説明

水洗大便器

【課題】便器の洗浄水量の節水化が行われている状況下で、便器ボウル部内で洗浄水が流下し難く汚物を洗い落し難い領域においても、十分な洗浄水量と水勢を得て汚物を洗い落すことができ、洗浄性能を向上させることができる水洗大便器を提供する。
【解決手段】本発明の水洗大便器1は、汚物を受ける汚物受け面20と、洗浄水源から供給される洗浄水を汚物受け面に吐水して旋回流を形成するリム吐水口18が形成されたリム部22と、を備えたボウル部12と、このボウル部のリム部のリム吐水口から吐水される洗浄水の流量を可変する流量可変手段44,72と、を有し、この流量可変手段は、洗浄開始後、最初にリム吐水口から吐水された洗浄水が、リム吐水口の位置に関連した洗浄を強化すべき上記ボウル部内の所定領域Frを通過するまでの間、洗浄水の大半が汚物受け面を流下する程度の小さい流量Q1で洗浄水の流量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器に係り、特に、洗浄水源から供給される洗浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示されているように、便器のボウル部の上縁がオーバーハング部と棚部から構成され、便器ボウル部の後方側の側方に形成されたリム吐水口から棚部へ洗浄水を吐水し、便器ボウル部に旋回流を形成することにより、便器洗浄を行う水洗大便器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−7854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年の水洗大便器の分野では、便器洗浄に使用される洗浄水量の節水化の要請が著しく、1回の大洗浄に使用される最大の洗浄水量が、例えば4リットル程度になるように、節水化の実現に向けた様々な取り組みがなされている。
【0005】
しかしながら、このような近年の節水化の要請に応えるために、リム吐水口から吐水される洗浄水の水量をむやみに減少させてしまうと、便器ボウル部内に十分な洗浄を行うことができない箇所が生じ、洗浄不良となってしまうという問題がある。
より具体的に説明すると、便器ボウル部の後方に設けられたリム吐水口から棚部へ吐水された洗浄水は、比較的小さい曲率半径のボウル部の前方を経て、比較的大きい曲率半径のボウル部の側方へと旋回し、比較的小さい曲率半径のボウル部の後方へと旋回することになる。
特に、比較的小さい曲率半径のボウル部の前方及び後方を通過する洗浄水は、遠心力の作用によりボウル部を流下し難く、節水化により洗浄水量が減少したことと相俟って、便器ボウル部を流下する洗浄水量が不足してしまうという問題がある。
【0006】
また、このような流下する洗浄水量の不足する便器ボウル部内の領域は、便器ボウル部内の形状、リム吐水口の位置やこのリム吐水口から吐水される吐水方向によっても異なる。例えば、リム吐水口が便器ボウル部の後方側の側方に設けられて前方へ吐水が行われる水洗大便器の場合、便器ボウル部内の前端部付近からリム吐水口と対向する側方部付近に至るまでの領域や、便器ボウル部内の後端部から前方への吐水方向に向ってリム吐水口付近に至るまでの領域において、便器ボウル部を流下する洗浄水量が不足するため、これらの流下する洗浄水が不足している便器ボウル部内の所定領域に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができず、洗浄不良となってしまうという問題がある。
したがって、便器の洗浄水量の節水化が行われて洗浄水不足となり易い状況下で、リム吐水口の位置やこのリム吐水口から吐水される吐水方向に応じて便器ボウル部内に洗浄水が流下し難く汚物を洗い落し難い領域が存在している場合に、このような領域でいかに十分な洗浄水量と水勢を得ながら確実な洗浄を行い、洗浄性能を向上させるかが重要な課題となっている。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来の問題点と課題を解決するためになされたものであり、便器の洗浄水量の節水化が行われている状況下で、便器ボウル部内で洗浄水が流下し難く汚物を洗い落し難い領域においても、十分な洗浄水量と水勢を得て汚物を洗い落すことができ、洗浄性能を向上させることができる水洗大便器を提供すること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、洗浄水源から供給される洗浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、汚物を受ける汚物受け面と、洗浄水源から供給される洗浄水を上記汚物受け面に吐水して旋回流を形成するリム吐水口が形成されたリム部と、を備えたボウル部と、このボウル部のリム部のリム吐水口から吐水される洗浄水の流量を可変する流量可変手段と、を有し、この流量可変手段は、洗浄開始後、最初に上記リム吐水口から吐水された洗浄水が、上記リム吐水口の位置に関連した洗浄を強化すべき上記ボウル部内の所定領域を通過するまでの間、洗浄水の大半が上記汚物受け面を流下する程度の小さい流量で洗浄水の流量を制御することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、洗浄水源からリム吐水口に供給される洗浄水の総量を抑制して節水化を行ったとしても、洗浄開始後、最初にリム吐水口から吐水された洗浄水が、リム吐水口の位置に関連した洗浄を強化すべきボウル部内の所定領域を通過するまでの間、流量可変手段により洗浄水の流量が比較的小さい流量で制御され、ボウル部内の所定領域を通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができるため、洗浄を強化すべきボウル部内の所定領域を通過する最初の洗浄水の大半が汚物受け面に沿って確実に流下することができる。したがって、便器の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、リム吐水口の位置に関連した洗浄を強化すべきボウル部内の所定領域の汚物受け面に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記流量可変手段は、洗浄開始後、最初に上記リム吐水口から吐水された洗浄水が、上記リム吐水口の位置に関連した洗浄を強化すべき上記ボウル部内の所定領域を通過するまでの間、洗浄水の大半が上記汚物受け面を流下する程度の小さい第1の流量で洗浄水の流量を制御し、最初に上記リム吐水口から吐水された洗浄水が、上記ボウル部内の所定領域を通過後、上記ボウル部の本洗浄が可能となるように上記第1の流量よりも大きい第2の流量で洗浄水の流量を制御する。
このように構成された本発明においては、洗浄水源からリム吐水口に供給される洗浄水の総量を抑制して節水化を行ったとしても、洗浄開始後、最初にリム吐水口から吐水された洗浄水が、リム吐水口の位置に関連した洗浄を強化すべきボウル部内の所定領域を通過するまでの間、流量可変手段により洗浄水の流量が比較的小さい第1の流量で制御され、洗浄を強化すべきボウル部の所定領域を通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができるため、洗浄を強化すべきボウル部の所定領域内を通過する洗浄水の大半が汚物受け面に沿って流下することができる。したがって、便器の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、リム吐水口の位置に関連した洗浄を強化すべきボウル部内の所定領域の汚物受け面に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。また、最初にリム吐水口から吐水された洗浄水が、リム吐水口の位置に関連した洗浄を強化すべきボウル部内の所定領域を通過後、流量可変手段により洗浄水の流量が、ボウル部の本洗浄が可能となるように第1の流量よりも大きい第2の流量で制御されるため、洗浄水がボウル部内の洗浄を強化すべき所定領域を通過後に、このボウル部内の所定領域以外の領域を洗浄するのに十分な旋回流を形成することができ、ボウル部内全体の洗浄性能を向上させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記リム吐水口は、上記ボウル部の後方側領域のリム部に形成され、上記流量可変手段は、洗浄開始後、最初に上記リム吐水口から前方に吐水された洗浄水が、上記ボウル部の前方側領域内の洗浄を強化すべき所定領域を通過するまでの間、洗浄水の大半が上記汚物受け面を流下する程度の小さい第1の流量で洗浄水の流量を制御し、上記最初にリム吐水口から吐水された洗浄水が、上記ボウル部の前方側領域内の洗浄を強化すべき所定領域を通過後、上記ボウル部の本洗浄が可能となるように上記第1の流量よりも大きい第2の流量で洗浄水の流量を制御する。
このように構成された本発明においては、洗浄水源からリム吐水口に供給される洗浄水の総量を抑制して節水化を行ったとしても、洗浄開始後、ボウル部の後方側領域のリム部に形成されたリム吐水口から前方に最初に吐水された洗浄水が、ボウル部の前方側領域内の洗浄を強化すべき所定領域を通過するまでの間、流量可変手段により洗浄水の流量が比較的小さい第1の流量で制御され、ボウル部の前方側領域内の洗浄を強化すべき所定領域を通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができるため、ボウル部の前方側領域内の洗浄を強化すべき所定領域を通過する洗浄水の大半が汚物受け面を流下することができる。したがって、便器の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、ボウル部の前方側領域内の洗浄を強化すべき所定領域の汚物受け面に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。また、最初にリム吐水口から吐水された洗浄水がボウル部の前方側領域内の洗浄を強化すべき所定領域を通過後、流量可変手段により洗浄水の流量が、ボウル部の本洗浄が可能となるように第1の流量よりも大きい第2の流量で制御されるため、洗浄水がボウル部の前方側領域内の洗浄を強化すべき所定領域を通過後に、このボウル部の前方側領域内の所定領域以外の領域を洗浄するのに十分な旋回流を形成することができ、ボウル部内全体の洗浄性能を向上させることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記ボウル部は、更に、上記汚物受け面の上縁と上記リム部の下縁との間に形成された棚部を備え、この棚部は、上記リム吐水口から吐水された洗浄水が上記ボウル部の後方側領域を通過して上記ボウル部内をほぼ一周するまでに上記汚物受け面に流下するように、上記ボウル部の後方側領域の所定領域内に形成され且つ上記後方側領域の所定領域以外の領域に形成された他の棚部よりも下方に傾斜した傾斜部を備えている。
このように構成された本発明においては、ボウル部の後方側領域の所定領域内に形成された棚部が、ボウル部の後方側領域の所定領域以外の領域に形成された他の棚部よりも下方に傾斜した傾斜部を備えているため、ボウル部の後方側領域の所定領域内の棚部を通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができ、リム吐水口から前方へ吐水されて旋回流を形成する洗浄水が、ボウル部の後方側領域を通過してボウル部内をほぼ一周するまでに汚物受け面に流下することができる。したがって、便器の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、特に、ボウル部の後方側領域の所定領域内の棚部や汚物受け面に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水洗大便器によれば、便器の洗浄水量の節水化が行われている状況下で、便器ボウル部内で洗浄水が流下し難く汚物を洗い落し難い領域においても、十分な洗浄水量と水勢を得て汚物を洗い落すことができ、洗浄性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態による水洗大便器の部分側面図である。
【図2】図1に示す水洗大便器の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による水洗大便器を示す全体構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態による水洗大便器の給水路切替弁のタンク側給水の状態を示す部分構成図である。
【図5】本発明の第1実施形態による水洗大便器の給水路切替弁がリム吐水口側及び貯水タンク側の両方に給水する状態を示す部分構成図である。
【図6】本発明の第1実施形態による水洗大便器のリム吐水口の位置、リム吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向、ボウル部内の洗浄を強化すべき領域(以下「洗浄強化領域」)のそれぞれを説明した水洗大便器の概略平面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿って見た断面図である。
【図8】図7のA部拡大図である。
【図9】本発明の第1実施形態による水洗大便器の洗浄動作を示すタイムチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態による水洗大便器のリム洗浄動作における給水路切替弁の動作の第1実施例を示すタイムチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態による水洗大便器のリム洗浄動作における給水路切替弁の動作の第2実施例を示すタイムチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態による水洗大便器のリム吐水口の位置、リム吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向、ボウル部内の洗浄強化領域のそれぞれを概略的に説明した図である。
【図13】本発明の第3実施形態による水洗大便器のリム吐水口の位置、リム吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向、ボウル部内の洗浄強化領域のそれぞれを概略的に説明した図である。
【図14】本発明の第4実施形態による水洗大便器のリム吐水口の位置、リム吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向、ボウル部内の洗浄強化領域のそれぞれを概略的に説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器を説明する。
まず、図1〜図3により、本発明の第1実施形態による水洗大便器の構造を説明する。
ここで、図1は本発明の第1実施形態による水洗大便器の部分側面図であり、図2は図1に示す水洗大便器の平面図であり、図3は本発明の第1実施形態による水洗大便器を示す全体構成図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態による水洗大便器1は、便器本体2と、この便器本体2の上面に配置された便座4と、便座4を覆うように配置されたカバー6と、便器本体2の後方上部に配置された局部洗浄装置8を備えている。
さらに、便器本体2の後方には、機能部10が配置されている。
【0016】
便器本体2には、汚物を受けるボウル形状のボウル部12と、このボウル部12の底部から延びる排水トラップ管路14と、ジェット吐水を行うジェット吐水口16と、リム吐水を行うリム吐水口18が形成されている。
また、図2においては、平面視で便器本体2の左右方向に延びる中心線C1により、ボウル部12内を前後方向に二等分した領域をそれぞれ前方側領域F及び後方側領域Rとしている。また、平面視で便器本体2の前後方向に延びる中心線C2により、便器本体2の前方側から見てボウル部12内を左右方向に二等分した領域をそれぞれ左側領域l及び右側領域rとしている。
【0017】
ジェット吐水口16は、ボウル部12の汚物を受ける汚物受け面20の底部20aに形成されており、排水トラップ管路14の入口14aに指向してほぼ水平に配置され、洗浄水を排水トラップ管路14に向けて吐出するようになっている。
【0018】
リム吐水口18は、ボウル部12の上縁に形成するリム部22の後方側領域Rで且つ左側領域lの内周面22aに形成されている。このリム吐水口18からリム部22の内周面22aに沿って前方に吐出された洗浄水は、汚物受け面20の上縁とリム部22の下縁との間に形成されたボウル部12の棚部24(詳細は後述する)から汚物受け面20に沿って旋回する流れ(旋回流)を形成するようになっている。
【0019】
排水トラップ管路14は、入口部14aと、この入口部14aから上昇するトラップ上昇管14bと、このトラップ上昇管14bから下降するトラップ下降管14cとからなり、トラップ上昇管14bとトラップ下降管14cとの間が頂部14dとなっている。
ここで、排水トラップ管路14のトラップ下降管14cの下端には、排水管26が接続されている。
【0020】
本実施形態による水洗大便器1においては、リム吐水に関しては、リム部22のリム吐水口18よりも後方側に形成されたリム導水路18aが、洗浄水を供給する洗浄水源である水道(図示せず)に直結されており、水道の給水圧力により、リム導水路18aに供給された洗浄水は、リム吐水口18から前方へ吐出されるようになっている。
また、ジェット吐水に関しては、後述するように、機能部10に内蔵された貯水タンク28(図3参照)に貯水された洗浄水は、加圧ポンプ30によって加圧され、ボウル部12の後方側からジェット吐水口16にかけて形成されたジェット導水路16aを経て、大流量でジェット吐水口16から吐出されるようになっている。
【0021】
つぎに、図3により、本実施形態による水洗大便器1の機能部10を詳細に説明する。
図3に示すように、機能部10には、水道から洗浄水が供給される給水路32が設けられ、この給水路32には、上流側から、止水栓34、ストレーナ36、分岐金具38、定流量弁40、ダイヤフラム式の電磁開閉弁42、給水路切替弁44がそれぞれ設けられている。
【0022】
これらの定流量弁40、電磁開閉弁42、及び、給水路切替弁44は、後述するように、バルブユニット46として、一体的に組立られたものとなっている。
また、給水路切替弁44の下流側には、リム吐水口18に洗浄水を供給するためのリム側給水路48、及び、貯水タンク28に洗浄水を供給するためのタンク側給水路50が接続されている。
【0023】
ここで、定流量弁40は、止水栓34、ストレーナ36、分岐金具38を介して流入した洗浄水を、所定の流量以下に絞るためのものである。また、定流量弁40を通過した洗浄水は、電磁開閉弁42に流入し、電磁開閉弁42を通過した洗浄水は、給水路切替弁44により、リム側であるリム側給水路48からリム吐水口18へ、又は、タンク側であるタンク側給水路50から貯水タンク28に供給されるようになっている。ここで、詳細は後述するように、給水路切替弁44は、リム側給水路48とタンク側給水路50の両方に同じタイミングで洗浄水を供給可能であって、リム側とタンク側への給水量の割合を任意に変更できる切替弁である。
【0024】
また、貯水タンク28の下部には、ポンプ側給水路52が接続されており、このポンプ側給水路52の下流端にはポンプ室30aを備えた加圧ポンプ30が接続されている。
さらに、加圧ポンプ30とジェット吐水口16は、ジェット側給水路54により接続されており、加圧ポンプ30が、貯水タンク28に貯水された洗浄水を加圧してジェット吐水口16まで供給するようになっている。このジェット側給水路54は、図3に示すように、上方に向けて凸型に形成されており、この凸型部分の頂部54aが最高位置となっている。
【0025】
つぎに、上述したリム側給水路48には、リム吐水用バキュームブレーカ56が設けられており、給水路32に負圧が発生した時に洗浄水のリム吐水口18からの逆流を防止している。
また、リム吐水用バキュームブレーカ56は、図3に示すように、ボウル部12の上端面よりも上方に配置され、これにより、逆流を確実に防止している。さらに、リム吐水用バキュームブレーカ56の大気開放部から溢れた洗浄水は、戻り管路58を通って貯水タンク28に流入するようになっている。
タンク側給水路50にも、逆止弁であるバキュームブレーカ60が設けられており、洗浄水の貯水タンク28からの逆流を防止している。
【0026】
ここで、貯水タンク28は、密閉タイプの貯水タンクであり、タンク側給水路50と貯水タンク28の接続部には、フロート式逆止弁62が設けられている。このフロート式逆止弁62により、貯水タンク28が後述するオーバーフロー流路64の上端64aの位置を越えて満水状態になった場合でも、フロート62aが浮上して、タンク側給水路50との接続部を閉鎖するので、洗浄水がタンク側給水路50に逆流することがないようになっている。
【0027】
同様に、戻り管路58と貯水タンク28の接続部にも、フロート66aを備えたフロート式逆止弁66が設けられており、貯水タンク28が後述するオーバーフロー流路64の上端64aの位置を越えて満水状態になった場合でも、洗浄水が戻り管路58に逆流することがないようになっている。
【0028】
さらに、ポンプ側給水路52には、水抜栓70が設けられている。この水抜栓70は、加圧ポンプ30よりも下方の、貯水タンク28の下端部付近の高さに配置されている。このため、水抜栓70を開放することにより、メンテナンス時等に貯水タンク28内及び加圧ポンプ30内の洗浄水を排出することができるようになっている。また、加圧ポンプ30の下方には、水受けトレイ72が配置されており、結露した水滴や漏水を受けるようになっている。
【0029】
また、機能部10には、電磁開閉弁42の開閉操作、給水路切替弁44の切替操作、及び、加圧ポンプ30の回転数や作動時間等を制御するコントローラ74が内蔵されている。
【0030】
貯水タンク28の内部には、上端フロートスイッチ76、及び、下端フロートスイッチ78が配置されている。
上端フロートスイッチ76は、貯水タンク28内の水位が通常使用時の最高水位L1より少しだけ低い所定位置L2に達するとオンに切り替わり、コントローラ74はこれを検知して、電磁開閉弁42を閉鎖させる。
下端フロートスイッチ78は、貯水タンク28内の水位が通常使用時の最低水位L3より少しだけ高い所定の水位L4まで低下するとオンに切り替わり、コントローラ74はこれを検知して、加圧ポンプ30を停止させる。
【0031】
さらに、オーバーフロー流路64が設けられ、このオーバーフロー流路64の上端64aは貯水タンク28内に開口し、その下端64bは、ジェット側給水路54に接続されている。
このオーバーフロー流路64には逆止弁であるフラッパー弁80が取り付けられている。このオーバーフロー流路64及びフラッパー弁80により、洗浄水のジェット吐水口16からの逆流を防止すると共に、これらの間の縁切りを行うことができるようになっている。
【0032】
コントローラ74は、使用者による便器洗浄スイッチ(図示せず)の操作により、電磁開閉弁42、給水路切替弁44、加圧ポンプ30を順次作動させ、まずリム吐水口18から吐水し、リム吐水を継続させながら、つぎにジェット吐水口16からの吐水を開始させて、ボウル部12を洗浄する。さらに、コントローラ74は、洗浄終了後、電磁開閉弁42を開放し、給水路切替弁44を貯水タンク28側に切り替えて洗浄水を貯水タンク28に補給する。貯水タンク28内の水位が上昇し、上端フロートスイッチ76が規定の貯水量を検出すると、コントローラ74は、電磁開閉弁42を閉鎖して給水を停止する。
【0033】
つぎに、図4及び図5により、バルブユニット46(特に給水路切替弁44)の構造を詳細に説明する。
図4は本発明の第1実施形態による水洗大便器の給水路切替弁のタンク側給水の状態を示す部分構成図であり、図5は本発明の第1実施形態による水洗大便器の給水路切替弁がリム吐水口側及び貯水タンク側の両方に給水する状態を示す部分構成図である。
【0034】
まず、図4に示すように、電磁開閉弁42は、ダイヤフラム42aとこのダイヤフラム42aを開閉するためのソレノイド42bを備えている。
また、給水路切替弁44は、上流の定流量弁40側に開口する第1ポート44a、タンク側給水路50に開口する第2ポート44b、リム側給水路48に開口する第3ポート44cを備えている。給水路切替弁44は、これらの各ポートを切り替えるための、ロータ(弁体)44dを備え、このロータ44dが、駆動モータであるステッピングモータ(図示せず)により所望位置に駆動されるようになっている。
【0035】
具体的には、給水路切替弁44において、洗浄水を貯水タンク28に供給する場合は、図4に示すように、第3ポート44cを閉鎖して第1ポート44aと第2ポート44bを連通させ、一方、図示しないが、洗浄水をリム吐水口18に供給する場合は、第2ポート44bを閉鎖して第1ポート44aと第3ポート44cを連通させる。
さらに、図5に示すように、給水路切替弁44において、ロータ44dにより、第2ポート44bと第3ポート44cのそれぞれの一部を閉鎖することにより、給水路32をリム側給水路48とタンク側給水路50の両方に連通させることもできるようになっている。
【0036】
このように、本実施形態においては、給水路切替弁44においてロータ44dを駆動することにより、リム吐水口18(リム側)と貯水タンク28(貯水タンク側)に供給される洗浄水の総流量を100%とした場合に、全洗浄水をリム側に供給する状態(リム側100%)から全洗浄水を貯水タンク28側に供給する状態(貯水タンク28側100%)までの範囲で切り替え操作できるようになっている。
【0037】
つぎに、図6〜図8により、ボウル部12内の洗浄を強化すべき領域(洗浄強化領域)とボウル部12の棚部24の構造について詳細に説明する。
図6は、本発明の第1実施形態による水洗大便器のリム吐水口の位置、リム吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向、ボウル部内の洗浄を強化すべき領域(以下「洗浄強化領域」)のそれぞれを説明した水洗大便器の概略平面図である。
また、図7は、図6のVII−VII線に沿って見た断面図である。
さらに、図8は図7のA部拡大図である。なお、図8においては、本実施形態の水洗大便器1の便器本体2のボウル部12の棚部24の傾斜部24aとほぼ同位置における従来の水洗大便器の棚部の傾斜部24bを比較例として破線で示している。
【0038】
まず、リム吐水口18からボウル部12内に吐出された洗浄水の流れについての詳細は後述するが、本発明の発明者らは、従来の一般的な水洗大便器を用いて、リム吐水口の位置や吐水流量の様々な条件下における洗浄性能に関する解析と実験を行い、例えば、1回の大洗浄に使用する最大の洗浄水量を3.8リットル〜4.0リットル程度に設定したときに、リム吐水口の位置、吐水流量及びボウル部のボウル形状等と関連した、ボウル部内のある特定の領域が他の領域に比べて洗浄力が弱まる傾向があることを見出した。例えば、ボウル部内のリム吐水口の位置を本実施形態の水洗大便器1のリム吐水口18の位置PAと同様に、ボウル部の後方側領域で且つ左側領域の内周面に設定してリム吐水口から洗浄水を前方へ吐出させた場合に、特に、ボウル部内の前方側領域で且つボウル部を前方から見て右側領域や、ボウル部内の後方側領域で且つボウル部を前方から見て左側領域において、ボウル部12の棚部24から汚物受け面20に向けて流下する洗浄水が少なく、他の領域に比べて洗浄力が弱まる傾向にあることを見出した。
【0039】
そこで、本実施形態の水洗大便器1では、図6に示すように、従来の水洗大便器を想定した場合に洗浄力が弱まる傾向が予想されるボウル部12の前方側領域Fで且つボウル部12を前方から見て右側領域rについて洗浄を強化すべき領域(洗浄強化領域)Frとし、ボウル部12内の後方側領域Rで且つボウル部12を前方から見て左側領域lについて洗浄を強化すべき領域(洗浄強化領域)Rlとした。
すなわち、洗浄強化領域Frは、図6に示すように、ボウル部12内の中心部Oとボウル部12内の前端部12aとを直線的に結ぶ境界線s1、ボウル部12内の前端部12aとボウル部12内の右側端部12bとをリム部22の内周面22aに沿って曲線的に結ぶ境界線s2、及びボウル部12内の右側端部12bとボウル部12内の中心部Oとを直線的に結ぶ境界線s3によって囲まれた領域であり、この洗浄強化領域Frは、リム吐水口18の位置に関連した洗浄を強化すべきボウル部12内の領域である。
また、洗浄強化領域Rlは、ボウル部12内の中心部Oとボウル部12内の後端部12cとを直線的に結ぶ境界線s4、ボウル部12内の後端部12cとボウル部12内の左側端部12dとをリム部22の内周面22aに沿って曲線的に結ぶ境界線s5、及びボウル部12内の左側端部12dとボウル部12内の中心部Oとを直線的に結ぶ境界線s6によって囲まれた領域において、リム吐水口18の前方領域及びこの前方領域に隣接した領域を除いた領域であり、この洗浄強化領域Rlは、リム吐水口18の位置に関連した洗浄を強化すべきボウル部12内の領域である。
【0040】
図6〜図8に示すように、ボウル部12の棚部24は、ボウル部12内の領域Rr及び領域Rl内の所定領域Zにおいて傾斜部24aを備え、この傾斜部24aは、従来の水洗大便器の棚部の傾斜部24bや、所定領域Z以外の領域(例えば、所定領域Zよりも前方の領域)の棚部24の傾斜部よりも下方に傾斜している。
ここで、図6及び図8に示すように、ボウル部12内の後方側領域Rの所定領域Zの傾斜部24aと従来の水洗大便器の棚部の傾斜部24bとにおいて、上下方向に延びる共通な直線mとそれぞれ交差する点P1,P2を接点とし、これらの接点P1,P2におけるそれぞれの接線をm1、m2とすると、接点P1が接点P2よりも下方に位置し、接線m1と水平面p1とが成す角度αが、接線m2と水平面p2とが成す角度βよりも大きくなっている。
【0041】
このようなボウル部12内の後方側領域Rの所定領域Z内の傾斜部24aにより、リム吐水口18の位置PAから吐水されてボウル部12内の前方側領域Fを通過し、ボウル部12内の後方側領域Rで且つ右側領域r(ボウル部12内の領域Rr)の棚部24へと旋回する洗浄水は、ボウル部12内の後方側領域Rの所定領域Z内の傾斜部24aに沿って汚物受け面20を流下することができる一方、ボウル部12の領域Rrから洗浄強化領域Rl内へ流れた洗浄水は、リム吐水口18に向かって旋回することなく、汚物受け面20を流下することができるようになっている。すなわち、リム吐水口18の位置PAから吐水されたすべての洗浄水は、ボウル部12内をほぼ一周するまでに汚物受け面20に沿って流下することができるようになっている。
【0042】
つぎに、図6、図9及び図10により、本実施形態による水洗大便器の洗浄動作(作用)を説明する。
図9は本発明の実施形態による水洗大便器の洗浄動作を示すタイムチャートであり、図10は本発明の第1実施形態による水洗大便器のリム洗浄動作における給水路切替弁の動作の第1実施例を示すタイムチャートである。
【0043】
図9及び図10に示すように、まず、待機状態(時刻t0〜t1)において、給水路切替弁44は、リム側給水路48を全開とする位置となっている。すなわち、給水路切替弁44の開度はリム側100%貯水タンク側0%の状態となっている。
【0044】
つぎに、この待機状態(時刻t0〜t1)で、便器洗浄スイッチ(図示せず)が操作され(時刻t1)、洗浄開始の信号を受けると、前リム吐水(時刻t1〜t11)が開始される。このとき(時刻t1)、給水路切替弁44の開度は、リム側100%貯水タンク側0%の位置から、タンク側給水路50に全開状態(リム側0%貯水タンク側100%)の位置に切り替えられ、時刻t2〜t3の間(0.1秒)、この状態が保持される。
【0045】
つぎに、給水路切替弁44の開度がタンク側100%になったとき、すなわち、時刻t2において、電磁開閉弁42をONとして、洗浄水を給水路32に流入させる。これにより、給水路切替弁44の上流側にある給水路32内に残留する圧縮空気を貯水タンク28内に排出することができる。この結果、給水路切替弁44の開度がリム側100%の状態でいきなりリム側給水路48から吐水した場合に生じるリム吐水口18からの空気の異音(排出音)の発生や水はね等を防止することができる。
【0046】
つぎに、時刻t3〜t4の間(例えば、4秒間)に、給水路切替弁44の開度がタンク側全開位置(貯水タンク側100%)からリム側全開位置(リム側100%)に徐々に切り替えられ、洗浄水をリム吐水口18へ少量ずつ供給し、リム吐水口18からの洗浄水の吐水が開始する。
例えば、時刻t3〜t4の間(例えば、4秒間)では、時刻t3におけるリム吐水口18から吐水される洗浄水の流量Q1は、0[L/min]であるが、その後時刻t4におけるリム吐水口18から吐水される洗浄水の流量Q2(例えば、9〜16[L/min])まで所定の増加率(傾き)k1で時間の経過と共に比例的に増加しており、この流量Q1の増加率(傾き)k1は、図10に破線で示された従来の水洗大便器における流量の増加率(傾き)k2よりも小さな増加率となっている。
なお、図10では、本実施例の比較例として、従来の水洗大便器における、本実施例の時刻t3〜t4の間(例えば、4秒間)より短い時刻t3〜t4’の間(例えば、0.3秒〜0.4秒間)で洗浄水の流量Q1が0[L/min]から所定の流量Q2(例えば、9〜16[L/min])まで本実施例の増加率k1よりも大きな増加率k2で時間の経過と共に比例的に増加する例を破線で示している。
【0047】
さらに、図6に示すように、時刻t3でリム吐水口18からの洗浄水のリム吐水が開始されると、最初にリム吐水口18から前方に吐水された洗浄水は、時刻t3〜t4の間(例えば、4秒間)の時間をかけて、ボウル部12内の領域Flからボウル部12内の洗浄強化領域Frへと旋回し、ボウル部12内の洗浄強化領域Frの境界線s3を通過した後、時刻t4で洗浄水がボウル部12内の領域Rrに流れているときの流量Q2は9〜16[L/min]となる。
特に、時刻t3〜t4の間(例えば、4秒間)にリム吐水口18から吐水された洗浄水がボウル部12内の領域Flを旋回して洗浄強化領域Frの境界線s1から境界線s3までの区間を通過しているときの洗浄強化領域Fr内の洗浄水では、流量Q1が、時刻t4以降の所定の流量Q2(例えば、9〜16[L/min])を超えない程度の流量(例えば、3〜7[L/min])まで時間の経過と共にゆっくりと比例的に増加し、洗浄強化領域Fr内の洗浄水が汚物受け面20を流下する程度に洗浄水の流量Q1(流速v1)が比較的小さい流量(比較的遅い流速)となるように、給水路切替弁44の開度がコントローラ74により制御される。
【0048】
また、このような制御により、洗浄水源である水道(図示せず)からリム吐水口18に供給される洗浄水の総量について、4.0リットル程度の洗浄水量(例えば、3.8〜4.2リットル)に抑制して節水化を行ったとしても、洗浄開始後、最初にリム吐水口18から吐水された洗浄水が、ボウル部12内の洗浄強化領域Frを通過するまでの間(時刻t3〜t4の間)、洗浄水の流量(流速)が比較的小さい流量(比較的遅い流速)で制御され、ボウル部12内の洗浄強化領域Frを通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができるため、ボウル部12内の洗浄強化領域Frを通過する最初の洗浄水の大半が汚物受け面20に沿って確実に流下することができる。したがって、水洗大便器1の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、ボウル部12内の洗浄強化領域Frの汚物受け面20に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。
さらに、リム吐出口18に大量の洗浄水が一気に供給されることなく、リム吐水口18に徐々に洗浄水が供給されるので、給水路切替弁44の下流側のリム側給水路48内に残留する空気をリム吐水口18からスムーズに排出することができ、それにより、残留空気が一気に排出されるときに生じる異音の発生や水はね等も防止することができる。
【0049】
つぎに、図6、図9及び図10に示すように、最初にリム吐水口18から吐水された洗浄水がボウル部12内の洗浄強化領域Frを洗浄水が通過した後、時刻t4でコントローラ74の制御により、給水路切替弁44の開度がリム側全開位置(リム側100%)に達し、ボウル部12内の領域Rrに流れているときの洗浄水の流量Q2が、時刻t3〜t4の間(例えば、4秒間)の洗浄水の流量Q1(例えば、3〜7[L/min])よりも大きい所定の流量(例えば、9〜16[L/min])に達する。このとき(時刻t4)、ボウル部12内の領域Rrを流れる洗浄水の流速v2は、洗浄強化領域Fr内の汚物受け面20を流下する程度の遅い流速v1よりも速い流速となる。また、この流量Q2(流速v2)の洗浄水は、ボウル部12内の領域Rrから洗浄強化領域Rlに向って旋回すると共に、一部の洗浄水がボウル部12内の領域Rrの所定領域Zにおける棚部24の傾斜部24aに沿って汚物受け面20へ流下し、ボウル部12内の領域Rrについて本洗浄が行われる。
【0050】
つぎに、時刻t4以降、洗浄水がボウル部12内の領域Rrを所定の流量Q2(例えば、9〜16[L/min])及び流速v2でボウル部12内の洗浄強化領域Rlに向って旋回するように、コントローラ74が給水路切替弁44の開度を制御する。また、時刻t4〜t5の間(例えば、4秒)、ボウル部12内の領域Rrから洗浄強化領域Rlに旋回した洗浄水は、図6に示すように、洗浄強化領域Rlの所定領域Zにおける棚部24の傾斜部24aから汚物受け面20に沿って流下する。
また、リム吐水口18から吐水された洗浄水がボウル部12内をほぼ一周して時刻t5で洗浄強化領域Rl内のリム吐水口18付近に達するまでに、洗浄強化領域Rl内のすべての洗浄水が汚物受け面20を流下するため、時刻t5では、ボウル部12内の二周目以上の旋回は行われない。
【0051】
つぎに、時刻t5〜t11の間において、ジェット吐水を行うために、加圧ポンプ30をONとし、加圧ポンプ30が貯水タンク28内の洗浄水をジェット吐水口16へ供給し、洗浄水をジェット吐水口16から吐水する。
【0052】
つぎに、時刻t11において、貯水タンク28内の洗浄水の水位が低下して、下端フロートスイッチ78がONとなると、加圧ポンプ30の作動を停止する。このとき、加圧ポンプ30の回転数を、ジェット吐水口16からの吐水が漸減するように、時刻t11から時刻t12までの間、ゆっくりと低減させる。これにより、サイホン作用が急激に途切れることにより生じるサイホン切れ音の発生を防止することができる。
【0053】
時刻t11において、ジェット吐水は終了したが、このとき、リム吐水は依然として継続しており、時刻t11から時刻t13までの所定時間(例えば、4秒)、リム吐水(後リム吐水)だけ継続される。
この後、時刻t13〜t14において、給水路切替弁44の開度をリム側全開からタンク側全開に切り替える。これにより、貯水タンク28内に洗浄水が貯水される。
つぎに、時刻t15において、貯水タンク28内の水位が上昇することにより、上端フロートスイッチ76がONとなり、これにより、電磁開閉弁42がOFF(閉操作)となり、洗浄水の貯水タンク28内への流入が停止される。
【0054】
つぎに、時刻t16において、給水路切替弁44の開度はリム側全開状態(リム側100%貯水タンク側0%)の位置に戻り、待機状態(時刻t0と同じ状態)に復帰する。
【0055】
上述した本発明の第1実施形態による水洗大便器1の第1実施例によれば、洗浄水源である水道(図示せず)からリム吐水口18に供給される洗浄水の総量を抑制して節水化を行ったとしても、洗浄開始後、コントローラ74による給水路切替弁44の開度を制御することにより、最初にリム吐水口18から吐水された洗浄水が、リム吐水口18の位置PAに関連したボウル部12内の洗浄強化領域Frを通過するまでの間(時刻t3〜t4の間)、洗浄強化領域Fr内の汚物受け面20を流下する程度の比較的小さい流量Q1で制御され、ボウル部12内の領域Rrを流れる洗浄水の流量Q2が、洗浄強化領域Fr内の汚物受け面20を流下する程度の小さい流量Q1よりも大きい流量で制御されるため、ボウル部12内の洗浄強化領域Fr,Rlを通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができる。したがって、ボウル部12内の洗浄強化領域Fr,Rlを通過する洗浄水の大半が汚物受け面20に沿って確実に流下することができるため、水洗大便器1の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、リム吐水口18の位置PAに関連したボウル部12内の洗浄強化領域Fr,Rlの汚物受け面20に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態による水洗大便器1の第1実施例によれば、洗浄水源である水道(図示せず)からリム吐水口18に供給される洗浄水の総量を抑制して節水化を行ったとしても、洗浄開始後、時刻t3〜t4の間(例えば、4秒間)では、コントローラ74が給水路切替弁44の開度を制御することにより、リム吐水口18から吐水されて洗浄強化領域Frを流れる洗浄水の流量Q1が0[L/min]から所定の流量(例えば、3〜7[L/min])まで、従来の水洗大便器における流量の増加率(傾き)k2よりも小さな所定の増加率(傾き)k1で時間の経過と共に比例的に増加するように洗浄水の流量Q1(流速v1)が制御され、洗浄水が、ボウル部12内の洗浄強化領域Frを通過後の時刻t4で、ボウル部12内の領域Rrを通過する洗浄水が、所定の流量Q2(例えば、9〜16[L/min])でボウル部12内の本洗浄が可能となるように流量Q1(流速v1)よりも大きい流量Q2(流速v2)で制御される。したがって、洗浄水がボウル部12内の洗浄強化領域Frを通過後に、このボウル部12内の洗浄強化領域Frの後方側の領域Rr,Rlを洗浄するのに十分な旋回流を形成することができ、ボウル部12内全体の洗浄性能を向上させることができる。
【0057】
さらに、本実施形態による水洗大便器1の第1実施例によれば、ボウル部12の後方側領域Rの所定領域Z内に形成された棚部24の傾斜部24aにより、ボウル部12の後方側領域Rの所定領域Z内の棚部24を通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができる。したがって、リム吐水口18から前方へ吐水されて旋回流を形成する洗浄水が、ボウル部12の後方側領域Rを通過してボウル部12内をほぼ一周するまでに汚物受け面20に流下することができるため、水洗大便器1の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、特に、ボウル部12内の後方側領域Rの所定領域Z内の棚部24や汚物受け面20に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。
【0058】
つぎに、図6及び図11を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器のリム洗浄動作における給水路切替弁の動作の第2実施例について説明する。
図11は、本発明の第1実施形態による水洗大便器のリム洗浄動作における給水路切替弁の動作の第2実施例を示すタイムチャートである。
なお、図11において、図10に示す本発明の第1実施形態による水洗大便器のリム洗浄動作における給水路切替弁の動作の第1実施例によるタイムチャートと共通する部分については、説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0059】
図11に示すように、本発明の第1実施形態による水洗大便器のリム洗浄動作における給水路切替弁の動作の第2実施例においては、時刻t3〜t100の間では、リム吐水口18から吐水される洗浄水の流量が0から所定の流量Q1(例えば、3〜7[L/min])まで所定の増加率(傾き)k2で時間の経過と共に比例的に増加するように、給水路切替弁44の開度がコントローラ74により制御される。
つぎに、時刻t100〜t102の間では、一定の流量Q1aが維持され、時刻t102〜t4の間では、リム吐水口18から吐水される洗浄水の流量Q1bが、所定の流量Q1aから、この流量Q1aよりも大きい流量Q2(例えば、9〜16[L/min])まで所定の増加率(傾き)k2で時間の経過と共に比例的に増加するように、給水路切替弁44の開度がコントローラ74により制御される。
【0060】
すなわち、本実施形態による水洗大便器1のリム洗浄動作における給水路切替弁44の動作の第2実施例においては、時刻t3〜t4の間(例えば、4秒間)にリム吐水口18から吐水された洗浄水がボウル部12内の領域Flを旋回して洗浄強化領域Frの境界線s1から境界線s3までの区間を通過しているときの洗浄強化領域Fr内の洗浄水の流量及び流速が時間の経過と共に段階的に増加し、洗浄強化領域Fr内の洗浄水の流量Q1a,Q1b(流速v1a,v1b)が、ボウル部12内の領域Rrを流れる洗浄水の流量Q2(流速v2)よりも小さく且つ汚物受け面20を流下する程度の比較的小さい流量(比較的遅い流速)となり、給水路切替弁44の開度が時刻t100〜t102の所定時間一定に保たれるようにコントローラ74により制御され、この時刻t100〜t102の所定時間の間の流量Q1a及び流速v1aが増加しない点が、ボウル部12の洗浄強化領域Fr内の洗浄水の流量Q1及び流速v1が所定の増加率(傾き)k1で時間の経過と共に比例的に増加するように制御される第1実施例とは異なっている。
【0061】
上述した本実施形態の水洗大便器1の第2実施例によれば、洗浄水源である水道(図示せず)からリム吐水口18に供給される洗浄水の総量について、4.0リットル程度の洗浄水量(例えば、3.8〜4.2リットル)に抑制して節水化を行ったとしても、洗浄開始後、最初にリム吐水口18から吐水された洗浄水が、ボウル部12内の洗浄強化領域Frを通過するまでの間(時刻t3〜t4の間)、洗浄水の流量Q1a,Q1b(流速v1a,v1b)が比較的小さい流量(比較的遅い流速)で制御され、ボウル部12内の洗浄強化領域Frを通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができるため、ボウル部12内の洗浄強化領域Frを通過する最初の洗浄水の大半が汚物受け面20に沿って確実に流下することができる。したがって、水洗大便器1の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、ボウル部12内の洗浄強化領域Frの汚物受け面20に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。
さらに、時刻t3〜t4の内、時刻t100〜t102の所定時間は給水路切替弁44の開度が一定に保たれ、流量Q1a及び流速v1aが増加しないために、リム吐水口18から所定時間に吐水された比較的小さい一定の流量(比較的遅い一定の流速)の洗浄水が、ボウル部12内の洗浄強化領域Frを通過する際に、大半が汚物受け面20に沿ってより確実に流下するので、水洗大便器1の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、ボウル部12内の洗浄強化領域Frの汚物受け面20に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、より洗浄性能を向上させることができる。
【0062】
つぎに、図12を参照して、本発明の第2実施形態による水洗大便器について説明する。
図12は、本発明の第2実施形態による水洗大便器のリム吐水口の位置、リム吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向、ボウル部内の洗浄強化領域のそれぞれを概略的に説明した図である。なお、図12において、本発明の第1実施形態による水洗大便器1の部分と同一の部分については、同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
【0063】
図12に示すように、本発明の第2実施形態による水洗大便器100においては、リム吐水口118の位置PBを便器本体102のボウル部112内の前端部112aに配置し、リム吐水口118からリム部122の内周面122aに沿って後方側に洗浄水を吐水してボウル部112内に旋回流を形成するようになっている。
また、本実施形態では、このリム吐水口118の位置PBと関連してボウル部112内の領域Rlが洗浄強化領域となっている。さらに、リム吐水口118から後方に吐水されてボウル部112内の領域Frから領域Rrを経て洗浄強化領域Rlへ旋回した洗浄水は、この洗浄強化領域Rlの境界線s4から境界線s6までの区間を通過する間(時刻t3〜t4)、上述した本発明の第1実施形態に水洗大便器1のコントローラ74による給水路切替弁44の第1実施例の動作(図10参照)に関する制御と同様な制御方法により、洗浄強化領域Rl内の洗浄水が汚物受け面120を流下する程度に、洗浄水の流量Q1が、時刻t4以降の所定の流量Q2(例えば、9〜16[L/min])を超えない程度の流量(例えば、5〜9[L/min])まで時間の経過と共にゆっくりと比例的に増加し、洗浄水の流量Q1(流速v1)が比較的小さい流量(比較的遅い流速)となるように、コントローラ74が給水路切替弁44の開度を制御する。
【0064】
上述した本発明の第2実施形態による水洗大便器100によれば、洗浄水源である水道(図示せず)からリム吐水口118に供給される洗浄水の総量について、4.0リットル程度の洗浄水量(例えば、3.8〜4.2リットル)に抑制して節水化を行ったとしても、洗浄開始後、最初にリム吐水口118から吐水された洗浄水が、ボウル部112内の洗浄強化領域Rlを通過するまでの間(時刻t3〜t4の間)、洗浄水の流量Q1(流速v1)が洗浄強化領域Rlの汚物受け面20を流下する程度の比較的小さい流量(比較的遅い流速)で制御され、ボウル部112内の洗浄強化領域Rlを通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができるため、ボウル部112内の洗浄強化領域Rlを通過する洗浄水の大半が汚物受け面120に沿って確実に流下することができる。したがって、水洗大便器100の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、ボウル部112内の洗浄強化領域Frの汚物受け面120に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。
【0065】
つぎに、図13を参照して、本発明の第3実施形態による水洗大便器について説明する。
図13は、本発明の第3実施形態による水洗大便器のリム吐水口の位置、リム吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向、ボウル部内の洗浄強化領域のそれぞれを概略的に説明した図である。なお、図13において、本発明の第1実施形態による水洗大便器1の部分と同一の部分については、同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
【0066】
図13に示すように、本発明の第3実施形態による水洗大便器200においては、リム吐水口218の位置PCを便器本体202のボウル部212内の右側端部212bに配置し、リム吐水口218からリム部222の内周面222aに沿って後方側に洗浄水を吐水してボウル部112内に旋回流を形成するようになっている。
また、本実施形態では、このリム吐水口218の位置PCと関連してボウル部211内の領域Rl,Frが洗浄強化領域となっている。さらに、リム吐水口218から後方に吐水されてボウル部212内の領域Rrから洗浄強化領域Rlへ旋回した洗浄水は、この洗浄強化領域Rlの境界線s4から境界線s6までの区間を通過する間(時刻t3〜t4)、上述した本発明の第1実施形態に水洗大便器1のコントローラ74による給水路切替弁44の第1実施例の動作(図10参照)に関する制御と同様な制御方法により、洗浄強化領域Rl内の洗浄水が汚物受け面220を流下する程度に、洗浄水の流量Q1が、時刻t4以降の所定の流量Q2(例えば、9〜16[L/min])を超えない程度の流量(例えば、3〜7[L/min])まで時間の経過と共にゆっくりと比例的に増加し、洗浄水の流量Q1(流速v1)が比較的小さい流量(比較的遅い流速)となるように、コントローラ74が給水路切替弁44の開度を制御する。
【0067】
上述した本発明の第3実施形態による水洗大便器200によれば、洗浄水源である水道(図示せず)からリム吐水口118に供給される洗浄水の総量について、4.0リットル程度の洗浄水量(例えば、3.8〜4.2リットル)に抑制して節水化を行ったとしても、洗浄開始後、最初にリム吐水口218から吐水された洗浄水がボウル部212内の洗浄強化領域Rl,Frに流れ込んだ際に、それぞれの洗浄強化領域Rl,Frにおける洗浄水の流量Q1,Q3(流速v1,v3)がボウル部212の他の領域Rr,Flを流れる洗浄水の流量(流速)よりも小さく且つ洗浄強化領域Rl,Fr内の汚物受け面20を流下する程度の比較的小さい流量(比較的遅い流速)で制御され、ボウル部212内の洗浄強化領域Rl,Frを通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができるため、ボウル部212内の洗浄強化領域Rl,Frを通過する洗浄水の大半が汚物受け面220に沿って確実に流下することができる。したがって、水洗大便器200の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、ボウル部212内の洗浄強化領域Rl,Frの汚物受け面220に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。
【0068】
つぎに、図14を参照して、本発明の第4実施形態による水洗大便器について説明する。
図14は、本発明の第4実施形態による水洗大便器のリム吐水口の位置、リム吐水口から吐水される洗浄水の吐水方向、ボウル部内の洗浄強化領域のそれぞれを概略的に説明した図である。なお、図14において、本発明の第1実施形態による水洗大便器1の部分と同一の部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
【0069】
図14に示すように、本発明の第4実施形態による水洗大便器300においては、リム吐水口318の位置PDを便器本体302のボウル部312内の後端部312cに配置し、リム吐水口318からリム部322の内周面322aに沿って前方側に洗浄水を吐水してボウル部312内に旋回流を形成するようになっている。
また、本実施形態では、このリム吐水口318の位置PDと関連してボウル部312内の領域Frが洗浄強化領域となっている。さらに、リム吐水口318から前方に吐水されてボウル部312内の領域Rlから領域Flを経て洗浄強化領域Rrへ旋回した洗浄水は、この洗浄強化領域Rrの境界線s1から境界線s3までの区間を通過する間(時刻t3〜t4)、上述した本発明の第1実施形態に水洗大便器1のコントローラ74による給水路切替弁44の第1実施例の動作(図10参照)に関する制御と同様な制御方法により、洗浄強化領域Fr内の洗浄水が汚物受け面120を流下する程度に、洗浄水の流量Q1が、時刻t4以降の所定の流量Q2(例えば、9〜16[L/min])を超えない程度の比較的小さい流量(例えば、5〜9[L/min])まで時間の経過と共にゆっくりと比例的に増加し、洗浄水の流速v1が比較的遅い流速となるように、コントローラ74が給水路切替弁44の開度を制御する。
【0070】
上述した本発明の第4実施形態による水洗大便器300によれば、洗浄水源である水道(図示せず)からリム吐水口318に供給される洗浄水の総量について、4.0リットル程度の洗浄水量(例えば、3.8〜4.2リットル)に抑制して節水化を行ったとしても、洗浄開始後、最初にリム吐水口318から吐水された洗浄水が、ボウル部312内の洗浄強化領域Frを通過するまでの間(時刻t3〜t4の間)、洗浄水の流量Q1(流速v1)が洗浄強化領域Frの汚物受け面20を流下する程度の比較的小さい流量(比較的遅い流速)で制御され、ボウル部312内の洗浄強化領域Frを通過する洗浄水に作用する遠心力の影響を抑制することができるため、ボウル部312内の洗浄強化領域Frを通過する洗浄水の大半が汚物受け面120に沿って確実に流下することができる。したがって、水洗大便器300の洗浄水量の節水化が行われている状況下でも、ボウル部312内の洗浄強化領域Frの汚物受け面320に付着していた汚物を洗い落すのに十分な洗浄水量と水勢を得ることができ、洗浄性能を向上させることができる。
【0071】
なお、上述した本発明の第1〜第4実施形態による水洗大便器1においては、例として、リム吐水口及びジェット吐水口からボウル部と排水トラップ管路へ洗浄水を供給して、サイホン作用を発生させ、これにより、ボウル部内の汚物を排出するようにしたサイホンジェット式の水洗大便器の形態について説明したが、このような形態に限られず、ジェット吐水口を省略してリム吐水口のみを採用したサイホン式の水洗大便器であってもよいし、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる、洗い落し式の水洗大便器であってもよい。
また、上述した本発明の第1〜第4実施形態による水洗大便器1においては、リム吐水口及びリム側給水路などを便器本体と一体的に形成した形態について説明したが、このような形態に限られず、底面に排水弁を備えた洗浄水タンクを洗浄水源とし、リム吐水口及びリム側給水路を便器本体と別部材の分流器で形成して、排水弁の開弁を制御するようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 水洗大便器
2 便器本体
4 便座
6 カバー
8 局部洗浄装置
10 機能部
12 ボウル部
12a ボウル部内の前端部
12b ボウル部内の右側端部
12c ボウル部内の後端部
12d ボウル部内の左側端部
14 排水トラップ管路
14a 排水トラップ管路の入口
14b トラップ上昇管
14c トラップ下降管
14d 排水トラップ管路の頂部
16 ジェット吐水口
16a ジェット導水路
18 リム吐水口
18a リム導水路
20 ボウル部の汚物受け面
20a ボウル部の汚物受け面の底部
22 ボウル部のリム部
22a ボウル部のリム部の内周面
24 ボウル部の棚部
24a ボウル部の棚部の傾斜部
26 排水管
28 貯水タンク
30 加圧ポンプ
30a ポンプ室
32 給水路
34 止水栓
36 ストレーナ
38 分岐金具
40 定流量弁
42 電磁開閉弁
42a ダイヤフラム
42b ソレノイド
44 給水路切替弁(流量可変手段)
44a 第1ポート
44b 第2ポート
44c 第3ポート
44d ロータ
46 バルブユニット
48 リム側給水路
50 タンク側給水路
52 ポンプ側給水路
54 ジェット側給水路
54a ジェット側給水路の凸型部分の頂部
56 リム吐水用バキュームブレーカ
58 戻り管路
60 バキュームブレーカ
62 フロート式逆止弁
62a フロート
64 オーバーフロー流路
64a オーバーフロー流路の上端
66 フロート式逆止弁
66a フロート
70 水抜栓
72 水受けトレイ
74 コントローラ(流量可変手段)
76 上端フロートスイッチ
78 下端フロートスイッチ
80 フラッパー弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水源から供給される洗浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、
汚物を受ける汚物受け面と、洗浄水源から供給される洗浄水を上記汚物受け面に吐水して旋回流を形成するリム吐水口が形成されたリム部と、を備えたボウル部と、
このボウル部のリム部のリム吐水口から吐水される洗浄水の流量を可変する流量可変手段と、を有し、
この流量可変手段は、洗浄開始後、最初に上記リム吐水口から吐水された洗浄水が、上記リム吐水口の位置に関連した洗浄を強化すべき上記ボウル部内の所定領域を通過するまでの間、洗浄水の大半が上記汚物受け面を流下する程度の小さい流量で洗浄水の流量を制御することを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
上記流量可変手段は、洗浄開始後、最初に上記リム吐水口から吐水された洗浄水が、上記リム吐水口の位置に関連した洗浄を強化すべき上記ボウル部内の所定領域を通過するまでの間、洗浄水の大半が上記汚物受け面を流下する程度の小さい第1の流量で洗浄水の流量を制御し、最初に上記リム吐水口から吐水された洗浄水が、上記ボウル部内の所定領域を通過後、上記ボウル部の本洗浄が可能となるように上記第1の流量よりも大きい第2の流量で洗浄水の流量を制御する請求項1記載の水洗大便器。
【請求項3】
上記リム吐水口は、上記ボウル部の後方側領域のリム部に形成され、上記流量可変手段は、洗浄開始後、最初に上記リム吐水口から前方に吐水された洗浄水が、上記ボウル部の前方側領域内の洗浄を強化すべき所定領域を通過するまでの間、洗浄水の大半が上記汚物受け面を流下する程度の小さい第1の流量で洗浄水の流量を制御し、上記最初にリム吐水口から吐水された洗浄水が、上記ボウル部の前方側領域内の洗浄を強化すべき所定領域を通過後、上記ボウル部の本洗浄が可能となるように上記第1の流量よりも速い第2の流量で洗浄水の流量を制御する請求項2記載の水洗大便器。
【請求項4】
上記ボウル部は、更に、上記汚物受け面の上縁と上記リム部の下縁との間に形成された棚部を備え、この棚部は、上記リム吐水口から吐水された洗浄水が上記ボウル部の後方側領域を通過して上記ボウル部内をほぼ一周するまでに上記汚物受け面に流下するように、上記ボウル部の後方側領域の所定領域内に形成され且つ上記後方側領域の所定領域以外の領域に形成された他の棚部よりも下方に傾斜した傾斜部を備えている請求項3記載の水洗大便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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