説明

水洗トイレ用オンタンク式洗浄剤組成物

【課題】含有する香料組成物が50,000倍の量を超える水に稀釈されても、水面から空間への拡散性に優れ、かつ、香りの持続性に優れた水洗トイレ用オンタンク式洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】水を流す度に容器内の洗浄液が少量づつ直接貯水タンク内に滴下される水洗トイレ用オンタンク式洗浄剤組成物であって、cis−4−デセナ−ル等の清潔感のある香料群(I)と、ジヒドロジャスモン等のふくよかさを感じさせる香料群(II)からそれぞれ選ばれる1又は2以上の香料を、両香料群ともそれぞれ8質量%以上含有し、50,000倍の量を超える水に希釈される香料組成物を0.001〜20質量%含有する水洗トイレ用オンタンク式洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、50,000倍の量を超える水に稀釈されても、水面から空間への拡散性に優れ、かつ、香りの持続性に優れた香料組成物および該香料組成物を含有する住居用洗浄剤、入浴剤、芳香剤消臭剤等の水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトイレ用オンタンク式洗浄剤組成物は固形のものが主であった。この場合、香料は固形物に含まれており、固形物自身から香りがトイレの空間に拡散し漂うため、香りが認知されやすかった。しかし、このような固形のトイレ用オンタンク式洗浄剤組成物は、製品の使用開始時には、香りが強すぎ、使用終了時には香りが弱すぎるという問題があった。
【0003】
一方、水性のトイレ用オンタンク式洗浄剤組成物(以下、「水性洗浄剤組成物」という)は、組成物自身が容器に収められているため、固形のトイレ用オンタンク式洗浄剤組成物と比較した場合、水性洗浄剤組成物自身から香りが拡散しにくくなる。この場合、水性洗浄剤組成物は、直接貯水タンク内に滴下せずに、容器から小さな受け皿に配置される香料揮散用樹脂シートに滲み出すようにした場合に、前記シートから水性洗浄剤組成物に含まれる香料が空間に拡散することにより香りが認知されるようになる。しかし、この場合も製品の使用開始時に香りが強すぎ、使用終了時に香りが弱すぎるという問題があった。
【0004】
そこで、上記のような問題を解決するために、水性洗浄剤組成物がほぼ密閉された容器に収容され、かつ、水性洗浄剤組成物を直接貯水タンク内に滴下させるようにすることにより、製品の使用期間中、水性洗浄剤組成物の香りをほぼ一定の強さで持続させることができるものが開発された。
【0005】
しかし、この場合、水性洗浄剤組成物が直接貯水タンク内に滴下されるため、水性洗浄剤組成物自身がフラッシュ時に流れる大量の水に希釈された後、トイレの便器内に溜まる水(約1リットル)から空間に漂う香りが充分認知することができる程度の香りの強さを有し、さらに持続性(1時間くらい)に優れる香料が必要となる。
【0006】
しかし、極微量でも香りとして認知されかつ長時間香りの維持ができる香料は少なかった。特許文献1には、ジアルキルスルフィドと、特定のエステルおよびテルペン系香料とを組合せてなる水性組成物が開示され、ジアルキルスルフィドを特定のエステルおよびテルペン系香料とを組合せることによって、ジアルキルスルフィドが香りのエンハンサーとして機能することが開示されている。しかし、ジアルキルスルフィド自身は硫黄化合物であり、硫黄化合物特有の刺激的な香りを有し、非常に強い香りであるため、香りの嗜好性や製品の香りのバラエティの観点からみて、たとえ極微量で香料組成物に配合しても創作する香調の自由度がかなり制限されてしまうという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3138059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、極微量でも香りとして認知されかつ長時間香りの維持ができる香料組成物を提供し、清潔感がありふくよかさを感じさせる香質の香料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、環状又は非環状の脂肪族アルデヒド、環状又は非環状の脂肪族アルデヒドのアセタール化誘導体、芳香族アルデヒド、環状又は非環状の脂肪族ケトン、芳香族ケトン、環状又は非環状の脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族ジアルキルカーボネート、環状又は非環状エーテル、脂肪族又は芳香族アルコール、テルペン系炭化水素、脂肪族ニトリル、オキシムおよび精油からなる群から選ばれる1又は2以上の香料を含む組成物であって、50,000倍の量を超える水に稀釈される製品用香料組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の香料組成物を用いることによって、50,000倍の量を超える水に稀釈された状態で、水面から空間に漂う香りが充分認知することができる程度の香りの強さを有し、さらに1時間程度の香りの持続性に優れる製品を得ることができる。
本発明に係る香料組成物が、住居用洗剤、入浴剤、芳香消臭剤等の水性組成物に配合された場合、水性組成物自身から香りを揮散しにくく、つまり、容器に入っていて漏れ難く、容器から水性組成物を直接、水に滴下した場合であって、大量の水に稀釈された場合でもよく匂う。
【0011】
特に、住居用洗剤の中でも、水洗トイレ用の水性洗浄剤組成物に本発明の香料組成物を用いると、水性洗浄剤がフラッシュ時に流れる大量の水に稀釈された後、トイレの便器内に溜まる水(約1リットル)から空間に漂う香りが充分認知できる程度の香りの強さを有し、さらに1時間くらいの持続性が得られる。すなわち、香料絶対量が微量であるにもかかわらず、良く匂わせることができる。
【0012】
また、本発明に係る香料組成物を含有する洗浄剤は、その製品の使用期間中、ほぼ一定の香りを持続することができる。
【0013】
本発明に係る香りは、嗜好性や製品の香りのバラエティを考慮して幅広い香調ができ、水性組成物自身の香りと空間に漂う香りの両方が良好である。本発明の香料組成物を用いることによって、清潔感があり、ふくよかさを感じさせる香りを創作できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に用いられる香料の具体例としては、下記の成分からなる群から選ばれるものが好ましい。これらの群から選ばれる香料は、本発明製品用香料組成物中に、合計で20質量%以上、さらに25質量%以上、特に30質量%以上含有するのが好ましい。
【0015】
cis−4−デセナ−ル、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、ウンデセナール(10−ウンデセナ−ルおよび二重結合位置の異なる異性体混合物(商品名:Intrelevenaldehyde、IFF社製))、メチルノニルアセトアルデヒド、シトロネラ−ル、4−メトキシベンズアルデヒド、2−ペンチル−3−フェニル−2−プロペナール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、1−メチル−4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、2,6−ノナジエナール、2−(2−(4−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル)プロピル)シクロペンタノン、2,4,4,7−テトラメチル−6,8−ノナジエン−3−オン オキシム、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、カプロン酸アリル、ヘプタン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エチル、サリチル酸cis−3−ヘキセニル、α−ダイナスコン、β−ダイナスコン、オイゲノ−ル、4−シクロオクテン−1−イル メチル カーボネート、2−ペンチルオキシグリコール酸アリル、シクロヘキシルオキシグリコール酸アリル、クローブ油、1,8−シネオール、アネトール、酢酸cis−3−ヘキセニル、酪酸エチル、酪酸イソアミル、ヘプタン酸アリル、2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、((エチル)ノルボルニル)シクロヘキサノール、ターピノレン、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、トリデセン−2−ニトリル、cis−3−ヘキセニル メチル カーボネート、ペパーミント油、ペチグレン油、アンスラニル酸メチル、ジヒドロジャスモン、2−(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)−5−メチル−5−(1−メチルプロピル)−1,3−ジオキサン、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル、フェニルエチル メチル エーテル、β−ダマセノン、δ−ダマスコン、イオノン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン、3−(3−イソプロピルフェニル)ブタナール、1,5,5,9−テトラメチル−13−オキサトリシクロ[8.3.0.04,9]トリデカン、γ−ウンデカラクトン、2−ヘキシル−3−フェニル−2−プロペナール、2−ヘプチルシクロペンタノン、酢酸トリシクロデセニル、酢酸フェニルエチル、プロピオン酸トリシクロデセニル、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン。
【0016】
本発明の香料組成物は、以下の清潔感のある香質を有する香料群(I)から選ばれる1又は2以上の香料と、ふくよかさを感じさせる香質を有する香料群(II)から選ばれる1又は2以上の香料を、それぞれ8質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上ずつ含有し、かつ両群から選ばれる香料を合わせて20質量%以上、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上含有するものであって、使用時に50,000倍の量を超える水に稀釈される。なお、本発明の香料として、ジプロピレングリコール、3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル等の香料可溶化剤を含まないものとする。
【0017】
香料群(I): cis−4−デセナ−ル、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、ウンデセナール(10−ウンデセナ−ルおよび二重結合位置の異なる異性体混合物(商品名:Intrelevenaldehyde、IFF社製))、メチルノニルアセトアルデヒド、シトロネラ−ル、4−メトキシベンズアルデヒド、2−ペンチル−3−フェニル−2−プロペナール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、1−メチル−4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド(商品名:Precyclemon B、IFF社製)、2,6−ノナジエナール、2−(2−(4−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル)プロピル)シクロペンタノン(商品名:Nectaryl、Givaudan社製)、2,4,4,7−テトラメチル−6,8−ノナジエン−3−オン オキシム(商品名:Labienoxime 10%、Givaudan社製)、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、カプロン酸アリル、ヘプタン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エチル(商品名:Fruitate、花王製)、サリチル酸cis−3−ヘキセニル、α−ダイナスコン、β−ダイナスコン、オイゲノ−ル、4−シクロオクテン−1−イル メチル カーボネート(商品名:Violiff、IFF社製)、2−ペンチルオキシグリコール酸アリル、シクロヘキシルオキシグリコール酸アリル、クローブ油、1,8−シネオール、アネトール、酢酸cis−3−ヘキセニル、酪酸エチル、酪酸イソアミル、ヘプタン酸アリル、2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル(商品名:Poirenate、花王製)、((エチル)ノルボルニル)シクロヘキサノール(商品名:Magnol、花王製)、ターピノレン、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、トリデセン−2−ニトリル、cis−3−ヘキセニル メチル カーボネート(商品名:Liffarome、IFF社製)、ペパーミント油、ペチグレン油。
【0018】
香料群(II):アンスラニル酸メチル、ジヒドロジャスモン、2−(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)−5−メチル−5−(1−メチルプロピル)−1,3−ジオキサン(商品名:Karanal、Quest社製)、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル、フェニルエチル メチル エーテル、β−ダマセノン、δ−ダマスコン、イオノン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン、3−(3−イソプロピルフェニル)ブタナール(商品名:Florhydral、Givaudan社製)、1,5,5,9−テトラメチル−13−オキサトリシクロ[8.3.0.04,9]トリデカン(商品名:Ambroxan、花王製)、γ−ウンデカラクトン、2−ヘキシル−3−フェニル−2−プロペナール、2−ヘプチルシクロペンタノン、酢酸トリシクロデセニル、酢酸フェニルエチル、プロピオン酸トリシクロデセニル、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン。
【0019】
本発明の香料組成物は、住居用洗浄剤組成物に0.001〜20質量%、好ましくは0.05〜15質量%、より好ましくは、0.1〜10質量%含有される。
【0020】
本発明の住居用洗浄剤組成物は、硬質体、例えばプラスチック、ゴム、金属、タイル、レンガ、コンクリート、セメント、ガラス、木等からなる床、階段、壁等の固定物のほか、それらからなる各種器械、器具、道具、家具等の洗浄に好適であって、例えば、浴室用、台所まわり用、床用、ガラス用、トイレ用、内壁用等の住居用の洗浄、およびオフィス内、飲食店内等の建築物内のあらゆる汚れ等の洗浄剤組成物として有用である。
【0021】
特に、住居用洗浄剤の中で、本発明の香料組成物の特性を効果的に活用できる水性組成物の具体例としては、水洗トイレ用オンタンク式洗浄剤組成物(水性洗浄剤組成物)挙げられる。この水性洗浄剤組成物は、プラスチックや陶器製の容器に収容されており、水洗トイレのタンク部に据え付けて、水を流す度に容器内の洗浄液が少量づつ直接貯水タンク内に滴下されるように設計されている。このような装置の1回の洗浄液流出量は通常0.1〜0.2gである。洗浄液中の香料含有量は、通常1〜10%程度であり、水洗によって希釈された場合の香料自体の希釈倍率は50,000倍以上に達することがあるが、本発明の香料組成物を用いることによって、従来より香料配合量を低減しても、使用時に充分な強さと持続性のある香りを発生させることができる。
【0022】
本発明の住居用洗浄剤に用いられる界面活性剤として、以下の陽イオン界面活性剤および非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0023】
陽イオン界面活性剤としては、下記一般式(1)〜(3)の化合物を用いることが好適である。
【0024】
【化1】

【0025】
〔式中、R1aおよびR2aは炭素数5〜16、好ましくは6〜14のアルキル基もしくはアルケニル基、又は炭素数5〜16、好ましくは6〜14のアルキル基もしくはアルケニル基が置換したフェニル基であり、好ましくはアルキル基又はアルキルフェニル基であり、R1c、R1dは炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。Aは−COO−、OCO−、−CONH−、−NHCO−又はp−ベンゼノ基である。aは0又は1の数である。R1bは、炭素数1〜6のアルキレン基、又は−(O−R1f)b−である。ここでR1fはエチレン基又はプロピレン基、好ましくはエチレン基であり、bは1〜10、好ましくは1〜5の数である。R1eは炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。また、R3a、R3b、R3c、R3dはこれらの内2つ以上(好ましくは2つ)は炭素数8〜12のアルキル基であり、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。さらにXは陰イオン基、好ましくはハロゲンイオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンである。〕
【0026】
本発明の最も好ましい陽イオン界面活性剤としては下記のものを挙げることができる。
【0027】
【化2】

【0028】
非イオン界面活性剤としては下記一般式(4)および/又は一般式(5)の化合物が好ましい。
【0029】
4a−O−(R4bO)c−H (4)
〔式中、R4aは、炭素数8〜18、好ましくは10〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R4bは炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。cは平均付加モル数として3以上20未満、好ましくは4以上15以下、特に好ましくは5以上10以下の数を示す。〕
5a−(OR5b)de (5)
〔式中、R5aは直鎖の炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14のアルキル基、R5bは炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、特にエチレン基であり、Gは還元糖に由来する残基、dは平均値0〜6の数、eは平均値1〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜2の数を示す。〕
【0030】
一般式(4)の化合物において特に好ましい化合物は下記一般式(4−1)の化合物又は一般式(4−2)の化合物を挙げることができる。
【0031】
4c−O(EO)f−H (4−1)
〔式中、R4cは炭素数10〜18、好ましくは10〜16の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基である。EOはエチレンオキサイドであり、fは平均付加モル数として3以上20未満である。〕
【0032】
4d−O[(EO)g/(PO)h]−H (4−2)
〔式中、R4dは炭素数10〜18、好ましくは10〜16の直鎖アルキル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。gは平均付加モル数3〜15、hは平均付加モル数1〜5であり、gとhの合計は20未満である。EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。〕
【0033】
一般式(5)の化合物において、Gは還元糖に由来する残基であり、原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、アルドース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明ではこれらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく中でもグルコースが最も好ましい。Gの還元糖としては上記単糖類が好ましいが、これら単糖が2〜5個、好ましくは2又は3個縮合したオリゴ糖を用いても差し支えない。さらには単糖とオリゴ糖が混合したもの
でもよく、この場合には糖平均縮合度は1〜5、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2が好適であり、1〜1.5が最も好ましい。
【0034】
一般式(5)の化合物はR5a−(OR5b)d−OHと還元糖とを酸触媒を用いてアセタール化反応又はケタール化反応することで容易に合成することができる。これらはアセタール化反応の場合、ヘミアセタール構造であっても良く、通常のアセタール構造であっても良い。
【0035】
本発明の香料組成物は、入浴剤組成物に0.001〜20質量%、さらに0.05〜15質量%、特に0.1〜10質量%含有するのが好ましい。また、本発明の香料組成物は、芳香消臭剤組成物に0.001〜100質量%、さらに0.05〜90質量%、特に0.1〜80質量%含有するのが好ましい。
【実施例】
【0036】
<実施例A>
表1に示す処方による香料組成物を調製し、それぞれ、香りの質を評価した。
香質評価基準:○(清潔感/ふくよかさが充分感じられる)、△(清潔感/ふくよかさがあまり感じられない)、×(清潔感/ふくよかさが感じられない)
【0037】
(評価結果):表1に記載の実施例1〜5に示される香料組成物は、清潔感を有する香料群(I)とふくよかさを感じさせる香料群(II)から選ばれる香料をそれぞれ10質量%以上含有するものであって、いずれも清潔感とふくよかさを感じさせる香質である。一方、比較例1は、香料群(I)又は香料群(II)から選ばれる香料の両方を8質量%未満しか含有していないものであって、比較例2、3は香料群(I)又は香料群(II)のいずれかを含まないものである。これら比較例に示される香料組成物からは、いずれも清潔感およびふくよかさの両方を充分に感じられない。
【0038】
【表1】

【0039】
<実施例B>
表2に示す組成による水洗トイレ用オンタンク式洗浄剤組成物を調製し、それぞれ、香りの強さと持続性を評価した。
【0040】
(評価方法):洗浄剤組成物0.16gを水10Lに添加し、その1Lをボールに入れ、容積約3m3の密閉ブース(間口110cm×奥行き110cm×高さ240cm)の床に静置して60分経過時の空間の香りを以下の評価基準により官能評価した。
【0041】
(評価基準):
◎:香りが充分に感じられる
○:香りが感じられる
×:香りが感じられない
【0042】
(評価結果):
表2に示す実施例は、いずれも表1の実施例に記載の香料組成物を含有する洗浄剤組成物である。ここで、実施例6〜10は実施例1の香料組成物を0.1〜1.5質量%配合しているもので、いずれも稀釈状態で60分経過時において、香りを感じられた。実施例11〜14も、それぞれ同様に表1の実施例2〜5に記載の香料組成物を配合したものであるが、いずれも60分経過時において、充分に香りを感じることができた。これらの実施例に対して、比較例4〜6は、香料群(I)又は香料群(II)から選ばれる香料のいずれかを8質量%未満しか含有していない香料組成物であって、表1の比較例1〜3を実施例10〜14と同じく1.5質量%配合しており、いずれも60分経過時において、香りは感じられなかった。
【0043】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を流す度に容器内の洗浄液が少量づつ直接貯水タンク内に滴下される水洗トイレ用オンタンク式洗浄剤組成物であって、下記の、清潔感のある香料群(I)と、ふくよかさを感じさせる香料群(II)からそれぞれ選ばれる1又は2以上の香料を、両香料群ともそれぞれ8質量%以上含有し、50,000倍の量を超える水に希釈される香料組成物を0.001〜20質量%含有する水洗トイレ用オンタンク式洗浄剤組成物。
(I): cis−4−デセナ−ル、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、ウンデセナール、メチルノニルアセトアルデヒド、4−メトキシベンズアルデヒド、2−ペンチル−3−フェニル−2−プロペナール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、1−メチル−4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、2,6−ノナジエナール、2−(2−(4−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル)プロピル)シクロペンタノン、2,4,4,7−テトラメチル−6,8−ノナジエン−3−オン オキシム、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、カプロン酸アリル、ヘプタン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−カルボン酸エチル、α−ダイナスコン、β−ダイナスコン、オイゲノール、4−シクロオクテン−1−イル メチル カーボネート、2−ペンチルオキシグリコール酸アリル、シクロヘキシルオキシグリコール酸アリル、クローブ油、アネトール、酢酸cis−3−ヘキセニル、酪酸エチル、酪酸イソアミル、ヘプタン酸アリル、2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、((エチル)ノルボルニル)シクロヘキサノール、ターピノレン、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、トリデセン−2−ニトリル、cis−3−ヘキセニル メチル カーボネート、ペパーミント油、ペチグレン油。
(II):ジヒドロジャスモン、2−(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)−5−メチル−5−(1−メチルプロピル)−1,3−ジオキサン、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル、フェニルエチル メチル エーテル、β−ダマセノン、δ−ダマスコン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン、3−(3−イソプロピルフェニル)ブタナール、1,5,5,9−テトラメチル−13−オキサトリシクロ[8.3.0.04,9]トリデカン、γ−ウンデカラクトン、2−ヘキシル−3−フェニル−2−プロペナール、2−ヘプチルシクロペンタノン、酢酸トリシクロデセニル、酢酸フェニルエチル、プロピオン酸トリシクロデセニル、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン。
【請求項2】
香料群(I)および(II)から選ばれる香料が、香料組成物中に合計で30質量%以上含まれる請求項1に記載の水洗トイレ用オンタンク式洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−293050(P2009−293050A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219435(P2009−219435)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【分割の表示】特願2003−290387(P2003−290387)の分割
【原出願日】平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】