説明

水性液体吸収性樹脂、水性液体吸収性組成物並びにこれらを用いた吸収体及び吸収性物品

【課題】 植物由来原料が多く用いられ、かつ、水性液体の吸収能に優れ、良好なゲル弾性率を有することにより加圧状態での水性液体の吸収能にも優れる吸収性樹脂及び吸収性組成物を提供する。
【解決手段】 中和剤で中和されていてもよいカルボキシル基を有する多糖類酸化物(A1)及び/若しくはその架橋物(A2)と、少なくとも一つのカルボキシル基が中和剤で中和されていてもよいポリ(メタ)アクリル酸(B1)及び/若しくはその架橋物(B2)とが結合されてなる吸収性樹脂、又は前記(A1)及び/若しくは(A2)と(B1)及び/若しくは(B2)とが混合されてなる吸収性組成物であって、前記(A1)の重量平均分子量が2,000〜10,000,000であり、前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gであり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有する場合は中和前の酸価が65〜850mgKOH/gである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性液体吸収性樹脂、水性液体吸収性組成物並びにこれらを用いた水性液体吸収体、水性液体吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水性液体に対して吸収能を有する粉粒状吸収剤としては、吸水性樹脂と呼ばれる親水性架橋ポリマーが知られている。これらの吸水性樹脂の例としては、架橋ポリアクリル酸塩、アクリル酸及びその塩とその他の単量体との共重合体架橋物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリビニルアルコール−(メタ)アクリル酸共重合体、変性ポリエチレンオキシド並びに変性ポリビニルアルコール等の各種樹脂が知られており、主として紙おむつ及び生理用品等の衛生材料に使用されてきた。
【0003】
近年、植物由来原料を吸水性樹脂に用いる試みが行われており、デンプン−アクリル酸塩共重合体が知られている。非特許文献1に解説されているように、デンプンの含有量が少量の場合は吸水性が向上するが、多量に混合すると吸水性が低下する問題がある。これはデンプンがイオン性基を持たず、それ自身は吸水性を示さないためだと考えられる。特許文献1には、デンプンを僅かに酸化してカルボキシル基が0.05〜0.5重量%存在するようにして、その後架橋させて得られる、吸水性の粉末として変性デンプン組成物が記載されている。この方法によって得られる粉末は、カルボキシル基量が少量であるため吸水能が悪く、またデンプンの弾性率が低いため加圧状態での吸水能が悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0489424号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】増田,Chemical Economy & Engineering Review; November 1983,19p(No.173)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、植物由来原料が多く用いられ、かつ、水性液体の吸収能に優れ、良好なゲル弾性率を有することにより加圧状態での水性液体の吸収能にも優れる吸収性樹脂及び吸収性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、中和剤で中和されていてもよいカルボキシル基を有する多糖類酸化物(A1)及び/又はその架橋物(A2)と、少なくとも一つのカルボキシル基が中和剤で中和されていてもよいポリ(メタ)アクリル酸(B1)及び/又はその架橋物(B2)とが結合されてなる水性液体吸収性樹脂であって、前記(A1)の重量平均分子量が2,000〜10,000,000であり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有しない場合は前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gであり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有する場合は中和前の前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gである水性液体吸収性樹脂(以下単に吸収性樹脂ともいう。)(C);
前記吸収性樹脂(C)と疎水性物質(E)とを含有してなる吸収性樹脂粒子であって、前記(E)が炭素数8〜26の1価の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、カルボキシル基と水素結合を形成しうる官能基を少なくとも1つ有する化合物であり、前記(E)が吸収性樹脂の重量に基づき、吸収性樹脂粒子の内部に0.01〜10.0重量%存在し、吸収性樹脂粒子の表面に0.001〜1.0重量%存在する吸収性樹脂粒子(P−1);
中和剤で中和されていてもよいカルボキシル基を有する多糖類酸化物(A1)及び/又はその架橋物(A2)と、少なくとも一つのカルボキシル基が中和剤で中和されていてもよいポリ(メタ)アクリル酸(B1)及び/又はその架橋物(B2)とを含有してなる水性液体吸収性組成物(以下単に吸収性組成物ともいう。)(D)であって、前記(A1)の重量平均分子量が2,000〜10,000,000であり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有しない場合は前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gであり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有する場合は中和前の前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gである吸収性組成物(D);
前記吸収性組成物(D)と疎水性物質(E)とを含有してなる吸収性組成物粒子であって、前記(E)が炭素数が8〜26の1価の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、カルボキシル基と水素結合を形成しうる官能基を少なくとも1つ有する化合物であり、前記(E)が吸収性組成物粒子の重量に基づき、吸収性組成物粒子の内部に0.01〜10.0重量%存在し、吸収性組成物粒子の表面に0.001〜1.0重量%存在する吸収性組成物粒子(P−2);
前記吸収性樹脂(C)、前記吸収性組成物(D)、前記吸収性樹脂粒子(P−1)又は前記吸収性組成物粒子(P−2)と、繊維、不織布及び織物からなる群から選択される少なくとも1種とを用いてなる吸収体;並びに前記吸収体を用いてなる吸収性物品である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性樹脂及び吸収性組成物は、植物由来原料が多く用いられ、かつ、水性液体の吸収能に優れ、良好なゲル弾性率を有することにより加圧状態での吸収能にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は膨潤容積測定法による吸収量を測定するための装置全体を模式的に示した正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の吸収性樹脂(C)は、中和剤で中和されていてもよいカルボキシル基を有する多糖類酸化物(A1)(以下単に多糖類酸化物(A1)又は前記(A1)ともいう。)及び/又はその架橋物(A2)(以下単に架橋物(A2)又は前記(A2)ともいう。)と、少なくとも一つのカルボキシル基が中和剤で中和されていてもよいポリ(メタ)アクリル酸(B1)(以下単にポリ(メタ)アクリル酸(B1)又は前記(B1)ともいう。)及び/又はその架橋物(B2)(以下単に架橋物(B2)又は前記(B2)ともいう。)とが結合されてなる吸収性樹脂であって、前記(A1)の重量平均分子量が2,000〜10,000,000であり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有しない場合は前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gであり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有する場合は中和前の前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gである。
【0011】
本発明における多糖類酸化物(A1)としては、デンプン、セルロース、グリコーゲン、キチン、キトサン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン及びキシログルカン等の酸化物並びに中和剤で中和されていてもよいカルボキシル基を有するこれらの酸化物が挙げられる。カルボキシル基を複数有する場合は、それらのうちの少なくとも一部が中和されていてもよい。これらの内、反応性の観点から好ましいのは、デンプン酸化物、セルロース酸化物及び中和剤で中和されていてもよいカルボキシル基を有するこれらの酸化物が好ましい。多糖類酸化物(A1)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0012】
デンプン酸化物に使用されるデンプンとしては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、タピオカデンプン、小麦デンプン、サツマイモデンプン及び米デンプン等が挙げられる。これらを原料にして変性された水溶性デンプンや酸化デンプン、カルボキシル化デンプン、リン酸化デンプン、カチオン化デンプン、アルデヒド化デンプン、アセチル化デンプン、アルキルエーテル化デンプン、ヒドロキシエーテル化デンプン、アリルエーテル化デンプン、ビニルエーテル化デンプン等も使用できる。水溶性デンプンの例としては、酸加水分解された水解デンプンが挙げられる。酸化デンプンとしては、次亜塩素酸塩等で処理された一般市販の酸化デンプンが挙げられる。一般市販の酸化デンプンは、デンプンの構成単位であるグルコピラノースの一部の水酸基がカルボキシル化あるいはアルデヒド化したデンプンである。
【0013】
セルロース酸化物に使用されるセルロースとしては、木綿、木材由来のパルプ、バクテリアセルロース、リグノセルロース、再生セルロース(例えば、セロファン及び再生繊維等)及び微結晶セルロース等が挙げられる。
【0014】
多糖類酸化物(A1)を得る方法としては、一般公知の方法を用いることができる。例えば、パラジウム等の貴金属をベースとする触媒と酸素含有ガスを用いて酸化する特開昭62−247837号公報に記載の方法や、マンガン酸化物又はその塩を用いて酸化する特開平10−195101号公報に記載の方法を用いることができる。
【0015】
多糖類酸化物(A1)の酸価は、65〜850mgKOH/gであり、吸収能の観点から、好ましくは300〜850mgKOH/gである。65mgKOH/g未満であると、吸収性樹脂としたときのイオン基密度が低くなるため、吸収能が悪くなる。また、酸価が850mgKOH/gを超える場合、酸化が進み、低分子量物が多数発生することによりゲル弾性率が低下してしまう。酸価は以下の方法で測定することができる
【0016】
<酸価の測定方法>
300mlのビーカーに未中和の多糖類酸化物1.00gを正確に測りとり、純水を加えて100gとした後、95℃で15分攪拌して溶解し、測定溶液とする。この測定溶液を、まず、1/50NのKOH水溶液でpH10まで滴定を行い、その後1/20NのHCl水溶液でpH2.7まで滴定する。またブランクとして純水100gを同様の方法で滴定する。多糖類酸化物1.00gを溶解した測定溶液においてpH10からpH2.7までの滴定に必要な1/20NのHCl水溶液量から、ブランクにおけるpH10からpH2.7までの滴定に必要な1/20NのHCl水溶液量を差し引いた値から酸価を算出する。
なお、酸価を測定しようとする多糖類酸化物(A1)の一部又は全部のカルボキシル基が中和剤で中和されて塩の形になっている場合には、多糖類酸化物(A1)の1重量%水溶液を調製し、陽イオン交換樹脂(DOWEX50W−X8)を混合して15分撹拌し、陽イオン交換を行うことにより未中和型の多糖類酸化物に変換した後、上記と同様に酸価を測定する。
【0017】
多糖類酸化物(A1)の重量平均分子量(以下、Mwと略記)は、2,000〜10,000,000であり、樹脂強度及び吸収能の観点から、好ましくは5,000〜5,000,000、更に好ましくは10,000〜1,000,000である。2,000未満であると、吸収液への溶出が多くなることから吸収能が悪くなり、10,000,000を超えると吸収能が悪くなる。
【0018】
前記(A1)のMwは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により、以下の条件で測定することができる。
溶媒:酢酸ナトリウムを0.5重量%含むメタノール30vol%水溶液
サンプル濃度:2.5mg/ml
使用カラム:東ソー(株)製 GuardcolumnPWXL+TSKgelG6000PWXL+TSKgelG3000PWXL
カラム温度:40℃
【0019】
多糖類酸化物(A1)が有するカルボキシル基を中和するための中和剤としては、例えばアンモニア、炭素数1〜20のアミン化合物又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)が挙げられる。
【0020】
炭素数1〜20のアミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン及びモノエタノールアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン及びメチルプロパノールアミン等の2級アミン並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミンが挙げられる。
【0021】
これらの中和剤の内、中和後の着色抑制の観点から好ましいのは、アルカリ金属水酸化物である。中和剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0022】
多糖類酸化物(A1)の架橋物(A2)を得る方法としては、(A1)を架橋する方法、酸化に使用する原料多糖類として架橋された多糖類を用いる方法及びこれらを併用する方法が挙げられる。
【0023】
前記(A1)を架橋する方法としては、以下の(k1)〜(k6)を用いて架橋する方法が挙げられる。
(1)炭素数2〜6の多価(好ましくは2〜4価)アルコール(k1)(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びソルビトール等);
(2)炭素数8〜21の多価(好ましくは2〜4価)グリシジルエーテル(k2)[エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(重合度2〜4)ジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(重合度2〜3)ジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル及び1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等];
(3)炭素数2〜6の多価(好ましくは2〜4価)アミン(k3)(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びポリエチレンイミン等);
(4)炭素数2〜8のアルカノールアミン(k4)(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン及びジブタノールアミン等);
(5)炭素数6〜12の多価(好ましくは2〜4価)アジリジン化合物(k5)[2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、1,6−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ヘキサン等]
(6)炭素数3〜4のアルキレンカーボネート(k6)(1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン及び1,3−ジオキサン−2−オン等)。
【0024】
これらの内、架橋密度の観点から、(k1)、(k2)、(k3)及び(k4)が好ましく、更に好ましいのは(k2)及び(k3)、特に好ましいのは(k2)である。(k1)〜(k6)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0025】
多糖類の架橋は公知の任意の方法で行うことができ、架橋剤を用いて架橋させてもよいし、放射線(γ線、χ線、又は電子ビーム等の放射線)及び/又は熱で架橋させてもよい。
【0026】
多糖類の架橋に用いられる架橋剤としては、メチロール基を有する尿素系化合物又はメラミン系化合物(ジメチロール尿素、トリメチロールメラミン、ジメチロールエチレン尿素及びジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等)、ポリカルボン酸(クエン酸、トリカルバリル酸及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等)及び前記(k1)〜(k5)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記(A1)の架橋反応の条件は使用する架橋剤により異なるが、多糖類及び前記(A1)が有する官能基と架橋剤が有する官能基の反応に通常用いられる条件(例えば、50〜100℃、10分〜2時間)が適用できる。
【0028】
本発明におけるポリ(メタ)アクリル酸(B1)の製造方法は特に限定されず、中和剤で中和されていてもよい(メタ)アクリル酸モノマーをラジカル重合触媒を用いて水溶液重合、懸濁重合又は逆相懸濁重合する方法等が挙げられる。また、放射線、電子線、紫外線等を照射して重合を開始させる方法をとることもできる。これらの内、有機溶媒等を使用する必要がなく、生産コスト面で有利なことから水溶液重合法が好ましい。特に、保水量が大きく、かつ、水可溶性成分の量の少ない吸収性樹脂が得られ、重合時の温度コントロールが不要である点から、水溶液断熱重合法が好ましい。
【0029】
本発明において、重合条件は特に限定されず、例えば、重合開始温度は使用する触媒の種類によって変えることができるが、通常、0〜100℃で、好ましくは5〜80℃である。
【0030】
ラジカル重合触媒を用いて重合する際に用いられる重合触媒としては、従来公知の触媒が使用可能であり、例えば、アゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等)、無機過酸化物(過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等)、有機過酸化物(過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等)、セリウム化合物(硝酸セリウム(IV)アンモニウム、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム等)及びレドックス触媒(アルカリ金属の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、アスコルビン酸等の還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、有機過酸化物等の酸化剤との組み合わせよりなるもの)等が挙げられる。これらの触媒は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0031】
ラジカル重合触媒の使用量は、通常、ラジカル重合性モノマーの重量に基づいて、0.0005〜5重量%、好ましくは0.001〜2重量%である。
【0032】
中和剤による中和の方法としては、(メタ)アクリル酸モノマーを中和して使用する方法、(メタ)アクリル酸モノマーを重合後、中和する方法及びこれらを併用する方法が挙げられる。
【0033】
前記(B1)が有するカルボキシル基を中和するための中和剤としては、前述の多糖類酸化物(A1)が有するカルボキシル基を中和するための中和剤と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0034】
架橋物(B2)を得る方法としては、前記(k1)〜(k5)を用いて架橋する方法及びラジカル重合性2重結合を有する化合物(k7)により架橋する方法等が挙げられる。(k1)〜(k5)及び(k7)は、それぞれ1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0035】
ラジカル重合性2重結合を有する化合物(k7)としては、2個以上のラジカル重合性2重結合を有する化合物(k71)、カルボキシル基又はその中和塩と反応しうる官能基を1個有し、かつ、少なくとも1個のラジカル重合性2重結合を有する化合物(k72)が挙げられる。
【0036】
2個以上のラジカル重合性2重結合を有する化合物(k71)としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;(ポリ)アルキレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アリルエーテル;ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等のアリロキシアルカン類等が挙げられる。
【0037】
カルボキシル基又はその中和塩と反応しうる官能基を1個有し、かつ、少なくとも1個のラジカル重合性2重結合を有する化合物(k72)としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基を有するラジカル重合性モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するラジカル重合性モノマー等が挙げられる。
【0038】
架橋剤として(k1)〜(k5)を用いる場合の前記(B1)の架橋反応の条件は使用する架橋剤により異なるが、(B1)のカルボキシル基と架橋剤が有する官能基の反応に通常用いられる条件(例えば、50〜100℃、10分〜2時間)が適用できる。また、架橋剤として(k7)を用いる場合は、例えば(メタ)アクリル酸モノマーと(k7)を混合して通常の条件(例えば、0〜100℃、1〜10時間)で重合し、(k72)を用いた場合には更に(B1)のカルボキシル基と(k72)が有する官能基の反応に通常用いられる条件(例えば、50〜100℃、10分〜2時間)で反応させることにより(B1)の架橋物(B2)が得られる。
【0039】
本発明の吸収性樹脂(C)は、多糖類酸化物(A1)及び/又はその架橋物(A2)と、ポリ(メタ)アクリル酸(B1)及び/又はその架橋物(B2)とが結合されてなる。
【0040】
前記(A1)及び/又は(A2)と、前記(B1)及び/又は(B2)とを結合する方法としては、結合剤を用いて結合する方法、並びに(A1)及び/又は(A2)に(B1)及び/又は(B2)をグラフト重合する方法等が挙げられる。
【0041】
結合剤としては、前記炭素数2〜6の多価アルコール(k1)、前記炭素数8〜21の多価グリシジルエーテル(k2)、前記炭素数2〜6の多価アミン(k3)、前記炭素数2〜8のアルカノールアミン(k4)及び前記炭素数6〜12の多価アジリジン化合物(k5)等が挙げられる。(k1)〜(k5)1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0042】
これらの内、結合密度の観点から、(k1)、(k2)及び(k3)が好ましく、更に好ましいのは(k2)及び(k3)、特に好ましいのは(k2)である。
【0043】
結合剤の使用量は、結合数及び保水量の観点から、吸収性樹脂(C)の重量を基準として、0.01〜10重量%が好ましく、更に好ましくは0.02〜5重量%である。
【0044】
結合剤を混合した後、過熱することにより、結合反応を完結させる。加熱は、混合装置中で行ってもよく、加熱乾燥機中で行ってもよい。加熱温度は、熱分解の抑制及び保水量の観点から、30〜250℃が好ましく、更に好ましくは50〜180℃である。加熱時間は、加熱温度に応じて変化させることができるが、結合反応の反応率及び保水量の観点から、5〜180分が好ましく、更に好ましくは15〜90分である。
【0045】
結合剤を混合した後、結合反応促進のため、公知のアルカリ剤を添加することができる。なお、このアルカリとの混合は、通常の吸水性樹脂の製造工程におけるアルカリとの中和とは区別されるが、この中和工程と同様にして行うことができる。したがって、中和を行う場合、中和とアルカリ添加とを同時行ってもよい。
【0046】
アルカリ剤は、公知(特許第3205168号公報等)のものが使用できる。これらの内、吸水性能の観点から、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムが更に好ましい。アルカリ剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記(A1)及び/又は(A2)に前記(B1)及び/又は(B2)をグラフト重合する方法は特に限定されず、例えば前述の、(B1)及び/又は(B2)の反応を、ラジカル重合触媒として無機過酸化物、有機過酸化物、セリウム化合物又はレドックス触媒を用いて、(A1)及び/又は(A2)の存在下で行う方法が挙げられる。
【0048】
吸収性樹脂(C)における前記(A1)、(A2)、(B1)及(B2)が有するカルボキシル基の中和剤による中和は、結合前に行っても結合させて(C)を得た後に行ってもよい。
【0049】
吸収性樹脂(C)における前記(B1)及(B2)が有するカルボキシル基の合計量に対する中和率は、肌への刺激性等の観点から85%未満であることが好ましく、更に好ましくは65〜75%である。
【0050】
吸収性樹脂(C)における前記(A1)、(A2)、(B1)及(B2)が有するカルボキシル基の合計量に対する中和率は、肌への刺激性等の観点から65〜75%であることが好ましい。
【0051】
吸収性樹脂(C)における結合された前記(A1)及び(A2)の合計量は、吸収能とゲル弾性率の両立の観点から吸収性樹脂の重量を基準として30〜90重量%であることが好ましく、更に好ましくは35〜50%である。
【0052】
本発明の吸収性組成物(D)は、前記多糖類酸化物(A1)及び/又はその架橋物(A2)と、前記ポリ(メタ)アクリル酸(B1)及び/又はその架橋物(B2)とを必須成分として含有してなる。
【0053】
前記(D)は前記(A1)及び/又は(A2)と、前記(B1)及び/又は(B2)とを混合することにより得ることができる。混合方法は特に限定されず、例えば(A1)の水溶液及び/又は(A2)の含水ゲルと(B1)の水溶液及び/又は(B2)の含水ゲルとをニーダー、万能混合機、一軸又は双軸の混練押出し機、ミンチ機及びミートチョッパー等による混合する方法が挙げられる。これらの内、万能混合機、一軸又は双軸の混練押出し機及びミンチ機が好ましく、更に好ましいのは一軸又は双軸の混練押出し機及びミンチ機である。
【0054】
また、後述の、前記(A1)及び/又は(A2)からなる粒子と、前記(B1)及び/又は(B2)からなる樹脂粒子とをドライブレンドすることによっても前記(D)を得ることができる。
【0055】
吸収性組成物(D)は、更に前記吸収性樹脂(C)を含有することができる。(C)を含有することにより吸収能とゲル弾性率がより両立しやすくなる。
【0056】
吸収性組成物(D)における前記(A1)、(A2)、(B1)及(B2)が有するカルボキシル基の中和剤による中和は、混合前に行っても、混合して(D)を得た後に行ってもよい。
【0057】
吸収性組成物(D)における前記(B1)及び(B2)が有するカルボキシル基の合計量に対する中和率は、肌への刺激性等の観点から85%未満であることが好ましく、更に好ましくは65〜75%である。
【0058】
吸収性組成物(D)における前記(A1)、(A2)、(B1)及び(B2)が有するカルボキシル基の合計量に対する中和率は、肌への刺激性等の観点から65〜75%であることが好ましい。
【0059】
吸収性組成物(D)における含有される前記(A1)及び(A2)と(D)に含有される吸収性樹脂(C)中の結合された(A1)及び(A2)の合計量は、吸収能とゲル弾性率の両立の観点から吸収性組成物の重量を基準として30〜90重量%であることが好ましく、更に好ましくは35〜50%である。
【0060】
本発明の吸収性樹脂(C)及び吸収性組成物(D)には、特開2003−225565号公報及び特開2006−131767号公報等に記載されている従来公知の添加剤(防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物等)を添加することができる。添加剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0061】
吸収性樹脂(C)及び吸収性組成物(D)の製造に用いた水は、例えば回転式乾燥機、パドルドライヤー、ナウター型乾燥機及びロータリーキルン等で加熱乾燥することにより除去され、固体としての(C)及び(D)が得られる。
【0062】
本発明の吸収性樹脂(C)及び吸収性組成物(D)の形状は、その用途により任意に設定することができるが、特に紙おむつ及び生理用品等の衛生材料として使用する場合、粒子状であることが好ましい。(C)及び(D)を粒子状にする方法は特に限定されず、例えば公知の方法で粉砕・粒度調整等する方法等が挙げられる。
【0063】
粉砕方法については、特に限定はなく、通常の粉砕装置(例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)等が使用できる。粉砕された粒子は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0064】
必要によりふるい分けした場合の吸収性樹脂(C)の粒子及び吸収性組成物(D)の粒子の重量平均粒子径は、吸収能の観点から100〜800μmが好ましく、更に好ましくは200〜700μm、特に好ましくは250〜600μm、とりわけ好ましくは300〜500μm、最も好ましくは350〜450μmである。
【0065】
重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μmの順に重ね合わせ、最下部に受け皿を装着する。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙[横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率]にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0066】
微粒子の含有量は少ない方が吸収能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は3重量%以下が好ましく、更に好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するふるいの目開きに対して重量分率をプロットしたグラフを用いて求めることができる。
【0067】
前記粉砕方法で得られた吸収性樹脂(C)の粒子及び吸収性組成物(D)の粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらの内、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0068】
本発明の吸収性樹脂(C)の粒子及び吸収性組成物(D)の粒子の保水量(g/g)は、吸収性物品の耐カブレ性の観点から、28〜45が好ましく、更に好ましくは32〜40、特に好ましくは34〜38である。なお、保水量は以下の方法により測定される。
【0069】
<保水量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後引き上げ、15分間吊るして水切りする。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバッグを含めた重量(h1)を測定する。測定試料を用いない以外は上記と同様にして、遠心脱水後のティーバッグの重量(h2)を測定し、次式から保水量を求める。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。
保水量(g/g)=(h1)−(h2)
【0070】
本発明の吸収性樹脂(C)の粒子及び吸収性組成物(D)の粒子1重量部が人工尿30重量部を吸収して得られる30倍膨潤ゲルのゲル弾性率(N/m)は、2,000〜3,000が好ましく、更に好ましくは2,025〜2950、特に好ましくは2,050〜2,900、最も好ましくは2,075〜2,850である。この範囲であると、吸収性物品に適用したとき更に優れた耐モレ性を発揮する。なお、ゲル弾性率(N/m)は、下記測定方法で求められる値である。
【0071】
<ゲル弾性率の測定法>
人工尿[尿素200重量部、塩化ナトリウム80重量部、硫酸マグネシウム(7水塩)8重量部、塩化カルシウム(2水塩)3重量部、硫酸第2鉄(7水塩)2重量部、イオン交換水9704重量部の混合物]60.0gを100mlビーカー(内径5cm)に量り取り、JIS K 7224−1996に記載された操作と同様にして、測定試料2.0gを精秤して上記ビーカーに投入し、30倍膨潤ゲルを作製する。この30倍膨潤ゲルの入ったビーカーを40±2℃の雰囲気下で3時間、更に25±2℃の雰囲気下で0.5時間静置した後、30倍膨潤ゲルのゲル弾性率をカードメーター(例えば、株式会社アイテックテクノエンジニアリング製カードメーター・マックスME−500)を用いて測定する。なお、カードメーターによる測定条件は以下の通りである。
・感圧軸:8mm
・スプリング:100g用
・荷重:100g
・上昇速度:1インチ/7秒
・試験性質:破断
・測定時間:6秒
・測定雰囲気温度:25±2℃
【0072】
吸収性樹脂(C)の粒子及び吸収性組成物(D)の粒子の表面を架橋剤を用いて架橋処理することにより、ゲル弾性率が更に向上する。
【0073】
表面架橋処理に用いる架橋剤(以下、表面架橋剤ともいう。)としては、前記炭素数2〜6の多価アルコール(k1)、前記炭素数8〜21の多価グリシジルエーテル(k2)、前記炭素数2〜6の多価アミン(k3)、前記炭素数2〜8のアルカノールアミン(k4)及び前記炭素数6〜12の多価アジリジン化合物(k5)、特開昭59−189103に記載の多価有機イソシアネート化合物、特開昭61−211305号公報及び特開昭61−252212号公報等に記載のシランカップリング剤並びに特開昭51−136588号公報及び特開昭61−257235号公報等に記載の多価金属等が挙げられる。なお、前記(A2)、(B2)を得るための架橋剤を、以下、内部架橋剤ともいう。
【0074】
これらの内、吸水性能の観点等から、前記(k2)、(k3)及びシランカップリング剤が好ましく、更に好ましいのは(k2)及びシランカップリング剤、特に好ましいのは(k2)である。
【0075】
表面架橋処理をする場合の架橋剤の使用量は、吸水性能及び生分解性等の観点から、表面架橋前の吸収性樹脂(C)又は吸収性組成物(D)の重量に基づいて、0.001〜3重量%が好ましく、更に好ましくは0.005〜2重量%、特に好ましくは0.01〜1重量%である。
【0076】
表面架橋処理は、前記表面架橋剤と水と溶媒との混合溶液を従来公知の方法で、吸収性樹脂(C)又は吸収性組成物(D)の粒子の表面に噴霧し、加熱して反応させることにより行うことができる。反応温度は、通常、100〜230℃、好ましくは120〜160℃である。反応時間は反応温度により変えることができるが、通常、3〜60分、好ましくは10〜40分である。このように表面架橋して得られる粒子状の吸収性樹脂及び/又は吸収性組成物を更に異種の架橋剤で表面架橋することもできる。
【0077】
吸収性樹脂(C)の粒子及び吸収性組成物(D)の粒子に疎水性物質(E)を含有させることで、特開2011−252088で示されているように、吸収速度パターンの制御(初期遅く、中期普通、後期早い)が可能となり、耐モレ性が向上することから、カブレ等の問題がない吸収性物品(紙おむつ、生理用品等の衛生材料等)に適した吸収性樹脂粒子(P−1)及び吸収性組成物粒子(P−2)を得ることができる。
【0078】
疎水性物質(E)は、炭素数が8〜26の1価の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、カルボキシル基と水素結合を形成しうる官能基を少なくとも1つ有する化合物であり、吸収性樹脂粒子(P−1)及び吸収性組成物粒子(P−2)の内部に特定量存在し、(P−1)及び(P−2)の表面に特定量存在する。この点は後述する。
【0079】
炭素数8〜26の1価の脂肪族炭化水素基としては、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、ドコシル基、テトラコシル基及びヘキサコシル基等が挙げられる。
【0080】
カルボキシル基と水素結合を形成しうる官能基としては、カルボキシル基(この塩を含む)、リン酸基(この塩を含む)、スルホ基(この塩を含む)、1級アミノ基(この塩を含む)、2級アミノ基(この塩を含む)、3級アミノ基(この塩を含む)、水酸基、オキシカルボニル基、リン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アミド基、ウレタン基及びウレア基等が挙げられる。
【0081】
疎水性物質(E)が有する炭素数8〜26の1価の脂肪族炭化水素基の数は、吸収性物品の対カブレ性の観点から、1〜5が好ましく、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3である。(E)が有するカルボキシル基と水素結合を形成しうる官能基の数は、吸収性物品の対モレ性の観点から、1〜5が好ましく、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3である。
【0082】
カルボキシル基を有する疎水性物質(E1)としては、ノナン酸、ドデカン酸、オクタデカン酸及びヘプタコサン酸等が挙げられる。この塩としては、ナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム(以下、Na、K、Zn、Ca、Mg、Alと略す)等との塩が挙げられる。
【0083】
リン酸基を有する疎水性物質(E2)としては、オクチルリン酸、オクタデシルリン酸及びヘキサコシルリン酸等が挙げられる。この塩としては、Na、K、Zn、Ca、Mg及びAl等との塩が挙げられる。
【0084】
スルホン酸基を有する疎水性物質(E3)としては、オクチルスルホン酸、オクタデシルスルホン酸及びヘキサコシルスルホン酸等が挙げられる。この塩としては、Na、K、Zn、Ca、Mg及びAl等との塩が挙げられる。
【0085】
1級アミノ基を有する疎水性物質(E4)としては、オクチルアミン、オクタデシルアミン及びヘキサコシルアミン等が挙げられる。この塩としては塩酸、カルボン酸、硫酸及び硝酸等との塩が挙げられる。
【0086】
2級アミノ基を有する疎水性物質(E5)としては、メチルオクチルアミン、メチルヘキサコシルアミン、オクチルヘキサコシルアミン、ジヘキサコシルアミン及びメチルオクタデシルアミン等が挙げられる。この塩としては塩酸、カルボン酸、硫酸及び硝酸等との塩が挙げられる。
【0087】
3級アミノ基を有する疎水性物質(E6)としては、ジメチルオクチルアミン、ジメチルヘキサコシルアミン、メチルオクチルヘキサコシルアミン及びメチルジヘキサコシルアミン等が挙げられる。この塩としては塩酸、カルボン酸、硫酸及び硝酸等との塩が挙げられる。
【0088】
水酸基を有する疎水性物質(E7)としては、オクチルアルコール、オクタデシルアルコール及びヘキサコシルアルコール等が挙げられる。
【0089】
オキシカルボニル基を有する疎水性物質(E8)としては、炭素数8〜26の長鎖脂肪酸と水酸基を少なくとも1つ有する炭素数1〜26のアルコールとのエステル化物及び炭素数8〜26の長鎖脂肪族アルコールとカルボキシル基を少なくとも1つ有する炭素数1〜7の炭化水素基を有するカルボン酸とのエステル化物等が挙げられる。
【0090】
炭素数8〜26の長鎖脂肪酸と水酸基を少なくとも1つ有する炭素数1〜26のアルコールとのエステル化物としては、ノナン酸メチル、ヘプタコサン酸メチル、ノナン酸ヘキサコシル、ヘプタコサン酸ヘキサコシル、オクタデカン酸オクチル、グリセリンノナン酸モノエステル、グリセリンオクタデカン酸モノエステル、グリセリンヘプタコサン酸モノエステル、ペンタエリスリットノナン酸モノエステル、ペンタエリスリットオクタデカン酸モノエステル、ペンタエリスリットヘプタコサン酸モノエステル、ソルビットノナン酸モノエステル、ソルビットオクタデカン酸モノエステル、ソルビットヘプタコサン酸モノエステル、ショ糖ノナン酸モノエステル、ショ糖ノナン酸ジエステル、ショ糖ノナン酸トリエステル、ショ糖オクタデカン酸モノエステル、ショ糖オクタデカン酸ジエステル、ショ糖オクタデカン酸トリエステル、ショ糖ヘプタコサン酸モノエステル、ショ糖ヘプタコサン酸ジエステル、ショ糖ヘプタコサン酸トリエステル及び牛脂等が挙げられる。
【0091】
炭素数8〜26の長鎖脂肪族アルコールとカルボキシル基を少なくとも1つ有する炭素数1〜8のカルボン酸とのエステル化物としては、ノナン酸オクチル、酢酸オクチル、オクチル酸オクチル、酢酸ヘキサコシル及びオクチル酸ヘキサコシル等が挙げられる。
【0092】
リン酸エステル基を有する疎水性物質(E9)としては、炭素数8〜26の長鎖脂肪族アルコールとリン酸との脱水縮合物及びこの塩が挙げられる。例えば、オクチルリン酸エステル、オクタデシルリン酸エステル及びヘキサコシルリン酸エステル等が挙げられ、この塩としてNa及びK等との塩が挙げられる。リン酸エステルには、モノエステル以外にジエステル及びトリエステルも含まれる。
【0093】
硫酸エステル基を有する疎水性物質(E10)としては、炭素数8〜26の長鎖脂肪族アルコールと硫酸との脱水縮合物及びこの塩が挙げられる。例えば、オクチル硫酸エステル、オクタデシル硫酸エステル及びヘキサコシル硫酸エステル等が挙げられ、この塩としてNa及びK等との塩が挙げられる。硫酸エステルには、モノエステル以外にジエステルも含まれる。
【0094】
アミド基を有する疎水性物質(E11)としては、炭素数8〜26の長鎖脂肪族1級アミンと炭素数1〜26の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物、アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜26の長鎖脂肪酸とのアミド化物、炭素数8〜26の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族2級アミンと炭素数1〜26のカルボン酸とのアミド化物及び炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する2級アミンと炭素数8〜26の長鎖脂肪酸とのアミド化物が挙げられる。
【0095】
炭素数8〜26の長鎖脂肪族1級アミンと炭素数1〜26の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物としては、1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応したものが挙げられる。1:1で反応したものとしては、酢酸N−オクチルアミド、酢酸N−ヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、二酢酸N−オクチルアミド、二酢酸N−ヘキサコシルアミド、ジヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応したものの場合、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0096】
アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜26の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応したものと1:2で反応したものに分けられる。1:1で反応したものとしては、ノナン酸アミド、ノナン酸メチルアミド、ノナン酸N−ヘプチルアミド、ヘプタコサン酸アミド、ヘプタコサン酸N−メチルアミド、ヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、ジノナン酸アミド、ジノナン酸N−メチルアミド、ジノナン酸N−ヘプチルアミド、ジヘプタコサン酸アミド、ジヘプタコサン酸N−メチルアミド、ジヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応したものの場合、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0097】
炭素数8〜26の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族2級アミンと炭素数1〜26のカルボン酸とのアミド化物としては、酢酸N−メチルオクチルアミド、酢酸N−メチルヘキサコシルアミド、酢酸N−オクチルヘキサコシルアミド、酢酸N−ジヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルオクチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルヘキサコシルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘキサコシルアミド等が挙げられる。
【0098】
炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する2級アミンと炭素数8〜26の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、ノナン酸N−ジメチルアミド、ノナン酸N−メチルヘプチルアミド、ノナン酸N−ジヘプチルアミド、ヘプタコサン酸N−ジメチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘプチルアミド等が挙げられる。
【0099】
ウレタン基を持つ疎水性物質(E12)としては、炭素数8〜26の長鎖脂肪族アルコールとイソシアネート基を少なくとも1つ有する化合物との反応物が挙げられる。長鎖脂肪族アルコールとしては、オクチルアルコール、オクタデシルアルコール及びヘキサコシルアルコール等が挙げられ、イソシアネート基を少なくとも1つ有する化合物としては、メチルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、ヘキサコシルイソシアネート、メチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0100】
ウレア基を持つ疎水性物質(E13)としては、炭素数8〜26の炭化水素基を有する1級又は2級アミンとイソシアネート基を少なくとも1つ有する化合物との反応物が挙げられる。1級アミンとしては、オクチルアミン、オクタデシルアミン及びヘキサコシルアミン等が挙げられる。2級アミンとしては、メチルオクチルアミン、メチルヘキサコシルアミン、オクチルヘキサコシルアミン及びジヘキサコシルアミン等が挙げられる。イソシアネート基を少なくとも1つ有する化合物としては、メチルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、ヘキサコシルイソシアネート、メチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアート等が挙げられる。
【0101】
これらの疎水性物質(E)のなかで、吸収性物品の耐モレ性の観点から、カルボキシル基と水素結合を形成しうる官能基として、カルボキシル基(この塩を含む)、リン酸基(この塩を含む)、スルホ基(この塩を含む)、1級アミノ基(この塩を含む)、2級アミノ基(この塩を含む)、3級アミノ基(この塩を含む)、水酸基、オキシカルボニル基、リン酸エステル基、スルホン酸エステル基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する化合物が好ましく、更に好ましくは、カルボキシル基(この塩を含む)、1級アミノ基(この塩を含む)、2級アミノ基(この塩を含む)、3級アミノ基(この塩を含む)、ヒドロキシル基、オキシカルボニル基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する化合物である。疎水性物質(E)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0102】
前述の通り、疎水性物質(E)は吸収性樹脂粒子(P−1)及び吸収性組成物粒子(P−2)の内部に下記特定量存在し、(P−1)及び(P−2)の表面に下記特定量存在する。
【0103】
前記(P−1)及び(P−2)の内部の疎水性物質(E)の含有量は、吸収性物品に用いた際の耐カブレ性及び耐モレ性の観点から、それぞれ(P−1)又は(P−2)の重量に基づいて、好ましくは0.01〜10.0重量%であり、更に好ましくは0.01〜5.0重量%、特に好ましくは0.05〜2.0重量%、最も好ましくは0.1〜1.0重量%である。
【0104】
前記(P−1)及び(P−2)の表面に存在する疎水性物質(E)の含有量は、吸収性物品に用いた際の耐カブレ性及び耐モレ性の観点から、(P−1)又は(P−2)の重量に基づいて、0.001〜1.0重量%であり、好ましくは0.005〜0.5重量%、更に好ましくは0.01〜0.3重量%、特に好ましくは0.01〜0.1重量%である。
【0105】
表面に存在する疎水性物質(E)の含有量は下記の方法で測定される。また、内部に存在する疎水性物質(E)の含有量は、製造に用いた疎水性物質(E)の量から表面に存在する疎水性物質(E)の量を減じた量から算出される。
【0106】
<疎水性物質(E)の含有量の測定法>
ガラス製のビーカーに吸収性樹脂粒子(P−1)又は吸収性組成物粒子(P−2)1重量部と有機溶媒(有機溶媒100重量部に、少なくとも0.01重量部の疎水性物質を25℃〜110℃で溶かすことができる有機溶媒。なお、この溶かすことができる温度を溶解温度とする。)1000重量部を加え、溶解温度で24時間放置し、疎水性物質の抽出液を得る。この抽出液を濾紙を用いて濾過し、事前に秤量したガラス製のビーカーに採取した後、溶媒を蒸発させた後、秤量する。濾過液蒸発後の重量から事前に秤量したビーカーの重量をひいた数値を100倍する。濾紙上に残った抽出後のサンプルを用いて、同様の操作を2回くり返し、3回の抽出で得られた蒸発乾固物の合計量を表面に存在する疎水性物質の含有量(重量%)とする。
【0107】
本発明の吸収性樹脂粒子1g当たりの生理食塩水に対する膨潤容積測定法において、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と、膨潤容積が40mlに達するまで時間(t2)の比(t2/t1)が5〜20であることが好ましく、更に好ましくは5〜15であり、最も好ましくは5〜10である。また、t1は20秒〜60秒であることが好ましく、更に好ましくは20秒〜50秒であり、最も好ましくは30秒〜40秒である。この範囲であると吸収性物品の耐カブレ性が更に良好になる。
【0108】
膨潤容積は以下の方法で測定される。
<測定装置>
膨潤容積測定法は、25±2℃、湿度50±10%の室内で、典型的には図1に示す装置を用いて行う測定法である。なお、使用する生理食塩水の温度は25℃±2℃である。図1に示した装置はアクリル製の底付円筒1とアクリル製の円盤2からなる。なお、以下の説明における装置に関する数値は例示であり、これらの数値に限定されない。また、測定方法に関する数値も例示である。
【0109】
底付円筒1は、内径81mm、長さ35mmの円筒の一方の開口部に底があり、残りの一方は開口している底付円筒である。アクリル製の円盤2は、外径80.5mm、厚さ12mmの円盤である。円盤2は、直径70.5mm、深さ4mmの円形状のくぼみが円盤の中心と円の中心が一致する位置にある。そして円盤2には、円形状のくぼみ部分に、取手として、長さ13mm、外径15mmの円柱が、円盤2の中心と円柱の底面の中心が一致する位置にある。更に、円盤2は、直径2mmの穴64個が放射状にあいたものである。円盤2の穴について説明する。穴は、円盤の八等分線上に円盤の中心から10mmの位置から30mmの位置の間に直径2mmの穴が5個ずつ5mmの等間隔に存在する(計40個)。それに加え、上記の等分線から22.5°傾いた八等分線上に円盤の中心から20mmの位置から30mmの位置の間に直径2mmの穴が3個ずつ5mmの等間隔に存在する(計24個)。そして、円盤2の重量は、60g±5gである。
【0110】
<膨潤容積の測定手順>
垂直に立てた底板付円筒1内に150〜850μmの粒子径にふるい分けした測定試料2.50g(含水率は8.0%以下)を秤量し、底板付円筒1の底部にほぼ均一な厚みになるように投入し、円盤2を円柱の取手が上になるように載せ、厚み計(例えばMitutoyo社製デジマチックインジケータ ID−F150)を用いて円筒の底面から円盤の取手の上面までの距離を測定する。このとき、デジマチックインジケータの測定棒の重み(140g±10g)と取手付円盤2の重みにより測定試料にかかる圧力は3.9±0.3g/cmとなる。次に、デジマッチクインジケーターの厚みの表示を0にする。引き続いて生理食塩水120mlを2秒以内に底付円筒1内に投入する。この投入開始の時間を0とし、投入開始から時間経過により円盤2が上昇した距離H(cm)を連続データとして記録する。測定試料1g当たりの膨潤容積(ml)を以下の式により計算することで、時間に対する膨潤容積変化のデータを得る。このデータから、膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と膨潤容積が40mlに達するまでの時間(t2)を求める。測定は5回行い、その平均値を測定値とする。
【0111】
【数1】

【0112】
吸収性樹脂(C)の粒子及び吸収性組成物(D)の粒子に疎水性物質(E)を含有させて吸収性樹脂粒子(P−1)及び吸収性組成物粒子(P−2)を製造する方法としては、例えば(1)疎水性物質(E)と前記(C)又は(D)の含水ゲルとを、好ましくは20〜100℃、更に好ましくは40〜90℃、特に好ましくは50〜80℃で混合・混練後粒子化する方法、(2)疎水性物質(E)と前記(A1)及び/又は(A2)との存在下で(B1)及び/又は(B2)を製造後粒子化する方法が挙げられる。
【0113】
吸収性樹脂(C)及び吸収性組成物(D)の製造工程における、前記(A1)及び/又は(A2)と(B1)及び/又は(B2)との結合時期、又は混合時期について、一般的な(B1)及び/又は(B2)に関する以下の工程[1]〜[4]に基づいて、説明する。
[1](メタ)アクリル酸モノマー及び/又はそれが中和剤で中和された塩をラジカル重合によって(B1)及び/又は(B2)を製造する工程、
[2]前記(B1)及び/又は(B2)を中和する工程、
[3]前記(B1)及び/又は(B2)を乾燥させる工程、
[4]前記(B1)及び/又は(B2)を表面架橋する工程。
【0114】
工程[1]において前記(A1)及び/又は(A2)の存在下で(B1)及び/又は(B2)を製造することにより、(A1)及び/又は(A2)に(B1)及び/又は(B2)がグラフトした吸収性樹脂(C)が得られる。
【0115】
工程[1]と工程[2]の間、又は工程[2]と工程[3]の間に、前記(A1)及び/又は(A2)と(B1)及び/又は(B2)とを結合剤により結合する工程を設けることにより、吸収性樹脂(C)が得られる。
【0116】
工程[3]において、前記(A1)及び/又は(A2)と結合剤を共存させ、乾燥過程において(A1)及び/又は(A2)と(B1)及び/又は(B2)との結合反応を行うことで吸収性樹脂(C)が得られる。
【0117】
吸収性組成物(D)における前記(A1)及び/又は(A2)と(B1)及び/又は(B2)と必要により使用する吸収性樹脂(C)との混合は、工程[1]終了後であれば任意の時期に実施することができる。ただし、工程[3]終了以降では(B1)及び/又は(B2)が固体であるため、粉体ブレンドの形で吸収性組成物(D)が得られる。また、工程[3]終了以降に用いられる(A1)及び/又は(A2)は表面架橋処理されていてもよい。更に、(A1)及び/又は(A2)と(B1)及び/又は(B2)との混合物を工程[4]で表面架橋することにより、表面にのみ吸収性樹脂(C)を有する吸収性組成物(D)を得ることができる。
【0118】
本発明の吸収性樹脂、吸収性樹脂粒子、吸収性組成物、吸収性組成物粒子は、単独に又は組み合わせて、繊維、不織布及び織物からなる群から選択される少なくとも1種と共に用いて吸収体とすることができる。
【0119】
繊維、不織布又は織物としては各種フラッフパルプや綿状パルプ等、従来から吸収性物品に使用されている繊維状物[原料(針葉樹及び広葉樹等)、製造方法{ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ及びケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等}、漂白方法等については特に限定されない。]等が挙げられる。また、前記の繊維状物の他に、水に膨潤しない合成繊維も単独あるいは上記のフラッフパルプや綿状パルプ等と併用して使用できる。合成繊維としては、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン系繊維及びポリプロピレン系繊維等)、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維等)、ポリオレフィン・ポリエステル複合繊維、ポリアミド系繊維及びポリアクリロニトリル系繊維等が挙げられる。吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの(特開2003−225565号公報等)と同様である。
【0120】
また、この吸収体は吸収性物品[紙おむつ、生理用ナプキン、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート等]に好適に使用される。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの(特開2003−225565号公報等)と同様である。
【0121】
本発明の吸収性樹脂、吸収性樹脂粒子、吸収性組成物、吸収性組成物粒子を、繊維、不織布及び織物からなる群から選択される少なくとも1種と共に吸収体とする場合、これらと繊維等の重量比率(吸収性樹脂粒子等の重量/繊維等の重量)は40/60〜70/30が好ましく、更に好ましくは50/50〜60/40である。
【実施例】
【0122】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
【0123】
<製造例1>:架橋ポリアクリル酸の含水ゲルの製造
アクリル酸(三菱化学株式会社製、純度100%)155部(2.15モル部)、内部架橋剤としてのペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー株式会社製)0.6225部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素濃度を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325部及び、界面活性剤(A−1)(ヘキサデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物)1.9部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより架橋ポリアクリル酸の含水ゲル(B2−1)502.27重量部を得た。
【0124】
<製造例2>:直鎖ポリアクリル酸の水溶液の製造
内部架橋剤としてのペンタエリスリトールトリアリルエーテルを添加しないこと以外は製造例1と同様にして直鎖ポリアクリル酸の水溶液(B1−1)501.65重量部を得た。
【0125】
<製造例3>:多糖類酸化物の水溶液(A1−1)の製造
デンプン(MS−3800、日本食品化工株式会社製)5部とイオン交換水100部を加えて撹拌した。32.6部の過マンガン酸カリウムをイオン交換水500部に溶解し、6時間にわたって添加した。この間、2規定の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を添加し、pHを12に維持した。過マンガン酸カリウムの添加終了後、更に2時間撹拌を続けた後、未反応の過マンガン酸カリウムを亜硫酸ソーダで還元し、副生成物である二酸化マンガンをろ別した。このろ液をイオン交換水で5日間拡散透析を行って精製した後、濃縮し、30重量%の多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を得た。得られた多糖類酸化物のMwは6,000、酸価は700mgKOH/gであった。
【0126】
<製造例4>:多糖類酸化物の水溶液(A1−2)の製造
デンプンをコーンスターチ(和光純薬株式会社製)に、過マンガン酸カリウムの仕込量を28部とし、添加時間を2時間とした以外は製造例3と同様にして30重量%の多糖類酸化物の水溶液(A1−2)を得た。得られた多糖類酸化物のMwは900,000、酸価は536mgKOH/gであった。
【0127】
<製造例5>:多糖類酸化物の水溶液(A1−3)の製造
過マンガン酸カリウムの仕込量を40部とし、添加時間を8時間とした以外は製造例4と同様にして30重量%の多糖類酸化物の水溶液(A1−3)を得た。得られた多糖類酸化物のMwは450,000、酸価は800mgKOH/gであった。
【0128】
<製造例6>:多糖類酸化物の水溶液(A1−4)の製造
デンプンをキプロガム(M−800A、日澱化学株式会社製)とした以外は製造例3と同様にして30重量%の多糖類酸化物の水溶液(A1−4)を得た。得られた多糖類酸化物のMwは85,000、酸価は750mgKOH/gであった。
【0129】
<製造例7>:多糖類酸化物の水溶液(A1−5)の製造
12重量%水酸化ナトリウム水溶液31.9部を撹拌しながら、これにセルロース(KCフロック W−400G、日本製紙ケミカル株式会社製)5部を添加し、25℃で90分間均一混合してセルロースをマーセル化した。40.0部の過マンガン酸カリウムをイオン交換水613部に溶解し、10時間かけて添加した。この間、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを12に維持した。その後は製造例3と同様にして、30重量%の多糖類酸化物の水溶液(A1−5)を得た。得られた多糖類酸化物のMwは320,000、酸価は、610mgKOH/gであった。
【0130】
<製造例8>:多糖類酸化物の水溶液(A1−6)の製造
デンプン5部をカルボキシメチルセルロース(アルドリッチ社製、置換度0.7)6.3部とした以外は製造例3と同様にして30重量%の多糖類酸化物の水溶液(A1−6)を得た。得られた多糖類酸化物のMwは300,000、酸価は525mgKOH/gであった。
【0131】
<製造例9>:多糖類酸化物の架橋物の含水ゲル(A2−1)の製造
製造例3において製造した30重量%の多糖類酸化物の水溶液(A1−1)100部に対して、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液21.6部、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)0.5部を添加して90℃で30分間撹拌し、多糖類酸化物の架橋物の含水ゲル(A2−1)120.1部を得た。
【0132】
<製造例10>:多糖類酸化物架橋物の含水ゲル(A2−2)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を製造例4において製造した多糖類酸化物の水溶液(A1−2)とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液の仕込量を16.6部とした以外は、製造例9と同様にして、多糖類酸化物架橋物の含水ゲル(A2−2)116.5部を得た。
【0133】
<製造例11>:多糖類酸化物の架橋物の含水ゲル(A2−3)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を製造例5において製造した多糖類酸化物の水溶液(A1−3)とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液の仕込量を24.7部とした以外は、製造例9と同様にして、多糖類酸化物の架橋物の含水ゲル(A2−3)123.6部を得た。
【0134】
<製造例12>:多糖類酸化物の架橋物の含水ゲル(A2−4)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を製造例6において製造した多糖類酸化物の水溶液(A1−4)とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液の仕込量を23.2部とした以外は、製造例9と同様にして、多糖類酸化物架橋物の含水ゲル(A2−4)122.3部を得た。
【0135】
<製造例13>:多糖類酸化物架橋物の含水ゲル(A2−5)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を製造例7において製造した多糖類酸化物の水溶液(A1−5)とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液の仕込量を18.9部とした以外は、製造例9と同様にして、多糖類酸化物の架橋物の含水ゲル(A2−5)118.1部を得た。
【0136】
<製造例14>:多糖類酸化物の架橋物の含水ゲル(A2−6)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を製造例8において製造した多糖類酸化物の水溶液(A1−6)とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液の仕込量を16.2部とした以外は、製造例9と同様にして、多糖類酸化物の架橋物の含水ゲル(A2−6)116.0部を得た。
【0137】
<実施例1>:グラフト重合物の含水ゲル(G1)の製造
アクリル酸(三菱化学株式会社製、純度100%)93部(1.29モル部)、内部架橋剤としてのペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー株式会社製)0.3735部(0.0014モル部)、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)2.475部及び製造例3で製造した多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を予め溶解させた脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素濃度を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.372部、2%アスコルビン酸水溶液0.698部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液1.395部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することによりグラフト重合物の含水ゲル(G1)501.01部を得た。
【0138】
<実施例2>:グラフト重合物の含水ゲル(G2)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−2)とした以外は、実施例1と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G2)を得た。
【0139】
<実施例3>:グラフト重合物の含水ゲル(G3)の製造
アクリル酸の仕込量を108.5部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)155.5部とした以外は実施例1と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G3)を得た。
【0140】
<実施例4>:グラフト重合物の含水ゲル(G4)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)とした以外は、実施例1と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G4)を得た。
【0141】
<実施例5>:グラフト重合物の含水ゲル(G5)の製造
アクリル酸の仕込量を31部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)413.3部とした以外は実施例1と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G5)を得た。
【0142】
<実施例6>:グラフト重合物の含水ゲル(G6)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−4)とした以外は、実施例1と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G6)を得た。
【0143】
<実施例7>:グラフト重合物の含水ゲル(G7)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−5)とした以外は、実施例1と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G7)を得た。
【0144】
<実施例8>:グラフト重合物の含水ゲル(G8)の製造
アクリル酸の仕込量を108.5部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)155.5部とした以外は実施例1と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G8)を得た。
【0145】
<実施例9>:グラフト重合物の含水ゲル(G9)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)とした以外は、実施例1と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G9)を得た。
【0146】
<実施例10>:グラフト重合物の含水ゲル(G10)の製造
アクリル酸の仕込量を31部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)413.3部とした以外は実施例1と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G10)を得た。
【0147】
<実施例11>:グラフト重合物の含水ゲル(G11)の製造
内部架橋剤であるペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー株式会社製)を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G11)を得た。
【0148】
<実施例12>:グラフト重合物の含水ゲル(G12)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−2)とした以外は、実施例11と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G12)を得た。
【0149】
<実施例13>:グラフト重合物の含水ゲル(G13)の製造
アクリル酸の仕込量を108.5部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)155.5部とした以外は実施例11と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G9)を得た。
【0150】
<実施例14>:グラフト重合物の含水ゲル(G14)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)とした以外は、実施例11と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G14)を得た。
【0151】
<実施例15>:グラフト重合物の含水ゲル(G15)の製造
アクリル酸の仕込量を31部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)413.3部とした以外は実施例11と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G15)を得た。
【0152】
<実施例16>:グラフト重合物の含水ゲル(G16)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−4)とした以外は、実施例11と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G16)を得た。
【0153】
<実施例17>:グラフト重合物の含水ゲル(G17)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−5)とした以外は、実施例11と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G17)を得た。
【0154】
<実施例18>:グラフト重合物の含水ゲル(G18)の製造
アクリル酸の仕込量を108.5部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)155.5部とした以外は実施例11と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G18)を得た。
【0155】
<実施例19>:グラフト重合物の含水ゲル(G19)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)とした以外は、実施例11と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G19)を得た。
【0156】
<実施例20>:グラフト重合物の含水ゲル(G20)の製造
アクリル酸の仕込量を31部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)413.3部とした以外は実施例11と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G20)を得た。
【0157】
<実施例21>:グラフト重合物の含水ゲル(G21)の製造
アクリル酸(三菱化学株式会社製、純度100%)93部(1.29モル部)、内部架橋剤としてのペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー株式会社製)0.3735部(0.0014モル部)及び製造例3で製造した多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を予め溶解させた脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素濃度を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.372部、2%アスコルビン酸水溶液0.698部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液1.395部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することによりグラフト重合物の含水ゲル(G21)501.01部を得た。
【0158】
<実施例22>:グラフト重合物の含水ゲル(G22)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−2)とした以外は、実施例21と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G22)を得た。
【0159】
<実施例23>:グラフト重合物の含水ゲル(G23)の製造
アクリル酸の仕込量を108.5部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)155.5部とした以外は実施例21と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G23)を得た。
【0160】
<実施例24>:グラフト重合物の含水ゲル(G24)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)とした以外は、実施例21と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G24)を得た。
【0161】
<実施例25>:グラフト重合物の含水ゲル(G25)の製造
アクリル酸の仕込量を31部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)413.3部とした以外は実施例21と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G25)を得た。
【0162】
<実施例26>:グラフト重合物の含水ゲル(G26)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−4)とした以外は、実施例21と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G26)を得た。
【0163】
<実施例27>:グラフト重合物の含水ゲル(G27)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−5)とした以外は、実施例21と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G27)を得た。
【0164】
<実施例28>:グラフト重合物の含水ゲル(G28)の製造
アクリル酸の仕込量を108.5部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)155.5部とした以外は実施例21と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G28)を得た。
【0165】
<実施例29>:グラフト重合物の含水ゲル(G29)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)とした以外は、実施例21と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G29)を得た。
【0166】
<実施例30>:グラフト重合物の含水ゲル(G30)の製造
アクリル酸の仕込量を31部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)413.3部とした以外は実施例21と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G30)を得た。
【0167】
<実施例31>:グラフト重合物の含水ゲル(G31)の製造
ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー株式会社製)を添加しないこと以外は実施例21と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G31)を得た。
【0168】
<実施例32>:グラフト重合物の含水ゲル(G32)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−2)とした以外は、実施例31と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G32)を得た。
【0169】
<実施例33>:グラフト重合物の含水ゲル(G33)の製造
アクリル酸の仕込量を108.5部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)155.5部とした以外は実施例31と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G33)を得た。
【0170】
<実施例34>:グラフト重合物の含水ゲル(G34)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)とした以外は、実施例31と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G34)を得た。
【0171】
<実施例35>:グラフト重合物の含水ゲル(G35)の製造
アクリル酸の仕込量を31部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−3)413.3部とした以外は実施例31と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G35)を得た。
【0172】
<実施例36>:グラフト重合物の含水ゲル(G36)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−4)とした以外は、実施例31と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G36)を得た。
【0173】
<実施例37>:グラフト重合物の含水ゲル(G37)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−5)とした以外は、実施例31と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G37)を得た。
【0174】
<実施例38>:グラフト重合物の含水ゲル(G38)の製造
アクリル酸の仕込量を108.5部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)155.5部とした以外は実施例31と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G38)を得た。
【0175】
<実施例39>:グラフト重合物の含水ゲル(G39)の製造
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)とした以外は、実施例31と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G39)を得た。
【0176】
<実施例40>:グラフト重合物の含水ゲル(G40)の製造
アクリル酸の仕込量を31部とし、多糖類酸化物の水溶液(A1−1)206.7部を多糖類酸化物の水溶液(A1−6)413.3部とした以外は実施例31と同様にして、グラフト重合物の含水ゲル(G40)を得た。
【0177】
<実施例41〜60>
表1の仕込み処方に従って、ポリアクリル酸の架橋物(B2)の含水ゲルと、多糖類酸化物の水溶液(A1)又は多糖類酸化物の架橋物(A2)の含水ゲルとをミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して混合し細断ゲルを得た。細断ゲルを通気型バンド乾燥機(150℃、風速2m/秒)で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌(ホソカワミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら表面架橋剤の溶液をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、実施例41〜60の吸収性組成物を得た。得られた吸収性組成物の保水量とゲル弾性率の測定結果を表1に示す。なお、表1中、表面架橋剤の溶液は、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2重量%水/メタノール(重量比=70/30)混合溶液である。
【0178】
【表1】

【0179】
<実施例61〜80>
表2の仕込み処方に従って、ポリアクリル酸の架橋物(B2)の含水ゲルと、多糖類酸化物(A1)の水溶液又は多糖類酸化物の架橋物(A2)の含水ゲルと、結合剤の溶液とを80℃の温度でミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して混合し細断ゲルを得た。その後は実施例41と同様にして、実施例61〜80の吸収性組成物を得た。得られた吸収性組成物の保水量とゲル弾性率の測定結果を表2に示す。なお、表2中、表面架橋剤の溶液は、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2重量%水/メタノール(重量比=70/30)混合溶液である。結合剤の溶液は、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2重量%水/メタノール(重量比=70/30)混合溶液である。
【0180】
【表2】

【0181】
<実施例81〜100>
表3の仕込み処方に従って、ポリアクリル酸(B1)の水溶液と、多糖類酸化物(A1)の水溶液又は多糖類酸化物の架橋物(A2)の含水ゲルとをミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して混合し細断ゲルを得た。その後は、実施例41と同様にして、実施例81〜100の吸収性組成物を得た。得られた吸収性組成物の保水量とゲル弾性率の測定結果を表3に示す。なお、表3中、表面架橋剤の溶液は、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2重量%水/メタノール(重量比=70/30)混合溶液である。
【0182】
【表3】

【0183】
<実施例101〜120>
表4の仕込み処方に従って、ポリアクリル酸(B1)の水溶液と、多糖類酸化物(A1)の水溶液又は多糖類酸化物の架橋物(A2)の含水ゲルと、結合剤の溶液とを80℃の温度でミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液23.1部を添加して混合し細断ゲルを得た。その後は実施例41と同様にして、実施例101〜120の吸収性組成物を得た。得られた吸収性組成物の保水量とゲル弾性率の測定結果を表4に示す。なお、表4中、表面架橋剤の溶液は、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2重量%水/メタノール(重量比=70/30)混合溶液である。結合剤の溶液は、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2重量%水/メタノール(重量比=70/30)混合溶液である。
【0184】
【表4】

【0185】
<実施例121〜160>
グラフト重合物(G)の含水ゲルをミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して混合し細断ゲルを得た。その後は実施例41と同様にして、実施例121〜160の吸収性組成物を得た。得られた吸収性組成物の保水量とゲル弾性率の測定結果を表5−1〜表5−2に示す。なお、表5−1〜表5−2中、表面架橋剤の溶液は、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2重量%水/メタノール(重量比=70/30)混合溶液である。
【0186】
【表5】

【0187】
【表6】

【0188】
<比較例1>
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を市販のデンプン(日本コーンスターチ社製SK−100)の30重量%水溶液とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を16.8部とした以外は実施例41と同様にして比較用の吸収性組成物を得た。
【0189】
<比較例2>
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を市販のコーンスターチ(和光純薬株式会社製)の30重量%水溶液とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を16.8部とした以外は実施例41と同様にして比較用の吸収性組成物を得た。
【0190】
<比較例3>
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を市販のキプロガム(M−800A、日澱化学株式会社製)の30重量%水溶液とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を16.8部とした以外は実施例41と同様にして比較用の吸収性組成物を得た。
【0191】
<比較例4>
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)を市販のカルボキシメチルセルロース(アルドリッチ社製、置換度0.7)の30重量%水溶液とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を20.5部とした以外は実施例61と同様にして比較用の吸収性組成物を得た。
【0192】
<比較例5>
架橋ポリアクリル酸の含水ゲル(B2−1)60部及び多糖類酸化物の水溶液(A1−1)40部を市販のカルボキシメチルセルロース(アルドリッチ社製、置換度0.7)の30重量%水溶液100部とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を12.2部とした以外は実施例61と同様にして比較用の吸収性組成物を得た。
【0193】
<比較例6>
架橋ポリアクリル酸の含水ゲル(B2−1)60部及び多糖類酸化物の水溶液(A1−1)40部を市販のキプロガム(M−800A、日澱化学株式会社製)の30重量%水溶液100部とし、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を2.2部とした以外は実施例41と同様にして比較用の吸収性組成物を得た。
比較例1〜6で得られた比較用の吸収性組成物の保水量とゲル弾性率の測定結果を表6に示す。
【0194】
【表7】

【0195】
表1〜6から、比較例1〜6の吸収性組成物に比べて、実施例1〜160の吸収性組成物の保水量が優れていることが分かる。また、実施例1〜160の吸収性組成物は、比較例5〜6のカルボキシル基を有する多糖類のみからなる吸収性組成物に対して、高いゲル弾性率を有していることが分かる。
【0196】
<実施例161>
製造例1で得られた架橋ポリアクリル酸の含水ゲル(B2−1)60部、製造例3で得られた多糖類酸化物の水溶液(A1−1)40部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液24.3部を添加して混合し、引き続き疎水性物質としてのオクタデカン酸0.19部を添加して混合し細断ゲルを得た。細断ゲルを通気型バンド乾燥機(150℃、風速2m/秒)で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌(ホソカワミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、吸収性組成物粒子を得た。また、疎水性物質(オクタデカン酸)は吸収性組成物粒子の内部に0.520%存在し、表面に0.015%存在した。
【0197】
<実施例162>
オクタデカン酸0.19部をショ糖ノナン酸モノエステル0.38部とした以外は実施例161と同様にして、吸収性組成物粒子を得た。疎水性物質(ショ糖ノナン酸モノエステル)は吸収性組成物粒子の内部に1.03%存在し、表面に0.061%存在した。
【0198】
<実施例163>
オクタデカン酸0.19部をソルビットノナン酸モノエステル0.38部とした以外は実施例161と同様にして、本発明の吸収性組成物粒子を得た。疎水性物質(ソルビットノナン酸モノエステル)は吸収性組成物粒子の内部に1.05%存在し、表面に0.035%存在した。
【0199】
<比較例7>
多糖類酸化物の水溶液(A1−1)及びオクタデカン酸を使用せず、架橋ポリアクリル酸の含水ゲル(B2−1)の使用部数を100部に、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液の使用部数を24.0部に代えた以外は実施例161と同様にして、比較用の吸収性組成物粒子を得た。
【0200】
実施例161〜163及び比較例7で得た吸収性組成物粒子について、保水量、膨潤体積測定法による吸収速度及びゲル弾性率を測定した結果を表7に示す。
【0201】
【表8】

【0202】
表7から、実施例161〜163の吸収性組成物粒子は、比較例7の吸収性組成物粒子に比べ、中後期の吸収速度が早く、より吸収性物品に適した吸収速度パターンを有する吸収性組成物粒子であることが分かる。
【0203】
<実施例164〜166及び比較例8>
吸収速度パターンが適切な吸収性組成物粒子を吸収性物品に適用したときの吸収特性を示すため、実施例161〜163及び比較例7で得た吸収性組成物粒子を用いて、以下のようにして2種類の吸収性物品(紙おむつ)を調製し、SDME法による表面ドライネス値を測定した。結果を表8に示す。
【0204】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製1>
フラッフパルプ100部と評価試料(吸収性組成物粒子)100部とを気流型混合装置(株式会社オーテック社製パッドフォーマー)で混合して、混合物を得た後、この混合物を坪量約500g/mとなるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5kg/cmの圧力で30秒間プレスし、吸収体(1)を得た。この吸収体(1)を10cm×40cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)を配置し、更にポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(坪量20g/m、旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより紙おむつ(1)を調製した。吸収性組成物粒子と繊維の重量比率(吸収性組成物粒子の重量/繊維の重量)は50/50であった。
【0205】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製2>
「フラッフパルプ100部と評価試料(吸収性組成物粒子)100部」を「フラッフパルプ80部と評価試料(吸収性組成物粒子)120部」に変更したこと以外、吸収性物品(紙おむつ)の調製1と同様にして、紙おむつ(2)を調整した。吸収性組成物粒子と繊維の重量比率(吸収性組成物粒子の重量/繊維の重量)は60/40であった。
【0206】
<SDME法による表面ドライネス値の測定方法>
SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)の検出器を十分に湿らした紙おむつ[人工尿(塩化カリウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及び脱イオン水99.09重量%)の中に紙おむつを浸し、60分放置して調製した。]の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ(紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥して調製した。)の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。次に、測定する紙おむつの中央に金属リング(内径70mm、長さ50mm)をセットし、人工尿80mlを注入し、人工尿を吸収し終えたら(人工尿による光沢が確認できなくなるまで)、直ちに金属リングを取り去り、紙おむつの中央及びその左右(紙おむつ40cmの端から10cmの等間隔に3箇所)にSDME検出器を3つ載せて、表面ドライネス値の測定を開始し、測定開始から5分後の値をそれぞれ表面ドライネス値(中央)、表面ドライネス値(左)、表面ドライネス値(右)とした。
なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。
【0207】
【表9】

【0208】
表8から、実施例161〜163の吸収性組成物粒子を使用した紙おむつは、比較例7の吸収性組成物粒子を使用した紙おむつに比べ、表面ドライネス値(中央)、(左)、(右)がより偏りがなく優れていた。すなわち、本発明の吸収性組成物粒子は、吸収性物品に適用したとき、より適切な吸収速度パターンであるため、優れた吸収特性を示した。したがって、本発明の吸収性組成物粒子を適用した吸収性物品を使用しても、カブレ等の心配がないことが容易に予測される。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明の吸収性樹脂、吸収性樹脂粒子、吸収性組成物、吸収性組成物粒子は、高い植物由来原料比率を有し、かつ、水性液体の吸収能に優れ、良好なゲル弾性率を有することにより加圧状態での吸収能にも優れるため、衛生材料(子供及び大人用の紙おむつ、生理用ナプキン、衛生綿、包帯、失禁用パッド、紙タオルなど)、食品用材料(鮮度保持剤、ドリップ吸収剤など)、園芸用材料(保水剤、土壌改良剤など)、建築材料(結露防止剤など)等の種々の産業用途に有用である。
【符号の説明】
【0210】
1:底付円筒
2:円盤
3:吸収性組成物粒子
4:デジマチックインジケーターの厚み測定用の表示部
5:デジマチックインジケーターの棒
6:デジマチックインジケーターの台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中和剤で中和されていてもよいカルボキシル基を有する多糖類酸化物(A1)及び/又はその架橋物(A2)と、少なくとも一つのカルボキシル基が中和剤で中和されていてもよいポリ(メタ)アクリル酸(B1)及び/又はその架橋物(B2)とが結合されてなる水性液体吸収性樹脂であって、前記(A1)の重量平均分子量が2,000〜10,000,000であり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有しない場合は前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gであり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有する場合は中和前の前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gである水性液体吸収性樹脂。
【請求項2】
前記(A1)が、中和剤で中和されていてもよいカルボキシル基を有するデンプン酸化物又はセルロース酸化物である請求項1記載の水性液体吸収性樹脂。
【請求項3】
前記(A1)及び/又は前記(A2)と、前記(B1)及び/又は前記(B2)とが、炭素数2〜6の多価アルコール(k1)、炭素数8〜21の多価グリシジルエーテル(k2)、炭素数2〜6の多価アミン(k3)及び炭素数2〜8のアルカノールアミン(k4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合剤を用いて結合されてなる請求項1又は2記載の水性液体吸収性樹脂。
【請求項4】
前記(A1)及び/又は前記(A2)に前記(B1)及び/又は前記(B2)をグラフト重合することにより、前記(A1)及び/又は前記(A2)と前記(B1)及び/又は前記(B2)とが結合されてなる請求項1又は2記載の水性液体吸収性樹脂。
【請求項5】
前記(B1)及び前記(B2)が有するカルボキシル基の合計量に対する中和率が、85%未満である請求項1〜4のいずれか記載の水性液体吸収性樹脂。
【請求項6】
前記(A1)、前記(A2)、前記(B1)及び前記(B2)が有するカルボキシル基の合計量に対する中和率が、65〜75%である請求項1〜5のいずれか記載の水性液体吸収性樹脂。
【請求項7】
前記中和剤が、アルカリ金属の水酸化物である請求項1〜6のいずれか記載の水性液体吸収性樹脂。
【請求項8】
結合された前記(A1)及び(A2)の合計量が、吸収性樹脂の重量を基準として30〜90重量%である請求項1〜7のいずれか記載の水性液体吸収性樹脂。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか記載の水性液体吸収性樹脂と疎水性物質(E)とを含有してなる吸収性樹脂粒子であって、前記(E)が炭素数8〜26の1価の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、かつカルボキシル基と水素結合を形成しうる官能基を少なくとも1つ有する化合物であり、前記(E)が水性液体吸収性樹脂の重量に基づき、吸収性樹脂粒子の内部に0.01〜10.0重量%存在し、吸収性樹脂粒子の表面に0.001〜1.0重量%存在する吸収性樹脂粒子。
【請求項10】
25℃における、吸収性樹脂粒子1gが生理食塩水を吸収してその膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と、膨潤容積が40mlに達するまでの時間(t2)の比率(t2/t1)が、5〜20である請求項9記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項11】
前記カルボキシル基と水素結合を形成しうる官能基が、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、水酸基、オキシカルボニル基、リン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アミド基、ウレタン基及びウレア基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基である請求項9又は10に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか記載の水性液体吸収性樹脂及び/又は請求項9〜11のいずれか記載の吸収性樹脂粒子と、繊維、不織布及び織物からなる群から選択される少なくとも1種とを用いてなる吸収体。
【請求項13】
請求項12記載の吸収体を用いてなる吸収性物品。
【請求項14】
中和剤で中和されていてもよいカルボキシル基を有する多糖類酸化物(A1)及び/又はその架橋物(A2)と、少なくとも一つのカルボキシル基が中和剤で中和されていてもよいポリ(メタ)アクリル酸(B1)及び/又はその架橋物(B2)とを含有してなる水性液体吸収性組成物であって、前記(A1)の重量平均分子量が2,000〜10,000,000であり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有しない場合は前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gであり、前記(A1)が中和剤で中和されたカルボキシル基を有する場合は中和前の前記(A1)の酸価が65〜850mgKOH/gである水性液体吸収性組成物。
【請求項15】
更に、請求項1〜8のいずれか記載の水性液体吸収性樹脂を含有してなる請求項14記載の水性液体吸収性組成物。
【請求項16】
前記(A1)が、中和剤で中和されていてもよいカルボキシル基を有するデンプン酸化物又はセルロース酸化物である請求項14又は15記載の水性液体吸収性組成物。
【請求項17】
前記(B1)及び前記(B2)が有するカルボキシル基の合計量に対する中和率が、85%未満である請求項14〜16のいずれか記載の水性液体吸収性組成物。
【請求項18】
前記(A1)、前記(A2)、前記(B1)及び前記(B2)が有するカルボキシル基の合計量に対する中和率が、65〜75%である請求項14〜17のいずれか記載の水性液体吸収性組成物。
【請求項19】
前記中和剤が、アルカリ金属の水酸化物である請求項14〜18のいずれか記載の水性液体吸収性組成物。
【請求項20】
水性液体吸収性樹脂を含有しない場合は含有される前記(A1)及び前記(A2)の合計量が水性液体吸収性組成物の重量を基準として30〜90重量%であり、水性液体吸収性樹脂を含有する場合は含有される前記(A1)及び前記(A2)と水性液体吸収性樹脂中の結合された前記(A1)及び前記(A2)との合計量が水性液体吸収性組成物の重量を基準として30〜90重量%である請求項14〜19のいずれか記載の水性液体吸収性組成物。
【請求項21】
請求項14〜20のいずれか記載の水性液体吸収性組成物と疎水性物質(E)とを含有してなる吸収性組成物粒子であって、前記(E)が炭素数が8〜26の1価の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、かつカルボキシル基と水素結合を形成しうる官能基を少なくとも1つ有する化合物であり、前記(E)が吸収性組成物粒子の重量に基づき、吸収性組成物粒子の内部に0.01〜10.0重量%存在し、吸収性組成物粒子の表面に0.001〜1.0重量%存在する吸収性組成物粒子。
【請求項22】
25℃における、吸収性組成物粒子1gが生理食塩水を吸収してその膨潤容積が5mlに達するまでの時間(t1)と、膨潤容積が40mlに達するまでの時間(t2)との比率(t2/t1)が5〜20である請求項21記載の吸収性組成物粒子。
【請求項23】
前記カルボキシル基と水素結合を形成しうる官能基が、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、水酸基、オキシカルボニル基、リン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アミド基、ウレタン基及びウレア基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基である請求項21又は22に記載の吸収性組成物粒子。
【請求項24】
請求項14〜20のいずれか記載の水性液体吸収性組成物及び/又は請求項21〜23のいずれか記載の吸収性組成物粒子と、繊維、不織布及び織物からなる群から選択される少なくとも1種とを用いてなる吸収体。
【請求項25】
請求項24記載の吸収体を用いてなる吸収性物品。

【図1】
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【公開番号】特開2013−17831(P2013−17831A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226809(P2012−226809)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2012−529830(P2012−529830)の分割
【原出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】