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水性塗料組成物及びプラスチック成形品の塗装方法
説明

水性塗料組成物及びプラスチック成形品の塗装方法

【課題】プラスチック基材への付着性に優れ、さらに耐水性、耐傷つき性、耐溶剤性等に優れた塗膜を形成できる水性塗料組成物及びプラスチック成型品の塗装方法を提供する。
【解決手段】酸変性ポリオレフィン(a)、エーテル系溶剤及び塩基性物質を含有する水性樹脂分散体(A)の存在下で重合性不飽和単量体(b)を乳化重合せせることにより得られる水性樹脂分散体(B)及び樹脂ビーズ(C)を含有し、該樹脂ビーズ(C)の含有量が塗料中の全樹脂固形分100質量部に対して1〜30質量部である水性塗料組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック基材への付着性に優れ、さらに耐水性、耐傷つき性、耐溶剤性等に優れた塗膜を形成できる水性塗料組成物及びプラスチック成形品の塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のインストルメントパネル、センターコンソール、ダッシュボード、ドアトリムなどの内装部品には、プラスチック素材としてポリプロピレン、ポリカーボネート、ABSなどの各種素材が用いられており、近年、コストやリサイクル性の観点から特に難付着性のポリプロピレン素材が増えつつある。そのため、ポリプロピレン素材上での付着性や耐汚染性(耐油性)等を1コート仕上げで成立させることが急務となっている。そこで特許文献1では、塩素化ポリオレフィン樹脂エマルションとアクリル樹脂エマルションとを特定の割合で配合してなる樹脂エマルションを必須成分とする水性塗料組成物が提案されている。
【0003】
しかしながら上記特許文献1に開示の組成物のように塩素化ポリオレフィン樹脂エマルションとアクリル樹脂エマルションを単にブレンドしただけではポリプロピレン素材に対する付着性や耐水性、耐汚染性(耐油性)が有機溶剤系の塗料組成物に比べて劣るという不都合があった。
【0004】
そこで塩素化ポリオレフィン樹脂エマルションを変性することによって諸性能を向上させる試みが種々提案されている。例えば特許文献2では、高塩素化度の塩素化ポリオレフィンの有機溶剤溶液を界面活性剤で水中乳化させた後、該エマルション中でビニル系単量体を重合反応させて水性樹脂組成物を得ている。また特許文献3では、不飽和カルボン酸で変性した塩素化ポリオレフィンに界面活性剤、中和剤及び水を添加し水性化した後、水中で、塩素化ポリオレフィンに対し過剰の重合可能なビニル系単量体を乳化重合させることで水性樹脂組成物を得ている。これらの水性樹脂組成物によれば、付着性や耐油性などに優れた塗膜を形成できると記載されている。
【0005】
しかしながら上記特許文献2や特許文献3に開示の水性樹脂組成物では、塩素化ポリオレフィンの水性化に使用される界面活性剤が塗膜中に残存して耐水性を低下させるという問題があった。
【0006】
一方、自動車の内装部品用途においては1コート仕上げで塗膜性能と良好な触感を両立させることも求められており、特許文献4では金属イオンによる分子間結合を有する樹脂からなるエマルションとポリオレフィン樹脂エマルション、樹脂粒子及びウレタンディスパージョンを特定割合で含有する水性一液型塗料組成物が提案されているが、塗膜硬度、耐傷つき性、耐水性等が不十分であるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2001−2977号公報
【特許文献2】特開平7−300570号公報
【特許文献3】特開2004−91559号公報
【特許文献4】特開2007−169397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の問題点を解消し、プラスチック基材への付着性に優れ、さらに耐水性、耐傷つき性、耐溶剤性等に優れた塗膜を形成できる水性塗料組成物及びプラスチック成型品の塗装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、酸変性ポリオレフィン(a)、エーテル系溶剤及び塩基性物質を含有する水性樹脂分散体(A)の存在下で重合性不飽和単量体(b)を乳化重合させることにより得られる水性樹脂分散体(B)及び樹脂ビーズ(C)を含有し、該樹脂ビーズ(C)を塗料中の全樹脂固形分100質量部に対して1〜30質量部含有することを特徴とする水性塗料組成物、及びこれを用いたプラスチック成形品の塗装方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、塩素化ポリオレフィン等の水性化時に従来技術におけるように界面活性剤を使用せずとも安定に水性化でき、さらに乳化重合時にはカルボニル基含有重合性不飽和単量体や水酸基含有重合性不飽和単量体などの親水性の重合性不飽和単量体を安定して重合可能であり、そのように得られる水性樹脂分散体と樹脂ビーズを特定割合で用いた水性塗料組成物は、プラスチック基材への付着性に優れ、さらに耐水性、耐傷つき性、耐溶剤性等に優れた塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で使用する酸変性ポリオレフィン(a)は、通常、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセンなどの炭素数が2〜10のオレフィン類から選ばれた1種又は2種以上を重合せしめてなるポリオレフィンを、さらに(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸又はこれらの酸無水物を用いて、既知の方法に従ってグラフト共重合させて変性したものであり、特にマレイン酸又はその酸無水物によって変性されたものが好適である。該不飽和カルボン酸又はその酸無水物によるグラフト共重合量は、ポリオレフィンの固形分質量に対して1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%の範囲内が適当である。
【0012】
酸変性ポリオレフィン(a)に使用されるポリオレフィンとしては、特に得られるポリオレフィンの分子量分布が狭く、ランダム共重合性等にも優れる等の点から、その重合触媒としてシングルサイト触媒を用いて製造されたものが好適である。シングルサイト触媒は、活性点が同種(シングルサイト)のものであり、該シングルサイト触媒の中でも特にメタロセン系触媒が好ましく、該メタロセン系触媒は、通常、共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表4〜6族及び8族の遷移金属化合物や3族の希土類遷移金属化合物であるメタロセン(ビス(シクロペンタジエニル)金属錯体及びその誘導体)と、これを活性化できるアルミノキサン等の助触媒、さらにトリメチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を組合せて得られるものである。該ポリオレフィンの製造方法には、従来公知の方法が採用でき、例えばプロピレンやエチレン等と水素を反応容器に供給しながら連続的にアルキルアルミニウムとメタロセン系触媒を添加しながら製造する方法が挙げられる。
【0013】
酸変性ポリオレフィン(a)は、必要に応じて、さらに塩素化されていても良い。ポリオレフィンの塩素化は、例えば、ポリオレフィン又はその変性物の有機溶剤溶液又は分散液に塩素ガスを吹き込むことによって行うことができ、反応温度は50〜120℃とすることができる。ポリオレフィンの塩素化物(固形分)中の塩素含有率は、ポリオレフィンの塩素化物に望まれる物性などに応じて変えることができるが、形成塗膜の付着性などの点から、一般には、ポリオレフィンの塩素化物の質量を基準にして35質量%以下、特に10〜30質量%、さらに特に12〜25質量%の範囲内とすることが望ましい。
【0014】
上記酸変性ポリオレフィン(a)に使用されるポリオレフィンは、特にプロピレンを重合成分として含有するものであることが好適であり、該酸変性ポリオレフィン(a)におけるプロピレンの質量分率は、0.5〜0.99、好ましくは0.7〜0.95であることが他成分との相溶性や形成塗膜の付着性の点から好適である。
【0015】
本発明では上記酸変性ポリオレフィン(a)を、エーテル系溶剤及び塩基性物質によって水性媒体中に分散させ、必要に応じて溶剤を減圧蒸留して水性樹脂分散体(A)が得られる。かかるエーテル系溶剤としては、例えばテトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられ、これらのうち特にテトラヒドロフランが沸点及び溶解性の点から好適である。
【0016】
上記エーテル系溶剤には必要に応じてアルコール系溶剤を併用しても良い。アルコール系溶剤としては炭素数1〜7の脂肪族系アルコール、芳香族系アルコール、脂環式アルコールを用いることができ、特に炭素数3〜5のアルコールが望ましい。アルコール系溶剤を併用する場合には、両者の合計質量中にアルコール系溶剤が40質量%以下、好ましくは5〜30質量%の範囲が適当である。また後述する水性樹脂分散体(B)の製造の際にはかかるアルコール系溶剤の代わりに水酸基含有重合性不飽和単量体を用いることもできる。水酸基含有重合性不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のC〜Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記C〜Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0017】
上記エーテル系溶剤、或いはエーテル系溶剤及びアルコール系溶剤の使用量は、酸変性ポリオレフィン(a)100質量部に対して50〜400質量部、好ましくは80〜300質量部が適当である。
【0018】
上記塩基性物質としては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの3級アミン;ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、モルホリンなどの2級アミン;プロピルアミン、エタノールアミンなどの1級アミン;アンモニア等が挙げられる。塩基性物質の使用量は上記酸変性ポリオレフィン(a)中のカルボキシル基に対して0.8〜4.0モル当量の範囲内であることが望ましい。
【0019】
本発明では形成塗膜の耐水性の点から、上記酸変性ポリオレフィン(a)の水性化の際に界面活性剤を使用しないことが望ましい。
【0020】
本発明では、上記水性樹脂分散体(A)の存在下で、重合性不飽和単量体(b)を乳化重合させることにより水性樹脂分散体(B)が得られる。
【0021】
上記重合性不飽和単量体(b)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和単量体;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和単量体;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和単量体;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和単量体;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基を有する重合性不飽和単量体;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のC〜Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記C〜Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基を有する重合性不飽和単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有する重合性不飽和単量体;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和単量体;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、或いは2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和単量体;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和単量体;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和単量体;アリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼン等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物等が挙げられ、これらは得られる水性樹脂分散体に望まれる性能などに応じて単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0022】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル又はメタクリル」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
【0023】
これらのうち、本発明では、上記重合性不飽和単量体(b)がその成分の少なくとも一部として水酸基含有重合性不飽和単量体を含有することが、得られる水性樹脂組成物を水酸基と反応し得る硬化剤、例えばイソシアネート系やメラミン系等の硬化剤と共に用いる場合の該硬化剤との架橋性、得られる塗膜の耐候性、耐水性の点から好適である。
【0024】
水酸基含有重合性不飽和単量体としては、1分子中に1個の水酸基と1個の重合性不飽和基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のC〜Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記C〜Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。かかる水酸基含有重合性不飽和単量体は、一般に、単量体(b)の合計質量を基準にして、1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%の範囲内で使用するのが適している。
【0025】
また本発明では、上記重合性不飽和単量体(b)が、その成分の少なくとも一部としてカルボニル基含有重合性不飽和単量体を含有することが、得られる水性樹脂組成物をヒドラジン誘導体と共に用いる場合の該ヒドラジン誘導体との架橋性、得られる塗膜の耐溶剤性、耐水性の点から好適である。
【0026】
カルボニル基含有重合性不飽和単量体としては、1分子中に1個のカルボニル基と1個の重合性不飽和結合を有する化合物が包含され、具体的には例えば、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、特にダイアセトン(メタ)アクリルアミドが好適である。かかるカルボニル基含有重合性不飽和単量体は、一般に、単量体(b)の合計質量を基準にして、1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%の範囲内で使用するのが適している。
【0027】
さらに本発明では、上記重合性不飽和単量体(b)が、その成分の少なくとも一部として1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物を含有することが、形成塗膜の耐水性、耐溶剤性等の点から好適である。
【0028】
多ビニル化合物としては、例えばアリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。かかる多ビニル化合物は、一般に、単量体(b)の合計質量を基準にして、0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%の範囲内で使用するのが適している。
【0029】
上記乳化重合においては、必要に応じて公知のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などを乳化剤として使用でき、さらにこれらの界面活性剤が重合性不飽和基を有する反応性乳化剤なども適宜使用することができ、該乳化剤の1種または2種以上の存在下で重合開始剤を使用して乳化重合させることができる。特に反応性乳化剤を用いると乳化粒子の安定性及び形成塗膜の耐水性等の点から好適である。乳化剤の使用量は、上記単量体(b)の合計質量を基準にして0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜9質量%の範囲内が適している。重合開始剤には、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、4、4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸のようなアゾ系開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、t−ブチルハイドロパーオキシド等の過酸化物等の既知のものを用いることができる。また該重合開始剤には、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。また、乳化重合反応温度は30〜95℃程度が好ましい。
【0030】
また上記乳化重合においては、前記酸変性ポリオレフィン(a)と上記重合性不飽和単量体(b)の使用比が固形分質量比で5/95〜95/5、好ましくは20/80〜80/20の範囲内となるようにすることが、両成分の相溶性や形成塗膜の付着性等の点から好適である。
【0031】
上記により得られる水性樹脂分散体(B)は、固形分濃度が15〜45質量%の範囲にあることが適当である。
【0032】
本発明の塗料組成物では、得られる塗膜の付着性向上の点から上記水性樹脂分散体(B)に、酸変性ポリオレフィン(a)、エーテル系溶剤及び塩基性物質を含有する水性樹脂分散体(A’)を併用することができる。ここで用いる水性樹脂分散体(A’)は、前述の酸変性ポリオレフィン(a)、エーテル系溶剤及び塩基性物質を含有する水性樹脂分散体であれば、上記水性樹脂分散体(B)の製造時に(A)成分として用いる水性樹脂分散体と同じであっても異なっていても良く、使用される酸変性ポリオレフィン、エーテル系溶剤及び塩基性物質は、それぞれ前述したものの中から適宜選択することができる。
【0033】
上記の通り使用される水性樹脂分散体(A’)及び水性樹脂分散体(B)は、両成分の合計固形分量を基準にして(A’)が1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、(B)が50〜99質量%、好ましくは60〜95質量%となる割合で含有することが塗膜の付着性向上や耐溶剤性の点から望ましい。
【0034】
本発明の塗料組成物は、さらに樹脂ビーズ(C)を塗料中の全樹脂固形分100質量部に対して1〜30質量部、好ましくは5〜25質量部含有する。含有量がこの範囲より少ないと得られる塗膜の耐傷つき性が劣り、多いと仕上り性が低下するので好ましくない。
【0035】
上記樹脂ビーズ(C)としては、例えばポリエチレン樹脂ビーズ、ポリプロピレン樹脂ビーズ、アクリル樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ、ポリエステル樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリスチレン樹脂ビーズ、ナイロン樹脂ビーズなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらのうちポリエチレン樹脂ビーズが形成塗膜の耐傷つき性の点から好適に使用できる。
【0036】
上記樹脂ビーズ(C)は、仕上り性の点から、平均粒子径が0.1〜30μm、好ましくは0.5〜15μmの範囲内であることが望ましい。ここで平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定される体積基準粒度分布のメジアン径(d50)であって、例えば日機装社製のマイクロトラック粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0037】
本発明の塗料組成物は、上記(B)及び(C)成分を必須として含有するものであり、さらに必要に応じて、ヒドラジン誘導体を含有することができる。該ヒドラジン誘導体としては、具体的には例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジドまたはイソフタル酸ジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させることにより得られるポリヒドラジド;炭酸ジヒドラジド等のヒドラジド基含有化合物;ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート又はそれから誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換ヒドラジンや上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド、該ポリイソシアネート化合物とポリエーテルとポリオール類やポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物等のセミカルバジド基を有する化合物;ビスアセチルジヒドラゾン等のヒドラゾン基を有する化合物等が挙げられる。
【0038】
水性塗料組成物が上記ヒドラジン誘導体を含有することにより、それから形成される塗膜は空気中の有害物質、例えばホルムアルデヒドを吸着するので、これらの有害物質の除去のために内装用途において有用であり、また上記水性樹脂組成物がカルボニル基を有する場合には、補助架橋のための架橋剤として作用することができる。
【0039】
上記ヒドラジン誘導体の配合量は、上記水性樹脂分散体(B)(水性樹脂分散体(A’)を用いる場合はこれも含む)の樹脂固形分に対して、一般に、0.01〜10質量%、特に0.05〜8質量%の範囲内が望ましい。
【0040】
本発明の塗料組成物は、また、上記水性樹脂分散体(B)(水性樹脂分散体(A’)を用いる場合はこれも含む)が水酸基などの架橋性官能基を有する場合には、該官能基と反応し得る架橋性官能基を有する硬化剤、例えばイソシアネート系硬化剤やメラミン系硬化剤などを含有することができる。
【0041】
本発明の塗料組成物には、さらに必要に応じて上記以外の水溶性もしくは水分散性の樹脂を配合することができ、該水溶性もしくは水分散性の樹脂としては、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、これらの樹脂のグラフト体、アクリル変性もしくはポリエステル変性エポキシ樹脂、さらにはブロックイソシアネート基含有ポリエステル樹脂等の自己架橋型樹脂などが挙げられ、特にウレタンディスパージョン、水溶性もしくは水分散性アクリル樹脂や水溶性もしくは水分散性ポリエステル樹脂が好適である。
【0042】
本発明の塗料組成物には、さらに必要に応じて酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ、アルミペースト、アゾ系、フタロシアニン系などの着色顔料;タルク、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、亜鉛華(酸化亜鉛)などの体質顔料を含有させることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
【0043】
本発明では上記顔料のうち、特にタルクを塗料中の全樹脂固形分量100質量部に対して5〜100質量部、好ましくは10〜90質量部使用することが、形成塗膜の耐溶剤性の点から好適である。
【0044】
本発明の塗料組成物には、さらに必要に応じて硬化触媒、レオロジーコントロール剤、樹脂微粒子、消泡剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、可塑剤、有機溶剤などの塗料用添加剤等を適宜含有させることができる。
【0045】
上記により得られる本発明の水性塗料組成物はプラスチック成形品に塗装することができる。
【0046】
プラスチック成形品としては、例えば、インストルメントパネル(インパネ)、ドアトリム、コンソールパネル、センタークラスター、スイッチパネル、メーターフード、シフトノブ、ハンドルなどの自動車内装部品や家庭電化製品の外板部などに使用されているプラスチック成形品などが挙げられ、これらのプラスチック成形品の素材に必要に応じて表面処理、下塗り塗装、中塗り塗装などを行ったもの、これらのものが組み合わさった複合部材などが挙げられる。プラスチック成形品の材質としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセンなどの炭素数2〜10のオレフィン類の1種もしくは2種以上を(共)重合せしめてなるポリオレフィンが特に好適であるが、それ以外に、ポリカーボネート、ABS樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミドなどにも本発明組成物を適用することができる。
【0047】
本発明組成物の塗装は、被塗物に対し、通常、乾燥膜厚で5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲内となるように、エアスプレー、エアレススプレー、浸漬塗装、刷毛などを用いて行なうことができる。該組成物の塗装後、得られる塗膜面を、必要に応じて約50〜約140℃、好ましくは約50〜約80℃の温度で20〜40分間程度加熱することができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
【0049】
水性樹脂分散体の製造
製造例1
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中に「スーパークロンS−851LS」(日本製紙株式会社製、商品名、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン)100g、テトラヒドロフラン190gを加え、65℃にて十分に融解させた。次いでその中に1−ブタノール40g、ジメチルエタノールアミン3gを加えて15分間攪拌し、さらに脱イオン水300gを加えて分散させた。次いで65℃で溶剤分を減圧留去することで、酸変性塩素化ポリオレフィンの水性分散体(A−1)を得た。この分散体の固形分濃度は30%で、pHは8.1であった。
【0050】
製造例2
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中に「スーパークロンS−851LS」を100g、テトラヒドロフラン190gを加え、65℃にて十分に融解させた。次いでその中にジブチルアミン2.6g、ジメチルエタノールアミン 3gを加えて15分攪拌し、さらに脱イオン水300gを加えて分散した。次いで65℃で溶媒を減圧留去することで、酸変性塩素化ポリオレフィンの水性分散体(A−2)を得た。この分散体の固形分濃度は30%で、pHは8.2であった。
【0051】
製造例3
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中に「スーパークロンS−851LS」(日本製紙株式会社製、商品名、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン)100g、シクロヘキサン100gを加え、65℃にて十分に融解させた。次いでその中に「エマノーン1112」(花王ケミカル社製、ポリエチレングリコールモノラウレート)20g、「ニューコール271A」(日本乳化剤社製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩)2gを加えて15分攪拌し、さらに脱イオン水300gを加えて分散させた。次いで65℃で溶剤分を減圧留去することで、酸変性塩素化ポリオレフィンの水性分散体(A−3)を得た。この分散体の固形分濃度は25%で、pHは8.1であった。
【0052】
製造例4
上記水性分散体(A−1)133.3gに、ディスパーでの攪拌下に、脱イオン水131.9gを加えて希釈し、下記表1の配合の重合性単量体混合物(b−1)60gおよび「アデカリアソープSR−1025」(株式会社アデカ製、商品名、反応性乳化剤)4gを加えた。これを温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコに移し、65℃に加熱した後に「VA−057」(和光純薬工業社製、重合開始剤)0.42gを脱イオン水8.4gで希釈したものを加え、1.5時間反応を行って、水性樹脂分散体(B−1)を得た。この水性樹脂分散体の固形分濃度は30%で、pHは8.0であった。
【0053】
製造例5
製造例3において、重合性単量体混合物の配合組成を表1の(b−2)に記載のとおりに変更する以外は上記製造例3と同様にして、水性樹脂分散体(B−2)を得た。この水性樹脂分散体の固形分濃度は30%で、pHは8.0であった。
【0054】
製造例6
上記水性分散体(A−3)160.0gに、ディスパーでの攪拌下に、脱イオン水105.2gを加えて希釈し、表1の重合性単量体混合物(b−1)60gおよび「アデカリアソープSR−1025」4gを加えた。これを温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコに移し、65℃に加熱した後に「VA−057」0.42gを脱イオン水8.4gで希釈したものを加え、1.5時間反応を行って、水性樹脂分散体(B−3)を得た。この水性樹脂組成物の固形分濃度は30%で、pHは7.2であった。
【0055】
【表1】

【0056】
水性塗料の作成
実施例1
上記酸変性塩素化ポリオレフィンの水性分散体(A−1)を固形分量で20部、水性樹脂分散体(B−1)を固形分量で60部、アクリル樹脂溶液(注1)を固形分量で20部、「MICRO ACE K−1」(日本タルク社製、微粉タルク)50部、「フロービーズLE−2080」(住友精化社製、ポリエチレン樹脂ビーズ、平均粒子径約12μm)10部を、常法に従って配合し、固形分35%となるように脱イオン水で希釈して水性塗料(1)を得た。
【0057】
実施例2〜10及び比較例1〜3
実施例1において、配合組成を表2に示す通りとする以外は実施例1と同様に行って各水性塗料(2)〜(13)を得た。
【0058】
表2の配合は固形分表示であり、表中の(注1)〜(注2)は下記の通りである。
(注1)アクリル樹脂溶液:撹拌機、温度計、還流冷却管を備えた通常のアクリル樹脂反応槽に、エチレングリコールモノブチルエーテル35部を仕込み、加熱撹拌して110℃に保持した。この中に、スチレン10部、メチルメタクリレート40部、n−ブチルメタクリレート25部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、メタクリル酸3部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート5部(固形分量、脱イオン水10部に溶解して配合)、「NFバイソマーPEM6E」(第一工業製薬(株)製、商品名、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、分子量約350)10部、アゾビスイソブチロニトリル4部及びイソブチルアルコール20部からなる混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で30分間熟成し、次にエチレングリコールモノブチルエーテル15部及びアゾビスイソブチロニトリル0.5部からなる追加触媒混合液を1時間かけて滴下した。ついで110℃で1時間熟成したのち冷却し、固形分55%のアクリル樹脂溶液を得た。
(注2)「アートパールG−800」:根上工業社製、アクリル樹脂ビーズ、平均粒子径約6μm
【0059】
【表2】

【0060】
試験塗装物の作成
ポリプロピレン(脱脂処理済)板に、上記の通り作成した水性塗料を乾燥膜厚で約20μmになるようにスプレー塗装し、80℃で20分間加熱乾燥させて各試験塗装物を作成した。得られた各試験塗装物を下記性能試験に供した。その結果を表2に併せて示す。
【0061】
性能試験方法
初期付着性:各試験塗装物の塗膜面に素地に達するようにカッターで切り込み線を入れ、大きさ2mm×2mmのマス目を100個作り、その表面に粘着セロハン(登録商標)テープを貼着し、20℃においてそれを急激に剥離した後のマス目の残存塗膜数を調べた。○は100個(剥離なし)、△は99〜51個、×は50個以下。
【0062】
耐湿性:各試験塗装物を、50℃で98%RH下に10日間静置してから、乾燥後の塗装面を目視で評価した。○はブリスター発生なし、△はブリスターの発生はないが水跡が残っている状態、×はブリスター発生ありを示す。
【0063】
耐溶剤性:各試験塗装物の塗膜面を、キシレンを湿らせたガーゼを10枚重ねて、荷重約9.8Nを加えて10往復こすった後、塗膜面を目視にて確認した。ベタツキなしの場合は◎、ベタツキはあるが素地露出が認められない場合は○、塗膜が削れて素地露出の場合は△、塗膜が溶けて素地露出の場合は×で示す。
【0064】
耐傷つき性:各試験塗装物の塗膜面を爪で引掻き、傷跡の状態を目視で評価した。◎は傷跡が判別できない、○は傷はあるが、凹みは確認できない、△は傷が目立ち凹みもみられる、×は素地が露出していることを示す。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、プラスチック基材への付着性に優れた水性塗料組成物が得られ、またこれによって耐水性、耐傷つき性、耐溶剤性等に優れた塗膜を得ることができるので、本発明は産業上有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸変性ポリオレフィン(a)、エーテル系溶剤及び塩基性物質を含有する水性樹脂分散体(A)の存在下で重合性不飽和単量体(b)を乳化重合させることにより得られる水性樹脂分散体(B)及び樹脂ビーズ(C)を含有し、該樹脂ビーズ(C)を塗料中の全樹脂固形分100質量部に対して1〜30質量部含有することを特徴とする水性塗料組成物。
【請求項2】
重合性不飽和単量体(b)がカルボニル基含有重合性不飽和単量体を含む請求項1記載の水性塗料組成物。
【請求項3】
水性樹脂分散体(B)における酸変性ポリオレフィン(a)と重合性不飽和単量体(b)の使用比が、固形分質量比で5/95〜95/5となる請求項1記載の水性塗料組成物。
【請求項4】
樹脂ビーズ(C)がポリエチレン樹脂ビーズである請求項1記載の水性塗料組成物。
【請求項5】
さらに酸変性ポリオレフィン(a)、エーテル系溶剤及び塩基性物質を含有する水性樹脂分散体(A’)を、水性樹脂分散体(B)との合計固形分量を基準にして(A’)が1〜50質量%及び(B)が50〜99質量%となる割合で含有する請求項1記載の水性塗料組成物。
【請求項6】
さらにヒドラジン誘導体を含有する請求項1記載の水性塗料組成物。
【請求項7】
さらにタルクを、塗料中の全樹脂固形分量100質量部に対して5〜100質量部含有する請求項1記載の水性塗料組成物。
【請求項8】
プラスチック成形品に、請求項1〜7のいずれか1項記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とするプラスチック成形品の塗装方法。
【請求項9】
請求項8記載の塗装方法により得られる塗装物品。

【公開番号】特開2009−149841(P2009−149841A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157865(P2008−157865)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】