説明

水栓装置における蓋体の取付構造及び取付方法

【課題】ケース付シャワー装置のケースの部分開口を開閉する蓋体を専用の工具を用いることなく素手で簡単に脱着でき、且つ取付状態において蓋体を強固に固定状態とできる蓋体の取付構造を提供する。
【解決手段】蓋体62の裏面の上部には上向きの引掛部252を、裏面の下部には下向きの引掛部250をそれぞれ設けるとともに、ケース12には支持棒284と、これを上向きに付勢するコイルばねとを設ける。そして下向きの引掛部250を支持棒284に引掛けて蓋体62を支持棒284にて支持させるとともに、コイルばねによる上向きの付勢力にて蓋体62の上端を部分開口64の上側の内端縁に当接させ、また上向きの引掛部252を部分開口64周りの壁部の裏側に引掛ける状態に蓋体62を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケース付きの水栓装置におけるケースの部分開口を開閉する蓋体の取付構造及び取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースの内部に水栓機構部を収納した形態の水栓装置が公知である。
例えば下記特許文献1にこの種の水栓装置が開示されている。
図27はその具体例を示している。
この図27に示したものは水栓装置をシャワー装置として構成した場合の例で、図中400はシャワー装置401における縦長の箱体状をなすケースで、壁W側の後側のケース本体402と前面カバー404とを有しており、その後側のケース本体402において壁Wに取付固定されている。
ケース本体402は後壁402Aと一対の側壁402Bとを有していて、室内側の前面が開放された形態をなしており、そしてその前面の開放部が前面カバー404にて閉鎖されている。
【0003】
このシャワー装置では、前面カバー404の上端部にオーバーヘッドシャワー吐水部406が設けられ、また上下の中間部にボデーシャワー吐水部408が、更に下端部に吐水管410が設けられており、更にボデーシャワー吐水部408の下側に、オーバーヘッドシャワー吐水部406とボデーシャワー吐水部408と吐水管410との間で吐水を切替操作する切替操作部412が設けられている。
【0004】
またケース400の内部には、湯水の混合バルブを有する水栓本体414及び切替バルブ416を含む水栓機構部418を内部配管とともに有する内部機能部419が収納されている。
尚、切替バルブ416には上記の切替操作部412が備えられ、この切替操作部420が前面カバー404の開口422から室内側に突出せしめられている。
【0005】
この他に、図28に示すようなシャワー装置が下記特許文献2に開示されている。
図において、428はシャワー装置401における壁面W側の後面が開放された箱体状をなすケースで、その上部にオーバーヘッドシャワー吐水部(第1シャワー)432が、またその下側に可撓性のシャワーホース434に繋がれたハンドシャワー吐水部(第3シャワー)436が、またカウンター430に別の第2のシャワー吐水部438が設けられている。
【0006】
またケース428の前面には、オーバーヘッドシャワー吐水部432からのシャワー吐水と第2のシャワー吐水部438からのシャワー吐水とを切替操作する操作部440,ハンドシャワー吐水部436からの吐水と止水とを行うための操作部441,更に温度調節操作のための操作部443とが設けられている。
またケース428の内部には、温度調節を行う湯水の混合バルブ442,吐止水を行う吐止水バルブ(切替バルブ)444,シャワー吐水の切替えを行う切替バルブ446が配管とともに内部機能部419として収納されている。
【0007】
ところで、ケース付きの水栓装置をこれらに示すようなシャワー装置として構成すると否とを問わず、かかるケース付きの水栓装置においては、給水元管,給湯元管とケース内部の内部部材との接続部,その接続部近くに設けてある止水栓の操作或いは寒冷地等においては水抜きのための操作、その他給水元管,給湯元管と内部部材との接続部からの水漏れや故障の修理等のメンテナンスを行うための部分開口をケースに設けておき、そこを点検口として内部のメンテナンスをできるようにしておくことが望ましい(因みに図27及び図28に示すシャワー装置ではそうした部分開口即ち点検口は設けられていない)。
【0008】
而してこのように部分開口を設けて、これを脱着可能な蓋体で閉鎖するようになした場合、その蓋体は特別の工具を使うことなく素手で簡単に脱着できるようにしておくことが望ましい。
その一方で、取り付けた蓋体はしっかりと固定されており、水栓装置の使用中に周辺の部材が蓋体に当って干渉し、蓋体に不意の外力が加わることがあっても、かかる蓋体が外れてしまわないようにしておくことが望ましい。
【0009】
特に図28の装置のように、ハンドシャワー吐水部436を備え、そのハンドシャワー吐水部436に対してケース428から延び出した可撓性のシャワーホース434が接続されているような場合、ハンドシャワー吐水部436をシャワーフックから取り外して使用したりするときに、シャワーホース434が蓋体に引掛かってしまう恐れがあり、そうしたときにホース434によって蓋体が取付位置から外れてしまわないようにしておくことが必要である。
【0010】
尚、本発明に関連する先行技術として他に下記特許文献3,特許文献4に開示されたものがある。
しかしながらこれら特許文献3,特許文献4に開示のものは、浴槽の点検口の蓋体の取付構造,浴室の洗い場カウンターにおける点検口の蓋体の取付構造に関するもので、本発明とは対象が異なっており、また蓋体の取付構造においても本発明とは異なった別異のものである。
【0011】
【特許文献1】特開2006−310号公報
【特許文献2】特開2006−112180号公報
【特許文献3】実開昭62−102479号公報
【特許文献4】実開平5−11889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような事情を背景とし、専用の工具を用いることなく素手で簡単に蓋体の脱着を行うことができ、且つ取付状態において周辺の部材が蓋体に当る等して不意の外力が加わっても、蓋体が取付位置から外れる恐れのない、部分開口を開閉する蓋体の取付構造及び取付方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1は蓋体の取付構造に関するもので、ケース付きの水栓装置の該ケースの部分開口を開閉する蓋体を脱着可能に取り付ける蓋体の取付構造であって、前記蓋体の裏面の上部には上向きの引掛部を、該裏面の下部には下向きの引掛部をそれぞれ設けるとともに、該ケースには前記蓋体を下側から支持し且つ前記下向きの引掛部を引掛ける支持棒を上下に移動可能に横設するとともに、該支持棒を上向きに付勢する弾性部材を設け、前記蓋体の下向きの引掛部を該支持棒に前後方向に位置固定に引掛けて該蓋体を該支持棒にて支持させるとともに、前記弾性部材にて該蓋体を該支持棒とともに上向きに付勢し、該蓋体の上端を前記部分開口における上側の内端縁に上向きに当接させるとともに、前記上向きの引掛部を該部分開口の上側で該部分開口周りの壁部の裏側に前後方向に位置固定に引掛ける状態に該蓋体を取り付けてあることを特徴とする。
【0014】
請求項2のものは、請求項1において、前記水栓装置が、前記ケースの内部に水栓機構部を収納した縦長のシャワー装置であって、前記ケースが、後壁と一対の側壁とを有し前面が室内側に向って開放されたケース本体と、該ケース本体の前面の開放部を閉じる、該ケース本体に対して熱膨張の大きい樹脂製の前面カバーとを有する縦長形状のものであり、前記前面カバーは、下端を含む下部が上側のカバー本体とは別体とされていて、該下部が前記蓋体として構成してあって該蓋体の脱着により前記部分開口が開閉されるようになしてあり、且つ前記カバー本体は前記部分開口に対して上側の壁部となる下端部分が該カバー本体の温度変化による伸縮によって上下に移動可能に前記ケース本体に取り付けてあることを特徴とする。
【0015】
請求項3のものは、請求項2において、前記ケースからは可撓性のシャワーホースが延び出していて、該シャワーホースの先端部にハンドシャワー吐水部が接続されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記弾性部材がコイルばねであることを特徴とする。
【0017】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記蓋体の取付状態の下で前記支持棒の下向きの移動を、前記壁部の裏側に引掛かった状態の前記上向きの引掛部が該壁部から外れない範囲内に規制する規制部材を前記ケースに脱着可能に設けてあることを特徴とする。
【0018】
請求項6のものは、請求項5において、前記規制部材が、前記ケースの底壁の下側から該底壁を貫通して上向きにねじ込まれ、該底壁から上向きに突出したストッパ部を前記支持棒に対して該支持棒に固定の部材を介し間接に若しくは直接に当接させることによって、該支持棒の移動を規制するストッパボルトであることを特徴とする。
【0019】
請求項7は蓋体の取付方法に関するもので、この取付方法は、ケース付きの水栓装置の該ケースの部分開口を開閉する蓋体を脱着可能に取り付ける蓋体の取付方法であって、前記蓋体の裏面の上部には上向きの引掛部を、該裏面の下部には下向きの引掛部をそれぞれ設けるとともに、該ケースには前記蓋体を下側から支持し且つ前記下向きの引掛部を引掛ける支持棒を上下に移動可能に横設するとともに、該支持棒を上向きに付勢する弾性部材を設け、前記下向きの引掛部を該支持棒に前後方向に位置固定に引掛けた状態で前記弾性部材を弾性変形させつつ前記蓋体を該支持棒とともに下向きに押し下げ、しかる後該蓋体の上端を前記部分開口における上側の内端縁に対して上向きに対向させた状態で下向きの押下力を除き、前記弾性部材の付勢力で該蓋体の上端を該内端縁に当接させ、且つ前記上向きの引掛部を前記部分開口の上側で該部分開口周りの壁部の裏側に前後方向に位置固定に引掛ける状態に該蓋体を取り付けることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0020】
以上のように請求項1のものは、蓋体の裏面の上部と下部とにそれぞれ上向き及び下向きの引掛部を設けるとともに、ケースには蓋体を下側から支持し且つ下向きの引掛部を引掛ける支持棒を上下に移動可能に横設するとともに、支持棒を上向きに付勢する弾性部材を設け、蓋体の下向きの引掛部を支持棒に前後方向(蓋体の裏面と直角方向)に位置固定に引掛けて蓋体を支持させるとともに、弾性部材にて蓋体全体を支持棒を介して上向きに付勢し、そのことによって蓋体の上端を部分開口における上側の内端縁に上向きに当接させるとともに、上向きの引掛部を部分開口の上側で、部分開口周りの壁部の裏側に前後方向に位置固定に引掛ける状態に蓋体を取り付けるようになしたものである。
【0021】
かかる請求項1の取付構造では、蓋体の上部の上向きの引掛部と下部の下向きの引掛部とが相手側に掛止した状態に蓋体が取り付けられるため、蓋体が強固に固定状態となり、従って水栓装置の使用中に蓋体に使用者の身体や物品が当る等して、蓋体に不意の外力が加わるようなことがあっても、蓋体がその不意の外力によって外れてしまう恐れがなく、蓋体をしっかりと固定状態に保持することができる。
【0022】
一方でこの請求項1の取付構造では、蓋体の下部の下向きの引掛部を支持棒に引掛けた上、支持棒を介して弾性部材を弾性変形させることで、簡単に部分開口を閉鎖させる状態に蓋体を取り付けることができ、或いはその取付状態の下で弾性部材を弾性変形させるように下向きに押し下げることで、簡単に蓋体を取り外すことができ、従ってこの請求項1によれば、素手で簡単に蓋体を着脱操作することができる。
【0023】
また取付状態においては、弾性部材の上向きの付勢力によって蓋体の上端を部分開口における上側の内端縁に当接させ、それらを密着状態に保持しておくことができ、それら蓋体の上端と部分開口における上側の内端縁との間に隙間が生じてしまうのを防止することができる。
即ち蓋体によって部分開口を良好に閉鎖した状態となしておくことができる。
【0024】
加えてこの請求項1の取付構造では、蓋体の下部の引掛部を支持棒に引掛けて外れ防止するようになしていることから、部分開口の下側に、引掛部を引掛けるための壁部が存在していないような場合においても、良好に蓋体を強固な取付状態で取り付けることが可能となる。
【0025】
更に弾性部材の付勢力を支持棒を介して蓋体に加えるようになしているため、蓋体自体に弾性部材の付勢力を受ける受部を特に設けておかなくてもよく、蓋体の構造を簡単化でき且つこれを薄く構成しておくことができる。
ここで蓋体は、取付状態で蓋体の奥側に配置したケースの当接部に後方向に当接させるようになしておくことができる。
【0026】
次に請求項2は、水栓装置を縦長のシャワー装置としてそのケースを、ケース本体とその前面の開放部を閉じる樹脂製の前面カバーとで構成し、そしてその前面カバーの下部を上側のカバー本体と別体となして、その下部を上記蓋体として構成したもので、このようにした場合、ケース付きの水栓装置の美観を良好とし、意匠性を高めることができる。
【0027】
一方でその前面カバーを樹脂製としておくことにより、かかる樹脂製の前面カバーが温度変化によって上下方向に大きく熱膨張、収縮し易い問題を生ずる。
この場合、前面カバーを上下方向に伸縮可能に設けておくことで、温度変化により前面カバーに歪みが発生して前面カバーが変形してしまうのを防止することができる。
【0028】
一方でそのようにした場合、部分開口を閉鎖する蓋体を上下方向に位置固定状態に取り付けておくと、前面カバーの上下方向の伸縮によって、詳しくは部分開口の上側のカバー本体における下端部分が上下に移動することによって、蓋体の上端と部分開口における上側の内端縁との間に隙間が生じたり、或いは蓋体に対して下向きに無理な力が加わってしまう。
【0029】
しかるにこの請求項2では、蓋体が上下に移動可能で且つ弾性部材にて上向きに付勢されているため、カバー本体における下端部分の上下移動に追従して蓋体がこれと一体に移動することができ、従ってカバー本体における下端部分の上向きの移動によって、蓋体と部分開口における上側の内端縁との間に隙間を生ぜしめることがない。
【0030】
また逆にカバー本体の下端部分、詳しくは部分開口における上側の内端縁が、カバー本体の伸張により下向きに移動したときには、蓋体が弾性部材を弾性変形させながらこれに追従して下向きに一体に移動するため、蓋体に対して無理な力が加わって蓋体に大きな負荷がかかってしまうこともない。
【0031】
この結果、蓋体とその上側のカバー本体とで構成される前面カバーは、一体外観状態を保ちつつ温度変化に伴って上下方向に伸縮することができ、かかる温度変化に拘らずケースの前面の美観を良好に保持することができる。
【0032】
上記請求項2のシャワー装置は、ハンドシャワー吐水部を備えたものとなしておくことができる。即ちケースから可撓性のシャワーホースが延び出して、その先端部にハンドシャワー吐水部が接続された形態のものとなしておくことができる(請求項3)。
【0033】
このようなハンドシャワー吐水部を備えたシャワー装置即ち水栓装置にあっては、ハンドシャワー吐水部を使用する際に可撓性のシャワーホースが蓋体に引掛かってしまう恐れがあり、そしてそのことによって蓋体を外す方向に力が働いてしまう恐れがある。
しかるに本発明の取付構造では、蓋体が上部の引掛部と下部の引掛部とでしっかりと強固に取り付けられているため、このような場合においても蓋体が外れてしまうのを防止することができる。
【0034】
本発明では、上記弾性部材をコイルばねとなしておくことができる(請求項4)。
弾性部材としてこのようなコイルばねを用いた場合、コイルばねを大きく撓ませることができるため、上部の引掛部及び下部の引掛部の相手側への引掛長さを長くとることが可能となり、そのことによって蓋体の取付強度をより高強度となすことができる。
しかもそのようになした場合においても、コイルばねを大きく撓ませることができるため、蓋体の脱着を簡単に行うことができる。
【0035】
ところで上記ケース付きの水栓装置を公共施設に設置した場合、蓋体の取外しが簡単に行えることによって、取付状態の蓋体が悪戯によって取り外され、持ち去られてしまう恐れが生ずる。
ここにおいて請求項5は、蓋体の取付状態の下で上記支持棒の下向きの移動を、上記の壁部の裏側に引掛かった状態の上向きの引掛部が、その壁部から外れない範囲内に規制する規制部材をケースに脱着可能に設けたもので、このようにしておけば、規制部材を取り付けておくことで、悪戯によって蓋体が取り外されるのを有効に防止することができ、従って蓋体が持ち去られてしまうといった恐れを無くすことができる。
尚この規制部材は脱着可能なもので、蓋体を取り外す必要が生じたとき、この規制部材を取り外しておくことによって、蓋体を支障なく且つ簡単に取り外すことができる。
【0036】
ここで上記規制部材は、ケースの底壁の下側から底壁を貫通して上向きにねじ込まれ、底壁から上向きに突出したストッパ部を支持棒に対し間接に若しくは直接に当接させることによって、支持棒の移動を規制するストッパボルトにて構成しておくことができる(請求項6)。
このようにすることで規制部材を簡単に設けることができ、また必要が生じたときには簡単にこれを取り外すことができる。
【0037】
次に請求項7は蓋体の取付方法に関するもので、この取付方法では、蓋体の下向きの引掛部を支持棒に引掛けた状態で、弾性部材を弾性変形させつつ支持棒とともに下向きに押し下げ、しかる後蓋体の上端を部分開口における上側の内端縁に対向させた状態で下向きの押下力を除き、弾性部材の付勢力で蓋体の上端をその内端縁に当接させ、且つ上向きの引掛部を部分開口の上側で部分開口周りの壁部の裏側に引掛ける状態に蓋体を取り付ける。
この取付方法によれば、極めて簡単に部分開口を閉鎖する状態に蓋体を取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1及び図2において、10はケース付きの縦長の塔状のシャワー装置(水栓装置)で、図2に示しているように浴室の壁面Wに接する状態に浴室内に設置されている。
この実施形態において、シャワー装置10は縦長の箱体状のケース12を有している。
【0039】
ケース12は、図3及び図11に示しているように壁面W側のケース本体14と前面カバー16とを有している。
壁面W側の後側のケース本体14は、後壁14Aと左右一対の側壁14Bとを有する、横断面形状がコ字形状の部材(ここでは金属製)で、前面が室内側に向って開放されており、その前面の開放部が樹脂製(ここではアクリル樹脂製)の前面カバー16にて閉じられている。
【0040】
ケース12は、その下端から上端までの上下方向寸法が約1700mmの上下に長いものであり、その下端が図2に示すように床面から所定距離上方に位置する状態で壁面Wに固定されている。従ってケース12の上端は床面からの高さが1700mmよりも高位置、即ち浴室の天井に近い位置に位置している。
【0041】
このシャワー装置10では、前面カバー16の上端部にオーバーヘッドシャワー吐水部18が、また上端と下端との間の上下中間部にはボデーシャワー吐水部20がそれぞれケース12外に露出する状態で設けられ、更にケース12の下面には吐水管(カラン)22が水平方向に回転可能に設けられている。
またケース12の図中左側の側方には、ハンドシャワー吐水部24が同じくケース12外に露出する状態で配置され、かかるハンドシャワー吐水部24が、可撓性のシャワーホース26にてケース12の内側の後述の内部機能部78に、回転可能なエルボ状の継手42を介して接続されている。
【0042】
ここでボデーシャワー吐水部20は左右に2列に、且つ上下方向に5個所、全体として10個所に設けられている。
詳しくはこのボデーシャワー吐水部20は、最上部のボデーシャワー吐水部20A-1,20B-1とその下側のボデーシャワー吐水部20A-2,20B-2、更にその下側のボデーシャワー吐水部20A-3,20B-3,更にその下側のボデーシャワー吐水部20A-4,20B-4及び最下部のボデーシャワー吐水部20A-5,20B-5から成っている。
【0043】
本実施形態において、ボデーシャワー吐水部20は、使用者の頭部より低い位置でシャワーをミスト状に使用者のボデーに向って前方に噴射するもので、このうちボデーシャワー吐水部20A-1,20B-1は、使用者の胸部にミスト状のシャワー(ミストシャワー)を噴射する。
またボデーシャワー吐水部20A-2〜20A-4,20B-2〜20B-4は、使用者の腰部を中心として上下の所定範囲に亘ってミストシャワーを噴射するもので、このうちボデーシャワー吐水部20A-2,20B-2は使用者のみぞおちを中心としてその周辺に、ボデーシャワー吐水部20A-3,20B-3は使用者の丁度腰を中心としてその周辺に、更にボデーシャワー吐水部20A-4,20B-4は使用者の太ももを中心としてその周辺にミストシャワーをそれぞれ噴射する。
また最下部のボデーシャワー吐水部20A-5,20B-5は使用者の足元近くにミストシャワーを噴射する。
各ボデーシャワー吐水部20A-1〜20A-5及び20B-1〜20B-5の高さが、それぞれそのように定められている。
【0044】
一方オーバーヘッドシャワー吐水部18は、使用者に向けて頭上から下向きにシャワー水(ここではミスト状ではない)を噴射するもので、図2に示しているようにケース12における前面カバー16から前方にほぼ水平に延び出したパイプ30と、パイプ30の先端部に取り付けられた円盤状の散水板を有しており、その散水板に分散状に設けられた多数のシャワー孔32から下向きにシャワー水を噴射する。
【0045】
他方、吐水管22は主として使用者が洗い場に座った状態で使用するもので、先端に吐水口34を有し、この吐水口34から吐水を1本の直流束で下向きに吐出する。
【0046】
上記ハンドシャワー吐水部24は、図1に示しているようにグリップ36とヘッド38とを有しており、そのヘッド38には散水板が設けられていて、その散水板に多数のシャワー孔40が分散状に設けられ、それらシャワー孔40からシャワー水を噴射する。
ここでハンドシャワー吐水部24は、ケース12の図中左側面に突出状態に設けられたシャワーフック28によって脱着可能に掛止されている。
【0047】
前面カバー16にはまた、図1に示しているように縦一列に合計4つの操作部が設けられている。
詳しくは、上から順にオーバーヘッドシャワー吐水部18用の操作部44,ボデーシャワー吐水部20用の操作部46,混合水の温度調節用の操作部48、及び吐水管22とハンドシャワー吐水部24とで吐水を切り替えるための操作部50が縦一列に設けられている。
これら回転ハンドル式の各操作部44,46,48,50には、それぞれ外周面から径方向外方に突出した指示部52,54,56,58が設けられており、それら指示部52,54,56,58が操作部周りの表示部のどの位置に位置しているかによって、現在の操作状態が分るようになしてある。
【0048】
ここでオーバーヘッドシャワー吐水部18用の操作部44は、シャワー吐水状態と止水状態及び中間の温度確認位置との3位置に切替操作可能である。
同様にボデーシャワー吐水部20用の操作部46もまた、止水位置とシャワー吐水位置と中間の温度確認位置との3位置に切替操作可能である。更に吐水管22とハンドシャワー吐水部24からの吐水を切替操作する操作部50は、図1に示しているように止水状態と吐水管22からの吐水、ハンドシャワー吐水部24からのシャワー吐水の3位置に切替操作可能である。
尚操作部44,46,50は、それぞれ回転角度に応じて流量を変化させることのできる流調操作部も兼ねている。
【0049】
図1〜図3に示しているように、前面カバー16はその下端側の一部が、前面カバー16の大部分をなすカバー本体60と別体且つ脱着可能な蓋体62とされており、この蓋体62が取り外されることで前面に部分開口64が形成されるようになっている。
また前面カバー16詳しくはカバー本体60には、図2及び図3に示しているように操作部44,46,50に対応した遊嵌孔としての円形の貫通の挿通孔68,70,74、及び操作部48に対応した非遊嵌孔としての円形の貫通の挿通孔72が縦一列に設けられており、更にボデーシャワー吐水部20A-1,20A-2,20A-3,20A-4,20A-5及び20B-1,20B-2,20B-3,20B-4,20B-5にそれぞれ対応した遊嵌孔としての貫通の円形の挿通孔66A-1,66A-2,66A-3,66A-4,66A-5及び66B-1,66B-2,66B-3,66B-4,66B-5がそれぞれ設けられている。
【0050】
尚この前面カバー16と対をなす後側のケース本体14には、図3,図8,図9,図11に示しているように一対の側壁14Bに沿って縦方向に連続した内向きの鍔状部80が設けられている。
また図3に示しているように後壁14Aの上部、詳しくは後述の水栓機構部76よりも上側の上部において、一対の掛止開口82,84が後壁14Aを前後方向に貫通する状態で上,下に部分的に設けられている。更に後壁14Aの下端部には貫通の開口86が設けられている。
【0051】
これら前面カバー16とケース本体14とを有するケース12の内部には、水栓機構部76を有する内部機能部78が収納されている。
ここで内部機能部78は、後述の取付ブラケット98,100,104とともに予め組み付けられ、1つのユニットとして、予備組付状態でケース12の内部に納められてケース12に固定されている。
【0052】
上記水栓機構部76は、オーバーヘッドシャワー吐水部18用の切替バルブ90,ボデーシャワー吐水部20用の切替バルブ92,湯水の混合バルブ88,吐水管22からの吐水とハンドシャワー吐水部24からのシャワー吐水との切替用の切替バルブ94(各切替バルブ90,92,94は流調バルブとしての機能も有する)及び後に詳述する冷水排水弁96を有しており、それらが図6,図7,図8及び図10に示す一体構成の金属製の平板状の共通の取付ブラケット(第1取付ブラケット。以下単にブラケットとする)98に固定され、かかるブラケット98がケース12に固定されることで、水栓機構部76の全体がケース12に一体に固定されている。
【0053】
ブラケット98にはまた、ボデーシャワー吐水部20A-1〜20A-4及び20B-1〜20B-4も併せて固定されており(但し後述のフランジ部材180を除く)、それらが水栓機構部76とともに1つのユニットとして、ブラケット98を介しケース12、詳しくはケース12におけるケース本体14に固定されている。
一方最下部の足元用のボデーシャワー吐水部20A-5,20B-5については、ブラケット98とは別体をなす金属製の平板状の取付ブラケット(第2取付ブラケット。以下単にブラケットとする)100に固定され(フランジ部材180を除く)、かかるブラケット100を介してケース12におけるケース本体14に固定されている。
【0054】
更にオーバーヘッドシャワー吐水部18に向けて給水を行う給水路上の継手102が、ブラケット98とは別体をなす金属製の平板状の取付ブラケット(第2取付ブラケット。以下単にブラケットとする)104に固定され、かかるブラケット104を介してケース12におけるケース本体14に固定されている。
即ちこの実施形態では、図3に示す内部機能部78の全体が1つのユニットとして、予備組付状態で、ブラケット98,100,104にてケース12におけるケース本体14に固定されている。
【0055】
上記ブラケット98は図6,図8及び図10に示しているように、それぞれ正面形状が左右方向に長い矩形状をなす切替バルブ90用の固定部300,切替バルブ92用の固定部302,混合バルブ88用の固定部304,切替バルブ94用の固定部306を有しており、更にそれら固定部300〜306よりも左右及び上下方向寸法が小寸法で、正面形状が左右方向に長い矩形状をなすボデーシャワー吐水部20A-1,20B-1用の固定部308,ボデーシャワー吐水部部20A-2,20B-2用の固定部310,ボデーシャワー吐水部部20A-3,20B-3用の固定部312及びボデーシャワー吐水部20A-4,20B-4用の固定部314を有しており、更にそれらを上下方向に一体に連結する縦の一直線状の連結部316を有している。
【0056】
固定部300,302,304,306のそれぞれには、左右の中央部に、各バルブに一体に構成された、上記操作部44,46,48,50との連結用の連結部を通す円形の貫通の嵌合孔318が設けられ、また左右端には貫通の締結孔106が設けられていて、それら締結孔106に固定具としての固定ねじ、詳しくはここではビス108(図8参照)を挿通し、ケース本体14の鍔状部80に設けた固定孔としての雌ねじ孔110に、それらビス108をねじ込むことで、ブラケット98がケース本体14に締結固定されている。
尚、切替バルブ90,92,混合バルブ88,切替バルブ94のそれぞれは、対応する固定部300,302,304,306のそれぞれに対して、ビス320にて固定されている(図12,図13参照)。
【0057】
一方固定部308,310,312,314には、ボデーシャワー吐水部20A-1及び20B-1,20A-2及び20B-2,20A-3及び20B-3,20A-4及び20B-4をそれぞれ通す円形の貫通の嵌合孔322が設けられており、そこに各ボデーシャワー吐水部を挿通した状態で、それらがビス324(図14及び図16参照)にて対応する各固定部308,310,312,314にそれぞれ固定されている。
【0058】
一方、ブラケット100は正面形状が左右に長い矩形状をなしており、そこにボデーシャワー吐水部20A-5,20B-5を通す円形の一対の貫通の嵌合孔322が設けられ、また四隅に締結孔106が設けられていて、その締結孔106においてビス108によりケース本体14に固定されている。
また嵌合孔322にボデーシャワー吐水部20A-5,20B-5を挿通した状態で、それらがビス324によりブラケット100に取付固定されている。
【0059】
同様にブラケット104もまた正面形状が左右に長い矩形状をなしていて、その左右中心部にオーバーヘッドシャワー吐水部18用の継手102を通す円形の貫通の嵌合孔326が設けられ、またその四隅には締結孔106が設けられていて、その締結孔106においてビス108によりケース本体14に固定されている。
尚、嵌合孔326に挿通された継手102は、ビス324にてブラケット104に取付固定されている(図9,図17,図18参照)。
これらの図に示しているように水栓機構部76,ボデーシャワー吐水部20,オーバーヘッドシャワー吐水部18用の継手102及びそれらを互いに連絡する多数の配管を含む内部機能部78は、ブラケット98,100,104の後面側(壁面W側)に固定してあり、かかる内部機能部78をケース本体14の前面の開放部からケース本体14内部に挿入した状態で、各ブラケット98,100,104が、それぞれケース本体14の前面側の部分、即ち開放側の部分に固定されている。
【0060】
即ちこのようにしてブラケット98,100,104をケース本体14に締結固定することで、後述の内部の各配管を含む内部機能部78の全体が予備組付品、即ちユニットの状態でケース本体14に固定されている。
尚、図11に示しているようにケース本体14の上壁14Cは後壁14A,側壁14Bとは別体に構成されていて、ビス112にて後壁14A及び側壁14Bに固定されている。
詳しくは、図11に示しているようにビス112を上壁14Cの締結孔114に下向きに挿通した上、それらを後壁14A,側壁14Bに沿って縦向きに設けた補強リブ116の上端部にねじ込むことで、かかる上壁14Cが後壁14A及び側壁14Bに締結固定されている。
【0061】
図4に上記の内部機能部78の構成が、ボデーシャワー吐水部20,オーバーヘッドシャワー吐水部18,ハンドシャワー吐水部24,吐水管22等とともに系統的な図として示してある。
図において、A1,A2は壁裏の給水元管P1,給湯元管P2に止水栓118を介して接続された内部給水用,給湯用の各配管で、端部が湯水の混合バルブ88に接続され、かかる混合バルブ88に対して水,湯が配管A1,A2を通じてそれぞれ供給される。
【0062】
混合バルブ88は、供給された水と湯とを図1の操作部48の操作に応じて所定比率で混合し、適温の温調水(温度調節された湯)とする。
混合バルブ88からの温調水は配管B,オーバーヘッドシャワー吐水部18用の切替バルブ90、更に配管Jを経由してオーバーヘッドシャワー吐水部18へと送られ、シャワー孔32からシャワー吐水される。
【0063】
この実施形態では、切替バルブ90がシャワー吐水位置にあるときには、配管Bと配管Jとが連通状態となって、混合バルブ88からの温調水がシャワーヘッド吐水部18へと送られ、そこからシャワー吐水される。
一方切替バルブ90が止水位置にあるときには、配管Bと配管Jが遮断状態となり、混合バルブ88からの温調水はオーバーヘッドシャワー吐水部18へと供給されない。
【0064】
一方、切替バルブ90における図1の指示部52が上向き位置にあるとき、即ち温度確認位置にあるときには、配管Bは配管Jと遮断状態とされる一方で、配管Eと連通状態となり、混合バルブ88からの水が配管Eに分岐させられる。
配管Eに分岐した水は、冷水排水弁96を経て吐水管22に送られ、吐水管22から下向きに吐水される。
尚このとき、配管J内の水もまた配管Cを通じて冷水排水弁96から配管D側へと排水され、そして配管Dを経由して吐水管22の吐水口34から下向きに吐水される。
【0065】
この実施形態において、配管E,配管C及び冷水排水弁96は次のような意味を有している。
シャワー装置10を一定時間使用しなかった状態で使用開始するとき、給湯器等の給湯源から延び出した給湯元管P2内の水は冷却状態即ち冷水の状態にある。
またオーバーヘッドシャワー吐水部18側の配管J内の水もまた、長時間の放置による冷却によって冷水状態にある。
従ってこの状態で切替バルブ90を操作してオーバーヘッドシャワー吐水部18から吐水開始したときに、配管J内の冷水(配管内残水)及び配管P2内の冷水(配管内冷水)がシャワー吐水されてしまう。
【0066】
そこでこの実施形態では、操作部44を温度確認位置に位置させることで、配管Bと配管Eとを先ず連通状態とする。
この状態では、混合バルブ88からの水は配管Bから配管Eへと分岐して流れ、そして配管Eからの流れによって冷水排水弁96が開弁し、配管Eを通じて流れて来た冷水を配管F,吐水管22を経て外部に排出する。
尚、冷水排水弁96が開弁すると、このとき同時に配管Cと配管Dとが連通状態となり、オーバーヘッドシャワー吐水部18側の配管J内に残っている冷たい残水が配管C,冷水排水弁96,配管Dを流れて吐水管22から外部に排出される。
そして冷水状態の配管内冷水及び残水が排出され、混合バルブ88から温かい温調水が送り出されたところで、切替バルブ90をシャワー吐水位置に切替操作することで、オーバーヘッドシャワー吐水部18から温調水をシャワー吐水することができるのである。
【0067】
図5は、冷水排水弁96の構成をその作用とともに示したもので、図示のようにこの冷水排水弁96は、バルブボデー120内部に弁体121を有している。
弁体121は、第1弁部122と、第2弁部124と、それらを連結する連結軸126を有しており、弁体121の図中上向きの移動により第1弁部122,第2弁部124が対応する各第1弁座128,第2弁座130から上向きに離間して開弁する。
そして第1弁部122の開弁により、流路132と134とが連通状態となり、また第2弁部124の開弁により流路136と138とが連通状態となる。
この冷水排水弁96は、配管Eを通じて流路132内に混合バルブ88からの水が図中上向きに流れ込むと、ダイヤフラム弁から成る第1弁部122がその給水の圧力により開弁し、配管Eを通じて流れて来た冷たい水を、流路132から流路134へと流通させる。流路134へと流れ込んだ水は、その後配管F内へと流通する。
【0068】
この第1弁部122の開弁時にはまた、第2弁部130も開弁動作し、そして第2弁部130の開弁によって、流路136と流路138とが連通状態となる。
そしてそれら流路136と138との連通によって、配管Cを通じ、配管J内の冷たい残水が冷水排水弁96へと流れ込み、そして流れ込んだ残水が、流路138から配管Dへと流通して、最終的に吐水管22から外部に排出される。
尚、弁体121はコイルばね140にて常時閉弁状態に付勢されており、配管Eを通じて冷水排水弁96に給水圧が導かれていないときには閉弁状態を保っている。
【0069】
混合バルブ88からの温調水はまた、図4に示すように配管B,ボデーシャワー吐水部20用の切替バルブ92を経て配管I1,I2へと導かれ、各ボデーシャワー吐水部20A-1〜20A-5及び20B-1〜20B-5からミスト状のシャワーとしてシャワー吐水される。
詳しくは、ボデーシャワー吐水部20用の操作部46をシャワー吐水位置に位置させておくと、切替バルブ92が配管Bと配管I1,I2とを連通状態として、混合バルブ88からの温調水が配管I1,I2へと導かれ、これら配管I1,I2と連通状態にある各ボデーシャワー吐水部20A-1〜20A-5及び20B-1〜20B-5からシャワー吐水される。
また一方操作部46を止水位置に切り替えると、配管Bと配管I1,I2とは遮断状態となって、ボデーシャワー吐水部20からのシャワー吐水が停止される。
【0070】
この実施形態では、図1に示すようにボデーシャワー吐水部20用の操作部46もまた、温度確認位置へと切替操作可能であり、その切替操作を行ったとき、切替バルブ92が図4の配管Bと配管Kとを連通状態とする。
このとき、配管Bは配管Kを通じて上記の配管Eと連通状態となり、従ってこの状態では混合バルブ88からの冷水が、配管Kを経由して配管Eへと流れ込み、上記したのと同様にして冷水排水弁96を経て外部に排出される。
【0071】
配管Bにはまた、切替バルブ94を介してハンドシャワー吐水部24に連通した配管Gと、吐水管22に連通した配管Hとが接続されている。
そして操作部50を操作して切替バルブ94を切替動作させ、配管Bと配管Gとを連通させることで、混合バルブ88からの温調水がハンドシャワー吐水部24へと導かれ、シャワー孔40からシャワー吐水される。
一方、切替バルブ94を配管Bと配管Hとを連通させる状態に切り替えると、混合バルブ88からの温調水が配管Bから配管Hへと流れ、吐水管22の吐水口34から下向きに吐水される。
【0072】
図6及び図7に、図4に示した各配管が切替バルブ90,92,94,混合バルブ88等とともに実際の配管状態で表してある。
これらの図に示しているように、本実施形態のシャワー装置10の場合、多くの配管が複雑に錯綜した状態で各バルブとともに一体に繋がった上記の内部機能部78を構成している。
【0073】
図8において、ケース12における前面カバー16は、図3の内部機能部78をケース本体14に固定した後に、ケース本体14に固定され、そしてその後において図1の操作部44,46,48,50の組付けが行われ、またオーバーヘッドシャワー吐水部18,ボデーシャワー吐水部20の前面カバー16への固定が行われる。
【0074】
図12及び図13に操作部44〜50の取付構造が、また図14〜図16にボデーシャワー吐水部20の前面カバー16への固定構造がボデーシャワー吐水部20の構造とともに示してある。更に図17,図18にオーバーヘッドシャワー吐水部18の前面カバー16への固定構造が示してある。
前面カバー16は、これら操作部44〜50,ボデーシャワー吐水部20及びオーバーヘッドシャワー吐水部18の組付けによって、同時にケース本体14に対して前後方向に固定状態となる。
以下その詳細を各図に基いて具体的に説明する。
【0075】
先ず図12(A)及び図13は操作部44,46,50の取付構造を、また図12(B)は操作部48の取付構造を示している。
図12(A)において、330は切替バルブ90,92,94の操作部44,46,50との連結部で、径方向外向きのフランジ部146を有する円筒形状の金属製のフランジ部材148を備えている。
ここでフランジ部材148は切替バルブ90,92,94のバルブボデー150と別体に構成されている。
【0076】
上記前面カバー16は、径方向の外向き及び内向きの各フランジ部142,143を備えたリング状のスペーサ部材144を介してブラケット98に当接させられ、そしてその状態でフランジ部材148が切替バルブ90,92,94のそれぞれのバルブボデー150にねじ込まれることで、かかるブラケット98を介しケース本体14に固定される。
【0077】
詳しくは円筒形状をなすフランジ部材148の筒状部を挿通孔68,70,74に挿入した上、内周側の雌ねじ部152をバルブボデー150の雄ねじ部154に螺合し、更にこれをねじ込むことで、前面カバー16がスペーサ部材144のフランジ部142とフランジ部材148のフランジ部146とにより内外両側から挟持される状態に、ブラケット98を介しケース本体12に各操作部44,46,50の個所において固定される。
【0078】
ここで挿通孔68,70,74の内径はフランジ部材148の筒状部の外径よりも大径となしてあり、挿通孔68,70,74とフランジ部材148との間、詳しくは連結部330における挿通孔68,70,74への挿入部分との間には図12(A)に示しているように隙間Sが形成されている。
この実施形態において、隙間Sは挿通孔68,70,74の何れにおいても同一で、ここでは隙間Sは上下及び左右方向の片側で2mm、両側で4mmとされている。
即ち挿通孔68,70,72と連結部330とは、前面カバー16の長手方向及び幅方向に隙間Sをもって、それらの方向に相対的に位置移動可能に遊嵌状態に嵌合されている。
【0079】
前面カバー16は、温度調節用の操作部48の位置を中心としてその上端、即ち温度変化によって最も伸縮量が大きくなる上端の伸縮量が約2.5〜3mm程度であり、操作部44,46,50の個所における前面カバー16の収縮量は当然それに対して小となる。
本実施形態では、上記の隙間Sは前面カバー16が温度変化によって最大膨張したときにおいてもその膨張量を隙間Sにおいて吸収できる大きさとして設定してある。
尚、隙間Sの大きさについては温度調節用の操作部48に対応した挿通孔72から上下方向に離れているものほど、その隙間を大きくしておいても良い。
【0080】
上記のようにフランジ部材148におけるフランジ部146は挿通孔68,70,74よりも大径とされており、挿通孔68,70,74と連結部330、詳しくはフランジ部材148の筒状部との間に隙間Sが生じているにも拘らず、その隙間Sはフランジ部146によって前面カバー16の前面側で隠蔽されている。
【0081】
回転ハンドル式の操作部44,46,50は円筒形状の内筒部155を有しており、その内筒部155が、外周面と内周面とにセレーション部を有するダブルセレーションリング156を介して、スピンドル158に一体回転状態に連結され、更にはそのスピンドル158を介して弁体160に一体回転状態に連結されている。
【0082】
ここでダブルセレーションリング156は、外周面のセレーション部を、操作部44,46,50の内筒部155の内周面のセレーション部にセレーション結合させ、また内周面のセレーション部を、スピンドル158の外周面のセレーション部にセレーション結合させ、それらのセレーション結合に基いて、スピンドル158を操作部44と一体に回転させる。
操作部44,46,50はまた、固定ビス162によってスピンドル158にねじ固定され、図中左方向に抜け防止されている。
【0083】
図12(B)に示しているように、温度調節用の操作部48の取付構造もまた基本的に操作部44,46,50の取付構造と同様である。
但し図12(B)に示す取付構造では、混合バルブ88の操作部48との連結部330に備えられたフランジ部材148に対して、詳しくはその円筒状をなす筒状部の外周面に対して、対応する挿通孔72が同等径とされていて、フランジ部材148の筒状部即ち操作部48の連結部330と挿通孔72とが実質隙間のない状態で非遊嵌状態で互いに嵌合されている。
【0084】
従って樹脂製の前面カバー16が温度変化により膨張収縮を生じたとき、前面カバー16はこの操作部48の取付個所、即ち連結部330と挿通孔72との嵌合部分を中心とし、そこを基準として上下方向に伸縮する。
即ち前面カバー16は温度変化による膨張,収縮を生じる際においても、操作部48詳しくはその連結部330に対して上下方向に固定状態に保持される。
尚図12(B)において、混合バルブ88の弁体はスピンドル158から図中右方向に離れた位置にあり、図示は省略されている。
【0085】
尚図12(B)において、挿通孔72とフランジ部材148の筒状部との間には必要最小限の嵌合クリアランスが設けてある。その嵌合クリアランスの寸法は、径方向の片側で0.2mm、両側で0.4mmである。
但し図12(A)の挿通孔68,70,74においては、隙間Sは最低でも2.0mm以上確保しておく。
【0086】
図14及び図15は、ボデーシャワー吐水部20A-1,20B-1の要部の構成を、前面カバー16への固定構造とともに示している。
図に示しているように、ボデーシャワー吐水部20A-1,20B-1は、ノズルボデー164に一体に構成されたハウジング本体166と、これに螺合されたキャップ168とからなるノズルハウジング170によって、ノズル172の球面状をなす嵌合部174を三次元方向に回転可能に嵌合し、保持している。
【0087】
ノズル172の内部は、ノズルハウジング170の内部に連通しており、送られてきた温調水が、ノズル172の内部を通って先端のノズル孔176から噴射される。
このノズル172の内部には、ノズル172内部を通る水の流れに旋回流を発生させる旋回部178が設けられており、この旋回部178の作用によって、ノズル孔176からの噴射水がノズル孔176を出たところで広角度に拡散せしめられ、その作用によって噴射水がミスト状のシャワーとなる。
【0088】
180はボデーシャワー吐水部20A-1,20B-1に備えられた金属製のフランジ部材で、径方向外向きのフランジ部182を有している。
このフランジ部材180は、内周面に雌ねじ部184を有しており、その雌ねじ部184がノズルハウジング170におけるキャップ168の外周面の雄ねじ部186に螺合されている。
【0089】
この図14及び図15に示す固定構造では、フランジ部材180をノズルハウジング170にねじ込むことで、ボデーシャワー吐水部20A-1,20B-1が前面カバー16に固定され、また同時に前面カバー16がボデーシャワー吐水部20A-1,20B-1の個所で、ブラケット98を介しケース本体14に固定される。
図14において、挿通孔66A-1,66B-1はフランジ部材180の筒状部の外径よりも大径となしてあり、それらの間に隙間Sを形成する状態で、フランジ部材180の筒状部即ちボデーシャワー吐水部20A-1,20B-1と挿通孔66A-1,66B-1とが、前面カバー16の長手方向及び幅方向に遊嵌状態で嵌合されている。
尚、ボデーシャワー吐水部20A-5,20B-5の構成及び前面カバー16への固定構造もまた、基本的に図14に示すのと同様である。
ボデーシャワー吐水部20A-1,20B-1,20A-5,20B-5用のフランジ部材180には、内周側にテーパ面188が設けられていて、そのテーパ面188の周方向2個所に係合溝190が形成され、その係合溝190に板状の工具192(図15(B)参照)の係合部194を係合させ、その状態で工具192を回転させることでフランジ部材180を脱着できるようになしてある。
【0090】
図16は、ボデーシャワー吐水部20A-2〜20A-4,20B-2〜20B-4の要部構造を、前面カバー16への固定構造とともに具体的に示したものである。
図において、198はボデーシャワー吐水部20A-2〜20A-4,20B-1〜20B-4のノズルで、ここではノズル198は、ノズルボデー200のノズルハウジング202に水平方向の向きで固定状態に保持されている。即ちノズルの向きが一定の固定状態で保持されている。
但しノズル198を含むボデーシャワー吐水部20A-2〜20A-4,20B-2〜20B-4の前面カバー16への固定構造は、基本的に図14及び図15に示したのと同様である。
【0091】
即ちボデーシャワー吐水部20A-2〜20A-4,20B-2〜20B-4は、それぞれフランジ部材206を備えており、かかるフランジ部材206の筒状部が、挿通孔66A-2〜66A-4,66B-1〜66B-4内に挿入されている。
そしてその内周側の雌ねじ部184が、ノズルハウジング202の外周側の雄ねじ部186にねじ込まれることで、ボデーシャワー吐水部20A-2〜20A-4,20B-2〜20B-4が前面カバー16に固定され、また同時に前面カバー16がボデーシャワー吐水部20A-2〜20A-4,20B-2〜20B-4の個所でブラケット98を介しケース本体14に固定されている。
【0092】
またこれらボデーシャワー吐水部20A-2〜20A-4,20B-2〜20B-4においても、それらに対応する挿通孔66A-2〜66A-4,66B-1〜66B-4が、各対応するボデーシャワー吐水部20A-2〜20A-4,20B-2〜20B-4、詳しくはフランジ部材206の筒状部に対して大径とされており、それらが隙間Sを形成する状態で、前面カバー16の長手方向及び幅方向に遊嵌状態に嵌合されている。
【0093】
尚この実施形態では、図14の隙間Sについては径方向の片側で3mmとされ、また図16の隙間Sについては径方向の片側で1.8mmとされている。
これらの隙間もまた、それぞれの位置する個所における前面カバー16の温度変化による膨張,収縮量を十分に吸収し得る隙間とされている。
尚このフランジ部材206においても、内周側にテーパ面188が設けられていて、そのテーパ面188の周方向の180°隔たった2個所に上記の係合溝190が形成され、この係合溝190において専用の工具192を用い、フランジ部材206を回転操作し、脱着可能となしてある。
【0094】
図17及び図18は、オーバーヘッドシャワー吐水部18の取付構造を具体的に示している。
図中102は、オーバーヘッドシャワー吐水部18用の継手で、この継手102は、ビス108にて前述したブラケット104に固定され、かかるブラケット104を介してケース本体14に固定されている。
継手102は、前面カバー16に形成された円形の貫通の挿通孔208を通過して図中左側、即ち前面カバー16の前側に突出せしめられている。
【0095】
332は継手102におけるオーバーヘッドシャワー吐水部18、具体的にはパイプ30との連結部で、円筒形状をなしており、かかる連結部332が挿通孔208に挿入されている。
図17において、挿通孔208は連結部332よりも大径となしてあり、かかる挿通孔208と連結部332との間に環状の隙間Sが形成されている。即ち連結部332と挿通孔208とが、前面カバー16の長手方向及び左右方向に隙間Sをもって遊嵌状態に嵌合されている。
つまりこの実施形態では、温調用の操作部48に対応した挿通孔72に対して、それより上位置及び下位置にある挿通孔の全てが、それら挿通孔への挿入部分に対し隙間をもって遊嵌する遊嵌孔とされている。
この実施形態において、隙間Sは最も大きく、この例では径方向の片側で5mm、両側で10mmの隙間とされている。
【0096】
この継手102の連結部332の外周面には、図18(B)に詳しく示しているように雄ねじ部210が形成されている。またその端面には、周方向に180°隔たった2個所に、オーバーヘッドシャワー吐水部18におけるパイプ30の回転方向の位置決突起212が設けられている。
【0097】
一方パイプ30側には、図17(B)及び図18(A)に示しているように、雄嵌合面214が設けられていて、その雄嵌合面214にシールリングとしてのOリング216が保持されている。
ここではその雄嵌合面214を、継手102の雌嵌合面218にOリング216を介して嵌合させることで、パイプ30が継手102に水密に接続される。
【0098】
一方パイプ30の側には、雄嵌合面214の図中左側の位置に径方向外向きのフランジ部219が設けられている。またそのフランジ部219には、上記の位置決突起212に対応する周方向の2個所において、切落し形状の位置決用の係合面220が形成されている。
パイプ30は、この係合面220を位置決突起212に係合させるようにして、雄嵌合面214を継手102の雌嵌合面218に嵌入させることで、Oリング216を介し水密に継手102に接合される。
【0099】
その状態で、内周側に雌ねじ部222及び内向きのフランジ部224を有する袋ナット226を、雌ねじ部222において継手102の雄ねじ部210にねじ込み、そして図17(B)に示しているように袋ナット226の内向きのフランジ部224を、パイプ30の外向きのフランジ部219に係合させることで、パイプ30と継手102とが軸方向に締結される。
【0100】
図17(A)及び図18(A)において、228はパイプ30と継手102との連結部分を外側から覆う、化粧リングを兼ねたパイプ30の前面カバー16への固定用の固定リングで、径方向内向きのフランジ部230を有しており、そのフランジ230の内周面に雌ねじ部232が設けられている。
一方パイプ30には、フランジ部219の図中左側位置に雄ねじ部234が設けられている。
【0101】
この実施形態では、固定リング228の雌ねじ部232をパイプ30側の雄ねじ部234に螺合し、更にその状態で固定リング228を図中右向きにねじ込んで、図中右端を前面カバー16に当接させ、強く締め付けることでパイプ30が、即ちオーバーヘッドシャワー吐水部18が前面カバー16に固定され、また同時に前面カバー16がブラケット104を介してケース本体14に固定される。
【0102】
図19,図20及び図21に、図1に示す前面カバー16の一部をなす下部の蓋体62の脱着構造が具体的に示してある。
図3にも示しているように、蓋体62の裏面(内面)には、その下部に下向きの一対のフック形状の引掛部250が設けられており、またその上端部には上向きの一対の引掛部252が上向きに突出する形状で設けてある。
ここで上向きの一対の引掛部252は、縦のリブ254のそれぞれの上端部に一体に構成してある。
【0103】
一方ケース12、詳しくはケース本体14の底壁14Dには、図20に示しているように、吐水管22用の継手256を挿通する開口258が設けられるとともに、その上面には左右一対のガイド部材260が立設されている。
これらガイド部材260は、一対の側壁262と、内壁264とを有する横断面形状がコ字形状の部材で、その内壁264に上下に長い長孔状のガイド孔274が設けられ、また下端部には折曲げ形状の固定部266が設けられている。
【0104】
そしてこれらガイド部材260は、底壁14Dの下側から締結孔268を通じて上向きに差し込まれたボルト270とナット272とによって、固定部266において底壁14Dの上面にそれぞれ固定されている。
これらガイド部材260の側壁262と内壁264とで囲まれた空間には、金属製のコイルばね276が収容されている。そしてそれらコイルばね276の上端部に、支持棒284の両端部に固定される端部部材278がそれぞれ装着されている。
これら端部部材278は、コイルばね276への下向きの挿入部280(図21参照)と、支持棒284を挿通させる貫通の挿通孔282とを有している。
【0105】
支持棒284は、蓋体62の上記下向きの引掛部250を前後方向(壁面W,後壁14A,蓋体62の裏面と直角方向)に位置固定に掛止させ、その状態で蓋体62を支持する部材で、両端側が端部部材278の挿通孔282に挿通され、そして端部部材278のそれぞれの外側で、図20に示しているように支持棒284に形成された環状溝288に弾性止め輪290が嵌込装着されることで、かかる支持棒284が一対の端部部材278に対して軸方向に位置決めされ、且つそれら端部部材278から抜け防止されている。
【0106】
尚、支持棒284は一対のガイド部材260のガイド孔274を挿通した状態に組み付けられており、その状態において支持棒284にはコイルばね276の上向きの付勢力が常時作用している。
従って蓋体62を取り外した状態の下では、図23(B)に示しているように支持棒284は、ガイド孔274の上端に当接した状態にある。
【0107】
上記蓋体62は、下部の下向きの一対の引掛部250を支持棒284に掛止させ、また上端部の上向きの一対の引掛部252を、前面カバー16におけるカバー本体60の下端部裏面、即ちカバー本体60の下端部分にて部分開口64の上側に形成される、部分開口64周りの壁部の裏側に前後方向に位置固定に掛止させる状態に保持される。
尚蓋体62は、取付状態でその裏面が後側のケース本体14の前端に当接し、後方への押込端が規定される。
このとき、蓋体62に対しては一対のコイルばね276による上向きの付勢力が支持棒284を介して作用しており、従って蓋体62は、一対のコイルばね276の付勢力に基いてその上端をカバー本体60の下端、即ち部分開口64における上側の内端縁に当接させ、密着させた状態に保持されている。
この状態で蓋体62は、次のようにして簡単にこれを取り外すことができる。
【0108】
即ち、蓋体62を一対のコイルばね276の上向きの付勢力に抗して下向きに押し下げる。これにより一対の上向きの引掛部252の、カバー本体60に対する掛止が外れるから、そこで図19(I)に示しているように蓋体62の上端部がカバー本体60から室内側に離れる方向に蓋体62を傾斜させ、その状態で蓋体62全体を上向きに持ち上げることで、蓋体62を簡単に取付状態から外すことができる。
そしてこの蓋体62を外すことによって、前面カバー16の下端部に部分開口64が生じる。
【0109】
一方蓋体62を取り付けるには、これと逆の操作を行えば良い。
具体的には、蓋体62の下部の一対の引掛部250を支持棒284に引掛け、その状態で下向きに力を加えて、蓋体62を支持棒284とともにコイルばね276を撓ませながら押し下げる。
そして蓋体62の上端をカバー本体60の下端(部分開口64の上側の内端縁)に対し上向きに対向させた状態とし、その状態で下向きに加えていた力を除くと、蓋体62がコイルばね276の付勢力により、支持棒284とともに上向きに移動して、その上端がカバー本体60の下端に密着状態に当接し、またこのとき同時に上部の上向きの一対の引掛部252が、カバー本体60の下端部の裏面に掛止した状態となる。
【0110】
尚、前述したように蓋体62はこれを後方、即ち壁面W側に押し込んだときに、その裏面がケース本体14における一対の側壁14Bの前端(当接部)に当接し、その当接によって押込端が規定される。即ち蓋体62が前後方向に位置決めされる。
このとき蓋体62は、その上端がカバー本体60の下端に対し上向きに対向した状態となり、蓋体62の前面がカバー本体60の前面と面一状態となる。
尚本実施形態では、蓋体62を取り付ける際、コイルばね76を少なくとも5mm程度圧縮変形させることによって取付可能である。上向きの一対の引掛部252が、これに対応した突出寸法で上向きに突出せしめられている。
【0111】
本実施形態では、シャワー装置10を壁面Wに施工現場にて取付施工するのに先立って、予めシャワー装置10を組み付けた状態としておく。
具体的には、水栓機構部76を含む内部機能部78の全体を先ずブラケット98,100,104に固定して、それら全体を1つのユニットをなす予備組付品となしておき、その状態でこれをブラケット98,100,104にてケース本体14に固定する。
その際、内部機能部78をケース本体14の前面の開放部よりケース本体14内に挿入し、その状態でブラケット98,100,104をケース本体14の鍔状部80に締結し、ケース本体14に取付固定する。
【0112】
その後、内部機能部78をブラケット98,100,104とともに前側から覆うようにして、前面カバー16をケース本体14に固定し、ケース12を構成するとともに、その内部に内部機能部78を収納状態とする。
そしてその状態でシャワー装置10を施工現場に搬入して、そこでこれを壁面Wに取付施工する。
詳しくは、図2,図22に示しているように壁面Wにバックハンガーブラケット236,238を、ケース本体14の後壁14Aに形成した上下一対の掛止開口82,84に対応する高さ位置に固定ねじ240等によって予め固定しておき、そしてシャワー装置10におけるケース本体14の後壁14Aの掛止開口82,84に、バックハンガーブラケット236,238の壁面Wから突出した形状の掛止凸部244を挿入させる状態に、ケース12をそれら掛止開口82,84においてバックハンガーブラケット236,238に掛止する。
そしてそれらバックハンガーブラケット236,238にてシャワー装置10の重量を支持させた状態とする。
【0113】
尚一対のバックハンガーブラケット236,238は、壁面Wに密着状態で固定される、掛止開口82,84に対応した幅の板状の固定部246と、その上端から斜め上向きに固定部246と同幅で突出した掛止凸部244と、掛止凸部244及び固定部246を幅方向両端で連結する板状の補強部242とを有する形態をなしている。
図23(A)は、そのバックハンガーブラケット236にケース本体14の後壁14Aが掛止されることで、シャワー装置10の重量が支持された状態を表している。
【0114】
尚、このときケース12の前面カバー16に操作部44〜50を予め設けておいても良いし、またシャワー装置10を壁面Wに固定した後において、前面カバー16に操作部44〜50を設けるようにしても良い。
また同様にオーバーヘッドシャワー吐水部18や、ハンドシャワー吐水部24,吐水管22等を予め取り付けておいても良いし、或いはシャワー装置10を壁面Wに固定した後において、それらを取り付けるようになしても良い。
【0115】
さてこのようにしてシャワー装置10におけるケース12をバックハンガーブラケット236,238に掛止して重量を支持させた後、予め蓋体62の取外しによって生じている部分開口64を通じて、図23(B)に示しているようにケース本体14の後壁14Aに設けてある固定孔292に固定ねじ294を挿通し、且つそれらを壁面Wにねじ込むことで、ケース12を壁面Wに固定する。ここにおいてケース12を壁面Wに取付状態となすことができる。
【0116】
尚この実施形態では、部分開口64を通じてケース本体14の後壁14Aを壁面Wに固定するのと併せて、その部分開口64を通じて、図19の給水元管P1,給湯元管P2と配管A1,A2とを継手296(図19参照)を介して接続作業する。
また同じ部分開口64を作業開口として止水栓118を操作し、水量調節を行う。
そのような作業を終えた後に再び蓋体62を装着し、部分開口64を閉鎖する。
【0117】
このとき、蓋体62は次のようにして簡単に装着することができる。
即ち、蓋体62の下向きの一対の引掛部250を、図20(図23(B))の支持棒284に掛止させ、そして図19(I)に示しているように蓋体62に下向きの力を加えて一対のコイルばね276を撓ませながら蓋体62を下向きに押し、その状態で蓋体62の上端部をケース内方向に押し込み、一対の上向きの引掛部252をカバー本体60の裏面側に位置させる。
【0118】
その状態で蓋体62に加えていた下向きの押込力を除くと、図19(II)に示しているように蓋体62が一対のコイルばね276の付勢力によって上向きに押し上げられ、一対の上向きの引掛部252がカバー本体60の下端裏面に掛止するとともに、蓋体62の上端がカバー本体60の下端に密着状態に当接した状態となる。
ここにおいて蓋体62が、カバー本体60と一体の外観を有する前面カバー16の一部となって、カバー本体60とともにケース本体14の前面の開放部全体を閉鎖した状態となる。
【0119】
以上のような本実施形態では、蓋体62の上部の上向きの引掛部252と下部の下向きの引掛部250とが、相手側に掛止した状態に蓋体62が取り付けられるため、蓋体62が強固に固定状態となり、従ってシャワー装置10の使用中に蓋体62に使用者の身体や物品が当る等して、蓋体62に不意の外力が加わるようなことがあっても、蓋体62がその不意の外力によって外れてしまう恐れがなく、蓋体62をしっかりと固定状態に保持することができる。
【0120】
一方でこの取付構造では、蓋体62の下部の下向きの引掛部250を支持棒284に引掛けた上、支持棒284を介してコイルばね276を弾性変形させることで、簡単に部分開口64を閉鎖させる状態に蓋体62を取り付けることができ、或いはその取付状態の下で、コイルばね276を弾性変形させるように下向きに押し下げることで、簡単に蓋体62を取り外すことができ、従って本実施形態によれば、素手で簡単に蓋体62を着脱操作することができる。
【0121】
また取付状態においては、コイルばね276の上向きの付勢力によって、蓋体62の上端を部分開口64における上側の内端縁に当接させ、それらを密着状態に保持しておくことができ、それら蓋体62の上端と部分開口64における上側の内端縁との間に隙間が生じてしまうのを防止することができる。
即ち蓋体62によって部分開口64を良好に閉鎖した状態となしておくことができる。
【0122】
加えて本実施形態では、蓋体64の下部の引掛部250を支持棒284に引掛けて、外れ防止するようになしていることから、部分開口64の下側に引掛部252を引掛けるための壁部が存在していなくても、良好に蓋体64を強固な固定状態で取り付けることができる。
【0123】
更にコイルばね276の付勢力を支持棒284を介して蓋体62に加えるようになしているため、蓋体62自体にコイルばね276の付勢力を受ける受部を特に設けておかなくてもよく、蓋体62の構造を簡単化でき且つこれを薄く構成しておくことができる。
【0124】
また本実施形態では、縦長のシャワー装置のケース12を、ケース本体14とその前面の開放部を閉じる樹脂製の前面カバー16とで構成しているため、ケース12付きのシャワー装置10の美観を良好とし、意匠性を高めることができる。
【0125】
一方で前面カバー16を樹脂製としておくことにより、かかる樹脂製の前面カバー16が温度変化によって上下方向に大きく熱膨張、収縮し易い問題を生ずるが、本実施形態では前面カバー16を上下方向に伸縮可能に設けてあるため、温度変化により前面カバー16に歪みが発生して、前面カバー16が変形してしまうのを防止することができる。
【0126】
この場合、部分開口64を閉鎖する蓋体62を上下方向に位置固定状態に取り付けておくと、前面カバー16の上下方向の伸縮によって、詳しくは部分開口64の上側のカバー本体60における下端部分が上下に移動することによって、蓋体62の上端と部分開口64における上側の内端縁との間に隙間が生じたり、或いは蓋体62に対して下向きに無理な力が加わってしまう。
【0127】
しかるに本実施形態では蓋体62が上下に移動で、且つコイルばね276にて上向きに付勢されているため、カバー本体60における下端部分の上下移動に追従して蓋体62がこれと一体に移動することができ、従ってカバー本体60における下端部分の上向きの移動によって、蓋体62と部分開口64における上側の内端縁との間に隙間を生ぜしめることがない。
【0128】
また逆にカバー本体60の下端部分、詳しくは部分開口64における上側の内端縁が、カバー本体60の伸張により下向きに移動したときには、蓋体62がコイルばね276を弾性変形させながらこれに追従して下向きに一体に移動するため、蓋体62に対して無理な力が加わって蓋体62に大きな負荷がかかってしまうこともない。
【0129】
この結果、蓋体62とその上側のカバー本体60とで構成される前面カバー16は、一体外観状態を保ちつつ、温度変化に伴って上下方向に伸縮することができ、かかる温度変化に拘らずケース12の前面の美観を良好に保持することができる。
【0130】
本実施形態のシャワー装置10はハンドシャワー吐水部24を備えており、この場合ハンドシャワー吐水部24を使用する際に可撓性のシャワーホース26が蓋体62に引掛かってしまう恐れがあり、そのことによって蓋体62を外す方向に力が働いてしまう恐れがある。
しかるに本実施形態では蓋体62が、上部の引掛部252と下部の引掛部250とでしっかりと強固に取り付けられているため、このような場合においても蓋体62が外れてしまうのを防止することができる。
【0131】
更に本実施形態では、弾性部材としてコイルばね276を用いており、この場合コイルばね276が大きく撓むことができるため、上部の引掛部252及び下部の引掛部250の相手側への引掛長さを長くとることが可能となり、そのことによって蓋体62の取付強度をより高強度となすことができる。
しかもそのようになした場合においても、コイルばね276を大きく撓ませることができるため、蓋体62の脱着を簡単に行うことができる。
【0132】
次に図24〜26は、シャワー装置10を公共施設に設置した場合において、悪戯により蓋体62がシャワー装置10から取り外され、持ち去られてしまうのを防止するため、支持棒284の下向きの移動を規制する規制部材を設けた例を示している。
これらの図において、340はその規制部材としてのストッパボルトで、ねじ軸部から成るストッパ部342と、これよりも大径をなす頭部344とを有している。
ここで頭部344には、これを回転操作するための工具の係合用の係合凹部345が設けられている。
【0133】
上記底壁14Dには、一対の端部部材278の直下の位置に貫通の雌ねじ孔346が設けられおり、そこにストッパボルト340が、底壁14Dを下側から貫通して上向きにねじ込まれ、底壁14Dに取り付けられるようになっている。
尚、348は頭部344と底壁14Dとの間に介在せしめられるワッシャである。
【0134】
一方、端部部材278の上記の挿入部280は図中下向きに大きく突出せしめられており、その下端部が、ストッパボルト340のストッパ部342に対して下向きに対向し、ストッパ部342に対して当接する当接部350とされている。
【0135】
図26(II)は、ストッパボルト340を底壁14Dに取り付けた状態を表しており、このときストッパボルト340のストッパ部342が、端部部材278の下向きの当接部350に対向した位置において底壁14Dから上向きに大きく突出した状態となる。
【0136】
この状態の下では、蓋体62を取り外そうとしてコイルばね276を撓ませながら蓋体62を下向きに大きく押し下げようとしても、蓋体62が僅かに下向きに移動したところで、当接部350がストッパボルト340のストッパ部342に当接し、それ以上蓋体62を押し下げることができない。
【0137】
即ち上向きの引掛部252をカバー本体60の下端への掛止から外すことができない。そのようにストッパボルト340のストッパ部342の突出長さが予め定めてある。
従ってストッパボルト340を底壁14Dに取り付けた状態の下では、蓋体62を取り外すことができない。従って悪戯によって蓋体62が持ち去られてしまうのを確実に防止することができる。
【0138】
一方蓋体62を取り外す必要が生じたときには、ストッパボルト340を底壁14Dから取り外しておけば良い。
図26(I)はこのときの状態を表している。
この状態の下では、コイルばね276を撓ませながら蓋体62を下向きに大きく押し下げることができ、上向きの引掛部252をカバー本体60の下端から外すことができ、支障無く蓋体62を取り外すことができる。
【0139】
尚、図24に示しているように蓋体62とケース本体14との間には、脱落防止装置352が設けられている。
ここで脱落防止装置352は、ケース本体14詳しくはブラケット100に固定されたリング354と、これに結合されたクリップ356と、クリップ356を蓋体62に連結するワイヤ等の連結材358及び蓋体62に固定の取付部材360とを有しており、それらによって蓋体62がケース本体14に連結状態に保持され、蓋体62がケース本体14から脱落防止されている。
尚、クリップ356をリング354から外すことによって、蓋体62とケース本体14との連結状態を解除することが可能である。
【0140】
この例によれば、ストッパボルト340を底壁14Dにねじ込み取り付けておくことで、蓋体62が取り外され、更に持ち去られてしまうのを有効に防止することができる。
一方において蓋体62をケース本体14から取り外す必要が生じたときには、ストッパボルト340を底壁14Dから抜き取っておくことで、蓋体62を支障無くケース本体14から取り外すことができる。
【0141】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態は、本発明のカバー付きの水栓装置をシャワー装置に適用した場合の実施形態であるが、本発明はシャワー装置以外の通常のカバー付きの水栓装置への適用も可能であるし、また場合によって蓋体を上向きに付勢する弾性部材として、上記コイルばね以外の他の弾性部材を用いることも可能であり、更に図24〜26に示す例において、ストッパボルトを直接支持棒に当接させることも、また規制部材を上記のストッパボルト以外の部材で構成することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の一実施形態のシャワー装置の正面図である。
【図2】同実施形態のシャワー装置を壁面に設置した状態で示した断面図である。
【図3】同実施形態のシャワー装置を分解して示した図である。
【図4】同実施形態における配管経路を系統的に示した図である。
【図5】同実施形態における冷水排水弁の構成をその作用とともに示した断面図である。
【図6】同実施形態における実際の配管状態を表した図である。
【図7】図6(B)を拡大した図である。
【図8】同実施形態におけるブラケットのケース本体への固定構造を示した図である。
【図9】同実施形態におけるブラケットのケース本体への固定構造を拡大して示した図である。
【図10】同実施形態におけるブラケットを示した図である。
【図11】同実施形態におけるケース本体の上壁を分解して示した図である。
【図12】同実施形態における操作部の要部の構成を示した部分断面図である。
【図13】図12の操作部と前面カバーとを分解して示した図である。
【図14】同実施形態におけるボデーシャワー吐水部の要部の構成を示した部分断面図である。
【図15】図14のボデーシャワー吐水部と前面カバーとを分解して示した図である。
【図16】図14とは異なるボデーシャワー吐水部の要部の構成を示した部分断面図である。
【図17】同実施形態におけるオーバーヘッドシャワー吐水部の要部の構成を示した部分断面図である。
【図18】図17のオーバーヘッドシャワー吐水部を分解して示した図である。
【図19】同実施形態における蓋体の脱着構造を示した図である。
【図20】図19の蓋体の脱着構造を分解して示した図である。
【図21】図19の蓋体の脱着構造の要部を示した部分断面図である。
【図22】同実施形態のシャワー装置の壁面への取付構造を示した図である。
【図23】同実施形態のシャワー装置の壁面への取付構造の要部を拡大して示した図である。
【図24】本発明の他の実施形態の要部を示した斜視図である。
【図25】同実施形態の要部を示した断面図である。
【図26】同実施形態の作用説明図である。
【図27】従来公知のシャワー装置の一例を示した図である。
【図28】シャワー装置の図27とは異なる従来例を示した図である。
【符号の説明】
【0143】
10 シャワー装置(水栓装置)
12 ケース
14 ケース本体
16 前面カバー
24 ハンドシャワー吐水部
26 シャワーホース
60 カバー本体
62 蓋体
64 部分開口
76 水栓機構部
250,252 引掛部
276 コイルばね(弾性部材)
284 支持棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース付きの水栓装置の該ケースの部分開口を開閉する蓋体を脱着可能に取り付ける蓋体の取付構造であって
前記蓋体の裏面の上部には上向きの引掛部を、該裏面の下部には下向きの引掛部をそれぞれ設けるとともに、該ケースには前記蓋体を下側から支持し且つ前記下向きの引掛部を引掛ける支持棒を上下に移動可能に横設するとともに、該支持棒を上向きに付勢する弾性部材を設け、前記蓋体の下向きの引掛部を該支持棒に前後方向に位置固定に引掛けて該蓋体を該支持棒にて支持させるとともに、前記弾性部材にて該蓋体を該支持棒とともに上向きに付勢し、該蓋体の上端を前記部分開口における上側の内端縁に上向きに当接させるとともに、前記上向きの引掛部を該部分開口の上側で該部分開口周りの壁部の裏側に前後方向に位置固定に引掛ける状態に該蓋体を取り付けてあることを特徴とする水栓装置における蓋体の取付構造。
【請求項2】
請求項1において、前記水栓装置が、前記ケースの内部に水栓機構部を収納した縦長のシャワー装置であって、前記ケースが、後壁と一対の側壁とを有し前面が室内側に向って開放されたケース本体と、該ケース本体の前面の開放部を閉じる、該ケース本体に対して熱膨張の大きい樹脂製の前面カバーとを有する縦長形状のものであり、
前記前面カバーは、下端を含む下部が上側のカバー本体とは別体とされていて、該下部が前記蓋体として構成してあって該蓋体の脱着により前記部分開口が開閉されるようになしてあり、且つ前記カバー本体は前記部分開口に対して上側の壁部となる下端部分が該カバー本体の温度変化による伸縮によって上下に移動可能に前記ケース本体に取り付けてあることを特徴とする水栓装置における蓋体の取付構造。
【請求項3】
請求項2において、前記ケースからは可撓性のシャワーホースが延び出していて、該シャワーホースの先端部にハンドシャワー吐水部が接続されていることを特徴とする水栓装置における蓋体の取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記弾性部材がコイルばねであることを特徴とする水栓装置における蓋体の取付構造。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記蓋体の取付状態の下で前記支持棒の下向きの移動を、前記壁部の裏側に引掛かった状態の前記上向きの引掛部が該壁部から外れない範囲内に規制する規制部材を前記ケースに脱着可能に設けてあることを特徴とする水栓装置における蓋体の取付構造。
【請求項6】
請求項5において、前記規制部材が、前記ケースの底壁の下側から該底壁を貫通して上向きにねじ込まれ、該底壁から上向きに突出したストッパ部を前記支持棒に対して該支持棒に固定の部材を介し間接に若しくは直接に当接させることによって、該支持棒の移動を規制するストッパボルトであることを特徴とする水栓装置における蓋体の取付構造。
【請求項7】
ケース付きの水栓装置の該ケースの部分開口を開閉する蓋体を脱着可能に取り付ける蓋体の取付方法であって
前記蓋体の裏面の上部には上向きの引掛部を、該裏面の下部には下向きの引掛部をそれぞれ設けるとともに、該ケースには前記蓋体を下側から支持し且つ前記下向きの引掛部を引掛ける支持棒を上下に移動可能に横設するとともに、該支持棒を上向きに付勢する弾性部材を設け、
前記下向きの引掛部を該支持棒に前後方向に位置固定に引掛けた状態で前記弾性部材を弾性変形させつつ前記蓋体を該支持棒とともに下向きに押し下げ、しかる後該蓋体の上端を前記部分開口における上側の内端縁に対して上向きに対向させた状態で下向きの押下力を除き、前記弾性部材の付勢力で該蓋体の上端を該内端縁に当接させ、且つ前記上向きの引掛部を前記部分開口の上側で該部分開口周りの壁部の裏側に前後方向に位置固定に引掛ける状態に該蓋体を取り付けることを特徴とする水栓装置における蓋体の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−213866(P2009−213866A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226517(P2008−226517)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】