Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
水性塗料組成物
説明

水性塗料組成物

【課題】光の拡散反射率が高く、低光沢の塗膜を形成し得る水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】顔料としての二酸化チタンおよび多孔質の炭酸カルシウムと、水性樹脂とを含む、水性塗料組成物。前記炭酸カルシウムのポロシティーが、0.5cm3/g〜2.5cm3/gであり、白色度が、90%〜99%である。また、前記二酸化チタンが、ルチル型であり、吸油量が、25g/100g〜40g/100gである、水性塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
国際的な環境意識の高まりから、二酸化炭素排出量削減および省エネルギー技術が注目されている。建築物屋内においては、照明に要する消費電力を抑制しても、十分な照度を確保することが望まれている。このような屋内環境を実現する手段として、屋内の壁面、天井等について、光の反射率を高めることが挙げられる。
【0003】
壁面、天井等に形成される塗膜の反射率を高め得る塗料として、例えば、漆喰成分にエマルション樹脂を特定量含有する塗料(特許文献1)が提案されている。しかし、このような塗料を用いても、十分な反射率は得られていない。
【0004】
また、塗膜の反射率を高める技術としては、例えば、発泡剤により生じる多数の気泡が分散した下塗り塗膜を形成させる技術(特許文献2)、二酸化チタンおよびシリカを含有し、気泡構造を有する塗膜を形成させる技術(特許文献3)、二酸化チタンおよびウイスカ状白色顔料を含む塗膜を形成させる技術(特許文献4)等が挙げられる。しかし、これらの技術により得られる塗膜の用途は液晶ディスプレイ等の反射板の反射体であり、光沢(艶)が高く、建築物の内装には適さないという問題がある。また、二酸化チタンを含有する塗膜に対して、光沢を下げるのために他の体質顔料を含有させると、反射率が低下してしまい、高反射率と低光沢とが両立した塗膜の形成は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003‐268261号公報
【特許文献2】特開2006‐264120号公報
【特許文献3】特開2009‐120715号公報
【特許文献4】特開2007‐190792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、拡散反射率が高く、かつ、低光沢の塗膜を形成し得る水性塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水性塗料組成物は、顔料としての二酸化チタンおよび多孔質の炭酸カルシウムと、水性樹脂とを含む。
好ましい実施形態においては、上記炭酸カルシウムのポロシティーが、0.5cm/g〜2.5cm/gである。
好ましい実施形態においては、上記炭酸カルシウムの白色度が、90%〜99%である。
好ましい実施形態においては、上記二酸化チタンが、ルチル型である。
好ましい実施形態においては、上記二酸化チタンの吸油量が、25g/100g〜40g/100gである。
好ましい実施形態においては、上記二酸化チタンおよび上記炭酸カルシウムの合計含有量が、顔料の全量に対して、80容積%〜100容積%である。
好ましい実施形態においては、上記二酸化チタンと炭酸カルシウムとの容積比が、二酸化チタン:炭酸カルシウム=80:20〜55:45である。
好ましい実施形態においては、本発明の水性塗料組成物は着色顔料をさらに含む。
好ましい実施形態においては、上記着色顔料の含有割合が、上記二酸化チタンの含有量に対して、0.5質量%以下である。
好ましい実施形態においては、上記水性塗料組成物は、顔料体積濃度が、40%〜70%である。
好ましい実施形態においては、上記水性塗料組成物は、波長550nmにおける拡散反射率が90%以上の塗膜を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、二酸化チタンおよび多孔質の炭酸カルシウムを含むことにより、拡散反射率が高く、かつ、低光沢な塗膜を形成し得る水性塗料組成物を提供することができる。本発明の水性塗料組成物により形成される塗膜は、低光沢であるため、建築物の内装に適する。同時に、当該塗膜は優れた拡散反射率を示すことが可能であることから、当該塗膜を建築物の内装面に形成すれば、屋内照度を高めるのと同等の効果が得られ、さらに、低電力の光源を用いた場合であっても十分な屋内照度を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.顔料
本発明の水性塗料組成物は、顔料として、二酸化チタンおよび多孔質の炭酸カルシウムを含む。
【0010】
本発明の水性塗料組成物は、二酸化チタンを含むことにより、拡散反射率が高い塗膜を形成し得る。本発明の水性塗料組成物により形成される塗膜は、比較的高い屈折率を有する二酸化チタンと後述の水性樹脂との屈折率差が大きいので、高い拡散反射率を示す。
【0011】
上記二酸化チタンは、好ましくは、塩素法で製造される。塩素法で製造された二酸化チタンを用いれば、より拡散反射率の高い塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。
【0012】
上記二酸化チタンの結晶形は、好ましくは、ルチル型である。ルチル型の二酸化チタンは、屈折率が高く、より拡散反射率の高い塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができるからである。
【0013】
上記二酸化チタンの吸油量は、好ましくは25g/100g〜40g/100gであり、さらに好ましくは30g/100g〜40g/100gであり、特に好ましくは35g/100g〜40g/100gである。このような吸油量の二酸化チタンは、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコン等で表面処理し、表面処理層を形成して、比表面積を大きくすることにより得ることができる。二酸化チタンの吸油量がこのような範囲であれば、高拡散反射率、かつ、低光沢な塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。
【0014】
より詳細には、二酸化チタンの吸油量が多ければ、水性塗料組成物の臨界顔料体積濃度(CPVC)が低くなり、多くの空気が取り込まれた塗膜を形成することができる。空気はビヒクルの平均屈折率を低下させる。このように空気を取り込んだ塗膜は、二酸化チタンの屈折率とビヒクルの平均屈折率との差が大きくなり、高い拡散反射率を示す。また、二酸化チタンの吸油量が多ければ、二酸化チタンが表面処理層に厚く被覆されているため、水性塗料組成物中の二酸化チタン濃度が高くても、二酸化チタン粒子の接近(凝集)を防ぐことができ、粒子間距離を理想距離に保ち得る。その結果、拡散反射率の高い塗膜を得ることができる。なお、吸油量が25g/100g未満の場合、表面処理層が薄く二酸化チタン粒子が凝集しやすくなり、拡散反射率向上効果が得られないおそれ、および塗膜の光沢が高くなるおそれがある。一方、吸油量が40g/100gより多い場合、すなわち、表面処理層が厚すぎる場合、一定体積中の二酸化チタン粒子数が少なくなるため、光散乱効率が低くなるおそれがある。また、表面処理された部分は強度が弱く破壊されやすいため、吸油量を40g/100gより多くしても、吸油量を多くした効果が得られ難くなるおそれがある。さらに、吸油量が40g/100gより多い場合、塗膜にクラック欠陥の生じるおそれがある。なお、本明細書において、上記吸油量はJIS K‐5101に準じる方法で測定を行い、得られる値である。このような二酸化チタンとしては、例えば、R931(デュポン社製)が挙げられる。
【0015】
本発明の水性塗料組成物は、特定の炭酸カルシウムを含むことにより、低光沢の塗膜を得ることができる。
【0016】
上記炭酸カルシウムは、多孔質である。具体的には、上記炭酸カルシウムのポロシティーは、好ましくは0.5cm/g〜2.5cm/gであり、さらに好ましくは1.0cm/g〜2.0cm/gである。このように多孔質の炭酸カルシウムを含む水性塗料組成物であれば、空気が取り込まれた塗膜を形成することができ、当該塗膜は、ビヒクルの平均屈折率が小さく、ビヒクルの平均屈折率と上記二酸化チタンの屈折率との差が大きくなり、高い拡散反射率を示す。また、本発明の水性塗料組成物は、炭酸カルシウムが多孔質であることにより、非常に光沢の低い塗膜を形成することができる。したがって、本発明の水性塗料組成物によれば、低光沢でありながらも拡散反射率が高い塗膜を形成するという優れた効果を得ることができる。炭酸カルシウムのポロシティーが、0.5cm/g未満の場合、得られる塗膜の拡散反射率が低下するおそれ、および塗膜の光沢が十分に低くならないおそれがある。また、2.5cm/gより大きい場合、得られる塗膜にクラック欠陥の生じるおそれ、および水性塗料組成物の貯蔵安定性が十分ではないおそれがある。上記ポロシティーは、例えば、Pascal240(Thermo Finnigan社製)を用いて水銀圧入法により測定することができる。
【0017】
上記のようなポロシティーを有する炭酸カルシウムは、ポロシティーが小さい炭酸カルシウムと比較して、多くの空隙を有し、かつ、比表面積が大きい。言い換えれば、当該炭酸カルシウムは、上記のように多孔質である上、それぞれの孔は微細である。このような構造の炭酸カルシウムであれば、より多くの空気を取り組むことができるので、拡散反射率を向上させることができる。
【0018】
上記炭酸カルシウムのBET比表面積は、好ましくは10m/g以上であり、さらに好ましくは15m/g以上であり、特に好ましくは20m/g〜50m/gである。上記炭酸カルシウムとしては、例えば、Omyabrite1300X−OM(OMYA社製)、ポアカルN(白石カルシウム社製)等が挙げられる。
【0019】
上記炭酸カルシウムの白色度は、好ましくは90%〜99%、さらに好ましくは95%〜99%である。このような範囲であれば、拡散反射率の高い塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。なお、白色度は、DIN(Deutshe Industrie Normen)53163(Ry、C/2°)に準じる方法で測定することができる。
【0020】
上記炭酸カルシウムの平均粒径は、好ましくは0.5μm〜20μmであり、さらに好ましくは1μm〜15μmであり、特に好ましくは2μm〜10μmである。このような範囲であれば、高拡散反射率、かつ、低光沢な塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。
【0021】
本発明の水性塗料組成物は、必要に応じて、任意の適切な着色顔料をさらに含み得る。着色顔料としては、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタン等の無機顔料;アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。着色顔料の含有割合は、上記二酸化チタンの含有量に対して、好ましくは0.5質量%以下である。
【0022】
本発明の水性塗料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに他の顔料を含み得る。その他の顔料としては、例えば、シリカ;硫酸バリウム;アルミナ;ウイスカ白色顔料;炭酸マグネシウム;ガラスビーズ、アクリルビーズなどの有機ビーズ等が挙げられる。
【0023】
上記二酸化チタンおよび炭酸カルシウムの合計含有割合は、顔料の全量に対して、好ましくは80容積%〜100容積%であり、さらに好ましくは85容積%〜100容積%であり、特に好ましくは90容積%〜100容積%である。このような範囲であれば、拡散反射率の高い塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。なお、本明細書において、上記二酸化チタンと炭酸カルシウムとの合計含有割合は、各顔料の比重および配合質量より求められる各顔料の容積から算出される。
【0024】
二酸化チタンと炭酸カルシウムとの容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は、好ましくは80:20〜55:45であり、さらに好ましくは75:25〜60:40である。このような範囲であれば、高拡散反射率と低光沢とのバランスおよび強度に優れる塗膜を形成し得、かつ、貯蔵安定性に優れる水性塗料組成物を得ることができる。二酸化チタンと炭酸カルシウムとの合計容積に対する炭酸カルシウムの容積比が20未満である場合、塗膜の光沢が高くなるおそれがあり、45より大きい場合、塗料の貯蔵安定性が十分でないおそれがある。
【0025】
B.水性樹脂
本発明の水性塗料組成物に用いる水性樹脂としては、例えば、水溶性樹脂、水分散性樹脂、エマルション樹脂等が挙げられる。なかでも好ましくは、エマルション樹脂である。上記エマルション樹脂としては、任意の適切な樹脂系のエマルション樹脂を採用し得る。エマルション樹脂の具体例としては、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、アクリル−スチレン系、アクリル系、エポキシ系、アルキド系、アクリル−アルキド系等のエマルション樹脂が挙げられる。なかでも好ましくはアクリル系エマルションである。
【0026】
上記アクリル系エマルションは、例えば、アクリル系モノマーを主成分とする不飽和モノマー組成物を、乳化剤の存在下に開始剤を用いて乳化重合させて得られる。アクリルエマルションを製造するための原料として用いられる好ましい不飽和モノマーとしては、任意の適切なモノマーを採用し得る。当該不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;ジビニルベンゼン;ジアリルフタレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド;N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド;ジアセトンアクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0027】
不飽和モノマーを乳化重合させる際に用いられる乳化剤、開始剤は、任意の適切な乳化剤、開始剤を使用することができる。乳化剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤が用いられ得る。
【0028】
上記エマルション樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−40℃〜0℃であり、さらに好ましくは−40℃〜−10℃である。このような範囲であれば、耐クラック性、耐久性等の塗膜物性に優れる塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。なお、エマルション樹脂のガラス転移温度(Tg)は、式1/Tg=W/T+W/T+・・・W/Tから算出される。式中、W、W・・・Wは各モノマーの配合質量%(=(各モノマーの配合量/配合モノマーの全質量)×100)であり、T、T・・・Tは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度である。
【0029】
C.水性塗料組成物
本発明の水性塗料組成物は、上記顔料および水性樹脂を含み、さらに任意の適切な溶媒および/またはその他の成分を含み得る。本発明の水性塗料組成物は水性であるので、環境負荷が少なく建築物の内装に好適に用いられ得る。
【0030】
上記水性樹脂としては水性エマルション樹脂が、また、溶媒としては水が、好ましく用いられ得る。
【0031】
本発明の水性塗料組成物における顔料容積濃度(PVC;固形分換算)は、好ましくは40%〜70%であり、さらに好ましくは45%〜65%であり、特に好ましくは50%〜60%である。顔料容積濃度が40%未満の場合、得られる塗膜の拡散反射率が十分でないおそれがある。また、顔料容積濃度が70%より大きい場合、得られる塗膜にクラック欠陥の生じるおそれ、および水性塗料組成物の貯蔵安定性が十分でないおそれがある。なお、上記顔料容積濃度は、水性塗料組成物中の顔料と全固形分との容積比を示す。したがって、上記顔料容積濃度は、各顔料の比重と配合質量により求めた全顔料の容積(P)と、後述のエマルション樹脂に含まれる樹脂の比重と配合質量により求めた樹脂の容積(R)から、式P/(P+R)×100より算出した値である。
【0032】
本発明の水性塗料組成物における上記エマルション樹脂の固形分含有量は、水性塗料組成物の全固形分に対して、好ましくは10質量%〜40質量%であり、さらに好ましくは15質量%〜30質量%である。
【0033】
上記溶媒としては、用途に応じて任意の適切な溶媒を採用し得る。好ましくは、上記のとおり、水である。
【0034】
上記その他の成分としては、例えば、硬化剤、顔料分散剤、界面活性剤、レベリング剤、増粘剤、中和剤、消泡剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤、凍結防止剤、蛍光体増白剤、シランカップリング剤等、通常、塗料組成物に使用する添加剤が挙げられる。このようなその他の成分の種類および使用量は、目的に応じて適切に選択され得る。なお、蛍光増白剤は、波長変換によって拡散反射率の低い可視光域の拡散反射率を上げ、可視光域全体にわたっての塗膜の拡散反射率を高め得る。
【0035】
本発明の水性塗料組成物を製造する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、上記顔料、水性樹脂、溶媒およびその他の成分を、SGミル、シェーカー、ディスパーなどを用いて混練、分散するなどの方法が用いられ得る。
【0036】
上記顔料は、あらかじめペーストとして調製した後、水性樹脂およびその他の成分と混合し、分散させることが好ましい。顔料を安定かつ十分に分散させることができるからである。
【0037】
本発明の水性塗料組成物は、任意の適切な被塗物に使用され得る。本発明の水性塗料組成物は、例えば、建築物の天井面や壁(内壁)面などの内装面の塗装、建築物の天井や壁の下地材や化粧材として用いられる建材(クロス、パネル、ボート)の塗装等に使用することができる。また、被塗物の素材としては、例えば、コンクリート、セメントモルタル、石膏ボート、石綿スレート、石綿セメント珪酸カルシウム板、CRCガラス繊維強化コンクリートパネル、石綿セメント中空押出成形板等のセメント系または石膏系素材;ベニア板、積層材、合板、木質繊維板等の木材;塩化ビニル樹脂や酢酸ビニル等のプラスチック系素材;金属系素材等が挙げられる。
【0038】
本発明の水性塗料組成物の塗装方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。代表的には、上記水性塗料組成物を被塗物に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。塗布方法は、被塗物(基材)の種類等に応じて、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、コテ等による塗布が挙げられる。なお、本発明の水性塗料組成物は、プライマーを介して、被塗物に塗布されてもよい。上記水性塗料組成物の塗布量は、用途に応じて、適切な塗布量に設定され得る。上記乾燥方法は、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、自然乾燥である。
【0039】
本発明の水性塗料組成物は、好ましくは波長550nmにおける拡散反射率が90%以上である塗膜を形成し、より好ましくは波長550nmにおける拡散反射率が95%以上である塗膜を形成する。このような塗膜を建築物の内装面に形成すれば、室内照度を高めること、あるいは、低電力で十分な室内照度を得ることができる。
【0040】
本発明の水性塗料組成物は、好ましくは、入射角85°における光沢度が15以下である塗膜を形成する。さらに好ましくは、入射角85°における光沢度が10以下である塗膜を形成する。このような塗膜、すなわち低光沢の塗膜であれば、建築物の内装面に形成しても人に不快感を与えることがない。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。
【0042】
[実施例1]
(1)二酸化チタン(デュポン社製 R931;吸油量36g/100g、比重3.6g/cm)270gと分散樹脂(BYK社製 BYK190、固形分(NV)=40.0質量%、固形分比重1.2g/cm)20g、水道水250g 炭酸カルシウム(OMYA社製 Omyabrite1300X−OM;白色度95%、ポロシティー1.8cm/g、比重2.7g/cm)135gを混合後、分散機(太平システム社製、卓上式SGミル1500w型)にガラスビーズ300g入れて分散させて、白顔料分散ペーストを得た。
【0043】
(2)得られた白顔料分散ペースト675gにアクリルエマルション樹脂(昭和高分子社製 ポリゾール1500;Tg=−35℃、固形分(NV)=52.5質量%、固形分比重1.2g/cm)320gと増粘剤(ローム・アンド・ハース社製 RM−2020NPR)20gとを混練し、その後、水道水20g加えることにより水性塗料組成物を得た。
得られた水性塗料組成物は、PVC45%、全顔料中の二酸化チタン含有量60容積%、炭酸カルシウム含有量40容積%(すなわち、容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は60:40)であった。
【0044】
[実施例2]
白顔料分散ペースト調製時における二酸化チタンの配合量を320g、炭酸カルシウムの配合量を103g、水道水の量を230gに変更し、その結果、白顔料分散ペーストの量が673gとなり、該白顔料分散ペースト673gに加えるアクリルエマルション樹脂の量を246g、水道水の量を60gに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で水性塗料組成物を調製した。
得られた水性塗料組成物は、PVC52%、全顔料中の二酸化チタン含有量70容積%、炭酸カルシウム含有量30容積%(すなわち、容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は70:30)であった。
【0045】
[実施例3]
白顔料分散ペースト調製時における二酸化チタンの配合量を320g、炭酸カルシウムの配合量を80g、水道水の量を200gに変更し、その結果、白顔料分散ペーストの量が620gとなり、該白顔料分散ペースト620gに加えるアクリルエマルション樹脂の量を165g、水道水の量を80gに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で水性塗料組成物を調製した。
得られた水性塗料組成物は、PVC60%、全顔料中の二酸化チタン含有量75容積%、炭酸カルシウム含有量25容積%(すなわち、容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は75:25)であった。
【0046】
[実施例4]
白顔料分散ペースト調製時における二酸化チタンの配合量を345g、炭酸カルシウムの配合量を85g、水道水の量を240gに変更し、また、該調製時にタルク(松屋産業株式会社製 クラウンタルクPP、比重2.7g/cm)38gをさらに配合し、その結果、白顔料分散ペーストの量が728gとなり、該白顔料分散ペースト728gに加えるアクリルエマルション樹脂の量を198g、水道水の量を85gに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で水性塗料組成物を調製した。
得られた水性塗料組成物は、PVC60%、全顔料中の二酸化チタン含有量67.5容積%、炭酸カルシウム含有量22.5容積%(すなわち、容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は75:25)であった。
【0047】
[実施例5]
炭酸カルシウム(OMYA社製 Omyabrite1300X−OM;白色度95%、ポロシティー1.8cm/g、比重2.7g/cm)に代えて、炭酸カルシウム(白石カルシウム社製 ポアカルN;白色度95%、ポロシティー1.1cm/g、比重2.7g/cm)を用いた以外は、実施例2と同様の方法で水性塗料組成物を調製した。
得られた水性塗料組成物は、PVC52%、全顔料中の二酸化チタン含有量70容積%、炭酸カルシウム含有量30容積%(すなわち、容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は70:30)であった。
【0048】
[実施例6]
アクリルエマルション樹脂(昭和高分子社製 ポリゾール1500;Tg=−35℃、NV=52.5%、固形分比重1.2g/cm)246gに代えて、アクリルエマルション樹脂(サイデン化学社製 NP371;Tg=−10℃、NV=50質量%、固形分比重1.2g/cm)258gを用い、水性塗料組成物調製における水道水の量を48gに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で水性塗料組成物を調製した。
得られた水性塗料組成物は、PVC52%、全顔料中の二酸化チタン含有量70容積%、炭酸カルシウム含有量30容積%(すなわち、容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は70:30)であった。
【0049】
[実施例7]
着色顔料ペースト(日本ペイント社製、商品名「カラーマックスWエコ シャニングリーン」、ペースト中の着色顔料濃度:20質量%、着色顔料の比重2.0g/cm)0.16gをさらに加えた以外は、実施例2と同様の方法で水性塗料組成物を調整した。
得られた水性塗料組成物は、PVC52%、全顔料中の二酸化チタン含有量70容積%、炭酸カルシウム含有量30容積%(すなわち、容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は70:30)であった。
【0050】
[実施例8]
着色顔料ペースト(日本ペイント社製、商品名「カラーマックスWエコ パーマネントエロー」、ペースト中の着色顔料濃度:25質量%、着色顔料の比重1.6g/cm)3.0gをさらに加えた以外は、実施例2と同様の方法で水性塗料組成物を調整した。
得られた水性塗料組成物は、PVC52%、全顔料中の二酸化チタン含有量70容積%、炭酸カルシウム含有量30容積%(すなわち、容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は70:30)であった。
【0051】
[実施例9]
着色顔料ペースト(日本ペイント社製、商品名「カラーマックスWエコ オーカー」、ペースト中の着色顔料濃度:40質量%、着色顔料の比重4.0g/cm)4.0gをさらに加えた以外は、実施例2と同様の方法で水性塗料組成物を調整した。
得られた水性塗料組成物は、PVC52%、全顔料中の二酸化チタン含有量70容積%、炭酸カルシウム含有量30容積%(すなわち、容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は70:30)であった。
【0052】
[比較例1]
炭酸カルシウム(OMYA社製 Omyabrite1300X−OM;白色度95%、ポロシティー1.8cm/g、比重2.7g/cm)135gに代えて、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製 N重炭;白色度93%、ポロシティー0.1cm/g、比重2.7g/cm)103gを用い、白顔料分散ペースト調製時における二酸化チタンの配合量を320g、水道水の量を200gに変更し(白顔料分散ペースト643g)、白顔料分散ペーストに加えるアクリルエマルション樹脂の量を246g、水道水の量を90gに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で水性塗料組成物を調製した。
得られた水性塗料組成物は、PVC52%、全顔料中の二酸化チタン含有量70容積%、炭酸カルシウム含有量30容積%(すなわち、容積比(二酸化チタン:炭酸カルシウム)は70:30)であった。
【0053】
[塗膜の評価]
水性透明シーラー(日本ペイント社製エマルション塗料)を塗布量45g/m×1回でウールローラーにて塗布し1日間室温にて放置乾燥させて得た、100mm×150mmのスレート板を得た。得られたスレート板に対して、上記実施例および比較例で得られた水性塗料組成物を塗布量120g/m×2回でウールローラーにて塗布し、1日間室温にて放置乾燥させ塗膜を形成させた。得られた塗膜を以下の評価に供した。結果を表1に示す。なお、表1中、酸化チタンと炭酸カルシウムとの容積比率は、酸化チタンおよび炭酸カルシウムの比重と配合量により求めたそれぞれの容積から算出した。また、PVCは、各顔料の比重と配合量により求めた全顔料の容積(P)と、各樹脂の比重と配合量により求めた樹脂の容積(R)から、式PVC=P/(P+R)×100より算出した。
(1)拡散反射率
分光測色計(KONICA MINOLTA社製 CM-3600d)を用い、硫酸バリウムを標準とした550nmにおける拡散反射率を測定した。
(2)光沢
光沢計(KONICA MINOLTA社製 Multi Gloss268)を用い、85°入射角における光沢値を測定した。
(3)塗膜状態
塗膜外観を目視観察して、以下に示す基準で評価した。
塗膜欠陥がない塗膜・・・A
小さいひび割れ(クラック)などの塗膜欠陥がある塗膜・・・B
大きいひび割れがある塗膜・・・C
【0054】
[水性塗料組成物貯蔵安定性の評価]
また、上記実施例および比較例において得られた水性塗料組成物を50℃恒温室で30日貯蔵した後、室温に戻した。当該貯蔵前および貯蔵後の塗料の粘度をストーマー粘度計で測定して、水性塗料組成物の貯蔵安定性評価した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
表1に示す結果より明らかなように、本発明の水性塗料組成物は、高拡散反射率、かつ、低光沢な塗膜を形成することができる。また、貯蔵試験後の粘度増加も10KU以下であり、良好であった。
【0057】
このような塗膜を建築物内装に用いると、拡散反射率が高いため少ない電力で十分な室内照度が得られ、かつ、低光沢であるため快適な室内環境を実現することができた。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の水性塗料組成物は、建築物内装の塗装等に好適に利用され得る。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料としての二酸化チタンおよび多孔質の炭酸カルシウムと、
水性樹脂とを含む、
水性塗料組成物。
【請求項2】
前記炭酸カルシウムのポロシティーが、0.5cm/g〜2.5cm/gである、請求項1に記載の水性塗料組成物。
【請求項3】
前記炭酸カルシウムの白色度が、90%〜99%である、請求項1または2に記載の水性塗料組成物。
【請求項4】
前記二酸化チタンが、ルチル型である、請求項1から3のいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項5】
前記二酸化チタンの吸油量が、25g/100g〜40g/100gである、請求項1から4のいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項6】
前記二酸化チタンおよび前記炭酸カルシウムの合計含有量が、顔料の全量に対して、80容積%〜100容積%である、請求項1から5のいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項7】
前記二酸化チタンと炭酸カルシウムとの容積比が、二酸化チタン:炭酸カルシウム=80:20〜55:45である、請求項1から6のいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項8】
着色顔料をさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項9】
前記着色顔料の含有割合が、前記二酸化チタンの含有量に対して、0.5質量%以下である、請求項8に記載の水性塗料組成物。
【請求項10】
顔料体積濃度が、40%〜70%である、請求項1から9のいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項11】
波長550nmにおける拡散反射率が90%以上の塗膜を形成する、請求項1から10のいずれかに記載の水性塗料組成物。

【公開番号】特開2012−92289(P2012−92289A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84636(P2011−84636)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】