説明

水性媒体中の基材へ疎水性活性材料を運搬するためのエマルジョン

疎水性活性材料(A)を含有し及び/又はこれから成る疎水性相(O)を有するエマルジョン(E)であって、
− 連続相(O)、水性分散相(Wi)、及びこれら二相の界面における水溶性若しくは安定剤(Di)としての水分散性多糖(これは平均重合度(DP)が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも20であり、1%水溶液としてのブルックフィールド粘度(25℃)が20000mPa.s未満であり、親油性のポリオルガノシロキサン置換基をもたない。)を有する内部逆エマルジョン(Ei)と、
− 該内部エマルジョン(Ei)が分散している水性若しくは水混和性の外部相(We)と
を含む複合エマルジョン(Em)の形態にあるか、
或いは、複合エマルジョン(Em)として水中に分散可能な固体の形態(Es)にあるエマルジョン(E)。該エマルジョン(E)は、水性媒体中(B)で使用されると、該水性媒体(B)中に存在するか又はこれに接触している基材(S)へ、疎水性活性材料を運搬することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部逆エマルジョンが疎水性活性材料を含む複合エマルジョン(Em)の形態にあるか、又は水中油中水型の複合エマルジョン(Em)として水分散可能である固体の形態(Es)にあるエマルジョン(E)に関する。該エマルジョンは水性媒体中の基材へ前記疎水性活性材料を運搬するために使用することができる。該エマルジョンは特に、疎水性活性材料(例えば香料、疎水性ケア剤等)を(特に綿製の)テキスタイル物品へ運搬し、付着を促進することを目的として、紡織繊維製の物品を洗浄又はリンスするための洗剤又はすすぎ剤(リンス剤)中で又は洗剤又はすすぎ剤として使用することができる。
【背景技術】
【0002】
親水性活性材料を運搬するために水中油中水(W/O/W)型の複合エマルジョンを使用することが提案されている。
【0003】
斯くして、EP−A−930 933では水中油中水型の複合エマルジョン中に含まれる有効成分を制御放出するための方法を特許請求している。該方法では:
− 前記複合エマルジョンは、少なくとも1種の親水性有効成分を含有する水性相A1をもつ逆エマルジョンEiを含み、前記エマルジョンEiはダイレクトエマルジョンEdの液滴の形態で水性連続相A2中に分散し、該二種類のエマルジョンEd及びEiは各連続相中に存在する少なくとも1種の界面活性剤で安定化しており、そして
− 前記複合エマルジョンを充分な量の薬剤と接触させ、ダイレクトエマルジョンに変換し、エマルジョンEiの水性相A1中に含まれる有効成分の水性相A2への放出を誘発する
ことを特徴とする。
【0004】
エマルジョンEdの連続水性相A2中に存在する界面活性剤は水溶性レシチン、蔗糖エステル、脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化アルキルアミド、硫酸トリグリセリド、硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、スルホン酸アルキル、アルキルアミン塩、脂肪アミン、リポアミノ酸、アルキルベタイン、アルキルポリグリコールエーテル、アルキレンオキシド共重合体、改質ポリエステル及びシリコンポリマー界面活性剤から選択するのが好ましい。
【0005】
エマルジョンEiの連続相中に存在する界面活性剤は脂溶性レシチン、ソルビタンの脂肪酸エステル、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリアルキレン、脂肪酸、モノグリセリド、ポリグリセロールエステル、ポリリシノール酸ポリグリセリル、乳酸エステル及び酒石酸エステルから選択するのが好ましい。
【0006】
エマルジョンEiの連続相は鉱物、植物及び動物油から選択される少なくとも1種の油で構成される油相である。
【0007】
ダイレクトエマルジョンEdは1%〜50%の逆エマルジョンEi当たり50容量%〜99容量%の連続相A2を有するのが好ましい。
【0008】
逆エマルジョンEiは1%〜50%の水性相A1当たり50容量%〜99容量%の連続相で構成されるのが好ましい。
【0009】
また、内部の水性相が親水性活性材料を含んだ水中油中水(W/O/W)型複合エマルジョンを乾燥することによって得た顆粒を製造することも公知の手法である。
【0010】
斯くして、WO 02/32563は外部水性相に分散した逆エマルジョンを乾燥することによって得ることのできる顆粒を特許請求している。ここで、
(a)逆エマルジョンは内部水性相を有し、該内部水性相は内部油相に分散した少なくとも1種の親水性活性材料を有し、該内部油相は少なくとも1種の非イオン性若しくは陽イオン性の界面活性剤及び/又は少なくとも1種の非イオン性若しくは陽イオン性の両親媒性ポリマーを有し、
(b)外部水性相は:
− 少なくとも1種の非イオン性ポリオキシアルキレン化界面活性剤及び/又は少なくとも1種の非イオン性ポリオキシアルキレン化両親媒性ポリマー、並びに
− (i)少なくとも1種のカルボン酸モノマー、及び少なくとも1種のエチレン不飽和モノマー、及び/又は少なくとも1種のエチレン不飽和カルボン酸ポリオキシアルキレン化エステルの重合によって得たポリマー;(ii)少なくとも1種の疎水性グラフトを随意に有する少なくとも1種のカルボン酸モノマーの重合によって誘導したポリマー;(iii)少なくとも1種の疎水性グラフトを随意に有する天然又は合成由来のポリペプチド;(iv)少なくとも1種の疎水性グラフトを随意に有する高度に解重合した多糖;から選択される少なくとも1種の水溶性又は水分散性化合物を有する。
上記顆粒は複合エマルジョンとして水性媒体中に再分散することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、油相が疎水性活性材料からなり(若しくはこれを有し)、水性媒体中で使用すると、該疎水性活性材料を該水性媒体中に存在又はこれに接触する基材へ運搬することの可能な、複合エマルジョンの形態にある又は複合エマルジョンとして再分散可能な乾燥した形態にあるエマルジョンである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一主題は、少なくとも1種の疎水性活性材料(A)を含有し及び/又はこれら成る液状若しくは溶解性の疎水性相(O)を有するエマルジョン(E)で構成され、前記エマルジョン(E)は:
・以下、
− 前記液状若しくは溶解性の疎水性連続相(O)、水性分散相(Wi)、及びこれら二相の界面における少なくとも1種の水溶性若しくは水分散性の安定剤(Di)を有する内部逆エマルジョン(Ei)と
− 少なくとも1種の分散剤及び/又は安定剤(De)によって該内部エマルジョン(Ei)が分散している水性若しくは水混和性の外部相(We)と
を含む複合エマルジョン(Em)の形態にあるか、
・以下、
− 水溶性若しくは水分散性の固体マトリクス(M)中に分散した前記逆エマルジョン(Ei)と
− 前記逆エマルジョン(Ei)と該マトリクス(M)の界面に位置し、該マトリクス(M)中に随意に分散している前記分散剤及び/又は安定剤(De)と
を含む固体の形態(Es)(これは外部相(We)が水性である複合エマルジョン(Em)として水中に分散可能である。)にあり、
前記エマルジョン(E)は、内部逆エマルジョン(Ei)の前記二相の界面における前記安定剤(Di)が:
− 平均重合度(DP)が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも20、最も特別には少なくとも100であり、
− 1質量%の水溶液としてのブルックフィールド粘度(25℃)が20000mPa.s未満、好ましくは5000mPa.s未満、最も特別には1〜4500mPa.sである、
水溶性若しくは水分散性の多糖(PSA)から選択される材料で作られ、また、該多糖(PSA)には親油性のポリオルガノシロキサン置換基が存在しないことを特徴とする。
【0013】
逆エマルジョン(Ei)
本発明によれば、疎水性相(O)は少なくとも1種の疎水性活性材料(A)を含有し及び/又はこれから成る。
疎水性相(O)及び/又は活性材料(A)は、液状若しくは溶解性であり且つ水性相に不溶性の材料であって、少なくとも1種の有機若しくはオルガノシリコン材料で又は少なくとも1種の有機材料と少なくとも1種のオルガノシリコン材料との混合物で作られる。
【0014】
活性材料(A)が疎水性相(O)に含有されるときは、活性材料(A)は水性相に不溶な少なくとも1種の固体若しくは液体の無機材料で作ること、或いは、少なくとも1種の無機材料と少なくとも1種の有機材料及び/又は少なくとも1種のオルガノシリコン材料との混合物で作ることもできる。
【0015】
本発明によれば、疎水性相(O)又は活性材料(A)を構成する材料は、その重量の15%未満、好ましくは10%未満が内部水性相(Wi)及び(存在するときは)外部相(We)に溶解するときに、不溶性であるとみなす。この溶解度は20℃から逆エマルジョン(Ei)及び複合エマルジョン(Em)又は固体形態のエマルジョン(Es)を調製する温度までの温度範囲にて適用される。
【0016】
前記疎水性相(O)の融点は、好ましくは100℃に等しいか又はそれ未満、より好ましくは80℃に等しいか又はそれ未満である。
【0017】
疎水性相(O)を構成する前記材料はオルガノシリコン材料(O1)で作ることもできる。該材料はとりわけ、直鎖状、環状、分枝状若しくは架橋状ポリオルガノシロキサンで作られた油、ワックス又は樹脂である。
【0018】
該ポリオルガノシロキサンは、(Carrimed(登録商標)CSL2-500粘度計を使用して)25℃、1500Paの圧力に対して剪断速度0.01Hzで測定して、動粘度が104〜109cPであるのが好ましい。
【0019】
該ポリオルガノシロキサンは特に:
・ 非イオン性ポリオルガノシロキサン
・ 少なくとも1種の陽イオン性又は潜在的に陽イオン性の官能基をもつポリオルガノシロキサン
・ 少なくとも1種の陰イオン性又は潜在的に陰イオン性の官能基をもつポリオルガノシロキサン
・ 少なくとも1種の陽イオン性又は潜在的に陽イオン性の官能基と少なくとも1種の陰イオン性又は潜在的に陰イオン性の官能基とをもつ両性ポリオルガノシロキサン
とすることができる。
【0020】
好ましくは、該ポリオルガノシロキサンは非イオン性又はアミノポリオルガノシロキサンである。
【0021】
ポリオルガノシロキサンの例としては:
> 一般式(I):
(R)a(X)bSi(O)[4-(a+b)]/2 (I)
で表される非イオン性オルガノシロキシ単位から形成した直鎖状、環状又は架橋状のポリオルガノシロキサンが挙げられる。
式中:
・ 記号Rは、同一の又は異なるものであって、1〜4個の炭素原子をもつ直鎖状又は分枝状の炭化水素ベースのアルキル基であるか、アリール基(特にフェニル基)であり;
・ 記号Xは、同一の又は異なるものであって、水酸基、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖状若しくは分枝状のアルコキシ基、又はOCOR’基(但し、R’は1〜12個の炭素原子、好ましくは1個の炭素原子をもつアルキル基を表す。)であり;
・ aは0、1、2又は3に等しく;
・ bは0、1、2又は3に等しく;
・ a+bは0、1、2又は3に等しい。
前記ポリオルガノシロキサンは少なくとも実質的に直鎖状であるのが好ましく、最も好ましくは直鎖状である。具体例としては特に、α,ω−ビス(ヒドロキシ)ポリジメチルシロキサン油、ビス(トリメチル)ポリジメチルシロキサン油、環状ポリジメチルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。
【0022】
また、ポリオルガノシロキサンの例としては:
> 一般式(II):
(R)a(X)b(B)cSi(O)[4-(a+b+c)]/2 (II)
で表される少なくとも1つのイオン性若しくは非イオン性オルガノシロキシ単位を1モル当たりに有する直鎖状、環状又は架橋状のポリオルガノシロキサンが挙げられる。
式中:
・ 記号Rは、同一の又は異なるものであって、1〜4個の炭素原子をもつ直鎖状又は分枝状の一価の炭化水素ベースのアルキル基であるか、アリール基(特にフェニル基)であり;
・ 記号Xは、同一の又は異なるものであって、水酸基、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖状若しくは分枝状のアルコキシ基、又はOCOR’基(但し、R’は1〜12個の炭素原子、好ましくは1個の炭素原子をもつアルキル基を表す。)であり;
・ 記号Bは、同一の又は異なるものであって、最大30個の炭素原子をもち、1個又は2個以上の酸素及び/又は窒素及び/又は硫黄ヘテロ原子で随意に割り込まれ、1個又は2個以上のエーテル、エステル、チオール、ヒドロキシ、随意に四級化したアミン又はカルボキシ基を随意に有する脂肪族及び/又は芳香族及び/又は環状の炭化水素ベースの基であり(記号Bは、好ましくはSi−C−結合を介して、ケイ素に結合している。);
・ aは0、1又は2に等しく;
・ bは0、1又は2に等しく;
・ cは0、1又は2に等しく;
・ a+b+cは1、2又は3に等しい。
【0023】
上記の式(II)中の記号(B)に対応する置換基の例としては:
− 次式のポリエーテル基
−(CH2n−(OC24m−(OC36p−OR’
(式中、nは2又は3に等しく、m及びpはそれぞれ0〜30の範囲であり、R’は1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子をもつアルキル残基を表す。)
− 次式で表されるような1級、2級、3級又は4級アミノ基
−R1−N(R2)(R3
(式中:
* 記号R1は、1個又は2個以上の窒素又は酸素原子で随意に割り込まれた、2〜6個の炭素原子をもつアルキレン基を表し、
* 記号R2及びR3は、同一でも異なっていてもよく、
・ H、
・ 1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子をもつアルキル又はヒドロキシアルキル基、
・ アミノアルキル基(好ましくは1級であり、そのアルキル基は1個又は2個以上の窒素及び/又は酸素原子で随意に置換され及び/又は割り込まれた1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子をもつ。
前記アミノ基は、例えばハロゲン化水素酸、又はハロゲン化アルキル若しくはアリールで随意に四級化される。)
が挙げられる。
特に次式で表されるものが挙げられる。
−(CH23NH2 (CH23NH3+X−
−(CH23N(CH32 (CH23N+(CH32(C1837)X−
−(CH23NHCH2CH2NH2 −(CH23N(CH2CH2OH)2
−(CH23N(CH2CH2NH22
【0024】
好ましくは、アミノ基をもつポリオルガノシロキサンはその鎖中に、100個のケイ素原子当たり全体で、0.1〜50、好ましくは0.3〜10、最も特別には0.5〜5個のアミノ官能性ケイ素原子を含有する。アミノ官能基は:
− 式IIIの立体障害ピペリジル基:
【化1】

(式中、
* R4は二価の炭化水素ベースの基であり;
◆2〜18個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のアルキレン基;
◆直鎖状又は分枝状のアルキレン部分が2〜20個の炭素原子をもつアルキレンカルボニル基;
◆直鎖状又は分枝状のアルキレン部分が2〜12個の炭素原子をもち、シクロヘキシレン部分がOH基を有し、1〜4個の炭素原子をもつアルキル基を1つ又は2つ随意に有するアルキレン−シクロヘキシレン基;
◆式−R7−O−R7で表される基(R7基は、同一でも異なるものであってもよく、1〜12個の炭素原子をもつアルキレン基を表す。);
◆式−R7−O−R7で表される基(R7基は上記と同様であり、それらのいずれか又は両方は1又は2個の−OH基で置換されている。);
◆式−R7−COO−R7で表される基(R7基は上記と同様。);
◆−R8−O−R9−O−CO−R8で表される基(R8基及びR9基は同一でも異なっていてもよく、2〜12個の炭素原子をもつアルキレン基を表し、R9基は水酸基で随意に置換される。);
から選択され;
* Uは−O−又は−NR10−(R10は水素原子、1〜6個の炭素原子をもつ直鎖状又は分枝状のアルキル基及び下式の二価基から選ばれる基を表す。)
【化2】

(式中、R4は上記と同様であり、R5及びR6は下記に与える意味を有し、R11は1〜12個の炭素原子をもつ直鎖状又は分枝状の二価アルキレン基を表し、一方の原子価結合(R11の原子価結合)は−NR10−の原子に結合され、他方の原子価結合(R4の原子価結合)はケイ素原子に結合されている。);
* R5基は同一の又は異なるものであり、1〜3個の炭素原子をもつ直鎖状又は分枝状のアルキル基及びフェニル基から選択され;
* R6基は水素基又はR5基又はO・を表す。)
であるか、或いは;
− 式IVの立体障害ピペリジル基:
【化3】

(式中、
* R’4は下式の三価基:
【化4】

(但し、mは2〜20の数を表す。)及び、
下式の三価基:
【化5】

(但し、pは2〜20の数を表す。)から選ばれ;
* U’は−O−又はNR12−を表し(R12は水素原子、1〜6個の炭素原子をもつ直鎖状又は分枝状のアルキル基から選択される基である。);
* R5及びR6は上記式IIIで与えた意味と同様である。)
である。
【0025】
好ましくは、立体障害的アミン基をもつ前記ポリオルガノシロキサンは、式(V)で表される直鎖状、環状、又は三次元的なポリオルガノシロキサンである。
【化6】

式中:
(1)記号Zは、同一でも異なっていてもよく、下記R1又は記号Bを表し;
(2)記号R1、R2及びR3は、同一でも異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子をもつ直鎖状又は分枝状のアルキル基、1〜4個の炭素原子をもつ直鎖状又は分枝状のアルコキシ基、フェニル基から選択される1価の炭化水素ベースの基を表し、好ましくは、水酸基、エトキシ基、メトキシ基又はメチル基を表し;
(3)記号Bは、同一でも異なっていてもよい官能基であり、上記のものから選ばれる立体障害ピペリジル基を含む基を表し;そして
(4)基Bを有しないオルガノシロキシ単位の数は10〜450、好ましくは50〜250であり;基Bを有するオルガノシロキシ単位の数は1〜5、好ましくは1〜3であり;0≦w≦10及び8<y<448である。
最も好ましくは、前記ポリオルガノシロキサンは直鎖状である。
【0026】
疎水性相(A)として使用することのできる市販のポリオルガノシロキサンの例としては、Rhodia社より販売されているRhodorsil(登録商標)21645及びRhodorsil(登録商標)Extrasoftの油が特に挙げられる。
【0027】
疎水性相(O)を構成する前記材料は有機材料(O2)で作ることができる。
例としては:
− C1〜C30カルボン酸のモノ−,ジ−若しくはトリ−グリセリド又はそれらの混合物、例えば植物油(菜種油、ヒマシ油、ヒマワリ油、エルカ菜種油、亜麻仁油等)
− 工業油、例えばNOVANCE社より販売されている煮沸、吹き込み又はスタンド油化された亜麻仁油)
− スクロエステル及びスクログリセリド
− C1〜C30カルボン酸又はC2〜C30ジカルボン酸とC1〜C30アルコールとのエステル
− C1〜C30カルボン酸とエチレングリコール又はプロピレングリコールとのモノエステル又はジエステル
− プロピレングリコールC4〜C20アルキルエーテル
− ジ(C8〜C30)アルキルエーテル
− 鉱物油、例えばナフサ油、液状パラフィン(石油ゼリー)及びポリブテン)
− 4〜40個の炭素原子をもつアルキル鎖を有する有機ワックス
が挙げられる。
上記ワックスの中では、特に:
・ 動物ワックス(蜜蝋、ラノリン、鯨油)、
・ 植物ワックス(カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、サトウキビ蝋又はホホバ蝋)、
・ 化石鉱物ワックス(モンタン蝋、オゾケライト又はUtah蝋)、
・ 4〜35個の炭素原子をもつ炭化水素ベースのワックス(鉱物油、パラフィン及びミクロクリスタリンワックス)、
・ 合成ワックス、例えばポリオレフィン(ポリエチレン又はポロプロピレン)、ステロン及びカーボワックス、
が挙げられる。
【0028】
活性材料(A)は疎水性相(O)を構成することができ又は疎水性相(O)に含有されることもできる。活性材料(A)が疎水性相(O)に含有されるときは、活性材料(A)は該疎水性相(O)に可溶性、部分可溶性又は不溶性であってよい。
【0029】
疎水性相(O)に含有される活性材料(A)としては特に、芳香性分子、有機若しくはオルガノシリコンUV安定剤、疎水性殺菌剤、固体ポリアミドカプセル、シリカ粒子又はその他の酸化物鉱物や化合物等のような他の疎水性材料が挙げられる。
【0030】
安定剤(Di)
安定剤(Di)は:
− 平均重合度(DP)が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも20、最も特別には少なくとも100であり、
− 1質量%の水溶液としてのブルックフィールド粘度(25℃)が20000mPa.s未満、好ましくは5000mPa.s未満、最も特別には30〜4500mPa.sである、
水溶性若しくは水分散性の多糖(PSA)から選択される材料で作られ、また、該多糖(PSA)には親油性のポリオルガノシロキサン置換基が存在しない。
【0031】
本明細書において“水溶性若しくは水分散性”とは、該多糖(PSA)が25℃の内部水性相(Wi)中で巨視的な二相溶液を形成することがないことを意味する。
【0032】
本明細書において“親油性”とは、“親水性”の反意語として用いられ、すなわち、水に対して親和性がないことをいう。このことは、該多糖(PSA)が有しないポリオルガノシロキサン基があると、それ自身で、10重量%の濃度で、25℃の蒸留水中で巨視的な二相溶液を形成することを意味する。
【0033】
本発明によれば、1容量%のHCl水溶液中に多糖(PSA)を1質量%含有する溶液のブルックフィールド粘度(25℃)は、40℃で24時間熟成した後に、以下によって決定することができる。
【0034】
材料及び試薬
材料
・ 800mLの低側面ビーカー
・ 250mLのフラスコ
・ Rayneri社製の解膠パドル(直径65mm)の付いた500rpmを得るための攪拌モーター
・ No.2スピンドル(遊星型又は円盤型)の付いたブルックフィールドLVT粘度計
・ 40℃に設定したオーブン
試薬
・ 蒸留水
・ 10容量%の塩酸(分析グレードで37%の塩酸27.0g(密度=1.19)を蒸留水約50mLの入った100mLのフラスコに入れる。蒸留水で100mLとする。)
【0035】
手順
・ 光沢紙上に多糖0.9gを秤量する
・ 800mLビーカー中に269.1gの水を秤量する
・ 該水の攪拌を開始し、次いで20〜30秒かけて該粉末をボルテックスの端に加える。500rpmで30分間攪拌する。
・ 攪拌中、該溶液に5〜10秒かけて10%塩酸を30g導入する。500rpmで5分間更に攪拌する。
・ 該溶液を250mLのフラスコに移して40℃のオーブン内に置く。
・ 24時間後、オーブンからフラスコを取り出して溶液の温度を室温(20〜25℃)に戻す。
・ No.2スピンドル(遊星型)の付いたブルックフィールド粘度計を3rpmに設定して該溶液の粘度を計測する。表示(N)が安定した後に読み取る。
【0036】
結果の表示
1%HCl溶液中に多糖(PSA)を1%含有する溶液の見かけ粘度η
η=100×N
【0037】
“平均重合度”とは多糖1モル当たりのグリコシル単位の平均数を意味する。
【0038】
前記多糖(PSA)はホモ多糖又はヘテロ多糖であり、直鎖状又は分枝状であってよく、非イオン性又はイオン性であってよい。前記多糖(PSA)は、随意的に、親油性ポリオルガノシロキサン基以外の非イオン性又はイオン性の基で置換及び/又は修飾することができる。好ましくは、前記多糖(PSA)又はその骨格は、β(1−4)結合を介して連結した同一の又は異なるグリコシル単位を有する。また、前記多糖(PSA)又はその骨格は、β(1−4)結合と共に、その他の結合(特にβ(1−3)及び/又はβ(1−6)結合)を有することができる。
【0039】
前記同一の又は異なるグリコシル単位は特にヘキソース及び/又はペントース単位とすることができる。
【0040】
(同一の又は異なる)ヘキソース単位の中では、特にD−グルコース、D−若しくはL−ガラクトース、D−マンノース、D−若しくはL−フコース及びL−ラムノース等の単位が挙げられる。(同一の又は異なる)ペントース単位の中では、特にD−キシロース、L−若しくはD−アラビノース等の単位が挙げられる。
【0041】
グリコシル単位の水酸基は非イオン性、イオン性又はイオン化可能基で修飾及び/又は置換することができる。
【0042】
上記基が非イオン性の修飾基であるときは、該修飾基は糖骨格の炭素原子に直接又は−O−結合を介して特に連結することができる。
【0043】
非イオン性基の中では:
・ 1個若しくは2個以上の酸素及び/又は窒素ヘテロ原子で随意に割り込まれた1〜22個の炭素原子をもつアルキル基、
・ 6〜12個の炭素原子をもつアリール又はアリールアルキル基
・ 1〜6個の炭素原子をもつヒドロキシアルキル又はシアノアルキル基
・ 多糖骨格の水酸基−OHの水素を、少なくとも1つの酸単位を有する基で置換することによって得た“エステル”基(該酸単位は炭素、硫黄又はリンを特に含有する。例えば、特にカルボニルR−(CO)−、スルホニルR−SO2−、ホスホリルR2P(O)−及びヒドロキシホスホリルR−P(O)(OH)−基が挙げられる。該酸基は多糖骨格の残留酸素原子と“エステル”単位を形成する。アルキル、アルケニル又はアリール基Rは1〜20個の炭素原子を有することができ、また、カルボニル、スルホニル等の単位に直接連結したヘテロ原子(例えば窒素)を有することもでき、こうしてウレタン等の種類の結合を形成することができる。)
が挙げられる。
【0044】
例としては:
・ エーテル、エステル、アミド又はウレタン結合を介して多糖骨格の炭素原子に連結したメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル及びフェニル基、
・ −O−結合を介して多糖骨格の炭素原子に連結したシアノエチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又はヒドロキシブチル基、
・ アセテート、プロパノエート、トリフルオロアセテート、2−(2−ヒドロキシ−1−オキソプロポキシ)プロパノアート、ラクタート、グリコラート、ピルベート、クロトネート、イソバレレート、シンナメート、ホルメート、サリチレート、カルバメート、メチルカルバメート、ベンゾエート、グルコネート、メタンスルホネート及びトルエンスルホネート基;フマル酸、マロン酸、イタコン酸、シュウ酸、マレイン酸、琥珀酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸又はリンゴ酸のヘミエステル基;から選択される“エステル”基(とりわけ、アセテート、ヘミアセテート及び2−(2−ヒドロキシ−1−オキソプロポキシ)プロパノアート)が挙げられる。
【0045】
非イオン性修飾基による多糖の修飾度MSはグリコシル1単位当たりに反応した非イオン性修飾基の前駆体の平均モル数に対応する。修飾度MSは前記修飾基の前駆体の種類に応じて変化し得る。
【0046】
前記前駆体が新たな反応性水酸基を形成する能力がない場合(例えばアルキル前駆体)、非イオン性修飾基による修飾度は3未満と定義する。
前記前駆体が新たな反応性水酸基を形成する能力ある場合(例えばヒドロキシアルキル前駆体)、修飾度MSは理論的には制限されず、例えば最大6、好ましくは最大2とすることができる。
修飾度MSは一般には少なくとも0.001、好ましくは少なくとも0.01である。
【0047】
陰イオン性又は陰イオン化可能な基の中では、1個又は2個以上のカルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、ホスホネート等の基を含むものが挙げられる。
【0048】
とりわけ、式:
・ -[-CH2-CH(R)-O]x-(CH2)y-COOH又は
・ -[-CH2-CH(R)-O]x-(CH2)y-COOM
(式中、
Rは水素原子又は1〜4個の炭素原子をもつアルキル基であり、
xは0〜5の整数であり、
yは0〜5の整数であり、
Mはアルカリ金属を表す。)
のものが挙げられる。
【0049】
最も特別には糖骨格の炭素原子に直接連結したカルボキシル基−COO-Na+、糖骨格の炭素原子に−O−結合を介して連結したカルボキシメチル基(ナトリウム塩)−CH2−COO-Na+が挙げられる。
【0050】
陽イオン性又は潜在的に陽イオン性の基の中では、1個又は2個以上のアミノ、アンモニウム、ホスホニウム、ピリジニウム等の基を含むものが挙げられる。
とりわけ、式:
・ -NH2
・ -[-CH2-CH(R)-O]x-(CH2)y-COA-R'-N(R'')2
・ -[-CH2-CH(R)-O]x-(CH2)y-COA-R'-N+(R''')3 X-
・ -[-CH2-CH(R)-O]x-(CH2)y-COA-R'-NH-R''''-N(R'')2
・ -[-CH2-CH(R)-O]x-R'-N(R'')2
・ -[-CH2-CH(R)-O]x-R'-N+(R''')3 X-
・ -[-CH2-CH(R)-O]x-R'-NH-R''''-N(R'')2
・ -[-CH2-CH(R)-O]x-Y-R''
(式中、
・ Rは水素原子又は1〜4個の炭素原子をもつアルキル基であり、
・ xは0〜5の整数であり、
・ yは0〜5の整数であり、
・ R’は1個又は2個以上のOH置換基を随意に有する1〜12個の炭素原子をもつアルキレン基であり、
・ 基R’’は、同一の又は異なるものであってよく、水素原子又は1〜18個の炭素原子をもつアルキル基であり、
・ 基R’’’は、同一の又は異なるものであってよく、1〜18個の炭素原子をもつアルキル基であり、
・ R’’’’は、1〜6個の炭素原子をもつ直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基であり、
・ AはO又はNHを表し、
・ Yは5〜20個の炭素原子と、窒素ヘテロ原子をもつヘテロ環脂肪族基であり、
・ X-は対イオン、好ましくはハロゲン化物イオン(特に塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン)である。)
の陽イオン性又は潜在的に陽イオン性の基が挙げられ、
更には対イオン、好ましくはハロゲン化物イオン(特に塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン)をもつN−アルキルピリジニウム基(アルキル基は1〜18個の炭素原子をもつ。)
が挙げられる。
【0051】
陽イオン性又は潜在的に陽イオン性の基の中では、最も特別には:
・ -NH2
・ -CH2-CONH-(CH2)2-N(CH3)2
・ -CH2-COO-(CH2)2-NH-(CH2)2-N(CH3)2
・ -CH2-CONH-(CH2)3-NH-(CH2)2-N(CH3)2
・ -CH2-CONH-(CH2)2-NH-(CH2)2-N(CH3)2
・ -CH2-CONH-(CH2)2-N+(CH3)3 Cl-
・ -CH2-CONH-(CH2)3-N+(CH3)3 Cl-
・ -(CH2)2-N(CH3)2
・ -(CH2)2-NH-(CH2)2-N(CH3)2
・ -(CH2)2-N+(CH3)3 Cl-
・最も優先的には2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド
-CH2-CH(OH)-CH2-N+(CH3)3 Cl-
・塩化物の対イオンをもつ、式:
【化7】

で表されるN−メチルピリジニウムのようなピリジニウム基
・一般式:
【化8】

(式中、RはCH3又はHを表す。)
で表される、HALSアミンから誘導したもののようなヒンダードアミノ基
が挙げられる。
【0052】
ベタイン基の中では、最も特別には:
【化9】

2−メチル(3−スルホプロピル)イミダゾリウム基、
【化10】

(2−スルホベンジル)イミダゾリウム基、
【化11】

(3−スルホプロピル)ピリジニウム基、
-(CH2)2-N+(CH3)2-(CH2)2-COO- エチルジメチルアンモニウムベタイン基、
-(CH2)2-N+(CH3)2-(CH2)3-SO3- スルホプロピルジメチルアンモニウム基
が挙げられる。
【0053】
置換度DSは、グリコシル単位当たりの前記イオン性又はイオン化可能な基で置換されたグリコシル単位の水酸基の平均数に対応する。通常は3未満であり、好ましくは2未満である。
【0054】
本発明において使用することのできる多糖(PSA)には天然又は合成の多糖が挙げられ、これは酸若しくは塩基加水分解により、又は酸化的、熱的若しくは酵素的経路により、化学的に修飾及び/又は置換及び/又は分解(解重合)されているのが好ましい。
【0055】
例としては:
(特に酸化的に)解重合され、非イオン性基(特にヒドロキシプロピル)、陰イオン性基(特にカルボキシメチル)又は陽イオン性基(例えばヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)によって随意に修飾又は置換されたガラクトマンナン(特にグアーガム)が挙げられる。これはブルックフィールド粘度(1%水溶液中)が30〜4500mPa.s、好ましくは60〜3500mPa.sとすることができる。
【0056】
特に:
・ 酸化的に解重合されたグアー(酸化媒体中での解重合により数個のCOOH+を含有する。)、例えばRhodia社より販売されているMeypro−Gat7、Meypro−Gat20及びMeypro−Gat30(商品名);
・ 約0.01〜0.8の修飾度のヒドロキシプロピル解重合グアー、例えばRhodia社のHMP−CON(商品名);
・ 約0.05〜1.6の置換度のカルボキシメチル解重合グアー、例えばRhodia社より販売されているMeypro−Gum R600(商品名);
・ 約0.04〜0.17、好ましくは0.06〜0.14の置換度の陽イオン化解重合グアー、例えばRhodia社より販売されているMeypro−Coat21又はAqualon社より販売されているAquaCat CG518;
修飾セルロース、例えば:
・ 0.3〜1.2未満、好ましくは0.3〜1の置換度のモノ酢酸セルロース;
・ 約0.2〜1.5の修飾度のヒドロキシプロピルセルロース、例えばAqualon社より販売されているPrimaflo HP22;
・ 0.05〜1.2、好ましくは0.05〜1の置換度のカルボキシメチルセルロース、例えばHercules社のBlanose Cellulose Gum及びAqualon社のLiberty3794;
・ ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又は四級化アミノアルキル基を随意に含有するデキストリン(ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又は四級化アミノアルキル基で随意に化学的に修飾したデンプンの分解);
キシログリカン、例えばSaiguru Food社のタマリンドガムInstasol1200又はRhodia社のMeypro−Gum T12;
アラビノキシラン
・ C4〜C20、好ましくはC8〜C18のアルキル基を有し、アルキルポリグリコシド(APG)1mol当たりグルコース単位の平均数が約1.5〜10、好ましくは約1.5〜4、より一般には約1.6〜2.7であるアルキルポリグリコシド(APG)、例えばUS4,565,647にて言及されているもの;
が挙げられる。
【0057】
内部水性相(Wi)
内部逆エマルジョン(Ei)の水性液滴(Wi)の平均径は最大10μmまで、好ましくは0.05μmから5μm、より好ましくは0.1〜1μmの範囲とすることができる。
【0058】
平均径は体積メジアン径(d50)に相当し、これは50%の累積分布に等しい粒子の直径を表す。例えばHoriba社の粒度計又は光学顕微鏡を用いて測定することができる。
【0059】
水性分散相(Wi)のpHは0〜14、好ましくは2〜11、より好ましくは5〜11の範囲とすることができる。
【0060】
水性分散相(Wi)は、浸透圧を調節するための添加剤、例えば塩(塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム、塩化カルシウム等)又は糖(グルコース)又は多糖(デキストラン等)を含むことができる。
【0061】
また、水性分散相(Wi)は緩衝剤、親水性活性材料、特に抗菌剤、例えばメチルクロロイソチアゾリノン及びメチルイソチアゾリノン(Rhom&Haas社より販売されているKathon(登録商標)CG)、その他の水溶性若しくは水分散性材料、更には疎水性相(O)中に不溶性の疎水性材料を含むことができる。
【0062】
本発明の良好な実施のために、水性分散相(Wi)/疎水性相(O)の質量比は5/95〜95/5、好ましくは30/70〜80/20の範囲とすることができる。
【0063】
安定剤(Di)の質量/疎水性相(O)の質量の比率は0.1/100〜500/100、好ましくは0.5/100〜100/100、最も特別には0.5/100〜50/100の範囲とすることができる。
【0064】
逆エマルジョン(Ei)は慣例の方法で得ることができる。
例えば、多糖(PSA)を水中に溶解及び/又は分散させ、次に得られた水性溶液及び/又は分散液を疎水性相(O)に攪拌しながら添加することによって得ることができる。
攪拌はフレームパドル、遊星型ミキサー、又は可動式ドクターブレード及び反対方向に回転するパドル(向流攪拌)の付いたミキサーを用いて実施するのが有利となり得る。
逆エマルジョン(Ei)の調製は、疎水性相として用いる材料の融点よりも高く、逆エマルジョンの組成物中に含まれる成分の分解点よりも低い温度で一般に実施される。とりわけ、温度は10〜80℃である。
攪拌時間は当業者であれば難なく決定することができる。上述したように、逆エマルジョンの水性液滴の平均径を10μm未満とするのに充分な時間であるのが好ましい。
逆エマルジョン(Ei)の種々の成分量は既述した。
【0065】
複合エマルジョン(Em)
複合エマルジョン(Em)は、水性若しくは水混和性の外部相(We)中に分散した内部エマルジョンとして上記逆エマルジョン(Ei)を含有し、少なくとも1種の分散剤及び/又は安定剤(De)を含有する。
前記分散剤及び/又は安定剤(De)は親水性の傾向を有する。
好ましくは、前記分散剤及び/又は安定剤(De)は親水性界面活性剤及び/又は親水性ポリマー及び/又は両親媒性親水性ポリマーから選択される。
“親水性”は“水に対して親和性を有する”という通常の意味で使用される。このことは分散剤及び/又は安定剤(De)が25℃の蒸留水中で巨視的な二相溶液を形成することがないことを意味する。
好ましくは、外部相(W)は水性相である。
【0066】
とりわけ、界面活性剤及び/又はポリマー(De)はバンクロフトの法則を満足し、好ましくは以下の両方の条件を満たす化合物から選択される。
− 20〜30℃として外部水性相の0.1〜10重量%の濃度で該相と混合すると、該濃度範囲の全部又は一部において溶液の形態であること
− 20〜30℃として内部疎水性相(O)の0.1〜10重量%の濃度で該相と混合すると、該濃度範囲の全部又は一部において分散液の形態であること
【0067】
本発明の良好な実施のために、前記分散剤及び/又は安定剤(De)は:
(a)少なくとも1種の非イオン性親水性の界面活性剤
(b)少なくとも1種の陰イオン性親水性の界面活性剤
(c)少なくとも1種の陽イオン性親水性の界面活性剤
(d)少なくとも1種の非イオン性親水性のポリマー
(e)少なくとも1種の非イオン性親水性両親媒性のポリマー
(f)少なくとも1種の陰イオン性親水性のポリマー
(g)少なくとも1種の陰イオン性親水性両親媒性のポリマー
(h)少なくとも1種の陽イオン性親水性のポリマー
(i)少なくとも1種の陽イオン性親水性両親媒性のポリマー、又は
(j)前記適合性の界面活性剤及び/又はポリマー(a)から(d)の少なくとも2種類の混合物
から形成することができる。
【0068】
ここで、“適合性”とは混合した界面活性剤が問題としている媒体中で非分散形態の集塊を形成させることがないことを意味する。
【0069】
外部相(We)中に存在する界面活性剤及び/又はポリマー(De)の全含量は、逆エマルジョン(Ei)に対して0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.5重量%〜5重量%とすることができる。
【0070】
好ましくは、非イオン性親水性の界面活性剤のHLB値は疎水性相(O)に要求されるHLBに少なくとも等しい。指針としては、この最小HLB値は通常少なくとも10である。該界面活性剤はポリアルコキシ化されているのが好ましい。
【0071】
有利には、ポリアルコキシ化非イオン性界面活性剤は以下の界面活性剤の単独物又は混合物から選択することができる。
− アルコキシ化脂肪アルコール
− アルコキシ化モノ−,ジ−,及びトリグリセリド
− アルコキシ化脂肪酸
− アルコキシ化ソルビタンエステル
− アルコキシ化脂肪アミン
− アルコキシ化ビス(1−フェニルエチル)フェノール
− アルコキシ化トリス(1−フェニルエチル)フェノール
− アルコキシ化アルキルフェノール
(より特別にはエトキシ及び/又はプロポキシ化である。)
【0072】
例示的には、エトキシ化及び随意にプロポキシ化した単位の合計数は10〜100である。
【0073】
陰イオン性親水性の界面活性剤の中では:
− アルキルエステルスルホネート、
− 硫酸アルキル、及びそのポリアルコキシ化(エトキシ化(EO)又はプロポキシ化(PO)、又はその混合)誘導体、例えばドデシル硫酸ナトリウム;
− 硫酸アルキルエーテル、及びそのポリアルコキシ化(エトキシ化(EO)又はプロポキシ化(PO)、又はその混合)誘導体、例えばラウリル硫酸エーテル(n=2);
− 硫酸アルキルアミド、及びそのポリアルコキシ化(エトキシ化(EO)又はプロポキシ化(PO)、又はその混合)誘導体;
− 飽和若しくは不飽和脂肪酸の塩;並びに
− アルキル及び/又はアルキルエーテル及び/又はアルキルアリールエーテルリン酸エステル;
が挙げられる。
【0074】
分散剤及び/又は安定剤(De)中に存在することのできる陽イオン性親水性の界面活性剤の中では、式R1234+-(式中、基Rは長鎖又は短鎖のアルキル、ヒドロキシアルキル又はエトキシ化アルキルの炭化水素ベースの鎖であり、Xは対イオン(R1はC8〜C22、好ましくはC8〜C10又はC12〜C14のアルキル基であり、R2はメチル基であり、R3及びR4は、同一の若しくは異なるものであってよく、メチル又はヒドロキシメチル基である。)で表される四級アンモニウム塩;更には陽イオン性エステル、例えばコリンエステルが挙げられる。
【0075】
使用することのできる非イオン性親水性ポリマーに関しては、安定剤(Di)として既述した非イオン性で水溶性若しくは水分散性の多糖(PSA)が挙げられる。例えば:
・ 約0.2〜1.5の修飾度のヒドロキシプロピルセルロース、又は
・ 0.3〜1.2の置換度のモノ酢酸セルロース
がある。
【0076】
非イオン性の親水性両親媒性ポリマーに関しては、一方が親水性で他方が疎水性である少なくとも二つのブロックを含み、少なくとも一つのブロックはポリアルコキシ化単位(とりわけポリエトキシ化及び/又はポリプロポキシ化単位)を含むポリアルコキシ化合物であるのが好ましい。
【0077】
より特別には、前記非イオン性ポリアルコキシ化親水性両親媒性ポリマーは、(ポリエチレングリコール標準を用いたGPCで測定して)重量平均分子量が100,000g/molに等しいか又はそれ未満、好ましくは1,000〜50,000g/mol、より好ましくは1,000〜20,000g/molのポリマーから選択される。
【0078】
この種のポリマーの例としては、特に、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのトリブロックポリマーが挙げられる。該ポリマーは周知であり、商品名Pluronic(BASF社)及びArlatone(ICI社)によって特に販売されている。
【0079】
前記非イオン性の親水性両親媒性ポリマーは、少なくとも1種の非イオン性親水性モノマー及び少なくとも1種の疎水性モノマーを重合することによって得られる親水性両親媒性のブロックポリマーとすることもできる。これらのモノマーの比率及び性質は得られるポリマーが前述した条件(バンクロフトの法則−2条件)を満足するようにする。該ポリマーは少なくとも一つの疎水性ブロック及び少なくとも一つの中性(非イオン性)親水性ブロックを有する。
【0080】
前記ポリマーが少なくとも三つのブロック(より特別には三つのブロック)を有するとき、該ポリマーは直鎖状であるのが有利である。更に、親水性ブロックはより特別には両端に見出される。
【0081】
該ポリマーが少なくとも三つのブロックよりも多く有するとき、それらのポリマーはグラフト又はくし型ポリマーの形態であるのが好ましい。
【0082】
親水性両親媒性ポリマーの疎水性ブロックを調製することのできる疎水性モノマーの中では、特に:
− 少なくとも一つのエチレン不飽和をもつ直鎖状、分枝状、環状若しくは芳香族のモノカルボン酸又はポリカルボン酸のエステル、
− 8〜30個の炭素原子をもち、水酸基を随意にもつ飽和カルボン酸のエステル
− α,β−エチレン不飽和ニトリル、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニル芳香族モノマー、及びビニル若しくはビニリデンハライド、
− 少なくとも一つのエチレン不飽和をもつ直鎖状若しくは分枝状、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素ベースのモノマー、
− 環状若しくは非環状シロキサン型モノマー及びクロロシラン;
− プロピレンオキシド又はブチレンオキシド;
の単独物又は混合物、更には上記モノマーから誘導したマクロモノマーが挙げられる。
【0083】
具体例としては:
− 1〜12個の炭素原子をもつアルコールとの(メタ)アクリル酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート又は2−エチルヘキシルアクリレート;
− 酢酸ビニル、ビニルVersatate(登録商標)、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、メチルビニルエーテル又はエチルビニルエーテル;
− ビニルニトリル(より特別には3〜12個の炭素原子をもつもの、例えば、とりわけアクリロニトリル及びメタクリロニトリル);
− スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ブタジエン及びクロロプレン;
の単独物又は混合物、更には上記モノマーから誘導したマクロモノマーが挙げられる。
【0084】
好ましいモノマーは、直鎖状若しくは分枝状のC1〜C4アルコールとアクリル酸のエステル(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル及びアクリル酸ブチル)、ビニルエステル(例えば酢酸ビニル)、スチレン及びα−メチルスチレンである。
【0085】
ブロック親水性両親媒性ポリマーを得ることのできる非イオン性親水性モノマーに関しては、エチレンオキシド;少なくとも一つのエチレン不飽和をもつ直鎖状、分枝状、環状若しくは芳香族のモノカルボン酸又はポリカルボン酸のアミド、或いはその誘導体(例えば(メタ)アクリルアミド又はN−メチロール(メタ)アクリルアミド);(メタ)アクリル酸から誘導した親水性エステル(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート);加水分解後にポリビニルアルコールブロックが得られるビニルエステル(例えば酢酸ビニル、ビニルVersatate(登録商標)又はプロピオン酸ビニル)が挙げられる。これらのモノマーは単独で又は混合して使用することができ、更にはマクロモノマーの形態とすることもできる。“マクロモノマー”とは、使用する方法によって重合可能な1個又は2個以上の官能基をもつ巨大分子を指すことが想起される。
好ましい親水性モノマーはアクリルアミド及びメタクリルアミドの単独物又は混合物、或いはマクロモノマーの形態にある。
【0086】
好ましくは、非イオン性親水性両親媒性ポリマーのHLB値は疎水性相(O)に要求されるHLBに少なくとも等しい。指針としては、最小HLB値は通常少なくとも10である。
【0087】
使用できる陰イオン性親水性ポリマーの中では、安定剤(Di)として上述した陰イオン性で水溶性又は水分散性の多糖(PSA)が挙げられる。例えば:
・ 酸化的に解重合されたグアー(酸化媒体中での解重合により数個のCOOH+基を含有する。)、例えばRhodia社より販売されているMeypro−Gat7、Meypro−Gat20及びMeypro−Gat30(商品名);
・ 約0.01〜0.8の修飾度のヒドロキシプロピル解重合グアー、例えばRhodia社のHMP−CON(商品名);
・ 約0.05〜1.6の置換度のカルボキシメチル解重合グアー、例えばRhodia社より販売されているMeypro−Gum R600(商品名);
である。
【0088】
使用できる陰イオン性親水性両親媒性ポリマーの中では、少なくとも1種の陰イオン性親水性モノマー、随意的な少なくとも1種の非イオン性親水性モノマー、及び少なくとも1種の疎水性モノマーを重合することによって得られるブロックポリマー(好ましくはジブロック又はトリブロックポリマー)を特に挙げることができる。
また、この場合、モノマーの選択及びそれぞれの比率は得られるポリマーが前述した二条件(バンクロフトの法則)を満足するようにする。
親水性両親媒ブロックポリマーを得ることのできる陰イオン性親水性モノマーに関しては:
− 直鎖状、分枝状、環状若しくは芳香族のモノカルボン酸又はポリカルボン酸、及びそのような酸のN−置換誘導体;少なくとも1個のエチレン不飽和を有するポリカルボン酸モノエステル;
− 直鎖状、分枝状、環状又は芳香族のビニルカルボン酸;
− 1個又は2個以上のエチレン不飽和を有するアミノ酸;
の単独物又は混合物、これらの前駆物質、これらのスルホン又はホスホン誘導体、更にはこれらのモノマーから誘導したマクロモノマーを挙げることができ;モノマー又はマクロモノマーは塩の形態であってもよい。
より特別には:
− アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、アクリルアミドグリコール酸、2−プロペン−1−スルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチレンメタクリレート、スルホプロピルアクリル酸、ビス(スルホプロピル)アクリル酸、ビス(スルホプロピル)メタクリル酸、スルファトエチルメタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリル酸のリン酸モノエステル、更にはそれらのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩)、又はアンモニウム塩;
− ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルホスホン酸、ビニリデンホスホン酸及びビニル安息香酸、更にはアルカリ金属塩(例えばナトリウム又はカリウム塩)、又はアンモニウム塩;
− N−メタクリロイルアラニン又はN−アクリロイルヒドロキシグリシン;
の単独物又は混合物、更にはこれらのモノマーから誘導したマクロモノマーを挙げることができる。
非イオン性親水性モノマー及び疎水性モノマーの例は上述してある。
【0089】
使用することのできる陽イオン性親水性ポリマーの中では、安定剤(Di)として上述した陽イオン性で水溶性又は水分散性の多糖(PSA)が挙げられる。例えば:
・ 約0.04〜0.17、好ましくは0.06〜0.14の置換度の陽イオン化解重合グアー、例えばRhodia社より販売されているMeypro−Coat21又はAqualon社より販売されているAquaCat CG518;
が挙げられる。
【0090】
本発明の第一の好適な実施形態によれば、分散剤及び/又は安定剤(De)は非イオン性親水性界面活性剤及び/又は非イオン性親水性(両親媒性)ポリマーから選択され;より好ましくは、前記非イオン性親水性界面活性剤及び/又は非イオン性親水性(両親媒性)ポリマーは疎水性相(O)に要求されるHLVに少なくとも等しいHLB値をもつ。指針としては、最小HLB値は通常少なくとも10である。
親水性両親媒性剤(De)は最も特別には非イオン性親水性両親媒性ポリマーである。
【0091】
本発明の第二の好適な実施形態によれば、分散剤及び/又は安定剤(De)は少なくとも1種の非イオン性親水性界面活性剤と少なくとも1種の陰イオン性親水性界面活性剤との混合物であり、随意的に少なくとも1種の非イオン性親水性(両親媒性)ポリマーと組み合わせる。
【0092】
本発明の第三の実施形態によれば、分散剤及び/又は安定剤(De)は、少なくとも1種の非イオン性親水性界面活性剤及び/又は少なくとも1種の非イオン性親水性(両親媒性)ポリマーを随意に混合した陽イオン性親水性界面活性剤及び/又は陽イオン性親水性(両親媒性)ポリマーから選択される。非イオン性界面活性剤及び/又は非イオン性ポリマーが存在するときは、陽イオン性/非イオン性混合物の重量の最大50重量%を占めることができる。
【0093】
第四の実施形態によれば、分散剤及び/又は安定剤(De)は少なくとも1種の非イオン性、陰イオン性又は陽イオン性で水溶性又は水分散性の多糖(PSA)、或いはそれらの適合性混合物を材料とする安定剤(Di)から選択される。少なくと1種のその他の適合性のある分散剤及び/又は安定剤(De)をそこに随意に加えてもよい。好ましくは、水溶性又は水分散性の多糖(PSA)以外の随意的な分散剤及び/又は安定剤(De)の質量は、分散剤及び/又は安定剤(De)として使用される水溶性若しくは水分散性の多糖(PSA)の質量を超えない。
【0094】
複合エマルジョン(Em)の外部相(We)の量は複合エマルジョン(Em)に対して所望される濃度に依存する。
逆エマルジョン(Ei)の質量対分散剤及び/又は安定剤(De)を含む外部相(We)の質量比は50/50〜99/1、好ましくは70/30〜98/2、最も特別には70/30〜80/20の範囲とすることができる。
固体で表して、分散剤及び/又は安定剤(De)の質量対内部逆エマルジョン(Ei)の質量の比率は0.01/100〜50/100、好ましくは0.1/100〜10/100、最も特別には0.5/100〜5/100の範囲とすることができる。
外部相(We)中の分散剤及び/又は安定剤(De)の濃度は1%〜50%の範囲とすることができる。
【0095】
好ましくは、エマルジョン(E)は、内部エマルジョン(Ei)が70重量%を占める複合エマルジョン(Em)である。
外部相(We)中に分散している内部逆エマルジョン(Ei)の小滴の平均径は好ましくは200μm未満であり;好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜15μmの範囲とすることができる。
本発明の良好な実施のために、外部相(We)中に分散している内部逆エマルジョン(Ei)の小滴の平均径は、疎水性相中に分散している内部水性相(Wi)の液滴の平均径よりも少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、最も特別には少なくとも10倍の大きさである。
【0096】
外部相(We)は水性相又は水混和性の非水性相とすることができる。“水混和性”とは25℃で巨視的な二相溶液を形成することがないことを意味する。
外部相(We)が水混和性の非水性相のときは、外部相(We)は特にアルコール又は水−アルコール相(とりわけイソプロピルアルコール、エタノール等をベースとした相)である。
好ましくは、外部相(We)は水性相である。
外部水性相のpHは限定的ではなく、本発明の用途に依存する。pHは0〜14、好ましくは2〜11、より好ましくは5〜11の範囲とすることができる。
指針としては、洗剤浴中に存在するファブリック表面に疎水性活性材料を運搬するためにエマルジョン(Em)を使用するケースでは、濃縮された複合エマルジョン(Em)の外部水性相(We)のpHは5〜11、好ましくは6〜8の範囲とすることができる。
【0097】
外部相(We)は、好ましくは水性であるが、親水性活性材料、特に抗菌剤、例えばメチルクロロイソチアゾリノン及びメチルイソチアゾリノン(Rohm&Haas社により販売されているKathon(登録商標)CG)、更にはpHを調節するための緩衝剤、浸透圧を調節するための添加剤、例えば塩(塩化若しくは硫酸ナトリウム、塩化カルシウム等)又は糖(グルコース)又は多糖(デキストラン糖)を含有することもできる。
塩、糖及び/又は多糖の濃度は外部(We)及び内部(Wi)相の浸透圧が平衡化するような濃度である。
【0098】
本発明の第一の特定の実施形態によれば、疎水性相(O)に含有される又はこれを構成する活性材料(A)は紡織繊維製物品のケア又は洗浄の分野において有用な疎水性活性材料であり、外部相(We)は少なくとも1種の非イオン性親水性界面活性剤と少なくとも1種の陰イオン性親水性界面活性剤との混合物に、少なくとも1種の非イオン性親水性(両親媒性)ポリマーを随意に組み合わせて作った分散剤及び/又は安定剤(De)を含有する水性液体洗剤処方物である。外部水性相(We)中の親水性化合物(De)の濃度は10重量%〜60重量%、好ましくは15重量%〜50重量%の範囲とすることができ、そのpHは6〜8の範囲とすることができる。非イオン界面活性剤/陰イオン界面活性剤の質量比は、固体で表して、3/1〜1/1の範囲とすることができる。
【0099】
本発明の第二の特定の実施形態によれば、活性材料(A)は紡織繊維製物品のケア又は洗浄の分野において有用な疎水性活性材料であり、外部相(We)は少なくとも1種の非イオン性親水性界面活性剤と少なくとも1種の陰イオン性親水性界面活性剤との混合物に、少なくとも1種の非イオン性親水性(両親媒性)ポリマーを随意に組み合わせて作った分散剤及び/又は安定剤(De)を含有する水混和性の非水性液体洗剤処方物である。非水性の外部相(We)中の親水性化合物(De)の濃度は10重量%〜60重量%、好ましくは15重量%〜50重量%の範囲とすることができる。非イオン性界面活性剤/陰イオン性界面活性剤の質量比は、固体で表して、3/1〜1/1の範囲とすることができる。
【0100】
本発明の第三の特定の実施形態によれば、活性材料(A)は紡織繊維製物品のケアの分野において有用な疎水性活性材料であり、外部相(We)は少なくとも1種の陽イオン性親水性界面活性剤及び/又は少なくとも1種の陽イオン性親水性(両親媒性)ポリマーに、少なくとも1種の非イオン性親水性界面活性剤及び/又は少なくとも1種の非イオン性親水性(両親媒性)ポリマーを随意に混合して作った分散剤及び/又は安定剤(De)を含有する水性液体すすぎ処方物である。非イオン性界面活性剤及び/又は非イオン性ポリマーが存在するときは、陽イオン/非イオン混合物の重量の最大50重量%までを占めることができる。外部水性相(We)中の親水性化合物(De)の濃度は3.5重量%から20重量%の範囲とすることができ、そのpHは2.5〜6の範囲とすることができる。
【0101】
本発明の第四の特定の実施形態によれば、活性材料(A)は塗料の分野において有用な疎水性活性材料であり、外部相(We)は水性塗料処方物である。
【0102】
本発明の第五の特定の実施形態によれば、活性材料(A)は身体又は髪のメークアップ又はケアの分野、及び身体、髪、歯又は口の衛生分野において有用な疎水性活性材料であり、外部相(We)は化粧用水性処方物、又は身体、髪、歯又は口の衛生用の処方物である。
【0103】
本発明に係る複合エマルジョン(Em)は一つのみの反応器又は二つの反応器を必要とする技術を使用することによって得ることができる。
一反応器技術は以下の工程
(a)逆エマルジョン(Ei)の調製
(b)剤及び/又は安定剤(De)を含有する外部相の調製
(c)外部相を逆エマルジョン(Ei)に攪拌せずに導入
(d)該混合物を攪拌
を実施することによって行うことができる。
逆エマルジョン(Ei)を調製する工程(a)は、先述の通りに行うことができる。
外部相(We)を調製する工程(b)は、外部相(We)の成分(好ましくは水)と分散剤及び/又は安定剤(De)を混合することによって行うことができる。
【0104】
また、外部相(We)は保存剤及び浸透圧調節剤のような助剤を含むこともできる。
外部相の調整は室温で行うことができる。
しかしながら、外部相(We)は逆エマルジョン(Ei)を調製する温度領域で調製するのが有利であろう。
外部相(We)が得られた後は、撹拌せずに、工程(c)中で逆エマルジョン(Ei)に加える。
次に、外部相(We)の全部を逆エマルジョン(Ei)に導入した後は、その混合物を撹拌する(工程(d))。
有利には、撹拌は中程度の−剪断混合機を用いて実施する。例えばフレームパドルを備えた攪拌機、プレナリー型ミキサー、或いは、可動式ドクターブレード及び反対方向に回転する(向流撹拌)パドルを有するミキサーを使用する。
好ましくは、撹拌操作は疎水性相(O)が液体状にある温度で、より特別には10〜80℃の温度で行う。
【0105】
内部逆エマルジョン(Ei)の小滴の平均径は有利には1〜100μm、より特別には1〜20μm、有利には5〜15μmの範囲である。累積分布の50%に等しい小滴の直径を表す体積メジアン径(d50)に対応する平均小滴径は、Horiba社製の装置及び/又は光学顕微鏡を用いて測定される。
エマルジョン(Em)の種々の成分は上述した量で使用することができる。
(We)が水性相のときは、水性相のpH値には制限はないが、塩基(水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)又は酸(塩酸)を加えることによって外部水性相のpHを調整することが有利であろう。
例示的には、外部水性相の通常のpH範囲は0〜14、好ましくは2〜11、より好ましくは5〜11である。
【0106】
この撹拌工程(d)の後、濃縮複合エマルジョンが得られる。その逆エマルジョン/外部相(We)の重量比は50/50〜99/1、好ましくは70/30〜98/2、最も特別には70/30〜80/20の範囲とすることができる。
【0107】
二反応器技術は以下の工程:
(a)分散剤及び/又は安定剤(De)を含有する外部相(We)を上記と同様に調製
(b)逆エマルジョン(Ei)を上記と同様に調製
(c)逆エマルジョン(Ei)を外部相(We)に撹拌しながら徐々に導入
を実施することによって行うことができる。
実際の複合エマルジョンを調製する工程(c)は撹拌しながら行う。撹拌はフレームパドルを用いて行うことができる。典型的には、撹拌速度は比較的遅く、400rpm程度である。
得られた複合エマルジョン(Em)は一反応器技術により得たものと同様である。
【0108】
同様の複合エマルジョン(Em)を調製するための別の二反応器技術は以下の工程:
(a)逆エマルジョン(Ei)を上記と同様に調製;調製した逆エマルジョン(Ei)を二つの部分に分割
(b)分散剤及び/又は安定剤(De)を含有する外部相(We)を調製
(c)外部相(We)を逆エマルジョン(Ei)の第一部分に攪拌せずに導入
(d)該混合物を撹拌
(e)逆エマルジョン(Ei)の残部を工程(d)で得た複合エマルジョンに徐々に撹拌しながら導入
を使用する。
分散剤及び/又は安定剤(De)が安定剤(Di)を構成する少なくとも1種の水溶性若しくは水分散性多糖(PSA)を材料として作られるときは、複合エマルジョン(Em)は疎水性(O)成分、安定剤(Di)、及び外部相(We)成分から形成される混合物に対して高剪断撹拌操作を行うことで直接得ることができる。
【0109】
固体形態(Es)
本発明の固体形態(Es)にあるエマルジョンは、複合エマルジョン(Em)の外部相に、以下を材料とするマトリクス(M)を加えることによって得ることができる。
− 乾燥及び随意的に結晶化した後に、複合エマルジョン(Em)の外部相の存在中で、固体殻を形成することのできる水溶性若しくは水分散性化合物
− 複合エマルジョン(Em)を吸着及び/又は吸収することができ、及び/又は水和することができ、と同時に固体形態を維持したままである、水溶性若しくは水分散性固体材料、或いは
− 複合エマルジョン(Em)を吸着及び/又は吸収することができる不溶性固体材料
【0110】
複合エマルジョン(Em)の外部相(We)は好ましくは水性である。
マトリクス(M)を形成することのできる材料の中では:
・ 以下の水溶性若しくは水分散性の有機及び無機化合物:
− 2000〜100,000g/molの分子量のポリエチレングリコール(PEG)
エチレン不飽和カルボン酸若しくはその無水物とエチレン不飽和非イオン性モノマーとのコポリマー
− 天然若しくは合成由来の水溶性若しくは水分散性ポリペプチド(PP)
− 弱ポリ酸の類に属し、分子量が20000g/mol未満、好ましくは1000〜5000g/molの分子量をもつ酸の形態にあるポリ電解質(PE)
− 分子量が20000g/mol未満、好ましくは1000〜10000g/molであるポリビニルピロリドン(PVP)
− 分子量が100000g/mol未満で、好ましくは脱アセチル化度が80mol%〜99mol%、好ましくは87mol%〜95mol%のポリビニルアルコール(PVA)
− 水分散性若しくは水溶性の膜形成性両性ポリマー(AP)
− 水溶性若しくは水分散性の糖、配糖体(オシド)又はポリホロシド(Oz)
アミノ酸(AA)、又はアミノ酸の水溶性若しくは水分散性の塩
クエン酸
脂肪酸
尿素
界面活性剤(SA)(水−界面活性剤の二相図は、25℃においては界面活性剤の濃度が少なくとも50重量%となるまでは流体である等方相と、更に高濃度での六方晶又は立方晶型の硬質液晶相(少なくとも60℃までは安定である。)とを有する。)
水溶性若しくは水分散性のアルカリ金属塩、例えばケイ酸アルカリ金属(Sil)、炭酸塩(Carb)、リン酸塩(Phos)、硫酸塩、ホスホン酸塩、酢酸塩又はクエン酸塩、及び飽和若しくは不飽和脂肪酸の塩(ステアリン酸塩)、及び酢酸ナトリウムとクエン酸との混合物、或いは
これらの混合物
・ 更には、不溶性の多孔質材料、例えばアルカリ土類金属の炭酸塩又は粘土
を挙げることができる。
【0111】
エチレン不飽和カルボン酸若しくはその無水物とエチレン不飽和非イオン性モノマーとのコポリマーの中では、エチレン不飽和性で直鎖状若しくは分枝状の脂肪族、脂環式又は芳香族のモノカルボン酸、ポリカルボン酸又はその無水物と2〜20個の炭素原子をもつα−モノオレフィンとのコポリマーが挙げられる。
酸又はその無水物のモノマーの中では、3〜10個の炭素原子をもつもの、好ましくは次式:
(R2’)(R2’’)C=C(R2’’’)COOH
(式中、R2’、R2’’及びR2’’’は同一の又は異なるものであり、
・ 水素原子、
・ 1〜4個の炭素原子をもつ炭化水素ベースの基、好ましくはメチル、
・ −COOH基、
・ −R−COOH基(但し、Rは1〜4個の炭素原子をもつ炭化水素ベースの残基、好ましくは1又は2個の炭素原子をもつアルキレン残基、最も特別にはメチレンを表す。)
で表されるものが挙げられる。
好ましくは、R2’及びR2’’の少なくとも一方は水素である。
例示的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸又はイタコン酸又はそれらの無水物が挙げられる。
α−モノオレフィンモノマーの中では、エチレン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン(又は2,4,4−トリメチル−1−ペンテン)、及び2−メチル−3,3−ジメチル−1−ペンテンを特に挙げることができる。
2種類のモノマー間のモル比は30/70〜70/30の範囲であるのが好ましい。
好ましくは、式(i)のコポリマーは無水マレイン酸と2,4,4−トリメチル−1−ペンテンとの重合から誘導される。
この種のコポリマーは当業者に周知である。この種のポリマーとしてはRhodiaChime社よりGeropon(登録商標)EGPM及びT36(無水マレイン酸/ジイソブチレン)の商品名で販売されている製品、BASF社よりSokalan(登録商標)CP9の商品名で販売されている製品が挙げられる。
【0112】
水溶性若しくは水分散性の合成ポリペプチド(PP)の中では、アミノ酸又はアミノ酸前駆物質、特にアスパラギン酸、グルタミン酸又はそれらの前駆物質の重縮合、及び加水分解によって誘導されるホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。これらのポリマーはアスパラギン酸又はグルタミン酸から誘導したホモポリマー、又はアスパラギン酸とグルタミン酸を任意の比率として誘導したコポリマー、又は、アスパラギン酸及び/又はグルタミン酸とその他のアミノ酸とから誘導したコポリマーの何れとしてもよい。共重合可能なアミノ酸の中では、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、ヒスチジン、プロリン、リシン、セリン、スレオニン、システイン等が挙げられる。
植物由来のポリペプチド(PP)の中では、植物由来の蛋白質が挙げられる。蛋白質は40%に等しいかそれ未満、例えば5%〜40%未満の加水分解度で加水分解されているのが好ましい。
植物由来の蛋白質の中では、指針としては、蛋白質を産生する種子、特にエンドウ、ソラマメ、ルピナス、豆及びレンズマメの種子から誘導した蛋白質;穀類の種子、特に小麦、大麦、ライ麦、トウモロコシ、米、オート麦及び雑穀の種子から誘導した蛋白質;油を産生する種子、特に大豆、落花生、ヒマワリ、菜種及びココナッツの種子から誘導した蛋白質;葉、特にアルファルファ及びイラクサの葉から誘導した蛋白質;そして、地下植物貯蔵器官、特にジャガイモ及びビート根の貯蔵器官から誘導した蛋白質を挙げることができる。
動物由来の蛋白質としては、例えば、筋蛋白、特にストロマの蛋白質、及びゼラチン;乳、特にカゼイン及びラクトグロブリンから誘導した蛋白質;魚の蛋白質が挙げられる。
蛋白質は好ましくは植物由来であり、より特別には大豆又は小麦に由来する。
【0113】
ポリ電解質(PE)は次の一般式:
(R1)(R2)C=C(R3)COOH
(式中、R1、R2及びR3は、同一の又は異なるものであり、
・ 水素原子、
・ 1〜4個の炭素原子をもつ炭化水素ベースの基、好ましくはメチル、
・ −COOH基、
・ −R−COOH基(但し、Rは1〜4個の炭素原子をもつ炭化水素ベースの残基、好ましくは1又は2個の炭素原子をもつアルキレン残基、最も特別にはメチレンを表す。)
を有するモノマーを重合することにより誘導されるものから選択することができる。
【0114】
非制限的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びクロトン酸が挙げられる。
上記の一般式に対応するモノマーから得たコポリマー、及びこれらのモノマーとその他のモノマー(とりわけ、ビニル誘導体、例えばビニルアルコール及び共重合性アミド、例えばアクリルアミド又はメタクリルアミド)を使用して得たコポリマーも好適なコポリマーである。また、アルキルビニルエーテルとマレイン酸とから得たコポリマー、更にはビニルスチレンとマレイン酸とから得たコポリマーを挙げることもできる。これらは特に「Kirk-Othmer百科事典、題名“Encyclopedia of Chemical Technology” - Volume 18 - 3rd edition - Wiley interscience出版−1982年」に記載されている。
好ましいポリ電解質は低重合度である。ポリ電解質の重要平均分子量はより特別には20000g/mol未満である。好ましくは、1000〜5000g/molである。
【0115】
両性ポリマー(AP)はpHの関数として陰イオン又は潜在的な陰イオン電荷と、pHの関数として陽イオン又は潜在的な陽イオン電荷とを有するポリマーである。潜在的な陰イオン電荷又は潜在的な陽イオン電荷は陽イオン電荷の全数に対する陰イオン電荷の全数の比率の計算に考慮される。
両性の膜形成性ポリマー(AP)は一般に、水性ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)によって測定して、500000g/mol未満の分子量を有する。
両性の膜形成性ポリマー(AP)は陰イオン性及び陽イオン性のエチレン不飽和モノマーから得ることができる。更に中性モノマーも含有するモノマーの混合物から得ることもできる。
陰イオン性エチレン不飽和モノマーはアクリル、メタクリル、フマル、マレイン又はイタコン酸又はそれらの無水物、N−メタクリロイルアラニン、N−アクリロイルヒドロキシグリシン等又はそれらの水溶性塩;スルホン化又はホスホン化した水溶性エチレン不飽和モノマー(例えばスルホプロピルアクリレート又はその水溶性塩、水溶性スチレンスルホネート、ビニルスルホン酸及びその水溶性塩、又はビニルホスホン酸及びその水溶性塩)から選択することができる。
陽イオン性エチレン不飽和モノマーは:
* アミノアクリロイル又はアクリロイロキシモノマー、例えばトリメチルアミノプロピルメタクリレート塩化物、トリメチルアミノエチル−アクリルアミド(若しくは−メタクリルアミド)塩化物若しくは臭化物、トリメチルアミノブチル−アクリルアミド(若しくは−メタクリルアミド)メチル硫酸、トリメチルアミノプロピルメタクリルアミドメチル硫酸(MES)、(3−メタ−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム塩化物(MAPTAC)、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム塩化物(APTAC)、メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウム−塩化物(若しくは−メチル硫酸)、及びアクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物;
* 1−エチル−2−ビニルピリジニウム−臭化物、塩化物若しくはメチル硫酸;
* N,N−ジアルキルジアリルアミンモノマー、例えばN,N−ジメチルジアリルアンモニウム塩化物(DADMAC);
* 4級モノマー、例えばジメチルアミノプロピルメタクリルアミド塩化物、N−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム塩化物(DIQUAT)等
から選択することができる。
【0116】
エチレン不飽和中性モノマーはアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ビニルアルコール、アルキル若しくはヒドロキシアルキル−アクリレート(若しくは−メタクリレート)、ポリオキシアルキレングリコール−アクリレート(若しくは−メタクリレート)等から選択することができる。
【0117】
両性ポリマー(AP)としては以下のコポリマー又はターポリマーを最も特別に挙げることができる。
* MAPTAC/アクリル若しくはメタクリル酸;DIQAT/アクリル若しくはメタクリル酸;DADMAC/アクリル若しくはメタクリル酸;
* MES/アクリル若しくはメタクリル酸/DMAEMA;
* MAPTAC/アクリル酸/アクリルアミド;MAPTAC/無水マレイン酸/アクリルアミド;MAPTAC/ビニルスルホン酸/アクリルアミド;
* DADMAC/アクリル酸/アクリルアミド;DADMAC/無水マレイン酸/アクリルアミド;DADMAC/ビニルスルホン酸/アクリルアミド;
* DIQUAT/アクリル酸/アクリルアミド;DIQUAT/無水マレイン酸/アクリルアミド;DIQUAT/ビニルスルホン酸/アクリルアミド
陽イオン電荷の全数に対する陰イオン電荷の全数の比率は0.1〜10の範囲となり得る。
【0118】
糖(Oz)には、アルドース(例えばグルコース、マンノース、ガラクトース及びリボース)、及びケトース(例えばフルクトース)が挙げられる。
配糖体は、糖分子同士の又は糖分子と非炭水化物分子の、脱水縮合によって得られる化合物である。好ましい配糖体には、炭水化物ユニットだけを結合することで形成されるホロシド、とりわけ、限られた数(すなわち通常は10に等しいか又はそれ未満)の該ユニットのみを有するオリゴホロシド(又はオリゴ糖)がある。オリゴホロシドの例としては、スクロース、ラクトース、セロビオース、マルトース及びトレハロースが挙げられる。
水溶性若しくは水分散性ポリホロシド(又は多糖)は高度に解重合されており;これらは、例えば、P. Arnaudの著書である「“Cours de Chimie Organique”, Gaultier-Villars出版, 1987年」に記載されている。とりわけ、これらのポリホロシドの平均重量分子量は500000g/mol未満、好ましくは20000g/mol未満である。
ポリホロシドの非限定的な例としては、セルロース及びセルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース)及びカラゲーニンが挙げられ;高度に解重合されたポリホロシドにはデキストラン、デンプン、キサンタンガム及びガラクトマンナン(例えばグアル又はイナゴマメ)が挙げられる。上記の多糖は100℃超の融点と、5〜500g/Lの水溶解度を有しているのが好ましい。
【0119】
アミノ酸(AA)としては、モノアミノ−モノカルボン酸(若しくは−ジカルボン酸)及びジアミノモノカルボン酸、並びにこれらの水溶性誘導体が挙げられる。
アミノ酸(AA)は酸塩基特性をもつ側鎖を有するのが好ましく;アルギニン、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びヒドロキシグルタミン酸から特に選択され;誘導体の形態でもよく(好ましくは水溶性である。);例えば、ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩、具体的にはグルタミン酸、アスパラギン酸又はヒドロキシグルタミン酸のナトリウム塩である。
【0120】
マトリクス(M)を構成することのできる界面活性剤(SA)に関しては、流体等方相及び六方晶又は立方晶型の硬質液晶相についての記載が「R.G. Laughlinの著書、“The Aqueous Phase Behavior of Surfactants”、Academic Press出版、1994年」にある。放射線(X線及び中性子)散乱による同定法が「V. Luzzatiの著書、“Biological Membranes, Physical Fact and Function”、Academic Press出版、1968年」に記載されている。
より特別には、硬質液晶相は少なくとも55℃に等しい温度までは安定である。流体等方相は注ぐことが可能であるが、硬質液晶相は注ぐことができない。
界面活性剤(SA)の中では、6〜24個の炭素原子、好ましくは8〜16個の炭素原子をもつ飽和若しくは不飽和で置換若しくは非置換の炭化水素ベースの鎖を有する、イオン性糖脂質界面活性剤、特にウロン酸の誘導体(ガラクツロン酸、グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−イズロン酸、L−グルロン酸等)、或いはそれらの塩が挙げられる。この種の製品は特許出願EP532370に特に記載されている。
界面活性剤(SA)のその他の例は両性界面活性剤であり、例えば両性アルキルポリアミン誘導体であり、具体的にはRhone−Poulenc社より販売されているAmphionic XL(登録商標)、Mirataine H2C−HA(登録商標)、更にはBerol Nobel社より販売されているAmpholac 7T/X(登録商標)及びAmpholac 7C/X(登録商標)である。
ケイ酸アルカリ金属(Sil)の中では、SiO2/M2Oのモル比が1.6〜3.5であるものが特に挙げられる(Mはナトリウム又はカリウム原子を表す。)。
リン酸アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属(Phos)の中では、無水ヘキサメタリン酸ナトリウム及び無水トリポリリン酸ナトリウムが特に挙げられる。
【0121】
炭酸塩の中では、ナトリウム又はカルシウム塩が特に挙げられる。
使用されるマトリクス(M)の量は、固体として表して、固体形態のエマルジョン(Es)の重量の20%〜80%、好ましくは30%〜70%を占めるような量である。
【0122】
固体形態(Es)にある複合エマルジョン(Em)は、マトリクスの種類に応じて種々の方法で調製することができる。
80℃未満の温度で溶解し且つ結晶性のマトリクス(例えば分子量が2000〜1000000g/mol、好ましくは3000〜50000g/molの範囲のポリエチレングリコール)であるときは、固体状の複合エマルジョン(Em)は、約60〜80℃の温度で溶解するポリエチレングリコール(又はその水溶液)を複合エマルジョン(Em)に加え、その後に換気オーブン中で薄膜として乾燥/冷却して結晶化し、そしてフレーク化する(薄片に剥がす)ことによって調製することができる。
【0123】
該方法の一変形例では、(De)を含有する溶融ポリエチレングリコール中に60〜80℃の温度で逆エマルジョン(Ei)を分散し、その後換気オーブン中で薄膜として乾燥/冷却して結晶化し、そしてフレーク化することによって複合エマルジョン(Em)を調製する。
【0124】
水和、吸着及び/又は吸収後に固体形態を維持することのできる無水で多孔性及び/又は水和性の材料(好ましくは無機材料)でできたマトリクス、例えばトリポリリン酸ナトリウム又は炭酸ナトリウムのときは、サポート上に該材料上を置いて、随意に穏やかな乾燥を行うことによって固体形態に調製することができる。
【0125】
固体形態(Es)のエマルジョン(E)を調製する一つの好適な形態によれば、複合エマルジョン(Em)の外部水性相は、複合エマルジョンを乾燥するための添加剤として、100℃未満では溶解しない少なくとも1種の水溶性若しくは水分散性の化合物(M)を含む。具体的には、該化合物が存在すると、複合エマルジョンを乾燥(換言すれば、該エマルジョンから外部水を除去)して、顆粒(又は任意の形態)を得ることが可能となる。
【0126】
複合エマルジョン(Em)は、分散剤及び/又は安定剤(De)を好ましくは含む水で希釈し、マトリクス(M)に導入して、その後に乾燥するのが有利である。
乾燥操作(外部水性相の水の除去)は当業者に知られた任意の手段で行うことができる。
好ましくは、乾燥は外部水性相の少なくとも90重量%が除去されるように行う。
乾燥はオーブン中で、好ましくは薄膜にして行うことができる。通常は、乾燥温度は100℃に等しいか又はそれ未満である。より特別には、50℃〜90℃の温度が本方法を実施するのに好適である。
エマルジョンを乾燥する別の形態は“迅速な”方法である。噴霧乾燥、Duprat(登録商標)ドラム又は凍結乾燥(凍結−昇華)を使った乾燥がこの点において好適である。
噴霧乾燥は任意の公知の装置、例えば、ノズル噴射を組み合わせたスプレー塔や高温ガス流を用いたタービンを用いて通常の方法で実施することができる。ガス入口温度は約100℃〜200℃で、噴霧ガス出口温度は好ましくは55〜100℃である。これらの温度は指針として与えるものであり、種々の成分の熱安定性に依存する。その上、顆粒中で所望される最終的な水分量に応じて規定される。
有利には、顆粒の望ましい平均径(d50)は100μm〜数ミリメートル(Sympatec社)であり、好ましくは100〜800μmである。そのような顆粒は二重効果アトマイザー(乾燥/顆粒化)を用いて直接得ることができる。また、単一効果アトマイザー(乾燥)とマトリクス(M)の材料を随意に含有する水を噴霧する顆粒化装置(流動床)を組み合わせて使用することで得ることもできる。
Duprat(登録商標)ドラム、又は例えば掻取りによって乾燥用サポートから分離される乾燥フィルムを迅速に得るための任意の手段を使用して行う複合エマルジョンの乾燥操作の場合は、フレーク又は粉末が得られ、これは随意に挽くことができる。必要であれば、該フレークは凝集顆粒を得るために後処理(例えば凝集工程)を受けてもよい。
有利には、得乾燥直後に得られた顆粒の平均径(d50)は100μm〜数ミリメートル(Sympatec社)であり、好ましくは100〜800μmである。
固結防止剤及び充填剤(例えばシリカ、カオリン、二酸化チタン等)のような添加剤を顆粒に組み込むことができることに留意されたい。
これらの添加剤は乾燥中に又は事後添加することにより導入することができる。
【0127】
本発明の第二の主題は、少なくとも1種の疎水性活性材料(A)を含有し及び/又はこれから成る液状若しくは溶解性の疎水性相(O)を有するエマルジョン(E)の使用であって、該エマルジョン(E)は、基材(S)に接触している水性媒体(B)として、少なくとも1種の疎水性活性材料(A)を含有し及び/又はこれから成る前記疎水性相(O)を前記基材(S)へ運搬するための使用である。
前記エマルジョン(E)は:
・以下、
− 前記液状若しくは溶解性の疎水性連続相(O)、水性分散相(Wi)、及びこれら二相の界面における少なくとも1種の水溶性若しくは水分散性の安定剤(Di)を有する内部逆エマルジョン(Ei)と
− 少なくとも1種の分散剤及び/又は安定剤(De)によって該内部エマルジョン(Ei)が分散している水性若しくは水混和性の外部相(We)と
を含む複合エマルジョン(Em)の形態にあるか、
・以下、
− 水溶性若しくは水分散性の固体マトリクス(M)中に分散した前記逆エマルジョン(Ei)と
− 前記逆エマルジョン(Ei)と該マトリクス(M)の界面に位置し、随意に該マトリクス(M)中に分散している前記分散剤及び/又は安定剤(De)と
を含む固体の形態(Es)(これは外部相(We)が水性である複合エマルジョン(Em)として水中に分散可能である。)にある。
前記エマルジョン(E)中の、内部逆エマルジョン(Ei)の二相の界面における前記安定剤(Di)は:
− 平均重合度(DP)が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも20、最も特別には少なくとも100であり、
− 1質量%の水溶液としてのブルックフィールド粘度(25℃)が20000mPa.s未満、好ましくは5000mPa.s未満、最も特別には1〜4500mPa.sであり、
親油性のポリオルガノシロキサン置換基をもたない水溶性若しくは水分散性の多糖(PSA)から選択される材料で作られる。
【0128】
前記基材(S)は、任意の材料(特に金属又は任意の天然、人工若しくは合成材料、或いはこれらの材料の混合物)で作ることができる。
【0129】
前記疎水性相(O)は好ましくは、その本質的特性又はそれに起因する利益を前記基材に付与することのできる活性材料で作る。
【0130】
外部水性媒体(We)はそれ自体が水性媒体(B)を構成することができ、エマルジョンを基材(S)に付着又は塗布し、そして乾燥することによって疎水性相及び疎水性活性材料が基材(S)へ放出される。
【0131】
本発明に係るエマルジョンは塗料、好ましくは水性塗料に使用することができ、又は、それ自体が塗料、好ましくは水性塗料を構成することができ、特に、建材、プラスター、セメント、木材等のような種類の表面上に撥水剤(該撥水剤は該表面上に塗料が付着して乾燥すると放出される。)を運搬するために使用することができる。
【0132】
金属を処理するために使用することもできる。
【0133】
同様に、本発明に係るエマルジョンは水性化粧用組成物中で使用することができ、又はそれ自体が水性化粧用組成物(保湿クリーム、サンクリーム、化粧(メークアップ)品、スタイリングジェル等)を構成することができる。疎水性相は任意の疎水性活性ケア材料(例えばコンディショニング剤、もつれほぐし剤(disentangling agent)等)、抗UV剤、顔料、染料等であるか又これらを含有することができる。
【0134】
また、本発明に係るエマルジョンは、肌に接触させることを意図した身体衛生又は家庭用クレンジング(例えば、ケア、クレンジング又は化粧落とし用の拭きもの、吸取り紙(ティッシュ)、生理用品(タオル)、おむつ等)のためのセルロース及び/又は合成由来の織布若しくは不織布を材料とした表面に、疎水性相(O)及び/又は疎水性相に含有される活性材料(A)の本質的利益を与えるのに使用することもできる。斯かる利益は前記表面の製造中又は前記表面の後処理時に与えることができる。斯くして柔軟性、消臭性、芳香性、殺菌性等が付与され得る。
【0135】
また、本発明に係るエマルジョンは、疎水性、消臭性、殺菌性、芳香性等を付与するために、厚紙(cardboard)又は厚紙梱包の製造中に、又はその後処理用に使用することもできる。
【0136】
本発明の第二の主題はとりわけ、少なくとも1種の疎水性活性材料(A)を含有し及び/又はこれから成る液状若しくは溶解性の疎水性相(O)を有するエマルジョン(E)の使用であって、該エマルジョン(E)は、基材(S)に接触している水性媒体(B)中で、少なくとも1種の疎水性活性材料(A)を含有し及び/又はこれから成る前記疎水性相(O)を前記基材(S)へ運搬するために使用される。前記水性媒体は前記エマルジョン(E)の希釈及び/又は前記エマルジョン(E)の希釈後の乾燥によってエマルジョン(E)の不安定化及び/又は破壊を引き起こし、そして、疎水性相(O)中に含有される又はこれを構成する活性材料(A)の基材(S)への供給及び/又は放出を引き起こすのに充分な体積を有する。
前記エマルジョン(E)は:
・以下、
− 前記液状若しくは溶解性の疎水性連続相(O)、水性分散相(Wi)、及びこれら二相の界面における少なくとも1種の水溶性若しくは水分散性の安定剤(Di)を有する内部逆エマルジョン(Ei)と
− 少なくとも1種の分散剤及び/又は安定剤(De)によって該内部エマルジョン(Ei)が分散している水性若しくは水混和性の外部相(We)と
を含む複合エマルジョン(Em)の形態にあるか、
・以下、
− 水溶性若しくは水分散性の固体マトリクス(M)中に分散した前記逆エマルジョン(Ei)と
− 前記逆エマルジョン(Ei)と該マトリクス(M)の界面に位置し、該マトリクス(M)中に随意に分散している前記分散剤及び/又は安定剤(De)と
を含む固体の形態(Es)(これは外部相(We)が水性である複合エマルジョン(Em)として水中に分散可能である。)にある。
前記エマルジョン(E)中の、内部逆エマルジョン(Ei)の二相の界面における前記安定剤(Di)は:
− 平均重合度(DP)が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも20、最も特別には少なくとも100であり、
− 1質量%の水溶液としてのブルックフィールド粘度(25℃)が20000mPa.s未満、好ましくは5000mPa.s未満、最も特別には1〜4500mPa.sであり、
親油性のポリオルガノシロキサン置換基をもたない水溶性若しくは水分散性の多糖(PSA)から選択される材料で作られる。
【0137】
好ましくは、エマルジョン(E)は内部エマルジョン(Ei)が少なくとも70重量%を占める複合エマルジョン(Em)である。
【0138】
本発明の良好な実施のために、エマルジョン(Em)と水性媒体(B)の相対的な量は前記エマルジョン(Em)の体積の2倍〜100倍希釈相当とすることができる。
【0139】
本発明に係るエマルジョンはとりわけ、疎水性活性材料をヒドロキシアパタイト表面(歯)、ケラチン表面(肌、髪又は頭皮)又はテキスタイル表面に運搬し及び付着させるのに有利である。
【0140】
前記基材(S)がヒドロキシアパタイト(歯)で出来ているときは、疎水性相は爽快感を与える疎水性剤、歯垢除去剤、防腐剤等を含有することができる。エマルジョン(E)は、洗い流され若しくは希釈されることが意図される歯科若しくは口腔衛生用の組成物中に含有されることができ、又はそれ自体が該組成物を形成することができる。そのような組成物は歯磨き粉、口内洗浄剤等とすることができる。
【0141】
前記基材(S)は特にケラチン表面(肌及び髪)とすることができる。疎水性相は任意の疎水性活性ケア材料(例えば、コンディショニング剤、もつれほぐし剤等)、抗UV剤、顔料、染料等であるか又これらを含有することができる。エマルジョン(E)は洗い落とされ若しくは希釈されることが意図される化粧組成物(特にシャンプー、ヘアコンディショナー、シャワージェル等)中に含有されることができ、又はそれ自体が該組成物を形成することができる。
【0142】
前記基材(S)は革でもよく、疎水性相は、基材に対して疎水性、柔らかさ、柔軟性、外的な薬剤からの保護等を与える任意の疎水性活性材料であるか又はこれを含有することができる。
【0143】
最も好ましくは、前記基材(S)はテキスタイル材料で作られる。
【0144】
テキスタイル基材は紡織繊維の形態とすることができ、或いは、天然紡織繊維(綿、亜麻又はその他の天然セルロース基材、羊毛等)、人工紡織繊維(ビスコース、レーヨン等)若しくは合成紡織繊維(ポリアミド、ポリエステル等)、又はこれらの混合物を原料とする物品の形態とすることができる。
【0145】
好ましくは、前記基材はセルロース基材(特に綿)製のテキスタイル表面である。
【0146】
前記疎水性相(O)は好ましくはテキスタイルケア剤を材料とするのが好ましい。
【0147】
前述したオルガノシリコン材料(O1)及び有機材料(O2)の具体例が使用に好適であり、最も特別にはオルガノシリコン材料(特にアミン含有材料)である。
【0148】
滑剤疎水性相(O1)又は(O2)によってテキスタイル基材へ付与される利益は特に、柔らかさ、防しわ性、アイロンがけ容易性、耐摩耗性(特に衣服の着用による経年劣化や繰り返しの洗浄操作からの保護)、弾力性、色彩保護、芳香性の持続等の性質の供与である。
【0149】
紡織繊維製の物品をケアする分野においてその他の利益を与えるその他の活性材料の中ではとりわけ香料が挙げられる。香料は好ましくは、オルガノシリコン(O1)又は有機(O2)材料で特にできている疎水性相(O)中に溶解する。
【0150】
テキスタイル基材が利益を得るべく存在している水性浴(B)には非常に多くの種類がある。限定的ではないが、浸漬、洗浄、すすぎ、パジング等の浴とすることができる。
【0151】
本発明に係るエマルジョン(E)は特に、洗剤組成物の場合はすすぎ操作中及び/又は主たる洗浄操作後の乾燥操作中に、すすぎ組成物の場合は乾燥操作中に、疎水性ケア剤(テキスタイルケア剤)及び/又は任意のその他の疎水性活性材料を運搬し、紡織繊維製(特に綿)の物品上への前記剤又は材料の付着を促進することを目的とした、紡織繊維製の物品の洗浄又はすすぎを行うための洗剤組成物中の添加剤として、或いは紡織繊維製の物品の洗浄又はすすぎを行うための洗剤又はすすぎ組成物として使用することができる。
【0152】
具体的には、洗濯機で洗濯物を洗浄するための洗剤組成物として又は洗剤組成物中で、複合エマルジョン(Em)の形態又は疎水性ケア相(O)を含有する水分散性固体(Es)の形態にあるエマルジョン(E)を洗浄サイクル中で使用すると、すすぎサイクル中に柔軟すすぎ液を添加することなく、洗濯後の洗濯物は柔らかさ、柔軟性、防しわ性、アイロンがけ容易性、耐摩耗性、弾力性、色彩保護、芳香性の持続等の性質が与えられることを見いだした。
【0153】
また、洗濯物をすすぐためのすすぎ組成物として又はすすぎ組成物中で、複合エマルジョン(Em)の形態又は疎水性ケア相(O)を含有する水分散性固体(Es)の形態にあるエマルジョン(E)を使用すると、乾燥後の洗濯物は柔らかさ、柔軟性、防しわ性、アイロンがけ容易性、耐摩耗性、弾力性、色彩保護、芳香性の持続等の性質が与えられることを見いだした。
【0154】
活性材料(A)を含有する又はこれから成る疎水性相(O)の基材への付着は吸着、共結晶化、捕獲及び/又は粘着による付着とすることができる。
【0155】
本発明の第三の主題によれば、紡織繊維製の物品を洗浄するための組成物中に存在することのできる複合エマルジョン(Em)の形態又は水分散性固体(Es)の形態にあるエマルジョン(E)の量は、(複合エマルジョン(Em)として表される)エマルジョンと水性媒体(B)の相対的な量を前記エマルジョン(Em)の体積の2倍〜100倍希釈相当として、疎水性相(O)の量が該組成物の全重量の0.0001%〜25%、好ましくは0.0001%〜5%に相当するような量である。
【0156】
本発明の第三の主題によれば、紡織繊維製の物品のすすぎを行うための組成物中に存在することのできる複合エマルジョン(Em)の形態にあるエマルジョン(E)の量は、(複合エマルジョン(Em)として表される)エマルジョンと水性媒体(B)の相対的な量を前記エマルジョン(Em)の体積の2倍〜100倍希釈相当として、疎水性相(O)の量が該組成物の全重量の0.0001%〜25%、好ましくは0.0001%〜5%に相当するような量である。
【0157】
紡織繊維製物品用の圧縮粉若しくは非圧縮粉又は液体状の洗浄組成物は、陰イオン若しくは非イオン界面活性剤又はそれらの混合物から好ましくは選択される少なくとも1種の界面活性剤を含むことができる。
陰イオン界面活性剤の中では、(C8〜C15)アルキルベンゼンスルホナート(0〜30重量%、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは2〜15重量%の割合で)が挙げられる。
更に、第一若しくは第二硫酸アルキル(とりわけ第一硫酸(C8〜C15)アルキル);硫酸アルキルエーテル;オレフィンスルホネート;アルキルキシレンスルホネート;スルホコハク酸ジアルキル;脂肪酸エステルスルホネートが挙げられ、ナトリウム塩が一般に好ましい。
非イオン界面活性剤の中では、第一若しくは第二アルコールエトキシレート(とりわけ、アルコール1モル当たり1〜20モルのエチレンオキシドをもつC8〜C20の脂肪族アルコールエトキシレート、より特別にはアルコール1モル当たり1〜10モルのエチレンオキシドをもつC10〜C15の第一若しくは第二脂肪族アルコールエトキシレート)が挙げられる。エトキシ化していない非イオン界面活性剤(例えばアルキルポリグルコシド、グリセロールモノエーテル及びポリヒドロキシアミド(グルカミド))も挙げられる。
非イオン界面活性剤の含量は0〜30重量%、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは2〜15重量%であるのが好ましい。
【0158】
界面活性剤の種類及び量は洗剤組成物の用途に依存する。手洗いで又は機械で洗濯するために選ばれる界面活性剤の体系は処方者にとって周知である。
手洗い用の組成物中には界面活性剤は60重量%の量まで存在することができる。5〜40重量%が機械でテキスタイルを洗濯するのに一般に好適である。典型的には、上記組成物には少なくとも2重量%、好ましくは2〜60重量%、より好ましくは15〜40重量%、特に25〜35重量%が含まれる。
【0159】
陽イオン性モノアルキル界面活性剤を含有することも可能である。式R1234+-(式中、基Rは長鎖若しくは短鎖炭化水素ベースのアルキル、ヒドロキシアルキル又はエトキシ化アルキル鎖であり、Xは対イオンである(R1はC8〜C22、好ましくはC8〜C10、又はC12〜C14のアルキル基であり、R2はメチル基であり、R3及びR4は、同一の若しくは異なるものであってよく、メチル又はヒドロキシメチル基である。))で表される第4級アンモニウム塩;更には陽イオン性エステル(例えばコリンエステル)が挙げられる。
【0160】
大部分の洗濯機用の洗剤組成物は石鹸以外の陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、又はこれらの混合物、及び随意的に石鹸を一般に含有する。
【0161】
テキスタイルを洗濯するための洗剤組成物は少なくとも1種の洗剤助剤(“ビルダー”)を一般に含有する。洗剤助剤の全量は典型的には5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%である。
【0162】
無機助剤を挙げることができ、例えば炭酸ナトリウム、結晶若しくは非晶質アルミノケイ酸塩(固体として10〜70%、好ましくは25〜50%)、層状ケイ酸塩、無機リン酸塩(オルトリン酸、ピロリン酸及びトリポリリン酸のナトリウム塩)が挙げられる。とりわけ好適なアルミノケイ酸塩及びゼオライトに関する詳細はWO 03/020819に記載されている。
また、有機洗剤助剤も挙げることができ、例えばポリアクリレート、アクリル酸/マレイン酸コポリマー及びアクリルホスフィナートのようなタイプのポリマー;ポリカルボキシレートモノマー(例えばシトレート、グルコネート、オキシジスクシネート、グリセリルモノ−,ジ−及びトリスクシネート、ジピコリネート、ヒドロキシエチルイミノジアセテート、マロネート又はスクシネートのアルキル又はアルケニルエステル);スルホン化脂肪酸塩等が挙げられる。
好ましくは、有機洗剤助剤はシトレート(5〜30重量%%、好ましくは10〜25重量%)又はアクリルポリマーであり、より特別にはアクリル酸/マレイン酸コポリマー(0.5〜10重量%、好ましくは1〜10重量%)である。
【0163】
圧縮若しくは非圧縮粉末で出来ているときは、該組成物は好ましくは漂白系、特に溶液中に酸素を放出することのできる過酸化物、例えば無機過酸塩(過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩及び過硫酸塩、好ましくは過ホウ酸ナトリウム1水和物若しくは4水和物、及び過炭酸ナトリウム)又は有機ペルオキシ酸(過酸化尿素)を含有することができる。
過酸化物漂白化合物は0.1〜35重量%、好ましくは0.5〜25重量%の比率で存在するのが有利である。低温での漂白性を向上するために漂白活性剤と組み合わせることも出来る。これは0.1〜8重量%、好ましくは0.5〜5重量%の量で存在するのが有利である。好ましい活性剤は過酸化カルボン酸、特に過酢酸及び過ノナン酸である。最も特別にはN,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)及びノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(SNOBS)を挙げることができる。
【0164】
また、上記組成物は1種又は2種以上の酵素(特にプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及びリパーゼ)(0.1〜3重量%)、芳香剤(香料)、再付着防止剤、汚染防止剤、色移り中和剤、非イオン性柔軟剤等を含有するのが一般的である。
【0165】
また、テキスタイルを洗浄するための洗剤組成物は、洗剤媒体(例えばポリビニルアルコール)中に分散する材料で作った外皮に入った非水性液状タブレットの形態とすることもできる。
該組成物は少なくとも1種の水混和性アルコール(特にイソプロピルアルコール等)を5重量%〜20重量%の範囲で変動し得る量で含有する。
該組成物は陰イオン及び非イオン界面活性剤、又はそれらの混合物から好ましく選択される少なくとも1種の界面活性剤を20重量%〜75重量%の範囲で変動し得る量で含有することができる。
また、該組成物は有機洗剤助剤(“ビルダー”)(例えばクエン酸ナトリウム、ホスホネート等)を5重量%〜20重量%の範囲で変動し得る量で含有することができ、更には芳香剤、染料等も含有することができる。
【0166】
紡織繊維製物品のすすぎを行うための組成物は陽イオン又は非イオン性柔軟剤を含むことができる。該柔軟剤はすすぎ組成物の重量の0.5%〜35%、好ましくは1〜30%、より好ましくは3〜25%を占めることができる。
陽イオン性柔軟剤は、少なくとも20個の炭素原子をもつ単一のアルキル又はアルケニル鎖を有する実質的に水不溶性の第四級アンモニウム化合物であるか、或いは、好ましくは、少なくとも二つの極性頭部と少なくとも14個の炭素原子をもつ二つのアルキル又はアルケニル鎖とをもつ化合物である。最も好ましくは、柔軟剤化合物は少なくとも16個の炭素原子をもつ二つのアルキル又はアルケニル鎖を含有し、とりわけ少なくとも50%のアルキル又はアルケニル基は18個以上の炭素原子を有する。最も好ましくは、直鎖状のアルキル又はアルケニル鎖が支配的である。
【0167】
市販の柔軟すすぎ処方物中には、二本の長い脂肪鎖をもつ第四級アンモニウム化合物、例えば塩化ジステアリルジメチルアンモニウム又は塩化ジタローアルキルジメチルアンモニウムが非常によく用いられる。
【0168】
また、すすぎ組成物は非イオン性柔軟剤(例えばラノリン)を含むことができ;レシチン及びその他のリン脂質も好適である。また、すすぎ組成物は非イオン性安定剤(例えば、10〜20molのアルキレンオキシドをもつアルコキシ化したC8〜C22の直鎖状アルコール、C10〜C20のアルコール、及びこれらの混合物)を含むことができる。非イオン性安定剤は該組成物の0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%、最も特別には1〜4%を占める。第四級アンモニウム化合物及び/又はその他の陽イオン性柔軟剤対安定剤のモル比は好ましくは40/1〜1/1、好ましくは18/1〜3/1である。
【0169】
また、該組成物は脂肪酸(特にモノカルボキシル化(C8〜C24)アルキル若しくはアルケニル酸又はそれらのポリマー)を含むことができ、これらは好ましくは飽和した非鹸化物であり、例えばオレイン酸、ラウリン酸又はタロー酸である。これらは少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%の割合で使用することができる。濃縮組成物中では、これらは0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の割合で存在することができる。第四級アンモニウム化合物及び/又はその他の陽イオン性柔軟剤対脂肪酸のモル比は好ましくは10/1〜1/10である。
【0170】
本発明の最後の主題は、エマルジョン(E)を基材(S)と共に水性媒体(B)に接触させることによって、水性媒体(B)に接触している基材(S)へ、エマルジョン(E)の液状若しくは溶解性の疎水性相(O)中に含有される又はこれを構成する少なくとも1種の活性材料(A)を運搬する方法からなる。
前記エマルジョン(E)は:
・以下、
− 前記液状若しくは溶解性の疎水性連続相(O)、水性分散相(Wi)、及びこれら二相の界面における少なくとも1種の水溶性若しくは水分散性の安定剤(Di)を有する内部逆エマルジョン(Ei)と
− 少なくとも1種の分散剤及び/又は安定剤(De)によって該内部エマルジョン(Ei)が分散している水性若しくは水混和性の外部相(We)と
を含む複合エマルジョン(Em)の形態にあるか、或いは
・以下、
− 水溶性若しくは水分散性の固体マトリクス(M)中に分散した前記逆エマルジョン(Ei)と
− 前記逆エマルジョン(Ei)と該マトリクス(M)の界面に位置し、該マトリクス(M)中に随意に分散している前記分散剤及び/又は安定剤(De)と
を含む固体の形態(Es)(これは複合エマルジョン(Em)として水中に分散可能である。)にある。
前記エマルジョン(E)中の、内部逆エマルジョン(Ei)の二相の界面における前記安定剤(Di)は:
− 平均重合度(DP)が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも20、最も特別には少なくとも100であり、
− 1質量%の水溶液としてのブルックフィールド粘度(25℃)が20000mPa.s未満、好ましくは5000mPa.s未満、最も特別には1〜4500mPa.sであり、
親油性のポリオルガノシロキサン置換基をもたない水溶性若しくは水分散性の多糖(PSA)から選択される材料で作られる。
【0171】
本発明の最後の主題はとりわけ、エマルジョン(E)を基材(S)と共に水性媒体(B)に接触させることによって、水性媒体(B)に接触している基材(S)へ、エマルジョン(E)の液状若しくは溶解性の疎水性相(O)中に含有される又はこれを構成する少なくとも1種の活性材料を運搬する方法を指向する。前記水性媒体(B)は前記エマルジョン(E)の希釈及び/又は前記エマルジョン(E)の希釈後の乾燥によってエマルジョン(E)の不安定化及び/又は破壊を引き起こし、そして、疎水性相(O)中に含有される又はこれを構成する活性材料(A)の基材(S)への供給及び/又は放出を引き起こすのに充分な体積を有する。
前記エマルジョン(E)は:
・以下、
− 前記液状若しくは溶解性の疎水性連続相(O)、水性分散相(Wi)、及びこれら二相の界面における少なくとも1種の水溶性若しくは水分散性の安定剤(Di)を有する内部逆エマルジョン(Ei)と
− 少なくとも1種の分散剤及び/又は安定剤(De)によって該内部エマルジョン(Ei)が分散している水性若しくは水混和性の外部相(We)と
を含む複合エマルジョン(Em)の形態にあるか、或いは
・以下、
− 水溶性若しくは水分散性の固体マトリクス(M)中に分散した前記逆エマルジョン(Ei)と
− 前記逆エマルジョン(Ei)と該マトリクス(M)の界面に位置し、該マトリクス(M)中に随意に分散している前記分散剤及び/又は安定剤(De)と
を含む固体の形態(Es)(これは複合エマルジョン(Em)として水中に分散可能である。)にある。
前記エマルジョン(E)中の、内部逆エマルジョン(Ei)の二相の界面における前記安定剤(Di)は:
− 平均重合度(DP)が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも20、最も特別には少なくとも100であり、
− 1質量%の水溶液としてのブルックフィールド粘度(25℃)が20000mPa.s未満、好ましくは5000mPa.s未満、最も特別には1〜4500mPa.sであり、
親油性のポリオルガノシロキサン置換基をもたない水溶性若しくは水分散性の多糖(PSA)から選択される材料で作られる。
【0172】
好ましくは、エマルジョン(E)は少なくとも70重量%を逆エマルジョン(Ei)が占める複合エマルジョン(Em)である。
【0173】
前記方法を実施するための条件は既述してある。
【実施例】
【0174】
以下の実施例は指針として与える。
実施例では下記を使用した。
・ 疎水性相(O)及び活性材料(A)としては、Rhodia社より販売されているアミノシリコンオイルのRhodorsil(登録商標)Extrasoft;
・ 安定剤(Di)としては、
− Rhodia社より販売されている解重合グアーMeypro−Gat(登録商標)7(重量平均分子量:約47000、重合度:約300、水中濃度1%でのブルックフィールド粘度(25℃):1〜5mPas.s);
− モノ酢酸セルロース(重合度:約300、置換度:0.67、水中濃度1%でのブルックフィールド粘度(25℃):1〜5mPas.s);
・ 分散剤及び/又は安定剤(De)として、ICI−Uniqema社より販売されているHO(CH2CH2O)X(CH(CH3)CH2O)Y(CH2CH2O)ZHの式で表されるArlatone(登録商標)F127G
【0175】
実施例1:複合エマルジョン
逆エマルジョン(Ei)の組成:
・ 以下から成る50重量%の内部水性相:
水 90重量部
Meypro−Gat(登録商標)7 10重量部
・ 50重量%のアミノシリコンオイル相(O)
Rhodorsil(登録商標)Extrasoftオイル 100重量部
【0176】
逆エマルジョン(Ei)の調製:
内部水性相の調製
フレームパドル攪拌機(直径54mm、速度400rpm)の付いた1Lの反応器へ室温で水を導入した。
次いでMeypro−Gat(登録商標)7を攪拌しながら室温で徐々に導入した。
この混合物を室温で2時間攪拌してMeypro−Gat(登録商標)7のゲルの粒子を均質に分散させた。この分散液は回転子−固定子型の装置(Ultra−Turrax GT45型)を使用して随意に剪断することができる。内部水性溶液/分散液のpHは5〜7.5であった。
【0177】
逆エマルジョンの調製
フレームパドル攪拌機(直径90mm、速度400rpm)の付いた2Lの反応器へRhodorsil(登録商標)Extrasoftオイルを導入した。
次いで前記内部水性相を室温で45分間かけて導入した。
攪拌を15分間継続してエマルジョンを精製した。
逆エマルジョン(Ei)が得られ、その水性分散相(Wi)の粒径は1μmであった(Extrasoftオイルで予め希釈した又は希釈しない試料を光学顕微鏡で観察した。)
【0178】
複合エマルジョンの組成:
・ 91重量%の上記逆エマルジョン(Ei)
・ 9重量%の外部水性相(We)(これは、10重量%のArlatone(登録商標)F127Gを含有する水溶液、すなわち、
− 10%のArlatone(登録商標)F127G(乾燥)
− 90%の水
の9重量部から得られる。)
【0179】
複合エマルジョンの調製:
外部水性相の調製
マグネット棒攪拌機の付いた0.5Lのビーカーへ水を導入し、ArlatoneF127G粉末を室温で攪拌しながら徐々に導入した。
この混合物を室温で15分間攪拌して均質溶液(Arlatone F127Gの10%水溶液)を得た。
【0180】
二重エマルジョンの調製
上で調製した外部水性相を、フレームパドル攪拌機(直径90mm)の付いた2Lの反応器内の上で得られた逆エマルジョン(Ei)へ室温で攪拌せずに迅速に加えた。
次いでこの混合物を攪拌した(フレームパドル攪拌−直径90mm、速度200rpm)。複合エマルジョンがすぐに得られ、精製のために該エマルジョンに対して攪拌を10分間継続した。
【0181】
非注入性で粘性のあるクリームの形態にある濃縮複合エマルジョン(Em)が得られた。内部逆エマルジョンの液滴(d50)の平均粒径は10μm程度で、多分散性指数は低かった。
【0182】
実施例2:複合エマルジョン
10重量部のMeypro−Gat(登録商標)7を10重量部のモノ酢酸セルロースに置き換え、実施例1の手順に従って複合エマルジョンを調製した。
【0183】
実施例3:洗剤浴中でのRhodorsil(登録商標)Extrasoftオイルの綿への付着
試験
洗剤組成物を処方する者にとって周知の研究用Tergotometer中で試験を行った。この機械によれば、6個の洗濯ドラムの存在によって、米国式パルス型洗濯機の機械的及び熱的効果が模擬される。一連の試験を同時に行うことができ、時間の節約になる。
【0184】
準備
ドラムを40℃に加熱した。
硬度30°HTの水(希釈したContrexeville(登録商標)ミネラルウォーター)500mLを各ドラムに導入した。
機械洗濯用の洗剤粉末組成物5gを各ドラムに導入した(すなわち、10g/L)。
Tergotometerのスイッチを入れて(100周期/分で5分間)洗剤を溶解した。
【0185】
洗浄サイクル
0.5gのRhodorsil(登録商標)Extrasoftオイルに対応する量の実施例1又は実施例2で調製した二重エマルジョンを各ドラムに導入した。各ドラムに三つのテリータオルの綿製試験片(10cm×10cm)に導入した。
【0186】
100周期/分で20分間、試験片を洗浄した。
【0187】
すすぎサイクル
次いで、これら四角い布を各々5分間として冷水で3回すすいだ。
【0188】
乾燥
これら四角い布を取り出して空気乾燥した。
【0189】
柔軟性の評価は、ブラインドテストにより訓練を受けた専門家のパネルが行った。
得られた結果は下記の表(“エマルジョン”)に示すが、比較1及び比較2によって得られた結果と比較した。
・ 実施例1又は2の複合エマルジョンを加えずにTergotometerで洗浄した(“比較1”)。
・ 実施例1又は2の複合エマルジョンを加えずにTergotometerで洗浄し、その後に市販の柔軟剤を三回目のすすぎ時に加えてすすいだ(“比較2”)。
【0190】
得られた性能を表に示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の疎水性活性材料(A)を含有し及び/又はこれから成る液状若しくは溶解性の疎水性相(O)を有するエマルジョン(E)であって、前記エマルジョン(E)は:
・以下、
− 前記液状若しくは溶解性の疎水性連続相(O)、水性分散相(Wi)、及びこれら二相の界面における少なくとも1種の水溶性若しくは水分散性の安定剤(Di)を有する内部逆エマルジョン(Ei)と
− 少なくとも1種の分散剤及び/又は安定剤(De)によって該内部エマルジョン(Ei)が分散している水性若しくは水混和性の外部相(We)と
を含む複合エマルジョン(Em)の形態にあるか、
・以下、
− 水溶性若しくは水分散性の固体マトリクス(M)中に分散した前記逆エマルジョン(Ei)と
− 前記逆エマルジョン(Ei)と該マトリクス(M)の界面に位置し、随意に該マトリクス(M)中に分散している前記分散剤及び/又は安定剤(De)と
を含む固体の形態(Es)(これは外部相(We)が水性である複合エマルジョン(Em)として水中に分散可能である。)にあり、
前記エマルジョン(E)は、内部逆エマルジョン(Ei)の二相の界面における前記安定剤(Di)が:
− 平均重合度(DP)が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも20、最も特別には少なくとも100であり、
− 1質量%の水溶液としてのブルックフィールド粘度(25℃)が20000mPa.s未満、好ましくは5000mPa.s未満、最も特別には1〜4500mPa.sである、
水溶性若しくは水分散性の多糖(PSA)から選択される材料で作られ、また、該多糖(PSA)には親油性のポリオルガノシロキサン置換基をもたないことを特徴とするエマルジョン(E)。
【請求項2】
疎水性相(O)が、液状若しくは溶解性であり且つ水性相に不溶性の材料であって、少なくとも1種の有機若しくはオルガノシリコン材料で又は少なくとも1種の有機材料と少なくとも1種のオルガノシリコン材料との混合物で作られることを特徴とする請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
活性材料(A)が、液状若しくは溶解性であり且つ水性相に不溶性の材料であって、少なくとも1種の有機若しくはオルガノシリコン材料で又は少なくとも1種の有機材料と少なくとも1種のオルガノシリコン材料との混合物で作られるか、水性相に不溶な少なくとも1種の固体若しくは液体の無機材料で作られるか、或いは、少なくとも1種の前記無機材料と少なくとも1種の前記有機材料及び/又は少なくとも1種の前記オルガノシリコン材料との混合物で作られることを特徴とする請求項1又は2に記載のエマルジョン。
【請求項4】
前記疎水性相(O)及び/又は前記活性材料(A)は直鎖状、環状、分枝状若しくは架橋状のポリオルガノシロキサンで作られた油、ワックス又は樹脂であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項5】
前記ポリオルガノシロキサンは非イオン性又はアミノポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項4に記載のエマルジョン。
【請求項6】
前記疎水性相(O)及び/又は前記活性材料(A)が:
・ C1〜C30カルボン酸のモノ−,ジ−若しくはトリ−グリセリド又はそれらの混合物(特に植物油)
・ 工業油(特に煮沸、吹き込み又はスタンド油化された亜麻仁油)
・ スクロエステル及びスクログリセリド
・ C1〜C30カルボン酸又はC2〜C30ジカルボン酸とC1〜C30アルコールとのエステル
・ C1〜C30カルボン酸とエチレングリコール又はプロピレングリコールとのモノエステル又はジエステル
・ プロピレングリコールC4〜C20アルキルエーテル
・ ジ(C8〜C30)アルキルエーテル
・ 鉱物油(特にナフサ油、液状パラフィン及びポリブテン)
・ 4〜40個の炭素原子をもつアルキル鎖を有する有機ワックス(特に動物ワックス、植物ワックス、鉱物ワックス、4〜35個の炭素原子をもつ炭化水素ベースのワックス及び合成ワックス)
より選択される有機材料で作られることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項7】
活性材料(A)は、疎水性相(O)に含有され、そして、1または2種以上の香料分子、有機若しくはオルガノシリコンUV安定剤、疎水性殺菌剤、固体ポリアミドカプセル、シリカ粒子、又はその他の酸化物鉱物若しくは化合物の粒子で作られることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項8】
前記多糖(PSA)又はその骨格は、直鎖状又は分枝状で、非イオン性又はイオン性のホモ多糖又はヘテロ多糖であり、β(1−4)結合を介して連結した同一の又は異なるグリコシル単位を有し、その他の結合(特にβ(1−3)及び/又はβ(1−6)結合)を随意に有することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項9】
グリコシル単位の水酸基は、親油性ポリオルガノシロキサン基以外の非イオン性又はイオン性の基で置換及び/又は修飾されていることを特徴とする請求項8に記載のエマルジョン。
【請求項10】
前記多糖(PSA)が:
・ 非イオン性基(好ましくはヒドロキシプロピル)、陰イオン性基(好ましくはカルボキシメチル)又は陽イオン性基(好ましくはヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)によって随意に修飾又は置換された解重合ガラクトマンナン(好ましくはグアーガム);
・ 0.3〜1.2未満、好ましくは0.3〜1の置換度のモノ酢酸セルロース;
・ 0.2〜1.5の修飾度のヒドロキシプロピルセルロース;
・ 0.05〜1.2、好ましくは0.05〜1の置換度のカルボキシメチルセルロース;
・ ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又は四級化アミノアルキル基を随意に含有するデキストリン;
・ キシログリカン、例えばタマリンドガム;
・ アラビノキシラン;
・ アルキルポリグリコシド(APG);
から選択されることを特徴とする請求項8又は9に記載のエマルジョン。
【請求項11】
水性分散相(Wi)/疎水性相(O)の質量比が5/95〜95/5、好ましくは30/70〜80/20の範囲であることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項12】
安定剤(Di)の質量/疎水性相(O)の質量の比率は0.1/100〜500/100、好ましくは0.5/100〜100/100、最も特別には0.5/100〜50/100の範囲であることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項13】
前記分散剤及び/又は安定剤(De)は親水性界面活性剤及び/又は親水性ポリマー及び/又は親水性両親媒性ポリマーから選択されることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項14】
前記分散剤及び/又は安定剤(De)は:
(a)少なくとも1種の非イオン性親水性の界面活性剤
(b)少なくとも1種の陰イオン性親水性の界面活性剤
(c)少なくとも1種の陽イオン性親水性の界面活性剤
(d)少なくとも1種の非イオン性親水性のポリマー
(e)少なくとも1種の非イオン性親水性両親媒性のポリマー
(f)少なくとも1種の陰イオン性親水性のポリマー
(g)少なくとも1種の陰イオン性親水性両親媒性のポリマー
(h)少なくとも1種の陽イオン性親水性のポリマー
(i)少なくとも1種の陽イオン性親水性両親媒性のポリマー、又は
(j)前記界面活性剤及び/又はポリマー(a)〜(d)の適合性のある少なくとも2種類の混合物
から形成されることを特徴とする請求項13に記載のエマルジョン。
【請求項15】
外部相(We)中に存在する界面活性剤及び/又はポリマー(De)の全含量は、逆エマルジョン(Ei)に対して0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.5重量%〜5重量%であることを特徴とする請求項13又は14に記載のエマルジョン。
【請求項16】
前記親水性ポリマー(De)は少なくとも1種の水溶性又は水分散性の多糖(PSA)(Di)で作られるか又はこれを含むことを特徴とする請求項13〜15の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項17】
内部逆エマルジョン(Ei)と分散剤及び/又は安定剤(De)を含む外部相(We)との質量比が50/50〜99/1、好ましくは70/30〜98/2、もっとも特別には70/30〜80/20の範囲であることを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項18】
分散剤及び/又は安定剤(De)と内部逆エマルジョン(Ei)との質量比(固体として表して)が、0.01/100〜50/100、好ましくは0.1/100〜10/100、最も特別には0.5/100〜5/100の範囲であることを特徴とする請求項1〜17の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項19】
外部相(We)中の分散剤及び/又は安定剤(De)の濃度は1%〜50%の範囲であることを特徴とする請求項1〜18の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項20】
外部相(We)が水性相であることを特徴とする請求項1〜19の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項21】
外部相(We)がアルコール又は水−アルコール相、好ましくはイソプロパノール又はエタノールであることを特徴とする請求項1〜19の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項22】
疎水性相(O)に含有される又はこれを構成する活性材料(A)が紡織繊維製物品用のケア剤又は洗剤から選択され、外部相(We)が少なくとも1種の非イオン性親水性界面活性剤と少なくとも1種の陰イオン性親水性界面活性剤と随意的な少なくとも1種の非イオン性親水性(両親媒性)ポリマーとの混合物から形成される分散剤及び/又は安定剤(De)を含有する水性液状洗剤処方物であることを特徴とする請求項1〜20の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項23】
疎水性相(O)に含有される又はこれを構成する活性材料(A)が紡織繊維製物品用のケア剤又は洗剤から選択され、外部相(We)が少なくとも1種の非イオン性親水性界面活性剤と少なくとも1種の陰イオン性親水性界面活性剤と随意的な少なくとも1種の非イオン性親水性(両親媒性)ポリマーとの混合物から形成される分散剤及び/又は安定剤(De)を含有する水混和性の非水性液状洗剤処方物であることを特徴とする請求項1〜19及び21の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項24】
疎水性相(O)に含有される又はこれを構成する活性材料(A)が紡織繊維製物品用のケア剤から選択され、外部相(We)が少なくとも1種の陽イオン性親水性界面活性剤及び/又は少なくとも1種の陽イオン性親水性(両親媒性)ポリマー(少なくとも1種の非イオン性親水性界面活性剤及び/又は少なくとも1種の非イオン性親水性(両親媒性)ポリマーが随意に混合される。)から形成される分散剤及び/又は安定剤(De)を含有する水性液状すすぎ処方物であることを特徴とする請求項1〜20の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項25】
疎水性相(O)に含有される又はこれを構成する活性材料(A)が塗料分野の薬剤から選択され、外部相(We)が水性塗料であることを特徴とする請求項1〜20の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項26】
疎水性相(O)に含有される又はこれを構成する活性材料(A)が化粧分野の薬剤から選択され、外部相(We)が水性化粧用組成物であることを特徴とする請求項1〜20の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項27】
エマルジョンが(Es)の形態にあり、固体マトリクス(M)が:
− 分子量が2000〜100,000g/molのポリエチレングリコール
− エチレン不飽和カルボン酸又はその無水物とエチレン不飽和非イオン性モノマーとのコポリマー
− 天然若しくは合成由来の水溶性若しくは水分散性ポリペプチド
− 分子量が20,000g/mol未満、好ましくは1,000〜5,000g/molの弱ポリ酸に属する酸の形態にあるポリ電解質
− 分子量が20,000g/mol未満、好ましくは1,000〜10,000g/molのポリビニルピロリドン
− 分子量が100,000g/mol未満で、好ましくは80mol%〜99mol%の脱アセチル化度であるポリビニルアルコール
− 水溶性若しくは水分散性の膜形成性両性ポリマー
− 水溶性若しくは水分散性の糖、配糖体又はポリホロシド
− 水溶性若しくは水分散性のアミノ酸又はアミノ酸塩
− クエン酸
− 脂肪酸
− 尿素
− 界面活性剤(水−界面活性剤の二相図は、25℃においては界面活性剤の濃度が少なくとも50重量%になるまでは流体である等方相と、更に高濃度での六方晶又は立方晶型の硬質液晶相(少なくとも60℃までは安定である。)とを有する。)
− 水溶性若しくは水分散性のアルカリ金属塩、例えばケイ酸アルカリ金属、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩、酢酸塩又はクエン酸塩、又は飽和若しくは不飽和脂肪酸のアルカリ金属塩、及び酢酸ナトリウムとクエン酸との混合物
− 或いは、これらの混合物
から選択される材料で作られたことを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項28】
基材(S)に接触する水性媒体(B)中で、少なくとも1種の疎水性活性材料(A)を含有する及び/又はこれから成る疎水性相(O)を前記基材(S)に運搬するための請求項1〜27の何れか一項に記載の主題を形成するエマルジョン(E)の使用。
【請求項29】
前記基材(S)が任意の材料(特に金属又は任意の天然、人工若しくは合成材料、或いはこれらの材料の混合物)で作られる請求項28に記載の使用。
【請求項30】
建材、プラスター、セメント又は木材でできた表面上に撥水剤(該撥水剤は該表面上に塗料が付着して乾燥すると放出される。)を運搬するための塗料中での請求項28又は29に記載の使用。
【請求項31】
化粧用又はボディケア用又はヘアケア用の疎水性活性材料(該疎水性材料は肌若しくは毛髪上に付着若しくは塗布されて乾燥すると放出される。)を運搬するための化粧用組成物中での請求項28又は29に記載の使用。
【請求項32】
金属を処理するための処方物中での請求項28又は29に記載の使用。
【請求項33】
肌に接触させることを意図した身体衛生又は家庭用クレンジングのためのセルロース及び/又は合成由来の織布若しくは不織布で出来た表面を製造又は後処理するための請求項28又は29に記載の使用。
【請求項34】
厚紙又は厚紙梱包を製造又は後処理するための請求項28又は29に記載の使用。
【請求項35】
基材(S)に接触する水性媒体(B)中で、少なくとも1種の疎水性活性材料(A)を含有する及び/又はこれから成る疎水性相(O)を前記基材(S)に運搬するための請求項28又は29に記載の使用(前記水性媒体は前記エマルジョン(E)の希釈及び/又は前記エマルジョン(E)の希釈後の乾燥によってエマルジョン(E)の不安定化及び/又は破壊を引き起こし、そして、疎水性相(O)中に含有される又はこれを構成する活性材料(A)の基材(S)への供給及び/又は放出を引き起こすのに充分な体積を有する。)。
【請求項36】
複合エマルジョン(Em)は内部エマルジョン(Ei)が少なくとも70重量%を占めることを特徴とする請求項35に記載の使用。
【請求項37】
エマルジョン(Em)と水性媒体(B)の相対的な量は前記エマルジョン(Em)の体積の2倍〜100倍希釈相当であることを特徴とする請求項35又は36に記載の使用。
【請求項38】
疎水性活性材料をヒドロキシアパタイト表面、ケラチン表面又はテキスタイル表面に運搬し及び付着させるための請求項35〜37の何れか一項に記載の使用。
【請求項39】
洗い流され又は希釈されることが意図される歯科又は口腔衛生用の処方物中での請求項38に記載の使用。
【請求項40】
ゆすぎ落とされる又は希釈されることが意図されるヘアケア及び/又はスキンケアのための化粧用処方物中での請求項38に記載の使用。
【請求項41】
疎水性相(O)及び/又は活性材料(A)は紡織繊維製の物品用のケア剤又は洗剤から選択されることを特徴とする請求項35〜38の何れか一項に記載の使用。
【請求項42】
洗剤組成物の場合はすすぎ操作中及び/又は主たる洗浄操作後の乾燥操作中に、すすぎ組成物の場合は乾燥操作中に、疎水性ケア剤及び/又は任意のその他の疎水性活性材料を運搬し、紡織繊維製(特に綿製)の物品上への前記剤又は材料の付着を促進することを目的とした、紡織繊維製の物品の洗浄又はすすぎを行うための洗剤組成物中の添加剤として、或いは紡織繊維製の物品の洗浄又はすすぎを行うための洗剤又はすすぎ組成物としての請求項38〜41の何れか一項に記載の使用。
【請求項43】
エマルジョン(E)を基材(S)と共に水性媒体(B)に接触させることによって、水性媒体(B)に接触している基材(S)へ、請求項1〜27の何れか一項に記載の主題を形成するエマルジョン(E)の液状若しくは溶解性の疎水性相(O)中に含有される又はこれを構成する少なくとも1種の活性材料(A)を運搬する方法。
【請求項44】
前記水性媒体(B)は、前記エマルジョン(E)の希釈及び/又は前記エマルジョン(E)の希釈後の乾燥によってエマルジョン(E)の不安定化及び/又は破壊を引き起こし、そして、疎水性相(O)中に含有される又はこれを構成する活性材料(A)の基材(S)への供給及び/又は放出を引き起こすのに充分な体積を有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
エマルジョン(E)は内部エマルジョン(Ei)が少なくとも70重量%を占める複合エマルジョン(Em)であることを特徴とする請求項44に記載の方法。

【公表番号】特表2007−519506(P2007−519506A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538885(P2006−538885)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002762
【国際公開番号】WO2005/049189
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】