説明

水性懸濁状農薬組成物および水性懸濁状農薬製剤

【課題】2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールを有効成分として含有する優れた性能を有する農薬組成物を提供すること。
【解決手段】2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールと、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールと、無機系増粘剤と、分散剤とを含有してなる水性懸濁状農薬組成物は、優れた性能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性懸濁状農薬組成物および水性懸濁状農薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールは、殺ダニ活性を有する化合物として知られており、これを有効成分として含有する農薬組成物も実用に供されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、当該化合物を有効成分として含有する農薬組成物は、必ずしも十分な効力を発揮できるものではなく、該化合物を含有する新たな農薬組成物が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5478855号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールを有効成分として含有する優れた防除効力を有する農薬組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールを有効成分として含有する優れた農薬組成物を見出すべく検討の結果、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールと、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールと、無機系増粘剤と、分散剤とを含有してなる水性懸濁状農薬組成物が、優れた防除効力を有することを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[11]のものを含む。
[1] 2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールと、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールと、無機系増粘剤と、分散剤とを含有してなる水性懸濁状農薬組成物。
【0007】
[2] 2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール100重量部に対して、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールが2〜100重量部、無機系増粘剤が2〜50重量部、分散剤が2〜100重量部の含有割合である[1]記載の水性懸濁状農薬組成物。
【0008】
[3] 2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール100重量部に対して、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールが5〜60重量部、無機系増粘剤が4〜30重量部、分散剤が5〜85重量部の含有割合である[1]記載の水性懸濁状農薬組成物。
【0009】
[4] 無機系増粘剤が、ケイ酸アルミニウムマグネシウム及びモンモリロナイトからなる群より選ばれる1種以上である[1]〜[3]いずれか一項記載の水性懸濁状農薬組成物。
【0010】
[5] 分散剤が、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルリン酸塩である[1]〜[4]いずれか一項記載の水性懸濁状農薬組成物。
【0011】
[6] 2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールと、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールと、無機系増粘剤と、分散剤とを含有してなる水性懸濁状農薬製剤。
【0012】
[7] 製剤全量に対する含有割合が、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールが0.1〜50重量パーセントであり、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールが0.2〜10重量パーセントであり、無機系増粘剤が0.1〜5重量パーセントであり、分散剤が1〜15重量パーセントある[6]記載の水性懸濁状農薬製剤。
【0013】
[8] 2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール100重量部に対して、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールが2〜100重量部、無機系増粘剤が2〜50重量部、分散剤が2〜100重量部の含有割合である[6]又は[7]記載の水性懸濁状農薬製剤。
【0014】
[9] 2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール100重量部に対して、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールが5〜60重量部、無機系増粘剤が4〜30重量部、分散剤が5〜85重量部の含有割合である[6]又は[7]記載の水性懸濁状農薬製剤。
【0015】
[10] 無機系増粘剤が、ケイ酸アルミニウムマグネシウム及びモンモリロナイトからなる群より選ばれる1種以上である[6]〜[9]いずれか一項記載の水性懸濁状農薬製剤。
【0016】
[11] 分散剤が、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルリン酸塩である[6]〜[10]いずれか一項記載の水性懸濁状農薬製剤。
【発明の効果】
【0017】
本発明の水性懸濁状農薬組成物は、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールを有効成分として含有する優れた性能を有する農薬組成物を提供する。また本発明の水性懸濁状農薬製剤は、適宜展着剤等を加えた水により希釈することで本発明の水性懸濁状農薬組成物を提供するのに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の水性懸濁状農薬組成物は、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール(以下、本化合物と記す。)と、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコール(以下、本アルコール化合物と記す。)と、無機系増粘剤と、分散剤とが水中に含有され、懸濁されてなるものである。
【0019】
本発明に用いられる本化合物とは、例えば米国特許第5478855号明細書に記載の化合物であり、該明細書に記載の方法により製造することができる。
【0020】
本発明に用いられる本アルコール化合物は、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、これらのアルコール化合物を混合して用いることもできる。
【0021】
本発明の水性懸濁状農薬組成物には、本化合物100重量部に対して、本アルコール化合物が合計で、通常2〜100重量部、好ましくは5〜60重量部含有される。
【0022】
本発明に用いられる無機系増粘剤としては、例えばケイ酸アルミニウムマグネシウムやモンモリロナイト(ベントナイト)、ホワイトカーボン(親水性シリカ)等の固体微粉末が挙げられ、少量添加での有効性ならびに粘度制御の容易さから、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、モンモリロナイト(ベントナイト)が望ましい。具体的には例えばビーガムR、ビーガムグラニュー、ビーガムF、ビーガムHVグラニュー、ビーガムHSグラニュー、ビーガムKグラニュー、ビーガムPRO、ビーガムDグラニュー、ビーガムULTRAグラニュー、ビーガムPLUS(以上、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、Vanderbilt社製)等が、また、クニピアG、クニピアF、クニゲルV1、クニゲルV2(以上、モンモリロナイト、クニミネ工業製)が挙げられる。
【0023】
本発明の水性懸濁状農薬組成物には、本化合物100重量部に対して、無機系増粘剤が通常2〜50重量部、好ましくは4〜30重量部含有される。
【0024】
本発明に用いられる分散剤としては、例えばポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルリン酸塩が挙げられ、具体的には例えばソプロフォールFL(ローディア製)やニューカルゲンFS−3EG(竹本油脂製)が挙げられる。
【0025】
本発明の水性懸濁状農薬組成物には、本化合物100重量部に対して、分散剤が通常2〜100重量部、好ましくは5〜85重量部含有される。
【0026】
本発明の水性懸濁状農薬組成物には、本化合物、本アルコール化合物、無機系増粘剤及び分散剤のほかに、製剤用助剤並びに展着剤が含有されていてもよい。ここで製剤用助剤としては、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、安定化剤、着色剤、香料等が挙げられ、展着剤としては、界面活性剤を主成分とする粘稠な液体で、例えばダイン(登録商標、住友化学園芸)などが挙げられる。本発明の水性懸濁状農薬組成物にこれらの製剤用助剤および/または展着剤が含有される場合、本化合物100重量部に対して、製剤用助剤及び展着剤が合計で通常2〜500重量部含有される。
【0027】
本発明の水性懸濁状農薬組成物は、本化合物が水中で懸濁状となるものであればその含有量は特に限定されないが、例えば本化合物100重量部に対して、水が80〜199999900重量部含有される。
【0028】
本発明の水性懸濁状農薬製剤は、本化合物と、本アルコール化合物と、無機系増粘剤と、分散剤とが水中に含有され、懸濁されてなる農薬製剤である。本発明の水性懸濁状農薬製剤を適宜展着剤等を加えた水により希釈して、本発明の水性懸濁状農薬組成物を調製してもよい。
【0029】
本発明の水性懸濁状農薬製剤の全量に対する、本化合物の含有量は、通常0.1〜50重量パーセント、好ましくは1〜40重量パーセントであり、本アルコール化合物の含有量は、通常0.2〜10重量パーセント、好ましくは1〜8重量パーセントであり、無機系増粘剤の含有量は、通常0.05〜5重量パーセント、好ましくは0.1〜5重量パーセントまたは0.1〜3重量パーセントであり、分散剤の含有量は、通常1〜15重量パーセント、好ましくは2〜10重量パーセントである。
【0030】
本発明の水性懸濁状農薬製剤には、さらに必要に応じて前記した製剤用助剤が含有されていてもよい。本発明の水性懸濁状農薬製剤に製剤用助剤が含有される場合、本発明の水性懸濁状農薬製剤全量に対する製剤用助剤の含有量は、1〜10重量パーセントである。
【0031】
本発明の水性懸濁状農薬製剤は、本化合物、本アルコール化合物及び分散剤、さらに必要に応じて製剤用助剤を水と混合し、これを湿式粉砕に付して本化合物を微粉砕することにより懸濁液を調製し、該懸濁液に対して、無機系増粘剤又はその水溶液を加えて全体が均一となるように適宜撹拌することにより製造することができる。
【0032】
かかる湿式粉砕の方法としては、本化合物、本アルコール化合物及び分散剤、さらに必要に応じて製剤用助剤を水と混合した混合液に、ガラスビーズ等の剛体ビーズを加え、ダイノミル(登録商標)等の湿式ビーズミル又はサンドグラインダー等の湿式粉砕機を使用する方法が挙げられる。
【0033】
前記した製造方法により製造される本発明の水性懸濁状農薬製剤は、本化合物が粉砕されて微粉末状で分散されているが、その体積中位径は、通常20μm以下、具体的には0.5〜5μm程度である。
【0034】
本発明の水性懸濁状農薬組成物は、本発明の水性懸濁状農薬製剤そのものであってもよく、また本発明の水性懸濁状農薬製剤を、必要に応じて適宜展着剤等を加えた水により希釈されたものであってもよい。
【0035】
本発明の水性懸濁状農薬組成物は、農作物の栽培地及び農作物に施用することにより、該農作物の栽培地及び該農作物に生息する有害ダニを防除するために用いることができる。かかる本発明の水性懸濁状農薬組成物の施用量は、有害ダニの発生状況などにより適宜設定されるものであるが、例えば農作物の栽培地1000mあたり、本化合物の施用量として1〜1000グラム、好ましくは10〜100グラムである。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を製造例、試験例等の実施例により詳細に説明する。
【0037】
製剤例1
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール(純度:97.0%)を10.3重量部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルリン酸塩(ソプロフォールFL、ローディア製) 2.67重量部、シリコン系消泡剤(アンチフォームCエマルジョン、ダウ・コーニング製) 0.33重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 51.03重量部を混合した後、DYNO−MILL KDL(株式会社シンマルエンタープライゼス製)を用いて湿式粉砕し、懸濁液を得た。一方、キサンタンガム(ケルザンS S、Kelco社製) 0.23重量部、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガムR、Vanderbilt社製) 0.46重量部及び防腐剤(プロキセルGXL、アーチケミカル製) 0.13重量部をイオン交換水 29.85重量部に加えて、1時間撹拌を継続して、増粘剤溶液を調製した。懸濁液に増粘剤溶液を加えて混合し、本発明の水性懸濁状農薬製剤を得た。
【0038】
製剤例2
製剤例1において、プロピレングリコールの代わりに、エチレングリコールを用いた以外は、製剤例1と同様の操作を行い、本発明の水性懸濁状農薬製剤を得た。
【0039】
製剤例3
製剤例1において、プロピレングリコールの代わりに、グリセリンを用いた以外は、製剤例1と同様の操作を行い、本発明の水性懸濁状農薬製剤を得た。
【0040】
製剤例4
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール(純度:97.0%)を10.3重量部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルリン酸塩(ニューカルゲンFS−3EG、竹本油脂製) 8.4重量部、シリコン系消泡剤(プロナールEX−300、東邦化学工業製) 0.53重量部、モンモリロナイト(クニピアF、クニミネ工業製)2.63重量部、エチレングリコール 0.79重量部、防腐剤(プロキセルGXL、アーチケミカル製) 0.21重量部及びイオン交換水 77.14重量部を混合した後、DYNO−MILL KDL(株式会社シンマルエンタープライゼス製)を用いて湿式粉砕し、本発明の水性懸濁状農薬製剤を得た。
【0041】
参考例1
芳香族炭化水素(ソルベッソ200、ExxonMobil製) 20重量部に、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール(純度:97.0%) 3.09重量部を溶解し、油相を得た。一方、ポリビニルアルコール(ゴーセノールGL−05、日本合成化学製) 4重量部、シリコン系消泡剤(アンチフォームCエマルジョン、ダウ・コーニング製) 0.2重量部、プロピレングリコール 5重量部及びイオン交換水 49.04重量部を混合し、水相を得た。TKオートホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて水相を攪拌下、油相を滴下し乳化液を得た。次に、キサンタンガム(ケルザンS S、Kelco社製) 0.14重量部、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガムR、Vanderbilt社製) 0.28重量部及び防腐剤(プロキセルGXL、アーチケミカル製) 0.2重量部をイオン交換水 18.05重量部に加えて、1時間撹拌を継続して、増粘剤溶液を調製した。乳化液に増粘剤溶液を加えて混合し、エマルジョン製剤を得た。
【0042】
参考例2
製剤例1において、プロピレングリコールの代わりに、イオン交換水を用いた以外は、製剤例1と同様の操作を行い、水性懸濁状農薬製剤を得た。
【0043】
次に試験例を示す。
試験例1
インゲンマメの葉を直径2cmに切り取ってリーフディスクを作成した。該リーフディスクを水で湿らせた脱脂綿上に葉表を上にして設置して、単位面積当たりの薬剤希釈液の重量が3.5mg/cmの付着量となるように散布機(大起工業製)で薬液の希釈液を散布した。薬液の希釈液は2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールの濃度が0.5ppmになるように水で希釈した。処理後、葉面上にナミハダニ雌成虫を10頭接種した。接種1日後に接種した雌成虫を除去し、調査日まで25℃の室内に設置した。雌成虫除去7日後に未孵化卵数と孵化幼虫数とその生死を調査した。
殺ダニ率は以下の[式1]を用いて算出した。その結果を表1に示す。
[式1]
殺ダニ率=(未孵化卵数+死亡孵化幼虫数)/(未孵化卵数+死亡孵化幼虫数+生存孵化幼虫数)×100(%)
【0044】
【表1】

【0045】
試験例2
参考例1で得た水性懸濁状組成物を水に希釈し、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールの濃度を15ppmとした。該希釈液50mlを、鉢植えにて生育したナツミカン(品種:川野夏橙)の苗木に茎葉散布した。散布から4週間後にミカンの葉を切り取り、直径9cmのシャーレ内に敷かれ且つ水で濡れた脱脂綿上に置き、その葉面上にミカンハダニ(Panonychus citri)雌成虫10頭を放し、人工気象器(気温25℃、湿度70%、光条件:明期 16時間、暗期 8時間)内で静置した。3日後に葉面上に産卵された卵を残してミカンハダニ雌成虫を除去し、さらに9日間、人工気象器(気温25℃、湿度70%、光条件:明期 16時間、暗期 8時間)内で静置した。孵化したカンザワハダニの幼虫数及び未孵化卵数を数え、式2により卵の殺卵率を求めた。その結果を表2に示す。
[式2]
殺卵率(%) = {未孵化卵数/(幼虫数+未孵化卵数)}×100
【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールと、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールと、無機系増粘剤と、分散剤とを含有してなる水性懸濁状農薬組成物。
【請求項2】
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール100重量部に対して、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールが2〜100重量部、無機系増粘剤が2〜50重量部、分散剤が2〜100重量部の含有割合である請求項1記載の水性懸濁状農薬組成物。
【請求項3】
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール100重量部に対して、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールが5〜60重量部、無機系増粘剤が4〜30重量部、分散剤が5〜85重量部の含有割合である請求項1記載の水性懸濁状農薬組成物。
【請求項4】
無機系増粘剤が、ケイ酸アルミニウムマグネシウム及びモンモリロナイトからなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜3いずれか一項記載の水性懸濁状農薬組成物。
【請求項5】
分散剤が、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルリン酸塩である請求項1〜4いずれか一項記載の水性懸濁状農薬組成物。
【請求項6】
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールと、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールと、無機系増粘剤と、分散剤とを含有してなる水性懸濁状農薬製剤。
【請求項7】
製剤全量に対する含有割合が、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾールが0.1〜50重量パーセントであり、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールが0.2〜10重量パーセントであり、無機系増粘剤が0.1〜5重量パーセントであり、分散剤が1〜15重量パーセントある請求項6記載の水性懸濁状農薬製剤。
【請求項8】
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール100重量部に対して、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールが2〜100重量部、無機系増粘剤が2〜50重量部、分散剤が2〜100重量部の含有割合である請求項6又は7記載の水性懸濁状農薬製剤。
【請求項9】
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−4,5−ジヒドロオキサゾール100重量部に対して、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールが5〜60重量部、無機系増粘剤が4〜30重量部、分散剤が5〜85重量部の含有割合である請求項6又は7記載の水性懸濁状農薬製剤。
【請求項10】
無機系増粘剤が、ケイ酸アルミニウムマグネシウム及びモンモリロナイトからなる群より選ばれる1種以上である請求項6〜9いずれか一項記載の水性懸濁状農薬製剤。
【請求項11】
分散剤が、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルリン酸塩である請求項6〜10いずれか一項記載の水性懸濁状農薬製剤。

【公開番号】特開2013−95740(P2013−95740A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242561(P2011−242561)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】