説明

水流制御構造物

【課題】水中の表層側と底層側との鉛直方向の混合を促進することができる水流制御構造物を提供する。
【解決手段】流れFのある水中に設置される水流制御構造物10であって、内部が中空であり且つ少なくとも上面14及び水流の上流側並びに下流側の端面12,13に開口部28,31,32を有する構造物本体11と、上流側の開口部31の上部側を閉塞する上閉塞板34と、下流側の開口部32の下部側を閉塞する下閉塞板35と、を備える。好ましくは、下閉塞板35を、上端が上流側に位置し且つ下端が下流側に位置するように傾斜して配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水流制御構造物、例えば、河川の河口付近の海洋域に設置される水流制御構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、河川からの淡水が流入する海洋域では、淡水と海水との密度差によって表層側の淡水層と底層側の海水層とが形成される。この場合、表層側の淡水が、例えば、海苔の養殖場等に直接当たると、適正な栄養塩環境が損なわれ、生長に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0003】
一方、海水交換が少ない閉鎖性の内湾部に河川の淡水が流入すると、淡水に含まれる栄養源により表層側にプランクトンが増大し、このプランクトン等が死滅して底層に沈降すると、バクテリア等が活発に分解することによって底層側で貧酸素状態に陥る。通常、海水は、潮汐や風によって撹拌されるが、夏期のように表層と低層との温度差が大きい時期には密度差も大きくなるので、表層と底層との間で適切に混合撹拌がなされなくなる。そのため、底層側の貧酸素状態はより深刻なものとなり、周辺海域の水質悪化や生物生息環境に多大な被害を与える結果となっている。
【0004】
なお、海水の表層側と底層側とを混合させうる技術として、下記特許文献1には、海域深層水を衝立型壁体構造物によって人工的に上昇させる技術が開示されている。しかし、この技術は、平面視V字型の構造物を海底に設置しただけのものであるため、十分な混合、撹拌を行うのは実質的に困難である。
【特許文献1】特開平2−299525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、水中の表層側と底層側との鉛直方向の混合(鉛直混合)を促進することができる水流制御構造物、例えば、河川の淡水が流入する河口付近の海洋域(河川と海洋の境界付近)に設置することによって、海中の表層と底層との鉛直混合を促進し、水質や生物生息環境の悪化を軽減することができる、水流制御構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流れのある水中に設置される水流制御構造物であって、内部が中空であり且つ少なくとも上面と水流の上流側及び下流側の端面とに開口部を有する構造物本体と、上流側の開口部の上部側を閉塞する上閉塞板と、下流側の開口部の下部側を閉塞する下閉塞板と、を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
これによれば、水流制御構造物よりも上流側から流れてくる水流は、上流側開口部から構造物本体の内部に入る流れと、上閉塞板により遮られて構造物本体の上方へ向かう流れに分かれ、構造物本体の上方へ向かう流れによって渦流が形成される。更に、構造物本体の内部に入った水流は、構造物本体の上面開口部に向かう流れと下流側開口部に向かう流れとに分かれ、上面開口部に向かう流れは、構造物本体の上方に形成された前記渦流をさらに成長させる。下流側開口部側へ向かう水流は、下閉塞板に衝突することによって渦流を作りつつ下流側開口部の上部側から流出し、下閉塞板の下流側に渦流を形成する。構造物本体の上方側に形成された渦流と、下閉塞板の下流側に形成された渦流とによって、最終的に鉛直(上下)方向に大きな渦流が形成され、鉛直混合が促進される。したがって、本発明の水流制御構造物を河川の淡水が流れ込む海洋域に設置すると、表層と底層との鉛直混合が促進され、水質や生物生息環境の悪化を軽減することができる。
【0008】
前記下閉塞板は、上端が上流側に位置し且つ下端が下流側に位置するように傾斜していることが好ましい。これによって、水流が下閉塞板に衝突することによる渦流の生成をより促進することができる。
【0009】
前記上閉塞板は、上端が下流側に位置し且つ下端が上流側に位置するように傾斜していることが好ましい。これによって、構造物本体の上方へ向かう水流を促進することができる。
【0010】
前記構造物本体は、水深の6割以上の高さを有していることが好ましい。これによって、水中の底層から表層に亘って適切に撹拌・混合することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水中の鉛直混合を促進することができる。したがって、河川の淡水が流れ込む海洋域に本発明の水流制御構造物を設置した場合、表層と底層との鉛直混合を促進し、水質や生物生息環境の悪化を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る水流制御構造物10を、例えば、河川の淡水が流入する海洋域に設置した状態を示す平面図である。図1において矢印Fは水流の方向である。図例では、2つ水流制御構造物10が水流方向Fに直交する方向に並べられ、これを1組として複数の組が、水流方向F及び直交方向に離れて配置されている。各水流制御構造物10は、水流の方向Fに応じて設置方向が設定されている。
【0013】
図2は水流制御構造物10の斜視図、図3は水流制御構造物10の側面図(一部断面図)、図4は水流制御構造物10の平面図、図5は図3のV矢視図、図6は図3のVI矢視図である。水流制御構造物10は、複数の棒状の枠材19〜25によって枠形状に形成されたコンクリートブロックからなる構造物本体11を備えている。構造物本体11は、側面視(図3)で台形状に形成され、前後方向の端面12,13が約45°の角度θで傾斜し、斜め上方に向いている。また、構造物本体11は、平面視(図4)及び正面視(背面視)(図5、図6)で長方形状に形成されている。
【0014】
図2に示すように、構造物本体11は、内部が中空であり、上面14、左右側面15、前後端面13,12及び下面16にそれぞれ開口部28〜32を有している。各開口部28〜32は中空の内部を介して互いに連通している。また、構造物本体11は、その前後方向が水流方向Fに沿うように水底に設置されている。
【0015】
以下、構造物本体11のより詳細な構造について説明する。構造物本体11は、図2に示すように、左右2つの分割構造体17,17をボルト等を用いて互いに連結することによって構成されている。
【0016】
左右各分割構造体17は、前後方向に延びる左右一対の下部縦枠材19,19と、左右の下部縦枠材19,19同士を、前端、後端及び前後方向中途部で互いに接続する複数(4本)の下部横枠材20と、前後方向中途部の2本の下部横枠材20B,20Cと左右の下部縦枠材19との接合部からそれぞれ上方に延びる4本の直立枠材21と、前後に並ぶ各2本の直立枠材21の頂部を互いに連結する左右一対の上部縦枠材22と、左右に並ぶ各2本の直立枠材21の頂部を互いに連結する前後一対の上部横枠材23と、左右の下部縦枠材19の後端部と後側の左右直立枠材21の上端部とを連結する後側傾斜枠材24と、左右の下部縦枠材10の前端部と前側の左右直立枠材21の上端部とを連結する前側傾斜枠材25と、を備えている。
【0017】
各分割構造体17において、上部縦枠材22と上部横枠材23との間には、略四角形の上面開口部28が形成されている。下部縦枠材19と上部縦枠材22と直立枠材21との間には、略四角形の側面開口部29が形成され、下部縦枠材19と傾斜枠材24,25と直立枠材21との間には、略3角形の側面開口部30が形成されている。
【0018】
分割構造体17の後側において、下部横枠材20と上部横枠材23と左右の傾斜枠材24との間には、略4角形の後面開口部31が形成されている。また、図6に示すように、分割構造体17の前側において、下部横枠材20と上部横枠材23と左右の傾斜枠材25との間には、略4角形の前面開口部32が形成されている。
【0019】
図3に示すように、本発明の水流制御構造物10は、前記構造物本体11(分割構造体17)に加えて、後面及び前面開口部31,32をそれぞれ閉塞する閉塞板34,35を有している。後面開口部31に設けられた閉塞板(上閉塞板)34は、当該後面開口部31の上部側、具体的には略上半分を閉塞するものであり、上端が水流方向Fの下流側に位置し且つ下端が上流側に位置するように約45°の角度で傾斜している。
【0020】
前面開口部32に設けられた閉塞板(下閉塞板)35は、前面開口部32の下部側、具体的には略下半分を閉塞するものであり、上端が水流方向Fの上流側に位置し且つ下端が下流側に位置するように約45°の角度で傾斜している。
【0021】
上下閉塞板34,35は、分割構成体17の傾斜枠材24,25と一体に形成されており、したがって、傾斜枠材24,25と各閉塞板34,35との境界は外面に現れない。しかし、図2,図4〜図6においては、各枠材20,23〜25によって画成される後面及び前面開口部31,32の範囲を解りやすくするため、当該境界を仮想線Lで示している。
【0022】
図7は、水流制御構造物10を図3の矢視V方向から見た場合の、後面及び前面開口部31,32に占める上下の閉塞板34,35の範囲を説明する図である。図7(A)は、閉塞板34がない場合の後面及び前面開口部31,32の範囲を点線のハッチングで示したものである。これに対して、図7(B)は、上下閉塞板34,35が占める範囲を実線のハッチングで示したものである。本実施形態では、後面及び前面開口部31,32に面積に対する上下閉塞板34,35の面積の割合が、70%(上下閉塞板34,35の間に形成される隙間Sが30%の状態)から100%(隙間Sが無い状態)の間に設定されている。
【0023】
〔本実施形態の作用〕
図8は、水流制御構造物10によって水流がどのように変化するかを示した水流制御構造物10の側面断面図である。水流制御構造物10は高さTを有し、該高さTよりも深い水深Hを有する水中の底40に設置されている。該高さTは、水深Hに対して、T≧0.6Hを満たすように設定されている。
【0024】
水流Fは、まず、後面開口部31から水流制御構造物10内に流入する流れf1と、後面開口部31の上閉塞板34によって遮られ、上閉塞板34に沿って上方へ押し上げられる流れf2とに分かれる。流れf2は、上閉塞板34の上端を通過することによってs1で示す小さい渦流(反時計回りの渦)を形成し、さらに下流側へ流れる。
【0025】
水流制御構造物10内に流入した流れf1は、更に上面開口部28から上方へ抜ける流れf3と、前面開口部32へ向かう流れf4とに分かれる。上面開口部28から抜ける流れf3は、水流制御構造物10の上側に形成された渦流s1を押し上げながら渦流s2へと大きく成長させる。
【0026】
前面開口部32に向かう流れf4は、底層側において下閉塞板35に衝突し、下向きに回る渦流s3を形成する。渦流s3は、前面開口部32から流出し、下閉塞板35のすぐ下流側に大きな反時計回りの渦流s4を形成する。ここでは、渦流s4が形成される領域hを反流域と称する。
【0027】
その後、渦流s2と渦流s4とは、水流制御構造物10の下流側で合流し、さらに大きな反時計回りの渦流(撹拌渦)s5を形成する。この渦流s5は、上下方向に広範囲に広がり、水中の表層側と底層側とを鉛直方向に撹拌、混合する。
【0028】
図9、図10は、水の流れの様子を平面的に見た平面図である。図9は、図1において水流方向Fに直交する方向に隣接する2つの水流制御構造物10A,10Bを拡大して示している。各水流制御構造物10の間を通過する流れF’は非常に速い流れとなっているのに対して、水流制御構造物10の内部を通過する流れは、比較的遅い流れとなっている。各水流制御構造物10の角部は、せん断力の強い箇所となり、流れが通過することによって渦流s6を発生させる。
【0029】
また、水流制御構造物10のすぐ下流側(2つの仮想線L1,L2で挟まれた領域)には、非常に流れの遅い領域A1が形成される。この領域A1において、図8で示した渦流s4が形成される。
【0030】
図10は、図1において水流方向Fにずれた関係で隣接する2つの水流構造物10B,10Cを拡大して示している。各水流制御構造物10の間を通過する流れF”は蛇行しながらも非常に速い流れとなり、これに対して、水流制御構造物10の内部を通過する流れは、比較的遅い流れとなっている。各水流制御構造物10の角部は、せん断力の強い箇所となり、流れが通過することによって渦s7を発生させる。
【0031】
〔本実施形態の効果〕
(1)上記のように、水流制御構造物10は、内部が中空であり且つ少なくとも上面及び前後端面に開口部28,32,31を備えた構造物本体11と、後面開口部31の上部側を閉塞する上閉塞板34と、前面開口部32の下部側を閉塞する下閉塞板32とを備えているので、水流制御構造物10の前後方向を水流方向Fに沿わせた状態で水中に設置することによって、水中の表層と底層とを適切に鉛直混合することができる。
【0032】
したがって、河川の淡水が流入する海洋域に、本実施形態の水流制御構造物10を設置してやれば、表層側の淡水と底層側の海水とを好適に撹拌、混合することができ、例えば、海苔養殖場に淡水が直接当たることに起因する海苔の生長阻害を防止することができる。また、底層において貧酸素状態になるような環境においても、本実施形態の水流制御構造物10を設置することによって、表層と低層との鉛直混合が可能となり、水質や生物生息環境の悪化を軽減することができる。
【0033】
(2)図8に示すように、水流制御構造物10の下閉塞板35は、上端が水流方向Fの上流側に位置し且つ下端が下流側に位置するように傾斜しているので、渦流s3の生成を促進し、その結果、反流域hにおける渦流s4や、その後の撹拌渦s5の生成を促進することができる。
【0034】
(3)図8に示すように、水流制御構造物10の上閉塞板34は、上端が水流方向Fの下流側に位置し且つ下端が上流側に位置するように傾斜しているので、流れf2を作りやすくなり、渦流s1の生成を促進することができる。
【0035】
(4)図7に示すように、後面及び前面開口部31,32の面積に対する上下閉塞板34,35の面積の割合が、70%〜100%に設定されているので、図8に示す各渦流s1〜s5を好適に生成し、鉛直混合を促進することができる。
【0036】
(5)水流制御構造物10の高さTは、水深Hに対して6割以上に設定されている(T≧0.6H)ので、水中の表層から底層の略全体に亘って鉛直混合を促進することができる。
【0037】
(6)本実施形態の水流制御構造物10は、魚介類の生息環境を形成する魚礁としても使用することができる。この場合、下流側の下閉塞板35の下流側に流れの遅い領域A1(図9)が形成され、当該領域A1に魚介類の餌となるプランクトン等を滞留させることができるので、魚礁として好適である。
【0038】
〔他の実施形態〕
(1)水流制御構造物10における詳細な構造は適宜変更可能である。例えば、高さTに対する前後長又は左右幅の比率や、枠材19〜25及び各開口部28〜32の数、形状等は、適宜変更可能である。
【0039】
(2)上閉塞板34や下閉塞板35の傾斜角度は45°に限定されるものではなく、適宜変更可能であり、図11に示すように、傾斜させずに垂直姿勢とすることも可能である。ただ、上下閉塞板34,35の傾斜角度があまり小さすぎると、後面及び前面開口部31,32の面積に対する上下閉塞板34,35の面積の割合を大きくした場合に閉塞板34,35が拡大化するため、45°〜90°の範囲で設定するのが好ましい。
【0040】
(3)水流制御構造物10の左右側面は、側面開口部29,30の一部又は全部を省略して、閉じた壁とすることができる。
【0041】
(4)水流制御構造物10の高さTが、水深Hに対して所定以上に設定できない場合は、水流制御構造物10を他のブロック等を用いて嵩上げして設置することも可能である。
【0042】
(5)上記実施形態では、上下閉塞板34,35は、構造物本体11と一体に形成されているが、別体の板材を構造物本体11に固定してもよい。
【0043】
(6)上記実施形態では、構造物本体11として2つの分割構成体17を連結することによって構成しているが、3以上の分割構成体17を連結して構成することもできるし、分割構成体による連結構造ではなく、全体を一体的に形成した構造とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、河川の淡水が流れ込む海洋域や閉鎖性の内湾部等に設置して利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る水流制御構造物を、例えば、河川の淡水が流入する海洋域に設置した状態を示す平面図である。
【図2】水流制御構造物の斜視図である。
【図3】水流制御構造物の側面図(一部断面図)である。
【図4】水流制御構造物の平面図である。
【図5】図4のV矢視図である。
【図6】図4のVI矢視図である。
【図7】後面及び前面開口部に占める上下の閉塞板の範囲を説明する図である。
【図8】水流制御構造物によって水流がどのように変化するかを示した水流制御構造物の側面断面図である。
【図9】水流の様子を平面的に見た平面図である。
【図10】水流の様子を平面的に見た平面図である。
【図11】他の実施形態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 水流制御構造物
11 構造物本体
12 後端面
13 前端面
14 上面
28 上面開口部
31 後面開口部(上流側開口部)
32 前面開口部(下流側開口部)
34 上閉塞板
35 下閉塞板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れのある水中に設置される水流制御構造物であって、内部が中空であり且つ少なくとも上面と水流の上流側及び下流側の端面とに開口部を有する構造物本体と、上流側の開口部の上部側を閉塞する上閉塞板と、下流側の開口部の下部側を閉塞する下閉塞板と、を備えていることを特徴とする水流制御構造物。
【請求項2】
前記下閉塞板は、上端が上流側に位置し且つ下端が下流側に位置するように傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載の水流制御構造物。
【請求項3】
前記上閉塞板は、上端が下流側に位置し且つ下端が上流側に位置するように傾斜していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水流制御構造物。
【請求項4】
前記構造物本体は、水深の6割以上の高さを有していることを特徴とする、請求項1記載の水流制御構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−38428(P2008−38428A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213037(P2006−213037)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(390008338)広和株式会社 (21)