説明

水洗トイレシステム

【課題】家庭用の水洗トイレシステムにおいて、独立した男子小便用の便器を設けることなく、通常の西洋式の大便器を用いて、しかも男子小便時の小便の便鉢外への飛散を防止し、小便が円滑に便鉢内に収容できるようにする。その際、非衛生的なガイド板やガイド筒などは付加しない。
【解決手段】便鉢回動手段を用いて便鉢を便器基部に対して回動させ、男子大便用及び女子大小便用の位置では通常の西洋式の大便器となり、男子小便用の位置では男子用小便器となり、便鉢下部と排水部が水密且つ回動可能なジョイントにて接続されている水洗トイレシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水タンクと便器と便座とトラップのある排水部を有する水洗トイレシステムであって、便器部分が便鉢と基部の2部分よりなり、便鉢と基部の接続部分に便鉢回動手段が設けられ便鉢が基部に対して回動可能に構成されており、使用者が位置する側を前方とした場合に、男子大便用及び女子大小便用の位置にては便鉢が前方に延伸された形態となり、男子小便用の位置にては、便鉢が上方に延伸された形態となり、便鉢底部と排水部が水密且つ回動可能なジョイントにて接続されていることを特徴とする水洗トイレシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用の水洗トイレシステムは、少なくとも給水タンクと便器と便座と排水部を有し、便器の形態は使用者が位置する側を前方とした場合に、便鉢が前方に延伸された所謂腰掛式便器、又は西洋式便器と呼ばれるものが通常に用いられ、男子大便及び女子大小便にては、使用者は便器の便鉢上に載置された便座に跨って用を足し、また男子小便の場合には、使用者は水洗トイレシステムに対面して立ち、便座を上方に回動起立させて便鉢を露出させて用を足すという形態をとるのが常であった。あるいは稀に和式便器を採用する家庭もあるが、その割合は、現在では非常に少ないものとなっている。
【0003】
昔の家庭においては、トイレ内部に所謂大便器と小便器の双方を設置し、男子大便用及び女子大小便用には大便器を、男子小便用には小便器を用いるように設計された例も多かったが、住宅事情が厳しさを増してトイレ空間も狭小化を余儀なくされる現代においてはそのようなゆとりはないのが通常であり、所謂西洋式の大便器一つで男子大便用と女子大小便用、男子小便用を兼用せざるを得ないのが実情である。
【0004】
このような家庭用の水洗トイレシステムにおいては、男子大便及び女子大小便の際には問題は生じないが、男子小便の際には、射出された小便が便鉢内部に完全に収容される場合は良いが、狙いがうまく定まらなかった場合には、便鉢の周囲のリム部分に衝突してこの部分を汚染し、さらに甚だしくは、リム部分に衝突した小便が跳ね返って便鉢をそれて周辺に飛び散ったり、最も極端な場合には、小便束自体が便鉢以外の場所に射出されてトイレ内部を甚だしく汚染するという事態もままあった。
【0005】
特に、オムツが取れて間もない低年齢の男子の場合には、狙いを定める行為に慣れていないゆえに、小便を便鉢のリム部分に射出したり、さらには便鉢以外の所に漏らす事態まで頻繁に見られ、その都度母親あるいは父親がトイレ内部を清掃しなければならず、育児ストレスの一因ともなっていた。なお、上記にて、「便鉢」という言葉を用いているが、これは便器上部の、使用者の大小便が収容される椀状の部分を指している。これに対し、便器という言葉は、該便鉢と、床に固定される裾部分と、内部の排水部の全てを含んだ意味にて用い、通常は、便鉢と裾部と排水部が一体として便器を構成している。なお、給水タンクは通常は便器には含まれない独立した構成として扱われる。
【0006】
スペースの狭小な家庭用水洗トイレシステムにおいて上記問題の解決を試みた発明、考案は多々見られるが、それらには、大別して2つの傾向性がある。その一つは、狭いスペースに大便器と小便器の2種類の便器をレイアウトしようとするものであり、いまひとつは、大便器だけを設置するが、さまざまな工夫をもって射出された小便が便鉢内部にのみ収容されるように試みるものである。
【0007】
下記特許文献のうち、文献1と文献6は一つ目の傾向性、すなわち狭いスペースに大便器と小便器の2種類の便器をレイアウトしようとするものであり、文献2、4、5は二つ目の傾向性、すなわち大便器だけを設置するが、さまざまな工夫をもって射出された小便が便鉢内部にのみ収容されるように試みるものである。また、文献3は両者の中間的な性格を有する。
【0008】
まず、下記特許文献1の「回転軸に排水路を有する回転型小便器格納ユニット」は、西洋式の大便器の上に男子小用専用の小便器を取り付け、この小便器を回動可能とすることにより、男子大便又は女子大小便の場合には小便器を水平に略90°回動させて大便器を露出させるものである。
【0009】
しかしながら、この方式にては、たとえ回動させたとしても、大便器使用の場合には明らかに小便器が邪魔になり、且つ又回動させた小便器を位置させる余分なスペースが必要となるので、家庭用の狭小なトイレ空間には明らかに不向きである。また、必然的に小便器の位置が高くならざるを得ず、成人男子には都合が良いが、低年齢の男子児童には実質的に使用不能である。
【0010】
次に、下記特許文献2の「洋式トイレ」は、形状は全く通常の西洋式の大便器と異なるところはなく、ただ、男子小用時に便蓋と便座を後方に回動起立させた際に、便蓋と便座の裏面を覆う補助板も共に起立するようにして、便蓋と便座の裏面には小便がかからないように構成するものである。
【0011】
このような補助板を設けることにより、確かに便蓋と便座の裏面は汚染から保護されるかもしれないが、しかし側方に反れる小便に対しては全く無防備である。また、男子大便及び女子大小便時に便座を下ろすと補助板が便器内部に収容される形態となり、男子の大便や女子の大小便が補助板に直接触れることとなって、この点は極めて不衛生的であり、且つ使用者に与える印象も非常に不快なものとならざるを得ない。
【0012】
次に、下記特許文献3の「男性放尿用ガイド器具」も、下記特許文献2と同じく、通常の西洋式の大便器に、男子小用の際に機能させる付属品を装着させるものである。すなわち、便蓋裏に折畳み式の補助具を設け、男子小用の際には起立せる便蓋から該補助具を略水平に突出させ、先端のリング状部分に円錐形状のガイド筒を装着し、ガイド筒の上端拡径部を男性生殖器の先端部近傍に位置させて生殖器先端部から射出される小便をガイド筒内部に導き、ガイド筒の下端縮径部より大便器内部に垂下せしめんとする構成である。
【0013】
しかしながら、この発明の場合には、非使用時に小便で汚染されたガイド筒をどのように収納するかが困難な問題として残る。明細書には使い捨てでも良い旨記載されているが、男子小用の度に使い捨てとするのは資源保護の観点からも非現実的であり、またガイド筒自体の寸法も30cm前後にはなると考えられるところから、遺棄するための方法や遺棄場所も問題となる。特に、小便で汚染されているので、通常のゴミと同様の扱いもなし難い。
【0014】
さらに、この発明においては、使用者の生殖器の先端部の位置の差によってガイド筒を多種類用意しなければならないという不便さがある。すなわち、男性生殖器の先端部から射出される小便を完全にガイド筒内に導くためには、男性生殖器の先端部とガイド筒の拡径部上端の位置関係が適合しておらねばならず、夫々の使用者の男性生殖器の先端部の位置にピタリと適合するガイド筒を用意しなければならない。
【0015】
例えば、家族中の男性として、父親と中学生の長男と小学校低学年の次男がいる場合に、3人の男性の生殖器の先端部の位置の差を考えると、到底1種類のガイド筒を共用できるとは考えられない。したがって、3本のガイド筒の収納場所を考えねばならないし、使い捨ての場合にも、購入量も遺棄量も3倍になり、全く非現実的といわねばならない。
【0016】
また、たとえ生殖器の先端部の位置に適合したガイド筒を用いるとしても、万一射出された小便がガイド筒の拡径上端部から逸れた場合、ガイド筒の辺縁部に衝突して跳ね返り、周囲を大幅に汚染するのみならず、使用者の身体までも汚染されることになりかねず、まことに重大な事態を招来する。特に、低年齢の児童などでは、ガイド筒の拡径上端部にきちんと狙いを定めて小便を射出することが確実にはでき難いと思われるので、この点からも余り現実的であるとは言い難い。
【0017】
次に、下記特許文献4の「汚れにくい回転式兼用便器」は、西洋式の大便器の後方に回転軸を設け、便座と湾曲した小便用ガードフェンスを前後方向に対となるように装着し、男子大便時及び女子大小便時には便座を便器上部に位置させ、男子小便時には回転軸を中心にして180°回動させて小便用ガードフェンスを便器後部に立設させるものである。
【0018】
しかしながら本発明においては、便器後方に広いスペースが必要であり、多くの家庭用の水洗トイレにおいては、便器後方にロータンクを位置させていることを考えると、通常の家庭用の水洗トイレシステムとしてはとても導入できないものである。また、小便に汚染された小便用ガードフェンスが常に露出されたままの状態であって、非常に不衛生的であり、且つ使用者の不快感も大きなものであると考えられる。
【0019】
次に、下記特許文献5の「男子小便用補助具」は、下記特許文献2の「洋式トイレ」と同様の発想で、通常の西洋式の大便器を用い、男子小便時には便座と便蓋の裏面を保護する膜体が展開されて便座と便蓋の裏面が小便によって汚染されるのを防止するという構成となっている。即ち、下記特許文献2における板状の「補助具」を膜体に置換したものであると考えられる。
【0020】
しかしながら、やはり下記特許文献2同様、側方への小便の飛散は防止できず、また、男子大便時及び女子大小便時には膜体が便器内部に収容される構造であるので、男子の大便や女子の大小便が膜体と接触することとなり、非常に非衛生的で、かつ使用者にも不快感を与えるものであることは否めない。
【0021】
最後に、文献6の「用途切り替え複合型便器」は、水洗トイレシステム全体を載置可能な巨大な回転盤を用い、西洋式の大便器と、これに直角方向に配置された小便器を、回転盤を回転させることにより使用者に対して適切な位置となるように構成するものである。
【0022】
しかしながら、この発明においては、西洋式の大便器と小便器とロータンクのすべてが載置できる回転盤が必要であり、これを実現するためには相当広いスペースが必要で、到底通常の家庭のトイレ空間に収容可能なものではない。また、回転盤に載置される西洋式の大便器と小便器とロータンクの合計重量は、ロータンク内の水も含めてかなりのものとなると考えられるので装置が大掛かりになり、この点からしても、家庭用の水洗トイレシステムとしては導入困難といわねばならない。
【特許文献1】特開平10−219800号公報
【特許文献2】特開2001‐140328号公報
【特許文献3】特開2001‐161734号公報
【特許文献4】特開2002‐61263号公報
【特許文献5】特開2003‐74106号公報
【特許文献6】特開2004‐156410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
叙上より、本発明の解決すべき課題を以下のように設定した。
<課題1>
家庭用の水洗トイレシステムにおいて、独立した男子小便用の便器を設けることなく、通常の西洋式の大便器を用いて、しかも男子小便時の小便の便鉢外への飛散を防止し、小便が円滑に便器の便鉢内に収容できるようにする。
<課題2>
その際、ガイド板やガイド筒などの構成を付加することによって男子小便を便鉢内にガイドするという方法は採らない。
【0024】
上記課題1は、あくまで家庭用の水洗トイレシステムとして適合する範囲にて課題を解決するという方向性を明確にするために設けられたものである。すなわち、上記特許文献1、6のように独立した男性用小便器を設ければ、飛散防止の目的はかなり解決される。つまり、男性用小便器は便鉢に男性生殖器を近接させて用いることができるように設計されている結果、飛散防止の目的が達成されるのである。しかし、上記特許文献1、6のような発明は、叙上のように通常の家庭のトイレスペースでは実現不可能なものであるし、また、男性用小便器の位置が高いので低年齢の児童には生殖器と便鉢の位置が遠くなり、飛散防止には役立たない。またシステム全体が大掛かりになるので、この点からも非現実的なものとならざるを得ない。
【0025】
上記課題2は、ガイド板やガイド筒などの付属品を用いた場合、それらの付属品自体が小便で汚染されているので、非使用時の収納に困るという点から設けられたものである。現実に、このような付属品を用いて課題を解決した商品が市場に出回っていないという点から考えても、このような付属品を用いて小便の飛散防止を図るという発想は、特に商品としては可能性の薄いものであることは明らかであると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、以下に示す解決手段を提供するものである。
<解決手段1>
給水タンクと便器と便座とトラップのある排水部を有する水洗トイレシステムであって、便器部分が便鉢と基部の2部分よりなり、便鉢と基部の接続部分に便鉢回動手段が設けられ便鉢が基部に対して回動可能に構成されており、使用者が位置する側を前方とした場合に、男子大便用及び女子大小便用の位置にては便鉢が前方に延伸された形態となり、男子小便用の位置にては、便鉢が上方に延伸された形態となり、便鉢底部と排水部が水密且つ回動可能なジョイントにて接続されていることを特徴とする水洗トイレシステム。
<解決手段2>
便鉢底部と排水部を接続する水密且つ回動可能なジョイントが、スイベルジョイントあるいはロータリージョイントであることを特徴とする解決手段1に記載の水洗トイレシステム。
<解決手段3>
便鉢と基部の接続部分に設けられた便鉢回動手段がボールベアリング機構であることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2に記載の水洗トイレシステム。
<解決手段4>
給水タンクがロータンクであり、内部が第1タンクと第2タンクの2部分に分割され、満水状態にて第1タンクの水位が第2タンクの水位より低くなるように構成されており、第1タンクの洗浄水を便鉢に給水する給水管が、便鉢が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合における便鉢の底部近傍に接続されて該接続部分から便鉢前方部壁部に設けられた空洞部に給水され給水された洗浄水が便鉢前方部のリム部に穿設された小孔から便鉢内壁に給水されるように構成され、第2タンクの洗浄水を便鉢に給水する給水管が、便鉢が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合における便鉢の後端部近傍に接続されて該接続部分から便鉢後方部壁部に設けられた空洞部に給水され給水された洗浄水の一部が便鉢後方の上部から中部に穿設された小孔及び便鉢後方部の空洞部下端部に設けられた小孔から便鉢内壁に給水されるように構成されていることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3に記載の水洗トイレシステム。
<解決手段5>
便座がクランクを介して便器の基部の上部に連結されており、クランクのロッドが便器の基部の上部に対して回動可能であると同時に、便座がクランクのロッドに対して回動可能であることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3あるいは解決手段4に記載の水洗トイレシステム。
<解決手段6>
便座の略全体を蔽覆可能な便蓋を有し、該便蓋がクランクを介して便器の基部の上部に連結されており、クランクのロッドが便器の基部の上部に対して回動可能であると同時に、便蓋がクランクのロッドに対して回動可能であることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3あるいは解決手段4あるいは解決手段5に記載の水洗トイレシステム。
【発明の効果】
【0027】
本発明の解決手段1の発明によれば、給水タンクと便器と便座とトラップのある排水部を有する水洗トイレシステムであって、便器部分が便鉢と基部の2部分よりなり、便鉢と基部の接続部分に便鉢回動手段が設けられ便鉢が基部に対して回動可能に構成されており、使用者が位置する側を前方とした場合に、男子大便用及び女子大小便用の位置にては便鉢が前方に延伸された形態となり、男子小便用の位置にては、便鉢が上方に延伸された形態となるので、男子大便用及び女子大小便用の位置にては通常の西洋式の大便器と同様の使い勝手で使用でき、また、男子小便用の位置にては男性用の小便器と同様の使い勝手で使用することが可能である。
【0028】
すなわち、解決手段1の発明においては、通常の西洋式の大便器の便鉢の形状に着目し、この形状を適切な回動面を設けて180°回転することにより男性用の小便器と略同様の形状となることに想到したものである。具体的には、便器部分を便鉢と基部に分割し、水平線より30°〜50°の範囲で傾斜せる回動面によって便鉢を基部に対して180°回動させることにより、大便器と小便器の形状交替が可能であることを見出した。従って、これによって、独立した男子小便用の便器を設けることなく、1基の便器にて、通常の西洋式の大便器(腰掛式便器)と男子用小便器の両用を実現できることとなった。また、便鉢の形状と回動面の角度設定を工夫することにより、男子小便の際に便鉢の位置を低く設定できるので、低年齢の児童においても小便を便鉢内のみに射出することが容易に行える。
【0029】
したがって、解決手段1の発明にては、独立した男子用小便器を設けていないため、必要なスペースは、通常の家庭用の水洗トイレシステムと何等変わりがなく、通常の家庭のトイレスペースに全く無理なく導入可能である。また、回転盤などの余分な構成も設けないため、全体が大掛かりになることがなく、外見も通常の西洋式の便器を用いた水洗トイレシステムと殆ど変わりがない。この点も、使用者が全く違和感なく使用できるという効果を齎す極めて重要な点である。
【0030】
また、同じく解決手段1の発明によれば、便鉢下部と排水部が水密且つ回動可能なジョイントにて接続されているので、便鉢からの排水は円滑に排水孔に流入させることができる。
【0031】
本発明の解決手段2の発明によれば、便鉢底部と排水部を接続する水密且つ回動可能なジョイントが、スイベルジョイントあるいはロータリージョイントであるので、便鉢と排水部が相対的に回動可能であり、且つ水密を保持して接続されるという点が、技術的に裏付けされており、実際の商品として充分に製作可能である。
【0032】
本発明の解決手段3の発明によれば、便鉢と基部の接続部分に設けられた便鉢回動手段がボールベアリング機構であるので、便鉢と基部の相対的な回動が技術的に保証され、実際の商品として充分に製作可能である。
【0033】
本発明の解決手段4の発明によれば、給水タンクがロータンクであり、内部が第1タンクと第2タンクの2部分に分割され、満水状態にて第1タンクの水位が第2タンクの水位より低くなるように構成されており、第1タンクの洗浄水を便鉢に給水する給水管が、便鉢が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合における便鉢の底部近傍に接続されて該接続部分から便鉢前方部壁部に設けられた空洞部に給水され給水された洗浄水が便鉢前方部のリム部に穿設された小孔から便鉢内壁に給水されるように構成され、第2タンクの洗浄水を便鉢に給水する給水管が、便鉢が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合における便鉢の後端部近傍に接続されて該接続部分から便鉢後方部壁部に設けられた空洞部に給水され給水された洗浄水の一部が便鉢後方の上部から中部に穿設された小孔及び便鉢後方部の空洞部下端部に設けられた小孔から便鉢内壁に給水されるように構成されているので、男子大便時及び女子大小便時には、第1タンクと第2タンクの双方から給水することにより、便鉢の内部を隈なく洗浄することが可能となる。
【0034】
また、便鉢が男子小便用の位置にあるときは、水位の低い第1タンクの水だけを便鉢に給水するようにすれば、給水は便鉢後面の上部から下部にかけて行われるので、便鉢内部の汚染された部分を隈なく洗浄し、しかも節水が可能となる。なお、この際、第2タンクの水を同時に便鉢内部に給水するようにしても、何等不都合は生じない。
【0035】
また、便鉢が男子小便用の位置にあり、第1タンクの洗浄水のみを給水する場合には、小孔からの給水は第1タンクの水位以下の小孔に限られるので、第1タンクの水位が下がるにつれ高い位置の小孔から順次給水が停止されていくこととなり、小便による汚染が便鉢後部の中程から下部にかけてが主体となることを考えると、余り汚染されない部分に対する洗浄は早めに停止され、汚染が集中する部分の洗浄は最後まで続行されることとなり、非常に合理的である。
【0036】
また、便鉢が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合に、女子が小便を行った際には、やはり第1タンクの水を給水するのみで洗浄が可能であり、節水を行うことができる。
【0037】
女子の小便の場合には、男子の小便とは逆で汚染が集中するのは便鉢の前方から中程であると考えられるが、便鉢が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合には、第1タンクからの給水は便鉢の中程から前方に穿設された小孔から供給されるので、汚染部分を集中的に洗浄できることとなり、非常に合理的である。
【0038】
本発明の解決手段5及び解決手段6の発明によれば、便座がクランクを介して便器の基部の上部に連結されており、クランクのロッドが便器の基部の上部に対して回動可能であると同時に、便座がクランクのロッドに対して回動可能に設けられており、また、便蓋を有する場合には、便蓋がクランクを介して便器の基部の上部に連結されており、クランクのロッドが便器の基部の上部に対して回動可能であると同時に、便蓋がクランクのロッドに対して回動可能に設けられているので、便鉢が男子小便用の位置にある場合には便座と便蓋が有る場合には便蓋を共に回動起立させて便器後方に位置させ、便鉢が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合には、便座は便器上に水平に位置させ、便蓋が有る場合には便蓋のみを回動起立させて便器後方に位置させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明を実施するための最良の形態を、以下に、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0040】
<実施例1の構成>
図1〜図4は、実施例1の水洗トイレシステムWにおいて、便鉢11が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合を示す。図1は水洗トイレシステムWの縦断面図、図2は平面図、図3は右側面図、図4は正面図である。また、図5〜図8は便鉢11が男子小便用の位置にある場合を示す。図5は水洗トイレシステムWの縦断面図、図6は平面図、図7は右側面図、図8は正面図である。
【0041】
水洗トイレシステムWは、図1〜図8に示すように、便器1、便座2、便蓋3、給水タンク4、排水部5から構成されている。便器1は、便鉢11と基部12から構成されており、便鉢11と基部12の接続部分にはボールベアリング機構6である便鉢回動手段が設けられ、便鉢11は基部12に対して回動可能に構成されている。また、便鉢11下部と排水部5はスイベルジョイント7にて水密且つ回動可能に接続されている。なお、8は床面FLに固定され図示しない排水管に接続されている排水ソケットである。
【0042】
図1〜図4は、上記のように便鉢11が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合を示しており、この状態にて便鉢11は図1に示すように前方に延伸された形状であり、後端部が上方にやや突出している点を除けば、通常の西洋式の大便器(腰掛便器・図示せず)と略同様の形状となっている。この状態を、以下、平置位置と呼称する。
【0043】
これに対し、図5〜図8は、やはり上記のように便鉢11が男子小便用の位置にある場合を示しており、この状態にて便鉢11は図5に示すように上方に延伸された形状であり、通常の男子用の小便器(図示せず)と略同様の形状となっている。この状態を、以下、起立位置と呼称する。
【0044】
便鉢11は、椀状の本体111、上端部に設けられたリム部112、そしてスイベルジョイント7が環装される底部113が一体として構成され、本体111の中間部分にはボールベアリング機構6の上部61が設けられている。図17a、図17bに、便鉢11の外観斜視図を示す。なお、図17aは便鉢11が平置状態にある場合の外観斜視図であり、図17bは便鉢11が起立状態にある場合の外観斜視図である。
【0045】
また、後述の給水タンク4の第1タンク41からの給水管Q1が、便鉢11が平置位置にある場合に便鉢11の底部113近傍に接続されて、接続部分J1から便鉢11の前方部壁部に設けられた空洞部S1に給水され、給水された洗浄水が便鉢前方部のリム部112aに穿設された複数の小孔h1、h1、…… から便鉢内部に給水されるように構成されている。
【0046】
さらに、給水タンク4の第2タンク42からの給水管Q2が、便鉢11が平置位置(図1参照)にある場合に便鉢11の後端部近傍に接続されて、接続部分J2から便鉢11の後方部壁部に設けられた空洞部S2に給水され、給水された水の一部が空洞部S2上部から中部のリム部112bに穿設された複数の小孔h2、h2、……及び空洞部S2下端の小孔h3から便鉢11内部に給水されるように構成されている。
【0047】
図16aに、給水管Q1と便鉢11の本体111の接続部分J1の詳細を示す。接続部分J1にて、便鉢11の本体111には凸部111aが形成され、凸部111aの中央には円孔111cが穿設されて本体111内部の空洞部S1と連通し、凸部111aの端部はフランジ111bとなっている。
【0048】
N1はニップルで、円孔111cに嵌着される胴部N1aと外周に複数の段部を有する口部N1bから構成され、中央に円孔N1cが穿設されている。胴部N1aと口部N1bの境界部分はフランジN1dとなり、フランジN1dの口部N1b側には外周にネジ山を有するリング部N1eが突設され、口部N1bとリング部N1eの間には、円筒状の溝部N1fが形成されている。また、N1gは、内側にリング部N1eのネジ山と係合するネジ溝を有する締結リングである。
【0049】
本体111の凸部111aのフランジ111bとニップルN1のフランジN1dはパッキンJP1を介して複数のボルトナットBN、BN、……によって締結され、これによって、本体111の内部の空洞部S1とニップルN1は水密的に接続される。さらに、ニップルN1の溝部N1fには給水管Q1の先端部Q1aが圧入され、締結リングN1gがリング部N1eに螺着されることにより、給水管Q1の先端部Q1aは、ニップルN1に水密的に接続される。これにより、給水管Q1はニップルN1を介して本体111の内部の空洞部S1と水密的に接続される。
【0050】
図16bに、給水管Q2と便鉢11の本体111の接続部分J2の詳細を示す。接続部分J2にて、便鉢11の本体111には凸部111dが形成され、凸部111dの中央には円孔111fが穿設されて本体111内部の空洞部S2と連通し、凸部111dの端部はフランジ111eとなっている。
【0051】
N2はニップルで、円孔111fに嵌着される胴部N2aと外周に複数の段部を有する口部N2bから構成され、中央に円孔N2cが穿設されている。胴部N2aと口部N2bの境界部分はフランジN2dとなり、フランジN2dの口部N2b側には外周にネジ山を有するリング部N2eが突設され、口部N2bとリング部N2eの間には、円筒状の溝部N2fが形成されている。また、N2gは、内側にリング部N2eのネジ山と係合するネジ溝を有する締結リングである。
【0052】
本体111の凸部111dのフランジ111eとニップルN2のフランジN2dはパッキンJP2を介して複数のボルトナットBN、BN、……によって締結され、これによって、本体111の内部の空洞部S2とニップルN2は水密的に接続される。さらに、ニップルN2の溝部N2fには給水管Q2の先端部Q2aが圧入され、締結リングN2gがリング部N2eに螺着されることにより、給水管Q2の先端部Q2aは、ニップルN2に水密的に接続される。これにより、給水管Q2はニップルN2を介して本体111の内部の空洞部S2と水密的に接続される。
【0053】
便鉢11が平置位置(図1参照)にある場合に、便鉢11の正面上部中央には、側面視が3角形状の補助板114が、便鉢11と一体に突設されている。また、図17aに見るように、補助板114のやや下方には、円形の鉄板m1が嵌めこまれた側面視が3角形状のストッパ115が便鉢11と一体に突設され、さらに便鉢11の後端部上部略中央には円形の鉄板m2が嵌めこまれた側面視が3角形状のストッパ116が便鉢11と一体に突設されている。
【0054】
図4に見るように、補助板114は便鉢11の中心線Cに重なって設けられているが、ストッパ115は中心線Cより距離d1だけ右寄りに設けられている。距離d1は図2に示す係止板122i(後述)の厚さd2の半分である。また、ストッパ116も中心線Cより距離d1だけ右寄りに設けられている。
【0055】
便器1の基部12は、ボールベアリング機構6が設けられる接続部121、給水タンク4が載置される台部122、床面FLに固定される裾部123が一体として構成されており、その右側面は図3に、また外観は図18に示すとおりである。
【0056】
図18にて、62はボールベアリング機構6(図1参照)の下部、122aは給水タンク4(図1参照)が載置固定される平面視略長方形状の凹部、122bは給水管Q1の給水タンク4への接続部分J3が挿通される円孔122mが穿設された凸部、122cは給水管Q2の給水タンク4への接続部分J4が挿通される円孔122nが穿設された凸部、122d、122eは、給水タンク4をボルトナット(図示せず)で台部122に固定するための円孔である。
【0057】
また、122fは台部122の正面に台部122と一体に設けられた段部であり、段部122fの右側面には後述の便座2及び便蓋3を取付けるための円孔122gが左側面には同じく便座2及び便蓋3を取付けるための円孔122hが、夫々穿設されている。また、段部122fの中央には、平面視が逆台形上の係止板122iが、段部122と一体に突設されており、係止板122iには円板状の永久磁石m3が係止板122iの左右両側面に露出する状態で嵌着されている。
【0058】
裾部123は、図1、図3、図4、図18に見るように、底部がやや広がったスカート状となっており、下端部に設けられた段部123a、123b、123c(図18参照)に夫々穿設された円孔12hに図示しないボルトナットを挿通固定することにより、床面FL(図1参照)に基部12全体を固定している。
【0059】
排水部5は、図1に見るようにトラップTRを有する断面が略円形状の排水管であり、前端部51はスイベルジョイント7によって便鉢11の底部113に接続され、後端部52は床面FLに固定された排水ソケット8に差し込まれている。後端部52と排水ソケット8の接続は公知技術であるので詳述は避ける。
【0060】
便座2は、図8、図9、図12に見るようにドーナツ状で、全体形状は便鉢11のリム部112に添うように構成されている。通常の水洗トイレシステムの便座(図示せず)と略同様の形状であるが、便鉢11が平置位置にて後部が隆起しているのに合わせて、便座2も平置位置の便鉢11に載置された状態にてその後部が上方に反り上がった形状となっている(図3参照)。
【0061】
便蓋3も、通常の水洗トイレシステムの便蓋(図示せず)と略同様の形状であるが(図2、図10参照)、便座2の形状に添うように構成されているので、図3に見るように、平置位置の便鉢11の便座2に載置された状態にてその後部が上方に反り上がった形状となっている。
【0062】
便座2はクランク9A,9Bを介して便器1の基部12の上部の台部122に連結されており、クランク9Aのロッド97a、クランク9Bのロッド97bが便器1の基部12の上部の台部122に対して回動可能であると同時に、便座2がクランク9Aのロッド97a、クランク9Bのロッド97bに対して回動可能となるように構成されている。
【0063】
すなわち、図8、図12、図13に見るように、便器1の基部12の正面上部に設けられた段部122fの右側面には枢軸91が固着され、枢軸91に対してロッド97aの一端が枢着され、ロッド97aの他端は便座2の右側面に固着された枢軸93に枢着され、クランク9Aが構成されている。また、段部122fの左側面には枢軸92が固着され、枢軸92に対してロッド97bの一端が枢着され、ロッド97bの他端は便座2の左側面に固着された枢軸94に枢着され、クランク9Bが構成されている。
【0064】
したがって、ロッド97a、97bは便器1の基部12の正面上部に設けられた段部122fに対して回動可能であり、且つ又、ロッド97a、97bに対して便座2が回動可能に構成されている。
【0065】
便蓋3はクランク9C,9Dを介して便器1の基部12の上部の台部122に連結されており、クランク9Cのロッド98a、クランク9Dのロッド98bが便器1の基部12の上部の台部122に対して回動可能であると同時に、便蓋3がクランク9Cのロッド98a、クランク9Dのロッド98bに対して回動可能となるように構成されている。
【0066】
すなわち、図8、図12、図13に見るように、便器1の基部12の正面上部に設けられた段部122fの右側面には枢軸91が固着され、枢軸91に対してロッド98aの一端が枢着され、ロッド98aの他端は便蓋3の右側面に固着された枢軸95に枢着され、クランク9Cが構成されている。また、段部122fの左側面には枢軸92が固着され、枢軸92に対してロッド98bの一端が枢着され、ロッド98bの他端は便蓋3の左側面に固着された枢軸96に枢着され、クランク9Dが構成されている。
【0067】
したがって、ロッド98a、98bは便器1の基部12の台部122の正面上部に設けられた段部122fに対して回動可能であり、且つ又、ロッド98a、98bに対して便蓋3が回動可能に構成されている。
【0068】
図24bに枢軸91の構成を詳細に示す。図24bに見るように、枢軸91は、段部122fの右側面に穿設された円孔122gに挿通され両端をナット91d、91eによって締結固着された軸91aに、ロッド97a、98aの一端が回動自在に枢着されて構成されている。なお、91b、91cは軸91aに固着されたスペーサリングである。枢軸92については詳細な図示は省略するが、枢軸91を左右対称とした構成となっている。
【0069】
図24aに枢軸93の構成を詳細に示す。図24aに見るように、枢軸93は、一端を便座2の右側面に螺着され、他端をナット93cによって締結固着された軸93aに、ロッド97aの他端が回動自在に枢着されて構成されている。なお、93bは軸93aに固着されたスペーサリングである。枢軸94については図示しないが、枢軸93を左右対称とした構成となっている。また、枢軸95は枢軸93と略同様の構成であり、枢軸96は枢軸94と略同様の構成である。
【0070】
ボールベアリング機構6は、便鉢11の中央部分に設けられた円環状の上部61と基部12の接続部121に設けられた円環状の下部62から構成されている。図14a、図14bに示すように、上部61はボールベアリング機構6を蔽覆する庇部61aを有していて、ボールベアリング機構6内部に水等が入りにくい構成となっていると同時に、図12、図13に見るように、視覚的にもボールベアリング機構6が露出しないように構成されている。
【0071】
図1及び図5に示すように、ボールベアリング機構6の回動面Rは側面視にて水平面Hより角度αの傾きをもっている。角度αは、実施例1の水洗トイレシステムにおいては35°であるが、便鉢11の形状や回動操作の行い易さから考えると、30°〜50°程度が適切であると考えられる。
【0072】
ボールベアリング機構6の回動軸Xは、ボールベアリング機構6の中心を通過し、回動面Rに対して直交する(図1参照)。したがって、回動軸Xは、垂直線Vに対してやはり角度αをなして交わる。なお、回動軸Xは、後述のスイベルジョイント7の回動軸ともなっている。
【0073】
スイベルジョイント7は、図1、図5に示すように、便鉢11の底部113の下端部と排水部5の前端部51を回動可能に接続している。詳細は図15に示すとおりであり、パッキン75を介して便鉢11の底部113の下端部に固着された胴部71とパッキン76を介して排水部5の前端部51に固着された軸部72が、鋼球73、74によって回動自在に接続されている。なお、77はOリング、78はダストシールである。
【0074】
スイベルジョイント7の回動面RJは、水平面Hに対して角度αだけ傾斜され、また回動軸Xは垂直線Vに対してやはり角度αをもって交わっている。なお、回動軸Xは、ボールベアリング機構6の回動軸Xと同一である。
【0075】
給水タンク4はロータンクで、図12、図13に見るように、その本体4Bの形状は正面上部が斜向面4Baとなった略直方体状であり上面は開放面となっていて、蓋4Lが嵌着され、蓋4Lの凹部4Laには円孔4Lbが穿設されている。また、蓋4Lの左端後部には、使用者の手洗い水を供給する手洗いノズル4Lcが立設されている。
【0076】
給水タンク4は、便器1の基部12の台部122の上端に設けられた凹部122a(図18参照)にパッキン4Pを介して嵌着され、図示しないボルトナットによって凹部122aに固着される。また、図2に示す4Qは給水タンク4に洗浄水を供給する給水管で、コネクタ4Qcによって給水管4Qa、4Qbに分岐されて給水タンク4の左側面に接続されている。また、給水タンク4の右側面上部には、レバー4Rが回動自在に突設されている。
【0077】
給水タンク4の内部は、隔壁43によって前方に位置する第1タンク41と後方に位置する第2タンク42の2部分に分割されているが、隔壁43は給水タンク4の本体4Bの高さの3分の2程度の高さしかなく、給水タンク4の上部においては、第1タンク41と第2タンク42が連通させられている。
【0078】
給水タンク4においては、満水状態にて第1タンク41の水位が第2タンク42の水位より低くなるように構成されている。すなわち、図19に見るように、第1タンク41に給水を行うボールタップ41aと浮き玉41bが第2タンク42に給水を行うボールタップ42aと浮き玉42bより低い位置に設定されることによって、満水状態にて第1タンク41の水位が第2タンク42の水位より低くなるように構成されている。したがって、隔壁43の上端位置は、第2タンクの満水時の水位と一致する。
【0079】
なお、44a、44b、44dは手洗いノズルに水を供給する給水管である。給水管44aはボールタップ41aから分岐し、給水管44bはボールタップ42aから分岐し、給水管44a、44bはコネクタ44cによって連結され、コネクタ44cから給水管44dが手洗いノズル4Lcに接続されている。また、ボールタップ42aは給水タンク4の外部の給水管4Qa(図2参照)に、ボールタップ42aは給水管4Qbに、夫々接続されている。
【0080】
図20a、図20bに、給水タンク4の下部の構成を示す。図20aにて、41cは第1タンク41のオーバーフローパイプ、41dはフロート弁、41fはフロートパイプ、41eはフロート弁41dに下端を連結されたチェーン、図20bにて、42cは第2タンク42のオーバーフローパイプ、42dはフロート弁、42fはフロートパイプ、42eはフロート弁42dに下端を連結されたチェーンである。これらの諸部材の構成は、従来の給水タンクにおける諸部材の構成と略同一であるので、詳細な説明は省略する。なお、チェーン41e、42eは、図面上では描画の簡略化から緊張状態に描いてあるが、通常は周知のようにやや弛緩させた状態で接続される。
【0081】
フロートパイプ41fの下部は、便鉢11に洗浄水を供給する給水管Q1(図1参照)に接続される接続部J3となっている。図20aにて、41gは第1タンク41の底部に穿設された円孔、122jは便器1の基部12の台部122(図1参照)の下面に穿設された凹部であり、122mは凹部122j(あるいは凸部122b)の中央に穿設された円孔である。円孔41gと円孔122mは同寸且つ同位置に形成され、円孔41g、円孔122m、凹部122jに接続部J3が挿通嵌着される。
【0082】
フロートパイプ41fの下端部は縮径部41iとなり、縮径部41iの中央には円孔41lが穿設されてフロートパイプ41fの上部と連通し、縮径部41iの端部はフランジ41kとなっている。また、縮径部41iの上部にはパッキン41hが環装され第1タンク41の洗浄水の漏出を防止している。
【0083】
N3はニップルで、円孔41lに嵌着される胴部N3aと外周に複数の段部を有する口部N3bから構成され、中央に円孔N3cが穿設されている。胴部N3aと口部N3bの境界部分はフランジN3dとなり、フランジN3dの口部N3b側には外周にネジ山を有するリング部N3eが突設され、口部N3bとリング部N3eの間には、円筒状の溝部N3fが形成されている。また、N3gは、内側にリング部N3eのネジ山と係合するネジ溝を有する締結リングである。
【0084】
フロートパイプ41fの縮径部41iのフランジ41kとニップルN3のフランジN3dはパッキン41jを介して複数のボルトナットBN、BN、……によって締結され、これによって、フロートパイプ41fとニップルN3は水密的に接続される。さらに、ニップルN3の溝部N3fには給水管Q1の先端部Q1bが圧入され、締結リングN3gがリング部N3eに螺着されることにより、給水管Q1の先端部Q1bは、ニップルN3に水密的に接続される。これにより、給水管Q1はニップルN3を介して第1タンク41のフロートパイプ41fと水密的に接続される。
【0085】
フロートパイプ42fの下部は、便鉢11に洗浄水を供給する給水管Q2(図1参照)に接続される接続部J4となっている。図20bにて、42gは第2タンク42の底部に穿設された円孔、122kは便器1の基部12の台部122(図1参照)に穿設された凹部であり、122nは凹部122k(あるいは凸部122c)の中央に穿設された円孔である。円孔42gと円孔122nは同寸且つ同位置に形成され、円孔42g、円孔122n、凹部122kに接続部J4が挿通嵌着される。
【0086】
フロートパイプ42fの下端部は縮径部42iとなり、縮径部42iの中央には円孔42lが穿設されてフロートパイプ42fの上部と連通し、縮径部42iの端部はフランジ42kとなっている。また、縮径部42iの上部にはパッキン42hが環装され第2タンク42の洗浄水の漏出を防止している。
【0087】
N4はニップルで、円孔42lに嵌着される胴部N4aと外周に複数の段部を有する口部N4bから構成され、中央に円孔N4cが穿設されている。胴部N4aと口部N4bの境界部分はフランジN4dとなり、フランジN4dの口部N4b側には外周にネジ山を有するリング部N4eが突設され、口部N4bとリング部N4eの間には、円筒状の溝部N4fが形成されている。また、N4gは、内側にリング部N4eのネジ山と係合するネジ溝を有する締結リングである。
【0088】
フロートパイプ42fの縮径部42iのフランジ42kとニップルN4のフランジN4dはパッキン42jを介して複数のボルトナットBN、BN、……によって締結され、これによって、フロートパイプ42fとニップルN4は水密的に接続される。さらに、ニップルN4の溝部N4fには給水管Q2の先端部Q2bが圧入され、締結リングN4gがリング部N4eに螺着されることにより、給水管Q2の先端部Q2bは、ニップルN4に水密的に接続される。これにより、給水管Q2はニップルN4を介して第2タンク42のフロートパイプ42fと水密的に接続される。
【0089】
なお、給水効率を高めるために給水管Q1、Q2をさらに太いものとしたい場合には、ニップルN3、N4のかわりにスイベルジョイント(図示せず)を用い、給水管Q1、Q2をフレキシブルパイプ(図示せず)とすることによって対応できる。この場合、便鉢11との接続部分J1、J2においても、やはりニップルN1、N2のかわりにスイベルジョイント(図示せず)を用いる必要がある。このようにすることにより、フロートパイプ41f、42fを縮径せずに略そのままの径でフレキシブルパイプを用いた給水管に接続することができる。
【0090】
図21、図22、図23には、給水タンク4の上部の右側に設けられたレバー機構RMの詳細を示す。4Rは給水タンク4の右側面に突設されたレバーであり、レバー4Rには軸47が固着されている。給水タンク4の右側面の内壁には縦断面L字状の補助板45が固着され、また、隔壁43の補助板45からやや離間された位置には略長方形状の補助板46が固着されている。
【0091】
軸47は、給水タンク4の壁体4Bbに嵌着された軸受け47a、補助板45の中央に嵌着された軸受け47b、補助板46の中央に嵌着された軸受け47cによって回動自在に支持されている。また、補助板45の第1タンク41寄りの部分には軸受け48aが嵌着され、補助板46の第1タンク41寄りの部分には軸受け48bが嵌着され、軸受け48a、48b間に軸48が回動自在に渡設されている。さらに、補助板45の第2タンク42寄りの部分には軸受け49aが嵌着され、補助板46の第2タンク42寄りの部分には軸受け49bが嵌着され、軸受け49a、49b間に軸49が回動自在に渡設されている。
【0092】
軸47、48、49は夫々同一の高さをもって並行するように構成されている。軸47には歯車G1が固着され、軸48には歯車G1の半分以下の径の歯車G2が固着され、軸49にも歯車G1の半分以下の径の歯車G3が固着されている。歯車G2は歯車G1と、歯車G3は歯車G1と、夫々噛合されている。
【0093】
軸48の歯車G1の左方にはコマT1が固着されている。コマT1はリム部T1a、T1b、T1cとリム部T1a、T1bの間に形成される胴部T1d、リム部T1b、T1cの間に形成される胴部T1eから構成されている。また、軸49の歯車G3の左方にはコマT2が固着されている。コマT2はリム部T2a、T2b、リム部T2a、T2bの間に形成される胴部T2cから構成されている。
【0094】
コマT1の胴部T1dには、一端を胴部T1dのリム部T1b近傍に固着された紐ST1が、軸48の左方に向かって反時計回りに巻回されており、紐ST1の下端は軸48のやや下部で円筒形状のバーBRの左端に固着されている。また、コマT1の胴部T1eには、一端を胴部T1eのリム部T1b近傍に固着された紐ST2が、軸48の右方に向かって時計回りに巻回されており、紐ST2の下端は軸48のやや下部で円筒形状のバーBRの右端に固着されている。
【0095】
バーBRは、レバー4Rがニュートラルの状態、すなわち、レバー4Rのハンドル4Raが垂下された状態で水平状態となるように構成され、バーBRの下端中央には、下端をフロート弁41d(図20a参照)に固着されたチェーン41eの上端が固着されている。
【0096】
コマT2の胴部T2cには、一端を胴部T2cのリム部T2a近傍に固着された紐ST3が、軸49の右方に向かって時計回りに巻回されており、紐ST3の下端は軸49のやや下部で、下端をフロート弁42d(図20b参照)に固着されたチェーン42eの上端に固着されている。
【0097】
<実施例1の作用>
実施例1の水洗トイレシステムWにおいては、便鉢11の回動により、便鉢11の平置位置と起立位置が生じることは前述のとおりである。したがって、実施例1の水洗トイレシステムWの作用に関しては、まず便鉢11が平置位置の場合の作用について記述し、次に便鉢11が起立位置の場合の作用について記述する。
【0098】
便鉢11が平置位置の場合は、図1〜図4、図9〜図12に示すとおりであり、利用形態でいうなら、非使用時と、男子大便及び女子大小便に使用の場合となる。実施例1の水洗トイレシステムWは、非使用時には、図1〜図4に示すように、便器1の便鉢11上部に便座2と便蓋3が載置されている状態である。便蓋3によって便鉢11は完全に掩蔽された状態にある。
【0099】
この状態から、男子大便及び女子大小便に使用の場合、便蓋3を持上げて後方に跳ね上げ、便鉢11上に便座2のみが載置された状態とする。便蓋3は、完全に後方に跳ね上げられると、図10〜図12に示す状態となる。この際、便蓋3は給水タンク4の蓋4Lの正面に支承される。給水タンク4の蓋4Lの正面の傾斜角度及び給水タンク4の斜向面4Baの傾斜角度が略等しいので、便蓋3は給水タンク4の蓋4Lの正面に安定的に支承される。
【0100】
なお、便蓋3を後方に跳ね上げる際には、図3に示すように、まず、便蓋3を略水平状態を保ちながら若干持上げ(方向A1)、便蓋3の位置が便座2の後部の隆起部分及び便鉢11の後部の隆起部分より高くなったところで便蓋3を枢軸95、96の周りにB1方向に回動させながら全体を後方に跳ね上げる(方向C1)。このようにすることにより、便蓋3が便座2の後部の隆起部分及び便鉢11の後部の隆起部分に衝突するのを回避しつつ便蓋3を跳ね上げることができる。
【0101】
なお、便鉢11の掃除などで便座2も後方に跳ね上げる必要が生じた際には、便蓋3を跳ね上げた際と同様の要領にて行う。すなわち、まず便座2を便鉢11の後部の隆起部分より若干高くなるまで持上げ(方向A1)、しかるのち便座2を枢軸93、94の周りにB2方向に回動させながら全体を後方に跳ね上げる(方向C1)。便座2は、便蓋3の裏面に、安定的に支承される。
【0102】
便蓋3を図10〜図12の状態に跳ね上げたら、通常の西洋式の水洗トイレシステムと同要領にて便座2上に腰かけて用を足す。この際、利用者の臀部(図示せず)背後に便座2及び便鉢11の隆起部分が位置することになるが、側面視にて明らかなように(図11参照)、利用者(図示せず)の臀部の曲率と便座2及び便鉢11の隆起部分の曲率が略一致するように構成されているので利用には何等不便は生じず、むしろ臀部後部を便座2の隆起部分に凭せ掛けることもできるので、高齢者などには従来の西洋式の便器より楽であるといえる。
【0103】
利用が終了すれば、給水タンク4のレバー4Rを操作して給水タンク4内の洗浄水を便鉢11内に流し、便鉢11内の汚物(図示せず)を洗浄する。この際、女子小便の場合には、給水タンク4のレバー4Rのハンドル4Raを手前側(図21の方向R1)に回動させる。
【0104】
図21にて、レバー4Rのハンドル4Raが手前側(方向R1)に回動させられると、レバー4Rに固着された軸47もR1方向に回動する。すると、軸47に固着された歯車G1がR1方向に回動し、歯車G1に噛合された歯車G2及び歯車G3は逆のR2方向に回動する。この結果、歯車G2は軸48に固着されているので軸48はR2方向に回動し、歯車G3は軸49に固着されているので軸49もR2方向に回動する。
【0105】
軸48がR2方向に回動すると、軸48に固着されたコマT1もR2方向に回動する。その結果、コマT1の胴部T1dに巻回されている紐ST1は巻き上げられ、上方(方向β)に引き上げられる。一方、胴部T1eに巻回されている紐ST2は弛緩させられる。この結果として、紐ST1、ST2が固着されているバーBRは上方(方向β)に引き上げられる。
【0106】
すなわち、軸48のR2方向への回動は、コマT1の紐ST1を介してバーBRを引き上げる作用を奏するが、紐ST2は弛緩させられるだけでバーBRを引き下げる作用は奏しないので、結果としてバーBRは引き上げられ、バーBRに固着されたチェーン41eも引き上げられる(方向β)。なお、歯車G2は歯車G1の半分以下の径であるので、レバー4Rのハンドル4Raを略90°回動させるだけでも軸48の回転量は大となり、チェーン41eの移動量も大となる。また、図示は省略するが、ハンドル4Raの回転が略90°以上にならないようにストッパを設ける。
【0107】
レバー4Rのハンドル4RaがR1方向に回動すると、軸48がR2方向に回動すると同時に軸49もR2方向に回動することは前述のとおりである。軸49がR2方向に回動すると、軸49に固着されたコマT2もR2方向に回動する。その結果、コマT2の胴部T2cに巻回されている紐ST3は弛緩させられる。紐ST3の弛緩により、紐ST3に固着されたチェーン42eも弛緩させられる。
【0108】
したがって、ハンドル4RaのR1方向への回動は、結果としてチェーン41eを引き上げ、且つチェーン42eを弛緩させる。チェーン41eが引き上げられると、図20aに示すようにチェーン41eの下端は第1タンク41内にてフロート弁41dに固着されているので、フロート弁41dを引き上げる。すると、フロート弁41dによって栓をされていた状態のフロートパイプ41fの上端が開口され、第1タンク41内の洗浄水が、フロートパイプ41fからニップルN1を経過して給水管Q1に供給される。一方、第2タンク42のフロート弁42fは、チェーン42eが弛緩された状態となるので開かず、第2タンク42内の洗浄水は給水管Q2には供給されない。
【0109】
給水管Q1を通じて給水された洗浄水は、接続部分J1を通じて便鉢11の空洞部S1に供給され(図1参照)、リム部112aに穿設された複数の小孔h1、h1、……から噴出して便鉢11の主として前部から中央部を洗浄する。女子小便の場合には、汚染されるのは便鉢11の中央部から前部にかけてであるので、便鉢11の後部の洗浄は必要がない。また、この際、洗浄水が噴出される孔h1、h1、……は給水タンク4の第1タンク41の底面より低い位置にあるので、第1タンク41に貯留されていた洗浄水はすべてが便鉢11内部に供給される。
【0110】
便鉢11の中央部から前部を洗浄した洗浄水は便鉢11の底部113に溜まり、便鉢11の水位が上昇し、サイフォン現象によって便鉢11内の洗浄水はトラップTRを通過して排水部5を一気に流下し、排水ソケット8を介して図示しない排水管に排水される。
【0111】
一方、給水タンク4内部にては、貯留されていた洗浄水が給水されることによって第1タンク41の浮き玉41b(図19参照)が下降し、ボールタップ41aが開口して給水管4Qaからボールタップ41aを通じて第1タンク41内に新たな洗浄水が供給される。供給された洗浄水の一部は給水管44a、コネクタ44c、給水管44dを通じて手洗いノズル4Lcに供給され、手洗いノズル4Lcの端部から給水タンク4の蓋4Lの上面に形成された凹部4Laに射出される。
【0112】
凹部4Laにて受けられた洗浄水は円孔4Lbを通じて給水タンク4内に供給される。円孔4Lbより落下する洗浄水は、第2タンク42にまず落下するが、第2タンク42は満水状態であるので、隔壁43を越えて第1タンク41に供給される。このようにして、すべての洗浄水は第1タンク41に供給される。
【0113】
第1タンク41にては、フロート弁41dが再び閉じてフロートパイプ41fを閉鎖するので、供給された洗浄水は第1タンク41内に貯留され、浮き玉41bを浮上させる。浮き玉41bが略水平状態となると、ボールタップ41aが閉鎖され、洗浄水の供給は停止される。万一、洗浄水の供給が停止されない場合には、余分の洗浄水はオーバーフローパイプ41cを通じてフロートパイプ41fに供給され、給水管Q1を通じて便鉢11に導かれる。上記の作用は、従来の水洗トイレシステムの給水タンクの構成と全く同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0114】
次に、女子大便及び男子大便の場合には、使用後給水タンク4のレバー4Rのハンドル4Raを後方、すなわちR2方向に回動させる(図21参照)。すると、軸47はR2方向に回動し、歯車G1、G2、G3の作用により、軸48、49はR1方向に回動する。その結果、コマT1、T2もR1方向に回動し、コマT1の紐ST2とコマT2の紐ST3は引き上げらる(方向β)。一方、コマT1の紐ST1は弛緩させられる。
【0115】
その結果、チェーン41e、42eは共に引き上げられ(方向β)、チェーン41eに固着されたフロート弁41d、チェーン42eに固着されたフロート弁42dは共に開かれる。フロート弁41dが開かれると第1タンク41に貯留されていた洗浄水は給水管Q1を通じて便鉢11のリム部112aに穿設されている複数の小孔h1、h1……から便鉢11内に射出され、便鉢11の中央部から前部を洗浄する。
【0116】
また、フロート弁42dが開かれると第2タンク42に貯留されていた洗浄水は給水管Q2を通じて便鉢11のリム部112bに穿設されている複数の小孔h2、h2……及び空洞部S2下端の小孔h3にから便鉢11内に射出され、便鉢11の中央部から後部を洗浄する。女子においても男子においても、大便の場合には便鉢11の全体が汚染される可能性があるので、このように第1タンク41の洗浄水と第2タンク42の洗浄水の全てを便鉢11内部に放出して、便鉢11全体を隈なく洗浄する。
【0117】
なお、小孔h1、h1……が第1タンク41の底面より下に位置することは前述のとおりであるが、便鉢11が平置位置にては、小孔h2、h2……及び小孔h3も第2タンク41の底面より下に位置するので、第1タンク41の洗浄水も第2タンク42の洗浄水もすべて便鉢11に供給される。
【0118】
このようにして第1タンク41と第2タンク42の洗浄水が便鉢11に供給されると便鉢11の水位が上昇し、サイフォン現象によって便鉢11内の汚物を含有した洗浄水は一気に排水部5から排水ソケット8に排水される。
【0119】
一方、給水タンク内にては、第1タンク41にても第2タンク42にても、水位の低下に従って浮き玉41c、42cが下降し、ボールタップ41a、42aが開いて給水管4Qa、4Qbから新たな洗浄水が第1タンク41、第2タンク42内に供給される。
【0120】
ボールタップ41a、42aから供給される洗浄水の一部は給水管44a、44b、コネクタ44c、給水管44dを通じて手洗いノズル4Lcに供給され、円孔4Lbから給水タンク4内に還元される。円孔4Lbから落下する洗浄水は、当初は給水タンク42のみに供給されるが、給水タンク42が満水状態となり給水タンク41が満水状態になっていない場合には隔壁43を越えて給水タンク41に供給される。
【0121】
次に、実施例1の水洗トイレシステムWを男子小便に用いる場合を述べる。この場合、当初の状態が図1〜図4に示す便蓋3、便座2が共に便鉢11上に載置された状態(水平状態)であるとすると、まず便蓋3を持ち上げて後方に跳ね上げて給水タンク4の正面に凭せ掛け、次に便座2を後方に跳ね上げて便座2の裏面に凭せ掛ける(起立状態)。この方法は前述のとおりである。
【0122】
このようにすると、図9に示す状態となるので、次に、便鉢11を使用者から見て時計回りに略180°回動させる。図1〜図4及び図9において、便鉢11の正面には、側面視が三角形状の補助板114が突設されているので、補助板114を把持して回動操作を行う。これにより、便鉢11そのものに触れることなく回動操作が行えるので、極めて衛生的である。
【0123】
便鉢11は、回動軸Xを中心として、回動面Rに添って略180°回動され、図5〜図8及び図13に示す起立位置となる。この起立位置にて、便鉢11に突設されている側面視が略三角形状のストッパ115が便器1の基部12の台部122の正面に突設されている係止板122iに当接して、回動操作は停止される(図6、図8参照)。係止板122iに嵌着されている永久磁石m3とストッパ115に嵌着されている鉄板m1が当接する結果、起立位置は安定的に保持される。
【0124】
なお、図1〜図4に示す平置位置にては、便鉢11に突設されている側面視が略三角形状のストッパ116と係止板122iが当接し、係止板122iに嵌着されている永久磁石m3とストッパ116に嵌着されている鉄板m2が当接しているので、この平置位置も安定的に保持される。永久磁石m3の吸引力は、子供でも安定状態を解除して便鉢11の回動操作を行える程度のものとする。
【0125】
便鉢11が起立位置となれば、使用者は立位で便鉢11と対面して用を足す。この際、回動面Rと水平面Hのなす角度αを適切に採ることにより(実施例1にては35°であるが30°〜50°)、図5〜図8、特に図7に示すように、便鉢11の前方に突出された部分の位置が低くなるので、生殖器の位置が大人より低い低年齢の男子にても小便を便鉢11内に射出するのはごく容易であり、飛沫にて周囲が汚染される可能性も極めて低くなる。
【0126】
用便が終了すれば、給水タンク4の右側面のレバー4Rのハンドル4Raを手前、すなわちR1方向に回動させる(図21参照)。これにより、軸47がR1方向に回動する結果、紐ST1が引き上げられて(方向β)、チェーン41eが引き上げられる。前述のようにチェーン42eは弛緩されるので、結果として第1タンク41のフロート弁41dのみが開かれ、第1タンク41の洗浄水のみが給水管Q1を通じて便鉢11に供給される。
【0127】
この際、便鉢11は図5に見るように起立位置にあるので、給水管Q1から供給される洗浄水は、接続部J1、空洞部S1を通過して、便鉢11のリム部112aに穿設されている複数の小孔h1、h1、……から射出され、便鉢11の起立部分、すなわち中央部から後部を洗浄する。男子小便の場合、便鉢11が起立位置で汚染されるのは便鉢11の中央部から後部であるので、より少ない洗浄水にて確実に汚染を洗浄できる。
【0128】
なお、使用中に、便鉢11の前部が汚染された場合には、給水タンク4のハンドル4Raを後方、すなわち図21のR2方向に回動させれば、第2タンク42の洗浄水が給水管Q2を通じて便鉢前部の小孔h2、h2、……及びh3から射出され、便鉢11の前部も洗浄される。
【0129】
また、男子小用の場合、便鉢11の起立部分にては、より高い位置が汚染されることは少なく、中央から下部にかけての汚染が甚だしい。しかるに、小孔h1、h1、……の高さと給水タンク4の第1タンク41の水位を比較してみると(図19参照)、最も高い位置の小孔h1は第1タンク41の満水位より若干高いので、最も高い位置の小孔h1からは洗浄水の射出は行われず、洗浄水は最も高い位置の小孔h1より低い小孔h1、h1、……から射出されるが、第1タンク41の水位が減少するにつれてより高い位置の小孔h1から順次洗浄水の射出が停止され、最後には中央から下位の小孔h1、h1、……からの射出のみとなるが、この構成も、便鉢11の男子小便による汚染分布に添った合理的なものである。
【0130】
なお、便鉢11が起立位置においても、リム部112aの高さは排水部5のトラップTRの頂部より高い位置にくるように構成してあるので(図5参照)、便鉢11内部に供給された洗浄水がリム部112bを越える前にサイフォン現象が生じて便鉢11内部の洗浄水は排水部5に吸い込まれる。したがって、給水タンクのレバー4Raを後方(R2方向)に回動させて第1タンク41と第2タンク42の洗浄水をすべて便鉢11内に供給した場合にても、洗浄水が便鉢11の外部に溢れる心配はない。
【0131】
このようにして男子小用が終わり、便鉢11内部の洗浄も終了すれば、補助板114を把持して便鉢11を略180°反時計回りに回動させ、便鉢11を平置位置に戻す。この際、補助板114は、起立位置にては便鉢11の後方となるので、子供などで手が届きにくい場合には、この状態で前方に位置しているストッパ116を把持して回動させても良い。
【0132】
便鉢11の回動が終了して便鉢11が平置位置に戻れば、便座2、便蓋3の順に回動させ、便座2を便鉢11のリム部112上に載置させ、さらに便蓋3を便座2上に載置させる。このようにすることにより、図1〜図4に示す非使用時の状態が回復される。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明の水洗トイレシステムは、叙上のように、家庭用の水洗トイレシステムにおいて、特に男子小便の場合に便器の周囲や便座、便蓋の裏面、トイレの床面などが汚染される状態を防止せんとしてなされたものであるが、叙上のように全体は非常にコンパクトで従来の家庭用の水洗トイレシステムとサイズや外観等が殆ど変わらず、非常に使用勝手の良いものである。また、余分な付属品が一切なく、極めて衛生的であり、使用時の不快感も生じない。
【0134】
本発明の水洗トイレシステムは、従来の家庭用のトイレスペースと既存の排水ソケット及び給水設備があれば簡単に取り付け可能であって、大掛かりなトイレスペースの改造や新たな設備の導入を一切必要としない。したがって、従来の水洗トイレシステムを設置するのと同様の簡単な工事にてどのような家庭においても導入できるものである。
【0135】
特に、小便時に生殖器の制御がままならない低年齢の男子児童がいる家庭においては、これまで重労働であった小便飛沫の清拭から解放されるので、両親、とくに母親の育児ストレスは大幅に軽減されると予想される。小子化が問題となっている昨今、特に男子児童の育児ストレスを大幅に軽減できる本発明の水洗トイレシステムは、産業上も大きな利用可能性を齎すものであるといえる。
【0136】
なお、上記実施例にては、便鉢の回動を手動にて行う構成を提供しているが、便鉢の回動は、モータを用いた電動、あるいは油圧等、様々な手段を用いることが考えられる。便鉢を回動させる駆動手段としていかなる手段を用いても、それらはすべて本発明に包含されるのは、当然のことである。また、便鉢の回動を発生させる起動機構として、指で押すボタンスイッチや足踏み式のペダル等、多用な構成が考え得るが、むろんそれらもすべて本発明の範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を平置位置とし便座と便蓋を水平状態とした場合の右側面から見た縦断面図である。
【図2】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を平置位置とし便座と便蓋を水平状態とした場合の平面図である。
【図3】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を平置位置とし便座と便蓋を水平状態とした場合の右側面図である。
【図4】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を平置位置とし便座と便蓋を水平状態とした場合の正面図である。
【図5】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を起立位置とし便座と便蓋を起立位置とした場合の右側面から見た縦断面図である。
【図6】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を起立位置とし便座と便蓋を起立状態とした場合の平面図である。
【図7】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を起立位置とし便座と便蓋を起立状態とした場合の右側面図である。
【図8】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を起立位置とし便座と便蓋を起立状態とした場合の正面図である。
【図9】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を平置位置とし便座と便蓋を起立状態とした場合の正面図である。
【図10】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を平置位置とし便座を水平状態とし便蓋を起立状態とした場合の正面図である。
【図11】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を平置位置とし便座を水平状態とし便蓋を起立状態とした場合の右側面図である。
【図12】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を平置位置とし便座を水平状態とし便蓋を起立状態とした場合の一部を切欠した外観斜視図である。
【図13】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢を起立位置とし便座と便蓋を起立状態とした場合の外観斜視図である。
【図14】(a)本発明の実施例1の水洗トイレシステムのボールベアリング機構の詳細を説明するための縦断面説明図である。 (b)本発明の実施例1の水洗トイレシステムのボールベアリング機構の詳細を説明するための縦断面説明図である。
【図15】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢底部と排水部を接続するスイベルジョイントの詳細を説明するための一部を切欠した縦断面説明図である。
【図16】(a)本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢と給水管の接続部分の詳細を説明するための縦断面説明図である。 (b)本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便鉢と他の給水管の接続部分の詳細を説明するための縦断面説明図である。
【図17】(a)本発明の実施例1の水洗トイレシステムの平置位置の便鉢の外観斜視図である。 (b)本発明の実施例1の水洗トイレシステムの起立位置の便鉢の外観斜視図である。
【図18】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便器の基部の外観斜視図である。
【図19】本発明の実施例1の水洗トイレシステムの給水タンクの詳細を説明する縦断面説明図である。
【図20】(a)本発明の実施例1の水洗トイレシステムの給水タンクの第1タンクと給水管の接続部分の詳細を説明する縦断面説明図である。 (b)本発明の実施例1の水洗トイレシステムの給水タンクの第2タンクと給水管の接続部分の詳細を説明する縦断面説明図である。
【図21】給水タンクのレバー機構の作用を説明する説明図である。
【図22】給水タンクのレバー機構の作用を説明する説明図である。
【図23】給水タンクのレバー機構の作用を説明する説明図である。
【図24】(a)本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便座と便器の基部の段部を接続するクランクロッドシステムにおける便座に固着された軸の構成の詳細を説明する説明図である。 (b)本発明の実施例1の水洗トイレシステムの便座と便器の基部の段部を接続するクランクロッドシステムにおける段部に固着された軸の構成の詳細を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0138】
1 便器
11 便鉢
111 本体
111a 凸部
111b フランジ
111c 円孔
111d 凸部
111e フランジ
111f 円孔
112 リム部
112a リム部
112b リム部
113 底部
114 補助板
115 ストッパ
116 ストッパ
12 基部
12h 円孔
121 接続部
122 台部
122a 凹部
122b 凸部
122c 凸部
122d 円孔
122e 円孔
122f 段部
122g 円孔
122h 円孔
122i 係止板
122j 凹部
122k 凹部
122m 円孔
122n 円孔
123 裾部
123a 段部
123b 段部
123c 段部
2 便座
3 便蓋
4 給水タンク
41 第1タンク
41a ボールタップ
41b 浮き玉
41c オーバーフローパイプ
41d フロート弁
41e チェーン
41f フロートパイプ
41g 円孔
41h パッキン
41i 縮径部
41j パッキン
41k フランジ
41l 円孔
42 第2タンク
42a ボールタップ
42b 浮き玉
42c オーバーフローパイプ
42d フロート弁
42e チェーン
42f フロートパイプ
42g 円孔
42h パッキン
42i 縮径部
42j パッキン
42k フランジ
42l 円孔
43 隔壁
44a 給水管
44b 給水管
44c コネクタ
44d 給水管
45 補助板
46 軸
47 軸
47a 軸受け
47b 軸受け
47c 軸受け
48 軸
48a 軸受け
48b 軸受け
49 軸
49a 軸受け
49b 軸受け
4B 本体
4Ba 斜向面
4Bb 壁体
4L 蓋
4La 凹部
4Lb 円孔
4Lc 手洗いノズル
4P パッキン
4Q 給水管
4Qa 給水管
4Qb 給水管
4Qc コネクタ
4R レバー
4Ra ハンドル
5 排水部
51 前端部
52 後端部
6 ボールベアリング機構
61 上部
61a 庇部
62 下部
7 スイベルジョイント
71 胴部
72 軸部
73 鋼球
74 鋼球
75 パッキン
76 パッキン
77 Oリング
78 ダストシール
8 排水ソケット
91 枢軸
91a 軸
91b スペーサリング
91c スペーサリング
91d ナット
91e ナット
92 枢軸
93 枢軸
93a 軸
93b スペーサリング
93c ナット
94 枢軸
95 枢軸
96 枢軸
97a ロッド
97b ロッド
98a ロッド
98b ロッド
9A クランク
9B クランク
9C クランク
9D クランク
A1 方向
B1 方向
BN ボルトナット
BR バー
C 中心線
C1 方向
FL 床面
G1 歯車
G2 歯車
G3 歯車
J1 接続部分
J2 接続部分
J3 接続部分
J4 接続部分
JP1 パッキン
JP2 パッキン
H 水平面
N1 ニップル
N1a 胴部
N1b 口部
N1c 円孔
N1d フランジ
N1e リング部
N1f 溝部
N1g 締結リング
N2 ニップル
N2a 胴部
N2b 口部
N2c 円孔
N2d フランジ
N2e リング部
N2f 溝部
N2g 締結リング
N3 ニップル
N3a 胴部
N3b 口部
N3c 円孔
N3d フランジ
N3e リング部
N3f 溝部
N3g 締結リング
N4 ニップル
N4a 胴部
N4b 口部
N4c 円孔
N4d フランジ
N4e リング部
N4f 溝部
N4g 締結リング
Q1 給水管
Q1a 先端部
Q1b 先端部
Q2 給水管
Q2a 先端部
Q2b 先端部
R 回動面
R1 方向
R2 方向
RJ 回動面
RM レバー機構
S1 空洞部
S2 空洞部
ST1 紐
ST2 紐
ST3 紐
T1 コマ
T1a リム部
T1b リム部
T1c リム部
T1d 胴部
T1e 胴部
T2 コマ
T2a リム部
T2b リム部
T2c 胴部
TP トラップ
V 垂直線
W 水洗トイレシステム
X 開同軸
d1 距離
d2 厚さ
h1 小孔
h2 小孔
h3 小孔
m1 鉄板
m2 鉄板
m3 永久磁石
α 角度
β 方向



























【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水タンクと便器と便座とトラップのある排水部を有する水洗トイレシステムであって、便器部分が便鉢と基部の2部分よりなり、便鉢と基部の接続部分に便鉢回動手段が設けられ便鉢が基部に対して回動可能に構成されており、使用者が位置する側を前方とした場合に、男子大便用及び女子大小便用の位置にては便鉢が前方に延伸された形態となり、男子小便用の位置にては、便鉢が上方に延伸された形態となり、便鉢底部と排水部が水密且つ回動可能なジョイントにて接続されていることを特徴とする水洗トイレシステム。
【請求項2】
便鉢底部と排水部を接続する水密且つ回動可能なジョイントが、スイベルジョイントあるいはロータリージョイントであることを特徴とする請求項1に記載の水洗トイレシステム。
【請求項3】
便鉢と基部の接続部分に設けられた便鉢回動手段がボールベアリング機構であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の水洗トイレシステム。
【請求項4】
給水タンクがロータンクであり、内部が第1タンクと第2タンクの2部分に分割され、満水状態にて第1タンクの水位が第2タンクの水位より低くなるように構成されており、第1タンクの洗浄水を便鉢に給水する給水管が、便鉢が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合における便鉢の底部近傍に接続されて該接続部分から便鉢前方部壁部に設けられた空洞部に給水され給水された洗浄水が便鉢前方部のリム部に穿設された小孔から便鉢内壁に給水されるように構成され、第2タンクの洗浄水を便鉢に給水する給水管が、便鉢が男子大便用及び女子大小便用の位置にある場合における便鉢の後端部近傍に接続されて該接続部分から便鉢後方部壁部に設けられた空洞部に給水され給水された洗浄水の一部が便鉢後方の上部から中部に穿設された小孔及び便鉢後方部の空洞部下端部に設けられた小孔から便鉢内壁に給水されるように構成されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3に記載の水洗トイレシステム。
【請求項5】
便座がクランクを介して便器の基部の上部に連結されており、クランクのロッドが便器の基部の上部に対して回動可能であると同時に、便座がクランクのロッドに対して回動可能であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3あるいは請求項4に記載の水洗トイレシステム。
【請求項6】
便座の略全体を蔽覆可能な便蓋を有し、該便蓋がクランクを介して便器の基部の上部に連結されており、クランクのロッドが便器の基部の上部に対して回動可能であると同時に、便蓋がクランクのロッドに対して回動可能であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3あるいは請求項4あるいは請求項5に記載の水洗トイレシステム。


















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−47992(P2010−47992A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213594(P2008−213594)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【特許番号】特許第4226069号(P4226069)
【特許公報発行日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(508255687)
【Fターム(参考)】