説明

水晶発振器及びその製造方法

【課題】十分、気密封止・電気的導通が維持され、かつ小型化・薄型化された水晶発振器を極めて高い生産性で得るようにする。
【解決手段】方形状の水晶からなる水晶振動子20と、該水晶振動子20の上側主面に金属膜26,34を介在して積層接合され、かつ、水晶振動子20の上側主面に対向する面にLSIを搭載したSiまたは水晶からなる前記水晶振動子と同一外形寸法のLSI搭載カバー30と、前記水晶振動子20の下側主面に金属膜27,44を介在して積層接合され、かつ、前記水晶振動子20の下側主面に対向して形成された凹所41を有するSiまたは水晶からなる前記水晶振動子20と同一外形寸法のベース40と、からなり、前記水晶振動子20、前記LSI搭載カバー30及び前記ベース40とが、それぞれに設けた電極により電気的に接続されている水晶発振器及び前記水晶発振器をウェハレベルで製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶発振器、とくに水晶振動子とLSI搭載カバーとベースとをウェハレベルで接合して製造した水晶発振器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装用の水晶発振器は、小型かつ軽量であることから、とくに携帯電話に代表されるコンパクトな移動型の電子機器に、周波数や時間の基準源として使用される。
【0003】
例えば、図11に示すように、従来のこの種の水晶発振器1は、積層セラミック板2a〜2dからなる断面が凹状の容器本体2内に少なくともICチップ4をバンプ5を介して容器本体2の内底面に、また、水晶振動子3を導電性接着剤6でセラミック板2bに接着・固定して収容し、金属カバー7を容器本体2の開口端に被せて真空状態で密閉封止する。そして、最下層のセラミック板2dの外底面の四隅部にICチップ4の各IC端子と電気的に接続した電源、出力端子及びアース端子等の実装端子8をそれぞれ設けるようにして構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−288268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の従来の水晶発振器では、小型化、薄型化が要求されているものの、個々のセラミックパッケージ内に水晶振動子とLSI(ICチップ)をそれぞれ搭載してから金属カバー等で密閉封止しているため、このような小型化、薄型化の要求に対応するのに伴う加工や搭載の精度がさらに厳しくなるため、小型化、薄型化が極めて困難になりつつある。
【0006】
また、このような従来の水晶発振器では、水晶振動子とLSIとの電気的接合が、セラミックパッケージ内の積層配線を介して行われるため、セラミックや配線がもつ寄生容量やインダクタンス等が水晶発振器の周波数特性を劣化させる問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記した課題を解決するために、本発明では、水晶発振器の小型化と同時に水晶振動子とLSIとの電気的接合のための配線をできるかぎり短くするために、個片となる多数の水晶振動子とLSI搭載カバーと、ベースとをそれぞれ形成したウェハ同志をウェハ状態のまま接合し、ウェハレベルで、それらの電気的接合を直接行うとともに、同時に水晶振動子とLSIを真空封止する。
【0008】
そのため、本発明の水晶発振器は、方形状の水晶からなる水晶振動子と、該水晶振動子の上側主面に金属膜を介在して積層接合され、かつ、水晶振動子の上側主面に対向する面にLSIを搭載したSiまたは水晶からなる前記水晶振動子と同一外形寸法のLSI搭載カバーと、前記水晶振動子の下側主面に金属膜を介在して積層接合され、かつ、前記水晶振動子の下側主面に対向して形成された凹所を有するSiまたは水晶からなる前記水晶振動子と同一外形寸法のベースと、からなり、前記水晶振動子、前記LSI搭載カバー及び前記ベースとが、それぞれに設けた電極により電気的に接続され、ウェハレベルで積層接合されて製造される。
【0009】
また、本発明の水晶発振器は、前記水晶振動子と、前記LSI搭載カバー及び前記水晶振動子と前記ベースとの間に介在させた金属膜が、同一材料からなる電気的接合用金属膜及び封止用金属膜から構成され、該電気的接合用金属膜が、前記水晶振動子、前記LSI搭載カバー及び前記ベースのフレーム部に、また前記封止用金属膜が、前記フレーム部に成膜して形成される。
【0010】
さらに、本発明の水晶発振器は、前記水晶振動子と前記LSI搭載カバー及び前記水晶振動子と前記ベースとの間に介在させた金属膜が、前記電極と同一の高さとなるよう形成される。
【0011】
さらにまた、本発明の水晶発振器は、前記ベースの裏面に、導電性部分をスパッタリングまたは蒸着等で形成する。
【0012】
また、本発明の水晶発振器は、Siからなる前記ベースの裏面をリンまたはホウ素でドープして導電性部分を形成する。
【0013】
さらに、本発明の水晶発振器は、前記導電性部分の上面に絶縁性薄膜を形成する。
【0014】
また、本発明の水晶発振器の製造方法では、個片となる振動部、電極、電気的接合用金属膜及び封止用金属膜とを両主面に形成した水晶からなる水晶振動子ウェハ、該水晶振動子の上側主面と対向した主面に金属膜を形成し、かつ電極を形成し、電気的接合用金属膜と封止用金属膜とを前記対向した主面に形成したSiまたは水晶からなるLSI形成済ウェハ、ならびに前記水晶振動子の下側主面に対向した主面に凹所及び電極を形成し、さらに電気的接合用金属膜と封止用金属膜とを前記対向した主面に形成したSiまたは水晶からなるベースウェハと、を準備する工程と、前記水晶振動子ウェハの前記上側主面にLSI搭載面を対向させて、前記LSI形成済ウェハを積層し、また、前記水晶振動子ウェハの前記下側主面に前記ベースウェハの前記凹所を形成した面を対向させて積層し、位置合せを行う工程と、積層した前記水晶振動子ウェハ、前記LSI形成済ウェハならびに前記ベースウェハを前記電気的接合用金属膜及び前記封止用金属膜間で接合して電気的接合と真空封止とを同時に行う工程と、積層接合した前記ベースウェハの底面に外部電極を形成する工程と、接合され、かつ、一体化した前記水晶振動子ウェハ、前記LSI形成済ウェハ及び前記ベースウェハとを水晶発振器の各個片に切断する工程と、からなる。
【発明の効果】
【0015】
LSI搭載カバー、水晶振動子及びベースがウェハレベルで一括して製造及び電気的接続・真空封止が同時に行なわれるので、気密封止が維持された小型化・薄型化された水晶発振器が極めて高い生産性で得られる。また、ベースの裏面に形成された導電性部分により、外部ノイズの影響を回避できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の水晶発振器の実施例1の縦断面図である。
【図2】図1に示した本発明の水晶発振器をLSI搭載カバー、水晶振動子及びベースとに分解して見た斜視図である。
【図3】図1に示した本発明の水晶発振器を分解して見た縦断面図である。
【図4】図1に示した本発明の水晶発振器をパッケージに搭載した実施例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の水晶発振器をウェハレベルで接合して製造するのに用いるLSI形成済ウェハ、水晶振動子ウェハ及びベースウェハの斜視概念図である。
【図6】本発明の実施例1の水晶発振器をウェハレベルで接合して製造する方法の工程を示すフローチャートである。
【図7】本発明の水晶発振器において、水晶発振器が、実装基板に配設された電気配線からの外部信号のノイズの影響を受ける状態を示す縦断面図である。
【図8】本発明の実施例2の水晶発振器において、スパッタリングまたは蒸着により導電性薄膜をベースの裏面に形成し、さらに、該導電性薄膜の上面に絶縁膜を形成した水晶発振器の縦断面図を示す。
【図9】本発明の実施例2の水晶発振器において、Siからなるベースの裏面にリンまたはホウ素をドープして導電性部分を形成し、さらに、該導電性部分の上面に絶縁膜を形成した水晶発振器の縦断面図を示す。
【図10】本発明の実施例2の水晶発振器の底面図を示す。
【図11】従来の水晶発振器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の水晶発振器及びその製造方法の実施例について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
水晶発振器
本発明の実施例の水晶発振器1は、図1〜図3に示すように、水晶振動子20、LSI搭載カバー30及びベース40とが上下方向に積層接合されて構成されている。
【0019】
水晶振動子20は、正方形状等の方形状の水晶板から形成され、この水晶板に形成した開口部21と、この開口部21内に水晶板に連接して形成された水晶振動片22とからなり、水晶振動片22の両主面に形成された励振電極23が引出電極24を介してLSI搭載カバー30の端子電極35及びベース40の端子電極42にそれぞれ電気的に接続されている。とくに、本発明の実施例では、水晶振動子20を構成する水晶板の両主面の外枠に接合部材及び電気的接合部材として機能する水晶片(チップ)外周に沿って形成されたフレーム部26,27が、水晶振動片22の両主面に形成された端子電極28,29とほぼ同じ高さになるよう金属膜を成膜して形成されている。
【0020】
また、水晶振動子20の上側主面に積層接合されたLSI搭載カバー30は、水晶振動子20と同一外形寸法をもつSiまたは水晶より形成され、水晶振動子20の上主面と対向する面には、金属膜33が成膜されて、この金属膜33の表面にLSIが搭載されている。LSI搭載カバー30の下側主面の外枠部(外縁)には、水晶振動子20に形成したフレーム部26に対向して接合された金属膜からなるフレーム部34と、このフレーム部34とほぼ同じ高さをもつ端子電極35が形成されて気密封止されるとともに、直接、電気的な導通が取られている。
【0021】
さらに、ベース40は、水晶振動子20の下側主面に積層接合され、水晶振動子20と同一の外形寸法をもつSiウェハまたは水晶ウェハから形成されている。このベース40の水晶振動子20の下側主面と対向する面には所定深さのキャビティ(凹所)41が形成されるとともに、水晶振動子20の下側主面に形成されたフレーム部27と対向して接合される枠状の金属膜からなるフレーム部44が形成されている。さらに、ベース40の上側主面には、フレーム部44とほぼ同一高さの端子電極42が設けられていて、ベース40に形成されたビアホールに設けられた貫通電極42aを介して実装端子43に電気的に接続されている。
【0022】
本発明の実施例の水晶発振器では、水晶振動子を形成する水晶ウェハに個片となる多数の水晶振動片が形成されているとともに、水晶振動子の上側主面との対向面に、水晶振動片に対応する積層したLSI搭載カバー自体にLSIが搭載されているのに加えて、ベースの上側主面にキャビティ(凹所)が設けられているので、水晶振動子の振動を妨げることなく、小型化、薄型化した水晶発振器を構成できるようになる。
【0023】
また、本発明の水晶発振器の実施例1の変形例として、図4に示すように、LSI搭載カバー30のみを水晶振動子20に接合し、これらをセラミック等からなるパッケージ50内にベース40を介在せずに搭載し、パッケージ50の底面の四隅に設けた実装端子51に貫通電極52を介して電気的に接続するとともに、金属カバー60を被せて水晶発振器1aを構成して、本発明の水晶発振器を従来品と同一寸法の製品に実装できるようにしてもよい。
【0024】
水晶発振器の製造方法
次に本発明の実施例1の水晶発振器の製造方法を図5及び図6について説明する。
【0025】
まず、図5は、複数の水晶振動片が形成された水晶振動子ウェハ200と、複数のLSIが搭載されたLSI形成済ウェハ300と、凹部、ビアホール等が形成されたベースウェハ400とを積層して接合する前の状態を概念的に示す斜視図であって、これらを接合して、ウェハレベルで個片に切断する前の多数の水晶発振器を一括して製造する。
【0026】
そこで、図6に基づいて、本発明の水晶発振器の製造に用いる水晶振動子ウェハ200、LSI形成済ウェハ300及びベースウェハ400それぞれの接合前の製造工程をそれぞれについて説明する。
【0027】
まず、図6の中央部に示すように、個片に切断後、多数の水晶振動片となる水晶振動子ウェハ200を準備し(S10)、エッチング等により多数の個片の振動部、開口部及び貫通電極等を形成するビアホール等を加工する(S11,S12)。そして、加工したビアホール等にメッキ等により端子・貫通電極を形成するとともに、蒸着・スパッタリング等により水晶振動片の振動部に励振・引出電極を形成する(S13)。次いで、先に形成した個片の各振動部の開口部を囲むフレーム部に、後工程でLSI形成済ウェハ300及びベースウェハ400と電気的接合をとるための所定厚みの金属膜を、水晶振動片にした際外周部分となる範囲に、スパッタリング、蒸着、メッキ等により、成膜して形成する(S14)。この金属膜の材料としては、Au、Cu、Al等が適当であるとともに、十分な電気的接合がとれる寸法とする。次いで、真空封止のためのシール(封止)用金属膜26,27を各水晶振動片の外周部に沿って、その両主面に、電気的に接合する電極部と同一の高さになるように、成膜して形成する(S15)。このシール用金属膜(フレーム部)26,27は、先の電気的接合(S14)に用いた金属膜と同一の材料及び成膜方法による。また、シール用金属膜の厚さは、Siまたは水晶ウェハからなるLSI形成済ウェハ及びベースウェハとの接合時の“そり”を十分吸収できる寸法とする。
【0028】
次いで、図6の左側に示すように、Siまたは水晶からなる個片に切断後、LSI搭載カバーを構成するLSI形成済ウェハ300を準備し(S30)、その下側主面に蒸着、スパッタリング等により金属膜を成膜して形成し(S31)、かつ、所定の端子電極を形成する(S32)。その後、前述した水晶ウェハと同様に、個片のLSI搭載カバーとなるLSI形成済ウェハ300のウェハ部分の下側を囲むフレーム部に、水晶ウェハに成膜した金属膜と同一材料及び成膜方法により電気的接合用金属膜の形成(S33)及び封止(シール)用金属膜の形成を行う(S34)。
【0029】
最後に、図6の右側に示すように、Siまたは水晶あるいはセラミックから構成された個片に切断後、ベースとなるベースウェハ400を準備し(S40)、ウェットエッチング等により個片となる各ベースの一方(水晶振動子ウェハ200の下側主面に対向した面)の主面中央にキャビティ(凹所)を形成する(S41)。次いで、エッチング等により各個片ベースに相当する部分にビアホールを形成して(S42)、メッキ等により貫通電極42a及び貫通電極の上端に端子電極42を成形する(S43)。その後、水晶振動子ウェハと同様の材料及び成膜方法により個片となるベースのフレーム部に電気的接合用の金属膜44を成膜して形成し(S44)、さらに、個片となるベースの外周部に封止用金属膜を電気的接合用金属膜44及び端子電極42と同じ高さに成膜して形成する(S45)。
【0030】
前述のようにして、水晶振動子ウェハ200、LSI形成済ウェハ300及びベースウェハ400に所定の加工を施した後、水晶振動子を形成したウェハ、LSIを搭載したウェハ及びベースウェハをウェハレベルで直接積層接合し、電気的接合と真空封止とをウェハレベルで同時に行うようにする。
【0031】
すなわち、図6の中央下側部に示すように、LSIが搭載されたLSI形成済ウェハ300と水晶振動子ウェハ200とベースウェハ400とを水晶振動子ウェハ200を間に挟みこむように積層して位置合せ(アライメント)をまず行う(S16)。次いで、熱間圧接、共晶接合、表面活性化接合、陽極接合等の技法により、上述した3個のウェハをウェハレベルで接合して一体化し、電気的接合と真空封止とを同時に行う(S17)。この接合により、水晶振動子、LSI及びベースの直接的な電気的導通が可能になる。とくに、貫通電極により直接、水晶振動子とLSIが電気的に接続されるため、極めて良好な周波数特性が得られるようになる。次いで、積層したベースウェハ400の底面に形成された各個片に相当する部分の四隅に実装用の外部電極43をそれぞれ形成し(S18)、個々の水晶発振器の周波数を調整した後(S19)、積層接合した3枚のウェハをダイシングソー等により水晶発振器の個片に切断し(S20)、出荷する。
【0032】
これにより、LSI搭載カバー30、水晶振動子20及びベース40間の電気的導通をすべてウェハレベル接合で行うとともに、気密封止が維持され、かつ、小型化・薄型化された水晶発振器が極めて高い生産性を保って得られるようになる。
【実施例2】
【0033】
水晶発振器
前述した実施例1の水晶発振器によれば、気密封止が十分維持され、かつ、小型化・薄型化された水晶発振器が極めて高い生産性を保って得られる。しかし、本発明のように、水晶発振器1のベース40に半導体材料であるSiウェハを用いる場合、図7に示すように、水晶発振器1を基板50に実装・搭載後に、特に水晶発振器(デバイス)1の真下に別信号配線50aがあると、デバイス自体が外部ノイズの影響を受けるおそれがある。
【0034】
そこで、このような問題点を解決するために、本発明の実施例2の水晶発振器では、ベース(ベース基板)40の下部に導電性を有する個所を形成して、ベース40の裏面に配設された実装端子43(IN,OUT,DC)の電位を実装端子43(GND)の電位にする。
【0035】
すなわち、水晶発振器の小型化・薄型化とともに、水晶発振器が実装・搭載される基板(例えば、プリント基板)においても、高密度の実装がなされており、そのため配線の引き回しスペースとして、水晶発振器の電極端子間を跨いで通し配線されることが多い。しかし、ベース(ベース基板)に、本発明のように、Siウェハを用いると、水晶発振器の下に設けられた電気配線からの外部信号のノイズを水晶発振器が拾ってしまうおそれがある。
【0036】
そこで、本実施例2の水晶発振器1では、図10に示すベース40の裏面40aの実装端子(パッド)43間の中央領域に、図8に示すように、例えば、Cr、Au、Ni、Al等の導電性の、例えば、1μm以下の薄膜51aをスパッタリングあるいは蒸着により形成する。
【0037】
あるいは、図9に示すように、前記中央領域に相当するSiで形成されているベース40の裏面の部分にリン(P)またはホウ素(B)を適量ドープしてドープ部(導電性部分)51bを形成して、導電性を向上させる。
【0038】
そして、それらの導電性部分51a,51bをベース40の裏面40aに設けた実装端子43のGND端子に直接配線43bして、GNDの電位を落して、水晶発振器1が基板(搭載基板)50に設けられた電気配線からのノイズをキャンセルし、その影響を受け難くする。併せて、放熱効果も奏するようになる。
【0039】
さらに、水晶発振器1を搭載する基板50に設けられた電気配線とのショート(短絡)を防止するために、前記した導電性部分51a,51bの上面に、図8〜図10に示すように、例えば、ポリイミド樹脂等を塗布して絶縁性の膜(絶縁膜)52a,52bを形成する。
【0040】
水晶発振器の製造方法
次に、本発明の実施例2の水晶発振器の製造方法を図6について説明する。
【0041】
まず、図6に示す前出実施例1の水晶発振器の製造方法の工程S18(外部電極形成)の工程で、スパッタリング、蒸着により、または工程S17(接合・封止)と工程18(外部電極形成)との間にリン(P)、ボロン(B)等の不純物ドープにより、ベース40の裏面40aに導電性部分(導電性薄膜51a、P−Bドープ部52b)を形成する。次いで、これらの形成した導電性部分51a,51bの上面に、ポリイミド樹脂等を塗布して絶縁性の膜(絶縁膜)52a,52bを形成する。
【符号の説明】
【0042】
1 水晶発振器
2 実装基板(パッケージ)
3 水晶振動子
4 ICチップ
5 バンプ
6 導電性接着剤
7 金属カバー
8 実装端子
20 水晶振動子
21 開口部
22 水晶振動片
23 励振電極
24 引出電極
25 端子電極
26 フレーム部
27 フレーム部
28 端子電極
28a 貫通電極
29 端子電極
30 LSI搭載カバー
33 金属膜(LSI用)
34 フレーム部
35 端子電極
40 ベース
41 キャビティ(凹所)
42 端子電極
42a 貫通電極
43 実装端子
44 フレーム部
50 パッケージ(容器本体)
51 実装端子
51a,51b 導電性部分
52a,52b 絶縁膜
52 貫通電極
60 金属カバー
200 水晶振動子ウェハ
300 LSI形成済ウェハ
400 ベースウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形状の水晶からなる水晶振動子と、該水晶振動子の上側主面に金属膜を介在して積層接合され、かつ、水晶振動子の上側主面に対向する面にLSIを搭載したSiまたは水晶からなる前記水晶振動子と同一外形寸法のLSI搭載カバーと、前記水晶振動子の下側主面に金属膜を介在して積層接合され、かつ、前記水晶振動子の下側主面に対向して形成された凹所を有するSiまたは水晶からなる前記水晶振動子と同一外形寸法のベースと、からなり、前記水晶振動子、前記LSI搭載カバー及び前記ベースとが、それぞれに設けた電極により電気的に接続されているウェハレベルで積層接合して製造したことを特徴とする水晶発振器。
【請求項2】
前記水晶振動子と、前記LSI搭載カバー及び前記水晶振動子と前記ベースとの間に介在させた金属膜が、同一材料からなる電気的接合用金属膜及び封止用金属膜から構成され、該電気的接合用金属膜が、前記水晶振動子、前記LSI搭載カバー及び前記ベースのフレーム部に、また前記封止用金属膜が、前記フレーム部の外周部に成膜して形成されることを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項3】
前記水晶振動子と前記LSI搭載カバー及び前記水晶振動子と前記ベースとの間に介在させた金属膜が、前記電極と同一の高さとなるよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項4】
前記ベースの裏面に導電性部分をスパッタリングまたは蒸着等で形成したことを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項5】
Siからなる前記ベースの裏面にリンまたはホウ素をドープして導電性部分を形成したことを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項6】
前記導電性部分の上面に絶縁性薄膜を形成したことを特徴とする請求項4または5に記載の水晶発振器。
【請求項7】
個片となる振動部、電極、電気的接合用金属膜及び封止用金属膜とを両主面に形成した水晶からなる水晶振動子ウェハ、該水晶振動子の上側主面と対向した主面に金属膜を形成し、LSIを搭載し、かつ、電気的接合用金属膜と封止用金属膜とを前記対向した主面に形成したSiまたは水晶からなるLSI形成済ウェハ、ならびに前記水晶振動子の下側主面に対向した主面に凹所及び電極を形成し、さらに電気的接合用金属膜と封止用金属膜とを前記対向した主面に形成したSiまたは水晶からなるベースウェハと、を準備する工程と、
前記水晶振動子ウェハの前記上側主面にLSI搭載面を対向させて、前記LSI形成済ウェハを積層し、また、前記水晶振動子ウェハの前記下側主面に前記ベースウェハの前記凹所を形成した面を対向させて積層し、位置合せを行う工程と、
積層した前記水晶振動子ウェハ、前記LSI形成済ウェハならびに前記ベースウェハを前記電気的接合用金属膜及び前記封止用金属膜間で接合して電気的接合と真空封止とを同時に行う工程と、
積層接合した前記ベースウェハの底面に外部電極を形成する工程と、
接合され、かつ、一体化した前記水晶振動子ウェハ、前記LSI形成済ウェハ及び前記ベースウェハとを各個片に切断する工程と、
からなることを特徴とする水晶発振器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−50057(P2012−50057A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−433(P2011−433)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】