説明

水洗トイレ用節水具

【課題】構造が簡単かつ安価なもので、容易に着脱でき不用意に脱落することのないものとする。
【解決手段】排水口7を開閉するフロート弁5に連結される引き上げ索条4に取り付けて加重し、フロート弁5の閉じるタイミングを早めるのに、側方から索条通過部12を通じ引き上げ索条4を中央部まで受け入れて取り付けられる、上下端の少なくとも一方が開放された加重ケース13、側方から索条通過部14を通じ、引き上げ索条4を中央部まで受け入れて取り付けられて、加重ケース13内にその開放端13aから収容され、収容数や種類に応じた加重を行う加重体15と、側方から索条通過部16を通じ、引き上げ索条4を中央部まで受け入れて取り付けられて、加重ケース13の開放端13aに嵌め付けられ、加重ケース13の開放端13aを閉じるキャップ17と、を備えて、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗トレイに設置されている水タンク内のフロート弁の閉じるタイミングを早めることで節水する水洗トイレ用節水具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の水洗トイレ用節水具は、フロート弁を引き上げるボールチェーンなどの引き上げ索条を利用して取り付けた加重体をフロート弁に働かせて加重し、その加重に応じてフロート弁の閉じるタイミングを早めて節水する方式が既に提案されている。特に、加重体は引き上げ索条に対し側方から簡単に装着できるように外周から中央部に至るスリットを持ったものとし、その中央部はボールチェーンであってもそのボールに引っ掛からない大きさに広げられているものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
特許文献1に開示の加重体は、複数重ね合わせてそれらに有するスリットの向きが一致しない位置関係にて外れ止めピンにて一体化するか、個々の加重体においてスリットの途中に外れ止めピンを渡して閉じることで、スリットを通じた索条からの脱落を防止するようにしている。特許文献2に開示の加重体は、ボルト状の基体と、この基体のネジ部に螺合して基体の頭部上に積層していく複数のナット状の重り部材とからなり、基体および重り部材共に外周からのスリットを有しているが、基体のネジ部に螺合させてロックした重り部材のスリットが基体のスリットと一致しないようにして、スリットを通じた脱落を防止できるようにしている。特許文献3に開示の加重体は、樹脂カバーを弾性フック片を利用して嵌め合わせた樹脂カバーと同じ向きにスリットを持ちながら、樹脂カバーの側のスリットに中央部との間に外れ止めの舌片を設けるか、スリットの途中に狭隘部を設けるかして、引き上げ索条に側方から容易に装着できるが、スリットを通じた脱落を防止できるようにしている。
【特許文献1】特開平9−279656号公報
【特許文献2】特開2001−271401号公報
【特許文献3】特開2005−200896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の加重体は、スリットに加え、外れ止めピン装着用の孔八溝などを設ける必要がある上、外れ止めピンが付帯し、さらに外れ止めピンを装着して外れ止めする作業が必要である。このため、コスト高になる上、着脱に手間が掛かる。
また、特許文献2に記載のものは、基体に足部の外周にネジを形成し、かつ重り部材の全ての内周にネジを形成し、さらにそれらの螺合によるロック時に互いのスリットの向きが一致しないようにする必要があるのでコスト高になるし、螺合による着脱は簡単なようでも手間が掛かる。また、特許文献3に記載の加重体は、着脱に不便はないが、加重体ごとに、2部材を弾性的に合体させる合体構造が必要であってコスト高になる。
【0005】
本発明の目的は、構造が簡単かつ安価なもので、容易に着脱でき不用意に脱落することのない水洗トイレ用節水具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の水洗トイレ用節水具は、水タンク内の排水口を開閉するフロート弁に連結される引き上げ索条に取り付けて加重し、フロート弁の閉じるタイミングを早める水洗トイレ用節水具において、側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れてそれにと取り付けられる、上下端の少なくとも一方が開放された加重ケースと、側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れてそれに取り付けられて、加重ケース内にその開放端から引き上げ索条に沿って収容され、その収容数またはおよび種類に応じた加重を行なう加重体と、側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れてそれに取り付けられて、加重ケースの開放端に引き上げ索条に沿って嵌め付けられ、加重ケースの開放端を閉じるキャップと、を備えたことを1つの特徴としている。
【0007】
このような構成では、加重ケース、加重体、キャップのそれぞれが、側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れて、それに対し簡単に取り付けることができ、しかも、その状態で加重体は、加重ケース内に引き上げ索条に沿って嵌め入れるだけで収容保持され、開放端から引き出さない限り脱落せず、キャップも引き上げ索条に沿って加重ケースの開放端に嵌め付けるだけで、互いの索条通過部が一致しない向きであることを条件に加重ケースおよびキャップ共に引き上げ索条から脱落せず、加重体の収容数またはおよび種類に応じた段階的な加重による節水ができる。
【0008】
この場合、加重ケースの開放端へのキャップの嵌め付けは、弾性嵌合またはそれに近い無理嵌めによるものとすることができる。
【0009】
このような構成では、キャップは、その加重ケースの開放端への弾性嵌合またはそれに近い無理嵌めによる強い摩擦によって、互いの索条通過部の向きが一致して引き上げ索条から脱落したり、キャップの加重ケースから脱落するようなことを防止しやすい。
【0010】
本発明の水洗トイレ用節水具は、また、水タンク内の排水口を開閉するフロート弁に連結される引き上げ索条に取り付けて加重し、フロート弁の閉じるタイミングを早める水洗トイレ用節水具において、 上端が開放されて、側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れられる加重ケースと、側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れてそれに取り付けられて、加重ケースの開放端に引き上げ索条に沿って嵌め付けられ、加重ケースの開放端を閉じるキャップと、を備え、加重ケースは、索条通過部を除く中央部まわりに水などの液体を含む加重体を複数段階の加重量変化をもって収容することができる加重体収容部が設けられていることを別の特徴としている。
【0011】
このような構成では、加重ケース、キャップのそれぞれが、側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れて、それに対し簡単に取り付けることができ、しかも、その状態でキャップは、引き上げ索条に沿って加重ケースの開放端に嵌め付けるだけで、互いの索条通過部が一致しない向きであることを条件に加重ケースおよびキャップ共に引き上げ索条から脱落せず、水などの液体を含む加重体は、加重ケースがその索条通過部を除く中央部まわりに、前記引き上げ索条への取り付け、取り外しに影響なく有している加重体収容部によって、引き上げ索条とは無関係に複数段階の加重量変化を持って収容、保持されて、段階的な加重による節水ができる。
【0012】
この場合、加重体収容部は、周方向に仕切られ上端が加重ケース内に開放された複数のポケットであるものとすることができる。
【0013】
このような構成では、加重体収容部が周方向に仕切られていることにより、個体はもとより液体でも加重体収容部のポケットごとに収容して、その容積単位での段階的な加重にて節水することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水洗トイレ用節水具の1つの特徴によれば、加重ケース、加重体、キャップは、いずれも、側方から引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れてそれに対し簡単に取り付け、その状態で加重体を加重ケース内に嵌め入れるだけで収容保持されて引き上げ索条から脱落しないし、キャップは加重ケースの開放端に互いの索条通過部が一致しない向きに嵌め付けるだけで、加重ケースおよびキャップ共に引き上げ索条から脱落せず、仮に加重ケースの下端が開放されていても加重体は抜け出ないので、加重体の収容数またはおよび種類に応じた段階的な加重による節水が脱落の心配なしに達成でき、着脱に手間が掛からないし構造が簡単で低コストなものとなる。
【0015】
本発明の水洗トイレ用節水具の別の特徴によれば、加重ケース、キャップは、いずれも、側方から引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れて簡単に取り付け、その状態のキャップを加重ケースの開放端に互いの索条通過部が一致しない向きに嵌め付けるだけで、加重ケースおよびキャップ共に引き上げ索条から脱落せず、水などの液体を含む加重体にて、加重ケースが引き上げ索条への取り付け、取り外しに影響なく有している加重体収容部に複数段階の加重量変化を持って収容するだけで、段階的な加重による節水が脱落の心配なく達成でき、着脱に手間が掛からないし構造が簡単で低コストなものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の最良の実施の形態について、図1〜図6を参照しながら詳述する。以下の説明は本発明の具体例であって特許請求の範囲を限定するものではない。
【0017】
いわゆるロータンクといわれる図6に示すような水タンク1を有した給水設備を持つ水洗トイレは、水タンク1内に給水する側の一定水位までの給水を行なうフロート弁2と、洗浄時に外部レバー3などで引き上げ索条4を介し引き上げられて開き排水するゴム製のフロート弁5とを備えている。フロート弁5は水タンク1内のオーバーフロー管6からの排水路に繋がる排水口7を開閉するもので、開かれた後は水タンク1内の水が排水仕切られることによって自重で閉じるが、本実施の形態の節水具11は、フロート弁5に連結される引き上げ索条4に取り付けて加重し、フロート弁5の閉じるタイミングを早めるタイプを対象としている。
【0018】
既述した従来の問題点に鑑み、構造が簡単かつ安価なもので、容易に着脱でき不用意に脱落することのないものとするために、図1、図2に示す1つの例の水洗トイレ用節水具11は、特に、側方から索条通過部12を通じ、引き上げ索条4をほぼ中央部まで受け入れてそれにと取り付けられる、上下端の少なくとも一方が開放された加重ケース13と、側方から索条通過部14を通じ、引き上げ索条4をほぼ中央部まで受け入れてそれに取り付けられて、加重ケース13内にその開放端13aから索条に沿って収容され、その収容数またはおよび種類に応じた加重を行なう加重体15と、側方から索条通過部16を通じ、引き上げ索条4をほぼ中央部まで受け入れてそれに取り付けられて、加重ケース13の開放端13aに引き上げ索条4に沿って嵌め付けられ、加重ケース13の開放端13aを閉じるキャップ17と、を備えたものとしている。
【0019】
これにより、加重ケース13、加重体15、キャップ17のそれぞれが、側方から索条通過部12、14、16を通じ、引き上げ索条14をほぼ中央部まで受け入れて、それに対し簡単に取り付けることができ、しかも、その状態で加重体15は、加重ケース1内に引き上げ索条4に沿って嵌め入れるだけで収容保持され、開放端13aから引き出さない限り脱落せず、キャップ17も引き上げ索条4に沿って加重ケース13の開放端13aに嵌め付けるだけで、互いの索条通過部16、12が一致しない向きであることを条件に加重ケース13およびキャップ17共に引き上げ索条4から脱落せず、加重体15の収容数またはおよび種類に応じた段階的な加重による節水ができる。
【0020】
結果、節水具21によれば、加重ケース13、加重体15、キャップ17は、いずれも、側方から引き上げ索条4をほぼ中央部まで受け入れてそれに対し簡単に取り付け、その状態で加重体を加重ケース13内に嵌め入れるだけで収容保持されて引き上げ索条4から脱落しないし、キャップ17は加重ケース13の開放端13aに互いの索条通過部12、16が一致しない向きに嵌め付けるだけで、加重ケース13およびキャップ17共に引き上げ索条4から脱落せず、仮に加重ケース13の下端が開放されていても加重体15は抜け出ないので、加重体15の収容数またはおよび種類に応じた段階的な加重による節水が脱落の心配なしに達成でき、着脱に手間が掛からないし構造が簡単で低コストなものとなる。
【0021】
さらに具体的には、加重ケース13はステンレス鋼などの金属製または樹脂製で、上下端共に開放端13aとされた円筒形で、キャップ17が嵌め付けられる。キャップ17はゴム製または樹脂製としている。加重ケース13の開放端13aへのキャップ17の嵌め付けは、弾性嵌合またはそれに近い無理嵌めによるものとすれば、キャップ17は、その加重ケース13の開放端13aへの弾性嵌合またはそれに近い無理嵌めによる強い摩擦によって、互いのスリットの向きが一致して引き上げ索条から脱落したり、キャップの加重ケースから脱落するようなことを防止しやすい。図示例ではキャップ17がやや柔軟性のあるゴム製であって、開放端13aを塞ぐ塞ぎ壁17aとこの塞ぎ壁17aから筒状に延びて加重ケース13の開放端13aに弾性的に内または外嵌合される筒壁17bとを備えたものとし、互いの弾性嵌合による摩擦に、ゴム製のキャップ17表面の高い摩擦係数が加わって、不用意に脱落しないが、容易に着脱できる関係を満足している。さらに詳述すると、筒壁17bはその基部の増径形状を利用して開放端13aへの嵌合最終段階で圧入状態となって高い嵌合度合が得られるようになっている。この嵌合には加重ケース13がその周壁に有しているスリット状に開放した索条通過部12による切り離し形状による弾性をも利用することができる。特に、無理嵌めの嵌合には互いの凹凸嵌合を用いることもできる。
【0022】
上側の開放端13aを塞ぐキャップ17は、図1に示すように外周から塞ぎ壁17aの中央部まで達するスリット状の索条通過部16を設けてあり、この索条通過部16は筒壁17bの下端から増径形状始端部まで、引き上げ索条4であるボールチェーンのボール径より大きい幅からボール径よりも小さい幅に狭まる受け入れ部16aを有し、その小さい幅のまま中央部に達し、中央部ではボール径よりも大きな通し孔16bを持ったものとしてある。これにより、索条通過部12の引き上げ索条4の受け入れが容易で、受け入れ後の引き上げ索条4はボール間の連結軸部を通過させて通し孔16bまでスムーズに受け入れ、通し孔16bでは引き上げ索条4に沿ってボールの邪魔なくスムーズに移動できるようにしながら、通し孔16bまで達した引き上げ索条4が不用意に外周側に移動しにくく、引き上げ索条4が節水具11の軸線上にある正しい姿勢を保ちやすくし、傾いたり、それによって不足の外力が働くのを防止している。下側の開放端13aを塞ぐキャップ17は、フロート弁5の球面上に着座して安定し、節水具11による加重を直接伝達する側で、引き上げ索条4との間の位置規制をなくしてよく、索条通過部16は引き上げ索条4のボール径よりも少し小さい程度の、従って、引き上げ索条4が自然に通過しない程度、つまり少しの人為的は外力なしには通過できない程度の等幅スリット部16cを有して、塞ぎ壁16a中央部のフロート弁5と引き上げ索条4との連結部に干渉せずフロート弁5の球面上に落ち着きやすい大きな開口の通し孔16dを有したものとしている。これによって、下側のキャップ17の方が上側のキャップ17の場合よりも引き上げ索条4を受け入れやすくなっている。しかし、加重ケース13との嵌合度は上側程度以上として、自重に加重体15の荷重が加わっても不用意に落下しないようにするのが好適である。
【0023】
加重体15は、金属製、具体的にはステンレス鋼製円形板よりなり、加重ケース13の内径よりも小さくスムーズに落し込める大きさし、索条通過部14は図1に示すような平面視略L型に屈曲して外周から中央部に達する形状で、ボールチェーンである引き上げ索条4のボール形よりも大きな幅として引き上げ索条4を受け入れやすく、また引き上げ索条4に沿った移動を容易にしながらも、不用意に外れにくいものとしている。しかし、そのための索条通過部14の形状は自由に選択できるし、ストレートでも加重ケース13に収容されれば引き上げ索条4から外れることはなく特に問題とはならない。
【0024】
実施例を示すと、加重ケース13の25g+加重体15の5g×3+上側のキャップ17の10g=50gの条件にて、TOTO製のトイレで20%程度の節水をするのに好適となり、加重ケース13の25g+上側のキャップ17の10g=35gの条件にて、INAX製のトイレで20%強程度の節水をするのに好適となった。
【0025】
図3〜図5に示す別の例の水洗トイレ用節水具21は、上端が開放されて、側方から索条通過部12を通じ、引き上げ索条4をほぼ中央部まで受け入れられる加重ケース13と、側方から索条通過部16を通じ、引き上げ索条4をほぼ中央部まで受け入れてそれに取り付けられて、加重ケース13の開放端13aに引き上げ索条4に沿って嵌め付けられ、加重ケース13の開放端13aを閉じるキャップ17と、を備え、加重ケース13は、索条通過部12を除く中央部まわりに水などの液体を含む加重体115を複数段階の加重量変化をもって収容することができる加重体収容部22が設けられている。
【0026】
これにより、加重ケース13、キャップ17のそれぞれが、側方から索条通過部12、16を通じ、引き上げ索条4をほぼ中央部まで受け入れて、それに対し簡単に取り付けることができ、しかも、その状態でキャップ17は、引き上げ索条4に沿って加重ケース13の開放端13aに嵌め付けるだけで、互いの索条通過部12、16が一致しない向きであることを条件に加重ケース13およびキャップ17共に引き上げ索条4から脱落せず、水などの液体を含む加重体115は、加重ケース13がその索条通過部12を除く中央部まわりに、前記引き上げ索条4への取り付け、取り外しに影響なく有している加重体収容22によって、引き上げ索条4とは無関係に複数段階の加重量変化を持って収容、保持されて、段階的な加重による節水ができる。
【0027】
結果、節水具21によれば、加重ケース13、キャップ17は、いずれも、側方から引き上げ索条4をほぼ中央部まで受け入れて簡単に取り付け、その状態のキャップ17を加重ケース13の開放端13aに互いの索条通過部12、16が一致しない向きに嵌め付けるだけで、加重ケース13およびキャップ17共に引き上げ索条4から脱落せず、水などの液体を含む加重体115にて、加重ケース13が引き上げ索条4への取り付け、取り外しに影響なく有している加重体収容部22に複数段階の加重量変化を持って収容するだけで、段階的な加重による節水が脱落の心配なく達成でき、着脱に手間が掛からないし構造が簡単で低コストなものとなる。
【0028】
さらに、具体的には、加重ケース13は樹脂製で、加重体収容部22は、周方向に仕切られ上端が加重ケース13内に開放された複数のポケット22aとしている。このように、加重体収容部22が周方向に仕切られていることにより、図示する金属棒、具体的にはステンレス棒などの個体はもとより液体でも加重体収容部22のポケット22aごとに収容して、その容積単位での段階的な加重にて節水することができる。水であると特別な加重体115が不要となり、節水具21が浸漬状態の際に入り込む水タンク1内の貯水を利用することができる。しかし、図示例のポケット22aでは全て上端が開放された有底のもので、逆に水入り込みを阻止できず、ステンレス棒が入っていても隙間に貯水が入り込んで加重に影響するが、段階的に加重量を変化させられない。これを回避するには、ポケット22aのうちの選択したものにだけに入りこめるようにする必要がある。それには、上端開口をシールによって閉じておき、選択したものだけをシールを破り、あるいは剥がし取って水が入りこめるようにするか、上端を開放したまま選択しないポケット22aのは入り込んだ水の重量が掛からなくするなどすればよいが、前者では閉じたままポケット22aはフロートなって加重とは逆の働きをするので、これを相殺する加重設定が必要となる。なお、加重ケース13とキャップ17との嵌合関係は先の節水具11の場合と特に変わらない。また、加重体115が棒体であると、棒材を寸切りして簡単に得られるのでコストが低減する。しかし、加重ケース13の索条通過部12は加重体収容部22との関係上、引き上げ索条4のボール径よりも大きな幅を有して周壁に開口した部分から、加重体収容部22を左右に分割して加重体収容部22aの配列部中央部に設けたやや広い通し孔22bに延びるスリット部22aを有して、加重体収容部22と隔絶したものとなっている。
【0029】
ここで、実施例を示すと、加重ケース13の18g+キャップ17の78g+水またはステンレス棒である加重体115の5g=30gでINAX製トイレでの20%程度の節水に好適であり、これに加重体115の5g×3〜4=15gまたは20gを加算して45g〜50gとしてTOTO製トイレでの20%または弱程度の節水に好適である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この水洗トイレ用節水具は、水洗トレイに設置されている水タンク内の引き上げ索条に取り付けることにより、自体の重量分だけフロート弁の閉じるタイミングを早めて、節水ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る水洗トイレ用節水具の1つの例を示す分解斜視図。
【図2】同上の水洗トイレ用節水具の使用状態の断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る水洗トイレ用節水具の別の例を示す分解斜視図。
【図4】同上水洗トイレ用節水具の使用状態の断面図。
【図5】同上水洗トイレ用節水具の加重ケースの横断面図。
【図6】洗トイレの洗浄用の水タンクにおける節水具の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 水タンク
4 引き上げ索条
5 フロート弁
7 排水口
11、21 節水具
12、14、16 索条通過部
13 加重ケース
13a 開放端
15、115 加重体
17 キャップ
22 加重体収容部
22a ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水タンク内の排水口を開閉するフロート弁に連結される引き上げ索条に取り付けて加重し、フロート弁の閉じるタイミングを早める水洗トイレ用節水具において、
側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れてそれにと取り付けられる、上下端の少なくとも一方が開放された加重ケースと、
側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れてそれに取り付けられて、加重ケース内にその開放端から引き上げ索条に沿って収容され、その収容数またはおよび種類に応じた加重を行う加重体と、
側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れてそれに取り付けられて、加重ケースの開放端に引き上げ索条に沿って嵌め付けられ、加重ケースの開放端を閉じるキャップと、
を備えたことを特徴とする水洗トイレ用節水具。
【請求項2】
加重ケースの開放端へのキャップの嵌め付けは、弾性嵌合または無理嵌めによる請求項1に記載の水洗トイレ用節水具。
【請求項3】
水タンク内の排水口を開閉するフロート弁に連結される引き上げ索条に取り付けて加重し、フロート弁の閉じるタイミングを早める水洗トイレ用節水具において、
上端が開放されて、側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れられる加重ケースと、
側方から索条通過部を通じ、引き上げ索条をほぼ中央部まで受け入れてそれに取り付けられて、加重ケースの開放端に引き上げ索条に沿って嵌め付けられ、加重ケースの開放端を閉じるキャップと、
を備え、
加重ケースは、索条通過部を除く中央部まわりに水などの液体を含む加重体を複数段階の加重量変化をもって収容することができる加重体収容部が設けられている
ことを特徴とする水洗トイレ用節水具。
【請求項4】
加重体収容部は、周方向に仕切られ上端が加重ケース内に開放された複数のポケットである請求項3に記載の水洗トイレ用節水具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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