水晶振動板および当該水晶振動板を用いた水晶振動子
【課題】小型化に対応するとともに良好な特性を得られる水晶振動板および当該水晶振動板を用いた水晶振動子を提供する。
【解決手段】稜部mが面取り加工された平面視略矩形状のATカット水晶振動板2であって、共振周波数が7MHz以上、9MHz以下で、前記矩形の長辺および短辺の各寸法が1.5mm以上、2.4mm以下の範囲の水晶振動板において、少なくとも主振動と副振動との周波数差が975kHz以上、1015kH以下の範囲を満足する水晶振動板となっている。
【解決手段】稜部mが面取り加工された平面視略矩形状のATカット水晶振動板2であって、共振周波数が7MHz以上、9MHz以下で、前記矩形の長辺および短辺の各寸法が1.5mm以上、2.4mm以下の範囲の水晶振動板において、少なくとも主振動と副振動との周波数差が975kHz以上、1015kH以下の範囲を満足する水晶振動板となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子または水晶発振器等の水晶デバイスに用いられる水晶振動板および当該水晶振動板を用いた水晶振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
ATカット水晶振動子は、各種通信機器など様々な用途に用いられている電子部品である。例えば車載用途については、ECU(電子制御ユニット)の基準周波数を創出するタイミングデバイスとして水晶振動子が使用されている。
【0003】
近年、ECU基板の大きさが縮小してきている。そのため、基板上に搭載される水晶振動子の搭載スペースも狭小化が進んでいる。
【0004】
水晶振動子の外形寸法としては、例えば長さ3.2mm×幅2.5mm程度で薄型のものが要求されている。ECUの基準周波数の一例として低周波帯である8.000MHzが使用されている。
【0005】
AT水晶振動板は、その発振周波数が水晶振動板の厚みに反比例する関係にある。そのため、周波数が低くなるほど水晶振動板の厚みは厚くなる。したがって低周波帯である8.000MHzでは、使用される水晶振動板の厚みは高周波帯の水晶振動板に比べて厚くなる。
【0006】
一般的に水晶振動子は、容器体内部に水晶振動板の端部を接着材等によって接合支持する形態となっている。
【0007】
前述のとおり水晶振動板が厚くなる低周波帯においては、前記支持領域における振動エネルギーを減衰させ、これとともに、水晶振動板の表裏面の中央領域に形成される励振電極下に振動エネルギーを閉じ込めて良好な直列抵抗値を得るため、水晶振動板の端部に面取り加工(いわゆるベベル加工)が施される。
【0008】
水晶振動板のベベル加工では、研磨材と水晶振動板を加工容器内に封入する。この状態で、高速回転可能な槽内に複数の前記加工容器をセットする。次いで、加工容器を高速回転させることによって生じる遠心力を利用する。
【0009】
ベベル加工された水晶振動板の形状(ベベル形状)は共振波形に反映される。具体的に、水晶振動板の主振動(共振)や副振動(不要振動)の各周波数はそれぞれベベル加工の進行に応じて変化する。
【0010】
そのため、主振動および副振動の位置(周波数)をネットワークアナライザ等によって確認することでベベル形状の管理を行うことができる。
【0011】
主振動と副振動の周波数差で管理された水晶振動板やベベル加工の管理方法は、特許第4075046号(特許文献1)、特許第4623321号(特許文献2)、特開2007−335941号(特許文献3)の各公報明細書に開示されている。
【0012】
前記公報明細書で開示されているATカット水晶振動板の主振動の周波数は26MHzであり、8MHzの水晶振動板に比して薄い水晶振動板となっている。
【0013】
具体的に、同公報明細書では水晶振動板の厚みは65μm程度となっている。これに対し、主振動の周波数が8MHzの場合は水晶振動板の厚みは208μm程度となり、26MHzにおける水晶振動板の厚みよりも3倍以上厚くなっている。
【0014】
このように水晶振動板が厚くなると適切なベベル加工によって振動エネルギーを減衰させることがより重要となってくる。つまり主振動の周波数が8MHz(低周波帯)の水晶振動板の方が、主振動の周波数が26MHzの水晶振動板よりもベベル加工形状の特性への影響が大きくなる。
【0015】
例えば平面視の外形寸法が長さ3.2mm×幅2.5mmで主振動周波数が8MHz帯の表面実装型水晶振動子に収容可能な大きさの水晶振動板では、直列抵抗値は500オーム以上あり、良好な直列抵抗値を得ることができるベベル形状を見出すことは困難であった。また当該ベベル形状を安定再現するための定量的な指標も見出されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第4075046号
【特許文献2】特許第4623321号
【特許文献3】特願2007−335941号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、かかる点に鑑みてなされ、小型化に対応するとともに良好な特性を得られる水晶振動板および当該水晶振動板を用いた水晶振動子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る水晶振動板は、稜部が面取り加工され、かつ、平面視形状が略矩形状であって、共振周波数が7MHz以上、9MHz以下であり、前記矩形の長辺および短辺の各寸法が1.5mm以上、2.4mm以下の範囲である水晶振動板において、主振動に対して、975kHz以上1015kHz以下の範囲だけ高い周波数域に副振動が存在する、ことを特徴とする。
【0019】
好ましい態様は、主振動に対して、995kHz以上1015kHz以下の範囲だけ高い周波数域に副振動が存在する。
【0020】
好ましい態様は、前記水晶振動板のZ’軸方向に長辺が、X軸方向に短辺が各々設定されている。
【0021】
好ましい態様は、前記水晶振動板の長辺寸法が、2.1mm以上、2.4mm以下であり、短辺寸法が、1.5mm以上、1.75mm以下である。
【0022】
好ましい態様は、前記水晶振動板の短辺寸法が、1.61mm以上、1.75mm以下である。
【0023】
なお、水晶振動板には副振動は複数存在する。
【0024】
副振動には、例えば、第1の副振動および第2の副振動がある。
【0025】
第1の副振動とは主振動の周波数よりも高く、かつ主振動に最も近い位置にある副振動(不要振動)のことを指す。
【0026】
第2の副振動とは、第1の副振動の周波数よりも高く、かつ第1の副振動の次に主振動に近い位置にある副振動のことを指す。
【0027】
前記定義によれば、主振動と副振動との周波数差が460kHz以上、480kHz以下の場合、当該副振動は第1の副振動である。主振動と副振動との周波数差が995kHz以上、1015kHz以下の場合、当該副振動は第2の副振動となる。
【0028】
第1および第2の副振動の各振動モードは水晶振動板の軸方向の設定により異なる。つまり、水晶振動板の長辺方向に水晶のX軸を、短辺方向に水晶のZ’軸を、厚み方向に水晶のY軸を設定した場合、第1の副振動はX方向の3次のインハーモニック振動となり、第2の副振動はX方向の1次のインハーモニック振動となる。
【0029】
これに対し、水晶振動板の長辺方向に水晶のZ’軸を、短辺方向に水晶のX軸を、厚み方向に水晶のY軸を設定した場合は、第1の副振動はX方向の1次のインハーモニック振動となり、第2の副振動はX方向の3次のインハーモニック振動となる。
【0030】
本発明者は、主振動と第1の副振動の周波数差が460kHz以上、480kHz以下の範囲内または、主振動と第2の副振動の周波数差が975kHz以上、1015kHz以下の範囲内の、いずれか一方または両方を満たすように水晶振動板をベベル加工することによって良好な特性の水晶振動板を得ることができるという知見を得た。
【0031】
主振動と第1の副振動の周波数差が460kHz以上、480kHz以下の範囲内または、主振動と第2の副振動の周波数差が975kHz以上、1015kHz以下の範囲内に、第1の副振動または第2の副振動のいずれか一方、または両方がそれぞれ収まるよう管理することにより、良好な特性を有する水晶振動板の形状を安定して再現させることができる。また水晶振動板のベベル形状を安定して再現するための定量的な管理指標として活用することができる。
【0032】
本発明によると、少なくとも主振動と前記第2の副振動の周波数差が975kHz以上、1015kHz以下の範囲内、好ましくは、995kHz以上、1015kHz以下の範囲内となるよう水晶振動板をベベル加工することによって、良好な特性の水晶振動子板を得ることができる。また、当該水晶振動板を用いた水晶振動子において、良好な直列抵抗値および優れた周波数温度特性を得ることができる。
【0033】
具体的に、水晶振動板のベベル形状が不適切な場合、水晶振動子の直列抵抗値が悪化(高くなる)するだけでなく温度変化に対する周波数変化(周波数温度特性)にも影響を与える。
【0034】
本発明の水晶振動板によれば良好な直列抵抗値に加え、優れた周波数温度特性を持つ水晶振動子を得ることができる。これは、より安定して現れやすい第2の副振動に着目することにより、良好な特性を有する水晶振動板の形状を安定して再現させることができるからである。
【0035】
本発明では、好ましくは、前記水晶振動板のZ’軸方向に長辺が、X軸方向に短辺がそれぞれ設定された水晶振動板であってもよい。
【0036】
本発明によると、水晶振動板のZ’軸方向に長辺を設定することにより、より安定した周波数温度特性を持つ水晶振動子を得ることができる。具体的に、水晶振動板の長辺をZ’軸方向に、短辺をX軸方向にそれぞれ設定し、短辺端部を接合材を介して容器体の内部に接合した場合、水晶振動板の主振動と輪郭振動との結合を、水晶振動板のX軸方向に長辺を設定した場合よりもより効果的に防止することができる。
【0037】
水晶振動板の主振動と輪郭振動とが結合すると周波数の大きな変動(いわゆる周波数ジャンプ)や直列抵抗値の大きな変動が発生することがある。しかし、本発明の水晶振動板によれば主振動と輪郭振動との結合を防止することができるため、良好な特性の水晶振動子を得ることができる。
【0038】
この場合、好ましくは、前記Z’軸方向の長辺が、2.1mm以上、2.4mm以下の範囲に設定されている。
【0039】
より好ましくは、前記Z’軸方向の長辺が、2.19mm以上、2.21mm以下の範囲に設定されている。
【0040】
本発明による水晶振動子は、前記水晶振動板の表裏面に、励振電極および当該励振電極から少なくとも前記水晶振動板の一端側へ延出された接続電極を形成するとともに、当該水晶振動板を容器体内部に収容し、前記接続電極を前記容器体内部の搭載電極と導電接合した構成を有している。
【0041】
上記水晶振動板を使用した水晶振動子であれば、良好な直列抵抗値および優れた周波数温度特性を得ることができる。
【発明の効果】
【0042】
以上、のように、本発明によれば、小型化に対応するとともに適切な水晶振動板のベベル形状により良好な特性を得られる水晶振動板および当該水晶振動板を用いた水晶振動子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は本発明の実施形態における水晶振動子の長辺方向の断面図である。
【図2】図2は図1で蓋体4を除いた状態の平面図である。
【図3】図3は図2のA−A線における断面図。
【図4】図4は本発明の実施形態における水晶振動板の斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施形態における水晶振動板の平面図である。
【図6】図6は本発明の水晶振動板のベベル加工装置の概略断面図である。
【図7】図7は水晶振動板の主振動と副振動の関係を表す説明図である。
【図8】図8は水晶振動板の主振動と副振動の関係を表す説明図である。
【図9】図9は本発明の実施形態における水晶振動板の主振動と副振動の関係を表すグラフである。
【図10】図10は本発明の実施形態における水晶振動板の主振動と副振動の関係を表すグラフである。
【図11a】図11aは本発明の水晶振動板の平面図である。
【図11b】図11bは図11aのB−B線における断面図である。
【図12】図12は本発明の水晶振動板の平面図である。
【図13】図13は本発明の水晶振動板の平面図である。
【図14】図14は本発明の水晶振動板の平面図である。
【図15】図15は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性を表すグラフである。
【図16】図16は水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の一例を表すグラフである。
【図17】図17は水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の一例を表すグラフである。
【図18】図18は水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の一例を表すグラフである。
【図19】図19は水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の一例を表すグラフである。
【図20】図20は本発明の実施形態における水晶振動板の主振動と副振動の関係を表すグラフである。
【図21】図21は本発明の実施形態における水晶振動板の主振動と副振動の関係を表すグラフである。
【図22】図22は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の別の例を表すグラフである。
【図23】図23は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のさらに別の例を表すグラフである。
【図24】図24は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のさらに別の例を表すグラフである。
【図25】図25は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のさらに別の例を表すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明による実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0045】
本発明の実施形態では表面実装型の水晶振動子への適用例を説明する。本実施形態で適用される水晶振動子の平面視矩形であり、その外形寸法は縦3.2mm×横2.5mmとなっている。
【0046】
図1は本発明の実施形態に係る水晶振動子の長辺方向の断面図である。図1を参照して、水晶振動子1は、平面視略矩形状の水晶振動板2と、断面視凹状のベース(容器体)3と、平板状の蓋体4とを備える。実施形態の水晶振動子の共振周波数(公称周波数)は基本波振動モードで8.000MHzである。水晶振動板2は、断面略凹形状のベース3の内部に接合材5で接合されている。ベース開口部には蓋体4が接合材6で接合されている。
【0047】
蓋体4は平面視矩形状のセラミック材料から成る。蓋体4の下面は、ベース3の堤部上面300との接合面となる。この接合面側には封止材(図示省略)が形成されている。前記封止材として低融点ガラスが使用される。蓋体4は、セラミック材料で構成する以外に、コバールを母材とし、この母材の上部にニッケルめっき層、金めっき層を形成して構成してもよい。この構成では、前記封止材としてAn−Sn合金等の金属ロウ材が好ましい。
【0048】
図2を参照して本実施形態で使用されるベース3を説明する。図2は図1で蓋体4を除いた状態の平面図である。ベース3は凹部34を有する、上部が開口した平面視矩形状の箱状体である。ベース3は複数のセラミックグリーンシートの積層体である。これらセラミックグリーンシートの複数層は、所定位置に内部配線導体の印刷処理を施した後に位置決めされて積層され、その後、焼成されることによって一体に成形されている。凹部34の周囲には堤部30が環状に形成されている。堤部30の上面300は平坦である。凹部34の内底面35には、一対の段部31,31が並列に形成されている。
【0049】
一対の段部31,31の上面には金属膜からなる一対の搭載電極32,32が形成されている。搭載電極32は、段部31の上面にタングステンメタライズが施され、その上部にニッケルメッキが施され、さらにその上部に金メッキが施された層構成を有する。
【0050】
搭載電極32は、ベース3の内部に形成された配線導体(図示せず)を介して、ベース3の底面(裏面)に形成された外部接続端子(図示省略)と電気的に接続されている。
【0051】
搭載電極32と前記外部接続端子との電気的接続は、ベース3の外周の角部の上下方向に導体(いわゆるキャスタレーション)を形成することによって行ってもよい。
【0052】
図2において、凹部34の内底面35には、ベース3と同材料から成る直方体形状の枕部33が形成されている。枕部33の形成位置は、水晶振動板の自由端縁部が平面視で重なる位置である。この位置に枕部を配置することにより、例えば水晶振動子に大きな外部衝撃が加わった際に、水晶振動板2の自由端と内底面35との接触を防止することができる(図3参照)。
【0053】
図1〜図3を参照して本実施形態で使用される水晶振動板を説明する。水晶振動板2は、所定形状で切り出された平面視矩形状のATカット水晶片である。水晶振動板2は、その長辺寸法が2.220mm、その短辺寸法が1.620mmである。水晶振動板2の表裏主面200には、当該水晶振動板の駆動のための一対の対向する励振電極21,21が形成され、この励振電極21,21から引出電極22,22が引き出されている(図2参照。図1および図3では図示せず)。
【0054】
水晶振動板2の一端側縁部には、励振電極21から引き出された引出電極22と接続した接続電極23,23が一対で形成されている。接続電極23は前述の搭載電極32上に接合材4を介して一対一で接合される。接合材4としては例えばシリコーン系の導電性樹脂接合材が使用される。接合材4は、シリコーン系の導電性樹脂接合材に限定されない。接合材4は、シリコーン系以外にもエポキシ系などの導電性樹脂接合材を使用してもよく、また、樹脂系接合材以外に金属バンプを使用してもよい。
【0055】
水晶振動板2を、さらに以下に詳細に説明する。
【0056】
図4は本発明の実施形態を示す水晶振動板の斜視図であり、図5は本発明の実施形態を示す水晶振動板の平面図である。
【0057】
水晶振動板2の端面は、ベベル加工されている。このベベル加工により、水晶振動板2の稜部mは面取り加工される。水晶振動板2の厚みは、Lと表記される長辺およびWと表記される短辺それぞれの端部に近づくにつれて次第に薄肉となる。これにより、水晶振動板2の断面形状は、図4に示すように両凸レンズに近い断面形状である。
【0058】
実施形態では水晶振動板2の長辺方向にZ’軸が、短辺方向にX軸が、厚み方向にY軸がそれぞれ設定されている。
【0059】
次に、水晶振動板2のベベル加工方法を説明する。図6は本発明の水晶振動板のベベル加工装置の概略断面図である。ベベル加工は金属製の加工容器内に、所定数量の直方体状の水晶振動板と、所定重量の研磨材とを混在した状態で封入する。
【0060】
次いで、前記加工容器を各回転槽(F)内に複数個ずつ収容する。前記回転槽はドラムEの外周付近に均等間隔で設置されている。ドラムEが回転(公転)すると、各回転槽はドラム回転方向と逆方向に回転(自転)する。水晶振動板は、ドラムの回転運動に伴い、加工容器の内壁面との摩擦および研磨材による磨耗によって、その稜部が削り取られる。そして、加工容器内壁の曲面(曲率)が水晶振動板に転写される。
【0061】
ATカット水晶振動板は、その面積が有限である。そのため、厚みすべり振動の水晶振動板の輪郭からの反射波や輪郭寸法に起因する輪郭振動等の影響により、本来必要な振動(主振動)以外に不要な振動(いわゆる副振動)が複数存在する。
【0062】
これら複数の副振動の内、例えば主振動に近い2つの副振動に着目した説明図を図7に示す。図7は水晶振動板をネットワークアナライザを用いて測定した共振波形を表した概略図である。図7において第1の副振動の周波数はF1と、第2の副振動の周波数はF2とそれぞれ表記している。
【0063】
第1の副振動の周波数(F1)は主振動の周波数(Fs)よりも高く、第1の副振動は主振動に、周波数上、最も近い位置にある。
【0064】
第2の副振動の周波数(F2)は第1の副振動の周波数(F1)よりも高く、かつ第1の副振動の次に、周波数上、主振動に近い位置にある。
【0065】
本実施形態では水晶振動板の長辺方向に水晶のZ’軸が、短辺方向に水晶のX軸が、厚み方向に水晶のY軸がそれぞれ設定されている。そのため、第1の副振動はX方向の1次のインハーモニック振動となり、第2の副振動はX方向の3次のインハーモニック振動となる。
【0066】
一般に、第1の副振動と第2の副振動はベベル加工が進むにつれ、それぞれの周波数が上昇する。ここで主振動の周波数も上昇するが、主振動と副振動の各周波数の上昇速度の差異により、ベベル加工時間とともに主振動と副振動における周波数差が拡大していく。
【0067】
この周波数差の拡大を図7、図8を参照して説明する。
【0068】
図7に示すように、ある時間における第1の副振動(F1)と主振動(Fs)との周波数差をΔF1、第2の副振動(F2)と主振動(Fs)との周波数差をΔF2とする。
【0069】
図8に示すように、任意時間Δt時間後における第1の副振動の周波数をF1’、第2の副振動の周波数をF2’、主振動をFs’とすると、ΔF1<ΔF1’かつΔF2<ΔF2’ (ΔF1’=F1’−Fs’,ΔF2’=F2’−Fs’)という関係となっている。
【0070】
前記ベベル加工後の水晶振動板の主振動と副振動の関係を図9、図10に示す。
【0071】
図9において主振動(Fs)と第1の副振動(F1)の周波数差(ΔF1)は468kHzとなっており、主振動(Fs)と第2の副振動(F2)の周波数差(ΔF2)は1005kHzとなっている。
【0072】
図10において、主振動(Fs)と第1の副振動(F1)の周波数差(ΔF1)は468kHz、主振動(Fs)と第2の副振動(F2)の周波数差(ΔF2)は1001kHzとなっている。
【0073】
このように、ベベル加工後の水晶振動板の主振動と第1の副振動の周波数差(ΔF1)が460kHz以上、480kHz以下の範囲内または、主振動と第2の副振動の周波数差(ΔF2)が995kHz以上、1015kHz以下の範囲内の、いずれか一方または両方を満たすよう水晶振動板をベベル加工することによって良好な特性の水晶振動板を得ることができる。
【0074】
また、前述の範囲内に収まるよう、主振動と第1の副振動および第2の副振動の周波数をモニタすることにより、水晶振動板のベベル形状を安定して再現するための管理指標として活用することができる。
【0075】
本発明の水晶振動板は、第1または第2の副振動と主振動との周波数差のいずれか一方または両方が前述の範囲内に収まるようにベベル加工されていると、その形状は次に述べる内容も同時に満たすことになる。
【0076】
第一に、本発明の水晶振動板は図11a、図11bに示すような2種類の曲率を有するベベル形状となっている。図11aは本発明のベベル加工された水晶振動板の平面図、図11bは図11aのB−B線における断面図である。図11a、図11bに示すように水晶振動板2は、長辺寸法をLとしたとき、(1/2)Lの位置、つまり長辺中央から各長辺端部方向にそれぞれ(1/4)Lまでの領域内(第1の領域)に第1の曲率半径R1を有している。そして、水晶振動板2は前記第1の領域から二つの長辺端部までの領域、つまり二つの長辺端部から中心方向にそれぞれ(1/4)Lだけ内側の領域内(第2の領域)に第2の曲率半径R2を有している。本実施形態ではR1は26mm以上、27mm以下の範囲となっており、R2は7.9mm以上、8.9mm以下の範囲となっている。
【0077】
第二に、本発明の水晶振動板はベベル加工による薄肉化領域(ベベル加工前の水晶振動板の厚みから0.05mm以上、薄肉化される領域を表す)は図12に示す塗り潰し領域の範囲となっている。具体的に、長辺方向については長辺寸法をLとしたとき、短辺縁部から水晶振動板の中心方向に(1/4)Lずつ内側の領域が、短辺方向については短辺寸法をWとしたとき、長辺縁部から水晶振動板の中心方向に(1/4)Wずつ内側の領域が前記薄肉化領域となっている。また、対角線方向については、対角線長をD(ベベル加工によってコーナー部分は削り取られるため、ベベル加工前における角部を仮想点Pとすると、斜対向する2点P,Pを結ぶ線分)とすると、前記2つの仮想点P,Pの各々から水晶振動板の中心方向に(3/8)Dだけ内側の領域が前記薄肉化領域となっている。
【0078】
第三に、図13に示すようにベベル加工後における角部の曲率を有する領域を除いた辺長(長辺・短辺)と全辺長(長辺・短辺)との比率が挙げられる。つまり長辺については、ベベル加工後における曲率を有する領域を除いた辺長をL’、ベベル加工後における曲率を含む辺長をLとすると、(L’/L)が0.45以上、0.5以下の範囲となっている。一方、短辺については、ベベル加工後における曲率を有する領域を除いた辺長をW’、ベベル加工後における曲率を含む辺長をWとすると、(W’/W)が0.27以上、0.34以下の範囲となっている。また四隅の曲率を有する部分は曲率半径が0.55mm以上、0.6mm以下の範囲となっている。
【0079】
第四に、本発明の水晶振動板はベベル加工後の水晶振動板の平面視矩形の中央の厚みと、図14に示す各位置における厚みとの相対関係が次のような相対関係となっている。つまり、水晶振動板の平面視矩形の中央の厚みをa、短辺端部中央の厚みをbとすると、(b/a)は0.62以上、0.79以下の範囲となっている。また、ベベル加工前における水晶振動板の角部を仮想点Pとすると、点Pから長辺および短辺の各方向に0.1mmずつ離間した点から引いた垂線の交点における厚みをcとすると、(c/a)は0.29以上、0.37以下の範囲となっている。
【0080】
本発明によると、少なくとも主振動と前記第2の副振動の周波数差が975kHz以上、1015kHz以下の範囲内となるよう水晶振動板をベベル加工することにより、当該水晶振動板を用いた水晶振動子において、良好な直列抵抗値および優れた周波数温度特性を得ることができる。これは、より安定して現れやすい第2の副振動に着目することにより、良好な特性を有する水晶振動板の形状を安定して再現させることができるためである。以上について図15〜図19を用いて説明する。
【0081】
図15〜図19は、本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性を表すグラフである。図15〜図19の測定に用いた水晶振動板は、ベベル加工前の外形寸法が長辺(Z’軸)が2.220mm、短辺(X軸)が1.620mmとなっている。そしてベベル加工された水晶振動板の表裏面に矩形の励振電極(縦1.3mm×横1.1mm)が形成されている。測定に用いた水晶振動子の数量は150個となっている。試料として用いた水晶振動板は第2の副振動(F2)に着目し、主振動と第2の副振動の周波数差の大小に応じて3区分に分類した後、各区分ごとに水晶振動子の製造を行っている。
【0082】
図15では主振動と前記第2の副振動の周波数差は1005kHzを狙いとし、製造ばらつきとして±10kHzを考慮したベベル加工条件のときの周波数温度特性(a:各温度における周波数偏差を表したグラフ)と直列抵抗温度特性(b:各温度における直列抵抗値を表したグラフ)を表している。
【0083】
これに対し、主振動と前記第2の副振動の周波数差が1005kHz±10kHzよりも小さい場合の周波数温度特性と直列抵抗温度特性を図16乃至17に示す。
【0084】
具体的には、図16は主振動と前記第2の副振動の周波数差は985kHz(±10kHz)を狙いとし、図17では主振動と前記第2の副振動の周波数差は965kHz(±10kHz)を狙いとしたときの周波数温度特性(a)と直列抵抗温度特性(b)をそれぞれ表している。
【0085】
これより、主振動と前記第2の副振動の周波数差が1005kHz±10kHzよりも小さくなるにつれ、直列抵抗温度特性の変動が大きくなる傾向となっている。
【0086】
一方、主振動と前記第2の副振動の周波数差が1005kHz±10kHzよりも大きい場合の周波数温度特性と直列抵抗温度特性を図18、図19に示す。具体的には、図18では主振動と前記第2の副振動の周波数差は1025kHz(±10kHz)を狙いとし、図19では主振動と前記第2の副振動の周波数差は1045kHz(±10kHz)を狙いとしたときの周波数温度特性(a)と直列抵抗温度特性(b)をそれぞれ表している。これより、主振動と前記第2の副振動の周波数差が1005kHz±10kHzよりも大きくなるにつれ、直列抵抗温度特性の変動が大きくなる傾向があり、特に−40℃から+20℃の温度域において変動が大きくなっている。
【0087】
これらのグラフを比較すると、周波数温度特性に関しては、図15に示すように主振動と第2の副振動の周波数差が1005kHzのものが最も周波数偏差のばらつきが小さくなっている。また直列抵抗温度特性についても、主振動と第2の副振動の周波数差が1005kHzのものが最も直列抵抗の絶対値が小さくなっているとともに、温度変化に対する直列抵抗値の変動も小さくなっている。
【0088】
以上のことより、主振動と前記第2の副振動の周波数差が995kHz以上、1015kHz以下の範囲内となるよう水晶振動板をベベル加工することによって、良好な周波数温度特性および良好な直列抵抗温度特性を有する水晶振動子を得ることができる。
【0089】
なお図16の主振動と前記第2の副振動の周波数差が985kHz(±10kHz)を狙いとして設定されたものであっても実用上は問題は無いが、図15の主振動と第2の副振動の周波数差が1005kHzのものが直列抵抗値の安定性の点から好ましい。
【0090】
本実施形態におけるベベル後の実際の水晶振動板の主振動と副振動の関係を表すグラフを図20、図21に示す。
【0091】
図20では、第2の副振動(F2)は主振動(Fs)から1005kHz離間した位置に認識可能な状態で現れているが、第1の副振動は現れていない。
【0092】
図21において第2の副振動(F2)は主振動(Fs)から1008kHz離間した位置に認識可能な状態で現れているが、第1の副振動(F1)は非常に小さく現れているため認識し難くなっている。
【0093】
これとは逆に、図示していないが、第1の副振動が認識しやすい状態であるのに対し、第2の副振動が小さく現れたり、あるいは第2の副振動が現れない場合がある。
【0094】
このような現象は水晶振動板のベベル形状のばらつきに拠るものであるが、本発明の水晶振動板であれば第1の副振動と第2の副振動の、いずれか一方または両方を管理指標として用いるため、ベベル加工状態に応じて管理しやすい方の副振動に着目してベベル加工をモニタすることができる。これにより、良好な特性を有する水晶振動板の形状を安定して再現することができる。
【0095】
図22および図23は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の別の例を表すグラフである。
【0096】
図22は水晶振動板の短辺(X軸)寸法が1.620mm、水晶振動板の長辺(Z’軸)寸法が2.40mmの本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のグラフである。
【0097】
図23は、図22の水晶振動板の短辺寸法を1.620mmに固定して、長辺を2.40mmから2.19mmに変化させたときのグラフである。ベベル加工された水晶振動板の表裏面に矩形の励振電極(縦1.3mm×横1.1mm)が形成されている。測定に用いた水晶振動子の数量は150個である。
【0098】
図22および図23に示す測定は、主振動と第2の副振動の周波数差を995〜1015kHzとし、±10kHzの製造ばらつきを考慮したベベル加工条件のときの周波数温度特性を(a)に、また、直列抵抗温度特性を(b)に示す。(a)は各温度における周波数偏差を表したグラフであり、(b)は、各温度における直列抵抗値を表したグラフである。
【0099】
図22および図23のグラフでは、いずれも、水晶振動板の短辺寸法を1.620mmに固定して、長辺をベベル加工で2.40mmから2.19mmに変化させても、水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性は、良好であることを示している。
【0100】
図24および図25は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のさらに別の例を表すグラフである。図24および図25は、共に、長辺(Z’軸)寸法を2.2mmに固定し、図24に示す短辺(X軸)寸法1.750mmから、図25で示す短辺寸法1.61mmにベベル加工した場合の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のグラフである。ベベル加工された水晶振動板の表裏面に矩形の励振電極(縦1.3mm×横1.1mm)が形成されている。測定に用いた水晶振動子の数量は150個となっている。
【0101】
図24および図25の測定では主振動と第2の副振動の周波数差は995〜1015kHzを狙いとし、製造ばらつきとして±10kHzを考慮したベベル加工条件のときの周波数温度特性(a:各温度における周波数偏差を表したグラフ)と直列抵抗温度特性(b:各温度における直列抵抗値を表したグラフ)を表している。
【0102】
図24および図25のグラフでは、いずれも、長辺(Z’軸)寸法を2.2mmに固定し、図24に示す短辺(X軸)寸法1.750mmから、図25で示す短辺寸法1.61mmにベベル加工した場合、水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性は、良好であることを示している。
【0103】
本発明の実施形態では、封止材としてガラス材を例にしているが、セラミックベースと金属製の蓋体を用い、封止材に銀ロウ材等のロウ材を用いたレーザー封止、電子ビーム封止による封止等でも適用できる。さらに本発明の実施形態では表面実装型水晶振動子を例にしているが、水晶フィルタ、水晶発振器など電子機器等に用いられる他の表面実装型の圧電振動デバイスにも適用可能である。
【0104】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0105】
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【符号の説明】
【0106】
1 水晶振動子
2 水晶振動板
21 励振電極
23 接続電極
3 ベース
32 搭載電極
4 蓋体
Fs 主振動の周波数
F1 第1の副振動の周波数
F2 第2の副振動の周波数
L 水晶振動板の長辺寸法
W 水晶振動板の短辺寸法
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子または水晶発振器等の水晶デバイスに用いられる水晶振動板および当該水晶振動板を用いた水晶振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
ATカット水晶振動子は、各種通信機器など様々な用途に用いられている電子部品である。例えば車載用途については、ECU(電子制御ユニット)の基準周波数を創出するタイミングデバイスとして水晶振動子が使用されている。
【0003】
近年、ECU基板の大きさが縮小してきている。そのため、基板上に搭載される水晶振動子の搭載スペースも狭小化が進んでいる。
【0004】
水晶振動子の外形寸法としては、例えば長さ3.2mm×幅2.5mm程度で薄型のものが要求されている。ECUの基準周波数の一例として低周波帯である8.000MHzが使用されている。
【0005】
AT水晶振動板は、その発振周波数が水晶振動板の厚みに反比例する関係にある。そのため、周波数が低くなるほど水晶振動板の厚みは厚くなる。したがって低周波帯である8.000MHzでは、使用される水晶振動板の厚みは高周波帯の水晶振動板に比べて厚くなる。
【0006】
一般的に水晶振動子は、容器体内部に水晶振動板の端部を接着材等によって接合支持する形態となっている。
【0007】
前述のとおり水晶振動板が厚くなる低周波帯においては、前記支持領域における振動エネルギーを減衰させ、これとともに、水晶振動板の表裏面の中央領域に形成される励振電極下に振動エネルギーを閉じ込めて良好な直列抵抗値を得るため、水晶振動板の端部に面取り加工(いわゆるベベル加工)が施される。
【0008】
水晶振動板のベベル加工では、研磨材と水晶振動板を加工容器内に封入する。この状態で、高速回転可能な槽内に複数の前記加工容器をセットする。次いで、加工容器を高速回転させることによって生じる遠心力を利用する。
【0009】
ベベル加工された水晶振動板の形状(ベベル形状)は共振波形に反映される。具体的に、水晶振動板の主振動(共振)や副振動(不要振動)の各周波数はそれぞれベベル加工の進行に応じて変化する。
【0010】
そのため、主振動および副振動の位置(周波数)をネットワークアナライザ等によって確認することでベベル形状の管理を行うことができる。
【0011】
主振動と副振動の周波数差で管理された水晶振動板やベベル加工の管理方法は、特許第4075046号(特許文献1)、特許第4623321号(特許文献2)、特開2007−335941号(特許文献3)の各公報明細書に開示されている。
【0012】
前記公報明細書で開示されているATカット水晶振動板の主振動の周波数は26MHzであり、8MHzの水晶振動板に比して薄い水晶振動板となっている。
【0013】
具体的に、同公報明細書では水晶振動板の厚みは65μm程度となっている。これに対し、主振動の周波数が8MHzの場合は水晶振動板の厚みは208μm程度となり、26MHzにおける水晶振動板の厚みよりも3倍以上厚くなっている。
【0014】
このように水晶振動板が厚くなると適切なベベル加工によって振動エネルギーを減衰させることがより重要となってくる。つまり主振動の周波数が8MHz(低周波帯)の水晶振動板の方が、主振動の周波数が26MHzの水晶振動板よりもベベル加工形状の特性への影響が大きくなる。
【0015】
例えば平面視の外形寸法が長さ3.2mm×幅2.5mmで主振動周波数が8MHz帯の表面実装型水晶振動子に収容可能な大きさの水晶振動板では、直列抵抗値は500オーム以上あり、良好な直列抵抗値を得ることができるベベル形状を見出すことは困難であった。また当該ベベル形状を安定再現するための定量的な指標も見出されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第4075046号
【特許文献2】特許第4623321号
【特許文献3】特願2007−335941号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、かかる点に鑑みてなされ、小型化に対応するとともに良好な特性を得られる水晶振動板および当該水晶振動板を用いた水晶振動子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る水晶振動板は、稜部が面取り加工され、かつ、平面視形状が略矩形状であって、共振周波数が7MHz以上、9MHz以下であり、前記矩形の長辺および短辺の各寸法が1.5mm以上、2.4mm以下の範囲である水晶振動板において、主振動に対して、975kHz以上1015kHz以下の範囲だけ高い周波数域に副振動が存在する、ことを特徴とする。
【0019】
好ましい態様は、主振動に対して、995kHz以上1015kHz以下の範囲だけ高い周波数域に副振動が存在する。
【0020】
好ましい態様は、前記水晶振動板のZ’軸方向に長辺が、X軸方向に短辺が各々設定されている。
【0021】
好ましい態様は、前記水晶振動板の長辺寸法が、2.1mm以上、2.4mm以下であり、短辺寸法が、1.5mm以上、1.75mm以下である。
【0022】
好ましい態様は、前記水晶振動板の短辺寸法が、1.61mm以上、1.75mm以下である。
【0023】
なお、水晶振動板には副振動は複数存在する。
【0024】
副振動には、例えば、第1の副振動および第2の副振動がある。
【0025】
第1の副振動とは主振動の周波数よりも高く、かつ主振動に最も近い位置にある副振動(不要振動)のことを指す。
【0026】
第2の副振動とは、第1の副振動の周波数よりも高く、かつ第1の副振動の次に主振動に近い位置にある副振動のことを指す。
【0027】
前記定義によれば、主振動と副振動との周波数差が460kHz以上、480kHz以下の場合、当該副振動は第1の副振動である。主振動と副振動との周波数差が995kHz以上、1015kHz以下の場合、当該副振動は第2の副振動となる。
【0028】
第1および第2の副振動の各振動モードは水晶振動板の軸方向の設定により異なる。つまり、水晶振動板の長辺方向に水晶のX軸を、短辺方向に水晶のZ’軸を、厚み方向に水晶のY軸を設定した場合、第1の副振動はX方向の3次のインハーモニック振動となり、第2の副振動はX方向の1次のインハーモニック振動となる。
【0029】
これに対し、水晶振動板の長辺方向に水晶のZ’軸を、短辺方向に水晶のX軸を、厚み方向に水晶のY軸を設定した場合は、第1の副振動はX方向の1次のインハーモニック振動となり、第2の副振動はX方向の3次のインハーモニック振動となる。
【0030】
本発明者は、主振動と第1の副振動の周波数差が460kHz以上、480kHz以下の範囲内または、主振動と第2の副振動の周波数差が975kHz以上、1015kHz以下の範囲内の、いずれか一方または両方を満たすように水晶振動板をベベル加工することによって良好な特性の水晶振動板を得ることができるという知見を得た。
【0031】
主振動と第1の副振動の周波数差が460kHz以上、480kHz以下の範囲内または、主振動と第2の副振動の周波数差が975kHz以上、1015kHz以下の範囲内に、第1の副振動または第2の副振動のいずれか一方、または両方がそれぞれ収まるよう管理することにより、良好な特性を有する水晶振動板の形状を安定して再現させることができる。また水晶振動板のベベル形状を安定して再現するための定量的な管理指標として活用することができる。
【0032】
本発明によると、少なくとも主振動と前記第2の副振動の周波数差が975kHz以上、1015kHz以下の範囲内、好ましくは、995kHz以上、1015kHz以下の範囲内となるよう水晶振動板をベベル加工することによって、良好な特性の水晶振動子板を得ることができる。また、当該水晶振動板を用いた水晶振動子において、良好な直列抵抗値および優れた周波数温度特性を得ることができる。
【0033】
具体的に、水晶振動板のベベル形状が不適切な場合、水晶振動子の直列抵抗値が悪化(高くなる)するだけでなく温度変化に対する周波数変化(周波数温度特性)にも影響を与える。
【0034】
本発明の水晶振動板によれば良好な直列抵抗値に加え、優れた周波数温度特性を持つ水晶振動子を得ることができる。これは、より安定して現れやすい第2の副振動に着目することにより、良好な特性を有する水晶振動板の形状を安定して再現させることができるからである。
【0035】
本発明では、好ましくは、前記水晶振動板のZ’軸方向に長辺が、X軸方向に短辺がそれぞれ設定された水晶振動板であってもよい。
【0036】
本発明によると、水晶振動板のZ’軸方向に長辺を設定することにより、より安定した周波数温度特性を持つ水晶振動子を得ることができる。具体的に、水晶振動板の長辺をZ’軸方向に、短辺をX軸方向にそれぞれ設定し、短辺端部を接合材を介して容器体の内部に接合した場合、水晶振動板の主振動と輪郭振動との結合を、水晶振動板のX軸方向に長辺を設定した場合よりもより効果的に防止することができる。
【0037】
水晶振動板の主振動と輪郭振動とが結合すると周波数の大きな変動(いわゆる周波数ジャンプ)や直列抵抗値の大きな変動が発生することがある。しかし、本発明の水晶振動板によれば主振動と輪郭振動との結合を防止することができるため、良好な特性の水晶振動子を得ることができる。
【0038】
この場合、好ましくは、前記Z’軸方向の長辺が、2.1mm以上、2.4mm以下の範囲に設定されている。
【0039】
より好ましくは、前記Z’軸方向の長辺が、2.19mm以上、2.21mm以下の範囲に設定されている。
【0040】
本発明による水晶振動子は、前記水晶振動板の表裏面に、励振電極および当該励振電極から少なくとも前記水晶振動板の一端側へ延出された接続電極を形成するとともに、当該水晶振動板を容器体内部に収容し、前記接続電極を前記容器体内部の搭載電極と導電接合した構成を有している。
【0041】
上記水晶振動板を使用した水晶振動子であれば、良好な直列抵抗値および優れた周波数温度特性を得ることができる。
【発明の効果】
【0042】
以上、のように、本発明によれば、小型化に対応するとともに適切な水晶振動板のベベル形状により良好な特性を得られる水晶振動板および当該水晶振動板を用いた水晶振動子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は本発明の実施形態における水晶振動子の長辺方向の断面図である。
【図2】図2は図1で蓋体4を除いた状態の平面図である。
【図3】図3は図2のA−A線における断面図。
【図4】図4は本発明の実施形態における水晶振動板の斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施形態における水晶振動板の平面図である。
【図6】図6は本発明の水晶振動板のベベル加工装置の概略断面図である。
【図7】図7は水晶振動板の主振動と副振動の関係を表す説明図である。
【図8】図8は水晶振動板の主振動と副振動の関係を表す説明図である。
【図9】図9は本発明の実施形態における水晶振動板の主振動と副振動の関係を表すグラフである。
【図10】図10は本発明の実施形態における水晶振動板の主振動と副振動の関係を表すグラフである。
【図11a】図11aは本発明の水晶振動板の平面図である。
【図11b】図11bは図11aのB−B線における断面図である。
【図12】図12は本発明の水晶振動板の平面図である。
【図13】図13は本発明の水晶振動板の平面図である。
【図14】図14は本発明の水晶振動板の平面図である。
【図15】図15は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性を表すグラフである。
【図16】図16は水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の一例を表すグラフである。
【図17】図17は水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の一例を表すグラフである。
【図18】図18は水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の一例を表すグラフである。
【図19】図19は水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の一例を表すグラフである。
【図20】図20は本発明の実施形態における水晶振動板の主振動と副振動の関係を表すグラフである。
【図21】図21は本発明の実施形態における水晶振動板の主振動と副振動の関係を表すグラフである。
【図22】図22は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の別の例を表すグラフである。
【図23】図23は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のさらに別の例を表すグラフである。
【図24】図24は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のさらに別の例を表すグラフである。
【図25】図25は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のさらに別の例を表すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明による実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0045】
本発明の実施形態では表面実装型の水晶振動子への適用例を説明する。本実施形態で適用される水晶振動子の平面視矩形であり、その外形寸法は縦3.2mm×横2.5mmとなっている。
【0046】
図1は本発明の実施形態に係る水晶振動子の長辺方向の断面図である。図1を参照して、水晶振動子1は、平面視略矩形状の水晶振動板2と、断面視凹状のベース(容器体)3と、平板状の蓋体4とを備える。実施形態の水晶振動子の共振周波数(公称周波数)は基本波振動モードで8.000MHzである。水晶振動板2は、断面略凹形状のベース3の内部に接合材5で接合されている。ベース開口部には蓋体4が接合材6で接合されている。
【0047】
蓋体4は平面視矩形状のセラミック材料から成る。蓋体4の下面は、ベース3の堤部上面300との接合面となる。この接合面側には封止材(図示省略)が形成されている。前記封止材として低融点ガラスが使用される。蓋体4は、セラミック材料で構成する以外に、コバールを母材とし、この母材の上部にニッケルめっき層、金めっき層を形成して構成してもよい。この構成では、前記封止材としてAn−Sn合金等の金属ロウ材が好ましい。
【0048】
図2を参照して本実施形態で使用されるベース3を説明する。図2は図1で蓋体4を除いた状態の平面図である。ベース3は凹部34を有する、上部が開口した平面視矩形状の箱状体である。ベース3は複数のセラミックグリーンシートの積層体である。これらセラミックグリーンシートの複数層は、所定位置に内部配線導体の印刷処理を施した後に位置決めされて積層され、その後、焼成されることによって一体に成形されている。凹部34の周囲には堤部30が環状に形成されている。堤部30の上面300は平坦である。凹部34の内底面35には、一対の段部31,31が並列に形成されている。
【0049】
一対の段部31,31の上面には金属膜からなる一対の搭載電極32,32が形成されている。搭載電極32は、段部31の上面にタングステンメタライズが施され、その上部にニッケルメッキが施され、さらにその上部に金メッキが施された層構成を有する。
【0050】
搭載電極32は、ベース3の内部に形成された配線導体(図示せず)を介して、ベース3の底面(裏面)に形成された外部接続端子(図示省略)と電気的に接続されている。
【0051】
搭載電極32と前記外部接続端子との電気的接続は、ベース3の外周の角部の上下方向に導体(いわゆるキャスタレーション)を形成することによって行ってもよい。
【0052】
図2において、凹部34の内底面35には、ベース3と同材料から成る直方体形状の枕部33が形成されている。枕部33の形成位置は、水晶振動板の自由端縁部が平面視で重なる位置である。この位置に枕部を配置することにより、例えば水晶振動子に大きな外部衝撃が加わった際に、水晶振動板2の自由端と内底面35との接触を防止することができる(図3参照)。
【0053】
図1〜図3を参照して本実施形態で使用される水晶振動板を説明する。水晶振動板2は、所定形状で切り出された平面視矩形状のATカット水晶片である。水晶振動板2は、その長辺寸法が2.220mm、その短辺寸法が1.620mmである。水晶振動板2の表裏主面200には、当該水晶振動板の駆動のための一対の対向する励振電極21,21が形成され、この励振電極21,21から引出電極22,22が引き出されている(図2参照。図1および図3では図示せず)。
【0054】
水晶振動板2の一端側縁部には、励振電極21から引き出された引出電極22と接続した接続電極23,23が一対で形成されている。接続電極23は前述の搭載電極32上に接合材4を介して一対一で接合される。接合材4としては例えばシリコーン系の導電性樹脂接合材が使用される。接合材4は、シリコーン系の導電性樹脂接合材に限定されない。接合材4は、シリコーン系以外にもエポキシ系などの導電性樹脂接合材を使用してもよく、また、樹脂系接合材以外に金属バンプを使用してもよい。
【0055】
水晶振動板2を、さらに以下に詳細に説明する。
【0056】
図4は本発明の実施形態を示す水晶振動板の斜視図であり、図5は本発明の実施形態を示す水晶振動板の平面図である。
【0057】
水晶振動板2の端面は、ベベル加工されている。このベベル加工により、水晶振動板2の稜部mは面取り加工される。水晶振動板2の厚みは、Lと表記される長辺およびWと表記される短辺それぞれの端部に近づくにつれて次第に薄肉となる。これにより、水晶振動板2の断面形状は、図4に示すように両凸レンズに近い断面形状である。
【0058】
実施形態では水晶振動板2の長辺方向にZ’軸が、短辺方向にX軸が、厚み方向にY軸がそれぞれ設定されている。
【0059】
次に、水晶振動板2のベベル加工方法を説明する。図6は本発明の水晶振動板のベベル加工装置の概略断面図である。ベベル加工は金属製の加工容器内に、所定数量の直方体状の水晶振動板と、所定重量の研磨材とを混在した状態で封入する。
【0060】
次いで、前記加工容器を各回転槽(F)内に複数個ずつ収容する。前記回転槽はドラムEの外周付近に均等間隔で設置されている。ドラムEが回転(公転)すると、各回転槽はドラム回転方向と逆方向に回転(自転)する。水晶振動板は、ドラムの回転運動に伴い、加工容器の内壁面との摩擦および研磨材による磨耗によって、その稜部が削り取られる。そして、加工容器内壁の曲面(曲率)が水晶振動板に転写される。
【0061】
ATカット水晶振動板は、その面積が有限である。そのため、厚みすべり振動の水晶振動板の輪郭からの反射波や輪郭寸法に起因する輪郭振動等の影響により、本来必要な振動(主振動)以外に不要な振動(いわゆる副振動)が複数存在する。
【0062】
これら複数の副振動の内、例えば主振動に近い2つの副振動に着目した説明図を図7に示す。図7は水晶振動板をネットワークアナライザを用いて測定した共振波形を表した概略図である。図7において第1の副振動の周波数はF1と、第2の副振動の周波数はF2とそれぞれ表記している。
【0063】
第1の副振動の周波数(F1)は主振動の周波数(Fs)よりも高く、第1の副振動は主振動に、周波数上、最も近い位置にある。
【0064】
第2の副振動の周波数(F2)は第1の副振動の周波数(F1)よりも高く、かつ第1の副振動の次に、周波数上、主振動に近い位置にある。
【0065】
本実施形態では水晶振動板の長辺方向に水晶のZ’軸が、短辺方向に水晶のX軸が、厚み方向に水晶のY軸がそれぞれ設定されている。そのため、第1の副振動はX方向の1次のインハーモニック振動となり、第2の副振動はX方向の3次のインハーモニック振動となる。
【0066】
一般に、第1の副振動と第2の副振動はベベル加工が進むにつれ、それぞれの周波数が上昇する。ここで主振動の周波数も上昇するが、主振動と副振動の各周波数の上昇速度の差異により、ベベル加工時間とともに主振動と副振動における周波数差が拡大していく。
【0067】
この周波数差の拡大を図7、図8を参照して説明する。
【0068】
図7に示すように、ある時間における第1の副振動(F1)と主振動(Fs)との周波数差をΔF1、第2の副振動(F2)と主振動(Fs)との周波数差をΔF2とする。
【0069】
図8に示すように、任意時間Δt時間後における第1の副振動の周波数をF1’、第2の副振動の周波数をF2’、主振動をFs’とすると、ΔF1<ΔF1’かつΔF2<ΔF2’ (ΔF1’=F1’−Fs’,ΔF2’=F2’−Fs’)という関係となっている。
【0070】
前記ベベル加工後の水晶振動板の主振動と副振動の関係を図9、図10に示す。
【0071】
図9において主振動(Fs)と第1の副振動(F1)の周波数差(ΔF1)は468kHzとなっており、主振動(Fs)と第2の副振動(F2)の周波数差(ΔF2)は1005kHzとなっている。
【0072】
図10において、主振動(Fs)と第1の副振動(F1)の周波数差(ΔF1)は468kHz、主振動(Fs)と第2の副振動(F2)の周波数差(ΔF2)は1001kHzとなっている。
【0073】
このように、ベベル加工後の水晶振動板の主振動と第1の副振動の周波数差(ΔF1)が460kHz以上、480kHz以下の範囲内または、主振動と第2の副振動の周波数差(ΔF2)が995kHz以上、1015kHz以下の範囲内の、いずれか一方または両方を満たすよう水晶振動板をベベル加工することによって良好な特性の水晶振動板を得ることができる。
【0074】
また、前述の範囲内に収まるよう、主振動と第1の副振動および第2の副振動の周波数をモニタすることにより、水晶振動板のベベル形状を安定して再現するための管理指標として活用することができる。
【0075】
本発明の水晶振動板は、第1または第2の副振動と主振動との周波数差のいずれか一方または両方が前述の範囲内に収まるようにベベル加工されていると、その形状は次に述べる内容も同時に満たすことになる。
【0076】
第一に、本発明の水晶振動板は図11a、図11bに示すような2種類の曲率を有するベベル形状となっている。図11aは本発明のベベル加工された水晶振動板の平面図、図11bは図11aのB−B線における断面図である。図11a、図11bに示すように水晶振動板2は、長辺寸法をLとしたとき、(1/2)Lの位置、つまり長辺中央から各長辺端部方向にそれぞれ(1/4)Lまでの領域内(第1の領域)に第1の曲率半径R1を有している。そして、水晶振動板2は前記第1の領域から二つの長辺端部までの領域、つまり二つの長辺端部から中心方向にそれぞれ(1/4)Lだけ内側の領域内(第2の領域)に第2の曲率半径R2を有している。本実施形態ではR1は26mm以上、27mm以下の範囲となっており、R2は7.9mm以上、8.9mm以下の範囲となっている。
【0077】
第二に、本発明の水晶振動板はベベル加工による薄肉化領域(ベベル加工前の水晶振動板の厚みから0.05mm以上、薄肉化される領域を表す)は図12に示す塗り潰し領域の範囲となっている。具体的に、長辺方向については長辺寸法をLとしたとき、短辺縁部から水晶振動板の中心方向に(1/4)Lずつ内側の領域が、短辺方向については短辺寸法をWとしたとき、長辺縁部から水晶振動板の中心方向に(1/4)Wずつ内側の領域が前記薄肉化領域となっている。また、対角線方向については、対角線長をD(ベベル加工によってコーナー部分は削り取られるため、ベベル加工前における角部を仮想点Pとすると、斜対向する2点P,Pを結ぶ線分)とすると、前記2つの仮想点P,Pの各々から水晶振動板の中心方向に(3/8)Dだけ内側の領域が前記薄肉化領域となっている。
【0078】
第三に、図13に示すようにベベル加工後における角部の曲率を有する領域を除いた辺長(長辺・短辺)と全辺長(長辺・短辺)との比率が挙げられる。つまり長辺については、ベベル加工後における曲率を有する領域を除いた辺長をL’、ベベル加工後における曲率を含む辺長をLとすると、(L’/L)が0.45以上、0.5以下の範囲となっている。一方、短辺については、ベベル加工後における曲率を有する領域を除いた辺長をW’、ベベル加工後における曲率を含む辺長をWとすると、(W’/W)が0.27以上、0.34以下の範囲となっている。また四隅の曲率を有する部分は曲率半径が0.55mm以上、0.6mm以下の範囲となっている。
【0079】
第四に、本発明の水晶振動板はベベル加工後の水晶振動板の平面視矩形の中央の厚みと、図14に示す各位置における厚みとの相対関係が次のような相対関係となっている。つまり、水晶振動板の平面視矩形の中央の厚みをa、短辺端部中央の厚みをbとすると、(b/a)は0.62以上、0.79以下の範囲となっている。また、ベベル加工前における水晶振動板の角部を仮想点Pとすると、点Pから長辺および短辺の各方向に0.1mmずつ離間した点から引いた垂線の交点における厚みをcとすると、(c/a)は0.29以上、0.37以下の範囲となっている。
【0080】
本発明によると、少なくとも主振動と前記第2の副振動の周波数差が975kHz以上、1015kHz以下の範囲内となるよう水晶振動板をベベル加工することにより、当該水晶振動板を用いた水晶振動子において、良好な直列抵抗値および優れた周波数温度特性を得ることができる。これは、より安定して現れやすい第2の副振動に着目することにより、良好な特性を有する水晶振動板の形状を安定して再現させることができるためである。以上について図15〜図19を用いて説明する。
【0081】
図15〜図19は、本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性を表すグラフである。図15〜図19の測定に用いた水晶振動板は、ベベル加工前の外形寸法が長辺(Z’軸)が2.220mm、短辺(X軸)が1.620mmとなっている。そしてベベル加工された水晶振動板の表裏面に矩形の励振電極(縦1.3mm×横1.1mm)が形成されている。測定に用いた水晶振動子の数量は150個となっている。試料として用いた水晶振動板は第2の副振動(F2)に着目し、主振動と第2の副振動の周波数差の大小に応じて3区分に分類した後、各区分ごとに水晶振動子の製造を行っている。
【0082】
図15では主振動と前記第2の副振動の周波数差は1005kHzを狙いとし、製造ばらつきとして±10kHzを考慮したベベル加工条件のときの周波数温度特性(a:各温度における周波数偏差を表したグラフ)と直列抵抗温度特性(b:各温度における直列抵抗値を表したグラフ)を表している。
【0083】
これに対し、主振動と前記第2の副振動の周波数差が1005kHz±10kHzよりも小さい場合の周波数温度特性と直列抵抗温度特性を図16乃至17に示す。
【0084】
具体的には、図16は主振動と前記第2の副振動の周波数差は985kHz(±10kHz)を狙いとし、図17では主振動と前記第2の副振動の周波数差は965kHz(±10kHz)を狙いとしたときの周波数温度特性(a)と直列抵抗温度特性(b)をそれぞれ表している。
【0085】
これより、主振動と前記第2の副振動の周波数差が1005kHz±10kHzよりも小さくなるにつれ、直列抵抗温度特性の変動が大きくなる傾向となっている。
【0086】
一方、主振動と前記第2の副振動の周波数差が1005kHz±10kHzよりも大きい場合の周波数温度特性と直列抵抗温度特性を図18、図19に示す。具体的には、図18では主振動と前記第2の副振動の周波数差は1025kHz(±10kHz)を狙いとし、図19では主振動と前記第2の副振動の周波数差は1045kHz(±10kHz)を狙いとしたときの周波数温度特性(a)と直列抵抗温度特性(b)をそれぞれ表している。これより、主振動と前記第2の副振動の周波数差が1005kHz±10kHzよりも大きくなるにつれ、直列抵抗温度特性の変動が大きくなる傾向があり、特に−40℃から+20℃の温度域において変動が大きくなっている。
【0087】
これらのグラフを比較すると、周波数温度特性に関しては、図15に示すように主振動と第2の副振動の周波数差が1005kHzのものが最も周波数偏差のばらつきが小さくなっている。また直列抵抗温度特性についても、主振動と第2の副振動の周波数差が1005kHzのものが最も直列抵抗の絶対値が小さくなっているとともに、温度変化に対する直列抵抗値の変動も小さくなっている。
【0088】
以上のことより、主振動と前記第2の副振動の周波数差が995kHz以上、1015kHz以下の範囲内となるよう水晶振動板をベベル加工することによって、良好な周波数温度特性および良好な直列抵抗温度特性を有する水晶振動子を得ることができる。
【0089】
なお図16の主振動と前記第2の副振動の周波数差が985kHz(±10kHz)を狙いとして設定されたものであっても実用上は問題は無いが、図15の主振動と第2の副振動の周波数差が1005kHzのものが直列抵抗値の安定性の点から好ましい。
【0090】
本実施形態におけるベベル後の実際の水晶振動板の主振動と副振動の関係を表すグラフを図20、図21に示す。
【0091】
図20では、第2の副振動(F2)は主振動(Fs)から1005kHz離間した位置に認識可能な状態で現れているが、第1の副振動は現れていない。
【0092】
図21において第2の副振動(F2)は主振動(Fs)から1008kHz離間した位置に認識可能な状態で現れているが、第1の副振動(F1)は非常に小さく現れているため認識し難くなっている。
【0093】
これとは逆に、図示していないが、第1の副振動が認識しやすい状態であるのに対し、第2の副振動が小さく現れたり、あるいは第2の副振動が現れない場合がある。
【0094】
このような現象は水晶振動板のベベル形状のばらつきに拠るものであるが、本発明の水晶振動板であれば第1の副振動と第2の副振動の、いずれか一方または両方を管理指標として用いるため、ベベル加工状態に応じて管理しやすい方の副振動に着目してベベル加工をモニタすることができる。これにより、良好な特性を有する水晶振動板の形状を安定して再現することができる。
【0095】
図22および図23は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性の別の例を表すグラフである。
【0096】
図22は水晶振動板の短辺(X軸)寸法が1.620mm、水晶振動板の長辺(Z’軸)寸法が2.40mmの本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のグラフである。
【0097】
図23は、図22の水晶振動板の短辺寸法を1.620mmに固定して、長辺を2.40mmから2.19mmに変化させたときのグラフである。ベベル加工された水晶振動板の表裏面に矩形の励振電極(縦1.3mm×横1.1mm)が形成されている。測定に用いた水晶振動子の数量は150個である。
【0098】
図22および図23に示す測定は、主振動と第2の副振動の周波数差を995〜1015kHzとし、±10kHzの製造ばらつきを考慮したベベル加工条件のときの周波数温度特性を(a)に、また、直列抵抗温度特性を(b)に示す。(a)は各温度における周波数偏差を表したグラフであり、(b)は、各温度における直列抵抗値を表したグラフである。
【0099】
図22および図23のグラフでは、いずれも、水晶振動板の短辺寸法を1.620mmに固定して、長辺をベベル加工で2.40mmから2.19mmに変化させても、水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性は、良好であることを示している。
【0100】
図24および図25は本発明の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のさらに別の例を表すグラフである。図24および図25は、共に、長辺(Z’軸)寸法を2.2mmに固定し、図24に示す短辺(X軸)寸法1.750mmから、図25で示す短辺寸法1.61mmにベベル加工した場合の水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性のグラフである。ベベル加工された水晶振動板の表裏面に矩形の励振電極(縦1.3mm×横1.1mm)が形成されている。測定に用いた水晶振動子の数量は150個となっている。
【0101】
図24および図25の測定では主振動と第2の副振動の周波数差は995〜1015kHzを狙いとし、製造ばらつきとして±10kHzを考慮したベベル加工条件のときの周波数温度特性(a:各温度における周波数偏差を表したグラフ)と直列抵抗温度特性(b:各温度における直列抵抗値を表したグラフ)を表している。
【0102】
図24および図25のグラフでは、いずれも、長辺(Z’軸)寸法を2.2mmに固定し、図24に示す短辺(X軸)寸法1.750mmから、図25で示す短辺寸法1.61mmにベベル加工した場合、水晶振動子の周波数温度特性と直列抵抗温度特性は、良好であることを示している。
【0103】
本発明の実施形態では、封止材としてガラス材を例にしているが、セラミックベースと金属製の蓋体を用い、封止材に銀ロウ材等のロウ材を用いたレーザー封止、電子ビーム封止による封止等でも適用できる。さらに本発明の実施形態では表面実装型水晶振動子を例にしているが、水晶フィルタ、水晶発振器など電子機器等に用いられる他の表面実装型の圧電振動デバイスにも適用可能である。
【0104】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0105】
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【符号の説明】
【0106】
1 水晶振動子
2 水晶振動板
21 励振電極
23 接続電極
3 ベース
32 搭載電極
4 蓋体
Fs 主振動の周波数
F1 第1の副振動の周波数
F2 第2の副振動の周波数
L 水晶振動板の長辺寸法
W 水晶振動板の短辺寸法
【特許請求の範囲】
【請求項1】
稜部が面取り加工され、かつ、平面視形状が略矩形状であって、
共振周波数が7MHz以上、9MHz以下であり、前記矩形の長辺および短辺の各寸法が1.5mm以上、2.4mm以下の範囲である水晶振動板において、
主振動に対して、975kHz以上、1015kHz以下の範囲だけ高い周波数域に副振動が存在する、ことを特徴とする水晶振動板。
【請求項2】
主振動に対して、995kHz以上、1015kHz以下の範囲だけ高い周波数域に副振動が存在する請求項1に記載の水晶振動板。
【請求項3】
前記水晶振動板のZ’軸方向に長辺が、X軸方向に短辺が各々設定されている請求項1または2に記載の水晶振動板。
【請求項4】
前記水晶振動板の長辺寸法が、2.1mm以上、2.4mm以下であり、短辺寸法が、1.5mm以上、1.75mm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の水晶振動板。
【請求項5】
前記水晶振動板の短辺寸法が、1.61mm以上、1.75mm以下である請求項4に記載の水晶振動板。
【請求項6】
水晶振動板の側面厚み方向(Y方向)の稜線が、水晶振動板の長辺(Z´軸方向)寸法をLとし、長辺中央から各長辺端部方向にそれぞれ(1/4)Lまでの第1の領域は第1の曲率R1(ただし、R1は26mm以上、27mm以下)を有する形状であり、2つの長辺端部から中心方向にそれぞれ(1/4)Lだけ内側の第2の領域は第2の曲率R2(ただし、R2は7.9mm以上、8.9mm以下)を有する形状である請求項1に記載の水晶振動板。
【請求項7】
水晶振動板の平面視略矩形における、長辺(Z´軸方向)寸法をL、短辺寸法をWとして、短辺(X軸方向)端部から水晶振動板の中心方向に(1/4)Lずつ内側の領域で、かつ、長辺端部から水晶振動板の中心方向に(1/4)Wずつ内側の領域が薄肉化され、かつ、対角線方向において、ベベル加工前の対角線方向の両角部を仮想点Pとし、両仮想点P間の距離をDとし、前記両仮想点の各々から水晶振動板中心方向に(3/8)Dだけ内側の領域が薄肉化されている、請求項1に記載の水晶振動板。
【請求項8】
水晶振動板の平面視略矩形における4隅部において、ベベル加工前の長辺方向の辺長をL、ベベル加工後の曲率を有する領域を除いた長辺方向の辺長をL´とし、(L´/L)が0.45以上、0.5以下であり、かつ、ベベル加工前の短辺方向の辺長をW、ベベル加工後の曲率を有する領域を除いた短辺方向の辺長をW´とし、(W´/W)が0.27以上、0.34以下であり、かつ、4隅の曲率を有する部分は曲率半径が0.55mm以上、0.6mm以下である請求項1に記載の水晶振動板。
【請求項9】
ベベル加工後の水晶振動子の平面視矩形の中央の厚みをaとし、短辺部中央の厚みをbとして、(b/a)が0.62以上、0.79以下であり、ベベル加工前における前記水晶振動板の角部を仮想点Pとして、点Pから長辺および短辺の各方向に0.1mmずつ離間した点から引いた垂線の交点における厚みをcとして、(c/a)が0.29以上、0.37以下である、請求項1に記載の水晶振動板。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の水晶振動板の表裏面に、
励振電極および当該励振電極から少なくとも前記水晶振動板の一端側へ延出された接続電極を形成するとともに、
当該水晶振動板を容器体内部に収容し、前記接続電極を前記容器体内部の搭載電極と導電接合した、ことを特徴とする水晶振動子。
【請求項1】
稜部が面取り加工され、かつ、平面視形状が略矩形状であって、
共振周波数が7MHz以上、9MHz以下であり、前記矩形の長辺および短辺の各寸法が1.5mm以上、2.4mm以下の範囲である水晶振動板において、
主振動に対して、975kHz以上、1015kHz以下の範囲だけ高い周波数域に副振動が存在する、ことを特徴とする水晶振動板。
【請求項2】
主振動に対して、995kHz以上、1015kHz以下の範囲だけ高い周波数域に副振動が存在する請求項1に記載の水晶振動板。
【請求項3】
前記水晶振動板のZ’軸方向に長辺が、X軸方向に短辺が各々設定されている請求項1または2に記載の水晶振動板。
【請求項4】
前記水晶振動板の長辺寸法が、2.1mm以上、2.4mm以下であり、短辺寸法が、1.5mm以上、1.75mm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の水晶振動板。
【請求項5】
前記水晶振動板の短辺寸法が、1.61mm以上、1.75mm以下である請求項4に記載の水晶振動板。
【請求項6】
水晶振動板の側面厚み方向(Y方向)の稜線が、水晶振動板の長辺(Z´軸方向)寸法をLとし、長辺中央から各長辺端部方向にそれぞれ(1/4)Lまでの第1の領域は第1の曲率R1(ただし、R1は26mm以上、27mm以下)を有する形状であり、2つの長辺端部から中心方向にそれぞれ(1/4)Lだけ内側の第2の領域は第2の曲率R2(ただし、R2は7.9mm以上、8.9mm以下)を有する形状である請求項1に記載の水晶振動板。
【請求項7】
水晶振動板の平面視略矩形における、長辺(Z´軸方向)寸法をL、短辺寸法をWとして、短辺(X軸方向)端部から水晶振動板の中心方向に(1/4)Lずつ内側の領域で、かつ、長辺端部から水晶振動板の中心方向に(1/4)Wずつ内側の領域が薄肉化され、かつ、対角線方向において、ベベル加工前の対角線方向の両角部を仮想点Pとし、両仮想点P間の距離をDとし、前記両仮想点の各々から水晶振動板中心方向に(3/8)Dだけ内側の領域が薄肉化されている、請求項1に記載の水晶振動板。
【請求項8】
水晶振動板の平面視略矩形における4隅部において、ベベル加工前の長辺方向の辺長をL、ベベル加工後の曲率を有する領域を除いた長辺方向の辺長をL´とし、(L´/L)が0.45以上、0.5以下であり、かつ、ベベル加工前の短辺方向の辺長をW、ベベル加工後の曲率を有する領域を除いた短辺方向の辺長をW´とし、(W´/W)が0.27以上、0.34以下であり、かつ、4隅の曲率を有する部分は曲率半径が0.55mm以上、0.6mm以下である請求項1に記載の水晶振動板。
【請求項9】
ベベル加工後の水晶振動子の平面視矩形の中央の厚みをaとし、短辺部中央の厚みをbとして、(b/a)が0.62以上、0.79以下であり、ベベル加工前における前記水晶振動板の角部を仮想点Pとして、点Pから長辺および短辺の各方向に0.1mmずつ離間した点から引いた垂線の交点における厚みをcとして、(c/a)が0.29以上、0.37以下である、請求項1に記載の水晶振動板。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の水晶振動板の表裏面に、
励振電極および当該励振電極から少なくとも前記水晶振動板の一端側へ延出された接続電極を形成するとともに、
当該水晶振動板を容器体内部に収容し、前記接続電極を前記容器体内部の搭載電極と導電接合した、ことを特徴とする水晶振動子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−34176(P2013−34176A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106441(P2012−106441)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
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