水性製剤
水における溶解性が非常に低い活性材料の水性製剤を調製する方法、その製剤自体が記載されている。同方法は、固体形態の活性材料を、選択的に架橋された水溶性ポリマーと接触する工程を含む。水溶性ポリマーは好ましくはポリビニルポリマーであり、ポリビニルアルコールが好ましい。ポリマーは選択的に架橋されている。同方法及び製剤は、経肺的に抗癌剤又は薬物を送達する上において特に有用であり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性製剤に関し、より詳細には、それらに限定されるものではないが、例えば、水に対する溶解度が低い、及び/又は水中での溶解速度が低い、製薬的に活性な材料のような、活性材料の水性製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬的に活性な材料は水性製剤中にて投与可能であることが望ましいのは当然のことである。しかしながら、多くの材料は水に対する溶解性が低いことが知られており、それらは不都合なことに、水性製剤にて投与することができない。例えば、ドキソルビシンは癌の治療に使用される周知の薬物である。ドキソルビシンは水に対する溶解度が比較的低く、水中での溶解速度も低い。実際に、同ドキソルビシンはジメチルスルホキシド中に0.1又は0.2wt%の濃度にて製剤化され、患者に注射される。ジメチルスルホキシドを使用することは望ましいことではない。同様に、ドキシサイクリンは局所投与されるか、又は注射により投与される、周知の座瘡用薬物である。同ドキシサイクリンは水に対する溶解性が比較的低く、水性製剤中にて容易に投与することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記した課題に取り組むことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様に従って、活性材料の水性製剤を調製する方法が提供され、同方法は:
(i)固体形態の活性材料を選択する工程と;
(ii)前記活性材料を選択的に架橋された水溶性ポリマーと接触させる工程と、を含む。
【0005】
本発明の第二の態様に従って、第一の態様に従う方法にて調製された水性製剤が提供される。
本発明の第三の態様に従って、活性材料と、選択的に架橋された水溶性ポリマーとからなる水性製剤が提供される。
【0006】
第二の態様又は第三の態様の水性製剤は、第一の態様又は第二の態様の水性製剤の任意の特徴を備え得る。
本発明の第四の態様に従って、製薬送達手段、例えば、第二の態様又は第三の態様に従う水性製剤を含む組成物が提供される。
【0007】
本発明の第五の態様に従って、ヒト又は動物の身体を治療する方法が提供され、同方法は、第二の態様、第三の態様又は第四の態様に従う水性製剤を身体に投与する工程を含む。
【0008】
本発明の第六の態様に従って、第二の態様、第三の態様又は第四の態様に従う水性製剤を薬剤として使用する方法を提供する。
本発明の第七の態様に従って、第二の態様、第三の態様又は第四の態様に従う水性製剤を、例えば疾病のようなヒト又は動物の症状を治療するための薬剤の製造に使用する方法を提供する。同症状は癌又は座瘡であり得る。
【0009】
本発明の第八の態様に従って、水及びエタノールからなる溶媒製剤中に活性材料が分散された水性製剤が提供され、同製剤において、水:エタノールの重量比は、少なくとも0.4かつ2未満であり、より好ましくは0.8乃至1.2の範囲にある。
【0010】
同活性材料は、本明細書の任意の記載に記載されたものであり得る。
本明細書に記載された任意の発明又は実施形態の任意の態様の任意の特徴は、本明細書に記載された任意のその他の発明又は実施形態の任意の態様の任意の特徴と、変更すべきところは変更して、組み合わせることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同活性材料は、25℃にて水に難溶性又は不溶性である材料であり得る。好都合なことに、同方法は、活性材料の溶解度に近い濃度、又は溶解度を超える濃度にて、同活性材料の水性製剤を調製するために使用され、及び/又は前記選択的に架橋された水溶性ポリマーを含まない場合よりも安定である(例えば、0℃まで低下したような温度範囲を超える)製剤を調製するために使用され得る。
【0012】
前記製剤の活性材料の量(g/L)を25℃における前記活性材料の水に対する溶解度(g/L)で割った比は、少なくとも0.9であり、適切には少なくとも0.95であり、好ましくは少なくとも1であり、より好ましくは少なくとも1を超え、特に好ましくは1.2を超えるものであり得る。
【0013】
同方法は、選択的に架橋された水溶性ポリマーを含まない場合における水性製剤の形成と比較してより迅速に、活性材料の水性製剤を形成するために使用され得る。
同活性材料は、25℃において、3000μg/mL未満、2500μg/mL未満、2000μg/mL未満、1500μg/mL未満、1000μg/mL未満、500μg/mL未満、300μg/mL未満、250μg/mL未満、200μg/mL未満、150μg/mL未満、100μg/mL未満である水に対する溶解度を有し得る。上記した溶解度は、0.1μg/mLより大きい、0.5μg/mLより大きい、1μg/mLより大きいものであり得る。
【0014】
同活性材料は、25℃の水中にて測定されたlogSが1未満、0.5未満、0未満、−1未満、−1.5未満、−2未満、−2.5未満、−3未満或いは、更には−3.5未満であり得る。logSは−9より大きい、−8より大きい、或いは−7より大きいものであり得る。
【0015】
同活性材料は、−1より大きい、−0.75より大きい、−0.5より大きい、−0.25より大きいlogPを有し得る。logPは10未満、8未満、6未満、4未満又は2未満であり得る。
【0016】
方法により調製された同水性製剤は好ましくは、活性材料と、選択的に架橋された水溶性ポリマーとからなる粒子を含む。同粒子は、同選択的に架橋された水溶性ポリマーと複合化された活性材料を含み得る。そのような粒子は、500nm未満、250nm未満、200nm未満の最大径を有し得る。同粒子径は、レーザ光散乱技術を使用して測定され得る。
【0017】
水性製剤中の粒子は光の波長未満であるサイズを有し、それにより同製剤はほぼ透明な外観となる。
同方法は、広範囲にわたる異なるタイプの活性材料に適用できる。
【0018】
同活性材料は環状部分を含み得る。同活性材料は1つ以上の環状部分を含み得る。
環状部分はヘテロ原子を含むこともできるが、好ましくはヘテロ原子を含んでいない。
同活性材料は少なくとも1つの芳香族部分を含み得る。同芳香族部分はヘテロ原子を含むこともできるが、好ましくはヘテロ原子を含んでいない。
【0019】
同活性材料は1つ以上のカルボニル部分を含み得る。好ましくは、同活性材料は、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つのカルボニル部分を含み得る。同活性材料は5つ未満のカルボニル部分を含み得る。
【0020】
同活性材料は1つ以上の−OH部分を含み得る。適切には、同活性材料は少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの、より好ましくは少なくとも4つの、−OH部分を含む。同活性材料は、6つ未満の−OH部分を含み得る。
【0021】
同活性材料は、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの、より好ましくは少なくとも4つのC=C部分を含み得る。同材料は、10未満の、好ましくは8未満の、C=C部分を含み得る。
【0022】
同活性材料は少なくとも1つの−NH2部分を含み得る。
同活性材料は式:X1−L3−X2、であり得、式中、X1及びX2は独立して環状部分を示し、かつL3は1つ以上の位置にてX1と結合され得るとともに1つ以上の位置にてX2と結合され得る結合部分を示す。
【0023】
X1は選択的に置換されたフェニル部分を示す。
X2は選択的に置換された、飽和又は不飽和の6員環を示す。例えば、X2はシクロヘキシル、シクロヘキセニル又はフェニル部分を示す。
【0024】
同活性材料は、2つの、好ましくは3つの、より好ましくは4つの縮合環を含み得る。
同活性材料は、部分
【0025】
【化1】
を含み、式中、環1乃至4の各々は、選択的に不飽和のもの、及び選択的に置換されたものである。好ましくは、環1は芳香族であり、環2乃至4の少なくとも1つが不飽和のものである。好ましくは、環1乃至4はいずれもヘテロ芳香族ではない。
【0026】
好ましくは、環1はペンダント−O−部分、例えば、−OH部分を含む。
好ましくは、環2は少なくとも1つのC=O部分を含み、適切には、C=O部分の炭素原子は、環2の環構造の一部である原子である。
【0027】
好ましくは、環3は少なくとも1つの−OH部分、好ましくは少なくとも2つの−OH部分を適切には環の直径方向において正反対の位置に含む。
好ましくは、環4はペンダント−O−又は
【0028】
【化2】
部分を含む。
【0029】
同活性材料は、アントラサイクリン又はテトラサイクリンであり得る。
同活性材料は、少なくとも100g/mol、適切には少なくとも200g/mol、好ましくは少なくとも300g/mol、より好ましくは少なくとも400g/molの分子量を有し得る。分子量は、800g/mol未満、好ましくは700g/mol未満、より好ましくは600g/mol未満であり得る。
【0030】
同活性材料は遊離した形態であり得る。同活性材料は、塩の形態ではないことが好ましい。
同活性材料は少なくとも50℃の融点を有し得る。
【0031】
同活性材料は癌の治療のためのものであり得る。
同製剤は、噴霧器を使用して送達され得る。同製剤は肺送達のためのものであり得る。
水溶性ポリマーの例としては以下のものが含まれる:例えば、アラビア・ゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ガッティゴム、グアーゴムのような水溶性ゴム;ローカストビーンガム、タマリンドガムのような大豆誘導体;デキストラン、キサンタンガムのような水溶性生体高分子;ゼラチンタイプの材料、カラギーナン、寒天、アルギン酸塩のような水溶性蛋白質;カゼイン、ペクチンのような動物性誘導体;デンプン、加工テンプン、デンプン誘導体のようなデンプン及びテンプン誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンのようなポリビニル類及び無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸コポリマーのような種々の水溶性ポリビニル類;ポリアクリレート、ポリアクリルアミドのようなポリアクリレート及び関連する系;ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコールのようなポリイミン及び関連する系;リグノスルホン酸塩及び関連する材料、褐炭、タンニンのような界面活性水溶性ポリマーである。
【0032】
好ましくは、同水溶性ポリマーは、アルコール、カルボン酸、例えばエステルのようなカルボン酸誘導体、アミン基から選択される官能基を含む。同ポリマーは好ましくは、炭素原子を含む、好ましくは炭素原子から本質的に構成される骨格を含む。同骨格は好ましくは飽和されている。同骨格からのペンダント基は、適切には上記した1つ以上の官能基である。同ポリマーは、少なくとも10000、好ましくは少なくとも50000、特に少なくとも75000である数平均分子量(Mn)を含み得る。Mnは500000未満、好ましくは400000未満であり得る。同ポリマーは好ましくはポリビニルポリマーである。好ましいポリマーは、選択的に置換された、好ましくは置換されていない、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、例えばポリプロピレングリコールのようなポリアルキレングリコール及びコラーゲン(及びその任意の成分)を含み、これらのうち、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアセテートベースのポリマーであることが好ましい。置換されたポリマーの例は、炭化水素基で修飾されたポリビニルアルコールポリマーを含む。そのようなポリマーは、それらが架橋されていない方法にて使用され得る。
【0033】
一実施形態において、好ましい水溶性ポリマーは、同ポリマーの骨格から懸垂した−O−部分を含むポリマー材料からなる。同ポリマー材料のポリマー骨格は好ましくは炭素原子を含む。同炭素原子は好ましくは、−CH2−部分の一部である。好ましくは、同ポリマー骨格の繰り返し単位は炭素から炭素への結合、好ましくはC−C一重結合を含む。好ましくは、同ポリマー材料はーCH2−部分を含む繰り返し単位を含む。好ましくは、同ポリマー骨格は、任意の−O−部分、例えば、ポリエチレングリコールのようなアルキレンオキシポリマーに認められるような−C−O−部分を含んでいない。同ポリマー骨格は好ましくは、ポリエーテルスルホンに認められるようなフェニル部分のような芳香族部分によって定義されない。同ポリマー骨格は好ましくは、任意の−S−部分を含んでいない。同ポリマー骨格は好ましくはいかなる窒素原子も含んでいない。同ポリマー骨格は好ましくは炭素原子から本質的に構成され、好ましくは、C−C一重結合の形態にて構成される。同−O−部分は好ましくはポリマー骨格に直接結合される。同ポリマー材料は好ましくは、平均して、同ポリマー骨格から懸垂される少なくとも10の、より好ましくは少なくとも50の−O−部分を含む。同−O−部分は好ましくは同ポリマー材料の繰り返し単位の一部である。好ましくは、同−O−部分は、同ポリマー材料の同ポリマー骨格にある炭素原子に直接結合され、適切には、その結果としてポリマー材料は式:
【0034】
【化3】
の部分(好ましくは繰り返し単位の一部である)を含み、式中、G1及びG2はポリマー骨格のその他の部分であり、かつG3はポリマー骨格から懸垂する別の部分である。好ましくは、G3は水素原子を示す。好ましくは、同ポリマー材料は部分:
【0035】
【化4】
を含む。同部分Vは好ましくは繰り返し単位の一部である。同部分Vは、部分Vと比較して異なるタイプの部分を含む繰り返し単位を含むポリマーの一部であり得る。適切には、同ポリマー材料の、少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも80モル%、より好ましくは少なくとも90モル%が、部分Vを含む(好ましくは部分Vから構成される)繰り返し単位を含む。好ましくは、同ポリマー材料は部分Vを含む(好ましくは部分Vから構成される)繰り返し単位から本質的に構成される。
【0036】
適切には、同ポリマー材料の60モル%が、好ましくは80モル%が、より好ましくは90モル%が、特にほぼ全てが、選択的に架橋されたビニル部分を含む。
好ましくは、同ポリマー材料のポリマー骨格から懸垂される−O−部分における酸素原子へのフリーな結合(そして好ましくはまた部分IV及びVにおける)は、R10基に結合される(それにより、同ポリマー材料のポリマー骨格から懸垂される部分は式−O−R10である)。好ましくは、R10基は10より少ない、より好ましくは5より少ない、特に3以下である炭素原子を含む。同R10基は好ましくは、炭素、水素及び酸素原子から選択される原子のみを含む。R10基は好ましくは、水素原子及びアルキルカルボニルから選択され、特にメチルカルボニル基である。好ましくは、同ポリマー材料における−O−R10部分はヒドロキシル基又はアセテート基である。
【0037】
同ポリマー材料は、複数の、好ましくは多数の官能基を含み、(上記された−O−部分を組み込む)同官能基はヒドロキシル基及びアセテート基から選択される。同ポリマー材料は、好ましくは、ポリマー骨格から懸垂される多数のヒドロキシル基を含む。同ポリマー材料は好ましくは、ポリマー骨格から懸垂される多数のアセテート基を含む。
【0038】
好ましくは、同ポリマー材料のポリマー骨格から懸垂される−O−部分における複数の酸素原子への各々のフリーな結合は、同ポリマー材料の架橋に関与する任意のフリーな結合を除いて、式−O−R10であり、各−OR10はヒドロキシル基及びアセテート基から選択される。
【0039】
好ましくは、同ポリマー材料は、ビニルアルコール部分、特にビニルアルコールの繰り返し単位を含む。同ポリマー材料は好ましくは、ビニルアセテート部分、特に、ビニルアセテートの繰り返し単位を含む。ポリビニルアルコールは通常ポリビニルアセテートの加水分解によって形成される。同ポリマー材料は、0−100%加水分解された、好ましくは5乃至95%加水分解された、より好ましくは60乃至90%加水分解された、特に70乃至90%加水分解されたポリビニルアセテートである。
【0040】
同ポリマー材料は、少なくとも10000、好ましくは少なくとも50000、特に少なくとも75000の数平均分子量(Mn)を有し得る。Mnは500000未満、好ましくは400000未満であり得る。同ポリマー材料は好ましくはポリビニルポリマーである。同ポリマー材料はコポリマーであり得る。
【0041】
同ポリマー材料は好ましくは、ポリビニルアルコールポリマー又はポリビニルアルコールコポリマーである。
同ポリマー材料はランダムコポリマー又はブロックコポリマーであり得る。
【0042】
同ポリマー材料は、比較的親水性の領域と比較的疎水性の領域とを含み得る。特定のポリマー材料は、特定の活性材料の水性製剤を形成するのに、その他のポリマー材料よりも、一層適している。例えば、比較的疎水性の活性材料は、より多くの疎水性ポリマー材料を用いた方法において接触され得る。ポリマー材料がポリビニルアルコールである場合、より低レベルのヒドロキシ部分及び/又はより高レベルのアセテート部分を備えたそのようなポリマーは比較的疎水性であり、よって、より疎水性の活性材料とともに使用する場合により適している。
【0043】
同活性材料は、極性材料を用いる方法にて接触され得る。
同極性材料は、同方法において水溶性ポリマーと反応し、適切にはポリマー内に極性が導入される、及び/又は、同ポリマーの領域の極性が増大する。同極性材料は同ポリマーに正の電荷を導入するために配置され得る。
【0044】
同極性材料はカチオン部分を含み、適切には対イオンを含み得る。
同極性材料は、N+部分であり得るN−含有部分を含み得る。N−含有部分は芳香族部分の一部であり得る。N−含有部分は、選択的に置換されたピリジンベースの部分、例えば、選択的に置換されたピリジンのN−配位錯体の一部であり得る。N−配位錯体は、ピリジンベースの部分のN−原子に結合される、選択的に置換された、好ましくは置換されていない、アルキル基を含み得る。
【0045】
同極性材料は、適切には、例えばフェニル部分である芳香族部分の置換基として、アルデヒド基を含み得る。
同極性材料は、式:X3−L2−X4の部分を含み、式中、X3及びX4は独立して極性の原子又は基を含む部分であり、かつL2は結合原子又は結合基を含む。
【0046】
部分L2は未置換の炭化水素部分を含み、例えば、CHR10−(CH2)n−CHR10部分若しくはその未置換の誘導体を含み、ここで、nは0又は正の整数、例えば0、1、2、3であり、かつR10及びR11は、水素原子、或いは結合原子又は結合基を示す。R10及びR11が結合原子又は結合基を含む場合、そのような結合原子又は結合基はいずれも、好ましくは対応する−CHR10−及び−CHR10−部分のカチオン原子に直接結合される炭素原子を含む。好ましくは、L2は
【0047】
【化5】
部分を含み、各々の
【0048】
【化6】
部分の一方のフリーな結合は、X3及びX4に結合される。
【0049】
X3は記載されたN−含有部分を含み得る。
X4は、記載されたように、アルデヒド基により置換される芳香族部分を含む。
同極性材料は、それ自体がポリマー材料であり得る。
【0050】
以下に記載されるように、架橋手段は、同極性材料を定義し得る。
同活性材料が架橋された水溶性ポリマーと接触する場合、同水溶性ポリマーは同架橋手段を用いて架橋され得る。
【0051】
好ましい架橋手段は化学的架橋材料を含む。そのような材料は好ましくは、同水溶性ポリマーの官能基と反応することができる少なくとも2つの官能基を有する多官能化合物である。好ましくは、同架橋材料は、親水性ポリマーのポリマー骨格に沿って存在する基、又は親水性ポリマーのポリマー構造に存在する基と反応することができる、1つ以上のカルボニル官能基、カルボキシル官能基、ヒドロキシ官能基、エポキシ官能基、ハロゲン官能基又はアミノ官能基を含む。好ましい架橋材料は、少なくとも2つのアルデヒド基を含む。従って、好ましい実施形態において、同活性材料は、少なくとも2つのアルデヒド基を有する材料を用いて、架橋したポリビニルアルコールによって形成された材料と接触される。
【0052】
従って、同架橋された水溶性ポリマーは式I:
【0053】
【化7】
の部分を含み得、式中、L1は同架橋材料の残基である。
【0054】
同架橋材料は好ましくは架橋したポリマー材料を含む。同架橋したポリマー材料は好ましくは式:
【0055】
【化8】
の繰り返し単位を含み、式中、A及びBは同一であるか若しくは異なっており、選択的に置換された芳香族基及びヘテロ芳香族基から選択され、かつ少なくとも1つは比較的極性の原子又は基であり、かつR1およびR2は独立して比較的非極性の原子又は基からなる。
【0056】
A及び/又はBは、多環状の、芳香族基又はヘテロ芳香族基であり得る。好ましくは、A及びBは独立して、選択的に置換された5員環の、より好ましくは選択的に置換された6員環の、芳香族基又はヘテロ芳香族基から選択される。同ヘテロ芳香族基の好ましいヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子を含み、そのうちの酸素原子、及び特に窒素原子が好ましい。好ましいヘテロ芳香族基は1つのヘテロ原子のみを含む。好ましくは、1つのヘテロ原子又は同ヘテロ原子は、同へテロ芳香族基のポリマー骨格への取り付け位置から更に離れて配置される。例えば、ヘテロ芳香族基が6員環を含む場合、ヘテロ原子は好ましくは、ポリマー骨格を供えた環の結合位置に対して4位に提供される。
【0057】
好ましくはA及びBは異なる基を示す。好ましくは、A又はBの一方は、選択的に置換された芳香族基を示し、他方は選択的に置換されたヘテロ芳香族基を示す。好ましくは、Aは選択的に置換された芳香族基を示し、かつBは選択的に置換されたヘテロ芳香族基、特に、ピリジニル基のような窒素へテロ原子を含むものを示す。
【0058】
特に記載されていない限り、本明細書にて記載された選択的に置換された基、例えば置換基A及びBは、ハロゲン原子、及び選択的に置換されたアルキル、アシル、アセタール、ヘミアセタール、アセタールアルキルオキシ、ヘミアセタールアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフィニル、アルキルスルフィニル、スルホニル、アルキルスルホニル、スルホネート、アミド、アルキルアミド、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロカルボニル及びハロアルキル基により置換され得る。好ましくは3までの、より好ましくは1までの、選択的な置換基が、選択的に置換された基に提供される。
【0059】
特に記載されていない限り、アルキル基は、10までの、好ましくは6までの、より好ましくは4までの炭素原子を有し、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
好ましくは、A及びBの各々は極性の原子又は基を示し、即ち、置換基A及びBにおいて好ましくはいくらかの電荷の分離があること、及び/又は置換基A及びBは炭素原子及び水素原子のみを含んでいない。
【0060】
好ましくは、A又はBの少なくとも一方は、例えば、同水溶性ポリマーとの反応において縮合反応を受ける官能基を含む。好ましくは、Aは縮合反応を受ける同官能基を含む。
好ましくは、A及びBの一方は、カルボニル基又はアセタール基を含む選択的な置換基を含み、ホルミル基が特に好ましい。置換基A及びBのうちの他方は、アルキル基である選択的な置換基を含み、選択的に置換されているか、好ましくは未置換のC1−4アルキル基(例えばメチル基)が特に好ましい。
【0061】
好ましくは、Aは、例えば芳香族基、特にフェニル基を示し、ホルミル基又は一般式
【0062】
【化9】
の基によって置換されており(好ましくは、Aが選択的に置換されたフェニル基である場合にはポリマー骨格に対して4位にて置換されており)、式中、Xは1乃至6の整数であり、かつ各R3は独立してアルキル基又はフェニル基であるか、或いは一緒になってアルキレン基を形成する。
【0063】
好ましくは、Bは選択的に置換されたヘテロ芳香族基、特に、含窒素ヘテロ芳香族基であり、ヘテロ原子において、水素原子又はアルキル若しくはアラルキル基で置換されている。より好ましくは、Bは一般式
【0064】
【化10】
の基であり、R4は水素原子、又はアルキル若しくはアラルキル基を示し、R5は水素原子又はアルキル基を示し、かつX−は強酸性のイオンを示す。それは、例えば、メチル硫酸のような有機アルキル硫酸塩であり得る。
【0065】
好ましくは、R1及びR2は、独立して、ハロゲン原子から選択される、或いは選択的に置換された、好ましくは未置換のアルキル基から選択される。好ましくは、R1及びR2は同一の原子又は基を示す。好ましくは、R1及びR2はハロゲン原子を示す。
【0066】
好ましい架橋ポリマー材料は、その内容が本明細書において参照により援用される国際特許出願第WO98/12239号パンフレットに記載の方法により以下のモノマーのうちの任意のものから調製され得る:
α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、α−(m−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−β−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−α−(m−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−α−(o−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−エチル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−(2−ヒドロキシエチル)−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−(2−ヒドロキシエチル)−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−アリル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−γ−(m−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−ベンジル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−ベンジル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム及びN−カルバモイルメチル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム。これらの4級塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、メトスルフェート(methosulfates)、リン酸塩、硫酸塩、メタン−スルホン酸塩およびp−トルエン−スルホン酸塩の形態において使用され得る。
【0067】
また、モノマー化合物はアセタール基を含有するスチリルピリジニウム塩であり得、以下のもの:
【0068】
【化11】
を含む。
【0069】
従って、同架橋ポリマー材料は、好ましくは、一般式
【0070】
【化12】
の化合物を提供することによって調製され得るか、又は調製可能であり、式中、A、B、R1及びR2は、水性溶媒(適切には同モノマーの分子が凝集するように)において上述のとおりであり、同化合物中のC=C基が(例えばUV放射を使用して)互いに反応して、架橋ポリマー材料を形成する。
【0071】
同架橋ポリマー材料は式
【0072】
【化13】
であり得、式中、A、B、R1及びR2は上述のとおりであり、かつnは整数である。整数nは適切には50未満であり、好ましくは20未満であり、より好ましくは10未満であり、特に5未満である。整数nは適切には少なくとも1であり、好ましくは少なくとも2であり、より好ましくは少なくとも3である。
【0073】
第一の態様の方法が架橋水溶性ポリマーを使用する場合、同方法は上述の水溶性ポリマーを選択する工程と、上述の架橋材料を選択する工程と、架橋材料が水溶性ポリマーと架橋する条件下にて2つの選択された材料を接触させる工程と、を含み得る。選択された水溶性ポリマーのwt%の選択された架橋材料のwt%に対する比は10未満であり得る。同方法は、同水溶性ポリマー及び同架橋材料の製剤のpHを低減することを含む。引き続いて、同製剤は中和され得る。
【0074】
第一の態様に従って調製された水性製剤は、同活性材料の、1wt%未満、又は0.5wt%未満を含み得る。同製剤は適切には、同活性材料を、少なくとも0.05wt%、好ましくは少なくとも0.1wt%、より好ましくは少なくとも0.15wt%、含む。同製剤は、60wt%を超える、適切には75wt%を超える、好ましくは95wt%を超える、より好ましくは96wt%を超える、特に97wt%を超える、水を含み得る。水の量は、99wt%未満、好ましくは98wt%未満であり得る。
【0075】
同水性製剤は適切には、5wt%未満の、好ましくは4wt%未満の、より好ましくは3wt%未満の、有機ポリマー材料(例えば、水溶性ポリマー及び/又は架橋ポリマー材料及び/又はその反応性生物)を含む。水性製剤は、少なくとも1wt%、好ましくは少なくとも1.5wt%、より好ましくは少なくとも2wt%の有機ポリマー材料を含み得る。少なくともいくらかの、適切には少なくとも50wt%の、好ましくは少なくとも75wt%の、より好ましくは少なくとも90wt%の、有機ポリマー材料は、ポリビニルアルコール及び架橋ポリビニルアルコールからなる群より選択される。同水性製剤において、有機ポリマー材料のwt%の合計の、同活性材料のwt%に対する比は、適切には少なくとも3であり、好ましくは少なくとも6であり、より好ましくは少なくとも9である。同比は50未満であり、好ましくは30未満である。
【0076】
同水性製剤は、本質的に水から構成される溶媒相を含み得る。しかしながら、いくらかの実施形態において、溶媒相は、改質手段によって改質され得る。同改質手段は、溶媒相の選択された活性材料の溶解性を増大するために、選択され得る。同改質手段は溶媒であり得る。同改質手段は1つ以上のヒドロキシ基を含み得る。同改質手段は好ましくは薬理学的に許容可能なものである。同改質手段は好ましくはエタノールである。
【0077】
溶媒相における水のwt%の改質手段(特にエタノール)のwt%に対する比は、適切には少なくとも0.5であり、好ましくは少なくとも0.75であり、特に少なくとも0.9である。
【0078】
溶媒相が改質手段(特にエタノール)を含む場合、水:改質手段の重量比は、少なくとも0.4、好ましくは少なくとも0.75、より好ましくは少なくとも0.9であり得る。同比は、適切には2未満、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.2未満であり得る。好ましくは、同比は0.8乃至1.2の範囲にある。
【0079】
適切には、水性製剤は:
−0.05wt%乃至1wt%の活性材料と;
−1wt%乃至5wt%の有機ポリマー材料と;
−94wt%乃至98.95wt%の溶媒製剤と、からなり、同溶媒製剤は少なくとも45wt%の水と55wt%までのエタノールとを含む。
【0080】
適切には、同水性製剤は:
−0.05wt%乃至1wt%の活性材料と;
−1wt%乃至5wt%の有機ポリマー材料と;
−94wt%乃至98.95wt%の水と、からなる。
【0081】
同方法において、好ましくは同水溶性ポリマーが選択され、同架橋材料と、水、適切には95wt%を超える水の存在下にて適切に混合することによって接触される。接触及び/又は混合工程は、15乃至40℃の範囲の温度、適切には周囲温度にて、実施され得る。混合物のpHは2乃至4の範囲となるように設定され得る。引き続いて、適切には固体形態である同活性成分が混合物中に加えられ、適切には撹拌される。活性成分は、pHが7未満、5未満、或いは2乃至4の範囲にある場合に加えられ得る。
【0082】
同水性製剤は適切には液体である。
好ましい実施形態において、水性製剤は0.05wt%乃至1wt%の活性材料と、1wt%乃至5wt%の選択的に架橋された水溶性ポリマー(例えば、選択的に架橋されたポリビニルアルコールであって、特に70乃至90%加水分解されたポリビニル酢酸)と、少なくとも45wt%の水と55wt%までのエタノールとを含む94wt%乃至98.95wt%の溶媒製剤と、を含む。
【0083】
好ましい実施形態において、同水溶性ポリマーは架橋され、適切には、式IIの繰り返し単位を含む架橋材料によって架橋される。
同製剤は好ましくは肺送達のためのものである、及び/又は肺疾患の症状を治療するためのものである。同製剤は好ましくは噴霧器にて使用するためのものである。同活性剤は好ましくは抗ぜんそく薬である。
【0084】
本発明の特定の実施形態は、実施例の目的にて以下に記載される。
以下の材料は、以下の記載において参照される。
ポバール(Poval)(登録商標)220−クラレ(Kuraray)社から入手されるポリビニルアルコールであり、20℃にて4%水溶液にて測定した場合、30.mPa.sの粘度(Brookfield同期メータ回転型粘度計にて測定)を有するとともに約88%(モル%)の加水分解度(鹸化)を有する。分子量は約130000である。
【0085】
KH−20は丸紅スペシャリティケミカルズ社(Marubeni Speciality Chemicals,Inc.)から入手されるポリビニルアルコールを参照し、44−52mPa.sの粘度及び78.5−81.5モルの加水分解度を有する。
【実施例1】
【0086】
ポリ(1,4−ジ(4−(N−メチルピリジニル)−2,3−ジ(4−(1−ホルミルフェニル)ブチリデンの調製
本化合物は、その内容が本明細書において参照により援用されている、国際特許出願第PCT/GB97/02529号の実施例1に記載されているように調製した。同方法において、4−(4−ホルミルフェニルエテニル)−1−メチルピリジニウム メトスルホネート(SbQ)の1wt%より大きな水溶液を、周囲温度にて、SbQと水とを混合することにより調製した。同条件下において、SbQ分子は凝集体を形成する。次に溶液を紫外線にさらした。これにより凝集体において隣接する4−(4−ホルミルフェニルエテニル)−1−メチルピリジニウム メトスルホネート分子(I)の炭素−炭素二重結合間に光化学反応が生じ、以下の反応スキームに示されているように、ポリマー、即ち、ポリ(1,4−ジ(4−(N−メチルピリジニル)−2,3−ジ(4−(1−ホルミルフェニル)ブチリデン メトスルホネート(II)を生成した。化合物I及びIIのアニオンは記載を明瞭にする理由にて省略されていることは理解されるべきである。
【0087】
【化14】
【実施例2】
【0088】
水に対する溶解性が非常に低い薬物の製剤を調製するための一般的な手順
2.5wt%までのポリビニルアルコールを含有する水と、実施例1のブチリデンポリマーとを、混合物中にて10wt%までの量のポリビニルアルコールにて含有する水性混合物を調製した。同混合物は、周囲温度にて記載された材料を混合することにより調製され得る。水性混合物は少なくとも2.5のpH値まで酸性化され、当該pH値によって、酸性触媒反応にてポリビニルアルコールとブチリデンポリマーとを反応させた。同反応に引き続いて、アルカリを加えることにより、混合物のpHを約7.4まで上昇させ得る。
【0089】
固体形態の(例えば、粉体の状態)、水に対する溶解性の低い薬物を、pHが少なくとも2.5に低下した後に、ポリビニルアルコール及びブチリデンポリマーの混合物に加える。一実施形態では、混合物のpHがその最低レベルにおいて、或いはその最低レベル付近にある間に加えられる;その他の実施形態では、pHが約7.4に上昇した後に加えられる。
【0090】
同方法において、ポリビニルアルコール及びブチリデンポリマーは酸性触媒条件下にて反応し、ハイドロゲル層を形成し、同ハイドロゲル層は固体薬物分子を安定化させることが可能であると考えられており、よって、同分子が水中に溶解された状態に見える(とはいえ、厳密に述べれば、薬物分子は真溶液を形成してはいないであろう)。調製された製剤の粒子径の評価から、ポリビニルアルコール/ブチリデンポリマーの反応生成物により安定化された薬物分子を含む粒子が形成されていることが示唆される。ハイドロゲルの形成については、以下のスキームに要約されている。
【0091】
【化15】
【実施例3】
【0092】
ドキソルビシンの水性製剤の調製
ポバール(登録商標)220ポリビニルアルコールと実施例1のブチリデンポリマーとを10:1の重量比にて含む0.5wt%のハイドロゲル製剤を調製した。混合物のpHは塩酸を加えることにより約2.5まで低下し、その最低レベルのpHにて、固体の赤色粉末であるドキソルビシンを周囲温度にて加え、混合物中のドキソルビシンが0.2wt%のレベルとなるまで撹拌した。ドキソルビシンは水中にほぼ瞬時に溶解して、溶液からなる外観を示す透明な赤色混合物が得られているように見えたが、それはむしろ、ポリビニルアルコール及びブチリデンポリマーから形成されたハイドロゲル粒子によって複合体化されたドキソルビシンを含むものであろう。製剤が調製された後に、アルカリを加えてpHを約7に上昇させ、中和することができる。
【0093】
上述の方法を用いることにより、115mg/ml(11.5%w/v)の飽和溶解度を有する水性製剤が調製できることが明らかとなった。
同製剤は経口投与/静脈内投与、或いは肺様式にて投与することができ、その医学的効果を維持していることが明らかにされた。
【実施例4】
【0094】
ドキシサイクリン水性製剤の調製
PH−20ポリビニルアルコールと実施例1のブチリデンポリマーとを10:1の重量比にて含む2wt%のハイドロゲル製剤を調製した。混合物のpHは塩酸を加えることにより約2.5まで低下させた。次に、固体形態のドキシサイクリンを周囲温度にて加え、混合物中のドキシサイクリンが0.5wt%のレベルとなるまで撹拌した。ドキシサイクリンは水中にて約15分で溶解して、溶液からなる外観を示す透明な淡黄色混合物が得られているように見えたが、それはむしろ、複合体化されたドキシサイクリンを含むものである。
【0095】
同製剤は経口投与/静脈内投与、或いは肺様式にて投与することができ、その医学的効果を維持していることが明らかにされた。
【実施例5】
【0096】
ブデソニドの水性製剤の調製
抗ぜんそく薬ブデソニドは非常に低い溶解性を有する。上記した方法と類似する方法によって、250μg/mlを超える濃度である薬物の溶液が調製され得る。それは、水に単に溶解することによって得られる濃度をかなり超える濃度である。
【0097】
記載された手順を使用して、一定の範囲の固体形態の薬物又はその他の活性成分を適切に分散し、0.1乃至1.5wt%の活性成分を含む製剤を生成した。いくらかの場合において、異なるタイプのポリビニルアルコールを選択することによって活性成分を分散させる能力に影響を与えることもある。例えば、活性成分が特に疎水性の場合、疎水性の酢酸塩部分の濃度がより大きなポリビニルアルコール(即ち、加水分解レベルのより低いポリビニルアルコール)が使用され得る。
【0098】
同手順は、水に難溶性である活性成分及び/又は水に対する溶解性が低いか或いは溶解速度が不都合なほどに遅い活性成分に対して使用され得る。
同手順を使用して、噴霧器中にて使用するための薬物製剤を調製した。これは、実施例6に例示されている。
【実施例6】
【0099】
濃縮されたブデソニド溶液のエアロゾル化
ブデソニドを含有するエアロゾル化のための溶液は通常、その物理化学的特性から懸濁剤に限られている。実施例5に記載の方法を使用して、平均粒子径が400.2nms(ブルックヘブン・インスツルメンツ(Brookhaven Instruments)社の「Zetapals」機器を使用して測定した場合)である8mg/mlのブデソニド溶液を調製した。この溶液の噴霧化は、CEN法(EN−13544−1)を使用して、250μg/mlのブデソニドを含有する市販のブデソニド懸濁剤(アストラゼネカ(AstraZeneca)社のPulmicort Respules)と比較した。各溶液の4mlをパリボーイ(Pariboy)コンプレッサ(パリ(Pari)GmbH)に取り付けられたPARI−LC−Plus 噴霧器セットを使用して噴霧した。フッ化ナトリウムトレーサの放出量(output)よりはむしろブデソニドの放出量を測定した。結果は以下の表1に提供されている。
【0100】
【表1】
最初の3分間において、実施例5にて調製された溶液及びPulmicort Respules懸濁剤の放出された全用量(%)は、それぞれ68.8%及び38.6%(名目量)であった。結果は、本明細書に記載されている製剤の、難溶性薬物の濃縮された溶液を噴霧し、かつより少ない体積の治療用量を適切な吸入器にて送達する可能性を強調するものである。
【実施例7】
【0101】
水に対する溶解性の低い薬物の代替的な製剤
実施例2に記載された一般的な手順およびその他の実施例に記載された手順の代替手段として、溶媒は50:50wt%の水/エタノール溶液を含むこともできる。ポリビニルアルコール及びブチリデンポリマーをそのような溶媒に含ませ、次に混合物を少なくとも2.5であるpHに酸性化し、当該pHにて、ポリビニルアルコールとブチリデンポリマーとを酸性触媒反応にて反応させる。次に低溶解性の薬物を、その他の実施例に記載されているように混合物に加えた。
【0102】
以下の表2は、選択された薬物の記載された製剤(表中の「実施例7製剤」)における溶解度を詳述し、薬物の固有溶解度に対する溶解性及びティ.ロフトソン(T.Loftsson)他、Int.J.Pharm 302(2005),18−28及びエス.アイ.エフ.バダウェイ(S.I.F.Badaway)他、Int.J.Pharmaceuti.128(1996),45−54に記載されている手順に従う、10%w/vヒドロキシプロピルシクロデキストリン溶液中の溶解性と比較した。
【0103】
表は、実施例7の製剤を使用して、比較的濃縮された溶液が得られることを示す。
【0104】
【表2】
本発明は、上述の実施形態の詳細な説明に制限されることはない。本発明は、本明細書(任意の添付した特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示されている特徴の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせに拡張できる、若しくは、開示された任意の方法及びプロセスの工程の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせに拡張できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は水性製剤に関し、より詳細には、それらに限定されるものではないが、例えば、水に対する溶解度が低い、及び/又は水中での溶解速度が低い、製薬的に活性な材料のような、活性材料の水性製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬的に活性な材料は水性製剤中にて投与可能であることが望ましいのは当然のことである。しかしながら、多くの材料は水に対する溶解性が低いことが知られており、それらは不都合なことに、水性製剤にて投与することができない。例えば、ドキソルビシンは癌の治療に使用される周知の薬物である。ドキソルビシンは水に対する溶解度が比較的低く、水中での溶解速度も低い。実際に、同ドキソルビシンはジメチルスルホキシド中に0.1又は0.2wt%の濃度にて製剤化され、患者に注射される。ジメチルスルホキシドを使用することは望ましいことではない。同様に、ドキシサイクリンは局所投与されるか、又は注射により投与される、周知の座瘡用薬物である。同ドキシサイクリンは水に対する溶解性が比較的低く、水性製剤中にて容易に投与することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記した課題に取り組むことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様に従って、活性材料の水性製剤を調製する方法が提供され、同方法は:
(i)固体形態の活性材料を選択する工程と;
(ii)前記活性材料を選択的に架橋された水溶性ポリマーと接触させる工程と、を含む。
【0005】
本発明の第二の態様に従って、第一の態様に従う方法にて調製された水性製剤が提供される。
本発明の第三の態様に従って、活性材料と、選択的に架橋された水溶性ポリマーとからなる水性製剤が提供される。
【0006】
第二の態様又は第三の態様の水性製剤は、第一の態様又は第二の態様の水性製剤の任意の特徴を備え得る。
本発明の第四の態様に従って、製薬送達手段、例えば、第二の態様又は第三の態様に従う水性製剤を含む組成物が提供される。
【0007】
本発明の第五の態様に従って、ヒト又は動物の身体を治療する方法が提供され、同方法は、第二の態様、第三の態様又は第四の態様に従う水性製剤を身体に投与する工程を含む。
【0008】
本発明の第六の態様に従って、第二の態様、第三の態様又は第四の態様に従う水性製剤を薬剤として使用する方法を提供する。
本発明の第七の態様に従って、第二の態様、第三の態様又は第四の態様に従う水性製剤を、例えば疾病のようなヒト又は動物の症状を治療するための薬剤の製造に使用する方法を提供する。同症状は癌又は座瘡であり得る。
【0009】
本発明の第八の態様に従って、水及びエタノールからなる溶媒製剤中に活性材料が分散された水性製剤が提供され、同製剤において、水:エタノールの重量比は、少なくとも0.4かつ2未満であり、より好ましくは0.8乃至1.2の範囲にある。
【0010】
同活性材料は、本明細書の任意の記載に記載されたものであり得る。
本明細書に記載された任意の発明又は実施形態の任意の態様の任意の特徴は、本明細書に記載された任意のその他の発明又は実施形態の任意の態様の任意の特徴と、変更すべきところは変更して、組み合わせることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同活性材料は、25℃にて水に難溶性又は不溶性である材料であり得る。好都合なことに、同方法は、活性材料の溶解度に近い濃度、又は溶解度を超える濃度にて、同活性材料の水性製剤を調製するために使用され、及び/又は前記選択的に架橋された水溶性ポリマーを含まない場合よりも安定である(例えば、0℃まで低下したような温度範囲を超える)製剤を調製するために使用され得る。
【0012】
前記製剤の活性材料の量(g/L)を25℃における前記活性材料の水に対する溶解度(g/L)で割った比は、少なくとも0.9であり、適切には少なくとも0.95であり、好ましくは少なくとも1であり、より好ましくは少なくとも1を超え、特に好ましくは1.2を超えるものであり得る。
【0013】
同方法は、選択的に架橋された水溶性ポリマーを含まない場合における水性製剤の形成と比較してより迅速に、活性材料の水性製剤を形成するために使用され得る。
同活性材料は、25℃において、3000μg/mL未満、2500μg/mL未満、2000μg/mL未満、1500μg/mL未満、1000μg/mL未満、500μg/mL未満、300μg/mL未満、250μg/mL未満、200μg/mL未満、150μg/mL未満、100μg/mL未満である水に対する溶解度を有し得る。上記した溶解度は、0.1μg/mLより大きい、0.5μg/mLより大きい、1μg/mLより大きいものであり得る。
【0014】
同活性材料は、25℃の水中にて測定されたlogSが1未満、0.5未満、0未満、−1未満、−1.5未満、−2未満、−2.5未満、−3未満或いは、更には−3.5未満であり得る。logSは−9より大きい、−8より大きい、或いは−7より大きいものであり得る。
【0015】
同活性材料は、−1より大きい、−0.75より大きい、−0.5より大きい、−0.25より大きいlogPを有し得る。logPは10未満、8未満、6未満、4未満又は2未満であり得る。
【0016】
方法により調製された同水性製剤は好ましくは、活性材料と、選択的に架橋された水溶性ポリマーとからなる粒子を含む。同粒子は、同選択的に架橋された水溶性ポリマーと複合化された活性材料を含み得る。そのような粒子は、500nm未満、250nm未満、200nm未満の最大径を有し得る。同粒子径は、レーザ光散乱技術を使用して測定され得る。
【0017】
水性製剤中の粒子は光の波長未満であるサイズを有し、それにより同製剤はほぼ透明な外観となる。
同方法は、広範囲にわたる異なるタイプの活性材料に適用できる。
【0018】
同活性材料は環状部分を含み得る。同活性材料は1つ以上の環状部分を含み得る。
環状部分はヘテロ原子を含むこともできるが、好ましくはヘテロ原子を含んでいない。
同活性材料は少なくとも1つの芳香族部分を含み得る。同芳香族部分はヘテロ原子を含むこともできるが、好ましくはヘテロ原子を含んでいない。
【0019】
同活性材料は1つ以上のカルボニル部分を含み得る。好ましくは、同活性材料は、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つのカルボニル部分を含み得る。同活性材料は5つ未満のカルボニル部分を含み得る。
【0020】
同活性材料は1つ以上の−OH部分を含み得る。適切には、同活性材料は少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの、より好ましくは少なくとも4つの、−OH部分を含む。同活性材料は、6つ未満の−OH部分を含み得る。
【0021】
同活性材料は、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの、より好ましくは少なくとも4つのC=C部分を含み得る。同材料は、10未満の、好ましくは8未満の、C=C部分を含み得る。
【0022】
同活性材料は少なくとも1つの−NH2部分を含み得る。
同活性材料は式:X1−L3−X2、であり得、式中、X1及びX2は独立して環状部分を示し、かつL3は1つ以上の位置にてX1と結合され得るとともに1つ以上の位置にてX2と結合され得る結合部分を示す。
【0023】
X1は選択的に置換されたフェニル部分を示す。
X2は選択的に置換された、飽和又は不飽和の6員環を示す。例えば、X2はシクロヘキシル、シクロヘキセニル又はフェニル部分を示す。
【0024】
同活性材料は、2つの、好ましくは3つの、より好ましくは4つの縮合環を含み得る。
同活性材料は、部分
【0025】
【化1】
を含み、式中、環1乃至4の各々は、選択的に不飽和のもの、及び選択的に置換されたものである。好ましくは、環1は芳香族であり、環2乃至4の少なくとも1つが不飽和のものである。好ましくは、環1乃至4はいずれもヘテロ芳香族ではない。
【0026】
好ましくは、環1はペンダント−O−部分、例えば、−OH部分を含む。
好ましくは、環2は少なくとも1つのC=O部分を含み、適切には、C=O部分の炭素原子は、環2の環構造の一部である原子である。
【0027】
好ましくは、環3は少なくとも1つの−OH部分、好ましくは少なくとも2つの−OH部分を適切には環の直径方向において正反対の位置に含む。
好ましくは、環4はペンダント−O−又は
【0028】
【化2】
部分を含む。
【0029】
同活性材料は、アントラサイクリン又はテトラサイクリンであり得る。
同活性材料は、少なくとも100g/mol、適切には少なくとも200g/mol、好ましくは少なくとも300g/mol、より好ましくは少なくとも400g/molの分子量を有し得る。分子量は、800g/mol未満、好ましくは700g/mol未満、より好ましくは600g/mol未満であり得る。
【0030】
同活性材料は遊離した形態であり得る。同活性材料は、塩の形態ではないことが好ましい。
同活性材料は少なくとも50℃の融点を有し得る。
【0031】
同活性材料は癌の治療のためのものであり得る。
同製剤は、噴霧器を使用して送達され得る。同製剤は肺送達のためのものであり得る。
水溶性ポリマーの例としては以下のものが含まれる:例えば、アラビア・ゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ガッティゴム、グアーゴムのような水溶性ゴム;ローカストビーンガム、タマリンドガムのような大豆誘導体;デキストラン、キサンタンガムのような水溶性生体高分子;ゼラチンタイプの材料、カラギーナン、寒天、アルギン酸塩のような水溶性蛋白質;カゼイン、ペクチンのような動物性誘導体;デンプン、加工テンプン、デンプン誘導体のようなデンプン及びテンプン誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンのようなポリビニル類及び無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸コポリマーのような種々の水溶性ポリビニル類;ポリアクリレート、ポリアクリルアミドのようなポリアクリレート及び関連する系;ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコールのようなポリイミン及び関連する系;リグノスルホン酸塩及び関連する材料、褐炭、タンニンのような界面活性水溶性ポリマーである。
【0032】
好ましくは、同水溶性ポリマーは、アルコール、カルボン酸、例えばエステルのようなカルボン酸誘導体、アミン基から選択される官能基を含む。同ポリマーは好ましくは、炭素原子を含む、好ましくは炭素原子から本質的に構成される骨格を含む。同骨格は好ましくは飽和されている。同骨格からのペンダント基は、適切には上記した1つ以上の官能基である。同ポリマーは、少なくとも10000、好ましくは少なくとも50000、特に少なくとも75000である数平均分子量(Mn)を含み得る。Mnは500000未満、好ましくは400000未満であり得る。同ポリマーは好ましくはポリビニルポリマーである。好ましいポリマーは、選択的に置換された、好ましくは置換されていない、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、例えばポリプロピレングリコールのようなポリアルキレングリコール及びコラーゲン(及びその任意の成分)を含み、これらのうち、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアセテートベースのポリマーであることが好ましい。置換されたポリマーの例は、炭化水素基で修飾されたポリビニルアルコールポリマーを含む。そのようなポリマーは、それらが架橋されていない方法にて使用され得る。
【0033】
一実施形態において、好ましい水溶性ポリマーは、同ポリマーの骨格から懸垂した−O−部分を含むポリマー材料からなる。同ポリマー材料のポリマー骨格は好ましくは炭素原子を含む。同炭素原子は好ましくは、−CH2−部分の一部である。好ましくは、同ポリマー骨格の繰り返し単位は炭素から炭素への結合、好ましくはC−C一重結合を含む。好ましくは、同ポリマー材料はーCH2−部分を含む繰り返し単位を含む。好ましくは、同ポリマー骨格は、任意の−O−部分、例えば、ポリエチレングリコールのようなアルキレンオキシポリマーに認められるような−C−O−部分を含んでいない。同ポリマー骨格は好ましくは、ポリエーテルスルホンに認められるようなフェニル部分のような芳香族部分によって定義されない。同ポリマー骨格は好ましくは、任意の−S−部分を含んでいない。同ポリマー骨格は好ましくはいかなる窒素原子も含んでいない。同ポリマー骨格は好ましくは炭素原子から本質的に構成され、好ましくは、C−C一重結合の形態にて構成される。同−O−部分は好ましくはポリマー骨格に直接結合される。同ポリマー材料は好ましくは、平均して、同ポリマー骨格から懸垂される少なくとも10の、より好ましくは少なくとも50の−O−部分を含む。同−O−部分は好ましくは同ポリマー材料の繰り返し単位の一部である。好ましくは、同−O−部分は、同ポリマー材料の同ポリマー骨格にある炭素原子に直接結合され、適切には、その結果としてポリマー材料は式:
【0034】
【化3】
の部分(好ましくは繰り返し単位の一部である)を含み、式中、G1及びG2はポリマー骨格のその他の部分であり、かつG3はポリマー骨格から懸垂する別の部分である。好ましくは、G3は水素原子を示す。好ましくは、同ポリマー材料は部分:
【0035】
【化4】
を含む。同部分Vは好ましくは繰り返し単位の一部である。同部分Vは、部分Vと比較して異なるタイプの部分を含む繰り返し単位を含むポリマーの一部であり得る。適切には、同ポリマー材料の、少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも80モル%、より好ましくは少なくとも90モル%が、部分Vを含む(好ましくは部分Vから構成される)繰り返し単位を含む。好ましくは、同ポリマー材料は部分Vを含む(好ましくは部分Vから構成される)繰り返し単位から本質的に構成される。
【0036】
適切には、同ポリマー材料の60モル%が、好ましくは80モル%が、より好ましくは90モル%が、特にほぼ全てが、選択的に架橋されたビニル部分を含む。
好ましくは、同ポリマー材料のポリマー骨格から懸垂される−O−部分における酸素原子へのフリーな結合(そして好ましくはまた部分IV及びVにおける)は、R10基に結合される(それにより、同ポリマー材料のポリマー骨格から懸垂される部分は式−O−R10である)。好ましくは、R10基は10より少ない、より好ましくは5より少ない、特に3以下である炭素原子を含む。同R10基は好ましくは、炭素、水素及び酸素原子から選択される原子のみを含む。R10基は好ましくは、水素原子及びアルキルカルボニルから選択され、特にメチルカルボニル基である。好ましくは、同ポリマー材料における−O−R10部分はヒドロキシル基又はアセテート基である。
【0037】
同ポリマー材料は、複数の、好ましくは多数の官能基を含み、(上記された−O−部分を組み込む)同官能基はヒドロキシル基及びアセテート基から選択される。同ポリマー材料は、好ましくは、ポリマー骨格から懸垂される多数のヒドロキシル基を含む。同ポリマー材料は好ましくは、ポリマー骨格から懸垂される多数のアセテート基を含む。
【0038】
好ましくは、同ポリマー材料のポリマー骨格から懸垂される−O−部分における複数の酸素原子への各々のフリーな結合は、同ポリマー材料の架橋に関与する任意のフリーな結合を除いて、式−O−R10であり、各−OR10はヒドロキシル基及びアセテート基から選択される。
【0039】
好ましくは、同ポリマー材料は、ビニルアルコール部分、特にビニルアルコールの繰り返し単位を含む。同ポリマー材料は好ましくは、ビニルアセテート部分、特に、ビニルアセテートの繰り返し単位を含む。ポリビニルアルコールは通常ポリビニルアセテートの加水分解によって形成される。同ポリマー材料は、0−100%加水分解された、好ましくは5乃至95%加水分解された、より好ましくは60乃至90%加水分解された、特に70乃至90%加水分解されたポリビニルアセテートである。
【0040】
同ポリマー材料は、少なくとも10000、好ましくは少なくとも50000、特に少なくとも75000の数平均分子量(Mn)を有し得る。Mnは500000未満、好ましくは400000未満であり得る。同ポリマー材料は好ましくはポリビニルポリマーである。同ポリマー材料はコポリマーであり得る。
【0041】
同ポリマー材料は好ましくは、ポリビニルアルコールポリマー又はポリビニルアルコールコポリマーである。
同ポリマー材料はランダムコポリマー又はブロックコポリマーであり得る。
【0042】
同ポリマー材料は、比較的親水性の領域と比較的疎水性の領域とを含み得る。特定のポリマー材料は、特定の活性材料の水性製剤を形成するのに、その他のポリマー材料よりも、一層適している。例えば、比較的疎水性の活性材料は、より多くの疎水性ポリマー材料を用いた方法において接触され得る。ポリマー材料がポリビニルアルコールである場合、より低レベルのヒドロキシ部分及び/又はより高レベルのアセテート部分を備えたそのようなポリマーは比較的疎水性であり、よって、より疎水性の活性材料とともに使用する場合により適している。
【0043】
同活性材料は、極性材料を用いる方法にて接触され得る。
同極性材料は、同方法において水溶性ポリマーと反応し、適切にはポリマー内に極性が導入される、及び/又は、同ポリマーの領域の極性が増大する。同極性材料は同ポリマーに正の電荷を導入するために配置され得る。
【0044】
同極性材料はカチオン部分を含み、適切には対イオンを含み得る。
同極性材料は、N+部分であり得るN−含有部分を含み得る。N−含有部分は芳香族部分の一部であり得る。N−含有部分は、選択的に置換されたピリジンベースの部分、例えば、選択的に置換されたピリジンのN−配位錯体の一部であり得る。N−配位錯体は、ピリジンベースの部分のN−原子に結合される、選択的に置換された、好ましくは置換されていない、アルキル基を含み得る。
【0045】
同極性材料は、適切には、例えばフェニル部分である芳香族部分の置換基として、アルデヒド基を含み得る。
同極性材料は、式:X3−L2−X4の部分を含み、式中、X3及びX4は独立して極性の原子又は基を含む部分であり、かつL2は結合原子又は結合基を含む。
【0046】
部分L2は未置換の炭化水素部分を含み、例えば、CHR10−(CH2)n−CHR10部分若しくはその未置換の誘導体を含み、ここで、nは0又は正の整数、例えば0、1、2、3であり、かつR10及びR11は、水素原子、或いは結合原子又は結合基を示す。R10及びR11が結合原子又は結合基を含む場合、そのような結合原子又は結合基はいずれも、好ましくは対応する−CHR10−及び−CHR10−部分のカチオン原子に直接結合される炭素原子を含む。好ましくは、L2は
【0047】
【化5】
部分を含み、各々の
【0048】
【化6】
部分の一方のフリーな結合は、X3及びX4に結合される。
【0049】
X3は記載されたN−含有部分を含み得る。
X4は、記載されたように、アルデヒド基により置換される芳香族部分を含む。
同極性材料は、それ自体がポリマー材料であり得る。
【0050】
以下に記載されるように、架橋手段は、同極性材料を定義し得る。
同活性材料が架橋された水溶性ポリマーと接触する場合、同水溶性ポリマーは同架橋手段を用いて架橋され得る。
【0051】
好ましい架橋手段は化学的架橋材料を含む。そのような材料は好ましくは、同水溶性ポリマーの官能基と反応することができる少なくとも2つの官能基を有する多官能化合物である。好ましくは、同架橋材料は、親水性ポリマーのポリマー骨格に沿って存在する基、又は親水性ポリマーのポリマー構造に存在する基と反応することができる、1つ以上のカルボニル官能基、カルボキシル官能基、ヒドロキシ官能基、エポキシ官能基、ハロゲン官能基又はアミノ官能基を含む。好ましい架橋材料は、少なくとも2つのアルデヒド基を含む。従って、好ましい実施形態において、同活性材料は、少なくとも2つのアルデヒド基を有する材料を用いて、架橋したポリビニルアルコールによって形成された材料と接触される。
【0052】
従って、同架橋された水溶性ポリマーは式I:
【0053】
【化7】
の部分を含み得、式中、L1は同架橋材料の残基である。
【0054】
同架橋材料は好ましくは架橋したポリマー材料を含む。同架橋したポリマー材料は好ましくは式:
【0055】
【化8】
の繰り返し単位を含み、式中、A及びBは同一であるか若しくは異なっており、選択的に置換された芳香族基及びヘテロ芳香族基から選択され、かつ少なくとも1つは比較的極性の原子又は基であり、かつR1およびR2は独立して比較的非極性の原子又は基からなる。
【0056】
A及び/又はBは、多環状の、芳香族基又はヘテロ芳香族基であり得る。好ましくは、A及びBは独立して、選択的に置換された5員環の、より好ましくは選択的に置換された6員環の、芳香族基又はヘテロ芳香族基から選択される。同ヘテロ芳香族基の好ましいヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子を含み、そのうちの酸素原子、及び特に窒素原子が好ましい。好ましいヘテロ芳香族基は1つのヘテロ原子のみを含む。好ましくは、1つのヘテロ原子又は同ヘテロ原子は、同へテロ芳香族基のポリマー骨格への取り付け位置から更に離れて配置される。例えば、ヘテロ芳香族基が6員環を含む場合、ヘテロ原子は好ましくは、ポリマー骨格を供えた環の結合位置に対して4位に提供される。
【0057】
好ましくはA及びBは異なる基を示す。好ましくは、A又はBの一方は、選択的に置換された芳香族基を示し、他方は選択的に置換されたヘテロ芳香族基を示す。好ましくは、Aは選択的に置換された芳香族基を示し、かつBは選択的に置換されたヘテロ芳香族基、特に、ピリジニル基のような窒素へテロ原子を含むものを示す。
【0058】
特に記載されていない限り、本明細書にて記載された選択的に置換された基、例えば置換基A及びBは、ハロゲン原子、及び選択的に置換されたアルキル、アシル、アセタール、ヘミアセタール、アセタールアルキルオキシ、ヘミアセタールアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフィニル、アルキルスルフィニル、スルホニル、アルキルスルホニル、スルホネート、アミド、アルキルアミド、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロカルボニル及びハロアルキル基により置換され得る。好ましくは3までの、より好ましくは1までの、選択的な置換基が、選択的に置換された基に提供される。
【0059】
特に記載されていない限り、アルキル基は、10までの、好ましくは6までの、より好ましくは4までの炭素原子を有し、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
好ましくは、A及びBの各々は極性の原子又は基を示し、即ち、置換基A及びBにおいて好ましくはいくらかの電荷の分離があること、及び/又は置換基A及びBは炭素原子及び水素原子のみを含んでいない。
【0060】
好ましくは、A又はBの少なくとも一方は、例えば、同水溶性ポリマーとの反応において縮合反応を受ける官能基を含む。好ましくは、Aは縮合反応を受ける同官能基を含む。
好ましくは、A及びBの一方は、カルボニル基又はアセタール基を含む選択的な置換基を含み、ホルミル基が特に好ましい。置換基A及びBのうちの他方は、アルキル基である選択的な置換基を含み、選択的に置換されているか、好ましくは未置換のC1−4アルキル基(例えばメチル基)が特に好ましい。
【0061】
好ましくは、Aは、例えば芳香族基、特にフェニル基を示し、ホルミル基又は一般式
【0062】
【化9】
の基によって置換されており(好ましくは、Aが選択的に置換されたフェニル基である場合にはポリマー骨格に対して4位にて置換されており)、式中、Xは1乃至6の整数であり、かつ各R3は独立してアルキル基又はフェニル基であるか、或いは一緒になってアルキレン基を形成する。
【0063】
好ましくは、Bは選択的に置換されたヘテロ芳香族基、特に、含窒素ヘテロ芳香族基であり、ヘテロ原子において、水素原子又はアルキル若しくはアラルキル基で置換されている。より好ましくは、Bは一般式
【0064】
【化10】
の基であり、R4は水素原子、又はアルキル若しくはアラルキル基を示し、R5は水素原子又はアルキル基を示し、かつX−は強酸性のイオンを示す。それは、例えば、メチル硫酸のような有機アルキル硫酸塩であり得る。
【0065】
好ましくは、R1及びR2は、独立して、ハロゲン原子から選択される、或いは選択的に置換された、好ましくは未置換のアルキル基から選択される。好ましくは、R1及びR2は同一の原子又は基を示す。好ましくは、R1及びR2はハロゲン原子を示す。
【0066】
好ましい架橋ポリマー材料は、その内容が本明細書において参照により援用される国際特許出願第WO98/12239号パンフレットに記載の方法により以下のモノマーのうちの任意のものから調製され得る:
α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、α−(m−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−β−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−α−(m−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−α−(o−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−エチル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−(2−ヒドロキシエチル)−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−(2−ヒドロキシエチル)−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−アリル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−γ−(m−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−ベンジル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−ベンジル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム及びN−カルバモイルメチル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム。これらの4級塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、メトスルフェート(methosulfates)、リン酸塩、硫酸塩、メタン−スルホン酸塩およびp−トルエン−スルホン酸塩の形態において使用され得る。
【0067】
また、モノマー化合物はアセタール基を含有するスチリルピリジニウム塩であり得、以下のもの:
【0068】
【化11】
を含む。
【0069】
従って、同架橋ポリマー材料は、好ましくは、一般式
【0070】
【化12】
の化合物を提供することによって調製され得るか、又は調製可能であり、式中、A、B、R1及びR2は、水性溶媒(適切には同モノマーの分子が凝集するように)において上述のとおりであり、同化合物中のC=C基が(例えばUV放射を使用して)互いに反応して、架橋ポリマー材料を形成する。
【0071】
同架橋ポリマー材料は式
【0072】
【化13】
であり得、式中、A、B、R1及びR2は上述のとおりであり、かつnは整数である。整数nは適切には50未満であり、好ましくは20未満であり、より好ましくは10未満であり、特に5未満である。整数nは適切には少なくとも1であり、好ましくは少なくとも2であり、より好ましくは少なくとも3である。
【0073】
第一の態様の方法が架橋水溶性ポリマーを使用する場合、同方法は上述の水溶性ポリマーを選択する工程と、上述の架橋材料を選択する工程と、架橋材料が水溶性ポリマーと架橋する条件下にて2つの選択された材料を接触させる工程と、を含み得る。選択された水溶性ポリマーのwt%の選択された架橋材料のwt%に対する比は10未満であり得る。同方法は、同水溶性ポリマー及び同架橋材料の製剤のpHを低減することを含む。引き続いて、同製剤は中和され得る。
【0074】
第一の態様に従って調製された水性製剤は、同活性材料の、1wt%未満、又は0.5wt%未満を含み得る。同製剤は適切には、同活性材料を、少なくとも0.05wt%、好ましくは少なくとも0.1wt%、より好ましくは少なくとも0.15wt%、含む。同製剤は、60wt%を超える、適切には75wt%を超える、好ましくは95wt%を超える、より好ましくは96wt%を超える、特に97wt%を超える、水を含み得る。水の量は、99wt%未満、好ましくは98wt%未満であり得る。
【0075】
同水性製剤は適切には、5wt%未満の、好ましくは4wt%未満の、より好ましくは3wt%未満の、有機ポリマー材料(例えば、水溶性ポリマー及び/又は架橋ポリマー材料及び/又はその反応性生物)を含む。水性製剤は、少なくとも1wt%、好ましくは少なくとも1.5wt%、より好ましくは少なくとも2wt%の有機ポリマー材料を含み得る。少なくともいくらかの、適切には少なくとも50wt%の、好ましくは少なくとも75wt%の、より好ましくは少なくとも90wt%の、有機ポリマー材料は、ポリビニルアルコール及び架橋ポリビニルアルコールからなる群より選択される。同水性製剤において、有機ポリマー材料のwt%の合計の、同活性材料のwt%に対する比は、適切には少なくとも3であり、好ましくは少なくとも6であり、より好ましくは少なくとも9である。同比は50未満であり、好ましくは30未満である。
【0076】
同水性製剤は、本質的に水から構成される溶媒相を含み得る。しかしながら、いくらかの実施形態において、溶媒相は、改質手段によって改質され得る。同改質手段は、溶媒相の選択された活性材料の溶解性を増大するために、選択され得る。同改質手段は溶媒であり得る。同改質手段は1つ以上のヒドロキシ基を含み得る。同改質手段は好ましくは薬理学的に許容可能なものである。同改質手段は好ましくはエタノールである。
【0077】
溶媒相における水のwt%の改質手段(特にエタノール)のwt%に対する比は、適切には少なくとも0.5であり、好ましくは少なくとも0.75であり、特に少なくとも0.9である。
【0078】
溶媒相が改質手段(特にエタノール)を含む場合、水:改質手段の重量比は、少なくとも0.4、好ましくは少なくとも0.75、より好ましくは少なくとも0.9であり得る。同比は、適切には2未満、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.2未満であり得る。好ましくは、同比は0.8乃至1.2の範囲にある。
【0079】
適切には、水性製剤は:
−0.05wt%乃至1wt%の活性材料と;
−1wt%乃至5wt%の有機ポリマー材料と;
−94wt%乃至98.95wt%の溶媒製剤と、からなり、同溶媒製剤は少なくとも45wt%の水と55wt%までのエタノールとを含む。
【0080】
適切には、同水性製剤は:
−0.05wt%乃至1wt%の活性材料と;
−1wt%乃至5wt%の有機ポリマー材料と;
−94wt%乃至98.95wt%の水と、からなる。
【0081】
同方法において、好ましくは同水溶性ポリマーが選択され、同架橋材料と、水、適切には95wt%を超える水の存在下にて適切に混合することによって接触される。接触及び/又は混合工程は、15乃至40℃の範囲の温度、適切には周囲温度にて、実施され得る。混合物のpHは2乃至4の範囲となるように設定され得る。引き続いて、適切には固体形態である同活性成分が混合物中に加えられ、適切には撹拌される。活性成分は、pHが7未満、5未満、或いは2乃至4の範囲にある場合に加えられ得る。
【0082】
同水性製剤は適切には液体である。
好ましい実施形態において、水性製剤は0.05wt%乃至1wt%の活性材料と、1wt%乃至5wt%の選択的に架橋された水溶性ポリマー(例えば、選択的に架橋されたポリビニルアルコールであって、特に70乃至90%加水分解されたポリビニル酢酸)と、少なくとも45wt%の水と55wt%までのエタノールとを含む94wt%乃至98.95wt%の溶媒製剤と、を含む。
【0083】
好ましい実施形態において、同水溶性ポリマーは架橋され、適切には、式IIの繰り返し単位を含む架橋材料によって架橋される。
同製剤は好ましくは肺送達のためのものである、及び/又は肺疾患の症状を治療するためのものである。同製剤は好ましくは噴霧器にて使用するためのものである。同活性剤は好ましくは抗ぜんそく薬である。
【0084】
本発明の特定の実施形態は、実施例の目的にて以下に記載される。
以下の材料は、以下の記載において参照される。
ポバール(Poval)(登録商標)220−クラレ(Kuraray)社から入手されるポリビニルアルコールであり、20℃にて4%水溶液にて測定した場合、30.mPa.sの粘度(Brookfield同期メータ回転型粘度計にて測定)を有するとともに約88%(モル%)の加水分解度(鹸化)を有する。分子量は約130000である。
【0085】
KH−20は丸紅スペシャリティケミカルズ社(Marubeni Speciality Chemicals,Inc.)から入手されるポリビニルアルコールを参照し、44−52mPa.sの粘度及び78.5−81.5モルの加水分解度を有する。
【実施例1】
【0086】
ポリ(1,4−ジ(4−(N−メチルピリジニル)−2,3−ジ(4−(1−ホルミルフェニル)ブチリデンの調製
本化合物は、その内容が本明細書において参照により援用されている、国際特許出願第PCT/GB97/02529号の実施例1に記載されているように調製した。同方法において、4−(4−ホルミルフェニルエテニル)−1−メチルピリジニウム メトスルホネート(SbQ)の1wt%より大きな水溶液を、周囲温度にて、SbQと水とを混合することにより調製した。同条件下において、SbQ分子は凝集体を形成する。次に溶液を紫外線にさらした。これにより凝集体において隣接する4−(4−ホルミルフェニルエテニル)−1−メチルピリジニウム メトスルホネート分子(I)の炭素−炭素二重結合間に光化学反応が生じ、以下の反応スキームに示されているように、ポリマー、即ち、ポリ(1,4−ジ(4−(N−メチルピリジニル)−2,3−ジ(4−(1−ホルミルフェニル)ブチリデン メトスルホネート(II)を生成した。化合物I及びIIのアニオンは記載を明瞭にする理由にて省略されていることは理解されるべきである。
【0087】
【化14】
【実施例2】
【0088】
水に対する溶解性が非常に低い薬物の製剤を調製するための一般的な手順
2.5wt%までのポリビニルアルコールを含有する水と、実施例1のブチリデンポリマーとを、混合物中にて10wt%までの量のポリビニルアルコールにて含有する水性混合物を調製した。同混合物は、周囲温度にて記載された材料を混合することにより調製され得る。水性混合物は少なくとも2.5のpH値まで酸性化され、当該pH値によって、酸性触媒反応にてポリビニルアルコールとブチリデンポリマーとを反応させた。同反応に引き続いて、アルカリを加えることにより、混合物のpHを約7.4まで上昇させ得る。
【0089】
固体形態の(例えば、粉体の状態)、水に対する溶解性の低い薬物を、pHが少なくとも2.5に低下した後に、ポリビニルアルコール及びブチリデンポリマーの混合物に加える。一実施形態では、混合物のpHがその最低レベルにおいて、或いはその最低レベル付近にある間に加えられる;その他の実施形態では、pHが約7.4に上昇した後に加えられる。
【0090】
同方法において、ポリビニルアルコール及びブチリデンポリマーは酸性触媒条件下にて反応し、ハイドロゲル層を形成し、同ハイドロゲル層は固体薬物分子を安定化させることが可能であると考えられており、よって、同分子が水中に溶解された状態に見える(とはいえ、厳密に述べれば、薬物分子は真溶液を形成してはいないであろう)。調製された製剤の粒子径の評価から、ポリビニルアルコール/ブチリデンポリマーの反応生成物により安定化された薬物分子を含む粒子が形成されていることが示唆される。ハイドロゲルの形成については、以下のスキームに要約されている。
【0091】
【化15】
【実施例3】
【0092】
ドキソルビシンの水性製剤の調製
ポバール(登録商標)220ポリビニルアルコールと実施例1のブチリデンポリマーとを10:1の重量比にて含む0.5wt%のハイドロゲル製剤を調製した。混合物のpHは塩酸を加えることにより約2.5まで低下し、その最低レベルのpHにて、固体の赤色粉末であるドキソルビシンを周囲温度にて加え、混合物中のドキソルビシンが0.2wt%のレベルとなるまで撹拌した。ドキソルビシンは水中にほぼ瞬時に溶解して、溶液からなる外観を示す透明な赤色混合物が得られているように見えたが、それはむしろ、ポリビニルアルコール及びブチリデンポリマーから形成されたハイドロゲル粒子によって複合体化されたドキソルビシンを含むものであろう。製剤が調製された後に、アルカリを加えてpHを約7に上昇させ、中和することができる。
【0093】
上述の方法を用いることにより、115mg/ml(11.5%w/v)の飽和溶解度を有する水性製剤が調製できることが明らかとなった。
同製剤は経口投与/静脈内投与、或いは肺様式にて投与することができ、その医学的効果を維持していることが明らかにされた。
【実施例4】
【0094】
ドキシサイクリン水性製剤の調製
PH−20ポリビニルアルコールと実施例1のブチリデンポリマーとを10:1の重量比にて含む2wt%のハイドロゲル製剤を調製した。混合物のpHは塩酸を加えることにより約2.5まで低下させた。次に、固体形態のドキシサイクリンを周囲温度にて加え、混合物中のドキシサイクリンが0.5wt%のレベルとなるまで撹拌した。ドキシサイクリンは水中にて約15分で溶解して、溶液からなる外観を示す透明な淡黄色混合物が得られているように見えたが、それはむしろ、複合体化されたドキシサイクリンを含むものである。
【0095】
同製剤は経口投与/静脈内投与、或いは肺様式にて投与することができ、その医学的効果を維持していることが明らかにされた。
【実施例5】
【0096】
ブデソニドの水性製剤の調製
抗ぜんそく薬ブデソニドは非常に低い溶解性を有する。上記した方法と類似する方法によって、250μg/mlを超える濃度である薬物の溶液が調製され得る。それは、水に単に溶解することによって得られる濃度をかなり超える濃度である。
【0097】
記載された手順を使用して、一定の範囲の固体形態の薬物又はその他の活性成分を適切に分散し、0.1乃至1.5wt%の活性成分を含む製剤を生成した。いくらかの場合において、異なるタイプのポリビニルアルコールを選択することによって活性成分を分散させる能力に影響を与えることもある。例えば、活性成分が特に疎水性の場合、疎水性の酢酸塩部分の濃度がより大きなポリビニルアルコール(即ち、加水分解レベルのより低いポリビニルアルコール)が使用され得る。
【0098】
同手順は、水に難溶性である活性成分及び/又は水に対する溶解性が低いか或いは溶解速度が不都合なほどに遅い活性成分に対して使用され得る。
同手順を使用して、噴霧器中にて使用するための薬物製剤を調製した。これは、実施例6に例示されている。
【実施例6】
【0099】
濃縮されたブデソニド溶液のエアロゾル化
ブデソニドを含有するエアロゾル化のための溶液は通常、その物理化学的特性から懸濁剤に限られている。実施例5に記載の方法を使用して、平均粒子径が400.2nms(ブルックヘブン・インスツルメンツ(Brookhaven Instruments)社の「Zetapals」機器を使用して測定した場合)である8mg/mlのブデソニド溶液を調製した。この溶液の噴霧化は、CEN法(EN−13544−1)を使用して、250μg/mlのブデソニドを含有する市販のブデソニド懸濁剤(アストラゼネカ(AstraZeneca)社のPulmicort Respules)と比較した。各溶液の4mlをパリボーイ(Pariboy)コンプレッサ(パリ(Pari)GmbH)に取り付けられたPARI−LC−Plus 噴霧器セットを使用して噴霧した。フッ化ナトリウムトレーサの放出量(output)よりはむしろブデソニドの放出量を測定した。結果は以下の表1に提供されている。
【0100】
【表1】
最初の3分間において、実施例5にて調製された溶液及びPulmicort Respules懸濁剤の放出された全用量(%)は、それぞれ68.8%及び38.6%(名目量)であった。結果は、本明細書に記載されている製剤の、難溶性薬物の濃縮された溶液を噴霧し、かつより少ない体積の治療用量を適切な吸入器にて送達する可能性を強調するものである。
【実施例7】
【0101】
水に対する溶解性の低い薬物の代替的な製剤
実施例2に記載された一般的な手順およびその他の実施例に記載された手順の代替手段として、溶媒は50:50wt%の水/エタノール溶液を含むこともできる。ポリビニルアルコール及びブチリデンポリマーをそのような溶媒に含ませ、次に混合物を少なくとも2.5であるpHに酸性化し、当該pHにて、ポリビニルアルコールとブチリデンポリマーとを酸性触媒反応にて反応させる。次に低溶解性の薬物を、その他の実施例に記載されているように混合物に加えた。
【0102】
以下の表2は、選択された薬物の記載された製剤(表中の「実施例7製剤」)における溶解度を詳述し、薬物の固有溶解度に対する溶解性及びティ.ロフトソン(T.Loftsson)他、Int.J.Pharm 302(2005),18−28及びエス.アイ.エフ.バダウェイ(S.I.F.Badaway)他、Int.J.Pharmaceuti.128(1996),45−54に記載されている手順に従う、10%w/vヒドロキシプロピルシクロデキストリン溶液中の溶解性と比較した。
【0103】
表は、実施例7の製剤を使用して、比較的濃縮された溶液が得られることを示す。
【0104】
【表2】
本発明は、上述の実施形態の詳細な説明に制限されることはない。本発明は、本明細書(任意の添付した特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示されている特徴の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせに拡張できる、若しくは、開示された任意の方法及びプロセスの工程の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせに拡張できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性材料の水性製剤を調製する方法であって、前記方法は:
(i)固体形態の活性材料を選択する工程と、
(ii)前記活性材料を選択的に架橋された水溶性ポリマーと接触させる工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記製剤中の活性材料の量(g/L)を、前記活性材料の25℃における水に対する溶解度(g/L)で割った比は、1.2より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性材料は、25℃において水に対する溶解度が3000μg/mL未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性材料は、25℃において水中にて0未満のlogSを有し、かつ−0.25より大きいlogPを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記活性材料は環状部分を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記活性材料は少なくとも200g/mol.の分子量を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記活性材料は塩の形態ではない、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記活性材料は癌を治療するためのものであるか、又は前記製剤は肺送達のためのものである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記水溶性ポリマーはアルコール、カルボン酸、カルボン酸誘導体及びアミン基から選択される官能基を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶性ポリマーは、同ポリマーのポリマー骨格から懸垂される−O−部分を含むポリマー材料からなる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー骨格は炭素原子から本質的に構成され、かつ前記−O−部分は前記ポリマー骨格に直接結合される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー材料は部分:
【化1】
を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー材料の少なくとも60モル%は部分Vを含む繰り返し単位からなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマー材料は、0−100%加水分解されたポリ酢酸ビニルを含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマー材料は、ポリビニルアルコールポリマー又はポリビニルアルコールコポリマーである、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記活性材料は、前記方法において、極性材料と接触される、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記水溶性ポリマーは架橋され、かつ以下の式の部分を含み:
【化2】
式中、L1は架橋材料の残基である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記架橋材料は、式:
【化3】
の繰り返し単位を含み、
式中、A及びBは同一であるか若しくは異なっており、選択的に置換された芳香族基及びヘテロ芳香族基から選択され、少なくとも一方は比較的極性の原子又は基を含み、かつR1及びR2は独立して比較的非極性の原子又は基を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記水性製剤は本質的に水から構成される溶媒相を含む、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記水性製剤は1つ以上の水酸基を含む修飾手段にて修飾された溶媒相を含み、前記溶媒相中における前記水のwt%の前記修飾手段のwt%に対する比は少なくとも0.5である、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
活性材料と、選択的に架橋された水溶性ポリマーとを含む、水性製剤。
【請求項22】
0.05wt%〜1wt%の前記活性材料と、
1wt%〜5wt%の有機ポリマー材料と、
少なくとも45wt%の水と55wt%までのエタノールとを含む94wt%〜98.95wt%の溶媒製剤と、
からなる、請求項21に記載の水性製剤。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか一項に記載の水性製剤を含む、例えば組成物のような、製薬的な送達手段。
【請求項24】
ヒト又は動物の身体を治療するための方法であって、
請求項1乃至22のいずれか一項に記載の水性製剤を前記身体に投与することを含む、方法。
【請求項25】
請求項1乃至22のいずれか一項に記載の水性製剤を医薬品として使用する方法。
【請求項26】
肺送達及び肺の症状を治療するための少なくとも一方のためである、或いは癌若しくは座瘡の治療のためである、請求項25に記載の使用方法。
【請求項27】
水及びエタノールを含む溶媒製剤に分散された活性材料を含む水性製剤であって、水:エタノールの質量比は、少なくとも0.4であり、かつ2未満である、水性製剤。
【請求項1】
活性材料の水性製剤を調製する方法であって、前記方法は:
(i)固体形態の活性材料を選択する工程と、
(ii)前記活性材料を選択的に架橋された水溶性ポリマーと接触させる工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記製剤中の活性材料の量(g/L)を、前記活性材料の25℃における水に対する溶解度(g/L)で割った比は、1.2より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性材料は、25℃において水に対する溶解度が3000μg/mL未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性材料は、25℃において水中にて0未満のlogSを有し、かつ−0.25より大きいlogPを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記活性材料は環状部分を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記活性材料は少なくとも200g/mol.の分子量を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記活性材料は塩の形態ではない、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記活性材料は癌を治療するためのものであるか、又は前記製剤は肺送達のためのものである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記水溶性ポリマーはアルコール、カルボン酸、カルボン酸誘導体及びアミン基から選択される官能基を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶性ポリマーは、同ポリマーのポリマー骨格から懸垂される−O−部分を含むポリマー材料からなる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー骨格は炭素原子から本質的に構成され、かつ前記−O−部分は前記ポリマー骨格に直接結合される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー材料は部分:
【化1】
を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー材料の少なくとも60モル%は部分Vを含む繰り返し単位からなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマー材料は、0−100%加水分解されたポリ酢酸ビニルを含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマー材料は、ポリビニルアルコールポリマー又はポリビニルアルコールコポリマーである、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記活性材料は、前記方法において、極性材料と接触される、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記水溶性ポリマーは架橋され、かつ以下の式の部分を含み:
【化2】
式中、L1は架橋材料の残基である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記架橋材料は、式:
【化3】
の繰り返し単位を含み、
式中、A及びBは同一であるか若しくは異なっており、選択的に置換された芳香族基及びヘテロ芳香族基から選択され、少なくとも一方は比較的極性の原子又は基を含み、かつR1及びR2は独立して比較的非極性の原子又は基を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記水性製剤は本質的に水から構成される溶媒相を含む、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記水性製剤は1つ以上の水酸基を含む修飾手段にて修飾された溶媒相を含み、前記溶媒相中における前記水のwt%の前記修飾手段のwt%に対する比は少なくとも0.5である、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
活性材料と、選択的に架橋された水溶性ポリマーとを含む、水性製剤。
【請求項22】
0.05wt%〜1wt%の前記活性材料と、
1wt%〜5wt%の有機ポリマー材料と、
少なくとも45wt%の水と55wt%までのエタノールとを含む94wt%〜98.95wt%の溶媒製剤と、
からなる、請求項21に記載の水性製剤。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか一項に記載の水性製剤を含む、例えば組成物のような、製薬的な送達手段。
【請求項24】
ヒト又は動物の身体を治療するための方法であって、
請求項1乃至22のいずれか一項に記載の水性製剤を前記身体に投与することを含む、方法。
【請求項25】
請求項1乃至22のいずれか一項に記載の水性製剤を医薬品として使用する方法。
【請求項26】
肺送達及び肺の症状を治療するための少なくとも一方のためである、或いは癌若しくは座瘡の治療のためである、請求項25に記載の使用方法。
【請求項27】
水及びエタノールを含む溶媒製剤に分散された活性材料を含む水性製剤であって、水:エタノールの質量比は、少なくとも0.4であり、かつ2未満である、水性製剤。
【公表番号】特表2010−519283(P2010−519283A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550756(P2009−550756)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000601
【国際公開番号】WO2008/102144
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(506172300)エイジーティ サイエンシズ リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】AGT SCIENCES LIMITED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000601
【国際公開番号】WO2008/102144
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(506172300)エイジーティ サイエンシズ リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】AGT SCIENCES LIMITED
【Fターム(参考)】
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