説明

水性毛髪洗浄剤

【課題】皮脂等の汚れがある条件でも十分に泡立ち、洗浄力に優れ、泡立て時、すすぎ時に滑らか、かつ乾燥後に毛髪が滑らか、柔らかで、まとまりのある水性毛髪洗浄剤の提供。
【解決手段】(A)式(1)の硫酸塩型アニオン界面活性剤RO(CHCHO)SOM(1)(Rはアルキル基等、Mはアルカリ金属等を示し、nは0〜5)(B)式(2)のポリオキシプロピレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤RO(CHCH(CH)O)H(2)(Rはアルキル基等を示し、m0.5〜4)(C)モノアルキル又はアルケニルグリセリルエーテル型ノニオン界面活性剤(D)式(3)のアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤


(式(3)中、Rはアルキル基)を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性毛髪洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水性毛髪洗浄剤の場合、頭皮が皮脂で汚れていたり、スタイリング剤が毛髪に付着している場合、基本性能である泡立ちや泡質が低下し、充分な洗浄力を発揮することが困難であった。
【0003】
泡立ち良く、洗浄力の高い水性毛髪洗浄剤を得るためには、洗浄主剤として、毛髪及び頭皮と同電荷を有する強酸系アニオン界面活性剤を用いるのが好ましく、さらに、泡立ちや洗浄力を高めるためにノニオン界面活性剤や両性界面活性剤といった補助活性剤が一般的に配合される。この補助活性剤のうち、ノニオン界面活性剤としては脂肪酸モノエタノールアミド、両性界面活性剤としては脂肪酸アミドプロピルベタインが最も汎用的に水性毛髪洗浄剤に用いられるが、皮脂量が多い場合やスタイリング剤を使用している場合などは、泡立ちに乏しく、充分な洗浄力を発揮することが困難であった。
【0004】
そこで、洗浄剤の泡立ちを高めために、特許文献1〜3には、強酸系アニオン界面活性剤に、ノニオン界面活性剤としてモノアルキルグリセリルエーテルやポリオキシプロピレンオクチルエーテルを組み合わせて使用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−107096号公報
【特許文献2】特開2007−197420号公報
【特許文献3】特開2008−031468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に記載された洗浄剤を使用した場合でも、皮脂やスタイリング剤などが多い場合の泡立ち、洗浄力は充分ではなかった。
【0007】
本発明は、皮脂やスタイリング剤がある条件でも、充分に泡立ち、高い洗浄力を示す水性毛髪洗浄剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、アルキル硫酸塩またはアルキルエーテル硫酸塩の硫酸塩型アニオン界面活性剤を主洗浄成分とする水性毛髪洗浄剤において、補助活性剤として、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、モノアルキルグリセリルエーテル又はモノアルケニルグリセリルエーテル、アルキルヒドロキシスルホベタインを特定比率で混合することによって初めて、皮脂などが多い条件でも優れた泡立ちと洗浄力を有する水性毛髪洗浄剤が得られることを見出した。
【0009】
すなわち本発明によれば、次の成分(A)、(B)、(C)、(D):
(A)下記一般式(1)で表される硫酸塩型アニオン界面活性剤を1〜30質量%
O(CHCHO)SOM (1)
(上記一般式(1)中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、nは質量平均で0〜5の数を示す。)
(B)下記一般式(2)で表されるポリオキシプロピレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤を0.1〜10質量%、
O(CHCH(CH)O)H (2)
(上記一般式(2)中、Rは炭素数8〜10の直鎖または分岐アルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で0.5〜4の数を示す。)
(C)炭素数4〜12のアルキル基又はアルケニル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル又はモノアルケニルグリセリルエーテル型ノニオン界面活性剤を0.1〜5質量%
(D)下記構造式(3)で表されるアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤を0.1〜10質量%
【化1】

(上記構造式(3)中、Rは炭素数10〜14のアルキル基を示す。)
を含有し、成分(B)、(D)は、(B)/(D)の質量割合が3/2〜1/4である水性毛髪洗浄剤が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、皮脂などの汚れがある条件でも泡立ち、洗浄力に優れる水性毛髪洗浄剤が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D):
(A)下記一般式(1)で表される硫酸塩型アニオン界面活性剤を1〜30質量%
O(CHCHO)SOM (1)
(上記一般式(1)中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、nは質量平均で0〜5の数を示す。)
(B)下記一般式(2)で表されるポリオキシプロピレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤を0.1〜10質量%、
O(CHCH(CH)O)H (2)
(上記一般式(2)中、Rは炭素数8〜10の直鎖または分岐アルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で0.5〜4の数を示す。)
(C)炭素数4〜12のアルキル基又はアルケニル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル又はモノアルケニルグリセリルエーテル型ノニオン界面活性剤を0.1〜5質量%
(D)下記構造式(3)で表されるアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤を0.1〜10質量%
【化2】

(上記構造式(3)中、Rは炭素数10〜14のアルキル基を示す。)
を含有し、成分(B)、(D)は、(B)/(D)の質量割合が3/2〜1/4である水性毛髪洗浄剤である。
【0012】
はじめに、成分(A)について説明する。
本発明の水性毛髪洗浄剤において、成分(A)は、一般式(1)で表されるアルキル硫酸塩またはアルキルエーテル硫酸塩の硫酸塩型アニオン界面活性剤である。
【0013】
O(CHCHO)SOM (1)
(上記一般式(1)中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、nは質量平均で0〜5の数を示す。)
【0014】
この中でも特に、泡立ち(量)と高い洗浄力を有する観点から、上記一般式(1)中のRが炭素数12〜14のアルキル基、nが質量平均で1〜2の数を示し、Mがアンモニウム又はナトリウムであるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0015】
成分(A)は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよく、またその含有量は、泡立ち(量)、水性毛髪洗浄剤の粘度の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の1〜30質量%であり、好ましくは、5〜25質量%、更に好ましくは、8〜20質量%、特に9〜15質量%が好ましい。
【0016】
次に、成分(B)について説明する。
本発明の水性毛髪洗浄剤において、成分(B)は、一般式(2)で表されるポリオキシプロピレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤である。
【0017】
O(CHCH(CH)O)H (2)
(上記一般式(2)中、Rは炭素数8〜10の直鎖または分岐アルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で0.5〜4の数を示す。)
【0018】
この中でも特に、すばやい泡立ちとすすぎ時、乾燥後の滑らかさ、および原料としての異臭抑制の観点から、上記一般式(2)中のRが炭素数8のアルキル基、mが質量平均で2〜3の数を示す、ポリオキシプロピレンオクチルエーテルが好ましい。
【0019】
成分(B)は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよく、またその含有量は、泡立ち(量)、すすぎ時の滑らかさの点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.1〜10質量%であり、好ましくは、0.2〜5質量%、更に好ましくは、0.3〜2質量%、特に0.5〜1.5質量%が好ましい。
【0020】
次に、成分(C)について説明する。
本発明の水性毛髪洗浄剤において、成分(C)は、炭素数4〜12のアルキル基またはアルケニル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル又はモノアルケニルグリセリルエーテル型ノニオン界面活性剤である。
【0021】
この中でも特に、すばやい泡立ちと洗浄力の観点から、アルキル基又はアルケニル基としては、炭素数4〜10の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましく、特に炭素数8〜10の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。具体的には、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基等が挙げられる。なかでも、分岐のアルキル基が好ましく、特に2−エチルヘキシル基、イソデシル基が好ましい。
【0022】
成分(C)は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよく、またその含有量は、泡立ち、洗浄力の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.1〜5質量%であり、好ましくは、0.2〜3質量%、特に0.3〜1.5質量%が好ましい。
【0023】
次に、成分(D)について説明する。
本発明の水性毛髪洗浄剤において、成分(D)は、下記構造式(3)で表されるアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤である。
【0024】
【化3】

(上記構造式(3)中、Rは炭素数10〜14のアルキル基を示す。)
【0025】
この中でも特に、皮脂などの汚れがある条件での泡立ち、洗浄力、水性毛髪洗浄剤の粘度の観点から、上記構造式(3)中のRが炭素数12〜14のアルキル基が好ましい。
【0026】
成分(D)は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよく、またその含有量は、皮脂などの汚れがある条件での泡立ち、洗浄力、水性毛髪洗浄剤の粘度の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中の0.1〜10質量%であり、好ましくは、0.3〜5質量%、特に0.5〜3質量%が好ましい。
【0027】
一方、本発明に用いる両性界面活性剤である成分(D)のアルキルヒドロキシスルホベタインは、アニオン基が強酸系スルホン酸基であるため、pHが4以下の場合でも、アニオン基が解離しているため、pHの影響を受けずに両性界面活性剤としての性質を有し、pHによらずに皮脂汚れがある条件でも高い泡立ち、洗浄力を有することができる。
【0028】
また、さらに、皮脂などの汚れがある条件での泡立ち、洗浄力、および泡立て時、すすぎ時の滑らかさ、乾燥後のなめらかさ、やわらかさ、まとまりの観点から、成分(B)、(C)は、(B)/(C)の質量割合が3/1〜1/2であることが好ましく、特に2/1〜1/1であるのが好ましい。
【0029】
また、さらに、皮脂などの汚れがある条件での泡立ち、洗浄力、および泡立て時、すすぎ時の滑らかさ、乾燥後のなめらかさ、やわらかさ、まとまりの観点から、成分(B)、(D)は、(B)/(D)の質量割合が3/2〜1/4であり、特に、3/2〜1/3が好ましい。
【0030】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、上記成分(A)〜(D)を組み合わせて特定の比率で含有することによって、より高い泡立ち及び洗浄力を得ることができるとともに、泡立て時、すすぎ時に毛髪の摩擦を低減し滑らかであり、かつ、乾燥後にも滑らか、柔らかでまとまりのある毛髪が得られる。
【0031】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、乾燥後のなめらかさ、まとまりをより向上させるため、更に、(E)有機カルボン酸またはその塩を配合してもよい。
【0032】
有機カルボン酸としては、ジカルボン酸(ヒドロキシ基を有してもよい)及びヒドロキシモノカルボン酸であるのが好ましい。具体的には、ヒドロキシ基を有してもよいジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸等が、ヒドロキシモノカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、オキシ酪酸、グリセリン酸等が挙げられる。なかでも、グリコール酸、乳酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸が好ましい。特に、乳酸、リンゴ酸が好ましい。また、これらの有機カルボン酸の塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物との塩が挙げられる。
【0033】
有機カルボン酸又はその塩は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよく、またその含有量は、単にpHを調整する目的で使用される量よりも高く、乾燥後の毛髪になめらかさ、まとまりを与える点から、水性毛髪洗浄剤中に0.1〜5質量%が好ましく、更には0.2〜3質量%、特に0.5〜2質量%が好ましい。
【0034】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、上記有機カルボン酸の毛髪へのなめらかさ、まとまりを最大限に発揮させるという点から、水で20倍に希釈したときの25℃におけるpHが1〜5が好ましく、中でもpH2〜4.5が好ましく、特にpH3〜4が好ましい。
【0035】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、更に洗浄性能を向上させるため、成分(A)以外のアニオン界面活性剤、成分(B)、(C)以外の非イオン界面活性剤又は成分(D)以外の両性界面活性剤を含有させてもよい。
【0036】
成分(A)以外のアニオン界面活性剤としては、硫酸系、スルホン酸系、カルボン酸系のものが使用できる。例えばスルホコハク酸アルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、アルカンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩等が挙げられ、なかでもアルキルエーテルカルボン酸又はその塩は、低刺激性及びすすぎ時滑らかさの観点から好ましく、特に、炭素数12〜14のアルキル基を有するアルキルエーテルカルボン酸又はその塩が好ましい。
【0037】
成分(B)、(C)以外の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド類、アルキルグリコシド類等が挙げられる。
【0038】
これらのうち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン(C〜C20)脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラルリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、アルキルグリコシド類が泡立ち(泡量)の観点から好ましい。特に、炭素数12〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
【0039】
また、脂肪酸アルカノールアミド類も好適であって、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが泡立ち(泡量)の観点から好ましい。また、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、例えばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0040】
成分(D)以外の両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインが泡立ち(泡量)と粘度の観点より好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。ただし、成分(D)以外の両性界面活性剤を配合する場合、その配合量は、好ましくは、成分(D)の配合量以下、更に好ましくは、0.5質量%以下、特に、成分(D)に対して質量比で1/3以下が好ましい。
【0041】
(A)、(B)、(C)、(D)以外の界面活性剤は、水性毛髪洗浄剤中に1種または2種以上を併用することもできるが、本発明の水性毛髪洗浄剤を水性液状洗浄剤の形態とする場合には、成分(A)、(B)、(C)、(D)とともに、脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸アルカノールアミドを用いるのが、適度な粘度と、すすぎ時のなめらかな使用感が得られるので特に好ましい。
【0042】
これら(A)、(B)、(C)、(D)以外の界面活性剤の含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜10質量%が良好な増泡効果が得られ好ましい。以上の点から、更に0.1〜8質量%、中でも0.2〜4質量%、特に0.5〜1.5質量%の範囲が好ましい。
【0043】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、すすぎ時の指通り及び乾燥後の仕上がり向上のため、更に、カチオン界面活性剤、カチオン化ポリマーならびにシリコーン類を更に配合することができる。
【0044】
(カチオン界面活性剤)
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミン塩、アルコキシジメチルアミン塩、アルキルアミドジメチルアミン塩等が挙げられる。
【0045】
(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
11−N(Me) (4)
(上記一般式(4)中、R11は炭素数12〜22のアルキル基を示し、Meはメチル基を示し、Xはハロゲン(塩素又は臭素)を示す。)
具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0046】
(ii)アルコキシトリメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
12−O−R13−N(Me) (5)
(上記一般式(5)中、R12は炭素数12〜22のアルキル基を示し、R13はエチレン基もしくはプロピレン基を示し、Meはメチル基を示し、Xはハロゲン(塩素又は臭素)を示す。)
具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0047】
(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
14−N(Me) (6)
(上記一般式(6)中、R14は炭素数12〜22のアルキル基又はベンジル基を示し、Meはメチル基を示し、Xはハロゲン(塩素又は臭素)を示す。)
具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0048】
(iv)アルキルジメチルアミン塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
15−N(Me) (7)
(上記一般式(7)中、R15は炭素数12〜22のアルキル基を示し、Meはメチル基を示す。)
具体的には、ベヘニルジメチルアミンやステアリルジメチルアミンの有機酸塩が挙げられる。
【0049】
(v)アルコキシジメチルアミン塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
16−O−R17−N(Me) (8)
(上記一般式(8)中、R16は炭素数12〜22のアルキル基を示し、R17はエチレン基もしくはプロピレン基を示し、Meはメチル基を示す。)
【0050】
(vi)アルキルアミドジメチルアミン塩
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
18−C(=O)NH−R19−N(Me) (9)
(上記一般式(9)中、R18は炭素数11〜21のアルキル基を示し、R19はエチレン基もしくはプロピレン基を示し、Meはメチル基を示す。)
【0051】
上記(i)〜(vi)以外のカチオン界面活性剤としては、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム(アルカノイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムのエチル硫酸塩、アルカノイル基はラノリン由来)、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルトリエチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C14〜C20)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(C18〜C22)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソステアリン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソノナン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム及びアルキルトリメチルアンモニウムサッカリンなどが挙げられる。
【0052】
カチオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜10質量%が好ましく、更には0.05〜5質量%、特に0.1〜2質量%が好ましい。
【0053】
(カチオン化ポリマー)
次に、カチオン化ポリマーとしては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化フェヌグリークガム誘導体、カチオン化グアーガム誘導体、カチオン化タラガム誘導体、カチオン化ローカストビーンガム誘導体、カチオン化カシア誘導体、カチオン化キサンタンガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社,カルタレチン)、特開昭53−139734号公報、特開昭60−36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられ、なかでもカチオン化セルロース誘導体、カチオン化フェヌグリークガム誘導体、カチオン化グアーガム誘導体、カチオン化タラガム誘導体、カチオン化ローカストビーンガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体が好ましい。特にカチオン化セルロース誘導体、カチオン化グアーガム誘導体が好ましい。
【0054】
また、例えば、マーコート550(NALCO社,アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウム塩の共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−7)、ルビクァットFC370(BASF社,1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩の共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−16)、ガフクァット755N(ISP社,1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体;CTFA名ポリクォータニウム−11)、UcareポリマーJR及び同LRシリーズ(アマーコール社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;CTFA名ポリクォータニウム−10)、ポイズC−60H、ポイズC−80M、ポイズC−150L(花王社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;CTFA名ポリクォータニウム−10)、ジャガーシリーズ(ローディア社,トリメチルアンモニウム置換エポキシドとグアーガムとの反応物の塩)、カチナールCF−100(東邦化学工業社、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとフェヌグリークガムとの反応物の塩)、カチナールCTR−100(東邦化学工業社、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとタラガムとの反応物の塩)、カチナールCLB−100(東邦化学工業社、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとローカストビーンガムとの反応物の塩)等の市販品を用いることができる。
【0055】
これらのカチオン化ポリマーは、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜3質量%が好ましく、更には0.05〜2質量%、特に0.1〜1質量%が好ましい。
【0056】
(シリコーン類)
シリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
【0057】
(i)ジメチルポリシロキサン
例えば、下記一般式で表されるものが挙げられる。
(Me)Si−[(Me)SiO]−Si(Me) (10)
(上記一般式(10)中、Meはメチル基を示し、dは3〜2×10の数を示す。)
【0058】
ジメチルポリシロキサンは、水性毛髪洗浄剤中では分散粒子として存在するが、分散粒子の平均粒径は、乾燥後の仕上がりと水性毛髪洗浄剤の保存安定性の観点から、0.1〜100μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜30μm以下、特に0.1〜4μm以下、更に0.1〜2μm以下であることが好ましい。
【0059】
ポリジメチルシロキサンエマルジョンの平均粒径は、レーザー光散乱法により測定されるメジアン径であり、一般的なレーザー光散乱を用いた粒径測定装置によって、例えばコールター社LS−130を用いて測定することができる。
【0060】
このようなジメチルポリシロキサンとしては、例えば、一般式(10)式のdが300〜6,500のジメチルポリシロキサン油を60質量%含み、平均粒径が0.8μmである東レ・ダウコーニング・シリコーン社の「シリコーンCF2450」又はdが300〜6,500のジメチルポリシロキサン油を75質量%含み、平均粒径が20μmである東レ・ダウコーニング・シリコーン社の「シリコーンCF2460」として市販されているものを使用することができる。
【0061】
このようなジメチルポリシロキサンは、洗髪時の泡感触、乾燥後の感触やツヤの向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中に0.01〜10質量%含有することが好ましく、さらには0.05〜6質量%、特に0.3〜3質量%、とりわけ0.5〜2質量%が好ましい。
【0062】
(ii)アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が約3×10〜1×10の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国、Cosmetic Ingredient Dictionary)第9版、2002年、volume1、p107中に記載されているものが好ましい。市販品としては、SM 8704C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社)、DC 929(ダウ・コーニング社)、KT 1989(GE東芝シリコーン社)、8500 Conditioning Agent、DOW CORNING TORAY SS−3588、DOW CORNING TORAY SILSTYLE 104(東レ・ダウコーニング・シリコーン社)等が挙げられる。
【0063】
(iii)その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0064】
これらアミノ変性シリコーンやその他のシリコーン類は、2種以上を併用してもよく、洗髪時からすすぎ時までの滑らかさの点から、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜5質量%が好ましく、更には0.05〜2質量%、特に0.1〜1質量%が好ましい。
【0065】
本発明の水性毛髪洗浄剤は、更にエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールジ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノアルキルエーテル又はエチレングリコールジアルキルエーテルを含むパール化剤を含有していてもよい。
【0066】
エチレングリコールモノ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールモノステアリン酸エステル、エチレングリコールモノベヘニン酸エステルなど、エチレングリコールジ脂肪酸エステルとしては、エチレングリコールジステアリン酸エステル、エチレングリコールジベヘニン酸エステルなどが挙げられる。エチレングリコールモノアルキルエーテルとしてはエチレングリコールモノステアリルエーテルなど、エチレングリコールジアルキルエーテルとしてはエチレングリコールジステアリルエーテルなどが挙げられる。
なかでも、パール外観の観点からエチレングリコールジステアリン酸エステルが好ましい。
【0067】
これらは2種以上を併用してもよく、またその含有量は、水性毛髪洗浄剤の保存安定性の向上及び泡立て時、すすぎ時の滑らかさ向上、また水性毛髪洗浄剤の安定性向上の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.1〜10質量%が好ましく、更には0.5〜5質量%、特に1〜4質量%が好ましい。
【0068】
また、本発明の水性毛髪洗浄剤には、他のコンディショニング剤として、油剤を含有することができる。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油、ヒマワリ油、椿油等のグリセリド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等のアルコール類;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2−エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル類;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸類;その他イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、高級脂肪酸類、高級アルコール類、グリセリド類が好ましく、特にラウリン酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヒマワリ油、椿油が好ましい。これらの油剤は、1種単独で又は2種以上を併用することもでき、その含有量は、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.1〜2質量%が好ましく、更には0.2〜1.5質量%、特に0.3〜1.0質量%が好ましい。
【0069】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、粘度調整剤を含有させてもよく、粘度調整剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、粘土鉱物、塩類(塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、クエン酸ナトリウム等)などが挙げられ、中でもベンジルアルコール、エタノール、ポリプロピレングリコール、塩化ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムが好ましい。粘度調整剤は2種以上を併用してもよく、またその使用量は、泡量、泡質の点から、本発明の水性毛髪洗浄剤中0.01〜5質量%が好ましく、更には0.05〜4質量%、特に0.1〜3質量%が好ましい。
【0070】
本発明の水性毛髪洗浄剤には、上記成分のほか、通常の水性毛髪洗浄剤に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば防腐剤;キレート剤;ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質又はその加水分解物、蜂蜜、ローヤルゼリー、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;酸化チタン等のパール化剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ(ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS(Hunting,Anthony L.L.著、1983年発行、MICELLE PRESS))に記載されている成分等が挙げられる。
【0071】
本発明の水性毛髪洗浄剤の形態は、液状、ゲル状等適宜選択できるが、溶剤として水又は低級アルコール、特に水を用いた液状のものが好ましい。
【0072】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0073】
(実施例及び比較例)
表1に示す水性毛髪洗浄剤を、常法により調製し、以下の評価方法により評価した。その結果を表1に示す。なお、pHは水で20質量倍希釈した際の25℃での値である。
【0074】
(1)泡量
長さ25cm、幅5.5cm、重さ20gの人毛束をラウリルエーテル(2)硫酸ナトリウム10質量%水溶液2gで予備洗浄して40℃の温水で十分にすすぎ流した後、水分30gを含ませた状態で、モデル皮脂(S−ラノリン 50質量%、L−ラノリン 45質量%、オレイン酸 5%の混合液)0.1g、水性毛髪洗浄剤2gを塗布し、15秒間泡立てた。その後、髪の毛から泡をメスフラスコに絞りとり、泡の体積を測定した。数値が大きいほど、皮脂汚れがある条件で泡立ちが優れていることを示している。
【0075】
(2)洗浄力
カーボンブラックで着色したモデル皮脂を用い、洗浄前後の色味の変化を色差計で測定することにより洗浄力を測定した。
まず、上腕部に直径3cmの円を描き、円内部の色味を色差計で測定した。色差計での測定では、L値、a値、b値の測定を行い、初期の値をそれぞれL、a、bとした。その後、カーボンブラックで着色したモデル皮脂(S−ラノリン 50質量%、L−ラノリン 45質量%、オレイン酸 5%、カーボンブラック 0.1質量%)を上腕部に記した円内部に均一に広げ、再び色差計で測定を行った(L、a、b)。引き続き、水性毛髪洗浄剤を10質量%に希釈した水溶液0.1gを上腕部に塗布し、30秒間マッサージした後、40度の温水で30秒間すすぎ流し、水気を拭き取った後、色差計で測定を行った(L、a、b)。
【0076】
洗浄力(%)は、上記色差計で測定した値を用いて、以下の式により算出を行った。
【0077】
【数1】

【0078】
(3)泡立て時のすべり感
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの水性毛髪洗浄剤を用いて約30秒間十分に泡立てた。その際、すべり感を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
【0079】
5:よく滑る
4:やや滑る
3:普通と感じる
2:あまり滑らない
1:滑らない
【0080】
(4)すすぎ時のすべり感
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの水性毛髪洗浄剤を用いて約30秒間十分に泡立てた。その後、泡の付いた毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯ぎながら、すべり感を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
【0081】
5:よく滑る
4:やや滑る
3:普通と感じる
2:あまり滑らない
1:滑らない
【0082】
(5)乾燥後のすべり感
(4)と同条件で処理をした後、ドライヤーで乾燥させ、十分に乾燥した後のすべり感を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
【0083】
5:よく滑る
4:やや滑る
3:普通と感じる
2:あまり滑らない
1:滑らない
【0084】
(6)乾燥後のやわらかさ
(4)と同条件で処理をした後、乾燥した後の髪の柔らかさを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
【0085】
5:柔らかい
4:やや柔らかい
3:普通と感じる
2:あまり柔らかくない
1:柔らかくない
【0086】
(7)乾燥後のまとまり
(4)と同条件で処理をした後、乾燥した後の髪のまとまりを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
【0087】
5:まとまる
4:ややまとまる
3:普通と感じる
2:あまりまとまらない
1:まとまらない
【0088】
【表1】

【0089】
*1 花王社「エマール125A」、アルキル鎖長はC12:14=75:25。原料有効分は25%、表1中では、有効分濃度を記載。
*2 花王社「エマール227」、アルキル鎖長はC12:14=75:25。原料有効分は25%、表1中では有効分濃度を記載。
*3 ローディア社「ジャガーC−13S」
*4 東レ・ダウコーニング・シリコーン社「シリコーンCF2460」。原料有効分は75%、平均粒系30μm。表1中では有効分濃度を記載。
【0090】
表1より、実施例の組成物では、皮脂汚れがある条件でも泡立ち、洗浄力に優れるとともに、泡立て時、すすぎ時のなめらかさに優れ、乾燥後の髪の滑らかさ、柔らかさ、まとまりに優れていたことが分かった。
【0091】
以下に、本発明の水性毛髪洗浄剤を用いた処方例を示す。
(実施例16) シャンプー (質量%)
ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム 12.0
ポリオキシプロピレン(3)オクチルエーテル 0.65
モノイソデシルグリセリルエーテル 0.35
ラウリルヒドロキシスルホベタイン 1.70
リンゴ酸 0.75
ミリスチルアルコール 0.40
カチオン化グアーガム 0.28
(「ジャガーC−17」、ローディア社)
カチオン化セルロース 0.25
(「ポイズC−80M」、花王社)
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体 1.8
(「マーコート550」、オンデオ ナルコ社、有効分8.5質量%、配合量は有効分濃度)
ジメチルポリシロキサン 1.0
(「シリコーンCF2460」、東レ・ダウコーニング・シリコーン社、有効分75%、配合量は有効分濃度)
エチレングリコールジステアリルエステル 2.0
ポリプロピレングリコール(質量平均分子量400) 1.5
ベンジルアルコール 0.3
エタノール 3.0
ツバキ油 0.01
パンテノール 0.05
ローヤルゼリー 0.01
精製蜂蜜 0.01
シア脂 0.01
シルクエキス 0.05
ラノリン酸 0.01
ステアロキシジメチルアミン 0.01
グリシルグリシン 0.05
ローズヒップ抽出液 0.01
柚子抽出液 0.01
月桃葉抽出液 0.01
朝鮮ニンジンエキス 0.01
ハスハナエキス 0.01
甘草エキス 0.01
パラメチルスルホン酸 0.35
塩化ナトリウム 0.2
香料 適量
pH調整剤(苛性カリウム) pH3.9になる量
イオン交換水 バランス
【0092】
(実施例17) シャンプー (質量%)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 11.0
ポリオキシプロピレン(3)オクチルエーテル 1.0
モノ2−エチルヘキシルグリセリルエーテル 1.0
ラウリルヒドロキシスルホベタイン 2.0
ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル 2.0
ラウリン酸 0.8
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 1.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 0.5
カチオン化ローカストビーンガム 0.2
(「カチナールCLB−100」、東邦化学社)
カチオン化フェヌグリークガム 0.2
(「カチナールCLB−100」、東邦化学社)
ジメチルポリシロキサン 1.5
(「シリコーンCF2450」、東レ・ダウコーニング・シリコーン社、有効分60%、配合量は有効分濃度)
アミノポリエーテル変性シリコーン 0.2
(「シリコーンSILSTYLE104」、東レ・ダウコーニング・シリコーン社)
エチレングリコールジステアリルエステル 1.5
ジプロピレングリコール 3.0
ベンジルオキシエタノール 0.5
l−メントール 1.0
塩化ナトリウム 0.2
香料 適量
pH調整剤(苛性ナトリウム) pH3.5になる量
イオン交換水 バランス
【0093】
実施例16,17では、皮脂汚れがある条件でも泡立ち、洗浄力に優れるとともに、泡立て時、すすぎ時のなめらかさに優れ、乾燥後の髪の滑らかさ、柔らかさ、まとまりに優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D):
(A)下記一般式(1)で表される硫酸塩型アニオン界面活性剤を1〜30質量%
O(CHCHO)SOM (1)
(上記一般式(1)中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、nは質量平均で0〜5の数を示す。)
(B)下記一般式(2)で表されるポリオキシプロピレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤を0.1〜10質量%、
O(CHCH(CH)O)H (2)
(上記一般式(2)中、Rは炭素数8〜10の直鎖または分岐アルキル基又はアルケニル基を示し、mは質量平均で0.5〜4の数を示す。)
(C)炭素数4〜12のアルキル基又はアルケニル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル又はモノアルケニルグリセリルエーテル型ノニオン界面活性剤を0.1〜5質量%
(D)下記構造式(3)で表されるアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤を0.1〜10質量%
【化1】

(上記構造式(3)中、Rは炭素数10〜14のアルキル基を示す。)
を含有し、成分(B)、(D)は、(B)/(D)の質量割合が3/2〜1/4である水性毛髪洗浄剤。
【請求項2】
更に、成分(B)、(C)は、(B)/(C)の質量割合が3/1〜1/2である請求項1記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項3】
更に、(E)有機カルボン酸又はその塩の1種以上を含有する請求項1又は2記載の水性毛髪洗浄剤。
【請求項4】
更に、水で20倍に希釈したときの25℃におけるpHが1〜5である請求項1乃至3記載の水性毛髪洗浄剤。

【公開番号】特開2012−1512(P2012−1512A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139514(P2010−139514)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】