説明

水性床用艶出し剤組成物

【課題】リン分を含有せず環境への適合性に優れており、且つ、レベリング性、光沢度及び耐ヒールマーク性等の皮膜特性に優れる水性床用艶出し剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の水性床用艶出し剤組成物は、皮膜成分(例えば、ポリマー、ワックス等)と、水等の溶媒と、可塑剤と、を含有しており、この可塑剤として、下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルキルエステルを含有する。
O(C2mO)COR (1)
[一般式(1)において、Rは炭素数1〜24のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜24のアルキル基を示す。mは2〜6の整数であり、nは2〜40の数である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性床用艶出し剤組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、化学系床材、石質系床材、木質系床材等の床材に塗布、乾燥して皮膜を形成し、床材の美観を保つと共に床材を保護するために用いられる水性床用艶出し剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物の床面に関しては、床面の保護及び美観の向上を目的に、水性フロアポリッシュ(水性床用艶出し剤)組成物を塗布してメンテナンスを行っている。この水性床用艶出し剤組成物は、水分が揮発した後、乾燥樹脂皮膜として残存し、床面に光沢、耐汚染性、耐きず性等の諸性能を付与するものである。水性床用艶出し剤組成物には、乾燥樹脂皮膜の柔軟性、皮膜形成時の床材との密着性、レベリング性等の諸性能の向上のために、可塑剤やレベリング剤が添加される。従来、可塑剤兼レベリング剤(以下、単に「可塑剤」ともいう)としては、トリブトキシエチルフォスフェートが主に用いられてきた。
【0003】
しかしながら、トリブトキシエチルフォスフェートは分子内にリン分を含むため、廃水中への混入や室内環境への影響等の面で使用が懸念されており、トリブトキシエチルフォスフェートに代わる高性能の可塑剤の適用が求められてきた。
これまでに、トリブトキシエチルフォスフェートに代わる可塑剤やレベリング剤としては、種々の化合物が報告されている。例えば、特許文献1では、アジピン酸エステルを含有する組成物が報告されている。また、特許文献2では、クエン酸アルキルエステルを含有する組成物が報告されている。更に、特許文献3では、特定のアクリルポリマーを水性の可塑剤として使用した組成物が報告されている。また、特許文献4では、ポリオキシエチレンアルキルエーテルと2、2、4−トリメチル1、3−ペンタンジオールモノイソブチレートとを含有する組成物が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−80933号公報
【特許文献2】特開2003−73628号公報
【特許文献3】特開2003−327774号公報
【特許文献4】特開2004−107586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの組成物では、レベリング性、光沢度、耐ヒールマーク性等の皮膜特性が、トリブトキシエチルフォスフェートを含有するものと比べた場合に、未だ十分といえるものではなく、更なる向上が求められている。
【0006】
本発明は、リン分を含有せず環境への適合性に優れており、且つ、レベリング性、光沢度及び耐ヒールマーク性等の皮膜特性に優れる水性床用艶出し剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記実情に鑑み、多くの可塑剤やレベリング剤について検討を重ねた結果、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルキルエステルが、トリブトキシエチルフォスフェートと同等若しくはそれ以上の性能を示し、且つ安価で容易に入手可能な可塑剤(可塑剤兼レベリング剤)として適用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、以下に示す通りである。
[1]下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルキルエステルを含有することを特徴とする水性床用艶出し剤組成物。
O(C2mO)COR (1)
[一般式(1)において、Rは炭素数1〜24のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜24のアルキル基を示す。mは2〜6の整数であり、nは2〜40の数である。]
[2]上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルキルエステルの含有量が、本水性床用艶出し剤組成物における全不揮発分を100質量%とした場合に、1〜20質量%である上記[1]に記載の水性床用艶出し剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水性床用艶出し剤組成物は、可塑剤兼レベリング剤として、トリブトキシエチルフォスフェート等のリン分を含む化合物を含んでおらず、環境への適合性に優れており、且つ、レベリング性、光沢度及び耐ヒールマーク性等の皮膜特性に優れている。そのため、水性フロアポリッシュ分野において好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の水性床用艶出し剤組成物は、可塑剤として、下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルキルエステルを含有するものである。
O(C2mO)COR (1)
[一般式(1)において、Rは炭素数1〜24のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜24のアルキル基を示す。mは2〜6の整数であり、nは2〜40の数である。]
【0011】
上記一般式(1)におけるアルキルエーテル部位を構成するRは炭素数1〜24(好ましくは2〜18)のアルキル基であり、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。具体的なRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコサニル基等が挙げられる。これらのなかでも、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が好ましい。
【0012】
一般式(1)におけるアルキルエステル部位を構成するRは炭素数1〜24(好ましくは2〜18)のアルキル基であり、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。具体的なRとしては、上記Rと同様のアルキル基を挙げることができる。
尚、上記RとRは、同一のアルキル基であってもよいし、異なっていてもよい。
【0013】
一般式(1)のポリオキシアルキレン部位[−(C2mO)−]における「m」は2〜6の整数であり、2〜3が好ましい。また、「n」は2〜40の数であり、5〜30が好ましい。
【0014】
上記オキシアルキレン単位(C2mO)としては、例えば、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシブチレン単位、オキシペンチレン単位、及びオキシヘキシレン単位等が挙げられる。尚、これらのオキシアルキレン単位は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
【0015】
また、n個のオキシアルキレン単位からなるポリオキシアルキレン部位は、1種のオキシアルキレン単位のみから構成されていてもよいし、2種以上のオキシアルキレン単位から構成されていてもよい。
ポリオキシアルキレン部位が2種以上のオキシアルキレン単位から構成される場合における具体的なオキシアルキレン単位の組み合わせてとしては、例えば、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位との組み合わせ等を挙げることができる。
【0016】
また、ポリオキシアルキレン部位が2種以上のオキシアルキレン単位から構成されている場合、その重合形態は特に限定されず、複数のオキシアルキレン単位がランダムに結合したランダム型のポリオキシアルキレン部位となっていてもよいし、一定のブロック毎に各オキシアルキレン単位が存在するブロック型、或いはリバースブロック型のポリオキシアルキレン部位となっていてもよい。更には、プルロニック型のポリオキシアルキレン部位となっていてもよい。
【0017】
上記可塑剤の具体的な例としては、商品名「アデカサイザーRS700」(旭電化工業社製)等が挙げられる。
【0018】
上記一般式(1)における上記可塑剤の重量平均分子量(Mw)は、200〜2000となることが好ましく、300〜1000であることがより好ましい。この分子量が200〜2000である場合には、揮発性が高くなり過ぎず、可塑剤としての役割を十分に果たすことができる。更には、塗布時において十分なレベリング性が得られる。
尚、この重量平均分子量(Mw)は、GPC分析[ゲル浸透クロマトグラフ分析(Gel Permeation Chromatography)]によって測定できる。測定装置としては、日本分光社製、型番「880−51」を用いることができる。
【0019】
本発明において、上記可塑剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、可塑剤兼レベリング剤としての性能に影響を及ぼさない範囲で、リン分を含まない他の可塑剤成分や他のレベリング剤成分を任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
【0020】
上記可塑剤の含有量は特に限定されないが、本水性床用艶出し剤組成物における不揮発分全体を100質量%とした場合に、1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。この含有量が1〜20質量%である場合には、可塑剤として十分な効果が得られ、皮膜が軟質化することなく、十分な皮膜特性を得ることができる。尚、この含有量が1質量%未満の場合、可塑剤としての効果が十分に得られないおそれがある。一方、20質量%を超える場合には、皮膜の軟質化等、皮膜の物性が低下するおそれがある。
尚、本明細書における「不揮発分」とは、105℃で4時間加熱した際における残存率(質量%)を示す。
【0021】
また、本発明の水性床用艶出し剤組成物は、上記可塑剤以外に、通常、皮膜成分と、溶媒である水と、皮膜成分を水中に乳化分散させるための界面活性剤と、必要に応じて、皮膜の形成或いは性能を維持、向上させるための各種添加剤と、を含有する。尚、皮膜成分中に界面活性剤成分を含む自己乳化型の組成物を用いる場合には、上記界面活性剤を非含有とすることもできる。
【0022】
上記皮膜成分は、水分が揮発した後、乾燥皮膜として残存し、光沢、耐汚染性、耐きず性等の諸性能(皮膜特性)を発揮するものである限り、特に限定されない。代表的な皮膜成分としては、ポリマー成分やワックス成分を挙げることができる。
上記ポリマー成分としては、例えば、不飽和結合を有するモノマーを単独或いは必要性能に合わせて組合せて重合してポリマー化したものが挙げられる。この場合に使用されるモノマー成分としては、例えば、アクリル酸及びそのエステル、メタクリル酸及びそのエステル、スチレン及びその誘導体、酢酸ビニル及びその誘導体、無水マレイン酸及びその誘導体、塩化ビニル及びその誘導体、1−ブテン等のαオレフィン及びその誘導体、エチレン、プロペン、イソブテン等のオレフィン類、界面活性剤組成物中に不飽和結合を有する反応型乳化剤成分等が挙げられる。
上記ポリマー成分としては、更に、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂等を挙げることができる。
【0023】
上記ワックス成分としては、合成ワックス、天然ワックス、及びこれらの変性物等を用いることができる。
合成ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロピッシュワックス、酸化ポリエチレン、酸化ペトロラタム、酸化パラフィン、合成ロウ等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス成分、モンタンワックス等の鉱物由来のワックス成分、カルナバワックス、蜜蝋等の動植物由来のワックス成分等が挙げられる。
【0024】
尚、これらの皮膜成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、水分が揮発した後、乾燥皮膜として残存し、光沢、耐汚染性、耐きず性等の諸性能を発揮するものであれば、上述されていない化合物を用いてもよい。
【0025】
上記皮膜成分の含有量は特に限定されないが、本水性床用艶出し剤組成物における不揮発分全体を100質量%とした場合に、99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60〜99質量%、更に好ましくは75〜95質量%である。この含有量が99質量%以下である場合には、十分な皮膜特性が得られる。
【0026】
また、上記皮膜成分としては、上記ポリマー成分及び上記ワックス成分の両方を含有していることが好ましい。この際、本水性床用艶出し剤組成物における不揮発分全体を100質量%とした場合に、ポリマー成分の含有量は60〜99質量%であることが好ましく、より好ましくは70〜90質量%であり、ワックス成分の含有量は20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量%である。これらの含有量が上記範囲内である場合、より優れた皮膜特性が得られる。
【0027】
また、上記溶媒として用いられる水は特に限定されず、純水やイオン交換水等を用いることができる。
【0028】
上記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この界面活性剤の含有量は特に限定されないが、本水性床用艶出し剤組成物における不揮発分全体を100質量%とした場合に、1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量%である。この含有量が1〜20質量%である場合には、皮膜成分を水中に十分に乳化分散させることができる。
【0029】
上記添加剤としては、例えば、造膜助剤等が挙げられる。
この造膜助剤としては、例えば、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、及びアミン系溶剤等が挙げられる。これらの造膜助剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この造膜助剤の含有量は特に限定されないが、本水性床用艶出し剤組成物における不揮発分全体100質量%に対して、5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。
【0030】
更に、上記添加剤としては、濡れ性を向上させるための助剤(例えば、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びスルホ琥珀酸エステル塩等)、泡立ち抑制を目的とした消泡剤、組成物を腐りにくくするための防腐剤、臭気改善を目的とした香料等を任意の割合で用いることができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]水性床用艶出し剤組成物の調製(実施例1〜12及び比較例1〜7)
表1及び表2に示す各成分を、表1及び表2に示す割合で配合し、実施例1〜12及び比較例1〜7の各水性床用艶出し剤組成物を調製した。単位は質量%である。尚、表1及び表2に示す各成分の詳細は以下の通りである。
【0032】
<皮膜成分>
アクリル樹脂エマルションA:アクリル−スチレン系樹脂(ローム&ハース社製、商品名「プライマル Duraplus2」、不揮発分:38質量%)
アクリル樹脂エマルジョンB:アクリル系樹脂(ローム&ハース社製、商品名「プライマルE2409」、不揮発分:38質量%)
ポリウレタン樹脂エマルジョン:ポリウレタン系樹脂(アーチケミカル社製、商品名「NeorezR960」、不揮発分:33質量%)
ワックスエマルジョン:商品名「ハイテックE4B」、東邦化学工業社製、不揮発分:40質量%
<可塑剤>
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルキルエステル[商品名「アデカサイザーRS700」、旭電化工業社製、重量平均分子量:550、不揮発分:99質量%以上〔上記一般式(1)におけるR:炭素数8のアルキル基(オクチル基又は2−エチル−ヘキシル基)、R:炭素数8のアルキル基(オクチル基又は2−エチル−ヘキシル基)〕]
トリブトキシエチルフォスフェート(TBEP)、ローディアジャパン社製、不揮発分:99質量%以上
<溶媒>
水(イオン交換水)
<界面活性剤>
ノニオン系界面活性剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、商品名「プロノン201」、日本油脂社製、不揮発分:99質量%以上
<添加剤>
ポリプロピレングリコールモノエステル(商品名「FX511」、エレメンティスジャパン社製、不揮発分:1質量%以下)
スルホ琥珀酸エステル塩、商品名「ネオコールSW−C」、第一工業製薬社製、不揮発分:70質量%
2,2,4トリメチル1,3ペンタンジオールモノイソブリレート(造膜助剤)、商品名「キョーワノールM」、協和発酵ケミカル社製、不揮発分:1質量%以下
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(造膜助剤)、商品名「カービトール ソルベント」、ダウ・ケミカル日本社製、不揮発分:1質量%以下
スチレン・マレイン酸アンモニウム溶液(商品名「SMA2625A」、SPECIALTY RESINS社製、不揮発分:15質量%に調製して使用)
フッ素系界面活性剤(商品名「サーフロンS141」、セイミケミカル社製、不揮発分:30質量%)
防腐剤(商品名「PROXEL CRL−N」、ゼネカ社製、不揮発分:33質量%)
消泡剤(商品名「FSアンチフォームSIF544」、ダウ・コーニングアジア社製、不揮発分:99質量%以上)
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
[2]水性床用艶出し剤組成物の性能評価
得られた各組成物について、JIS K 3920−2001(フロアーポリッシュ試験方法)に準拠して、レベリング性、光沢度及び耐ヒールマーク性の評価を下記のように行なった。これらの結果を表3に示す。尚、表3には、各組成物におけるリン成分の含有の有無を併記した。
【0036】
<レベリング性>
ホモジニアスビニル床タイル(商品名「ジニアスプレーンGE1109」、タジマ社製)を用いて、各組成物を3回塗布後に測定した。尚、評価基準は以下の通りである。
◎:優秀
○:良好
△:普通
×:不良
【0037】
<光沢度>
コンポジションビニル床タイル(商品名「PタイルP60」、タジマ社製)を用いて、各組成物を3回塗布後に測定した。尚、表1及び表2の値は、JIS K 3920−2001に従って、鏡面光沢度の基準面の光沢度を100としたときの百分率である。
【0038】
<耐ヒールマーク性>
ホモジニアスビニル床タイル(商品名「ジニアスプレーンGE110」、タジマ社製)を用いて測定した。尚、評価基準は以下の通りである。
◎:優秀
○:良好
△:普通
×:不良
【0039】
【表3】

【0040】
[3]実施例の効果
表3によれば、特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルキルエステルを可塑剤として含有し、且つリン分を含まない実施例1〜12の水性床用艶出し剤組成物は、レベリング性が「◎」か「△」であり、光沢度が38〜65%であり、耐ヒールマーク性が「◎」、「○」又は「△」であり、皮膜特性に優れるものであった。
そして、これらの実施例の被膜特性は、トリブトキシエチルフォスフェートを可塑剤として含有するためにリン分を含む比較例1〜7の組成物と同等又はそれ以上であった。
【0041】
以上のように、可塑剤兼レベリング剤として、前述の一般式(1)で表される特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルキルエステルを用いることにより、トリブトキシエチルフォスフェート添加品と同等又はそれ以上の性能を有する水性床用艶出し剤組成物が得られることが分かった。これにより、リン分を含有せず、環境に優しい水性床用艶出し剤組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルキルエステルを含有することを特徴とする水性床用艶出し剤組成物。
O(C2mO)COR (1)
[一般式(1)において、Rは炭素数1〜24のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜24のアルキル基を示す。mは2〜6の整数であり、nは2〜40の数である。]
【請求項2】
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルキルエステルの含有量が、本水性床用艶出し剤組成物における不揮発分全体を100質量%とした場合に、1〜20質量%である請求項1に記載の水性床用艶出し剤組成物。

【公開番号】特開2010−180329(P2010−180329A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25334(P2009−25334)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000115083)ユシロ化学工業株式会社 (69)