説明

水洗トイレ及び水洗トイレの脱臭方法

【課題】 トイレにおける悪臭の原因となる臭気を効果的に脱臭すると共に、この臭気を分解処理し、更には便器の洗浄、殺菌も可能な水洗トイレ及び水洗トイレの脱臭方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
水洗トイレ8は脱臭装置1を備え、この脱臭装置1は少なくとも一対の電極が備えられ水道水を貯水するための電解槽と、トイレの臭気を吸引するための臭気吸引手段と、前記臭気吸引手段により吸引された前記臭気を前記電解槽内に供給するための臭気供給手段と、前記臭気を吸着且つ放出可能な臭気吸着手段と、この臭気吸着手段から放出された臭気を前記電解槽に供給するための臭気供給手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭装置を備えた水洗トイレに関し、更には便器の洗浄及び殺菌を行うことができる水洗トイレ及び水洗トイレの脱臭方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗トイレ使用時の臭いは、使用後水洗により洗い流すだけでは不十分であることがあり、従来、水洗トイレの臭いを脱臭するための種々の脱臭装置が提案されている。
【0003】
特許文献1には、便器の臭いを送風機の動作により吸引した後、この臭いを水分を付着させた補水体に吹き付けて、悪臭成分を捕水体の水分に溶解させた後、ドレンパイプにより下水に排出する脱臭装置が開示されている。しかしながら、係る脱臭装置ではドレンパイプを便器の排出部と下水との中間部に設ける必要があり既存の便器に取り付けることが容易ではない、更に補水体は水分を含むため悪臭成分を吸引する場合にこの補水体による圧力損失が生じる、という問題がある。
【0004】
また特許文献2には、保湿性を有するフィルターに殺菌水を供給し、このフィルターを介して便器の臭いを吸引することにより悪臭成分を前記殺菌水により吸着又は分解し、その後新たな殺菌水をフィルターに供給することでフィルターを洗浄すること、及びこの殺菌水により便器の殺菌を行うことが開示されている。しかしながら、このようなフィルターに殺菌水を供給する方法では、殺菌水によりフィルターの劣化が発生する恐れがあり、更にフィルターが湿っているため圧力損失が大きく悪臭成分の吸気負荷が増大する、という問題があった。
【特許文献1】特開平3−286052号公報
【特許文献2】特開2000−129747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水洗トイレにおける悪臭の原因となる臭気を効果的に脱臭すると共に、この臭気を分解処理し、更には便器の洗浄、殺菌も可能な脱臭装置を備えた水洗トイレ及び水洗トイレの脱臭方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水洗トイレは、便器と、該便器内を水洗するための水洗手段と、を備える水洗トイレにおいて、一対の電極が備えられ水が貯水される電解槽と、前記一対の電極に通電するための電源と、排泄物の臭気を吸引するための臭気吸引手段と、前記臭気吸引手段により吸引された前記臭気を前記電解槽内に供給するための臭気供給手段と、を備え、前記電源により前記電極に通電することで前記電解槽内に電解水を生成し、この電解水により前記臭気を脱臭することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の水洗トイレは、請求項1の発明において、前記臭気吸引手段により吸引された前記臭気を吸着するための吸着部材と、この吸着部材を加熱することで当該吸着部材に吸着された臭気を放出させるための加熱手段と、を更に備え、前記吸着部材から放出された臭気を前記臭気供給手段により前記電解槽内に供給して脱臭することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の水洗トイレは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記臭気供給手段は、前記電解槽の高さの半分より下の位置から、前記臭気を当該電解槽内に供給することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の水洗トイレは、請求項1乃至請求項3に記載の発明において、前記電解槽内に電解水が貯水されている状態で、前記臭気供給手段により前記電解槽内に前記臭気を供給することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の水洗トイレは、請求項1乃至請求項4の発明において、前記電解槽内の前記水又は前記電解水を前記便器内に流すための流路と、該流路に設けられ前記水又は前記電解水を前記便器内に流すことの可否を制御するための弁と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の水洗トイレは、請求項5に記載の発明において、前記水洗手段には前記便器内に水を流すための水洗用のレバー又はスイッチが備えられ、前記弁は前記レバー又はスイッチと連動して開放されることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の水洗トイレは、請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記便器を使用中であることを検出する検出手段を更に備え、この検出手段により前記便器が使用中であると検出された場合には、所定の時間ごとに前記弁を一定時間開放することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の水洗トイレは、請求項5乃至請求項7に記載の発明において、前記弁を一定時間開放するための手動スイッチを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の水洗トイレの脱臭方法は、水が貯水され且つこの水中に少なくとも一部が浸漬するように備えられた電極対を含む電解槽内に排泄物の臭気を供給して脱臭する水洗トイレの脱臭方法において、前記電解槽内への臭気の供給前及び/又は供給中及び/又は供給後に、前記電極対に通電することで前記電解槽内に電解水を生成させ、この電解水により前記臭気に含まれる臭気成分を分解することを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の水洗トイレの脱臭方法は、請求項9に記載の発明において、前記電解水を便器内に流すことによりこの便器の洗浄、殺菌及び脱臭を行うことを特徴する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水洗トイレにおける悪臭の原因となる臭気を脱臭することができるようになると共に、この臭気を分解処理することができるようになる。また本発明によれば、水洗トイレの便器の洗浄及び殺菌を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の水洗トイレの好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の一実施例を図面に基づき詳述する。図1は、本発明の一実施例としての脱臭装置1を備えた水洗トイレ8の概略構成図を示している。
【0019】
本実施例において水洗トイレ8は、臭気吸着装置100と電解装置20とを備える脱臭装置1と、便器2と、便座3と、前記便器2を水洗するための貯水槽4と、この貯水槽4に給水するための図示しない水道管に連結された給水管5と、図示しない温水タンク等を備えた温水洗浄装置30と、を含む。
【0020】
臭気吸着装置100は、所定速度で回転される円盤状の吸着部材11と、この吸着部材11に臭気を含む空気を流通するための臭気流路15を介して便器2内の臭気及びトイレ室内の臭気を臭気吸引口29及び臭気吸引口29Aから取り込み通風し流通させる空気取込用のファン12と、吸着部材11を+60℃〜+120℃に加熱するための電気ヒータ13と、この電気ヒータ13で加熱された臭気を吸着部材11に近接する再生部14Aにおいて当該吸着部材11に通風しながら循環させるための循環路14と、この循環路14中に設けられた循環用のファン16と、循環路14内に設けられた絞り部17等から構成されている。
【0021】
前記吸着部材11は、例えばゼオライト等の臭気吸着剤から構成されており、この吸着部材11に臭気流路15を介して流通された水洗トイレの臭気を吸着して捕集する。ここで、本発明が除去しようとする臭気とは、便や嘔吐物など排泄物から発せられ便器内及びトイレ室内に漂う硫化水素(H2S)、メチルメルカプタン(CH3SH)、アンモニア(NH3)等である。
【0022】
吸着部材11は所定速度で図1中矢印の方向に回転され、臭気流路15により臭気を吸着した部分はやがて再生部14A付近に回される。この再生部14Aには電気ヒータ13で加熱され高温となっている空気が循環路14内にて循環しており、この高温の空気によって再生部14Aに回ってきた部分は前述の温度に加熱される。吸着部材11は加熱されると吸着した臭気を放出する。そして、放出された臭気は高温空気に乗って循環路14内の絞り部17に向かう。尚、再生部14Aにおいて臭気を放出することで、吸着部材11の臭気吸着作用は再生されることになる。そして、これが吸着部材11の回転に伴って連続的に行われる。
【0023】
一方、前記循環路14には、絞り部17の上流側において取込管路18の一端が連通接続されており、この取込管路18の他端は後述する電解装置20の散気管26に連通接続されている。また、取込管路18中にはエアーポンプ19とこのエアーポンプ19の散気管26側に位置した逆止弁21(散気管26に向かう方向を順方向とされている)が介設されており、このエアーポンプ19の運転によって循環路14内の絞り部17手前で留められている臭気を含んだ空気は取込管路18内に取り込まれ、逆止弁21を介して散気管26に送給される。
【0024】
電解装置20は、電解槽23と、この電解槽23内に前記貯水槽4若しくは図示しない水道管からの水を供給管7を介して給水するためのポンプ6と、前記臭気吸着装置100から送られる臭気を電解槽23内の水中に吐出(バブリング)するための散気管26と、電解槽23内に設けられた少なくとも一対の電解用電極24、25と、電解槽23内の水を流出口28Aにより便器2内に流す流路である電解水流路27と、この電解水流路27への電解槽23からの流水を制御する弁31と、マイクロコンピュータなどにより構成され所定の直流電源を有して前記電解用電極24、25への通電の他、ファン12、16、電気ヒータ13、吸着部材11を回転させるための図示しないモータ、エアーポンプ19及び弁31等の運転を制御する制御装置22等から構成される。
【0025】
電解用電極24、25は何れも、例えば白金−イリジウム系(Pt−Ir系)などの不溶性金属電極により構成されており、相互の距離は例えば3mmとされている。尚、本発明において、電解用電極とは、被電解水としての水溶液に浸漬され、直接電解に寄与するものをいい、電極の一部分が浸漬されて直接電解に寄与する場合の当該一部分をも含むものとする。また、本実施例では、電解用電極24、25は一対の電極により構成されているが、これ以外に、複数の電解用電極が設けられていてもよいものとする。
【0026】
また図10は、本発明における水洗トイレ8の温水洗浄装置30の一例としてのオゾン水を用いた温水洗浄装置30の概略構成図を示している。この温水洗浄装置30は、局部に対して噴水洗浄するためのシャワーノズル52及び噴水口51と、この噴水口51に噴水用の水を供給する水路56と、この水路56とシャワーノズル52との間で水を加熱し温水とするためのヒータ50と、オゾン水を生成するための電解装置55と、この電解装置55内に設置され水路56中を流れる水に浸漬される電解用電極53、54と、マイクロコンピュータなどにより構成され所定の直流電源を有して前記電解用電極53、54への通電の他、ヒータ50への通電等を制御する制御装置57、とを備える。
【0027】
電解用電極53、54の内、アノードとなる電解用電極54は例えばオゾン発生用電極としての白金−タンタル系(Pt−Ta系)の電極により構成され、カソードとなる電解用電極53は例えば上述した如き白金−イリジウム系などの不溶性金属電極により構成され、相互の電極間距離は例えば6mmとされている。尚、前記白金−タンタル系の電極は、チタン等の導電性基体の表面に白金を含有する中間層が形成され、さらにこの中間層の表面に酸化タンタルや酸化ニオブなどの誘電体により構成される表面層が形成された電極であり、このような白金−タンタル系の電解用電極54をアノードとして用いることにより、塩化物イオンを含んでいる水道水を電解した場合にも、次亜塩素酸の発生が抑制できると共に、高濃度のオゾン水を生成することが可能となるものである。
【0028】
以上の構成で、本実施例における脱臭装置1を備えた水洗トイレ8の動作について説明する。尚、本実施例では水洗トイレの使用前には貯水槽4及び電解槽23には予め水道水が貯水されているものとする。尚、水道水には、地域や季節により異なるが、殺菌のために通常は5〜200mg/l程度、平均では17mg/l程度の塩化物イオンが含まれている。
【0029】
脱臭モード
まず、水洗トイレを脱臭する脱臭モードについて説明する。水洗トイレ8が使用され便器2内にし尿等の排泄物が排泄されると、上述した如く硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア等による臭気が便器2内やトイレ室内に生じる。ここで図示しない臭気センサー或いは図示しない便座3への着座センサーなどにより水洗トイレの使用を感知するか、または手動のスイッチにより、制御装置22はファン12を運転すると共に、吸着部材11の回転用モータを運転して吸着部材11を所定の速度で回転させる。ファン12の運転によって便器2内及びトイレ室内の臭気を含む空気は、臭気吸引口29及び臭気吸引口29Aから臭気流路15を介して吸着部材11に流通され、これにより上記臭気成分である硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア等は吸着部材11に吸着されて捕集される。
【0030】
このような臭気の吸着部材11への捕集動作は通常水洗トイレの使用毎に所定の時間、例えば5分間行われる。
【0031】
臭気成分分解モード
そして、所定回数、例えば3回水洗トイレが使用されて上記臭気の捕集が所定回数実施され、ある程度の臭気成分が吸着部材11に捕集されると、次に臭気成分分解モードが実行される。
【0032】
臭気成分分解モードが実行されると、制御装置22はファン16及びエアーポンプ19を運転すると共に、吸着部材11の回転用モータを運転して吸着部材11を所定の速度で回転させ、電気ヒータ13に通電して発熱させる。
【0033】
上述した脱臭モードにより臭気成分を吸着捕集している吸着部材11は回転によってやがて再生部14Aに至り、そこでファン16によって循環されている電気ヒータ13で加熱された高温空気によって加熱される。このように加熱されることにより、吸着部材11に吸着されていた臭気成分は放出され、高温空気とともに循環路14の絞り部17に向かう。この放出された臭気成分を多量に含む空気はエアーポンプ19によって取込管路18に取り込まれ、逆止弁21を経て電解装置20の電解槽23底部に設けられた散気管26に至る。この散気管26に送給された臭気成分を多量に含む空気は、電解槽23内の水中に0.1〜50.0l/min、好ましくは0.5〜1.0l/minの量でバブリングされ、電解用電極24、25間やそれらの周囲を泡となって通過する。
【0034】
他方、制御装置22は前記電解用電極24、25に電源を供給する。この際プラス電位が印加される電解用電極24がアノード、マイナス電位が印加される電解用電極25がカソードとなる。また、制御装置22は所定時間、例えば3分ごとに電解用電極24、25の極性を切り換えても良い。このように電解用電極24、25の極性を切り換えると、電解用電極24がカソード、電解用電極25がアノードとなると共に、各電極表面に付着しているカルシウム等のスケールを除去することができる。
【0035】
そして、臭気成分が溶解した電解槽23内には、上述の如く通常、塩化物イオンが5〜17mg/l程度含有されている水道水が貯水されているため、アノードとなる電解用電極24では、塩化物イオンが電気を放出して塩素を生成する(反応式(1)、(2))。その後、この塩素は水中に溶解し、次亜塩素酸を生成する(反応式(3))。以下に、反応式(1)、(2)、(3)を示す。
NaCl→Na++Cl-・・・(1)
2Cl-→Cl2+2e-・・・(2)
Cl2+H2O→HClO+HCl・・・(3)
【0036】
そして、上述した如く電解槽23内に送出された空気は、水と容易に接触するため、当該空気内に含有された臭気成分は水中に溶け込む。これにより、臭気成分である硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア等が水中に溶解し、更には次亜塩素酸を含む電解水により分解処理され、清浄化された状態の空気がトイレ室内に放出されることとなる。
【0037】
尚、上述した制御装置22による電解用電極24、25への通電による電解であるが、上記臭気成分のバブリング前に予め所定時間、電解槽23内の水道水中で電解しておき、電解槽23内に次亜塩素酸を含む電解水を生成しておいても良いし、また、バブリング中に電解を行うこととしても良く、更には前記水道水中に臭気成分を溶解させた後に電解を行うこととしても良い。
【0038】
ここで、図9を用いて水溶液の電気分解を用いた上記臭気成分の分解処理メカニズムにつき説明する。尚、図9は臭気成分の分解処理メカニズムを説明するための実験装置の概略構成図である。
【0039】
この実験装置は、300mlの試験水が貯水される密閉式のガラス容器43と、試験水中に臭気成分をバブリングするための散気管26と、この散気管26に試験用の臭気成分を送出するための臭気封入パック41及びエアーポンプ42と、ガラス容器43内の水面より上部の気体を捕集するための回収パック45と、試験水を採取するための液採取用シリンジ44と、試験水中に浸漬される電解用電極24、25と、制御装置22と、により構成される。
【0040】
試験水としては次の2種類を用いる。即ち、塩化ナトリウム(NaCl)を精製水中に塩化物イオン濃度で5mg/lとなるように溶解した水溶液(以下、Cl-5mg/l水、とする。)と、塩化ナトリウム(NaCl)を精製水中に塩化物イオン濃度で17mg/lとなるように溶解した水溶液(以下、Cl-17mg/l水、とする。)の2種類である。
【0041】
また、本実験にて評価する臭気成分は、硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニアの3種類の臭気成分とし、この臭気成分を夫々別の臭気封入パック41内に、硫化水素はガス濃度3ppm、メチルメルカプタンはガス濃度3.2ppm、アンモニアはガス濃度4.8ppm、となるようにアルゴンガスにより希釈して封入するものとし、これら各臭気成分につき夫々エアーポンプ42により散気管26を介して上記各試験水中に0.5ml/minの流量でバブリングを行うこととする。そして、上記試験水を通過した臭気成分は回収パック45により捕集し、ガスクロマトグラフと検知管によりガス濃度測定を行うとと共に、試験水は液採取用シリンジ44により採取されイオンクロマトグラフにより溶液成分の分析を行うものとする。尚、上記各臭気成分のガス濃度は、通常の水洗トイレの臭気中に含まれる臭気ガス濃度の10倍程度の濃度である。
【0042】
そして、上述同様の白金−イリジウム系の電解用電極24、25を試験水中に浸漬する。尚、実験に用いた電解用電極24、25は、長さ60mm、幅35mm、厚さ2mmの寸法であり、電極間距離は前述同様の3mmである。そして、制御装置22により電流密度20mA/cm2の定電流が各電解用電極24、25に印加される。
【0043】
試験水中には前述したように塩化物イオンが含まれていることから、アノードとなる電解用電極24において、塩化物イオンが電気を放出して塩素(Cl)を生成する。その後、この塩素は試験水に溶解し、次亜塩素酸(HClO)を生成する(反応式(1)、(2)、(3))。
【0044】
表1は、試験水として、上記Cl-5mg/l水を後述する臭気成分の5分間のバブリング前に3分間電解したもの(以下、Cl-5mg/l電解水、とする。)と、上記Cl-17mg/l水を後述する臭気成分の5分間のバブリング前に3分間電解したもの(以下、Cl-17mg/l電解水、とする。)を用い、上記臭気封入パック41内に臭気成分として硫化水素3ppmを封入し、この硫化水素ガスを上記各試験水中に5分間バブリングした場合の、バブリング前後での各試験水における試験水中の次亜塩素酸濃度(mg/l)及び回収ガスパック中の臭気成分ガス濃度としての硫化水素濃度(ppm)を示しており、表2は、Cl-5mg/l電解水及び上l-17mg/l電解水について、上記5分間のバブリング中にも電解を実施した場合の同次亜塩素酸濃度及び同硫化水素濃度を示している。
【0045】
表1及び表2から分かるように、Cl-5mg/l水ではバブリング後も硫化水素が1ppm検出されており、また回収ガスパック中の臭いを嗅いだところ硫化水素の不快臭がした。これに対してCl-5mg/l電解水及びCl-17mg/l電解水ではバブリング後の回収パックからは硫化水素は検出されていない。更に、イオンクロマトグラフによる溶液分析により、Cl-5mg/l電解水及びCl-17mg/l電解水の場合には、バブリング後の試験水中から硫酸イオン(SO42-)が検出された。このことから硫化水素は、次亜塩素酸によって無臭成分である硫酸に分解されたものと考えられる。以下に次亜塩素酸による硫化水素の分解反応を反応式(4)で示す。
2S+4HClO→6H++SO42-+4Cl-・・・(4)
【0046】
尚、上記5分間のバブリング中にも電解を実施した場合(表2)と電解をしない場合(表1)とでは、バブリング後の硫化水素濃度には差は見られなかったが、バブリング中にも電解を実施した場合の方がバブリング後の次亜塩素酸濃度が高いことから、この場合の方がより多くの硫化水素を分解できると共に、後述するように本発明の電解槽23内の電解水を便器2内に流す場合に殺菌、消臭効果が向上するものと考えられる。
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
表3は、試験水として、上記Cl-5mg/l水と、上記Cl-5mg/l電解水と、上記Cl-17mg/l電解水を用い、上記臭気封入パック41内に臭気成分としてメチルメルカプタン3.2ppmを封入し、このメチルメルカプタンガスを上記各試験水中に5分間バブリングした場合の、同バブリング前後での各試験水における試験水中の次亜塩素酸濃度(mg/l)及び回収ガスパック中の臭気成分ガス濃度としてのメチルメルカプタン濃度(ppm)を示しており、表4は、Cl-5mg/l電解水及びCl-17mg/l電解水について、上記5分間の同バブリング中にも電解を実施した場合の同次亜塩素酸濃度及び同メチルメルカプタン濃度を示している。
【0049】
表3及び表4から分かるように、Cl-5mg/l水ではバブリング後もメチルメルカプタンが0.9ppm検出されており、また回収ガスパック中の臭いを嗅いだところメチルメルカプタンの不快臭がした。これに対してCl-5mg/l電解水及びCl-17mg/l電解水ではバブリング後の回収パックからはメチルメルカプタンは検出されていない。更に、イオンクロマトグラフによる溶液分析により、Cl-5mg/l電解水及びCl-17mg/l電解水の場合には、バブリング後の試験水中からメタルスルホン酸(SO42-)が検出された。このことからメチルメルカプタンは、次亜塩素酸によって無臭成分であるメタルスルホン酸に分解されたものと考えられる。以下に次亜塩素酸によるメチルメルカプタンの分解反応を反応式(5)で示す。
CH3SH+3HClO→CH3SO3H+3HCl・・・(5)
【0050】
尚、上記5分間のバブリング中にも電解を実施した場合(表2)と電解をしない場合(表1)とでは、上述した硫化水素の場合と同様、バブリング後のメチルメルカプタン濃度には差は見られなかったが、バブリング中にも電解を実施した場合の方がバブリング後の次亜塩素酸濃度が高いことから、この場合の方がより多くのメチルメルカプタンを分解できると共に、後述するように本発明の電解槽23内の電解水を便器2内に流す場合に殺菌、消臭効果が向上するものと考えられる。
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
表5は、試験水として、上記Cl-5mg/l水と、上記Cl-5mg/l電解水と、上記Cl-17mg/l電解水を用い、上記臭気封入パック41内に臭気成分としてアンモニア4.8ppmを封入し、このアンモニアガスを上記各試験水中に5分間バブリングした場合の、バブリング前後での各試験水における試験水中の次亜塩素酸濃度(mg/l)及び回収ガスパック中の臭気成分ガス濃度としてのアンモニア濃度(ppm)を示しており、表6は、Cl-5mg/l電解水及びCl-17mg/l電解水の場について、上記5分間のバブリング中にも電解を実施した場合の同次亜塩素酸濃度及び同アンモニア濃度を示している。
【0053】
表3及び表4から分かるように、Cl-5mg/l水ではバブリング後もアンモニアが0.5ppm検出されており、また回収ガスパック中の臭いを嗅いだところアンモニアの不快臭がした。これに対してCl-5mg/l電解水及びCl-17mg/l電解水ではバブリング後の回収パックからはアンモニアは検出されていない。更に、イオンクロマトグラフによる溶液分析により、Cl-5mg/l電解水及びCl-17mg/l電解水の場合には、バブリング後の試験水中からアンモニムイオン(NH4+)は検出されなかった。このことから試験水中に溶解したアンモニアは次亜塩素酸により、所謂ブレークポイントによって分解されたものと考えられる。以下に次亜塩素酸によるアンモニアの分解反応を反応式(6)〜(8)で示す。
NH4++ClO-→NH2Cl+H2O・・・(6)
NH2Cl+ClO-→NHCl2+H2O・・・(7)
NH2Cl+NHCl2→N2↑+3HCl・・・(8)
【0054】
尚、上記5分間のバブリング中にも電解を実施した場合(表2)と電解をしない場合(表1)では、上述した硫化水素やメチルメルカプタンの場合と同様、バブリング後のアンモニア濃度には差は見られなかったが、バブリング中にも電解を実施した場合の方がバブリング後の次亜塩素酸濃度が高いことから、この場合の方がより多くのアンモニアを分解できると共に、後述するように本発明の電解槽23内の電解水を便器2内に流す場合に殺菌、消臭効果が向上するものと考えられる。
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
以上から、試験水としてCl-5mg/l電解水、及び、Cl-17mg/l電解水を用いることにより、極めて短時間で、硫化水素及びメチルメルカプタン及びアンモニアを試験水中にバブリングするだけで分解することができた。
【0057】
本実施例の水洗トイレ8では、上述した如く電解槽23内にバブリングされた臭気成分は、電解による次亜塩素酸を含む電解水により分解されることとなる。更に、実施例の電解用電極24、25によれば電解によって水溶液中にオゾン、酸素、過酸化水素、若しくは、過酸化水素ラジカル、スーパーオキサイドラジカル(O2-)、ヒドロキシラジカル(・OH)、一重項酸素ラジカル('O2)も生成されるので、これらによっても電解槽23内の水中に吐出された空気に含有された臭気成分を分解処理できる。尚、上記電解用電極23、24への通電は、図示しない次亜塩素酸濃度センサー、オゾン濃度センサー等を備え、この各種濃度センサーの検出値が所定値となった場合に電解を停止する制御を実行したも良い。
【0058】
また、本発明の電解装置20では、電解槽23内を泡となって上昇した臭気成分が分解され無臭化された空気が次亜塩素酸やオゾン等を含みながら、この電解槽23上部で弾け、電解槽23の上部に図示しない空気排出口を設けておくことにより、前記弾けた飛沫に含まれる次亜塩素酸等がトイレ室内に排出されることになる。これにより、周囲の空気中に含まれる臭気吸着装置100で回収できなかった臭気成分も分解処理されると共に、空気中の殺菌も行われるようになる。
【0059】
更に、上述した臭気成分分解モードにおいて、臭気成分分解後の電解槽23内の上記電解水は、貯水槽4内に貯水されている便器2の水洗用の水を流すための図示しない水洗用レバー又は水洗用スイッチ等と連動するか又は制御装置22により所定時間ごとに、弁31が開かれることで電解水流路27を介して流出口28Aから電解槽23内の電解水の全量又は所定量が流出され、便器2内を前記水洗用の水と共に洗浄することとなる。これにより、前記電解水中に含まれる次亜塩素酸等により便器2の漂白、洗浄、脱臭、殺菌等が行われるようになり、通常の水洗トイレの如く前記水洗用の水のみで便器2内を洗浄する場合と比較して便器の洗浄能力を向上することができるようになる。
【0060】
尚、上記弁31は、前記便器2を使用中であることを検出する検出手段、例えば図示しない便座への着座センサーにより、前記便器2が使用中であると検出された場合に、所定の時間ごとに一定時間開放され、これにより電解槽23内の電解水を便器2内に流すこととしても良い。
【0061】
更に本実施例の温水洗浄装置30は、上述した如くシャワーノズル52の先端に設けられた噴水口51から局部に対して噴水される前の水を電解装置55により電解して前記水をオゾン水とすることができるので、オゾンにより局部周辺が殺菌されると共に、痔の治療などにも効果が期待される。
【0062】
尚、制御装置57による電解用電極53、54への通電量や通電時間を図示しないスイッチ等により変更可能に構成した場合には、局部洗浄用のオゾン水の濃度を必要に応じて低濃度などに変更でき、更に、高濃度のオゾン水を生成することで噴射口51等や便器2の殺菌、洗浄などにも利用できるようになる。
【実施例2】
【0063】
図2は、本発明の第2の実施例としての脱臭装置1を備えた水洗トイレ8の概略構成図を示している。尚、図2において上記実施例1と同符号が付されているものは、同一若しくは同様の機能、効果を奏するものとする。この場合は、循環路14内に吸着部材11が前記モータ等の回転機構無しで設けられることと、臭気流路15と循環路14とが連通していると共にこの臭気流路15が循環路14と接続される部分には蓋32A、32Bが設けられること以外は上記実施例1と同様の構成である。尚、本実施例における前記吸着部材11は回転機構を有さないものとしたが、吸着部材11による臭気成分の吸着及び放出能力をより向上させる場合には上記実施例1と同様な回転式の吸着部材11を循環路14内に設けることもできる。
【0064】
本実施例では、臭気吸入口29からファン12によって吸引された水洗トイレの臭気が、前述の如く循環路14内に設けられる吸着部材11を通過することで吸着部材11で前記臭気を捕集することになる。
【0065】
そして、脱臭モードにおいては、制御装置22により蓋32A、32Bを開放することにより吸着部材11に臭気を吸着するものであるが、制御装置22はこの脱臭モードが終了すると蓋32A、32Bを即座に閉鎖する。その後、臭気成分分解モードが実行されるが、この場合は上記実施例1と同様な動作、即ちファン16によって循環路14内の空気が循環されると共に、ヒータ13により加熱された前記空気は吸着部材11を加熱、再生し、この吸着部材11は吸着した臭気成分を放出する。そして、放出された臭気物質は高温空気に乗って絞り部17の上流部分でエアーポンプ19により吸引され、取込管路18内に取り込まれて逆止弁21を介して散気管26に送給されることになる。係る構成によっても水洗トイレの臭気成分を捕集し、電解により分解処理することができる。更に、その後上記実施例1と同様に、電解槽23内の電解水により便器2の洗浄等も実行される。
【0066】
尚、本実施例の脱臭装置1を備えた水洗トイレ8では、例えば臭気成分分解モードにおいて吸着部材11から臭気成分を放出させる場合にも、吸着部材11が循環路14内に収納されていることから、この放出される臭気成分が再びトイレ室内等に拡散してしまうような不都合を回避することができるようになると共に、吸着部材11の回転機構等を必要としないことから本発明の脱臭装置1を小型化できるようになる。
【実施例3】
【0067】
次に、図3及び図4は本発明の第3の実施例としての脱臭装置1を備えた水洗トイレ8の概略構成図を示している。尚、図3及び図4において上記各実施例と同符号が付されているものは、同一若しくは同様の機能、効果を奏するものとする。この場合は、電解水流路27が弁31の下流部分にて流出口28Aの他に、同28B及び同28Cに分岐していること以外は上記各実施例と同様の構成である。
【0068】
これにより、本実施例の脱臭装置1を備えた水洗トイレ8では、流出口28A、28B、28Cより3方向に電解槽23からの電解水が便器2内に流されるので、上記各実施例の如く流出口28Aのみにより便器2内を電解水にて洗浄等を行う場合と比べ、より一層便器2内を均一且つ広範囲に洗浄等を行うことができるようになる。尚、本実施例では上記流出口を28A、28B、28Cと3箇所としたが、必要に応じて流出口数を増減することができることは云うまでもない。
【実施例4】
【0069】
図5及び図6は、本発明の第4の実施例としての脱臭装置1を備えた水洗トイレ8の概略構成図を示している。尚、図5及び図6において上記各実施例と同符号が付されているものは、同一若しくは同様の機能、効果を奏するものとする。この場合は、図5中及び図6中に40で示される電解装置が、上記各実施例の電解装置20と一部異なること以外は上記各実施例と同様の構成である。即ち、本実施例の電解装置40は、上記各実施例における電解槽23の代わりに、貯水槽4を電解装置40の電解槽として用いるものである。
【0070】
これにより、本実施例の脱臭装置1を備えた水洗トイレ8では、電解装置40において電解槽23を別体に設けることなく、通常の水洗トイレに設置される貯水槽4を前記電解槽23と同様に利用することにより、脱臭装置1を一層小型化できるようになる。また、本実施例では貯水槽4内で電解を行うため、貯水槽4内の水中に次亜塩素酸を含む電解水が生成されることになり、貯水槽4内でのカビや雑菌の繁殖等を防ぐことができるようになり貯水槽4内を清潔に保つと共に、より一層トイレ室内の消臭を行うことができるようになる。
【0071】
尚、本実施例においても上記各実施例と同様に弁31の開閉により、電解水による便器2の洗浄は、水洗を行うごと若しくは所定時間ごとに行うことができる。
【実施例5】
【0072】
図7は本発明の第5の実施例としての脱臭装置1を備えた水洗トイレ8の概略構成図を示している。尚、図7において上記各実施例と同符号が付されているものは、同一若しくは同様の機能、効果を奏するものとする。
【0073】
この場合の実施例の脱臭装置1は、水洗トイレで発生する臭気は臭気流路15を介して臭気吸入口29よりエアーポンプ19の運転によって逆止弁21が設けられた取込管路18に吸引されると共に、散気管26に送給される。そして、この散気管26に送給された臭気成分を含む空気は電解槽23内にて上記各実施例と同様、電解水により臭気成分の分解処理が成される。
【0074】
以上の構成により、本実施例においては、上述した吸着部材11等を用いることなく、水洗トイレの臭気を脱臭することができるようになる。これにより、脱臭装置1のより一層の小型化、低コスト化が実現できる。
【0075】
但し、この場合には、上述した如く硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア等による臭気が便器2内やトイレ室内に生じた臭気を即座に、図示しない臭気センサー或いは図示しない便座3への着座センサーなどにより水洗トイレの使用を感知するか、または手動のスイッチにより制御装置22はエアーポンプ19を駆動すると共に、電解装置20の電解用電極24、25に通電して、前記臭気を電解装置20の電解槽23に導入する必要があり、通常は、電解装置20の運転を水洗トイレの使用の都度行うことになり、電解装置としての運転効率が低下する場合がある。しかしながら、前述した如く脱臭装置1の大幅な小型化や低コスト化が可能となり、使用形態によっては有効となることは云うまでもない。
【0076】
尚、本実施例では水洗トイレの臭気はエアーポンプ19により吸引するとしたが、例えばファンを用いて水洗トイレの臭気を吸引しても良い。
【実施例6】
【0077】
図8は本発明の第6の実施例としての脱臭装置1を備えた水洗トイレ8の概略構成図を示している。尚、図8において上記実施例と同符号が付されているものは、同一若しくは同様の機能、効果を奏するものとする。この場合の脱臭装置1は、上記実施例5の脱臭装置1において、逆止弁21と散気管26との間の取込管路18中に、バッファタンク33と空気弁34とを備える。
【0078】
これにより、本実施例の脱臭装置1では、吸着部材11等の臭気の吸着部を備えていないにも係わらず、水洗トイレにて発生する臭気を所定時間又は所定量貯留でき、この貯留した臭気を必要に応じて電解装置20により分解することができるようになる。即ち、本実施例の脱臭装置1は、上述した如き水洗トイレの使用時に生じる硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア等による臭気が便器2内やトイレ室内に生じ、図示しない臭気センサー或いは図示しない便座3への着座センサーなどにより水洗トイレの使用を感知するか、または手動のスイッチにより、制御装置22はエアーポンプ19を駆動すると共に、空気弁34は閉鎖しておくことにより、バッファタンク33内に前記臭気を貯留することができるようになり、当該貯留された臭気は上述した如く必要に応じて電解装置23に送給することにより分解することができるようになる。これにより、吸着部材11等を設けることなく、臭気を貯留することが可能となり、電解装置20の運転を必要に応じて制御できるようになり、一層の省エネルギー化と、脱臭装置1の小型化ができるようになる。
【0079】
尚、上記各実施例では、電解槽23からの電解水の便器2内への流出による洗浄は、上記臭気成分分解モード終了後に水洗トイレの便器2が水洗される場合に行われることととしたが、これに限らず、常時所定時間ごとに、前記制御装置22により電解槽23内の水道水を電解して電解水を貯水しておき、これを便器2を水洗するごとに所定量流出させて、便器2の洗浄を行うことも可能である。更には、水洗トイレの使用を上記臭気センサー或いは図示しない便座3への着座センサーなどにより感知するか、または手動のスイッチを操作することにより、便器2内に排泄された排泄物に対して、水洗トイレの使用中に上記電解水を所定の時間ごと、若しくは図示しないスイッチ等により弁31を操作し、上記電解水を流出させることにより、当該電解水中に含まれる次亜塩素酸等により、水洗トイレの使用中における排泄物の臭気を直接消臭することができるようになり、水洗トイレ使用時の不快な臭気を低減することができるようになる。
【0080】
また、上記各実施例では、便座3を備えた所謂洋式トイレについて説明したが、これに限らず便座を持たない便器所謂和式トイレや男子用の小便器などに本発明の脱臭装置1を備えても良いものである。
【0081】
更に、上記実施例では電解用電極24、25の材料を白金−イリジウム系としたが、それに限らず、カーボン等も使用可能である。更に、上記各実施例では臭気成分として硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニアを例にとりあげて説明したが、本発明の脱臭装置1で脱臭可能な臭気成分はそれに限らないことは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1の脱臭装置を備えた水洗トイレの概略構成図である。
【図2】本発明の実施例2の脱臭装置を備えた水洗トイレの概略構成図である。
【図3】本発明の実施例3の脱臭装置を備えた水洗トイレの概略構成図である。
【図4】本発明の実施例3の脱臭装置を備えた水洗トイレの概略構成図である。
【図5】本発明の実施例4の脱臭装置を備えた水洗トイレの概略構成図である。
【図6】本発明の実施例4の脱臭装置を備えた水洗トイレの概略構成図である。
【図7】本発明の実施例5の脱臭装置を備えた水洗トイレの概略構成図である。
【図8】本発明の実施例6の脱臭装置を備えた水洗トイレの概略構成図である。
【図9】本発明の電解による臭気成分の分解処理メカニズムを説明するための実験装置の概略構成図である。
【図10】本発明の脱臭装置を備えた水洗トイレの温水洗浄装置の一例としてのオゾン水を用いた温水洗浄装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0083】
1 脱臭装置
2 便器
3 便座
4 貯水槽
5 給水管
6 ポンプ
7 供給管
8 水洗トイレ
11 吸着部材
12、16 ファン
13、50 ヒータ
14 循環路
15 臭気流路
17 絞り部
18 取込管路
19 エアーポンプ
20、40、55 電解装置
21 逆止弁
22、57 制御装置
23 電解槽
24、25、53、54 電解用電極
26 散気管
27 電解水流路
28A、28B、28C 流出口
29、29A 臭気吸入口
30 温水洗浄装置
31 弁
32A、32B 蓋
33 バッファタンク
34 空気弁
41 臭気封入パック
42 エアーポンプ
43 ガラス容器
44 液採取用シリンジ
45 回収パック
51 噴水口
52 シャワーノズル
56 水路
100、200 臭気吸着装置




【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器と、該便器内を水洗するための水洗手段と、を備える水洗トイレにおいて、
一対の電極が備えられ水が貯水される電解槽と、前記一対の電極に通電するための電源と、排泄物の臭気を吸引するための臭気吸引手段と、前記臭気吸引手段により吸引された前記臭気を前記電解槽内に供給するための臭気供給手段と、を備え、
前記電源により前記電極に通電することで前記電解槽内に電解水を生成し、この電解水により前記臭気を脱臭することを特徴とする水洗トイレ。
【請求項2】
前記臭気吸引手段により吸引された前記臭気を吸着するための吸着部材と、この吸着部材を加熱することで当該吸着部材に吸着された臭気を放出させるための加熱手段と、を更に備え、
前記吸着部材から放出された臭気を前記臭気供給手段により前記電解槽内に供給して脱臭することを特徴とする請求項1に記載の水洗トイレ。
【請求項3】
前記臭気供給手段は、前記電解槽の高さの半分より下の位置から、前記臭気を当該電解槽内に供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水洗トイレ。
【請求項4】
前記電解槽内に電解水が貯水されている状態で、前記臭気供給手段により前記電解槽内に前記臭気を供給することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の水洗トイレ。
【請求項5】
前記電解槽内の前記水又は前記電解水を前記便器内に流すための流路と、該流路に設けられ前記水又は前記電解水を前記便器内に流すことの可否を制御するための弁と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の水洗トイレ。
【請求項6】
前記水洗手段には前記便器内に水を流すための水洗用のレバー又はスイッチが備えられ、前記弁は前記レバー又はスイッチと連動して開放されることを特徴とする請求項5に記載の水洗トイレ。
【請求項7】
前記便器を使用中であることを検出する検出手段を更に備え、この検出手段により前記便器が使用中であると検出された場合には、所定の時間ごとに前記弁を一定時間開放することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の水洗トイレ。
【請求項8】
前記弁を一定時間開放するための手動スイッチを備えたことを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の水洗トイレ。
【請求項9】
水が貯水され且つこの水中に少なくとも一部が浸漬するように備えられた電極対を含む電解槽内に排泄物の臭気を供給して脱臭する水洗トイレの脱臭方法において、
前記電解槽内への臭気の供給前及び/又は供給中及び/又は供給後に、前記電極対に通電することで前記電解槽内に電解水を生成させ、この電解水により前記臭気に含まれる臭気成分を分解することを特徴とする水洗トイレの脱臭方法。
【請求項10】
前記電解水を便器内に流すことによりこの便器の洗浄、殺菌及び脱臭を行うことを特徴する請求項9に記載の水洗トイレの脱臭方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−97311(P2006−97311A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283979(P2004−283979)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】