説明

水検出用組成物、および水検出用インジケーター

【課題】青ゲルに代わる新規な水検出用組成物と、この水検出用組成物を利用して構成された水検出用インジケーターを提供すること。
【解決手段】本発明の水検出用組成物は、ポルフィリンを第1の成分、「アルカリ金属の無機酸塩、アルカリ土類金属の無機酸塩、Alの無機酸塩、無機酸、および有機酸」の中から選ばれる1種または2種以上を第2の成分として、これら第1の成分および第2の成分を含有する。第1の成分としてテトラフェニルポルフィリン、第2の成分として塩化カルシウムを用いてサンプルを調製し、発色試験を行ったところ、サンプルに水を加えることにより、緑色から赤茶色に変色することが確認された。また、このサンプルを100℃に加熱すると再び緑色に戻り、可逆性が有ることも確認された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水検出用組成物、および水検出用インジケーターに関する。
【背景技術】
【0002】
吸湿(吸水)度合の目安として使用される湿度インジケーターとしては、従来、塩化コバルトを担持させたシリカゲルが知られている(例えば、非特許文献1参照)。この塩化コバルト担持シリカゲルは、一般に青ゲルと呼ばれ、湿度インジケーターとして広く使用されている。しかし、公知の「青ゲル」は、用途によっては必ずしも使いやすい訳ではなく、市場では、青ゲルに代わる新たな湿度インジケーターを求める声が高まっていた。
【0003】
こうした市場の声に応えるべく本件発明者は、金属軸配位子を有するポルフィリンを原料とする新規な水検出用組成物を開発し、既に提案している(下記特許文献1参照)。
【非特許文献1】「シリカゲル試験方法 JIS K 1150−1994」、平成6年8月1日制定、日本工業標準調査会審議、日本規格協会発行、「5.13 青ゲルの変色域」
【特許文献1】特開2007−10642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術においては、金属軸配位子を有するポルフィリンを原料とすることから、この原料を製造する工程に相応の手間がかかるため、さらに簡便な製法で、青ゲルに代わる新たな湿度インジケーターを製造したいという要望があった。
【0005】
このような背景の下、本件発明者はさらに検討を重ね、金属軸配位子構造を持たないポルフィリンを原料にしても、特定の成分と共存させれば、湿度変化に応じて鋭敏な変色が発現し、湿度インジケーターとして利用できることを見いだした。
【0006】
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、その目的は、金属軸配位子を有するポルフィリンを原料とする従来製法より簡便な製法で製造可能な水検出用組成物と、この水検出用組成物を利用して構成されており、青ゲルに代わりに利用可能な水検出用インジケーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明において採用した特徴的構成について説明する。
本発明の水検出用組成物は、下記一般式(1)(ただし、R1は水素またはこの水素と置換し得る任意の置換基)で表されるポルフィリンを第1の成分、「アルカリ金属の無機酸塩、アルカリ土類金属の無機酸塩、Alの無機酸塩、無機酸、および有機酸」の中から選ばれる1種または2種以上を第2の成分として、前記第1の成分および前記第2の成分を含有することを特徴とする。
【0008】
【化1】

上記一般式(1)中、R1は、水素またはこの水素と置換し得る任意の置換基である。この置換基は、水検出用組成物としての作用を阻害しない基であれば何でもよいが、製造しやすさ、安定性などを考慮すると、このR1については、置換基を有していてもよいフェニル基であると望ましい。なお、フェニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ホルミル基、フェニル基、アシル基、ニトロ基などを挙げることができる。このR1は、上述した置換基いずれを組み合わせてもよい。また、当該化合物を溶解させる溶媒は限定しないが、クロロホルムを用いるのが望ましい。
【0009】
また、第2の成分として、アルカリ金属の無機酸塩、アルカリ土類金属の無機酸塩、Alの無機酸塩を利用する場合、無機酸としては、塩酸、硫酸、あるいは硝酸を用いることができる。中でも塩酸、または硫酸を用いると、硝酸を用いた場合に比べ、吸湿に伴う発色変化が大きくなる傾向があるので好ましい。また、アルカリ土類金属の中では、CaまたはMgを用いると吸湿に伴う発色変化が大きくなる傾向があるので好ましい。
【0010】
また、第2の成分としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸を用いてもよく、あるいは、カルボキシ基またはスルホ基を有する有機酸を用いてもよい。このような有機酸の代表的な例としては、酢酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸などを挙げることができ、これらいずれの有機酸を用いてもよい。また、このような有機酸の中でも、特にパラトルエンスルホン酸(PTSA)は、両親媒性化合物であり、ポルフィリン溶液に対する分散性が向上する点で特に望ましい。これら第2の成分は、1種だけを用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
以上のように構成される本発明の水検出用組成物によれば、吸湿あるいは水との接触に伴って発色変化を起こすので、例えば、この水検出用組成物を吸湿性のある担体に担持させることにより、湿度インジケーターとして利用することができる。あるいは、吸水性のある担体に担持させることにより、漏水インジケーターとして利用することもできる。
【0012】
これらの湿度インジケーターや漏水インジケーター(以下、水検出用インジケーターと総称する。)を構成するために用いる担体が、どの程度の吸湿性や吸水性を備えるべきかは、検知すべき湿度や水の形態(水蒸気、水)によっても変わるので一概には特定できないが、一例として、湿度インジケーターとしての好ましい具体例を挙げれば、例えば、「JIS Z0701 4.1吸湿性試験」において相対湿度20%における吸湿率が0.5%以上、相対湿度50%における吸湿率が1.0%以上、相対湿度90%における3.0%以上となるような担体が望ましい。特に、無機多孔質担体であると好ましく、中でも、無色の担体の方が吸湿に伴う発色変化を確認しやすいので、その点、シリカゲルが望ましい。
【0013】
このようなシリカゲルは、粒状物として形成されたものであればよい。あるいは、このようなシリカゲルを含有する流動性組成物を、紙やその他の担体にしみこませたりコーティングしたりすることによって吸湿性のある担体を構成してもよい。
【0014】
さらに、公知の湿度インジケーターである青ゲルとの比較で言えば、近年、コバルトおよびその化合物は、人の健康や生態系に有害なおそれがある物質として、化学物質把握管理促進法において第一種指定化学物質に選ばれており、塩化コバルトに代わる、より安全な物質へのニーズが高まっている。
【0015】
その点、本発明の水検出用組成物であれば、第一種指定化学物質を利用しなくてもよいので、人の健康や生態系への悪影響が少なく、安全性が高い水検出用インジケーターを提供することも可能である。
【0016】
また、本発明の水検出用組成物であれば、上記特許文献1とは異なり、軸配位子構造を持たないポルフィリンを原料としているので、金属軸配位子構造を有するポルフィリンを原料とする製法に比べ、製造工程が複雑化せず、より簡素な工程にて最終製品を得ることができる。
【0017】
より具体的な例を交えて説明すれば、例えば、テトラフェニルポルフィリンは、リンポルフィリン2塩化物の前駆体であり、リンポルフィリン2塩化物よりも簡素な製造工程で製造できるので、その分だけ製造工程を簡素化でき、最終製品の製造に要するコストの削減を行う事が可能である。
【0018】
加えて、第2の成分としてパラトルエンスルホン酸を利用すれば、パラトルエンスルホン酸が両親媒性化合物であることから、ポルフィリン溶液に対する分散性を向上させることができるので、より均一に第1,第2の成分が混合され、良好な変色性能を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について、具体的な例を挙げて説明する。
[第1実施形態]
テトラフェニルポルフィリン(ポルフィリンシステムズ社製)0.42gを、クロロホルム1L中に溶解させて、ポルフィリンクロロホルム溶液を得た。このポルフィリンクロロホルム溶液を、トルエン4L中に入れて撹拌した。
【0020】
その後シリカゲル(比表面積280m2/g、細孔容積1.0ml/g、粒子径1.70−4.00mm)1kgを加え、時々撹拌を行いながら一晩放置した。放置後、蒸留装置に移して蒸留を行い、クロロホルムを除去した。クロロホルム除去後3時間還流を行い、放冷後、脱液を行い、110℃で24時間乾燥を行った。
【0021】
乾燥品1kgを5Lのアセトンで洗浄、脱液後、70℃、24時間乾燥を行った。その後、得られたポルフィリン担持シリカゲルを1重量%塩化カルシウム水溶液2.5L中に加え、水切り、100℃にて乾燥(処理)を行いサンプルとした。この時のテトラフェニルポルフィリンの添加量は、シリカゲル1g対し420μg、塩化カルシウム添加量は0.01gである。
【0022】
得られたサンプルに水を加えることにより、緑色から赤茶色に変色することが確認された。また、このサンプルを100℃に加熱すると再び緑色に戻り、可逆性が有ることも確認された。
【0023】
[第2実施形態]
テトラフェニルポルフィリン(ポルフィリンシステムズ社製)0.05gをクロロホルム500ml中に溶解させ、ポルフィリンクロロホルム溶液を得た。また、JIS A形球状シリカゲル(粒子径1.70−4.00mm)200gを用意し、このJIS A形球状シリカゲルに対し、上記ポルフィリンクロロホルム溶液84mlをスプレー噴霧によって噴霧した。なお、噴霧の際には、吸着熱のショックでシリカゲルが割れないように注意深く噴霧した。
【0024】
噴霧後は、100℃にて乾燥を行い、放冷した。続いて、上記噴霧処理後のシリカゲルに対し、さらに1重量%塩化カルシウム溶液84mlを噴霧して、再び100℃にて乾燥を行い、放冷し、サンプルとした。以上の工程によって得られたサンプルは、シリカゲル1gに対するテトラフェニルポルフィリンの添加量が42μg、塩化カルシウムの添加量が4.2mgというものであった。
【0025】
次に、得られたサンプルを「JIS Z0701 包装用乾燥剤シリカゲル吸湿率測定」の項目に従い、RH(相対湿度)20%、RH50%、RH90%の各条件にて48時間曝露させて色変化を追跡した。その結果、RH20%では緑色、RH50%では茶色がかった緑、RH90%では茶色となる、段階的な変色が確認された。
【0026】
また、このサンプルを再び100℃にて乾燥させると緑色に戻り、再び吸湿率測定試験を行ったところ、初回と同様にRH20%、50%、90%に依存した段階的な発色が確認され、可逆性を持ち合わせていることが確認された。
【0027】
このサンプルの初回吸湿時と再乾燥後の吸湿時に測定された吸着等温線を図1に示す。また、図1には、塩化コバルト担持シリカゲル(青ゲル)の代表物性値、および、担体として用いたAタイプ球状シリカゲルも併記する。
【0028】
吸着特性については、青ゲルの代表物性値と遜色ない吸着等温線が得られたことより、同等の吸着能力を有していることが確認された。また、再乾燥したものについても同様な結果が得られたことより、再乾燥による劣化が無いことが確認され、このことにより青ゲルとほぼ同様な吸着性能を持ち合わせていることが確認された。
【0029】
[第3実施形態]
テトラフェニルポルフィリン(ポルフィリンシステムズ社製)0.05gをクロロホルム500ml中に溶解させ、ポルフィリンクロロホルム溶液を得た。さらに、このポルフィリンクロロホルム溶液中を攪拌しながら、1重量%塩化カルシウム水溶液10mlを添加してポルフィリン/クロロホルム−塩化カルシウム/水エマルションを調製した。
【0030】
JIS A形球状シリカゲル(粒子径1.70−4.00mm)200gを用意し、このJIS A形球状シリカゲルに対し、上記ポルフィリン/クロロホルム−塩化カルシウム/水エマルション84mlをスプレー噴霧により噴霧した。なお、噴霧の際には、シリカゲルが吸着熱のショックにて割れないように注意深く噴霧した。
【0031】
噴霧後は、100℃にて乾燥を行い、放冷し、サンプルとした。以上の工程によって得られたサンプルは、シリカゲル1gに対するテトラフェニルポルフィリンの添加量が41μg、塩化カルシウムの添加量が83μgというものであった。
【0032】
得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、第2実施形態と同様に、RH20%では緑色、RH50%では茶色がかった緑、RH90%では茶色となる、段階的な変色が確認された。
【0033】
このサンプルの初回吸湿時と再乾燥後の吸湿時に測定された吸着等温線を図2に示す。また、図2には、塩化コバルト担持シリカゲル(青ゲル)の代表物性値、および、担体として用いたAタイプ球状シリカゲルも併記する。吸着特性についても、第2実施形態と同様の結果が得られ、青ゲルと同等の吸着能力を有していること、再乾燥による劣化が無いことが確認された。
【0034】
さらに、上記第2実施形態においては、ポルフィリンをシリカゲルに担持させた後で、塩化カルシウムを担持させていたのに対し、この第3実施形態においては、ポルフィリンと塩化カルシウムとを混合してから、シリカゲルに担持させているが、どちらも湿度に応じた変色を示し、その発色は塩化カルシウムの添加時期にはとらわれないことが確認された。
【0035】
[第4実施形態]
テトラフェニルポルフィリン(ポルフィリンシステムズ社製)0.1gをクロロホルム200ml中に溶解させ、ポルフィリンクロロホルム溶液を得た。このポルフィリンクロロホルム溶液中に、1重量%塩化カルシウム溶液10mlを添加後、攪拌を行い、溶液中に均一に分散させ、ポルフィリン/クロロホルム−塩化カルシウム/水エマルションを調製した。
【0036】
JIS A形球状シリカゲル(平均粒子径1.70−4.00mm)200gを用意し、このJIS A形球状シリカゲルに上記ポルフィリン/クロロホルム−塩化カルシウム/水エマルションを攪拌しながら添加後、一晩浸漬して、シリカゲルに含浸させた。水切り後、100℃にて乾燥を行い、放冷し、割れたシリカゲルを取り除いて、サンプルとした。
【0037】
以上の工程によって得られたサンプルは、シリカゲル1gに対するテトラフェニルポルフィリンの添加量が190μg、塩化カルシウム添加量が190μgとなるものであった。得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、RH20%では緑、RH50%では茶色、RH90%では赤茶色に発色することが確認され、吸着性能に関しても従来の塩化コバルト担持シリカゲルと遜色無い性能が確認された。
【0038】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第5実施形態]
球状シリカゲル(比表面積600m2/g、細孔容積0.6ml/g、粒子径1.70−4.00mm)25gを用意し、この球状シリカゲルに対し1重量%塩化カルシウム水溶液15mlを混合攪拌後、180℃にて乾燥させ、塩化カルシウム担時シリカゲルを調整した。
【0039】
テトラフェニルポルフィリン(ポルフィリンシステムズ社製)1.25mgを15mlクロロホルムに溶解させ、テトラフェニルポルフィリンクロロホルム溶液を得た。上記ポルフィリンクロロホルム溶液を、先に調整した塩化カルシウム担時シリカゲル25gに、16ml添加させ、混合撹拌後、100℃にて乾燥を行いサンプルとした。
【0040】
得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、第2実施形態と同様に、RH20%では緑色、RH50%では桃色がかった緑、RH90%では桃色となる、段階的な変色が確認された。また、このサンプルを再び100℃にて乾燥させると緑色に戻り、再びRH試験を行ったところ、初回と同様にRHに依存した段階的な発色が確認され、可逆性を持ち合わせていることが確認された。
【0041】
[第6実施形態]
テトラフェニルポルフィリン(ポルフィリンシステムズ社製)1.25mgを15mlクロロホルムに溶解させ、テトラフェニルポルフィリン−クロロホルム溶液を得た。このポルフィリン−クロロホルム溶液を攪拌しながら、に20重量%塩化カルシウム溶液1mlを添加してポルフィリン/クロロホルム−塩化カルシウム/水エマルションを調製した。
【0042】
球状シリカゲル(比表面積600m2/g、細孔容積0.6ml/g、粒子径1.70−4.00mm)25gを用意し、この球状シリカゲルに対し上記ポルフィリン/クロロホルム−塩化カルシウム/水エマルション16mlを攪拌しながら添加して、混合撹拌後、100℃にて乾燥を行いサンプルとした。
【0043】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
また、吸湿率測定前、吸湿率測定後のサンプルについて吸収スペクトルを測定し検討を行った。結果を図3に示す。図3からは、波長515nm付のピークが発現していること、560nm付近のピークが長波長側にシフトしていることが確認されるとともに、650nm付近のピークが吸湿により減少していることが確認された。このスペクトル変化が変色の原因であることが本測定より示唆される。
【0044】
[第7実施形態]
塩化カルシウムに代えて、塩化マグネシウムを用い、条件は第1実施形態−第6実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0045】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第8実施形態]
テトラフェニルポルフィリン(ポルフィリンシステムズ社製)1.25mgを15mlクロロホルムに溶解させ、テトラフェニルポルフィリンクロロホルム溶液を得た。このポルフィリンクロロホルム溶液を攪拌しながら0.5mol/L塩酸水溶液1mlを添加してポルフィリン/クロロホルム−塩酸溶液を調製した。球状シリカゲル(比表面積600m2/g、細孔容積0.6ml/g、粒子径1.70−4.00mm)25gを用意し、この球状シリカゲルに対し上記ポルフィリンクロロホルム−塩酸溶液16mlを攪拌しながら添加して、混合撹拌後、100℃にて乾燥を行いサンプルとした。
【0046】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
また、吸湿率測定前、吸湿率測定後のサンプルについて吸収スペクトルを測定し検討を行った。結果を図4に示す。図4においても、吸湿に伴うスペクトル変化が確認され、この変化が変色の原因であることが示唆される。
【0047】
[第9実施形態]
クロロホルムをメタノールに代えて、第8実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0048】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第10実施形態]
クロロホルムをエタノールに代えて、第8実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0049】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第11実施形態]
第8実施形態において、塩酸を硫酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0050】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第12実施形態]
第9実施形態において、塩酸を硫酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0051】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第13実施形態]
第10実施形態において、塩酸を硫酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0052】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第14実施形態]
第8実施形態において、塩酸を硝酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0053】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第15実施形態]
第9実施形態において、塩酸を硝酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0054】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第16実施形態]
第10実施形態において、塩酸を硝酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0055】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第17実施形態]
第8実施形態において、塩酸をパラトルエンスルホン酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。なお、パラトルエンスルホン酸は、両親媒性化合物であり、ポルフィリン溶液に対する分散性が向上するので、より均質な最終組成物を得ることができる。
【0056】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第18実施形態]
第9実施形態において、塩酸をパラトルエンスルホン酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0057】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第19実施形態]
第10実施形態において、塩酸をパラトルエンスルホン酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0058】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第20実施形態]
第8実施形態において、塩酸を酢酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0059】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第21実施形態]
第9実施形態において、塩酸を酢酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0060】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第22実施形態]
第10実施形態において、塩酸を酢酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0061】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第23実施形態]
第8実施形態において、塩酸をギ酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0062】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第24実施形態]
第9実施形態において、塩酸をギ酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0063】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第25実施形態]
第10実施形態において、塩酸をギ酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0064】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第26実施形態]
第8実施形態において、塩酸をクエン酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0065】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第27実施形態]
第9実施形態において、塩酸をクエン酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0066】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第28実施形態]
第10実施形態において、塩酸をクエン酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0067】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第29実施形態]
第8実施形態において、塩酸をシュウ酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0068】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第30実施形態]
第9実施形態において、塩酸をシュウ酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0069】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[第31実施形態]
第10実施形態において、塩酸をシュウ酸に変え、実施形態と同様の条件、手順にてサンプルを得た。
【0070】
以上の工程によって得られたサンプルについて、上記第2実施形態と同様の試験を行ったところ、吸湿に伴う発色の変化が確認された。
[変形例等]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
【0071】
例えば、上記実施形態では、担体として特定の物性を持つシリカゲル(例えば、JIS A形球状シリカゲル等)を例示したが、シリカゲルの物性、形状については特に限定されず、比表面積:10−800m2/g、細孔容積:0.2−2.0ml/gなどのシリカゲルを任意に担体として利用することができる。
【0072】
また、担体はシリカゲルに限定されるものでもなく、他の無機多孔質体に上記テトラフェニルポルフィリンと上記第2の成分となる物質(例えば、無機酸塩、無機酸、有機酸など)を担持させてもよい。
【0073】
あるいは、水検出用インジケーターの用途によっては、シリカゲルを含有する流動性組成物を、紙やその他の担体にしみこませたりコーティングしたりすることによって吸湿性のある担体を構成し、このような吸湿性担体に上記テトラフェニルポルフィリンと上記無機酸塩を担持させてもよい。さらに、吸湿性のある紙であれば、その紙がシリカゲルやその他の無機多孔質担体を含有していなくても、担体として用いることができる。
【0074】
また、上記実施形態では、担体に第1,第2の成分を担持させる方法として、含浸法(例えば第1実施形態)およびスプレー噴霧法(例えば第2実施形態)を例示したが、他の方法で担持させても構わない。
【0075】
また、上記実施形態では、第1,第2の成分の担持量を具体的に例示したが、この担持量については、有意な変色を示すような担持量であれば任意に変更可能である。
さらに、上記実施形態では、第1の成分として、テトラフェニルポルフィリンを例示したが、テトラフェニルポルフィリンの持つ4つのフェニル基は、水検出用組成物としての機能を阻害しない基であれば、他の官能基で置換してもよい。
【0076】
具体的には、ポルフィリン錯体の製造しやすさ、安定性などを考慮すると、置換基を有していてもよいフェニル基であると望ましい。なお、フェニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ホルミル基、フェニル基、アシル基、ニトロ基などを挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第2実施形態で示したサンプルの吸着等温線を示すグラフ。
【図2】第3実施形態で示したサンプルの吸着等温線を示すグラフ。
【図3】第6実施形態で示したサンプルの吸収スペクトルを示すグラフ。
【図4】第8実施形態で示したサンプルの吸収スペクトルを示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)(ただし、R1は水素またはこの水素と置換し得る任意の置換基)で表されるポルフィリンを第1の成分、「アルカリ金属の無機酸塩、アルカリ土類金属の無機酸塩、Alの無機酸塩、無機酸、および有機酸」の中から選ばれる1種または2種以上を第2の成分として、前記第1の成分および前記第2の成分を含有する
ことを特徴とする水検出用組成物。
【化1】

【請求項2】
前記第2の成分は、「Caの塩化物、Caの硫酸塩、Caの硝酸塩、Mgの塩化物、Mgの硫酸塩、およびMgの硝酸塩」の中から選ばれる1種または2種以上を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の水検出用組成物。
【請求項3】
前記第2の成分は、「塩酸、硫酸、および硝酸」の中から選ばれる1種または2種以上を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の水検出用組成物。
【請求項4】
前記第2の成分は、カルボキシ基またはスルホ基を有する有機酸を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の水検出用組成物。
【請求項5】
前記第2の成分は、「酢酸、ギ酸、クエン酸、およびシュウ酸」の中から選ばれる1種または2種以上を含有する
ことを特徴とする請求項4に記載の水検出用組成物。
【請求項6】
前記第2の成分は、パラトルエンスルホン酸を含有する
ことを特徴とする請求項4に記載の水検出用組成物。
【請求項7】
請求項1−請求項3のいずれかに記載の水検出用組成物を、吸湿性のある担体に担持させてなることを特徴とする水検出用インジケーター。
【請求項8】
前記担体が、無機多孔質担体であることを特徴とする請求項7に記載の水検出用インジケーター。
【請求項9】
前記無機多孔質担体が、シリカゲルであることを特徴とする請求項8に記載の水検出用インジケーター。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−48615(P2010−48615A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211885(P2008−211885)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000237112)富士シリシア化学株式会社 (38)
【Fターム(参考)】