説明

水性酸浴および銅を電解析出するための方法

特に、ブラインドマイクロビア(BMV)およびトレンチにおいて非常に均一な銅析出を生成させるために、銅を電解析出するための水性酸浴が提供され、前記浴は、少なくとも1種の銅イオン源、少なくとも1種の酸イオン源、少なくとも1種の光沢剤化合物および少なくとも1種のレベラー化合物を含み、少なくとも1種のレベラー化合物は、合成によって製造される非官能基化ペプチドおよび合成によって製造される官能基化ペプチドおよび合成によって製造される官能基化アミノ酸を含む群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性酸浴ならびに、特に、プリント回路基板、チップキャリアおよび半導体ウェーハ上のブラインドマイクロビア(BMV)、スルービア、トレンチおよび同様の構造を充填するための銅の電解析出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅被覆の装飾的および機能的特性を制御することを可能にするために、酸電解銅浴に多くの種々の有機添加剤を添加することは知られている。とりわけ、光沢剤および担体が、光沢析出物を得るためにこの浴に添加される。さらに、有機化合物が、プリント回路基板、チップキャリアおよび半導体ウェーハの生産中にこの銅めっき浴に添加剤として用いられ、これらの化合物は、レベラーとして作用し、プリント回路基板の表面またはプリント回路基板の構造、例えば、トレンチまたはBMVの異なる領域におけるおよびその上の可能な限り均一な銅の析出を可能にする。
【0003】
銅の均一な析出は、特にトレンチ、BMVまたはスルービアにおける個々の領域の幾何学的配置および展開を考慮すると困難なことが多い。これらの領域が変動する電気析出挙動を示すからである。特に、この種の非常に小さい構造において(中程度からより低いμm範囲において)、析出位置に向かう金属イオンおよび添加物の拡散の影響が支配的である。銅の均一な析出は、複雑な導体構造の展開に必須条件である。そうでなければ、例えば、スルービアの壁での不十分または過剰な析出という結果になりうるし、それらの無用、およびその結果としてプリント回路基板またはチップキャリア全体の不合格をもたらす。同じ結果が、プリント回路基板、チップキャリアおよびウェーハ上のトレンチおよびBMVの不十分で、不均一な金属化によって生じるが、金属によって完全に充填されるべき非常に小さい構造において、中空の空間(空隙)が銅析出物において形成されまたはむらのために銅めっき工程後に構造が表面に再生され得るからである。これは、追加の作業工程となり、もはや許容できないインピーダンス変動のために、その後の層の構築に必要な材料コストおよび問題が生じ得る。
【0004】
特許文献1には、アミノ酸、またはペプトンおよびペプチドなどの二次的なアミノ酸誘導体が含まれるアルカリ性シアン化物銅浴が記載されている。これらの添加剤は、銅析出過程に有利な効果を有すると言われている。
【0005】
特許文献2には、プリント回路基板の構築に用いられる銅箔の電解形成のための銅浴が記載されている。この銅浴は、他の添加物と一緒にゼラチン化合物を含む。これらの種類の化合物は、10,000から300,000の分子量を有するアミノ酸の高分子タンパク質として記載されている。この文書の説明への序文によれば、ゼラチン添加物は、析出銅層の粗さを調節するために用いられる。さらに、活性硫黄化合物、好ましくはチオ尿素が、析出銅の粗さを制限するために含まれる。
【0006】
特許文献3にも、銅浴によるプリント回路基板の生産のための銅箔の生成が記載されている。この目的に用いられる浴は、とりわけ、膠、ゼラチンおよびコラーゲンペプチドを含む。形成された銅箔は、例えば、補助的なニッケル金属層を必要とせずにプリント回路基板を製造する場合に、レーザで銅箔にドリルで穴を開けることをより容易にする。
【0007】
ICチップのためのより効率的な集積回路の製造でも、対応する浴添加剤を有する、より効率的な銅析出浴の使用が必要とされ、上述の要件の一部は、さらにより大きな重要性を有する。非特許文献1には、例えば、ポリエーテル、チオ尿素などの硫黄系有機化合物およびレベラー、ベンゾトリアゾール(BTA)ならびにヤヌスグリーンB(Janus Green B(JGB))を含む組成物が記載され、これによって鏡様銅表面を生成することができるとともに、これは、最も精細なトレンチにおける銅析出の促進を可能にする。
【0008】
特許文献4には、集積回路上への、例えば、導体経路のための狭いトレンチまたは導体経路接続部(ビア)における、銅を電解析出するための組成物が開示されている。この組成物は、他の添加剤と一緒に、つや出し手段として、硫黄含有アミノ酸、例えば、システイン、ペルシステイン、グリタチオンならびにそれらの誘導体および塩を含む。
【0009】
特許文献5には、誘電体層における開口、特に接点、ビアおよび/またはトレンチの高アスペクト比の開口を確実に充填するCuを電気めっきする方法が開示されている。レベリング剤および場合によって光沢剤を含む電気めっき溶液が用いられる。レベリング剤は、ポリエチレンイミン、ポリグリシン、2-アミノ-1-ナフタリンスルホン酸、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸、4-アミノトルエン-2-スルホン酸およびさらなる化合物から選択され得る。好適な光沢剤は、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チオジアゾールであり得る。
【0010】
特許文献6には、半導体基板上の銅電着に用いられる電気化学的析出が開示されている。とりわけ、ジペプチドジアミノ酸、ジグリシンおよびトリグリシンを含み得る電気めっき溶液が用いられる。
【0011】
プリント回路基板の微細化が進行しまたはプリント回路基板およびウェーハの設計がさらにより複雑になり、とりわけ、ますます減少する空間においてより大きな計算能力および/または機能を与える目的とともに、この産業は常に新しい課題に直面している。同時に、例えば、プリント回路基板の形状、またはそれぞれ、プリント回路基板、チップキャリアおよび半導体ウェーハ上の導体経路構造および導体構造の形状は、ますます複雑になっている。例えば、銅厚さの導体経路の幅に対する比、またはそれぞれ穴の深さの穴の直径に対する比(アスペクト比)は、穴の直径がますます小さくなり、導体経路がますます狭くなるにつれて、常により大きくなっている。
【0012】
特に、知られている方法を用いるプリント回路基板、チップキャリアおよび半導体ウェーハ上の金属析出の均一性は、トレンチおよびビアの導体構造の信頼できる生成を保証するには不十分であることが示された。ますます小さくなる構造のために、銅が析出しているときに、平坦でない表面を有する銅層が形成される。導体構造を生成するダマシン法におけるこの結果は、化学的/機械的研磨に対する信頼できる結果は、もっと多くのことをすることなしにはもはや達成できないということである。この方法工程にとって、電解析出工程の間に生成した銅表面が広範囲に平滑であり、さらに金属を所望の深さまで信頼できる方法で除去し得ることが必須条件である。さらに、所望の効果は、必要な再現性で生じないことは明らかである。
【0013】
これらの要件を満たすために、浴溶液について、この効果が再現可能な方法で与えられる、銅の正確で均一な析出に対するニーズがある。特に、浴溶液にとってこの要件は、形成された導体構造が層の厚さの均一な分布および良好な導電性を示し、したがって、形成された導体経路が、いわゆるスキースロープ形状(スキー先端部の丸みに対応する断面における銅表面の凹面(concave)形状)または任意の他の凹面構造を示さず、BMVが、いわゆるへこみ(dimple)形状(ビアの部分における銅表面のくぼみ(depression))を有しない方法でトレンチおよびBMVを充填するために適切であることである。同時に、特に、ミクロスローイングなどの浴溶液の充填特性は損なわれてはならない。
【0014】
上述の要件は、従来知られている浴溶液で満たすことはできない。特に、特にトレンチおよびBMVにおける析出銅に関して層厚さの均一な分布を得ることはできず、いずれにせよ、これは再現可能な方法で得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第2,876,178号明細書
【特許文献2】米国特許第5,215,645号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0188263A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0195351A1号明細書
【特許文献5】米国特許第5,972,192号明細書
【特許文献6】米国特許第6,261,433B1号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】P.M.Vereeckenら:“The Chemistry of additives in damascene copper plating”、IBM J.Res.&Dev.、第49巻(2005年1月)、第1、3〜18号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明が基づく問題は、既知の浴溶液が、均一な仕方で十分な精度を有して、すなわち、できるだけ平坦な銅表面を有して、スルーホール、トレンチおよびBMVのミクロ構造を充填するために適切でないことである。したがって、本発明の目的は、この問題を解決し、これに加えて、上述の要件が大量生産の条件下でさえも常に達成できることを保証することである。
【0018】
特に、プリント回路基板、チップキャリアおよび半導体ウェーハ上のスルーホール、トレンチおよびBMVなどのミクロ構造は、スキースロープおよびくぼみなどの不利な効果がなく、均一な層厚さを有する平坦な表面が全体として形成されるような方法で充填されることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、銅を電解析出するための水性酸浴であって、前記浴は、少なくとも1種の銅イオン源、少なくとも1種の酸イオン源、少なくとも1種の光沢剤化合物および少なくとも1種のレベラー化合物を含み、ここで、少なくとも1種のレベラー化合物が、合成によって製造される非官能基化ペプチド、合成によって製造される官能基化アミノ酸および合成によって製造される官能基化ペプチドを含む群から選択される、銅を電解析出するための水性酸浴によって達成される。
【0020】
好ましくは、少なくとも1種のレベラー化合物は、ジグリシン、トリグリシン、ポリグリシンおよびカルノシン(ベータ-アラニル-L-ヒスチジン)を含まない。
【0021】
この目的は、加工品上の銅を電解析出するための方法であって、以下の方法工程:(i)銅を電解析出するための本発明による水性酸浴ならびに少なくとも1つの陽極を準備する工程、(ii)加工品および少なくとも1つの陽極を、本発明による水性酸浴と接触させる工程、および(iii)銅が加工品上に析出するように、加工品および少なくとも1つの陽極間に電流の流れを発生させる工程を含む方法によって追加的に達成される。これは、加工品および少なくとも1つの陽極が、電流またはそれぞれ電源に接続されることおいて達成される。
【0022】
本発明による水性酸浴および本発明による方法は好ましくは、プリント回路基板、チップキャリアおよび半導体ウェーハ、あるいはまた任意の他の回路キャリアの電解被覆に用いられ、ならびにトレンチ、ブラインドマイクロビア、スルービア(スルーホール)および同様の構造を銅で充填するために、特に半導体ウェーハにおいて、ただし同様にプリント回路基板およびチップキャリアにおいても用いられる。
【0023】
「アミノ酸」という用語が本明細書および本特許請求の範囲で用いられる限り、少なくとも1個のアミノ基および少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物を指す。これには、タンパク質生成性アミノ酸(α-アミノカルボン酸)および非タンパク質生成性アミノ酸が含まれる。このアミノ酸は、S-またはL-配置で互いに独立して存在し得る。とりわけ、以下のアミン酸が存在し得る:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリン。さらに、このアミノ酸は、誘導体化、特に互いに独立してメチル化することもでき、または例えば、保護基を支持し得る。しかし、本発明に関して、分子中にペプチド-(NH-CO)-結合を有する化合物は、アミノ酸と呼ばれない。
【0024】
「ペプチド」という用語は、本明細書および本特許請求の範囲で用いられる限り、ペプチド-(NH-CO)-結合を介して連結されている、少なくとも2つのアミノ酸単位を有する直鎖または分岐鎖(同様に星形)のアミノ酸分子鎖を指す。アミノ酸は、任意の配列、配置および頻度で分子鎖中に存在し得る。「非官能基化ペプチド」という用語は、本明細書および本特許請求の範囲で用いられる限り、ポリアルキレングリコール基またはポリアルキレンイミン基またはポリビニルアルコール基あるいは任意の他の基で官能基化されていないペプチドを指す。「官能基化ペプチド」または「官能基化アミン酸」という用語は、本明細書および本特許請求の範囲で用いられる限り、レベラー化合物に対して効果、例えば、改善されたレベリング効果および/または水性酸浴中レベラー化合物の溶解度の増加を示す基が結合しているペプチドまたはそれぞれアミノ酸を指す。
【0025】
「オリゴペプチド」という用語は、本明細書および本特許請求の範囲で用いられる限り、ペプチド結合を介して連結されている最大10個のアミノ酸からなるペプチドを指す。したがって、オリゴペプチドという用語は、特にジペプチド、トリペプチドおよびテトラペプチド、しかし同様により高分子量のペプチド同族体も包含する。オリゴペプチドは、分子鎖長でポリペプチドと区別される:最大10個のアミノ酸長であるペプチドはオリゴペプチドであり、一方、10個を超えるアミノ酸長であるペプチドはポリペプチドである。
【0026】
「ポリペプチド」という用語は、本明細書および本特許請求の範囲で用いられる限り、ペプチド結合を介して連結されている、10個から、例えば、100個のアミノ酸からなるペプチドを指す。
【0027】
ペプチドは、化学の認められた方法によって製造することができ、当業者は、これらの種類の製造方法をよく知っている。本発明によれば、非官能基化ペプチドならびに官能基化ペプチドおよび官能基化アミノ酸は、合成によって製造される。これらの種類の方法は、当技術分野で周知である(例えば、F.Alberricio、「Developments in peptide and amide synthesis」、Current Opinion in Chemical Biology 8(2004年)211〜221頁を参照のこと)。この点で、この刊行物の内容は、参照により本開示に含まれる。
【0028】
「アルキル」という用語は、本明細書および本特許請求の範囲で用いられる限り、nが1から約50である一般化学式C2n+1を有する炭化水素基を指す。例えば、C〜Cには、とりわけ、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、neo-ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルが含まれる。アルキルは、官能基、例えば、とりわけ、OH、Hal(F、Cl、Br、I)、CHO、COOHおよびCOORによって、それぞれの場合に、H-原子を置き換えることによって置換され得る。
【0029】
「アリール」という用語は、本明細書および本特許請求の範囲で用いられる限り、環形状芳香族炭化水素基、例えば、フェニルまたはナフチル、ここで個々の環炭素原子が、N、Oおよび/またはS、で置き換えることができ、例えば、ベンズチアゾリルを指す。これに加えて、アリールは、官能基、例えば、とりわけOH、Hal(F、Cl、Br、I)、CHO、COOHおよびCOORによって、それぞれの場合に、H-原子を置き換えることによって置換され得る。
【0030】
「光沢剤」という用語は、本明細書および本特許請求の範囲で用いられる限り、銅析出過程の間に光沢および促進効果を示す物質を指す。これらは一般に、有機化合物、特に硫黄を含有する有機化合物、好ましくは、有機チオール、有機スルフィド、有機ジスルフィドまたは有機ポリスルフィド、例えば、脂肪族チオール、スルフィド、ジスルフィドおよびポリスルフィドである。光沢剤化合物はまた、有機、例えば、脂肪族、アラリファチック(araliphatic)またはアリールの、C=S部分(moiety)を有する化合物であってもよい。これらの化合物は、水性酸浴に十分な溶解度を有するように、それらはそれぞれ好ましくは、さらに少なくとも1個の極性基、例えば、1または2個のスルホン酸基またはそれぞれその塩の基を含む。さらに、光沢剤化合物は好ましくは、アミノ基を含まない。
【0031】
「担体」という用語は、本明細書および本特許請求の範囲で用いられる限り、銅析出過程を促進する効果を示す物質を指す。これらは一般に、有機化合物、特に酸素を含む高分子化合物、好ましくはポリアルキレングリコール化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
興味深いことに、非官能基化アミノ酸は、レベリング効果を全く有しないことが示された。合成によって製造されるペプチド、またはそれぞれ合成によって製造される官能基化ペプチドおよび合成によって製造される官能基化アミノ酸がアミノ酸の代わりに用いられる場合、驚くべきことに完全に異なる挙動が起こる。この場合、分子鎖長およびペプチド中のアミノ酸の種類に依存して、ブラインドマイクロビアおよび同様の構造に充填する部分に対するレベリング効果が観察される。ペプチドおよびアミノ酸が、PEG、PPG/PEGもしくはポリエチレンイミンを含むまたはポリビニルアルコールを含むポリマー鎖に連結されている場合、さらにより良いレベリング機能を示す。次いで、特性は、分子鎖長の中間およびまた分子鎖長の種類によって選択的に変えられ得る。ペピチドおよびPEG由来の付加物の生成ならびにそれらの治療およびバイオテクノロジー用途における好ましい効果は、例えば、F.M.Veroneseによって記載されている(「Peptide and protein PEGylation:a review of problems and solutions」、Biomaterials 22(2001年)405〜417頁)。この点で、この刊行物の内容は、参照により本開示に含まれる。
【0033】
本発明による水性酸浴および本発明による方法を用いて、例えば、トレンチおよびBMVにおける、約50μm以下の構造幅の非常に小さい構造寸法を有するくぼみにおいて、非常に均一な仕方で銅を析出させることができる。特に、これらのくぼみを全面的に充填し、全く空隙を有しないことが可能である。これは、実際に変形を全く示さない著しく平滑で、平坦な銅表面が形成されることを保証する。例えば、へこみはBMVの領域でほとんど見られることがなく、スキースロープの形態におけるトレンチの導体構造の非均一形状は完全に取り除かれ、その結果、理想的またはほとんど理想的な角胴形が導体構造の断面に形成される。これは、平坦な表面を有するトレンチに析出される銅によって達成される。
【0034】
銅を電解析出するための公知の浴、例えば、米国特許第2,876,178号明細書、米国特許第5,215,645号明細書および米国特許出願公開第2004/0188263A1号明細書に記載された浴[ここでは、動物産物から得られた添加剤が用いられる(例えば、コラーゲン由来の加水分解生成物、ゲル形成性アルブミノイド、フィブロイド、ケラチン(米国特許第2,876,178号明細書)、通常動物骨膠から得られるゼラチン(米国特許第5,215,645号明細書)、膠、ゼラチンまたはコラーゲンペプチド(米国特許出願公開第2004/0188263A1号明細書))]と対照的に、本発明による水性酸浴は、合成によって製造される非官能基化ペプチドならびに/または合成によって製造される官能基化ペプチドおよび/もしくは合成によって製造される官能基化アミノ酸を含む。合成によって製造された物質は、明確な物質同一性および組成を有するが、公知の浴中の添加剤は種々の化合物の混合物である。それらの同一性および組成は、ほとんど知られず、したがって不明確である。特に、これらの物質のための製造方法またはそれぞれ調製方法ならびに供給源に依存して、異なる組成を有する物質が、例えば、異なるバッチにおいてさえも製造され得る。構成および組成に依存して、個々の物質はさらに種々の特性を有し、恐らくは、所望の効果に関して不活性であるかまたはさらない好ましくない特性を有するので、それらの効率は、製造方法および用いられる原料物質の種類に依存してかなり変わり得、それらは全く望ましくない効果さえを有し得る。
【0035】
合成によって製造される非官能基化ペプチドならびに官能基化ペプチドおよび官能基化アミノ酸によって、この問題は生じない。すなわち、一貫性のある(均一な)化合物を製造することによって、明確な効率が得られる。
【0036】
さらに、合成によって製造されるペプチドならびに/または合成によって製造される官能基化ペプチドおよび/または合成によって製造される官能基化アミノ酸と、少なくとも1種の光沢剤化合物の両方が析出浴に含まれる場合だけ、所望の効率が得られる。所望の効果を生じるのは、ペプチドまたはそれぞれアミノ酸と、光沢剤との間の相互作用だけである。米国特許出願公開第2002/0195351A1号明細書中の析出浴は、非官能基化ペプチドまたは官能基化ペプチドもしくは官能基化アミノ酸を含まず、むしろ特定のアミノ酸、いわゆる非官能基化である硫黄含有アミノ酸を含み、米国特許出願公開第2002/0195351A1号明細書中の析出浴は光沢剤化合物を有しないということとは関係ない。したがって、この浴は所望の特性を有しない。
【0037】
ペプチドおよびアミノ酸は好ましくは、ポリアルキレングリコール基および/もしくはポリアルキレンイミン基ならびに/またはポリビニルアルコール基で官能基化される。
【0038】
ペプチドがオリゴペプチドである場合が特に好ましい。これらの種類の化合物は好ましくは、2〜10、より好ましくは2〜4のアミノ酸単位を含む。これらの種類の化合物は、特に、所望の効果を生じるために好適である。ジペプチドならびに恐らくはトリペプチドおよびテトラペプチドがより特に好ましい。これらの化合物の混合物も、本発明による水性酸浴中にも含まれ得る。特に好ましいジペプチドはNH-Gly-Leu-OHである。
【0039】
非官能基化および官能基化ペプチドも好ましく、ここで、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、リシン、アルギニンおよびヒスチジンを含む群から選択される末端アミノ酸は、C末端に位置している。
【0040】
ベータ-アラニン、ベータ-フェニルアラニン、ベータ-トリプトファン、ベータ-チロシン、ベータ-ロイシン、ベータ-イソロイシン、ベータ-グルタミン、ベータ-グルタミン酸、ベータ-ヒスチジン、ベータ-メチオニンおよびアスパラギン酸を含む群から選択される少なくとも1種のベータアミノ酸を含む、本発明による非官能基化および官能基化ペプチドも好ましい。
【0041】
上述の化合物は、適度なBMV充填特性を示す。従来のレベラーと対照的に、これらの化合物は、従来のレベラーよりも小さいスキースロープを生じる。この効果は、BMV充填を損なうことなしに本発明による浴中で選択的に線形状(表面プロファイル)に影響を与えるために用いられ得る。
【0042】
さらに、本発明によれば、ペプチドおよびアミノ酸が、ポリアルキレングリコール基および/もしくはポリアルキレンイミン基ならび/またはポリビニルアルコール基で官能基化されているレベラーが存在する。
【0043】
好ましいポリアルキレングリコール基およびポリアルキレンイミン基は、一般化学式-(X-CHR-CH-R’(式中、XはOまたはNHであり、RはHまたはメチルであり、(X-CHR-CH)部分における各Xおよび各Rは、別の(X-CHR-CH)部分における各XおよびRと独立して選択することができ、nは2から1000の整数であり、R’は、H、アルキルまたはアリールである)を有する基である。R’は好ましくはHである。R’がアルキルである場合、アルキルは特にC〜C-アルキルであることができる。R’がアリールである場合、アリールは特にC〜C12-アリール(芳香族環炭素原子の数のみが特定されている)であることができる。
【0044】
-(X-CHR-CH-R’が、ホモポリエチレングリコール基、ホモポリプロピレングリコール基、ホモポリエチレンイミン基、ならびにエチレングリコール単位、プロピレングリコール単位およびエチレンイミン単位を含む群から選択される少なくとも2つの単位を含むコポリマー基を含む群から選択される場合、さらに有利である。特に、コポリマー基は、交互、統計、グラジエント、ブロックおよびグラフトコポリマー基であることができる。特に、エチレングリコール単位およびプロピレングリコール単位を含むブロックコポリマー基が好ましい。
【0045】
例えば、-(X-CHR-CH-R’は、以下の基を表し得る:-(O-CH-CH-H、-(O-CH(CH)-CH-H、-(N-CH-CH-H、-(N-CH(CH)-CH-H。
【0046】
基-(X-CHR-CH)-R’は、300〜35,000ダルトン、好ましくは800から15,000ダルトンの平均分子量を有し得る。nは好ましくは、約20から約500の範囲である。
【0047】
ポリビニルアルコール基と一緒のアミノ酸および/またはペプチドは好ましくは、ポリビニルアルコールとアミノ酸および/またはペプチドとの反応によって形成され得る。
【0048】
本発明による浴中レベラー化合物全て一緒の濃度は好ましくは、少なくとも0.01mg/l、特にこのましくは少なくとも0.1mg/l、最も好ましくは少なくとも0.2mg/lである。このレベラー濃度は、好ましくは1000mg/lを超えず、特に好ましくは10mg/lを超えず、最も好ましくは2mg/lを超えない。下限値および上限値に対するこれらの値は、任意の仕方で一緒に組合せることができる。
【0049】
本発明による水性酸浴は、少なくとも1種の光沢剤もさらに含む。特に、本発明による水性酸浴は、硫黄を含む有機化合物を含む群から選択される少なくとも1種の光沢剤化合物を含み得る。有機チオール化合物、有機スルフィド化合物、有機ジスルフィド化合物および有機ポリスルフィド化合物から選択される少なくとも1種の光沢剤化合物がより好ましい。3-(ベンズチアゾリル-2-チオ)-プロピルスルホン酸、3-メルカプト-プロパン-1-スルホン酸、エチレンジチオジプロピルスルホン酸、ビス-(p-スルホフェニル)-ジスルフィド、ビス-(ω-スルホブチル)-ジスルフィド、ビス-(ω-スルホヒドロキシプロピル)-ジスルフィド、ビス-(ω-スルホプロピル)-ジスルフィド、ビス-(ω-スルホプロピル)-スルフィド、メチル-(ω-スルホプロピル)-ジスルフィド、メチル-(ω-スルホプロピル)-トリスルフィド、O-エチル-ジチオ炭酸-S-(ω-スルホプロピル)-エステル、チオグリコール酸、チオリン酸-O-エチル-ビス-(ω-スルホプロピル)-エステル、チオリン酸-トリス-(ω-スルホプロピル)-エステルおよびそれらの塩を含む群から選択される少なくとも1種の光沢剤化合物が最も好ましい。
【0050】
本発明による水性酸浴中の光沢剤化合物全て一緒の濃度は好ましくは、少なくとも0.01mg/l、より好ましくは少なくとも0.05mg/l、最も好ましくは少なくとも0.1mg/lである。この光沢剤の濃度は、好ましくは100mg/lを超えず、特に好ましくは10mg/lを超えず、最も好ましくは2mg/lを超えない。下限値および上限値に対するこれらの値は、任意の仕方で一緒に組合せることができる。
【0051】
さらに、本発明による水性酸浴は、さらに少なくとも1種の担体物質を含み得る。これらの種類の化合物は、例えば、酸素を含む高分子化合物であり得る。これらは好ましくは、ポリアルキレングリコール化合物、例えば、ポリアルキレングリコールまたは酸エステル、特にポリアルキレングリコールのカルボン酸エステル、またはポリアルキレングリコールおよび1種もしくは複数のアルコール由来のエーテル、例えば、ポリアルキレングリコールのアルカノールエーテルもしくはフェノールエーテルである。これらの種類の添加剤は、例えば:ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ステアリン酸ポリグリコールエステル、オレイン酸ポリグリコールエステル、ステアリルアルコールポリグリコールエーテル、ノニルフェノールポリグリコールエーテル、オクタノールポリアルキレングリコールエーテル、オクタンジオール-ビス-(ポリアルキレングリコールエーテル)、ポリ(エチレングリコール-ran-プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)である。これらの化合物の濃度は、好ましくは少なくとも約0.005g/l、特に好ましくは少なくとも約0.01mg/lである。この濃度は、約20g/lを超えず、より好ましくは約5g/lを超えない。下限値およびより上限値に対するこれらの値は、任意の仕方で一緒に組合せることができる。
【0052】
銅浴は、銅イオン源、例えば、硫酸銅、およびさらに浴の電導度を増加させる化合物、例えば、酸イオン源として硫酸を含み、通常塩化物を含み得る。この浴の基本組成は、広範に変えることができる。一般に、以下の組成を有する水溶液が用いられる:硫酸銅(CuSO・5HO):20から250g/l、好ましくは60から80g/lまたは180から220g/l;硫酸:50から350g/l、好ましくは180から220g/lまたは50から90g/l;塩化物イオン:0.01から0.18g/l、好ましくは0.03から0.10g/l。
【0053】
他の銅塩も、銅イオン源として硫酸銅の代わりに少なくとも部分的に用いられ得る。硫酸も、フルオロホウ酸、メタンスルホン酸または他の酸で部分的または完全に置き換えることができる。塩化物イオンは、アルカリ塩化物(例えば、塩化ナトリウム)としてまたは塩酸の形態で添加される。塩化ナトリウムの添加は、ハロゲン化イオンが添加剤中に既に含まれている場合は完全または部分的に省かれ得る。
【0054】
さらに、従来の界面活性剤または他の従来の添加剤をこの浴に含ませることができる。
【0055】
この浴を作製するために、さらなる物質および他の添加剤がその基本組成物に添加される。浴の操作条件は、好ましくは以下のとおりである:pH値:0から3;温度:15℃〜50℃、特に好ましくは15℃〜40℃;カソード電流密度:0.5〜12A/dm、特に好ましくは0.7〜7A/dm(平均電流密度)。
【0056】
この析出浴は、浴の表面が強い動きを受けるように、特に強い流入および利用できる場合は、吹き込まれる清浄空気によって動かされ得る。これは、より大きい電流密度が可能になるように、その物質移送がカソードおよびアノードの近くで最大化されることを意味する。カソードの動きも、それぞれの表面における物質移送を改善する。さらに、その表面に向けた液体の引力が存在するように、浴中で比較的高速で、加工品、例えば、半導体ウェーハを回転させることによって浴中に対流を発生させることもできる。一定の拡散制御された析出は、対流および電極の動きの増加によって達成される。加工品は、水平または垂直方式でおよび/または振動によって動かすことができる。析出浴中へ吹き込まれた空気との組合せは、特に有効である。
【0057】
析出過程の間に消費される銅は、銅アノードを介して電気化学的に補給され得る。例えば、0.02から0.067重量%のリン含有量を有する銅がアノードとして用いられ得る。それらは、電解液に直接懸濁することができるかまたは球もしくはペレットの形態で用いることができ、本目的の浴中に位置するチタン製バスケット中に充填することができる。
【0058】
代替として不溶性アノードが用いられ得る。これらの種類のアノードは、析出過程の間に不活性であり、したがって、それらの形状を変えない。これは、析出過程の間に時間的に一定の形状を可能にする。特に、白金あるいはまた、いわゆる貴金属の混合酸化物で被覆された、例えば、酸化ルテニウムおよび酸化イリジウムの被覆を有するチタンなどのバルブ金属などの貴金属は、不溶性アノードとして用いられ得る。不溶性アノードは、エキスバンデッドメタルの形態であり得る。不溶性アノードを用いる場合に銅イオンの補給を得るために、銅化合物は浴に溶解させ得るか、または金属銅を、本発明による水性酸銅浴と接触させる。この金属は浴に溶解した酸素の作用下で、またはレドックス系の酸化形態を形成する化合物の助けで、例えば、浴に溶解したFe(III)イオン(これはそれによりFe(II)イオンに還元される)の助けで溶解し、それにおりFe(II)イオンに還元される。Fe(II)イオンは、不溶性アノードにおいて、Fe(III)イオンに酸化されて戻る。Fe(II)/Fe(III)イオンは、例えば、対応する硫酸鉄塩から生じ得る。Fe(II)イオンの濃度は、好ましくは8〜12g/lであり、Fe(III)イオンのそれは、好ましくは1〜5g/lである。
【0059】
直流(DC)法の代わりに、銅めっきは、パルス電流を用いて行うこともできる。これらの種類のパルス電流法には、単極性パルス電流法(ここで、析出電流は規則的に遮断され、析出パルス間に電流の中断がある)、および逆パルスめっき法(電流は、めっき過程の間に加工品において時々逆にされる、すなわち、アノードで切り替えられる)が含まれる。逆パルスめっき法は、特に高アスペクト比を有する回路基板上の銅の電解析出のために開発され、例えば、独国特許第4225961C2号明細書および独国特許出願公開第2739427A1号明細書に記載されている。より高い電流密度が用いられる場合、改善された表面分布および均一電着性がスルーホールで達成される。
【0060】
銅は、加工品を浸漬浴容器中にある析出浴中に浸漬させ、加工品を同じ浴中にあるアノードに対して分極させることによって、およびまた水平析出法によって従来の方法の両方で析出させることができる。後者の析出法は、コンベアで行われる水平装置で行われ、それによって加工品は水平位置で移送の方向に運ばれ、同時に析出浴と接触させられる。アノードも、加工品の移送経路に沿って装置中に水平位置で配置される。これらの種類の装置は、例えば、独国特許出願公開第3624481A1号明細書および独国特許出願公開第3236545A1号明細書に開示されている。さらに、半導体ウェーハは好ましくは、いわゆるカッププレーター(cup-plater)で処理され、ここで、それぞれのウェーハは、やはり水平位置に配置されているアノードの上に水平位置で配置される。カッププレーターは、析出浴で満たされている。その結果、ウェーハおよびアノードの両方は、析出浴と接触している。ウェーハは、析出過程の間に回転する。
【0061】
以下の実施例および比較例は、本発明を説明するために用いる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本試験を行うために用いたプリント回路基板の試験配置を示す図である:図1a:基板設計、図1b:ホールパターン(図1b1:配置の上方左隅および図1b2:配置の上方右隅である)。
【図2】へこみを示す、銅で充填されたBMVの略断面図を示す図である。
【図3】フォトレジストにおける銅で充填されたトレンチの略断面図を示す図である。
【図4】銅で充填されているBMVを通して断面写真を示す図である。
【図5】充填BMVおよび充填トレンチを示す図である(比較試験)。
【図6】充填BMVおよび充填トレンチを示す図である(本発明による試験)。
【0063】
全試験の背景
装置:Cornell cell1.8リットル;ポンプを用いる浴動;吹き込み空気なし。
【0064】
浴組成:50g/lCu2+(硫酸銅として);150g/lHSO;45mg/lCl(塩化ナトリウムとして);100mg/lFe2+(硫酸第一鉄(II)として);300mg/lPEG10,000;硫黄含有光沢剤の溶液0.1ml/l;0〜3mg/lレベラー。
【0065】
めっきパラメータ:2Aセル電流;67分めっき時間;2Aで90分;浴を染み込ませる、試験開始前の空電解処理。
【0066】
基板パラメータ:FR4試験プリント回路基板、サイズ620mm×457mm、1.5mm厚、変動要素を有する群におけるスルーホールおよびBMVを有する4層:スルーホール10(直径):250μm(位置A):BMV5a,5b:(直径×深さ)150μm×60μm(位置B)、150μm×80μm(位置C)、125μm×80μm(位置C)、100μm×80μm(位置C)(図1bを参照:全体図および詳細図:上方左隅:図1b1を見ること、上方右隅;図1b2を見ること);総数:6480個のBMV、1728個のスルーホール;(最上部から)5μm銅クラッディング(α)、60μmプリプレグ(β)、18μm銅(γ)、1500μmFR-4-コア(δ)、18μm銅(ε)、80μmプレプレグ(ζ)および5μm銅クラッディング(η)を有する基板の非対称設計(図1aを参照のこと)。
【実施例】
【0067】
本発明の実施例1
レベラー:NH-Gly-Leu-OH
プリント回路基板を浴中の異なるレベラー含量を有する銅で被覆した。まず第一に、試験を比較の目的のためにレベラーなしで行った。次いで、本発明による試験を、レベラー含量を増加させて行った。評価は、プリント回路基板上の前に規定した位置でミクロ部分を取り出すことによって行った。へこみをBMVの充填の尺度として用いた。図2は、概略的にこの試験のパラメータの決定を示す:従来方法によって導電性にされたBMVの壁に数字1を付与する。この導電層は、隣接したフォトレジスト層2の表面でめっき表面3、例えば、導体経路中に融合する。BMVにおけるめっきのベースは、銅層4と電気的に接触している。BMVは、本発明による方法を用いて銅5で充填する。しかし、最上部領域6は銅で充填しない(へこみ)。
【0068】
以下の可変要素を決定する(パラメータA1、A2、A3、B1および深さは、図2に見ることができる)。
ホール壁平坦化=(1−(A1およびA2の平均)/A3)×100
スローイング(最小)=B1/(A1およびA2の平均)×100
充填率=B1/(深さ+(A1およびA2の平均)×100
A1およびA2は、ホール端部から15μmの間隔で決定する。
【0069】
充填トレンチの銅表面のスキースロープは、図3に見ることができる。フォトレジスト8のチャネル7をここに示す。チャネルの底部半分は、銅9で充填する。この銅9は、銅層4と電気的に接触している。
【0070】
以下の可変要素を決定する(パラメータaおよびbは、図3に見られる)。
スキースロープ(%)=((b−a)/a)×100
【0071】
図4は、基板をめっきした後に100μmの直径を有する穴を通してBMVによる断面図を示す。レベラーNH-Gly-Leu-OHの濃度は0.3mg/lであった。
【0072】
本発明の実施例2
NH-Gly-Leu-OHは、BMV充填特性を示す。しかし、従来のレベラーと対照的に、アミノ酸およびペプチドはスキースロープをまったく生じない。この有利な効果は、BMV充填を損なうことなしに、BMVの充填のための浴における線形状に選択的に影響を与えるために用いることができる。線形状を調べるために、試験基板を銅めっきし、前記基板はフォトレジストで生成されたチャネルを有する。前記チャネルを、本発明の実施例1で規定したように、レベラーとしてNH-Gly-Leu-OHを用いる特定条件下で銅によって充填した。銅層は均一に成長し、トレンチに矩形構造2を形成した(図6)。
【0073】
しかし、これは、ビアの充填に通常用いられる従来のレベラーでは見られない。この種の比較試験として、レベラーとしてNH-Gly-Leu-OHを用いずに、BMV充填特性を有するAtotech Cupracid(登録商標)HL浴を用いた。この場合、凹面析出形状が見られた(図5)。この凹面析出形状は、プリント回路基板のその後の処理工程(CMP法)に非常に不利であり、したがって、絶対に避けられるべきである。
【0074】
本明細書に記載された実施例および実施形態は、単に例証の目的のためであり、それらを考慮した様々な変更および変化ならびに本出願に記載された特徴の組合せが当業者に示唆され、記載された本発明の精神および範囲内および添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書で引用された刊行物、特許および特許出願の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【図1a】

【図1b】

【図1b1】

【図1b2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅を電解析出するための水性酸浴であって、前記浴は、少なくとも1種の銅イオン源、少なくとも1種の酸イオン源、少なくとも1種の光沢剤化合物および少なくとも1種のレベラー化合物を含み、少なくとも1種のレベラー化合物が、合成によって製造される非官能基化ペプチド、合成によって製造される官能基化アミノ酸および合成によって製造される官能基化ペプチドを含む群から選択される、銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項2】
少なくとも1種のレベラーが、ジグリシン、トリグリシン、ポリグリシンおよびカルノシン(ベータ-アラニル-L-ヒスチジン)を含まない、請求項1に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項3】
ペプチドおよび/またはアミノ酸が、ポリアルキレングリコール基、ポリアルキレンイミン基およびポリビニルアルコール基を含む群から選択される少なくとも1種の部分で官能基化されている、請求項1または2に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項4】
ポリアルキレングリコール基およびポリアルキレンイミン基の少なくとも1つが、一般化学式-(X-CHR-CH-R’(式中、XはOまたはNHであり、RはHまたはメチルであり、(X-CHR-CH)部分における各Xおよび各Rは、別の(X-CHR-CH)部分における各XおよびRと独立して選択することができ、さらにnは約2から約1000の整数であり、R’はH、アルキルまたはアリールである)を有する、請求項3に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項5】
-(X-CHR-CH-R’が、ホモポリエチレングリコール基、ホモポリプロピレングリコール基、ホモポリエチレンイミン基、ならびにエチレングリコール単位、プロピレングリコール単位およびエチレンイミン単位を含む群から選択される、少なくとも2種の単位を含むコポリマー基を含む群から選択される、請求項4に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項6】
コポリマー基が、エチレングリコール単位およびプロピレングリコール単位を含むブロックコポリマーから形成される、請求項5に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項7】
-(X-CHR-CH-R’が、約300から約35000ダルトンの平均分子量を有する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項8】
nが、約20から約500である、請求項4〜7のいずれか一項に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項9】
R’が、H、C〜C-アルキルおよびC〜C12-アリールを含む群から選択される、請求項4〜8のいずれか一項に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項10】
ペプチドが、約2から約10のアミノ酸単位を含むオリゴペプチドである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項11】
少なくとも1種の非官能基化または官能基化ペプチドが、そのC末端において、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、リシン、アルギニンおよびヒスチジンを含む群から選択される末端アミノ酸を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項12】
少なくとも1種の非官能基化または官能基化ペプチドが、ベータ-アラニン、ベータ-フェニルアラニン、ベータ-トリプトファン、ベータ-チロシン、ベータ-ロイシン、ベータ-イソロイシン、ベータ-グルタミン、ベータ-グルタミン酸、ベータ-ヒスチジン、ベータ-メチオニンおよびアルパラギン酸を含む群から選択される少なくとも1種のベータ-アミノ酸を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項13】
少なくとも1種の光沢剤化合物が、有機チオール化合物、有機スルフィド化合物、有機ジスルフィド化合物および有機ポリスルフィド化合物を含む群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の銅を電解析出するための水性酸浴。
【請求項14】
加工品上の銅を電解析出するための方法であって、
(i)請求項1〜13のいずれか一項に記載の前記銅を電解析出するための水性酸浴、ならびに少なくとも1つのアノードを準備する工程、
(ii)前記加工品および少なくとも1つのアノードを前記水性酸浴と接触させる工程、および
(iii)前記加工品と前記少なくとも1つのアノードの間に電流の流れを発生させて、銅を加工品上に析出させる工程
を含む、銅を電解析出するための方法。
【請求項15】
前記加工品が、プリント回路基板、チップキャリアまたは半導体ウェーハである、請求項14に記載の銅を電解析出するための方法。
【請求項16】
銅が、プリント回路基板、チップキャリアまたはウェーハの、トレンチおよびブラインドマイクロビアに析出される、請求項14または15に記載の銅を電解析出するための方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−522962(P2011−522962A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506614(P2011−506614)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003353
【国際公開番号】WO2009/132861
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(597075328)アトーテヒ ドイッチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (33)
【Fターム(参考)】