説明

水性樹脂組成物及び塗料

【構成】 エポキシエステル樹脂20〜60重量%の存在下に、エチレン性不飽和カルボン酸を含む重合性モノマー混合物80〜40重量%を配合し、乳化剤としてエチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤を用いて乳化重合して得られる酸価が10〜50のエポキシエステル変性アクリルエマルションを含有してなる水性樹脂組成物並びに該樹脂組成物を含有してなる塗料。
【効果】 塗料安定性並びに塗膜の乾燥性、耐水性、耐食性、硬度、密着性及び耐衝撃性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料もしくは接着剤等に有用である水性樹脂組成物及びこれを用いた塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、産業機械、鋼製家具、家電製品等の金属用塗料において、石油資源の有効利用、環境保全、安全対策等の観点から従来の溶剤型塗料から水性塗料への移行が進みつつある。そのような水性塗料としては、速乾性、耐食性、耐水性等が必要とされる。水性塗料として乳化重合により得られるアクリルエマルションを用いたもの(例えば特開平4−272903号公報)が知られている。乳化重合法によれば一般的に高分子量の物が得られるが、従来のアクリルエマルションでは耐食性等が劣る。また特公昭51−10637号公報には、酸価30〜300の高酸価なエポキシエステル樹脂をアミンで中和し水溶化させてこれを乳化剤とするアクリルエマルションが開示されている。しかしながらこれは乳化重合時の安定性が悪く工業的に利用できる物ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問題点を解決するものであり、乳化剤として反応性乳化剤を使用し、エポキシエステル樹脂とエチレン性不飽和共重合モノマーとをグラフト乳化共重合させた特定のエポキシエステル変性アクリルエマルションを用いることにより、乾燥性、耐水性、耐食性、耐薬品性等に優れた水性塗料用樹脂組成物及び塗料が得られることを見いだし、完成されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、エポキシエステル樹脂20〜60重量%の存在下に、エチレン性不飽和カルボン酸を含む重合性モノマー混合物80〜40重量%を配合し、乳化剤としてエチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤を用いて乳化重合して得られる酸価が10〜50のエポキシエステル変性アクリルエマルションを含有してなる水性樹脂組成物並びに該樹脂組成物を含有してなる塗料に関する。
【0005】本発明におけるエポキシエステル樹脂とは、脂肪酸とエポキシ樹脂を付加、縮合して得られる物である。この付加、縮合反応は公知の方法に従って行うことができる。本発明に使用する脂肪酸としては、乾性油、半乾性油、不乾性油から誘導され得る脂肪酸が有り、例えば桐油、アマニ油、大豆油、ひまし油、脱水ひまし油、サフラワー油、椰子油等から得られる脂肪酸、合成により得られるバーサチック酸等が挙げられる。常温硬化性を付与するためには乾性油、半乾性油から誘導される脂肪酸を使用するのが好ましい。
【0006】本発明に使用するエポキシ樹脂としてはビスフェノールAあるいはFタイプのエポキシ樹脂等があり、例えばエピコート828、1001、1004(シェルケミカル社商品名)等がある。またグリシジル基を有する脂肪族系エポキシ化合物も使用でき、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン、グリセリン等のジまたはトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グリセリン二量体、多量体のポリグリシジルエーテル、アジピン酸、テトラメチレンジカルボン酸等のジグリシジルエステル等があり、これらの一種または二種以上が使用される。エポキシエステル樹脂に使用される脂肪酸とエポキシ樹脂の配合比は、乾燥性、耐食性の点から、脂肪酸は30〜70重量%、エポキシ樹脂は70〜30重量%が好ましい。また得られるエポキシエステル樹脂の酸価は耐水性の点から30以下が好ましい。
【0007】エポキシエステル樹脂の存在下に重合性モノマー混合物を配合し、乳化重合する。本発明において乳化重合に使用する乳化剤は、耐水性、耐食性の点からエチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤である。このような反応性乳化剤としては、例えば日本乳化剤社製;アントックス(Antox)MS60、旭電化工業社製;アデカリアソープ SE10N、三洋化成社製;エレミノール RS30、エレミノール JS2等のエチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤、旭電化工業社製;アデカリアソープ NE10、20、30、40等のノニオン系反応性乳化剤がある。これらの反応性乳化剤は一種または二種以上使用することができる。また必要に応じて通常の乳化剤と組み合わせて使用することもできる。これらの反応性乳化剤の使用量は少ないほうが耐水性、耐食性の点から好ましく、エポキシエステル変性アクリルエマルションの樹脂固形分に対して0.5〜5重量%が適当である。
【0008】本発明に使用するエチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸があり、これらはエポキシエステル変性アクリルエマルションの酸価が10〜50になるように配合する。ここで酸価が10未満では塗料の安定性か不充分であり、50を越えると塗膜の耐水性、耐食性等が劣る。また、本発明に使用するエチレン性不飽和カルボン酸以外の共重合性モノマーとしては、メタクリル酸又はアクリル酸と1〜12の炭素原子を有するアルカノールとのエステル、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル等がある。例えば、メチルアクリレート又はメタクリレート、エチルアクリレート又はメタクリレート、プロピルアクリレート又はメタクリレート、ブチルアクリレート又はメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート又はメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアリクレート又はメタクリレート等があげられる。また、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアマイド、メタクリルアマイド、スチレン、ビニルトルエン、ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート又はメタクリレート、ビニルピリジン、ポリエチレングリコールモノアクリレート又はメタクリレート、アシドホスホオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート又はメタクリレートの燐酸エステルも使用できる。これらは要求される特性に応じて適宜選択し一種又は二種以上を使用する。
【0009】また、エマルションの粒子を三次元橋架けさせたミクロゲルにすることも有用であり、この目的のために、グリシジルメタクリレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート又はメタクリレート等の多官能モノマーを全重合性モノマーに対して0〜8重量%使用することもできる。8重量%を越えると、塗膜の造膜性が低下する傾向がある。
【0010】エポキシエステル変性アクリルエマルションの製造において、エポキシエステル樹脂の配合量は20〜60重量%(すなわち重合性モノマー混合物80〜40重量%)であり、20重量%未満では常温硬化性、耐食性が劣り、60重量%を越えると乳化重合時の安定性が劣る。エポキシエステル変性アクリルエマルションは、乳化重合により公知の方法で製造できる。また、ホモジナイザー等で強制的に、乳化剤を含んだエポキシエステル樹脂を水に分散させた後、乳化重合することも有用である。乳化重合は通常の水性ラジカル重合触媒を使用し30〜100℃で合成できる。分子量を制御するために四塩化炭素、メルカプタン類等の速鎖移動剤が使用できる。
【0011】乳化重合後のエマルションは、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等のアミンを用いて中和され(pH7〜10に調製)、安定性のよいエマルション樹脂とされる。アミンの使用量は中和前のエマルションが有するカルボキシル基の量を1とすると、0.5〜1とすることが好ましい。
【0012】このようにして得られたエポキシエステル変性アクリルエマルションは、本発明の水性樹脂組成物とされるが、親水性の有機溶剤としてブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、3−メチル−3−メトキシブタノール、イソプロパノール、ブタノール等を併用することもできる。これらはスプレー塗装性、塗膜の平滑性、乾燥性、光沢等の観点から、選択使用することが好ましい。
【0013】本発明の水性樹脂組成物は目的に応じ、他の水性樹脂、顔料、その他の添加剤等と混合して塗料とされる。例えば変性アミノ樹脂と組み合わせることにより焼付用塗料として使用することができる。また特に本発明の水性樹脂組成物のうち、乾性油、半乾性油の脂肪酸を用いた場合には、金属乾燥剤を添加した常温乾燥型塗料として有用である。また塗装方法としては、スプレー塗装の他に、ロールコータ塗装、ディッピング塗装、電着塗装等が採用でき、鉄、アルミ等の金属以外にもプラスチック、セラミック、木材、紙、繊維等の表面に塗装することができる。
【0014】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。%は重量%を意味する。
【0015】〔エポキシエステル樹脂(A−1)の製造例〕撹拌機、還流冷却器、不活性ガス導入口および温度計を備えたフラスコに、エピコート828;417g、脱水ヒマシ油脂肪酸;63g、アマニ油脂肪酸;501g、ジメチルエタノールアミン;1gを仕込み、220℃で5時間反応させた後、120℃に温度を下げ、マレイン酸;20gを仕込み1時間反応させて酸価10のエポキシエステル樹脂(A−1)を得た。
【0016】実施例1ビーカに上記エポキシエステル樹脂(A−1);200g、アントックス(Antox)MS60;40g、水;1465gを加えホモジナイザーに5分間かけて乳化させ、上記製造例と同様のフラスコに移し80℃に昇温し、過硫酸アンモニウム;2.5gを添加した。これとは別にスチレン;450g、ブチルアクリレート;80g、2−エチルヘキシルアクリレート;190g、β−ヒドロキシエチルメタクリレート;40g、メタクリル酸;40gから成る混合液を滴下ロートに仕込み、1時間かけて滴下した後、2時間保温し、冷却し25%アンモニア;17g、ブチルセロソルブ;100g、水;20gを加え、加熱残分40%、酸価(固形分)28のエポキシエステル変性アクリルエマルションを得た。
【0017】実施例2ビーカに上記エポキシエステル樹脂(A−1);400g、アデカリアソープSE10N;40g、スチレン;340g、ブチルアクリレート;60g、2−エチルヘキシルアクリレート;140g、β−ヒドロキシエチルメタクリレート;30g、メタクリル酸;30gから成る混合液に水;1000g、過硫酸アンモニウム;2.5gを加えホモジナイザーに5分間かけて乳化させ乳化液Aとした。この乳化液A;100gと水;465gを上記(A−1)の製造例と同様のフラスコにとり80℃に昇温し過硫酸アンモニウム;1gを添加した。残りの乳化液Aを滴下ロートに仕込み、1時間かけて滴下した後、2時間保温し、冷却し25%アンモニア;l7g、ブチルセロソルブ;100g、水;20gを加え、加熱残分40%、酸価(固形分)23.5のエポキシエステル変性アクリルエマルションを得た。
【0018】比較例1実施例2において、反応性乳化剤であるアデカリアソープSE10Nを一般の乳化剤であるニューコール(Newcol)560SN(ソジウムポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート)に置き換えて同様に製造した。加熱残分40%、酸価(固形分)23.5のエポキシエステル変性アクリルエマルションを得た。
【0019】比較例2ビーカにアデカリアソープSE10N;40g、スチレン;570g、ブチルアクリレート;100g、2−エチルヘキシルアクリレート;250g、β−ヒドロキシエチルメタクリレート;50g、メタクリル酸;30gから成る混合液に水;1000g、過硫酸アンモニウム;2.5gを加えホモジナイザーに5分間かけて乳化させ乳化液Aとした。この乳化液A;100gと水;465gを上記(A−1)の製造例と同様のフラスコにとり80℃に昇温し過硫酸アンモニウム;1gを添加した。残りの乳化液Aを滴下ロートに仕込み、1時間かけて滴下した後、2時間保温後、冷却し25%アンモニアを17g、ブチルセロソルブ;100g、水;20gを加え、加熱残分40%、酸価(固形分)19.5のアクリルエマルションを得た。
【0020】比較例3ビーカに上記エポキシエステル樹脂(A−1);800g、アデカリアソープSE10N;40g、スチレン;150g、2−エチルヘキシルアクリレート;10g、β−ヒドロキシエチルメタクリレート;10g、メタクリル酸;30gから成る混合液に水;1000g、過硫酸アンモニウム;2.5gを加えホモジナイザーに5分間かけて乳化させ乳化液Aとした。この乳化液A;100gと水;465gを上記(A−1)の製造例と同様のフラスコにとり80℃に昇温し過硫酸アンモニウム;1gを添加した。残りの乳化液Aを滴下ロートに仕込み、1時間かけて滴下した後、2時間保温し、冷却し25%アンモニア;17g、ブチルセロソルブ;100g、水;20gを加えエポキシエステル変性アクリルエマルションを得たが凝集物が多かった。
【0021】比較例4ビーカに上記エポキシエステル樹脂(A−1);400g、アデカリアソープSE10N;40g、スチレン;370g、ブチルアクリレート;60g、2−エチルヘキシルアクリレート;140g、β−ヒドロキシエチルメタクリレート;30gから成る混合液に水;1000g、過硫酸アンモニウム;2.5gを加えホモジナイザーに5分間かけて乳化させ乳化液Aとした。この乳化液A;100gと水;465gを上記(A−1)の製造例と同様のフラスコにとり80℃に昇温し過硫酸アンモニウム;1gを添加した。残りの乳化液Aを滴下ロートに仕込み、1時間かけて滴下した後、2時間保温し、冷却し25%アンモニア;7g、ブチルセロソルブ;100g、水;30gを加え、加熱残分40%、酸価(固形分)4のエポキシエステル変性アクリルエマルションを得た。
【0022】比較例5ビーカに上記エポキシエステル樹脂(A−1);400g、アデカリアソープSE10N;40g、スチレン;270g、ブチルアクリレート;60g、2−エチルヘキシルアクリレート;140g、β−ヒドロキシエチルメタクリレート;30g、メタクリル酸;100gから成る混合液に水;1000g、過硫酸アンモニウム;2.5gを加えホモジナイザーに5分間かけて乳化させ乳化液Aとした。この乳化液A;100gと水;445gを上記(A−1)の製造例と同様のフラスコにとり80℃に昇温し過硫酸アンモニウム;1gを添加した。残りの乳化液Aを滴下ロートに仕込み、1時間かけて滴下した後、2時間保温し、冷却し25%アンモニア;37g、ブチルセロソルブ;100g、水;20gを加え、加熱残分40%、酸価(固形分)69のエポキシエステル変性アクリルエマルションを得た。
【0023】比較例6上記(A−1)の製造例と同様のフラスコに、上記エポキシエステル樹脂(A−1);400g、ブチルセロソルブ;400gを仕込み110℃に昇温した。スチレン;320g、ブチルアクリレート;60g、2−エチルヘキシルアクリレート;140g、β−ヒドロキシエチルメタクリレート;30g、メタクリル酸;50g、アゾビスイソブチロニトリル;20gを滴下ロートに仕込み、2時間かけて滴下した後、2時間保温し、冷却し25%アンモニア;27gを加え、これに水;1103gを加えて乳化し、加熱残分40%、酸価(固形分)37のエポキシエステル変性アクリル樹脂を得た。
【0024】比較例7実施例2において反応性乳化剤であるアデカリアソープSE10Nを抜き、25%アンモニア17gを加え実施例2と同様におこなったが、乳化重合反応途中で凝集した。
【0025】なお、実施例で用いた反応性乳化剤であるアントックスMS60及びアデカリアソープSE10Nの構造式を下記に示す。
・アントックスMS60
【化1】


(但し、Aはアルキレン基、R及びR′は一価の有機基、m及びnはAOの繰り返しを示す正の数である)
・アデカリアソープSE10N
【化2】


【0026】実施例1、2及び比較例1、2、4、5、6の樹脂を用いて表1の配合で塗料化した。
【表1】


【0027】上記塗料化で得られた塗料を以下の条件で塗装し、乾燥後塗膜特性を試験した。結果を表2に示す。
(塗装条件)
塗装:スプレー塗装、岩田ワイダー61、乾燥膜厚30μm基材:未処理鋼;SPCC−SD 板厚さ0.8mm(日本テストパネル社製)
乾燥:60℃×20分+22℃×3日(試験条件)
乾燥性:60℃で20分乾燥した直後の塗膜のべとつき程度を見た。
硬さ:JIS K5400に準拠した。
衝撃試験:500g,1/2インチで行った。
ゴバン目:カッターで1mm角のゴバン目を100切り、セロテープにてはくり後、残存する塗膜のます目の数を表記した。
耐水性:40℃のイオン交換水に10日間浸漬後、塗膜のふくれ、白化程度を観察した。
塩水噴霧性:塗膜にカッターでカットした後、塩水噴霧試験に入れ、240時間後とり出し、セロテープではくり後、片側はくり幅をmmで表わした。
塗料安定性:40℃で10日間保存後の塗料の状態を目視観察した。
【0028】
【表2】


【0029】実施例1および2に見られるように、本発明の水性樹脂組成物を用いた塗料は、塗料安定性、乾燥性、耐水性、耐食性等の全てに優れる。比較例1は反応性乳化剤の代わりに通常の乳化剤を使用した場合であるが、耐水性、耐食性が劣る。比較例2はエポキシエステル樹脂を含まない通常のアクリルエマルション樹脂の場合であるが、硬度、耐水性、耐食性が劣る。比較例3のエポキシエステル樹脂が多すぎる場合であるが、乳化重合時に凝集物が出て、重合安定性が劣る。比較例4は不飽和カルボン酸を用いず酸価が低い場合であるが、塗料安定性が劣る。比較例5は酸価が高い場合であるが、耐水性、耐食性が劣る。比較例6は有機溶剤中で合成した変性アクリル樹脂の場合であるが、乾燥性、硬度、耐水性、耐食性が劣る。比較例7は、乳化剤を全く使用しない場合であるが、エポキシエステルを中和しても有効な乳化剤とならず乳化重合中に凝集する。
【0030】
【発明の効果】本発明の水性樹脂組成物及び塗料は、塗料安定性並びに塗膜の乾燥性、耐水性、耐食性、硬度、密着性及び耐衝撃性に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 エポキシエステル樹脂20〜60重量%の存在下に、エチレン性不飽和カルボン酸を含む重合性モノマー混合物80〜40重量%を配合し、乳化剤としてエチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤を用いて乳化重合して得られる酸価が10〜50のエポキシエステル変性アクリルエマルションを含有してなる水性樹脂組成物。
【請求項2】 エポキシエステル樹脂が、脂肪酸30〜70重量%及びエポキシ樹脂70〜30重量%を付加、縮合して得られる酸価30以下のエポキシエステル樹脂である請求項1記載の水性樹脂組成物。
【請求項3】 請求項1または2記載の水性樹脂組成物を含有してなる塗料。