説明

水性懸濁型有害生物防除組成物

【課題】 水性懸濁剤において、増粘剤で分離を抑制しようとすると、粘度や降伏値をある程度高くする必要があり、粘度や降伏値を高くすると、製剤を水中に投入した時の自己分散性が悪くなり、充分な攪拌を行わないと希釈液の均一性が得られない。製剤を水中に投入した時の良好な自己分散性と、製剤を長期静置保管した場合の分離やハードケーキングを防ぐための常に一定範囲の物理性とを両立させた有害生物防除剤組成物を提供する。
【解決手段】 モンモリロナイト鉱物より選ばれた1種以上と複鎖構造型鉱物より選ばれた1種以上とを組み合わせることにより、20℃における製剤の粘度が100mPa・s以下と低粘度で経時的に固化することを防止し、なおかつ分離や粘度変化が少ない水性懸濁型有害生物防除組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘剤として無機系増粘剤を2種以上配合することを特徴とする水性懸濁型有害生物防除組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、水性懸濁農薬組成物では、少量の添加で効率的にチキソトロピー性を付与できる有機高分子増粘剤(例えばキサンタンガム等のアニオン性高分子)を添加することにより、製剤中の分散粒子の沈降を抑制することで、懸濁成分のハードケーキングを防止している。
【0003】
一方、無機増粘剤の単用(例えば、特許文献1を参照。)やモンモリロナイト鉱物又はアタパルジャイト等の無機系増粘剤と多価金属塩との組合せにより分離やハードケーキングを防ぐ工夫もなされている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0004】
またモンモリロナイト鉱物の無機系増粘剤と有機高分子増粘剤と組み合わせて分離やハードケーキングを防ぐ工夫もなされている。
【0005】
【特許文献1】特開平1−283201号公報
【特許文献2】特開2002−187801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機高分子増粘剤で分離を抑制しようとすると、粘度や降伏値をある程度高くする必要があり、粘度や降伏値を高くすると、製剤を水中に投入した時の自己分散性が悪くなり、充分な攪拌を行わないと希釈液の均一性が得られない場合がある。特に充分な攪拌を行えない場合がある、手押し蓄圧式の散布容器を用いる場合は、均一性が特に心配となる。
【0007】
一方、モンモリロナイト鉱物の無機系増粘剤により分離やハードケーキングを防ごうとした場合、経時的に粘度・降伏値が増大し、常に一定範囲の物理性を持った製剤を製造するのが困難であり、また場合により製剤が固化してしまうという欠点を有している。
【0008】
また有機高分子増粘剤と無機系増粘剤を組み合わせて両増粘剤の欠点を補い合う工夫もされているが、良好な自己分散性と分離やハードケーキングとを共に防ぐための常に一定範囲の物理性を保つことは困難な状況にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、2種以上の無機系増粘剤を組み合わせることにより、低粘度でも分離が少ない水性懸濁型有害生物防除組成物を見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は
[1]水性懸濁製剤において、増粘剤として無機系増粘剤を2種以上配合することを特徴とする水性懸濁型有害生物防除組成物、
[2]無機系増粘剤がモンモリロナイト鉱物より選ばれた1種以上と複鎖構造型鉱物より選ばれた1種以上とを組み合わせた増粘剤である[1]に記載の有害生物防除組成物、
[3]モンモリロナイト鉱物の配合量が0.1〜2.0%であり、複鎖構造型鉱物の配合量が0.1〜2.0%である[1]又は[2]いずれか1つに記載の水性懸濁型有害生物防除組成物、
[4]20℃における製剤の粘度が20℃における製剤の粘度が100mPa・s以下である[1]乃至[3]いずれか1つに記載の水性懸濁型有害生物防除組成物、及び
[5]経時的に固化することを防止した[1]乃至[4]いずれか1つに記載の水性懸濁型有害生物防除組成物、
に関する。(但し、用途、配合有効成分等により、無機系増粘剤を2種以上に加えて更に多価金属塩を含む場合を除く。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の水性懸濁型有害生物防除組成物は、低粘度でも分離が少なく、且つハードケーキングを抑制し、また水中に製剤を投入した時の自己分散性が良好で、緩やかな攪拌でも均一性が確保される事で安定した効果が得られ、更には経時的に粘度・降伏値が増大せず、常に一定範囲の物理性を持つという特徴を有する。また、低粘度であるため分散液の調製や散布処理等の作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
有害生物防除剤としては、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、木材防腐剤及び防蟻剤である有効成分を用いることができる。またこれらは単独でも組み合わせても使用することができる。
【0013】
本発明に使用する殺虫剤としては、例えば、エチオン、トリクロルホン、メタミドホス、アセフェート、ジクロルボス、メビンホス、モノクロトホス、マラチオン、ジメトエート、ホルモチオン、メカルバム、バミドチオン、チオメトン、ジスルホトン、オキシデプロホス、ナレッド、メチルパラチオン、フェニトロチオン、シアノホス、プロパホス、フェンチオン、プロチオホス、プロフェノホス、イソフェンホス、テメホス、フェントエート、ジメチルビンホス、クロルフェビンホス、テトラクロルビンホス、ホキシム、イソキサチオン、ピラクロホス、メチダチオン、クロロピリホス、クロルピリホス・メチル、ピリダフェンチオン、ダイアジノン、ピリミホスメチル、ホサロン、ホスメット、ジオキサベンゾホス、キナルホス、テルブホス、エトプロホス、カズサホス、メスルフェンホスDPS(NK−0795)、ホスホカルブ、フェナミホス、イソアミドホス、ホスチアゼート、イサゾホス、エナプロホス、フェンチオン、ホスチエタン、ジクロフェンチオン、
【0014】
チオナジン、スルプロホス、フェンスルフォチオン、ジアミダホス、ピレトリン、アレスリン、プラレトリン、レスメトリン、ペルメトリン、テフルトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、シペルメトリン、アルファシペルメトリン、シハロトリン、ラムダシハロトリン、デルタメトリン、アクリナトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、シクロプロトリン、エトフェンプロックス、ハルフェンプロックス、シラフルオフェン、フルシトリネート、フルバリネート、メソミル、オキサミル、チオジカルブ、アルジカルブ、アラニカルブ、カルタップ、メトルカルブ、キシリカルブ、プロポキスル、フェノキシカルブ、フェノブカルブ、エチオフェンカルブ、フェノチオカルブ、ビフェナゼート、BPMC(2−セコンダリーブチルフェニル−N−メチルカーバメート)、カルバリル、ピリミカーブ、カルボフラン、カルボスルファン、フラチオカルブ、ベンフラカルブ、アルドキシカルブ、ジアフェンチウロン、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノバルロン、ルフェヌロン、フルフェノクスロン、クロルフルアズロン、酸化フェンブタスズ、水酸化トリシクロヘキシルスズ、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、メトプレン、ハイドロプレン、ビナパクリル、アミトラズ、ジコホル、ケルセン、クロルベンジレート、フェニソブロモレート、テトラジホン、ベンスルタップ、ベンゾメート、テブフェノジド、メトキシフェノジド、ピリダリル、メタフルミゾン、フルベンジアミド、クロマフェノジド、プロパルギット、アセキノシル、エンドスルファン、
【0015】
ジオフェノラン、クロルフェナピル、フェンピロキシメート、トルフェンピラド、フィプロニル、テブフェンピラド、トリアザメート、エトキサゾール、ヘキシチアゾクス、硫酸ニコチン、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、イミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、ジノテフラン、フルアジナム、ピリプロキシフェン、ヒドラメチルノン、ピリミジフェン、ピリダベン、シロマジン、TPIC(トリプロピルイソシアヌレート)、ピメトロジン、クロフェンテジン、ブプロフェジン、チオシクラム、フェナザキン、キノメチオネート、インドキサカルブ、ポリナクチン複合体、ミルベメクチン、アバメクチン、エマメクチン・ベンゾエート、スピノサッド、BT(バチルス・チューリンゲンシス)、アザディラクチン、ロテノン、ヒドロキシプロピルデンプン、塩酸レバミゾール、メタム・ナトリウム、酒石酸モランテル、ダゾメット、トリクラミド、バストリア又はモナクロスポリウム・フィマトパガム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でも2種以上を併用することもできる。
【0016】
本発明に使用する殺菌剤としては、例えば、硫黄、石灰硫黄合剤、塩基性硫酸銅、イプロベンホス、エディフェンホス、トルクロホス・メチル、チラム、ポリカーバメイト、ジネブ、マンゼブ、マンコゼブ、プロピネブ、チオファネート、チオファネートメチル、ベノミル、イミノクタジン酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、フラメトピル、チフルザミド、メタラキシル、オキサジキシル、カルプロパミド、ジクロフルアニド、フルスルファミド、クロロタロニル、クレソキシム・メチル、フェノキサニル、ヒメキサゾール、エクロメゾール、フルオルイミド、プロシミドン、ビンクロゾリン、イプロジオン、トリアジメホン、ビテルタノール、トリフルミゾール、イプコナゾール、フルコナゾール、プロピコナゾール、ジフェノコナゾール、ミクロブタニル、テトラコナゾール、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、チアジニル、イミベンコナゾール、プロクロラズ、ペフラゾエート、シプロコナゾール、イソプロチオラン、フェナリモル、ピリメタニル、メパニピリム、ピリフェノックス、フルアジナム、
【0017】
トリホリン、ジクロメジン、アゾキシストロビン、オリサストロビン、チアジアジン、キャプタン、プロベナゾール、アシベンゾラルSメチル、フサライド、トリシクラゾール、ピロキロン、キノメチオネート、オキソリニック酸、ジチアノン、カスガマイシン、バリダマイシン、ポリオキシン、ブラストサイジン又はストレプトマイシン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でも2種以上を併用することもできる。
【0018】
本発明に使用する除草剤としては、例えば、グリホサート、スルホセート、グルホシネート、ビアラホス、ブタミホス、エスプロカルブ、プロスルホカルブ、ベンチオカーブ、ピリブチカルブ、アシュラム、リニュロン、ダイムロン、イソウロン、ベンスルフロンメチル、シクロスルファムロン、シノスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、アジムスルフロン、イマゾスルフロン、テニルクロール、アラクロール、プレチラクロール、クロメプロップ、エトベンザニド、メフェナセット、ペンディメタリン、ビフェノックス、アシフルオフェン、ラクトフェン、シハロホップブチル、アイオキシニル、ブロモブチド、アロキシジム、セトキシジム、ナプロパミド、インダノファン、ピラゾレート、ベンゾフェナップ、ピラフルフェンエチル、イマザピル、スルフェントラゾン、カフェンストロール、ベントキサゾン、オキサジアゾン、パラコート、ジクワット、ピリミノバック、シマジン、アトラジン、ジメタメトリン、トリアジフラム、ベンフレセート、フルチアセットメチル、キザロホップ・エチル、ベンタゾン又は過酸化カルシウム等を挙げることができる。が、これらに限定されるものではない。これらは単独でも2種以上を併用することもできる。
【0019】
本発明に使用する木材防腐剤としては、テブコナゾール、シプロコナゾール、ラノコナゾール、アザコナゾール、プロピコナゾール、ヘキサコナゾール等のアゾール系薬剤、3−ヨードプロピニル ブチルカーバメート(IPBC)等の有機ヨウ素系薬剤、フルトラニル等のアニリド系薬剤等を例示する事ができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でも2種以上を併用することもできる。
【0020】
本発明に使用する防蟻剤としては、アレスリン、ビフェントリン、フルバリネート、フタルスリン、プラレトリン、レスメトリン等のピレスロイド系薬剤、フィプロニル、エチプロール、アセトプロール、ピリプロール、ピラフルプロール、バニリプロール等のフェニルアゾール系薬剤(GABA受容体抑制作用剤)、イミダクロプリド、クロチアニジン、アセタミプリド、ニテンピラム、ニチアジン、チアクロプリド、チアメトキサム、ジノテフラン等のネオニコチノイド系薬剤、クロルフェナピル、メタフルミゾン、メチル=(S)−N−[7−クロロ−2,3,4a,5−テトラヒドロ−4a−(メトキシカルボニル)インデノ[1,2−e][1,3,4]オキサジアジン−2−イルカルボニル]−4’−(トリフルオロメトキシ)カルバニリラート等を例示する事ができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でも2種以上を併用することもできる。
【0021】
これらの、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、木材防腐剤及び防蟻剤を含めた有効成分としての有害生物防除剤のうち、水溶解度が5000ppm以下、融点が50℃以上のものについて、特に本願の水性懸濁型有害生物防除組成物の適用が適している。
【0022】
本発明組成物における有害生物防除剤の配合割合は本発明組成物を水で希釈して使用するときの希釈倍数に依存し、希釈したときの濃度で十分な効果を示すものであればよい。
【0023】
無機系増粘剤のうち、本発明で用いられるモンモリロナイトは層状ケイ酸塩鉱物の1種であるスメクタイトに分類される粘土鉱物である。結晶構造はケイ酸四面体層−アルミナ八面体層−ケイ酸四面体層の3層が積み重なっており、基本層の間に各種陽イオンが挟まれて存在する。モンモリロナイトはベントナイトの主成分であり、層間に含有される陽イオン等の違いにより種々のモンモリロナイトが存在する。モンモリロナイトの具体例としてはクニピアG(クニミネ工業社製)、クニピアF(クニミネ工業社製)、ベントファーム(ウィルフリドスミス社製)を挙げることができる。
【0024】
本発明で用いられるもう1種の無機系増粘剤としては、複鎖構造型鉱物として含水ケイ酸マグネシウム含有粘土鉱物が挙げられ、例えばセピオライト、アタパルジャイト、パリゴルスカイト等を用いることができるが、アタパルジャイトが好ましい。これらは、複鎖構造を有している点が特徴で、上記モンモリロナイトが層状構造であるのと大きく異なる。アタパルジャイトとしては、例えばアタゲル#40(エンゲルハルト社製)、アタゲル#50(エンゲルハルト社製)、ミクロソルブ400LVM(東進化成株式会社製)、MIN−U−GEL400(米国フロリデン社製)、ゼメックスゲル(ZEMEX GEL)560P(米国ZEMEX社製)などが挙げられるが粒径の細かいものでチキソトロピー性を有するグレードのものであるアタゲル、ゼメックスゲル等が好ましい。セピオライトとしては、例えばパンゲル(GROPO TOLSA社製)を挙げることができる。
【0025】
本発明組成物における無機系増粘剤の配合割合は、モンモリロナイト鉱物については0.05〜5%が好ましく、0.1〜2%がさらに好ましい。また複鎖構造型鉱物については0.05〜5%が好ましい。さらにそれらを組み合わせた配合量は、最終の製剤の粘度が回転数20rpmで100mPa・s以下となるように調整することが好ましい。
《粘度測定法について記載してください。》ここで言う粘度とは、E型粘度計(VISCNIC EMD型、東京計器社製)で標準コーンを用い、回転数20rpmで測定開始から1分後の測定値を指す。
【0026】
本発明組成物に使用される界面活性剤としては一般に使用されるものであればよく、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン及びポリプロピレングリコールブロックポリマー等のノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテルホスフェート、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、リグニンスルホネート、ジオクチルスルホサクシネート等のアニオン系界面活性剤等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用することもできる。
界面活性剤は特に限定されるものではなく、有害生物防除剤の種類や配合割合に応じて種類や配合割合を任意に調整すればよい。
また本発明組成物中に脱水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、固着剤等を必要に応じてあらかじめ添加する事もできる。本発明から除く場合の、更に含む多価金属塩とは、2つ以上の陽電荷を有する金属と無機酸又は有機酸の塩を指し、例えば無水硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム7水和物、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム1/2水和物、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸第二銅、塩化第二銅、塩化第一鉄等を挙げることができる。
【0027】
本発明組成物には、水溶性の有害生物防除剤を水溶液とした形で配合する事ができる。
本発明組成物には、非水溶性の液体の有害生物防除剤を、あるいは非水溶性の液体の有害生物防除剤や非水溶性の固体の有害生物防除剤を非水溶性の有機溶剤に溶解させたものを、エマルションやマイクロエマルションとして配合する事ができる。
本発明組成物には、無機系増粘剤の他に有機高分子増粘剤を粘度が高くならず自己分散性を損なわない範囲で配合する事ができる。その配合割合は、例えばキサンタンガム(ロドポール23、ローディア日華社製)であれば、0.1%以下であることが好ましく、0.05%以下であることがさらに好ましい。
【実施例】
【0028】
以下に実施例につき具体的に示すが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例1.
水(54.79重量部)にアニオン界面活性剤(アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、モルウェットD425、ライオン・アグゾ、3.00重量部)を加えて水溶液とし、ヘキサコナゾール(95.0%、42.11重量部)とロードシル454(シリコン系消泡剤、ローディア日華、0.10重量部)を添加してホモジナイザーにより攪拌した。得られた懸濁液を湿式粉砕機(ダイノーミルKDL型、バッコーフェン社製)により微粉砕化した。ヘキサコナゾールスラリーの粒子サイズは平均粒径0.9ミクロンであった。別途、モンモリロナイト鉱物の無機系増粘剤(クニピアG、クニミネ化学工業株式会社、4.0重量部)を攪拌しながら水(96.0重量部)に加えて均一なペーストにしてモンモリロナイト鉱物の増粘剤組成物を調製した。また別途、複鎖構造型鉱物の無機系増粘剤(アタゲル#50、エンゲルハード社製、5.0重量部)を攪拌しながら水(95.0重量部)に加え、さらにホモジナイザーで攪拌して複鎖構造型鉱物の増粘剤組成物を調製した。上記で得られたヘキサコナゾールスラリー(37.5重量部)に対してモンモリロナイト鉱物の増粘剤組成物(25.0重量部)、複鎖構造型鉱物の増粘剤組成物(10.0重量部)、プロピレングリコール(10.0重量部)、水(17.5重量部)を添加して均一になるまで攪拌し、水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。
【0029】
実施例2.
水(54.13重量部)にアニオン界面活性剤(ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ネオコールYSK、第一工業製薬社製、1.00重量部、およびアルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、モルウェットD425、ライオン・アグゾ社製、3.00重量部)を加えて水溶液とし、メタフルミゾン(96.0%、41.67重量部)とロードシル454(シリコン系消泡剤、ローディア日華、0.10重量部)と防腐剤(プロキセルGXL(s)、アビシア社製、0.10重量部)を添加してホモジナイザーにより攪拌した。得られた懸濁液を湿式粉砕機(ダイノーミルKDL型、バッコーフェン社製)により微粉砕化した。メタフルミゾンスラリーの粒子サイズは平均粒径1.0ミクロンであった。本メタフルミゾンスラリー(50.0重量部)に対して、実施例1で調製したモンモリロナイト鉱物の増粘剤組成物(25.0重量部)、複鎖構造型鉱物の増粘剤組成物(10.0重量部)、プロピレングリコール(10.0重量部)、水(5.0重量部)を添加して均一になるまで攪拌し、水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。
【0030】
実施例3.
実施例1で調製したヘキサコナゾールスラリー(15.0重量部)、実施例2で調製したメタフルミゾンスラリー(15.0重量部)、実施例1で調製したモンモリロナイト鉱物の増粘剤組成物(25.0重量部)、複鎖構造型鉱物の増粘剤組成物(10.0重量部)、プロピレングリコール(10.0重量部)、水(35.0重量部)を添加して均一になるまで攪拌し、水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。
【0031】
実施例4.
実施例1で調製したヘキサコナゾールスラリー(15.0重量部)、実施例1で調製したモンモリロナイト鉱物の増粘剤組成物(25.0重量部)、複鎖構造型鉱物の増粘剤組成物(10.0重量部)、プロピレングリコール(5.0重量部)、水(33.63重量部)を添加して均一になるまで攪拌し、水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。ビフェントリン(93.5%、1.07重量部)、ハイゾールSAS−310(sec-ブチルジフェニルメタンとsec-ブチルジフェニルエタンの混合物、新日本石油化学社製、3.00重量部)、ポリオキシアルキレン アリルフェニルエーテルとポリオキシアルキレン アルキルエーテルとポリオキシエチレン アリルフェニルエーテルホルマリン縮合物とアルキルベンゼンスルホン酸金属塩とプロピレングリコールの混合物(6.3重量部)を別途ディスパーで攪拌混合し、その混合物を上記で得られた水性懸濁型有害生物防除組成物に攪拌しながら混合し、エマルションを含む水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。
【0032】
実施例5.
有機高分子増粘剤(ロドポール23、ローディア日華社製、1.0重量部)を攪拌しながら水(99.0重量部)に加えて均一な溶液にして有機高分子増粘剤組成物を調製した。実施例1で調製したヘキサコナゾールスラリー(15.0重量部)、実施例1で調製したモンモリロナイト鉱物の増粘剤組成物(25.0重量部)、複鎖構造型鉱物の増粘剤組成物(10.0重量部)、プロピレングリコール(5.0重量部)、水(33.63重量部)、上記で得られた有機高分子増粘剤組成物(3.0重量部)を添加して均一になるまで攪拌し、水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。ビフェントリン(93.5%、1.07重量部)、ハイゾールSAS−310(sec-ブチルジフェニルメタンとsec-ブチルジフェニルエタンの混合物、新日本石油化学社製、3.00重量部)、ポリオキシアルキレン アリルフェニルエーテルとポリオキシアルキレン アルキルエーテルとポリオキシエチレン アリルフェニルエーテルホルマリン縮合物とアルキルベンゼンスルホン酸金属塩とプロピレングリコールの混合物(6.3重量部)を別途ディスパーで攪拌混合し、その混合物を上記で得られた水性懸濁型有害生物防除組成物に攪拌しながら混合し、エマルションを含む水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。
【0033】
比較例1.
実施例1で調製したヘキサコナゾールスラリー(37.5重量部)に対して、実施例5で調製した有機高分子増粘剤組成物(20.0重量部)、プロピレングリコール(10.0重量部)、水(32.5重量部)を添加して均一になるまで攪拌し、水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。
比較例2.
実施例1で調製したヘキサコナゾールスラリー(37.5重量部)に対して、比較例1で調製した有機高分子増粘剤組成物(20.0重量部)、実施例1で調製したモンモリロナイト鉱物の増粘剤組成物(25.0重量部)、プロピレングリコール(10.0重量部)、水(7.5重量部)を添加して均一になるまで攪拌し、水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。
【0034】
比較例3.
実施例1で調製したヘキサコナゾールスラリー(15.0重量部)、実施例5で調製した有機高分子増粘剤組成物(20.0重量部)、実施例1で調製したモンモリロナイト鉱物の増粘剤組成物(25.0重量部)、複鎖構造型鉱物の増粘剤組成物(10.0重量部)、プロピレングリコール(10.0重量部)、水(40.0重量部)を添加して均一になるまで攪拌し、水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。
比較例4.
実施例1で調製したヘキサコナゾールスラリー(15.0重量部)、実施例1で調製したモンモリロナイト鉱物の増粘剤組成物(37.5重量部)、複鎖構造型鉱物の増粘剤組成物(10.0重量部)、プロピレングリコール(5.0重量部)、水(21.13重量部)を添加して均一になるまで攪拌し、水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。ビフェントリン(93.5%、1.07重量部)、ハイゾールSAS−310(sec-ブチルジフェニルメタンとsec-ブチルジフェニルエタンの混合物、新日本石油化学社製、3.00重量部)、ポリオキシアルキレン アリルフェニルエーテルとポリオキシアルキレン アルキルエーテルとポリオキシエチレン アリルフェニルエーテルホルマリン縮合物とアルキルベンゼンスルホン酸金属塩とプロピレングリコールの混合物(6.3重量部)を別途ディスパーで攪拌混合し、その混合物を上記で得られた水性懸濁型有害生物防除組成物に攪拌しながら混合し、エマルションを含む水性懸濁型有害生物防除組成物を得た。
【0035】
試験例1.
実施例、比較例の組成物を室温に6ヶ月間放置し、分離の状態と固体有効成分のハードケーキングの有無、固化の有無を観察した。
【0036】
試験例2.
実施例、比較例の組成物を懸垂シリンダーにスポイドにて1滴落とし、自己分散性を観察した。
【0037】
試験例3.
実施例、比較例の組成物をE型粘度計(VISCNIC EMD型、東京計器社製)で標準コーンを用い、回転数20rpmで測定開始から1分後の粘度を測定した。
【0038】
試験例1〜3の結果を表−1に示した。











【0039】
表−1
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
分離 ハード 固化 自己分散性 粘度
ケーキング mPa・s
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1 ○ ○ ○ ○ 58.3
実施例2 ○ ○ ○ ○ 62.5
実施例3 ○ ○ ○ ○ 45.6
実施例4 ○ ○ ○ ○ 55.6
実施例5 ○ ○ ○ ○ 57.2
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
比較例1 × × − × 105.2
比較例2 ○ ○ ○ × 120.4
比較例3 ○ ○ ○ × 116.3
比較例4 ○ ○ × ○ 55.5
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分離(上澄み部分)○:10%未満 △:10%以上30%未満 ×:30%以上
ハードケーキング ○:なし ×:あり
固化 ○:流動性あり △:プリン状 ×:流動性あり
自己分散性 ○:滴が潰れて細かく分かれる △:滴が潰れるが細かくはならな
×:滴が潰れずそのまま落下する
【0040】
本発明の組成物は有機高分子増粘剤使用の場合より粘度が低く自己分散性に優れ、尚かつ分離やハードケーキングも防ぐことが分かる。またモンモリロナイト鉱物の無機系増粘剤単独使用の場合より、製剤の経時的な物理性変化を防ぐことが分かる。
【0041】
いずれの試験おいても実施例1〜5の組成物は、優れた効果を示し、実用性があるものと認められた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の水性懸濁型有害生物防除組成物は、長期に亘り安定な製剤物性を保ち、かつ希釈時の作業性にも優れた有害生物防除剤を提供することができ、多種の有効成分を水性製剤とできることにより環境保護にも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性懸濁製剤において、増粘剤として無機系増粘剤を2種以上配合することを特徴とする水性懸濁型有害生物防除組成物。
【請求項2】
無機系増粘剤がモンモリロナイト鉱物より選ばれた1種以上と複鎖構造型鉱物より選ばれた1種以上とを組み合わせた増粘剤である請求項1に記載の有害生物防除組成物。
【請求項3】
モンモリロナイト鉱物の配合量が0.1〜2.0%であり、複鎖構造型鉱物の配合量が0.1〜2.0%である請求項1又は2いずれか1項に記載の水性懸濁型有害生物防除組成物。
【請求項4】
20℃における製剤の粘度が100mPa・s以下である請求項1乃至3いずれか1項に記載の水性懸濁型有害生物防除組成物。
【請求項5】
経時的に固化することを防止した請求項1乃至4いずれか1項に記載の水性懸濁型有害生物防除組成物。


【公開番号】特開2007−297316(P2007−297316A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125573(P2006−125573)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000232623)日本農薬株式会社 (97)
【Fターム(参考)】