説明

水性2相系によってプラスミドDNAを得る方法

本発明は、ポリマー成分および塩成分を有する水性2相系を使用することによって、バイオマスからプラスミドDNAを単離する方法であって、使用されるバイオマスの再懸濁、バイオマスのアルカリ溶解、アルカリ溶解バッチの中和、および混入物(例えば、細胞壊死組織片、RNAおよびgDNAなど)からのプラスミドDNAの分離が単一反応容器(ワンポット方法)で行われることを特徴とする方法に関する。本発明に従って、アルカリ溶解バッチの中和がリン酸カリウムの添加によって、1つおよび同じ容器内で行われ、したがって、水性2相系の一方の成分が既に存在する点から、かつ水性2相系の第2成分が数平均で約600g/mol〜1,000g/molの分子量を有するPEGであるが、好ましくはPEG600とPEG1000との混合物から形成されるという点から、これが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー成分と塩成分とを有する水性2相系を使用することによって、例えば細菌などのバイオマスからプラスミドDNAを単離するための、より短時間の簡略化された方法、およびこのようにして得られたプラスミドDNAを遺伝子治療および遺伝子接種(genetic vaccination)において使用することに関する。本発明はさらに、方法を実施するためのキットに関する。
【0002】
バイオマスからプラスミドDNAを単離する可能性のうちの1つは、バイオマスを溶解し、続いて、水性2相系において清澄化されたライセートをバイオマスから分離することである。オランダの微生物学者ベイエリンク(Beijerinck)は既に1896年に、水中で寒天と可溶性デンプンとを混合した後、2つの水層がしばらくした後に形成することを発見している。いくつかのポリマーのこの特性は、おおよそ1960年にペル・アルバートソン(Per Albertson)によって再発見され、探究された。ウイルス、細胞、およびさらには細胞成分を精製するためのかかる系の可能性が認められた。生体適合性媒体の高い含水率および相成分の安定化特性のために、かかる相系はそれに対応して、敏感な生体分子の精製に特に適している。水性2相系は、2つの異なるポリマー(ポリマー/ポリマー系;例えば、ポリエチレングリコール(PEG)およびデキストラン)の添加によって、またはポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)および高濃縮塩(例えば、クエン酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩)を添加することによって得られる。
【0003】
組換えDNAを作製するための広く使用されている技術、ならびに大部分の様々な疾患を治療する遺伝子治療および遺伝接種に対して絶えず高まっている関心から、工業的規模で使用して増加させることもできる、プラスミドDNAを精製する方法の需要が生じている。したがって、工業的規模で製造するために用いられるべき毒性または可燃性物質の量と同様に、物質の毒性のために、治療用途用に得られたプラスミドDNAに対しては、塩化セシウム(CsCl)密度勾配遠心法またはフェノール抽出などの代替方法は考えられない。
【0004】
従来技術は、塩成分とポリマー成分とを有する水性2相系が使用される、プラスミドDNAの単離方法も含む。コール(Cole)は、ポリマー成分としてPEG、塩成分として例えば硫酸アンモニウムまたはリン酸二水素ナトリウムを使用して、プラスミドを単離するための水性2相系を発表した(Biotechniques. 1991 Jul;11(1):18, 20, 22-24)。大腸菌DH5αからのプラスミドpTZ 18Uの単離が具体的に述べられている。SDSおよびNaOHを含有する溶解バッファーによって、相当する細胞ペレットを破砕した。ライセートを適切な相形成系に導入し、その混合物を混合し、次いで遠心分離した。これを下相でもう2回繰り返した結果、新たな上相はライセートを含有しなかった。次いで、下相をトリス/EDTAバッファーに対して透析し、このようにして最後にプラスミドを単離した。
【0005】
リベイロ(Ribeiro)らによってさらに、ポリマー成分としてPEG、塩成分としてリン酸水素二カリウム(K2HPO4)を有する水性2相系が記述されている(Biotechnol. Bioeng. 2002 May 20;78(4):376-84)。大腸菌DH5αからのプラスミドpCF1−CFTRの単離が報告されている。これに関しては、アルカリ溶解(NaOHおよびSDSを含有する溶解バッファー)を使用することによって、細胞を最初に破砕し、次いでライセートを3M酢酸ナトリウムで中和した。続いて、細胞壊死組織片、タンパク質およびゲノムDNA(gDNA)をバッチの遠心分離によって除去した。上述の水性2相系において、清澄化されたライセートを使用した。しかしながら、この方法は、装置および時間の面から非常に費用がかかるという不利点を有する。大事な事を一つ言い残したが、時間が費やされる理由は、バイオマスの溶解が最初に、この系において別個のバッチにおいて行われ、したがって複数の反応容器がかかる方法に必要であるためである。
【0006】
本発明は、従来技術において公知の方法の不利点を克服することを意図し、特に本発明の目的は、バイオマスからプラスミドDNAを単離するための従来技術において公知の方法の簡略化および時間の短縮である。さらに、本発明の目的は、実験室規模だけでなく、工業的規模でも行うことができ、その方法を用いて、例えば遺伝子治療または遺伝子接種での臨床用のプラスミドDNAを作製することができる方法を提供することである。本発明の他の目的は、容易に自動化することができる方法を提供することである。
【0007】
ポリマー成分および塩成分を有する水性2相系を使用することによって、バイオマスからプラスミドDNAを単離する方法であって、用いられるバイオマスの再懸濁、バイオマスのアルカリ溶解、アルカリ溶解バッチの中和、および混入物(例えば、細胞壊死組織片、RNAおよびgDNAなど)からのプラスミドDNAの分離が単一反応容器(ワンポット方法)で行われることを特徴とする方法によって、この目的は本発明に従って達成される。アルカリ溶解バッチの中和がリン酸カリウムの添加によって1つおよび同じ容器内で行われ、したがって、水性2相系の一方の成分が既に存在する点から、かつ水性2相系の第2成分が数平均で約600g/mol〜1,000g/molの分子量を有するPEGであるが、好ましくはPEG600とPEG1000との混合物によって形成されるという点から、これが本発明に従って可能となる。
【0008】
本発明による方法は以下の段階:
a)バイオマスを再懸濁する段階と、
b)溶解バッファーを添加し、バイオマスを溶解するのに十分に長い時間インキュベートする段階と、
c)塩成分を添加し、十分に長い時間インキュベートする段階と、
d)ポリマー成分を添加し、溶液を完全に混合し、相の形成を待つ段階と、を含む。
【0009】
ワンポット方法のため簡単であることから、本発明による方法は、プラスミドDNAを単離するための、有利に自動化可能なプロセスである。例えばクローンの迅速な同定のために、比較的小規模でのかかる方法のオートマタビリティ(automatability)の需要がますます高まっている。公知の2相系では、かかるオートマタビリティを何とか実現することができるが、かかる自動化は本発明による方法でのみ、容易に達成することができる。
【0010】
請求される方法は、工業的規模でのプラスミドDNAの作製にも有利に利用することができる。これについての理由は、単純さ、装置にかける費用が少ないこと、非毒性かつ安価な成分の使用にある。
【0011】
本発明に対して必須である、この方法の特徴の1つは、使用されるバイオマスの再懸濁、バイオマスのアルカリ溶解、アルカリ溶解バッチの中和、および混入物からのプラスミドDNAの分離が水性2相系において単一容器内で、すなわちワンポット方法として連続的に行われ、沈殿物のその後の分離除去を有する中間の遠心分離段階がないことである。本発明による方法は、この手段によって大幅に簡略化され、従来技術において公知の方法と比較して、装置の面から極めて費用が低く、かつ時間が大幅に短縮される。
【0012】
本発明による方法では、ポリマー成分と塩成分との2相系を使用する。これは、使用される塩が、2つの異なるポリマー成分を有する2相系における第2ポリマー成分(例えば、デキストラン)と比べて比較的安価であるという利点を有する。
【0013】
本発明の場合には、「プラスミドDNA」という用語は、プラスミドの他に、コスミドならびにプラスミド、さらに、真核生物のベクター、例えば酵母人工染色体(YAC)などの酵母ベクターおよび同様な構造も含む。本発明のコンテクストにおいて、「バイオマス」という用語は、例えば、細菌、酵母等の、このプラスミドDNAを保有し、増殖させるか、またはその子孫(descendant)に運ぶことができるすべての生物形態を含む。
【0014】
プラスミドDNAを保有するバイオマスは、このコンテクストにおいて、適切なインキュベーションバッチの遠心分離またはバイオマスを遠心分離する他の適切な方法によって得られる。当業者は、かかる方法およびそれをどのように実施するかについてよく知っている。バイオマス、例えば細菌ペレットの再懸濁、続いて、同様にバイオマスのアルカリ溶解は、例えば市販のQIAGENプラスミドキットおよびそれに含まれる再懸濁バッファーP1および溶解バッファーP2(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社)または他の適切なバッファーを使用することによって、当業者に適切であると思われる容器内で当業者に公知の手法および方法で行われる。このポイントまで、この手順は従来通り、特定の公知の説明書に従う。溶解バッファーは、成分の1つとしてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有することが好ましい。
【0015】
有利かつ驚くべきことに、バイオマスの溶解および塩成分の添加中および添加後のライセートの溶解はさらに、力強い振盪および/または攪拌等の、溶解バッチまたはライセートの攪拌下で行うことができる。従来技術において公知の方法は、溶解バッチまたはライセートのかかる処理中に剪断力によって必然的に形成されるgDNA断片を、単離されるべきプラスミドDNAから満足できる程度まで分離することができないという不利点を有する。したがって、溶解バッチまたはライセートのかかる処理は通常、当業者であれば避ける。しかしながら、本発明による水性2相系において、このようにして形成されるgDNA断片も、プラスミドDNAから分離除去される。この結果、一方では、系がgDNAによるプラスミドDNAのコンタミネーションを受け難くなり、さらに、例えば力強い攪拌、振盪等の溶解バッチの攪拌によって、さらに有利になことに、バイオマスからのプラスミドDNAの放出が増加し、例えば本発明による塩成分の添加中および/または添加後の、力強い攪拌、振盪等のライセートの攪拌によって、さらに有利なことに、沈殿物凝集塊からのプラスミドDNAの放出が増加し、その結果プラスミドDNAの収率が著しく増加する。好ましい実施形態において、溶解バッチまたはライセートの攪拌によってせん断されるgDNAは、溶解後の別の従来の酢酸カリウム沈殿と比較して、プラスミドDNAから、>90%程度、特に好ましくは95%程度、非常に特に好ましくは>99%程度まで除去される。
【0016】
例えば、酢酸カリウムなどの当業者には従来通りの物質は、アルカリ溶解のバッチの中和およびタンパク質の沈殿に対して報告されていない。本発明に従って、アルカリ溶解バッチは有利なことに、本発明による塩成分で中和される。本発明のコンテクストにおける塩成分は、本発明に従って理解されるリン酸カリウム、リン酸三カリウム(K3PO4)、リン酸水素二カリウム(K2HPO4)および/またはリン酸二水素カリウム(KH2PO4)である。好ましくは、これらのリン酸カリウムのうち1種類のみ、またはこれらのリン酸カリウムの混合物が、アルカリ溶解バッチに添加される。K2HPO4および/またはKH2PO4が使用されることが特に好ましい。SDSを溶解バッファーにおいて使用する場合、本発明による方法はさらに、ドデシル硫酸カリウム(PDS)−タンパク質複合体の形で、溶解バッチからタンパク質を沈殿させることを可能にする。本発明に従って、2相系がポリマー成分組成のうちの一方と共に形成し、かつ本発明による濃度であるが、それが低い濃度である下相(塩相)から上相(ポリマー相)へと、その濃度でプラスミドDNAが変化する、塩成分の濃度を超えず、かつRNAおよびgDNAなどの混入物が上相または中間相に残るように、塩成分が使用される。限界濃度を超えた場合のみ、2相系が生じることはよく知られている。かかる限界濃度の過程を状態図にプロットすることができる。当業者にはこれを達成するのは容易である。
【0017】
本発明による方法の好ましい実施形態において、プラスミドDNAからのRNA混入物の除去は、バイオマスの溶解後に従来のように用いられる酢酸カリウム沈殿と比較して、>80%であり、RNA混入物の除去は特に好ましくは>85%であり、RNA混入物の除去は非常に特に好ましくは>90%である。
【0018】
本発明による方法では、リン酸カリウムは、バッファーの形で添加することが好ましい。このコンテクストにおいて、バッファーは特に好ましくは、K2HPO4とKH2PO4との混合物を含有する。本発明によるバッファーは、5.8〜pH8.5のpH範囲、好ましくは6.5〜pH8のpH範囲で使用される。例えば、3.83M K2HPO4および2.45M KH2PO4の組成物(pH約7となる)を本発明による方法において使用できることが特に好ましい。このコンテクストにおいて、K2HPO4およびKH2PO4は、2相系に対して総濃度5〜30%(w/w)、好ましくは総濃度10〜25%(w/w)、特に好ましくは総濃度20%(w/w)で使用される。リン酸カリウムは通常、氷冷温度から室温の温度範囲で添加される。本発明のコンテクストにおける室温とは、18〜25℃の温度範囲を示す。氷冷リン酸バッファーが、本発明による方法で使用されることが好ましい。リン酸カリウムを添加した後、長いインキュベーション時間は有利なことに、必要ではなく、添加後の、できる限り完全かつ均一な、溶液の完全な混合が決め手となる。インキュベーション時間は通常、約5〜15分である。好ましくは上記のように、塩成分の添加中および/または添加後に、例えば力強い振盪、攪拌等にかけるなどして、バッチを攪拌する。
【0019】
本発明のコンテクストにおいてポリマー成分はPEGである。本発明による方法の他の必須の特徴は、数平均で約600〜1,000g/mol、好ましくは数平均で700〜900g/mol、特に好ましくは数平均で750〜880g/molの分子量を有するポリエチレングリコールが、2相系の2つの成分のうちの1つとして使用されることである。本発明において、使用されるPETGは、平均分子量600g/molを有するポリエチレングリコール(PEG600)と、平均分子量1,000g/molを有するポリエチレングリコール(PEG1000)との混合物を含むことが好ましい。どちらもPEGも市販されている(例えば、スイス,ブッフスのフルカ社)。このコンテクストにおいて、すぐ使用できるPEG混合物は、PEG600 30〜50%(w/w)およびPEG1000 50〜70%(w/w)、好ましくはPEG600 33〜45%(w/w)およびPEG1000 55〜67%(w/w)、特に好ましくはPEG600 36〜40%(w/w)およびPEG1000 60〜64%(w/w)、非常に特に好ましくはPEG600 38%(w/w)およびPEG1000 62%(w/w)を含む。
【0020】
本発明による水性2相系中でのPEGの濃度は、2つの相が塩成分と共に形成されるが、その相においてそれが低い濃度である下相(塩相)から上相へとその濃度でプラスミドDNAが変化する、PEG濃度を超えないように選択される。しかしながら、好ましくは、PEG含有率は少なくとも10%(w/w)であり、上限は、その相においてそれが低い濃度である下相から上相へとその濃度でプラスミドDNAが変化する、PEGの濃度によって決定される。PEGを添加した後、その溶液は、好ましくは10〜50℃、特に好ましくは15〜40℃の温度を有するべきである。バッチの体積に応じて、数分から数時間かかって相が形成した後、プラスミドDNAは、塩を含有する下相中にある。相の形成は任意に、バッチの遠心分離によって促進することができ、その結果として有利なことに、本発明による方法の時間がさらに短縮される。かかる遠心分離段階が行われる条件は、当業者にはよく知られている。
【0021】
水性2相系は、実際には相における溶解性によってのみ制限される、精製すべきプラスミドDNAに対するはるかに高い容量を有するという、マトリックスまたは他の固相に基づいて働く相系を超える利点を有する。さらに、方法の大きさは、装置が非常に単純であるため、実質的に所望のように選択することができる。しかしながら、本明細書で請求される簡略化のみによって、自動化と、これとは無関係に、例えば、溶解バッチ当たり2gを超えるプラスミドDNAを製造する工業的規模での製造と、のどちらも容易に達成することができる。プラスミドDNAは、本発明によって非常に高い程度までタンパク質、RNAおよびgDNAから有利に除去することもできる。本発明による方法によって単離されるプラスミドDNAは、更なる精製(例えばQIAGEN−Resin(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社)による)段階後に、遺伝子治療または遺伝子接種において問題なく用いることができる。このように、非毒性物質を使用し、かつかかる費用が比較的少ない装置において、非常に低い出費で大量の高純度プラスミドDNAを有利に製造することができる。しかしながら、これに関しては、例えばCsCl密度勾配遠心法またはフェノール抽出などの他の単離法と比較して、本発明による2相系において使用される物質は許容可能であり、かつ精製プラスミドDNAから完全かつ容易に除去することができることが述べられる。
【0022】
本発明による方法の大きな利点の1つは、意外なことに、単離されるべきプラスミドDNAから開環状プラスミドDNA(ocDNA)が減少することである。従来技術において公知の方法で単離されたプラスミドDNAと比較して、本発明による方法で単離されるプラスミドDNAは、好ましいスーパーコイル状(scDNA)と比較してocDNA混入物の含有率が低い。したがって、この方法は、プラスミドトポイソマーの分離、つまりocDNAおよびscDNAの分離に対する選択性を示す。正確には、プラスミドトポイソマーの分離および既に言及されているgDNAの低減は、特に、工業的規模でのプラスミドDNAの単離およびいくつかの用途におけるプラスミドDNAのその後の臨床使用中に極めて重要であり、プラスミドDNAを単離する今までの方法では満足な程度まで実現されていない。
【0023】
本発明による他の実施形態において、段階d)で形成するプラスミドDNAを含有する下相は、混入物を含有する上相から分離される。次いで、下相は、段階c)による塩成分の濃度となる形で塩成分を添加することによって、次いで、段階d)によるポリマー成分を添加することによって、2相系を形成するために再度セットアップされる。本発明による方法の最後の部分のこの繰り返しにおいて、ポリマー成分を添加した後に、再び混合物を完全に混合し、相の形成を待つ。ここでも、プラスミドDNAは下相にある。この段階は任意に、1回または当業者にとって適切だと思われる回数で行うことができる。この任意の段階を実施することによって、プラスミドDNAの精製が繰り返され、その結果、例えばRNAなどの混入物がプラスミドDNAからさらに除去される。更なる精製段階(1つまたは複数)は以下の段階:
e)段階d)で形成され、混入物を含有する上相から、段階d)で形成する下相を分離する段階と、
f)段階c)による塩成分の濃度となる形で塩成分を添加する段階と、
g)段階d)によるポリマー成分を再び添加する段階と、
h)溶液を完全に混合し、相の形成を待つ段階と、を含む。
【0024】
本発明による方法の後、段階d)で形成された下相から、引き続きプラスミドDNAを得なければならない。段階d)で形成された下相からのプラスミドDNAの単離および脱塩は従来法で、限外濾過/ダイアフィルトレーションによって行われる。しかしながら、当業者にとって適切だと思われる、下相からのプラスミドDNAの単離および/または脱塩の他の方法も、本発明のコンテクストにおいて使用することができる。
【0025】
代替の実施形態において、バイオマスの代わりに、単離すべきプラスミドDNAを含有する清澄化ライセートも、本発明による方法において出発物質として用いることができる。本発明のこの実施形態において、当然のことながら溶解段階は省略されるか、ライセートの清澄化がさらに、溶解段階後に行われる。当業者にとって適切だと思われる、すべての方法を清澄化ライセートの調製に使用することができる。従来技術における従来の方法は、酢酸カリウムで沈殿させ、続いてその混合物を遠心分離して、形成された沈殿物を分離除去することによる、ライセートの清澄化である。この場合については、上記の記載に相当するリン酸カリウムが最初に、清澄化ライセートに添加され、次いで、本発明に従ってPEGが添加される。他のすべての段階は、バイオマスが開始点として用いられる、本発明による方法と同一である。ライセートを清澄化するための上述の沈殿段階をリン酸カリウムで行う場合、記載のようにPEGは清澄化ライセートに直接添加される。リン酸化リウムが使用される場合および酢酸カリウムが使用される場合のどちらの場合にも、上述のように沈殿反応に必要とされる実験条件は、当業者にはよく知られている。
【0026】
図面の説明
図1は、ゲル電気泳動(0.8%アガロース)の形で、本発明による方法(実施例1参照)によって大腸菌DH5αからpCMVβを単離した結果を示す。長さ標準はトラック1で見ることができる。トラック2は未処理の上相を示し、その相中には膨大な量のRNAが存在する。プラスミドDNAは上相中で検出することができなかった。トラック3は未処理の下相を示し、その相中では、プラスミドは非常に濃度が高く(広く、はっきりしないバンド)、RNAはその相中で検出することができなかった。トラック4は、限外濾過によって脱塩した後の下相を示す。ここでもまた、プラスミドDNAのみを検出することができ、プラスミドは大部分が、望ましいスーパーコイル状(scDNA)であり、微量の開環状プラスミドDNA(ocDNA)も検出することができた。トラック5はpCMVβ標準(18μg/ml)を示し、トラック6はgDNA標準(23μg/ml)を示す。
【実施例】
【0027】
実施例1:大腸菌DH5αからpCMVβを得る
プラスミドpCMVβを単離するために、大腸菌DH5αの一晩の培養(1LのLB培地:5g/l酵母抽出物、10g/lトリプトン、85.6mM NaCl)からのバイオマス0.6gを遠心分離(5,000×g,10分,4℃)によって得た。再懸濁バッファーP1(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社)6.9mlを添加し、室温で激しく振盪することによって、細菌ペレットを再懸濁した。再懸濁が完了したら、溶解バッファーP2(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;室温)7.5mlを添加し、容器を数回反転させることによって、バッチを混合した。5分後、K2HPO4/KH2PO4バッファー(KH2PO4 2.5g、K2HPO4 5g、H2O 7.5ml;pH7;氷冷された)を全バッチに添加し、容器を注意して反転し、バッチを氷上で10分間インキュベートした。続いて、全バッチを室温に温め、PEG(PEG600 2.137g、PEG1000 3.488g、H2O 1.875ml)を添加し、バッチを注意して混合した。相分離には数分かかった。
【0028】
ゲル電気泳動により、下相中にgDNAおよびRNAを検出できなかった。プラスミドDNAのバンドは、下相において塩濃度が高いために、図1において、通常と異なり、広く、ぼんやりして見える(トラック3)。限外濾過による下相の脱塩(トラック4)によって、プラスミド標準(トラック5)に実質的に相当する、明瞭なバンドがそれに応じて生じる。ゲノムDNAおよびタンパク質が、ドデシル硫酸カリウム(PDS)凝集塊および中間相において見出されるはずである。
【0029】
実施例2:大腸菌DH5αからpCMVβを得る(20%PEG;12%リン酸塩)
プラスミドpCMVβを単離するために、再懸濁バッファーP1(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社)中の10%(w/w)バイオマス懸濁液(大腸菌DH5α)を室温で激しく振盪することによって調製した。再懸濁が完了したら、このバッチ10gを溶解バッファーP2(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;室温)10mlと混合し、容器を数回反転させた。5分後、K2HPO4/KH2PO4バッファー(KH2PO4 2g、K2HPO4 4g、H2O 6ml;pH7.4;氷冷)を全バッチに添加し、バッチを氷上で10分間インキュベートした。オーバヘッド振盪機上で室温にて10分間、バッチをインキュベートした。続いて、バッチを室温に温め、PEG(PEG600 3.8g、PEG1000 6.2g、H2O 8.003ml)を添加し、オーバヘッド振盪機上で室温にてさらに10分間、バッチを混合した。1,300×gで5分間遠心分離することによって、相分離を促進した。得られた下相は体積約15mlであった。
【0030】
HPLC(HP1090,ドイツ,WaldbronnのAgilent社)および(NH42SO4勾配を用いたsource 15PHE 4.6/100(ドイツ,フライブルクのAmersham Bioscience社)を使用して、分析を行った。260nmでの吸光測定による検出を行った。以下の値は、2相系:プラスミドDNA44μg/mlおよびRNA123μg/mlの2相系の下相について決定された。
【0031】
これらの値を清澄化ライセートからの値と比較した。この清澄化ライセートを調製するために、最初に記載されている10%バイオマス懸濁液1mlを、容器を数回反転させることによって1ml溶解バッファーP2(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;室温)と混合し、バッチを室温で5分間インキュベートした。次いで、中和バッファーP3(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;氷冷)1mlを添加し、オーバヘッド振盪機上で室温にて10分間、バッチをインキュベートした。遠心分離した後(5分,1,300×g,室温)、上清(清澄化ライセート)中のプラスミドの濃度およびRNAの濃度をHPLCによって測定した。使用されたバイオマスは、清澄化ライセート中に、バイオマスg当たりプラスミドDNA710μg、バイオマスg当たりRNA11mgを含有した。
【0032】
清澄化ライセートにおけるバイオマスの開始値に基づいて、2相系ではプラスミド収率93%およびRNA除去率(RNA depletion)83%という結果となった。
【0033】
実施例3:大腸菌DH5αからpCMVβを得る(13%PEG;16%リン酸塩)
プラスミドpCMVβを単離するために、再懸濁バッファーP1(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社)中の10%(w/w)バイオマス懸濁液(大腸菌DH5α)を室温で激しく振盪することによって調製した。再懸濁が完了したら、このバッチ10gを溶解バッファーP2(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;室温)10mlと混合し、容器を数回反転させた。5分後、K2HPO4/KH2PO4バッファー(KH2PO4 2.666g、K2HPO4 5.333g、H2O 8ml;pH7.4;氷冷)を全バッチに添加し、オーバヘッド振盪機上で室温にて10分間、バッチをインキュベートした。続いて、全バッチを室温に温め、PEG(PEG600 2.471g、PEG1000 4.032g、H2O 7.498ml)を添加し、オーバヘッド振盪機上で室温にてさらに10分間、バッチを混合した。1,300×gで5分間遠心分離することによって、相分離を促進した。得られた下相は体積約25mlであった。
【0034】
HPLC(HP1090,ドイツ,WaldbronnのAgilent社)および(NH42SO4勾配を用いたsource 15PHE 4.6/100(ドイツ,フライブルクのAmersham Bioscience社)を使用して、分析を行った。260nmでの吸光測定による検出を行った。以下の値は、2相系:プラスミドDNA28.4μg/mlおよびRNA187μg/mlの2相系の下相について決定された。
【0035】
これらの値を清澄化ライセートからの値と比較した。この清澄化ライセートを調製するために、最初に記載されている10%バイオマス懸濁液1mlを、容器を数回反転させることによって溶解バッファーP2(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;室温)1mlと混合し、バッチを室温で5分間インキュベートした。次いで、中和バッファーP3(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;氷冷)1mlを添加し、オーバヘッド振盪機上で室温にて10分間、バッチをインキュベートした。遠心分離した後(5分,1,300×g,室温)、上清(清澄化ライセート)中のプラスミドの濃度およびRNAの濃度をHPLCによって測定した。使用されたバイオマスは、清澄化ライセート中に、バイオマスg当たりプラスミドDNA710μgおよびバイオマスg当たりRNA11mgを含有した。
【0036】
清澄化ライセートにおけるバイオマスの開始値に基づいて、2相系ではプラスミド収率>99%およびRNA除去率58%という結果となった。
【0037】
実施例4:大腸菌DH5αからpCMVβを得る(30%PEG;10%リン酸塩)
プラスミドpCMVβを単離するために、再懸濁バッファーP1(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社)中の10%(w/w)バイオマス懸濁液(大腸菌DH5α)を室温で激しく振盪することによって調製した。再懸濁が完了したら、このバッチ10gを溶解バッファーP2(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;室温)10mlと混合し、容器を数回反転させた。5分後、K2HPO4/KH2PO4バッファー(KH2PO4 1.666g、K2HPO4 3.333g、H2O 5ml;pH7.4;氷冷)を全バッチに添加し、オーバヘッド振盪機上で室温にて10分間、バッチをインキュベートした。続いて、全バッチを室温に温め、PEG(PEG600 5.7g、PEG1000 9.3g、H2O 5ml)を添加し、40℃の水浴中で15分間、バッチを温度制御し、容器を数回反転させた。1,300×gで5分間遠心分離することによって、相分離を促進した。得られた下相は体積約11mlであった。
【0038】
HPLC(HP1090,ドイツ,WaldbronnのAgilent社)および(NH42SO4勾配を用いたsource 15PHE 4.6/100(ドイツ,フライブルクのAmersham Bioscience社)を使用して、分析を行った。260nmでの吸光測定による検出を行った。以下の値は、2相系:プラスミドDNA61.8μg/mlおよびRNA173μg/mlの2相系の下相について決定された。
【0039】
これらの値を清澄化ライセートからの値と比較した。この清澄化ライセートを調製するために、最初に記載されている10%バイオマス懸濁液1mlを、容器を数回反転させることによって溶解バッファーP2(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;室温)1mlと混合し、バッチを室温で5分間インキュベートした。次いで、中和バッファーP3(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;氷冷)1mlを添加し、オーバヘッド振盪機上で室温にて10分間、バッチをインキュベートした。遠心分離した後(5分,1,300×g,室温)、上清(清澄化ライセート)中のプラスミドの濃度およびRNAの濃度をHPLCによって測定した。使用されたバイオマスは、清澄化ライセート中に、バイオマスg当たりプラスミドDNA710μgおよびバイオマスg当たりRNA11mgを含有した。
【0040】
清澄化ライセートにおけるバイオマスの開始値に基づいて、2相系ではプラスミド収率96%およびRNA除去率83%という結果となった。
【0041】
実施例5:gDNAの除去
再懸濁バッファーP1(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社)4gおよびバイオマス(大腸菌DH5α,プラスミドを含有しない)1gを計量することによって、20%バイオマス懸濁液を調製した。超音波(変換器タイプ102を有するBranson Sonifier 250,設定:サイクル40%;強度4、2回、3分)でこれを氷上で破砕した。それによってgDNAは細胞から放出され、激しい剪断力にかけられ、断片化された。次いで、5,000×gおよび4℃で10分間、バッチを遠心分離した。次いで、溶解バッファーP2(ドイツ,ヒルデンのQIAGEN社;室温)300μlを上清300μgに添加し、バッチを混合した。5分後、K2HPO4/KH2PO4バッファー(KH2PO4 100μg、K2HPO4 200μg、H2O 300μl;pH7.4;氷冷)を全バッチと混合し、オーバヘッド振盪機上で室温にて10分間、バッチをインキュベートした。続いて、全バッチを室温に温め、PEG(PEG600 85.5μg、PEG1000 139.5μg、H2O 75μl)を添加し、オーバヘッド振盪機上で室温にてさらに10分間、バッチを混合した。1,300×gで5分間遠心分離することによって、相分離を促進した。下相は体積約0.75mlであった。
【0042】
HPLC(HP1090,ドイツ,WaldbronnのAgilent社)および(NH42SO4勾配を用いたsource 15PHE 4.6/100(ドイツ,フライブルクのAmersham Bioscience社)を使用して、分析を行った。260nmでの吸光測定による検出を行った。破砕操作の上清(超音波処理後に遠心分離)中のgDNA濃度をgDNA433μg/mlと決定した。2相系の下相において、HPLCによって、残留濃度gDNA1.7μg/mlが決定され、激しくせん断されたgDNAの>99%の除去率に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、ゲル電気泳動(0.8%アガロース)の形で、本発明による方法(実施例1参照)によって大腸菌DH5αからpCMVβを単離した結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー成分および塩成分を有する水性2相系を使用することによって、バイオマスからプラスミドDNAを単離する方法であって、以下の段階:
a)バイオマスを再懸濁する段階と、
b)溶解バッファーを添加し、バイオマスを溶解するのに十分に長い時間インキュベートする段階と、
c)塩成分を添加し、十分に長い時間インキュベートする段階と、
d)ポリマー成分を添加し、溶液を完全に混合し、相の形成を待つ段階と、を含み、使用されるバイオマスの再懸濁、バイオマスのアルカリ溶解、アルカリ溶解バッチの中和、および混入物からのプラスミドDNAの分離が単一容器内で行われることを特徴とする、方法。
【請求項2】
ポリエチレングリコール(PEG)が、水性2相系のポリマー成分として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用されるPEGが、数平均で約600g/mol〜1,000g/mol、好ましくは数平均で700g/mol〜900g/mol、特に好ましくは数平均で750g/mol〜880g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
使用されるPEGが、平均分子量600g/molを有するPEG(PEG600)30〜50%(w/w)と、平均分子量1,000g/molを有するPEG(PEG1000)50〜70%(w/w)との混合物、好ましくはPEG600 33〜45%(w/w)と、PEG1000 55〜67%(w/w)との混合物、特に好ましくはPEG600 36〜40%(w/w)と、PEG1000 60〜64%(w/w)との混合物、非常に特に好ましくはPEG600 38%(w/w)と、PEG1000 62%(w/w)との混合物であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
PEGの濃度が、最低でも、2つの相が2相系の塩成分と共に形成されるほど高く、最高でも、その濃度でプラスミドDNAが下相から上相へと変化する濃度を超えないほど高く、かつRNAおよびgDNAなどの混入物が上相または中間相に残るように選択されることを特徴とする、請求項2から4の一項に記載の方法。
【請求項6】
PEGの含有率が少なくとも10%(w/w)であり、最高でも、その濃度でプラスミドDNAが下相から上相へと変化する濃度を超えないほど高く、かつRNAおよびgDNAなどの混入物が上相または中間相に残ることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
リン酸三カリウム(K3PO4)、リン酸水素二カリウム(K2HPO4)および/またはリン酸二水素カリウム(KH2PO4)、好ましくはK2HPO4および/またはKH2PO4が塩成分として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記塩成分が、バッファー溶液の形で、好ましくはK2HPO4/KH2PO4バッファーとして添加されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記塩成分の濃度が、最低でも、2つの相が2相系のポリマー成分と共に形成されるほど高く、最高でも、その濃度でプラスミドDNAが下相から上相へと変化する塩成分の濃度を超えないほど高く、かつRNAおよびgDNAなどの混入物が上相または中間相に残るように選択されることを特徴とする、請求項7または8の一項に記載の方法。
【請求項10】
2HPO4および/またはKH2PO4が、総濃度5〜30%(w/w)、好ましくは総濃度10〜25%(w/w)、特に好ましくは総濃度20%(w/w)で使用されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記塩成分のバッファー系が、pH5.8〜pH8.5の範囲のpH、好ましくはpH6.5〜pH8の範囲のpHを有することを特徴とする、請求項8から10の一項に記載の方法。
【請求項12】
3PO4、K2HPO4および/またはKH2PO4、好ましくは、独占的に水性2相系の塩成分(1種または複数種)が、アルカリ溶解バッチの中和に使用されることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の方法。
【請求項13】
単離されるべきプラスミドDNAが、プラスミド、コスミドおよびプラスミド、ならびに真核生物のベクターを含むことを特徴とする、請求項1から12の一項に記載の方法。
【請求項14】
前記の真核生物のベクターが酵母ベクターであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
使用されるバイオマスが、このプラスミドDNAを保有し、増殖させるか、またはその子孫に運ぶことができるすべての生物形態を含み、かつ好ましくは細菌および/または酵母であることを特徴とする、請求項1から14の一項に記載の方法。
【請求項16】
使用されるバイオマスが、公知の手法において、アルカリ溶解によって、好ましくは硫酸ドデシルナトリウム(SDS)を含有するバッファーを用いて破砕されることを特徴とする、請求項1から15の一項に記載の方法。
【請求項17】
前記バイオマスが溶解バッチの攪拌で溶解されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
バイオマスの代わりに、清澄化ライセートが出発物質として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の段階d)において形成する下相がさらに、混入物から1度、精製されることを特徴とする、請求項1から18の一項に記載の方法。
【請求項20】
更なる精製段階(1つまたは複数)が:
e)請求項1に記載の段階d)で形成され、かつ混入物を含有する上相から、請求項1に記載の段階d)で形成する下相を分離する段階と、
f)請求項1に記載の段階c)による塩成分の濃度となる形で塩成分を添加する段階と、
g)請求項1に記載の段階d)によるポリマー成分を再び添加する段階と、
h)溶液を完全に混合し、相の形成を待つ段階と、を含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の段階d)で形成する下相からのプラスミドDNAの前記単離および脱塩が、限外濾過/ダイアフィルトレーションによって行われることを特徴とする、請求項1、19または20の一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の段階d)における相の形成が、バッチの遠心分離によって促進されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に記載の段階c)からの混合物が、塩成分の添加中および/または添加後に攪拌されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
この方法が自動化プロセスにおいて用いられることを特徴とする、請求項1から23の一項に記載の方法。
【請求項25】
プラスミドDNAが、工業的規模で、好ましくは溶解バッチ当たり2gを超えるプラスミドDNAを製造する工業的規模で、製造されることを特徴とする、請求項1から24の一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項1から25に記載の方法によって単離されたことを特徴とする、プラスミドDNA。
【請求項27】
遺伝子治療または遺伝子接種における、請求項26に記載のプラスミドDNAの使用。
【請求項28】
以下の成分を含む請求項1から25の一項に記載の方法を実施するためのキット。
a)PEGおよび/または、
b)リン酸カリウムバッファーおよび/または、
c)アルカリ溶解バッファーおよび/または、
d)再懸濁バッファー、を備えるキット。

【図1】
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【公表番号】特表2007−537706(P2007−537706A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529948(P2006−529948)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005799
【国際公開番号】WO2004/106516
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(599072611)キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (83)
【Fターム(参考)】