説明

水洗大便器

【課題】 リム洗浄音を便器の外に響かせてオート便器洗浄が行われていることを使用者に認識させるとともに、サイホン現象発生前後の音を抑制して便器洗浄音を低減する水洗大便器を提供することを目的とする。
【解決手段】 洗浄水が供給されることにより排水トラップ管路にサイホン現象を発生させてボウル部内の溜水を排出する大便器と、ボウル部を覆う便蓋と、便蓋を開いた状態から閉じた状態にする便蓋閉止動作を実行する電動開閉装置と、大便器に洗浄水を供給する給水装置と、電動開閉装置及び給水装置に動作命令を与える制御部を備えた水洗大便器において、制御部は、電動開閉装置による便蓋閉止動作が完了する前に給水装置から洗浄水を供給して便器洗浄動作を開始させるとともに、給水装置により大便器に洗浄水を供給してサイホン現象を発生させるより早く電動開閉装置の便蓋閉止動作を完了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便蓋閉止動作と便器洗浄動作を実行する水洗大便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、水道水を直接利用した洗浄方式を利用した便器が提案されている。このタイプの便器では、ボウル部の上方からのリム吐水と下方のジェット吐水の吐水タイミングを制御した洗浄がなされている。例えば、洗浄信号を受けるとまずリム吐水を開始し、ボウル部に付着した汚物をボウル部の下部へ洗い落とし、その後、ジェット吐水によって洗浄水をトラップの入口側へ押し込み排水トラップ管路内を満水にすることでサイホン現象を発生させ、ボウル部の下部に溜まった汚物とともに洗浄水を排出する。最後に、再びリム吐水によって、ボウル部内に溜水を溜め封水を行う。このような一連の洗浄動作を行うが、水道水の圧力を利用した流速の早い洗浄水を利用するために、特に、ジェット洗浄水を吐水する洗浄音が気になるといった問題があった。
また、ボウル部の上方からのリム吐水のみによって排水トラップ管路を満水にしてサイホン現象を発生させる、いわゆるサイホン便器においても、サイホン現象発生時期に「ボコッ、ボコッ」という異音が発生し、やはり洗浄音が気になるという同様の問題があった。
【0003】
このような洗浄音を抑制するための方法として、比較的簡便な方法として、便蓋を閉めて洗浄する提案がある。例えば、特開昭51−57942号には、使用者が便器から離れることを検知した後、便座・便蓋を閉じ、閉じた際の信号によって洗浄動作をすることが記載されている。また、特開平7−158142号には、使用者が便器から離れたことを人体検知センサが検知して、便蓋を閉じた後に洗浄することによって洗浄音を低減することが記載されている。
【特許文献1】特開昭51−57942号公報
【特許文献2】特開平7−158142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した先行技術は、何れもタンク内に貯水された洗浄水をタンク内の排水弁を開弁することによって洗浄水を吐水するものであるが、便器洗浄動作を便蓋を閉じた後に行うものである(図20参照)。
しかしながら、使用者としては、便器洗浄が行われたかどうかが気になるといった面がある。ところが、上記した先行技術では、便蓋を閉じた状態では便器洗浄開始時のリム洗浄音の比較的小さい音が聞きとりにくくなるため、便器洗浄が実行されたかどうかの不安を感じることになる。この問題は、タンク内に貯水された洗浄水で便器洗浄を行う水洗便器に限らず、タンクに貯水せず水道水を直接便器に流して洗浄する水洗便器においても生じている。
【0005】
そこで、本発明は、リム洗浄音を便器の外に響かせてオート便器洗浄が行われていることを使用者に認識させるとともに、サイホン現象発生前後の音を抑制して便器洗浄音を低減する水洗大便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、洗浄水が供給されることにより排水トラップにサイホン現象を発生させてボウル部内の溜水を排出する大便器と、前記ボウル部を覆う便蓋と、前記便蓋を開いた状態から閉じた状態にする便蓋閉止動作を実行する電動開閉装置と、前記大便器に前記洗浄水を供給する給水装置と、前記電動開閉装置及び給水装置に動作命令を与える制御部を備えた水洗大便器において、前記制御部は、前記電動開閉装置による便蓋閉止動作が完了する前に前記給水装置から洗浄水を供給して便器洗浄動作を開始させるとともに、前記給水装置により大便器に洗浄水を供給して前記サイホン現象を発生させるより早く前記電動開閉装置の便蓋閉止動作を完了させるように制御することを特徴とする。
【0007】
これにおいて、前記大便器は、ボウル部のリム吐水口及びジェット吐水口に前記洗浄水を供給して便器洗浄を実行し、前記給水装置は、前記リムに洗浄水を供給するリム給水手段と、前記ジェット吐水口に洗浄水を供給するジェット給水手段を備えてなり、前記制御部は、前記ボウル部のリム吐水口、ジェット吐水口の順で給水するように前記リム給水手段及びジェット給水手段を動作させるとともに、前記ジェット吐水口への給水を前記電動開閉装置が便蓋閉止動作を完了した後に実行することができる。
ここで、ジェット吐水口への給水においては、リム吐水口への給水を停止してもよいし、ジェット吐水口への給水と同時にリム吐水口に給水してもよい。
【0008】
さらに、前記制御部は、前記電動開閉装置が便蓋閉止動作を完了する前に前記リム給水手段によるリム吐水口への給水を開始し、前記電動開閉装置が便蓋閉止動作を完了した後に前記ジェット給水手段によるジェット吐水口への給水を実行することができる。
この場合においても、ジェット吐水口への給水において、リム吐水口への給水を実行させてもよい。
【0009】
さらに、また、前記便器洗浄を実行するための便器洗浄スイッチを有するリモコンを備え、前記便器洗浄スイッチを操作することにより、前記便蓋電動開閉装置による便蓋閉止動作を開始し、その後に便器洗浄動作を開始するものとしてもよい。
【0010】
前記制御部は、前記便蓋閉止動作を開始してから所定時間後に前記給水装置を動作させて便器洗浄動作を開始し、前記排水トラップ管路でサイホン現象が発生する前に前記便蓋閉止動作を完了する。
【0011】
前記制御部は、前記便蓋閉止動作を開始してから時間差をおいて前記給水装置を動作させて便器洗浄を実行し、前記時間差となる期間において実行可能な、前記便器洗浄動作を開始させない便器洗浄停止手段を備えた。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明は、洗浄水が供給されることにより排水トラップ管路にサイホン現象を発生させてボウル部内の溜水を排出する大便器と、前記ボウル部を覆う便蓋と、前記便蓋を開いた状態から閉じた状態に動作させる電動開閉装置と、前記大便器に洗浄水を供給する給水装置と、人体を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段による人体検知信号の消失に基づいて前記電動開閉装置及び給水装置に動作命令を与える制御部を備えた水洗大便器において、前記制御部は、前記人体検知信号が消失した際に発信する動作命令を規定するオート便器洗浄モードを複数備え、前記複数のオート便器洗浄モードは、前記給水装置により大便器に洗浄水を供給して便器洗浄を完了した後に前記電動開閉装置による便蓋閉止動作の実行を開始するように制御される第1のオート便器洗浄モードと、前記前記電動開閉装置により便蓋閉止動作が完了する前に前記給水装置から洗浄水を供給して便器洗浄動作を開始させるとともに、前記給水装置により大便器に洗浄水を供給して前記サイホン現象を発生させるより早く前記電動開閉装置の便蓋閉止動作を完了させるように制御される第2のオート便器洗浄モードと、を含み、前記複数のオート便器洗浄モードからいずれか1つのモードを選択する選択手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、便器洗浄の初期段階においては便蓋を完全に閉じずに、便器洗浄の後期段階において便蓋を閉じるように便蓋閉止動作と便器洗浄動作を関連づけて制御しているため、リム洗浄音を便器の外に響かせてオート便器洗浄が行われていることを使用者に認識させるとともに、サイホン現象発生前後の音の便器外への伝播を抑制して便器洗浄音を低減する水洗大便器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、図を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
まず、図1〜図5により、本発明の水洗大便器の第一の実施形態を説明する。
図1は水洗大便器の側面図、図2は同水洗大便器の平面図、図3は同水洗大便器の給水系統を説明するブロック図、図4は同水洗大便器のオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャート、図5は同水洗大便器のリモコンによる便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
【0016】
図1及び図2に示すように、水洗大便器1は、便器本体2と、この便器本体2の上面に配置された便座4と、便座4を覆うように配置された便蓋6と、便蓋を開閉する電動開閉装置7と、便器本体2の後方上部に配置された局部洗浄装置8と、人体を検知する人体検知手段9と、を備えている。本実施形態においては、人体検知手段9として、便器本体2の前に立つ人体の有無を検知する人体検知センサ、または便座4に着座した人の有無を検知する着座センサのいずれかを用いることができる。さらに、便器本体2の後方には、便器本体2に洗浄水を供給する給水装置10と制御部62が配置されており、この給水装置10はサイドパネル10aにより覆われている。また、制御部62は、電動開閉装置7、局部洗浄装置8、人体検知手段9、給水装置10および便器洗浄スイッチを有するリモコン11との間で制御信号の受信又は送信を行う。
【0017】
便器本体2には、汚物を受けるボウル部12と、このボウル部12の底部から延びる排水トラップ管路14と、ジェット吐水を行うジェット吐水口16と、リム吐水を行うリム吐水口18が形成されている。
【0018】
ジェット吐水口16は、ボウル部12の底部に形成されており、排水トラップ管路14の入口に指向してほぼ水平に配置され、洗浄水を排水トラップ管路14に向けて吐出するようになっている。
【0019】
リム吐水口18は、ボウル部12の左側上部後方に形成されており、ボウル部12の上縁に沿って洗浄水を吐出するようになっている。
【0020】
排水トラップ管路14は、入口部14aと、この入口部14aから上昇するトラップ上昇管14bと、このトラップ上昇管14bから下降するトラップ下降管14cとからなり、トラップ上昇管14bとトラップ下降管14cとの間が頂部14dとなっている。
【0021】
給水装置10は、図3に示すように、給水管路を開閉する電磁開閉弁34と、洗浄水をジェット吐水口16とリム吐水口18とに分配する給水路切替弁36と、ジェット吐水口16に給水する洗浄水を貯水する貯水タンク20と、貯水された洗浄水を加圧してジェット吐水口16に供給する加圧ポンプ22とで構成されている。(この給水路切替弁36が、リム給水手段、ジェット給水手段に相当する。)
【0022】
この給水装置10は、洗浄水を供給する水道に直結されており、水道の給水圧力によりリム吐水口18から洗浄水が吐出される。また、ジェット吐水に関しては、給水装置10に内蔵された貯水タンク20に貯水された洗浄水を加圧ポンプ22によって加圧して、大流量でジェット吐水口16から吐出させるようになっている。
【0023】
次に、図4を参照して、この第一の実施形態による水洗大便器のオート便器洗浄機能の動作について説明する。
まず、便器本体2の前から人体が去ると、人体検知手段9の人体検知信号が消失して人体非検知の状態になる(t1)。時刻t1からT1時間経過すると、電動開閉装置7が便蓋6の閉止動作を開始する(t2)。そして、便蓋6を閉じ始めてからT2時間経過すると便蓋6が閉じきる前に給水装置10が給水動作を開始する。すなわち、電磁開閉弁34が開き、給水路切替弁36は給水先をリム吐水口18に切替えてリム吐水を行う(t3)。電動開閉装置7は、便蓋閉止動作を開始してから時間T2よりも長い時間(T2+T3)経過した後に便蓋6の閉止を完了する(t4)。便蓋6を閉止してからT4時間経過後に、給水先をリム吐水口18からジェット吐水口16に切替えて加圧ポンプ22を作動させてジェット吐水を行う(t5)。このジェット吐水は大流量であるから排水トラップ管路14を負圧状態にしてサイホン現象を発生させ(t6)、ボウル部12に溜まった溜水を排水トラップ管路14に一気に流し込む。サイホン現象の消滅後は、再び給水先をリム吐水口18に切替えて(t7)ボウル部12に洗浄水を流し込んで封水を形成し、一連の洗浄動作を終了する(t8)。
【0024】
次に、図5を参照して、第一の実施形態による水洗大便器のリモコンによる便器洗浄時の動作について説明する。
まず、使用者がリモコン11の便器洗浄スイッチ11aを押す(t1’)と、リモコン11から便器洗浄指令を受けた水洗大便器が便器洗浄動作の実行を開始する。便器洗浄スイッチ操作後、直ちに電動開閉装置7が便蓋6の閉止動作を開始する(t2)。そして、便蓋6が閉じきる前に給水装置10が給水動作を開始する。すなわち、電磁開閉弁34が開き、給水路切替弁36は給水先をリム吐水口18に切替える(t3)。電動開閉装置7は、便蓋閉止動作を開始していから時間T2よりも長い時間(T2+T3)経過した後に便蓋6の閉止を完了する(t4)。便蓋6を閉止してからT4時間経過後に、給水先をリム吐水口18からジェット吐水口16に切替えて加圧ポンプ22を作動させてジェット吐水を行う(t5)。このジェット吐水は大流量であるから排水トラップ管路14を負圧状態にしてサイホン現象を発生させ(t6)、ボウル部12に溜まった溜水を排水トラップ管路14に一気に流し込むことができる。サイホン現象の消滅後は、再び給水先をリム吐水口18に切替えて(t7)ボウル部12に洗浄水を流し込んで封水を形成し、一連の洗浄動作を終了する(t8)。
【0025】
本実施形態の水洗便器においては、サイホン現象を発生させるジェット吐水を開始する時点で便蓋が完全に閉じているため、サイホン現象発生前後の洗浄音が外部に伝播するのを抑制して洗浄音の低減を図ることができる。また、それに先立つ、前リム吐水の段階では便蓋は閉じていないため、便器洗浄が実行されたことを便器本体2から離れた所から目視確認できるうえ、さらに、前リム吐水の洗浄音を便器の外に響かせることができるので、使用者に便器洗浄が実行されたことを確実に認識させることができ、安心感を与えることができる。
【0026】
特に、人体検知手段によりオート便器洗浄を実行する際には、便器洗浄開始時には人は便器から離れていることも多いが、本実施形態の水洗大便器であれば便器洗浄の初期の洗浄音は低減されることなく伝播されるので便器から離れていても便器洗浄が実行されていることが認識しやすく、安心してトイレから立ち去ることができる。
【0027】
次に、図6〜図7により、本発明の水洗大便器の第二の実施形態を説明する。図6はこの水洗大便器の給水系統を説明するブロック図、図7は同水洗大便器のオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。なお、前述した実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0028】
この水洗大便器100における給水装置110は、前述した第一の実施形態とは給水装置110の構成およびオート便器洗浄動作が異なる。
給水装置110は、図6に示すように、給水管路を開閉する電磁開閉弁34と、洗浄水をジェット吐水口16とリム吐水口18とに分配する給水路切替弁36とで構成されている。(この給水路切替弁36が、リム給水手段、ジェット給水手段に相当する。)
【0029】
次に、図7を参照して、この第一の実施形態による水洗大便器のオート便器洗浄機能の動作について説明する。
まず、便器本体2の前から人体が去ると、人体検知手段9の人体検知信号が消失して人体非検知の状態になる(t11)。時刻t11からT11時間経過すると、給水装置110が給水動作を開始する。すなわち、電磁開閉弁34が開き、給水路切替弁36は給水先をリム吐水口18に切替えてリム吐水を行う(t12)。そして、便器洗浄開始からT12時間経過後のリム吐水実行中に電動開閉装置7が便蓋6の閉止動作を開始する(t13)。そして、便蓋6が閉じきる前に給水装置110は給水先をリム吐水口18からジェット吐水口16に切替えてジェット吐水を行う(t14)。電動開閉装置7は、ジェット吐水の開始後間もなく便蓋閉止動作を完了する(t15)。便蓋閉止後にジェット吐水によって排水トラップ管路14を負圧状態にしてサイホン現象を発生させ(t16)、ボウル部12に溜まった溜水を排水トラップ管路14に一気に流し込む。サイホン現象の消滅後は、再び給水先をリム吐水口18に切替えて(t17)ボウル部12に洗浄水を流し込んで封水を形成し、一連の洗浄動作を終了する(t18)。
【0030】
この実施形態のオート便器洗浄機能においては、便蓋6が閉じ始める前に便器洗浄を実行するので、便器洗浄が実行され始めたことが便器本体2から離れた所から目視で確認することができ、また、比較的小さい音であるリム吐水時の便器洗浄音を便器外に響かせて便器洗浄が実行されていることを聴覚により確認することができる。さらに、リム吐水とジェット吐水を別々に実行するタイプの水洗大便器においては、ジェット吐水のうちでもサイホン現象によりボウル部12内の溜水が排出された後のジェット吐水(いわゆるブロー)が最も洗浄音が大きくなる。しかも、その洗浄音はジェット吐水が溜水を介さず直接排水トラップ管路14に当たるため高周波の音域ほど音が大きい。そのため、本実施形態の水洗大便器においても、ジェット吐水の開始時点では便蓋閉止動作が完了していないが、サイホン現象が生じる前に便蓋閉止動作を完了させる動作を行うことから、便器洗浄音の便器外への伝播を抑制することができ、洗浄音を効果的に低減させることができる。
【0031】
特に、人体検知手段によりオート便器洗浄を実行する際には、便器洗浄開始時には人は便器から離れていることも多いが、本実施形態の水洗大便器であれば便器洗浄の初期の洗浄音は低減されることなく伝播されるので便器から離れていても便器洗浄が実行されていることが認識しやすく、安心してトイレから立ち去ることができる。
【0032】
次に、図8〜図9により、本発明の水洗大便器の第三の実施形態を説明する。図8はこの水洗大便器の給水系統を説明するブロック図、図9は同水洗大便器のオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。なお、前述した実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
この水洗大便器200における給水装置210は、前述した第一の実施形態とは給水装置210の構成およびオート便器洗浄動作が異なる。
水道から供給された洗浄水を水洗大便器200に供給する給水装置210は、図8に示すように、リム吐水口18への洗浄水の供給を制御するリム開閉弁220(リム給水手段)とジェット吐水口16への洗浄水の供給を制御するジェット開閉弁230(ジェット給水手段)とで構成されている。
【0034】
次に、図9を参照して、この第三の実施形態による水洗大便器のオート便器洗浄機能の動作について説明する。
まず、便器本体2の前から人体が去ると、人体検知手段9の人体検知信号が消失して人体非検知の状態になる(t1)。時刻t1からT1時間経過すると、電動開閉装置7が便蓋6の閉止動作を開始する(t2)。そして、便蓋6を閉じ始めてからT2時間経過すると便蓋6が閉じきる前に給水装置10が給水動作を開始する。すなわち、リム開閉弁220が開きリム吐水口18に洗浄水を供給してリム吐水を行う(t3)。電動開閉装置7は、便蓋閉止動作を開始してから時間T2よりも長い時間(T2+T3)経過した後に便蓋6の閉止を完了する(t4)。便蓋6を閉止してからT4時間経過後に、リム開閉弁220を閉じ、ジェット開閉弁230を開いてジェット吐水を行う(t5)。このジェット吐水は大流量であるから排水トラップ管路14を負圧状態にしてサイホン現象を発生させ(t6)、ボウル部12に溜まった溜水を排水トラップ管路14に一気に流し込むことができる。サイホン現象の消滅後は、ジェット開閉弁230を閉じ、リム開閉弁220を再度開いて(t7)ボウル部12に洗浄水を流し込んで封水を形成し、一連の洗浄動作を終了する(t8)。
【0035】
このように、この第三の実施形態は第一の実施形態とは水洗大便器の給水系統が異なるが、オート便器洗浄機能の動作は同じである。よって、第一の実施形態を同じく、サイホン現象を発生させるジェット吐水を開始する時点で便蓋が完全に閉じているため、サイホン現象発生前後の洗浄音が外部に伝播するのを抑制して洗浄音の低減を図ることができる。また、それに先立つ、前リム吐水の段階では便蓋は閉じていないため、便器洗浄が実行されたことを便器本体2から離れた所から目視確認できるうえ、さらに、前リム吐水の洗浄音を便器の外に響かせることができるので、使用者に便器洗浄が実行されたことを確実に認識させることができ、安心感を与えることができる。
【0036】
特に、人体検知手段によりオート便器洗浄を実行する際には、便器洗浄開始時には人は便器から離れていることも多いが、本実施形態の水洗大便器であれば便器洗浄の初期の洗浄音は低減されることなく伝播されるので便器から離れていても便器洗浄が実行されていることが認識しやすく、安心してトイレから立ち去ることができる。
【0037】
次に、図10〜図11により、本発明の第四の実施形態を説明する。図10はこの水洗大便器の給水系統を説明するブロック図、図11は同水洗大便器のオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。なお、前述した実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
この水洗大便器300は、水道から供給された洗浄水を一旦、便器本体2の後部上方に載せたロータンク320に貯水した後に便器本体2のリム吐水管16からボウル部12に供給して便器洗浄を行うものであり、一般的にはサイホン便器と呼称されている。給水装置310は、ロータンク320と、ロータンク320への洗浄水の給水を制御する給水制御弁330と、ロータンク320に貯水した洗浄水の便器本体2への供給を制御する排水弁340と、排水弁340の開閉を制御する電動洗浄ユニット350及び玉鎖352と、で構成されている。また、電動洗浄ユニット350は、図示せぬリンク機構により給水制御弁330の開閉を制御するようになっている。
【0039】
次に、図11を参照して、この第四の実施形態による水洗大便器のオート便器洗浄機能の動作について説明する。
まず、便器本体2の前から人体が去ると、人体検知手段9の人体検知信号が消失して人体非検知の状態になる(t21)。時刻t21からT21時間経過すると、電動開閉装置7が便蓋6の閉止動作を開始する(t22)。そして、便蓋6を閉じ始めてからT22時間経過すると便蓋6が閉じきる前に給水装置310が給水動作を開始する。すなわち、給水制御弁330及び排水弁340が開いて便器本体2のリム吐水口18に洗浄水を供給して便器洗浄を開始する(t23)。電動開閉装置7は、便蓋閉止動作を開始してから時間T2よりも長い時間(T22+T23)経過した後に便蓋6の閉止を完了する(t24)。便蓋6を閉止してからT24時間経過後に排水トラップ管路14が満水になって負圧状態になりサイホン現象が発生し(t25)、ボウル部12に溜まった溜水を排水トラップ管路14に一気に流し込む。サイホン現象の消滅後も、ロータンク320からの給水は継続されるのでボウル部12に封水を形成し、一連の洗浄動作を終了する(t26)。
【0040】
この第四の実施形態の水洗大便器においても、便器洗浄動作の実行開始時点では便蓋6の閉止動作中であり便蓋は完全に閉じていないから、便器洗浄開始時の比較的小さな洗浄音を便器本体2の外部に響かせることができ、便器洗浄が確かに実行されたことを確認でき、安心感を高めることができる。また、サイホン便器においては、サイホン現象の発生時期に、洗浄水が空気を巻き込みながら排水トラップ管路14を通過するため、「ボコッ、ボコッ」という大きな音が発生する。しかし、本実施形態においてはサイホン現象が発生する前に便蓋閉止動作を完了しているため、この音は便器本体2の外部への伝播を抑制することができ、便器洗浄音を効果的に低減することができる。
【0041】
特に、人体検知手段によりオート便器洗浄を実行する際には、便器洗浄開始時には人は便器から離れていることも多いが、本実施形態の水洗大便器であれば便器洗浄の初期の洗浄音は低減されることなく伝播されるので便器から離れていても便器洗浄が実行されていることが認識しやすく、安心してトイレから立ち去ることができる。
【0042】
次に、図12により、本発明の第五の実施形態を説明する。この第五の実施形態は、第一実施形態、第三実施形態、第四実施形態の水洗大便器のように、便蓋閉止動作の開始後ある程度の時間をおいて便器洗浄動作を行う場合に適用可能な実施形態であるが、以下、第一の実施形態をベースにして説明する。
【0043】
図12は本実施形態における便器洗浄動作を説明するフローチャートである。
水洗大便器1において、オート便器洗浄及びオート便蓋閉止を実行するオート便器洗浄モードがONにされている(S100)。その状態で、便器前から人体が移動して人体検知手段9の人体検知信号が消失される(S110)と、それから所定時間(T1)経過する(S120)と便蓋閉止動作を開始する(S130)。便蓋閉止動作を開始してから所定時間(T2)経過後(S150:YES)に便器洗浄動作の実行を開始する(S150)。便蓋閉止動作開始から所定時間(T2+T3)経過後に便蓋閉止動作が完了し、その後便蓋洗浄動作の実行を終える。さて、ここで、便蓋閉止動作の実行を開始してから便器洗浄動作を開始するまで、T2の時間差を確保している。この時間差T2は、便器洗浄開始直前の数秒間(好ましくは、2秒〜5秒)にわたり便蓋が閉止動作を行っている期間であり、いわば、便器洗浄の開始を予告するものである。
この時間差T2の間中(便器洗浄予告動作中)においてはオート便器洗浄の開始をカウントダウンしているが、本実施形態においては便器洗浄動作を開始させないままオート便器洗浄機能を停止する便器洗浄停止手段を備えている。便器洗浄停止手段は、リモコンに設けられた便蓋開放スイッチ11b(図1等参照)であり、便器洗浄動作が開始される前の便蓋閉止動作中に便蓋開放スイッチ11bを操作する(S190:YES)ことにより便蓋6の閉止動作を途中で止めて再開放するとともにカウントダウンしていたオート便器洗浄のカウントダウンを中止してオート便器洗浄動作を停止(S200)する。
【0044】
例えば、用便後に身繕いのために思わず便器本体2の前から身体を移動させてしまい、オート便器洗浄機能が実行されてしまうことがあるが、ボウル部12に落し物をした場合、検便を行う場合、排泄物を観察する必要がある場合には、その便器洗浄は中止したい。本実施形態によれば、便蓋6の閉止動作により便器洗浄の開始を予告し、その予告動作中においてオート便器洗浄機能を停止させることができる便器洗浄停止手段を備えるので、利便性が増す。
【0045】
なお、便器洗浄停止手段としては、使用者が移動して便器本体2の前に立って人体を検知する人体検知センサ9、あるいは、閉止動作中の便蓋6を手で開いたことを検知する便蓋開閉検知手段を用いることができる。
【0046】
次に、図13により、本発明の第六の実施形態を説明する。この第六の実施形態は、オート便器洗浄機能を2つ備えた点が、前述した各実施形態とは異なる。図13は、2つのオート便器洗浄モードにおける便器洗浄動作及び便蓋閉止動作の関係を示すタイムチャートである。
【0047】
第1のオート便器洗浄モードは第一実施形態におけるオート便器洗浄動作(図4)と同一であり便蓋閉止動作を完了する前に便器洗浄動作を開始することで、便器洗浄の初期の洗浄音を水洗大便器の外部に響かせるものである。
第2のオート便器洗浄モードは、人体検知手段の人体非検知(t31)後、所定時間(T31)経過すると便器洗浄動作を実行する(t32〜t36)。この便器洗浄動作は、リム吐水、ジェット吐水、リム吐水の順に繰り返すものである。そして、便器洗浄動作の完了後、所定時間(T33)経過した後に便蓋閉止動作を実行する(t37〜t38)。この第2のオート便器洗浄モードにおいては便器洗浄が完了した後に便蓋閉止動作を実行するものである。よって、便器が洗浄された後の状態をも目視確認することができるので、自分の排泄物が確実に流されたことが確認できる。
【0048】
これらの2つのオート便器洗浄モードからいずれか1つを実行するモードとする選択手段としては、モードの切替は日常的に行われるものではないことから、リモコン11のスイッチを特殊操作する(例えば、便器洗浄スイッチ11aと便蓋閉止スイッチ11bを同時に10秒長押しする)ことで切替え可能とするのが好ましい。
【0049】
この選択手段の操作により、水洗大便器を設置した環境や家人の好みに適したオート便器洗浄モードを選択することができる。
【0050】
以上、本発明の第一〜第六の実施形態を説明したが、本発明は実施形態として説明した形態に拘泥されない。
例えば、第一〜第四の水路系統が異なる水洗大便器に対して、第一〜第四のオート便器洗浄動作を適宜組合わせて実行させることができる。また、図5により説明したリモコンによる便器洗浄動作を、第二〜第四の実施形態における水洗大便器に適用することもできる。
【実施例】
【0051】
次に、図14〜図18により、本発明の第一の実施形態の水洗大便器に関して、その詳細な構造を説明する。
【0052】
図14は、第一実施例による水洗大便器1の給水部10を詳細に説明する図である。
図14に示すように、給水部10には、水道から洗浄水が供給される給水路24が設けられ、この給水路24には、上流側から、止水栓26、ストレーナ28、分岐金具30、定流量弁32、ダイヤフラム式の電磁開閉弁34、給水路切替弁36がそれぞれ設けられている。
【0053】
これらの定流量弁32、電磁開閉弁34、及び、給水路切替弁36は、図14に示すように、バルブユニット37(図15及び図16参照)として、一体的に組立られたものとなっている。また、給水路切替弁36の下流側には、リム吐水口18に洗浄水を供給するためのリム側給水路38、及び、貯水タンク20に洗浄水を供給するためのタンク側給水路40が接続されている。
【0054】
ここで、定流量弁32は、止水栓26、ストレーナ28、分岐金具30を介して入水口32aから流入した洗浄水を、所定の流量以下に絞るためのものである。本実施例においては、この定流量弁32は、洗浄水の流量を16リットル/分以下に制限するようになっている。また、定流量弁32を通過した洗浄水は、電磁開閉弁34に流入し、電磁開閉弁34を通過した洗浄水は、給水路切替弁36により、選択的に、リム側給水路38からリム吐水口18へ、又は、タンク側給水路40から貯水タンク20に供給されるようになっている。
【0055】
また、貯水タンク20の下部には、ジェット側給水路46が接続されており、このジェット側給水路46の下流側は、ジェット吐水口16に接続されている。また、ジェット側給水路46の途中に加圧ポンプ22が設けられている。この加圧ポンプ22は、貯水タンク20に貯水された洗浄水を加圧して、ジェット吐水口16から吐出させるためのものである。
【0056】
このジェット側給水路46は、加圧ポンプ22より上流側の上流ジェット側給水路46aと下流ジェット側給水路46bとから構成されている。ここで、下流ジェット側給水路46bは、図14に示すように、上方に向けて凸型に形成されており、この凸型部分の最も高い部分である頂部46cは、貯水タンク20からジェット吐水口16に至るジェット側給水路46の中で最も高い部分になっている。
【0057】
次に、上述したリム側給水路38には、バキュームブレーカ48が設けられており、給水路24に負圧が発生した時に洗浄水のリム吐水口18からの逆流を防止している。また、バキュームブレーカ48は、ボウル部12の上端面よりも上方に配置され、これにより、逆流を確実に防止している。さらに、バキュームブレーカ48の大気開放部から溢れた洗浄水は、管路50を通って貯水タンク20に流入するようになっている。タンク側給水路40にも、逆止弁であるバキュームブレーカ42が設けられており、洗浄水の貯水タンク20からの逆流を防止している。
【0058】
また、上述したジェット側給水路46の下流ジェット側給水路46bにも、同様に、逆止弁であるバキュームブレーカ52が設けられており、洗浄水のジェット吐水口16からの逆流を防止すると共に、それらの間の縁切りを行うようになっている。また、バキュームブレーカ52は、ボウル部12の上端面よりも上方に配置され、これにより、逆流を確実に防止している。さらに、バキュームブレーカ52の大気開放部から溢れた洗浄水は、管路54を通って貯水タンク20に流入するようになっている。
【0059】
さらに、ジェット側給水路46の上流ジェット側給水路46aには、逆止弁であるフラッパー弁56及び水抜栓58が設けられている。これらのフラッパー弁56及び水抜栓58は、加圧ポンプ22よりも下方の、貯水タンク20の下端部付近の高さに配置されている。このため、水抜栓58を開放することにより、メンテナンス時等に貯水タンク20内及び加圧ポンプ22内の洗浄水を排出することができる。また、貯水タンク20と加圧ポンプ22の間にフラッパー弁58を配置することにより、貯水タンク20内の水位が加圧ポンプ22の高さよりも低くなった場合に、洗浄水が加圧ポンプ22から貯水タンク20に逆流し、加圧ポンプ22内の洗浄水が抜け加圧ポンプ22が空運転してしまうことを防止している。また、貯水タンク20及び加圧ポンプ22の下方には、水受けトレイ60が配置されており、結露した水滴や漏水を受けるようになっている。
【0060】
また、給水部10には、人体検知手段9やリモコン11からの信号を受けて(図1参照)、電磁開閉弁34の開閉操作、給水路切替弁36の切替操作、及び、加圧ポンプ22の回転数や作動時間等を制御する制御部62が接続されている。
【0061】
貯水タンク20は、ジェット吐水口16から吐水すべき洗浄水を貯水するためのものであり、本実施例において、貯水タンク20は、約2.5リットルの内容積を有する。
【0062】
貯水タンク20の内部には、水位検出手段である、上端フロートスイッチ64a、及び、下端フロートスイッチ64bが配置されている。さらに、水位検出手段である異常水位フロートスイッチ64cが、上端フロートスイッチ64aの水位より所定の高さだけ上方の位置に配置されている。これらのフロートスイッチ64a、64b、64cは、それぞれ別個のスイッチ(水位検出センサ)として設けられている。
【0063】
上端フロートスイッチ64aは、貯水タンク20内の水位が通常使用時の満水位置(=第1水位)に達するとオンに切り替わり、制御部62はこれを検知して、電磁開閉弁34を閉鎖させる。
下端フロートスイッチ64bは、貯水タンク20内の水位が所定の水位まで低下するとオンに切り替わり、制御部62はこれを検知して、加圧ポンプ22を停止させる。
【0064】
異常水位フロートスイッチ64cは、電磁開閉弁34がゴミ噛みを起こした場合などに貯水タンク20内の水位が第1位置よりも上方位置である異常水位(=第2水位)に達するとオンに切り替わり、制御部62は、これを検知して、給水路切替弁36をリム側給水路38と連通するように操作する。
【0065】
また、貯水タンク20の上部には、その上端の開口部を覆うように蓋体20aが取り付けられている。この蓋体20aには、円形の穴が設けられこの穴を取り囲むように、筒体20bが上方に向けて延びるように取り付けられている。
【0066】
さらに、貯水タンク20の異常水位フロートスイッチ64cの位置とほぼ同じ位置にその一端が開口し他端が下流ジェット側給水路46bに接続されたオーバーフロー流路70が設けられている。このオーバーフロー流路70には逆止弁であるフラッパー弁72が取り付けられている。
【0067】
制御部62は、使用者による便器洗浄スイッチ11a(図1参照)の操作により、又は、便器本体2の前に立っていた人が便器本体2の前から移動して人体検知手段9の人体検知信号が消失(人体非検知)したことにより、電磁開閉弁34、給水路切替弁36、加圧ポンプ22を順次作動させ、先ずリム吐水口18から次にジェット吐水口16からの吐水を順次開始させて、ボウル部12を洗浄する。さらに、制御部62は、洗浄終了後、電磁開閉弁34を開放し、給水路切替弁36を貯水タンク20側に切り替えて洗浄水を貯水タンク20に補給する。貯水タンク20内の水位が上昇し、上端フロートスイッチ64aが規定の貯水量を検出すると、制御部62は、電磁開閉弁34を閉鎖して給水を停止する。
【0068】
次に、図15及び図16により、本実施例の水洗大便器におけるバルブユニット37(特に給水路切替弁36)の構造及び操作内容を説明する。図15は本発明の実施例による水洗大便器の切替弁のリム吐水口側給水の状態を示す部分構成図であり、図16は本発明の実施例による水洗大便器の切替弁のタンク側給水の状態を示す部分構成図である。
【0069】
先ず、図15に示すように、電磁開閉弁34は、ダイヤフラム34aとこのダイヤフラム34aを開閉するためのソレノイド34bを備えている。
また、給水路切替弁36は、上流の定流量弁32側に開口する第1ポート36a、タンク側給水路40に開口する第2ポート36b、リム側給水路38に開口する第3ポート36cを備えている。給水路切替弁36は、これらの各ポートを切り替えるための、ロータ(弁体)36dを備え、このロータ36dが、駆動モータであるステッピングモータ(図示せず)により所望位置に駆動されるようになっている。
【0070】
具体的には、給水路切替弁36において、洗浄水を貯水タンク20に供給する場合は、第3ポート36cを閉鎖して第1ポート36aと第2ポート36bを連通させ(図17(a)参照)、洗浄水をリム吐水口18に供給する場合は、第2ポート36bを閉鎖して第1ポート36aと第3ポート36cを連通させる(図17(b)参照)。
さらに、給水路切替弁36において、ロータ36dにより、第2ポート36bと第3ポート36cのそれぞれの一部を閉鎖することにより、給水路24をリム側給水路38とタンク側給水路40の両方に連通させることもできるようになっている。(図17(c)参照)
【0071】
本実施例においては、リム吐水口18に洗浄水を供給する場合には、図15に示すように、制御部62により、電磁開閉弁34のダイヤフラム34aを開き、給水路切替弁36の第2ポート36bを閉鎖して第1ポート36aと第3ポート36cを連通させることにより、洗浄水をリム吐水口18に供給するようにしている。
【0072】
そして、図16に示すように、貯水タンク20に洗浄水を供給する場合には、制御部62により、給水路切替弁36の第3ポート36cを閉鎖して第1ポート36aと第2ポート36bを連通させることにより、洗浄水を貯水タンク20に供給するようにしている。
【0073】
次に、図18により、本実施例による水洗大便器1の基本動作を説明する。図18は本実施例の水洗大便器におけるオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
図18に示すように、先ず、待機状態(t0〜t1)において、給水路切替弁36は、リム側給水路38とタンク側給水路40の両方に連通する位置となっている。次に、この待機状態(t0〜t1)において、人体検知手段9が便器本体2の前に立つ人体を検知しなくなる(人体非検知)と、所定時間経過後に便蓋6の閉止動作が開始される(t2)。その後所定時間(T2)経過すると1回目のリム吐水(前リム洗浄)が開始される(t3)。即ち、制御部62は電磁開閉弁34に信号を送って開放させると共に、給水路切替弁36をリム吐水口18の側に切り替え、水道の給水圧力によりリム吐水口18から洗浄水を吐出させる。電磁開閉弁34が開放されると、水道から供給された洗浄水が止水栓26、ストレーナ28、分岐金具30を経て入水口32aから定流量弁32に流入する。定流量弁32では、水道の給水圧力が高い場合には、通過する洗浄水の流量が所定流量に制限され、給水圧力が低い場合には、洗浄水は流れを制限されることなくそのまま通過される。定流量弁32を通過した洗浄水は、電磁開閉弁34、給水路切替弁36を通過し、バキュームブレーカ48、リム側給水路38を通って、ボウル部12上部の後方左側に開口したリム吐水口18から吐出される。リム吐水口18から吐出された洗浄水は、ボウル部12内を旋回しながら下方へ流下し、ボウル部12の内壁面が洗浄される。
【0074】
その後(t4)、便蓋閉止動作が完了し便蓋6が完全にボウル部12を閉止する。そして、リム吐水が終了してジェット吐水が開始され(t5)、さらに、貯水タンク20への洗浄水の補給も開始される。
先ず、制御部62は、加圧ポンプ22に信号を送ってこれを起動させ、ポンプ回転数をN1に保持する。加圧ポンプ22が起動されると、貯水タンク20内に貯水されていた洗浄水は、フラッパー弁56を通って加圧ポンプ22に流入し、加圧される。加圧ポンプ22によって加圧された洗浄水は、下流ジェット側給水路46bの頂部46cを通って、ボウル部12底部に開口したジェット吐水口16から吐出される。
このとき、下流ジェット側給水路46bの頂部46c付近に滞留していた空気は、バキュームブレーカ52に到達し、その大気開放部から放出される。
その後、貯水タンク20内の洗浄水が吐出されると上端フロートスイッチ64aがオフとなる。その上端フロートスイッチ64aがオフになって所定時間経過すると、制御部62は、電磁開閉弁34を解放状態に保持した状態で、給水路切替弁36に信号を送ってタンク側給水路40側に切り替え、洗浄水を貯水タンク20へ供給する。
【0075】
ジェット吐水口16から吐出された洗浄水は排水トラップ管路14内に流入し、排水トラップ管路14を満水にしてサイホン現象を発生させる(t6)。このサイホン現象により、ボウル部12内の溜水及び汚物は、排水トラップ管路14に吸引され、排水管Dから排出される。ここで、本実施例においては、加圧ポンプ22は、最初にポンプ回転数N1で回転するため(t5〜t51)、加圧力が大きくなり、大流量でジェット吐水口16から吐出させることができ、それにより、排水トラップ管路14内のサイホン現象が急速に引き起こされ、ボウル部12内の溜水及び汚物は素早く排出される。
【0076】
その後(t51)、ポンプの回転数をN2まで低下させることにより、加圧力を少し低下させて、洗浄水を継続してジェット吐水口16から吐出させる。このポンプの回転数N2は、ジェット吐水が汚物を排水トラップ管路14の頂部14dまで搬送するために必要な流速である。
【0077】
なお、本実施例においては、図18において、破線で示すように、ポンプ回転数をN2に低減させずに回転数N1のまま保持するようにしてもよい(t5〜t52)。
【0078】
さらに、本実施例においては、ポンプの回転数N2によるジェット吐水の終了時(t52〜t7)に、ジェット吐水口からの吐水が漸減するように加圧ポンプの回転数を制御するようにしている。
これにより、サイホン現象が急激に途切れることにより生じるサイホン切れ音がある程度低減される。
【0079】
このようにして加圧ポンプ34を所定時間(時刻t5〜t7)作動させることにより、洗浄水がジェット吐水口16から吐出され、貯水タンク20内の貯水量は概ねゼロになる。加圧ポンプ22が停止されることによりジェット吐水口16からの吐水は停止される(t7)。これにより、バキュームブレーカ52から、ジェット側給水路46内に大気が導入され、ボウル部12内の溜水と貯水タンク20内の洗浄水が縁切りされる。
【0080】
本実施例においては、ジェット吐水の間(時刻t5〜t7)、同時に、貯水タンク20へ洗浄水が補給されるようになっている。このとき、制御部62は、電磁開閉弁34を開放状態に維持しながら、流路切替弁36に信号を送って、これをタンク側に切り替える。電磁開閉弁34が開放されているのでF、入水口32aから流入した洗浄水は、定流量弁32、電磁開閉弁34、給水路切替弁36、タンク側給水路40を通過して、貯水タンク20内に流入する。
【0081】
次に、ジェット吐水が終了したとき(時刻t7)、制御部62は、電磁開閉弁34を解放状態に保持した状態で、給水路切替弁36に信号を送ってリム側給水路38側に切り替え、リム吐水口18からの2回目の吐水(後リム洗浄)を開始させる。リム吐水口18からの2回目の吐水によりボウル部12内の溜水の水位は上昇し、所定のリム吐水時間経過後(時刻t8)、ボウル部12内は所定の封水水位に到達する。
【0082】
2回目のリム吐水終了後(時刻t8)、再び、貯水タンク20の洗浄水が補給される。このとき、上述したように、制御部62は、電磁開閉弁34を開放状態に保持した状態で、給水路切替弁36に信号を送って、タンク側給水路40の側に切り替え、貯水タンク20内に流入する。
【0083】
貯水タンク20内に洗浄水が補給され、貯水タンク20内の水位が第1水位に達すると(時刻t9)、上端フロートスイッチ64aがONになる。上端フロートスイッチ64aがONになると、制御部62は電磁開閉弁34に信号を送り、これを閉鎖させる。このとき、電磁開閉弁34のダイヤフラム34aは構造上、若干の時間だけ遅延して閉じられる。そのため、給水路切替弁36は、このダイヤフラム34aの遅延時間を考慮して、所定時間だけ遅れて(時刻t10)、待機位置であるリム側給水路38とタンク側給水路40の両方に連通する位置に操作されるようになっている。
【0084】
次に、図19により、本発明の第二実施例による水洗大便器の基本動作を説明する。この第二実施例の水洗大便器は、前述した第一実施例と同じ構成を備えるが、ジェット吐水中にもリム吐水を実行する点で便器洗浄動作が異なっている。図19は本実施例の水洗大便器におけるオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
図19に示すように、便蓋閉止動作中にリム吐水(前リム洗浄)が開始され(t3)、T3時間後(t4)、便蓋閉止動作が完了し便蓋6が完全にボウル部12を閉止する。その後(t5)、加圧ポンプ22によるジェット吐水が開始される。加圧ポンプにより貯水タンク20に貯水されていた洗浄水を汲み上げている間も、給水切替弁36はジェット側給水路40側には切替えられることなくリム側給水路38に洗浄水が供給される。
ジェット吐水口16から吐出された洗浄水は排水トラップ管路14内に流入し、排水トラップ管路14を満水にしてサイホン現象を発生させる(t6)。このサイホン現象により、ボウル部12内の溜水及び汚物は、排水トラップ管路14に吸引され、排水管Dから排出される。ここで、本実施例においては、加圧ポンプ22は、最初にポンプ回転数N1で回転するため(t5〜t51)、加圧力が大きくなり、大流量でジェット吐水口16から吐出させることができ、それにより、排水トラップ管路14内のサイホン現象が急速に引き起こされ、ボウル部12内の溜水及び汚物は素早く排出される。
【0085】
その後(t51)、ポンプの回転数をN2まで低下させることにより、加圧力を少し低下させて、洗浄水を継続してジェット吐水口16から吐出させる。このポンプの回転数N2は、ジェット吐水が汚物を排水トラップ管路14の頂部14dまで搬送するために必要な流速である。
【0086】
このようにして加圧ポンプ34を所定時間(時刻t5〜t7)作動させることにより、洗浄水がジェット吐水口16から吐出され、貯水タンク20内の貯水量は概ねゼロになる。加圧ポンプ22が停止されることによりジェット吐水口16からの吐水は停止される(t7)。
【0087】
ジェット吐水が終了したとき(時刻t7)、リム吐水口18からの吐水は途切れることなく継続され、いわゆる後リム洗浄を行う。ジェット吐水を終了した後のリム吐水によりボウル部12内の溜水の水位は上昇し、所定のリム吐水時間経過後(時刻t8)、ボウル部12内は所定の封水水位に到達する。
【0088】
リム吐水終了後(時刻t8)、貯水タンク20の洗浄水が補給される。このとき、制御部62は、電磁開閉弁34を開放状態に保持した状態で、給水路切替弁36に信号を送って、タンク側給水路40の側に切り替え、貯水タンク20内に流入する。
【0089】
貯水タンク20内に洗浄水が補給され、貯水タンク20内の水位が第1水位に達すると(時刻t9)、上端フロートスイッチ64aがONになる。上端フロートスイッチ64aがONになると、制御部62は電磁開閉弁34に信号を送り、これを閉鎖させる。
【0090】
このように、本実施例の水洗大便器においてはジェット吐水中においてもリム吐水を継続して実行するため、ジェット吐水中にボウル部12内の溜水が空になることがないので、第一実施例よりもジェット吐水時の洗浄音が低減される。
【0091】
さて、本発明の実施例の水洗大便器における便器洗浄音の低減状況について説明する。
本出願人は、便器本体2の取付用穴から1m前方、便器本体2の上面から1m上方の位置に測定器を配置して本発明の実施例による水洗大便器の便器洗浄、及び、比較例として便蓋を開いた状態での便器洗浄のそれぞれについて騒音測定を行った。その結果を図20に示す。
【0092】
図20によれば、リム洗浄(0秒〜6秒)においては本発明と比較例との間に洗浄音の差はほとんどない。しかし、ジェット洗浄(6秒〜8.5秒)においては、本発明、比較例ともに全体的にリム洗浄時よりも洗浄音が大きいが、特にその後期(7秒前後)ではボウル部12の溜水が全て排出された状態でジェット吐水が直接排水トラップ管路14に衝突するブロー洗浄が行われており、さらにサイホン切れが生じるために便器洗浄動作全体中最も音が大きく、比較例(便蓋を開いた状態)では洗浄音のピーク値は70dBであった。ところが、本発明(便蓋を閉じた状態)では60dBにまで洗浄音のピーク値が低減されている。
この図により、便蓋を閉めて便器洗浄することにより、特に、リム吐水時に比べて洗浄音が大きいジェット吐水の後期段階における洗浄音低減効果が顕著であることがわかる。
【0093】
以上、本発明の実施形態及び実施例を図に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記の例では、オート便器洗浄動作の開始は、便器の前に立つ人体が移動したことを検知する人体検知手段9の人体非検知によって行うこととしたが、便座に人が座ったことを検知する着座センサが、座っていた人が立ち上がったこと(離座)を検知したことによってオート便器洗浄動作を開始させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第一の実施形態による水洗大便器の側面図である。
【図2】同水洗大便器の平面図である。
【図3】同水洗大便器の給水系統を説明するブロック図である。
【図4】同水洗大便器のオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
【図5】同水洗大便器のリモコンによる便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の第二の実施形態による水洗大便器の給水系統を説明するブロック図である。
【図7】同水洗大便器のオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
【図8】本発明の第三の実施形態による水洗大便器の給水系統を説明するブロック図である。
【図9】同水洗大便器のオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
【図10】本発明の第四の実施形態による水洗大便器の給水系統を説明するブロック図である。
【図11】同水洗大便器のオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
【図12】本発明の第五の実施形態による水洗大便器の便器洗浄動作を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の第六の実施形態による水洗大便器の2つのオート便器洗浄モードにおける便器洗浄動作及び便蓋閉止動作の関係を示すタイムチャートである。
【図14】本発明の第一実施例による水洗大便器の給水部を詳細に説明する図である。
【図15】本発明の第一実施例による水洗大便器の切替弁のリム吐水口側給水の状態を示す部分構成図である。
【図16】本発明の第一実施例による水洗大便器の切替弁のタンク側給水の状態を示す部分構成図である。
【図17】本発明の第一実施例による水洗大便器の給水路切替弁の給水先を切り替える状態を示す図である。
【図18】本発明の第一実施例による水洗大便器のオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
【図19】本発明の第二実施例による水洗大便器のオート便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
【図20】本発明の実施例による水洗大便器の便器洗浄音の低減状況を説明する図である。
【図21】従来の水洗大便器における便器洗浄時の便蓋閉止動作及び便器洗浄動作の関係を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 水洗大便器
2 便器本体
4 便座
6 便蓋
7 電動開閉装置
9 人体検知手段
10 給水装置
11 リモコン
11a 便器洗浄スイッチ
11b 便蓋開放スイッチ(便器洗浄停止手段)
12 ボウル部
14 排水トラップ管路
16 ジェット吐水口
18 リム吐水口
20 貯水タンク
22 加圧ポンプ
34 電磁開閉弁
36 給水路切替弁(リム給水手段・ジェット給水手段)
62 制御部
100 水洗大便器
110 給水装置
200 水洗大便器
210 給水装置
220 リム開閉弁(リム給水手段)
230 ジェット開閉弁(ジェット給水手段)
300 水洗大便器
310 給水装置
320 ロータンク
330 給水制御弁
340 排水弁
350 電動洗浄ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水が供給されることにより排水トラップにサイホン現象を発生させてボウル部内の溜水を排出する大便器と、前記ボウル部を覆う便蓋と、前記便蓋を開いた状態から閉じた状態にする便蓋閉止動作を実行する電動開閉装置と、前記大便器に前記洗浄水を供給する給水装置と、前記電動開閉装置及び給水装置に動作命令を与える制御部を備えた水洗大便器において、
前記制御部は、前記電動開閉装置による便蓋閉止動作が完了する前に前記給水装置から洗浄水を供給して便器洗浄動作を開始させるとともに、前記給水装置により大便器に洗浄水を供給して前記サイホン現象を発生させるより早く前記電動開閉装置の便蓋閉止動作を完了させるように制御することを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
前記大便器は、ボウル部のリム吐水口及びジェット吐水口に前記洗浄水を供給して便器洗浄を実行し、
前記給水装置は、前記リムに洗浄水を供給するリム給水手段と、前記ジェット吐水口に洗浄水を供給するジェット給水手段を備えてなり、
前記制御部は、前記ボウル部のリム吐水口、ジェット吐水口の順で給水するように前記リム給水手段及びジェット給水手段を動作させるとともに、前記ジェット吐水口への給水を前記電動開閉装置が便蓋閉止動作を完了した後に実行することを特徴とする請求項1記載の水洗大便器。
【請求項3】
前記制御部は、前記電動開閉装置が便蓋閉止動作を完了する前に前記リム給水手段によるリム吐水口への給水を開始し、前記電動開閉装置が便蓋閉止動作を完了した後に前記ジェット給水手段によるジェット吐水口への給水を実行することを特徴とする請求項2記載の水洗大便器。
【請求項4】
前記便器洗浄を実行するための便器洗浄スイッチを有するリモコンを備え、
前記便器洗浄スイッチを操作することにより、前記便蓋電動開閉装置による便蓋閉止動作を開始し、その後に便器洗浄動作を開始することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水洗大便器。
【請求項5】
前記制御部は、前記便蓋閉止動作を開始してから所定時間後に前記給水装置を動作させて便器洗浄動作を開始し、前記排水トラップでサイホン現象が発生する前に前記便蓋閉止動作を完了することを特徴とする請求項1記載の水洗大便器。
【請求項6】
前記制御部は、前記便蓋閉止動作を開始してから時間差をおいて前記給水装置を動作させて便器洗浄を実行し、
前記時間差となる期間において実行可能な、前記便器洗浄動作を開始させない便器洗浄停止手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水洗大便器。
【請求項7】
洗浄水が供給されることにより排水トラップにサイホン現象を発生させてボウル部内の溜水を排出する大便器と、前記ボウル部を覆う便蓋と、前記便蓋を開いた状態から閉じた状態に動作させる電動開閉装置と、前記大便器に洗浄水を供給する給水装置と、人体を検知する人体検知手段と、前記人体検知手段による人体検知信号の消失に基づいて前記電動開閉装置及び給水装置に動作命令を与える制御部を備えた水洗大便器において、
前記制御部は、前記人体検知信号が消失した際に発信する動作命令を規定するオート便器洗浄モードを複数備え、
前記複数のオート便器洗浄モードは、
前記給水装置により大便器に洗浄水を供給して便器洗浄を完了した後に前記電動開閉装置による便蓋閉止動作の実行を開始するように制御される第1のオート便器洗浄モードと、
前記前記電動開閉装置により便蓋閉止動作が完了する前に前記給水装置から洗浄水を供給して便器洗浄動作を開始させるとともに、前記給水装置により大便器に洗浄水を供給して前記サイホン現象を発生させるより早く前記電動開閉装置の便蓋閉止動作を完了させるように制御される第2のオート便器洗浄モードと、
を含み、
前記複数のオート便器洗浄モードからいずれか1つのモードを選択する選択手段を設けたことを特徴とする水洗大便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−7845(P2009−7845A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170555(P2007−170555)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】