関連する実施形態によれば、受精促進剤の濃度は、0.0001μMから100mM、好ましくは0.01μMから10mM、最も好ましくは1μMから2mMである。
【0097】
他の態様によれば、本発明の組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚、又は組織の生存能力に影響する防腐剤を全く含有せず、或いは実質的に含有しない。かかる望ましくない防腐剤の例としては、限定されるものではないが、EDTA、並びに、細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する、特定の糖タンパク質、糖類又はオリゴ糖及び多糖が挙げられる。ある関連する実施形態によれば、有害な防腐剤はEDTAである。ある他の関連する実施形態によれば、有害な防腐剤は、細胞−細胞及び細胞−細胞間質の相互作用を阻害する、特定の糖タンパク質、糖類又はオリゴ糖及び多糖である。
【0098】
更に他の態様によれば、本発明の組成物は、細胞、精子、卵母細胞、胚又は組織の生存能力又は機能に影響しない防腐剤を含んでいてもよい。細胞、精子、卵母細胞、胚又は組織の生存能力又は機能に影響しない防腐剤の例としては、限定されるものではないが、ホウ酸、アスコルビン酸、ホウ酸ナトリウム、メチルパラベン又はそれらの混合物が挙げられる。関連する実施形態によれば、望ましい防腐剤の濃度は、0.00001%から10%、好ましくは0.0001%から5%、最も好ましくは0.001%から1%である。
【0099】
他の態様によれば、本発明の組成物は、制御された温度、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化状態における貯蔵中の生存細胞、組織又は器官の損失を低減させるための「保護剤」を含んでいてもよい。好ましい保護剤の例としては、限定されるものではないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、DMSO、アルブミン、血清、グリセロール、トレハロース、PCAGH、多糖類、一酸化炭素、二酸化炭素、糖タンパク質、又はそれらの組合せが挙げられる。かかる特定の実施形態によれば、望ましい防腐剤の濃度は、0.01%から50%、好ましくは0.1%から25%、最も好ましくは1%から10%である。
【0100】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、低温で貯蔵中の生存細胞、組織又は器官の損失を低減させる。かかる特定の実施形態によれば、保護剤は、低温貯蔵中の細胞構造及び細胞機能の完全性を保存する凍結保護物質である。かかる特定の実施形態によれば、凍結保護物質は、細胞、組織又は器官の冷却又は加温中の細胞構造及び細胞機能の完全性を保存する。ある実施形態によれば、凍結保護物質としては、DMSO、グリセロール、トレハロース、アルブミン、血清、ヒプロメロース、一酸化炭素、二酸化炭素、PCAGH、多糖類、糖タンパク質、プロピレングリコール、エチレングリコール、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、グルコース、スクロース、ラクトース、デキストロース、ラフィノース、ヒドロキシエチルデンプン、グルコン酸塩、ラクトビオン酸塩、硫酸コンドロイチン、抗凍結タンパク質、ポリグリセロール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールオリゴマー、ポリグリセロール、ポリビニルピロリドンのいずれか又はそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0101】
他の実施形態によれば、本発明の組成物は、他の医薬的に有用な物質を含んでいてもよい。例としては、限定されるものではないが、抗掻痒剤、麻酔剤、エストロゲン剤、抗生剤、ステロイド、治療用薬剤、薬剤送達媒体、及びその他、並びにこれらの組合せが挙げられる。好ましい抗生物質としては、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0102】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、他の移植能向上剤を含んでなる。かかる剤としては、限定されるものではないが、ヒアルロナンが挙げられる。
【0103】
ある他の態様によれば、本発明の組成物は、溶液、ゲル、フォーム、クリーム、ゼリー等の形態とすることができる。加えて、組成物は、無菌の予充填アプリケーター、チューブ及び他の容器内に包装することができる。ある実施形態によれば、組成物は、使用前に水等の1又は2以上の希釈剤で希釈するべく、高濃度で提供される。ある態様によれば、組成物は、キット内に包装することができる。ある関連する実施形態によれば、キットには、かかるチューブを複数包装してもよい。関連する実施形態によれば、キットには、限定されるものではないが、説明書等の他の品目を入れてよい。
【0104】
他の態様によれば、提供される媒体組成物は、非殺精子性で、精子に無害であり、且つ受精能を増進する。他の特定の実施形態によれば、提供される媒体組成物は、胚の移植能を増進する。
【0105】
他の実施形態によれば、本発明の組成物は、ヒト及び他の動物における人工授精又は補助生殖技法(ART)中の又は受精問題を他の方法で治療するための貯蔵媒体として使用される。例としては、限定されるものではないが、精子貯蔵、卵母細胞貯蔵、細胞貯蔵、胚貯蔵、組織貯蔵等が挙げられる。
【0106】
ある実施形態によれば、本発明の組成物及び方法は、制御された温度、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化された状態で貯蔵中の、生存状態及び/又は機能性の精子、卵母細胞、胚、細胞又は組織の損失を低減させることに有用である。
【0107】
ある実施形態によれば、本発明の組成物及び方法は、制御された温度、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化された状態で貯蔵中の精子、卵母細胞、胚、細胞又は組織の生存能力を増進するために使用される。
【0108】
他の実施形態によれば、本発明の組成物及び方法は、制御された温度、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化された状態で貯蔵中の機能性の精子、卵母細胞、胚、細胞又は組織の数を増加させるために使用される。
【0109】
他の実施形態によれば、精子、卵母細胞、胚、細胞、組織の生存を増進するべく、それらを本発明の組成物と接触させることを含んでなる方法が提供される。関連する実施形態によれば、精子、卵子及び細胞の機能を維持するための、精子機能(及び卵子、卵母細胞及び細胞の機能)の損失及び精子、卵子、卵母細胞及び細胞の損失を低減させるための方法が提供される。他の実施形態によれば、精子及び細胞の機能を改善する方法が提供される。ある実施形態によれば、精子、卵母細胞、胚又は細胞を貯蔵するための媒体が提供される。ある関連する実施形態によれば、精子バンク、卵母細胞バンク、胚バンク又は細胞バンクを営むための媒体及び方法が提供される。他の実施形態によれば、本発明の組成物は、組織、表面及び陰茎シース等の合成ポリマーを被覆するために使用することもできる。関連する態様によれば、潤滑されたシースのデザインも提供される。
【0110】
ある実施形態によれば、本発明の貯蔵媒体組成物は、限定されるものではないが、脳脊髄液、生検細胞、生検組織、嚢胞、腫瘍、唾液、糞便、頬スワブ、組織、細胞、体液、血液又はそれらの混合物等の種々の生体試料の捕集のための組成物として使用される。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された生体材料の生存能力を維持する。他の実施形態によれば、本発明の組成物は、生体試料の捕集後直ちに培養又は伸展する媒体として有用である。他の関連する実施形態によれば、本発明の組成物は、冷蔵、凍結又はガラス化状態での生体試料の貯蔵に続いて、それらの生体試料を直ちに培養又は伸展する媒体として有用である。他の実施形態によれば、本発明の組成物は、制御された温度、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化された状態における生体試料の貯蔵のための貯蔵媒体として有用である。
【0111】
ある実施形態によれば、本発明の貯蔵媒体組成物は、限定されるものではないが、脳脊髄液、生検細胞、生検組織、嚢胞、腫瘍、唾液、糞便、頬スワブ、細胞、組織、体液、血液、又はそれらの混合物等の生体試料からの種々の微生物叢(限定されないが、細菌、カビ、ウイルスその他等)の捕集のために使用される。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された微生物叢の生存能力を維持する。他の関連する実施形態によれば、本発明の組成物は、生体試料の捕集後直ちに微生物叢を培養又は伸展する媒体として有用である。関連する実施形態によれば、本発明の組成物は、冷蔵、凍結又はガラス化された状態でのそれら生体試料の貯蔵に続いて、直ちにそれらの生体試料について微生物叢を培養又は伸展する媒体として有用である。他の実施形態によれば、本発明の組成物は、制御された温度、例えば、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化された状態で微生物叢を貯蔵する貯蔵媒体として有用である。他の実施形態によれば、組成物を使用して捕集された微生物叢は、限定されるものではないが、アッセイ、低分子、治療法、高速大量処理スクリーニングその他の開発で使用される。
【0112】
他の実施形態によれば、本発明の組成物及び物品は、通常、活性成分を容器内で適当な量及び濃度で組み合わせて混合する等、任意の方法により調製及び/又は製造することができる。必要があれば、成分の溶媒和を促進するために、混合物を加熱又は冷却する。組成物は無菌であることが好ましく、最も好ましい無菌化方法は0.2ミクロンのフィルターを通すことである。ある実施形態によれば、本発明の組成物は高度の透明性も有し、好ましくは、当技術分野で知られている標準的濁度測定手順で測定した場合に、約2未満の濁度を有する。
【0113】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、限定されるものではないが、膣、陰茎、腎臓、肺、心臓、肝臓、骨、皮膚等又はそれらの混合物等種々の生体器官の捕集のために使用される。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された器官の生存能力を維持する。ある関連する実施形態によれば、本発明の組成物は、捕集された器官の生理機能を維持する。例えば、本発明の組成物は、器官移植後の機能を、拒絶率を低減させることにより、増進することができる。ある実施形態によれば、本発明の組成物は、器官を捕集後直ちに培養又は伸展する媒体として有用である。ある関連する実施形態によれば、本発明の組成物は、室温、加熱された温度、体温、冷蔵、凍結又はガラス化状態における器官貯蔵に続いて直ちにそれらの器官を培養又は伸展する媒体として有用である。ある実施形態によれば、本発明の組成物は、器官の輸送溶液として有用である。かかる特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、培養中、貯蔵、輸送中及びインビボ及びインビトロでの使用中の器官の生存能力及び/又は生理機能を改善する。ある態様によれば、試料は、ヒト、ウシ、イヌ、ウマ、ブタ、ヒツジ、トリ、齧歯類、又は希少又は新奇な種を含んでなる動物から得られるか、又は人工的に生成される。
【0114】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、限定されるものではないが、負傷、発疹、熱傷、挫傷、移植等の医療処置時に使用される。
【0115】
ある実施形態によれば、本発明の組成物は、表2に掲載した成分の任意の1又は2以上を含んでいてもよい。ある実施形態によれば、組成物中の上記の成分の比率(%)は、表2に示した値の範囲内に入る。かかる特定の実施形態によれば、表に掲載したいずれの成分も、その(別の)塩及び/又はその成分又はその塩の任意の適当な溶媒和物及び/又は水和物に置き換えることができる。例えば、上記のカリウムイオンの提供源としてのKClは、組成物中のカリウムイオンの当量濃度を提供する量のKOH、KHCO3、KBrその他等の他の適当なカリウム塩又は上記の塩の水和物(例えば、KHCO3セスキ水和物)に置き換えることができる。同様に抗酸化剤は、機能的に当量の、上で論じた任意の他の抗酸化剤その他に置き換えることができる。
【0116】
【表2】

【0117】
IV.シース
コンドームは、米国特許分類マニュアル604/349に記載のように、通常、陰茎からの精液を捕集するべく構成された容器を指す。コンドームは陰茎に被せることができ、別の設計の物は、膣内に挿入することができる。コンドームは通常は柔軟性を有し、放出された精液を受容するべく、陰茎周囲に密着するように成形及び設計されている。通常は開放端から閉鎖端に伸長するチューブ様構造として成形され、中央に延在部を有する。コンドームは内部及び外部表面を有する。
【0118】
ある実施形態によれば、本発明は、その組成及び構造がコンドームに類似するが、性交中又は性交後に放出される精子又は精液の全部又は大部分を捕捉しない物品を目的とする。好ましい態様によれば、本明細書中でシースと命名するデバイスは、妊娠を防止しない。さらなる実施形態によれば、シースは受精過程を補助する潤滑剤で被覆される。
【0119】
本発明のある態様によれば、シースは陰茎上に配置され(図1)、或いは膣内に配置されるように設計される(図2)。ある実施形態によれば、本発明のシースは、閉鎖端に存在し、精液又は精子が性交中又は後に流出することを可能にする、1又は2以上の孔を有する(図1−3及び2−6)。他の特定の実施形態によれば、潤滑されたシースは、チューブ様構造の延在部に、性交中又は性交後に精液又は精子の流出を可能にする、1又は2以上の孔を有する。ある他の態様によれば、本発明のシースは、閉鎖端及び延在部の両方に孔を有していてもよい。本発明のある態様によれば、シースは、精子を子宮頚部開口部へ直接送達するように、例えば、精子を開口部に誘導するように、及び/又は、受精を容易にするように構成される(参照:米国特許第5,857,959号)。
【0120】
ある実施形態によれば、本発明のシースのチューブ様部分の延長部分の外面が潤滑剤組成物で被覆される(図1−2及び図2−5)。ある実施形態によれば、本発明のシースのチューブ様部分の内面が潤滑剤組成物で被覆される(図1−1及び図2−4)。かかる特定の実施形態によれば、シース用の潤滑剤は非殺精子性であり、本発明における上記の任意の組成物を用いることができる。
【0121】
ある実施形態によれば、本発明の潤滑されたシースは、潤滑コンドーム等のコンドームを作製するための当技術分野で公知の方法と同様にして、調製及び/又は製造される。当技術分野では、コンドームの種々の作製方法が周知である。例えば、限定されるものではないが、浸漬成形等が挙げられる。ある実施形態によれば、シースは巻回された形状で作製及び販売される。ある実施形態によれば、シースは薄く柔軟な天然又は合成弾性材料で作製される。例としては、限定されるものではないが、ラテックス、ポリウレタン、ゴム又はゴム様材料等が挙げられる。ある実施形態によれば、シースは、密閉された袋内に個々に、潤滑剤を付着し、又は付着させずに包装される。ある実施形態によれば、シースの孔は成形工程時に形成される。種々の作製工程の例としては、限定されるものではないが、コンドームの粉付の工程や、コンドームをその開放端の厚膜化リングの周囲に巻回し、通常は閉鎖端をリング円周の中央にカップ状に残す工程が挙げられる。ある実施形態によれば、シースの完成後にシースに孔を形成する。ある実施形態によれば、孔の使用前にシースに孔を形成する。
【実施例】
【0122】
ここまで本発明の概要を説明したが、以下の実施例を参照することにより、本発明の理解がより容易となるであろう。かかる実施例は、あくまでも本発明の特定の態様及び実施形態を例示するためのものであり、本発明を限定することを意図したものではない。
【0123】
実施例1.本発明に関する組成物の一例を次の手順により調製した。先ず、リン酸緩衝食塩水(PBS)を含んでなる平衡塩溶液を、次のプロトコル及び成分を使用して調製した。
【0124】
Na2HPO4(無水) 約1.09g
NaH2PO4(無水) 約0.32g
NaCl 約9g
蒸留水中で混合して溶解させ、pHを8.0に調節する。
蒸留水を加えて、最終容積を約1000mLにする。
【0125】
二価のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの形態の生存能維持剤をPBS溶液に加えて、各々約1mMの最終濃度にした。
【0126】
基剤の潤滑剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)を次の量で加えて、生じた混合物を穏やかに混合し、各組成物用の溶液を得た。
【0127】
組成物1=0.5%(w/v)ヒプロメロース
組成物2=0.75%(w/v)ヒプロメロース
【0128】
実施例2.本発明に関する更なる組成物の例を次の手順により調製した。先ず、リン酸緩衝食塩水(PBS)を含んでなる基剤平衡塩溶液(PBS++)を、次のプロトコル及び成分を使用して調製した。
【0129】
組成物3
溶液A:
Na2HPO4(無水) 約0.234g
NaH2PO4(無水) 約0.048g
蒸留水を加えた最終容積 約5.0mL
溶液B:
CaCl22H2O 約0.013g
KCl 約0.026g
MgCl26H2O 約0.018g
NaCl 約0.80g
蒸留水を加えた最終容積 約5.0mL
【0130】
溶液A及びBを合わせてpHを7.35に調節し、蒸留水で最終容積を100mLとした。この溶液に、1.5%(w/v)ヒプロメロース、0.01%(w/v)メチルパラベン、0.02%(v/v)DL−α−トコフェロールアセテート、及び0.5%(v/v)グリセロールを加え、生じた混合物を穏やかに混合して組成物3の溶液を得た。
【0131】
実施例3.精子生存率のフローサイトリー(FCM)による分析:発表された文献(24)のプロトコルに従って、死んだ精子の数を測定した。簡単に述べると、解凍した精子をリン酸緩衝食塩水(PBS)中で1.0×106精子/mLの濃度に調節して、遠心分離により洗浄した。洗浄された精子をKY潤滑剤、Pre-Seed Lubricant(Bio-Origyn, LLC)、組成物1、組成物2及び組成物3を含んでなる、3mLの種々の潤滑剤組成物と20分間インキュベートした。その後、精子を1回洗浄し、PBS中に再懸濁して、アネキシンV−フルオレセインイソチオシアネート(FITC)溶液(Pharmingen, San Diego, CA)及びヨウ化プロピジウム(PI)(Pharmingen, San Diego, CA)と暗所でインキュベートした。精子を1回洗浄し、精子生存率のレベルをFACSort(Becton Dickinson, Mountain View, CA)を使用して4色FCMにより分析した。精子集団は、残骸及び凝集物を排除するために、前角光散乱を使用してゲートで制御した。100細胞/秒未満の流通速度で、各アッセイにおいて最少10,000の個々の精子を検査した。励起波長は488nmとし、アルゴンレーザーにより250mWで提供した。530nmフィルターを用いて緑色(FITC由来)蛍光を、610nmフィルターを用いて赤色(PI)蛍光を測定した。PI陽性細胞(死んだ精子)の比率(%)を、FACS Caliberプログラム(Becton Dickinson, Mountain View, CA)を使用して計算し、K−Yゼリーを使用して測定された死亡精子の比率(%)を任意に100%の値と定めて、各潤滑剤組成物について測定された死亡精子の相対数を計算した。結果を表1に示す。
【0132】
種々の特許及び参照文献を本明細書に引用する。これらの参照文献の各々は、各々について個別に組み込まれる旨を明示したのと同様に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
当業者であれば、定型的な実験を超える実験を行うことなく、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態と同等の多数の形態を認識し、又は確認し得るであろう。添付の特許請求の範囲は、かかる同等の形態を包含されることを意図するものとする。
【0134】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1(Fig.1)は、陰茎を被覆する構成として設計された、受胎を試みるカップル用の潤滑シースの模式図である。
【図2】図2(Fig.2)は、膣内に挿入される構成として設計された、受胎を試みるカップル用の潤滑シースの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所潤滑剤組成物であって、
a.生殖組織を局所的に潤滑するための非殺精子性水性潤滑剤基剤、及び
b.生殖組織、細胞又は両者の生存能力を維持又は増進する生存能維持剤
を含んでなる組成物。
【請求項2】
c.生殖組織、細胞又は両者の能力を、それらの本来の機能を果たすように改善するべく生理機能を増進する剤
を更に含んでなる、請求項1に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項3】
局所潤滑剤組成物であって、
a.生殖組織を局所的に潤滑するための非殺精子性水性潤滑剤基剤、及び
b.生殖組織、細胞又は両者の能力を、それらの本来の機能を果たすように改善するべく生理機能を増進する剤
を含んでなる組成物。
【請求項4】
生存能維持剤が精子の生存能力を維持又は増進する、請求項1又は請求項2に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項5】
生存能維持剤が卵子の生存能力を維持又は増進する、請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項6】
生理機能向上剤が精子の機能を改善する、請求項2及び3のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項7】
生理機能向上剤が卵子の機能を改善する、請求項2、3及び6のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項8】
生存能維持剤が、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、他のイオン、塩、脂質、低分子、一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素、ヌクレオシド、ヌクレオチド、糖類、ペプチド及びタンパク質から選択される、請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項9】
組成物の生存能維持剤が、カルシウム塩又はマグネシウム塩、又は両者を含んでなる、請求項8に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項10】
組成物が、
a.精子活性化剤、
b.エネルギー増強剤、
c.フリーラジカルスカベンジャー、
d.受精促進剤、及び
e.胚移植促進剤
から選択される剤を含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、精子機能を増進する精子活性化剤を含んでなるとともに、精子活性化剤が、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、炭酸水素塩、ペプチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、サイクリックアデノシン一リン酸、低分子、タンパク質、抗体、ケモカイン、サイトカイン、プロスタグランジン、カフェイン、アスピリン、一酸化炭素、二酸化炭素及び酸化窒素から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
精子活性化剤が、カルシウム塩、マグネシウム塩、炭酸水素塩又はマンガン塩、又はそれらの任意の組合せを含んでなる、請求項11に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項13】
組成物が、生理機能を向上させるエネルギー増強剤を含んでなるとともに、エネルギー増強剤が、アデノシン三リン酸、グルコース、フルクトース、ラクトース、ピルビン酸、ピルビン酸塩、乳酸、乳酸塩、シュウ酸、シュウ酸塩、脂質、ペプチド、タンパク質及びカルニチンから選択される、請求項10、11及び12のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項14】
エネルギー増強剤が、アデノシン三リン酸、ピルビン酸、ピルビン酸塩、乳酸、乳酸塩、シュウ酸、シュウ酸塩の1又は2以上を含んでなる、請求項13に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項15】
組成物が、ビタミンE、ビタミンC、ナイアシン、リボフラビン、ナイアシンアミド、グルタチオン、NADH、及び他の抗酸化剤から選択されるフリーラジカルスカベンジャーを含んでなる、請求項10、11、12、13及び14のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項16】
組成物が、マグネシウム塩、マンガン塩、炭酸水素塩、亜鉛塩、ヒアルロニダーゼ(PH-20等)、アルブミン、高密度リポタンパク質、プロゲステロン、パンテノール、カフェイン、L−カルニチン、サイクリックAMP、アスピリン、CD9タンパク質活性化剤、及び他のインテグリン活性化剤から選択される受精促進剤を含んでなる、請求項10、11、12、13、14及び15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
受精促進剤がマグネシウム塩、マンガン塩、炭酸水素塩、又は亜鉛塩又はそれらの任意の組合せを含んでなる、請求項16に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項18】
組成物が、ヒアルロナンを含んでなる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項19】
組成物がEDTAを全く含有せず、或いは実質的に含有しない、請求項1〜18のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項20】
媒体がEDTAを欠いている、請求項19に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項21】
ホウ酸、アスコルビン酸、ホウ酸塩及びメチルパラベンから選択される1又は2以上の防腐剤を含んでなる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項22】
組成物が、抗掻痒剤、麻酔剤、エストロゲン剤、抗生剤、抗ウイルス剤、抗カビ剤、ステロイド、治療用薬剤及び薬剤送達媒体から選択される1又は2以上の物質を含んでなる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項23】
組成物が、溶液、ゲル、ゼリー、フォーム、クリーム、ペッサリー、スポンジ、座剤、液体潅注器、タンポン、フィルム、制御送達デバイス、又はコンドーム又は改変コンドームを含んでなる物品上の潤滑剤の形態である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項24】
ヒト又は他の動物の皮膚、生殖組織及び粘膜から選択される基体を局所的に潤滑するための、請求項1〜23のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項25】
粘膜、膣、尿道、陰茎組織から選択される生殖組織、及び膣及び陰茎の組織の周囲の皮膚を局所的に潤滑するための、請求項1〜24のいずれか1項に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項26】
潤滑剤基剤が、
a.グリセロール、ヒスパゲル(hispagel)(登録商標)、デキストラン、ポリアクリル酸、カルボマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トレハロース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、プルロニック(pluronic-127)(登録商標)−127、タンパク質、核酸、石油ゼリーから選択される潤滑性剤、及び
b.平衡化されたpH及び重量オスモル濃度を含んでなる水性塩溶液
を含んでなる、請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
潤滑性剤が、グリセロール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールから選択される請求項26に記載の局所潤滑剤組成物。
【請求項28】
非殺精子性水性局所潤滑剤組成物を作製する方法であって:
a.生殖組織を局所的に潤滑するための非殺精子性水性潤滑剤基剤、
b.生殖組織、細胞又は両者の生存能力を維持又は増進するための、糖を含まない生存能維持剤、及び
c.生殖組織、細胞又は両者の能力を、それらの本来の機能を果たすように改善するべく生理機能を増進する剤
の2つ以上の成分を組み合せることを含んでなる方法。
【請求項29】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物を調製する方法であって、
請求項28記載の方法を実施することを含んでなる方法。
【請求項30】
生存能維持剤が精子の生存能力を維持又は増進する、請求項28又は請求項29に記載の方法。
【請求項31】
生存能維持剤が卵子の生存能力を維持又は増進する、請求項28、29及び30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
生理機能向上剤が精子の機能を改善する、請求項28、29、30及び31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
生理機能向上剤が卵子の機能を改善する、請求項28、29、30、31及び32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
基体を局所的に潤滑するためのキットであって、
a.請求項1〜27のいずれか1項に記載の非殺精子性水性局所潤滑剤組成物、及び
b.前記潤滑剤組成物の局所送達用アプリケーター
を含んでなるキット。
【請求項35】
基体を局所的に潤滑するための方法であって、
a.請求項1〜27のいずれか1項に記載の非殺精子性水性局所潤滑剤組成物を提供すること、
b.前記潤滑剤組成物を適用するための物品を提供すること、及び
c.前記物品を使用して表面上に前記潤滑剤組成物を適用すること
を含んでなる方法。
【請求項36】
受精を促進するためのシステムであって、
a.請求項1〜27のいずれか1項に記載の非殺精子性水性局所潤滑剤組成物、及び
b.潤滑剤組成物の局所送達用アプリケーター
を含んでなるシステム。
【請求項37】
受精を促進するための方法であって、
a.請求項1〜27のいずれか1項に記載の非殺精子性水性局所潤滑剤組成物を提供すること、
b.潤滑剤組成物を適用するための物品を提供すること、及び
c.前記物品を使用して表面上に前記潤滑剤組成物を適用すること
を含んでなる方法。
【請求項38】
必要に応じて基体を潤滑する方法であって、
a.前記ヒト又は他の動物の基体と、接触した基体を潤滑するために十分な量の、請求項1〜27のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物とを接触させること、及び
b.前記ヒト又は他の動物の基体に潤滑を賦与するために十分な量で十分な時間、前記潤滑剤組成物を前記基体と接触させた状態で留まらせ、基体を被覆すること
を含んでなる方法。
【請求項39】
前記基体が、ヒト又は他の動物の手、指、皮膚、生殖組織及び粘膜から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記基体が手袋、コンドーム、改変コンドーム、ポリマー、並びに医療及び診断デバイスから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
潤滑されたコンドームを作製する方法であって、
a.コンドームを提供すること、及び
b.前記コンドームの表面に一定分量の請求項1〜27のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物を適用すること、及び
c.前記コンドームを容器内に密閉すること
を含んでなる方法。
【請求項42】
前記潤滑されたコンドームが、閉鎖端に精子及び精液を通過させる1又は2以上の孔を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
非殺精子性水性受精媒体であって、
a.生殖組織、細胞又は両者を培養及び伸展するための非殺精子性水性塩溶液基剤、及び
b.生殖組織、細胞又は両者の生存能力を維持又は増進するための生存能維持剤、及び
c.生殖組織、細胞又は両者の能力を、それらの本来の機能を果たすように、改善するべく生理機能を増進する剤
を含んでなる媒体。
【請求項44】
非殺精子性水性貯蔵媒体であって、
a.生殖組織、細胞又は両者を培養及び伸展するための非殺精子性水性塩溶液基剤、及び
b.生殖組織、細胞又は両者の生存能力を維持又は増進するための生存能維持剤、及び
c.生殖組織、細胞又は両者の能力を、それらの本来の機能を果たすように、改善するべく生理機能を増進する剤、及び
d.ヒドロキシプロピルメチルセルロース、DMSO、アルブミン、血清、グリセロール、トレハロース、一酸化炭素、二酸化炭素、及び糖タンパク質から選択され、制御された温度、加熱、冷蔵、凍結又はガラス化状態における貯蔵中の生存細胞、組織又は器官の損失を低減させる保護剤
を含んでなる媒体。
【請求項45】
精子を培養又は伸展するための、請求項43及び44のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項46】
卵子を培養するための、請求項43、44及び45のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項47】
媒体が、精子の生存能力を維持又は増進させ、及び/又は、生理機能を改善する、請求項43、44、45及び46のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項48】
媒体が、精子の生存能力を維持又は増進させ及び/又は生理機能を改善する、請求項43、44、45、46及び47のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項49】
媒体中の生存能維持剤が、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、及び他の塩、脂質、低分子、一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素、ヌクレオシド、ヌクレオチド、糖類、ペプチド及びタンパク質から選択される、請求項43〜48のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項50】
生存能維持剤がカルシウム、ナトリウム、カリウム、又はマグネシウムの塩、又はそれらの組合せを含んでなる、請求項43〜49のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項51】
媒体が、
a.精子活性化剤、
b.エネルギー増強剤、
c.フリーラジカルスカベンジャー
d.受精促進剤、及び
e.胚移植促進剤
から選択される剤を含んでなる、請求項43〜50のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項52】
媒体が、アデノシン三リン酸、グルコース、フルクトース、ラクトース、ピルビン酸、ピルビン酸塩、乳酸、乳酸塩、シュウ酸、シュウ酸塩、脂質、ペプチド、タンパク質及びカルニチンから選択されるエネルギー増強剤を含んでなる、請求項51に記載の媒体。
【請求項53】
エネルギー増強剤が、アデノシン三リン酸、ピルビン酸、ピルビン酸塩、乳酸、乳酸塩、シュウ酸、シュウ酸塩の1又は2以上を含んでなる、請求項52に記載の媒体。
【請求項54】
媒体が、ビタミンE、ビタミンC、ナイアシン、リボフラビン、ナイアシンアミド、グルタチオン、NADH、及び他の抗酸化剤から選択されるフリーラジカルスカベンジャーを含んでなる、請求項51〜53に記載の媒体。
【請求項55】
媒体が、マグネシウム塩、マンガン塩、炭酸水素塩、亜鉛塩、ヒアルロニダーゼ(PH-20等)、アルブミン、高密度リポタンパク質、プロゲステロン、パンテノール、カフェイン、L−カルニチン、サイクリックAMP、アスピリン、CD9タンパク質活性化剤、及び他のインテグリン活性化剤から選択される受精促進剤を含んでなる、請求項51〜54に記載の媒体。
【請求項56】
受精促進剤が、マグネシウム、マンガン、炭酸水素塩、又は亜鉛塩、又はそれらの組合せを含んでなる、請求項55に記載の媒体。
【請求項57】
媒体がヒアルロナンを更に含んでなる、請求項43〜56のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項58】
媒体がEDTAを全く含まず、或いは実質的に含まない、請求項43〜57のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項59】
媒体がEDTAを欠いている、請求項58に記載の媒体。
【請求項60】
ホウ酸、アスコルビン酸、ホウ酸塩、又はメチルパラベン又はそれらの組合せから選択される防腐剤を含んでなる、請求項43〜59のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項61】
媒体が、抗掻痒剤、麻酔剤、エストロゲン剤、抗生剤、抗ウイルス剤、抗カビ剤、ステロイド、治療用薬剤、薬剤送達媒体から選択される1又は2以上の剤を含んでなる、請求項43〜60のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項62】
ヒト又は他の動物における補助生殖技法(ART)の種々の段階において生殖細胞の受精を促進するための媒体であって、ヒト女性又は他の動物の雌において、精液捕集、精子捕集、卵母細胞捕集、精子洗浄、卵母細胞洗浄、精子分離、卵母細胞分離、受精、胚分離、及び胚の移動の1又は2以上を誘導する、請求項43〜61のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項63】
受精を促進するための受精用キットであって、
a.請求項43〜62のいずれか1項に記載の媒体、及び
b.前記媒体の適用又は送達のための物品
を含んでなるキット。
【請求項64】
受精を促進する方法であって、
a.請求項43〜62のいずれか1項に記載の媒体を提供すること、及び
b.組成物の適用又は送達のための物品を提供すること、及び
c.物品を使用して組成物を投与又は送達すること
を含んでなる方法。
【請求項65】
非殺精子性水性組成物が、幹細胞の生成、発達、培養、伸展、移植及び貯蔵の種々の段階において細胞の受精を促進するためのものである、請求項43〜62のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項66】
ヒト及び他の動物の受精を促進するための物品であって、後端部と、前端部と、中央に延在するチューブ状構造とを有するコンドームを含んでなり、後端部が、雄性器を受容するための開口部を有し、
a.前記前端部が、射精後に精液及び/又は精子を流出させる1又は2以上の小孔を有する、略円筒状の液溜めを形成し、又は
b.前記前端部が、略閉止円筒状の液溜めを形成し、中央に延在する円筒状部分が、射精後に精液及び/又は精子を流出させる1又は2以上の小孔を有し、又は
c.前記前端部が、射精後に精液及び/又は精子を流出させる1又は2以上の小孔を有し、中央に延在する円筒状部分が、射精後に精液及び/又は精子を流出させる1又は2以上の小孔を有する、物品。
【請求項67】
物品が非殺精子性水性潤滑剤で潤滑されてなる、請求項66に記載の物品。
【請求項68】
物品が請求項1〜27のいずれか1項に記載の非殺精子性水性潤滑剤組成物で潤滑されてなる、請求項66に記載の物品。
【請求項69】
物品が密閉容器又は包装内に封入されてなる、請求項66、67、及び68のいずれか1項に記載の物品。
【請求項70】
請求項66〜69に記載の物品を作製する方法であって、
a.請求項66〜69に記載のコンドームを提供すること、及び
b.前記コンドームの表面に、一定分量の請求項1〜27のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物を適用すること、及び
c.前記コンドームを容器又は包装内に密閉すること
を含んでなる方法。
【請求項71】
ヒト又は他の動物における妊娠を促進するシステムであって、
a.請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物、及び
b.潤滑剤組成物の送達のための物品
を含んでなるシステム。
【請求項72】
ヒト及び他の動物における妊娠を促進するシステムであって、
a.請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物、及び
b.潤滑剤組成物の送達のための、請求項66〜69のいずれか1項に記載の物品
を含んでなるシステム。
【請求項73】
ヒト及び他の動物における妊娠を促進する方法であって、
a.請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物、及び
b.請求項66〜69のいずれか1項に記載の物品、及び
c.ヒト又は他の動物における妊娠を促進するために前記の物品及び組成物を使用すること
を含んでなる方法。
【請求項74】
受精を促進するためのキットであって、
a.請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物、及び
b.受精用キットの使用法に関する説明を、授精能を強化することが知られている食事及び生活様式の推奨とともに概説した取扱説明小冊子
を含んでなるキット。
【請求項75】
妊娠を促進するためのキットであって、
a.請求項1〜27のいずれか1項に記載の非殺精子性水性局所潤滑剤組成物、及び
b.請求項66〜69のいずれか1項に記載の物品
を含んでなるキット。
【請求項76】
受精用キットの使用法に関する説明を、授精能を強化することが知られている食事及び生活様式の編成又は推奨又は双方とともに概説した取扱説明書を含んでなる、請求項34、63、74及び75のいずれか1項に記載のキット。
【請求項77】
水性組成物が、組織、脳脊髄液、生検細胞、生検組織、嚢胞、腫瘍、唾液、糞便、頬スワブ、組織、細胞、体液、血液、又はそれらの組合せ等の、ヒト又は他の動物からの生体試料の捕集、生存能力の維持又は増進、生理機能の維持又は増進、培養、伸展、移植、使用、輸送、及び貯蔵のためのものである、請求項1〜27及び請求項43〜62のいずれか1項に記載の組成物又は媒体。
【請求項78】
水性組成物が、膣、陰茎、腎臓、肺、心臓、肝臓、骨、及び皮膚又はそれらの組合せ等の、ヒト又は他の動物からの器官の捕集、生存能力の維持又は増進、生理機能の維持又は増進、使用時の拒絶率の低減、培養、伸展、移植、使用、輸送、及び貯蔵のためのものである、請求項1〜27及び請求項43〜62のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項79】
水性組成物が、負傷、発疹、熱傷、挫傷、移植等のヒト又は他の動物における医学的処置及び治療中に使用するためのものである、請求項1〜27及び請求項43〜62のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項80】
水性組成物が、組織、器官、脳脊髄液、生検細胞、生検組織、嚢胞、腫瘍、唾液、糞便、頬スワブ、組織、細胞、体液、血液、又はそれらの組合せ等の、ヒト及び他の動物の種々の生体試料からの種々の微生物叢(細菌、カビ、及びウイルス等)の捕集、生存能力の維持又は増進、生理機能の維持又は増進、培養、伸展、移植、使用、輸送、及び貯蔵のためのものである、請求項1〜27及び請求項43〜62のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項81】
局所潤滑剤組成物であって、
a.生殖組織を局所的に潤滑するための非殺精子性水性潤滑剤基剤であって、
i.糖ではない潤滑性剤、及び
ii.グリセロール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールから選択される潤滑性剤、及び
iii.平衡化されたpH及び重量オスモル濃度を有する水性塩溶液であって、pHが7.2と8.5との間であり、重量オスモル濃度が200mOsm/kgと500mOsm/kgとの間である水性塩溶液
を含んでなる水性潤滑剤基剤、及び
b.カルシウム塩及びマグネシウム塩の1又は2以上
を含んでなる組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−528372(P2009−528372A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557410(P2008−557410)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/005407
【国際公開番号】WO2007/103194
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508264047)アクアトローブ バイオサイエンシズ,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】