説明

水性毛髪洗浄剤

【課題】濡れた毛髪の乾燥過程において、毛髪を1本1本ばらけ易くし、毛髪の根元を立ち上げ、乾燥後の毛髪にボリューム感が得られる水性毛髪洗浄剤の提供。
【解決手段】次の成分(A)〜(D)を含む水性毛髪洗浄剤。(A)アニオン性界面活性剤、(B)カチオン化ガラクトマンナン、(C)弾性固体粒子、(D)特定の構造を有する単量体(a1)、(a2)、(a3)を含有するモノマー混合物を共重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体。単量体(a1):式(I)等で表される親水性ノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種


単量体(a2):特定の一般式で表されるカチオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種(a3):2個以上の反応性不飽和基を有する架橋性ビニル単量体

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性毛髪洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
服装やメイクはもちろん、髪の印象は非常に大切である。普段の生活の中で、髪がつぶれて思うようなヘアスタイルに決まらないことは、印象を低下させるため不満点の1つである。したがって、ボリューム感のある毛髪が求められている。しかし、毛髪は、年齢を重ねるとともにボリュームが低下してしまうため、これを改善するニーズが非常に高まっている。
【0003】
一方、水性毛髪洗浄剤には、毛髪への様々な効果が期待されている。水性毛髪洗浄剤の主界面活性剤の一つとして、従来からアニオン界面活性剤が用いられている。例えば、特許文献1には、毛髪の乾燥後のさらさら感、コンディショニング効果を高める為に、アニオン界面活性剤と水不溶性シリコーンエラストマー粉体を用いる技術が開示されている。また、例えば、特許文献2、3には、乾燥後の感触、すすぎ時の感触を高める為に、アニオン界面活性剤と特定のカチオン化ポリマーを用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−203932号公報
【特許文献2】特開2000−144184号公報
【特許文献3】特開2009−235059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の水性毛髪洗浄剤では、濡れた毛髪の乾燥過程において、毛髪が頭皮にはりついたり、毛髪同士がくっつきあうことで毛髪が束になりやすく、乾燥後の毛髪にボリューム感を付与できるものではなかった。
【0006】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、濡れた毛髪の乾燥過程において、毛髪を1本1本ばらけ易くし、毛髪の根元を立ち上げることにより、乾燥後の毛髪にボリューム感が得られる水性毛髪洗浄剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、アニオン性界面活性剤、カチオン化ガラクトマンナン及び特定のカチオン性基含有共重合体を組み合わせて用いることで、弾性固体粒子を毛髪表面に残留させやすくして、上記課題を解決できる水性毛髪洗浄剤が得られることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明によれば、
次の成分(A)〜(D):
(A)アニオン性界面活性剤
(B)カチオン化ガラクトマンナン
(C)弾性固体粒子
(D)次の単量体(a1)、(a2)及び(a3)を含有するモノマー混合物を共重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体、を含む水性毛髪洗浄剤が提供される。
単量体(a1):一般式(I)又は(II)で表される親水性ノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種
【0009】
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【0010】
【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、A及びAは同一又は異なって、−(CH−(nは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH−基を示す。)
単量体(a2):一般式(III)及び(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量
体の少なくとも1種
【0011】
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、−CH−又は−O−CHCH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH−のときは炭素数0〜3)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基を示す。)
【0012】
【化4】

(式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R及びR10は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは酸の共役塩基を示す。)
単量体(a3):2個以上の反応性不飽和基を有する架橋性ビニル単量体
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、濡れた毛髪の乾燥過程において、毛髪を1本1本ばらけ易くし、毛髪の根元を立ち上げることにより、乾燥後の毛髪にボリューム感が得られる水性毛髪洗浄剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】モデル毛束の断面を模式的に示す断面図である。
【図2】立ち上がり量の測定方法を説明するための模式図である。
【図3】立ち上がり量の測定方法を説明するための模式図である。
【図4】立ち上がり量の測定方法を説明するための模式図である。
【図5】コアセルべーションの観察結果を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の水性毛髪洗浄剤について説明する。
【0016】
(A)アニオン性界面活性剤
成分(A)としては、硫酸系、スルホン酸系、カルボン酸系のものが使用できる。例えばアルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩が好ましく、更には次の一般式(1)又は(2)で表されるものが好ましい。
【0017】
11O(CHCHO)SOM (1)
11OSOM (2)
【0018】
(式(1)又は(2)中、R11は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸由来のカチオンを示し、mは質量平均で1〜5の数を示す。)
【0019】
この中でも、すばやい泡立ちと良好な泡の感触を両立する観点から、一般式(1)中のR11が炭素数12〜14のアルキル基であり、mが質量平均で1の数であることが好ましく、さらにMがアンモニウム又はナトリウムであるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0020】
さらに、一般式(1)と一般式(2)で表されるアニオン性界面活性剤は、組み合わせて使用することで、泡立ちがより早く、泡質がよりクリーミーになる。
【0021】
成分(A)の含有量は、水性毛髪洗浄剤の粘度の観点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、さらには8〜20質量%が好ましく、特に9〜15質量%が好ましい。
【0022】
(B)カチオン化ガラクトマンナン
成分(B)としては、マンノースを構成単位とする主鎖に、ガラクトースを構成単位とした側鎖が結合した高分子多糖類に、第4級窒素含有基を導入した水溶性カチオン化ポリマーが挙げられる。ガラクトマンナンは、たとえばマメ科植物の種子の胚乳から得られる。マンノースとガラクトースの組成比により異なる物性を示し、ガラクトースとマンノースの比が1:1〜1:5となるものが好ましい。より具体的には、ガラクトースとマンノースの比が1:1のものがフェヌグリークガム、1:2のものがグアーガム、1:3のものがタラガム、1:4のものがローカストビーンガム、1:5のものがカッシアガムである。市販品として、カチオン化フェヌグリークガムとしてはカチナールCF−100(東邦化学工業社)が、カチオン化グアーガムとしてはジャガーC−13S、ジャガーC−17(ローディア社)が、カチオン化タラガムとしてはカチナールCT−100(東邦化学工業社)が、カチオン化ローカストビーンガムとしてはカチナールCLB−100(東邦化学工業社)が、カチオン化カッシアガムとしてはカッシア(Cassia)EX−906(ノベオン社)などがある。この中でも、特に成分(C)を毛髪に残留させ易くしつつ、毛髪の根元を立ち上げる効果、乾燥後の毛髪にボリューム感を付与する観点から、カチオン化グアーガムが好ましい。
【0023】
成分(B)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。水性毛髪洗浄剤中の成分(B)の含有量は、成分(C)を毛髪に残留させ易くしつつ、泡立ち、すすぎ時の滑らかさ、乾燥後の滑らかさを得る観点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中で0.02〜3質量%であることが好ましく、0.04〜1質量%がより好ましく、乾燥後のさらさら感を得る観点0.1〜0.6質量%が更に好ましい。
【0024】
本発明の水性毛髪洗浄剤において、毛髪への成分(C)の残留性、ボリュームアップ効果の観点から、成分(B)と成分(C)との質量比が(B)/(C)=0.1〜12.5であることが好ましく、特に1〜7がより好ましい。また、成分(B)を配合することにより、成分(C)を毛髪に残留させ易くなるため、成分(C)の配合量を少なくすることができる。
【0025】
(C)弾性固体粒子
成分(C)としては、ゴム弾性を有し、架橋構造を有するものが好ましい。より具体的には、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン及びα,ω−ジビニルジメチルポリシロキサンの1種又は2種以上を重合又は共重合させて得られる、メチルポリシロキサン、その誘導体等が挙げられる。このメチルポリシロキサンの誘導体としては、アミノ変性メチルポリシロキサン、フェニル変性メチルポリシロキサン、エポキシ変性メチルポリシロキサン等が挙げられる。弾性固体粒子としては、特に水不溶性シリコーンエラストマー粉体が好ましい。ここで、ゴム弾性とは、外部からの応力により変形し、応力を取り除く元の状態に戻る性質を意味し、高分子鎖の収縮により変形するものをいう。
【0026】
また、水不溶性シリコーンエラストマー粉体は、上記のようなメチルポリシロキサン又はその誘導体を主成分とし、これと水不溶性高分子粉体との複合粉体であってもよく、更にメチルポリシロキサン又はその誘導体を水不溶性高分子で通常の方法により被覆したものであってもよい(以下、これらをシリコーンエラストマー複合粉体という場合がある)。ここで、水不溶性高分子としては、いわゆるポリメチルシルセスキオキサンであるシリコーン樹脂や非晶質二酸化ケイ素、また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステルの共重合体又はスチレン・ジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。
【0027】
水不溶性シリコーンエラストマー粉体は、平均粒子径が0.01〜100μm、特に0.1〜30μmであるのが好ましく、なかでも1〜10μmであるのが好ましい。また、粒子形状は球状、楕円状、紡錘状等のいずれでもよいが、特に球状であるのが好ましく、粒子の長径/短径の比が2以下、特に1.3以下であるのが好ましい。
【0028】
また、水不溶性シリコーンエラストマー粉体は、真比重が0.9〜1.2、特に0.9〜1.1であるのが好ましい。更に水不溶性シリコーンエラストマー粉体は、JIS A法に従って測定したゴム硬度が5〜80、より好ましくは10〜70、特に20〜50であるのが好ましい。
【0029】
水不溶性シリコーンエラストマー粉体は、粉体のままで使用することができるが、安定性向上や操作の簡便性などの目的で、粉体が分散されている界面活性剤含有エマルジョンであるものを使用することもできる。また、水不溶性シリコーンエラストマー粉体としては、KMP−597、X−52−1139G(以上、信越化学工業社製)、DC TORAY シリコーン BY29−119(ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー)、トレフィルE−500、E−501(以上、東レ・ダウコーニング社製)等の市販品を使用することができる。
【0030】
成分(C)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成分(C)の含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中に、ぬれた髪に対する滑らかさ、乾燥後のさらさら感とコンディショニング効果の持続性の観点から、0.01重量%以上が好ましく、0.02重量%以上がより好ましい。また、毛髪への効果的な残留性と生産性の観点から、5重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましい。
【0031】
(D)次の単量体(a1)、(a2)及び(a3)を含有するモノマー混合物を共重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体
【0032】
単量体(a1):一般式(I)又は(II)で表される親水性ノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種
【0033】
【化5】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【0034】
【化6】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、A及びAは同一又は異なって、−(CH−(nは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH−基を示す。)
【0035】
単量体(a2):一般式(III)及び(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種
【0036】
【化7】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、−CH−又は−O−CHCH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH−のときは炭素数0〜3)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基を示す。)
【0037】
【化8】

(式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R及びR10は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは酸の共役塩基を示す。)
【0038】
単量体(a3):2個以上の反応性不飽和基を有する架橋性ビニル単量体
【0039】
<(a1)親水性ノニオン性基含有ビニル単量体>
一般式(I)で表される単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。一般式(II)で表されるモノマーとしては、N−(メタ)アクロイルモルホリン等が挙げられる。
【0040】
<(a2)カチオン性基含有ビニル単量体>
上記一般式(III)で表される化合物の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミドを酸で中和した酸中和物あるいは4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩が挙げられる。上記一般式(IV)で表される化合物の具体例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル型4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0041】
上記の酸中和物を得るための好ましい酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、スルファミン酸、トルエンスルホン酸、乳酸、ピロリドン−2−カルボン酸、コハク酸、プロピオン酸、グリコール酸等の総炭素数1〜22の有機酸等が挙げられる。上記4級アンモニウム塩を得るための好ましい4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等の炭素数1〜8のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の一般的なアルキル化剤が挙げられる。
【0042】
上記一般式(III)又は(IV)で表される化合物の中で特に好ましいものとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを前記の4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩、あるいはジメチルジアリルアンモニウムクロライドが挙げられる。ここで酸中和物モノマーは、系のpH等により中和した酸の解離が起こり、ポリマー構造が変化するため、粘度の安定性が低いという欠点を有する。この点からも4級アンモニウム塩型モノマーがより好ましい。
【0043】
<(a3)架橋性ビニル単量体>
架橋性ビニル単量体として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;N−メチルアリルアクリルアミド、N−ビニルアクリルアミド、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスアクリルアミド酢酸等のアクリルアミド類;ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルエチレン尿素等のジビニル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルアンモニウム塩、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、分子中に少なくとも2個のアリルエーテル単位を有するスクローゼのアリルエーテル化体等のポリアリル化合物;ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が用いられる。
【0044】
これらの架橋性モノマーの中では、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルが好ましい。
【0045】
<その他のビニル単量体>
カチオン性基含有共重合体は、必須構成単位である前記の3種類のビニル単量体のほかに、これらと共重合が可能なその他のビニル単量体を構成成分とすることができる。その他のビニル単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、キシリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシ(メタ)アクリレート、2−フェノキシ(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0046】
該その他のビニル単量体はカチオン性基含有共重合体を構成する全モノマー中、30重量%以下で用いるのが好ましく、特に15重量%以下で用いるのが好ましい。
【0047】
<カチオン性基含有共重合体>
カチオン性基含有共重合体を形成するモノマーである親水性ノニオン性基含有ビニル単量体(a1)とカチオン性基含有ビニル単量体(a2)との好ましい配合比率は、(a1)/(a2)のモル比で、2/98〜98/2であり、さらに好ましくは40/60〜97/3である。上記モル比が大きい場合はチキソトロピー性の発現が、モル比が小さい場合は低シェアレート時の粘度保持が夫々容易となるが、両特性発現には上記範囲内である方が好ましい。
【0048】
架橋性ビニル単量体(a3)の割合は、単量体全量に対して0.002〜5重量%が好ましく、0.002重量%以上0.1重量%未満が特に好ましい。単量体(a3)の割合が0.002重量%以上であれば、カチオン性基含有共重合体から形成されるハイドロゲルの粘度が十分であり、また5重量%以下であれば、ハイドロゲルの感触は柔らかく、すべりの良いものとなる。
【0049】
成分(D)の好ましい一態様として、下記式(V)で表されるN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体が挙げられる。
【0050】
【化9】

(式中、モル比でx/y=1/9〜5/5、(x+y+z)/z=1/0.1〜1/0.002である。)
【0051】
市販品としては、例えば、ソフケアKG−301W(花王株式会社製)やソフケアKG−101W−E(花王株式会社製)が挙げられる。
【0052】
成分(D)の含有量は、乾燥後の毛髪にボリューム感を付与する観点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.01〜3質量%が好ましく、特に0.03〜1.8質量%がより好ましく、特に0.05〜1質量%がさらに好ましい。
【0053】
本発明の水性毛髪洗浄剤において、毛髪の根元を立ち上げる効果、乾燥後の毛髪にボリューム感の付与、乾燥後の毛束のなりにくさの観点から、成分(D)と成分(B)との質量比が(D)/(B)=0.1〜10であることが好ましく、特に0.3〜5が好ましく、中でも0.3〜3が好ましい。
【0054】
本発明の水性毛髪洗浄剤において、乾燥後の毛髪のふんわり感の観点から、成分(B)と成分(C)との質量比が(B)/(C)=0.1〜12.5、かつ、成分(D)と成分(B)との質量比が(D)/(B)=0.1〜10の組み合わせであることが好ましい。
【0055】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、水を含む。水は、精製水を使用することが好ましい。水の含有量は、特に限定されず、使用する目的に応じて、適宜調整して用いることができるが、特に、水の含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤の35質量%以上、99質量%以下が好ましく、中でも、45質量%以上、95質量%以下がより好ましい。
【0056】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、成分(A)〜(D)との組み合わせにより、濡れた毛髪の乾燥過程において、毛髪を1本1本ばらけやすくし、毛髪の根元を立ち上げることにより、乾燥後の毛髪にボリューム感を付与できるものである。この理由は必ずしも明らかではないが、成分(A)、成分(B)、成分(D)を配合することにより、水性毛髪洗浄剤のすすぎ時にこれらの成分が成分(C)とともにコアセルベーションし、さらに、すぐに沈降することなく、浮遊しやすい複合体が毛髪表面に付着する結果、すすぎ後においても成分(C)が毛髪表面に残留し易くなると推察される。すなわち、毛髪表面にコアセルベートとともに成分(C)が残留しやすくなり、乾燥後の毛髪の根元を立ち上がらせることができると考えられる。さらに、本発明の水性毛髪洗浄剤は、成分(A)〜(D)を組み合わせることにより、乾燥後の毛髪にさらさら感を付与することができる。
【0057】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、上記以外に必要に応じて、他の成分を含んでもよい。
【0058】
(脂肪酸グリコールエステル)
脂肪酸グリコールエステルは、下記一般式(3)で表される。
12COO(CHCHO)A (3)
(式中、R12は炭素数11〜21のアルキル基又はアルケニル基を示し、Aは水素原子またはCOR13(R13は炭素数11〜21のアルキル基又はアルケニル基)を示し、nは1〜3の数を示す。)
【0059】
この中でも、乾燥後の毛髪に滑らかさを付与する観点から、一般式(3)中のR12が炭素数13〜19、AがCOR13、R13が炭素数13〜19が好ましく、R12が炭素数16〜18、AがCOR13、R13が炭素数16〜18がより好ましい。より具体的には、ジステアリン酸エチレングリコールが挙げられる。
【0060】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、更に洗浄性能を向上させるため、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤を含有させてもよい。また、乾燥後の仕上がり向上のため、更に、カチオン界面活性剤、カチオン化ポリマーを更に配合することができる。
【0061】
(非イオン界面活性剤)
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、モノアルキル又はモノアルケニルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0062】
これらのうち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(C〜C20)脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、アルキルグリコシドが好ましい。
【0063】
また、脂肪酸アルカノールアミドも好適であって、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましい。また、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、例えばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0064】
モノアルキルグリセリルエーテル又はモノアルケニルグリセリルエーテルも好適であって、アルキル基又はアルケニル基としては、炭素数4〜10、特に炭素数8〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。具体的には、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基等が挙げられ、特に2−エチルヘキシル基、イソデシル基、n−オクチル基が好ましい。
【0065】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン系界面活性剤がより好ましく、アルキルヒドロキシスルホベタインが特に好ましい。アルキルヒドロキシスルホベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリルヒドロキシスルホベタイン等が好ましい。
【0066】
これら非イオン性又は両性界面活性剤は、水性毛髪洗浄剤中に1種または2種以上を併用することもできるが、本発明の水性毛髪洗浄剤を水性液状洗浄剤の形態とする場合には、成分(A)とともに、モノアルキルグリセリルエーテル又はモノアルケニルグリセリルエーテル、アルキルヒドロキシスルホベタインを用いるのが、起泡力がより良好となるだけでなく、泡立ち時のすべり感、乾燥後の良好な指通り性が得られるので特に好ましい。
【0067】
非イオン性又は両性界面活性剤の含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.1〜10質量%が良好な増泡効果が得られるので好ましい。以上の点から、更には0.5〜8質量%、特に1〜6質量%の範囲が好ましい。
【0068】
(カチオン化ポリマー)
次に、カチオン化ポリマーとしては、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化キサンタンガム、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社、カルタレチン)、特開昭53−139734号公報、特開昭60−36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられる。
【0069】
これらのカチオン化ポリマーは、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜3質量%が好ましく、特に0.05〜2質量%が好ましい。
【0070】
また、本発明の水性毛髪洗浄剤には、他のコンディショニング剤として、油剤を含有することができる。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油、ヒマワリ油、椿油等の油脂類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2−エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル油;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸;その他イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、高級アルコール及び油脂類が好ましく、特にミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヒマワリ油、椿油が好ましい。これらの油剤は、1種単独で又は2種以上を併用することもでき、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.1〜10質量%が好ましく、更には0.2〜5質量%、特に0.3〜2質量%が好ましい。
【0071】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、粘度調整剤を含有させてもよい。粘度調整剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、粘土鉱物、塩類(塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、クエン酸ナトリウム等)などが挙げられ、中でもジプロピレングリコール、ベンジルアルコール、エタノール、ポリプロピレングリコール、塩化ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムが好ましい。粘度調整剤は2種以上を併用してもよく、またその使用量は、泡量、泡質の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜5質量%が好ましく、更には0.05〜4質量%、特に0.1〜3質量%が好ましい。
【0072】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、更に、水性毛髪洗浄剤に一般に使用されるその他の成分を、目的に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば抗フケ剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;グリシルグリシン;ラノリン酸;グリセリン、ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質又はその加水分解物、蜂蜜、ローヤルゼリー、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、ハス花抽出物、甘草抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;酸化チタン等のパール化剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤が挙げられる。
【0073】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、毛髪のツヤやまとまり、乾燥後の髪のボリュームアップを向上する観点より、毛髪に適用する際のpH(水で20質量倍希釈、25℃)が2〜6であるのが好ましく、更にはpH3〜5、特にpH3〜4.5であるのが好ましい。pH調整剤としては、有機酸、特にα−ヒドロキシ酸を用いることが好ましく、特に、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸が好ましい。これら有機酸は2種以上を併用してもよく、またその使用量は、泡質、洗髪時の毛髪柔軟性の向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜5質量%が好ましく、更には0.1〜3質量%、特に0.3〜2質量%が好ましい。また、他のpH調整剤として、これら有機酸と合わせ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム等の塩基を用いてもよい。
【0074】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、水溶液、エタノール溶液、エマルジョン、サスペンション、ゲル、液晶、固形、エアゾール等の所望の剤型にすることができ、溶剤として水又は低級アルコール、特に水を用いた液状のものが好ましい。より具体的には、例えば、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアクリーム、コンディショニングムース、ヘアムース、ヘアスプレー、シャンプー、リーブオントリートメント等に適用できる。特にシャンプー等の洗い流して使用する剤型として好適である。
【0075】
本発明の水性毛髪洗浄剤を使用することで、毛髪の根元を立ち上がらせて、毛髪にボリュームを付与するためのトリートメント方法を実現することができる。
【0076】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0077】
次に、本発明を実施例及び比較例によって更に具体的かつ詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されない。
【0078】
(実施例及び比較例)
表1に示す水性毛髪洗浄剤を調製し、以下の評価方法により評価した。その結果を表1に示す。なお、pHは水で20質量倍希釈した際の25℃での値である。
【0079】
<評価方法>
(1)濡れた状態での髪のばらけやすさ
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの水性毛髪洗浄剤を用いて約30秒間十分に泡立てた。その際、髪のばらけやすさを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その積算値を求めた。
5:ばらけやすい
4:ややばらけやすい
3:普通と感じる
2:あまりばらけない
1:ばらけない
【0080】
(2)乾燥後のさらさら感
上記(1)と同条件で処理をした後、人毛束をドライヤーで乾燥させ、十分に乾燥した後の髪のさらさら感を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その積算値を求めた。
5:さらさらする
4:ややさらさらする
3:普通と感じる
2:ややあまりさらさらしない
1:さらさらしない
【0081】
(3)乾燥後の毛束のなりにくさ
上記(1)と同条件で処理をした後、人毛束を乾燥した後の毛束のなりにくさを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その積算値を求めた。
5:毛束になりにくい
4:あまり毛束になりにくい
3:普通と感じる
2:やや毛束になる
1:毛束になる
【0082】
(4)乾燥後のふんわり感
上記(1)と同条件で処理をした後、人毛束を乾燥した後のふんわり感を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その積算値を求めた。
5:ふんわり感がある
4:ややふんわり感がある
3:普通と感じる
2:あまりふんわり感がない
1:ふんわり感がない
【0083】
(5)乾燥後のボリュームアップ効果
上記(1)と同条件で処理をした後、乾燥した後のボリュームアップ効果を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その積算値を求めた。
5:ボリュームアップ効果あり
4:ややボリュームアップ効果あり
3:普通と感じる
2:あまりボリュームアップ効果なし
1:ボリュームアップ効果なし
【0084】
(6)乾燥後の毛髪の根元の立ち上がり
以下のようにして、毛髪の立ち上がり評価を行った。
<モデル毛束の作成>
(材料)
・サンプル毛髪:Europian Blond毛21本(長さ22〜23cm、平均径78.2μm(n=15;レーザー外径測定装置にて測定)DEMEO BROTHERS inc.より購入)
・シリコンマイクロチューブ:内径×外径(mm)0.4×0.5 長さ1.5cm×7本(品番1−8194−04 アズワン株式会社)
・鋼線(又はステンレス線):直径1.5mm 長さ2.0cm×7本
・布粘着テープ:1cm×3cm(NICHIBAN社 No.102N)
・ビニールテープ:0.6cm×1.0cm(ヤマト株式会社 NO200−19−5)
・ナイロンテグス:直径0.18mm 適量 (ハリスライカ本舗社)
【0085】
図1は、モデル毛束10の断面を模式的に示す図である。上記(材料)を用いて、図1に示すようなモデル毛束10を作成した。
まず、1.5cmの長さに切断した直径0.5mm(内径0.4mm)のシリコンチューブに根元方向を揃えたサンプル毛髪3本を根元部分から通し端をシリコンチューブごとにこま結びで止め、シリコンチューブ1を作成した。同様にして、シリコンチューブ1を7組作成し、そのうち1組のシリコンチューブ1についてビニールテープ2を巻き付けて太くし、芯部とした。次に、長さ2cm、直径1.5mmの鋼線3(またはステンレス線)を用意し、残り6組のシリコンチューブ1を6本の鋼線3の間に配置し、芯部を中心にと鋼線3及びシリコンチューブ1を束ね、布粘着テープ4を用いて全体を巻き付けた。さらに、布粘着テープ4の上からテグス5(図2参照)を巻き締めてモデル毛束10を作成した。
【0086】
<評価方法>
図2〜4のモデル毛束10を用いて、毛髪の立ち上がり量の測定方法について説明する。
毛髪化粧料をイオン交換水を用いて20倍希釈した水溶液をサンプル水溶液とした。
図2に示すようにして、固定具6を用いて、モデル毛束10を、サンプル毛髪が上向きになるように固定し、サンプル水溶液5mlをサンプル毛髪の毛束の屈曲部頂点付近に滴下し、その後イオン交換水5mlにて同様の滴下法で十分すすぎ、室温(25℃)、50(±10)RH%条件下10分間静置により十分自然乾燥させた。乾燥前後の毛束の屈曲部をデジカメにて撮影し、変化を記録した。
図3に示すように、すすぎ直後の毛束の屈曲部の高さの最大値を(h1)とし、図4に示すように、乾燥後の毛束の屈曲部の高さの最大値を高さ(h2)として、立ち上がり量(Δh=h2−h1)とした。
【0087】
表1より、実施例の組成物では、濡れた状態での毛髪が1本1本ばらけ易く、乾燥後さらさらし、乾燥後の毛髪の根元を立ち上げることにより、乾燥後の毛髪にボリュームアップ効果に優れていたことが分かった。
【0088】
【表1】

【0089】
なお、表中の各成分の原料名、及び製造元はそれぞれ下記の通りである。
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム
(原料名)エマール 125A(25%) (製造元)花王株式会社
・カチオン化グアーガム
(原料名)ジャガー C−14SK (製造元)ローディア社
・カチオン化タラガム
(原料名)カチナール CTR−100 (製造元)東邦化学工業株式会社
・カチオン化ヒドロキシセルロース
(原料名)カチセロ M−80 (製造元)花王株式会社
・シリコーンエラストマーA
(原料名)シリコーンBY29−119 (製造元)東レ・ダウコーニング株式会社
・シリコーンエラストマーB
(原料名)RX−169 DCT (製造元)東レ・ダウコーニング株式会社
・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体
(原料名)ソフケア KG−101W−E (製造元)花王株式会社
・ラウリルヒドロキシスルホベタイン
(原料名)アンヒトール 20HD(30%) (製造元)花王株式会社
・イソデシルグリセリルエーテル
(原料名)ペネトール GE−ID (製造元)花王株式会社 プロピレンの3量体をオキソ法により転換したアルコール由来のもの
・ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル
(原料名)エマルゲン 306L (製造元)花王株式会社
・エチレングリコールジアルキレート
(原料名)パールコンセントレート SA−M2 (製造元)花王株式会社
・ジステアリン酸エチレングリコール
(原料名)ペグノール EDS−98K (製造元)東邦化学工業株式会社
・ポリプロピレングリコール
(原料名)アデカカーポール DL−80 (製造元)株式会社ADEKA
【0090】
(コアセルベートの観察実験)
上記実施例1、比較例1及び比較例5で得られた水性毛髪洗浄剤を用いて、コアセルベートの観察を行った。
【0091】
<評価方法>
まず、各ガラス瓶(容量:110ml、胴径×高さ(mm)51.5×95.5)に、上記実施例1、比較例1及び比較例5で得られた水性毛髪洗浄剤を10g加え、さらに水を90g加え、全量をそれぞれ100gとした。
次に、ペンシルミキサー(モーター回転数:無負荷7000rpm、モータートルク:8g/cm、モーター起動トルク:28g/cm、本体サイズ:φ20×172mm、シャフトサイズ:軸/φ3mm・先端/φ8mm・全長/115mm、シャフト材質:軸/ステンレス(SUS304フッ素樹脂塗装)、先端/PCTFE(フッ素樹脂))で、30秒攪拌し、そのまま放置し、50分静置した後の各ガラス瓶の中の状態を観察、撮影し、その結果を図5に示した。
【0092】
図5に示すように、各ガラス瓶の中に見える白色の粉体が、コアセルベートとそれに取り込まれたシリコーンエラストマーである。実施例1は、成分(A)〜(D)の複合体であり、比較例1は、成分(A)〜(C)の複合体、比較例5は、成分(A)、(C)、カチオン化ヒドロキシエチルセルロースの複合体である。図5より、実施例1では、比較例1、比較例5よりも嵩高く、白色粉体が沈降しにくい状態であることが観察された。これにより、実施例1の水性毛髪洗浄剤では、洗髪中もコアセルベートやシリコーンエラストマーが毛髪に付着しやすい状態になっているため、毛髪表面に残留しやすいと考えられる。
【符号の説明】
【0093】
1 シリコンチューブ
2 ビニールテープ
3 鋼線
4 布粘着テープ
5 テグス
6 固定具
10 モデル毛束


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D):
(A)アニオン性界面活性剤
(B)カチオン化ガラクトマンナン
(C)弾性固体粒子
(D)次の単量体(a1)、(a2)及び(a3)を含有するモノマー混合物を共重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体、を含む水性毛髪洗浄剤。
単量体(a1):一般式(I)又は(II)で表される親水性ノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基示す。)
【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、A及びAは同一又は異なって、−(CH−(nは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH−基を示す。)
単量体(a2):一般式(III)及び(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量
体の少なくとも1種
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRは同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、−CH−又は−O−CHCH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH−のときは炭素数0〜3)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基を示す。)
【化4】

(式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R及びR10は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは酸の共役塩基を示す。)
単量体(a3):2個以上の反応性不飽和基を有する架橋性ビニル単量体
【請求項2】
成分(C)の粒子径が0.01〜100μmである請求項1記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項3】
成分(D)は、下記式(V)で表されるN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体である請求項1または2に記載の水性毛髪洗浄剤。
【化5】

(式中、モル比でx/y=1/9〜5/5、(x+y+z)/z=1/0.1〜1/0.002である。)
【請求項4】
成分(C)が架橋構造を有するメチルポリシロキサンからなる請求項1乃至3いずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項5】
成分(B)/成分(C)の質量比が0.1〜12.5である請求項1乃至4いずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項6】
成分(D)/成分(B)の質量比が0.1〜10である請求項1乃至5いずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項7】
成分(C)を0.01〜5質量%含有する請求項1乃至6いずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項8】
毛髪の根元を立ち上がらせて毛髪にボリュームを付与するためのトリートメント方法であって、
請求項1乃至7いずれか一項に記載の水性毛髪洗浄剤を使用するトリートメント方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−140357(P2012−140357A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293097(P2010−293097)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】