説明

水性樹脂組成物、コーティング剤、及び熱転写型インクリボン

【課題】本発明が解決しようとする課題は、比較的高温でかつ高湿度の環境下においても、皮膜の白化やシワ等の発生を引き起こすことなく高外観な皮膜を維持可能なレベルの耐湿熱性を備えた皮膜を形成可能であり、耐水性や耐熱性に優れた皮膜を形成可能な水性樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、アミド基及びアリール基を有するビニル重合体(a1)と、親水性基含有ウレタン樹脂(a2)とから形成される複合樹脂粒子(A)、ならびに、水性媒体(B)を含有することを特徴とする水性樹脂組成物及びコーティング剤に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコーティング剤や接着剤等の様々な用途に使用可能な水性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング剤には、各種基材表面へ意匠性等を付与できるとともに、基材表面の保護機能等を付与しうる皮膜を形成できることが求められている。特に近年は、様々な温度及び湿度環境下であっても被塗物を保護可能なレベルの耐湿熱性や耐水性、耐熱性等の性能を備えた皮膜を形成可能なコーティング剤が、産業界から求められている。
【0003】
前記耐湿熱性は、比較的高温でかつ高湿度の環境下においても、皮膜の白化やシワ等の発生を引き起こすことなく高外観な皮膜を維持できる特性であり、例えば携帯電話機等の電子機器等の使用環境が多岐にわたるなかで、耐水性や耐熱性等とならび、近年、特に求められる特性の一つである。
【0004】
前記耐熱性や耐水性に優れた皮膜を形成可能な樹脂組成物としては、例えば(メタ)アクリルアミド(a1)及びカルボキシル基含有ビニル単量体(a2)を含む親水性共重合体(A)とポリビニルアルコール(B)及びシアノ基含有ビニル単量体(c1)を含む疎水性共重合体(C)からなる水性樹脂を含む感熱記録紙保護層用樹脂が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、前記感熱記録紙保護層用樹脂では、実用上十分な耐湿熱性を備えた皮膜を形成できず、耐熱性及び耐水性もまた、十分なレベルではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−51338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、比較的高温でかつ高湿度の環境下においても、皮膜の白化やシワ等の発生を引き起こすことなく高外観な皮膜を維持可能なレベルの耐湿熱性を備えた皮膜を形成可能であり、耐水性や耐熱性に優れた皮膜を形成可能な水性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討を進めた結果、アミド基とアリール基という特定の官能基を組み合わせ有するビニル重合体を選択し、かつ、前記ビニル重合体と親水性基含有ウレタン樹脂とを組み合わせ複合化した複合樹脂粒子を含む水性樹脂組成物であれば、耐湿熱性や耐水性、耐熱性等に優れた皮膜を形成できることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、アミド基及びアリール基を有するビニル重合体(a1)と、親水性基含有ウレタン樹脂(a2)とから形成される複合樹脂粒子(A)、ならびに、水性媒体(B)を含有することを特徴とする水性樹脂組成物及びコーティング剤に関するものである。
【0010】
また、本発明は、インク層と支持体層と裏面層とが順に積層された熱転写型インクリボンであって、前記裏面層が前記コーティング剤を用いて形成された層であることを特徴とする熱転写型インクリボンに関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水性樹脂組成物であれば、耐湿熱性や耐水性、耐熱性に優れた皮膜を形成できることから、各種基材の表面被覆用のコーティング剤や、各種基材の貼り合せ用の接着剤等に使用することができる。
【0012】
より具体的には、本発明の水性樹脂組成物は、自動車や家電製品等を構成する部品の表面被覆や、建築材料の表面被覆、プラスチック成型物の表面被覆、液晶ディスプレイなどで用いられる積層フィルムの表面被覆、さらには、局所的な熱の影響を受けやすい熱転写型インクリボンの裏面コート層等に使用することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、アミド基及びアリール基を有するビニル重合体(a1)と、親水性基含有ウレタン樹脂(a2)とから形成される複合樹脂粒子(A)、水性媒体(B)、ならびに、必要に応じてその他の添加剤を含有することを特徴とする水性樹脂組成物であって、前記複合樹脂粒子(A)が前記水性媒体(B)中に分散した水性樹脂組成物である。
【0014】
はじめに前記複合樹脂粒子(A)について説明する。
本発明で使用する複合樹脂粒子(A)は、アミド基とアリール基を有するビニル重合体(a1)と、親水性基含有ウレタン樹脂(a2)とが、それぞれ独立して樹脂粒子を形成し水性媒体(B)中に存在するものではなく、それらが複合化し複合樹脂粒子を形成したものである。
【0015】
前記複合樹脂粒子(A)は、具体的には、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)が形成する樹脂粒子内部に前記ビニル重合体(a1)の一部または全部が内在し複合樹脂粒子を形成するものであることが好ましい。より具体的には、前記ビニル重合体(a1)が、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)粒子内に、単一または複数の粒子状に分散したものであることが好ましく、コア層としての前記ビニル重合体(a1)と、シェル層としての前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)とから構成されるコア・シェル型樹脂粒子を形成することが好ましい。なお、前記複合樹脂粒子(A)としては、前記ビニル重合体(a1)が前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)によってほぼ完全に覆われていることが好ましいが、必須ではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ビニル重合体(a1)の一部が前記複合樹脂粒子(A)の最外部に存在してもよい。
【0016】
また、前記複合樹脂粒子(A)としては、前記ビニル重合体(a1)の方が、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)と比較してより親水性である場合には、前記ビニル重合体(a1)が形成した樹脂粒子内に、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の一部または全部が内在し複合樹脂粒子を形成したものであってもよい。
【0017】
一方、前記ビニル重合体(a1)と前記親水性基ウレタン樹脂(a2)とが複合樹脂粒子(A)を形成せず、それぞれ別々に独立して水性媒体(B)中に分散した水性樹脂組成物では、耐湿熱性と耐水性に優れた皮膜を形成できない場合がある。
【0018】
また、前記複合樹脂粒子(A)は、前記ビニル重合体(a1)と前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)との間で共有結合を形成し、粒子内架橋したものであっても、前記結合を形成していないものであってもよいが、得られる皮膜の耐熱性を更に向上する観点から、前記共有結合を形成したものであることが好ましい。
【0019】
一方、本発明の水性樹脂組成物の造膜性を更に向上する場合には、前記共有結合を形成していない複合樹脂粒子を使用することが好ましい。
【0020】
前記複合樹脂粒子(A)は、皮膜の優れた耐湿熱性や耐水性、耐熱性、水分散安定性等を両立する観点から、5nm〜1000nmの範囲の平均粒子径であることが好ましい。ここで言う平均粒子径とは、後述する実施例でも述べるが、動的光散乱法により測定した体積基準での平均粒子径を指す。
【0021】
また、前記複合樹脂粒子(A)としては、前記ビニル重合体(a1)と前記親水性基ウレタン樹脂(a2)との質量割合[(a1)/(a2)]が99/1〜5/95であるものを使用することが好ましく、70/30〜5/95であるものを使用することが、造膜性に優れ、耐湿熱性や耐熱性に優れた皮膜を形成可能な水性樹脂組成物を得るうえで特に好ましい。
【0022】
また、前記複合樹脂粒子(A)は、水性媒体(B)中に分散するために必要な親水性基を有する。前記親水性基は、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)によって供給されることが好ましい。
【0023】
前記親水性基としては、アニオン性基、カチオン性基、及びノニオン性基を使用できるが、なかでもアニオン性基又はカチオン性基を使用することが好ましく、アニオン性基を使用することがより好ましい。
【0024】
前記アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基や、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基、スルホネート基等を使用することができる。なかでもカルボキシル基やカルボキシレート基を使用することが、良好な水分散性を有する複合樹脂粒子(A)を製造するうえで好ましい。
【0025】
前記アニオン性基の中和に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンや、Na、K、Li、Ca等を含む金属塩基化合物等が挙げられる。
【0026】
また、前記カチオン性基としては、例えば3級アミノ基等を使用することができる。前記3級アミノ基は、その一部又は全てが酢酸やプロピオン酸等で中和されたものであっても良い。
【0027】
また、前記ノニオン性基としては、例えばポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
【0028】
前記アニオン性基やカチオン性基等の親水性基は、複合樹脂粒子(A)全体に対して50mmol/kg〜1000mmol/kgの範囲で存在することが、水性媒体(B)中における複合樹脂粒子(A)の良好な水分散安定性を付与するうえで好ましい。
【0029】
次に、前記複合樹脂粒子(A)を構成するビニル重合体(a1)について説明する。
本発明の水性樹脂組成物では、前記ビニル重合体(a1)として、アミド基とアリール基とを組み合わせ有するものを使用することが、耐湿熱性と耐水性、耐熱性に優れた皮膜を形成するうえで特に重要である。
【0030】
ここで、前記ビニル重合体(a1)の代わりに、アリール基を有さず、アミド基を有するビニル重合体を使用して得られた水性樹脂組成物では、耐湿熱性と耐水性に優れた皮膜を形成することが困難な場合がある。
【0031】
一方、前記ビニル重合体(a1)の代わりに、アミド基を有さず、アリール基を有するビニル重合体を使用して得られた水性樹脂組成物では、ある程度の耐湿熱性や耐熱性を備えた皮膜を形成できるものの、実用上十分なレベルではない場合がある。また、前記水性樹脂組成物を用いて形成された皮膜は、耐熱性や耐アルコール性の低下を引き起こす場合がある。
【0032】
前記ビニル重合体(a1)としては、優れた耐湿熱性とともに、優れた耐熱性や耐水性、耐アルコール性を備えた皮膜を形成する観点から、前記ビニル重合体(a1)の全量に対して、前記ビニル重合体(a1)が、複合樹脂粒子(A)の全量に対してアミド基を0.5mmol/g〜15mmol/g含有し、かつ、アリール基を0.5mmol/g〜10mmol/g含有することが好ましく、また、アミド基を2.0mmol/g〜11mmol/g含有し、かつ、アリール基を1.0mmol/g〜7.0mmol/g含有することが好ましく、さらに、アミド基を2.0mmol/g〜5.0mmol/g含有し、かつ、アリール基を1.0mmol/g〜2.0mmol/g含有することが好ましい。
【0033】
前記ビニル重合体(a1)としては、前記アミド基やアリール基の他に、必要に応じてその他の官能基を有するものを使用することができる。
【0034】
前記その他の官能基としては、ニトリル基や、アミノ基等の塩基性窒素原子含有基等が挙げられ、形成する皮膜の耐湿熱性や耐水性、耐熱性を損なうことなく耐アルコール性を更に向上する観点から、ニトリル基やアミノ基が好ましい。
【0035】
前記ニトリル基は、前記アミド基との当量割合[ニトリル基/アミド基]が10/90〜90/10となる範囲で使用することが、優れた耐湿熱性とともに、優れた耐熱性や耐水性、耐アルコール性に優れた皮膜を形成するうえで好ましい。
【0036】
また、前記塩基性窒素原子含有基としては、アミノ基を有するものを使用することがより好ましく、3級アミノ基を有するものを使用することが特に好ましい。
【0037】
前記塩基性窒素原子含有基は、前記ビニル重合体(a1)の全量に対して、0.03mmol/g〜0.70mmol/g有するものを使用することが、耐湿熱性や耐水性、耐熱性を損なうことなく、耐アルコール性に優れた皮膜を形成するうえで好ましい。
【0038】
また、前記ビニル重合体(a1)としては、皮膜の耐水性や耐アルコール性等を向上する観点から、100000〜1000000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
【0039】
次に、前記複合樹脂粒子(A)を構成する親水性基含有ウレタン樹脂(a2)について説明する。
【0040】
前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)は、前記複合樹脂粒子(A)に親水性基を付与するとともに、耐湿熱性や耐水性、耐熱性に優れた皮膜を形成するうえで重要である。
【0041】
ここで、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の代わりに、例えば親水性基含有ビニル重合体を使用すること以外は本願発明と同様にして得られた水性樹脂組成物では、耐湿熱性や耐熱性に優れた皮膜を形成することができない場合がある。
【0042】
前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)としては、芳香族環構造を有するものを使用することが好ましい。なかでも、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)全体に対して、前記芳香族環構造を1重量%〜40重量%含有する親水性基含有ウレタン樹脂を使用することが、耐湿熱性や耐水性、耐熱性、耐アルコール性に優れた皮膜を形成するうえで好ましい。
【0043】
前記芳香族環構造は、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の製造に使用するポリオールとして、芳香族環構造含有ポリオールを使用することによってウレタン樹脂(a2)中に導入することができる。
【0044】
また、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の有する親水性基は、アニオン性基、カチオン性基、及びノニオン性基を使用できるが、なかでもアニオン性基又はカチオン性基を使用することが好ましく、アニオン性基を使用することがより好ましい。
【0045】
前記アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基や、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基、スルホネート基等を使用することができる。なかでもカルボキシル基やカルボキシレート基を使用することが、良好な水分散性を有する複合樹脂粒子(A)を製造するうえで好ましい。
【0046】
前記アニオン性基の中和に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンや、Na、K、Li、Ca等を含む金属塩基化合物等が挙げられる。
【0047】
また、前記カチオン性基としては、例えば3級アミノ基等を使用することができる。前記3級アミノ基は、その一部又は全てが酢酸やプロピオン酸等で中和されたものであっても良い。
【0048】
また、前記ノニオン性基としては、例えばポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
【0049】
前記アニオン性基やカチオン性基等の親水性基は、親水性基含有ウレタン樹脂(a2)全体に対して15mmol/kg〜2000mmol/kgの範囲で存在することが、水性媒体(B)中における複合樹脂粒子(A)の良好な水分散安定性を付与するうえで好ましい。
【0050】
前記親水性基は、ウレタン樹脂(a2)の製造に使用するポリオールやポリイソシアネートの一部として親水性基含有ポリオールを使用することによって、ウレタン樹脂(a2)中に導入することができる。
【0051】
前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)としては、5000〜500000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、20000〜100000のものを使用することが、造膜性に優れ、かつ、耐湿熱性や耐水性、耐熱性に優れた皮膜を形成可能な水性樹脂組成物を得るうえで好ましい。
【0052】
次に、前記複合樹脂粒子(A)の製造方法について説明する。
前記複合樹脂粒子(A)は、例えば、親水性基含有ポリオールを含むポリオール(a2−1)とポリイソシアネート(a2−2)とを反応させて得られた親水性基含有ウレタン樹脂(a2)を水分散化することによって親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の水分散体を製造する工程(W)、及び前記水分散体中でビニル単量体を重合しビニル重合体(a2)を製造する工程(X)により得ることができる。
【0053】
具体的には、無溶剤下または有機溶剤下またはビニル単量体等の反応性希釈剤の存在下で、親水性基含有ポリオールを含むポリオール(a2−1)とポリイソシアネート(a2−2)とを反応させることによって親水性基含有ウレタン樹脂(a2)を得、次いで、前記ウレタン樹脂(a2)の有する親水性基の一部または全部を、必要に応じて塩基性化合物等を用いて中和し、次いで、得られた中和物を水性媒体(B)中に分散させることによって、親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の水分散体を製造する。
【0054】
次いで、前記で得た親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の水分散体中に、前記ビニル単量体を供給し、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)粒子内で前記ビニル単量体をラジカル重合させビニル重合体(a1)を製造する。
【0055】
これによって、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)粒子内部に前記ビニル重合体(a1)が内在した複合樹脂粒子(A)が、水性媒体(B)に分散した水性樹脂組成物を製造することができる。
【0056】
前記複合樹脂粒子(A)を製造する際、親水性基含有ウレタン樹脂(a2)が高粘度であるため作業性に優れない場合には、メチルエチルケトンやN−メチルピロリドン等の通常の有機溶剤や、反応性希釈剤を使用することができる。特に、前記反応性希釈剤として、ビニル重合体(a1)の製造に使用可能なビニル単量体等を使用することが、ウレタン樹脂(a2)の低粘度化と、得られる塗膜の耐溶剤性の向上と、脱溶剤工程の省略による水性樹脂組成物の生産効率の向上を図るうえで好ましい。
【0057】
はじめに、前記親水性基含有ポリオールを含むポリオール(a2−1)とポリイソシアネート(a2−2)とを反応させて得られた親水性基含有ウレタン樹脂(a2)を水分散化することによって親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の水分散体を製造する工程(W)について説明する。
【0058】
前記ポリオール(a2−1)とポリイソシアネート(a2−2)との反応は、通常50〜150℃の温度範囲で行うことが好ましい。
【0059】
前記ポリオール(a2−1)とポリイソシアネート(a2−2)との反応は、例えば、前記ポリオール(a2−1)が有する水酸基に対する、前記ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の当量割合が、1.05〜3の範囲で行うことが好ましく、1.1〜2の範囲で行うことがより好ましい。
【0060】
前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の製造に使用可能なポリオールとしては、親水性基含有ポリオールを含むポリオール(a2−1)を使用することができる。
【0061】
前記親水性基含有ポリオールとしては、例えばアニオン性基含有ポリオールやカチオン性基含有ポリオール、ノニオン性基含有ポリオール等を使用することができ、なかでもアニオン性基含有ポリオールやカチオン性基含有ポリオールを使用することが好ましく、アニオン性基含有ポリオールを使用することが、良好な保存安定性を維持するうえで好ましい。
【0062】
前記アニオン性基含有ポリオールとしては、例えばカルボキシル基含有ポリオールやスルホン酸基含有ポリオール等のアニオン性基含有ポリオールを使用することができる。
【0063】
前記カルボキシル基含有ポリオールとしては、例えば2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロール酪酸、2,2’−ジメチロール吉草酸等を使用することができ、なかでも2,2’−ジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。また、前記カルボキシル基含有ポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールも使用することもできる。
【0064】
前記スルホン酸基含有ポリオールとしては、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等のジカルボン酸、及びそれらの塩と、前記低分子量ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
【0065】
また、前記カチオン性基含有ポリオールとしては、例えば3級アミノ基含有ポリオールを使用することができ、具体的にはN−メチル−ジエタノールアミンや、1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオールなどを使用することができる。
【0066】
また、前記ノニオン性基含有ポリオールとしては、エチレンオキサイド由来の構造単位を有するポリアルキレングリコール等を使用することができる。
【0067】
前記親水性基含有ポリオールは、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の製造に使用可能な前記ポリオールの全量に対して1質量%〜15質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0068】
前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の製造に使用可能なポリオールとしては、前記親水性基含有ポリオールの他に、必要に応じてその他のポリオールを組み合わせ使用することができる。
【0069】
前記その他のポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を使用することができる。なかでもポリエステルポリオールを使用することが、より一層、耐熱性や耐アルコール性に優れた皮膜を形成する場合に好ましい。
【0070】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールや芳香族ポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルや、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
【0071】
前記低分子量のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ−ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等を使用することができる。
【0072】
また、前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸、及びこれらの無水物またはエステル形成性誘導体などを使用することができる。
【0073】
なかでも、芳香族ポリエステルポリオールを使用することが、耐熱性や耐アルコール性に優れた皮膜を形成するうえで好ましい。前記芳香族ポリエステルポリオールとしては、前記低分子量のポリオールと芳香族ポリカルボン酸とを反応させて得られるものを使用することができる。
【0074】
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
【0075】
前記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等や、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD等を使用することができる。
【0076】
また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
【0077】
また、前記ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば前記開始剤に前記アルキレンオキサイドが付加したポリエーテルポリオールと、ポリカルボン酸とが反応したものを使用することができる。前記開始剤や前記アルキレンオキサイドとしては、前記ポリエーテルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。また、前記ポリカルボン酸としては、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。
【0078】
また、前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるものや、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
【0079】
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
【0080】
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0081】
前記ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールは、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の製造に使用するポリオールの全量に対して、合計50質量%〜95質量%の範囲で使用することが好ましい。また、前記芳香族ポリエステルポリオールもまた、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の製造に使用するポリオールの全量に対して50質量%〜95質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0082】
前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の製造に使用可能なその他のポリオールとしては、前記したものの他に、例えばシクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノ−ルAや、エチレングリコール、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,8−オクタンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、テトラエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル(分子量300〜6000)、ジプロピレングリコ−ル、トリプロピレングリコ−ル、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスフェノ−ルA、ハイドロキノンおよびそれらのアルキレンオキシド付加体等の比較的低分子量のポリオールを、適宜組み合わせ使用することもできる。
【0083】
また、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)を製造する際に使用するポリイソシアネート(a2−2)としては、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂肪族環式構造含有ジイソシアネート等を、単独で使用または2種以上を併用して使用することができる。なかでも、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、を使用することが、耐熱性や耐アルコール性を向上するうえでより好ましい。
【0084】
前記方法で得られた親水性基含有ウレタン樹脂(a2)を水性媒体(B)中に分散し分散体を得る方法としては、例えば前記ウレタン樹脂(a2)の有する親水性基の一部または全部を、必要に応じて前記した塩基性化合物等を用いて中和し、得られた中和物を水性媒体(B)中に分散させる方法が挙げられる。前記水分散体は、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)と水性媒体(B)とを、必要に応じてホモジナイザー等の機械を用いて混合することによって製造することができる。
【0085】
また、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)としては、耐湿熱性や耐熱性に優れた皮膜を形成するうえで、必要に応じてポリアミン等の鎖伸長剤を使用し高分子量化したものを使用しても良い。
【0086】
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン等の1個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有するジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のセミカルバジド類を使用することができる。
【0087】
前記ポリアミンは、ポリアミンが有するアミノ基と、ウレタン樹脂(a2)の有するイソシアネート基との当量比が、1.9以下(当量比)となる範囲で使用することが好ましく、0.3〜1.0(当量比)の範囲で使用することがより好ましい。
【0088】
前記鎖伸長反応は、前記方法で親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の水分散体を製造した後、前記水分散液と前記ポリアミン等の鎖伸長剤とを混合することによって行うことが好ましい。
【0089】
また、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)を製造する際には、必要に応じて反応性希釈剤使用することができる。前記反応性希釈剤としては、前記ビニル重合体(a1)の製造に使用できるビニル単量体を使用することが好ましい。
【0090】
前記反応性希釈剤としてビニル単量体を使用し親水性基含有ウレタン樹脂(a2)を製造する方法としては、前記ビニル単量体の存在下で前記ポリオールとポリイソシアネートとを反応させ親水性基含有ウレタン樹脂(a2)を製造し、次いで該ウレタン樹脂(a2)と前記ビニル単量体との混合物を水性媒体(B)中に分散させる。
【0091】
次いで、水性媒体(B)中に分散した親水性基含有ウレタン樹脂(a2)粒子の内部で、前記ビニル単量体を重合することによって、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)が形成する樹脂粒子内部に前記ビニル重合体(a1)が内在した複合樹脂粒子(A)と水性媒体(B)とを含む水性樹脂組成物を得ることができる。
【0092】
次に、前記工程(W)で得られた水分散体中でビニル単量体を重合しビニル重合体(a2)を製造する工程(X)について説明する。
【0093】
本発明で使用する複合樹脂粒子(A)を構成するビニル重合体(a1)としては、重合開始剤等の存在下、各種ビニル単量体を重合して得られるものを使用することができる。具体的には、前記ビニル重合体(a1)としては、重合開始剤等の存在下、アミド基含有ビニル単量体やアリール基含有ビニル単量体を含むビニル単量体混合物をラジカル重合して得られるものを使用することができる。
【0094】
前記アミド基含有ビニル単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド等を使用することが、耐熱性に優れた皮膜を形成するうえで好ましい。
【0095】
前記アミド基含有ビニル単量体としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等を使用することができる。なかでも、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを使用することが、アミド基とともに3級アミノ基を導入でき、耐湿熱性や耐熱性等に優れた皮膜を形成するうえで好ましい。
【0096】
前記アミド基含有ビニル単量体は、前記ビニル重合体(a1)の製造に使用可能な前記ビニル単量体混合物の全量に対して5質量%〜90質量%の範囲で使用することが好ましく、35質量%〜90質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0097】
また、前記アリール基含有ビニル単量体としては、例えばスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン等を使用することができる。なかでも、スチレンやα−メチルスチレンを使用することが好ましく、スチレンを使用することが好ましい。
【0098】
前記アリール基含有ビニル単量体は、前記ビニル重合体(a1)の製造に使用可能な前記ビニル単量体混合物の全量に対して5質量%〜90質量%の範囲で使用することが好ましく、5質量%〜65質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0099】
また、前記ビニル重合体(a1)として3級アミノ基等の塩基性窒素原子含有基を有するものを使用する場合には、前記ビニル単量体として塩基性窒素原子含有基を有するビニル単量体を使用することができる。
【0100】
前記塩基性窒素原子含有基を有するビニル単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等の3級アミノ基含有ビニル単量体;N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の2級アミノ基含有ビニル単量体;アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート等の1級アミノ基含有ビニル単量体等を挙げることができ、なかでも3級アミノ基含有ビニル単量体を使用することが好ましい。
【0101】
前記塩基性窒素原子含有基を有するビニル単量体は、前記ビニル重合体(a1)の製造に使用可能な前記ビニル単量体混合物の全量に対して0.1質量%〜10重量%の範囲で使用することが好ましく、0.1質量%〜5質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0102】
また、前記ビニル重合体(a1)としてニトリル基を有するものを使用する場合には、前記ビニル単量体としてアクリロニトリル等のニトリル基含有化合物を使用することができる。
前記ニトリル基含有化合物は、前記ビニル重合体(a1)の製造に使用可能な前記ビニル単量体混合物の全量に対して0.1質量%〜45重量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜45質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0103】
前記ビニル単量体は、アミド基やアリール基を有するビニル単量体や前記塩基性窒素原子含有基を有するビニル単量体やニトリル基含有化合物の他に、必要に応じてその他のビニル単量体を含有していても良い。
【0104】
前記その他のビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基含有(メタ)アクリル単量体を使用することができ、なかでもn−ブチルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートを使用することが好ましい。
【0105】
また、前記その他のビニル単量体としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル単量体や、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド等のイミド基含有ビニル単量体、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有アクリル単量体や、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートをはじめ、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等を使用することができる。
【0106】
なかでも、前記その他のビニル単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、N―メチロール(メタ)アクリルアミド、n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド等の架橋性官能基を有するものを使用することが、前記ビニル重合体(a1)と前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)とが共有結合を形成した複合樹脂粒子を含む水性樹脂組成物を得ることができ、かかる水性樹脂組成物であれば、より一層、耐湿熱性や耐熱性に優れた皮膜を形成することが可能となる。
【0107】
前記その他のビニル単量体の使用量は、前記ビニル単量体の全量に対して0質量%〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.05質量%〜30質量%であることが好ましい。また、前記前記その他のビニル単量体として架橋性官能基を有するビニル単量体を使用する場合には、前記ビニル重合体(a1)の製造に使用可能な前記ビニル単量体の全量に対して0.05質量%〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0108】
前記ビニル単量体の重合は、前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)の水分散体中にビニル単量体及び重合開始剤をそれぞれ別々に、またはそれらの混合物を、一括または分割して供給し、水性媒体(B)中に分散した親水性基含有ウレタン樹脂(a2)粒子内で前記ビニル単量体を重合する方法が挙げられる。
【0109】
前記ビニル重合体(a2)を製造する際に使用可能な重合開始剤としては、例えば過硫酸塩類、有機過酸化物類、過酸化水素等のラジカル重合開始剤や、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ開始剤を使用することができる。また、前記ラジカル重合開始剤は、後述する還元剤と併用しレドックス重合開始剤として使用しても良い。
【0110】
前記重合開始剤の代表的なものである過硫酸塩類としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられ、有機過酸化物類として、具体的には、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等を使用することができる。
【0111】
また、前記還元剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその塩、エリソルビン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、クエン酸及びその塩、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄等を使用することができる。
【0112】
また、前記重合の際には、重合反応の安定化を目的として、乳化剤を使用しても良い。前記乳化剤は、複合樹脂粒子(A)を安定して形成する観点から、過剰に使用することは適切でなく、前記複合樹脂粒子(A)の製造に使用する原料の全量に対して、0.3質量%〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0113】
また、本発明で使用する水性媒体(B)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類、等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
【0114】
本発明では、前記複合樹脂粒子(A)を製造する過程で、溶媒として前記水性媒体(B)を使用した場合には、かかる水性媒体(B)を引き続き使用することができる。
【0115】
前記水性媒体(B)は、製造の際の急激な粘度上昇を抑制し、かつ、水性樹脂組成物の生産性や、その塗工のしやすさや乾燥性等を向上する観点から、本発明の水性樹脂組成物の全量に対して10〜70質量%の不揮発分であることが好ましい。
【0116】
また、本発明の水性樹脂組成物には、前記したものの他に必要に応じて、例えばれ成膜助剤、充填材、チキソトロピー付与剤、粘着性付与剤、顔料や抗菌剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲で使用することができる。
【0117】
前記成膜助剤としては、特に限定しないが、例えば、アニオン系界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩など)、疎水性ノニオン系界面活性剤(ソルビタンモノオレエートなど)、ポリエーテル変性シロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0118】
前記充填材としては、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、鉄等の金属の酸化物やそれらの加水分解縮合物をはじめ、炭酸塩(例えばカルシウム塩、カルシウム・マグネシウム塩、マグネシウム塩等)、珪酸、珪酸塩(例えばアルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)、水酸化物(例えばアルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)、硫酸塩(例えばバリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)、硼酸塩(例えばアルミニウム塩、亜鉛塩、カルシウム塩等)、チタン酸塩(例えばカリウム塩等)、ガラス繊維等が挙げられる。
【0119】
前記チキソトロピー付与剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、パラフィン、樹脂酸、界面活性剤、ポリアクリル酸等で表面処理された前記充填材、ポリ塩化ビニルパウダー、水添ヒマシ油、微粉末シリカ、有機ベントナイト、セピオライト等が挙げられる。
【0120】
前記粘着性付与剤としては、特に限定しないが、例えば、ロジン樹脂系、テルペン樹脂系、フェノール樹脂系等の粘着性付与剤が挙げられる。
【0121】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料、体質顔料、機能性顔料を使用することができる。
【0122】
前記無機顔料としては、例えば酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等を使用することができる。
【0123】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料を使用することができる。これらの顔料は2種類以上のものを併用することができる。また、これらの顔料が表面処理されており,水性媒体に対して自己分散能を有しているものであっても良い。
【0124】
機能性顔料としては、防錆顔料の亜鉛末、ジンククロメート、シアナミド鉛など、蛍光顔料のリン酸塩系、珪酸塩系、アルミン酸系、タングステン酸系など、導電性顔料のカーボンブラック、Sb/Snコートマイカ・チタン酸ウィスカー、アルミコートガラスビーズ、金導電ペースト、銀導電ペースト、銅導電ペーストなど、電磁シールド用顔料など、磁性顔料の鉄酸化物、示温性顔料など、光触媒顔料の酸化チタンなど、潤滑性顔料のグラファイト、二硫化モリブデン、ポリイミド粒子などを使用することが出来る。
【0125】
前記抗菌剤としては、例えば塩化銀、トリフルアニド、ジクロルフルアニド、フルオロフォルペット、ジンクピリチオン、2−ベンゾイミダゾールカルバン酸メチル、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール等を使用することができる。
【0126】
更に、その他の添加剤としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物等からなる架橋剤や、パラフィンワックス等のサイズ剤、反応促進剤(金属系、金属塩系、アミン系等)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤等)、水分除去剤(4−パラトルエンスルフォニルイソシアネート等)、吸着剤(生石灰、消石灰、ゼオライト、モレキュラーシーブ等)、接着性付与剤、消泡剤等の種々の添加剤が挙げられる。
【0127】
本発明の水性樹脂組成物は、例えば熱転写型インクリボンの裏面層の形成用途等に使用する場合、熱による基材へのダメージを防止する観点から、60〜100℃程度の比較的低温で皮膜を形成することができる。本発明の水性樹脂組成物には、前記架橋剤を組み合わせ使用することができるが、かかる場合には、前記したような比較的低温度で架橋しうるものを選択し使用することが好ましい。
なお、本発明の水性樹脂組成物は、前記架橋剤を使用しなくても、実用上十分なレベルの耐湿熱性や耐水性、耐熱性に優れた皮膜を形成できるため、例えばグリオキザール等の環境負荷が懸念される架橋剤等を使用することを必須としない。
前記架橋剤は、前記複合樹脂粒子(A)100質量部に対して、0質量部〜10質量部の範囲で使用することが好ましく、0質量部〜1質量部であることが好ましく、0質量部〜0.5質量部であることが好ましい。
【0128】
このように、本発明の水性樹脂組成物は、耐湿熱性や耐水性、耐熱性等に優れた皮膜を形成できることから、各種基材の表面保護や、各種基材への意匠性付与を目的に使用するコーティング剤に使用することができる。
【0129】
前記基材としては、例えば各種プラスチックやそのフィルム、金属、ガラス、紙、木材等が挙げられる。特に各種プラスチック基材に本発明のコーティング剤を使用した場合、比較的低温の乾燥工程においても優れた耐アルコール性、耐水性を有する皮膜を形成でき、かつ該皮膜のプラスチック基材からの剥離を防止することができる。
【0130】
プラスチック基材としては、一般に、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成型品に採用されている素材として、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、ABS/PC樹脂、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等が挙げられ、プラスチックフィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等を使用することができる。
【0131】
金属基材としては、例えば、自動車、家電、建材等の用途に使用される亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金鋼板等のめっき鋼板や、アルミ板、アルミ合金板、電磁鋼板、銅板、ステンレス鋼板等を使用することができる。
【0132】
本発明のコーティング剤は、その架橋塗膜が5μm程度の膜厚であっても、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶剤に対してきわめて優れた耐溶剤性を発現することが可能である。
【0133】
本発明のコーティング剤は、前記基材上に塗工し、乾燥、硬化することによって、該基材表面に皮膜を形成することができる。
【0134】
コーティング剤の塗工方法としては、例えばスプレー法、カーテンコーター法、フローコーター法、ロールコーター法、刷毛塗り法、浸漬法等が挙げられる。
【0135】
前記乾燥は、常温下で自然乾燥でも良いが、加熱乾燥させることもできる。加熱乾燥は、通常、40〜250℃で、1〜600秒程度の時間で行うことが好ましい。
【0136】
また、本発明のコーティング剤を用いて形成される皮膜は、前記のとおり耐湿熱性や耐水性、耐熱性、耐アルコール性に優れることから、例えば最終塗装物の最外層を形成することが好ましい。具体的には、塗装物の表面層や裏面層として、前記皮膜を使用することが好ましい。具体的には、前記コーティング剤は、各種基材の表面層形成用コーティング剤や裏面層形成用コーティング剤に使用することが好ましい。
【0137】
また、本発明のコーティング剤は、耐熱性に優れた皮膜を形成できることから、例えば電子機器や自動車の部材、建築部材、光学フィルム等の光学部材等の様々な部材の表面被覆に使用することができる。
【0138】
また、本発明のコーティング剤を用いて形成される皮膜を有する塗装物には、その中間層等として溶融型ワックスインク等の熱転写型のインク層を設けることができる。
【0139】
具体的には、各種基材表面に、従来知られた熱転写型のインク層や感熱発色層等の中間層を設け、次いで、前記基材の裏面や、前記中間層の表面に、本発明のコーティング剤を塗布し、それぞれ表面層や裏面層を形成することができる。
【0140】
これにより、印刷ヘッド走行性不良や熱の影響による印刷不良を引き起こしにくい熱転写型インクリボンを得ることができる。
【実施例】
【0141】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
【0142】
<調製例1>ポリエステルポリオールの調製
温度計、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、テレフタル酸830質量部、イソフタル酸830質量部、1,6−ヘキサンジオール685質量部、ネオペンチルグリコール604質量部及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み180〜230℃で酸価が1以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、水酸基価55.9、酸価0.2のポリエステルポリオールを得た。
【0143】
<調製例2>ウレタン樹脂水分散体(PU1)の調製
上記のポリエステルポリオール1000質量部を減圧下100℃で脱水し、80℃まで冷却した後、メチルエチルケトン883質量部を加え十分撹拌、溶解し、2,2’−ジメチロールプロピオン酸80質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート244質量部を加えて70℃で8時間反応させた。
【0144】
前記反応終了後、40℃まで冷却し、トリエチルアミン60質量部加えて中和した後、水4700質量部と混合し透明な反応生成物を得た。
【0145】
前記反応生成物から、40〜60℃の減圧下でメチルエチルケトンを除去し、次いで、水を混合することで、不揮発分25質量%、重量平均分子量50000のウレタン樹脂水分散体(PU1)を得た。
【0146】
[実施例1]水性樹脂組成物(X−1)の調製
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水330質量部、上記ウレタン樹脂水分散体(PU1)を80質量部、アクアロンKH−10(第一工業製薬(株)製;ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキル硫酸エステルアンモニウム塩、固形分100質量%)1.0質量部を入れ撹拌し、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温し、60分間窒素置換を継続した後、重合開始剤V−501(和光純薬工業株式会社製、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸))を25質量%アンモニアを用いて中和した10質量%水溶液5質量部を反応容器内に投入し5分間攪拌した。その後、50質量%アクリルアミド178質量部、α−メチルスチレン10質量部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド1質量部をそれぞれ90分間かけて滴下、重合開始剤V−501(和光純薬工業株式会社製、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸))を25質量%アンモニアで中和した10%水溶液7質量部を120分間かけて滴下し、重合した。前記単量体混合物及び開始剤の滴下終了後、同温度にて90分間保持した。
【0147】
その後、反応容器内を30℃まで冷却し、25質量%アンモニア水と脱イオン水を供給し混合した後、100メッシュ金網を用いて濾過することによって、複合樹脂粒子(A−1)が水中に分散した水性樹脂組成物(X−1)(不揮発分20.0質量%、pH8)を得た。
【0148】
また、前記水性樹脂組成物(X−1)100質量部と、BYK348(ビックケミージャパン社製、ポリエーテル変性シロキサン、濃度100質量%) 0.1質量部と、EMUSTAR−6315D(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、濃度40質量%) 3.5質量部、適宜イオン交換水を混合することによって、不揮発分15質量%のコーティング剤(Y−1)を得た。
【0149】
[実施例2]水性樹脂組成物(X−2)の調製
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水480質量部、上記ウレタン樹脂水分散体(PU1)を600質量部入れ撹拌し、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温し、60分間窒素置換を継続した後、重合開始剤10質量%過硫酸アンモニウム8質量部を反応容器内に投入し5分間攪拌した。その後、50質量%アクリルアミド138質量部、スチレン30質量部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド1質量部をそれぞれ90分間かけて滴下、重合開始剤10質量%過硫酸アンモニウム4質量部を120分間かけて滴下し、重合した。前記単量体混合物及び開始剤の滴下終了後、同温度にて90分間保持した。
【0150】
その後、反応容器内を30℃まで冷却し、25質量%アンモニア水と脱イオン水を供給し混合した後、100メッシュ金網を用いて濾過することによって、複合樹脂粒子(A−2)が水中に分散した水性樹脂組成物(X−2)(不揮発分20.0質量%、pH8)を得た。
【0151】
また、前記水性樹脂組成物(X−2)100質量部と、BYK348(ビックケミージャパン社製、ポリエーテル変性シロキサン、濃度100質量%) 0.1質量部と、EMUSTAR−6315D(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、濃度40質量%) 3.5質量部、適宜イオン交換水を混合することによって、不揮発分15質量%のコーティング剤(Y−2)を得た。
【0152】
[実施例3]水性樹脂組成物(X−3)の調製
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水450質量部、上記ウレタン樹脂水分散体(PU1)を400質量部、ネオゲンS−20(第一工業製薬(株)製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、濃度20質量%)1.5質量部を入れ、撹拌し、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温し、60分間窒素置換を継続した後、重合開始剤10質量%過硫酸アンモニウム8質量部を反応容器内に投入し5分間攪拌した。その後、50質量%アクリルアミド100質量部、スチレン29質量部、アクリル酸ブチル20質量部、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート1質量部をそれぞれ90分間かけて滴下、重合開始剤10質量%過硫酸アンモニウム4質量部を120分間かけて滴下し、重合した。前記単量体混合物及び開始剤の滴下終了後、同温度にて90分間保持した。
【0153】
その後、反応容器内を30℃まで冷却し、25質量%アンモニア水と脱イオン水を供給し混合した後、100メッシュ金網を用いて濾過することによって、複合樹脂粒子(A−3)が水中に分散した水性樹脂組成物(X−3)(不揮発分20.0質量%、pH8)を得た。
【0154】
また、前記水性樹脂組成物(X−3)100質量部と、BYK348(ビックケミージャパン社製、ポリエーテル変性シロキサン、濃度100質量%) 0.1質量部と、EMUSTAR−6315D(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、濃度40質量%) 3.5質量部、適宜イオン交換水を混合することによって、不揮発分15質量%のコーティング剤(Y−3)を得た。
【0155】
[実施例4]水性樹脂組成物(X−4)の調製
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水510質量部、上記ウレタン樹脂水分散体(PU1)を600質量部、ニュコール271A(日本乳化剤(株)製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、濃度45質量%)0.5質量部を入れ、撹拌し、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温し、60分間窒素置換を継続した後、重合開始剤10質量%過硫酸アンモニウム8質量部を反応容器内に投入し5分間攪拌した。その後、50質量%アクリルアミド80質量部、スチレン60質量部をそれぞれ120分間かけて滴下、重合開始剤10質量%過硫酸アンモニウム4質量部を150分間かけて滴下し、重合した。前記単量体混合物及び開始剤の滴下終了後、同温度にて120分間保持した。
【0156】
その後、反応容器内を30℃まで冷却し、25質量%アンモニア水と脱イオン水を供給し混合した後、100メッシュ金網を用いて濾過することによって、複合樹脂粒子(A−4)が水中に分散した水性樹脂組成物(X−4)(不揮発分20.0質量%、pH8)を得た。
【0157】
また、前記水性樹脂組成物(X−4)100質量部と、BYK348(ビックケミージャパン社製、ポリエーテル変性シロキサン、濃度100質量%) 0.1質量部と、EMUSTAR−6315D(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、濃度40質量%) 3.5質量部、適宜イオン交換水を混合することによって、不揮発分15質量%のコーティング剤(Y−4)を得た。
【0158】
[実施例5]水性樹脂組成物(X−5)の調製
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水420質量部、上記ウレタン樹脂水分散体(PU1)を200質量部、ニュコール271A(日本乳化剤(株)製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、濃度45質量%)0.5質量部を入れ、撹拌し、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温し、60分間窒素置換を継続した後、重合開始剤10質量%過硫酸アンモニウム8質量部を反応容器内に投入し5分間攪拌した。その後、50質量%アクリルアミド60質量部、スチレン30質量部、アクリロニトリル40質量部をそれぞれ120分間かけて滴下、重合開始剤10質量%過硫酸アンモニウム4質量部を150分間かけて滴下し、重合した。前記単量体混合物及び開始剤の滴下終了後、同温度にて120分間保持した。
【0159】
その後、反応容器内を30℃まで冷却し、25質量%アンモニア水と脱イオン水を供給し混合した後、100メッシュ金網を用いて濾過することによって、複合樹脂粒子(A−5)が水中に分散した水性樹脂組成物(X−5)(不揮発分20.0質量%、pH8)を得た。
【0160】
また、前記水性樹脂組成物(X−5)100質量部と、BYK348(ビックケミージャパン社製、ポリエーテル変性シロキサン、濃度100質量%) 0.1質量部と、EMUSTAR−6315D(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、濃度40質量%) 3.5質量部、適宜イオン交換水を混合することによって、不揮発分15質量%のコーティング剤(Y−5)を得た。
【0161】
[実施例6]水性樹脂組成物(X−6)の調製
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水400質量部、上記ウレタン樹脂水分散体(PU1)を160質量部、アクアロンKH−10(第一工業製薬(株)製;ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキル硫酸エステルアンモニウム塩、固形分100質量%)1.0質量部を入れ撹拌し、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温し、60分間窒素置換を継続した後、重合開始剤V−501(和光純薬工業株式会社製、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸))を25質量%アンモニアで中和した10質量%水溶液8質量部を反応容器内に投入し5分間攪拌した。その後、20質量%メタクリルアミド50質量部、スチレン90質量部をそれぞれ90分間かけて滴下、重合開始剤V−501(和光純薬工業株式会社製、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸))を25%アンモニアで中和した10質量%水溶液4質量部を120分間かけて滴下し、重合した。前記単量体混合物及び開始剤の滴下終了後、同温度にて90分間保持した。
【0162】
その後、反応容器内を30℃まで冷却し、25質量%アンモニア水と脱イオン水を供給し混合した後、100メッシュ金網を用いて濾過することによって、複合樹脂粒子(A−6)が水中に分散した水性樹脂組成物(X−6)(不揮発分20.0質量%、pH8)を得た。
【0163】
また、前記水性樹脂組成物(X−6)100質量部と、BYK348(ビックケミージャパン社製、ポリエーテル変性シロキサン、濃度100質量%) 0.1質量部と、EMUSTAR−6315D(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、濃度40質量%) 3.5質量部、適宜イオン交換水を混合することによって、不揮発分15質量%のコーティング剤(Y−6)を得た。
【0164】
[比較例1]水性樹脂組成物(X’−1)の調製
前記調製例2で得たウレタン樹脂水分散体(PU1)を、イオン交換水で不揮発分20.0%に調整し、比較例1の水性樹脂組成物(X’−1)として使用した。
また、前記水性樹脂組成物(X’−1)100質量部と、BYK348(ビックケミージャパン社製、ポリエーテル変性シロキサン、濃度100質量%) 0.1質量部と、EMUSTAR−6315D(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、濃度40質量%) 3.5質量部と、ジルコゾールAC−7(第一稀元素化学工業(株)製、炭酸ジルコニウムアンモニウム、濃度13質量%)10.8質量部とを混合し、適宜イオン交換水を混合することによって、不揮発分15質量%のコーティング剤(Y’−1)を得た。
【0165】
[比較例2]水性樹脂組成物(X’−2)の調製
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水330質量部、ネオゲンS−20(第一工業製薬(株)製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、濃度20質量%)1.5質量部を入れ、撹拌し、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温し、60分間窒素置換を継続した後、重合開始剤10質量%過硫酸アンモニウム8質量部を反応容器内に投入し5分間攪拌した。その後、50質量%アクリルアミド140質量部、スチレン28質量部、メタクリル酸2質量部をそれぞれ90分間かけて滴下、重合開始剤10%過硫酸アンモニウム4質量部を120分間かけて滴下し、重合した。前記単量体混合物及び開始剤の滴下終了後、同温度にて90分間保持した。
【0166】
その後、反応容器内を30℃まで冷却し、25質量%アンモニア水と脱イオン水を供給し混合した後、100メッシュ金網を用いて濾過することによって、複合樹脂粒子(A−1)が水中に分散した水性樹脂組成物(X’−2)(不揮発分20.0質量%、pH8)を得た。
【0167】
また、前記水性樹脂組成物(X’−1)の代わりに前記水性樹脂組成物(X’−2)を使用すること以外は、前記比較例1と同様の方法で、不揮発分15質量%のコーティング剤(Y’−2)を得た。
【0168】
[比較例3]水性樹脂組成物(X’−3)の調製
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水550質量部、上記ウレタン樹脂水分散体(PU1)を600質量部、ネオゲンS−20(第一工業製薬(株)製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、濃度20質量%)1.5質量部を入れ、撹拌し、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。80℃まで昇温し、60分間窒素置換を継続した後、重合開始剤10質量%過硫酸アンモニウム8質量部を反応容器内に投入し5分間攪拌した。その後、スチレン60質量部、アクリル酸ブチル40質量部をそれぞれ90分間かけて滴下、重合開始剤10%過硫酸アンモニウム4質量部を120分間かけて滴下し、重合した。前記単量体混合物及び開始剤の滴下終了後、同温度にて90分間保持した。
【0169】
その後、反応容器内を30℃まで冷却し、25質量%アンモニア水と脱イオン水を供給し混合した後、100メッシュ金網を用いて濾過することによって、複合樹脂粒子(A’−3)が水中に分散した水性樹脂組成物(X’−3)(不揮発分20.0質量%、pH8)を得た。
【0170】
また、前記水性樹脂組成物(X’−1)の代わりに前記水性樹脂組成物(X’−3)を使用すること以外は、前記比較例1と同様の方法で、不揮発分15質量%のコーティング剤(Y’−3)を得た。
[比較例4]水性樹脂組成物(X’−4)の調製
イオン交換水で15質量%に調整したゴーセノールZ−200(日本合成(株)製、変性ポリビニルアルコール)100重量部と、BYK348(ビックケミージャパン社製、ポリエーテル変性シロキサン、濃度100質量%) 0.075質量部と、EMUSTAR−6315D(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、濃度40質量%) 2.6質量部と、10質量%グリオキザールを0.2質量部混合し、適宜イオン交換水を混合することによって、不揮発分15質量%のコーティング剤(Y’−4)を得た。
【0171】
[試験片の作製方法]
厚み12μmのポリエチレンテレフタレートからなるフィルム上に、乾燥時の膜厚が約5μmとなるよう、前記コーティング剤を塗布し、80℃の温度条件で15分間熱処理し、次いで25℃の常温下で1日養生することによって、前記基材上に皮膜を形成した試験片を得た。
【0172】
〔耐湿熱性の評価方法〕
前記で得た試験片を、温度60℃湿度90%の恒温恒湿機に24時間入れ、皮膜の状態を観察した。前記試験後における、皮膜表面の状態を目視で観察し、前記皮膜の耐湿熱性を下記基準で評価した。
[評価基準]
1;皮膜表面に皺が発生した。
2;皮膜表面が白化し、評価直後に指で触ると粘着現象が見られた。
3;皮膜表面のごく一部に白化が見られたが、評価直後に指で触っても粘着現象が見られず、実用上問題なかった。
4;皮膜表面に変化が全く無かった。
【0173】
〔耐水性の評価方法〕
前記で得た試験片を2枚用意し、1枚の試験片皮膜表面に水道水をスポイトで一滴落とした後もう一枚の皮膜表面を貼り合わせて、1500gの荷重をかけた。10分後に剥離して表面状態を確認した。
[評価基準]
○;皮膜表面に全くブロッキングが見られず、皮膜を構成する樹脂の剥離等が見られなかった。
△;皮膜表面のごく一部に、ブロッキングが僅かに発生したが、皮膜を構成する樹脂の剥離は見られなかった。
×;皮膜表面全体の約半分の範囲で著しいブロッキングが発生し、前記皮膜のポリエチレンテレフタレート基材からの剥離が見られた。
【0174】
〔耐熱性の評価方法〕
前記で得た試験片の皮膜表面に、140℃の熱ブロックを1秒間接触させた。熱ブロックの接触前後における前記皮膜表面の状態を目視で観察し、前記皮膜の耐熱性を下記基準で評価した。
【0175】
[評価基準]
○;皮膜表面に全くブロッキングが見られず、前記熱ブロックへの、皮膜を構成する樹脂の融着等が見られなかった。
△;皮膜表面のごく一部に、ブロッキングが僅かに発生したが、熱ブロックへの樹脂の融着等を引き起こすものではなく、また、前記皮膜のポリエチレンテレフタレート基材からの剥離も見られなかった。
×;皮膜表面全体の約半分の範囲で著しいブロッキングが発生し、熱ブロックへの樹脂の融着や、前記皮膜のポリエチレンテレフタレート基材からの剥離が見られた。
【0176】
〔耐アルコール性の評価方法〕
前記で得た試験片の皮膜表面に、エタノールをしみこませた綿棒を接触させ、500gの荷重により、前記皮膜表面をラビングした。
【0177】
前記ラビング後における、皮膜表面の状態を目視で観察し、前記皮膜の耐アルコール性を下記基準で評価した。
【0178】
[評価基準]
1;10回未満のラビング回数で前記皮膜の基材からの剥離が見られた。
2;10回以上20回未満のラビング回数で前記皮膜の基材からの剥離が見られた。
3;20回以上30回未満のラビング回数で前記皮膜の基材からの剥離が見られた。
4;30回以上40回未満のラビング回数で前記皮膜の基材からの剥離が見られた。
5;50回以上のラビング回数で前記皮膜の基材からの剥離が見られた。
【0179】
【表1】

【0180】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミド基及びアリール基を有するビニル重合体(a1)と、親水性基含有ウレタン樹脂(a2)とから形成される複合樹脂粒子(A)、ならびに、水性媒体(B)を含有することを特徴とする水性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ビニル重合体(a1)が、複合樹脂粒子(A)の全量に対してアミド基を0.5mmol/g〜15mmol/g含有し、かつ、アリール基を0.5mmol/g〜10mmol/g含有するものである、請求項1に記載の水性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ビニル重合体(a1)が更にアミノ基を有するものである、請求項1に記載の水性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ビニル重合体(a1)が、前記ビニル重合体(a1)の全量に対して前記アミノ基を0.03mmol/g〜0.70mmol/gの範囲で有するものである、請求項3に記載の水性樹脂組成物。
【請求項5】
前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)が有する親水性基がアニオン性基またはカチオン性基である、請求項1に記載の水性樹脂組成物。
【請求項6】
前記親水性基含有ウレタン樹脂(a2)が、芳香族ポリエステルポリオールと親水性基含有ポリオールとを含むポリオール(a2−1)及びポリイソシアネート(a2−2)を反応させて得られるものである、請求項1に記載の水性樹脂組成物。
【請求項7】
前記ビニル重合体(a1)と前記ウレタン樹脂(a2)との質量割合[(a1)/(a2)]が99/1〜5/95である、請求項1に記載の水性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性樹脂組成物からなるコーティング剤。
【請求項9】
インク層と支持体層と裏面層とが順に積層された熱転写型インクリボンであって、前記裏面層が請求項8記載のコーティング剤を用いて形成された層であることを特徴とする熱転写型インクリボン。

【公開番号】特開2012−251103(P2012−251103A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126273(P2011−126273)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】