説明

水性酸性着香性組成物

【課題】 調香の自由度を上げるとともに、対象物に付着した香りを長時間持続させることができる水性酸性着香性組成物、及び香りの持続性向上方法の提供。
【解決手段】 LogPowが3.0〜30の香料成分を10〜100質量%含有する香料組成物(a1)、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(a2)を、(a1)/(a2)=3〜200の質量比で予め混合したプレミックス(A)、界面活性剤(B)、及び水を含有する水性酸性着香性組成物、その製造方法、並びにこの水性酸性着香性組成物、又は該水性酸性着香性組成物を水で希釈した希釈水を着香対象物に接触させる、香りの持続性向上方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性酸性着香性組成物、その製造方法及びそれを用いた香りの持続性向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを着色、変色、着香等に対する安定化剤として用いることは周知であり、香料組成物の安定化にも通常用いられている。特許文献1にはジヒドロクマリンの安定化に2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを使用することが記載されている。また、特許文献2の実施例には香料の安定化のために2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを含有する香料組成物が記載されている。また、特許文献3には水性酸性組成物である液体柔軟剤組成物に香料と2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを併用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-003054号公報
【特許文献2】特表2005−509589号公報
【特許文献3】特開2004−131680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、香りへの嗜好が高まっており、衣類、髪の毛、硬質表面などに香りを付着させ、また、香りが長時間持続することが望まれている。一方、シャンプー、トイレ用洗浄剤、あるいは布帛柔軟剤組成物などは、対象物の特性や貯蔵安定性の点から水性酸性組成物である場合が多い。しかしながら酸性条件化では、用いることができる香料素材が限定されるため、調香の自由度が制限されるという課題があり、さらには対象物に付着させた香りの持続性に満足できるものが得られないという課題がある。
【0005】
特許文献1及び2は香料組成物そのものの安定性を改善する目的で2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを併用することが記載されているが、その含有量は極微量であり、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを特定の比率で含有する組成物が水性酸性着香性組成物の調香の自由度を上げることができるばかりか、香りの持続性を改善できる点については示唆するものではない。
【0006】
また、特許文献3には香料と2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを含有する水性酸性柔軟剤組成物が記載されているが、香料と2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを特定の方法で配合することで、驚くべき効果が得られることについては想起し得るものではない。
【0007】
本発明の課題は、調香の自由度を上げるとともに、対象物に付着した香りを長時間持続させることができる水性酸性着香性組成物、及び香りの持続性向上方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、LogPowが3.0〜30の香料成分を10〜100質量%含有する香料組成物(a1)、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(a2)を、(a1)/(a2)=3〜200の質量比で予め混合したプレミックス(A)、界面活性剤(B)、及び水を含有する水性酸性着香性組成物、その製造方法、並びにこの水性酸性着香性組成物、又は該水性酸性着香性組成物を水で希釈した希釈水を着香対象物に接触させる、香りの持続性向上方法を提供する。
【0009】
なお、本発明で言う着香性組成物とは、対象物に香りを付着させる目的で用いる組成物だけではなく、主要効果ではないが付随的に対象物に香りの付着が期待される組成物も含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、調香の自由度を上げるとともに、対象物に付着した香りを長時間持続させることができる水性酸性着香性組成物、及び香りの持続性向上方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いられる香料組成物(a1)は、LogPowが3.0〜30の香料成分を10〜100質量%含有する。
【0012】
ここでLogPowとは、化合物の1−オクタノール/水分配係数で、f値法(疎水性フラグメント定数法)により計算で求められた値をいう。具体的には、化合物の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数(f値)を積算して求めることができ、CLOGP3 Reference Manual Daylight Software 4.34, Albert Leo, David Weininger, Version1, March 1994を参考にすることができる。
【0013】
LogPowが3.0〜30の香料成分としては、i)α−ピネン(4.18)、β−ピネン(4.18)、カンフェン(4.18)、リモネン(4.35)、テルピノーレン(4.35)、ミルセン(4.33)、p−サイメン(4.07)、β−カリオフィレン(6.45)から選ばれる炭化水素系香料、ii)サンダルマイソールコア(3.9)、サンタロール(3.9)、l−メントール(3.2)、シトロネロール(3.25)、ジヒドロミルセノール(3.03)、エチルリナロール(3.08)、ムゴール(3.03)、ネロリドール(4.58)から選ばれるアルコール系香料、iii)アルデヒドC−111(4.05)、グリーナール(3.13)、マンダリンアルデヒド(4.99)、シトラール(3.12)、シトロネラール(3.26)、アミルシンナミックアルデヒド(4.32)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(4.85)、リリアール(3.86)、シクラメンアルデヒド(3.5)、セトナール(4.86)、ボロナール(4.72)、マセアール(3.6)、ベルンアルデヒド(4.88)、マイラックアルデヒド(3.87)、ジヒドロジャスモン(3.13)、イオノンα(3.71)、メチルイオノンα(4.24)、メチルイオノンG(4.02)、トリメチルウンデセナール(5.16)から選ばれるアルデヒド、ケトン系香料、iv)ヘプチルアセテート(3.36)、シトロネリルアセテート(4.20)、ゲラニルアセテート(3.72)、リナリルアセテート(3.50)、ヘキシルサリシレート(5.09)、エチルシンナメート(3.0)、ベンジルサリシレート(4.2)、イソブチルサリシレート(3.92)から選ばれるエステル系香料、v)チモール(3.40)、バニトロープ(3.11)から選ばれるフェノール系香料、vi)セドロキサイド(4.58)、シトロネリルエチルエーテル(4.36)、アネトール(3.31)、ネロリンヤラヤラ(3.24)、エステラゴール(3.1)、メチルイソオイゲノール(3.0)、アンブロキサン(5.27)から選ばれるエーテル系香料、テンタローム(5.7)、パールライド(5.7)などを挙げることができる。なお、( )内はLogPow値である(以下、同様)。
【0014】
本発明の香料組成物(a1)は、LogPowが3.0〜30の香料成分、好ましくは香りの持続性の点からLogPowが3.0〜6.5の香料成分を、10〜100質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜70質量%含有する。このような香料組成物(a1)を用いることで香りの持続性に優れた着香性組成物を得ることができる。
【0015】
一般に水性酸性組成物には使用できる香料素材は安定性の点から限定されることが知られており、特にアルデヒド系香料の使用が難しいとされていたが、本発明に用いられる香料組成物(a1)は、このようなアルデヒド系香料を10〜100質量%、好ましくは15〜85質量%、特に好ましくは15〜70質量%含有することが可能であり、調香の自由度を大幅に向上させることが可能である。
【0016】
アルデヒド系香料としては、上述のLogPowが3〜30のアルデヒド系香料であるアルデヒドC−111(4.05)、グリーナール(3.13)、マンダリンアルデヒド(4.99)、シトラール(3.12)、シトロネラール(3.26)、アミルシンナミックアルデヒド(4.32)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(4.85)、リリアール(3.86)、シクラメンアルデヒド(3.5)、セトナール(4.86)、ボロナール(4.72)、マセアール(3.6)、ベルンアルデヒド(4.88)、マイラックアルデヒド(3.87)、トリメチルウンデセナール(5.16)以外に、ヘリオトロピン(1.138)、ヘリオナール(1.387)、バニリン(1.275)、エチルバニリン(1.804)、メチルバニリン(1.35)、クミンアルデヒド(2.922)、ベンズアルデヒド(1.495)、リラール(2.15)、センテナール(0.924)、ペリラアルデヒド(2.626)、ヒドロキシシトロネラール(1.64)などを挙げることができる。
【0017】
本発明の香料組成物(a1)中に含有されるLogPowが3.0〜30の香料成分以外の香料成分としては、テルピネオール(2.6)、ゲラニオール(2.77)、リナロール(2.55)、ミルセノール(2.61)、ネロール(2.77)、シス−ジャスモン(2.64)、フェニルエチルアセテート(2.13)、アリルアミルグリコレート(2.51)、リファローム(2.26)、シス−3−ヘキシルアセテート(2.34)、スチラリルアセテート(2.27)、o−t−ブチルシクロヘキサノン(2.27)、p−t−ブチルシクロヘキサノン(2.27)、アセチルオイゲノール(2.83)、シンナミルアセテート(2.35)、オイゲノール(2.40)、イソオイゲノール(2.58)、モスシンス(2.94)、アニソール(2.06)、メチルオイゲノール(2.78)等を挙げることができる。
【0018】
なお、本発明で用いた香料素材の名称は、「香料と調香の基礎知識」中島基貴著、産業図書(株)発行 第2刷(1996年5月30日)の記載に従った。
【0019】
本発明の香料組成物(a1)には上記香料成分以外に、希釈剤、保留剤を含有することが出来る。希釈剤、保留剤の好適な例としては、ジプロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピルエステル、ジエチルフタレート、ベンジルベンゾエート、流動パラフィン,イソパラフィン、油脂等を挙げることができる。香料成分と保留剤の質量比は1/0〜2/8が好ましい。
【0020】
本発明においては、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(a2)を、香料組成物(a1)と水性酸性着香性組成物中に配合する前に予備混合してプレミックス(A)を形成させる。プレミックス(A)中の(a1)と(a2)の質量比は、(a1)/(a2)=3〜200であり、4〜100が好ましく、5〜80がより好ましく、8〜70が更に好ましい。このプレミックス(A)は、一般に香料の安定性に用いる場合より、(a2)成分を大幅に増量した混合物である。(a1)と(a2)の混合方法は一般的な方法で差し支えなく、混合時の温度は5〜30℃が好ましい。プレミックス(A)は長時間貯蔵しても問題ないが、低温で貯蔵した場合(a2)成分が析出する恐れがあるため、貯蔵する場合には20〜30℃が望ましい。
【0021】
本発明の水性酸性着香性組成物は、界面活性剤(B)を含有する。界面活性剤(B)は本発明の着香性組成物の用途や目的に応じて公知のものを適宜選択できるが、プレミックス(A)を酸性水溶液に均一に分散、乳化、可溶化させる目的から非イオン界面活性剤(以下(b1)成分という)を用いることが好ましい。(b1)成分としては、i)炭素数8〜18のアルコール、又は炭素数8〜18の脂肪酸の低級アルキル(炭素数1〜3)エステルに、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを平均3〜100モル、好ましくは10〜70モル、より好ましくは15〜50モル付加させたポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、又はポリオキシアルキレンモノ低級アルキルエーテルの脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、ii)アミド基で分断されていてもよい炭素数8〜21の炭化水素基を1つと残りが炭素数1〜3のアルキル基である3級アミンのアミンオキシド型界面活性剤、及びiii)アルキル基の炭素数が8〜18であり、グルコースの平均縮合度が1〜2であるアルキルグリコシド型界面活性剤から選ばれる化合物が好ましく、特に、アルキル基の炭素数が10〜14であり、オキシエチレン基の平均付加モル数が10〜30のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル基の炭素数が10〜14のN−アルキル−N,N−ジメチルアミンオキシド、アルカノイル基の炭素数が8〜14であるN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミンオキシド、アルキル基の炭素数が8〜14であり、グルコースの平均縮合度が1〜1.5であるアルキルグリコシドから選ばれる1種以上が好ましい。
【0022】
本発明の界面活性剤(B)は、上述の(b1)成分以外には陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤を用途、目的に応じて適宜選択することができる。
【0023】
本発明の水性酸性着香性組成物は、プレミックス(A)、界面活性剤(B)及び水を含有するものであり、プレミックス(A)及び界面活性剤(B)を水に分散、乳化、可溶化させて得ることができる。水としては、水道水以外に微量に混入する金属成分を除去したイオン交換水や蒸留水、もしくは塩素を0.1〜5ppm含有させた塩素滅菌水などを用いることができる。
【0024】
本発明の水性酸性着香性組成物中のプレミックス(A)の含有量は、好ましくは0.0001〜15質量%、より好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%である。界面活性剤(B)の含有量は、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜35質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。
【0025】
本発明の水性酸性着香性組成物は、(b1)成分を含有することが好ましく、組成物中の(b1)成分の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。さらに、香料組成物の安定性、及び香りの持続性向上の観点からプレミックス(A)/(b1)成分の質量比は、好ましくは0.001〜10、より好ましくは0.01〜8、更に好ましくは0.1〜5である。
【0026】
本発明の水性酸性着香性組成物の20℃におけるpHは、1〜6が好ましく、1〜5がより好ましく、1.5〜4.5が更に好ましい。pHは、塩酸、水酸化ナトリウム等の通常用いられるpH調整剤で適宜調整することができる。
【0027】
本発明の水性酸性着香性組成物の製造方法は、LogPowが3.0〜30の香料成分を10〜100質量%含有する香料組成物(a1)、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(a2)を、(a1)/(a2)=3〜200の質量比で予め混合しプレミックス(A)を形成させる工程を含む方法である。プレミックス(A)を形成させた後は、このプレミックス(A)を、界面活性剤(B)、水、必要によりその他の成分を混合した混合溶液に添加して本発明の水性酸性着香性組成物を得る方法が好ましい。混合時の温度は、好ましくは15〜70℃、より好ましくは20〜65℃であり、混合は通常の攪拌翼を用いることもでき、また、ホモミキサーやスタティックミキサーなどの強いせん断力を有する攪拌機を用いることもできる。
【0028】
本発明の水性酸性着香性組成物は、アルカリ性悪臭の消臭剤、トイレ用酸性洗浄剤、あるいは繊維製品処理剤などの対象物に香りを付着することが期待される水性組成物に応用されることが好適であり、更に布帛柔軟剤組成物等の繊維製品処理用組成物に応用することで、洗濯した繊維製品に好ましい香りを付着させることができ、且つ、香りを長時間持続させることが可能になる。特に洗濯工程のすすぎの段階ですすぎ水に添加される布帛柔軟剤組成物等の繊維製品処理用組成物として用いることが好ましい。
【0029】
本発明の水性酸性着香性組成物を布帛柔軟剤組成物に応用する場合には、布帛柔軟化成分として、分子中にエステル基又はアミド基を有する陽イオン界面活性剤(以下、(b2)成分という)、及び/又はシリコーン化合物(以下(c1)成分という)を含有する。
【0030】
(b2)成分としては、アルカノイル基(又はアルケノイル基)の炭素数が12〜22、好ましくは14〜20、特に好ましくは14〜18、アルキル基の炭素数が2又は3のアルカノイル(又はアルケノイル)オキシアルキル基、及び/又はアルカノイル(又はアルケノイル)アミノアルキル基を1〜3個と、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である3級アミン又はその塩、もしくはその4級化物が好適である。
【0031】
一般に上述のような陽イオン界面活性剤は高い柔軟化効果と生分解性を有する優れた化合物であることが知られているが、貯蔵安定性に問題があるため組成物のpHを酸性にする必要がある。一方近年、柔軟剤を用いて布帛に香りを附香することが求められており、このような酸性のpHにおいて香料の安定性、調香の自由度、及び香りの持続性を改善する技術が強く求められており、本発明はこのような課題を解決し得る技術を提供できる。
【0032】
本発明で用いる(b2)成分としては、防臭効果の点からヨウ素価が15〜110gI2/100g、好ましくは20〜100gI2/100g、より好ましくは25〜90gI2/100gである化合物が好適である。一般にこのようなヨウ素価を有する化合物は防臭効果があるものの貯蔵安定性に欠点があり、特に香りの劣化を引き起こすことが知られているが、本発明ではこのような化合物を用いても香料の安定性及び香りの持続性を改善できるため、特に有用である。
なお、本発明のヨウ素価はJIS K0070-1992に記載の方法に従って測定するものとする。
【0033】
本発明で用いる(b2)成分として好ましい具体的化合物としては、下記i)〜iii)の化合物が挙げられる。
i)メチルジエタノールアミン又はトリエタノールアミン、好ましくはトリエタノールアミンとヨウ素価が20〜160gI2/100g、好ましくは20〜100gI2/100g、より好ましくは25〜90gI2/100gの脂肪酸、脂肪酸低級アルキルエステル又は脂肪酸クロリドとのエステル化反応生成物をアルキル化剤で4級化反応を行った4級アンモニウム化合物。
ii)N−アミノプロピル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミンと、ヨウ素価が0〜160gI2/100g、好ましくは10〜100gI2/100g、より好ましくは10〜90gI2/100gの脂肪酸、脂肪酸低級アルキルエステル又は脂肪酸クロリドとのエステル化及びアミド化反応を行った3級アミン化合物、又はこの3級アミン化合物をアルキル化剤で4級化反応を行った4級アンモニウム化合物。
iii)ジメチルアミノプロピルアミンとヨウ素価が0〜160gI2/100g、好ましくは10〜100gI2/100g、より好ましくは10〜90gI2/100gの脂肪酸、脂肪酸低級アルキルエステル又は脂肪酸クロリドとのアミド化反応を行った3級アミン化合物。
【0034】
反応に用いる脂肪酸、脂肪酸低級アルキルエステル又は脂肪酸クロリドとしては、牛脂、豚脂、パーム油、大豆油、サフラワー油、ヒマワリ油、オリーブ油等の天然油脂を分解・精製して得られる脂肪酸、又は脂肪酸低級アルキルエステル(好適には脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル)もしくは脂肪酸クロリド、あるいはリノール酸などの多不飽和脂肪酸を低減化したこれらの部分硬化脂肪酸、部分硬化脂肪酸メチルエステル、部分硬化脂肪酸エチルエステル、部分硬化脂肪酸クロリドが好適であり、これらの中でも特にオレイン酸、牛脂脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、部分硬化パーム油脂肪酸、大豆脂肪酸、部分硬化大豆脂肪酸、及びこれらの低級アルキルエステルが好適である。
【0035】
もうひとつの布帛柔軟化成分である(c1)成分としては、ジメチルポリシロキサン、4級アンモニウム変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、フッ素変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン化合物が挙げられる。
【0036】
本発明ではジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、アミド変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン、好ましくはポリオキシエチレン)変性ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種以上が好適であり、特にジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン、好ましくはポリオキシエチレン)変性ジメチルポリシロキサンが柔軟効果の点から好ましい。
【0037】
ジメチルポリシロキサンとしては、25℃における粘度が5000〜10000000mm2/s、好ましくは10000〜5000000mm2/s、特に好ましくは50000〜3000000mm2/sの化合物を挙げることができる。
【0038】
アミノ変性ジメチルポリシロキサンとしては、アミノ当量(アミノ当量とは窒素原子1個当たりの分子量)が、1,500〜40,000g/mol、好ましくは2,500〜20,000g/mol、更に好ましくは、3,000〜10,000g/molの化合物を挙げることができる。また、25℃における粘度が500〜1000000mm2/s、好ましくは1000〜500000mm2/s、特に好ましくは2000〜200000mm2/sの化合物を挙げることができる。
【0039】
ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとしては、付加するエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの量が、ジメチルシロキサンに対して、平均付加モル%で3〜97、好ましくは5〜85、特に好ましくは7〜80の化合物を挙げることができる。また、25℃における粘度が500〜300000mm2/s、好ましくは1000〜200000mm2/s、特に好ましくは2000〜150000mm2/sの化合物を挙げることができる。
【0040】
市販されているシリコーン化合物を用いることも可能であり、好ましいものとしては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)のTSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705、TSF4706、KT−97E、TEX100、TEX101、TEX102、TEX103、TEX104、TSF451、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、XF42−B5370、TSF4452、XF42−B5371、TSF4460、XS65−822、東レ・ダウコーニング(株)のL−720、L−7001、L−7002、L−7002、L−7604、L−7605、L−7607N、Y−7006、FZ−2120、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2165、FZ−2166、SM8702、SM8704、SM8702C、SM8704C、BY22−812、BY22−816、BY22−819、BY22−823、BY16−850、SF8471、BY22−019、SH−3746、SH−3771、SH−8400、SF−8410、SH−8700、信越シリコーン(株)のPolonMF−14、PolonMF−14D、PolonMF−14EC、PolonMF−29、PolonMF−39、PolonMF−44、PolonMF−52、KF−351A、KF−352A、KF−353A、KF−354A、KF−615A、KF−618、KF−945A、KF−6008、SH200を挙げることができる。
【0041】
本発明では、任意ではあるがさらに柔軟剤組成物の変褪色を抑制する目的から、金属封鎖剤(以下(c2)成分という)を、好ましくは5〜1000mg/kg、より好ましくは100〜300mg/kg含有することが好適である。金属封鎖剤としては、下記i)〜iii)から選ばれる1種以上が好適である。
i)クエン酸、りんご酸、コハク酸などのポリカルボン酸化合物
ii)エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、ヒドロキシエチルイミジ酢酸などのアミノポリカルボン酸
iii)1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチルホスホン酸などのホスホン酸。
【0042】
本発明の水性酸性着香性組成物を布帛柔軟剤組成物に応用する場合、貯蔵安定性を改善する目的から、通常柔軟剤組成物に用いられる成分を含有することができる。具体的には脂肪酸(以下(c3)成分という)、無機電解質(以下(c4)成分という)、溶剤(以下(c5)成分という)を挙げることができる。
【0043】
(c3)成分としては、炭素数12〜18の脂肪酸が好ましく、特にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸が好適である。また、(c4)成分としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。(c5)成分としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールが好適である。
【0044】
本発明の水性酸性着香性組成物を布帛柔軟剤組成物に応用する場合には、プレミックス(A)の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜7質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%である。(b1)成分は、アルキル基の炭素数が10〜14であり、オキシエチレン基の平均付加モル数が10〜30のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、組成物中の(b1)成分の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。また、組成物中の(b2)成分の含有量は、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%である。組成物中の(c1)成分の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.2〜15質量%、更に好ましくは0.3〜10質量%である。さらに組成物中の(c2)成分の含有量は、好ましくは0.001〜3質量%、より好ましくは0.005〜2質量%、更に好ましくは0.01〜1質量%である。組成物中の(c3)成分の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。組成物中の(c4)成分の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%である。組成物中の(c5)成分の含有量は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.2〜20質量%、更に好ましくは0.3〜15質量%である。
【0045】
本発明の水性酸性着香性組成物を布帛柔軟剤組成物に応用する場合には、組成物の20℃におけるpHは、好ましくは0.5〜5、より好ましくは1〜4.5、更に好ましくは1.5〜4であり、通常用いられるpH調整剤で適宜調整される。
【0046】
本発明の水性酸性着香性組成物はトイレ用酸性洗浄剤組成物にも応用することができ、たとえば特開2007−106920号公報に記載の組成物に、本願発明のプレミックス(A)を応用することができる。
【0047】
トイレ用酸性洗浄剤組成物に応用する場合には、界面活性剤(B)として陰イオン界面活性剤(以下(b3)成分という)、(b2)成分以外の陽イオン界面活性剤(以下(b4)成分という)及び両性界面活性剤(以下(b5)成分という)を併用することができる。
【0048】
(b3)成分としては、炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜16のアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜16のアルキル基とオキシアルキレン基(好ましくはオキシエチレン基)の平均付加モル数が1〜6、更に1〜5、特に1〜4のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、炭素数10〜16のアルキル基とオキシアルキレン基(好ましくはオキシエチレン基)の平均付加モル数が1〜12のポリオキシアルキレンアルキルエーテルメチルカルボン酸塩、炭素数8〜18の脂肪酸塩、炭素数8〜16のアルカンスルホン酸塩、炭素数8〜16のオレフィンスルホン酸塩等を具体例として挙げることができる。なおアルキル硫酸エステル塩とポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、組成物の酸性が強い場合は、分解しやすくなるため、配合が制限される。特にpHが4.0以下の場合は、実質的に配合しないことが望ましい。
【0049】
(b4)成分としては、窒素原子に置換する基のうち1個又は2個が炭素数8〜14のアルキル基であり、残りが炭素数1〜3のアルキル基、1〜3のヒドロキシアルキル基、もしくはベンジル基である4級アンモニウム塩を挙げることができる。
【0050】
(b5)成分としては、炭素数8〜16のアルキル基を1つと炭素数1〜3のアルキル基を2つ有するN,N,N−トリアルキル−N−スルホプロピルアンモニウムベタイン、炭素数8〜16のアルキル基を1つと炭素数1〜3のアルキル基を2つ有するN,N,N−トリアルキル−N−(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムベタイン、炭素数8〜16のアルキル基を1つと炭素数1〜3のアルキル基を2つ有するN,N,N−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタインを挙げることができる。
【0051】
本発明の水性酸性着香性組成物をトイレ用酸性洗浄剤組成物に応用する場合には、燐酸カルシウムなどの無機塩を洗浄除去する目的から、酸剤(以下(c6)成分という)を用いることができ、好適には、分子中にカルボン酸基を2ケ以上有する分子量100〜500の多価カルボン酸(ポリカルボン酸)であり、(i)エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、グリシンジ酢酸、アラニンジ酢酸、アスパラギン酸ジ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸から選ばれるアミノカルボン酸、(ii)リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸から選ばれる多価カルボン酸を挙げることができる。本発明では(ii)から選ばれる多価カルボン酸が複合汚れ除去効果、タイル目地などの基材損傷性、及び付着滞留性、すすぎ性の点から好ましく、この中でもっとも好ましいのはクエン酸である。
【0052】
本発明の水性酸性着香性組成物をトイレ用酸性洗浄剤組成物に応用する場合には、プレミックス(A)の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%である。(b1)成分はアミド基で分断されていてもよい炭素数8〜21の炭化水素基を1つと残りが炭素数1〜3のアルキル基である3級アミンのアミンオキシド型界面活性剤が好ましく、組成物中の(b1)成分の含有量は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜8質量%である。また、組成物中の(b3)成分の含有量は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜8質量%であり、(b4)成分の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜7質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%であり、(b5)成分の含有量は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜12質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。組成物中の(c6)成分の含有量は、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%である。
【0053】
本発明の水性酸性着香性組成物をトイレ用酸性洗浄剤組成物に応用する場合には、組成物の20℃におけるpHは、好ましくは0〜4、より好ましくは0〜3.5、更に好ましくは0〜3であり、(c6)成分及び塩酸、硫酸、燐酸などの無機酸や水酸化ナトリウムなどの無機塩基により適宜調整される。
【0054】
本発明の水性酸性着香性組成物はプレミックス(A)を用いることで、香料の安定性や調香の自由度を向上させるとともに、香りの持続性を向上させることができるものであり、布帛柔軟剤組成物に応用する場合には、該組成物を水道水で50〜10000倍、好ましくは100〜8000倍に希釈した水溶液に着香対象物である布帛を浸漬させることで、本発明の効果を享受することができる。浸漬後は脱水し自然乾燥、又は加熱乾燥機を用いて乾燥する。
【0055】
本発明の水性酸性着香性組成物をトイレ用洗浄剤に応用する場合には、原液を直接対象物に付着させることもでき、この場合には付着後適度な時間放置した後、水で洗い流すか、洗浄ブラシなどの道具を用いてこすり洗いをした後、洗い流すのが好適である。このような場合、香料は微量ではあるが対象物に残存し、香りを長時間持続させることが可能になる。
【実施例】
【0056】
実施例及び比較例で用いた各成分をまとめて以下に示す。
【0057】
<香料組成物(a1)>
(a1−1)〜(a1−3):表1に示す組成の香料組成物
【0058】
【表1】

【0059】
(a1−4)〜(a1−5):表2に示す組成の香料組成物
【0060】
【表2】

【0061】
(a2):2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン
<界面活性剤(B)>
(b1−1):炭素数12の飽和アルコールにエチレンオキサイドを平均20モル付加させた非イオン界面活性剤
(b1−2):ラウリルジメチルアミンオキシド
(b1−3):ミリスチルジメチルアミンオキシド
【0062】
【化1】

【0063】
<その他成分>
(c1−1):高重合ジメチコンエマルジョン
25℃における動粘度が500,000mm2/sのジメチルポリシロキサン60質量%、平均エチレンオキサイド(以下EOという)付加モル数5モルのポリオキシエチレンラウリルエーテル1.5質量%、平均EO付加モル数23モルのポリオキシエチレンラウリルエーテル4.5質量%、ラウリル硫酸ナトリウム0.1質量%、水 残部のエマルジョン、分散粒子の平均粒子径500nm
(c2−1):エチレンジアミン4酢酸
(c3−1):ステアリン酸
(c4−1):塩化カルシウム
(c5−1):エチレングリコール
(c6−1):クエン酸
実施例1〜6及び比較例1〜3
香料組成物(a1−1)〜(a1−3)を用い、表3に示す割合で香料組成物(a1−1)〜(a1−3)と、(a2)又は比較品としてジプロピレングリコール(DPG)を常温にてマグネティックスターラーを用いて混合し、表3に示す組成の本発明に係わるプレミックス(A−1)〜(A−3)及び比較のプレミックス(A−4)〜(A−6)を得た。
【0064】
【表3】

【0065】
得られたプレミックス(A−1)〜(A−6)、及び表4に示す各配合成分を用い、表4に示す組成の柔軟剤組成物を下記調製方法に従い調製した。得られた柔軟剤組成物の色調の変化、香りの変化及び残香性を下記の方法で評価した。結果を表4に示す。
【0066】
<柔軟剤組成物の調製方法>
300mLビーカーに、柔軟剤組成物の出来あがり質量が200gになるのに必要な量の95%相当量のイオン交換水と(b1−1)及び(c2−1)〜(c5−1)を入れ、ウォーターバスで70℃に昇温した。一つの羽根の長さが2cmの攪拌羽根が3枚ついたタービン型の攪拌羽根で攪拌しながら(300r/min)、所要量の(b2−1)〜(b2−3)を溶解させた。そのまま5分攪拌後、pH調整剤として塩酸と48%水酸化ナトリウム水溶液を用いて目標のpHに調整し、出来あがり質量にするのに必要な量の70℃のイオン交換水を添加した。その後に、該混合物にプレミックス(A−1)〜(A−6)、(c1−1)を添加した。その後10分間攪拌し、5℃の水を入れたウォーターバスにビーカーを移し、攪拌しながら混合物を30℃に冷却して、柔軟剤組成物を得た。pHは0.1N塩酸水溶液又は0.1N水酸化ナトリウム水溶液により調整した。表4の柔軟剤組成物では、(b2−1)は、ほぼすべて酸塩の状態で柔軟剤組成物中に存在する。
【0067】
<色調の変化、香りの変化及び残香性の評価法>
1)色調変化の評価法
上記調製法にて各成分を配合した柔軟剤組成物を常温にて50日間保存後、目視により以下の基準で色調変化を評価した。
・色調変化の評価基準
○‥配合直後から色調変化無し
△‥やや色調が変化
×‥著しく色調が変化
2)香りの変化の評価法
上記調製法にて各成分を配合した柔軟剤組成物を常温にて50日間保存後、香りの変化を10人のパネラー(30代男性10人)により下記の基準で判定し、平均点を求めた。
・香りの変化評価基準
3‥配合直後と香りが同等
2‥配合直後と比較して若干香りの変化はあるが許容範囲内
1‥配合直後と比較して香りが変化している
0‥配合直後と比較して香りが著しく変化している
香りの変化評価において、2.2点以上は良い状態であり、2.6点以上は非常に良好である。
【0068】
3)残香性の評価法
市販木綿タオル(綿100%)2kgを全自動洗濯機(ナショナルNA-F70E)に入れ、市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製アタック)で洗濯後、2回目の濯ぎ時に表4の各柔軟剤組成物を用いて柔軟処理を行った(標準コース、洗剤濃度0.00667質量%、柔軟剤量10ml、水道水40L使用、水温20℃)。その後、タオルを25℃、40%RH条件下で自然乾燥した。
【0069】
この処理したタオルの乾燥後の残香性を、10人のパネラー(30代男性10人)により下記の基準で判定し、平均点を求めた。
・残香性の評価基準
3‥残香がある
2‥やや残香がある
1‥僅かに残香がある
0‥残香がない
残香性評価点において、2.2点以上は良い状態であり、2.6点以上は非常に良好である。
【0070】
【表4】

【0071】
実施例7〜8及び比較例4〜5
表5に示す各配合成分を用いて、表5に示す組成の柔軟剤組成物を調製した。実施例7、8は実施例1〜6と同様に香料組成物(a1−1)、(a1−2)と(a2)を事前にプレミックスして用いた(投入手順1)。比較例4、5は香料組成物(a1−1)、(a1−2)と(a2)をプレミックスせず、香料組成物(a1−1)、(a1−2)のみを先と同様の手順で配合し、混合物を30℃に冷却した後に、(a2)を投入し、pH調整を行った(投入手順2)。
【0072】
得られた柔軟剤組成物の色調の変化、香りの変化及び残香性を、実施例1〜6と同様の方法で評価した。結果を表5に示す。
【0073】
【表5】

【0074】
実施例9〜10及び比較例6〜7
香料組成物(a1−4),(a1−5)を用いて、表6に示す組成の洗浄剤組成物を調製した。実施例9、10は香料組成物(a1−4)、(a1−5)と(a2)を事前にプレミックスしてから用いた。尚、その他の成分の投入順序は特に規定されない(投入手順3)。比較例6、7は香料組成物(a1−4)、(a1−5)と(a2)をプレミックスせず、(a2)以外の成分を先と同様の手順で配合し、最後に(a2)を投入した(投入手順4)。
【0075】
得られた洗浄剤組成物の香りの変化を以下の方法で評価した。結果を表6に示す。
【0076】
<香りの変化の評価法>
洗浄剤組成物を常温にて50日間保存後、香りの変化を10人のパネラー(30代男性10人)により下記の基準で判定し、平均点を求めた。
・香りの変化評価基準
3‥配合直後と香りが同等
2‥配合直後と比較して若干香りの変化はあるが許容範囲内
1‥配合直後と比較して香りが変化している
0‥配合直後と比較して香りが著しく変化している
香りの変化評価において、2.2点以上は良い状態であり、2.6点以上は非常に良好である。
【0077】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
LogPowが3.0〜30の香料成分を10〜100質量%含有する香料組成物(a1)、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(a2)を、(a1)/(a2)=3〜200の質量比で予め混合したプレミックス(A)、界面活性剤(B)、及び水を含有する水性酸性着香性組成物。
【請求項2】
香料組成物(a1)中のアルデヒド系香料の含有量が10〜100質量%である請求項1記載の水性酸性着香性組成物。
【請求項3】
水性酸性着香性組成物が、洗濯工程のすすぎの段階ですすぎ水に添加される繊維製品処理用組成物である請求項1又は2記載の水性酸性着香性組成物。
【請求項4】
LogPowが3.0〜30の香料成分を10〜100質量%含有する香料組成物(a1)、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(a2)を、(a1)/(a2)=3〜200の質量比で予め混合しプレミックス(A)を形成させる工程を含む、請求項1〜3いずれかに記載の水性酸性着香性組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3いずれかに記載の水性酸性着香性組成物、又は該水性酸性着香性組成物を水で希釈した希釈水を着香対象物に接触させる、香りの持続性向上方法。

【公開番号】特開2010−159325(P2010−159325A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1252(P2009−1252)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】