説明

水洗トイレ使用監視装置、情報処理装置、水洗トイレ使用監視方法およびプログラム

【課題】水洗トイレの使用を長期間信頼性よく監視できる水洗トイレ使用監視装置、情報処理装置、水洗トイレ使用監視方法およびプログラムを得ること。
【解決手段】水検知手段11は、自動給水式のタンクから水洗トイレに放水が行われるときに生じるタンク内の水の動きの有無を検知することで放水の時機を検知する。時計情報取得手段12は、検知時の時計情報を取得する。編集手段13は、これらのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集し、通知手段14が予め定めた通知先に通知する。放水の時機は放水音で検知してもよい。また、トイレ内では電話やインターネットが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗トイレの使用状況を監視する水洗トイレ使用監視装置、情報処理装置、水洗トイレ使用監視方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化の進行で人口に占めるひとり住まいの数が増加している。また、特に都会では通学や通勤のためのひとり住まいも多い。ひとり住まいでない場合にも同居者全員に事故が発生して外部との連絡が採れなくなる場合があるが、ひとり住まいの場合にはこの危険性がはるかに高くなる。
【0003】
そこで、家族が遠隔地に居住する親や子供に電話を掛けたり手紙を送って安否を確認することが一般に行われている。電子メールも安否確認のための通信手段として有効である。しかしながら、毎日のように電話や電子メールで通信を行うのは手間がかかり、また、安否を確認される側も健康な場合には煩雑に感じる場合がある。
【0004】
そこで、給湯器の使用の記録をとり、この結果を携帯電話機に自動的に通知することが本発明に関係する第1の関連技術として実用化されている。この第1の関連技術では、給湯器を長時間使用しないような事態が通知されると、ひとりで居住する者に何らかの事態が発生したと推測して、必要な措置を採ることができる。しかしながら、この第1の関連技術では、夏場のように季節によって給湯器を使用しない者を監視の対象とすることができないという問題がある。
【0005】
そこで、家の中で人が必ず1日に何回か使用するものとして、トイレが注目されている。たとえば第2の関連技術では、便座に圧力センサを取り付けて人が着座したかを判別するようにしている。ところが、和式の水洗トイレでは便座がなく、この技術を使用することができない。また、便秘がちの男性のように便座を数日に一度しか使用しない人もあり、このような場合までを異常検知の対象とすることはできない。
【0006】
もちろん、第2の関連技術ではトイレのドアの開閉を検知することや、トイレ内への人の立ち入りを赤外線センサで検知することも開示している。しかしながら、トイレのドアは閉め忘れる場合や、換気を行うためにわずかに開放しておく場合もあり、また、強風で開く場合もある。そこでドアの開閉をトイレの使用に直接関連付けるのは多少無理がある。また、トイレのドアが閉じたときに中に人がいるかについては赤外線センサ等の他のセンサの検出結果を併せて判別する必要がある。しかしながら、トイレ内には便座やヒータ等の赤外線を発する器具が備えられている場合があり、人の検出を簡易に行おうとすると信頼性は必ずしも高くならない。
【0007】
このため、タンクから水洗トイレの洗浄用に水が流れる場所に電極板を配置して水の検知を行うことでトイレの使用を把握することが第3の関連技術として提案されている(たとえば特許文献2参照)。具体的には、2つの電極板を僅かな水で短絡するように例えば数ミリメートル離して配置し、トイレタンクの給水口から給水中にだけ、流水をかぶるように配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−067576号公報(第0008段落、図1)
【特許文献2】特開2001−175968号公報(第0021段落〜第0023段落、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この第3の関連技術によれば、水洗トイレは使用後に必ず水を流すので、水の使用を検知すればユーザのトイレ使用の実態を確実に把握することができる。しかしながら、水道水は導電率が低い一方で物質を酸化しやすい性格を持ち、更にカルシウム、マグネシウム等の塩類や有機物が含まれている。このため、比較的長期間の使用により電極板の表面が酸化したり、蒸発残留物が電極板表面に析出し、電極が機能しなくなったり、電極板の周辺の析出物によって配管の水の流れ自体が阻害されるといった問題が発生する。
【0010】
したがって、第3の関連技術を使用すると、保守や部品交換が定期的に必要とされ、これを怠るとトイレ使用の実態を正確に把握することができないという問題が生じることになる。
【0011】
そこで本発明の目的は、水洗トイレの使用を長期間信頼性よく監視できる水洗トイレ使用監視装置、情報処理装置、水洗トイレ使用監視方法および水洗トイレ使用監視プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、(イ)自動給水式のタンクから水洗トイレに放水が行われるときに生じる前記したタンク内の水の動きの有無を検知することで前記した放水の時機を検知する水検知手段と、(ロ)この水検知手段の検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する時計情報取得手段と、(ハ)前記した水検知手段の検知状況と前記した計時手段の取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する編集手段と、(ニ)この編集手段によって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する通知手段とを水洗トイレ使用監視装置が具備する。
【0013】
また、本発明では、(イ)水洗トイレの放水口に水が放出されるたびにその水音を検知する特定音検知手段と、(ロ)特定音検知手段が水音を検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する時計情報取得手段と、(ハ)前記した特定音検知手段の検知状況と前記した計時手段の取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する編集手段と、(ニ)この編集手段によって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する通知手段と、(ホ)通話を行う通話手段とを情報処理装置が具備する。
【0014】
更に本発明では、(イ)自動給水式のタンクから水洗トイレに放水が行われるときに生じる前記したタンク内の水の動きの有無を検知することで前記した放水の時機を検知する水検知ステップと、(ロ)この水検知ステップで検知が行われたとき検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する時計情報取得ステップと、(ハ)前記した水検知ステップでの検知状況と前記した時計情報取得ステップで取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する編集ステップと、(ニ)この編集ステップによって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する通知ステップとを水洗トイレ使用監視方法が具備する。
【0015】
更にまた本発明では、コンピュータに、水洗トイレ使用監視プログラムとして、(イ)自動給水式のタンクから水洗トイレに放水が行われるときに生じる前記したタンク内の水の動きの有無を検知することで前記した放水の時機を検知する水検知処理と、(ロ)この水検知処理で検知が行われたとき検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する時計情報取得処理と、(ハ)前記した水検知処理での検知状況と前記した時計情報取得処理で取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する編集処理と、(ニ)この編集処理によって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する通知処理とを実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、水洗トイレに水が放出されたときの記録を予め定めた通知先に通知するので、暑い時期のようにポットのお湯を比較的使用しない時期も含めて通年で居住者の健康管理を行うことができる。また、タンク内の水の動きの有無を検知することでトイレへの放水の時機を検知するので、検知動作が安定し、また、配管の詰まりのおそれもない。更に、情報処理装置が通話手段を備えた発明の場合には、トイレで気分が悪くなったような場合にも、他人と通信の手段を確保することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の水洗トイレ使用監視装置のクレーム対応図である。
【図2】本発明の情報処理装置のクレーム対応図である。
【図3】本発明の水洗トイレ使用監視方法のクレーム対応図である。
【図4】本発明の水洗トイレ使用監視プログラムのクレーム対応図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による水洗トイレ使用監視システムを表わしたシステム構成図である。
【図6】第1の実施の形態による水洗トイレ使用監視装置の構成を表わしたブロック図である。
【図7】第1の実施の形態による水洗トイレ使用監視装置の設定画面の一例を示した平面図である。
【図8】第1の実施の形態における水検知処理部による水使用検知処理の様子を表わした流れ図である。
【図9】第1の実施の形態における水洗トイレ使用監視装置による電子メールの編集と送信処理の様子を表わした流れ図である。
【図10】第1の実施の形態における電子メール処理部の作成した非常通知書の電子メールの一例を示した平面図である。
【図11】第1の実施の形態における電子メール処理部の作成した不使用報告書の電子メールの一例を示した平面図である。
【図12】第1の実施の形態における電子メール処理部の作成した定期報告書の電子メールの一例を示した平面図である。
【図13】第1の実施の形態の変形例における水洗トイレ使用監視装置の構成を表わしたブロック図である。
【図14】第1の実施の形態の変形例における定期報告書の電子メールの一例を示した平面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態による水洗トイレ使用監視装置の外観を表わした斜視図である。
【図16】第2の実施の形態におけるハンドセットの背面図である。
【図17】第2の実施の形態における水洗トイレ使用監視装置の回路構成を表わしたブロック図である。
【図18】第2の実施の形態における水洗トイレ使用監視装置のモード間の遷移処理を表わした流れ図である。
【図19】第2の実施の形態における監視モードによる水検知処理部の水使用検知処理を表わした流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の水洗トイレ使用監視装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の水洗トイレ使用監視装置10は、水検知手段11と、時計情報取得手段12と、編集手段13と、通知手段14とを備えている。ここで、水検知手段11は、自動給水式のタンクから水洗トイレに放水が行われるときに生じるタンク内の水の動きの有無を検知することで放水の時機を検知する。時計情報取得手段12は、水検知手段11の検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する。編集手段13は、水検知手段11の検知状況と時計情報取得手段12の取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する。通知手段14は、編集手段13によって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する。
【0019】
図2は、本発明の情報処理装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の情報処理装置20は、特定音検知手段21と、時計情報取得手段22と、編集手段23と、通知手段24と、通話手段25とを備えている。ここで、特定音検知手段21は、水洗トイレの放水口に水が放出されるたびにその水音を検知する。時計情報取得手段22は、特定音検知手段21が水音を検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する。編集手段23は、特定音検知手段21の検知状況と時計情報取得手段22の取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する。通知手段24は、編集手段23によって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する。通話手段25は、通話を行う。
【0020】
図3は、本発明の水洗トイレ使用監視方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の水洗トイレ使用監視方法30は、水検知ステップ31と、時計情報取得ステップ32と、編集ステップ33と、通知ステップ34とを備えている。ここで、水検知ステップ31では、自動給水式のタンクから水洗トイレに放水が行われるときに生じるタンク内の水の動きの有無を検知することで放水の時機を検知する。時計情報取得ステップ32では、水検知ステップ31で検知が行われたとき検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する。編集ステップ33では、水検知ステップ31での検知状況と時計情報取得ステップ32で取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する。通知ステップ34では、編集ステップ33によって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する。
【0021】
図4は、本発明の水洗トイレ使用監視プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明の水洗トイレ使用監視プログラム40は、コンピュータに、水検知処理41と、時計情報取得処理42と、編集処理43と、通知処理44を実行させるようにしている。ここで、水検知処理41では、自動給水式のタンクから水洗トイレに放水が行われるときに生じるタンク内の水の動きの有無を検知することで放水の時機を検知する。時計情報取得処理42では、水検知処理41で検知が行われたとき検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する。編集処理43では、水検知処理41での検知状況と時計情報取得処理42で取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する。通知処理44では、編集処理43によって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する。
【0022】
<発明の第1の実施の形態>
【0023】
次に本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0024】
図5は、本発明の第1の実施の形態による水洗トイレ使用監視システムを表わしたものである。この水洗トイレ使用監視システム100は、自動給水式の水洗トイレ用タンク装置101に水洗トイレ使用監視装置102を取り付けた構成となっている。
【0025】
ここで水洗トイレ用タンク装置101は、タンク本体部111と、これに連結された給水管112と、排水管113およびタンク本体部111の上部を覆う蓋114によって構成されている。給水管112は、タンク本体部111内でボールタップ116を経て、傘の柄の形状をした手洗い管117に連結されている。ボールタップ116には、レバー118の一端が取り付けられている。このレバー118の他端に取り付けられた浮玉119の浮力により、ボールタップ116は自動的に給水を開始あるいは停止するバルブである。ボールタップ116が給水状態のときに、図示のように手洗い管117は、その下端部および先端部から給水121、122を行うようになっている。タンク本体部111の構成によっては手洗い管117が存在せず、ボールタップ116の排水側から給水121が行われる。
【0026】
給水121、122によってタンク本体部111内の水位が図の矢印124で示す高さまで上昇すると、浮玉119が破線で示すようにこれに伴って上昇し、ボールタップ116の給水が停止する。この状態がタンク本体部111の待機状態である。この待機状態で、図示しない水洗トイレのユーザがタンク本体部111の側部に取り付けられた回転レバー125を所定角度だけ手前に向けて回転させると、タンク本体部111内の回転軸126が回転する。回転軸126が回転すると、その先端のL字状に曲げられた揺動部126Aが当初の下向き方向から回転レバー125の回転角に相当する角度まで回転して、紐127を引っ張り、止水栓128を排水管113の排水口129から持ち上げる。これにより、タンク本体部111内の水が排水管113を通じて水洗トイレに流れ出すことになる。
【0027】
給水管112とタンク本体部111内のボールタップ116を結ぶ配管部分131には、支持部材132を介して水検知センサ133が取り付けられている。水検知センサ133は、タンク本体部111の矢印124で示す水位の最も高くなる位置からほぼ半分の深さの位置に取り付けられる。これよりも更に深い位置でもよい。水検知センサ133は検知位置での放水時の水の流れ(渦)を検知するセンサである。水検知センサ133は、たとえばプロペラ状の羽根を回転軸に取り付けたモータや、このような羽根の動きを光のオン・オフに変化させる光スイッチで構成することができる。水検知センサ133の検知出力は、信号光線134を通じて水洗トイレ使用監視装置102に入力するようになっている。
【0028】
水洗トイレ使用監視装置102は、図示しないトイレ内の家庭用コンセントに電源プラグ141を装着して使用するようになっている。この家庭用コンセントに接続された図示しない家庭内電力線には同じく図示しないルータが接続されている。水洗トイレ使用監視装置102は、必要な電力を家庭内電力線から給電すると共に、家庭内電力線を使用してPLC(Power Line Communications)通信を行うようになっている。水洗トイレ使用監視装置102には非常通知ボタン135が設けられており、これを押すと予め設定した宛先に非常通知用メールが送信されるようになっている。
【0029】
図6は、水洗トイレ使用監視装置の構成を表わしたものである。水洗トイレ使用監視装置102は、CPU(Central Processing Unit)151と、このCPU151が実行する制御プログラムを格納したメモリ152とを備えた主制御部153を有している。主制御部153はデータバス等のバス154を通じて次の各部と接続し、これらの制御を行うようになっている。
【0030】
まず、通信制御部155は電源プラグ141を介して家庭内LAN(Local Area Network)と接続され、電子メールの送信や、家庭内LANに接続された他のコンピュータからのデータを受信するようになっている。信号入力部156は、水検知センサ133および非常通知ボタン135からの信号を入力する。水検知処理部157は、水検知センサ133の検知が行われるたびにその記録をとり、1日ごとの報告書あるいは水検知センサ133が一定時間使用されないときの報告書を作成する。通知先登録部158は、水検知センサ133の検知についての通常の通知先と、非常時の通知先のメールアドレスを登録する。時計回路部159は、図示しないクロック発生回路の発生するクロックを分周して日時に関する情報を作成する。電子メール処理部160は、水検知処理部157の作成した報告書および非常通知ボタン135が押されたときの非常通知書を、通知先登録部158に登録された宛先に電子メールで送信する処理を行う。ブラウザ機能部161は、通知先登録部158や時計回路部159等の各部の設定を他のコンピュータからブラウザを用いて行うためのブラウザ表示機能を実現する。
【0031】
なお、以上説明した水洗トイレ使用監視装置102内のデバイスのうちの少なくとも一部は、CPU151がメモリ152に格納された制御プログラムを実行することによって実現する機能部品によって構成されてもよい。
【0032】
ところで、すでに説明したように、水洗トイレ使用監視装置102は、家庭内LANに接続された他のコンピュータと通信することができる。したがって、水洗トイレ使用監視装置102の設置が完了した時点で、家庭内LANに接続されたコンピュータを起動して水洗トイレ使用監視装置102を通信先に指定すると、ブラウザ機能部161による設定画面がこのコンピュータのブラウザ上に表示される。
【0033】
図7は、水洗トイレ使用監視装置の設定画面の一例を示したものである。図6と共に説明する。
【0034】
ユーザあるいはその関係者は設定画面171を用いて、不使用警告時間の設定と、定期報告間隔の設定と、通常の通知先、非常時の通知先およびユーザ情報を設定することができる。ここで「不使用警告時間」の設定とは、水洗トイレが使用されてから次に使用されるまでの時間が通常の間隔よりも長いとき、警報を発するしきい値となる時間をいう。この時間は、ユーザの就寝中も含めて、正常時におけるトイレに行く最長間隔よりも長い時間を設定する必要がある。ただし、あまり長い時間を設定すると、事故があったときの通知までの時間がそれに応じて延びることになる。本実施の形態ではこれを12時間に設定している。
【0035】
次に「定期報告間隔」の設定とは、ユーザの水洗トイレの使用の実態を定期的に報告する際の間隔の設定をいう。本実施の形態では、日数で設定できるようになっている。図7に示すように「7日ごと」に設定すると、7日としての1週間ごとに水洗トイレを使用した日時が集計されて報告されることになる。これは、緊急時に対処するデータとなる可能性は少ないが、健康管理のデータとして活用することができる。
【0036】
次に「通常の通知先」の設定とは、不使用警告時間を超える時間で水洗トイレの不使用が発生した場合の報告や、定期報告が行われる際の通知先の電子メールを登録することをいう。ここには、たとえば家族や掛かり付けの医者としてのホームドクタの電子メールが登録される。ユーザ自身のコンピュータ(図示せず)で使用する電子メールを登録し、そのコンピュータに自身の健康記録として保存するようにしてもよい。
【0037】
次に「非常時の通知先」の設定とは、非常通知ボタン135が押されたときの通知先の電子メールを登録することをいう。ここには、たとえば非常時に駆けつけることのできる家族や警備会社の電子メールが登録される。ホームドクタの了承があれば、この電子メールを登録することもできる。
【0038】
最後に「ユーザ情報」の設定とは、この水洗トイレ使用監視装置102を使用するユーザの情報を電子メールに組み込んで送るための情報の記載である。ここには、氏名、本人の年齢あるいは生年月日、連絡先としての電話番号や電子メールのアドレス、持病、血液型、住所のように電子メールを受け取った者が送信者を特定し、対処するのに役立つ情報が記載される。
【0039】
設定画面171に設定された内容のうち、「不使用警告時間」および「定期報告間隔」の設定内容は、水検知処理部157に格納される。「通常の通知先」および「非常時の通知先」は、通知先登録部158に登録される。「ユーザ情報」は電子メール処理部160に格納される。
【0040】
図8は、水検知処理部による水使用検知処理の様子を表わしたものである。図5および図6と共に説明する。
【0041】
水検知処理部157は、信号入力部156を経て入力される水検知センサ133からのタンク内の水流の検知の有無を示す信号を入力することで、タンク本体部111内部で水流が生じているかを監視している(ステップS201)。水洗トイレが使用されていない状態では、タンク本体部111内部での水位が矢印124で示す高さの位置に固定されている。この状態ではタンク本体部111内部の水はほぼ静止しており、水流は生じていない(N)。
【0042】
ユーザが水洗トイレの使用に伴って回転レバー125を回転させると、図示しない水洗トイレへの放水が開始される。これに伴い、タンク本体部111内の水位が急激に低下していく。これと共にタンク本体部111内で渦状の水流が発生し、水検知センサ133はそのモータ部分が回転して電気信号を出力し、これにより水流が検知される(ステップS201:Y)。
【0043】
水検知処理部157は、このようにして水流の検知を行うと、たとえば2分程度の時間t1が経過した後に(ステップS202:Y)、今度は流水が検知されなくなったかの判別を行う(ステップS203)。これは、水洗トイレへの放水が終わってタンク本体部111内の水位が再び元に戻って水流が生じなくなった状態を確認するためである。ステップS202の遅延処理は必ずしも必要としないが、この遅延処理によって一時的に水流の変化が生じたり生じなかったりするチャタリングの検知を防止することができる。
【0044】
タンク本体部111内の水位が回復して流水が検知されなくなったら(ステップS203:Y)、水検知処理部157は時計回路部159から日時に関する情報を取得して水洗トイレの使用日時の記録を行う(ステップS204)。この後、処理はステップS201に戻る(リターン)。なお、ユーザが水洗トイレの放水を幾度か連続的に行っている場合には、ステップS203で水流が検知される場合がある(N)。この場合には、ステップS201の処理を経由して時間t1が経過した後にステップS203の判別が行われる。
【0045】
図9は、水洗トイレ使用監視装置による電子メールの編集と送信処理の様子を表わしたものである。図6および図7と共に説明する。
【0046】
電子メール処理部160は非常通知ボタン135が押されたかと、水洗トイレの最新の使用から不使用警告時間が経過したかと、定期報告時機が到来したかの監視を行っている(ステップS221〜ステップS223)。非常通知ボタン135が押された場合(ステップS221:Y)、電子メール処理部160は時計回路部159から現在の日時に関する情報を取得する(ステップS224)。そして、これを記載した非常通知書を作成する(ステップS225)。
【0047】
図10は、電子メール処理部の作成した非常通知書の電子メールの一例を示したものである。この電子メール181のタイトルは「非常通知書」となっている。本文には、非常通知ボタン135(図5参照)が押されたことと、その日時および発信者としてのユーザ情報が記されている。
【0048】
図9に戻って説明を続ける。電子メール処理部160は作成した非常通知書の電子メールを、通知先登録部158における非常時の通知先(図7参照)に送信する(ステップS226)。本実施の形態では通信制御部155を使用してPLC通信で電子メールの送信が行われる。水洗トイレ使用監視装置102は、無線LANや有線LANを用いて、あるいは無線基地局に携帯電話機として電子メールの送信を行うことも可能である。電子メールの送信が終了したらステップS221の処理に戻る(リターン)。
【0049】
一方、水洗トイレの最新の使用から不使用警告時間が経過した場合には(ステップS221:N、ステップS222:Y)、ユーザが水洗トイレに行けない状態が継続する等の異常事態の発生のおそれがある。そこで、水検知処理部157は、水検知センサ133が最後に検知を行った日時と現在の日時を示す報告データを電子メール処理部160に送信する(ステップS227)。電子メール処理部160はこの報告データを基にして不使用報告書を作成する(ステップS228)。
【0050】
図11は、電子メール処理部の作成した不使用報告書の電子メールの一例を示したものである。この電子メール182のタイトルは「不使用報告書」となっている。本文には、水洗トイレが何時から使用されていないという事実と、発信者としてのユーザ情報が記されている。
【0051】
図9に戻って説明を続ける。電子メール処理部160はステップS228で電子メールを作成したら、水検知処理部157に記録してある最後に水洗トイレを使用した日時を保持したまま、これに注記する形で現在の日時を追加してステップS222による経過時間の起点をリセットする(ステップS229)。そして、作成した不使用報告書の電子メールを、通知先登録部158における通常の通知先(図7参照)に送信する(ステップS230)。電子メールの送信が終了したらステップS221の処理に戻る(リターン)。
【0052】
ここで、ユーザが更に長時間、水洗トイレを使用しなかったとする。すると、ステップS222ではステップS229で記した追記した新たな日時を基にして時間の経過を判別する。したがって、図7の設定画面171に示すように不使用警告時間が12時間に設定されている場合で不使用開始日時が2009年3月27日午後1時30分の場合、ちょうど1日経過した時点で2度目の不使用報告書が送信されることになる。このときの電子メールの記載内容は図11と同様となる。この例の場合、ステップS229の処理では2009年3月27日午後1時30分というデータを保持して、先に追加した2009年3月28日午前1時30分というデータを現時点の2009年3月28日午後1時30分に書き換える。このようにして、ユーザが水洗トイレを長時間使用しない場合には不使用報告書の電子メールが不使用警告時間の経過するたびに連続して送信されることになる。ユーザが水洗トイレの使用を再開すれば、水検知センサ133が検知した最新の日時が書き換えられるので、これ以後は通常の制御に戻されることはもちろんである。
【0053】
最後に定期報告時機が到来した場合を説明する。この場合(ステップS221:N、ステップS222:N、ステップS223:Y)、水検知処理部157は定期の報告データを電子メール処理部160に送信する(ステップS231)。電子メール処理部160はこの報告データを基にして定期報告書を作成する(ステップS232)。
【0054】
図12は、電子メール処理部の作成した定期報告書の電子メールの一例を示したものである。この電子メール183のタイトルは「定期報告書」となっている。本文には、定期報告間隔で今回報告する期間と、この期間におけるすべての水洗トイレ使用日時と、発信者としてのユーザ情報が記されている。
【0055】
図9に戻って説明を続ける。電子メール処理部160はステップS232で電子メールを作成したら、これを通知先登録部158における通常の通知先(図7参照)に送信する(ステップS230)。電子メールの送信が終了したらステップS221の処理に戻る(リターン)。なお、水検知処理部157における水洗トイレの使用に関する日時情報は、記録するメモリ領域がいっぱいになったとき古い日時から順次最新の情報に書き換えられる。
【0056】
以上説明したように本発明の第1の実施の形態によれば、水洗トイレの使用状況を通知あるいは報告することで、ユーザの健康状態を推測することができる。しかも、これらのデータを電子メールで通知あるいは報告するので、記録を保管しやすく、また、LAN等の安価な通信手段を用いることで、ランニングコストを大幅に低減することができる。
【0057】
更に本実施の形態では非常通知ボタン135を設けたので、ユーザがトイレ内で気分が悪くなったとき、あるいは家屋への侵入者があったり災害等の事情でトイレに避難したようなときに、外部に救援を求めることができる。
【0058】
<第1の実施の形態の変形例>
【0059】
図13は、以上説明した第1の実施の形態の水洗トイレ使用監視システムの変形例における水洗トイレ使用監視装置の構成を表わしたものである。図13に示した水洗トイレ使用監視装置102Aで、図6と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
【0060】
この変形例の水洗トイレ使用監視装置102Aで信号入力部156Aは水検知センサ133からの入力信号に加えて、トイレ本体信号出力部301からトイレ本体信号の入力を行うようになっている。ここでトイレ本体信号とは、図示しないトイレ本体から入力する信号である。信号入力部156Aは、たとえば次のような信号の少なくとも一部を入力することができる。
【0061】
(a)洗浄式便座の洗浄用ノズルの使用された種類と時間
(b)洗浄式便座のヒータの設定温度
(c)便座の開閉検出機構がついている場合の開閉状態
(d)便座あるいはその周辺機構に体重測定機能がついている場合の体重
(e)便座あるいはその周辺機構に脈拍測定機能がついている場合の脈拍
(f)便座に人が座ったことを検知する機能がついている場合の座った時間および異常に長い時間座った状態となることを検知する信号
(g)トイレに入った人を検知する検知機構が備えられている場合の人の検知のオン・オフおよび検知継続時間
【0062】
水洗トイレ使用監視装置102Aの本体側には、トイレ本体信号処理部311が設けられており、入力されたトイレ本体信号を処理する。ブラウザ機能部161Aは、トイレ本体信号出力部301から入力されるトイレ本体信号の選択のためのブラウザ表示機能を追加的に提供する。電子メール処理部160Aはトイレ本体信号処理部311の処理結果を追加する形で電子メールの本文の編集を行う。主制御部153Aのメモリ152Aには、トイレ本体信号処理部311の制御も含めた水洗トイレ使用監視装置102Aの全体を制御するための制御プログラムが格納されている。
【0063】
図14は、図12に対応するもので、この変形例における定期報告書の電子メールの一例を示したものである。図14で図12と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
【0064】
この変形例の電子メール183Aでは、本文の「使用状況」の項目における使用日時情報の後に括弧書きでトイレ本体信号から得られるトイレ情報が記載されている。ここで記号「S」は便座が下ろされた状態で使用されたことを表わしており、この記号がない場合は男性が小用に使用したことが推定される。記号「D」は大便用の洗浄が使用されたことを表わしており、記号「B」はビデが使用されたことを表わしている。これらに後続する数値は使用時間を表わしている。
【0065】
以上説明した本発明の第1の実施の形態の変形例によれば、第1の実施の形態よりも詳細な健康状態のチェックが可能になる。したがって、ユーザが自分の健康状態の資料として定期報告書を自分のパーソナルコンピュータに電子メールとして保存し、活用することができる。また、水洗トイレを複数人が使用した場合に、便座の開閉等の使用の態様や体重等のデータにより、ある程度の確率で個人の特定が可能になり、データの分析に役立てることができる。また、電子メールで送信する内容も宛先に応じて送信内容を編集できるようにすれば、プライバシの確保についても配慮することができる。
【0066】
<発明の第2の実施の形態>
【0067】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0068】
図15は、本発明の第2の実施の形態による水洗トイレ使用監視装置の外観を表わしたものである。この水洗トイレ使用監視装置400は壁掛け型の電話機と同様の外観をしており、壁に固定された装置本体401とハンドセット402およびこれらを接続するコード403によって構成されている。装置本体401には、USB(Universal Serial Bus)ポート411と、メモリカードスロット412および水洗トイレの水洗時の水音を検知するマイクロフォン413が配置されている。また、装置本体401におけるハンドセット402の送話器部と受話器部を装着する部位の間に位置する領域には、電話を掛けるためのテンキー等の操作部414と、非常通知ボタン415が配置されている。この装置本体401は図示しない電源コードによって電源の供給を受けるようになっている。
【0069】
図16は、ハンドセットの通話時に顔に当てる側(以下、背面側という。)を表わしたものである。ハンドセット402の背面側は、コード403の引き出された側を図のように右側とすると、右端近傍に送話器部421が配置され、左端近傍に受話器部422が配置されている。ただし、本実施の形態のハンドセット402では、送話器部421に送話機能としてのマイクロフォンだけでなく拡声機能としてのスピーカも備えている。したがって、図のようにハンドセット402を横長に配置すると、電話機能をオフにした状態で送話器部421を右側スピーカとして使用し、受話器部422を左側スピーカとして使用してステレオの再生が可能となる。
【0070】
送話器部421と受話器部422の間の1段低い平面部分には、横長の液晶ディスプレイ423が配置されている。この液晶ディスプレイ423の表面には、タッチパネル424が付属している。また、送話器部421の右端部と受話器部422の左端部には、それぞれスライド検出部425、426が埋設されている。スライド検出部425は、ユーザが右の親指をこれに接触させて上下方向に移動させることで、液晶ディスプレイ423に表示されたカーソル427をこれと同一方向に移動させることができる。また、スライド検出部426の方は、ユーザが左の親指を接触させて上下方向に移動させることで、カーソル427をこれと同一方向に移動させることができる。なお、スライド検出部425、426の代わりに、時計方向あるいは反時計方向に回転する円盤をこれらの側部から一部露出するように配置しておき、これらを回転させることでカーソル427を上下方向に移動させるようにしてもよい。
【0071】
送話器部421の図で上方の位置には右クリックボタン428が配置されている。右クリックボタン428は、たとえば右手の人指し指で操作することで、マウスの右クリックに相当する操作を行うことができる。受話器部422の図で上方の位置には左クリックボタン429が配置されている。左クリックボタン429は、たとえば左手の人指し指で操作することで、マウスの左クリックに相当する操作を行うことができる。もちろん、ハンドセット402にはタッチパネル424が装備されているので、ユーザはこのタッチパネル424を操作することでも座標データの入力を行うことができる。
【0072】
右クリックボタン428と左クリックボタン429の間にはホールドボタン431と特殊ボタン432が配置されている。ホールドボタン431は、現在のハンドセット402の状態を装置本体401にセットするまでホールドするボタンである。特殊ボタン432はユーザが任意に特殊機能を割り当てるために用意されたボタンである。この特殊ボタン432と残りのボタンを同時に押すことによっても、ユーザは各種の機能を実現することができる。
【0073】
ハンドセット402内部には、加速度センサ435が配置されている。ハンドセット402を図15に示した装置本体401から外した状態で、加速度センサ435を図16に示すように水平に配置すると、電話外モードになる。この電話外モードでは、液晶ディスプレイ423にメニュー画面が初期的に表示され、これをタッチパネル424あるいはカーソル427で選択することで、インターネットに接続する等の所望の処理を実行することができる。また、ハンドセット402を装置本体401から外して、そのまま縦長の状態で保持したとすると、スカイプ(登録商標)等のインターネットを用いた電話を掛けることのできる電話モードとなる。電話外モードあるいは電話モードのいずれであっても、またはハンドセット402を装置本体401に装着したままの状態であっても、トイレ監視は実行される。
【0074】
図17は、この第2の実施の形態による水洗トイレ使用監視装置の回路構成を表わしたものである。水洗トイレ使用監視装置400は、CPU451と、このCPU451が実行する制御プログラムを格納したメモリ452とを備えた主制御部453を有している。主制御部453はデータバス等のバス454を通じて次の各部と接続し、これらの制御を行うようになっている。
【0075】
まず、通信制御部455はアンテナ456を介して無線LANと接続され、電子メールの送受信や、インターネットへの接続を行うようになっている。信号入力部457は、マイクロフォン413、非常通知ボタン415、右クリックボタン428、左クリックボタン429、ホールドボタン431、特殊ボタン432、加速度センサ435およびフックスイッチ458を接続している。このうち、マイクロフォン413から入力した音声情報は信号入力部457内の図示しない帯域フィルタにかけられる。そして、図示しない水洗トイレの水洗時に特徴的な水音のみの周波数成分が抽出された後、ディジタル信号に変換されて水検知処理部467に送られる。
【0076】
ところで、水洗トイレによっては周囲環境の音から水洗時の水音を判別することが困難な場合がある。このような場合には、幾つかの対策を採ることができる。たとえば、水流で回転すると風鈴の音がでるような球体を図示しない水洗トイレ用タンク装置に浮かべておき、この音を検出するように信号入力部457の帯域フィルタの設定を行うことも有効である。もちろん、配線の増加を気にしなければ、第1の実施の形態で説明したように水洗トイレ用タンク装置から水洗時を判別するための電気信号を入力するものであってもよい。
【0077】
非常通知ボタン415は、第1の実施の形態における非常通知ボタン135と同一の機能をもっている。加速度センサ435は、ハンドセット402が縦長になっている状態と横長になっている状態を識別するだけでよい。しかしながら、ユーザが使用するアプリケーションソフトウェアに対応させたり、ハンドセット402の姿勢と特殊ボタン432の組み合わせに対応させて各種の機能を実現するためには3軸加速度センサを用いることが好ましい。フックスイッチ458は、図15に示した装置本体401からハンドセット402を外すオフフックを検知するスイッチである。
【0078】
表示制御部460は、液晶ディスプレイ423の表示制御を行う。液晶ディスプレイ423の代わりに、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイを使用してもよい。パネル制御部461はタッチパネル424の座標検出制御を行う。通知先登録部462は、第1の実施の形態における通知先登録部158と同一の機能をもっている。時計回路463も第1の実施の形態における時計回路部159と同一の機能をもっている。USBインタフェース(I/F)464は、USBポート411を用いて各種の周辺機器を接続可能にするためのものである。メモリカードインタフェース(I/F)465は、メモリカードスロット412にメモリカードを装着させるためのものである。電子メール処理部466は、第1の実施の形態における電子メール処理部160と同様の機能をもっている。水検知処理部467は、第1の実施の形態における水検知処理部157と同様の機能をもっている。
【0079】
図18は、以上の構成の水洗トイレ使用監視装置のモード間の遷移処理を表わしたものである。図15〜図17と共に説明する。
【0080】
主制御部453は信号入力部457を介してフックスイッチ458がオフになるのを監視している(ステップS501)。図15に示したようにハンドセット402が装置本体401に装着された状態でフックスイッチ458がオンの状態となっている(N)。この状態では、水洗トイレを監視する監視モードが実行される(ステップS502)。監視モードでは、第1の実施の形態と同様にユーザが水洗トイレを使用すると、その記録が採られて所定の報告が電子メールによって行われる。ステップS502による監視モードの処理が行われた後、処理がステップS501に戻される(リターン)。したがって、結果的にハンドセット402が装置本体401から外されるまで、監視モードの実行は継続する。
【0081】
ユーザがハンドセット402を手にとって装置本体401から外したとする。これによりオフフックとなる(ステップS501:Y)。すると、監視モードと電話モードが共に実行されるモード(以下、これを電話モードと称する。)となる(ステップS503)。したがって、ユーザは電話モードで電話を掛けることができる。電話モードで主制御部453は加速度センサ435の検出結果を用いてハンドセット402が縦長方向から横長方向になったかを判別する(ステップS504)。そして、通常の電話操作の場合のようにハンドセット402が縦長方向を維持しており(N)、かつハンドセット402を装置本体401に戻すまでは(ステップS505:N)、電話モードを継続する(ステップS503)。
【0082】
電話モードの途中でユーザがハンドセット402を装置本体401に戻した場合にはフックスイッチ458がオンとなる(ステップS505:Y)。この場合には処理がステップS501に戻る(リターン)ので、電話モードは終了して監視モードのみが実行される。
【0083】
一方、電話モードの途中でユーザがハンドセット402を縦長方向から横長方向に変化させたとする(ステップS504:Y)。この場合には、監視モードと電話外モードが共に実行されるモード(以下、これを電話外モードと称する。)となる(ステップS506)。電話外モードで、ユーザはハンドセット402でインターネットにアクセスしてニュースや動画等のコンテンツを閲覧したり、ラジオや音楽を聞くことができる。
【0084】
この電話外モードで主制御部453はフックスイッチ458がオンとなるのを監視している(ステップS507)。もし、オンフックとなれば(Y)、次に説明するフラグをリセットして(ステップS508)、ステップS501に処理が戻る(リターン)。すなわち、電話外モードがその時点で終了して、監視モードの実行のみとなる。オンフックとなっていない状態で主制御部453はホールドボタン431が押されたホールドオンのフラグ状態であるかを監視している(ステップS507:N、ステップS509)。ホールドボタン431が押されると、ホールドオンのフラグ状態となる(ステップS509:Y)。そこで、これ以後はユーザがハンドセット402を装置本体401に戻さない限り、ハンドセット402を縦長の姿勢にしても電話外モードが保持される。
【0085】
もちろん、ユーザがホールドボタン431を押さないでも、ハンドセット402を縦長の姿勢にしない限り(ステップS507:N、ステップS509:N、ステップS510:N)、電話外モードが保持される。この場合、ユーザがハンドセット402を縦長の姿勢にした時点で(ステップS510:Y)、ステップS503に戻り、電話モードに移行する。したがって、ユーザがたとえばトイレ内でインターネットを行っている状態で気分が悪くなれば、ハンドセット402を一度装置本体401に戻す必要なく縦長の姿勢にするだけで、家庭の内線に電話したり、医者に電話することができる。電話モードでは液晶ディスプレイ423にダイヤルキーや緊急電話先を表示することができ、装置本体401側の操作部414にまで手を伸ばす必要がない。
【0086】
図19は、監視モードによる水検知処理部の水使用検知処理を表わしたものである。図17と共に説明する。
【0087】
水検知処理部467は、マイクロフォン413から入力され信号入力部457でフィルタリングされた特定周波数帯域のディジタル音を入力して、水洗タンク本体部から水洗トイレに流される水音が発生するのを待機している(ステップS531)。水洗トイレに流される水音を検知したら(Y)、これからたとえば1.5秒といった所定時間t2が経過した時点で(ステップS532:Y)、水洗トイレの水音を再度チェックする(ステップS533)。この結果、水検知処理部467は、このとき検知する音が水洗の開始から所定時間t2が経過したときに発生の予測される水音(水洗継続音)と一致する場合(Y)、水洗トイレに水が流されたものと判別する。この場合、水検知処理部157は時計回路部463から日時に関する情報を取得して水洗トイレの使用日時の記録を行う(ステップS534)。この後、処理はステップS531に戻る(リターン)。
【0088】
この一方で、ステップS533で該当する水洗継続音が検知できなかった場合(N)、ステップS531で一時的に検出した音成分が他の原因で発生した音によるものであると判別する。この場合には水洗トイレに流される水音が検知されなかったので、処理はステップS531に戻ることになる(リターン)。
【0089】
この第2の実施の形態でユーザが電話を掛けたり、あるいは外部から掛ってきた電話をとることは、通常の電話機能として知られている機能を実現することであり、その説明を省略する。また、電話外モードでの処理もインターネットの閲覧を行ったり、ゲームを楽しんだり、あるいはメモリカードスロット412に装着したメモリを用いて音楽や動画を楽しむことであり、本実施の形態で特別に異なった処理を行う訳ではない。そこで、これらについての説明は省略する。もちろん、第1の実施の形態で説明したような水洗トイレの使用に伴う状態監視と電子メールによる通知および非常時の警報は、本実施の形態でも可能である。
【0090】
以上説明したように本発明の第2の実施の形態では、水洗トイレ使用監視装置400は壁掛け型の電話機と同様に水洗トイレ内に設置するだけで、水洗トイレ用タンク装置と何らの接続も行うことなく、トイレの使用状態を監視することができる。しかも、ユーザは電子メールだけでなく、外部と電話による通信が可能である。また、インターネットの常時接続環境では電話や電子メールを安価に行うことができる。
【0091】
また、第1の実施の形態と共通するが、水洗トイレ使用監視装置400の各種の通知をインターネット上の監視センタが受けるようにすれば、このセンタでこれらの情報を蓄積して分析することができる。また、監視センタには専門の分析用のソフトウェアや医者等の専門家を配属しておくこともできる。したがって、ユーザ本人だけでなく、その家族も監視センタに問い合わせを行うことによって、水洗トイレの使用頻度等の使用に関する情報を取得し、生活リズムや体調の管理に活用することができる。また、緊急時の確認だけでなく、高齢者や身体障害者の安否を監視センで容易に確認することができる。
【0092】
なお、第2の実施の形態では装置本体401にコード403によって接続したハンドセット402を使用している。このため、無線型あるいは携帯電話機タイプの電話機を水洗トイレに使用する場合と比べると、持ち出しやこれに伴う紛失のおそれがなく、必要なときに水洗トイレ内で直ちに使用することができる。また、装置本体401が商用電源に接続されていれば、電池切れのおそれもない。もちろん、ハンドセット402を無線型にしたり、水洗トイレ使用監視装置400を水洗トイレの水の音を検知できる機能と監視および通知機能を備えた携帯電話機のような情報処理装置としてもよい。更に水洗トイレ使用監視装置400の電話機能は、発信元電話番号の表示やハンズフリーフォンを装備し、利用者の判断により電話に出ることもできるようにしてもよい。
【0093】
また、第2の実施の形態では、水洗トイレ用タンク装置101から水洗トイレへの放水時の音の検知を前提として水検知センサ133Aの説明を行った。しかしながら、水洗トイレへの放水もタンクレスで行うものも一般に使用されている。このようなタンクレスの装置でも水洗トイレへの放水の音を検知することが可能であり、本発明を同様に適用することができる。更に第2の実施の形態では水音を検知することを前提に情報処理装置を説明したが、通話機能とこれ以外の情報処理機能を加速度センサの検出出力で切り分けるようにした情報処理装置は、水洗トイレ以外にも緊急連絡用の電話機等の各種の応用が可能である。
【0094】
なお、以上説明した実施の形態および変形例では通信方法として電子メールや電話を使用したが、ファクシミリを外部との通信手段としてもよい。また、外部との通信手段は以上説明したインターネット、有線LAN、無線LAN、電話回線あるいは携帯電話網に限る必要はない。たとえばPHS(Personal Handyphone System)を機器として使用してもよいし、ブルートゥース(Bluetooth)を用いた短距離通信も可能である。
【符号の説明】
【0095】
10、102、102A、400 水洗トイレ使用監視装置
11 水検知手段
12 時計情報取得手段
13、23 編集手段
14、24 通知手段
20 情報処理装置
21 特定音検知手段
22 計時手段
25 通話手段
30 水洗トイレ使用監視方法
31 水検知ステップ
32 時計情報取得ステップ
33 編集ステップ
34 通知ステップ
40 水洗トイレ使用監視プログラム
41 水検知処理
42 時計情報取得処理
43 編集処理
44 通知処理
100 水洗トイレ使用監視システム
101 水洗トイレ用タンク装置
111 タンク本体部
119 浮玉
133、133A 水検知センサ
135、415 非常通知ボタン
151、451 CPU
152、152A、452 メモリ
153、153A、453 主制御部
155、455 通信制御部
156、156A 信号入力部
157、467 水検知処理部
158、462 通知先登録部
159、463 時計回路部
160、160A、466 電子メール処理部
161、161A ブラウザ機能部
301 トイレ本体信号出力部
311 トイレ本体信号処理部
401 装置本体
402 ハンドセット
403 コード
413 マイクロフォン
423 液晶ディスプレイ
424 タッチパネル
435 加速度センサ
458 フックスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動給水式のタンクから水洗トイレに放水が行われるときに生じる前記タンク内の水の動きの有無を検知することで前記放水の時機を検知する水検知手段と、
この水検知手段の検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する時計情報取得手段と、
前記水検知手段の検知状況と前記計時手段の取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する編集手段と、
この編集手段によって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する通知手段
とを具備することを特徴とする水洗トイレ使用監視装置。
【請求項2】
緊急時に通報するための緊急通報手段を具備することを特徴とする請求項1記載の水洗トイレ使用監視装置。
【請求項3】
前記水検知手段は前記水洗トイレのタンクの放水時に生じるタンク内の水流の変化を、水中に存在する羽根の受ける力の変化により検知する手段であることを特徴とする請求項1記載の水洗トイレ使用監視装置。
【請求項4】
前記水検知手段の検知間隔を測定する検知間隔測定手段を備え、前記通知手段は、前記検知間隔測定手段による検知間隔が予め定めた間隔よりも短い状態が継続するとき予め定めた期間が経過するたびにその期間内のトイレ監視情報を一括して通知し、前記検知間隔が予め定めた間隔よりも長い状態が発生したときにその都度、トイレ監視情報を通知することを特徴とする請求項3記載の水洗トイレ使用監視装置。
【請求項5】
前記通知手段および緊急通報手段は、予め定めた宛先に電子メールを用いて通知あるいは通報を行うことを特徴とする請求項請求項2記載の水洗トイレ使用監視装置。
【請求項6】
水洗トイレの放水口に水が放出されるたびにその水音を検知する特定音検知手段と、
特定音検知手段が水音を検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する時計情報取得手段と、
前記特定音検知手段の検知状況と前記計時手段の取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する編集手段と、
この編集手段によって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する通知手段と、
通話を行う通話手段
とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
前記通話手段は加速度センサと表示用のディスプレイを備えたハンドセットからなり、このハンドセットが加速度センサによって検出される姿勢によって通話機能とこれ以外の機能に択一的に切り替える機能切替手段を更に具備することを特徴とする請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
自動給水式のタンクから水洗トイレに放水が行われるときに生じる前記タンク内の水の動きの有無を検知することで前記放水の時機を検知する水検知ステップと、
この水検知ステップで検知が行われたとき検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する時計情報取得ステップと、
前記水検知ステップでの検知状況と前記時計情報取得ステップで取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する編集ステップと、
この編集ステップによって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する通知ステップ
とを具備することを特徴とする水洗トイレ使用監視方法。
【請求項9】
コンピュータに、
自動給水式のタンクから水洗トイレに放水が行われるときに生じる前記タンク内の水の動きの有無を検知することで前記放水の時機を検知する水検知処理と、
この水検知処理で検知が行われたとき検知した日時あるいは時刻を表わした時計情報を取得する時計情報取得処理と、
前記水検知処理での検知状況と前記時計情報取得処理で取得した時計情報とを含む水洗トイレごとのトイレ監視情報を所定のフォーマットに編集する編集処理と、
この編集処理によって編集されたトイレ監視情報を予め定めた通知先に電気信号を用いて通知する通知処理
とを実行させることを特徴とする水洗トイレ使用監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−244258(P2010−244258A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91427(P2009−91427)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(390000974)NECモバイリング株式会社 (138)
【Fターム(参考)】