説明

水性多彩模様塗料

【課題】
塗装作業性に優れた水性多彩模様塗料を提供する。
【解決手段】
少なくとも2色の着色塗料粒子(A)並びに塗膜形成成分(B)を含んでなる水性多彩模様塗料であって、塗膜形成成分(B)が、平均粒子径が、30〜100nmの水分散性樹脂(b1)を含むことを特徴とする水性多彩模様塗料、着色塗料粒子(A)が、水性樹脂(a1)及び着色剤(a2)を含んでなる水性塗料組成物を多糖類金属塩ゲル(c)中に内包してなるものであることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装作業性に優れた水性多彩模様塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
分散媒体中に粒状ゲルを安定に分散させた塗料として例えば多彩模様塗料が良く知られている。多彩模様塗料とは1回の塗装で、2色以上の多彩な模様が得られる塗料であり、主として建築物等の塗装に使用されている。
【0003】
多彩模様塗料として特許文献1には、アクリル系モノマーを少なくとも20重量%以上含有するモノマー混合物を共重合してなる、重量平均分子量20,000〜200,000で酸価2以下の共重合体、着色剤及び有機溶剤を主成分とする組成物を混合分散してエナメルとし、これを水系分散媒に分散してなるエナメル分散粒子を1種以上含有する多彩模様塗料組成物が開示されている。この多彩模様塗料組成物は、エナメル分散粒子の安定性が良好で、それから形成される多彩模様塗膜は、多彩な意匠感を有し、耐候性や耐水性に優れているが、環境保全の観点から、該多彩模様塗料中に含まれる有機溶剤量をさらに少なくすることが求められている。
【0004】
有機溶剤の含有量の少ない多彩模様塗料組成物として、例えば特許文献2には、反応性官能基を有する水性樹脂、着色顔料、水、及び水存在下で反応可能な反応性化合物に由来するゲル化物である着色ゲル粒子を、水性樹脂及び特定の屈折率をもつ体質顔料を含有する透明艶消し塗料中に分散してなる水中水型多彩模様塗料組成物が開示されている。この塗料組成物を用いれば、平滑性及び鮮映性に優れた多彩模様塗膜を形成せしめることができるが、塗装直後のウェット状態においては、模様の可視化が困難な場合があり、乾燥するのを待たないと模様ムラなどの発見ができないため、仕上りを良好なものとさせるためには作業時間が長くかかるという不具合点がある。
【0005】
【特許文献1】特開平09−100426号公報
【特許文献2】特開2005−15645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ウェット状態でも模様ムラを容易に発見することが可能な塗装作業性に優れた水性多彩模様塗料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記した課題に対して鋭意検討した結果、水性多彩模様塗料中の塗膜形成成分に特定範囲内の平均粒子径を有する水分散性樹脂を含ませることで、上記した課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、
1. 少なくとも2色の着色塗料粒子(A)並びに塗膜形成成分(B)を含んでなる水性多彩模様塗料であって、塗膜形成成分(B)が、平均粒子径が、30〜100nmの水分散性樹脂(b1)を含むことを特徴とする水性多彩模様塗料、
2. 着色塗料粒子(A)が、水性樹脂(a1)及び着色剤(a2)を含んでなる水性塗料組成物を多糖類金属塩ゲル(c)中に内包してなる1項に記載の水性多彩模様塗料、
3. 着色塗料粒子(A)が、水性樹脂(a1)、着色剤(a2)及び水溶性多糖類を含む水性塗料組成物を、金属イオンを含有する水性媒体と接触させることにより得られるものである1項または2項に記載の水性多彩模様塗料、
4. 水性樹脂(a1)及び着色剤(a2)を含む反応性官能基(x)を有する水性塗料組成物を含有してなる着色塗料粒子(A)並びに反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を有する塗膜形成成分(B)を含んでなる1項ないし3項のいずれか1項に記載の水性多彩模様塗料、
5. 着色塗料粒子(A)に含まれる水性樹脂(a1)が、反応性官能基(x)を有する4項に記載の水性多彩模様塗料、
6. 着色塗料粒子(A)に含まれる水性塗料組成物が、架橋剤(a3)を含有する4項又は5項に記載の水性多彩模様塗料、
7. 塗膜形成成分(B)が、さらに架橋剤(b2)を含有する4項ないし6項に記載の水性多彩模様塗料、
8. 着色塗料粒子(A)に含まれる水性樹脂(a1)及び塗膜形成成分(B)に含まれる水分散性樹脂(b1)が共に反応性官能基(x)を有し、塗膜形成成分(B)が、該反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を有する架橋剤(b2)を含有する7項に記載の水性多彩模様塗料、
9. 基材表面上に、下塗り塗膜を介して又は介さずに1項ないし8項のいずれか1項に記載の水性多彩模様塗料を塗装することを特徴とする塗装方法、
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性多彩模様塗料によれば、多彩模様塗膜がウェット状態でも模様ムラなどを容易に発見でき、塗膜が乾燥するのを待たなくても模様の状態を確認することができることから、作業時間を短くすることが可能であり、塗装作業性を格段に向上することができる。さらに、ウェット状態の意匠と乾燥後の意匠が近似している利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の水性多彩模様塗料は、少なくとも2色の着色塗料粒子(A)並びに塗膜形成成分(B)を含む水性多彩模様塗料であって、塗膜形成成分(B)が、平均粒子径が、30〜100nmの水分散性樹脂(b1)を含んでなることを特徴とする。
【0010】
着色塗料粒子(A)
上記着色塗料粒子(A)としては、材料、製造方法など特に制限されるものではなく従来公知のものを使用できるが、例えば、水性樹脂(a1)並びに着色剤(a2)を含んでなる水性塗料組成物を多糖類金属塩ゲル中に内包してなるものであると、好適である。
【0011】
上記水性塗料組成物に含まれる水性樹脂(a1)は、着色塗料粒子(A)の耐久性に貢献するものであり、水に溶解又は分散可能な樹脂が使用される。その樹脂種には特に限定はなく、具体的には、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、これらの樹脂は、例えばウレタン変性アクリル樹脂のように変性されていてもよく、或いはグラフト重合されたものであってもよい。
【0012】
上記水性樹脂(a1)は、分散粒子の形態である場合には、単層状又はコア・シェル型等の多層状であることができる。また、水性樹脂(a1)は、着色塗料粒子の製造安定性等の観点から、親水性基としてアニオン性基、例えばカルボキシル基を有する樹脂であることができ、この場合、該樹脂は中和されていてもよく、その際に使用し得る中和剤としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール等のアミン類及びアンモニア等を例示することができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0013】
水性樹脂(a1)は、着色塗料粒子(A)の耐久性、耐候性等の観点から、アクリル系樹脂であること好ましい。
【0014】
かかるアクリル系樹脂としては、重合性不飽和モノマーを共重合する樹脂が挙げられ、かかる重合性不飽和モノマーとしては例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐状アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのようなN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物;アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖含有(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクロレイン、ホルミルスチロール、炭素数4〜7のビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなど)、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基含有重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアナート基含有重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー;エポキシ基含有重合性不飽和モノマー又は水酸基含有重合性不飽和モノマーと不飽和脂肪酸との反応生成物、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の酸化硬化性基含有重合性不飽和モノマーなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0015】
上記モノマーの重合方法は、特に制限されるものではなく、例えば、一般的な乳化重合法に従い、乳化剤の存在下に、上記モノマーを(共)重合することによりアクリル系樹脂を容易に製造することができる。
【0016】
上記アクリル系樹脂の製造において使用される乳化剤としては、それ自体既知の乳化剤を使用することができ、適用可能な乳化剤としては、例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両イオン性乳化剤を挙げることができる。
【0017】
アニオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ジアンモニウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸カルシウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;脂肪酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪族カルボン酸塩;ポリオキシアルキレン単位含有硫酸エステル塩(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩など);ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩等;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、モノアルキルサクシネートスルホン酸ジナトリウム等のアルキルサクシネートスルホン酸塩などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0018】
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン単位含有エーテル化合物(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル化合物;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル化合物など);ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレンアルキルエステル化合物;ポリオキシエチレンアルキルアミン等のポリオキシアルキレンアルキルアミン化合物;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のソルビタン化合物などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0019】
両イオン性乳化剤としては、例えば、ジメチルアルキルベタイン類、ジメチルアルキルラウリルベタイン類、アルキルグリシン類などを挙げることができる。
【0020】
上記乳化剤として、また、重合性不飽和基とアニオン性基又はノニオン性基の両者を分子中に含有する反応性乳化剤などを使用することもできる。
【0021】
上記乳化剤の使用量は、重合性不飽和モノマーの合計質量を基準にして通常0.5〜6質量%、好ましくは1〜4質量%の範囲内であることができる。
【0022】
上記着色塗料粒子(A)に含まれ得る着色剤(a2)としては、顔料及び染料を使用することができる。着色顔料としては、例えば、ニ酸化チタン等の白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどの黒色顔料;黄色酸化鉄、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料;パーマネントオレンジ等の橙色顔料;赤色酸化鉄、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッド等の赤色顔料;コバルト紫、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルーなどの青色顔料;フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などを挙げることができ、光輝性顔料としては、アルミニウム粉、ブロンズ粉、銅粉、錫粉、リン化鉄、亜鉛粉等のメタリック顔料;金属酸化物コーティング雲母粉、マイカ状酸化鉄等の真珠光沢調顔料などを挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。上記白色顔料としての二酸化チタンには、平均粒子径が10〜80nmのマイクロチタンや光触媒活性を有するアナターゼ型二酸化チタン等の機能性二酸化チタンも包含される。
【0023】
他方、染料としては、例えば、モノアゾ染料、ポリアゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、スチルベンアゾ染料、チアゾールアゾ染料等のアゾ染料;アントラキノン誘導体、アントロン誘導体等のアントラキノ染料;インジゴ誘導体、チオインジゴ誘導体等のインジゴイド染料;フタロシアニン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料等のカルボニウム染料;アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料等のキノンイミン染料;ポリメチン(またはシアニン)染料、アジメチン染料等のメチン染料;キノリン染料;ニトロ染料;ニトロン染料;ベンゾキノン及びナフチキノン染料;ナフタルイミド染料;ペリノン染料等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これら着色剤は、目的とする色彩に応じて単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0024】
また、上記着色塗料粒子(A)においては、着色剤(a2)と共に体質顔料を使用することもできる。その具体例としては、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、珪砂、石英粉等が挙げられ、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0025】
上記着色剤(a2)の配合量は、着色塗料粒子(A)による着色性、比重、耐久性、耐水性などの観点から、水性樹脂(a1)の質量を基準にして、通常0.01〜500質量%、好ましくは0.05〜400質量%の範囲内であることが好適である。
【0026】
上記着色塗料粒子(A)は、例えば、水性樹脂(a1)、着色剤(a2)及び水溶性多糖類を含む水性塗料組成物を、水溶性多糖類と水不溶性もしくは難溶性の塩を形成し得る一価又は多価の金属イオンを含有する水性媒体と接触させることにより得ることができ、それによって、該水性塗料組成物を多糖類金属塩ゲル中に内包してなる着色塗料粒子を形成せしめることができる。
【0027】
上記水溶性多糖類は、水性媒体中で、一価又は多価の金属イオンと接触したときに水不溶性もしくは難溶性のゲルに変化する能力のある多糖類であり、一般に約3,000〜約2,000,000の範囲内の数平均分子量を有し且つ約10g/L(25℃)以上の水溶解度を示すものが好適であり、具体的には、例えば、アルギン酸またはそのアルカリ金属塩、ジェランガム、カラギーナン等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0028】
水溶性多糖類は、着色塗料粒子(A)の水中での安定性、着色塗料粒子(A)を作製する際の取扱性、着色塗料粒子(A)を含む塗料から形成される塗膜の透水量を少なくさせる点から、水性樹脂(a1)及び水溶性多糖類の合計質量を基準として、通常0.1〜7質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲内で使用することが好ましい。
【0029】
上記水性塗料組成物は、さらに、必要に応じて、バルーン粒子等の比重調整材、消泡剤、硬化触媒、顔料分散剤、芳香剤、脱臭剤、抗菌剤、中和剤、界面活性剤、水性撥水剤、分散剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、造膜助剤、亜鉛ウィスカ、ホルムアルデヒド吸着剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の難燃化剤などを含有することができる。
【0030】
本発明において、着色塗料粒子(A)を製造するための水性塗料組成物は、例えば、水性樹脂(a1)と着色剤(a2)のペーストと水溶性多糖類の水溶液を、適宜、上記したその他の成分と共に混合することにより調製することができる。
【0031】
水性塗料組成物を粒状ゲル化せしめる際に用いられる金属イオンの供給源となる金属化合物としては、25℃の水100gに0.005mg以上、特に0.08mg以上溶解するものであることが望ましく、例えば、カリウム、ナトリウム等の一価金属や、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム等の多価金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、塩化物、硫化物等を挙げることができ、多彩模様塗膜の耐水性などの点から、水酸化物、酸化物、炭酸塩であることが望ましく、カルシウム塩であるとさらに望ましい。
【0032】
本発明において、金属化合物として、水酸化カルシウムを使用すると多彩模様塗膜の耐水性が良好となり特に好適である。
【0033】
上記金属化合物を水性媒体中にその少なくとも一部を溶解させることにより一価又は多価の金属イオンを含有する水性媒体を調製することができる。その際、金属化合物は水性媒体中に全部溶解している必要はなく、一部溶解した状態であってもよい。金属化合物を含有する水性媒体における金属化合物の含有量は、通常0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲内であることが望ましい。
【0034】
上記水性塗料組成物は、上記金属化合物由来の金属イオンを含有する水性媒体と接触させることにより着色塗料粒子(A)を形成せしめることができるものであり、この接触は、例えば、注射器の先端から水性塗料組成物を水性媒体中に滴下する方法;水性塗料組成物を遠心力を利用して飛散させ、水性媒体中に滴下する方法;スプレーノズルの先端から水性塗料組成物を霧化させ、水性媒体中に滴下する方法;水性塗料組成物を水性媒体中に加え、分散機で攪拌混合する方法などの方法により行なうことができる。
【0035】
上記の如くして形成される着色塗料粒子(A)の大きさ(長径)は、特に限定されるものではなく、水性多彩模様塗料に求められる意匠性に応じて適宜変えることができ、例えば、水性塗料組成物の組成、水性媒体中の金属イオンの濃度、水性塗料組成物の水性媒体への滴下の仕方等により調整することができる。
【0036】
得られる着色塗料粒子(A)は、例えば、適当な大きさの網目をもつ金網などを用いて金属イオンを含有する水性媒体から濾別することができる。
【0037】
塗膜形成成分(B)
本発明において水性多彩模様塗料は、多彩模様塗膜の耐水性等の塗膜物性を確保し、且つ塗装作業性を向上させるために着色塗料粒子(A)に加えて塗膜形成成分(B)を含有する。塗膜形成成分(B)は、それ自体成膜性を有するものであり、非架橋型及び架橋型のいずれであってもよい。
【0038】
本発明において、塗膜形成成分(B)は、水性多彩模様塗料を塗装する段階において塗膜がウェット状態でも模様ムラなどを発見しやすくし、塗装作業性を向上させ作業時間を短くすることができることなどから、平均粒子径が30〜100nm、特に50〜95nmの範囲内の水分散性樹脂(b1)を含む。
【0039】
本発明において上記水分散性樹脂(b1)としては、上記平均粒子径の範囲内のものであれば、水性塗料分野において樹脂バインダーとして一般に使用されるものを特に制限なく使用することができ、例えば、着色塗料粒子(A)における水性樹脂(a1)として前述したものの中から適宜選んで使用することができる。
【0040】
上記水分散性樹脂(b1)において、平均粒子径が30nm未満では、粒子の安定性が劣り、貯蔵安定性が悪く、一方100nmを超えるとウェット状態における多彩模様塗膜の模様ムラが発見しにくくなり、良好な仕上がりを得るためには塗膜の乾燥を待たなくてはならず、好ましくない。
【0041】
本明細書において、水分散性樹脂(b1)の平均粒子径は、ベックマン・コールター社製のサブミクロン粒子アナライザーを用いて光散乱法により測定したものとする。
【0042】
本発明において、着色塗料粒子(A)内部に含まれる水性塗料組成物と塗膜形成成分(B)が、それぞれ、互いに反応し得る官能基(x)及び(y)を含有することが多彩模様塗膜の耐水性を向上させることができるので好適であり、着色塗料粒子(A)が、水性樹脂(a1)及び着色剤(a2)を含んでなる反応性官能基(x)を含有する水性塗料組成物を含有してなり、且つ塗膜形成成分(B)が、反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を有するものであることが望ましい。
【0043】
上記着色塗料粒子(A)内部に含まれる水性塗料組成物中に含まれる反応性官能基(x)と塗膜形成成分(B)中に含まれる反応性官能基(y)の組み合わせとしては、塗膜の乾燥条件下に相互に反応し得る組み合わせであれば特に制限されるものではなく、具体的には、例えば、水酸基とイソシアネート基、水酸基とアルキルエーテル基、水酸基とイミノ基、カルボキシル基とエポキシ基、アミノ基とエポキシ基、アミド基とエポキシ基、カルボニル基とヒドラジン基、カルボニル基とヒドラジド基、カルボニル基とセミカルバジド基、及びカルボニル基とビスアセチルジヒドラゾン基等の組み合わせが挙げられ、特に、カルボニル基とヒドラジド基の組み合わせであると、常温一液架橋することができ、好適である。
【0044】
本発明において着色塗料粒子(A)と塗膜形成成分(B)が互いに反応する反応性官能基を含有する場合において、着色塗料粒子(A)に含まれる水性樹脂(a1)は、塗膜形成成分(B)中に含まれる反応性官能基(y)と反応する反応性官能基(x)を含有することができる。
【0045】
水性樹脂(a1)に含有せしめ得る反応性官能基(x)としては、例えば、カルボニル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等を挙げることができ、特に、カルボニル基が好適である。水性樹脂(a1)におけるこれら反応性官能基(x)の含有量は、通常0.05〜2ミリモル/g樹脂、好ましくは0.1〜1ミリモル/g樹脂、さらに好ましくは0.1〜0.5ミリモル/g樹脂の範囲内であることができる。
【0046】
水性樹脂(a1)への反応性官能基(x)の導入は、例えば、反応性官能基(x)を含有する重合性不飽和モノマーを適宜その他の重合性不飽和モノマーとともに(共)重合することにより、或いは基体となる樹脂に反応性官能基(x)を含有する化合物を反応せしめることにより行うことができる。
【0047】
また、着色塗料粒子(A)内部に含まれる水性塗料組成物は、塗膜形成成分(B)と反応し、着色塗料粒子(A)と塗膜形成成分(B)が界面を介して架橋塗膜を形成できるように反応性官能基(y)と反応し得る架橋剤(a3)を含有することができる。
【0048】
上記着色塗料粒子(A)に含まれる架橋剤(a3)としては、貯蔵安定性が良好である、本発明の水性多彩模様塗料を1液化することができるなどの観点から、ヒドラジン誘導体、メラミン樹脂などが好適であり、特にヒドラジン誘導体がよい。
【0049】
かかるヒドラジン誘導体としては、例えば、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどの炭素数2〜18の飽和脂肪族カルボン酸のジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸のジヒドラジド;フタル酸、テレフタル酸又はイソフタル酸のジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジド又はテトラヒドラジド;ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド;エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジン又はヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させてなるポリヒドラジド等;炭酸ジヒドラジド、ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート及びそれから誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換ヒドラジンや上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド;該ポリイソシアネート化合物とポリエーテルポリオール類やポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物;ビスアセチルジヒドラゾンなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0050】
着色塗料粒子(A)内部に含まれる水性塗料組成物が架橋剤(a3)を含む場合、その使用量は、反応相手である反応性官能基(y)1モルに対して、架橋剤中の反応性官能基の量が通常0.05〜2モル、好ましくは0.1〜1モルの範囲内となるように調整されることが望ましい。
【0051】
一方、塗膜形成成分(B)は、該着色塗料粒子(A)中に含まれる反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を含有することが望ましい。
【0052】
塗膜形成成分(B)は、水分散性樹脂(b1)及び必要に応じて架橋剤(b2)を含んでなることができ、水分散性樹脂(b1)として、例えば、反応性官能基(x)と反応しうる反応性官能基(y)を含有するものであることができる。
【0053】
上記反応性官能基(y)を含有する水分酸性樹脂は、反応性官能基(y)を通常0.05〜0.5ミリモル/g樹脂、好ましくは0.1〜0.4ミリモル/g樹脂の範囲内で含有することができる。該水分散性樹脂(b1)における反応性官能基(y)としては、例えば、カルボニル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等を挙げることができる。かかる反応性官能基(y)含有水分散性樹脂(b1)としては、例えば、着色塗料粒子(A)における反応性官能基(x)を含有する水性樹脂(a1)について前述したものの中から適宜選択して使用することができる。
【0054】
上記塗膜形成成分(B)は、適宜、反応性官能基(y)を有していてもよい水分散性樹脂(b1)に加えて架橋剤(b2)を含有することができ、特に、水分散性樹脂(b1)が反応性官能基(y)を有しない場合には、架橋剤(b2)を併用することが望ましい。
【0055】
架橋剤(b2)としては、着色塗料粒子中に含まれる反応性官能基(x)と反応可能な官能基(y)を有する化合物であって、具体的には、例えば、ヒドラジン誘導体、メラミン樹脂、ポリイソシアネート架橋剤等を挙げることができ、特にヒドラジン誘導体がよい。
【0056】
架橋剤(b2)として使用しうるヒドラジン誘導体としては、着色塗料粒子(A)における架橋剤(a3)として前述したものの中から適宜選択して使用することができる。
【0057】
塗膜形成成分(B)中における架橋剤(b2)の含有量は、反応相手の反応性官能基(x)1モルに対して、架橋剤中の反応性官能基(y)の量が通常0.05〜2モル、好ましくは0.1〜1モルの範囲内となるように調整されることが望ましい。
【0058】
本発明において、上記水分散性樹脂(b1)は、反応性官能基(x)を有するものであることもできる。
【0059】
水分散性樹脂(b1)が、反応性官能基(x)を有する場合、その含有量としては、通常0.05〜0.5ミリモル/g樹脂、好ましくは0.1〜0.4ミリモル/g樹脂の範囲内であることができる。該水分散性樹脂(b1)における反応性官能基(x)としては、例えば、カルボニル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等を挙げることができる。
【0060】
本発明において、得られる多彩模様塗膜の耐水性、耐候性の点から、着色塗料粒子(A)に含まれる水性樹脂(a1)及び塗膜形成成分(B)に含まれる水分散性樹脂(b1)が共に反応性官能基(x)を有する場合、塗膜形成成分(B)が、該反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を有する架橋剤(b2)を含有することが望ましい。
【0061】
本発明において塗膜形成成分(B)は、着色塗膜を形成するものであっても或いはクリヤー塗膜を形成するものであってもよく、着色塗膜を形成する場合には必要に応じて着色剤を含むことができる。
【0062】
塗膜形成成分(B)に含ませることができる着色剤としては、着色塗料粒子における着色剤として前記で例示したものの中から適宜選択して使用することができる。また、多彩模様塗膜の乾燥性向上、適度な艶、触感向上などの観点から、該塗膜形成成分(B)に前述の如き体質顔料を配合することが望ましい。
【0063】
塗膜形成成分(B)に着色剤及び/又は体質顔料を配合する場合、その合計配合量は、塗膜形成成分(B)中に含まれる樹脂固形分に対して、通常5〜300質量%、好ましくは10〜200質量%、さらに好ましくは15〜150質量%の範囲内であることができる。
【0064】
上記着色塗料粒子(A)と塗膜形成成分(B)の配合割合は、得られる多彩模様塗膜の意匠性、耐水性、低汚染性の点から、着色塗料粒子(A)/塗膜形成成分(B)の固形分質量比で、1/99〜60/40であり、好ましくは10/90〜50/50、さらに好ましくは20/80〜45/55の範囲内にすることができる。
【0065】
本発明において、水性多彩模様塗料から形成される多彩模様塗膜の耐水性を向上させるとともに、後述の粘性調整剤と共に水性多彩模様塗料の粘弾性を調整させ、塗装作業性を向上させる点から、水性多彩模様塗料はシリカ微粒子を含有することが望ましい。
【0066】
該シリカ微粒子は、結晶性であってもアモルファスであってもよく、その種類、製造方法に制限はなく従来公知のものを使用することができる。
【0067】
上記シリカ微粒子の平均粒子径の一例としては、例えば0.1〜30μm、好ましくは0.1〜15μmを挙げることができる。該0.1〜30μmの平均粒子径を有するシリカ微粒子は、一次粒子の凝集体を包含したものである。
【0068】
本明細書において、シリカ微粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定される体積基準粒度分布のメジアン径(d50)である。
【0069】
本発明において、水性多彩模様塗料の塗装作業性および形成塗膜の耐水性の点から、上記シリカ微粒子の比表面積としては、30〜400m/g、好ましくは50〜250m/gの範囲内であることが望ましい。
【0070】
本明細書において比表面積は、シリカ微粒子1g当たりの全表面積(m2/g)を意味するものであり、BET法により窒素ガスの吸着等温線を測定することにより、算出されるものである。
【0071】
また、上記シリカ微粒子は、有機変性されたものであると、耐タレ性及び多彩模様塗膜の耐水性等の点から好適である。
【0072】
上記有機変性されたシリカ微粒子としては、鉱物由来あるいは合成系のシリカ微粒子の表面等にあるシラノール基にオルガノハロシラン、ジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメチルシラン等を反応結合させて得られた化合物;シリカ微粒子と末端にヒドロキシル基を有するジメチルポリシロキサン又はジメチルハイドロジエンポリシロキサン等を混合して200〜300℃で加熱処理してシリカ微粒子表面にアルキルポリシロキサンを結合させて得られた化合物;シリカ微粒子表面にシリコーンオイルを気相吸着することにより得られる化合物等が挙げられ、これらは1種あるいは2種以上併用して用いることができる。
【0073】
上記有機変性されたシリカ微粒子において、該シリカ微粒子の炭素含有量としては0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%の範囲内にあることが多彩模様塗膜の耐水性、塗料製造時の安定性の点から望ましい。
【0074】
本明細書において炭素含有量は、JISZ2615金属材料の炭素定量方法に準じて、試料を酸素気流中で加熱し、炭素を二酸化炭素とし、これを水酸化ナトリウムに吸収させてその質量の増加を測定することにより算出されるものである。
【0075】
上記シリカ微粒子の含有量としては、着色塗料粒子(A)及び塗膜形成成分(B)に含まれる樹脂固形分100質量部を基準にして0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜15質量部の範囲内であることが多彩模様塗膜の耐水性と意匠性の両立の点から望ましい。
【0076】
上記水性多彩模様塗料は、以上に述べた着色塗料粒子(A)及び塗膜形成成分(B)以外に必要に応じて塗料用添加剤を含ませることができる。
【0077】
該塗料用添加剤としては、着色塗料粒子(A)について前記で説明した如き中和剤、粘性調整剤、バルーン粒子、沈降防止剤、帯電防止剤、軟化剤、抗菌剤、香料、硬化触媒、pH調整剤、調湿剤、粉状もしくは微粒子状の活性炭、光触媒酸化チタン、水性撥水剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、造膜助剤、亜鉛ウィスカ、硬化促進剤、アルデヒド吸着剤、ワックス、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の難燃化剤などが挙げられる。
【0078】
上記水性多彩模様塗料は、塗料固形分が15〜45質量%、特に20〜40質量%の範囲内であることが、耐タレ性及び塗面平滑性、さらには多彩模様塗膜の耐水性などの点から好適である。
【0079】
本発明の水性多彩模様塗料は、有機溶剤の含有量が少なく、且つ耐水性、塗膜外観等の性能に優れた保護塗膜を形成することができ、他の意匠性塗料、例えば石材調塗料、砂岩調塗料、皮革調塗料、陶器調塗料等の種々の用途に適用することができる。
【0080】
塗装方法
本発明の水性多彩模様塗料は、基材表面に塗装することにより、多彩な意匠性を有し、耐水性等の性能に優れた保護塗膜を形成せしめることができる。
【0081】
本発明の水性多彩模様塗料を適用することができる基材表面としては、例えば、石膏ボード、コンクリート壁、モルタル壁、スレート板、PC板、ALC板、セメント珪酸カルシウム板、木材、石材、プラスチック成形物、金属加工材等の基材の表面、これら基材上に設けられたアクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系等の塗膜面、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、紙、布等の材質からなる壁紙面などを挙げることができる。
【0082】
本発明の水性多彩模様塗料の塗布量は、使用する塗料組成物の組成や塗布すべき基材の種類などに応じて変えることができるが、1回あたり通常100〜1,000g/m、好ましくは150〜700g/mの範囲内とすることができる。また、塗膜外観を損なわない範囲で複数回塗り重ねてもよい。
【0083】
本発明の水性多彩模様塗料の塗装はそれ自体既知の塗装手段を用いて行うことができ、例えば、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、リシンガン、万能ガン、ハケ、コテなどの塗装器具を用いて行うことができる。また、ローラーを使用する場合は、ウールローラー、砂骨ローラー等を使用することができる。
【0084】
形成塗膜の乾燥は、使用した塗料組成物の組成などに応じて、加熱乾燥、強制乾燥又は常温乾燥のいずれかの方法で行うことができる。
【0085】
本発明の水性多彩模様塗料は、例えば、保護塗膜用として、基材表面に、予め下塗り塗料を塗装した後、形成される下塗り塗面上に本発明の水性多彩模様塗料を塗装することができる。
【0086】
上記下塗り塗料としては、基材表面の種類や状態などに応じて適宜選択することができ、例えば、シーラー、下地調整材等の下塗り塗料を使用することができる。また、通常の上塗り塗料を本発明の塗料組成物の下地形成用塗料として塗装することも可能である。
【0087】
かかる下地形成用の上塗り塗料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂等の樹脂種よりなる水系又は溶剤系の樹脂を樹脂バインダーとして含んでなる塗料を挙げることができ、水系の樹脂を含んでなる塗料を使用することが好ましい。
【0088】
下塗り塗料を塗装する場合、必要に応じて、2種以上の下塗り塗装を重ねて行うこともできる。
【0089】
上記下塗り塗料の塗装は、それ自体既知の塗装手段を用いて行うことができ、例えば、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、リシンガン、万能ガン、ハケ、コテなどの塗装器具を用いて行うことができる。
【0090】
上記下塗り塗料の塗布量は、塗装する基材の種類などに応じて変えることができるが、通常1回あたり50〜2,000g/m2、好ましくは70〜1,000g/mの範囲内とすることができる。
【0091】
形成される下塗り塗膜の乾燥は、用いた下塗り塗料の種類などに応じて、加熱乾燥、強制乾燥又は常温乾燥のいずれかの方法で行うことができる。
【0092】
本発明の水性多彩模様塗料を用いれば、ウェット状態でも模様ムラなどが発見しやすく塗装作業性が良好であり、多彩な意匠性を有し、塗面平滑性、仕上がり性、耐水性等に優れた保護塗膜を形成せしめることができるものであるが本発明の水性多彩模様塗料の塗膜上には、必要に応じて、それ自体既知の上塗り塗料をさらに塗装してもよい。
【実施例】
【0093】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記例中の「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「質量%」を意味する。
【0094】
水性樹脂の製造
製造例1
容量2リットルの4つ口フラスコに、脱イオン水285部及び「ニューコール707SF」(注1)1部を加え、窒素置換後、85℃に保った。その中に、下記組成の成分をエマルション化してなるプレエマルションの3%分と、過硫酸アンモニウム3部を脱イオン水120部に溶解させた開始剤水溶液123部のうちの41部とをそれぞれ添加し、添加20分後から、残りのプレエマルションと残りの開始剤水溶液とを4時間かけてフラスコに滴下した。
脱イオン水 368部
スチレン 150部
メチルメタクリレート 413部
n−ブチルアクリレート 240部
2−エチルヘキシルアクリレート 150部
ダイアセトンアクリルアミド 20部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 5部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 20部
アクリル酸 2部
「ニューコール707SF」(注1) 66部
滴下終了後、これをさらに2時間85℃に保持した後、40〜60℃に降温した。次いで、アンモニア水でpHを調整し、固形分が55%のエマルション(a1)を得た。エマルション(a1)の平均粒子径は170nm、pHは8.3であった。
(注1)「Newcol707SF」:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤、有効成分30%。
【0095】
着色塗料粒子用の白顔料ペーストの製造
製造例2
1リットルのステンレス容器に下記の成分を仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌することにより、白顔料ペーストを得た。
水 180部
「スラオフ72N」(注2) 12部
「DISPER BYK−190」(注3) 24部
「SNデフォーマー380」(注4) 12部
「チタンJR−605」(注5) 400部。
(注2)「スラオフ72N」:商品名、日本エンバイロケミカルズ社製、防腐剤。
(注3)「DISPER BYK−190」:商品名、BYKケミー社製、分散剤。
(注4)「SNデフォーマー380」:商品名、サンノプコ社製、消泡剤
(注5)「チタンJR−605」:商品名、テイカ社製、二酸化チタン。
【0096】
着色塗料粒子用の青顔料ペーストの製造
製造例3
1リットルのステンレス容器に下記の成分を仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌することにより、青顔料ペーストを得た。
水 260部
モノエチレングリコール 20部
「スラオフ72N」(注2) 4部
「DISPER BYK−190」(注3) 24部
「SNデフォーマー380」(注4) 8部
フタロシアニンブルー 100部。
【0097】
着色塗料粒子用の赤錆顔料ペーストの製造
製造例4
1リットルのステンレス容器に下記の成分を仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌することにより、赤錆顔料ペーストを得た。
水 260部
モノエチレングリコール 20部
「スラオフ72N」(注2) 4部
「DISPER BYK−190」(注3) 24部
「SNデフォーマー380」(注4) 8部
酸化鉄 120部。
【0098】
着色塗料粒子用黒顔料ペーストの製造
製造例5
1リットルのステンレス容器に下記の成分を仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌することにより、黒顔料ペーストを得た。
水 180部
モノエチレングリコール 20部
「スラオフ72N」(注2) 4部
「DISPER BYK−190」(注3) 24部
「SNデフォーマー380」(注4) 8部
カーボンブラック 100部。
【0099】
着色塗料粒子用の水性塗料組成物の製造
製造例6
容器に下記の成分を順次配合し、均一となるように攪拌混合して、着色塗料粒子用の水性塗料組成物(A−1)を得た。
白顔料ペースト 154部
55%エマルション(a1) 250部
「TEXANOL」(注6) 20部
「SNデフォーマー380」(注4) 2部
「アデカノールUH−438」(注7) 2部
2%アルギン酸ナトリウム水溶液 280部。
(注6)「TEXANOL」:商品名、イーストマンケミカル社製、2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート
(注7)「アデカノールUH−438」:商品名、旭電化社製、ポリエーテルウレタン変性物、粘性調整剤、
製造例7〜11
上記製造例6において、配合組成を下記表1に示す配合組成に変える以外は製造例6と同様にして、水性塗料組成物(A−2)〜(A−6)を製造した。
【0100】
【表1】

【0101】
着色塗料粒子の製造
製造例12
4リットルステンレス容器に、0.15%水酸化カルシウム(注8)水溶液を1,300部仕込み、75mmの径を有する攪拌羽根を用いて回転速度2,500rpmで攪拌しながら、上記で得られた水性塗料組成物(A−1)650部を徐々に容器内に滴下し、着色塗料粒子を生成させた。次いで容器内液を同回転速度でさらに15分攪拌した後、200メッシュの金網を用いて濾別し、着色塗料粒子(B−1)を得た。得られた着色塗料粒子(B−1)は、目視による色が白色であり、固形分が20%であった。
(注8) 水酸化カルシウム:25℃の水100gに対して0.15g溶解。
【0102】
製造例13
4リットルステンレス容器に、水酸化カルシウム24部と脱イオン水1,200部を仕込み、75mmの径を有する攪拌羽根を用いて回転速度1500rpmで攪拌しながら、上記水性塗料組成物(A−2)600部を徐々に容器内に滴下し、着色塗料粒子を生成させた。次いで容器内液を同回転速度でさらに15分攪拌した後、200メッシュの金網にて濾別し、着色塗料粒子(B−2)を得た。得られた着色塗料粒子(B−2)は、目視による色が白色であり、固形分が20%であった。
【0103】
製造例14〜17
製造例12において、水性塗料組成物(A−1)の代わりに下記表2に示す水性塗料組成物を使用する以外は上記製造例12と同様にして、着色塗料粒子(B−3)〜(B−6)を得た。
【0104】
【表2】

【0105】
塗膜形成成分用水性樹脂の製造
製造例18
容量2リットルの4つ口フラスコに、脱イオン水568部及び「ニューコール707SF」(注1)23部を加え、窒素置換後、85℃に保った。その中に、下記組成の成分をエマルション化してなるプレエマルションの3%分と、過硫酸アンモニウム3部を脱イオン水120部に溶解させた開始剤水溶液123部のうちの41部とをそれぞれ添加し、添加20分後から、残りのプレエマルションと残りの開始剤水溶液とを4時間かけてフラスコに滴下した。
脱イオン水 368部
スチレン 150部
メチルメタクリレート 413部
n−ブチルアクリレート 240部
2−エチルヘキシルアクリレート 150部
ダイアセトンアクリルアミド 20部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 5部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 20部
アクリル酸 2部
「ニューコール707SF」(注1) 44部
滴下終了後、これをさらに2時間85℃に保持した後、40〜60℃に降温した。次いで、アンモニア水でpHを調整し、エマルション(a2)を得た。該エマルションは固形分が48%であり平均粒子径は90nmであった。
製造例19
容量2リットルの4つ口フラスコに、脱イオン水1043部及び「ニューコール707SF」(注1)67部を加え、窒素置換後、85℃に保った。その中に、下記組成の成分をエマルション化してなるプレエマルションの10%分と、過硫酸アンモニウム3部を脱イオン水120部に溶解させた開始剤水溶液123部のうちの41部とをそれぞれ添加し、添加20分後から、残りのプレエマルションと残りの開始剤水溶液とを4時間かけてフラスコに滴下した。
脱イオン水 368部
スチレン 150部
メチルメタクリレート 413部
n−ブチルアクリレート 240部
2−エチルヘキシルアクリレート 150部
ダイアセトンアクリルアミド 20部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 5部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 20部
アクリル酸 2部
「ニューコール707SF」(注1) 66部
滴下終了後、これをさらに2時間85℃に保持した後、40〜60℃に降温した。次いで、アンモニア水でpHを調整し、エマルション(a3)を得た。該エマルションは固形分が40%であり平均粒子径は65nmであった。
【0106】
水性クリヤー塗料の製造
製造例20
1リットルのステレンス容器に下記の成分を仕込み、攪拌機にて30分間攪拌混合することにより、固形分50%の水性クリヤー塗料(C−1)を得た。
48%エマルション(a2) 860部
「TEXANOL」(注6) 50部
水 410部
「タルク SS」(注9) 250部
「SNデフォーマー380」(注4) 10部
「アデカノールUH−438」(注7) 6部。
(注9)「タルク SS」:商品名、日本タルク社製、タルク。
【0107】
製造例21
上記製造例20において、48%エマルション(a2)を、40%エマルション(a3)とする以外は上記製造例20と同様にし、水性クリヤー塗料(C−2)を得た。
製造例22
上記製造例20において、48%エマルション(a2)を、55%エマルション(a1)にする以外は上記製造例20と同様にして比較例用の水性クリヤー塗料(C−3)を得た。
【0108】
水性多彩模様塗料の製造
実施例1〜4及び比較例1
500ミリリットルのステレンス容器に、下記表3に示す成分を順次攪拌しながら仕込み、その後、均一になるまで攪拌することにより、多彩模様塗料(I−1)〜(I−5)を得た。得られた塗料の性状及び塗膜性能試験結果を表3に示す。
【0109】
【表3】

【0110】
(注10)「HDK−H20」:商品名、旭ワッカー社製、シリカ微粒子、比表面積170m/g、炭素含有量1.1質量%、平均粒子径1.0μm。
【0111】
塗装
スレート板(150×70×3mm)上に、「EPシーラー透明」(関西ペイント社製、水系アクリルエマルション系シーラー)を塗布量が100g/mになるようにローラー塗装し乾燥させた後、「ビニデラックス300」(関西ペイント社製、JIS K 5663 1種適合アクリルエマルション系塗料)を塗布量が100g/mになるようにローラー塗装し、気温20℃、相対湿度60%の条件下で1日間乾燥させたものを被塗板とし、この上に各多彩模様塗料を塗布量が300g/mになり、模様ムラの発生を確認しながら良好な仕上がり外観となるように、スプレー圧及び塗り重ね時における塗装間隔時間などを調製しながら適宜スプレー塗装した。その後、気温23℃、相対湿度60%の条件下で7日間乾燥して、各試験塗板を得た。
(*1)塗装作業性
上記試験塗板の作成において、各水性多彩模様塗料を塗装する際におけるスプレー塗装作業性を下記基準で評価した。
〇:ウェット状態でも模様ムラが発見し易く、作業時間が短い。
△:ウェット状態では模様ムラがやや発見し難いので、作業時間がややかかる。
×:ウェット状態では模様ムラが発見し難く、塗膜が乾燥するのを待つ必要があり、作業時間が長くかかる。
(*2)塗膜外観
上記各試験塗板の外観を目視で観察し、次の基準で評価した。
〇:多彩な意匠感、質感が十分あり、良好、
△:多彩な意匠感、質感があり、やや良好、
×:ワレやチヂミなど塗膜欠陥あり。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2色の着色塗料粒子(A)並びに塗膜形成成分(B)を含んでなる水性多彩模様塗料であって、塗膜形成成分(B)が、平均粒子径が、30〜100nmの水分散性樹脂(b1)を含むことを特徴とする水性多彩模様塗料。
【請求項2】
着色塗料粒子(A)が、水性樹脂(a1)及び着色剤(a2)を含んでなる水性塗料組成物を多糖類金属塩ゲル(c)中に内包してなる請求項1に記載の水性多彩模様塗料。
【請求項3】
着色塗料粒子(A)が、水性樹脂(a1)、着色剤(a2)及び水溶性多糖類を含む水性塗料組成物を、金属イオンを含有する水性媒体と接触させることにより得られるものである請求項1または2に記載の水性多彩模様塗料。
【請求項4】
水性樹脂(a1)及び着色剤(a2)を含む反応性官能基(x)を有する水性塗料組成物を含有してなる着色塗料粒子(A)並びに反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を有する塗膜形成成分(B)を含んでなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性多彩模様塗料。
【請求項5】
着色塗料粒子(A)に含まれる水性樹脂(a1)が、反応性官能基(x)を有する請求項4に記載の水性多彩模様塗料。
【請求項6】
着色塗料粒子(A)に含まれる水性塗料組成物が、架橋剤(a3)を含有する請求項4又は5に記載の水性多彩模様塗料。
【請求項7】
塗膜形成成分(B)が、さらに架橋剤(b2)を含有する請求項4ないし6に記載の水性多彩模様塗料。
【請求項8】
着色塗料粒子(A)に含まれる水性樹脂(a1)及び塗膜形成成分(B)に含まれる水分散性樹脂(b1)が共に反応性官能基(x)を有し、塗膜形成成分(B)が、該反応性官能基(x)と反応し得る反応性官能基(y)を有する架橋剤(b2)を含有する請求項7に記載の水性多彩模様塗料。
【請求項9】
基材表面上に、下塗り塗膜を介して又は介さずに請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水性多彩模様塗料を塗装することを特徴とする塗装方法。

【公開番号】特開2007−321045(P2007−321045A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152237(P2006−152237)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】