説明

水性懸濁液剤

【課題】再分散性に優れた水性懸濁液剤を提供すること。
【解決手段】難溶性薬物の水性懸濁液剤に、ポリビニルピロリドンおよびアルギン酸又はその塩を配合することにより、水性懸濁液剤の再分散性を向上させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,難溶性薬物の容器への付着や凝集塊の生成を抑制するため,ポリビニルピロリドンおよび水可溶アニオン性高分子を配合することを特徴とする再分散性の良好な水性懸濁液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
水性懸濁液剤は,長期間の保存や一時的な加温および温湿度変化により,薬物粒子が凝集したり,懸濁粒子の巨大結晶化や沈降粒子の二次粒子形成など再分散が困難であるなどの問題が生じ易い。さらに懸濁粒子によっては,プラスチック容器の壁面などに付着または吸着し,水性懸濁液剤中での薬物濃度に変化をきたすという問題が生じ得る。
【0003】
そのため,懸濁粒子のサイズを小さくすると共に,水溶性高分子等で分散媒の粘度を大きくし,沈降を防ぐことで二次粒子の形成を防止する方法,或いは懸濁粒子のサイズを大きくし,沈降粒子の空隙を広げることにより懸濁粒子の凝集を抑制する手段などが講じられてきた。しかし,懸濁粒子のサイズを小さくし,分散媒の粘度を大きくしても懸濁粒子の沈降を完全に抑制することは不可能であり,かつ沈降した懸濁粒子の再分散は困難となる問題がある。また,懸濁粒子のサイズを大きくすると,投与時の異物感や,容器ノズルや注射針への目詰まり等の問題があった。
【0004】
このため特開平8−295622(特許文献1)には,カルボキシビニルポリマーやカルボキシメチルセルロース等のイオン性高分子と,ナトリウムイオンやカリウムイオン等の金属陽イオンを配合し,粘度を100cPにすることで再分散性に優れた水性懸濁液剤が得られることが開示されている。しかし,この方法では,粘度を100cPと低粘度にすることにより再分散性を確保しているため,薬剤の滞留性を向上するなどのため,粘度を大きくしたい時には利用することができない。
【0005】
また,EP0995435A1(WO98/51281)(特許文献2)には液剤の表面張力が低下しはじめる濃度から表面張力の低下が停止する濃度範囲の水溶性高分子を配合することにより,再分散性の良い水性懸濁液剤が得られることが開示されている。この方法も用いられる水溶性高分子の濃度は低濃度であるため,薬剤の滞留性の向上など他の理由で,より高濃度の高分子を配合する必要がある場合には利用できない。
【0006】
従って,水性懸濁液剤の粘度や添加される水溶性高分子などの懸濁化剤または粘稠剤などの量に関係なく,再分散性に優れた水性懸濁液剤が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−295622号公報
【特許文献2】EP0995435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は,再分散性に優れた水性懸濁液剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記の欠点を克服すべく種々検討した結果,意外にもポリビニルピロリドンおよび水可溶アニオン性高分子を配合することにより,水性懸濁液中での難溶性薬物の再分散性が向上することを見出し,本発明の完成に至った。
【0010】
すなわち,本発明は,
(1)難溶性薬物,ポリビニルピロリドンおよび水可溶アニオン性高分子を含有してなる水性懸濁液剤,
(2)ポリビニルピロリドンの下限濃度が約0.1w/v%であり上限濃度が約10w/v%,水可溶アニオン性高分子の下限濃度が約0.05w/v%であり上限濃度が約1.0w/v%含有することを特徴とする上記(1)記載の水性懸濁液剤,
(3)ポリビニルピロリドンの濃度が0.1〜5.0w/v%であり,水可溶アニオン性高分子がポリビニルピロリドンに対し0.1〜2.0重量比含有することを特徴とする上記(1)記載の水性懸濁液剤,
(4)難溶性薬物がステロイド性抗炎症薬,消炎鎮痛薬,化学療法薬,合成抗菌薬,抗ウイルス薬,ホルモン薬,抗白内障薬,血管新生抑制薬,免疫抑制薬,プロテアーゼ阻害薬,アルドース還元酵素阻害薬,抗アレルギー薬,抗不安薬,抗精神病薬,抗生物質,抗腫瘍薬,抗高脂血症薬,鎮咳・去痰薬,筋弛緩薬,抗てんかん薬,抗潰瘍薬,抗うつ薬,強心薬,不整脈治療薬,血管拡張薬,降圧利尿薬,糖尿病治療薬,抗結核薬,麻薬拮抗薬,皮膚疾患用薬,診断用薬から選択される少なくとも1種である上記(2)または(3)記載の水性懸濁液剤,
(5)難溶性薬物がステロイド性抗炎症薬である上記(4)記載の水性懸濁液剤,
(6)ステロイド性抗炎症薬が酢酸コルチゾン,酢酸ヒドロコルチゾン,ベタメサゾン,プレドニゾロン,プロピオン酸フルチカゾン,デキサメタゾン,トリアムシノロン,ロテプレドノール,フルオロメトロン,ジフルプレドナート,フランカルボン酸モメタゾン,プロピオン酸クロベタゾール,酢酸ジフロラゾン,吉草酸ジフルコルトロン,フルオシノニド,アムシノニド,ハルシノニド,フルオシノロンアセトニド,トリアムシノロンアセトニド,ピバル酸フルメタゾン,酪酸クロベタゾンから選択される少なくとも1種である上記(5)記載の水性懸濁液剤,
(7)難溶性薬物が抗白内障薬である上記(4)記載の水性懸濁液剤,
(8)抗白内障薬がピレノキシンまたはN−(4−フルオロフェニルスルホニル)−L−バリル−L−ロシナールである上記(7)記載の水性懸濁液剤,
(9)難溶性薬物が消炎鎮痛薬である上記(4)記載の水性懸濁液剤,
(10)消炎鎮痛薬がアルクロフェナク,アルミノプロフェン,インドメタシン,エピリゾール,オキサプロジン,ケトプロフェン,ジクロフェナクナトリウム,ジフルニサル,ナプロキセン,ピロキシカム,フェンブフェン,フルフェナム酸,フルルビプロフェン,フロクタフェニン,ペンタゾシン,メチアジン酸,メフェナム酸,モフェゾラク,サリチル酸,スルピリン,アトロピン,スコポラミン,モルヒネ,ペチジン,レボルファイノール,オキシモルフォンまたはその塩から選択される少なくとも1種である上記(9)記載の水性懸濁液剤,
(11)水可溶アニオン性高分子がアニオン性多糖,アニオン性ポリビニル系ポリマー,アニオン性高分子ポリペプチドから選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(10)記載の水性懸濁液剤,
(12)アニオン性多糖が,カルボキシメチルセルロースまたはその塩,アルギン酸またはその塩,コンドロイチン硫酸またはその塩,ペクチン,キサンタンガムより選ばれる少なくとも1種である上記(11)記載の水性懸濁液剤,
(13)ステロイド性抗炎症薬,ポリビニルピロリドンおよびアルギン酸またはその塩を含有する水性懸濁液剤,
(14)ポリビニルピロリドンの下限濃度が約0.1w/v%であり上限濃度が約10w/v%,アルギン酸またはその塩の下限濃度が約0.05w/v%であり上限濃度が約1.0w/v%である上記(11)記載の水性懸濁液剤,
(15)抗白内障薬,ポリビニルピロリドンおよびアルギン酸またはその塩を含有する水性懸濁液剤,
(16)ポリビニルピロリドンの下限濃度が約0.1w/v%であり上限濃度が約10w/v%,アルギン酸またはその塩の下限濃度が約0.05w/v%であり上限濃度が約1.0w/v%である上記(15)記載の水性懸濁液剤,
(17)抗白内障薬がピレノキシンである上記(16)記載の水性懸濁液剤,
(18)消炎鎮痛薬,ポリビニルピロリドンおよびアルギン酸またはその塩を含有する水性懸濁液剤,
(19)ポリビニルピロリドンの下限濃度が約0.1w/v%であり上限濃度が約10w/v%,アルギン酸またはその塩の下限濃度が約0.2w/v%であり上限濃度が約1.0w/v%である上記(18)記載の水性懸濁液剤,
(20)点眼剤である上記(1)〜(19)記載の水性懸濁液剤,
(21)点鼻剤である上記(1)〜(19)記載の水性懸濁液剤,
(22)点耳剤である上記(1)〜(19)記載の水性懸濁液剤,
(23)注射剤である上記(1)〜(19)記載の水性懸濁液剤,
(24)内服剤である上記(1)〜(19)記載の水性懸濁液剤,
(25)リニメント剤である上記(1)〜(19)記載の水性懸濁液剤,
(26)ローション剤である上記(1)〜(19)記載の水性懸濁液剤,
(27)難溶性薬物の水性懸濁液剤に,ポリビニルピロリドンおよび水可溶アニオン性高分子を配合することにより,水性懸濁液剤の再分散性を向上させる方法,
(28)ポリビニルピロリドンの下限濃度が約0.1w/v%であり上限濃度が約10w/v%,水可溶アニオン性高分子の下限濃度が約0.05w/v%であり上限濃度が約1.0w/v%含有することを特徴とする上記(27)記載の方法,および
(29)ポリビニルピロリドンの濃度が0.1〜5.0w/v%であり,水可溶アニオン性高分子がポリビニルピロリドンに対し0.1〜2.0重量比含有することを特徴とする上記(27)記載の方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば,再分散性に優れた水性懸濁液剤を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明で用いられるポリビニルピロリドン(INN:ポビドン)としては,例えばポリビニルピロリドンK(K:固有粘度で,フィケンチャーのK値を示す)15,ポリビニルピロリドンK17,ポリビニルピロリドンK25,ポリビニルピロリドンK30,ポリビニルピロリドンK60およびポリビニルピロリドンK90などが挙げられるが,ポリビニルピロリドンK25およびポリビニルピロリドンK30が好ましい。
【0013】
本発明で用いられる水可溶アニオン性高分子のうちアニオン性多糖としては,カルボキシメチルセルロースまたはその塩,アルギン酸またはその塩,コンドロイチン硫酸またはその塩,ペクチンおよびキサンタンガムが挙げられる。なお,カルボキシメチルセルロースの塩としては,ナトリウム塩およびカルシウム塩などが挙げられ,アルギン酸の塩としては,ナトリウム塩,カリウム塩,カルシウム塩,ナトリウムカルシウム塩などが挙げられ,コンドロイチン硫酸の塩としてはナトリウム塩,カリウム塩,カルシウム塩などが挙げられる。好ましくはカルボキシメチルセルロースまたはその塩,およびアルギン酸またはその塩であり,とりわけアルギン酸ナトリウムが好ましい。
【0014】
本発明で用いられる水可溶アニオン性高分子のうちアニオン性ポリビニル系ポリマーとしては,カルボキシビニルポリマーなどが挙げられる。
【0015】
本発明で用いられる水可溶アニオン性高分子のうちアニオン性高分子ポリペプチドとしては,ゼラチン(タイプB)などが挙げられる。
【0016】
ポリビニルピロリドンの濃度は下限が約0.1w/v%,好ましくは約0.3w/v%で,上限が約10w/v%,好ましく約5w/v%,更に好ましくは約2w/v%あれば適宜選択できる。水可溶アニオン性高分子の濃度は下限が約0.05w/v%,好ましくは約0.1w/v%,更に好ましくは約0.2w/v%で,上限はゲル化の起こらない濃度以下,具体的には約1.0w/v%,好ましくは約0.5w/v%の範囲内で適宜選択できる。
【0017】
水可溶アニオン性高分子はポリビニルピロリドンの濃度が約0.1〜約10w/v%であり,水可溶アニオン性高分子がポリビニルピロリドンに対し約0.01〜約2.0重量比が好ましく,さらにポリビニルピロリドンの濃度が0.1〜5.0w/v%であり,水可溶アニオン性高分子がポリビニルピロリドンに対し0.1〜2.0重量比が好適である。
【0018】
本発明に使用される難溶性薬物は,日本薬局方にいう溶解性を示す用語の「やや溶けにくい」,「溶けにくい」,「極めて溶けにくい」および「ほとんど溶けない」の何れの溶解性を示すものでもよく,最終処方の形態としたときに水性懸濁液剤として提供されるもの全てが含まれる。
【0019】
本発明に使用される難溶性薬物としては,例えばステロイド性抗炎症薬,消炎鎮痛薬,化学療法薬,合成抗菌薬,抗ウイルス薬,ホルモン薬,抗白内障薬,血管新生抑制薬,免疫抑制薬,プロテアーゼ阻害薬,アルドース還元酵素阻害薬,抗アレルギー薬,抗不安薬,抗精神病薬,抗生物質,抗腫瘍薬,抗高脂血症薬,鎮咳・去痰薬,筋弛緩薬,抗てんかん薬,抗潰瘍薬,抗うつ薬,強心薬,不整脈治療薬,血管拡張薬,降圧利尿薬,糖尿病治療薬,抗結核薬,麻薬拮抗薬,皮膚疾患用薬,診断用薬などが挙げられるが,ステロイド性抗炎症薬,消炎鎮痛薬,抗白内障薬が好適である。ステロイド性抗炎症薬としては,例えば酢酸コルチゾン,酢酸ヒドロコルチゾン,ベタメサゾン,プレドニゾロン,プロピオン酸フルチカゾン,デキサメタゾン,トリアムシノロン,ロテプレドノール,フルオロメトロン,ジフルプレドナート,フランカルボン酸モメタゾン,プロピオン酸クロベタゾール,酢酸ジフロラゾン,吉草酸ジフルコルトロン,フルオシノニド,アムシノニド,ハルシノニド,フルオシノロンアセトニド,トリアムシノロンアセトニド,ピバル酸フルメタゾン,酪酸クロベタゾンなどが挙げられ,とりわけフルオロメトロンが好ましい。消炎鎮痛薬としては,例えばアルクロフェナク,アルミノプロフェン,インドメタシン,エピリゾール,オキサプロジン,ケトプロフェン,ジクロフェナクナトリウム,ジフルニサル,ナプロキセン,ピロキシカム,フェンブフェン,フルフェナム酸,フルルビプロフェン,フロクタフェニン,ペンタゾシン,メチアジン酸,メフェナム酸,モフェゾラク,サリチル酸,スルピリン,アトロピン,スコポラミン,モルヒネ,ペチジン,レボルファイノール,オキシモルフォンまたはその塩などが挙げられ,とりわけインドメタシンが好ましい。化学療法薬としては,例えばサラゾスルファピリジン,スルファジメトキシン,スルファメチゾール,スルファメトキサゾール,スルファメトピラジン,スルファモノメトキシンなどのスルホンアミド系抗菌薬,エノキサシン,オフロキサシン,シノキサシン,スパルフロキサシン,チアンフェニコール,ナリジクス酸,トシル酸トスフロキサシン,ノルフロキサシン,ピペミド酸三水和物,ピロミド酸,フレロキサシン,レボフロキサシンなどの合成抗菌薬,アシクロビル,ガンシクロビル,ジダノシン,ジドブジン,ネビラピン,ビダラビン,メシル酸ネルフィナビル,リトナビルなどの抗ウイルス薬,イトラコナゾール,ケトコナゾール,フルコナゾール,フルシトシン,ミコナゾール,ピマリシンなどの抗真菌薬が挙げられる。ホルモン薬としては,例えばインスリン亜鉛,プロピオン酸テストステロン,安息香酸エストラジオール,メチマゾール,エストリオールなどが挙げられる。抗白内障薬としては,例えばピレノキシン,N−(4−フルオロフェニルスルホニル)−L−バリル−L−ロシナールなどが挙げられる。血管新生抑制薬としては,例えばフマギリンおよびその誘導体などが挙げられる。免疫抑制薬としては,例えばシクロスポリン,ラパマイシン,タクロリムスなどが挙げられる。プロテアーゼ阻害薬としては,例えば[L−3−トランス−エトキシカルボニルオキシラン−2−カルボニル]−L−ロイシン(3−メチルブチル)アミド(E−64−d)などが挙げられる。アルドース還元酵素阻害薬としては,例えば5−(3−エトキシ−4−ペンチルオキシフェニル)チアゾリジン−2,4−ジオンなどが挙げられる。抗アレルギー薬としては,例えばトラニラスト,フマル酸クレマスチン,メキタジン,ジフェンヒドラミン,クロルフェニラミン,トリペレナミン,メトジラミン,クレミゾール,ジフェニルピラリン,メトキシフェナミンなどが挙げられる。抗不安薬としては,例えばジアゼパム,ロラゼパム,オキサゼパムなどが挙げられる。抗精神病薬としては,例えばクロルプロマジン,プロクロルペラジン,トリフロペラジンなどが挙げられる。抗生物質としては,例えばゲンタマイシン,ジベカシン,カネンドマイシン,リビドマイシン,トブラマイシン,アミカシン,フラジオマイシン,シソマイシン,テトラサイクリン,オキシテトラサイクリン,ロリテトラサイクリン,ドキシサイクリン,アンピシリン,ピペラシリン,チカルシリン,セファロチン,セファロリジン,セフォチアム,セフォチアムヘキセチル,セフスロジン,セフメノキシム,セフメタゾール,セファゾリン,セフォタキシム,セフォペラゾン,セフチゾキシム,モキサラクタム,チエナマイシン,スルファゼシン,アズスレオナムまたはそれらの塩などが挙げられる。抗腫瘍薬としては,例えば6−O−(N−クロロアセチルカルバモイル)フマギロール,ブレオマイシン,メトトレキサート,アクチノマイシンD,マイトマイシンC,ダウノルビシン,アドリアマイシン,ネオカルチノスタチン,シトシンアラビノシド,フルオロウラシル,テトラヒドロフリル−5−フルオロウラシル,ピシバニール,レンチナン,レバミゾール,ベスタチン,アジメキソン,グリチルリチンなどが挙げられる。抗高脂血症薬としては,例えばクロフィブラート,2−クロロ−3−[4−(2−メチル−2−フェニルプロポキシ)フェニル]プロピオン酸エチル[ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレティン(Chem.Pharm.Bull.),38,2792−2796(1990)]などが挙げられる。鎮咳・去痰薬としては,例えばエフェドリン,メチルエフェドリン,ノスカピン,コデイン,ジヒドロコデイン,アロクラマイド,クロルフェジアノール,ピコペリダミン,クロペラスチン,プロトキロール,イソプロテレノール,サルブタモール,テレプタリンまたはその塩などが挙げられる。筋弛緩薬としては,例えばプリジノール,ツボクラリン,パンクロニウムなどが挙げられる。抗てんかん薬としては,例えばフェニトイン,エトサクシミド,アセタゾラミド,クロルジアゼポキシドなどが挙げられる。抗潰瘍薬としては,例えば合成ケイ酸アルミニウム,アルジオキサ,ランソプラゾール,メトクロプラミドなどが挙げられる。抗うつ薬としては,例えばイミプラミン,クロミプラミン,ノキシプチリン,フェネルジンなどが挙げられる。強心薬としては,例えばトランスバイオキソカンファー,テレフィロール,アミノフィリン,エチレフリンなどが挙げられる。不整脈治療薬としては,例えばプロプラノロール,アルプレノロール,ブフェトロール,オクスプレノロールなどが挙げられる。血管拡張薬としては,例えばオキシフェドリン,ジルチアゼム,トラゾリン,ヘキソベンジン,バメタンなどが挙げられる。降圧利尿薬としては,例えばヘキサメトニウムブロミド,ペントリニウム,メカミルアミン,エカラジン,クロニジン,ジルチアゼム,ニフェジピンなどが挙げられる。糖尿病治療薬としては,例えばグリミジン,グリプジド,フェンフォルミン,プフォルミン,メトフォルミンなどが挙げられる。抗結核薬としては,例えばイソニアジド,エタンブトール,パラアミノアリチル酸などが挙げられる。麻薬拮抗薬としては,例えばレバロルファン,ナロルフィン,ナロキソンまたはその塩などが挙げられる。皮膚疾患用薬としては,例えばカラミン,イオウなどが挙げられる。診断用薬としては,例えば硫酸バリウムなどが挙げられる。
【0020】
本発明に使用される難溶性薬物の濃度は使用する薬物の種類,用途,用法などにより異なるが,例えばステロイド性抗炎症薬であるフルオロメトロンをアレルギー性結膜炎に懸濁点眼剤として用いる場合には,通常約0.02〜約0.1w/v%であり,消炎鎮痛薬であるインドメタシンを術後炎症に懸濁点眼剤として用いる場合には,通常約0.1〜約1.0w/v%であり,抗白内障薬であるピレノキシンを初期老人性白内障に懸濁点眼剤として用いる場合には,通常約0.001〜約0.01w/v%である。点眼剤は,それぞれ1回1〜2滴,1日3〜5回点眼すればよい。ステロイド性抗炎症薬であるベタメサゾンをリウマチ熱に懸濁注射剤として静注する場合には,通常約0.4〜約2.0w/v%であり,1回約2〜約8mg,3〜6時間ごとに投与すればよく,慢性関節リウマチに懸濁内服剤として用いる場合には,通常約0.01〜約0.05w/v%であり,1日約0.5〜約8mgを1〜4回に分服すればよく,アレルギー性の湿疹に懸濁ローション剤として用いる場合には,通常約0.06〜約0.12w/v%であり,1日1〜数回塗布すればよい。
【0021】
本発明の水性懸濁液剤の難溶性薬物とポリビニルピロリドンおよび水可溶アニオン性高分子の濃度の関係は,難溶性薬物の種類にかかわらず,前記したポリビニルピロリドンおよび水可溶アニオン性高分子の濃度範囲内で適宜使用できるが,特に好ましい範囲としては,例えばステロイド性抗炎症薬では,ポリビニルピロリドンの下限濃度が約0.1w/v%で上限濃度が約10w/v%,アルギン酸またはその塩の下限濃度が約0.05w/v%で上限濃度が約1.0w/v%であり,抗白内障薬では,ポリビニルピロリドンの下限濃度が約0.1w/v%で上限濃度が約10w/v%であり,アルギン酸またはその塩の下限濃度が約0.05w/v%で上限濃度が約1.0w/v%である。また,消炎鎮痛薬では,ポリビニルピロリドンの下限濃度が約0.1w/v%で上限濃度が約10w/v%であり,アルギン酸またはその塩の下限濃度が約0.2w/v%で上限濃度が約1.0w/v%が好ましい。
【0022】
本発明の水溶性懸濁液剤は難溶性薬物,ポリビニルピロリドンおよび水可溶アニオン性高分子のほかに,例えば等張化剤(塩化ナトリウム,塩化カリウム,グリセリン,マンニトール,ソルビトール,ホウ酸,ホウ砂,ブドウ糖,プロピレングリコールなど),緩衝剤(リン酸緩衝液,酢酸緩衝液,ホウ酸緩衝液,炭酸緩衝液,クエン酸緩衝液,トリス緩衝液,グルタミン酸,イプシロンアミノカプロン酸,酢酸ナトリウム,ホウ酸,ホウ砂など),保存剤(クロロブタノール,ベンジルアルコール,デヒドロ酢酸ナトリウム,エデト酸ナトリウム,塩化ベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,パラオキシ安息香酸メチル,パラオキシ安息香酸エチル,パラオキシ安息香酸プロピル,ホウ酸,ホウ砂など),増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ポリビニルアルコール,ポリエチレングリコールなど),界面活性剤(ポリソルベート80,ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油,チロキサポール,モノステアリン酸ポリエチレングリコール,ショ糖脂肪酸エステルなど),安定化剤(亜硫酸水素ナトリウム,チオ硫酸ナトリウム,エデト酸ナトリウム,クエン酸ナトリウム,酢酸ナトリウム,アスコルビン酸,ジブチルヒドロキシトルエン,ホウ酸,ホウ砂など),局所収斂薬(酸化亜鉛,次没食子酸ビスマスなど),局所消炎鎮痒薬(d−カンフル,dl−カンフル,dl−メントールなど),分散安定剤(ベントナイト,トラガント,アラビアゴム,ゼラチンなど),pH調整剤(塩酸,水酸化ナトリウム,リン酸,酢酸など),矯味剤(単シロップ,乳糖,ブドウ糖,ハチミツ,苦味チンキなど),甘味剤(果糖,キシリトール,ソルビトール,単シロップ,乳糖など),芳香剤(オレンジ油,スペアミント油,レモン油,ローズ油,メントール,ハッカ油など)などを適宜添加してもよい。
【0023】
これら添加剤の添加量は,添加する添加剤の種類,用途などによって異なるが,添加剤の目的を達成し得る濃度を添加すればよく,例えば,等張化剤は,通常,浸透圧が約229〜約343mOs/Kg・HOとなるよう,約0.5〜約5.0w/v%に添加する。また,緩衝剤は約0.01〜約2.0w/v%程度,増粘剤は約0.01〜約1.0w/v%程度,界面活性剤は約0.01〜約10.0w/v%程度,安定化剤は約0.001〜約1.0w/v%程度添加する。pH調整剤は,適宜添加し,通常約3〜約9,好ましくは約4〜約8に調整される。
【0024】
本発明の水性懸濁液剤は,再分散性が優れているため,医薬(例えば,各種疾病の予防・治療剤),動物薬などとして,ヒトおよびヒト以外の哺乳動物(例,ラット,マウス,モルモット,サル,イヌ,ウシ,ブタなど)に用いられる。
【0025】
本発明の水性懸濁液剤は,点眼剤,点鼻剤,点耳剤,注射剤,内服液剤,リニメント剤およびローション剤などとして好適に利用できるが,特に点眼剤が好ましい。
【0026】
〔試験例〕
本発明を以下の試験例および実施例によりさらに詳細に説明する。
試験例1.再分散性試験
(試験方法)
ポリビニルピロリドンK25およびアルギン酸ナトリウムを種々の濃度で配合した0.1w/v%フルオロメトロン懸濁液をポリプロピレン容器およびポリエチレン容器に充填し,約60℃で約18時間保存し,その外観および再分散性を測定した。
【0027】
(試験結果)
その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表中,×はフルオロメトロン粒子が容器に付着し,バリアブルミックスローターVMR−5(井内盛栄堂社製)を用いて40rpmで100回以上回転させても再分散しなかった。
表中,○はフルオロメトロン粒子は沈降したが,バリアブルミックスローターVMR−5(井内盛栄堂社製)を用いて40rpmで25〜40回の回転で再分散した。
表中,◎は沈降したフルオロメトロン粒子は容器を反転させるだけで再分散した。
【0030】
ポリビニルピロリドンのみを配合したフルオロメトロン懸濁液は,凝集し,容器に付着したまま再分散されなかった。ポリビニルピロリドンおよびアルギン酸ナトリウムを配合したフルオロメトロン懸濁液は,容器に付着することなく再分散した。
【0031】
試験例2.再分散性試験
(試験方法)
ポリビニルピロリドンK25およびアルギン酸ナトリウムを種々の濃度で配合した0.1w/v%フルオロメトロン懸濁液をポリプロピレン容器に充填した。約60℃で約18時間保存後,上下の反転を繰り返し,懸濁粒子が再分散し,容器に付着しなくなるまでの回数を測定した。
【0032】
(試験結果)
その結果を表2に示した。フルオロメトロンは,ポリビニルピロリドン(K25)が0.1w/v%以上でかつアルギン酸ナトリウムが0.05w/v%以上の濃度で再分散が良好であった。一方,ポリビニルピロリドン(K25)を含有せずアルギン酸ナトリウムが0.2w/v%では,調製時においてフルオロメトロンが水溶液上に浮遊し,均一な懸濁液剤が調製できず,時間の経過に伴い浮遊したフルオロメトロンが凝集した。
【0033】
試験例1および2から,本願発明にはある一定濃度以上のポリビニルピロリドンおよびアルギン酸ナトリウムが必須であることが分かった。
【0034】
【表2】

【0035】
表中,×はフルオロメトロン粒子が容器に付着し,再分散しなかった。
表中,○はフルオロメトロン粒子は括弧内に示す回数の反転で再分散した。
【0036】
試験例3.再分散性試験
(試験方法)
1.0w/v%ポリビニルピロリドンK30を含有する0.005w/v%ピレノキシン懸濁液にアルギン酸ナトリウムを種々の濃度で配合し,ポリプロピレン容器およびポリエチレン容器に充填した。約60℃で約18時間保存後,上下の反転を繰り返し,懸濁粒子が再分散し,容器に付着しなくなるまでの回数を測定した。
ピレノキシン懸濁液の処方を表3に示す。
【0037】
【表3】

【0038】
(試験結果)
その結果を表4に示す。
【0039】
【表4】

【0040】
表中,×はピレノキシン粒子が容器に付着し,再分散しなかった。
表中,○はピレノキシン粒子は括弧内に示す回数の反転で再分散した。
【0041】
いずれの容器でもポリビニルピロリドン(K30)のみを配合したピレノキシン懸濁液は凝集し,容器に付着したまま再分散しなかった。ポリビニルピロリドン(K30)およびアルギン酸ナトリウムを配合したピレノキシン懸濁液は容器に付着せず,数回の反転で再分散した。
【0042】
試験例4.再分散性試験
(試験方法)
1.0w/v%ポリビニルピロリドンK30を含有する0.5w/v%インドメタシン懸濁液にアルギン酸ナトリウムを種々の濃度で配合し,ポリプロピレン容器およびポリエチレン容器に充填した。約60℃で約18時間保存後,上下の反転を繰り返し,懸濁粒子が再分散し,容器に付着しなくなるまでの回数を測定した。
インドメタシン懸濁液の処方を表5に示す。
【0043】
【表5】

【0044】
(試験結果)
その結果を表6に示す。
【0045】
【表6】

【0046】
表中,×はインドメタシン粒子が容器に付着し,再分散しなかった。
表中,○はインドメタシン粒子は括弧内に示す回数の反転で再分散した。
表中,△は3例の実験中2例でインドメタシン粒子が容器に付着し,再分散しなかったが,1例は12回の反転で再分散した。
【0047】
インドメタシン懸濁液については,容器により異なり,ポリプロピレン容器では,アルギン酸ナトリウムが0.2w/v%以上の濃度で再分散性が向上した。ポリエチレン容器では,ポリビニルピロリドン(K30)のみを配合した場合でも再分散したが,ポリビニルピロリドン(K30)およびアルギン酸ナトリウムを配合することにより再分散性はさらに向上した。
【0048】
以上の結果から,ポリビニルピロリドンおよび水可溶アニオン性高分子を配合することにより,難溶性薬物の再分散の良好な懸濁液剤を調製できることが分かった。
【0049】
実施例1
点眼剤
フルオロメトロン 0.1g
リン酸二水素ナトリウム二水和物 0.1g
塩化ナトリウム 0.8g
ポリビニルピロリドンK25 0.5g
アルギン酸ナトリウム 0.2g
ポリソルベート80 0.1g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
水酸化ナトリウム 適量
精製水 全100mL
pH 7.0
精製水約80mLにリン酸二水素ナトリウム二水和物,塩化ナトリウム,ポリソルベート80,ポリビニルピロリドンK25,アルギン酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを加えて溶かし,水酸化ナトリウムを加えてpHを7に調整した。フルオロメトロンを加え,ホモジナイザーにより均一に懸濁させた。精製水を加え全量を100mLとし,フルオロメトロン含有懸濁点眼剤を調製した。
【0050】
実施例2
点眼剤
インドメタシン 0.5g
酢酸ナトリウム 0.1g
塩化ナトリウム 0.8g
ポリビニルピロリドンK30 1.0g
アルギン酸ナトリウム 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.026g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.014g
塩酸 適量
精製水 全100mL
pH 5.0
精製水約80mLに酢酸ナトリウム,塩化ナトリウム,ポリビニルピロリドンK30,アルギン酸ナトリウム,パラオキシ安息香酸メチルおよびパラオキシ安息香酸プロピルを加えて溶かした。インドメタシンを加え,ホモジナイザーにより均一に懸濁させ,塩酸を加えてpHを5に調整した。精製水を加え全量を100mLとし,インドメタシン含有懸濁点眼剤を調製した。
【0051】
実施例3
点眼剤
ピレノキシン 0.005g
酢酸ナトリウム 0.1g
塩化ナトリウム 0.8g
ポリビニルピロリドンK30 1.0g
アルギン酸ナトリウム 0.1g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
塩酸 適量
精製水 全100mL
pH 4.0
精製水約80mLに酢酸ナトリウム,塩化ナトリウム,ポリビニルピロリドンK30,アルギン酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを加えて溶かした。ピレノキシンを加え,ホモジナイザーにより均一に懸濁させ,塩酸を加えてpHを4に調整した。精製水を加え全量を100mLとし,ピレノキシン含有懸濁点眼剤を調製した。
【0052】
実施例4
点鼻剤
デキサメタゾン 0.1g
塩化ナトリウム 0.5g
ポリビニルピロリドンK25 1.0g
アルギン酸ナトリウム 0.2g
ホウ酸 0.7g
ホウ砂 適量
エデト酸ナトリウム 0.0005g
塩化ベンザルコニウム 0.0005g
水酸化ナトリウム/塩酸 適量
精製水 全100mL
pH 7.0
精製水約80mLに塩化ナトリウム,ポリビニルピロリドンK25,アルギン酸ナトリウム,ホウ酸,ホウ砂,エデト酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを加えて溶かす。デキサメタゾンを加え,ホモジナイザーにより均一に懸濁させ,水酸化ナトリウム/塩酸を加えてpHを7に調整する。精製水を加え全量を100mLとし,デキサメタゾン含有懸濁点鼻剤とする。
【0053】
実施例5
点耳剤
フラジオマイシン 1.0g
ホウ酸 0.7g
ホウ砂 適量
塩化ナトリウム 0.5g
ポリビニルピロリドンK30 0.5g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1g
精製水 全100mL
pH 6.5
精製水約80mLにホウ酸,塩化ナトリウム,ポリビニルピロリドンK30およびカルボキシメチルセルロースを加えて溶かす。ホウ砂を溶解し,pHを6.5とした後,フラジオマイシンを加え,ホモジナイザーにより均一にする。精製水を加え全量を100mLとし,フラジオマイシン含有懸濁点耳剤とする。
【0054】
実施例6
注射剤
ベタメサゾン 0.8g
ポリビニルピロリドンK25 0.5g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.5g
ポリソルベート80 0.01g
塩化ベンザルコニウム 0.02g
水酸化ナトリウム/塩酸 適量
精製水 全100mL
pH 7.0
精製水約80mLにポリビニルピロリドンK25,カルボキシメチルセルロースナトリウム,ポリソルベート80および塩化ベンザルコニウムを加えて溶かす。ベタメサゾンを加え,ホモジナイザーにより均一に懸濁させ,水酸化ナトリウム/塩酸を加えてpHを7に調整する。精製水を加え全量を100mLとし,ベタメサゾン含有懸濁注射剤とする。
【0055】
実施例7
注射剤
安息香酸エストラジオール 0.1g
ポリビニルピロリドンK30 0.5g
アルギン酸ナトリウム 0.5g
パラオキシ安息香酸エチル 0.05g
水酸化ナトリウム/塩酸 適量
精製水 全100mL
pH 6.5
精製水約80mLにポリビニルピロリドンK30,アルギン酸ナトリウムおよびパラオキシ安息香酸エチルを加えて溶かす。安息香酸エストラジオールを加え,ホモジナイザーにより均一に懸濁させ,水酸化ナトリウム/塩酸を加えてpHを6.5に調整する。精製水を加え全量を100mLとし,安息香酸エストラジオール含有懸濁注射剤とする。
【0056】
実施例8
内用懸濁液剤
合成ケイ酸アルミニウム 5.0g
酸化アルミニウム 1.2g
苦味チンキ 2.0mL
ポリビニルピロリドンK30 1.0g
アルギン酸ナトリウム 0.2g
単シロップ 8.0mL
精製水 全100mL
精製水約80mLにグリセリン,ポリビニルピロリドンK30,アルギン酸ナトリウムおよび単シロップを加えて溶かす。合成ケイ酸アルミニウム,酸化アルミニウムおよび苦味チンキを加え,ホモジナイザーにより均一にし,精製水を加え全量を100mLとし,合成ケイ酸アルミニウム含有内用懸濁液剤とする。
【0057】
実施例9
カラミンローション
カラミン 8.0g
酸化亜鉛 8.0g
グリセリン 2.0mL
ポリビニルピロリドンK30 0.5g
カルボキシメチルセルロース 0.2g
ベントナイト 2.0g
精製水 40.0mL
石灰水 全100mL
精製水40mLにグリセリン,ポリビニルピロリドンK30およびカルボキシメチルセルロースを加えて溶かす。カラミン,酸化亜鉛およびベントナイトを加え,ホモジナイザーにより均一にし,石灰水を加え全量を100mL,再度ホモジナイザーにより均一にし,カラミンローションを調製する。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の水性懸濁液剤は,薬物粒子が凝集したり,懸濁粒子の巨大結晶化や沈降粒子の二次粒子形成などを防止することができ,またポリプロピレンやポリエチレンなどのプラスチック材質からなる容器などへの付着および吸着もなく,再分散性が良好であるので,点眼剤,点鼻剤,点鼻剤,注射剤,内服剤,リニメント剤およびローション剤などの優れた水性懸濁液剤として利用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
難溶性薬物の水性懸濁液剤に,ポリビニルピロリドンおよびアルギン酸又はその塩を配合することにより,水性懸濁液剤の再分散性を向上させる方法。
【請求項2】
ポリビニルピロリドンの下限濃度が0.1w/v%であり上限濃度が10w/v%,アルギン酸又はその塩の下限濃度が0.05w/v%であり上限濃度が1.0w/v%含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリビニルピロリドンの濃度が0.1〜5.0w/v%であり,アルギン酸又はその塩がポリビニルピロリドンに対し0.1〜2.0重量比含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
難溶性薬物が,ステロイド性抗炎症薬,消炎鎮痛薬,化学療法薬,合成抗菌薬,抗ウイルス薬,ホルモン薬,抗白内障薬,血管新生抑制薬,免疫抑制薬,プロテアーゼ阻害薬,アルドース還元酵素阻害薬,抗アレルギー薬,抗不安薬,抗精神病薬,抗生物質,抗腫瘍薬,抗高脂血症薬,鎮咳・去痰薬,筋弛緩薬,抗てんかん薬,抗潰瘍薬,抗うつ薬,強心薬,不整脈治療薬,血管拡張薬,降圧利尿薬,糖尿病治療薬,抗結核薬,麻薬拮抗薬,皮膚疾患用薬,診断用薬から選択される少なくとも1種である,請求項1乃至3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
水性懸濁液剤が,点眼剤,点鼻剤,点耳剤,注射剤,内服剤,リニメント剤又はローション剤である,請求項1乃至4の何れかに記載の方法。


【公開番号】特開2012−121912(P2012−121912A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48497(P2012−48497)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【分割の表示】特願2002−520787(P2002−520787)の分割
【原出願日】平成13年8月20日(2001.8.20)
【出願人】(000199175)千寿製薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】