説明

水性液状洗浄剤組成物

【課題】洗浄効果、洗浄後のべたつき感のなさ、洗浄後の保湿感に優れる水性液状洗浄料を提供すること。
【解決手段】 次の成分(A)〜(E);
(A)高級脂肪酸塩及び/又はベタイン型両性界面活性剤から選ばれる一種又は二種以上の洗浄用界面活性剤
(B)HLB8〜12のポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
(C)ラウリン酸ジエチレングリコール
(D)炭素数12〜18の高級脂肪酸と炭素数2〜6の一価のアルコールからなる25℃で液状であるエステル油 2〜10質量%
(E)水
を含有することを特徴とする水性液状洗浄剤組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高級脂肪酸塩及び/又はベタイン型両性界面活性剤から選ばれる一種又は二種以上の洗浄用界面活性剤、HLB8〜12のポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ラウリン酸ジエチレングリコール、炭素数12〜18の高級脂肪酸と炭素数2〜6の一価のアルコールからなる25℃で液状であるエステル油 2〜10質量%及び水を含有する水性液状洗浄剤組成物に関するものであり、更に詳しくは、洗浄効果に優れ、洗浄後のべたつき感のなさ及び保湿感に優れる水性液状洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、油性マスカラや落ちにくい口紅、耐水性に優れた日焼け止め料等、化粧持ちに優れる、あるいは化粧くずれしにくい等の化粧効果持続性に優れる化粧料の開発が行われている。そのため化粧料の使用後に肌から除去する洗浄剤組成物においても洗浄力を向上させる技術開発がなされている。一般に、洗浄剤組成物は、基剤となる成分の組合せにより外相が油性である油性型と外相が水性である水性型とに大別することができる。油性型にはクレンジングオイルや、油中水乳化型があり、水性型には、可溶化型、水中油乳化型等が挙げられる。
【0003】
外相が油性である油性型は、油汚れ等に対する洗浄効果には優れる特性はあるものの、洗浄後においても油性成分が残るなど、べたつき感を感じる場合がある。そのため別の洗顔料等が必要となる場合があった。一方、外相が水性である水性型は、みずみずしい使用感に優れるものの、油性型に比べて洗浄力に劣る場合があった。そのため、スクラブ剤等を配合して物理的作用による洗浄効果を向上させる検討(例えば、特許文献1参照)や界面活性剤を数種類組合せるなど、洗浄力を向上させる検討などがなされている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
他方、洗浄剤組成物を入れる容器も多くの検討がされている。なかでもポンプフォーマーはノズル部を押し下げることにより、きめ細かな泡をノズル先端から一定量吐出することから、利便性を備えた泡吐出ポンプ容器としてボディー用、洗顔用、洗髪用などの用途に広く用いられている(例えば、非特許文献1)
【0005】
【特許文献1】特開2006−188435号
【特許文献2】特開2004−182760号
【特許文献3】特開2007−16109号
【非特許文献1】食品と容器 vol.34,No.8 1993年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、スクラブ剤としての粉体の種類や配合量等によっては肌への物理的刺激を感じる場合があった。また等方性界面活性剤の連続相を利用する特許文献2の技術では、洗浄力は向上するものの、配合成分によっては洗浄液が分離するなど使用性上問題となる場合があった。また特許文献3の技術では、脂肪酸アルカノールアミドを20%以上使用することからも、洗浄後にべたつき感を感じる場合があった。
【0007】
すなわち、上記従来の技術を用いたとしても、みずみずしい使用感である水性液状洗浄料において油性型洗浄剤組成物と同様の洗浄効果があり、さらに洗浄後はべたつき感のない使用性や保湿感に優れるものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、高級脂肪酸塩又はベタイン型両性界面活性剤から選ばれる洗浄用界面活性剤の一種又は二種以上、HLB8〜12のポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ラウリン酸ジエチレングリコール、炭素数12〜18の高級脂肪酸と炭素数2〜6の一価のアルコールからなる25℃で液状であるエステル油 2〜10質量%及び水を含有する水性液状洗浄剤組成物が、洗浄効果、洗浄後のべたつき感のなさ及び洗浄後の保湿感に優れ、これを泡吐出ポンプ容器に収容した形態においては特に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(E);
(A)高級脂肪酸塩及び/又はベタイン型両性界面活性剤から選ばれる一種又は二種以上の洗浄用界面活性剤
(B)HLB8〜12のポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
(C)ラウリン酸ジエチレングリコール
(D)炭素数12〜18の高級脂肪酸と炭素数2〜6の一価のアルコールからなる25℃で液状であるエステル油 2〜10質量%
(E)水
を含有することを特徴とする水性液状洗浄剤組成物に関するものである。
【0010】
また成分(B)と成分(C)の含有質量比(B):(C)=3:1〜1:3であることを特徴とする水性液状洗浄剤組成物に関するものである。
【0011】
また前記成分(D)がミリスチン酸イソプロピル及び/又はオレイン酸エチルであることを特徴とする水性液状洗浄剤組成物に関するものである。
【0012】
更に泡吐出ポンプ容器に収容されることを特徴とする水性液状洗浄剤組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水性液状洗浄剤組成物は、洗浄効果、洗浄後のべたつき感のなさ及び洗浄後の保湿感に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
【0015】
本発明の水性液状洗浄剤組成物に含有する成分(A)の高級脂肪酸塩及び/又はベタイン型両性界面活性剤は主に洗浄効果の目的で含有されるものである。このような成分(A)に用いられる高級脂肪酸塩は、特に限定されないが、例えば炭素数8〜22の高級脂肪酸としては例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、イソステアリン酸、リチノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、2−パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、エライジン酸、リシノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸などの単一脂肪酸の他、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸等の混合脂肪酸が挙げられる。これら脂肪酸としては、飽和、不飽和もしくは直鎖、分岐いずれの脂肪酸塩を挙げることができる。またこれらの脂肪酸は塩基であらかじめ中和されたものを用いることができるが、製造時に別々に配合することで中和して用いるなどいずれの場合においても可能である。このような中和する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどの無機塩基、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパンジオールなどのアルカノールアミン、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。このような高級脂肪酸塩は、一種又は二種以上用いることができる。
【0016】
またベタイン型両性界面活性剤は、特に限定されないが、例えばオクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、ヤシ油アルキルスルホベタイン、ラウリルスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム等のアミドアミン型両性界面活性剤、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム等のイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤等を挙げることができ、これらを一種又は二種以上用いることができる。さらに前述の高級脂肪酸と併用して用いることもできる。
【0017】
これらのうち、成分(A)は良好な洗浄効果を得る上で、アニオン界面活性剤としては特にラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミンが特に好ましく、ベタイン型両性界面活性剤としてはオクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが特に好ましい。
【0018】
このような成分(A)の高級脂肪酸塩は、市販品として、アルホームK−100(新日本理化社製)、アルホームT−200(新日本理化社製)などを用いることができ、ベタイン型両性界面活性剤は、リカビオンA−100(新日本理化社製)、リカビオンB−200(新日本理化社製)を用いることができる。
【0019】
本発明の水性液状洗浄剤組成物における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、2〜20質量%(以下、単位に「%」と略す)が好ましく、4〜10%がより好ましい。成分(A)をこの範囲で含有すると、洗浄効果、洗浄後のべたつき感のなさに優れる水性液状洗浄剤組成物を得ることができる。
【0020】
本発明の水性液状洗浄剤組成物における成分(B)HLB8〜12のポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルは洗浄効果、洗浄後のべたつき感のなさを良好にする目的で含有されるものである。なお、ポリオキシエチレンの表記は以後、「POE」と略すこととする。このような成分(B)としては通常の化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、常温で液状ないしペースト状を呈するものが好ましい。具体的にはPOEグリセリルモノイソステアリン酸エステル(5EO)(HLB8)、POEグリセリルモノイソステアリン酸エステル(6EO)(HLB8)、POEグリセリルモノイソステアリン酸エステル(8EO)(HLB10)、POEグリセリルモノイソステアリン酸エステル(10EO)(HLB12)、POEグリセリルモノイソステアリン酸エステル(15EO)(HLB12)、POEグリセリルトリイソステアリン酸エステル(20EO)(HLB8)、POEグリセリルトリステアリン酸エステル(20EO)(HLB8)、POEグリセリルトリイソステアリン酸エステル(30EO)(HLB10)、POEグリセリルトリイソステアリン酸エステル(40EO)(HLB11)、POEグリセリルトリイソステアリン酸エステル(50EO)(HLB12)、POEグリセリルジイソステアリン酸エステル(20EO)(HLB10)、POEグリセリルジイソステアリン酸エステル(30EO)(HLB12)、テトラオレイン酸POEソルビットテトラオレイン酸エステル(6EO)(HLB8.5)テトラオレイン酸POEソルビットテトラオレイン酸エステル(30EO)(HLB11.5)を挙げることができ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0021】
これらのうち成分(B)は良好な洗浄効果を得る上で、POEグリセリルモノイソステアリン酸エステル(8EO)(HLB10)、POEグリセリルモノイソステアリン酸エステル(8EO)(HLB8)、テトラオレイン酸POEソルビットテトラオレイン酸エステル(30EO)(HLB11.5)が特に好ましい。
【0022】
このような成分(B)のPOEグリセリルモノイソステアリン酸エステル(8EO)(HLB10)は、市販品として、EMALEX GWIS−108(日本エマルジョン社製)、POEグリセリルモノイソステアリン酸エステル(20EO)(HLB8)は、市販品として、MファインオイルISG−20T(ミヨシ油脂社製)、EMALEX GWIS−320(日本エマルジョン社製)、テトラオレイン酸POEソルビットテトラオレイン酸エステル(30EO)(HLB11.5)は、市販品として、ニッコールGO−430NV(日光ケミカルズ社製)を用いることができる。
【0023】
本発明の水性液状洗浄剤組成物における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、1〜10%が好ましく、5〜8%がより好ましい。成分(B)をこの範囲で含有すると、洗浄効果に優れる水性液状洗浄剤組成物を得ることができる。
【0024】
本発明の水性液状洗浄剤組成物における成分(C)のラウリン酸ジエチレングリコールは洗浄効果を良好にする目的で含有されるものであり、また本発明の水性液状洗浄剤組成物の粘度付与剤としても機能することを特徴としている。
【0025】
このような成分(C)のラウリン酸ジエチレングリコールは、市販品として、GENAPOL DEL(クラリアント・ジャパン社製)を用いることができる。
【0026】
本発明の水性液状洗浄剤組成物における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、1〜10%が好ましく、2.5〜5%がより好ましい。成分(C)をこの範囲で含有すると、洗浄効果に優れる水性液状洗浄剤組成物を得ることができ、更に、ポンプフォーマー容器用として適度な粘度特性をもつ水性液状洗浄剤組成物とすることができ、吐出性や吐出後の泡沫安定効果を向上させることができる。
【0027】
また、本発明の水性液状洗浄剤組成物は、成分(B)を成分(C)と特定比率で含有することで、洗浄効果、洗浄後のべたつき感のなさに優れる水性液状洗浄剤組成物を得ることができる。洗浄効果を良好にし、洗浄後のべたつき感を良好にするという観点から成分(B)と成分(C)の含有質量比が7:1〜1:7が好ましく、さらに好ましくは3:1〜1:3であることが特に好ましい。
【0028】
本発明の水性液状洗浄剤組成物における成分(D)炭素数12〜18の高級脂肪酸と炭素数2〜6の一価のアルコールからなる25℃で液状であるエステル油は、洗浄効果、洗浄後の保湿感を良好にする目的で含有されるものである。このような成分(D)としては通常の化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸エチル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることが出来る。
【0029】
これらのうち成分(D)は良好な洗浄効果、洗浄後の保湿感を得る上でこれらの中より、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチルが特に好ましい。
【0030】
このような成分(D)のミリスチン酸イソプロピルは、市販品として、IPM−EX(日本サーファクタント工業社製)、オレイン酸エチルは、市販品として、CLEARBRIGHT E−81S(日油社製)を用いることができる。
【0031】
本発明の水性液状洗浄剤組成物における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、2〜10%が好ましく、2〜5%がより好ましい。成分(D)をこの範囲で含有すると、洗浄効果、洗浄後の保湿感に優れる水性液状洗浄剤組成物を得ることができる。成分(D)が2%未満の場合には洗浄効果、洗浄後の保湿感に優れる水性液状洗浄剤組成物を得ることができない。また、成分(D)の配合量が10%を超えると水性液状洗浄剤組成物としての経時安定性上問題となる場合があり、また、洗浄効果に与える影響も変わらないものとなる。
【0032】
本発明の水性液状洗浄剤組成物における成分(E)水の含有量は、成分(B)〜(D)の含有量によって異なるが水性液体洗浄剤組成物全体量に対し通常50〜80%の範囲で含有することが好ましい。
【0033】
本発明においては、上記必須成分の他に、炭素数12〜18の高級脂肪酸と炭素数8〜18の一価のアルコールからなる25℃で液状であるエステル油を併用することにより、水性液状洗浄剤組成物の洗浄効果や、洗浄後の保湿感をさらに良好なものとすることができる。このような成分としては、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸イソセチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸セチル、オレイン酸イソステアリル、オレイン酸オレイル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることが出来る。また配合量については、特に限定されないが、0.1〜5%が好ましい。
【0034】
なお、本発明の水性液状洗浄剤組成物において、「液状」とは25℃での粘度が1mPa・s〜6000mPa・sであることを指す。なおここでの粘度値の測定にはブルックフィールド型粘度計を用いることができ、「単一円筒型回転粘度計−ビスメトロン」(芝浦システム社製)などを用いて測定できる。
【0035】
なお、本発明の水性液状洗浄剤組成物において、水性とは、水及び水性媒体を連続層としているものであり、さらには油及び油性媒体を可溶化あるいは乳化(水中油型)等していてもよいものである。
【0036】
本発明の水性液状洗浄剤組成物の形態は特に限定されないが、泡吐出ポンプ容器を用いての使用が特に好ましい。泡吐出ポンプ容器は水性液状洗浄剤組成物と空気とを適当な空間(混合室)で混合して発泡させ、形成された泡を泡通路を経てノズル先端の吐出口から噴射するように構成されている。具体的には、ノズル部を押し下げることにより、本発明の水性液状洗浄剤組成物と容器外部から取り込まれた空気をディスペンサー内部に設けた泡生成部で混合し、発泡させ、ネットやスポンジなどを通して均質化し、きめの細かい泡をノズル先端部から一定量吐出する機構を有するものである。この容器を用いることで、水性液状洗浄剤組成物を手で泡立てることなく、きめの細かい泡を作ることが可能である。
【0037】
本発明の水性液状洗浄剤組成物の製造方法としては成分(A)、成分(E)を室温にて均一に混合した中に、あらかじめ均一に混合した成分(B)、成分(C)、成分(D)を添加し、混合することで得られる。混合には、パドルミキサーやアジディスパー等の混合攪拌機器を用いることで製造できる。
【0038】
本発明の水性液状洗浄剤組成物には、上記必須成分の他に、必要に応じて、通常洗浄剤組成物に用いられる成分として、例えば、エタノール等のアルコール類、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール類、アルキル硫酸エステル塩、アシルグルタミン酸塩等のアシルアミノ酸塩、アシルサルコシン塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩等のN−アシル−N−アルキルタウリン塩、アルキルリン酸エステル塩等の高級脂肪酸塩以外のアニオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキサイド等その他の両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、粉体、ゲル化剤、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、酸化防止剤、金属封鎖剤、着色剤、美容剤等を他の成分として本発明の効果を損なわない範囲にて含有することができる。
【0039】
本発明の水性液状洗浄剤組成物の用途は、洗顔料、クレンジング料、ボディー洗浄料などを例示することができる。また、不織布等のシートに含浸して含浸シート型洗浄料として用いることもできる。
【0040】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0041】
本発明品1〜10及び比較品1〜9:水性液状洗浄剤組成物
表1、表2に示す組成の水性液状洗浄剤組成物を下記製造方法により調製した。洗浄効果を確認するためにあらかじめ下記処方及び製造方法で「口紅」を調整し、口紅を洗い落とす際の「口紅とのなじみ(=洗浄効果)」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1、表2に示した。
【0042】
口紅処方の例
(成分) (%)
1.マイクロクリスタリンワックス 9.0
2.ポリエチレンワックス(平均分子量5000) 8.0
3.イソノナン酸イソトリデシル 5.0
4.精製ホホバ油 0.2
5.ラノリン 8.0
6.リンゴ酸ジイソステアリル 20.2
7.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 21.0
8.イソプロピルミリスチン酸エステル 8.0
9.デカメチルシクロペンタシロキサン 6.0
10.トリメチルシロキシケイ酸 3.0
11.シリコーン樹脂(※) 3.0
12.雲母チタン 3.0
13.二酸化チタン 3.0
14.黄色4号アルミニウムレーキ 0.6
15.赤色202号 1.0
16.赤色226号 0.2
17.天然ビタミンE 適量
18.香料 適量
(※)KP−545(30%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)(信越化学工業社製)
【0043】
口紅製造方法
A:成分9に成分10、11を混合溶解する
B:A及び成分1〜8、12〜18を加熱溶解し、ローラー処理する。
C:Bを容器に充填成型し、口紅とした。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
(製造方法)
A:成分1〜2を均一に混合する。
B:成分3〜18を均一混合する。
C:AにBを添加し、均一に混合し泡吐出ポンプ容器に充填して水性液状洗浄剤組成物を得た。
【0047】
〔評価方法1〕
前記、本発明品及び比較品について20名の専門パネルに、前記発明品及び比較品の水性液状洗浄剤組成物を使用してもらい、「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」の各々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し水性液状洗浄剤組成物毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。評点もあわせて結果を表1、表2に示す。
(評価基準)
[評価結果] :[評 点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
(判定基準)
[評点の平均点] :[判 定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0048】
表1、表2の結果から明らかなように、本発明品1〜12の水性液状洗浄剤組成物は、「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」の全ての項目に優れた水性液状洗浄剤組成物であった。これに対して、成分(B)を含有しない比較品1や成分(B)の代わりにHLB5の界面活性剤を含有する比較品2、成分(B)の代わりにHLB13の界面活性剤を含有する比較品3は、「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」に劣ったものであった。また、成分(C)を含有しない比較品4〜6においては「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」に劣ったものであった。また、成分(D)の含有量が本発明の範囲外(下限未満)の比較例7では「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」に劣っており、成分(D)の含有量が本発明の範囲外(過剰)である比較品8では「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」に劣っており、成分(D)を含有せず、異なった油剤を配合した比較品9では「洗浄効果」、「洗浄後の保湿感」に劣ったものであった。
【実施例2】
【0049】
水性液状洗浄剤組成物(泡吐出ポンプ容器使用)
(成分) (%)
1.ミリスチン酸ナトリウム 6.0
2.精製水 残量
3.モノイソステアリン酸POEグリセリル(10EO)
(HLB10) 6.0
4.ラウリン酸ジエチレングリコール 6.0
5.ジプロピレングリコール 10.0
6.フェノキシエタノール 1.0
7.ミリスチン酸イソプロピル 5.0
8.ラウロイルグルタミン酸ジ
(フィトステリル/オクチルドデシル) 0.5
9.香料 適量
【0050】
(製造方法)
A:成分1〜2を均一に混合する。
B:成分3〜6を均一に混合する。
C:成分7〜9を均一に加熱溶解する。
D:BにCを添加し均一に混合する。
E:AにDを添加し、均一に混合し泡吐出ポンプ容器に充填して水性液状洗浄剤組成物を得た。
【0051】
実施例2の水性液状洗浄剤組成物は、「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」の全ての項目に優れた水性液状洗浄剤組成物であった。
【実施例3】
【0052】
水性液状洗浄剤組成物(泡吐出ポンプ容器使用)
(成分) (%)
1.ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 6.0
2.精製水 残量
3.モノイソステアリン酸POEグリセリル(5EO)
(HLB8) 6.0
4.ラウリン酸ジエチレングリコール 6.0
5.ジプロピレングリコール 10.0
6.フェノキシエタノール 1.0
7.オレイン酸エチル 5.0
8.イソステアリン酸 1.0
9.セラミド2 0.2
10.香料 適量
【0053】
(製造方法)
A:成分1〜2を均一に混合する。
B:成分3〜6を均一に混合する。
C:成分7〜10を均一に80℃にて加熱溶解する。
D:BにCを添加し均一に混合する。
E:AにDを添加し、均一に混合冷却した後、泡吐出ポンプ容器に充填して水性液状洗浄剤組成物を得た。
【0054】
実施例3の水性液状洗浄剤組成物は、「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」の全ての項目に優れた水性液状洗浄剤組成物であった。
【実施例4】
【0055】
水性液状洗浄剤組成物(ポンプ容器使用)
(成分) (%)
1.ラウリン酸トリエタノールアミン 6.0
2.精製水 残量
3.ヒアルロン酸Na 0.5
4.トリイソステアリン酸POEグリセリル(30EO)
(HLB10) 6.0
5.ラウリン酸ジエチレングリコール 6.0
6.1,2−ペンタンジオール 5.0
7.フェノキシエタノール 1.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 5.0
9.香料 適量
【0056】
(製造方法)
A:成分1〜3を均一に混合する。
B:成分4〜9を均一に混合する。
C:AにBを添加しポンプ容器に充填して水性液状洗浄剤組成物を得た。
【0057】
実施例4の水性液状洗浄剤組成物は、「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」の全ての項目に優れた水性液状洗浄剤組成物であった。
【実施例5】
【0058】
水性液状洗浄剤組成物(ポンプ容器使用)
(成分) (%)
1.ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン 6.0
2.精製水 残量
3.ラウロイルグルタミン酸リシンNa(*12) 0.2
4.トリイソステアリン酸POEグリセリル(30EO)
(HLB10) 6.0
5.ラウリン酸ジエチレングリコール 6.0
6.1,2−ペンタンジオール 5.0
7.フェノキシエタノール 1.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 5.0
9.香料 適量
(*12)ペリセアL−30(旭化成ケミカルズ社製)
【0059】
(製造方法)
A:成分1〜3を均一に混合する。
B:成分4〜9を均一に混合する。
C:AにBを添加しポンプ容器に充填して水性液状洗浄剤組成物を得た。
【0060】
実施例5の水性液状洗浄剤組成物は、「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」の全ての項目に優れた水性液状洗浄剤組成物であった。
【実施例6】
【0061】
水性液状洗浄剤組成物(泡吐出ポンプ容器使用)
(成分) (%)
1.ヤシ油脂肪酸カリウム 6.0
2.精製水 残量
3.ポリメタクリロイルオキシエチレン
ホスホリルコリン(*13) 0.2
4.トリイソステアリン酸POEグリセリル(30EO)
(HLB10) 6.0
5.ラウリン酸ジエチレングリコール 6.0
6.1,2−ペンタンジオール 5.0
7.フェノキシエタノール 1.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 5.0
9.オレイン酸オレイル 1.0
10.香料 適量
(*13)LIPIDURE HM−600(日油社製)
【0062】
(製造方法)
A:成分1〜3を均一に混合する。
B:成分4〜10を均一に混合する。
C:AにBを添加し泡吐出ポンプ容器に充填して水性液状洗浄剤組成物を得た。
【0063】
実施例6の水性液状洗浄剤組成物は、「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」の全ての項目に優れた水性液状洗浄剤組成物であった。

【実施例7】
【0064】
水性液状洗浄剤組成物(泡吐出ポンプ容器使用)
(成分) (%)
1.ミリスチン酸カリウム 6.0
2.精製水 残量
3.グリコシルトレハロース 0.1
4.トリイソステアリン酸POEグリセリル(30EO)
(HLB10) 6.0
5.ラウリン酸ジエチレングリコール 3.0
6.1,2−ペンタンジオール 5.0
7.フェノキシエタノール 1.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 2.0
9.パルミチン酸2−エチルヘキシル 1.0
10.香料 適量
【0065】
(製造方法)
A:成分1〜3を均一に混合する。
B:成分4〜10を均一に混合する。
C:AにBを添加し泡吐出ポンプ容器に充填して水性液状洗浄剤組成物を得た。
【0066】
実施例7の水性液状洗浄剤組成物は、「洗浄効果」、「洗浄後のべたつき感のなさ」、「洗浄後の保湿感」の全ての項目に優れた水性液状洗浄剤組成物であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E);
(A)高級脂肪酸塩及び/又はベタイン型両性界面活性剤から選ばれる一種又は二種以上の洗浄用界面活性剤
(B)HLB8〜12のポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
(C)ラウリン酸ジエチレングリコール
(D)炭素数12〜18の高級脂肪酸と炭素数2〜6の一価のアルコールからなる25℃で液状であるエステル油 2〜10質量%
(E)水
を含有することを特徴とする水性液状洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(B)と成分(C)の含有質量比が(B):(C)=3:1〜1:3であることを特徴とする請求項1記載の水性液状洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記成分(D)がミリスチン酸イソプロピル及び/又はオレイン酸エチルであることを特徴とする請求項1又は2記載の水性液状洗浄剤組成物。
【請求項4】
泡吐出ポンプ容器に収容されることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかの項記載の水性液状洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−132221(P2011−132221A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258773(P2010−258773)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】