説明

水性殺虫製剤のための腐食抑制剤

本発明は、腐食抑制剤としてイオン性硝酸塩添加物を含む水含有殺虫剤濃縮物、及び該濃縮物から調製される殺虫組成物に関し、そして害虫を防除するための該組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの殺虫剤及びイオン性硝酸塩を含んで成る殺虫剤濃縮物に関する。本発明はまた、これらの濃縮物から調製される殺虫組成物にも関し、そして害虫を防除するためのこれらの組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
希釈剤として有機溶媒を使用する製剤と比較して、水性殺虫製剤は、哺乳類への毒性及び生態への影響に対する改善されたプロファイル並びに低いコストのため、次第に出回りつつある。不運にも、殺虫組成物への水の導入がたとえ少量でも、製品の製造、保管、輸送又は包装で使用される装置の金属表面を腐食する可能性を増大させる。この腐食特性は、装置を維持するコスト又は装置の故障を増大させるかもしれない。
【0003】
殺虫組成物中の腐食を減少させる添加物の使用が、当業界において知られている。しかし、開示されている添加物及び使用は、性質が非常に特異的である。例えば、米国特許第2,788,307号は、溶媒系リンデン又はDDT製剤との接触におけるブリキの腐食を減少させるためのNa223の使用を開示する。米国特許第2,630,380号は、2,4−ジニトロ−6−アルキルフェノールを主とした製剤における腐食抑制剤としてのアリールオキシポリエチレングリコール化合物を開示する。S−メチル−N−[(メチルカルバモイル)オキシ]チオアセチミデートの存在下での鉄腐食を防止するための、ビス(m−メチルフェニル)リン酸塩の使用は、特許第56034562号に開示されている。特開2000034201号は、ピレスロイド系殺虫剤の水性エアゾールによる容器の腐食を防止するための、シリカを含んだ組成物を開示する。米国特許第5,061,698号は、腐食抑制剤として利用するホウ酸を主とした組成物を開示する。米国特許第5,032,318号は、スズめっきされたスチール缶中のエアゾールに対する腐食抑制剤としての、N−アシルサルコシンのC13〜C14アルキルアミン塩を開示する。米国特許第5,118,444号は、水性殺虫組成物における腐食を減少させるための、特定のクラスの酸化アミンの使用を開示する。水性製剤における腐食の可能性は、製剤のpHが酸性の場合に増大する。重要な殺虫活性成分であって、その構造中に酸部分を含み、そしてその生成物の水性製剤が酸性pHを有するだろうものが多く存在する。活性成分に対する向上した化学的安定性又は保管における製品に対する向上した物理的安定性などの、殺虫製剤のpHを酸性レベルに維持する他の理由が存在し得る。イオン性塩化物などの溶解塩の存在又は塩若しくは金属複合体形態において存在する殺虫活性成分も、金属表面の腐食を加速させ得る。
【0004】
驚いたことに、酸性pHレベル及び塩の存在下においてでさえ、いくつかの硝酸塩添加物が水性殺虫製剤の腐食特性を、顕著に減少させることが見出された。
【0005】
本発明の添加物は、腐食を減少させるために、初期の製剤プロセスの間に水性殺虫組成物中に組み込むことができ、又は保管、輸送又は包装の任意の後の段階において添加することができる。本発明の添加物は、比較的低いコストで、容易に入手可能であるという更なる利点を有する。
【0006】
窒素肥料としての硝酸塩、特にアンモニウム硝酸塩の使用は、農業産業において長い歴史を持ち、そして除草剤の使用のためのタンクミックス(tank mix)担体液体としてのアンモニウム硝酸塩又は他の窒素肥料溶液の使用は、製品のラベル説明にしばしば含まれている。しかし、窒素肥料担体液体における硝酸塩の使用は、1エーカー当たりに大量を必要とする。
【0007】
除草活性を増大させるための散布スプレー添加物としての、アンモニウム硝酸塩を含有する組成物の使用については、特許文献(米国特許第5,658,855号、米国特許公開第2003104947号、米国特許公開第2003125211号及び国際公開第02/19823号)においても報告がある。しかし、これらの添加物を組み入れる殺虫組成物は、スプレー装置中で成分を直接的に混合することにより使用直前に典型的に調製される、非常に低濃度のスプレー混合液である。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
潜在的に厳しい腐食状態において効果的であろう、水含有(aqueous−containing)殺虫製剤のためのいくつかの腐食抑制剤添加物を提供する。本発明の組成物は、その組成物のpHが6以下場合、及び/又は殺虫活性成分として若しくは製剤助剤として塩若しくは金属複合体が存在する場合に、特に有用である。
【0009】
1つの実施態様において、本発明は:
a) 水
b) 少なくとも1つの殺虫剤
c) 金属表面の腐食を減少させるのに有効な量のイオン性硝酸塩添加物
d) 任意に、他の製剤助剤
を含んで成る殺虫剤濃縮物に関し、ここで成分c)対成分b)の比率は、0.3:1以下である。
【0010】
本発明はまた、これらの濃縮物から調製される殺虫組成物にも関し、そして害虫を防除するためのこれらの組成物の使用にも関する。
【0011】
発明の詳細な説明
驚いたことに、腐食特性を減少させる殺虫剤濃縮物が、濃縮物にイオン性硝酸塩を組み入れることによって得られることが見出された。
【0012】
本発明は:
a) 2〜85重量%の水
b) 5〜90重量%の少なくとも1つの殺虫剤
c) 金属表面の腐食を減少させるのに有効な量のイオン性硝酸塩添加物
d) 任意に、他の製剤助剤
を含んで成る殺虫剤濃縮物に関し、ここで成分c)対成分b)の比率は、0.3:1以下である。
【0013】
本発明はまた、これらの濃縮物から調製される殺虫組成物にも関し、また金属表面の腐食の減少におけるイオン性硝酸塩添加物の使用にも関し、そして保護を必要とする場所に発明に関する殺虫組成物の有効量を使用する段階を含んで成る、害虫を防除するための組成物の使用にも関する。
【0014】
本発明の組成物は、その組成物のpHが6以下場合、及び/又は殺虫活性成分として若しくは製剤助剤として塩若しくは金属複合体が存在する場合に、特に有用である。
【0015】
本発明における腐食抑制剤添加物としての使用に適した硝酸塩としては、アンモニウム硝酸塩、アルカリ金属硝酸塩及びアルカリ土類金属硝酸塩(例えば、ナトリウム硝酸塩及びカルシウム硝酸塩)が挙げられる。これらの塩は、容易に商業的に入手可能である。本発明の添加物は、腐食を減少させるために、初期の製剤プロセスの間に殺虫組成物中に組み入れることができ、又は保管、輸送若しくは包装の任意の後の段階において添加することができる。
【0016】
本発明の濃縮物は、2重量%〜85重量%の、好ましくは5重量%〜65重量%の範囲の水を含有する。金属表面の腐食を減少させるのに有効な量、典型的には0.001重量%〜10重量%の濃度範囲で存在する硝酸塩添加物とともに、殺虫剤濃度は、5重量%〜90重量%、好ましくは25重量%〜75重量%の範囲である。殺虫剤濃度に対する硝酸塩添加物濃度の比率は、0.3:1以下である。
【0017】
本発明の好ましい実施態様は、腐食抑制剤添加物としてアンモニウム硝酸塩を含んで成る組成物である。
【0018】
本発明の付加的な好ましい実施態様は、腐食抑制のための水性殺虫組成物におけるイオン性硝酸塩添加物の使用である。
【0019】
本発明に適した殺虫活性成分としては、水溶性及び水不溶性化合物の両方が挙げられる。水溶性活性成分としては、アセフェート、アシフルオルフェン、アクロレイン、アミトロール、アスラム、ベナゾリン、ベンタゾン、ビアラホス、ホウ砂、ブロマシル、ブロモキシニル、ブトキシカルボキシム、カルシウムポリスルフィド、カルタップ、クロランベン、クロルメコート、クロロ酢酸、クロルホニウム、クロフェンセット、クロピラリド、クロキシホナック、硫酸銅、シアナミド、2,4−D、2,4−DB、ダラポン、ダミノジッド、ジカンバ、ジクロルプロップ、ジクロホップ、ジクロトホス、ジフェンゾコート、ジケグラック、ジクオート、エンドタール、エテホン、フェナック、フェノキサプロップ、フラムプロップ、フルアジホップ、フルオログリコフェン、フルプロパネート、ホメサフェン、ホルメタネート、ホサミン、ホセチル、グルホシネート、グリホセート、グアザチン、ハロキシホップ、ヒドロキシキノリン硫酸塩、イマザメス(imazameth)、イマザメサベンズ(imazamethabenz)、イマザモックス(imazamox)、イマザピック(imazapic)、イマザピル(imazapyr)、イマザキン(imazaquin)、イマゼサピル(imazethapyr)、イミノクタジン、イオキシニル、カスガマイシン、MCPA、MCPB、メコプロップ、メピコート、塩化第二水銀、メタム、メタミドホス、メトミル、メチルアルソン酸、メビンホス、モノクロトホス、ナバム、ナプタラム、ニコチン、ニテンピラム、ノナン酸、オメトエート、オキサミル、オキシデメトン−メチル、パラコート、ホスファミドン、ピクロラム、ポリオキシンB、プロパモカルブ、スルファミン酸、2,3,6−TBA、チオシクラム、トリクロルホン、トリクロロ酢酸、トリクロピル、バリダマイシン及びバミドチオン、並びにそれらの農業上許容される塩及びエステルなどの殺虫剤又は植物成長制御剤が挙げられる。
【0020】
好ましい水溶性活性成分としては、グリホセート、グルホシネート、パラコート、ジクオート、ジカンバ、ホメサフェン、2,4−D、2,4−DB及びそれらの農業上許容される塩が挙げられる。
【0021】
最も好ましい水溶性活性成分としては、グリホセート、グリホシネート、パラコート並びにそれらの農業上許容される塩及びエステルが挙げられる。グリホセートに対して好ましい塩は、イソプロピルアンモニウム、カリウム、アンモニウム及びトリメチルスルホニウムが挙げられる。
【0022】
水不溶性活性成分としては、アバメクチン、アセトクロル、アクロニフェン、アクリナトリン、アミトラズ、アトラジン、アザジラクチン、アザメチホス、アジンホス−メチル、アゾシクロチン、アゾキシストロビン、BAS670、ベナラキシル、ベノミル、ベノキサコール、ベンスルフロン−メチル、ベンスルタップ、ベンゾフェナップ、6−ベンジルアミノプリン、ビフェノックス、ビフェントリン、ビテルタノール、ブロモブチド、ブロモフェノキシム、ブロモプロピレート、ブロムコナゾール、ブプロフェジン、ブタフェナシル、カプタホル、カプタン、カルベンダジム、キノメチオネート、クロメトキシフェン、クロルブロムロン、クロルフェナピル、クロルフェンソン、クロルフルアズロン、クロリムロン−エチル、クロルニトロフェン、クロロタロニル、クロロトルロン、クロルタル−ジメチル、クロゾリネート、クロフェンテゼン(clofentezene)、クロメプロップ、クーマホス、シクラニリド、シフルトリン、ベータ−シフルトリン、シペルメトリン、アルファ−シペルメトリン、シータ−シペルメトリン、シオメトリニル(cyometrinil)、シプロジニル、ダイムロン、DDT、デルタメトリン、デスメジファム、ジアフェンチウロン、ジクロべニル、ジクロフルアニド、ジクロルミド、4−ジクロロアセチル−1−オキサ4−アザ−スピロ[4,5]デカン、ジクロロフェン、ジクロメジン、ジクロラン、ジコホル、ジシクロノン(dicyclonon)、ジエトフェンカルブ、ジフルベンズロン、ジフルフェニカン、ジメフイロン(dimefuiron)、ジメテナミド、ジメトモルフ、ジニコナゾール、ジニトラミン、ジチアノン、ジウロン、エンドスルファン、エポキシコナゾール、エスフェンバレレート、エタメツルフロン−メチル、エトキサゾール、ファモキサドン、フェナリモル、フェナザキン、フェンブコナゾール、フェンブタチンオキサイド、フェンクロリム、フェンフラム、フェノキサプロップ−エチル、フェノキシカルブ、フェンピクロニル、フェンピロキシメート、フェンチン、フィプロニル、フラムプロップ−メチル、フラザスルフロン、フルラゾール、フルアジナム、フルアズロン、フルシクロクスロン、フルジオキソニル、フルフェノクスロン、フルメトラリン、フルメツラム、フルミクロラック−ペンチル、フルミオキサジン、フルオロイミド、フルポキサム、フルキンコナゾール、フルリドン、フルルタモン、フルスルファミド、フルトラニル、フルクソフェニム、ホルペット、ホルクロルフェヌロン、フリラゾール、グリホセート酸、ハロフェノジド(halofenozide)、ガンマ−HCH、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサコナゾール、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾックス、ヒドラメチルノン、イミベンコナゾール、イナベンフィド、イプコナゾール、イプロジオン、イソプロツロン、イソキサベン、イソキサフルトール、イソキサピリホップ(isoxapyrifop)、クレソキシム−メチル、ラクトフェン、レナシル、リヌロン、ルフェヌロン、マンコゼブ、マネブ、メフェナセット、メパニピリム、メプロニル、メソトリオン、メソトリオン金属複合体、メタラキシル、メトコナゾール、メタベンズチアズロン、メチオカルブ、メトラクロル、s−メトラクロル、メトキシクロル、メチラム、メトベンズロン(metobenzuron)、ミルベメクチン、2−(1−ナフチル)アセトアミド、ナプロアニリド、ネブロン、ニッケルビス(ジメチルジチオカルバメート)、ニコスルフロン、ノルフルラゾン、ノバルロン、ヌアリモル(nuarimol)、オリザリン、オキサベトリニル、オキサジアゾン、オキシン銅、オキソリン酸、オキシフルオルフェン、パクロブトラゾール、ペンシクロン、ペンタクロロフェノール、フェンメジファム、N−フェニルフタルアミド酸、フタライド、プリミスルフロン、プロシミドン、プロジアミン、プロメトリン、プロパジン、プロピコナゾール、プロピネブ、プロピザミド、プロプスルフロン(propsulfuron)、ピラゾリネート、ピラゾスルフロン−エチル、ピリブチカルブ、ピリダベン、キンクロラック、キントゼン、キザロホップ−エチル、レスメトリン、リムスルフロン、ロテノン、シデュロン、シマジン、スルコトリオン(sulcotrione)、スルフルラミド(sulfluramid)、硫黄、テブコナゾール、テブフェノジド、テブフェンピラド、テブピリムホス、テクロフタラム、テクナゼン、テフルベンズロン、テルブチラジン、テルブトリン、テトラクロルビンホス、テトラジホン、テトラメトリン、チアメトキサム、チアゾピル、チジアズロン、チフルザミド、チオジカルブ、チオファネート−メチル、チラム、トルクロホス−メチル、トリルフルアニド、トラルコキシジム、トラロメトリン、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアゾキシド(triazoxide)、トリエタジン、トリフルムロン、トリホリン、トリメタカルブ(trimethacarb)、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ビンクロゾリン、ジネブ、及びジラム、並びにそれらの農業上許容される塩及びエステルなどの殺虫剤、除草剤の解毒剤又は植物成長制御剤が挙げられる。
【0023】
好ましい水不溶性活性成分としては、メソトリオン、及びメソトリオン金属キレート、アトラジン、シマジン、テルブチラジン、スルコトリオン(sulcotrione)、メトラクロル、s−メトラクロル、アセトクロル、ジメテナミド、アバメクチン、チアメトキサム、アゾキシストロビン、メタラキシル、プロピコナゾール、ベノキサコール、ジクロルミド、4−ジクロロアセチル−1−オキサ4−アザ−スピロ[4,5]デカン、及びフリラゾールが挙げられる。
【0024】
最も好ましい水不溶性活性成分としては、メソトリオン、及びメソトリオン金属キレート、アトラジン、メトラクロル、s−メトラクロル、及びベノキサコールが挙げられる。好ましいメソトリオン金属キレートとしては、その金属が銅、コバルト、亜鉛及びニッケルの群から選択される遷移金属であるものが挙げられる。
【0025】
特に好ましい実施態様においては、組成物はメソトリオンの金属キレート、好ましくはメソトリオンの銅又は亜鉛キレートを含んで成る。
【0026】
塩の形態で存在することができる製剤助剤としては、塩化ナトリウム及び塩化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩化物が挙げられる。
【0027】
本発明に対する製剤助剤としては、さらに界面活性剤、チキソトロープ剤、消泡剤、凍結防止剤及び防腐剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
典型的に、界面活性剤は本発明の濃縮物中に存在するだろう。適切な界面活性化合物は、活性成分の性質に依存して、非イオン性、陽イオン性及び/又は陰イオン性界面活性剤並びに優れた乳化特性、分散特性及び湿潤特性を有する界面活性剤の混合物である。例えば米国特許第6,063,732号の第5段第1行〜第6段第2行において、適切な陰イオン性、非イオン性及び陽イオン性界面活性剤の例が一覧にされ、その内容は本明細書中に引用文献として組み込まれている。
【0029】
さらに、特に「Mc Cutcheon's Detergents and Emulsifiers Annual」(MC出版社、ニュージャージー州、リッジウッド、1981年)、Stache, H., 「Tensid−Taschenbuch」(カール ハンサー出版社、ミュンヘンNienna、1981年) 及び M. and J. Ash, 「Encyclopedia of Surfactants」(第I巻〜第III巻、ケミカル出版社、ニューヨーク、1980〜1981年)で説明されている製剤技術において、通例使用される界面活性剤は、本発明の除草組成物の調製に対しても適切である。
【0030】
界面活性剤の量は、組成物に対して選択される具体的活性成分に依存し、所望されるこれらの絶対量及び相対量に依存する。本明細書中で示したクラス又は具体例から選択される安定化系成分の適切な量は、ありきたりの実験により決定することができる。この試験では、組成物を20〜25℃で24時間にわたって保管した後に相分離、沈殿又は凝集が実質的に表れず、或いは、好ましい実施態様では、上記の温度範囲よりも広い温度範囲でより長期間にわたって保管した後に相分離、沈殿又は凝集が実質的に表れない。典型的には、全体としての組成物中における全界面活性剤の総濃度は、約1重量%〜約30重量%であり、なお対イオンが存在している場合には、その対イオンの重量を除く。
【0031】
本発明はまた、i)殺虫剤の終濃度が約0.01%〜約10%の活性成分(a.i.)となるように、水などの適切な担体中の本発明の殺虫濃縮物を希釈すること、により得られる殺虫組成物にも関する。
【0032】
本発明はまた、害虫の防除のための方法にも関する。この方法は、i)殺虫剤の終濃度が約0.01%〜約10%の活性成分(a.i.)となるように、水などの適切な担体中の本発明の殺虫濃縮物を希釈すること、及びii)作物、それらの種子又は苗木又は作物領域などの所望の領域を、その組成物を用いて処理すること、により殺虫組成物を形成することを含んで成る。
【0033】
本発明はまた、腐食抑制のための水性殺虫組成物中のイオン性硝酸塩添加物の使用にも関する。
【0034】
本発明の組成物は、例えば、発芽前散布、発芽後散布及び種子ドレッシングなどの農業において慣用的に用いられる全ての使用方法に対して適している。
【0035】
本発明の組成物は、特に、穀草類、セイヨウアブラナ、甜菜、サトウキビ、プランテーション作物、コメ、トウモロコシ及びダイズなどの有用植物の作物中の害虫を防除するのに適している。「作物」には、育種又は遺伝子操作の慣用的方法の結果、害虫及び除草剤又は除草剤のクラスを含む殺虫剤に対する耐性を有した作物も含むことが理解される。本発明の組成物において使用される成分は、当業者に知られた様々な方法、様々な濃度で使用することができる。殺虫組成物が使用される程度は、防除される害虫の具体的種類、必要とされる防除の程度、及びタイミング及び使用方法に依存するだろう。
【0036】
作物領域は、栽培植物が既に栽培されている又は栽培植物の種子が播種された土地の領域であり、そして栽培植物の栽培が意図されている土地の領域でもある。
【0037】
補助除草剤、殺菌剤、殺虫剤、ダニ駆除剤及び線虫駆除剤などの他の活性成分は、乳化可能な濃縮物中に存在することができ、又は乳化可能な濃縮物と共にタンク−ミックスパートナー(tank−mix partner)として加えることができる。
【0038】
適切なチキソトロープ添加剤は、製剤に対して擬似塑性流動性(すなわち、休止状態において高い粘性、撹拌された状態において低い粘性)を与える化合物である。適切な化合物の例としては、キサンタンガム(KelcoによるKelzan(登録商標)又はRhone PoulencによるRhodopol(登録商標)23)などの多糖類が挙げられる。
【0039】
適切な消泡剤としては、例えば、シリコンエマルジョン、長鎖アルコール、脂肪酸、有機フッ素化合物及びこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
下記の実施例では、本発明の更なるいくつかの側面を例示するが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書及び特許請求の範囲を通して特段の特定がない場合は、温度は摂氏温度で与えられ、パーセンテージは重量による。
【実施例】
【0041】
実施例1
メソトリオン銅懸濁濃縮物の試験材料の調製
試験材料は下記の組成に従って調製する:
【表1】

【0042】
水、酢酸及び水酸化銅を混合する。メソトリオンを加え、その後界面活性剤、消泡剤及びチキソトロープ剤を加え、均一になるまで混合する。懸濁された固体の粒径が10ミクロン未満になるまで挽く。得られた混合物はおよそ3.0のpHを有する。
【0043】
実施例2
腐食抑制剤添加物の候補に関する試験
抑制剤を含まないコントロールサンプルとともに、一連の17個の候補の腐食抑制材料を試験するために、下記の手順が用いられた。
16オンス(454g)のサンプルジャーに量り取り、十分に混合する:
1)実施例1から得た325グラムのメソトリオン銅懸濁濃縮物、
2)15グラムのキサンタンガムチキソトロープ(thixitropic)剤/水混合物(2%の濃度)、及び
3)10グラムの候補の腐食抑制材料
【0044】
2つの計量済みの304ステンレススチール腐食クーポン(1方は溶接部を有し、他方は溶接部を有しない)を液体の中に浸し、蓋を閉め、封をし、そして50℃に保ったオーブン中のジャーに置く。50℃での4週間の保管の後、液体からクーポンを取り除き、石鹸と水の中で堅い歯ブラシを用いて洗い、アセトンですすぎ、そして乾燥させた。クーポンの重さを量り、腐食の程度を判断するために目視検査をする。
【0045】
腐食抑制試験の結果を、下記の表1において示す。
【表2】

【0046】
溶接されたクーポン及び平らなクーポン両方の重量の減少並びに激しい錆の存在が見られた目視検査により示唆されるように、腐食抑制剤が存在しないコントロールサンプル(#1)は、304ステンレススチールクーポンの激しい腐食を示した。候補の抑制剤の多くは、実際腐食は増大したが、他のいくつかは緩やかな腐食抑制を示した。2つのサンプル(#6、#7)は重量の増加を示したが、おそらくこれはクーポン上の銅の被覆が原因であろう。しかし、両方のクーポンに対する重量の減少が非常に少ないこと、及び目視検査において錆又は他の残留物の存在が見られないことからも明らかなように、本発明のアンモニウム硝酸塩サンプル(#18)は、コントロールに対して腐食の劇的な減少を示した。
【0047】
本発明のほんのわずかの典型的実施態様を上記で詳細に説明したが、当業者は、本発明の新規の教示及び利点から大きく逸脱することなく、典型的実施態様において多くの改良が可能であるであることを、容易に理解するだろう。従って、下記の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲内に、全てのこれらの改良が含まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 2〜85重量%の水
b) 5〜90重量%の少なくとも1つの殺虫剤
c) 金属表面の腐食を減少させるのに有効な量のイオン性硝酸塩添加物
d) 任意に、他の製剤助剤
を含んで成り、成分c)対成分b)の比率が、0.3:1以下の殺虫剤濃縮物。
【請求項2】
前記組成物のpHが6以下である、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項3】
前記殺虫剤が塩又は金属キレートの形態である、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項4】
塩の形態での少なくとも1つの製剤助剤を含んで成る、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項5】
塩の形態での前記製剤助剤が、少なくとも1つのアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩化物を含んで成る、請求項4に記載の濃縮物。
【請求項6】
前記非イオン性硝酸塩がアンモニウム硝酸塩を含んで成る、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項7】
前記殺虫剤が、メソトリオン又はその農業上許容される塩若しくは金属キレートを含んで成る、請求項1に記載の濃縮物。
【請求項8】
前記殺虫剤が、メソトリオンの銅又は亜鉛キレートを含んで成る、請求項7に記載の濃縮物。
【請求項9】
請求項1に記載の濃縮物を適切な量の担体に希釈することにより得られる殺虫組成物。
【請求項10】
前記担体が水である、請求項9に記載の殺虫組成物。
【請求項11】
除草剤、殺菌剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、及び線虫駆除剤から成る群から選択される少なくとも1つのメンバーを更に含んで成る、請求項9に記載の殺虫組成物。
【請求項12】
有用植物の作物中の害虫を選択的に防除するための方法であって、請求項9に記載の殺虫組成物を用いて、有用植物、それらの種子又は苗木又はそれらの作物領域を処理することを含んで成る前記方法。
【請求項13】
水性殺虫製剤において腐食を抑制するためのイオン性硝酸塩の使用。

【公表番号】特表2007−513156(P2007−513156A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542616(P2006−542616)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/038945
【国際公開番号】WO2005/060492
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】