説明

水性樹脂組成物

【課題】耐汚染性、耐水性、耐アルコール性、耐候性にも優れた上塗り塗料用樹脂組成物であって、且つ上位の塗装に白濁化等の変質が無く密着性等にも優れる中塗り塗料用としても好適な水性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】エチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性マクロマーa1が0〜20質量%、Tgが90〜180℃である単一のα,β−エチレン性不飽和単量体a2が80〜100質量%である水性樹脂分散体(A)の存在下において、
下記成分と重合して得られる水性樹脂組成物;
エチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性マクロマーが1.0〜10質量%、
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が0.5〜5質量%、
ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が0〜5質量%、
その他の共重合可能なα,β−エチレン性不飽和単量体が98.5〜80質量%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性樹脂組成物に関し、詳しくは耐汚染性、耐水性、耐アルコール性、耐候性に優れた上塗り塗膜が得られる水性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物は長期優良住宅として長期での耐久性が求められている。屋根材や壁材等の外装材に塗布される塗料についても長期耐候性、長期低汚染性が求められている。
【0003】
長期低汚染化の技術として、また、意匠性の観点からも着色顔料を含む中塗り塗料の上に、着色顔料を含まないクリヤー塗膜を上塗り塗料として用いることが一般的になってきている。更に、近年の低汚染化技術の一つとして、クリヤー塗膜の上に、コロイダルシリカやアルコキシシランを主成分とする親水化剤を塗布し、最上面に水接触角の低くなる膜を形成させることでセルフクリーニング性を高める方法が多く採用されてきた(特許文献1〜3等)。
【0004】
しかし、これら親水化剤を塗布する際、含まれるアルコールや水分、界面活性剤等によってクリヤー塗膜が侵され、塗膜の白濁化や、著しい光沢ムラ、更には、親水化剤の機能を阻害し、十分な水接触角の低下及び低汚染機能が発現しなくなることがあった。
【0005】
また、一般的な水性樹脂分散体の成膜の過程は、水分の蒸発に伴って、水性樹脂分散体が相互に近接し、最密状態に充填される。更に乾燥を進めることで、水性樹脂分散体の保護層が破壊され、露出したポリマーが接触することでポリマー同士が融着し、更にポリマーの相互拡散が行われることで、連続した膜を形成することができる(非特許文献1)。しかし、水性樹脂分散体の保護層の強度が個々の分散体粒子によって異なる為、最密状態まで充填される以前に、不規則な分散体粒子の融着が発生する。その不規則な分散体粒子の融着により、連続した膜を形成後にポリマー及び、界面活性剤等の水溶性物質が偏在し、吸水白化や、上記親水化剤塗布時の白濁化、著しい光沢ムラの原因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−285084号公報
【特許文献2】特開2002−338943号公報
【特許文献3】特開2006−225512号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】室井宗一著,「高分子ラテックスの化学」,第11刷,高分子刊行会,1987年11月10日,p.235〜265
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、得られた塗膜が、耐汚染性、耐水性、特に吸水白化性、耐アルコール性に優れ、延いては耐候性も優れた上塗り塗料用樹脂組成物であって、且つ該組成物によって形成された塗膜上面への更なる上位の塗装に際し、上位塗膜の性能を低下させず、上位の塗装に白濁化等の変質をさせられること無く密着性等の性能にも優れる、中塗り塗料用としても好適な水性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記の課題について鋭意研究を重ねた結果、1種又は2種以上の分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性マクロマー(a1)が0〜20質量%及び、ガラス転移温度が90〜180℃である単一のα,β−エチレン性不飽和単量体(a2)が80〜100質量%である水性樹脂分散体(A)の存在下において、
下記(b1)〜(b4)からなる(B)成分と重合して得られることを特徴とする水性樹脂組成物が提供される;
(b1)分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性マクロマーが1.0質量%〜10質量%、
(b2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が0.5質量%〜5質量%、
(b3)ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が0質量%〜5質量%、
(b4)その他の共重合可能なα,β−エチレン性不飽和単量体が98.5質量%〜80質量%。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水性樹脂組成物を塗料組成物とすることで、成膜過程において不規則な凝集、組成の偏在が起こらない、均質で規則的な連続膜を形成することができ、よって優れた耐アルコール性、耐ブロッキング性、耐水性を有し、延いては優れた耐候性をも示す優れた塗膜を得ることができ、更に、より上位の塗装によっても塗膜の変質を低減することができる中塗り塗料用としても有用な水性樹脂組成物を得ることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の水性樹脂組成物の規則的な成膜過程により最密充填されている組成の写真である。
【図2】不規則な成膜過程により凝集している組成の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明の水性樹脂組成物は、水中に1種又は2種以上の分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性マクロマー(a1)及びガラス転移温度90〜180℃である単一のα,βエチレン性不飽和単量体(a2)及び必要に応じて界面活性剤を加え、次いで重合開始剤を添加し水性樹脂分散体(A)を合成させる。更に、該水性樹脂分散体(A)の存在下において、下記(b1)〜(b4)からなる(B)成分、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性マクロマー(b1)及び、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)及び、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b3)及び、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(b4)の混合物及び、必要に応じて追加の重合開始剤を従来から公知の1段階又は、多段階にて逐次投入し乳化重合することによって得ることができる。
【0014】
水性樹脂分散体(A)は、1種又は2種以上の分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性マクロマー(a1)が0〜20質量%及び、ガラス転移温度が90〜180℃である単一のα,β−エチレン性不飽和単量体(a2)が80〜100質量%であることが必要である。ガラス転移温度が90〜180℃である単一のα,β−エチレン性不飽和単量体(a2)が80質量%未満となると耐水性が低下する恐れがある。
【0015】
前記、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性オリゴマー(a1)及び(b1)として、
α−スルホナト−ω−(1−(アリルオキシメチル−アルキルオキシポリオキシエチレンアンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10),
2ポリオキシエチレン−4−ノニル−2−プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN10)(ADEKA(株)製;アデカリアソープSR10),
α−スルホ−ω−(1−(ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩(ADEKA(株)製;アデカリアソープSE10),
α−ヒドロ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル))(ADEKA(株)製;アデカリアソープER20),
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(花王(株)製;ラテムルPD−104),
ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩(日本乳化剤(株)製;アントックスMS60),
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本乳化剤(株)製;MA50,日本油脂(株)製;ブレンマーPE−350),
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製;ブレンマーPP−1000),
ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(日本油脂(株)製;ブレンマーPEPシリーズ),
ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノアクリレート(日本油脂(株)製;ブレンマーAEPシリーズ)
等が挙げられる。これらポリオキシアルキレン基を有する水溶性マクロマーは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(b1)においては、(B)成分の全樹脂固形分中1.0質量%〜10質量%である。1.0質量%未満であれば、貯蔵時の安定性や、化学的、機械的安定性が低下することで、不規則な塗膜形成となり、目的の耐水性、耐アルコール性が得られない。一方、10質量%を超える場合、親水性成分が多くなることにより耐水性の低下、耐候性の低下が顕著になる。
【0016】
また、ガラス転移温度90〜180℃である単一のα,βエチレン性不飽和単量体(a2)としては、メチルメタクリレート(105℃)、t−ブチルメタクリレート(107℃)、Nメチロールアクリルアミド(110℃)、アクリロニトリル(100℃)、アクリルアミド(153℃)、アクリロイルモルホリン(145℃)、イソボルニルアクリレート(97℃)、2−メチル−2アダマンチルアクリレート(153℃)、ジシクロペンテニルアクリレート(120℃)、ジシクロペンタニルアクリレート(120℃)、スチレン(100℃)等が挙げられる。特にメチルメタクリレート、スチレン又は、t−ブチルメタクリレートを用いることが好適である。
【0017】
尚、該水性樹脂分散体(A)のガラス転移温度が90℃を下回る場合、及び/又は、複数の単量体で構成された場合、分子間密度が疎になる為に、アルコールや界面活性剤水溶液が分子間に侵入し、塗膜の軟化や白化、光沢低下を引き起こす。一方、180℃を超過する場合であっても、分子量が上がり難いために耐アルコール性の低下や、重合時の安定性の低下を引き起こすために、好ましくない。
【0018】
上記の重合開始剤として、従来から一般的にラジカル重合に使用されているものが使用可能であるが、中でも水溶性のものが好適であり、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)ハイドロクロライドや、4,4'−アゾビス−シアノバレリックアシッド、2,2'−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジハイドロクロライドテトラハイドレート等のアゾ系化合物;過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物等を挙げることができる。更に、L−アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤と、硫酸第一鉄等とを組み合わせたレドックス系も使用できる。
【0019】
また適宜連鎖移動剤を使用することもでき、連鎖移動剤として、例えば、n−ドデシルメルカプタン等の長鎖のアルキルメルカプタン類や、芳香族メルカプタン類、ハロゲン化炭化水素類等、アルコール類を挙げることができる。更に、乳化安定剤を追加して製造時の安定性や製造後の貯蔵安定性を改善する目的として、ポリビニルアルコールや、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を併用することもできる。
【0020】
水性樹脂分散体(A)を合成するにあたり、一般的に乳化重合で用いられる界面活性剤については特に制限無く使用することができる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩や、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩、等のアニオン性界面活性剤が挙げられる。更に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン性界面活性剤も適宜組み合わせて使用することができる。
【0021】
また、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性オリゴマー(a1)についても、得られる水性樹脂分散体(A)の全樹脂固形分に対し、20質量%以下の範囲であれば反応性界面活性剤として使用することができる。20質量%を超える場合、耐水性の低下や、耐アルコール性が著しく低下することがある。
【0022】
水性樹脂分散体(A)の動的光散乱法で測定される質量平均粒子径(D50)が、10〜90nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜80nmであり、水性樹脂分散体(A)が10nm未満の場合には、耐アルコール性や耐ブロッキング性が低下する傾向にあり、一方90nmを超過の場合には、耐温水白化性、重合時の安定性が低下する傾向にある。
【0023】
更に、カルボキシル基を有するα,βエチレン性不飽和単量体(b2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。これらは、(B)成分の全樹脂固形分中、0.5〜5質量%である。0.5%未満では、重合時の安定性、貯蔵時の安定性、塗料化時の安定性が低下し、また、5%を超える場合、水や温水によって塗膜の白濁化の大きな原因となる。
【0024】
また、ヒドロキシル基を有するα,βエチレン性不飽和単量体(b3)としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン重付加物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのβ−メチル−δ−バレロラクトン重付加物、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;アリルアルコール、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル等のアリル化合物;これらの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物(アルキレンオキシドの付加モル数は、通常0〜30モル、好ましくは20〜30モルである)等が挙げられる。特に好適にはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、上記ヒドロキシル基を有する単量体は、得られる塗膜表面に親水性を付与することで低汚染機能を発現する他に、より上位の塗装に際しても濡れ性を改善し、水やアルコールによる白濁、劣化を低減し、密着性を向上することができる。但し、耐水性を低下させる場合もあるため、共重合に用いる量としては(B)成分の全樹脂固形分中、5質量%以下である。5質量%を超えると耐水性が低下し、塗膜の白濁化や、耐候性の低下の原因となる。
【0025】
その他の共重合可能なα,βエチレン性不飽和単量体(b4)としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、アリルアクリレート、グリシジルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリル酸ソーダ、トリメチロールプロパンアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のアクリル酸エステルモノマー、並びにメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アリルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、テトラエチレングリコールメタクリレート、1,3−ブチレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルモノマーを挙げることができる。
【0026】
更に、上記のアクリル系モノマー類に加えて、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等のカルボニル基を持つα,β−エチレン性不飽和モノマーやアクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のビニルモノマーを共重合成分として用いることができる。
【0027】
これらは、(B)成分の樹脂固形分中、98.5〜80質量%である。80質量%未満では、比較的親水性である、水溶性マクロマー(b1)、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)及びヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b3)が増えることになり、耐水性、耐温水白化性が低下し、98.5質量%を超えると耐雨筋汚染性の低下や、より上位に塗装される上塗り塗料との親和性が低下するために、上塗り塗料の機能が失われる。
【0028】
更に、耐候性や耐水性を向上させる目的で、α,βエチレン性不飽和単量体(b4)がシクロシクロヘキシル基を有する単量体を含有させることが好ましく、水性樹脂組成物の全樹脂固形分中5質量%〜40質量%であることが好ましい。5質量%を下回る場合、塗膜の耐候性、耐水性が劣り、40質量%を超える場合は塗膜がもろくなる原因となる。シクロヘキシル基を有する単量体としては、シクロヘキシルメタアクリレートやシクロヘキシルメタクリレートが挙げられる。
【0029】
更に、架橋構造を導入する目的で、
ジビニルベンゼンや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有する単量体を使用する方法;
乳化重合反応時の温度にて相互に反応する官能基を持つ単量体を組合せ、例えば、カルボキシル基とグリシジル基や、水酸基とイソシアネート基等の組合せの官能基を持つエチレン性不飽和単量体を選択含有させた単量体混合物を使用する方法;
加水分解縮合反応する、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、や、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシリル基含有エチレン性不飽和単量体を含有させた単量体混合物を使用する方法;
等の方法により製造させることができる。
【0030】
本発明の水性樹脂組成物において、水性樹脂分散体(A)の樹脂固形分の質量%は、3〜30質量%であることが好ましい。水性樹脂分散体(A)の樹脂固形分の質量%は、3質量%を下回る場合は耐アルコール性が低下し易くなり、30質量%を超える場合は重合時の安定性が低下する傾向がある。
【0031】
また、本発明の水性樹脂組成物は、動的光散乱法によって測定される質量平均粒子径(D50)が、50〜100nmであることが好ましい。50nm未満であれば、塗膜作製時の平滑性が失われ、チェッキングと呼ばれる割れが発生する。一方、100nmを超過する場合、耐温水白化性や耐水性が低下する傾向にある。
【0032】
本発明の水性樹脂組成物は、成膜過程において不規則な凝集、組成の偏在が起こりにくいことを確認するために、エバポレーター等により、水性樹脂組成物を濃縮し、濃縮前後において、分散体粒子が合一又は凝集が起こらないこと、つまり動的光散乱法により測定された粒度分布に著しい変化が無いことが重要である。このため、上記水性樹脂組成物を濃縮し、その樹脂固形分が55〜60%になった時点での動的光散乱法で測定される粒度分布においてD90での値が、濃縮前の該水性樹脂組成物のD90の値の100〜200%であることが好ましい。尚、D90は、分布関数dG=F(D)×dDの積分が、水性樹脂組成物の全質量の0.9(90質量%)に等しい粒径を表す。
【0033】
図1に本発明の水性樹脂組成物の規則的な成膜過程により最密充填されている組成の写真を示す。図2に不規則な成膜過程により凝集している組成の写真を示す。
【0034】
その他、耐候性を改善させる目的で、エチレン性不飽和基を有する紫外線吸収剤や、エチレン性不飽和基を有するヒンダードアミン系光安定剤を共重合することも可能である。
【0035】
また、水性樹脂組成物にアンモニアやトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン類、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機塩類を添加してpH7〜10に調整しておくことで、貯蔵時の安定性を更に改善することができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明について、実施例により更に詳細に説明する。なお、実施例中「部」、「%」は、特に断らない限り質量基準で示す。
【0037】
<水性樹脂分散体A1の合成>
攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下装置を備えた4つ口フラスコに、イオン交換水85部仕込み、反応器内を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸カリウム0.2部加え、次いで予め別容器にて撹拌混合しておいた、メチルメタクリレート(ガラス転移温度105℃)13部、α−スルホナト−ω−(1−(アリルオキシメチル−アルキルオキシポリオキシエチレンアンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;アクアロンKH10)1部、2−ポリオキシエチレン−4−ノニル−2−プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;アクアロンRN20)1部を30分かけて連続滴下し、滴下終了後80℃で1時間撹拌を続けながら熟成した。室温まで冷却し、固形分15%、質量平均粒子径40nmの水性樹脂分散体A1を得た。
【0038】
<水性樹脂分散体A2の合成>
A1と同様に、イオン交換水15部、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩(第一工業製薬(株)製;ハイテノールNF−08)0.6部、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製;ノイゲンEA−177)0.4部を仕込み、反応器内を窒素で置換しながら80℃まで昇温した後、過硫酸カリウム0.2部加え、スチレン(ガラス転移温度100℃)14部を30分かけて連続滴下し、滴下終了後80℃で1時間撹拌を続けながら熟成した。その後、室温まで冷却し、固形分15%、質量平均粒子径50nmの水性樹脂分散体A2を得た。
【0039】
<水性樹脂分散体A3の合成>
水性樹脂分散体A1の合成条件において、滴下する単量体混合物を、n−ブチルメタクリレート(ガラス転移温度20℃)13部に変更した以外、全て同様にして合成し、質量平均粒子径40nmの水性樹脂分散体A3を得た。
【0040】
<水性樹脂分散体A4の合成>
水性樹脂分散体A2の合成条件において、滴下する単量体混合物を単一から複数の、スチレン8部、メチルメタクリレート2部、t−ブチルメタクリレート4部に変更した以外、全て同様にして合成し、質量平均粒子径50nmの水性樹脂分散体A4を得た。
【0041】
尚、水性樹脂分散体A4に用いたエチレン性不飽和単量体のガラス転移温度(Tg)は、103℃であり、これは以下のFOXの計算式によって求められた。
【0042】
【数1】

【0043】
なお、上記数式に示したFOX式において、左辺の分母に記載されたTgは、N種類の単量体からなる重合体のガラス転移温度を表しており、Tg(単位:K)は、N種の単量体からなる重合体を構成する各モノマー(ホモポリマー)のガラス転移温度を表しており、Wは、各モノマーの質量分率である。また、W+W+・・・+W+・・・+W=1の関係が成立する。
【0044】
<水性樹脂分散体A5の合成>
水性樹脂分散体A1の合成条件において、滴下する単量体混合物を、メチルメタクリレート(ガラス転移温度105℃)14.5部、α−スルホナト−ω−(1−(アリルオキシメチル−アルキルオキシポリオキシエチレンアンモニウム塩0.1部、2−ポリオキシエチレン−4−ノニル−2−プロペニルフェニルエーテル0.4部に変更した以外、全て同様にして合成し、固形分15%、質量平均粒子径120nmの水性樹脂分散体A5を得た。
【0045】
(実施例1)
攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下装置を備えた4つ口フラスコに、水性樹脂分散体A2を40部仕込み、反応器内を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した。その後、1質量%過硫酸カリウム水溶液を5部添加し、次いで予め別容器にて撹拌混合しておいた、表1に記載の単量体混合物B1を3.5時間かけて連続滴下した。その後、撹拌を続けながら80℃で5時間熟成した後、室温まで冷却後28%アンモニア水溶液を用いてpH9まで中和し、水性樹脂組成物を得た。
【0046】
(実施例2)
攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下装置を備えた4つ口フラスコに、水性樹脂分散体A1を40部仕込み、反応器内を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した。その後、1質量%過硫酸カリウム水溶液を5部添加し、次いで予め別容器にて撹拌混合しておいた、表1に記載の単量体混合物B1を1時間かけて連続滴下した。引き続き単量体混合物B2を3時間かけて連続滴下し、撹拌を続けながら80℃で5時間熟成した後、室温まで冷却後、28%アンモニア水溶液を用いてpH9まで中和し、水性樹脂組成物を得た。
【0047】
(実施例3)
実施例2と同様の合成条件において、水性樹脂分散体A5を用いた以外、全て同様にして合成し、水性樹脂組成物を得た。
【0048】
(実施例4)
実施例2と同様の合成条件において、水性樹脂分散体A2を20部とした以外、全て同様にして合成し、水性樹脂組成物を得た。
【0049】
(実施例5)
実施例2と同様の合成条件において、水性樹脂分散体A1を8.7部とした以外、全て同様にして合成し、水性樹脂組成物を得た。
【0050】
(実施例6)
実施例2と同様の合成条件において、水性樹脂分散体A1を100部に変更した以外、同様にして合成し、水性樹脂分散体を得た。
【0051】
(比較例1)
実施例2と同様の合成条件において、水性樹脂分散体A3を用いた以外、全て同様にして合成し、水性樹脂組成物を得た。
【0052】
(比較例2)
実施例2と同様の合成条件において、水性樹脂分散体A4を用いた以外、全て同様にして合成し、水性樹脂組成物を得た。
【0053】
(比較例3)
実施例2と同様の合成条件において、水性樹脂分散体A2を用いた以外、全て同様にして合成し、水性樹脂組成物を得た。
【0054】
(比較例4)
実施例2と同様の合成条件において、水性樹脂分散体を使用せず、替わりにα−スルホナト−ω−(1−(アリルオキシメチル−アルキルオキシポリオキシエチレンアンモニウム塩0.1部添加した以外、全て同様にして合成し、水性樹脂組成物を得た。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
RN20:2−ポリオキシエチレン−4−ノニル−2−プロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(Tg=55℃)
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(Tg=−15℃)
MAA:メタクリル酸(Tg=185℃)
AA:アクリル酸(Tg=106℃)
ST:スチレン(Tg=100℃)
EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(Tg=−50℃)
CHMA:シクロヘキシルメタアクリレート(Tg=66℃)
GMA:グリシジルメタアクリレート(Tg=41℃)
MMA:メチルメタクリレート(Tg=105℃)
NF08:非反応型アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製 ハイテノールNF08)
EA177:非反応型ノニオン性界面活性剤(ノイゲンEA177)
【0058】
実施例1〜6及び比較例1〜4で得られた水性樹脂組成物につき、耐アルコール性(上塗り塗装適性)、耐温水白化性、の各試験を行い、その結果を表3に示した。
なお、試験方法及び評価は、次の方法に従って行った。
【0059】
<耐アルコール性(上塗り塗装適性)>
イオン交換水89部、エタノール10部、ポリオキシエチレンスチレン化フェノールエーテル(第一工業製薬社製「ノイゲンEA−177」)1部を混合し、耐アルコール性試験液を作製した。
【0060】
次いで、水性樹脂組成物をガラス板上に6ミルアプリケーターにて塗装し、100℃で3分間強制的に乾燥させ、室温にて試験板が60〜80℃まで自然冷却した後、前記耐アルコール性試験液をエアスプレーにて、塗布量35±2g/mになる様に塗布し、試験板を水平に保持し、室温まで冷却した。その後、外観を目視にて確認した。尚、造膜助剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルを最低造膜温度(MFT)が40℃以下になるように適宜水性樹脂組成物に添加した後、試験板を作製した。
[評価基準]
○;塗膜が透明で、耐アルコール試験液塗布前に比して大きな差が見られない。
△;部分的に白濁箇所が見られる或いは、部分的に光沢低下が見られる。
×;塗膜が全面的に白濁し、耐アルコール試験液塗布前に比して著しい光沢の低下がある。
【0061】
<耐ブロッキング性>
各水性樹脂組成物を硝子板に6ミルアプリケーターにて塗装し、80℃で5分間強制乾燥させた。次いで、60℃まで冷却させた後、60℃に加温しておいたホットプレート上に置いた。なお、MFTが40℃以下になるよう耐アルコール性試験と同様に造膜助剤を添加してから、試験板を作製した。
【0062】
次に、塗膜表面にガーゼをのせ、更にその上に事前に60℃まで加温した分銅を置き、1.0kg/cmの荷重を30分間かけた。そして、常温まで冷却した後、ゆっくりガーゼをはがし、その時のはがし抵抗、及びガーゼの痕跡を目視で判定した。
[評価基準]
◎:ガーゼが自然に落下し、塗膜上にガーゼの痕跡が殆ど残っていない。
○:ガーゼが自然に落下することはないが、塗膜上にガーゼの痕跡は殆ど残っていない。
△:ガーゼが自然に落下することはないが、少しの力で剥離することが出来、ガーゼの痕跡が多少残っている。
×:ガーゼを剥離時に塗膜の一部も剥離し、ガーゼの痕跡がくっきり残っている。
【0063】
<耐温水白化性>
各水性樹脂組成物を硝子板に6ミルアプリケーターにて塗装し、80℃で5分間強制乾燥する。次いで、常温まで放冷した。
【0064】
次に、50℃の温水に硝子板ごと24時間浸漬し、温水から取り出した直後の塗膜外観を目視判定し、更に、室温にて24時間放置、乾燥した後、塗膜外観を目視判定した。
[評価基準]
◎:塗膜の白化は少なく、乾燥後は完全に元のクリアー塗膜に回復する。
○:多少塗膜の白化は認められるが、乾燥後は2〜3時間程度でほぼ元のクリアー塗膜に回復する。
△:多少塗膜の白化が認められ、乾燥後も24時間では少し濁っており、48時間後では、クリアー塗膜に回復している。
×:かなり塗膜が白化しており、乾燥後もかなり白化したままで、元のクリアー塗膜に戻りきらない。
【0065】
<濃縮安定性>
各水性樹脂組成物をエバポレーターで濃縮し、樹脂固形分58±0.5%に調製した。濃縮前及び濃縮後の粒度分布D90を動的光散乱法にて測定し、値をそれぞれ読みとり、濃縮後のD90の変化率を測定した;
粒度分布変化率=(濃縮後のD90値)/(濃縮前のD90値)×100
【0066】
この濃縮による粒度分布変化率は、乾燥による塗膜形成過程における、不規則な樹脂粒子の凝集と同意であり、変化率が100%に近いほど、規則的で緻密な塗膜を形成することができ、耐水性、耐アルコール性、耐温水白化性が向上することができる。
【0067】
尚、質量平均粒子径(D50)、粒度分布D90の測定には、日機装株式会社製「ナノトラックUPA−EX150」を用いて測定した。
【0068】
<機械的安定性>
各水性樹脂組成物をマロン式機械的安定性試験機にて測定した。作製した各水性樹脂組成物を20℃に温度調整した後、75g秤量し、加重30kg、回転数1,000rpmにて10分間処理した。処理後の各水性樹脂組成物を予め秤量しておいた150メッシュ金網にて濾過した後、105℃で2時間乾燥した。乾燥後、金網上の残渣物を秤量して、評価に用いた樹脂組成物の固形分に対する残渣物の比率を計算して、下記基準で評価した。
[評価基準]
○:0.1%未満
△:0.1%以上0.3%未満
×:0.3%以上
【0069】
<耐候性試験>
作製した水性樹脂組成物を下記組成からなる白色塗料に調整した後、カチオン性エマルションシーラーを塗装したフレキシブルボード上に、乾燥膜厚60μmとなるように塗布し、80℃に設定した熱風乾燥炉にて10分間強制乾燥しテストピースとして得た。このテストピースをサンシャインウエザロメーターによって促進耐候性試験を行い、1500時間後の塗膜の変化を、JIS K−5600−8−6の白亜化度の評価条件に従い、同時に60°鏡面光沢を測定し、初期光沢値と比較して光沢保持率とした。但し、MFTが20℃以下になるようにエチレングリコールモノブチルエーテルを撹拌しながら徐々に添加した。
【0070】
(塗料化配合)
水 10.0部
ヒドロキシエチルセルロース系増粘剤 0.1部
特殊カルボン酸系界面活性剤 0.5部
(商品名「タモール731」R&H社製)
変成シリコン系消泡剤 0.2部
(商品名「ディフォーマー777」サンノプコ(株)製)
ルチル型二酸化チタン 25.0部
樹脂組成物 70.0部
【0071】
<60°光沢>
前記フレキシボードに塗装したテストピースを、JIS K5600−4−7に指定の鏡面光沢度測定器にて光沢値を測定する。但し、測定角度は60°とする。
【0072】
<耐雨筋汚染性>
前記と同様のフレキシブルボードに塗装したテストピースを、南向きの斜面で、屋外曝露試験を行い、12ヶ月後の汚れの状態を目視にて評価した。
[評価基準]
○:わずかな汚れのみで目立った汚れは無い。
△:局所的に汚れが目立ち、雨筋が薄く確認される。
×:全面にかなりの汚れが目立ち、雨筋がしっかりと確認される。
【0073】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種又は2種以上の分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性マクロマー(a1)が0〜20質量%及び、ガラス転移温度が90〜180℃である単一のα,β−エチレン性不飽和単量体(a2)が80〜100質量%である水性樹脂分散体(A)の存在下において、
下記(b1)〜(b4)からなる(B)成分と重合して得られることを特徴とする水性樹脂組成物;
(b1)分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和基及びポリオキシアルキレン基を有する水溶性マクロマーが1.0質量%〜10質量%、
(b2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が0.5質量%〜5質量%、
(b3)ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が0質量%〜5質量%、
(b4)その他の共重合可能なα,β−エチレン性不飽和単量体が98.5質量%〜80質量%。
【請求項2】
上記水性樹脂分散体(A)の動的光散乱法で測定される質量平均粒子径(D50)が、10〜90nmである請求項1に記載の水性樹脂組成物。
【請求項3】
上記水性樹脂分散体(A)に使用されるガラス転移温度が90〜180℃である単一のα,βエチレン性不飽和単量体(a2)が、スチレン、メチルメタクリレート又はt−ブチルメタクリレートである請求項1又は2に記載の水性樹脂組成物。
【請求項4】
上記水性樹脂組成物において、水性樹脂分散体(A)の樹脂固形分の質量%は、3〜30質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の水性樹脂組成物。
【請求項5】
上記α,β−エチレン性不飽和単量体(b4)がシクロヘキシル基を有する単量体を含有し、かつ水性樹脂組成物の全樹脂固形分中5質量%〜40質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物。
【請求項6】
上記水性樹脂組成物の動的光散乱法によって測定される質量平均粒子径(D50)が、50〜100nmである請求項1〜5のいずれかに記載の水性樹脂組成物。
【請求項7】
上記水性樹脂組成物を濃縮し、その樹脂固形分が55〜60%になった時点での動的光散乱法で測定される粒度分布D90での値が、濃縮前の該水性樹脂組成物のD90の値の100〜200%である請求項1〜6のいずれかに記載の水性樹脂組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−77119(P2012−77119A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221166(P2010−221166)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】