説明

水性複合粒子分散液の製造方法

本発明は、シラン基含有単量体を用いた水性複合粒子分散液の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体及び微粉化無機固体から構成される粒子の水性分散液(水性複合粒子分散液)を製造するための方法に関し、その方法において、エチレン性不飽和単量体は、水性媒質に分散して分布し、且つ、少なくとも1種の分散し分布した微粉化無機固体と少なくとも1種の分散剤との存在下で少なくとも1種の遊離ラジカル重合開始剤によって遊離ラジカル水性エマルジョン重合の方法によって重合し、その方法は、
a)該少なくとも1種の無機固体の安定した水性分散液(該分散液は、該少なくとも1種の無機固体の水性分散液に基づいて0.1質量%以上の初期固体濃度で、その製造後1時間は分散形態で当初の分散固体の90質量%超を含み、その分散固体微粒子が100nm以下の直径を有するという特徴的な特性を有する)(固体の水性分散液)を使用するステップ、
b)ケイ素含有官能基を有する0.01質量%以上10質量%以下の少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体A(シラン単量体)と、単量体Aとは異なる90質量%以上99.99質量%以下の少なくとも1種の更なるエチレン性不飽和単量体Bとを(単量体A及びBの量の合計が100質量%(総単量体量))、エチレン性不飽和単量体として使用するステップ、
c)100質量部のエチレン性不飽和単量体につき1〜1000質量部の無機固体を使用するステップ、及び
d)固体の水性分散液の形態の水性重合媒質における初充填において無機固体の少なくとも一部を含むこと、次いで、
e)5分間以上240分間以内の期間にわたり水性重合媒質中に単量体Aの少なくとも一部を計量するステップ、及び続いて、
f)重合条件下で水性重合媒質中に、無機固体の任意の残部、単量体Aの任意の残部、及び単量体Bの総量を計量するステップ、を含む。
【0002】
同様に、本発明は、本発明の方法によって得られる水性複合粒子分散液と、それらの使用とに関し、更に、水性複合粒子分散液から得られる複合粒子粉末と、それらの使用とに関する。
【0003】
水性複合粒子分散液は、一般的知識の事柄である。水性複合粒子分散液は、分散分布中(水性分散媒質中)に、重合体マトリックスと呼ばれる、複数の混交重合体鎖から成る重合体コイルと、微粉化無機固体粒子とを含む流体系である。複合粒子の平均直径は、一般に10nm以上1000nm以下、多くの場合50nm以上400nm以下、しばしば100nm以上300nm以下である。
【0004】
複合粒子、水性複合粒子分散液の形態でそれを製造する方法、更にその使用は、当業者に既知であり、例えば、明細書US−A3,544,500、US−A4,421,660、US−A4,608,401、US−A4,981,882、EP−A104498、EP−A505230、EP−A572128、GB−A2227739、WO01/18081、WO01/29106、WO03/000760及びWO06/072464、更に、Long et al.Tianjin Daxue Xuebao 1991,4,pages10 to 15、Bourgeat−Lami et al.,Die Angewandte Makromolekulare Chemie 1996,242,pages105 to 122、Paulke et al.,Synthesis Studies of Paramagnetic Polystyrene Latex Particles in Scientific and Clinical Applications of Magnetic Carriers,pages69 to 76、Plenum Press,New York,1997及びArmes et al.,Advanced Materials 1999,11,No.5,pages 408 to 410に開示されている。
【0005】
本発明に関連する先行技術は、以下の通りである。
【0006】
Van Herk et al.in Macromolecules 2006,39,pages 4654 to 4656には、乳化剤を含まない条件下のいわゆる「スターブドフィード」エマルジョン重合法によってラテックス粒子中でシラン単量体と共有結合して修飾される層状ケイ酸塩を含む層状ケイ酸塩のカプセル化が開示されている。その場合の層状ケイ酸塩は、ジクロロメタンにおいて修飾され、エマルジョン重合において分散される前に複数の操作ステップにわたって生じる。
【0007】
Bourgeat−Lami et al. in Progress in Solid State Chemistry 2006,34,pages 121 to 137では、トルエンにおける層状ケイ酸塩の疎水性共有結合修飾、並びにエマルジョン重合におけるそれらの精製及びその後の分散について記載されている。
【0008】
WO02/24756には、懸濁重合及びミニエマルジョン重合における疎水化層状ケイ酸塩の使用について開示されている。
【0009】
更に、WO02/24758には、エマルジョン重合における「容易に修飾された」疎水化層状ケイ酸塩の使用について開示されているが、特定の修飾に関する記載はない。
【0010】
シラン単量体を用いて安定した水性複合粒子分散液の新規な製造方法を提供することが、本発明の目的であった。
【0011】
本発明の方法は、清浄飲料水等の清浄水、例えば、特に有利には、水性複合粒子分散液に基づいて総量が30質量%以上99質量%以下、有利には35質量%以上95質量%以下、特に有利には、40質量%以上90質量%以下の脱イオン水を使用する。
【0012】
本発明の方法に適切な微粉化無機固体は、少なくとも1種の無機固体の水性分散液に基づいて0.1質量%以上の初期固体濃度で、その製造後又は沈殿固体の均一分散後1時間、分散形態で、更なる撹拌や振盪を行うことなく、当初分散した固体の90質量%超を更に含み、分散固体微粒子が100nm以下の直径を有する安定した水性分散液を形成するもの全てである。
【0013】
1時間後の初期固体濃度及び固体濃度の定量決定は、分析超遠心法によって本明細書の目的のために行われる(この点について、S.E.Harding et al.,Analytical Ultracentrifugation in Biochemistry and Polymer Science,Royal Society of Chemistry,Cambridge, Great Britain 1992,Chapter 10,Analysis of Polymer Dispersions with an Eight−Cell AUC Multiplexer:High Resolution Particle Size Distribution and Density Gradient Techniques,W.Maechtle,pages 147 to 175を参照のこと)。微粉化無機固体及び更に複合粒子の粒径の決定は、一般に、Malvern Instruments Ltd.のHigh Performance Particle Sizer(HPPS)を使用して準弾性光散乱法(DIN ISO 13321)により本明細書の目的のために行われる。
【0014】
本発明により使用され得る微粉化無機固体は、原則として、金属、金属化合物(例えば金属酸化物や金属塩)、更には半金属化合物、及び非金属化合物である。使用され得る微粉化金属粉は、貴金属コロイド(例えば、パラジウム、銀、ルテニウム、白金、金、ロジウム、及び、例えばそれらの合金)である。微粉化金属酸化物の例として挙げることができるものとしては、二酸化チタン(例えば、Sachtleben Chemie GmbHのHombitec(登録商標)グレードとして商業的に入手可能なもの)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化錫(II)、酸化錫(IV)(例えば、Akzo−NobelのNyacol(登録商標)SNグレードとして商業的に入手可能なもの)、酸化アルミニウム(例えば、Akzo−NobelのNyacol(登録商標)ALグレードとして商業的に入手可能なもの)、酸化バリウム、酸化マグネシウム、種々の酸化鉄(例えば、酸化鉄(II)(ウスタイト)、酸化鉄(III)(ヘマタイト)、酸化鉄(II/III)(マグネタイト))、酸化クロム(III)、酸化アンチモン(III)、酸化ビスマス(III)、酸化亜鉛(例えば、Sachtleben Chemie GmbHのSachtotec(登録商標)グレードとして商業的に入手可能なもの)、酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(III)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(III)、酸化銅(II)、酸化イットリウム(III)(例えば、Akzo−NobelのNyacol(登録商標)YTTRIAグレードとして商業的に入手可能なもの)、酸化セリウム(IV)(例えば、Akzo−NobelのNyacol(登録商標)CEO2グレードとして商業的に入手可能なもの)、非晶質及び/又はそれらの種々の結晶変態のもの、更にそれらのヒドロキシオキシド(例えば、ヒドロキシチタンオキシド(IV)、ヒドロキシジルコニウムオキシド(IV)、ヒドロキシアルミニウムオキシド(例えば、Condea−Chemie GmbHのDisperal(登録商標)グレードとして商業的に入手可能なもの)、ヒドロキシ鉄オキシド(III)、非晶質及び/又はそれらの種々の結晶変態のものが挙げられる。以下の金属塩、非晶質及び/又はそれらの種々の結晶構造におけるものは、原則として本発明の方法において使用することができる。硫化物(例えば、硫化鉄(II)、硫化鉄(III)、二硫化鉄(II)(パイライト)、硫化錫(II)、硫化錫(IV)、硫化水銀(II)、硫化カドミウム(II)、硫化亜鉛、硫化銅(II)、硫化銀、硫化ニッケル(II)、硫化コバルト(II)、硫化コバルト(III)、硫化マンガン(II)、硫化クロム(III)、硫化チタン(II)、硫化チタン(III)、硫化チタン(IV)、硫化ジルコニウム(IV)、硫化アンチモン(III)、硫化ビスマス(III))、水酸化物(例えば、水酸化錫(II)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化鉄(II)、水酸化鉄(III))、サルフェート(例えば、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸鉛(IV))、カーボネート(例えば、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸ジルコニウム(IV)、炭酸鉄(II)、炭酸鉄(III))、オルトホスフェート(例えば、オルトリン酸リチウム、オルトリン酸カルシウム、オルトリン酸亜鉛、オルトリン酸マグネシウム、オルトリン酸アルミニウム、オルトリン酸錫(III)、オルトリン酸鉄(II)、オルトリン酸鉄(III))、メタホスフェート(例えば、メタリン酸リチウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸アルミニウム)、ピロホスフェート(例えば、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸亜鉛、ピロリン酸鉄(III)、ピロリン酸錫(II))、リン酸アンモニウム(例えば、リン酸アンモニウムマグネシウム、リン酸亜鉛アンモニウム)、ヒドロキシルアパタイト[Ca5{(PO43OH}]、オルトシリケート(例えば、オルトケイ酸リチウム、オルトケイ酸カルシウム/マグネシウム、オルトケイ酸アルミニウム、オルトケイ酸鉄(II)、オルトケイ酸鉄(III)、オルトケイ酸マグネシウム、オルトケイ酸亜鉛、オルトケイ酸ジルコニウム(III)、オルトケイ酸ジルコニウム(IV))、メタシリケート(例えば、メタケイ酸リチウム、メタケイ酸カルシウム/マグネシウム、メタケイ酸カルシウム、メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸亜鉛)、とりわけ自然に離層する形態の層状ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウムナトリウム、ケイ酸マグネシウムナトリウム)、例えば、Optigel(登録商標)SH及びOptigel(登録商標)EX0482(Suedchemie AGの商標)、Saponit(登録商標)SKS−20及びHektorit(登録商標)SKS21(Hoechst AGの商標)、Laponite(登録商標)RD及びLaponite(登録商標)GS(Rockwood Holdings,Inc.の商標)、アルミネート(例えば、アルミン酸リチウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸亜鉛)、ボレート(例えば、メタホウ酸マグネシウム、オルトホウ酸マグネシウム)、オキサレート(例えば、シュウ酸カルシウム、シュウ酸ジルコニウム(IV)、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸亜鉛、シュウ酸アルミニウム)、タルトレート(例えば酒石酸カルシウム)、アセチルアセトネート(例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄(III))、サリチレート(例えばサリチル酸アルミニウム)、シトレート(例えば、クエン酸カルシウム、クエン酸鉄(II)、クエン酸亜鉛)、パルミテート(例えば、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム)、ステアレート(例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛)、ラウレート(例えばラウリン酸カルシウム)、リノレート(例えばリノール酸カルシウム)、及びオレエート(例えば、オレイン酸カルシウム、オレイン酸鉄(II)、オレイン酸亜鉛)。
【0015】
本発明に従って使用され得る必須の半金属化合物としては、非晶質二酸化ケイ素及び/又は種々の結晶構造に存在する二酸化ケイ素を挙げることができる。本発明に従って適切な二酸化ケイ素は、例えば、Aerosil(登録商標)(Degussa AGの商標)、Levasil(登録商標)(Bayer AGの商標)、Ludox(登録商標)(DuPontの商標)、Nyacol(登録商標)及びBindzil(登録商標)(Akzo−Nobelの商標)、及びSnowtex(登録商標)(Nissan Chemical Industries,Ltd.の商標)として商業的に入手可能であり、得ることが可能である。本発明に従って適切な非金属化合物は、例えば、コロイド状黒鉛又はダイヤモンドである。
【0016】
特に適切な微粉化無機固体は、20℃及び1.013バール(絶対)での水への溶解度が1g/L以下、好ましくは0.1g/L以下、特に0.01g/L以下のものである。二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化錫(IV)、酸化イットリウム(III)、酸化セリウム(IV)、ヒドロキシアルミニウムオキシド、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、オルトリン酸カルシウム、オルトリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、オルトシリケート(例えば、オルトケイ酸リチウム、オルトケイ酸カルシウム/マグネシウム、オルトケイ酸アルミニウム、オルトケイ酸鉄(II)、オルトケイ酸鉄(III)、オルトケイ酸マグネシウム、オルトケイ酸亜鉛、オルトケイ酸ジルコニウム(III)、オルトケイ酸ジルコニウム(IV))、メタシリケート(例えば、メタケイ酸リチウム、メタケイ酸カルシウム/マグネシウム、メタケイ酸カルシウム、メタケイ酸マグネシウム、メタケイ酸亜鉛)、とりわけ自然に離層する形態の層状ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウムナトリウム、ケイ酸マグネシウムナトリウム)、例えば、Nanofil(登録商標)、Optigel(登録商標)、Closite(登録商標)(Suedchemie AGの商標)、Somasif(登録商標)、Lucentite(登録商標)(CBC Japan Co.,Ltdの商標)、Saponit(登録商標)、Hektorit(登録商標)(Hoechst AGの商標)、及びLaponite(登録商標)(Rockwood Holdings,Inc.の商標)を含むシリーズからの製品、或いは酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化鉄(II/III)、二酸化チタン、ヒドロキシルアパタイト、酸化亜鉛及び硫化亜鉛を含む群から選択される化合物が特に好ましい。
【0017】
好ましくは、少なくとも1種の微粉化無機固体は、二酸化ケイ素、層状ケイ酸塩、酸化アルミニウム、ヒドロキシアルミニウムオキシド、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、オルトリン酸カルシウム、オルトリン酸マグネシウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化鉄(II/III)、酸化錫(IV)、酸化セリウム(IV)、酸化イットリウム(III)、二酸化チタン、ヒドロキシルアパタイト、酸化亜鉛及び硫化亜鉛を含む群から選択される。
【0018】
ケイ素化合物(例えば、熱分解法シリカ(ヒュームドシリカ)、コロイダルシリカ及び/又は層状ケイ酸塩)が特に好ましい。
【0019】
本発明の方法において、Aerosil(登録商標)、Levasil(登録商標)、Ludox(登録商標)、Nyacol(登録商標)及びBindzil(登録商標)グレード(二酸化ケイ素)、Nanofil(登録商標)、Optigel(登録商標)、Somasif(登録商標)、Cloisite(登録商標)、Lucentite(登録商標)、Saponit(登録商標)、Hektorit(登録商標)及びLaponite(登録商標)グレード(層状ケイ酸塩)、Disperal(登録商標)グレード(ヒドロキシアルミニウムオキシド)、Nyacol(登録商標)ALグレード(酸化アルミニウム)、Hombitec(登録商標)グレード(二酸化チタン)、Nyacol(登録商標)SNグレード(酸化スズ(IV))、Nyacol(登録商標)YTTRIAグレード(酸化イットリウム(III))、Nyacol(登録商標)CEO2グレード(酸化セリウム(IV))及びSachtotec(登録商標)グレード(酸化亜鉛)の商業的に入手可能な化合物も有利に使用することができる。
【0020】
複合粒子を製造するために使用され得る微粉化無機固体は、水性重合媒質において分散し、粒径100nm以下の粒子を有する。首尾よく使用される微粉化無機固体は、その分散粒子が、0nm超90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下又は10nm以下の粒径及びそれらの間の全ての値を有するものである。有利には、粒径50nm以下の微粉化無機固体が使用される。
【0021】
微粉固体の入手可能性は、原則として当業者に既知であり、それらは、例えば、気相における沈降反応又は化学反応によって得られる(この点については、E.Matijevic,Chem.Mater.5(1993)pages 412 to 426;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A23,pages 583 to 660、Verlag Chemie,Weinheim,1992;D.F.Evans,H.Wennerstroem in The Colloidal Domain,pages 363 to 405,Verlag Chemie,Weinheim,1994及びR.J.Hunter in Foundations of Colloid Science,Vol.I,pages 10 to 17,Clarendon Press,Oxford,1991を参照のこと)。
【0022】
固体の安定した分散液は、多くの場合、水性媒質において微粉化無機固体を合成する間、或いは水性重合媒質に微粉化無機固体を分散させることによって、直接製造される。これは、該微粉化無機固体が製造される方法に応じて、例えば沈殿又は焼成二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の場合には直接、或いは、例えば、分散機や超音波ソノトロード等の適切な補助装置を用いて行われる。
【0023】
有利には、水性複合粒子分散液を製造するために適切な微粉化無機固体は、その固体の水性分散液が、固体の水性分散液に基づいて0.1質量%以上の初期固体濃度で、その製造後又は沈殿固体の均一分散後1時間、分散形態で、更なる撹拌や振盪を行うことなく、当初分散した固体の90質量%超を更に含み、分散固体微粒子が100nm以下の直径を有するものである。初期固体濃度が60質量%以下であることが通例である。しかしながら、有利には、いずれの場合においても固体の水性分散液に基づいて、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下で、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上又は5質量%以上、並びにそれらの間の全ての値の初期固体濃度を使用することもできる。水性複合粒子分散液の製造においては、100質量部のエチレン性不飽和単量体(総単量体量)に基づいて、1〜1000質量部、有利には5〜300質量部、特に有利には10〜200質量部の少なくとも1種の微粉化無機固体が使用される。
【0024】
本発明の方法のステップd)において、水性重合媒質における初充填において、無機固体の総量の少なくとも一部、有利には10質量%以上、30質量%以上又は50質量%以上、特に有利には60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上又は90質量%以上が含まれる。無機固体の任意の残部は、重合条件下で、1回以上に分けて又は連続的に、一定又は変化する体積流量で、より詳しくは水性固体分散液の形態で、前記方法のステップf)の水性重合媒質に計量される。しかしながら、有利には、無機固体の総量は、初充填において水性固体分散液の形態で含まれる。
【0025】
水性複合粒子分散液を製造するため、使用する分散剤は、一般に、水相における分散分布中において、微粉化無機固体微粒子だけでなく単量体液滴及びそれにより得られる複合粒子も維持し、それにより、製造される複合粒子の水性分散液の安定性を確保する。好ましい分散剤には、遊離ラジカル水性エマルジョン重合を行うために一般的に用いられる保護コロイド、及び乳化剤の両方が含まれる。
【0026】
適切な保護コロイドは、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,Volume XIV/1,Makromolekulare Stoffe[Macromolecular compounds],Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,1961,pages 411 to 420に網羅的に記載される。
【0027】
適切な中性の保護コロイドの例としては、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、セルロース誘導体、デンプン誘導体、ゼラチン誘導体がある。
【0028】
適切なアニオン性保護コロイド、即ち、分散成分が少なくとも1個の負電荷を有する保護コロイドは、例えば、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸並びにそれらのアルカリ金属塩や、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、4−スチレンスルホン酸及び/又は無水マレイン酸を含む共重合体、かかる共重合体のアルカリ金属塩、更に、例えばポリスチレン等の高分子質量化合物のスルホン酸のアルカリ金属塩である。
【0029】
適切なカチオン性保護コロイド、即ち、分散成分が少なくとも1個の正電荷を有する保護コロイドは、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アミノ官能性アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを含む単独重合体及び共重合体のN−プロトン化誘導体及び/又はN−アルキル化誘導体である。
【0030】
もちろん、乳化剤及び/又は保護コロイドの混合物を使用することもできる。一般的には、分散剤として、相対分子量が、保護コロイドとは異なり、通常1500g/モル未満である乳化剤のみを使用する。界面活性物質の混合物を使用する場合、個別の成分は、もちろん相互に相溶性であることが必要であり、疑わしい場合は、多少の予備実験によってそれを確認することができる。適切な乳化剤の概要は、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,Volume XIV/1,Makromolekulare Stoffe[Macromolecular compounds],Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,1961,pages 192 to 208で与えられる。
【0031】
通例の非イオン乳化剤は、例えばエトキシ化モノアルキルフェノール、エトキシ化ジアルキルフェノール及びエトキシ化トリアルキルフェノール(EO単位:3〜50、アルキル:C4〜C12)や、エトキシ化脂肪アルコール、(EO単位:3〜80;アルキル:C8〜C36)である。それらの例としては、BASF AGのLutensol(登録商標)Aグレード(C12〜C14脂肪アルコールエトキシレート、EO単位:3〜8)、Lutensol(登録商標)AOグレード(C13〜C15オキソアルコールエトキシレート、EO単位:3〜30)、Lutensol(登録商標)ATグレード(C16〜C18脂肪アルコールエトキシレート、EO単位:11〜80)、Lutensol(登録商標)ONグレード(C10オキソアルコールエトキシレート、EO単位:3〜11)、Lutensol(登録商標)TOグレード(C13オキソアルコールエトキシレート、EO単位:3〜20)がある。
【0032】
例えば、通例のアニオン性乳化剤は、アルキル硫酸(アルキル:C8〜C12)、エトキシ化アルカノール(EO単位:4〜30、アルキル:C12〜C18)及びエトキシ化アルキルフェノール(EO単位:3〜50、アルキル:C4〜C12)による硫酸モノエステル、アルキルスルホン酸(アルキル:C12〜C18)、及びアルキルアリールスルホン酸(アルキル:C9〜C18)のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩である。
【0033】
更なるアニオン性乳化剤として適切であることが判明した化合物は、更に、一般式I
【化1】

[式中、R1及びR2は、水素又はC4〜C24アルキルであるが、両方が同時に水素であることはなく、M1及びM2は、アルカリ金属イオン及び/又はアンモニウムイオンであってよい]の化合物である。一般式Iにおいて、R1及びR2は、好ましくは、炭素数6〜18、特に炭素数6、12及び16の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基或いは−Hであり、R1及びR2の両方が同時に水素であることはない。M1及びM2は、好ましくはナトリウム、カリウム又はアンモニウムであり、特に好ましくはナトリウムである。特に好都合な化合物Iは、M1及びM2がナトリウムであり、R1が炭素数12の分岐鎖状アルキル基であり、R2が水素又はR1であるものである。しばしば、50〜90質量%のモノアルキル化製品(例えば、Dowfax(登録商標)2A1(Dow Chemical Companyの商標)の画分を含む工業銘柄の混合物が使用される。化合物Iは、例えばUS−A4,269,749により広く知られており、商業的に入手可能である。
【0034】
適切なカチオン活性乳化剤は、一般に、C6−C18アルキル、アラルキル又はヘテロシクリルを含有する第一級、第二級、第三級又は第四級アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、オキサゾリニウム塩、モルホリニウム塩、チアゾリニウム塩、アミンオキシドの塩、キノリニウム塩、イソキノリニウム塩、トロピリウム塩、スルホニウム塩及びホスホニウム塩である。ドデシルアンモニウムアセテート、対応するヒドロクロリド、種々のパラフィン酸2−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルエステルのクロリド又はアセテート、N−セチルピリジニウムクロリド、N−ラウリルピリジニウムサルフェート、及び更に、N−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、N−オクチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、及びジェミニ界面活性剤、N,N’−(ラウリルジメチル)エチレンジアミンジブロミドが例として挙げられる。多くの更なる例は、H.Stache,Tensid−Taschenbuch,Carl−Hanser−Verlag,Munich,Vienna,1981及びMcCutcheon’s,Emulsifiers&Detergents,MC Publishing Company,Glen Rock,1989に見られる。
【0035】
いずれの場合においても水性複合粒子分散液の総量に基づいて0.1質量%〜10質量%、多くの場合0.5質量%〜7.0質量%、しばしば1.0質量%〜5.0質量%の分散剤が、水性複合粒子分散液を製造するためにしばしば用いられる。乳化剤、特に非イオン性及び/又はアニオン性乳化剤の使用が好ましい。特に有利には、アニオン性乳化剤が使用される。
【0036】
本発明によれば、適切な場合、無機固体の部分又は全体を含む水性重合媒質の成分として、重合容器における初充填において、分散剤の部分又は全体を含むことができる[方法のステップd)]。或いは、方法のステップe)の間又はステップf)の間、水性重合媒質に、分散剤の全体又は任意の残部を供給することができる。その場合、分散剤の全体又は任意の残部は、同じ又は変化する体積流量で、1回以上に分けて、又は、連続的に、水性重合媒質に計量され得る。特に有利には、分散剤の計量は、同じ体積流量で連続的に、より詳しくは水性モノマーエマルジョンの一部として、方法のステップf)の重合反応中に行う。
【0037】
本発明により使用するエチレン性不飽和単量体は、ケイ素含有官能基を有する0.01質量%以上10質量%以下の少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体A(シラン単量体)、及び単量体Aとは異なる90質量%以上99.99質量%以下の少なくとも1種の更なるエチレン性不飽和単量体Bであり、単量体A及びBの量の合計は100質量%(総単量体量)である。
【0038】
適切な単量体Aとしては、少なくとも1個のケイ素含有官能基を含む全ての遊離ラジカル共重合性エチレン性不飽和単量体、例えば、ビニルアルコキシシラン(例えば、より詳しくは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(3−メトキシプロポキシ)シラン及び/又はビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン)、アクリロイルオキシシラン(例えば、より詳しくは、2−(アクリロイルオキシエトキシ)トリメチルシラン、アクリロイルオキシメチルトリメチルシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン及び/又は(3−アクリロイルオキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン)、メタクリロイルオキシシラン(例えば、より詳しくは、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)メチルジエトキシシラン及び/又は(3―メタクリロイルオキシプロピル)メチルジエチルオキシシラン)が挙げられる。本発明によれば、特に有利には、アクリロイルオキシシラン及び/又はメタクリロイルオキシシラン、より詳しくはメタクリロイルオキシシラン(例えば、好ましくは、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)メチルジエトキシシラン及び/又は(3−メタクリロイルオキシプロピル)メチルジエチルオキシシラン)が使用される。
【0039】
前記方法のステップe)において、単量体Aの少なくとも一部は、5分間以上240分間以下、有利には30分間以上120分間以下、特に有利には45分間以上75分間以下の期間にわたり水性重合媒質に計量される。この計量は、有利には、同じ連続的な体積流量で行われる。本発明によれば、方法のステップe)において、単量体Aの総量に基づいて0.1質量%以上100質量%以下、有利には5質量%以上70質量%以下、特に有利には10質量%以上50質量%以下の単量体Aが、水性重合媒質に計量される。
【0040】
一般的に言って、前記方法のステップe)は、20℃以上、有利には50℃以上100℃以下、特に有利には75℃以上95℃以下の温度で、水性重合媒質により行われる。
【0041】
単量体Aの任意の残部は、1回以上に分けて、或いは同じ又は変化する体積流量で連続的に、前記方法のステップf)において水性重合媒質に計量され得る。特に有利には、単量体Aの計量は、前記方法のステップf)の重合反応の間、同じ体積流量で連続的に、より詳しくは単量体Bの水性エマルジョンの一部として行われる。
【0042】
本発明によれば、総単量体量に基づいて、0.01質量%以上10質量%以下、有利には0.1質量%以上5質量%以下、特に有利には0.5質量%以上3質量%以下の単量体Aが使用され、それらは、90質量%以上99.99質量%以下、有利には95質量%以上99.9質量%以下、特に有利には97質量%以上99.5質量%以下の単量体Bの量に対応する。
【0043】
本発明によれば、有利には、単量体Aの総量は、総単量体量に基づいて0.5質量%以上3質量%以下、前記方法のステップe)において計量される単量体Aの総量の10質量%以上50質量%以下である。
【0044】
適切な単量体Bとしては、特に、シラン単量体と容易に遊離ラジカル共重合するエチレン性不飽和単量体(例えばエチレン)、ビニル芳香族単量体(例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレン、ビニルトルエン)、ビニルアルコール及びC1〜C18モノカルボン酸のエステル(例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルn−ブチレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート)、一般にC1〜C12、好ましくはC1〜C8、特にC1〜C4アルカノールを有する、好ましくはC3〜C6α,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びモノエチレン性不飽和ジカルボン酸(例えば特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸)のエステル(例えば特に、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシルアクリレート及びメタクリレート、ジメチルマレエート、ジ−n−ブチルマレエート)、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のニトリル(例えばアクリロニトリル)、C4-8共役ジエン(例えば1,3−ブタジエン、イソプレン)が挙げられる。これらの単量体は一般に主単量体を構成し、主単量体は、本発明の方法によって重合される単量体Bの全量に基づいて、通常、50質量%以上、80質量%以上又は90質量%以上の比率を占める。一般に、これらの単量体は、標準条件[20℃、1atm(絶対)]下で水への溶解度が中程度のものから低いものだけである。
【0045】
通例、重合体マトリックスの膜の内部強度を増加させる更なる単量体Bは、通常、少なくとも1個のヒドロキシル基、N−メチロール基又はカルボニル基或いは少なくとも2個の非共役エチレン性不飽和二重結合を含む。この場合の例としては、2個のビニル基を有する単量体、2個のビニリデン基を有する単量体、2個のアルケニル基を有する単量体がある。α,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸を有する二価アルコールのジエステルは、これに関連して特に好都合であり、この中でアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。2個の非共役エチレン性不飽和二重結合を有するこの種の単量体の例としては、アルキレングリコールジアクリレートやジメタクリレート(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,2−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−プロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート及びエチレングリコールジメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート)、更にジビニルベンゼン、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、メチレンビスアクリルアミド、シクロペンタジエニルアクリレート、トリアリルシアヌレート、及びトリアリルイソシアヌレートがある。これに関連して、メタクリルC1〜C8ヒドロキシアルキルエステル及びアクリルC1〜C8ヒドロキシアルキルエステル(例えば、n−ヒドロキシエチルアクリレート及びn−ヒドロキシエチルメタクリレート、n−ヒドロキシプロピルアクリレート及びn−ヒドロキシプロピルメタクリレート、又はn−ヒドロキシブチルアクリレート及びn−ヒドロキシブチルメタクリレート)及び化合物(例えば、ジアセトンアクリルアミド、アセチルアセトキシエチルアクリレート、アセチルアセトキシエチルメタクリレート)も特に重要である。本発明によれば、上述の単量体は、重合のために、重合する単量体Bの総量に基づいて最高5質量%、しばしば0.1質量%〜3質量%、多くの場合0.5質量%〜2質量%の量で使用される。
【0046】
これらの他に、さらに単量体Bとして、少なくとも1個の酸性基及び/又はその対応するアニオンのいずれかを含むそれらのエチレン性不飽和単量体BS、又は少なくとも1個のアミノ基、アミド基、ウレイド基又はN−複素環基及び/又はそれらのN−プロトン化アンモニウム誘導体又はN−アルキル化アンモニウム誘導体を含むそれらのエチレン性不飽和単量体BAを使用することができる。重合する単量体Bの総量に基づいて、単量体BS又は単量体BAの量は、それぞれ、最高10質量%、多くの場合0.1%〜7質量%、しばしば0.2%〜5質量%である。
【0047】
使用する単量体BSは、少なくとも1個の酸性基を含むエチレン性不飽和単量体である。酸性基は、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基及び/又はホスホン酸基であってよい。かかる単量体BSの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、4−スチレンスルホン酸、2−メタクリロイルオキシエチルスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸や、更に、例えば、n−ヒドロキシアルキルアクリレート及びn−ヒドロキシアルキルメタクリレートのリン酸モノエステル(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、n−ヒドロキシプロピルアクリレート、n−ヒドロキシブチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレート、n−ヒドロキシプロピルメタクリレート又はn−ヒドロキシブチルメタクリレートのリン酸モノエステル)がある。しかしながら、本発明によれば、少なくとも1個の酸性基を含む上述のエチレン性不飽和単量体のアンモニウム塩及びアルカリ金属塩を使用することもできる。特に好ましいアルカリ金属は、ナトリウム及びカリウムである。かかる化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、4−スチレンスルホン酸、2−メタクリロイルオキシエチルスルホン酸、ビニルスルホン酸及びビニルホスホン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩、更に、ヒドロキシエチルアクリレート、n−ヒドロキシプロピルアクリレート、n−ヒドロキシブチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレート、n−ヒドロキシプロピルメタクリレート又はn−ヒドロキシブチルメタクリレートのリン酸モノエステルのモノアンモニウム塩、ジアンモニウム塩、モノナトリウム塩、ジナトリウム塩、モノカリウム塩及びジカリウム塩がある。
【0048】
単量体BSとして、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、4−スチレンスルホン酸、2−メタクリロイルオキシエチルスルホン酸、ビニルスルホン酸及びビニルホスホン酸を使用することが好ましい。
【0049】
単量体BAとして、少なくとも1個のアミノ基、アミド基、ウレイド基又はN−複素環基及び/又はそれらのN−プロトン化アンモニウム誘導体又はN−アルキル化アンモニウム誘導体を含むエチレン性不飽和単量体が使用される。
【0050】
少なくとも1個のアミノ基を含む単量体BAの例としては、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、4−アミノ−n−ブチルアクリレート、4−アミノ−n−ブチルメタクリレート、2−(N−メチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N−メチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−エチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N−エチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−n−プロピルアミノ)エチルアクリレート、2−(N−n−プロピルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−イソ−プロピルアミノ)エチルアクリレート、2−(N−イソ−プロピルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−tert−ブチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N−tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート(例えば、Elf AtochemからNopsocryl(登録商標)TBAEMAとして商業的に入手可能)、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート(例えば、Elf AtochemからNorsocryl(登録商標)ADAMEとして商業的に入手可能)、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(例えば、Elf AtochemからNorsocryl(登録商標)MADAMEとして商業的に入手可能)、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジイソプロピルアミノ)エチルアクリレート、2−(N、N−ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリレート、3−(N−メチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N−メチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N−エチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N−エチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N−n−プロピルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N−n−プロピルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N−イソ−プロピルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N−イソ−プロピルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N−tert−ブチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N−tert−ブチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N、N−ジ−n−プロピルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(N、N−ジイソプロピルアミノ)プロピルアクリレート、3−(N,N−ジイソプロピルアミノ)プロピルメタクリレートがある。
【0051】
少なくとも1個のアミド基を含む単量体BAの例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソ−プロピルメタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピルメタクリルアミド、N、N−ジ−イソ−プロピルアクリルアミド、N,N−ジ−イソ−プロピルメタクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルメタクリルアミド、N−(3−N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N−(ジフェニルメチル)アクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、更に、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムがある。
【0052】
少なくとも1個のウレイド基を含む単量体BAの例としては、N,N’−ジビニルエチレン尿素や2−(1−イミダゾリン−2−オンイル)エチルメタクリレート(例えば、Elf AtochemからNorsocryl(登録商標)100として商業的に入手可能)がある。
【0053】
少なくとも1個のN−複素環基を含む単量体BAの例としては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾールがある。
【0054】
単量体BAとして以下の化合物:2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N−tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−(3−N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(1−イミダゾリン−2−オンイル)エチルメタクリレートを使用することが好ましい。
【0055】
水性反応媒質のpHに応じて、上述の窒素含有単量体BAの一部又は全体は、N−プロトン化第四級アンモニウムの形態で存在することができる。
【0056】
窒素上に第四級アルキルアンモニウム構造を有する単量体BAとして挙げることができる例としては、2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド(例えば、Elf AtochemからNorsocryl(登録商標)ADAMQUAT MC80として商業的に入手可能)、2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド(例えば、Elf AtochemからNorsocryl(登録商標)MADQUAT MC75として商業的に入手可能)、2−(N−メチル−N,N−ジエチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド、2−(N−メチル−N,N−ジエチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド、2−(N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド、2−(N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウム)エチルメタクリレート、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド(例えば、Elf AtochemからNorsocryl(登録商標)ADAMQUAT BZ80として商業的に入手可能)、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド(例えば、Elf AtochemからNorsocryl(登録商標)MADQUAT BZ75として商業的に入手可能)、2−(N−ベンジル−N,N−ジエチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド、2−(N−ベンジル−N,N−ジエチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド、2−(N−ベンジル−N,N−ジプロピルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド、2−(N−ベンジル−N,N−ジプロピルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド、3−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリド、3−(N−メチル−N,N−ジエチルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N−メチル−N,N−ジエチルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリド、3−(N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N−メチル−N,N−ジプロピルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジエチルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジエチルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジプロピルアンモニウム)プロピルアクリレートクロリド、3−(N−ベンジル−N,N−ジプロピルアンモニウム)プロピルメタクリレートクロリドが挙げられる。もちろん、挙げられたクロリドの代わりに、対応するブロミド及びサルフェートを使用することもできる。
【0057】
2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド、2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリド、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチルアクリレートクロリド及び2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチルメタクリレートクロリドを使用することが好ましい。
【0058】
もちろん、上述のエチレン性不飽和単量体BS及び/又はBAの混合物を使用することもできる。
【0059】
特に有利には、単量体Bの組成は、単量体Bの重合のみにより、100℃以下、好ましくは60℃以下、特に40℃以下、しばしば−30℃以上、多くの場合−20℃以上又は−10℃以上のガラス転移温度を有する重合体となるように選択される。
【0060】
ガラス転移温度は、通常、DIN53765(Differential Scanning Calorimetry、20K/分、中間点測定)に従って決定される。
【0061】
Fox(T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.1956[Ser.II]1,page123及びUllmann’s Encyclopaedie der technischen Chemie,Vol.19,page18,4th edition,Verlag Chemie,Weinheim,1980)によれば、それは、ほんの低い架橋度を有する共重合体のガラス転移温度Tgが、以下の
1/Tg=x1/Tg1+x2/Tg2+....xn/Tgn
[式中、x1、x2、....xnは、単量体1、2、....nの質量分率であり、Tg1、Tg2、....Tgnは、各場合における単量体1、2....nの内の1つのみから合成される重合体の、ケルビン温度でのガラス転移温度である]にほとんど近似している場合である。大部分の単量体の単独重合体についてのTg値は既知であり、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th ed.,Vol.A21,page169,Verlag Chemie,Weinheim,1992に記載されており;単独重合体のガラス転移温度についての更なる資料には、例えば、J.Brandrup,E.H.Immergut,Polymer Handbook,1stEd.,J.Wiley,New York,1966;2ndEd.J.Wiley,New York,1975及び3rdEd.J.Wiley,New York,1989がある。
【0062】
本発明によれば、単量体Bの総量は、前記方法のステップf)において、水性重合媒質に計量される。この場合、単量体Bは、1回以上に分けて、或いは連続的に同じ又は変化する体積流量で、水性重合媒質に計量され得る。特に有利には、単量体Bの計量は、連続的に同じ体積流量で、より詳しくは水性モノマーエマルジョンの一部として行われる。
【0063】
遊離ラジカル重合によって本発明の水性複合粒子分散液を製造するために適切な開始剤としては、遊離ラジカル水性エマルジョン重合を起こすことができる遊離ラジカル重合開始剤の全てが挙げられる。前記開始剤は、原則として、過酸化物とアゾ化合物とを含むことができる。もちろん、レドックス開始剤系も適切である。使用する過酸化物は、原則として、無機過酸化物(例えば過酸化水素)又はペルオキソジサルフェート(例えばペルオキソ二硫酸のモノアルカリ金属塩又はジアルカリ金属塩又はモノアンモニウム塩又はジアンモニウム塩、例えば、そのモノナトリウム塩、ジナトリウム塩、モノカリウム塩、ジカリウム塩、或いはアンモニウム塩)、或いはアルキルヒドロペルオキシド等の有機過酸化物(例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、p−メチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド)、更に、ジアルキルペルオキシド又はジアリールペルオキシド(例えば、ジ−tert−ブチルペルオキシドやジクミルペルオキシド)である。使用するアゾ化合物は、第一に、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2’−アゾビス(アミジノプロピル)ジヒドロクロリド(AIBA(Wako ChemicalsのV−50に対応する))である。レドックス開始剤系に適切な酸化剤は、本質的に上述のペルオキシドである。使用する対応する還元剤は、低酸化度の硫黄の化合物、例えば、アルカリ金属サルファイト(例えば亜硫酸カリウム及び/又は亜硫酸ナトリウム)、アルカリ金属水素サルファイト(例えば亜硫酸水素カリウム及び/又は亜硫酸水素ナトリウム)、アルカリ金属メタバイサルファイト(例えばメタ重亜硫酸カリウム及び/又はメタ重亜硫酸ナトリウム)、ホルムアルデヒドスルホキシレート(例えばカリウムホルムアルデヒドスルホキシレート及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート)、脂肪族スルフィン酸のアルカリ金属塩、特にカリウム塩及び/又はナトリウム塩、アルカリ金属硫化水素(例えば硫化水素カリウム及び/又は硫化水素ナトリウム)、多価金属の塩(例えば、硫酸鉄(II)、硫酸鉄アンモニウム(II)、リン酸鉄(II))、エンジオール(例えば、ジヒドロキシマレイン酸、ベンゾイン酸及び/又はアスコルビン酸)、及び還元糖(例えば、ソルボース、グルコース、フルクトース及び/又はジヒドロキシアセトン)であってよい。一般に、使用する遊離ラジカル重合開始剤の量は、総単量体量に基づいて、0.1質量%〜5質量%である。
【0064】
本発明によれば、遊離ラジカル開始剤の総量は、前記方法のステップd)又はe)で重合反応を開始する前に水性反応媒質における初充填において含まれ得る。或いは、適切な場合、前記方法のステップd)又はe)で重合反応が開始される前の水性反応媒質における初充填において遊離ラジカル開始剤の一部だけを含むこと、及び、本発明の遊離ラジカルエマルジョン重合の間、遊離ラジカル開始剤が消費される速度で、連続的又は何回かに分けて、重合条件下で前記方法のステップf)における全体又は任意の残部を添加することができる。
【0065】
重合反応の開始は、遊離ラジカル開始剤による遊離ラジカルの形成後における、水性重合媒質中に存在する単量体の重合反応の開始を意味する。重合反応の開始は、重合条件下で水性重合媒質にラジカル開始剤を添加することにより生じ得る[方法のステップf)]。或いは、重合反応を開始するには適切でない条件の下、即ち低温で、初充填において含まれる単量体を含む水性重合媒質に遊離ラジカル開始剤の一部又は全体を添加すること(例えば[方法のステップd)及びe)])、及び、その後、水性重合混合液における重合条件を設定することができる。この場合の重合条件は、一般に、十分な重合速度で遊離ラジカルにより開始された水性エマルジョン重合が進行する温度及び圧力を意味する。その重合条件は、より詳しくは、使用する遊離ラジカル開始剤に依存する。有利には、遊離ラジカル開始剤の性質及び量、重合温度、及び重合圧力は、遊離ラジカル開始剤が、3時間以下、特に有利には1時間以下、とりわけ有利には30分間以下の半減期を有する一方で、同時に、重合反応を開始して、維持するのに十分な遊離ラジカルの開始を生じさせるように選択される。
【0066】
微粉化無機固体の存在下での遊離ラジカル水性エマルジョン重合反応に適切な反応温度は、0〜170℃の全範囲を包含する。一般に、用いる温度は、50〜120℃、しばしば60〜110℃、多くの場合70〜100℃である。遊離ラジカル水性エマルジョン重合は、1atm(大気圧)より小さな、と同じ、より大きな圧力で行うことが可能であり、重合温度は、100℃を超えてよく、最高170℃まで可能である。重合は、好ましくは、高められた圧力の下で、非常に揮発性の高い単量体B(例えばエチレン、ブタジエン、ビニルクロリド)の存在下で行われる。この場合、圧力は、1.2、1.5、2、5、10又は15bar又は更にそれ以上の値をとることができる。エマルジョン重合が準大気圧力の下で行われる場合、950mbar、しばしば900mbar、多くの場合850mbar(絶対)の圧力が確立される。遊離ラジカル水性エマルジョン重合は、有利には、例えば、無酸素状態で、より詳しくは不活性ガス雰囲気下で(例えば窒素又はアルゴンの下で)、1atm(絶対)で行われる。
【0067】
水性重合媒質が、原則として、例えば有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、更にアセトン)を、微量程度に含むこともできるということは、本発明の方法にとって重要である。しかしながら、有機溶媒の量は、前記方法のステップe)の最後において、いずれの場合においても、本発明により得られる水性複合粒子分散液の全体の水量に基づいて10質量%以下、有利には5質量%以下、特に有利には2質量%以下であるようにすることが重要である。本発明に従って、かかる溶媒は全く存在しないことが有利である。
【0068】
水性複合粒子分散液を製造するための本発明の方法において、上述の成分の他に、場合により、前記重合によって得られる重合体の分子量を減少又は抑制するために遊離ラジカル連鎖移動化合物を使用することもできる。この種の適切な化合物としては、本質的に、例えば、脂肪族ハロゲン化合物及び/又は芳香脂肪族ハロゲン化合物(例えば、n−ブチルクロリド、n−ブチルブロミド、n−ブチルヨージド、メチレンクロリド、エチレンジクロリド、クロロホルム、ブロモホルム、ブロモトリクロルメタン、ジブロモジクロロメタン、四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル、臭化ベンジル)、有機チオ化合物(例えば、第一級、第二級又は第三級脂肪族チオール、例えば、エタンチオール、n−プロパンチオール、2−プロパンチオール、n−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、n−ペンタンチオール、2−ペンタンチオール、3−ペンタンチオール、2−メチル−2−ブタンチオール、3−メチル−2−ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、2−ヘキサンチオール、3−ヘキサンチオール、2−メチル−2−ペンタンチオール、3−メチル−2−ペンタンチオール、4−メチル−2−ペンタンチオール、2−メチル−3−ペンタンチオール、3−メチル−3−ペンタンチオール、2−エチルブタンチオール、2−エチル−2−ブタンチオール、n−ヘプタンチオール及びその異性体、n−オクタンチオール及びその異性体、n−ノナンチオール及びその異性体、n−デカンチオール及びその異性体、n−ウンデカンチオール及びその異性体、n−ドデカンチオール及びその異性体、n−トリデカンチオール及びその異性体)、置換チオール(例えば2−ヒドロキシエタンチオール)、芳香族チオール(例えばベンゼンチオール、オルト−メチルベンゼンチオール、メタ−メチルベンゼンチオール、パラ−メチルベンゼンチオール)、更に、Polymer Handbook 3rd edition,1989,J.Brandrup and E.H.Immergut,John Wiley&Sons,Section II,pages 133 to 141に記載の他の全ての硫黄化合物、更に、脂肪族アルデヒド及び/又は芳香族アルデヒド(例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド及び/又はベンズアルデヒド)、不飽和脂肪酸(例えばオレイン酸)、非共役二重結合を有するジエン(例えばジビニルメタン)、容易に抽出可能な水素原子を有するビニルシクロヘキサン又は炭化水素(例えばトルエン)が挙げられる。しかしながら、相互に相溶性の、上述の遊離ラジカル連鎖移動化合物の混合物を使用することもできる。場合により使用する遊離ラジカル連鎖移動化合物の総量は、重合する単量体の総量に基づいて、一般に5質量%以下、多くの場合3質量%以下、しばしば1質量%以下である。
【0069】
使用される固体の水性分散液の安定性に応じて、前記方法のステップe)及びf)は、酸性、中性又は塩基性のpH範囲において実施され得る。層状ケイ酸塩を使用する場合、pHは、有利には5以上11以下、特に有利には6以上10以下(それぞれ20℃及び1atmで測定された試料)である。
【0070】
本発明の方法によって得られる水性複合粒子分散液は、通常、1質量%〜70質量%、しばしば5質量%〜65質量%、多くの場合10質量%〜60質量%の総固体含量を有する。
【0071】
本発明によって得られる複合粒子は、一般に、10nm超1000nm以下、しばしば500nm以下、多くの場合250nm以下の粒径を有する。本明細書に関連して、複合粒子の粒径の決定は、一般に、Malvern Instruments Ltd.のHigh Performance Particle Sizer(HPPS)を使用して準弾性光散乱法(DIN ISO 13321)によって行われる。
【0072】
本発明の方法によって得られる複合粒子は、種々の構造を有することができる。これらの複合粒子は、微粉固体粒子の内の1種以上を含むことができる。微粉固体粒子は、重合体マトリックスで完全に包むことができる。しかしながら、微粉固体粒子の一部は、重合体マトリックスによって包むことができるが、他の幾つかは、重合体マトリックスの表面に配置される。明らかなように、微粉固体粒子の主要な画分は、重合体マトリックスの表面上に結合することもできる。
【0073】
もちろん、重合反応の終了後に水性重合媒質に残留する未反応の単量体A及び/又はBの残留量は、不利に水性複合粒子分散液の性質を変化させることなく、例えば明細書DE−A4419518、EP−A767180又はDE−A3834734に記載のように、水蒸気ストリッピング及び/又は不活性ガスストリッピングによって、及び/又は、化学的脱臭によって、除去され得る。
【0074】
無機固体微粒子を含む重合体膜は、本発明の方法により得られる水性複合粒子分散液から簡単な方法で製造され得る。無機固体微粒子を含まない重合体膜と比較して、これらの更なる重合体膜は、一般に、高い機械的強度、低い白色化性、鉱物質表面への付着性の向上、有機溶媒に対する耐性の向上、高い耐引掻性、高い耐ブロッキング性、高い熱安定性を特徴とする。
【0075】
従って、本発明の方法により製造される水性複合粒子分散液は、例えば、結合剤として、保護膜を製造するため、接着剤として、又は、セメント配合物及びモルタル配合物を改良するため、又は医療診断において、特に適切である(例えば、K.Mosbach and L.Andersson,Nature270(1977),pages 259 to 261;P.L.Kronick,Science200(1978),pages 1074 to 1076;及びUS−A4,157,323を参照のこと)。更に、前記複合粒子は、種々の水性分散系における触媒として使用することもできる。
【0076】
本発明によって得られる水性複合粒子分散液は、再分散可能な複合粒子粉末を形成するために簡単な方法で(例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって)乾燥することができるということも示される。これは、特に、本発明により得られる複合粒子の重合体マトリックスのガラス転移温度が、50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、非常に好ましくは80℃以上、特に好ましくは90℃以上又は100℃以上である場合である。前記複合粒子粉末は、とりわけ、プラスチック用添加剤として、トナー配合物用成分として、又は電子写真用途の添加剤として、更にセメント配合物及びモルタル配合物における成分として、適切である。
【0077】
本発明の方法によって、シラン単量体を用いた、水性複合粒子分散液に対する、単一のステップ及び溶媒を含まない利用が可能になる。更に、本発明の水性複合粒子分散液から得られる膜は、破壊強度及び/又は破断伸びの向上を特徴とする。前記膜はまた、無機固体の相対的に均質な分布を示す。
【0078】
本発明について、以下の非限定的な実施例を参照して更に詳細に示す。
【0079】
実施例
a)水性複合粒子分散液の製造
実施例1
還流冷却器、温度計、機械的撹拌器、及び、計量装置を備えた2L四ツ口フラスコに、20〜25℃(室温)及び1atm(絶対)で、窒素雰囲気下で、撹拌しながら(200回転数/分)、5分間にわたり、脱イオン水489gと、粉末形態のLaponite(登録商標)RDS層状ケイ酸塩(Rockwood Holdings,Inc.の商標;離層分散状態の平均直径:20〜50nm)20gとを投入した。完全に層状ケイ酸塩を離層するため、更に15分間撹拌し(200回転数/分)、次いで82℃に加熱した。続いて(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン1.2gを、フィードラインを介して1時間にわたり連続的に計量した。次いで、脱イオン水40gと、10質量%強度の水酸化ナトリウム水溶液2.1gと、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.6gとから成る溶液を、更に別個のフィードラインを介して2分間にわたって添加し、5分間放置した。続いて、反応混合物を85℃に加熱した。これと平行して、フィード1として、脱イオン水401gと、Dowfax(登録商標)2A1の45質量%強度水溶液8.9gと、10質量%強度の水酸化ナトリウム水溶液18.4gと、メタクリル酸4gと、n−ブチルアクリレート118gと、メチルメタクリレート60gと、エチルアクリレート16gと、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン1.7gとから成るもの、及び、フィード2として、脱イオン水161gと、10質量%強度の水酸化ナトリウム水溶液8.5gと、ペルオキソ二硫酸ナトリウム2.4gとの混合物で、均質のエマルジョンを製造した。加熱操作後、前記2つのフィードを、以下のように別個のフィードラインを介して同時に開始して計量した。フィード1を、最初の40分間は3.14g/分の計量速度で、その後は6.28g/分で、2時間にわたり連続的に計量した。平行して、フィード2を、連続的な体積流量で2時間計量した。最後に、反応混合物を、反応温度で30分間撹拌し、最終的に室温に冷却した。
【0080】
しかるに得られた水性複合粒子分散液は、水性複合粒子分散液の全質量に基づいて18.5質量%の固体含量を有した。
【0081】
一般に、複合物粒子分散液約1gを、150℃の乾燥炉で、およそ3cmの内径を有する開放型アルミニウム坩堝において恒量まで乾燥することにより、前記固体含量を決定した。固体含量を決定するため、いずれの場合においても2つの別々の測定を行い、対応する平均値を求めた。
【0082】
複合粒子分散液のpHは8.1だった。
【0083】
一般に、Malvern Instruments Ltd.のHigh Performance Particle Sizer(HPPS)を使用して準弾性光散乱法(DIN ISO 13321)によって、複合粒子の大きさを決定した。平均粒径は、102nmであった。
【0084】
分析用超遠心器を使用して、得られた複合粒子が、1.33g/cm3の均質密度を有することが判明した。層状ケイ酸塩固体の単体粒子を検出することはできなかった(この点については、S.E.Harding et al.,Analytical Ultracentrifugation in Biochemistry and Polymer Science,Royal Society of Chemistry,Cambridge,Great Britain1992,Chapter10,Analysis of Polymer Dispersions with an Eight−Cell AUC Multiplexer:High Resolution Particle Size Distribution and Density Gradient Techniques,W.Maechtle,pages 147 to 175も参照のこと)。
【0085】
実施例2
(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン0.2gを初充填に含め、単量体エマルジョンの一部として2.7gの(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランを計量したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2を製造した。
【0086】
しかるに得られた水性複合粒子分散液は、水性複合粒子分散液の全質量に基づいて18.7質量%の固体含量を有した。
【0087】
複合粒子分散液のpHは8.2だった。
【0088】
平均粒径は、110nmであることが分かった。
【0089】
分析用超遠心器を用いて遊離層状ケイ酸塩を検出することはできなかった。更に、複合粒子は、1.33g/cm3の均質密度を有した。
【0090】
実施例3
(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン0.1gを初充填に含め、単量体エマルジョンの一部として(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン1.4gを計量したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3を製造した。
【0091】
しかるに得られた水性複合粒子分散液は、水性複合粒子分散液の全質量に基づいて18.5質量%の固体含量を有した。
【0092】
複合粒子分散液のpHは8.1だった。
【0093】
平均粒径は、108nmであることが分かった。
【0094】
分析用超遠心器を用いて遊離層状ケイ酸塩を検出することはできなかった。更に、複合粒子は、1.33g/cm3の均質密度を有した。
【0095】
比較例1
単量体エマルジョンの一部としてフィード1において(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランの総量を計量したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1を製造した。
【0096】
しかるに得られた水性複合粒子分散液は、水性複合粒子分散液の全質量に基づいて18.6質量%の固体含量を有した。
【0097】
複合粒子分散液のpHは8.2だった。
【0098】
平均粒径は、110nmであることが分かった。
【0099】
分析用超遠心器を用いて、約10質量%の遊離層状ケイ酸塩の画分を検出することができた。
【0100】
実施例4
フィード1として、脱イオン水401gと、Dowfax(登録商標)2A1の45質量%強度水溶液8.9gと、水酸化ナトリウム溶液の10質量%強度溶液18.4gと、メタクリル酸4gと、n−ブチルアクリレート118gと、メチルメタクリレート76gと、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン1.7gとから成るエマルジョンを使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4を製造した。
【0101】
しかるに得られた水性複合粒子分散液は、水性複合粒子分散液の全質量に基づいて18.2質量%の固体含量を有した。
【0102】
複合粒子分散液のpHは8.2だった。
【0103】
平均粒径は、107nmであることが分かった。
【0104】
分析用超遠心器を用いて遊離層状ケイ酸塩を検出することはできなかった。
【0105】
実施例5
フィード1として、脱イオン水401gと、Dowfax(登録商標)2A1の45質量%強度水溶液8.9gと、水酸化ナトリウム溶液の10質量%強度溶液18.4gと、メチルアクリレート31gと、スチレン25gと、メタクリル酸4.5gと、n−ブチルアクリレート62gと、2−エチルヘキシルアクリレート31gと、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン1.7gとから成るエマルジョンを使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5を製造した。フィード速度は、最初の40分間は2.92g/分、その後は5.84g/分だった。
【0106】
しかるに得られた水性複合粒子分散液は、水性複合粒子分散液の全質量に基づいて15.9質量%の固体含量を有した。
【0107】
複合粒子分散液のpHは8.3だった。
【0108】
平均粒径は、105nmであることが分かった。
【0109】
分析用超遠心器を用いて遊離層状ケイ酸塩を検出することはできなかった。
【0110】
実施例6
Laponite(登録商標)RDSの代わりに層状ケイ酸塩としてOptigel(登録商標)SH(Suedchemie AGの商標)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例6を製造した。
【0111】
しかるに得られた水性複合粒子分散液は、水性複合粒子分散液の全質量に基づいて18.9質量%の固体含量を有した。
【0112】
複合粒子分散液のpHは8.1だった。
【0113】
平均粒径は、105nmであることが分かった。
【0114】
分析用超遠心器を用いて遊離層状ケイ酸塩を検出することはできなかった。
【0115】
実施例7
Laponite(登録商標)RDSの代わりに層状ケイ酸塩としてOptigel(登録商標)EX0482(Suedchemie AGの商標)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例7を製造した。
【0116】
しかるに得られた水性複合粒子分散液は、水性複合粒子分散液の全質量に基づいて18.5質量%の固体含量を有した。
【0117】
複合粒子分散液のpHは8.1だった。
【0118】
平均粒径は、103nmであることが分かった。
【0119】
分析用超遠心器を用いて遊離層状ケイ酸塩を検出することはできなかった。
【0120】
b)性能調査
破壊強度及び破断伸び
実施例1、2及び3、更に比較例1の水性複合粒子分散液から膜を作製し、その膜の破壊強度及び破断伸びを確認した。
【0121】
上述の複合粒子分散液膜の破断的−機械的性質を、DIN53504による引張試験で決定した。分散膜の厚みは0.4〜0.5mmであり、引取速度は25.4mm/分だった。調査の開始前、対応する量の複合粒子分散液を、テフロン担体に塗布し、分散膜の形成のため、23℃及び相対湿度50%の環境制御チャンバーに14日間保存した。下表に報告された数字は、各場合において5つの別個の測定値からの各場合における平均値である。
【0122】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体及び微粉化無機固体無機固体から構成される粒子の水性分散液(水性複合粒子分散液)を製造するための方法であって、エチレン性不飽和単量体を、水性媒質に分散して分布させ、且つ、少なくとも1種の分散し分布した微粉化無機固体と少なくとも1種の分散剤との存在下で少なくとも1種の遊離ラジカル重合開始剤によって遊離ラジカル水性エマルジョン重合の方法によって重合する製造方法において、
a)少なくとも1種の無機固体の安定した水性分散液(固体の水性分散液)を使用し、該分散液は、該少なくとも1種の無機固体の水性分散液に基づいて0.1質量%以上の初期固体濃度で、その製造後1時間は当初の分散固体の90質量%超を分散形態で含み、その分散固体微粒子が100nm以下の直径を有することを特徴とし、
b)ケイ素含有官能基を有する0.01質量%以上10質量%以下の少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体A(シラン単量体)と、単量体Aとは異なる90質量%以上99.99質量%以下の少なくとも1種の更なるエチレン性不飽和単量体Bとを(単量体A及びBの量の合計が100質量%(総単量体量))、エチレン性不飽和単量体として使用し、
c)100質量部のエチレン性不飽和単量体につき1〜1000質量部の無機固体を使用し、その際、
d)無機固体の少なくとも一部を、水性重合媒質中で固体の水性分散液の形態で初充填し、次いで、
e)単量体Aの少なくとも一部を、5分間以上240分間以下の期間にわたり水性重合媒質に計量し、続いて、
f)無機固体の任意の残部、単量体Aの任意の残部、及び単量体Bの総量を重合条件下で水性重合媒質に計量することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
ステップd)において、50質量%以上の無機固体が初充填される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップd)において、無機固体の総量が初充填される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップe)が、50℃以上100℃以下の温度で行われる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップe)において、単量体Aの総量の5質量%以上70質量%以下が計量される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
無機固体がケイ素を含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
無機固体として、熱分解法シリカ(ヒュームドシリカ)、コロイダルシリカ及び/又は層状ケイ酸塩が使用される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ステップe)の終了時、水性重合媒質が、水の全量に基づいて10質量%以下の有機溶媒を含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
単量体Aとして、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)メチルジエトキシシラン及び/又は(3−メタクリロイルオキシプロピル)メチルジエチルオキシシランが使用される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
分散剤として、アニオン性乳化剤及び/又は非イオン性乳化剤が使用される、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
単量体Aの総量が、総単量体量に基づいて0.5質量%以上3質量%以下であり、方法のステップe)において、単量体Aの総量の10質量%以上50質量%以下が計量される、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
単量体Bの組成が、単量体Bの重合のみにより、60℃以下のガラス転移温度を有する重合体となるように選択される、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法により得られる、複合粒子の水性分散液。
【請求項14】
結合剤としての、保護膜を製造するための、接着剤としての、セメント配合物又はモルタル配合物を改良するための、あるいは医療診断における、請求項13に記載の複合粒子の水性分散液の使用。
【請求項15】
請求項13に記載の複合粒子の水性分散液を乾燥させることによって得られる複合粒子粉末。

【公表番号】特表2010−526198(P2010−526198A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506891(P2010−506891)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055145
【国際公開番号】WO2008/135422
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】